(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021785
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】目地シール材及び目地構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/684 20060101AFI20230207BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230207BHJP
E06B 1/64 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
E04B1/684 C
E04F13/08 Y
E04F13/08 101W
E06B1/64 A
E06B1/64 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126866
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】竹友 伸介
(72)【発明者】
【氏名】矢野 智之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大輔
【テーマコード(参考)】
2E001
2E011
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA04
2E001FA32
2E001FA53
2E001FA63
2E001GA60
2E001GA72
2E001GA77
2E001HD11
2E001HE01
2E001LA04
2E001LA16
2E001MA02
2E001MA04
2E011JA02
2E011LA06
2E011LB02
2E011LB04
2E011LD03
2E011LD08
2E011LE07
2E011LE16
2E011LF04
2E110AA14
2E110AB15
2E110AB22
2E110GA14Z
2E110GB55Z
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でシール機能に優れしかも外観上見栄えを良くする。
【解決手段】外壁パネル2A,2Bの上部に固定された本体部31と、本体部31から延設されサッシ3の下枠4に弾接するシール部32,33と、シール部32よりも屋外側から上方に延び可撓性を有する支持リップ部34と、支持リップ部34の端部から上方斜めに延び上端に下枠4に押圧される平担部Hが形成された第1連結部35と、第1連結部35の上端から下方斜めに延びる第2連結部36と、第2連結部36から下方に垂設された覆い部37を有する一体成型品で、第1連結部35が下枠4に押圧されると、支持リップ部34が屋外側に傾動するように湾曲するとともに、支点Pを中心に第1連結部35,第2連結部36及び覆い部37が、本体部31に近づく方向に回動して平担部Hが下枠4に押圧され覆い部37が外壁パネルを覆う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の外壁に設けられた外壁パネルの上部と、サッシの下枠との間に形成された横目地に取付けられる乾式の目地シール材であって、
前記外壁パネルの上部に固定され横方向に延びる本体部と、
前記本体部から上方に延設され前記サッシの下枠に弾接するシール部と、
前記本体部に対する前記シール部の付け根位置よりも屋外側の位置から上方かつ屋外側に斜めに延び可撓性を有する支持リップ部と、
前記支持リップ部の端部から上方かつ屋外側に斜めに延びその上端には平担部が形成され、前記平担部が前記サッシの下枠に押圧される第1連結部と、
前記第1連結部の上端から斜め屋外側に延びその下端が前記外壁パネルの屋外側面より屋外側に位置する第2連結部と、
前記第2連結部の下端から下方に垂設され、前記外壁パネルを屋外側から覆う覆い部を有してなる一体成型品で、
前記第1連結部が前記サッシの下枠に押圧されない状態では、前記支持リップ部と前記第1連結部の接続部を支点として、前記第1連結部,前記第2連結部及び前記覆い部は、前記本体部から離れた上方に位置するが、前記第1連結部が前記サッシの下枠に押圧されると、前記支持リップ部が屋外側に傾動するように湾曲するとともに、前記支点を中心に、前記第1連結部,前記第2連結部及び前記覆い部が、前記本体部に近づく方向に回動して前記平担部が前記サッシの下枠に押圧され、前記覆い部が前記外壁パネルの屋外側面から一定間隔の距離をおいた平行状態となり前記外壁パネルを覆うことを特徴とする目地シール材。
【請求項2】
前記第1連結部の下部と前記覆い部の屋内側面を連結する保持部材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の目地シール材。
【請求項3】
前記保持部材は、断面略L字状であり、前記第1連結部が前記サッシの下枠に押圧されると、前記保持部材の角部の屋内側が前記本体部の屋外側端部に当接することを特徴とする請求項2に記載の目地シール材。
【請求項4】
前記本体部と前記外壁パネルの上部との間にゴム製のスポンジ材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の目地シール材。
【請求項5】
前記本体部は、前記外壁パネルの上部に対してブチルテープ又は両面テープを介して固定されることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の目地シール材。
【請求項6】
住宅の外壁に対して左右に並設された2つの外壁パネルの上部と、サッシの下枠との間に形成された横目地に乾式の目地シール材を前記2つの外壁パネルを架橋するように取付けて前記横目地を塞ぐ目地構造であって、
前記目地シール材は、
前記2つの外壁パネルの上部に固定され横方向に延びる本体部と、
前記本体部から上方に延設され前記サッシの下枠に弾接するシール部と、
前記本体部に対する前記シール部の付け根位置よりも屋外側の位置から上方かつ屋外側に斜めに延び可撓性を有する支持リップ部と、
前記支持リップ部の端部から上方かつ屋外側に斜めに延びその上端には平担部が形成され、前記平担部が前記サッシの下枠に押圧される第1連結部と、
前記第1連結部の上端から斜め屋外側に延びその下端が前記外壁パネルの屋外側面より屋外側に位置する第2連結部と、
前記第2連結部の下端から下方に垂設され、前記外壁パネルを屋外側から覆う覆い部を有してなる一体成型品で、
前記第1連結部が前記サッシの下枠に押圧されない状態では、前記支持リップ部と前記第1連結部の接続部を支点として、前記第1連結部,前記第2連結部及び前記覆い部は、前記本体部から離れた上方に位置するが、前記第1連結部が前記サッシの下枠に押圧されると、前記支持リップ部が屋外側に傾動するように湾曲するとともに、前記支点を中心に、前記第1連結部,前記第2連結部及び前記覆い部が、前記本体部に近づく方向に回動して前記平担部が前記サッシの下枠に押圧され、前記覆い部が前記外壁パネルの屋外側面から一定間隔の距離をおいた平行状態となり前記外壁パネルを覆うことを特徴とする目地構造。
【請求項7】
前記2つの外壁パネルは、それらの屋内側に設けられ上面が同一の高さのフレーム枠に固定され、
前記目地シール材の本体部は、ブチルテープ又は両面テープを介して前記2つの外壁パネルに加えて前記フレーム枠にも固定されることを特徴とする請求項6に記載の目地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地シール材及び目地構造に関する。より詳細には、住宅の外壁に設けられた外壁パネルの上部と、サッシの下枠との間に形成された横目地に取付けられ、横目地から屋内側に水が浸入することを防止するための目地シール材及びその目地シール材が取付けられた目地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図7に示すように、住宅の外壁1に設けられた外壁パネル2の上部と、サッシ3の下枠4との間に形成された横目地Mに乾式の目地シール材10を取付け、横目地Mから屋内側に水が浸入することを防止するものが知られている(特許文献1)。
【0003】
この目地シール材10は四角筒状のシール材本体11と、シール材本体11の内部に充填された充填材12を備え、シール材本体11の下部には外壁パネル2の縁部2aの屋内側面に接するフィン部13が設けられ、シール状本体11の上部にはサッシ3の下枠4に接する突出片14が設けられている。また、目地シール材10は弾性粘着材15によってサッシ3の下枠4に固定されている。
【0004】
これによれば、外壁パネル2の縁部2aをフィン部13に係止させることにより水密性を保つ目地部処理ができるので目地部処理作業を容易に行うことができるとともに、フィン部13に合わせて外壁パネル2を貼設することができるので目地部(横目地M)の間隔を均一にさせることができ見栄えをよくすることができるといった効果が得られるとされている。
【0005】
しかし、フィン部13が係止させられるように、外壁パネル2の縁部2aが上方に突出したものでなければならないといった制約を受ける。
また、外壁パネル2に対してはフィン部13を係止させるだけであるのでシール性が十分であるとはいえない。特に、外壁パネル2の表面は粗い場合があるので外壁パネル2の縁部2aとフィン部13の間から水が屋内側に浸入するおそれがある。
【0006】
さらに、
図8に示すように、サッシ3の下枠4の下部に少なくとも2つの外壁パネル2A,2Bが左右に並設されている場合、施工時による上下のバラツキによって2つの外壁パネル2A,2B間に段差が生じる場合があり、屋外側から見ると外観上見栄えが悪いといった問題がある。
【0007】
一方、
図9に示すように、合成ゴム製のシール部材21と金属製(アルミニウム製)の取付枠22を組合わせた目地シール材20を、外壁パネル2の上部と、サッシ3の下枠4との間に形成された横目地Mに取付けたものも知られている(特許文献2)。
このシール部材21と取付枠22は、取付枠22の屋内側に設けられた断面T字状の取付部22aをシール部材21に形成されたT字状の切欠溝21aに嵌合させることにより組合わされている。そして取付枠22の上部がサッシ3の下枠4にビス23を介して取付けられている。
シール部材21の下側には2本の突条21b,21cが設けられ、外壁パネル2の上部に弾接している。また、取付枠22の屋外側には下方に延びる水切部22bが形成されている。
【0008】
これによれば、
図7で示したもののように、外壁パネル2の上部(縁部2a)を突出させる必要はない。
しかし、
図7で示したものと同様に、シール部材21はサッシ3の下枠4側に固定され、サッシ3と比較して表面の粗い外壁パネル2に対して2本の突条21b,21cを弾接させるものであるので、シール性は不十分であり、外壁パネル2に対する突条21b,21cの接触面には水が滞留しやすい。そしてそこから屋内側に水が浸入するおそれがある。
また、取付枠22の下方には水切部22bが形成されているが、水切部22bの下端は、外壁パネル2の上面よりも高い位置にあるため、
図8で示したように、2つの外壁パネル2A,2B間に段差が生じた場合、それを覆って隠すことはできない。
さらに、目地シール材20が材質の異なる2つの部材(シール部材21と取付枠22)で構成されるのでその分、構造が複雑になりコスト高となるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000-179058号公報
【特許文献2】特開平8-170469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的とするところは、簡易な構造でシール機能に優れしかも外観上見栄えを良くする目地シール材及び目地構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の目地シール材は、住宅の外壁(1)に設けられた外壁パネル(2A,2B)の上部と、サッシ(3)の下枠(4)との間に形成された横目地(M)に取付けられる乾式の目地シール材(30)であって、
前記外壁パネル(2A,2B)の上部に固定され横方向に延びる本体部(31)と、
前記本体部(31)から上方に延設され前記サッシ(3)の下枠(4)に弾接するシール部(32,33)と、
前記本体部(31)に対する前記シール部(32,33)の付け根位置よりも屋外側の位置から上方かつ屋外側に斜めに延び可撓性を有する支持リップ部(34)と、
前記支持リップ部(34)の端部から上方かつ屋外側に斜めに延びその上端には平担部(H)が形成され、前記平担部(H)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧される第1連結部(35)と、
前記第1連結部(35)の上端から斜め屋外側に延びその下端が前記外壁パネル(2A,2B)の屋外側面より屋外側に位置する第2連結部(36)と、
前記第2連結部(36)の下端から下方に垂設され、前記外壁パネル(2A,2B)を屋外側から覆う覆い部(37)を有してなる一体成型品で、
前記第1連結部(35)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧されない状態では、前記支持リップ部(34)と前記第1連結部(35)の接続部を支点(P)として、前記第1連結部(35),前記第2連結部(36)及び前記覆い部(37)は、前記本体部(31)から離れた上方に位置するが、前記第1連結部(35)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧されると、前記支持リップ部(34)が屋外側に傾動するように湾曲するとともに、前記支点(P)を中心に、前記第1連結部(35),前記第2連結部(36)及び前記覆い部(37)が、前記本体部(31)に近づく方向に回動して前記平担部(H)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧され、前記覆い部(37)が前記外壁パネル(2A,2B)の屋外側面から一定間隔の距離(L)をおいた平行状態となり前記外壁パネル(2A,2B)を覆うことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記第1連結部(35)の下部と前記覆い部(37)の屋内側面を連結する保持部材(38)をさらに有することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記保持部材(38)は、断面略L字状であり、前記第1連結部(35)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧されると、前記保持部材(38)の角部(38c)の屋内側が前記本体部(31)の屋外側端部(31a)に当接することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記本体部(31)と前記外壁パネル(2A,2B)の上部との間にゴム製のスポンジ材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記本体部(31)は、前記外壁パネル(2A,2B)の上部に対してブチルテープ(B)又は両面テープを介して固定されることを特徴とする。
【0016】
また本発明の目地構造は、住宅の外壁(1)に対して左右に並設された2つの外壁パネル(2A,2B)の上部と、サッシ(3)の下枠(4)との間に形成された横目地(M)に乾式の目地シール材(30)を前記2つの外壁パネル(2A,2B)を架橋するように取付けて前記横目地(M)を塞ぐ目地構造であって、
前記目地シール材(30)は、
前記2つの外壁パネル(2A,2B)の上部に固定され横方向に延びる本体部(31)と、
前記本体部(31)から上方に延設され前記サッシ(3)の下枠(4)に弾接するシール部(32,33)と、
前記本体部(31)に対する前記シール部(32,33)の付け根位置よりも屋外側の位置から上方かつ屋外側に斜めに延び可撓性を有する支持リップ部(34)と、
前記支持リップ部(34)の端部から上方かつ屋外側に斜めに延びその上端には平担部(H)が形成され、前記平担部(H)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧される第1連結部(35)と、
前記第1連結部(35)の上端から斜め屋外側に延びその下端が前記外壁パネル(2A,2B)の屋外側面より屋外側に位置する第2連結部(36)と、
前記第2連結部(36)の下端から下方に垂設され、前記外壁パネル(2A,2B)を屋外側から覆う覆い部(37)を有してなる一体成型品で、
前記第1連結部(35)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧されない状態では、前記支持リップ部(34)と前記第1連結部(35)の接続部を支点(P)として、前記第1連結部(35),前記第2連結部(36)及び前記覆い部(37)は、前記本体部(31)から離れた上方に位置するが、前記第1連結部(35)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧されると、前記支持リップ部(34)が屋外側に傾動するように湾曲するとともに、前記支点(P)を中心に、前記第1連結部(35),前記第2連結部(36)及び前記覆い部(37)が、前記本体部(31)に近づく方向に回動して前記平担部(H)が前記サッシ(3)の下枠(4)に押圧され、前記覆い部(37)が前記外壁パネル(2A,2B)の屋外側面から一定間隔の距離(L)をおいた平行状態となり前記外壁パネル(2A,2B)を覆うことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記2つの外壁パネル(2A,2B)は、それらの屋内側に設けられ上面が同一の高さのフレーム枠(40)に固定され、
前記目地シール材(30)の本体部(31)は、ブチルテープ(B)又は両面テープを介して前記2つの外壁パネル(2A,2B)に加えて前記フレーム枠(40)にも固定されることを特徴とする。
【0018】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、目地シール材が、外壁パネルの上部と、サッシの下枠との間に形成された横目地に取付けられると、サッシの下枠に対してはシール部が撓んで弾接することによってシールされ、外壁パネルに対しては本体部が固定されることによってシールされるので、屋外側から水が屋内側に浸入することが防止される。
またシール部よりも屋外側に設けられた支持リップ部の端部から延びる第1連結部が、サッシの下枠に押圧されない状態では、支持リップ部と第1連結部の接続部を支点として、第1連結部,第2連結部及び覆い部は、本体部から離れた上方に位置するが、目地シール材が横目地に取付けられ、第1連結部がサッシの下枠に押圧されると、支持リップ部が屋外側に傾動するように湾曲するとともに、支点を中心に、第1連結部,第2連結部及び覆い部が、本体部に近づく方向に回動して第1連結部に形成された平担部がサッシの下枠に押圧される。これにともない、覆い部が外壁パネルの屋外側面から屋外側に一定間隔の距離をおいた平行状態となり外壁パネルを覆うので、横目地とともに外壁パネルの上部は屋外側から覆い隠され見栄えが良い。
また屋外側から視認できる目地シール材の高さ、つまりサッシの下枠から覆い部の下端までの距離は常に同一で水平一直線となるため、予め設定した高さにすることができる。
【0020】
また、本発明によれば、サッシの下枠に、左右に並設された2つの外壁パネルがあり、それらの上面の高さが例えば施工時のバラツキによって同一でなく段差があっても、それら外壁パネルの上面は、目地シール材の覆い部で屋外側から覆われ、しかも、2つの外壁パネルの上面の高さが異なる場合であっても覆い部の下端は左右水平に延びる線となって表れるので屋外側から見たときの見栄えは良い。
【0021】
また、本発明の目地シール材は一体成型されてなるものであるので、従来例(
図9)で示したように異なる2つの部材からなる目地シール材と比較して構造が簡易でコストを抑えられる。
【0022】
また、本発明によれば、第1連結部の下部と覆い部の屋内側面を連結する保持部材を有するので、第1連結部から延びる第2連結部及び覆い部の角度が、目地シール材が横目地に取付けられた後でも容易に変化することはない。
よって、第1連結部がサッシの下枠に押圧されたとき、確実に、覆い部が外壁パネルの屋外側面から屋外側に一定間隔の距離をおいた平行状態となり外壁パネルを覆うようにすることができる。
【0023】
また、本発明によれば、保持部材は、断面略L字状であり、第1連結部がサッシの下枠に押圧されると、保持部材の角部の屋内側が本体部の屋外側端部に当接するので、一層、第1連結部から延びる第2連結部及び覆い部の角度は安定し、目地シール材が横目地に取付けられた後でも容易に変化することはない。
【0024】
また、本発明によれば、本体部と外壁パネルの上部との間には、ゴム製のスポンジ材や、あるいはブチルテープ又は両面テープが設けられているので、本体部と外壁パネルの上部間のシール性がより向上する。
特に、外壁パネルの上面はサッシの下枠の下面と比較して表面が粗い場合があり間に水が溜まることもあるので、ゴム製のスポンジ材や、あるいはブチルテープ又は両面テープによってシールすることで屋外側から屋内側に水が浸入することが効果的に防止される。
【0025】
また、本発明によれば、外壁パネルは、それらの屋内側に設けられ上面が同一の高さのフレーム枠に固定され、目地シール材の本体部は、ブチルテープ又は両面テープを介して外壁パネルに加えてフレーム枠にも固定されるので、目地シール材とフレーム枠の間から水が屋内側に浸入することも防止される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る目地シール材の要部を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す目地シール材がサッシと外壁パネル間の横目地に取付けられた状態を示す正面図である。
【
図3】外壁パネルが正規位置にある場合の目地構造を示す
図2のA-A線拡大断面図である。
【
図4】外壁パネルが正規位置より少し下方にある場合の目地構造を示す
図2のA-A線拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る別の目地シール材が取付けられた目地構造を示す
図2のA-A線拡大断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るさらに別の目地シール材が取付けられた目地構造を示す
図2のA-A線拡大断面図である。
【
図8】住宅の外壁に形成された開口部に取付けられたサッシ及びガラス窓と、外壁に設けられた外壁パネルの関係を示す正面図である。
【
図9】従来例に係る別の目地構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1乃至
図4を参照して、本発明の実施形態に係る目地シール材30及びその目地シール部30が取付けられた目地構造について説明する。従来例と同一部分には同一符号を付した。
【0028】
本発明の実施形態に係る目地構造は、
図1に示すような乾式の目地シール材30を、
図2に示すように、住宅の外壁1に形成された開口部に取付けられたサッシ3の下枠4と、外壁パネル2A,2Bの上部との間に形成された横目地Mに取付けたものである。
ここでは、住宅の外壁1に対して左右に並設された2つの外壁パネル2A,2Bの上部と、サッシ3の下枠4との間に形成された横目地Mを目地シール材30で塞ぐもので、目地シール材30は2つの外壁パネル2A,2Bの上部を左右に架橋するように取付けられる。ここでいう「左右」とは、設置された外壁パネル2A,2Bを屋外側から見たときの左側及び右側を示す。
【0029】
目地シール材30は、本体部31と、2本のシール部32,33と、支持リップ部34と、第1連結部35と、第2連結部36と、覆い部37を有している。
【0030】
本体部31は、横方向に延びる帯状で、目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には、2つの外壁パネル2A,2Bの上部に固定され左右方向に延びている。
図3に示すように、本体部31は、外壁パネル2A,2Bの上部に対してブチルテープBを介して固定される。
2つの外壁パネル2A,2Bは、それらの屋内側に設けられ上面が同一の高さのフレーム枠40に固定され、本体部31は、ブチルテープBを介して2つの外壁パネル2A,2Bに加えてフレーム枠40にも固定されている。すなわち、本体部31は断面形状において略半分から屋外側が外壁パネル2A,2Bの上面に、残りの略半分から屋内側がフレーム枠40の上面にブチルテープBによって固定されている。
【0031】
シール部32,33は、本体部31の一端(目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には屋内側の端)に取付けられ、上方かつ他端(目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には屋外側の端)側に向かって傾斜して延設された屋内側のシール部32と、そのシール部32よりも本体部31の他端側に間隔をおいてシール部32と平行に上方かつ他端側に向かって傾斜して延設された屋外側のシール部33からなる。目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には、シール部32,33は、
図3に示すように、先端側が屋外側に向かって湾曲して先端上面部がサッシ3の下枠4に弾接して、水が屋外側から下枠4とシール部32,33の間から屋内側に浸入することを防止する。
【0032】
支持リップ部34は、本体部31に対するシール部33の付け根位置よりも本体部31の他端側(屋外側)の位置から上方かつ他端側(屋外側)に斜めに延び可撓性を有する。
ここでは、支持リップ部34はシール部32,33と平行に延びている。
目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には、支持リップ部34は、
図3に示すように、先端側が屋外側に向かって湾曲する。
【0033】
第1連結部35は、支持リップ部34の端部から上方かつ本体部31の他端側(屋外側)に斜めに延びその上端には平担部Hが形成されている。第1連結部35は、支持リップ部34との接続部からさらに本体部31の他端側(屋外側)に傾くように延びている。
目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には、第1連結部35は、
図3に示すように、第1連結部35との接続部を支点Pとしてその支点Pを中心に本体部31に近づく方向に回動し、そのとき、平担部Hがサッシ3の下枠4に面で接して下枠4に上方から押圧されるようになっている。
【0034】
第2連結部36は、第1連結部35の上端から本体部31に平行で本体部31の他端から外方に離れる方向に延びている。
目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には、第2連結部36は、第1連結部35と同様に、
図3に示すように、支点Pを中心に本体部31に近づく方向に回動し、第2連結部36の先端は屋外側に延びる下端となりその下端が外壁パネル2A,2Bの屋外側面より屋外側でしかも外壁パネル2A,2Bの上面よりも高い位置になる。
【0035】
覆い部37は、第2連結部36の先端から斜め下方に延びている。
目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には、覆い部37は、第1連結部35と同様に、
図3に示すように、支点Pを中心に本体部31に近づく方向に回動し、第2連結部36の下端から下方に垂直されるように延び、外壁パネル2A,2Bを屋外側から覆う。このとき覆い部37は、外壁パネル2A,2Bの屋外側面から一定間隔の距離Lをおいて外壁パネル2A,2Bの屋外側面に平行状態となる。
【0036】
また第1連結部35の下部と覆い部37の屋内側面、ここでは第2連結部36と覆い部37の接続部を連結する保持部材38を設けている。
保持部材38は、第1保持部38aと第2保持部38bが直角に交わった断面略L字状であり、第2連結部36との間に中空部が形成されている。保持部材38によって第1連結部35から延びる第2連結部36及び覆い部37の角度が、目地シール材30が横目地Mに取付けられた後でも変化しないようにされている。
また、目地シール材30が横目地Mに取付けられた際には、保持部材38の角部38cの屋内側が本体部31の屋外側端部31aに当接する。このとき、第1保持部38aは上下に垂直に延び第2保持部38bは左右に水平に延びる。
これにより、覆い部37が外壁パネル2A,2Bの屋外側面から一定間隔の距離Lをおいて外壁パネル2A,2Bの屋外側面に平行状態となることが一層維持される。
【0037】
目地シール材30が横目地Mに取付けられる前の段階、すなわち目地シール材30の第1連結部35がサッシ3の下枠4に押圧されない状態では、
図1に示すように、支持リップ部34と第1連結部35の接続部を支点Pとして、第1連結部35,第2連結部36及び覆い部37は、本体部31から離れた上方に位置しているが、目地シール材30が横目地Mに取付けられることで第1連結部35がサッシ3の下枠4に押圧されると、
図3に示すように、支持リップ部34が屋外側に傾動するように湾曲するとともに、支点Pを中心に、第1連結部35,第2連結部36及び覆い部37が、本体部31に近づく方向に回動して平担部Hがサッシ3の下枠4に押圧され、覆い部37が外壁パネル2A,2Bの屋外側面から一定間隔の距離Lをおいた平行状態となり外壁パネル2A,2Bを覆うようになっている。
【0038】
図3で示したものは、外壁1に対して外壁パネル2Aが正規位置にあり、それにともない目地幅Saも正規な幅の場合を示しているが、
図4に示したように、施工時のバラツキにより外壁パネル2Aが正規位置より少し下方にあり、それにともない目地幅Sbが少し広くなったとしてもそのバラツキを、目地シール材30のシール部32,33及び支持リップ部34が屋外側に向けて撓むことで吸収することができる。これにより、目地幅Saが目地幅Sbと広くなっても第1連結部35に形成された平担部Hは同じようにサッシ3の下枠4に押圧されるので、サッシ3の下枠4から覆い部37の下端までの距離Tは目地幅Saの場合でも目地幅Sbの場合でも同一となる。
【0039】
よって、左右に並設された2つの外壁パネル2A,2Bの上面の高さがバラツキによって同一でなく段差が生じたとしても、外壁パネル2A,2Bの上面は、目地シール材30の覆い部37で屋外側から覆われる。
しかも、2つの外壁パネル2A,2Bの上面の高さが異なる場合であっても覆い部37の下端は左右水平に延びる線となって表れるので屋外側から見たときの見栄えが良い。
【0040】
本実施形態では、目地シール材30を、サッシ3の下枠4とその下に設けられた2つの外壁パネル2A,2B間の横目地Mに取付けて、2つの外壁パネル2A,2B間において高さのバラツキが生じたものであっても覆い部37で屋外側から覆うものであるが、単純にサッシ3の下枠4とその下に設けられた外壁パネル2(1枚であってもよい)との間の横目地Mに取付けるものにも適用できる。
これによれば、屋外側から視認できる目地シール材30の高さ、つまりサッシ3の下枠4から覆い部37の下端までの距離Tは常に同一となるので、予め設定した高さにすることができ、外観上見栄えが良い。
【0041】
また、目地シール材30はゴム製(樹脂製であってもよい)で一体成型されてなる一つの部材であるので構造が簡易でコストを抑えられる。
【0042】
また、目地シール材30は、サッシ3の下枠4に対してはシール部32,33が撓んで弾接することによってシールされ、かつ外壁パネル2A,2Bに対しては本体部31の下面に設けられたブチルテープBによってシールされるので、屋外側から水が屋内側に浸入することが防止される。
特に外壁パネル2A,2Bの上面はサッシ3の下枠4の下面と比較して表面が粗い場合があるがブチルテープBによってシールされるので防水機能に優れる。外壁パネル2A,2Bの上面が特に粗い表面ではない場合には、ブチルテープBを使用することなく目地シール材30の本体部31を直接貼着することも可能である。
【0043】
またブチルテープBは、外壁パネル2A,2Bの上面に加えてフレーム枠40の上面にも貼着されるようにしたが、外壁パネル2A,2Bの上面だけに貼着するようにしてもよい。なお、ブチルテープBにかえてゴム製のスポンジ材や両面テープを使用してシールすることもできる。
【0044】
また、本実施形態では保持部材38を断面略L字状にして第2連結部36との間に中空部が形成されるようにしたが、
図5に示すように、中実部とすることもできるし、また、
図6に示すように、第2連結部36と覆い部37の剛性が高く第2連結部36と覆い部37の角度が維持されるものであれば保持部材38を省くこともできる。
また、目地シール材30には2本のシール部32,33を設けたがサッシ3の下枠4に弾接して水が屋内側に浸入することを防止するものであれば特に形状や本数は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 外壁
2 外壁パネル
2a 縁部
2A 外壁パネル(左側)
2B 外壁パネル(右側)
3 サッシ
4 下枠
10 目地シール材
11 シール材本体
12 充填材
13 フィン部
14 突出片
15 弾性粘着材
20 目地シール材
21 シール部材
21a 切欠溝
21b,21c 突条
22 取付枠
22a 取付部
22b 水切部
23 ビス
30 目地シール材
31 本体部
31a 本体部の他端側(屋外側)端部
32,33 シール部
34 支持リップ部
35 第1連結部
36 第2連結部
37 覆い部
38 保持部材
38a 第1保持部
38b 第2保持部
38c 角部
40 フレーム枠
B ブチルテープ
H 平担部
L 距離
M 横目地
P 支点
Sa 目地幅
Sb 目地幅
T 距離(高さ)