(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021763
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】転倒防止部材、配設箱、転倒防止構造、および接続方法
(51)【国際特許分類】
F16M 13/00 20060101AFI20230207BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20230207BHJP
H02B 3/00 20060101ALN20230207BHJP
H02B 1/54 20060101ALN20230207BHJP
【FI】
F16M13/00 T
F16M13/00 N
F16M13/00 P
F16M13/00 S
F16B45/00 Z
H02B3/00 D
H02B1/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126832
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】野津 崇司
【テーマコード(参考)】
3J038
5G016
【Fターム(参考)】
3J038AA01
3J038BA01
3J038BA14
3J038BB03
5G016AA04
5G016BA06
(57)【要約】
【課題】作業負荷を低減する。
【解決手段】転倒防止用金具(2)は、配設箱(1)と、当該配設箱(1)よりも上方に位置する支持部材(3)とを接続する、ものであって、配設箱(1)に取り付け可能なボルト(4)を挿通する長孔(213)を有する本体(21)と、本体(21)の一方の端部に設けられ、支持部材(3)に掛止可能なフック部(22)と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配設箱と、当該配設箱よりも上方に位置する支持部材とを接続する、転倒防止部材であって、
前記配設箱に取り付け可能なボルトを挿通する貫通孔を有する本体と、
前記本体の一方の端部に設けられ、前記支持部材に掛止可能なフック部と、を備えている、転倒防止部材。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記本体の長手方向に延びる長孔である、請求項1に記載の転倒防止部材。
【請求項3】
前記フック部は、U字形状を有する、請求項1または2に記載の転倒防止部材。
【請求項4】
前記本体は、一方向に延伸する第1板状部と、前記第1板状部に沿って角度をなして位置している第2板状部とを有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の転倒防止部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の転倒防止部材を少なくとも1つ備える、配設箱。
【請求項6】
配設箱よりも上方に位置する支持部材と、
請求項1から4のいずれか1項に記載の転倒防止部材と、を備える、転倒防止構造。
【請求項7】
前記支持部材は、円柱または円筒形状を有する、請求項6に記載の転倒防止構造。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の転倒防止部材を用いて、前記配設箱と前記支持部材とを接続する方法であって、
前記フック部を、前記支持部材に掛ける工程と、
前記貫通孔および前記配設箱に設けられた孔にボルトを挿通し、前記転倒防止部材を前記配設箱に取り付ける工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転倒防止部材、配設箱、転倒防止構造、および接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器を収容する配設箱は、地震などの揺れによって配設箱が転倒する可能性を低減するために、転倒防止対策が講じられている。特許文献1には、下端部が床に固定され上端部が天井固定部材を介して天井に固定された配設箱と、この配設箱の内部に配設された電気機器とを備え、前記天井固定部材を、地震時に前記天井と前記配設箱が水平方向に相対移動可能となるように構成した電気機器配設装置が記載されている。当該天井固定部材は、ボルトにより天井に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなボルトを用いた天井への固定では、天井近傍での高所作業が必要となり、作業負荷が大きいという問題があった。
【0005】
本発明の一態様は、転倒防止部材を取り付けるときの作業負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る転倒防止部材は、配設箱と、当該配設箱よりも上方に位置する支持部材とを接続する、転倒防止部材であって、前記配設箱に取り付け可能なボルトを挿通する貫通孔を有する本体と、前記本体の一方の端部に設けられ、前記支持部材に掛止可能なフック部と、を備えている。
【0007】
また、本発明の一態様に係る配設箱は、転倒防止部材を少なくとも1つ備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る転倒防止構造は、配設箱よりも上方に位置する支持部材と、転倒防止部材と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る方法は、転倒防止部材を用いて、前記配設箱と前記支持部材とを接続する方法であって、前記フック部を、前記支持部材に掛ける工程と、前記貫通孔および前記配設箱に設けられた孔にボルトを挿通し、前記転倒防止部材を前記配設箱に取り付ける工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、転倒防止部材を取り付けるときの作業負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配設箱の斜視図である。
【
図2】
図1に示される配設箱をX軸負方向から見たときの側面図である。
【
図5】
図4に示すフック部の変形例を示す図である。
【
図6】
図2において一点鎖線にて示される部分の拡大図である。
【
図7】
図1および2に示される配設箱の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。各図面において、X軸およびY軸は、水平面(配設箱の接地面)内における互いに垂直な2方向の軸である。X軸正方向を左方向、X軸負方向を右方向と称することもある。また、Y軸正方向を奥方向、Y軸負方向を手前方向と称することもある。Z軸は水平面に対して鉛直に延びる軸であり、Z軸正方向を上方向、Z軸負方向を下方向と称することもある。
【0013】
<配設箱1>
図1は、本発明の一実施形態に係る転倒防止構造100を備える配設箱1の斜視図である。
図2は、
図1に示される配設箱1をX軸負方向から見たときの側面図である。
【0014】
配設箱1は、電気機器を内部に収容し、現場に配設するための筐体である。配設箱1は、例えば配電盤、キュービクルなどを構成するために使用され得る。配設箱1は、ビルまたは工場などの所定の場所に搬入され、設置され得る。配設箱1は、少なくとも左側面11と、右側面12と、背面13と、扉14とを有している。
【0015】
配設箱1は、後述する、転倒防止構造100の転倒防止用金具2を取り付けるための孔15を有している(
図6参照)。
【0016】
<転倒防止構造100>
図1および2に示すように、配設箱1は、転倒防止構造100を備えている。配設箱1は、ビルまたは工場などの所定の場所に設置される場合、あるいは配設箱1の内部の組立作業時などに工場内に一時的に設置される場合、安全のために転倒防止対策が施されることが好ましい。転倒防止構造100は、地震などによって配設箱1が転倒する可能性を低減するための構造であり、支持部材3と、転倒防止用金具2(転倒防止部材)とを備えている。より具体的には、転倒防止構造100は、配設箱1よりも上方に位置し、建物の壁または天井などに対して固定されている支持部材3と、配設箱1と、を転倒防止用金具2によって接続することにより、配設箱1が転倒する可能性を低減するものである。
【0017】
以下に、転倒防止構造100を構成する支持部材3と、転倒防止用金具2について詳述する。
【0018】
(支持部材3)
図1および2に示すように、本発明の一実施形態に係る転倒防止構造100は、支持部材3と、転倒防止用金具2と、を備える。支持部材3は、配設箱1よりも上方に位置する部材であり、ビルまたは工場などの建物に対して直接または間接的に固定され得る。支持部材3は、建物に既設されている部材(以下、既設部材と称する)であってもよい。既設部材としては、例えば、電気またはインターネット配線用のパイプを利用することができる。あるいは、支持部材3は、配設箱1を配設するために、適切な場所に新たに設置される部材であってもよい。支持部材3を新たに設置する場合には、支持部材3を建物の壁などに対して任意の方法によって固定してもよいし、既設部材に対して、支持部材3を固定してもよい。既設部材に対して支持部材3を固定する場合には、例えば既設部材と、支持部材3とを、接続金具を用いて接続してもよい。支持部材3の材質は特に限定されないが、強度を確保するために、硬質の樹脂または金属から構成されることが好ましい。
【0019】
支持部材3は、例えば、円筒形状を有していてもよい。換言すると、支持部材3は、長いパイプ(例えば金属パイプまたは樹脂製パイプ)であってもよい。本発明の一実施形態において、支持部材3は、配設箱1よりも上方に位置し、X軸方向に延在する金属パイプであり得る。支持部材3は、互いに対向する壁面(不図示)を接続するように固定されていてもよい。なお、支持部材3は、パイプに限定されない。後述するフック部22が掛止可能であれば、支持部材3は、他の形状であってもよい。
【0020】
図3は、支持部材3の変形例を示す図である。
図3の符号3001は、断面が中空の矩形である柱状の支持部材3Aを示す図である。
図3の符号3002は、断面が中実の円形である柱状の支持部材3Bを示す図である。
図3の符号3003は、断面が中実の矩形である柱状の支持部材3Cを示す図である。支持部材3が柱状の部材である場合、その断面形状は、上述した例に限定されず、楕円形状、多角形状であってもよい。
【0021】
あるいは、支持部材3は、後述するフック部22が掛止可能であればよく、編目構造を有する部材、例えば、金属製ネットであってもよい。
【0022】
(転倒防止用金具2)
図4は、転倒防止用金具2の構成を示す図である。
図4に示すように、転倒防止用金具2は、本体21と、フック部22と、を備えている。
【0023】
本体21は、一方向に延伸する金属部材であり、第1板状部211と、第1板状部211に沿って角度をなして位置している第2板状部212と、を有している。第1板状部211と、第2板状部212とにより形成される鋭角側の角度は、例えば、70°以上120°以下、好ましくは80°以上100°以下であり得る。本体21は、断面形状がL字の金具であってもよい。本体21の長手方向の長さは、転倒防止用金具2を配設箱1に取り付けるボルト4(
図6参照)の位置と、支持部材3との距離によって任意に設計され得る。
【0024】
第1板状部211は、配設箱1に取り付け可能なボルト4を挿通する貫通孔として、長手方向に延びる長孔213を有している。ボルト4は、配設箱1と、転倒防止用金具2と、を締め付け固定するための部材である。ボルト4は特に限定されず、例えば、六角ボルト、蝶ボルトを用いることができる。ボルト4が蝶ボルトである場合、固定または取り外し作業の際に工具が不要となるためより好ましい。ボルト4は、転倒防止用金具2の長孔213と、配設箱1に設けられる孔15とを挿通し得る。挿通したボルト4とナットとを用いて締め付けることにより転倒防止用金具2と配設箱1とを固定することができる。
【0025】
転倒防止用金具2に設けられる貫通孔が長孔213であることにより、転倒防止用金具2を配設箱1に取り付けるボルト4の位置が固定されている場合であっても、配設箱1と転倒防止用金具2との相対位置を変化させることができる。そのため、配設箱1と支持部材3との距離に応じて、配設箱1からの転倒防止用金具2の延伸距離を調節できる。
【0026】
フック部22は、転倒防止用金具2を支持部材3に掛止するための要素である。フック部22は、例えば金属製であり、本体21の一方の端部の、第1板状部211および第2板状部21bが接続されている部分において、本体21に溶接され得る。第1板状部211と、第2板状部212とが角度をなして位置していることにより、溶接されている箇所の強度を高めることができるとともに、フック部22を本体21に溶接する溶接作業の容易性を向上させることができる。
【0027】
フック部22は、第1直線部221と、湾曲部222と、第2直線部223とを有している。第1直線部221は、一端が本体21と接続され、本体21の長手方向に沿って延伸する部分である。第1直線部221の他端は、湾曲部222の一端と接続されている。湾曲部222の他端は、第1直線部221と略平行に延伸する第2直線部223と接続されている。換言すれば、フック部22は、U字形状を有する。なお、本体21との接続のために、第1直線部221は、第2直線部223よりも長い。フック部22が上記構成を有することにより、フック部22を、円筒形状を有する支持部材3に容易に掛けることができる。フック部22は、一体的に形成された1つの部品であってもよいし、第1直線部221、湾曲部222および第2直線部223がそれぞれ接続されている部材であってもよい。
【0028】
湾曲部222の曲率は、支持部材3の曲率よりも若干大きく構成されている。これにより、湾曲部222が支持部材3に係止可能となる。また、第2直線部223の先端(フック部22の先端)は、湾曲部24が支持部材3に掛止されている場合に、支持部材3よりも下側に位置している(
図1、2参照)。換言すると、本体21の延伸方向に沿った、湾曲部222の頂部と、フック部22の先端との距離は、支持部材3の直径よりも大きい。これにより、地震などにより揺れが生じた場合であっても、フック部22が支持部材3に掛止した状態をより維持することができる。
【0029】
上述した転倒防止用金具2は、金属で構成されている。しかしながら本開示に係る転倒防止部材は、加工が可能であり、十分な強度を確保し得るものであれば、樹脂などの金属以外の材料で構成されていてもよい。
【0030】
(フック部22の変形例)
図5の符号5001~5003によって示す図は、それぞれ
図4に示すフック部22の変形例を示す図である。
【0031】
フック部は、
図5の符号5001に示すフック部22Aのように湾曲部を有さない形状であってもよい。フック部22Aは、第1直線部221Aと、第2直線部223Aと、第3直線部224Aとを有している。第1直線部221Aおよび第2直線部223Aは略平行方向に延伸しており、第1直線部221Aと、第2直線部223Aとは、第3直線部224Aによって接続されている。第2直線部223Aは、第1直線部221Aよりも短く構成されている。これにより、フック部22Aを支持部材3に掛止するときに、第2直線部223A側から容易に掛けることができる。フック部22Aは、
図3の符号3001に示す支持部材3Aまたは符号3003に示す支持部材3Cのように、支持部材が矩形を有する場合により好適に用いられ得る。
【0032】
あるいは、フック部は、
図5の符号5002に示すフック部22Bのように、クエスチョンマーク様の形状を有していてもよい。すなわち、フック部22Bは、一方向に延在する第1直線部221Bと、一端が第1直線部221Bに接続されており、半円形状を有する湾曲部222Bと、を有していてもよい。
【0033】
あるいは、フック部は、
図5の符号5003に示すフック部22Cのように、一方向に延在する第1直線部221Cと、第2直線部223Cと、第3直線部224Cとを有していてもよい。第1直線部221Cと、第2直線部223Cとは、第3直線部224Cによって接続されている。第1直線部221Cと第3直線部224Cとは略直角に接続されている一方、第2直線部223Cと、第3直線部224Cとの接続は鈍角となるように接続されている。第2直線部223Cと、第3直線部224Cとがなす角が鈍角であることにより、フック部22Cを支持部材3に掛けるのが容易となる。
【0034】
なお、上記実施形態では、本体21とフック部22とが接続されている構成を例示したが、本体21とフック部22とは一体形成されていてもよい。その場合、本体21とフック部22とを溶接する必要がないため、第1板状部211と第2板状部212とがなす角は180°であってもよい。
【0035】
<転倒防止用金具2と配設箱1との接続>
図6は、
図2において一点鎖線にて示される部分の拡大図である。
図6の符号6001は、転倒防止用金具2が配設箱1に取り付けられていない状態を示す図である。
図6の符号6002は、転倒防止用金具2が配設箱1に取り付けられている状態を示す図である。
【0036】
図6の符号6001に示すように、配設箱1の右側面12には、孔15が形成されている。孔15は丸孔であっても、Z軸方向に沿って延びる長孔であってもよい。孔15が長孔である場合には、転倒防止用金具2を支持部材3に取り付ける際に、転倒防止用金具2と支持部材3との相対位置関係を変更できる自由度が向上するためより好ましい。
図6の符号6002に示すように、長孔213と、孔15とが重なる位置に、ボルト4を挿通させることにより、転倒防止用金具2を配設箱1に取り付けることができる。孔15は、配設箱1の上方に形成され得る。
【0037】
上述の実施形態では転倒防止用金具2は、右側面12に取り付けられているが、当該例に限定されず、転倒防止用金具2を支持部材3に掛止めできる位置であれば、配設箱1のいずれの位置に取り付けられていてもよい。例えば、単一の転倒防止用金具2は、左側面11または背面13に取り付けられていてもよい。
【0038】
<配設箱1と支持部材3とを接続する方法>
以下に、本発明の一実施形態に係る配設箱1と支持部材3とを接続する例示的な方法について説明する。
【0039】
まず、転倒防止用金具2を準備し、フック部22を、支持部材3に掛ける。転倒防止用金具2が支持部材3に掛けられた状態のまま、転倒防止用金具2の長孔213と、配設箱1の孔15をと位置合わせし、位置合わせした2つの孔にボルト4を挿通する。必要に応じてナットを用いて転倒防止用金具2を、配設箱1に取り付ける(固定する)。
【0040】
フック部22を有する転倒防止用金具2を用いることにより、高所にある支持部材と、転倒防止用金具2とを容易に接続することができる。すなわち、転倒防止用部材を取り付けるときの作業負荷を従来よりも低減することができる。
【0041】
<配設箱の変形例>
図7は、
図1および2に示される配設箱1の変形例を示す図である。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0042】
図7に示す配設箱1Aは、上述した実施形態の配設箱1と異なり、2つの転倒防止用金具2を備えている。
【0043】
図7に示すように、一方の転倒防止用金具2は、右側面12の手前側に取り付けられている。他方の転倒防止用金具2は、左側面11の奥側に取り付けられている。右側面12に取り付けられている転倒防止用金具2のフック部22は、手前側から奥側に向けて、支持部材3に掛けられている。一方、左側面11に取り付けられている転倒防止用金具2のフック部22は、奥側から手前側に向けて支持部材3に掛けられている。この場合、支持部材3は、配設箱1の前後方向Yの略中央上部に位置していることが好ましい。2つの転倒防止用金具2は、それぞれ支持部材3の手前側および奥側から掛けられるため、配設箱1と比べて掛止めの安定性を増すことができる。
【0044】
なお、配設箱1は、転倒防止用金具2を少なくとも1つ備えていればよい。例えば、配設箱1は、3つ以上の転倒防止用金具2を備えていてもよい。
【0045】
〔まとめ〕
本発明の一態様に係る転倒防止部材2は、配設箱1と、配設箱1よりも上方に位置する支持部材3とを接続する、転倒防止部材2であって、配設箱1に取り付け可能なボルト4を挿通する貫通孔を有する本体21と、本体21の一方の端部に設けられ、支持部材3に掛止可能なフック部22と、を備えている。
【0046】
上記の構成では、転倒防止部材2と、配設箱1よりも上方に位置する支持部材3とをボルト4を用いずに接続することができる。転倒防止部材2を用いることにより、作業負荷を低減することができる。
【0047】
前記貫通孔は、本体21の長手方向に延びる長孔213であってもよい。
【0048】
上記の構成によれば、貫通孔が長孔213であることにより、転倒防止部材2を配設箱1に取り付けるボルト4の位置が固定されている場合であっても、配設箱1と転倒防止部材2との相対位置を変化させることができる。そのため、配設箱1と支持部材3との距離に応じて、配設箱1からの転倒防止部材2の延伸距離を調節できる。
【0049】
フック部22は、U字形状を有してもよい。
【0050】
上記の構成によれば、フック部22がU字形状を有していることにより、フック部22を支持部材3に容易に掛けることができる。
【0051】
本体21は、一方向に延伸する第1板状部211と、第1板状部211に沿って角度をなして位置している第2板状部212とを有していてもよい。
【0052】
上記の構成によれば、本体21と、フック部22とを溶接などによって接合する場合、角度をなす第1板状部211と第2板状部212との、鋭角側の境界に接合することにより、接合が容易であり、かつ強固に接合することができる。また、本体21が平板である場合と比較して強度が向上する。
【0053】
本発明の一態様に係る配設箱1は、転倒防止部材2を少なくとも1つ備える。
【0054】
上記の構成によれば、転倒防止部材2を高所へ取り付けるときの作業負荷を従来よりも低減することができる。
【0055】
本発明の一態様に係る転倒防止構造100は、配設箱1よりも上方に位置する支持部材3と、転倒防止部材2と、を備える。
【0056】
上記の構成によれば、転倒防止部材2を高所へ取り付けるときの作業負荷を従来よりも低減することができる。
【0057】
支持部材3は、円柱または円筒形状を有してもよい。
【0058】
上記の構成によれば、フック部を様々な方向から掛けやすい。
【0059】
本発明の一態様に係る方法は、転倒防止部材2を用いて、配設箱1と支持部材3とを接続する方法であって、フック部22を、支持部材3に掛ける工程と、貫通孔(長孔213)および配設箱1に設けられた孔15にボルト4を挿通し、転倒防止部材2を配設箱1に取り付ける工程と、を含む。
【0060】
上記の構成によれば、転倒防止部材2を高所へ取り付けるときの作業負荷を従来よりも低減することができる。
【0061】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1、1A 配設箱
2 転倒防止用金具(転倒防止部材)
3 支持部材
4 ボルト
15 孔
21 本体
211 第1板状部
212 第2板状部
213 長孔(貫通孔)
22、22A、22B、22C フック部
100、100A 転倒防止構造