(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021709
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20230207BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20230207BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H05K3/34 501D
H05K3/46 N
H01L23/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126749
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 修平
(72)【発明者】
【氏名】川合 悟
【テーマコード(参考)】
5E316
5E319
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA43
5E316BB13
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
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5E316CC32
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5E316DD24
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5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH11
5E319AA08
5E319AB05
5E319AC02
5E319AC17
5E319CC33
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】導体パッドを有する配線基板の接続信頼性の向上。
【解決手段】実施形態の配線基板は、第1絶縁層10と、第1絶縁層10の表面上に形成されていて、導体パッド11eを構成する導体膜を含む第1導体層11と、第1絶縁層10の表面上に形成されていて、導体パッド11eにおける第1絶縁層10側の表面の反対面11aおよび側面11cの全面を露出させる開口12aを備えるソルダーレジスト層12とを含み、第1面および第1面の反対面である第2面を有する配線基板1であって、導体パッド11eは、導体膜の表面を被覆する金属膜113を含み、導体パッド11eの反対面11aと側面11cとの交差部が丸まっている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の表面上に形成されていて、導体パッドを構成する導体膜を含む第1導体層と、
前記第1絶縁層の表面上に形成されていて、前記導体パッドにおける前記第1絶縁層側の表面の反対面および側面の全面を露出させる開口を備えるソルダーレジスト層と
を含み、第1面および前記第1面の反対面である第2面を有する配線基板であって、
前記導体パッドは、前記導体膜の表面を被覆する金属膜を含み、
前記導体パッドの前記反対面と前記側面との交差部が丸まっている。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記金属膜は、無電解めっき膜で形成されている。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記金属膜は、ニッケルを主成分とする金属からなる。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1導体層は、前記導体膜を構成する無電解めっき膜および電解めっき膜を含む。
【請求項5】
請求項4記載の配線基板であって、
前記電解めっき膜のうちの前記導体パッドに含まれる部分は、平面と平面との交差部である角部を有し、
前記金属膜は前記角部を被膜している。
【請求項6】
請求項4記載の配線基板であって、
前記電解めっき膜のうちの前記導体パッドに含まれる部分は、側面視において角丸形状の角部を有し、
前記金属膜は前記角丸形状に沿って前記角部を被膜している。
【請求項7】
請求項6記載の配線基板であって、前記ソルダーレジストから露出した前記導体パッドの表面がドーム形である。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1面は部品が実装される部品実装面であり、
前記第1導体層は前記第2面側に形成されている。
【請求項9】
請求項8記載の配線基板であって、前記導体パッドは外部要素に接続される接続パッドである。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体パッドが前記第1絶縁層に形成されるビア導体の真上に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面にソルダーレジストが配設された多層配線基板が開示されている。そして、ソルダーレジストの開口中の絶縁層上に、ソルダーレジストから離れた状態で、接合によって半導体素子の端子部と接続されるパッド部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の多層配線基板では、パッド部の形成のためのベース基材であるCu層上とソルダーレジストのパッド部の開口の絶縁層上に、半導体素子の端子部との半田接合強度を高めるためのバリア性のめっき層が配設されている。端子部とパッド部との接触信頼性が不十分である場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の表面上に形成されていて、導体パッドを構成する導体膜を含む第1導体層と、前記第1絶縁層の表面上に形成されていて、前記導体パッドにおける前記第1絶縁層側の表面の反対面および側面の全面を露出させる開口を備えるソルダーレジスト層とを含み、第1面および前記第1面の反対面である第2面を有している。そして、前記導体パッドは、前記導体膜の表面を被覆する金属膜を含み、前記導体パッドの前記反対面と前記側面との交差部が丸まっている。
【0006】
本発明の実施形態によれば、実装される電子部品の端子との接続信頼性が向上されている信頼性の高い配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の一実施形態の配線基板の一例を部分的に示す断面図。
【
図1B】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を部分的に示す断面図。
【
図2】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図3A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3B】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3C】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3D】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3E】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3F】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3G】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。
図1Aは、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1の一部の断面図である。
図1Bには、一実施形態の配線基板の他の例の一部の断面図が示されている。
図2には、実施形態の配線基板1の一例の断面図が示されている。
図1Aおよび1Bは、
図2に示される配線基板1の一点鎖線で囲われている部分I部の例を拡大して説明する図である。
【0009】
図1Aまたは1Bに示されるように、配線基板1は、第1絶縁層10と、第1絶縁層10上に形成されている第1導体層11および第1ソルダーレジスト層12と、を備えている。第1導体層11は、導体パッド11eを含んでいる。第1ソルダーレジスト層12は、導体パッド11eを露出させる開口12aを有している。実施形態の配線基板1では、導体パッド11eの、第1絶縁層10と反対側の上面11aおよび側面11cを含む表面の全面が開口12aから露出されている。
【0010】
導体パッド11eにおいて、導体パッド11eの上面11aと側面11cとによって形成される角部は、平面と平面との交差部ではなく、曲面を有する曲部となるように形成されている。すなわち、導体パッド11eの上面11aと側面11cとの交差部は丸まっている。
【0011】
導体パッド11eは、配線基板1の使用時に配線基板1に実装される外部の配線基板、例えば任意の電気機器のマザーボードなどの外部要素S1に(
図2参照)と接続され得る。すなわち本実施形態の配線基板1は、導体パッド11eにおいて外部要素S1と接続される。したがって、導体パッド11eは、配線基板1において外部要素S1に接続される接続パッドである。
【0012】
図2に示されるように、実施形態の配線基板1は、絶縁層20と、絶縁層20の両面それぞれに交互に積層された導体層および絶縁層とを含む多層積層板である。配線基板1は、配線基板1の厚さ方向と直交する方向に広がる2つの表面として第1面1a、および第1面1aの反対面である第2面1bを有している。
図2の例では、絶縁層20の上面20a上には、4つの導体層21のそれぞれと3つの絶縁層22のそれぞれとが交互に積層され、最外層の絶縁層22および導体層21上には、ソルダーレジスト層23が形成されている。最外層の絶縁層22および導体層21ならびにソルダーレジスト層23の露出面によって、第1面1aが構成されている。
【0013】
なお、
図2における配線基板1の説明では、配線基板の厚さ方向において絶縁層20から遠い側は「上側」、「上方」、「外側」、または単に「上」もしくは「外」、とも称され、絶縁層20に近い側は「下側」、「下方」、「内側」、または単に「下」もしくは「内」、とも称される。
【0014】
第1絶縁層10、第1導体層11および第1ソルダーレジスト層12は、配線基板1の第2面1bを構成している。3つの導体層21のそれぞれと2つの絶縁層22のそれぞれとが、絶縁層20の上面20aの反対面である下面20b上に交互に積層されている。その上に、さらに絶縁層(第1絶縁層)10が積層され、絶縁層10上に導体層(第1導体層)11が形成されている。第1絶縁層10上には第1ソルダーレジスト層12が形成されている。
【0015】
絶縁層20には、その両面に形成されている導体層21同士を接続するスルーホール導体20cが形成されている。絶縁層20と、絶縁層20の上面20a上の導体層21および下面20b上の導体層21とで、配線基板1のコア基板が構成されている。絶縁層22および第1絶縁層10それぞれには、絶縁層20および第1絶縁層10それぞれを挟む導体層同士を接続するビア導体2vが形成されている。
【0016】
絶縁層20、22および第1絶縁層10は、それぞれ、任意の絶縁性樹脂によって形成される。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)またはフェノール樹脂などが例示される。各絶縁層はガラス繊維などからなる芯材を含んでいてもよい。例えば、各絶縁層は、ガラス繊維のような補強材にエポキシまたは他の樹脂組成物を含浸させた材料によって形成されていてもよい。各絶縁層は、さらに、無機フィラーを含んでいてもよい。各絶縁層に含まれる無機フィラーとしては、シリカ(SiO2)、アルミナ、またはムライトなどからなる微粒子が例示され得る。ソルダーレジスト層12、23は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの任意の絶縁性材料を用いて形成される。
【0017】
導体層21および第1導体層11、ビア導体2v、ならびにスルーホール導体20cは、銅またはニッケルなどの任意の金属を用いて形成され、例えば、銅箔などの金属箔、および/または、めっき若しくはスパッタリングなどで形成される金属膜によって構成される。従って、導体層21、第1導体層11、ビア導体2vやスルーホール導体20cは、
図2では単層構造で示されているが、2つ以上の金属層を有する多層構造を有し得る(
図1Aおよび1B参照)。例えば、絶縁層20の上面20aに形成されている導体層21および下面20bに形成されている導体層21は、金属箔、無電解めっき膜、および電解めっき膜を含む3層構造を有し得る。また、導体層21および第1導体層11は、例えば無電解めっき膜および電解めっき膜を含む2層構造を有し得る。
【0018】
ビア導体2vは、各絶縁層22および第1絶縁層10それぞれを貫く貫通孔を導電体で埋めることによって形成される所謂フィルドビアである。スルーホール導体20cも絶縁層20を貫く貫通孔を導電体で埋めることによって形成され得る。ビア導体2vは、それぞれの上側の導体層と一体的に形成されている。したがって、例えば、ビア導体2vと導体層21および第1導体層11とは、同一の、例えば銅またはニッケルなどからなるめっき膜(無電解めっき膜および電解めっき膜)によって形成されている。
【0019】
各導体層は、所定の導体パッドおよび/または配線パターンを有するようにパターニングされている。
図1の例の配線基板1では、第1面1a側の最外層の導体層21は複数の部品実装パッド21eを有するようにパターニングされている。すなわち配線基板1は第1面1aに形成されている複数の部品実装パッド21eを含んでいる。複数の部品実装パッド21eは、第1面1a側の最外層の絶縁層22上に形成されている。
【0020】
ソルダーレジスト層23は、部品実装パッド21eを露出させる開口23aを有している。ソルダーレジスト層23の開口23aに部品実装パッド21eの表面が露出している。部品実装パッド21eの形状は、任意の形状とされてよく、例えばソルダーレジスト層23の開口23aにより画定され得る。
【0021】
各部品実装パッド21eは、配線基板1の使用時に配線基板1に実装される部品E1がその表面に載置される導体パッドである。すなわち第1面1aは配線基板1の部品実装面である。部品実装パッド21eには、例えばはんだなどの接合材(図示せず)を介して部品E1の電極E11が電気的および機械的に接続される。
【0022】
部品E1としては、例えば、半導体集積回路装置やトランジスタなどの能動部品、および、電気抵抗などの受動部品のような電子部品が例示される。部品E1は、半導体基板上に形成された微細配線を含む配線材であってもよい。しかし、部品E1はこれらに限定されない。
【0023】
本実施形態の配線基板1において、第2面1bは、外部の配線基板、例えば任意の電気機器のマザーボードなどの外部要素S1に配線基板1自体が実装される場合の、外部要素S1に接続される接続面である。配線基板1は、例えば、第1面1aに実装される半導体集積回路などの部品E1のパッケージの一部を構成してもよく、その場合、配線基板1は、
図2に示されるように第2面1bを外部要素S1に向けて、外部要素S1に部品E1と共に実装され得る。しかし、第2面1bは、第1面1aと同様に、半導体集積回路装置のような電子部品が実装される部品実装面であってもよい。
【0024】
第2面1bが外部要素S1との接続面である場合、第2面1bは、外部要素S1との接続部を備え得る。したがって、
図2の例の配線基板1において、配線基板1の第2面1b側の最外層の導体層は、外部要素S1に接続される接続パッドである導体パッド11eを含む第1導体層11である。すなわち、
図1Aおよび1Bに拡大図で示されている導体パッド11eは、実施形態の配線基板1の第2面1b側に形成されている。導体パッド11eの上面および側面を含む表面の全面は、第1絶縁層上に形成されているソルダーレジスト層12の開口12aから露出している。第2面1bにおいて、導体パッド11eは、配線基板1の第2面1bに接続される外部要素S1の配線パターンなどに応じて任意の位置に、任意の数で形成され得る。
【0025】
導体パッド11eは、
図2に示されるように、例えば、外部要素S1の電極S11にピンを介して電気的および機械的に接続され得る。導体パッド11eは、側面視で略半矩形で、かつ矩形の角部が丸まっている角丸形状で形成されている。このため、外部要素S1との接続時に、位置ずれや傾きが生じた場合でも、外部要素S1の接続用のピンと導体パッド11eとの接触面積が確保されやすいと考えられる。外部要素S1の端子との高い接触信頼性が得られると考えられる。
【0026】
図1Aおよび1Bを参照して、導体パッド11eがさらに説明される。なお、添付の図面においては、導体パッド11eを含む各構成要素の正確なサイズや形状、および/または、各構成要素同士のサイズや形状の正確な比率を示すことは意図されていない。例えば、導体パッド11eの長手方向(第1絶縁層10の表面に沿う方向)の長さと短手方向(厚さ方向)の長さとの比率は、
図1Aや
図1Bに示される比率に限定されない。任意の比率の半矩形状が形成されてよい。
【0027】
導体パッド11eを含む第1導体層11は、前述のように、無電解めっき膜111および電解めっき膜112からなる2層構造の導体膜を含んでいる。第1導体層11はビア導体2vによって、第1導体層11の下層の導体層21(
図2参照)に接続されている。導体パッド11eは、
図1Aおよび1Bに示されるように、第1絶縁層10に形成されているビア導体2vの真上に形成され得る。
図1Aおよび1Bに示される導体パッド11eでは、導体パッド11eのソルダーレジスト層12の開口12aから露出されている表面は金属膜113で被覆されている。金属膜113は任意の金属で構成されてよく、例えば金属膜113はめっき膜であってもよい。例えば、金属膜113は、無電解めっき膜である。金属膜113は例えば、無電解ニッケルめっき膜で構成され得る。
【0028】
図1Aに示されるように、
図1Aの導体パッド11eでは、側面視で導体パッド11eの外側角部分が角丸形状となるように、金属膜113が電解めっき膜112を被膜するように形成されている。金属膜113は、好ましくは、2層構造の導体膜の表面上に厚付けされている。外側角部分の角丸形状が得られやすい場合がある。例えば、金属膜113は、5μm以上であって、9μm以下程度の厚みで導体膜上に形成され得る。導体パッド11eを構成している2層構造の導体膜においては、その上面と側面との交差部は平面と平面で形成される角部である。この角部を金属膜113が被膜している。この結果、第1絶縁層10上に露出している導体パッド11eの外縁は丸みを帯びた形状となる。外部要素S1との接続のための接続用ピンが配線基板1に対して傾斜して導体パッド11eに接触した場合であっても、接続用ピンと導体パッド11eの良好な接触が得られ得ると考えられる。配線基板1の実装性が向上する場合がある。
【0029】
図1Aでは、導体パッド11eの外側角部分は曲部となるように形成されているが、導体パッド11eの上面11aは、配線基板1の厚さ方向と直交する面と平行な頂面を含んでいる。しかしながら、導体パッド11eの外側角部分の曲率半径がより大きくなるように、すなわち、導体パッド11eの上面11aが球面に近づくように、金属膜113が電解めっき膜112上に形成されてもよい。
【0030】
図1Bには、導体パッド11eの他の例が示されている。
図1Bに示される導体パッド11eでは、導体パッド11eを構成している2層構造の導体膜において外側角部分が角丸形状となるように、電解めっき膜112の外側角部分が丸みを帯びた形状で形成されている。そして、電解めっき膜112のこの角丸形状に沿って、2層構造の導体膜の表面を覆う金属膜113が形成されている。
図1Bの場合においても、導体パッド11eの外側角部分を角丸形状とするために、金属膜113は、2層構造の導体膜の表面上に厚付けされ得る。
図1Aの場合と同様に、例えば、金属膜113は、5μm以上であって、9μm以下程度の厚みを有するように導体膜の表面上に形成される。この結果、
図1Bの導体パッド11eにおいても、導体パッド11eの外側角部分は角丸形状を有している。導体パッド11eの上面11aは、球面に近づくように形成されていてもよい。例えば、電解めっき膜112の外側角部分の曲率半径がより大きく、すなわち電解めっき膜112の表面が球面に近づくように形成され、そして、金属膜113が、電解めっき膜112上に、導体パッド11eの上面11aが球面に近づくように形成されてもよい。この形状の導体パッド11eの一例が
図1Bに示されている。
図1Bの例において、ソルダーレジスト層12の開口12aから露出されている導体パッド11eの表面は、上方に向かって膨らんだドーム形の形状を有している。導体パッド11eの表面積が増加し、外部要素S1との接続のための接続用ピンとの接続信頼性が向上する場合がある。
【0031】
実施形態の配線基板1は、一般的な配線基板の製造方法によって製造され得る。例えば、絶縁層20を含む両面銅張積層板が用意される。そしてサブトラクティブ法などによって、所定の導体パターンを含む導体層21が絶縁層20の両面に形成される。それと共に、絶縁層20に設けられた貫通孔内を埋めることによってスルーホール導体20cが形成され、配線基板1のコア基板が用意される。
【0032】
絶縁層20の上面20a側に絶縁層22が積層され、その絶縁層22上に導体層21が形成される。同様に、絶縁層20の下面20b側に、絶縁層22が積層され、その絶縁層22上に導体層21が形成される。そしてコア基板の両面において、各絶縁層の積層と導体層の形成とが繰り返される。絶縁層22および絶縁層22上の導体層21は、例えば一般的なビルドアップ基板の製造方法によって、それぞれ形成される。例えば各絶縁層は、フィルム状のエポキシ樹脂を、コア基板または先に形成されている各絶縁層および各導体層上に熱圧着することによって形成される。また、各導体層は、例えば、めっきレジストの形成およびパターンめっきなどを含むセミアディティブ法やフルアディティブ法などの導体パターンの任意の形成方法を用いて形成される。セミアディティブ法などの導体パターンの形成方法を用いる各導体層の形成では、ビア導体2vが各絶縁層内に形成され得る。
【0033】
絶縁層20の上面20a側および下面20b側に、最表層の絶縁層(絶縁層22および第1絶縁層10)が形成される。最表層の絶縁層22上にさらに最表層の導体層21が形成される。最表層の導体層21は、部品実装パッド21eを含むように、適切な開口パターンを有するめっきジスト(図示せず)を用いるセミアディティブ法などの任意の導体パターンの形成方法を用いて形成される。
【0034】
そして、
図2に示されているように、ソルダーレジスト層23が最表層の絶縁層22および最表層の導体層21上に形成される。ソルダーレジスト層23には、開口23aが設けられる。ソルダーレジスト層23は、例えば、感光性のエポキシ樹脂またはポリイミド樹脂などを塗布したり噴霧したりフィルム状で積層したりすることによって形成される。そして、例えば露光および現像、またはレーザー加工などによって、開口23aが形成される。開口23aによって部品実装パッド21eが画定される。
【0035】
絶縁層20の下面20b側には、第1絶縁層10上に導体パッド11eを含む第1導体層11が形成される。
図3A~3Gを参照して、
図1Bに示される導体パッド11eを含む第1導体層11を例に、その製造方法の一例が、具体的に説明される。
【0036】
図3Aに示されるように、ビア導体形成用の貫通孔を含む第1絶縁層10上に、第1絶縁層10の表面全面への無電解めっきなどにより、シード金属膜となる無電解めっき膜111が形成される。次いで、
図3Bに示されるように、無電解めっき膜111上に、所定の箇所に開口50aを有するめっきレジスト50が形成される。続いて、
図3Cに示されるように、開口50a内に電解めっき膜112が形成される。ビア導体形成用の貫通孔内に電解めっき膜112が充填される。
【0037】
めっきレジスト50が除去された(
図3D参照)後、露出した無電解めっき膜111および電解めっき膜112の表面がエッチングされる。エッチングにより、無電解めっき膜111の電解めっき膜112に覆われていない部分が除去される。無電解めっき膜111および電解めっき膜112により、第1導体層11の所定の導体パターンが形成されている。導体パターンの形成と同時かつ一体的に、ビア導体形成用の貫通孔内にビア導体2vが形成される。
【0038】
エッチングにより、電解めっき膜112の露出面、特にパターニングされた電解めっき膜112の外側角部分も溶解される。電解めっき膜112に覆われていない無電解めっき膜111の消失後もエッチングを継続するなど、エッチング量を適宜調整することにより、外側角部分が所望の程度溶解して丸みを帯びた電解めっき膜112が形成される(
図3E参照)。
【0039】
その後、
図3Fに示されているように、ソルダーレジスト層12が、第1絶縁層10上に形成される。ソルダーレジスト層12は、ソルダーレジスト層23と同様の材料で形成され得る。また、ソルダーレジスト層12には、開口23aと同様な方法で開口12aが設けられる。開口12aは、電解めっき膜112の露出面の全面を開口12aから露出させるように形成される。
【0040】
その後、
図3Gに示されているように、電解めっき膜112および無電解めっき膜111の露出部分の表面に、金属膜113が形成される。金属膜113は例えば、無電解めっきにより、露出部分の表面に沿って、例えば導体パッド11eの上面11aが球面に近づくように形成される。この結果、無電解めっき膜111、電解めっき膜112および金属膜113によって構成される、外側角部分が角丸形状を有し、上面11aが上方に向かって膨らんだ形状である導体パッド11eが、第1絶縁層10上に形成される。
図1Bに示される導体パッド11eを所望のパターンで含む第1導体層11が完成される。以上の工程を経ることにより
図2に示される配線基板1であって、第1導体層11が
図1Bに示される導体パッド11eを含む配線基板1が完成する。
【0041】
第1導体層11が、
図1Aに示される導体パッド11eを含む場合、
図3Dおよび
図3Eを参照して説明されたエッチングの工程は、無電解めっき膜111の電解めっき膜112に覆われていない部分が除去された時点で終了され得る。したがって、電解めっき膜112の外側角部分は、電解めっき膜112の側面と電解めっき膜112の上面との交差部であり、曲面を有さない。ソルダーレジスト層12およびその開口12aが形成された後、電解めっき膜112および無電解めっき膜111の露出部分の表面に、金属膜113が形成される。金属膜113は、
図1Bに示される導体パッド11eと同様に、無電解めっきにより、露出部分の表面に沿って形成され得る。しかし、
図1Bに示される導体パッド11eとは異なり、
図1Aに示される導体パッド11eでは、電解めっき膜112の外側角部分は曲面を有していないため、金属膜113は、この外側角部分を被膜するように、さらに無電解めっきの条件を調整することなどによって、より厚いめっき厚をもつように形成される。この結果、外側角部分が角丸形状を有する、
図1Aに示される導体パッド11eが形成される。
図1Aに示される導体パッド11eを所望のパターンで含む第1導体層11が完成される。
【0042】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。実施形態の配線基板は、任意の積層構造を有し得る。また、実施形態の配線基板は、コア基板を含まないコアレス基板であってもよい。実施形態の配線基板は任意の数の導体層および絶縁層を含み得る。実施形態の配線基板は所謂両面基板であってもよく、片面基板であってもよい。例えば、第1導体層11には、導体パッド11eの他にも異なる導体パターンが含まれ得る。また、実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。先に説明された製造方法の条件や順序などは適宜変更され得る。現に製造される配線基板の構造に応じて、前述された工程のうちの一部の工程が省略されてもよく、前述された各工程以外に任意の別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 配線基板
1a 配線基板の第1面
1b 配線基板の第2面
2v ビア導体
10 第1絶縁層
11 第1導体層
11e 導体パッド
12、23 ソルダーレジスト層
20、22 絶縁層
21 導体層
21e 部品実装パッド
12a、23a 開口
111 無電解めっき膜
112 電解めっき膜
113 金属膜
S1 外部要素