(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021731
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】免疫賦活用組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20230207BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20230207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230207BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20230207BHJP
【FI】
C12N1/20 E
A61K35/745
A61P43/00 111
A23L33/135
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126783
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一弥
(72)【発明者】
【氏名】密山 恵梨
(72)【発明者】
【氏名】吉本 真
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD86
4B018ME14
4B018MF01
4B065AA21X
4B065AC14
4B065BD08
4B065BD13
4B065CA41
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC59
4C087CA09
4C087CA20
4C087MA16
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZC02
(57)【要約】
【課題】免疫賦活作用を有する成分、特に容易に経口摂取可能な成分を提供する。
【解決手段】ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium br
eve)MCC1274(FERM BP-11175)の加熱殺菌体を、免疫賦活用組
成物の含有成分とする。該免疫賦活作用は、IL-12若しくはMIP-1αの産生促進によるもの、又は細胞障害活性化によるものであってよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)M
CC1274(FERM BP-11175)の加熱殺菌体を含有する、免疫賦活用組成
物。
【請求項2】
前記免疫賦活がIL-12の産生促進による、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記免疫賦活がMIP-1αの産生促進による、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ビフィドバクテリウム・ブレーベの核酸の関与により前記産生促進がなされる、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記免疫賦活が細胞障害活性化による、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
飲食品である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
医薬品である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫賦活用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫機能を増強させたりウイルス防御活性を高めたりすることへの関心は高い。IL-12(インターロイキン-12)やMIP-1α(マクロファージ炎症タンパク質α)等のサイトカインは免疫に関与し感染症予防等に重要な役割を果たすと考えられている(非特許文献1、2)。そのため、免疫に関与するサイトカインを産生させる成分について種々研究がなされており、特定の乳酸菌がIL-12産生を促進し免疫賦活作用を有することが報告されている(非特許文献3~5)。
【0003】
近年、腸内細菌の一種であるビフィドバクテリウム属細菌(いわゆるビフィズス菌)は、ヒト等の健康に役立つ種々の作用が見出され、飲食品や医薬品に活用されている。
ビフィズス菌の持つ作用として免疫調節作用も注目されており、非特許文献1にはビフィドバクテリウム・ロンガムBB536の生菌体がプロバイオティクスとして有用であることが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S. Zundler et. al., Cytokine Growth Factor Rev., 26, 5, 559-568(2015)
【非特許文献2】H. Takahashi et. al., J Leukoc Biol., 72, 6, 1190-1197(2002)
【非特許文献3】S. Arai et al., PLoS One., 13, 6, :e0199018(2018)
【非特許文献4】S. Murosaki et al., J. Allergy Clin Immunol., 102, 1, 57-64(1998)
【非特許文献5】S. Segawa et al. Int J Food Microbiol., 121, 1, 1-10(2008)
【非特許文献6】岩淵紀介、腸内細菌額雑誌、28: 141-146 (2014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビフィドバクテリウム属細菌の摂取が免疫系にどのように作用するかは不明なところが多い。また、生菌体の場合、摂取形態や組成物の加工において制限が生じる場合がある。
本発明は、免疫賦活作用を有する成分、特に容易に経口摂取可能な成分を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定のビフィドバクテリウム属細菌の加熱殺菌体が高いIL-12やMIP-1αの産生を促進する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)MCC1274(FERM BP-11175)の加熱殺菌体を含有する、免疫賦活用組成物である。
本発明における前記免疫賦活は、IL-12の産生促進によるものであってよい。
本発明における前記免疫賦活は、MIP-1αの産生促進によるものであってよい。
本発明におけるIL-12の産生促進又はMIP-1αの産生促進は、前記ビフィドバクテリウム・ブレーベの核酸の関与によるものであってよい。
本発明における前記免疫賦活は、細胞障害活性化によるものであってよい。
本発明の組成物は、好ましくは、飲食品である。
本発明の組成物は、好ましくは、医薬品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、IL-12やMIP-1αの産生を促進することができる。また、それにより免疫賦活化することができる。本発明の組成物は経口摂取可能であるため、飲食品や医薬品の態様で簡便に利用されうる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
【0010】
本発明の組成物は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体を
含有する。
ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274は、2009年8月25日付で、独
立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(現・独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(NITE-IPOD)(〒292-0818 千葉県木更
津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に、受託番号FERM BP-11175で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされている。
【0011】
なお、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274には、当該細菌名で所定の機
関に寄託や登録がなされている株そのもの(以下、説明の便宜上、「寄託株」ともいう)に限られず、それと実質的に同等な株(「派生株」又は「誘導株」ともいう)も包含される。細菌について、上記寄託株と「実質的に同等の株」とは、上記寄託株と同一の種に属し、さらに上記寄託株とのゲノム配列の類似度(Average Nucleotide Identity値)が、
好ましくは99.0%以上、より好ましくは99.5%以上、さらに好ましくは100%の同一性を有し、かつ、好ましくは上記寄託株と同一の菌学的性質を有する株をいう。細菌について、上記寄託株と実質的に同等の株は、例えば、当該寄託株を親株とする派生株であってよい。派生株としては、寄託株から育種された株や寄託株から自然に生じた株が挙げられる。育種方法としては、遺伝子工学的手法による改変や、突然変異処理による改変が挙げられる。突然変異処理としては、X線の照射、紫外線の照射、ならびにN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、エチルメタンスルフォネート、及びメチル
メタンスルフォネート等の変異剤による処理が挙げられる。寄託株から自然に生じた株としては、寄託株の使用の際に自然に生じた株が挙げられる。そのような株としては、寄託株の培養(例えば継代培養)により自然に生じた変異株が挙げられる。派生株は、一種の改変により構築されてもよく、二種又はそれ以上の改変により構築されてもよい。
【0012】
本発明の組成物に含有させるビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274は、市
販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよいし、前述の細菌を培養することにより取得したものを用いてもよい。
培養方法は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274が増殖できる限り、特
に制限されない。培養方法としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC
1274の培養に通常用いられる方法を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。培養温度は、例えば、25~50℃であってよく、35~42℃であることが好ましい。培養は、好ましくは嫌気条件下で実施することができ、例えば、炭酸ガス等の嫌気ガスを通気しながら実施することができる。また、培養は、液体静置培養等の微好気条件下で実施することもできる。培養は、例えば、前記細菌が所望の程度に増殖するまで実施することができる。
【0013】
培養に用いる培地は、ビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274が増殖できる限り、特に制限されない。培地としては、例えば、前記細菌の培養に通常用いられる培地を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。すなわち、炭素源としては、例えば、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、セロビオース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デンプン、デンプン加水分解物、廃糖蜜等の糖類を資化性に応じて用いることができる。窒素源としては、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩類や硝酸塩類を用いることができる。また、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄等を用いることができる。また、ペプトン、大豆粉、脱脂大豆粕、肉エキス、酵母エキス等の有機成分を用いてもよい。また、前記細菌の培養に通常用いられる培地として、具体的には、強化クロストリジア培地(Reinforced Clostridial medium)
、MRS培地(de Man, Rogosa, and Sharpe medium)、mMRS培地(modified MRS medium)、TOSP培地(TOS propionate medium)、TOSP Mup培地(TOS propionate mupirocin medium)、GAM(Gifu Anaerobic Medium)培地、YCFA(Yeast Extract-casein Hydrolysate Acid)培地等が挙げられる。
【0014】
本発明においてビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274は、加熱殺菌体の形態で組成物に含有される。
該加熱殺菌体はビフィドバクテリウム・ブレーベMCC1274を加熱処理することにより得られるものであり、具体的には例えば60~100℃で10~40分間、又は90~150℃で5~30秒間処理することにより得られるものである。なお、加熱処理の際に、圧力を加えてもよい。なお、加熱処理の間、温度は必ずしも一定である必要はなく、所定の時間前記温度の範囲にあればよい。
ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体は、前記加熱処理の後
そのまま用いてもよいし、破砕、加熱乾燥、凍結乾燥、又は噴霧乾燥などの処理を施したものを用いてもよい。
加熱殺菌体として組成物に含有させることにより、組成物の加工や摂取形態の選択肢が広がる。
【0015】
本発明の組成物におけるビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌
体の含有量としては特に限定されないが、例えば組成物1g当たり1.0×104cells以上とすることが好ましく、より好ましくは1.0×107cells以上の加熱殺菌体を含有するとしてよい。なお、cells(個細胞)は、例えば還元脱脂粉乳10質量%を含む固体培地にて38℃で培養したときの細菌のコロニー形成単位(cfu)の値を置き換えたものであってよい。
これらは、通常、免疫賦活用組成物として流通するときの含有量の範囲であってよい。
【0016】
本発明の組成物は、免疫賦活作用を有する。ここで「免疫賦活」とは、免疫機能を維持、改善、又は強化することをいう。免疫機能の維持とは正常又は良好な免疫機能が発揮されている状態を保ち機能低下することを防ぐことを含み、免疫機能の改善とは低下した免疫機能を正常な状態にすることを含み、免疫機能の強化とは免疫機能(生体防御機能と言い換えてもよい)を高めることをいう。また、免疫賦活することによって、ウイルスや細菌等の感染を防御すること、さらには感染性疾患を予防することを含んでもよい。ここで、「予防」とは適用対象における疾患若しくは症状の発生の防止や遅延、又は適用対象の疾患若しくは症状の危険性の低下をいう。
【0017】
後述の実施例に示されるように、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の
加熱殺菌体はIL-12やMIP-1α等のサイトカインの産生を促進する。これらのサイトカインは免疫賦活に関与することが知られている免疫因子であることから、本発明の
組成物は、IL―12の産生促進及び/又はMIP-1αの産生促進により免疫賦活作用を発揮するものと考えられる。ここで「産生促進」とは、IL-12やMIP-1αの産生量又は産生速度が、本発明の組成物の適用前に比べて適用後に、又は本発明の組成物の非適用の場合に比べて適用の場合に、増大することをいう。サイトカインの産生促進は、特に限定されないが、これらのサイトカインの血中濃度が増大することで確認できる。
なお、本発明の組成物による免疫賦活作用は、IL-12の産生促進以外の機序や、MIP-1αの産生促進以外の機序を介する場合を含んでもよい。
【0018】
また、後述の実施例に示されるように、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC12
74の加熱殺菌体の投与によるIL-12の産生促進やMIP-1αの産生促進は、核酸認識TLR(Toll-like receptor)を介して生じる。そのため、本発明の組成物において、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の核酸が、IL-12の産生促進及
びMIP-1αの産生促進並びに免疫賦活化の関与成分であると考えられる。
そのため、本発明においてビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺
菌体は、通常ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の核酸を含む形態で組成
物に含有される。
【0019】
後述の実施例に示されるように、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の
加熱殺菌体は免疫細胞の細胞障害活性を高める。細胞障害活性が高いとウイルスや癌細胞等の外敵の侵入・感染を防ぐことができることから、本発明の組成物は、細胞障害活性化により免疫賦活作用を発揮するものと考えられる。ここで細胞障害の「活性化」とは、細胞障害活性が、本発明の組成物の適用前に比べて適用後に、又は本発明の組成物の非適用の場合に比べて適用の場合に、増大することをいう。細胞障害活性は、特に限定されないが、NK細胞と併存した他の細胞の死亡率を評価することで確認することができる。
【0020】
本発明の別の側面は、免疫賦活用組成物の製造における、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体の使用である。
本発明の別の側面は、免疫賦活における、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1
274の加熱殺菌体の使用である。
本発明の別の側面は、免疫賦活のために用いられる、ビフィドバクテリウム・ブレーベ
MCC1274の加熱殺菌体である。
本発明の別の側面は、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体
を対象に投与することを含む、免疫を賦活化する方法である。
【0021】
本発明の組成物を投与する対象(被投与者)及び摂取させる対象(摂取者)は、動物であれば特に限定されないが、通常はヒトである。また、成人、小児、乳児、新生児等のいずれであってもよい。また、性別は特に限定されない。
【0022】
なお、本明細書において「ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺
菌体を対象に投与すること」は、「ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の
加熱殺菌体を対象に摂取させること」と同義であってよい。摂取は、通常は自発的なもの(自由摂取)であるが、強制的なもの(強制摂取)であってもよい。すなわち、投与工程は、具体的には、例えば、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌
体を飲食品や飼料に配合して対象に供給し、以て対象にそれを自由摂取させる工程であってもよい。
【0023】
本発明の組成物の摂取(投与)時期は、特に限定されず、摂取(投与)対象の状態に応じて適宜選択することが可能である。
【0024】
本発明の組成物の摂取(投与)量は、摂取(投与)対象の年齢、性別、状態、その他の
条件等により適宜選択される。
本発明の組成物の摂取(投与)量は、本発明に係るビフィドバクテリウム・ブレーベ
MCC1274の菌体の摂取(投与)量として、例えば、成人において1×107~1×1012cells/日の範囲が好ましく、1×108~1×1011cells/日の範囲がより好ましく、1×109~1×1011cells/日がさらに好ましい。
なお、摂取(投与)の量や期間にかかわらず、本発明の組成物は1日1回又は複数回に分けて摂取(投与)することができる。
【0025】
本発明の組成物の摂取(投与)期間は、特に限定されない。また、摂取(投与)期間の上限は特に設けられず、継続的な、長期の摂取(投与)が可能である。
【0026】
本発明の組成物の摂取(投与)経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが経口が好ましい。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
【0027】
本発明の組成物を経口摂取(投与)される組成物とする場合は、飲食品の態様とすることが好ましい。
飲食品としては、本発明の効果を損なわず、経口摂取(投与)できるものであれば形態や性状は特に制限されず、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌
体を含有させること以外は、通常飲食品に用いられる原料を用いて通常の方法によって製造することができる。
【0028】
飲食品としては、液状、ペースト状、ゲル状固体、粉末等の形態を問わず、例えば、錠菓;流動食(経管摂取用栄養食);パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品;即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等の即席食品類;農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等の農産加工品;水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等の水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品;加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等の乳・乳製品;バター、マーガリン類、植物油等の油脂類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等の基礎調味料;調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等の複合調味料・食品類;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品;キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、ゼリー、その他の菓子などの菓子類;炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等の嗜好飲料類、ベビーフード、ふりかけ、お茶漬のり等のその他の市販食品等;育児用調製粉乳;経腸栄養食;保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、サプリメント等の栄養補助食品等が挙げられる。
【0029】
なお、飲食品としてサプリメントの形態とする場合は、腸溶性コーティング等により腸溶処理されてもよい、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤;等に製剤化することができる。かかる製剤化に際しては、後述する医薬品の製剤化に係る成分、担体、及び方法の説明に準ずることができる。
【0030】
また、飲食品の一態様として飼料とすることもできる。飼料としては、ペットフード、
家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
飼料の形態としては特に制限されず、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC127
4の加熱殺菌体の他に例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦、マイロ等の穀類;大豆油粕、ナタネ油粕、ヤシ油粕、アマニ油粕等の植物性油粕類;フスマ、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;魚粉、脱脂粉乳、ホエイ、イエローグリース、タロー等の動物性飼料類;トルラ酵母、ビール酵母等の酵母類;第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;単体アミノ酸;糖類等を含有するものであってよい。
【0031】
本発明の組成物が飲食品(飼料を含む)の態様である場合、免疫賦活の用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。また、本明細書に係るビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体は、これら飲食品等の製造のために使
用可能である。
【0032】
かかる「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明における「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
【0033】
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
【0034】
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、栄養補助食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一日内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
かかる表示としては、例えば、「免疫機能に働きかける」、「健康な人の免疫機能の維持に役立つ」、「免疫機能を高める」、「免疫機能をサポート」、「健康な人の免疫機能の維持をサポート」、「感染症に対する抵抗力を高める」、「生体防御機能を高める」等と表示することが挙げられる。
【0035】
本発明の組成物は、医薬品の態様とすることもできる。
医薬品の投与経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが経口が好ましい。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
医薬品の形態としては、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤;溶液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等に製剤化することができる。また、非経口投与の場合
、座剤、軟膏剤、注射剤等に製剤化することができる。
製剤化に際しては、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体の
他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、他の薬効成分や、公知の又は将来的に見出される免疫賦活作用を有する成分や免疫系サイトカイン産生促進剤等を併用することも可能である。
加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、適宜、通常製剤化に用いる担体を配合して製剤化してもよい。かかる担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。
【0036】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α-デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
【0037】
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。
【0038】
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
【0039】
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ピーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩類;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
【0040】
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
【0041】
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤等が挙げられる。
【0042】
本発明の医薬品を摂取するタイミングは、例えば食前、食後、食間、就寝前など特に限定されない。
【実施例0043】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0044】
<実施例1>動物投与試験
(1)投与品の調製
ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274凍結乾燥粉末を生理食塩水により5
×108cfu/mLの濃度に希釈した後、90℃で30分間加熱して、ビフィドバクテ
リウム加熱殺菌体投与品(以下、加熱殺菌体投与品ともいう)を調製した。
【0045】
(2)動物試験
Crl:CD(SD)ラット(日本チャールズ・リバー社:健常ラット)を実験動物として用い、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体投与品の4週間継続摂取
による影響を評価した。
7週齢で入荷したラットに、ラボMRストック飼料(ノーサン工業社製)及び水道水を自由摂取させた。1週間の馴化後に2群(各群6匹)に分け、コントロール群のラットには1日1回経口ゾンデを用いて生理食塩水を2mL/匹を4週間継続して経口投与し、加熱殺菌体投与群のラットには1日1回経口ゾンデを用いて(1)で調製した投与品をした溶液を2mL/匹を4週間継続して経口投与した。最終投与が終了した1時間後に実験動物をセボフルラン麻酔下で処置して、腹部後大静脈より採血し、遠心分離により血清を回収した。回収した血清について、Cytokines array (RayBiotech社)により血中の各種免疫メディエーターを定量した。
【0046】
(3)結果
サイトカインアレイ解析にて有意な増加が確認された因子を表1に示す。ビフィドバクテリウム加熱殺菌体の投与により、コントロールに比べて血中のMIP-1α、TIM-1、Notch-2、RANTES、TWEAK R、Nope、TCK-1、MCP-
1量の顕著な増加が確認された。特に、MIP-1αはコントロール群に比して、加熱殺菌体投与群では16.9倍の有意な増加が確認された。
上記の結果から、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体の投
与によりMIP-1αのような多くの免疫因子の分泌が促進されることが示唆された。特にMIP-1αやRANTES、MCP-1は感染症予防および合併症による重篤化の回避において重要な役割を担うことが知られている。この結果から、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体の投与により免疫因子の産生促進が促進され、
それにより免疫賦活作用が得られることが示唆された。
【0047】
【0048】
<実施例2>細胞添加試験1
(1)添加サンプルの調製
ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274凍結乾燥粉末を生理食塩水により1
0又は100mg/mL懸濁した後、90℃又は4℃で30分間加熱して、加熱殺菌処理ビフィドバクテリウム菌体サンプル(HKB)および加熱未処理ビフィドバクテリウム菌
体サンプル(non―HKB)を得た。得られたビフィドバクテリウム菌体サンプルを、10%Fetal Bovine Serum、100unit/mL Penicillin、及び100μg/mL Streptomycinを含有するRPMI培地(以降、RPMI培地と記す)に、終濃度が10μg/
mL又は100μg/mLになるように0.1%(v/v)添加して、以下の細胞実験に供
した。
【0049】
(2)細胞実験
末梢血から分離された単球やリンパ球等の多種多様な免疫細胞を含むラット末梢血単核細胞(PBMC、iQ Biosciences社)を、(1)で調製したビフィドバクテリウム菌体サンプル含有培地(HKB又はnon―HKB)にて1.0×105cells/wellになるように96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で6時間培養した。前記培地にビフィズス菌を添加せずにPBSを1%(v/v)添加したRPMI培地でPBMCを同様に培養し、これをコントロールとした。
(3)mRNA遺伝子発現量解析
培養後の核細胞から、NucleoSpin RNA Plus XSを用いてTotal RNAを回収し、TaKaRa PrimeScript RT reagent Kitを用いてcDNAを作製した。このcDNAを試料としてリアルタイムPCR法を用いてIL-12、MIP-1α、及びGAPDHの各発現量を定量解析した。IL-12及びMIP-1αの各発現量はGAPDHの発現量で補正した。
【0050】
(4)結果
各群のIL-12の発現量を表2、MIP-1αの発現量を表3にそれぞれ示す。加熱処理の有無にかかわらずビフィドバクテリウム菌体サンプルにより用量依存的なIL-12及びMIP-1αの発現促進活性が確認された。さらに、本活性は菌体に加熱処理を行うことで増強されることが分かった。具体的には、100μg/mLのビフィズス菌を添加した場合、non-HKBではIL-12が391倍、MIP-1αが1880万倍の遺伝子発現促進が確認されたのに対して、HKBではIL-12が629倍、MIP-1αが4.5億倍もの遺伝子発現促進が確認された。
【0051】
IL-12は、T細胞やNK細胞に作用し、自然免疫と適応免疫に関連した重要な役割を果たしていると考えられている。また、実施例1においてビフィズス菌加熱殺菌体の摂取により最も変化していた免疫因子であるMIP-1αは、細菌性敗血症に対する宿主の抵抗力に必須であることが示唆されており(非特許文献2)、感染症予防および合併症による重篤化の回避に寄与する可能性がある。
上記の結果から、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の菌体はIL-1
2やMIP-1αなどの免疫因子の産生促進を促進し、それにより免疫賦活作用を発揮することが示唆された。さらに、かかる免疫賦活作用は、菌体を加熱処理することにより増強されることも示された。
【0052】
【0053】
【0054】
<実施例3>細胞添加試験2
endosomal acidification inhibitorであるクロロキン(CQ)は核酸認識Toll様受容
体(TLR3/7/8/9)を阻害することが報告されている(A. Kuznik et. al. J Immunol. 2011, 186, 8, 4794-4804.)。実施例2で示されたビフィドバクテリウム・ブレーベ加熱殺菌体(HKB)による免疫因子産生促進が核酸認識TLRを介したものなのかを、CQを用いて検証した。
【0055】
(1)添加サンプルの調製
実施例2(1)と同様に、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺
菌処理菌体サンプル(HKB)を調製した。
(2)TLR阻害条件下の細胞実験
末梢血から分離された単球やリンパ球等の多種多様な免疫細胞を含むラット末梢血単核細胞(PBMC、iQ Biosciences社)を、1.0×105 cells/wellになる
ように、CQ(終濃度100μM)を添加したRPMI培地を入れた96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2で2時間培養した。その後、(1)で調製したビフィドバクテリウム菌体サンプル(HKB)を終濃度100μg/mLになるよう、又は同体積のPBSを添加し、37℃、5%CO2で6時間培養した。
(3)mRNA遺伝子発現量解析
培養後の細胞について、実施例2(3)と同様にIL-12及びMIP-1αの核発現量を測定した。
【0056】
(4)結果
各群のIL-12の発現量を表4、MIP-1αの発現量を表5にそれぞれ示す。PBS添加と比較してHKB添加によりIL-12及びMIP-1αの発現量はいずれも増加
し、核酸認識TLR阻害剤であるCQ添加によりHKBによるIL-12及びMIP-1αの発現促進が有意に抑制された。具体的には、HKBによるIL-12及びMIP-1αの発現促進活性は、CQ添加によりそれぞれお99.2%及び59.0%抑制された。
上記の結果から、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体によ
るIL-12及びMIP-1αの発現促進は、核酸認識TLRを介した作用であり、該細菌の核酸が関与成分であることが示唆された。
【0057】
【0058】
【0059】
<実施例4>細胞添加試験3
実施例2で示されたビフィドバクテリウム・ブレーベ加熱殺菌体(HKB)による免疫因子産生促進により、免疫賦活(免疫細胞を活性化して外敵や異物の侵入から身を守る活性)が誘導されているかを、細胞障害活性(NK活性)を指標に評価した。
【0060】
(1)添加サンプルの調製
実施例2(1)と同様に、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺
菌処理菌体サンプル(HKB)を調製した。
(2)PBMCの添加実験
末梢血から分離された単球やリンパ球等の多種多様な免疫細胞を含むヒト末梢血単核細胞(PBMC、iQ Biosciences社)を、1.0×106 cells/wellになるよ
うにRPMI培地を入れた24ウェルプレートに播種し、(1)で調製したビフィドバクテリウム菌体サンプル(HKB)を終濃度1.0×108cells/wellになるよう、又は同体積のPBSを添加し、37℃、5%CO2で24時間培養した。
(3)K562の共培養実験
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)に対する感受性が高いことからNK細胞の標的細胞として繁用される白血病細胞株K562をRPMI培地にて37℃、5%CO2で培養した。その後、CFSE(Cayman Chemical社)を15分間反応させてラベル化した。ラベ
ル化されたK562は2.0×104cells/wellになるように、(2)で24時間培養した後のPBMC及び培地と共に37℃、5%CO2で4時間共培養させた。
(4)死細胞染色および測定方法
共培養したK562とPBMCはFixable Viability Dye eFluor 780 (eBioscienc社
)を用いて死細胞染色を行った。K562の死細胞割合はフローサイトメトリーBD FACSCantoを用いて測定した。前記共培養時にPBMCと共培養させず、K562単独培養した群をネガティブコントロールとした。
【0061】
(5)結果
K562の生細胞割合および死細胞割合を表6に示す。K562単培養では死細胞割合は0.15%であったが、PBMCと共培養する事で死細胞割合が増加した。これはPBMCによる細胞障害活性が作用したものと示唆される。PBMCに対してPBSもしくはHKBを処理した際の細胞障害活性を比較すると、HKB処理により死細胞割合は増加した。具体的には、HKBにより各種免疫細胞集団を含むPBMCの細胞障害活性は3.88倍増加した。
以上の結果から、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274の加熱殺菌体によ
り細胞障害活性が高まることで、各種感染等に対する生体防御能を高めることが示唆された。
【0062】