(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021664
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】報酬付与システム、報酬付与方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20230207BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230207BHJP
【FI】
G06Q30/02 320
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126677
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】521088181
【氏名又は名称】五十里 翔吾
(71)【出願人】
【識別番号】318017316
【氏名又は名称】伊藤 謙
(71)【出願人】
【識別番号】521340469
【氏名又は名称】小林 祥一
(74)【代理人】
【識別番号】100158366
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸 篤史
(72)【発明者】
【氏名】五十里 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 謙
(72)【発明者】
【氏名】小林 祥一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L049CC14
(57)【要約】
【課題】近年の日本国内の人口減少等を背景に、神社や寺院等の宗教施設において古くから受け継がれてきた宗教的行為が失われれるリスクが生じている。そこで、若い世代を中心に、各宗教施設において定められた宗教的行為の方法を正しく伝えると共に、宗教的行為に対するインセンティブを与える方法が求められていた。
【解決手段】本発明は、ユーザの端末の位置を確認する位置情報確認手段と、ユーザが所定の行為を正しく行ったか否かを判定する行為判定手段と、行為判定手段において、行為を正しく行ったと判定されたユーザの端末に対し、当該行為に対する報酬に関する報酬情報を送信する報酬情報送信手段と、を備え、行為は、位置情報により予め定められた行為である、報酬付与システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末の位置を確認する位置情報確認手段と、
前記ユーザが所定の行為を正しく行ったか否かを判定する行為判定手段と、
前記行為判定手段において、前記行為を正しく行ったと判定されたユーザの端末に対し、当該行為に対する報酬に関する報酬情報を送信する報酬情報送信手段と、を備え、
前記行為は、前記位置情報により予め定められた行為である、
報酬付与システム
【請求項2】
前記位置情報により予め定められた行為の手順をユーザに提示する行為手順提示手段をさらに備え、
前記行為判定手段は、ユーザが、前記行為手順提示手段によってユーザに提示された行為を正しく行ったか否かを判定する、
請求項1に記載の報酬付与システム
【請求項3】
前記行為が礼拝行為である、請求項1又は2に記載の報酬付与システム
【請求項4】
前記位置が宗教施設の位置である、請求項1~3いずれ一項に記載の報酬付与システム
【請求項5】
前記宗教施設が、寺院、神社、教会、道場、モスク、アシュラム、聖地、及び、パワースポットから選ばれる1又は複数である、請求項4に記載の報酬付与システム
【請求項6】
前記行為判定手段は、ユーザの端末により取得される動画情報、音声情報、時間情報、角速度情報、加速度情報、及び方位情報からなる群より選ばれる1又は複数を基に、ユーザが行為を正しく行ったか否かを判定する、
請求項1~5いずれか一項に記載の報酬付与システム
【請求項7】
前記行為判定手段は、ユーザの端末により取得されるユーザの生体情報を基に、ユーザが行為を正しく行ったか否かを判定する、
請求項1~6いずれか一項に記載の報酬付与システム
【請求項8】
前記生体情報は、ユーザの心拍数、脈拍、呼吸速度、体温、発汗量、及び血圧からなる群から選択される1又は複数である、
請求項7に記載の報酬付与システム
【請求項9】
前記行為判定手段が、前記情報を基にユーザが行った行為をスコア化し、
前記報酬情報送信手段は、複数の報酬情報から、送信する報酬情報を前記スコアに従って選択して送信する、
請求項6~8いずれか一項に記載の報酬付与システム
【請求項10】
前記報酬情報が、トークンが付与された情報である、
請求項1~9いずれか一項に記載の報酬付与システム
【請求項11】
コンピュータが実行する報酬付与方法であって、
ユーザの端末の位置を確認する位置情報確認ステップと、
前記ユーザが所定の行為を正しく行ったか否かを判定する行為判定ステップと、
前記行為判定手段において、前記行為を正しく行ったと判定されたユーザの端末に対し、当該行為に対する報酬情報を送信する報酬情報送信ステップと、を含み、
前記行為は、前記位置情報により予め定められた行為である、
報酬付与方法
【請求項12】
前記位置情報により予め定められた行為の手順をユーザに提示する行為手順提示ステップをさらに含み、
前記行為判定手段は、ユーザが、前記行為手順提示手段によってユーザに提示された行為を正しく行ったか否かを判定する、
請求項11に記載の報酬付与方法
【請求項13】
請求項11又は12に記載の報酬付与方法をコンピュータに実行させるプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが行った行為に対する報酬に関する報酬情報を送信する報酬付与システム、報酬付与方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを用いて、神社や寺院等における宗教的行為を支援するシステムが知られている。例えば、祭祀者による祭祀の正否を判定して、正と判定した場合に、祭祀者に対する祭祀の費用の支払い処理を実行する方法(特許文献1参照)、仏壇や祭壇へのお参りを啓蒙させるお参りサービス提供方法及びお参りサービス提供システム(特許文献2参照)、神社・仏閣のお守りを電子化して授与するサービスであり、神社・仏閣への集客手段を有する電子お守り授与システム(特許文献3参照)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6716123号公報
【特許文献2】特許第6488509号公報
【特許文献3】特開2020-184347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の日本国内の人口減少等を背景に、神社や寺院等の宗教施設において古くから受け継がれてきた宗教的行為が失われるリスクが生じている。そこで、若い世代を中心に、各宗教施設において定められた宗教的行為の手順を正しく伝えると共に、宗教的行為に対するインセンティブを与える技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、ユーザの端末の位置を確認する位置情報確認手段と、ユーザが所定の行為を正しく行ったか否かを判定する行為判定手段と、行為判定手段において、行為を正しく行ったと判定されたユーザの端末に対し、当該行為に対する報酬に関する報酬情報を送信する報酬情報送信手段と、を備え、行為は、位置情報により予め定められた行為である、報酬付与システムである。
【0006】
別の本発明では、位置情報により予め定められた行為の手順をユーザに提示する行為手順提示手段をさらに備え、行為判定手段は、ユーザが、行為手順提示手段によってユーザに提示された行為を正しく行ったか否かを判定する、報酬付与システムである。
【0007】
本発明においては、好ましくは、行為は、礼拝行為である。また、位置は宗教施設の位置であり、宗教施設は、寺院、神社、教会、道場、モスク、アシュラム、聖地、及び、パワースポットから選ばれる1又は複数である。
【0008】
別の本発明では、行為判定手段は、ユーザの端末にり取得される動画情報、音声情報、時間情報、角速度情報、加速度情報、及び方位情報からなる群より選ばれる1又は複数を基に、ユーザが行為を正しく行ったか否かを判定する。また、行為判定手段は、ユーザの端末により取得されるユーザの生体情報を基に、ユーザが行為を正しく行ったか否かを判定する。生体情報は、好ましくは、ユーザの心拍数、脈拍、呼吸速度、体温、発汗量、及び血圧からなる群から選択される1又は複数である。
【0009】
別の本発明では、行為判定手段が、情報を基にユーザが行った行為をスコア化し、報酬情報送信手段は、複数の報酬情報から、送信する報酬情報を前記スコアに従って選択して送信する。報酬情報は、好ましくはトークンが付与された情報である。
【0010】
さらに、本発明は、ユーザの端末の位置を確認する位置情報確認ステップと、ユーザが所定の行為を正しく行ったか否かを判定する行為判定ステップと、行為判定手段において、行為を正しく行ったと判定されたユーザの端末に対し、当該行為に対する報酬情報を送信する報酬情報送信ステップと、を含み、行為は、位置情報により予め定められた行為である、報酬付与方法を提供する。当該方法は、コンピュータが実行する方法である。
【0011】
別の本発明は、位置情報により予め定められた行為の手順をユーザに提示する行為手順提示ステップをさらに含み、行為判定手段は、ユーザが、行為手順提示手段によってユーザに提示された行為を正しく行ったか否かを判定する、報酬付与方法である。
【0012】
さらに本発明は、本発明の報酬付与方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、宗教施設毎に定められた行為の手順をユーザに提示することで、ユーザは宗教的行為に対する正しい知識を享受することができる。また、本発明では、ユーザが行為を実際に正しく行ったか否かが判定されるため、ユーザが正しい行為手順を体で覚えることを助けることができる。
【0014】
また、本発明では、正しく行為を行ったと判定されたユーザに対して報酬が付与されることで、最初は行為を正しく行えなかったユーザであっても、正しく行うまで努力する機会を提供することとなる。また、ユーザの生体情報を、行為の正否や、評価スコアに反映させることで、形式上の正しさだけでなく、宗教的行為によって得られる安らぎ等の体の変化をユーザが実感することとなり、宗教的行為の真の魅力に気付かせる機会を提供することができる。
【0015】
宗教的行為に対する報酬である報酬情報に紐付けられたトークンは、ブロックチェーン上に記録されるため、複製や改ざんが不可能な唯一無二の情報であるから、宗教施設における礼拝行為が特別なものとしてユーザに受容される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本発明の情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】行為データベースのレイアウトの一例である。
【
図4】端末の表示部に表示される表示画面の一例である。
【
図5】報酬データベースのレイアウトの一例である。
【
図6】端末の表示部に表示される表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のシステムの構成の一例を
図1に示す。本発明の一実施態様では、システムは、ユーザの端末10と、端末10とネットワーク12を介して接続された装置14から構成される。
【0018】
端末10は、ユーザの持ち運びが容易な端末であることが好ましく、具体的には、ノートパソコンやスマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等が挙げられる。ユーザ端末10は端末全体を制御する制御部16を有する。さらに、ユーザ端末は、表示部18、録音部20、撮像部22、センサ部24、時計部26、記憶部28、及び通信部30を備える。
【0019】
表示部18は、好ましくはディスプレイであり、ユーザに情報を表示する。録音部20は、好ましくはマイクロフォンであり、音声情報を記録する。撮像部22は、好ましくはカメラであり、動画又は静止画を記録する。
【0020】
センサ部24は1又は複数のセンサから構成され、センサは、位置センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、生体センサが具体的に挙げられる。
【0021】
位置センサは、好ましくはGPS受信手段であり、ユーザの端末10の位置を示す位置情報を取得する。地磁気センサは、地磁気を検知し、端末10の特定の部位が向いている方位情報を取得する。
【0022】
ジャイロセンサは端末10の角速度を検知する。加速度センサは端末10の加速度を検知する。
【0023】
生体センサとは、好ましくは、ユーザの心拍数、脈拍、呼吸速度、体温、発汗量、及び血圧を測定する、心拍数センサ、脈拍センサ、呼吸速度センサ、体温センサ、発汗量センサ、及び血圧センサである。本発明における生体情報とは、これら生体センサにより測定され得る情報である。
【0024】
心拍数センサ及び脈拍センサは、LEDやレーザ等の光を1秒当たり数百回照射し、その反射光によって血流動態の変化を分析し、心拍数や脈拍を測定することができる。また、心臓の電気信号を測定することで、心拍数や脈拍を測定する方法であっても良い。
【0025】
呼吸速度センサは、ユーザの胸郭上の測定プローブの動きを加速度センサにより測定する方法や、ユーザを撮像した動画を解析することで測定する方法があり得る。体温センサは、ユーザの体温を、例えば赤外線を用いて測定する。
【0026】
発汗量センサは、ユーザの手掌等の皮膚表面に発生する汗の量を測定する。センサに空気を送り込み、皮膚表面を通過する前後の湿度変化から発汗量を測定することができる。
【0027】
時計部26は、日時情報を取得する。記憶部28は、録音部20で記録された音声情報、撮像部22で記録された画像情報、センサ部24の測定により得られた情報等を記憶する。通信部30は、ネットワーク12を介して、装置14との通信を行い、情報の送受信を行う。
【0028】
装置14は、端末10とネットワークを介して接続可能であり、1又は複数のサーバから構成されていても良い。装置14は、少なくとも制御部32と記憶部34、及び通信部40を備える。記憶部34には、少なくとも、行為データベース(行為DB)36、報酬データベース(報酬DB)38、及びブロックチェーン台帳39が記憶される。
【0029】
行為DB36は、一例では礼拝行為DBであり、位置情報に応じて予め定められた礼拝行為の手順と、それぞれの礼拝行為の判定方法に関する情報が格納されている。装置14は、行為DB36に格納された礼拝行為の手順を端末10に送信し、端末10は表示部18においてそれをユーザに提示する。さらに、端末10は、センサ部24において取得された情報を装置14に送信する。装置14は、行為DB36における判定方法を参照し、センサ部24が取得した情報から、ユーザが、提示した手順通りに礼拝行為を行ったか否かを判定する。
【0030】
例えば、宗教施設が日本国に存在する典型的な神社であれば、礼拝行為は「2礼2拍手1礼」である。端末10の表示部18が、ユーザに対し、ユーザが位置する宗教施設での礼拝行為は「2礼2拍手1礼」であることを提示する。装置14の制御部32が、端末10から送信された情報から、行為DB36を参照し、ユーザが正しい手順で礼拝行為を行ったか否かを判定する。
【0031】
具体的には、端末10をユーザが手に持って、又は手や手首に巻き付けて礼拝行為を行った場合に、端末10にて測定された加速度情報及び/又は角速度情報から「礼」と「拍手」を行ったか否かを判定する。また、端末10が取得した音声情報や動画情報からユーザが「拍手」を行ったか否かを判定する。装置14は、ユーザが正しい順番で正しい回数の「礼」及び「拍手」を行ったか否かを判定する。
【0032】
例えば、宗教施設が日本国島根県出雲市に存在する神社であれば、礼拝行為は「2礼4拍手1礼」であるが、毎年5月の祭事時のみ「2礼8拍手1礼」となるため、時計部26で取得された日時から、正しい礼拝行為の手順をユーザに対して提示し、これを判定する。端末10で取得された加速度情報及び/又は角速度情報、音声情報や動画情報により判定が可能であり、装置14は、ユーザが正しい順番で正しい回数の「礼」及び「拍手」を行ったか否かを判定する。
【0033】
例えば、宗教施設が薬師如来を祀った寺院であれば、礼拝行為は「オンコロコロセンダリマトウギソワカ」との真言を唱えることであり、ユーザが正しい手順で礼拝行為を行ったか否かは端末10で取得された音声から判定が可能である。装置14は、音声認識手段を備えており、端末10で録音された音声の音声認識処理を行い、音声を文字列に変換することで、ユーザが真言を正しく唱えたか否かを判定する。
【0034】
例えば、宗教施設がヒンドゥ教のシヴァ神を祀った寺院であれば、礼拝行為は「オーム・ナマ・シヴァーヤ」とのマントラを唱えることであり、ユーザが正しい手順で礼拝行為を行ったか否かは端末10で取得された音声から判定が可能である。装置14は、音声認識手段を備えており、端末10で録音された音声の音声認識処理を行い、音声を文字列に変換することで、ユーザがマントラを正しく唱えたか否かを判定する。
【0035】
例えば、宗教施設がモスクである場合には、1日5回、すなわち、夜明け前、正午過ぎ、午後、日没、及び夜に、サウジアラビア王国メッカのカアバ神殿の方向、すなわちキブラに対して礼拝を行う。まず、意思表明を行った後、直立の姿勢でタクビール、すなわち「アッラーフ・アクバル」と唱えながら両手を耳の位置まで上げ、その後、両手をへその高さで重ねる。クルアーンの節等、必要な言葉を唱えた後で、タクビールを唱えながら立礼する。
【0036】
さらに、膝を床につけ、キブラに向けて両手をつき、鼻、額を床につけサジダという姿勢を取り、状態をお越し、座位に戻ることを2回繰り返す。この一連の礼拝動作はラカートと呼称されるが、ラカートを必要な回数だけ繰り返し、アッタヒヤートを唱え、左右方向に「アッサラーム・アライクム・ワラフマトゥッラー」と唱えて礼拝が終了する。
【0037】
このような一連の行為をユーザが正しい手順で行ったか否かは、端末10の時計部26から得られた時間情報、端末10のセンサ部24のうち、地磁気センサから得られた方位情報、加速度情報及び/又は角速度情報、音声情報や動画情報によって判定することができる。
【0038】
また、ユーザが礼拝行為を正しい手順で行った否かは、端末10のセンサ部24を構成する生体センサにおいて測定された生体情報を用いることができる。礼拝行為の前後で、ユーザの心拍数、脈拍、呼吸速度、体温、発汗量、及び血圧からなる群から選ばれる一又は複数に変化が生じたか否かを、判定に用いることができる。例えば、心拍数や脈拍が、行為後に遅くなった場合には、ユーザが行為によってリラックスしたことを示すことから、正しい礼拝行為であったことが推認される。
【0039】
判定においては、端末10で取得された情報が装置14に送信され、装置14が受信したこれら情報に基づいて、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン等の機械学習モデルに従って、ユーザが正しく礼拝行為をしたか否かの正否を判定することができる。ユーザの習熟度に応じた判定を行うため、正否判定の閾値をユーザの習熟度に応じて変更してもよい。機械学習モデルは、装置14の記憶部34にて記憶される。
【0040】
制御部32は、ユーザが礼拝行為を正しい手順で行ったと判定された場合に、報酬情報を端末に送信する。ここで、報酬情報とは、具体的には二次元画像、三次元画像、動画や音声等の情報であり、報酬データベース(報酬DB)38に格納される。各報酬情報には、レア度、すなわち希少度を示す情報が紐付けられる。制御部14は、報酬DB38から送信すべき報酬情報をランダムに選択しても良いが、レア度に応じて確率を変動させてもよい。すなわち、レア度が高い報酬情報が選択される確率は低く設定され、レア度が低い報酬情報が選択される確率は高く設定される。
【0041】
制御部32は、端末10において取得された情報を基に、いずれの報酬情報を送信するかを選択することができる。また、端末10で取得された情報から、ユーザの礼拝行為をスコア化しても良い。ユーザ端末で取得された情報と、予め定められた理想的な礼拝行為において取得され得る情報との類似度を算出することで、スコア化することが可能である。
【0042】
情報のスコア化によって、より正確に礼拝行為を行った場合や、よりリラックスした生体情報が得られた場合等、高いスコアが得られたユーザに対しては、レア度が高い報酬情報を送信する。その一方で、礼拝行為の正確性が低い場合や、ユーザの生体情報の変化が少ない場合等、低いスコアが得られたユーザに対しては、レア度が低い報酬情報を送信する。ユーザは、レア度が高い報酬情報を得るために、理想的な礼拝方法を目指して努力するため、ユーザに努力する機会を提供することができる。
【0043】
端末10に送信される報酬情報は予めトークンによって紐付けられ、ユーザが礼拝行為を行った宗教施設の名称及び場所、ユーザが行った礼拝行為の内容、礼拝行為を行った日時等の情報がブロックチェーン上に記録される。トークンは、証明書トークンとも呼称され、代替不可能トークン(ノンファンジブルトークン、NFT)であることが好ましい。
【0044】
また、報酬情報は、端末10への送信後の取引情報は全てハッシュ値としてブロックチェーン上に記録される。報酬情報がトークンによって紐付けられたことで、情報の不正な複製や改竄ができず、ユーザ間での取引が可能となり、購入したいユーザは安心して購入することができる。
【実施例0045】
実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0046】
本実施例のシステムを構成する端末10及び装置14の情報処理の一例を示すフローチャートを
図2に示す。以下、具体的な情報処理の流れを説明する。
【0047】
ユーザが、端末10を携帯し、宗教施設であるC寺院に来場した。端末10はセンサ部24の位置センサがGPS座標を取得し、ネットワーク12を介して装置14に送信し、装置14は端末10のGPS座標を受信する(位置情報確認手段/位置情報確認ステップ)。
【0048】
本発明の別態様として、位置情報確認手段は、ユーザが宗教施設に設置されたマトリックス型二次元コード等のコードを、ユーザ端末の撮像手段により読み取ることで、装置がユーザ端末の位置情報を特定する手段であってもよい。
【0049】
図3は、装置14の記憶部34に記憶された礼拝行為データベース36のレイアウトの一例であり、施設ID、施設名、GPS座標、宗教名・宗派名、礼拝行為の手順、及び判定方法の項目を有する。装置14は、端末10から受信したGPS座標から、ユーザが、C寺院(施設ID003)にいると特定し、端末10にC寺院(施設ID003)の宗教名・宗派名に関する情報、及び礼拝行為の手順に関する情報を、ネットワーク12を介して送信する。
【0050】
端末10は、装置14から送信された宗教名・宗派名に関する情報、及び礼拝行為の手順に関する情報を受信し、表示部18にC寺院の宗教名・宗派名に関する情報、及び礼拝行為の手順に関する情報を表示する。
図4は、表示部18の表示の一例である。C寺院の宗教・宗派や祀られている本尊等の基礎情報と、C寺院において予め定められた礼拝行為の手順が表示され、ユーザに対して提示される(行為手順提示手段/行為手順提示ステップ)。
【0051】
C寺院において定められた礼拝方法は、手を合わせながら真言を唱えることであるが、端末10において取得された加速度情報及び/又は角速度情報、並びに音声情報から判定が可能である。端末10において、手を合わせる際の加速度情報及び/又は角速度情報を取得するために、ユーザに対し、端末10を手に持ちながら手を合わせることを指示する。また、同時に、端末10は生体センサにより、ユーザの生体情報を取得する。
【0052】
表示部18には、開始ボタン42が表示されており、ユーザが礼拝行為の手順を理解した後に開始ボタン42をタッチ操作すると、端末10のセンサ部24のセンサが起動し、判定に必要な情報の取得が開始される。端末10は、C寺院において定められた礼拝行為の判定方法に基づいて、加速度情報及び/又は角速度情報、並びに音声情報と、生体情報、具体的には心拍数及び脈拍数を取得する。
【0053】
端末10は、取得した情報を装置14に送信し、装置14は取得した情報を受信する。装置14は、受信した情報を基に、判定方法は行為DB36の判定方法の項目の記載に従って、ユーザが礼拝行為を手順通りに正しく行ったか否かを判定する。装置14は、加速度情報及び/又は角度速度情報から、ユーザが両手を合わせたことと、音声情報の音声認識処理を行って、音声を文字列に変換し、ユーザが「オンコロコロセンダリマトウギソワカ」と正しく唱えたかを判定する。
【0054】
また、装置14は、生体情報から、ユーザが礼拝後にリラックスした状態となったかどうかを判定する。さらに、装置14は、これらの情報を統合し、ユーザの礼拝行為を総合的に評価するスコアを算出する。本実施例でのユーザの礼拝行為は正しく行われ、そのスコアは85点と算出された(行為判定手段/行為判定ステップ)。
【0055】
装置14は、これらの判定結果を統合して、スコアを算出する。
図5は、装置14の記憶部34に記憶されている報酬DB38の一例であり、報酬ID、報酬名、ファイル名、宗教名・宗派名、レア度、スコア別選択率の項目を有する。スコア別選択率は、スコアが60点以上80点未満だった場合、スコアが80点以上90点未満だった場合、90点以上だった場合のそれぞれの報酬の選択率が記載されている。
【0056】
装置14は、ユーザの礼拝行為のスコアを基に、端末に送信する報酬情報を選択する。選択される報酬情報は、宗教名・宗派名が関連付けられており、ユーザが礼拝行為を行った施設と同じ宗教名・宗派名の報酬情報の中から、スコア別に設定された選択率を基に、報酬情報が選択される。本実施例では、ユーザは、仏教・△△宗の施設にて85点の礼拝行為を行ったため、60%の確率であった三鈷杵(報酬ID002)が選択された。
【0057】
装置14は、三鈷杵(報酬ID002)に関する情報を、端末10に送信する。端末10は、報酬情報44を受信し、表示部にスコアと共に表示する。
図6は、受信した報酬情報44を表示する表示部18の一例である。報酬情報44には、代替不可能なトークンが付与されており、ユーザが取得した位置や日時、礼拝行為のスコア等の取引情報は装置14の記憶部34に備えられたブロックチェーン台帳39に記録される(報酬情報送信手段/報酬情報送信ステップ)。
【0058】
本発明の別態様では、端末毎に報酬情報の所定期間内の送信回数の上限値が予め設定され、所定期間内の送信回数が上限に達した端末に対しては報酬情報が送信されない、送信回数制限手段を備える。報酬情報の価値を高めることで、礼拝行為の特別性をユーザに受容させるためである。
【0059】
具体的には、装置14の記憶部34に記憶された行為DB36に、行為毎に所定期間の報酬情報送信回数の上限値が格納される。記憶部34には端末10毎に報酬情報の送信回数が記憶される。制御部32は、端末10の所定期間における報酬情報の送信回数が上限値に達したか否かを判定し、送信回数が上限に達していない場合には、報酬情報を送信し、送信回数が上限に達した場合には、報酬情報を送信しない(送信回数制限手段/送信回数制限ステップ)。