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特開2023-21758ファン装置、ファン付きウェア及びファン本体取付具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021758
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】ファン装置、ファン付きウェア及びファン本体取付具
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/64 20060101AFI20230207BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20230207BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
F04D29/64 B
F04D29/52 B
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126822
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】沖 洋平
(72)【発明者】
【氏名】井上 直紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 和
【テーマコード(参考)】
3B011
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB00
3B011AC02
3B011AC03
3B011AC22
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA96A
3H130CA22
3H130DD05Z
3H130DJ03Z
3H130DJ06X
3H130EA04A
(57)【要約】
【課題】着脱が容易であり、ファンがウェア本体から外れにくいファン装置、ファン付きウェア及びファン本体取付具を提供する。
【解決手段】ウェア本体210の取付孔214に挿通される筒状部21と、筒状部21の軸方向に直交する方向に突出するフランジ部22と、を有するファン本体10と、筒状部21の外側からフランジ部22との間でウェア本体210の取付孔214の縁部を挟み込んだ状態でファン本体10に装着されるファン取付手段30と、を備え、ファン取付手段30は、筒状部21の外周に全周を覆うように取り付けられ、周方向に2つに分割された分割体31a、31aにより構成されるリング部材と、2つの分割体31a、31aの周方向端部同士を固定する固定部材32と、を備え、取付孔214に挿通された筒状部21の外周に取り付けた2つの分割体31a、31aを固定部材32により固定して、ファン本体10をウェア本体210に固定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェア本体に装着されるファン装置であって、
前記ウェア本体に設けられた取付孔に挿通される筒状部と、前記筒状部の軸方向の一端から前記筒状部の前記軸方向に直交する方向に突出するフランジ部と、を有するファン本体と、
前記筒状部の外側から前記フランジ部との間で前記ウェア本体の前記取付孔の縁部を挟み込んだ状態で前記ファン本体に装着されるファン取付手段と、を備え、
前記ファン取付手段は、前記筒状部の外周に全周を覆うように取り付けられるとともに、周方向に2つに分割された分割体により構成されるリング部材と、
前記2つの分割体の周方向端部同士を固定する固定部材と、を備え、
前記取付孔に挿通された前記筒状部の外周に取り付けた前記2つの分割体を、前記固定部材により固定することで、前記ファン本体を前記ウェア本体に固定することを特徴とするファン装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記2つの分割体の一方の周方向端部同士を前記ファン本体装着時の前記軸方向を軸として回動自在に固定する第1固定部材と、他方の周方向端部同士を着脱自在に固定する第2固定部材と、を備えることを特徴とする請求項1記載のファン装置。
【請求項3】
前記リング部材は、ツメ部を内側面に備え、
前記ファン本体は、前記ツメ部が嵌合する溝部を前記筒状部の外側面に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のファン装置。
【請求項4】
前記溝部は、1つの前記ツメ部に対して、前記軸方向の孔幅が異なるものを複数備えることを特徴とする請求項3に記載のファン装置。
【請求項5】
前記2つの分割体は、前記周方向端部同士のうち一方に凹部を備えるとともに他方に前記凹部に嵌合する凸部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のファン装置。
【請求項6】
前記2つの分割体は、前記筒状部に装着時、前記フランジ部と対向する位置に前記2つの分割体の外周部から突出したリングフランジ部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のファン装置。
【請求項7】
ウェア本体と、
前記ウェア本体に装着される請求項1から6のいずれか一項に記載のファン装置と、
を備えることを特徴とするファン付きウェア。
【請求項8】
ウェア本体に設けられた取付孔に挿通される筒状部と、前記筒状部の軸方向の一端から前記筒状部の前記軸方向に直交する方向に突出するフランジ部と、を有するファン本体を前記ウェア本体に取り付けるためのファン本体取付具であって、
前記筒状部の外周に全周を覆うように取り付けられ、周方向に2つに分割された分割体により構成されるリング部材と、
前記2つの分割体の周方向端部同士を固定する固定部材と、を備え、
前記取付孔に挿通された前記筒状部の外周に取り付けた前記2つの分割体を、前記固定部材により固定することで、前記ファン本体を前記ウェア本体に固定することを特徴とするファン本体取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン装置、ファン付きウェア及びファン本体取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェア本体に設けられた平面状のファン取付孔にファン装置を取り付け、ファン装置が取り込んだ大量の外気を身体又は下着の表面と略平行に流通させることにより、身体から出た汗を蒸発させて、身体を冷却するファン付きウェアが実用化されている。
【0003】
このようなファン付きウェアにおいては、例えばウェアを洗浄したり、ファン装置を交換したりするために、ファン装置はウェア本体に対して着脱可能となっている。そして、ファン装置のファン本体をウェア本体に取付リングを介して装着するための方法としては、ファン本体の外壁と取付リングの内壁にそれぞれ雄ネジと雌ネジを設けて、螺合するネジ式のもの(特許文献1参照)が知られている。また、弾性を有する楕円形の取付リングを真円状に変形させるように押圧しながら真円状のファン本体に外嵌した後に、取付リングを押圧する力を解放することで復元力により固定するワンタッチ式のもの(特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-139422号公報
【特許文献2】特開2019-137964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したようなネジ式の場合は、取付リングが外れにくいものの着脱に手間がかかることがある。また、ワンタッチ式の場合は、容易にファン本体を着脱することができるが、ウェア本体が強い力で引っ張られた際に、取付リングに復元力と反対の力が作用して外れてしまうおそれを有する。
【0006】
本発明の目的は、着脱が容易であり、ファン本体がウェア本体から外れにくいファン装置、ファン付きウェア及びファン本体取付具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ウェア本体に装着されるファン装置であって、
前記ウェア本体に設けられた取付孔に挿通される筒状部と、前記筒状部の軸方向の一端から前記筒状部の前記軸方向に直交する方向に突出するフランジ部と、を有するファン本体と、
前記筒状部の外側から前記フランジ部との間で前記ウェア本体の前記取付孔の縁部を挟み込んだ状態で前記ファン本体に装着されるファン取付手段と、を備え、
前記ファン取付手段は、前記筒状部の外周に全周を覆うように取り付けられるとともに、周方向に2つに分割された分割体により構成されるリング部材と、
前記2つの分割体の周方向端部同士を固定する固定部材と、を備え、
前記取付孔に挿通された前記筒状部の外周に取り付けた前記2つの分割体を、前記固定部材により固定することで、前記ファン本体を前記ウェア本体に固定することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のファン装置であって、
前記固定部材は、前記2つの分割体の一方の周方向端部同士を前記ファン本体装着時の前記軸方向を軸として回動自在に固定する第1固定部材と、他方の周方向端部同士を着脱自在に固定する第2固定部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のファン装置であって、
前記リング部材は、ツメ部を内側面に備え、
前記ファン本体は、前記ツメ部が嵌合する溝部を前記筒状部の外側面に備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のファン装置であって、
前記溝部は、1つの前記ツメ部に対して、前記軸方向の孔幅が異なるものを複数備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のファン装置であって、
前記2つの分割体は、前記周方向端部同士のうち一方に凹部を備えるとともに他方に前記凹部に嵌合する凸部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のファン装置であって、
前記2つの分割体は、前記筒状部に装着時、前記フランジ部と対向する位置に前記2つの分割体の外周部から突出したリングフランジ部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、ファン付きウェアであって、
ウェア本体と、
前記ウェア本体に装着される請求項1から6のいずれか一項に記載のファン装置と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、ファン本体取付具であって、
ウェア本体に設けられた取付孔に挿通される筒状部と、前記筒状部の軸方向の一端から前記筒状部の前記軸方向に直交する方向に突出するフランジ部と、を有するファン本体を前記ウェア本体に取り付けるためのファン本体取付具であって、
前記筒状部の外周に全周を覆うように取り付けられ、周方向に2つに分割された分割体により構成されるリング部材と、
前記2つの分割体の周方向端部同士を固定する固定部材と、を備え、
前記取付孔に挿通された前記筒状部の外周に取り付けた前記2つの分割体を、前記固定部材により固定することで、前記ファン本体を前記ウェア本体に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、着脱が容易であり、ファンがウェア本体から外れにくいファン装置、ファン付きウェア及びファン本体取付具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のファン付きウェアの開閉手段を開いた状態における全体図を示す正面図である。
図2A】本実施形態に係るファン装置を示す概略正面図である。
図2B】本実施形態に係るファン装置を示す概略側面図である。
図3】本実施形態に係るファン装置における本体ケースを示す概略側面図である。
図4A】本実施形態に係る閉口状態のファン取付手段を示す概略斜視図である。
図4B】本実施形態に係る開口状態のファン取付手段を示す概略正面図である。
図5】本実施形態に係るファン装置をシート状部材に取り付けた状態を説明するための概略側面図である。
図6】変形例に係る本体ケースを示す概略側面図である。
図7】変形例に係る閉口状態のファン取付手段を示す概略斜視図である。
図8】変形例に係る開口状態のファン取付手段を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係るファン付きウェアの実施形態について詳細に説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
まず、ファン付きウェア100の全体構成について図1を元に説明する。
なお、以下においては、ファン付きウェア100を着用者が着用した状態を基準として、着用者の前側を前、着用者の後側を後、着用者の上側を上、着用者の下側を下、着用者の右手側を右、着用者の左手側を左と定めて説明する。
【0019】
[ファン付きウェア]
ファン付きウェア100は、例えばウェア本体210と、ウェア本体210内部に空気を導入するファン装置1と、ファン装置1に電力を供給する電源部230と、電源部230とファン装置1とを接続する接続ケーブル240と、を備え、ファン装置1によってウェア本体210内に取り込まれた空気を、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通させることで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0020】
〔ウェア本体〕
ウェア本体210は、通気性のない又はファン装置1による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有するシート状部材200によって、着用者の胴部及び腕部を覆う形状に形成される。そして、図1に示すように、例えば一対の開閉手段211、212と、空気漏れ防止手段213と、取付孔214と、空気排出部215と、電源部保持手段216と、ケーブル保持手段217と、を備える。
【0021】
(開閉手段、空気漏れ防止手段)
一対の開閉手段211、212は、ウェア本体210の前身頃において、線ファスナー等を備えて形成された着脱自在な分割部分であり、ウェア本体210の前部を開閉可能とする。
空気漏れ防止手段213は、ウェア本体210の裾部において、ゴム紐等の伸縮性部材を着用者の身体を周回するように備えることによって形成される。そして、ウェア本体210と着用者の身体との間の空間内の空気がウェア本体210の裾部から外部に漏れることを防止する。
【0022】
(取付孔)
取付孔214は、ウェア本体210の後見頃の、着用者の腰の左右に対応する位置に設けられた円形の孔部であり、シート状部材200に形成された開口部201を有している。
開口部201は、ファン付きウェア100の着用時に、外部とウェア本体210と着用者の身体との間の空間と、を繋ぐこととなる孔部であり、当該開口部201にファン装置1が取り付けられる。
【0023】
なお、取付孔214が形成される位置としては、上記の位置に限られない。具体的には例えば、ウェア本体210の側面や前面等に形成することも可能である。
また、1つのウェア本体210における取付孔214の数は2個に限られない。2個より少数又は多数の取付孔214を形成し、これに対応した数のファン装置1を取り付けてもよい。
また、取付孔214の周囲(縁部)は補強されていることが好ましい。具体的には例えば、プラスチック等によって形成された扁平な環状の部材を取り付ける、あるいはウェア本体210を形成するシート状部材200の取付孔214周囲の部分を折り返して縫合する等の方法が挙げられる。
【0024】
(空気排出部)
空気排出部215は、ファン装置1によってウェア本体210と着用者の身体との間の空間内に導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための開口部である。具体的には例えば、着用者の首とウェア本体210の襟部の端部との間の開口部と、着用者の腕とウェア本体210の袖部の端部との間の開口部に形成されている。
【0025】
(電源部保持手段、ケーブル保持手段)
電源部保持手段216は、ファン装置1へ電力を供給可能な位置に電源部230を保持するために、ウェア本体210の内面側に形成されたポケット状の保持手段である。
ケーブル保持手段217は、接続ケーブル240をウェア本体210の内面側に保持するために、接続ケーブル240を挿通可能な開口部を有するように形成されたリング状の保持手段である。
【0026】
〔ファン装置〕
ファン装置1は、図1に示すように、取付孔214を挿通するようにしてウェア本体210に取り付けられ、取付孔214を通して、ウェア本体210と着用者の身体との間の所定の空間に空気を導入するための装置であり、電源部230より、接続ケーブル240を通じて必要な電力が供給される。
【0027】
ファン装置1は、図2Bに示すように、ファン装置1の送風機能を実現するファン本体10と、ファン本体10をウェア本体210に取り付けるための専用具であるファン本体取付具(ファン取付手段)30とを備えている。
具体的にはファン装置1は、筒状部21と、当該筒状部21の軸方向の一端から筒状部21の軸方向と略直交する方向に突出し、取付孔214の外形よりも充分に大きい外形を備えるフランジ部22と、を有するファン本体10と、筒状部21の外周から全周を覆うように取り付けられることにより、フランジ部22との間でシート状部材200を挟み込んだ状態でファン本体10に装着され、ファン本体10をウェア本体210に固定するファン本体取付具30と、を備えている。
【0028】
(ファン本体)
ファン本体10は、図2A及び図3に示すように、本体ケース11と、本体ケース11に内蔵されたモータ(不図示)と、モータの回転軸に装着されたプロペラ(羽根)12と、モータに電源を供給するためのコネクタ(不図示)とにより構成されている。詳細な説明は省略するが、本体ケース11は、上下二つの部分から構成され、これらの部分を組み合わせて合体させることにより形成される。
また、本体ケース11は、図3に示すように、上から第1流通部13と、フランジ付き筒状部20と、第2流通部14と、を備える。
【0029】
<第1流通部>
第1流通部13は、図3に示すように、上面視略円形の中央基部131と、当該中央基部131から放射状に伸びる複数の第1棒状部132と、当該中央基部131を中心とする第1輪状部133とから構成されている。
複数の第1棒状部132及び第1輪状部133からなる部分は十分な通気性を有しているため、プロペラ12が回転すると外気を内部に取り込むことができる。また、当該部分により、外部から指等が入らないようにして、回転中のプロペラ12から指を守ることができる。
【0030】
<フランジ付き筒状部>
フランジ付き筒状部20は、図3に示すように、第1流通部13の第1棒状部132に連なって形成されたフランジ部22と、中空状の筒状部21とからなる。
筒状部21をその中心軸に垂直な平面で切ったときの断面は略円形状である。外側面のうち、後述するツメ部34に対応する箇所には、孔部である複数の溝部23が設けられており、後述する切り欠き部31cに対応する箇所には、複数の突起24が設けられている。
【0031】
<第2流通部>
第2流通部14は、図3に示すように、複数の第2棒状部142及び第2輪状部143と、モータを固定するためのモータ固定部144と、モータ固定部144の下側に取り付けられたモータ蓋145とからなる。
第1流通部13と同様に、複数の第2棒状部142及び第2輪状部143からなる部分は十分な通気性を有している。また、当該部分により、外部から指などが入らないようにして、回転中のプロペラ12から指を守ることができる。
【0032】
このように本体ケース11が構成されているため、モータ固定部144に固定されたモータが回転し、プロペラ12が回転すると、第1流通部13から取り込んだ外気を第2流通部14から排出することができ、ウェア本体210と着用者の身体との間の空間に外気を流通させることができる。
【0033】
〔ファン本体取付具〕
ファン本体取付具30は、図4A及び図4Bに示すように、リング部材31と、固定部材32と、嵌合部33と、ツメ部34と、リングフランジ部35と、を備える。
ファン本体取付具30としては、強度に優れてかつ軽量であるのが好ましく、例えばABS樹脂から形成するのが好ましいが、これに限られない。
【0034】
(リング部材)
リング部材31は、2つに分割された分割体31a、31aで構成される。2つの分割体31a、31aの長手方向の端部には、固定部材32が設けられ、2つの分割体31a、31aの端部同士が固定される。
【0035】
閉口状態におけるリング部材31は、筒状部21の外面の形状と略同一か僅かに大きい形状の内面31bを有する上面視略円形の部材であり、内面31bには切り欠き部31cが設けられている。
突起24に対応する切り欠き部31cがリング部材31に設けられていることで、リング部材31をファン本体10に取り付ける際に、突起24が切り欠き部31cへと案内されることとなり、より容易にリング部材31をファン本体10に取り付けることができる。また、突起24と切り欠き部31cとが嵌合することで、よりリング部材31が回転しづらくなる。
【0036】
(固定部材)
固定部材32は、2つの分割体31a、31aの端部に設けられ、2つの分割体31a、31a同士を固定する部材であり、第1固定部材32aと、第2固定部材32bとを備える。
【0037】
<第1固定部材>
第1固定部材32aは、当該第1固定部材32aを軸として2つの分割体31a、31aの端部同士を回転可能に固定する。これにより、リング部材31を自在に閉口状態(図4A参照)、あるいは開口状態(図4B参照)とすることができる部材である。第1固定部材32aとしては、リング部材31内にファン本体10を収めることができるだけ開口させることができればよく、例えば旗丁番などの適宜公知の構成を用いることができる。
【0038】
<第2固定部材>
第2固定部材32bは、例えば図4Aに示されるように、互いに係合することで、閉口状態としたリング部材31を閉口状態のまま固定することが可能である着脱自在な部材である。具体的には例えば図4Bに示されるように、回動自在なフック32baと留め具32bbであって、フック32baを留め具32bbに向けて回動させて係止状態とすることで閉口状態とすることができ、フック32baを留め具32bbから離間するように回動させて係止状態を解除することで開口状態とすることができる。
第2固定部材32bとしては、このようなフック32baと留め具32bbに限られず、適宜公知の構成を用いることができる。
【0039】
(嵌合部)
嵌合部33は、2つの分割体31a、31aの端部にそれぞれ設けられた一対の凹部33a及び凸部33bであって、図4Aに示されるように、凸部33bを凹部33aに差し込むことで互いに嵌合するように設けられている。
【0040】
本発明においては、第2固定部材32bによって、リング部材31に対する開放方向の外力に対する強度を高め、嵌合部33によって、リング部材31に対するねじり方向の外力に対する強度をそれぞれ高めている。また、嵌合部33を備えることで、リング部材31を閉口状態とする際に位置ズレが生じるのを防ぐことができる。
【0041】
(ツメ部)
ツメ部34は、リング部材31の内側面に設けられた突起部であり、筒状部21の溝部23に嵌合するように形成されている。互いに嵌合する溝部23及びツメ部34をそれぞれ設け、ファン本体取付具30をファン本体10に取り付ける際にツメ部34を溝部23に嵌合させることで、リング部材31がファン本体10に対して回転してしまうのを防ぐことができる。
なお、ツメ部34の周方向の幅長は、溝部23の周方向の孔幅と略同一であるのが好ましい。
【0042】
(リングフランジ部)
リングフランジ部35は、ファン本体取付具30の側面部の下端部から、側面部と略垂直な方向に突出する部材であって、取付孔214の外形よりも充分に大きい外形となっている。
ファン本体取付具30がリングフランジ部35を備えることで、ファン本体10をウェア本体210に取り付ける際に、フランジ部22と対向するようにリングフランジ部35が位置することとなり、ファン装置1の固定強度をより高めることができる。
【0043】
[ファンの取り付け方]
上記したようなファン本体取付具30を用いてファン本体10をウェア本体210に取り付けるには、以下(1)~(3)の手順の通りにすればよい。
(1)ウェア本体210の外側から、ファン本体10を取付孔214の開口部201に入れ込み、シート状部材200とフランジ部22を当接させる。
(2)次いで、ウェア本体210の内側から、リングフランジ部35がシート状部材200と接し、かつツメ部34が溝部23に嵌まるように、筒状部21の外周から全周を覆うようにリング部材31を開口状態から閉口状態にして取り付ける。
(3)次いで、嵌合部33を嵌合させた後、第2固定部材32bによりリング部材31を閉口状態のまま固定する。
【0044】
[発明の効果]
本実施形態に係るファン装置1においては、上記したようにファン本体取付具30をファン本体10に取り付けることで、ファン装置1をウェア本体210に固定する。すなわち、図5に示すように、開口部201の周囲におけるシート状部材200が、フランジ部22の裏面と、リング部材31とによって挟み込まれるため、確実にファン装置1をウェア本体210に取り付けることができる。また、ネジ式によってファン装置を取り付ける場合に比べて容易にファン装置1をウェア本体210に取り付け、固定することができる。
【0045】
また、弾性を有する楕円形のリング部材の外嵌によりファンを固定するワンタッチ式の場合、当該リング部材を押圧変形させやすくするために薄厚のものとする必要があったが、本発明はこのような制限を有しない。そのため、目的に応じてリング部材31の厚さを任意のものとすることができる。
【0046】
また、ワンタッチ式の場合においては、押圧変形させるためにフランジを設けることが困難であったが、本発明はこのような制限を有しない。そして、取付孔214の外形よりも大きいリングフランジ部35をファン本体取付具30に設けることで、ファン装置1が外れるリスクを更に低減させることができる。
【0047】
[変形例]
なお、図2Aから図4Bにおいては、上面視略円形のファン本体10に取り付けられる上面視略円形のリング部材31を図示したが、ファン本体10及びリング部材31の形状はこれに限られず、例えば多角形状であっても構わない。
【0048】
また、図3においては、溝部23として、その軸方向の幅長がシート状部材200の前後方向の幅長(すなわち、シート状部材200の厚さ)とツメ部34の軸方向の幅長の和と略同一となるものを、1つのリング部材31に設けられたツメ部34の個数と対応する個数(図3においては2つ)だけ筒状部21に設けたファン本体10を図示したがこれに限られない。
例えば、図6に示すように、軸方向の孔幅が異なる溝部23を複数設けるようにしても構わなく、このようにすることで、装着されるウェア本体210の厚みの制限を緩和することができる。すなわち、ファン装置1を装着可能なウェア本体210について薄手のものから厚手のものまで大幅に拡大することができるようになる。
またこのとき、図6に示すように、軸方向の孔幅が異なる溝部23ごとに異なる記号を近傍部に印字する、あるいは軸方向の孔幅が異なる溝部23ごとに異なる色を近傍部に着色する等の方法により、現在使用しているウェア本体210においては、いずれの溝部23にツメ部34を嵌合させるのかを判別しやすくするとなおよい。
【0049】
また、図3及び図4Aにおいては、溝部23及びツメ部34を筒状部21及びファン本体取付具30の軸方向略中央部に設けた場合を図示したがこれに限られない。
上記したように、ファン本体10が軸方向の孔幅が異なる溝部23を複数備える場合、溝部23及びツメ部34を軸方向端部等に設けることで、シート状部材200の厚みに応じて、ファン本体取付具30を上下逆さまに使用して、溝部23におけるシート状部材200とツメ部34の噛み合い方を調節することができる。
この時、上下どちらでファン本体取付具30を使用しても略同一の固定強度を確保することができるように、リングフランジ部35をリング部材31の下端部だけでなく、上端部にも設けるようにしてもよい。
【0050】
また、図4B等においては、1つの分割体31aの両端部に第1固定部材32aと第2固定部材32bがそれぞれ設けられている場合を図示したが、これに限られず、図8に示すように、1つの分割体31aの両端部に第2固定部材32bを設けるようにして、分割体31a、31aを分割できるようにしてもよい。
【0051】
また、図3においては2つの溝部23を備えるファン本体10を図示し、図4A及び図4Bにおいては2つのツメ部34を備えるリング部材31を図示したが、これに限られず、2つより少数あるいは多数の溝部23及びツメ部34を備えるものとしても構わない。
【0052】
また、ファン装置1の固定強度によっては、図7に示すように、リングフランジ部35を備えないリング部材31としても構わない。
【0053】
本例においては、筒状部21の形状を円筒形状として説明したが、四角柱状等の他の形状であっても良く、筒状部21の形状に応じてリング部材31を形成すれば良い。さらに本例においてはリング部材31を2つの部材から構成する形態を用いて説明したが、3分割で構成する等、適宜変更は可能である。その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
100 ファン付きウェア
1 ファン装置
10 ファン本体
21 筒状部
22 フランジ部
23 溝部
30 ファン本体取付具(ファン取付手段)
31 リング部材
31a 分割体
32 固定部材
32a 第1固定部材
32b 第2固定部材
33a 凹部
33b 凸部
34 ツメ部
35 リングフランジ部
200 シート状部材
210 ウェア本体
214 取付孔
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8