(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021764
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20230207BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230207BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230207BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230207BHJP
C23C 16/505 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01L21/302 101C
H01L21/205
H01L21/31 C
C23C16/505
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126833
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松尾 大輔
(72)【発明者】
【氏名】安東 靖典
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA05
2G084BB13
2G084BB32
2G084CC13
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2G084DD04
2G084DD12
2G084DD62
4K030AA04
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4K030AA18
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4K030LA18
5F004AA16
5F004BA20
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5F045DQ10
5F045EB03
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5F045EH03
5F045EH11
(57)【要約】
【課題】誘電体板の取り扱いを容易にするとともに、誘電体板の熱膨張により誘電体板が破損する可能性を低減する。
【解決手段】プラズマ処理装置(1)は、真空容器(2)と、アンテナ(6)と、磁場導入窓(3)と、を備え、磁場導入窓(3)は、複数のスリット(41)が形成され、架橋部(42)を有する金属板(4)と、複数のスリット(41)を覆う複数の長方形状の誘電体板(5)と、を有し、隣り合う誘電体板(5)それぞれの、互いに対向するように隣接する辺が架橋部(42)上に位置するように、複数の誘電体板(5)が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を内部に収容する真空容器と、
前記真空容器の外部に設けられ、高周波磁場を生じさせるアンテナと、
前記真空容器の内部でプラズマを発生させるために、前記高周波磁場を前記真空容器の内部に導入させる、前記真空容器の壁面に設けられた磁場導入窓と、を備え、
前記磁場導入窓は、
複数のスリットが形成され、前記複数のスリットの間に形成される架橋部を有する金属板と、
前記複数のスリットを覆うように並べられて配置される複数の長方形状の誘電体板と、を有し、
隣り合う前記誘電体板それぞれの、互いに対向するように隣接する辺が前記架橋部上に位置するように、複数の前記誘電体板が配置されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記互いに対向するように隣接する辺の間には、隙間が形成されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記互いに対向するように隣接する辺は、それぞれ前記誘電体板の短辺であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記誘電体板は、前記誘電体板の四辺のうちの一の短辺領域のみが前記架橋部上で前記金属板に固定されることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
特定の前記架橋部上で前記金属板にそれぞれ固定された、隣り合う前記誘電体板それぞれの、互いに対向するように隣接する辺の間には、緩衝材が設けられることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スリットが形成されている金属板と、金属板に接触して支持され、スリットを塞ぐ誘電体板と、金属板に対向するように処理室の外部に設けられ、高周波磁場を生じさせるアンテナと、を備えるプラズマ処理装置が開示されている。特許文献1に開示のプラズマ処理装置は、アンテナから生じた高周波磁場を処理室に効率良く供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラズマ処理を施す処理面積を拡大するためにプラズマ処理装置を大型化する場合、特許文献1に開示のプラズマ処理装置のように、1枚の誘電体板が金属板に接触して支持されているとき、誘電体板の取り扱いが困難になるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、誘電体板の取り扱いを容易にするとともに、誘電体板の熱膨張により誘電体板が破損する可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るプラズマ処理装置は、被処理物を内部に収容する真空容器と、前記真空容器の外部に設けられ、高周波磁場を生じさせるアンテナと、前記真空容器の内部でプラズマを発生させるために、前記高周波磁場を前記真空容器の内部に導入させる、前記真空容器の壁面に設けられた磁場導入窓と、を備え、前記磁場導入窓は、複数のスリットが形成され、前記複数のスリットの間に形成される架橋部を有する金属板と、前記複数のスリットを覆うように並べられて配置される複数の長方形状の誘電体板と、を有し、隣り合う前記誘電体板それぞれの、互いに対向するように隣接する辺が前記架橋部上に位置するように、複数の前記誘電体板が配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、誘電体板の取り扱いを容易にするとともに、誘電体板の熱膨張により誘電体板が破損する可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係るプラズマ処理装置の断面構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示すプラズマ処理装置の平面図である。
【
図3】
図2に示す点線DLで囲まれた部分を拡大した拡大図である。
【
図4】
図3に示す誘電体板の辺51A付近及び辺52A付近を示す断面図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係るプラズマ処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
<プラズマ処理装置1の構成>
図1は、本発明の実施形態1に係るプラズマ処理装置1の断面構成を示す断面図である。
図1において、アンテナ6が延伸する方向をX軸方向、真空容器2からアンテナ6に向かう方向をZ軸方向、X軸方向及びZ軸方向の両方の方向に直交する方向をY軸方向とする。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに直交する方向である。
図2は、
図1に示すプラズマ処理装置1の平面図である。
図2では、アンテナ6及び高周波電源7を省略している。
【0010】
図1に示すように、プラズマ処理装置1は、誘導結合型のプラズマP1を用いて基板等の被処理物W1にプラズマ処理を施すものである。ここで基板は、例えば液晶ディスプレイもしくは有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板、またはフレキシブルディスプレイ用のフレキシブル基板等である。また、被処理物W1は、各種用途に用いられる半導体基板であり得る。さらに被処理物W1は、例えば工具等のように、基板状の形態には限られない。被処理物W1に施す処理は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法あるいはスパッタ法による膜形成、プラズマによるエッチング、アッシング、被覆膜除去等である。
【0011】
プラズマ処理装置1は、真空容器2と、磁場導入窓3と、アンテナ6と、高周波電源7と、保持部8と、を備える。真空容器2の内部には、真空排気され、かつ、ガスが導入される処理室21が形成される。真空容器2は例えば金属製の容器である。真空容器2の壁面22には、厚さ方向に貫通する開口部23が形成されている。真空容器2は電気的に接地されている。
【0012】
処理室21に導入されるガスは、処理室21に収容される被処理物W1に施す処理内容に応じたものにすればよい。例えば、プラズマCVD法によって被処理物W1に膜形成を行う場合には、ガスは、原料ガスまたはそれをH2等の希釈ガスで希釈したガスである。より具体例を挙げると、原料ガスがSiH4の場合はSi膜を、SiH4+NH3の場合はSiN膜を、SiH4+O2の場合はSiO2膜を、SiF4+N2の場合はSiN:F膜(フッ素化シリコン窒化膜)を、それぞれ被処理物W1上に形成することができる。
【0013】
<磁場導入窓3の構成>
磁場導入窓3は、金属板4及び複数の誘電体板5を有する。磁場導入窓3は、処理室21でプラズマを発生させるために、アンテナ6から生じた高周波磁場を処理室21に導入させる。Z軸方向に向かって、金属板4及び誘電体板5が順に配置される。
【0014】
金属板4は、開口部23を塞ぐように真空容器2の壁面22に設けられる。金属板4には、金属板4をZ軸方向に貫通する複数のスリット41が形成される。
図2に示すように、複数のスリット41は、Y軸方向に延伸し、かつ、X軸方向に並ぶ。金属板4は、被処理物W1の表面と実質的に平行になるように配置されている。また、金属板4は複数の架橋部42を有する。金属板4に複数のスリット41が形成されることにより、複数のスリット41の間には架橋部42が形成される。
【0015】
複数の誘電体板5は、複数のスリット41を覆うように金属板4上に並べられて配置され、各誘電体板5の形状は、平面視において長方形状である。複数の誘電体板5は、X軸方向に並べられており、Y軸方向には並べられていない。仮に複数の誘電体板5がY軸方向に並べられる場合、Y軸方向に隣り合う誘電体板5の境界がスリット41上に配置されることになり、処理室21の真空状態を維持することが困難になる。
【0016】
1つの誘電体板5が1つ以上のスリット41を覆うことができるように、1つの誘電体板5のX軸方向に沿った幅WD1は、1つのスリット41のX軸方向に沿った幅WD2よりも大きい。誘電体板5の幅WD1は、例えば42.5mm以上524.5mm以下であり、スリット41の幅WD2は、例えば5mm以上30mm以下である。
【0017】
また、1つの誘電体板5が1つ以上のスリット41を覆うことができるように、1つの誘電体板5のY軸方向に沿った幅WD3は、1つのスリット41のY軸方向に沿った幅WD4よりも大きい。誘電体板5の幅WD3は、例えば40mm以上70mm以下であり、スリット41の幅WD4は、例えば30mm以上60mm以下である。この場合、幅WD3及び幅WD4は、幅WD3が幅WD4よりも大きくなるように決定される。幅WD1は幅WD3よりも大きく、幅WD2は幅WD4よりも小さい。
【0018】
さらに、プラズマ処理装置1をZ軸の負の方向に向かって見たとき、1つの誘電体板5の面積は、複数のスリット41が形成される領域の面積よりも小さい。誘電体板5は、真空容器2の外部側から金属板4に接して設けられるとともに、金属板4に重なる。また、誘電体板5は、複数のスリット41を真空容器2の外部側から塞ぐように、金属板4のアンテナ6側の表面に設けられる。
【0019】
誘電体板5の全体は、誘電体物質で構成されており、誘電体板5は、平板状を成すものである。誘電体板5を構成する材料は、アルミナ、炭化ケイ素もしくは窒化ケイ素等のセラミックス、石英ガラス、無アルカリガラス等の無機材料、または、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂のような樹脂材料であってもよい。
【0020】
アンテナ6から生じた高周波磁場は、誘電体板5及び複数のスリット41を透過して処理室21に供給される。なお、開口部23を塞ぐ金属板4と、複数のスリット41を塞ぐ誘電体板5と、によって、処理室21の真空状態が維持される。
【0021】
<隣り合う誘電体板5の構成>
図3は、
図2に示す点線DLで囲まれた部分を拡大した拡大図であり、
図4は、
図3に示す誘電体板5Aの辺51A付近及び辺52A付近を示す断面図である。
図4の符号101は、辺51A付近を示しており、
図4の符号102は、辺52A付近を示している。
【0022】
図2及び
図3に示すように、隣り合う誘電体板5それぞれの、互いに対向するように隣接する辺が架橋部42上に位置するように、複数の誘電体板5が金属板4上に配置される。誘電体板5の辺とは、長方形状の誘電体板5について、長方形の辺を示している。
図3に示すように、例えば、誘電体板5としての誘電体板5B,5A,5Cがこの順にX軸方向に並んでいる場合を考える。
【0023】
誘電体板5Aは、四辺51A,52A,53A,54Aを有する。四辺のうち辺51A,52Aは長方形の一対の短辺であり、四辺のうち辺53A,54Aは長方形の一対の長辺である。誘電体板5Bは、長方形の短辺としての辺51Bを有し、誘電体板5Cは、長方形の短辺としての辺52Cを有する。
【0024】
辺51A,51B,52A,52Cは、Y軸方向に延伸する。辺53A,54Aは、X軸方向に延伸する。
図3及び
図4の符号101に示すように、辺51A,51Bは、架橋部42上に位置しており、架橋部42に支持されている。また、辺51Aと辺51Bとは、互いに対向するように隣接しており、架橋部42におけるX軸方向に沿った幅の中央付近に位置する。辺51Aと辺51Bとは、互いに接している。
【0025】
図3及び
図4の符号102に示すように、隣り合う誘電体板5A,5Cについて、辺52Aと辺52Cとは、互いに対向するように隣接しており、架橋部42上に位置するとともに、架橋部42に支持されている。辺52Aと辺52Cとの間には、隙間SPが形成される。誘電体板5A,5Cに限らず、各誘電体板5について、一方の短辺と隣の誘電体板5の短辺との間に隙間SPが形成され、他方の短辺が、当該隣の誘電体板5とは別の隣の誘電体板5の短辺と接する。
【0026】
これにより、誘電体板5が膨張したとしても、隣接する辺同士が強く接触することを防ぐことができる。よって、誘電体板5に応力が強くかかることがなく、誘電体板5が破損する可能性を低減することができる。
【0027】
また、隣り合う誘電体板5それぞれの、互いに対向するように隣接する辺は、それぞれ誘電体板5の短辺である。この場合、誘電体板5の四辺のうち互いに対向する二辺は、架橋部42上に位置する。例えば、隣り合う誘電体板5A,5Cそれぞれの、互いに対向するように隣接する辺である辺52A,52Cは短辺であり、架橋部42上に位置する。
【0028】
これにより、隣り合う誘電体板5A,5Cそれぞれの互いに対向する短辺の間に隙間SPが形成される場合、隙間SPが架橋部42上に形成されるため、誘電体板5により処理室21の真空状態を維持することができる。また、プラズマの発生に伴い誘電体板5の温度が上昇することにより、誘電体板5は短手方向に比べて長手方向に大きく熱膨張するため、誘電体板5が破損する可能性を効果的に低減することができる。
【0029】
さらに、誘電体板5は、誘電体板5の四辺のうちの一の短辺領域のみが架橋部42上で金属板4に固定される。短辺領域とは、誘電体板5における金属板4側の表面のうち短辺近傍の領域を示している。また、例えば、誘電体板5Aの四辺のうち辺51Aの短辺領域のみが接着剤または治具により架橋部42に固定される。
【0030】
辺51Aの短辺領域が接着剤により架橋部42に固定される場合、辺51Aの短辺領域と架橋部42との間に接着剤が塗布される。また、誘電体板5Aにおける誘電体板5Bと接する端面E1と、誘電体板5Bにおける誘電体板5Aと接する端面E2と、の間に接着剤が塗布される。
【0031】
辺51Aの短辺領域が治具により架橋部42に固定される場合、辺51A,51B付近が治具により金属板4に押さえ付けられるように、治具が金属板4に固定される。辺52Aの短辺領域は、架橋部42に固定されずに支持されるとともに、辺53A,54Aの長辺領域は、金属板4に固定されずに支持される。長辺領域とは、誘電体板5における金属板4側の表面のうち長辺近傍の領域を示している。誘電体板5Bの辺51Bの短辺領域も接着剤または治具により架橋部42に固定される。
【0032】
このように、誘電体板5の一の短辺以外の辺の領域は、金属板4に固定されず支持されているだけである。これにより、誘電体板5が熱膨張した場合に、誘電体板5に対して長手方向にかかる応力を低減することができ、誘電体板5が破損する可能性を低減することができる。
【0033】
以上の通り、複数の誘電体板5が金属板4上に配置されており、金属板4上に配置される誘電体板が複数の誘電体板5に分割される。このため、1枚の誘電体板が金属板4に固定されている場合に比べて、誘電体板5のサイズを小さくすることができる。よって、誘電体板5の熱膨張により誘電体板5が金属板4から剥離する可能性を低減するとともに、誘電体板5が破損する可能性を低減することができる。
【0034】
また、プラズマ処理を施す被処理物W1の処理面積を拡大するためにプラズマ処理装置1を大型化する場合、磁場導入窓3も大型化するため、複数のスリット41が形成される領域が大きくなる。このため、1枚の誘電体板5が金属板4に固定されている場合、誘電体板5のサイズが大きくなる。これに対し、複数の誘電体板5が金属板4上に配置される場合、誘電体板5のサイズが小さくなるため、上述したような可能性を効果的に低減することができる。
【0035】
さらに、サイズが大きい1枚の誘電体板5を用いる場合よりも、サイズが小さい複数の誘電体板5を用いる場合の方が、誘電体板5にかかるコストを削減できる。サイズが小さい誘電体板5を扱うことになるため、破損しやすいガラスまたはセラミックス等の誘電体板5の取り扱いが容易となる。
【0036】
誘電体板5の熱膨張について、誘電体板5が例えば石英ガラスである場合を考える。石英ガラスの熱膨張係数は、0℃~500℃の間において0.57×10-6/Kである。誘電体板5の長手方向の長さが1000mmであり、誘電体板5の温度が500℃上昇した場合、誘電体板5の長手方向の長さは、0.285mm伸びる。
【0037】
なお、1つの架橋部42上において、隣り合う誘電体板5のうち一方の誘電体板5が固定され、他方の誘電体板5が固定されずに支持されることは好ましくない。複数の誘電体板5を金属板4上に配置するとき、誘電体板5の位置ずれにより不具合が生じる可能性があるためである。このため、
図2に示すように、1つの架橋部42上においては、隣り合う誘電体板5がともに固定されるとともに、別の1つの架橋部42上においては、隣り合う誘電体板5がともに固定されずに支持されることが好ましい。これにより、誘電体板5の構造上の信頼性が向上する。
【0038】
アンテナ6は、直線状を成し、真空容器2の外部に設けられており、磁場導入窓3と対向するように配置されている。アンテナ6のX軸方向に沿った長さは、約2000mmである。アンテナ6は、被処理物W1の表面と実質的に平行になるように配置されている。アンテナ6は、高周波電源7から高周波電力が印加されると、高周波磁場を生じさせる。これにより、処理室21内の空間に誘導電界が発生し、その空間に誘導結合型のプラズマP1が生成される。保持部8は、処理室21内に収容され、被処理物W1を保持するステージである。
【0039】
アンテナ6から生じた高周波磁場は、複数の誘電体板5及び複数のスリット41を透過して処理室21に供給される。なお、開口部23を塞ぐ金属板4と、複数のスリット41を塞ぐ複数の誘電体板5と、によって、処理室21の真空状態が維持される。
【0040】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図5は、本発明の実施形態2に係るプラズマ処理装置1Aの構成を示す図である。
図5では、アンテナ6及び高周波電源7を省略している。
図5に示すように、プラズマ処理装置1Aは、実施形態1に係るプラズマ処理装置1とは、緩衝材9が設けられている点が異なる。
【0041】
特定の架橋部42上で金属板4にそれぞれ固定された、隣り合う誘電体板5それぞれの、互いに対向するように隣接する辺の間には、緩衝材9が設けられる。例えば、隣り合う誘電体板5A,5Bについて、辺51Aと辺51Bとの間には、緩衝材9が設けられる。緩衝材9は、例えば、テフロン(登録商標)等の樹脂材料である。
【0042】
架橋部42上で金属板4に固定される辺の間に緩衝材9が設けられることにより、誘電体板5が長手方向に膨張したとしても、隣接する辺同士が強く接触することを防ぐことができる。よって、誘電体板5に応力が強くかかることがなく、誘電体板5が破損する可能性を低減することができる。
【0043】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るプラズマ処理装置は、被処理物を内部に収容する真空容器と、前記真空容器の外部に設けられ、高周波磁場を生じさせるアンテナと、前記真空容器の内部でプラズマを発生させるために、前記高周波磁場を前記真空容器の内部に導入させる、前記真空容器の壁面に設けられた磁場導入窓と、を備え、前記磁場導入窓は、複数のスリットが形成され、前記複数のスリットの間に形成される架橋部を有する金属板と、前記複数のスリットを覆うように並べられて配置される複数の長方形状の誘電体板と、を有し、隣り合う前記誘電体板それぞれの、互いに対向するように隣接する辺が前記架橋部上に位置するように、複数の前記誘電体板が配置される構成である。
【0044】
本発明の態様2に係るプラズマ処理装置は、上記の態様1において、前記互いに対向するように隣接する辺の間には、隙間が形成される構成としてもよい。
【0045】
本発明の態様3に係るプラズマ処理装置は、上記の態様1または2において、前記互いに対向するように隣接する辺は、それぞれ前記誘電体板の短辺である構成としてもよい。
【0046】
本発明の態様4に係るプラズマ処理装置は、上記の態様3において、前記誘電体板は、前記誘電体板の四辺のうちの一の短辺領域のみが前記架橋部上で前記金属板に固定される構成としてもよい。
【0047】
本発明の態様5に係るプラズマ処理装置は、上記の態様4において、特定の前記架橋部上で前記金属板にそれぞれ固定された、隣り合う前記誘電体板それぞれの、互いに対向するように隣接する辺の間には、緩衝材が設けられる構成としてもよい。
【0048】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1、1A プラズマ処理装置
2 真空容器
3 磁場導入窓
4 金属板
5、5A、5B、5C 誘電体板
6 アンテナ
9 緩衝材
22 壁面
41 スリット
42 架橋部
P1 プラズマ
SP 隙間
W1 被処理物