(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002167
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
A61H7/00 323K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103224
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河上 亮
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 史郎
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD16
4C100AD22
4C100AE01
4C100AF17
4C100BA02
4C100BA04
4C100BA09
4C100BB04
4C100CA03
4C100DA05
(57)【要約】
【課題】使用者がマッサージユニットの移動用の開口からマッサージ機内部の機器に触れることを防ぐ機構を備えたマッサージ機を提供する。
【解決手段】使用者の身体を支持する身体支持部と、前記身体支持部の外部に位置し、使用者を施療するマッサージユニットと、前記マッサージユニットを支持する支持部と、前記身体支持部内において、前記支持部を使用者の身体の長手方向に移動可能な駆動部と、を有し、前記身体支持部の側面又は背面において、使用者の身体の長手方向に長寸の開口部を有し、前記開口部には、前記開口部を塞ぐシャッター部が設けられ、前記支持部は、前記シャッター部を囲う包囲部を有し、前記支持部の移動において、前記シャッター部は、前記包囲部の移動を妨げないように構成されていることを特徴とするマッサージ機。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体を支持する身体支持部と、
前記身体支持部の外部に位置し、使用者を施療するマッサージユニットと、
前記マッサージユニットを支持する支持部と、
前記身体支持部内において、前記支持部を使用者の身体の長手方向に移動可能な駆動部と、を有し、
前記身体支持部の側面又は背面において、使用者の身体の長手方向に長寸の開口部を有し、
前記開口部には、前記開口部を塞ぐシャッター部が設けられ、
前記支持部は、前記シャッター部を囲う包囲部を有し、
前記支持部の移動において、前記シャッター部は、前記包囲部の移動を妨げないように構成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
使用者の身体を支持する身体支持部と、
前記身体支持部の外部に位置し、使用者を施療するマッサージユニットと、
前記マッサージユニットを支持する支持部と、
前記身体支持部内において、前記支持部を使用者の身体の長手方向に移動可能な駆動部と、を有し、
前記身体支持部の側面又は背面において、使用者の身体の長手方向に長寸の開口部を有し、
前記支持部は、前記開口部を塞ぐシャッター部を有し、
前記身体支持部は、該シャッター部を開口部に沿わせるようにガイドするガイド部を有し、
前記シャッター部は、前記支持部の移動に伴い、ガイド部に沿って移動することを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
前記シャッター部は、硬い材質で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記シャッター部は、使用者の身体の長手方向において一方側に設けられた第一シャッター部と、他方側に設けられた第二シャッター部と、を有することを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記マッサージユニットは、使用者の肩を挟み揉みすることが可能な施療部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記施療部は、前記身体支持部より前方に位置するよう設けられていることを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記開口部の長手方向の長さは、前記支持部の最大移動可能範囲よりも長いことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のマッサージ機
【請求項8】
前記支持部と前記開口部との間に物体が挟み込まれたことを検出可能な挟み込みセンサをさらに有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記支持部の最大移動可能範囲を検出するリミットセンサをさらに有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背凭れ部に沿って移動するマッサージユニットにおいて、背凭れ部の長孔から施療子を突出させるマッサージ機が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたマッサージ機は、使用者が長孔に手や指を挿入することで、マッサージ器内部の機器に触れてしまうというという問題がある。そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、使用者がマッサージユニットの移動用の開口からマッサージ機内部の機器に触れることを防ぐことができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、使用者の身体を支持する身体支持部と、前記身体支持部の外部に位置し、使用者を施療するマッサージユニットと、前記マッサージユニットを支持する支持部と、前記身体支持部内において、前記支持部を使用者の身体の長手方向に移動可能な駆動部と、を有し、前記身体支持部の側面又は背面において、使用者の身体の長手方向に長寸の開口部を有し、前記開口部には、前記開口部を塞ぐシャッター部が設けられ、前記支持部は、前記シャッター部を囲う包囲部を有し、前記支持部の移動において、前記シャッター部は、前記包囲部の移動を妨げないように構成されていることを特徴とするマッサージ機。
このように構成することで、開口部をシャッター部で塞ぎつつ、包囲部によってシャッター部に妨げられずマッサージユニットの移動を行うことができる。
【0006】
本発明は、使用者の身体を支持する身体支持部と、前記身体支持部の外部に位置し、使用者を施療するマッサージユニットと、前記マッサージユニットを支持する支持部と、前記身体支持部内において、前記支持部を使用者の身体の長手方向に移動可能な駆動部と、を有し、前記身体支持部の側面又は背面において、使用者の身体の長手方向に長寸の開口部を有し、前記支持部は、前記開口部を塞ぐシャッター部を有し、前記身体支持部は、該シャッター部を開口部に沿わせるようにガイドするガイド部を有し、前記シャッター部は、前記支持部の移動に伴い、ガイド部に沿って移動することを特徴とするマッサージ機。
このように構成することで、開口部をシャッター部で塞ぎつつ、シャッター部に妨げられずマッサージユニットの移動を行うことができる。
【0007】
また、前記シャッター部は、硬い材質で構成されていることが好ましい。
このように構成することで、開口部に指や手をより入りにくくすることができる。
【0008】
また、前記シャッター部は、使用者の身体の長手方向において一方側に設けられた第一シャッター部と、他方側に設けられた第二シャッター部と、を有することが好ましい。
このように構成することで、マッサージユニットの移動に伴って、第一シャッター部と第二シャッター部で開口部を塞ぐことができる。
【0009】
また、前記マッサージユニットは、使用者の肩を挟み揉みすることが可能な施療部を有することが好ましい。
このように構成することで、使用者の肩を挟み揉みすることができる。
【0010】
また、前記施療部は、前記身体支持部より前方に位置するよう設けられていることが好ましい。
このように構成することで、身体支持部より前方から使用者をマッサージすることができる。
【0011】
また、前記開口部の長手方向の長さは、前記支持部の最大移動可能範囲よりも長いことが好ましい。
このように構成することで、開口部と支持部の間に使用者の指や手が挟まることを防ぐことができる。
【0012】
また、前記支持部と前記開口部との間に物体が挟み込まれたことを検出可能な挟み込みセンサをさらに有することが好ましい。
このように構成することで、支持部と開口部に物を挟んでしまった場合も検出することができる。
【0013】
また、前記支持部の最大移動可能範囲を検出するリミットセンサをさらに有することが好ましい。
このように構成することで、支持部が最大移動可能範囲を越えて移動しようとすることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、使用者がマッサージユニットの移動用の開口からマッサージ機内部の機器に触れることを防ぐ機構を備えたマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマッサージ機のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の姿勢を説明する側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の背もたれ部の正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の背もたれ部の右側面図であり、(a)は外側から見た時の図であり、(b)は内側から見た時の図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の背もたれ部の右側壁部の上から見た図であり、(a)は
図4のA-A断面図であり、(b)はその斜視図である。なお、(b)の側壁部3bは省略している。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る本発明の一実施形態に係るマッサージ機の背もたれ部の右側壁部の正面図であり、(a)はマッサージユニットの上限位置での図であり、(b)はマッサージユニットを下降させた時の図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るマッサージ機の背もたれ部において、(a)は内側から見た時の右側面図であり、(b)はB-B断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態2に係るマッサージ機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[一実施形態に係るマッサージ機の構成]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の正面斜視図である。
図2は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1のブロック図である。
図3は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の姿勢を説明する側面図である。
なお、方向の概念は、マッサージ機1に着座した使用者から見て、身長方向における頭部側を「上」、身長方向における腰側を「下」、身体の表側(例えば、顔、胸、腹又はすね側)を向く方向を「表」、身体の裏側(例えば、後頭部、背中、腰又はふくらはぎ側)を向く方向を「裏」、左手側を「左」、右手側を「右」と規定し、その他の場合は適宜説明するものとする。
【0017】
[マッサージ機の全体構成]
図1~
図3に示すとおり、本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部2と、座部2の後部にリクライニング可能に設けられた使用者が凭れる背凭れ部3と、座部2の前部に上下揺動可能に設けられた使用者の下肢を支持するフットレスト4と、座部2の左右両側には肘掛け部5と、を有している。座部2、背凭れ部3、フットレスト4、肘掛け部5は、使用者の身体を支持する身体支持部として機能する。身体支持部2~5の各所には、使用者の身体に対してマッサージを行う後述するエアセル20や後述するバイブレータ21によるマッサージ部15が設けられている。また、マッサージ機1は、背凭れ部3の前面に設けられた使用者の肩を挟み揉みするマッサージ部15としてのマッサージユニット8と、マッサージ機1の各動作を制御する制御部9と、後述する使用者に各種操作を行わせる操作器であるコントローラ10と、を有している。また、背凭れ部3の上部前面に使用者の頭及び/又は首を支持する枕部(図示せず)を設けてもよい。
【0018】
図2、3に示すとおり、背凭れ部3は、座部2の下方に設けられた第一アクチュエータ31により、座部2に対して前後にリクライニング可能に構成されており、
図1に示す起立姿勢から背凭れ面が略水平となるリクライニング姿勢まで変更可能となっている。なお、肘掛け部5は背凭れ部3のリクライニングに連動して移動するように構成してもよい。フットレスト4は、座部2の下方に設けられた第二アクチュエータ41により、座部2に対して上下に揺動可能に構成されており、フットレスト4を垂下させた状態の垂下姿勢から膝を伸ばした状態で下腿及び足部が支持される上昇姿勢まで変更可能となっている。なお、背凭れ部3とフットレスト4を連動させて、一つのアクチュエータで背凭れ部3のリクライニングとフットレスト4の揺動を実現しても良い。
【0019】
図1に示すとおり、座部2の左右両側には、使用者の臀部及び/又は大腿部の外側面に対向して設けられた壁部22が設けられている。この壁部22は、座部の側方において上方へ立設されている。そして、壁部22の内側面には、臀部及び/又は大腿部の外側面をマッサージする臀部マッサージ部a3が設けられている。座部2の左右両側の肘掛け部5の内側壁を壁部22として利用してもよく、その場合は臀部マッサージ部a3を肘掛け部5の内側壁に設ければよい。また、座部2には、使用者の臀部及び/又は大腿部を下方(裏面)からマッサージする臀部マッサージ部a4が設けられている。臀部マッサージ部a3、a4は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、臀部マッサージ部a3、臀部マッサージ部a4はそれぞれ左右で対をなしている。なお、制御部9により左右独立して制御することができる。
【0020】
図1、2に示すとおり、座部2の下方には、エアセル20よりなる各マッサージ部a1~a5に対してエアを給排気するポンプ13a及びバルブ13bを有する給排気装置13と、前述した制御部9と、が設けられている。各マッサージ部a1~a5と同じ場所にモータにより駆動されるバイブレータ21を設けてもよい。エアセル20は、エアを給排気することで使用者を押圧することができる。バイブレータ21は、偏心分銅が回転することで使用者に振動を与えることができる。制御部9は、プログラマブルなマイコン等を有しており、各アクチュエータ31,41、マッサージユニット8、及び給排気装置13を駆動制御する。制御部9には、コントローラ10や記憶部50が電気的に接続されている。マッサージ機1は、記憶部50に記憶された予め設定されたプログラム(マッサージコース)に従って動作する他、使用者によるコントローラ10からの指示に従って動作する。なお、制御部9には、複数種類のマッサージコースが記憶されていることが好ましい。
図1、2に示すように、コントローラ10には、マッサージコースを選択又は実行するボタン等よりなる操作部が設けられている。
【0021】
[肘掛け部の構成]
図1に示すとおり、座部2の左右両側には、使用者の手先と前腕を支持する肘掛け部5が設けられている。なお、肘掛け部5に使用者の腕をマッサージするマッサージ部15を設ける構成としても良い。
【0022】
[フットレストの構成]
図1、
図3に示すとおり、フットレスト4は、使用者の下腿を支持する左右一対の脚支持部40を有している。脚支持部40は、使用者の下腿の背面に対向して設けられた底壁40aと、底壁40aの左右両端から前方に向かって立設された側壁40bと、底壁40aの左右中央から前方に向かって立設された中央壁40cと、を有している。
【0023】
側壁40bの内側面には、下腿の外側面をマッサージする脚マッサージ部a1が設けられている。中央壁40cの両外側面には、下腿の内側面をマッサージする脚マッサージ部a1が設けられている。また、底壁40aには、使用者の下腿の背面からマッサージする脚マッサージ部a2が設けられている。脚マッサージ部a1,a2は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。脚マッサージ部a1は、下腿の内側面に対向する脚マッサージ部a1と、下腿の外側面に対向する脚マッサージ部a1、により左右で対をなしている。脚マッサージ部a2は、中央壁40cを挟んで左側の下腿の背面に対向する脚マッサージ部a2と、中央壁40cを挟んで右側の下腿の背面に対向する脚マッサージ部a2と、により左右で対をなしている。脚マッサージ部a1及び脚マッサージ部a2は、制御部9により、それぞれ左右独立して制御することができる。
【0024】
[コントローラの構成]
図1、
図2に示すとおり、肘掛け部5には有線で接続されたコントローラ10が備えられており、使用者が着座した状態で操作することができる。このコントローラ10は、使用者が目視で確認できる画面10aと、使用者が画面10a上を指先操作するタッチパネル10b、使用者が押すことで操作する物理ボタン31、マイク(図示せず)を使った使用者の音声を認識して操作する音声認識部32を有している。コントローラ10を操作することにより、背凭れ部3をリクライニングさせて姿勢を変更することができ、フットレスト4を上下に揺動させて姿勢を変更することができる。また、動作させるマッサージユニット8、各マッサージ部a1~a5を選択したり、マッサージユニット8、各マッサージ部a1~a5の動作(手技又は強さ等)を変更したりすることもできる。コントローラ10の画面10a上に選択部(図示せず)を表示させて、タッチパネル10bによる操作によって、使用者は予め設定されたプログラムに基づくマッサージコースを選択することができる。なお、コントローラ10は無線で接続されていても良い。
【0025】
タッチパネル10bによる操作の代わりに、物理ボタン31のみやコントローラ10内に設置されたマイクを使った音声認識部32による操作のみであってもよい。このようにすることで、使用者は容易にマッサージコースの選択を行うことができる。
【0026】
また、コントローラ10は、報知部33を有している。報知部33は、上述した画面10aでもいいし、コントローラ10内に設置されたスピーカ(図示せず)やLEDランプ(図示せず)などであってもよい。画面10aに、文字や図形を表示させることで使用者にマッサージ機1やマッサージコースに関するアナウンスを行うことができる。なお、報知部33は、コントローラ10に設けられている必要はなく、使用者に報知させることができる構成であればよい。例えば、マッサージ機1の内部に設けられていても良い。
【0027】
[背凭れ部の構成]
図4は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の背もたれ部3の正面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の背もたれ部3の右側面図であり、(a)は外側から見た時の図であり、(b)は内側から見た時の図である。
図6は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の背もたれ部3の右側壁部の上から見た図であり、(a)は
図4のA-A断面図であり、(b)はその斜視図である。
図1、
図4~
図6に示すとおり、背凭れ部3は、硬質の背フレーム3aと、背フレーム3aの左右にそれぞれ立設された側壁部3bと、側壁部3bと、マッサージ部15であるマッサージユニット8の昇降をガイドするように側壁部3bの左右にそれぞれ使用者の身長方向に沿うように長寸の開口部3cと、背フレーム3aを被覆するカバー部材3eと、により構成されている。背フレーム3aは、金属部材及び/又は樹脂部材により構成されている。
【0028】
また、
図1、
図2に示すとおり、背凭れ部3の使用者の背中に対向する面には、使用者の腰をマッサージする腰部マッサージ部a5が設けられている。腰部マッサージ部a5は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。腰部マッサージ部a5は使用者の腰を左右からマッサージするために左右で対をなしている。なお、制御部9により左右独立して制御することができる。
【0029】
[マッサージユニットの構成]
以下、マッサージユニット8の構成について説明する。
図1、
図2、
図4~
図6に示すとおり、背凭れ部3には、背凭れ部3の外部に位置し、使用者の肩を前方又及び後方からマッサージするマッサージユニット8が設けられている。このマッサージユニット8は、左右で対をなして設けられ、開口部3cを通り、背凭れ部3を内通する支持部80で支持されている。マッサージユニット8は、支持部80と接続された基部81を有する。基部81は、使用者の肩を施療するように背凭れ部3の前方に突出する本体ユニット82を支持している。本体ユニット82は、使用者の肩を挟むために前後で対をなす施療子84を有し、使用者の肩を前方から押圧する施療子84aと、使用者の肩を後方から押圧する施療子84bが設けられている。施療子84a及び施療子84bにより、使用者の肩を前後及び上方から挟み揉みすることができる。施療子84aは人間の人差し指から小指を模した構造をしており、施療子84bは人間の親指を模した構造をしている。本実施形態では施療子84aを二つ、施療子84bを一つ設けているが、これに限らない。また、施療子84による挟み揉み以外のマッサージでも良く、例えば、エアセルによる押圧マッサージやローラーによるローリングでも良い。
【0030】
左右のマッサージユニット8は、それぞれ施療子84a、84bを動作させるマッサージモータM1を有し、マッサージモータM1の駆動により前後の施療子84a、84bが近接離反する挟み揉み動作を行わせることができる。また、
図2、4に示す通り、マッサージユニット8は、背凭れ部3の内部に設けられた昇降モータM2の駆動により、背凭れ部3の内部で身長方向に延びるねじ棒85を正転及び反転させることで、支持部80を身長方向に沿って上方又は下方へ移動させることができる。これにより、身体に対するマッサージユニット8の位置を変更したり、施療子84a及び施療子84bにより使用者の肩を挟みながら昇降することで引っ張りマッサージや押圧マッサージを行わせることができる。背もたれ部3の左右の側壁部3bには、それぞれ使用者の身長方向に沿うように長寸の開口部3cが設けられており、マッサージユニット8の支持部80は、開口部3c内を身長方向に沿って移動する。マッサージユニット8が身長方向に移動可能であるため、使用者の肩位置に合わせてマッサージすることができる。なお、本実施形態では、ねじ棒85で左右のマッサージユニット8を一体に移動させているが、左右一対にねじ棒85と昇降モータM2を設け、左右独立してマッサージユニット8を移動できるようにしてもよい。このようにすることで、使用者の左右それぞれの肩位置に合わせてマッサージユニット8の位置を調整することができる。
【0031】
昇降モータM2は、モータへの負荷を検出するセンサ70を有している。昇降モータM2により、ねじ棒85が回転することで支持部80及び支持部80に設けられたマッサージユニット8を身長方向に下降させる。マッサージユニット8の施療子84が使用者の肩に接触すると、それによって昇降モータM2に掛かる負荷をセンサ70が検出し、マッサージユニット8の昇降を停止させる。これにより、使用者の肩位置を検出することが可能になる。
【0032】
また、
図4に示す通り、マッサージユニット8は、支持部80の後述する包囲部87の下端に挟み込みセンサ71を有する。挟み込みセンサ71は、支持部80の下側と開口部3cとの間に物が挟み込まれた際にかかる圧力を検出し、物が挟み込まれたことを検出する。挟み込みを検出すると、マッサージユニット8の昇降を停止させる。また、マッサージユニット8の昇降を停止させた後に、制御部9が昇降モータM2を逆回転させるよう制御してもよい。このようにすることで、支持部80と開口部3cとの間に挟み込まれた物が取りやすくなる。なお、支持部80の包囲部87の上端側にも挟み込みセンサ71を設けても良い。このようにすることで、支持部80の上側と開口部3cとの間に物が挟み込まれたことも検出することができる。
【0033】
また、
図4に示す通り、支持部80は、支持部80とねじ棒85の交差する場所に、支持部80の最大移動可能範囲を検出する昇降リミットセンサ72を有する。昇降リミットセンサ72はホールICであり、背フレーム3aには、ねじ棒85の近傍かつ支持部80の移動可能な上限位置及び下限位置において、それぞれ磁石74が設けられている。昇降リミットセンサ72は、支持部80が移動可能な上限位置又は下限位置に到達した場合、上限位置又は下限位置に設けられた磁石74により、ホールICである昇降リミットセンサ72がONとなることで、上限位置又は下限位置に到達したことを検出する。昇降リミットセンサ72の検出に基づいて、昇降モータM2の動作を停止させる。なお、本実施形態では、支持部80に昇降リミットセンサ72を設けたが、これに限らず、昇降モータM2の回転数から位置を検出したり、マッサージユニット8にホールIC等を設けて位置を検出するようにしても良い。
【0034】
また、マッサージユニット8には使用者の各身体部位に対する身体の硬さを直接的又は間接的に検出する硬さセンサ73が設けられている。硬さセンサ73は、マッサージモータM1の回転速度を検出することで身体の硬さを間接的に検出する。使用者の身体の硬さが、マッサージモータM1の回転速度の変化となって現れる。すなわち、マッサージモータM1の回転により使用者の肩に対して前後の施療子84a、84bが挟み揉み動作を行う時に、マッサージモータM1の回転速度が目標回転速度と一致するように制御するが、身体の硬さが硬い部位においてはマッサージモータM1の回転速度は目標回転速度とならず、目標回転速度より遅くなる。マッサージモータM1の回転速度が目標回転速度と一致すれば、身体の硬さにおいて所定値の硬さとみなすが、マッサージモータM1の回転速度が目標回転速度以下になれば、身体の硬さにおいて所定値以上の身体の硬さとなる。従って、回転速度の変化から身体の硬さを検出することができる。なお、身体の硬さに合わせて、制御部9がマッサージユニット8の挟み揉みの強さを調整するようにしても良い。このように構成することで、使用者の肩に過度な刺激を与えたり、刺激が弱すぎたりすることなくマッサージすることができる。
【0035】
[開口部の構成]
図3~6に示す通り、左右の側壁部3bにそれぞれ設けられた開口部3cは、背凭れ部3の内側から帯状のシャッター部90によって開口を塞がれている。なお、シャッター部90の短寸部及び長寸部のぞれぞれの長さは、開口部3cの短寸部及び長寸部のそれぞれの長さより長く構成されていることが好ましい。シャッター部90は、布などの柔軟性を有した材質で構成される袋状の外側シャッター部91と、外側シャッター部91に覆われるように設けられた金属部材又は樹脂部材などの硬い材質で構成される内側シャッター部92と、を有し、マッサージ機1の内側において側壁部3bにねじ等の固定部88で固定されている。内側シャッター部92は、外側シャッター部91の内部に左右中央の位置に設けられている。また、内側シャッター部92の左右両端と開口部3cとの間には、少なくとも後述の包囲壁部87bが移動可能であり、使用者の手又は指が挿入できない大きさの隙間部3dが設けられている。このようにすることで、内側シャッター部92によって、使用者の手や指がマッサージ機1の内部に挿入され、内部の基板や配線、機械等に触わってしまうことを防ぐことができるとともに、マッサージユニット8の移動が可能となる。さらに、外側シャッター部91が開口部3c及び隙間部3dを塞ぐことによって、外観上での開口部3c及び隙間部3dを隠すことができ、開口部3cからマッサージ機1内にほこり等が入ることを防ぐことができる。なお、本実施形態では、開口部3cは、背凭れ部3の背面に設けられていても良い。この場合、基部81が背凭れ部3の背面から側面又は上面を通って、前方に突出している本体ユニット82を支持することになる。このように構成することで、マッサージ機1の横幅を小さくすることができる。なお、外側シャッター部91を袋状とし、内側シャッター部92をその内側に設けたが、これに限らず、帯状の外側シャッター部91と内側シャッター部92を重ねて設けたり、内側シャッター部92の左右に外側シャッター部91を設けるようにしても良い。
【0036】
開口部3cを通り、背凭れ部3を内通するマッサージユニット8の支持部80は、シャッター部90を囲う包囲部87を有している。
図6に示す通り、包囲部87は、背凭れ部3の内側に設けられ支持部80と接続された包囲支持部87aと、包囲支持部87aの前後にそれぞれマッサージ機1の内部から外部に向けて立設した包囲壁部87bと、を有し、前後それぞれの包囲壁部87bは、基部81である包囲基部87cに接続される。このようにすることで、包囲支持部87aと、前後の包囲壁部87bによってコの字型を形成し、包囲基部87cと組み合わせることによりロの字型を形成して、
図6(b)に示す通り、シャッター部90を包囲することができる。マッサージユニット8が昇降するとき、シャッター部90は、包囲部87によって包囲されている内側を通るので、支持部80の昇降において、シャッター部90が昇降の障害となることがない。
【0037】
また、開口部3cや包囲部87の前後方向寸法より、外側シャッター部91の前後方向寸法が大きくなるようにしてもよい。外側シャッター部91は、柔軟性を有した材質で構成されているため、包囲部87より前後方向寸法が大きかった場合でも、包囲部87の内側方向に外側シャッター部91が変形することによって、包囲部87で包囲することができる。このようにすることで、外側シャッター部91が昇降の障害となることがないので、外側シャッター部91を大きめにすることで、より確実に開口部3cを塞ぐことができる。また、内側シャッター部92を用いない構成としても良い。この場合は、外側シャッター部91を硬く張ることで、開口部3cへの使用者の手や指の挿入を防ぐことができる。
【0038】
マッサージユニット8が下方側に最大に移動したとき、つまり昇降リミットセンサ72により支持部80が移動可能な下限位置まで移動したときに、開口部3cの下端の位置は支持部80の下限位置よりも下方に位置している。同様にマッサージユニット8が上方側に最大に移動したとき、つまり昇降リミットセンサ72により支持部80が移動可能な上限位置まで移動したときに、開口部3cの上端の位置は支持部80の上限位置よりも上方に位置している。従って、開口部3cの長手方向の長さは、支持部80の最大移動可能範囲よりも長く構成されている。
このようにすることで、マッサージユニット8が移動しているときに、使用者が支持部80と開口部3cとの間に手や指を置いていたとしても、支持部80は開口部3cの上端及び下端までは移動しないため、手や指がマッサージユニット8の支持部80と開口部3cとの間に挟まれることがない。
【0039】
[他の実施形態]
図7は、本発明の他の実施形態に係る本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の背もたれ部3の右側壁部3bの正面図であり、(a)はマッサージユニット8の上限位置での図であり、(b)はマッサージユニット8を下降させた時の図である。
図8は、本発明の他の実施形態に係るマッサージ機1の背もたれ部3において(a)は内側から見た時の右側面図であり、(b)はB-B断面図である。
図7、8に示す通り、支持部80には、樹脂などの弾性変形可能な材質で構成されたシャッター部93が背もたれ部3の内側から開口部3cを塞ぐように、支持部80の近傍でねじ等によりシャッター取付部94に取り付けられている。シャッター部93は、支持部80から上方向に延出する第一シャッター部93aと、下方向に延出する第二シャッター部93bと、を有しており、第一シャッター部93a及び第二シャッター部93bの長手方向の長さは少なくともそれぞれが開口部3cを塞ぐことができる長さである。また、第一シャッター部93a及び第二シャッター部93bは、背凭れ部3の内部において、側壁部3bの内側面に沿うように配置されている。
【0040】
具体的には、開口部3cの左右両側には、シャッター部93をガイドするガイドレールであるガイド部95を有している。
図8(b)に示す通り、ガイド部95は、コの字型であり、前後方向においてコの字の開口が向かい合うように設けられている。このように構成することで、前後に向かい合うガイド部95の間を、シャッター部93が移動することができる。
昇降モータM2の駆動により、支持部80が身長方向に沿って上方又は下方へ移動するとき、第一シャッター部93a及び第二シャッター部93bがともに上方又は下方へ移動する。このとき、第一シャッター部93a及び第二シャッター部93bがガイド部95にガイドされることで開口部3cに沿うように移動するため、開口部3cの開口を塞ぐことができる。また、シャッター部93をガイド部95が開口部3cに沿うようにガイドすることで、シャッター部93を柔らかい材質で構成した場合でも、シャッター部93が弛むことなく開口部3cを塞ぐことができる。
具体的には、
図7に示す通り、支持部80が下方に移動するとき、シャッター部93が支持部80の移動に伴って下方に移動する。その際、シャッター部93によって塞がれていた開口部3cの上側は、支持部80の移動した分だけ開口が露出する。そこで、第一シャッター部93aが支持部80の移動に伴い、ガイド部95に沿って開口部3cを塞ぐように下方に移動することで、開口部3cを塞ぐことができる。
反対に、支持部80が上方に移動するときは、シャッター部93が支持部80の移動に伴って上方に移動する。その際、シャッター部93によって塞がれていた開口部3cの下側は、支持部80の移動した分だけ開口が露出する。そこで、第二シャッター部93bが支持部80の移動に伴い、ガイド部95に沿って開口部3cを塞ぐように上方に移動することで、開口部3cを塞ぐことができる。
【0041】
[他の実施形態2]
図9は、本発明の他の実施形態2に係るマッサージ機の側面図である。
本実施形態では、肩を挟み揉みするマッサージユニット8に適用したが、これに限らない。例えば、
図9に示す通り、肘掛け部5や座部2の側面や裏面に開口部3cを設け、腕に沿って移動し腕を施療するマッサージユニットに適用してもよいし、フットレスト4の側面や裏面に開口部3cを設け、脚に沿って移動し脚を施療するマッサージユニットに適用してもよい。各施療部位に合わせた変更を加えて使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、使用者がマッサージユニットの移動用の開口からマッサージ機内部の機器に触れることを防ぐ機構を備えたマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
3c 開口部
4 フットレスト
5 肘掛け部
8 マッサージユニット
71 挟み込みセンサ
72 昇降リミットセンサ
80 支持部
82 本体ユニット
84 施療子
87 包囲部
90 シャッター部
93 シャッター部
93a 第一シャッター部
93b 第二シャッター部
95 ガイド部
M1 マッサージモータ
M2 昇降モータ