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特開2023-21787液分が多い汚泥土のダンプ荷台運搬車とその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021787
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】液分が多い汚泥土のダンプ荷台運搬車とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/04 20060101AFI20230207BHJP
   B60P 1/28 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B60P1/04 Z
B60P1/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126871
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】308003585
【氏名又は名称】田畑 惠久
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】田畑 惠久
(57)【要約】
【課題】 建設現場から発生する液分が多い汚泥土・泥土等をダンプカーのトラック荷台に収容して搬送する場合、搬送中に液分が上下揺れて荷台から外へ飛散して道路上に落下して道路を汚すことを低減できる、液分が多い汚泥土の運搬車を提供する。
【解決手段】 荷台が傾動するダンプ荷台とするとともに、従来のダンプ荷台後端に取付けたリヤゲートを取り外し、天井部の前端から中央上方に向けて持ち上るように傾斜した前天板と,天井部中央の上方開放の投入口と,天井部の後端から中央上方に持ち上るように傾斜した後天板を有し、且つ後面を開口とした防水型コンテナを前記ダンプ荷台に取付け、同防水型コンテナの後面の開口のコンテナ後上部に蝶番で揺動自在の新リヤゲート61を取付け、同新リヤゲートの下端を荷台下部のロック金具で前記後面の開口の荷台後端下部に開閉自在に取付ける。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック運送車の後部に設けた荷台は、上面が開放されしかもその荷台底面の前位置と左右位置とにはそれぞれ所定の高さの荷台面板が立設していて、荷台の後面の荷台面板はなくて荷台後面を開放した荷台構造とし、しかも前記荷台は油圧シリンダー等の傾動装置によって車体に対し後方下部にある回転軸まわりに回動して荷台前端が高くなるように傾動できる荷台とし、前記荷台に液分が多い汚泥・泥水又は土砂の汚泥土を収容する防水型コンテナを取付けるとともに、同防水型コンテナの高さは前記荷台の左右の荷台面板の高さより高くするとともに、更に前記防水型コンテナの上面は防水型コンテナ前面の上端からコンテナの中央に向って高くなるように傾斜したコンテナ前方天井部を閉鎖するコンテナ前天板及びコンテナの後面の上端からコンテナの中央に向って高くなるように傾斜したコンテナ後方天井部を閉鎖するコンテナ後天板を有し、前記コンテナ前天板とコンテナ後天板との中間のコンテナ天井部は開放して汚泥土をコンテナ内に投入する投入口とし、加えて前記防水型コンテナの後面は前記荷台の後面の既設の開口位置で開口させ、前記防水型コンテナの後面の同開口を防水状に封鎖できる新リヤゲートを防水型コンテナの後部上方で枢支する構造で設けるとともに、しかも同新リヤゲートの下端部と前記荷台の後端下部との間に前記新リヤゲートが防水型コンテナの後面の開口を防水状に封鎖できる位置で保持できるロック金具を設け、防水型コンテナに投入した汚泥土の液分が運送中において防水型コンテナ内から外方に飛散して道路面を汚すことを防水型コンテナの高さをダンプ荷台の左右の荷台面板より高くし且つ防水型コンテナの傾斜したコンテナ前天板とコンテナ後天板の存在とによって少なく抑え、加えて前記ロック金具のロックを解いてダンプ荷台と同様に前記荷台を傾動させるだけで防水型コンテナに収容した汚泥土の排出圧力で自動的に新リヤゲートが開いて、防水型コンテナの後面の開口から汚泥土を容易に外部へ排出できることを特徴とする、液分が多い汚泥土の運搬車。
【請求項2】
防水型コンテナの高さの寸法を傾動する荷台の左右の面板の高さの2倍以上とした、請求項1記載の液分が多い汚泥土の運搬車。
【請求項3】
前記ダンプする荷台の底面の後端又は防水型コンテナの後面の開口の開口縁に前記新リヤゲートの閉鎖面との防水性を確保する防水パッキンを設けて、前記新リヤゲートと防水型コンテナの後面との防水性を高めた、請求項1又は2記載の液分が多い汚泥土の運搬車。
【請求項4】
運搬車の後部に設けた荷台が上方を全面開放した上方全面開放の荷台であって、その荷台の前面には所要高さの前面板を及び左右には所要高さの左面板と右面板を取付け,しかも荷台の後面を開口して開放した荷台の後面上方に設けた回転軸まわりに枢支されて前記開口を開閉できるリヤゲートを取付け、更に前記荷台を車体後部下位置の回転軸まわりに回動し、同荷台をその前方を高くなるように傾動できる傾動装置を備えたダンプできる上方全面開放の荷台構造のダンプ運搬車を用意し、前記ダンプ運搬車の荷台の後部上方の回転軸から前記リヤゲートを取り外し,防水型コンテナでそのコンテナ前後端から中央に向けて高くなる傾斜した前天板と後天板とを有し,その前後の天板間に収容する汚泥土の投入口を設け,しかも前記防水型コンテナの後面を開口し,防水型コンテナの後面の前記開口を開閉できるコンテナ用新リヤゲートをコンテナの上方で枢支した構造の前記防水型コンテナを前記ダンプできる荷台内に配置し、しかも前記防水型コンテナの前部と前記荷台の前部とを連結金具で脱着自在に連結し、しかも前記防水型コンテナの後部を前記リヤゲートの回転軸の軸孔に螺着した固定用軸によって荷台側と取り外し自在に取付け、更に防水型コンテナに取付けた新リヤゲートの内面と防水型コンテナの後面の開口の開口縁とを水密状になる状態に新リヤゲートの下端と前記荷台後部金具とを連係させて閉鎖保持するロック金具を設けた構造とすることで、公知のダンプ運搬車から防水型コンテナを搭載してしかも荷台の傾動でコンテナ内の収容物を排出できる、請求項1記載の構造の汚泥土の運搬車に改造する液分が多い汚泥土の運搬車の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
土木建設工事において、現場から発生する汚泥・泥水・土砂等の液分が多く含まれる汚泥土を上方を全面開放した荷台のダンプ荷台運搬車(ダンプカー)でもってダンプ荷台の煽戸内に汚泥土を積載して運送する場合、汚泥土に含まれる液分が前後・左右の煽戸の間隙から洩れて、下方の道路に落下して道路を汚す結果となっていた。又、荷台底面・煽戸間の防水を充分にしても、ダンプ荷台の煽戸の高さが低いために運送車の加減速時に液面が高くなって、煽戸の外へ飛散して道路を汚すことがあった。
本発明はダンプ荷台運搬車(ダンプカー)の構造でありながら、液分が多い汚泥土の運搬において液分が荷台から飛散・落下して道路を汚すことを少なくする改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1,2,3に示す従来の公知のダンプ荷台運搬車(ダンプカーD)において、上方を全面開放したダンプ荷台DNの煽戸DN2に間隙がないように防水型にしても、運送車の急加速時・急減速時又はターン時において荷台DN内の液分に慣性力が働いて揺動して液面が高くなり、荷台DN外へ液分が飛散して道路を汚していた。
【0003】
このように、上方を全面開放した荷台DNのダンプカーDを使用して液分の多い汚泥土の運送においては、液分の道路への飛散・落下を防ぐことが難しいものであった。
一方、汚泥運搬車・ダンプ荷台の汚泥運搬車における荷台DN内の汚水・液体が荷台の外側への流出・飛散を防ぐ技術として特許文献1,2に開示されているように、荷台の左右側面又は後面・前面の煽戸又は面板上端上方に汚水飛散防止の防水布煽を取付けることで、汚水の荷台越水・飛散防止とする対策があった。
しかし、この飛散防止の布煽を使用しても前後・左右・前後の布煽と煽戸(面板)の間には間隙が発生し、布煽の間から流水・飛散することを避けられなかった。又、荷台に汚泥を積載した後、布煽の組み立て作業が必要であって、手間・時間がかかっていた。
【0004】
この従来のダンプカーDの荷台DNに、投入口となる上方天井部を全面閉鎖でき且つ荷台の前面・左右側面・底面・後面間の間隙の防水性を高めた防水型密閉コンテナを固定的に搭載したダンプ荷台運搬車も想定できるが、液分の多い汚泥土をこの防水型コンテナ内に収容して運送して廃棄処分地に到着してダンプ荷台を傾けても、密閉コンテナに収容した汚泥土・液分は直ちに排出できず、クレーン装置等の装置を使用してダンプ荷台DNから密閉コンテナを別の場所へ吊り降して密閉コンテナの後面を開いて収容した汚泥土・液分を排出する作業が必要となり、到着後の後処理作業が面倒であった。又は、密閉コンテナを傾動できる荷台に固定的に搭載しても、到着後荷台を傾動させても密閉コンテナの後面を開放させるコンテナ後面の開放作業が別途必要となっていた。通常のトラック運搬車で完全な防水型密閉コンテナを搭載して完全な防水型密閉コンテナ内に汚泥土・泥水を収容して運送する場合は運送中での液分の飛散・落下はなくなるが、処分地に到着した防水型密閉コンテナ内から汚泥土・液分を排出するためにクレーン装置・その他の荷役装置を使用しての排出作業あるいは吸引ポンプと排出ホースを用いた排出装置が必要であり、又は荷台途中にある防水型コンテナの後面を開放するコンテナ後面の開放作業が必要であり、これも手間時間のかかる作業となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3190117号公報
【特許文献2】実用新案登録第3083097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、液分の多い汚泥土の運搬において運送中に液分が道路上への飛散・落下を抑えて道路の汚れを少なくでき、しかも液分の飛散を少なくする汚泥土収容用コンテナを使用して目的に到着すると、荷台を傾斜させるだけでコンテナに収容した汚泥土・液分を荷台後面から排出できて、ダンプ荷台の利点を有する液分の多い汚泥土の運搬車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) トラック運送車の後部に設けた荷台は、上面が開放されしかもその荷台底面の前位置と左右位置とにはそれぞれ所定の高さの荷台面板が立設していて、荷台の後面の荷台面板はなくて荷台後面を開放した荷台構造とし、しかも前記荷台は油圧シリンダー等の傾動装置によって車体に対し後方下部にある回転軸まわりに回動して荷台前端が高くなるように傾動できる荷台とし、前記荷台に液分が多い汚泥・泥水又は土砂の汚泥土を収容する防水型コンテナを取付けるとともに、同防水型コンテナの高さは前記荷台の左右の荷台面板の高さより高くするとともに、更に前記防水型コンテナの上面は防水型コンテナ前面の上端からコンテナの中央に向って高くなるように傾斜したコンテナ前方天井部を閉鎖するコンテナ前天板及びコンテナの後面の上端からコンテナの中央に向って高くなるように傾斜したコンテナ後方天井部を閉鎖するコンテナ後天板を有し、前記コンテナ前天板とコンテナ後天板との中間のコンテナ天井部は開放して汚泥土をコンテナ内に投入する投入口とし、加えて前記防水型コンテナの後面は前記荷台の後面の既設の開口位置で開口させ、前記防水型コンテナの後面の同開口を防水状に封鎖できる新リヤゲートを防水型コンテナの後部上方で枢支する構造で設けるとともに、しかも同新リヤゲートの下端部と前記荷台の後端下部との間に前記新リヤゲートが防水型コンテナの後面の開口を防水状に封鎖できる位置で保持できるロック金具を設け、防水型コンテナに投入した汚泥土の液分が運送中において防水型コンテナ内から外方に飛散して道路面を汚すことを防水型コンテナの高さをダンプ荷台の左右の荷台面板より高くし且つ防水型コンテナの傾斜したコンテナ前天板とコンテナ後天板の存在とによって少なく抑え、加えて前記ロック金具のロックを解いてダンプ荷台と同様に前記荷台を傾動させるだけで防水型コンテナに収容した汚泥土の排出圧力で自動的に新リヤゲートが開いて、防水型コンテナの後面の開口から汚泥土を容易に外部へ排出できることを特徴とする、液分が多い汚泥土の運搬車
2) 防水型コンテナの高さの寸法を傾動する荷台の左右の面板の高さの2倍以上とした、前記1)記載の液分が多い汚泥土の運搬車
3) 前記ダンプする荷台の底面の後端又は防水型コンテナの後面の開口の開口縁に前記新リヤゲートの閉鎖面との防水性を確保する防水パッキンを設けて、前記新リヤゲートと防水型コンテナの後面との防水性を高めた、前記1)又は2)記載の液分が多い汚泥土の運搬車
4) 運搬車の後部に設けた荷台が上方を全面開放した上方全面開放の荷台であって、その荷台の前面には所要高さの前面板を及び左右には所要高さの左面板と右面板を取付け,しかも荷台の後面を開口して開放した荷台の後面上方に設けた回転軸まわりに枢支されて前記開口を開閉できるリヤゲートを取付け、更に前記荷台を車体後部下位置の回転軸まわりに回動し、同荷台をその前方を高くなるように傾動できる傾動装置を備えたダンプできる上方全面開放の荷台構造のダンプ運搬車を用意し、前記ダンプ運搬車の荷台の後部上方の回転軸から前記リヤゲートを取り外し,防水型コンテナでそのコンテナ前後端から中央に向けて高くなる傾斜した前天板と後天板とを有し,その前後の天板間に収容する汚泥土の投入口を設け,しかも前記防水型コンテナの後面を開口し,防水型コンテナの後面の前記開口を開閉できるコンテナ用新リヤゲートをコンテナの上方で枢支した構造の前記防水型コンテナを前記ダンプできる荷台内に配置し、しかも前記防水型コンテナの前部と前記荷台の前部とを連結金具で脱着自在に連結し、しかも前記防水型コンテナの後部を前記リヤゲートの回転軸の軸孔に螺着した固定用軸によって荷台側と取り外し自在に取付け、更に防水型コンテナに取付けた新リヤゲートの内面と防水型コンテナの後面の開口の開口縁とを水密状になる状態に新リヤゲートの下端と前記荷台後部金具とを連係させて閉鎖保持するロック金具を設けた構造とすることで、公知のダンプ運搬車から防水型コンテナを搭載してしかも荷台の傾動でコンテナ内の収容物を排出できる、前記1)記載の構造の汚泥土の運搬車に改造する液分が多い汚泥土の運搬車の製造方法
にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上方が開放されて且つ傾動できるダンプ機能を有する荷台に液分が多い汚泥土を収容する防水型コンテナを取付けるが、この防水型コンテナの天井部はコンテナ前面の上端からコンテナ中央上方へ立上って傾斜したコンテナ前天板と、コンテナ後面の上端からコンテナ中央上方に立上って傾斜したコンテナ後天板とを有し、この前記コンテナ前天板とコンテナ後天板との間の天井部は開放されて汚泥土の投入口とした構造である。
【0009】
従って、運搬車の走行中に急加速・急減速があっても、防水型コンテナ内の液分は前後に動いて、コンテナ前面又はコンテナ後面に沿って水面が大きく上下動して一部の液分がコンテナ外へ飛散しようとするが、前記コンテナの前後に中央に向けて立上って傾斜したコンテナ前天板とコンテナ後天板があるため、上昇した液面は前記コンテナ前天板又はコンテナ後天板の内面に沿って中央側へ向って動いてコンテナ中央部でコンテナ内に落下して戻り、液分がコンテナ外へ飛散することが大巾に低減する。
【0010】
又、前記防水型コンテナの高さがダンプする荷台の煽戸(面板)の高さより高くすれば、コンテナ内の液分のコンテナ外への飛散を少なくする。特に、前記コンテナの高さが上方全面開放の荷台(煽戸又は面板)の高さの2倍以上にすれば、例えば実施例のコンテナ高さが1.2mで荷台高さ0.5mに比べて2.4倍の如くすれば、コンテナ内の液分の飛散を更に少なくできる。
【0011】
加えて、本発明の防水型コンテナの後面の開口した位置で回動自在に枢支された新リヤゲートの内面と接触する防水型コンテナの後面の開口の開口縁に防水パッキンを設けてその防水状態を維持するロック金具を設ければ、新リヤゲートと防水型コンテナの後面の開口の開口縁との間の防水性を高め、走行中の防水型コンテナの後端からの液分の洩れを少なくできる。
【0012】
更に、防水型コンテナの開口した後面を荷台の後面の開口位置に設けられ、しかもコンテナの開口を閉鎖する新リヤゲートの下端部を荷台下部のロック金具によって係止することで前記新リヤゲートの防水性を高めるとともに、前記ロック金具で運送中は新リヤゲートを防水型コンテナの後部との間を水密状に連結し、運送中新リヤゲートの連結が解かれないようにしている。加えて、新リヤゲートの開閉操作を荷台後部での作業で容易に行えるようになっている。
【0013】
そして、防水型コンテナ内の汚泥土・液分を目的の処理場で排出する場合は、荷台後部にある前記ロック金具を解いて新リヤゲートを上方の回転軸まわりに揺動可能とする。
この状態で傾動装置(油圧シリンダー等)を作動させると、荷台とともに防水型コンテナもその前端が高くなるように傾動する。防水型コンテナの前方と後方は上方全面開放の荷台の前方に連結金具及び後方の固定用軸等によって固定されているため、防水型コンテナは上方に持ち上げられて傾いた状態となるが荷台の後方へ移動することがなく、防水型コンテナの後部上方の蝶番部によって揺動可能な新リヤゲートはコンテナ内の汚泥土又は液分によって加圧されて、新リヤゲートは前記蝶番部により回転して開き、防水型コンテナ内の汚泥土・液分はダンプした荷台・防水型コンテナの傾きによって自動的に防水型コンテナの後面の開口から外方へ排出される。
【0014】
このように、防水型コンテナ内に収容した汚泥土・液分は、ロック金具を解いて新リヤゲートを回転可能にして荷台の傾動(ダンプ)させることで、防水型コンテナの後面に取付けられた開放された新リヤゲートからコンテナ外へ排出できる。
【0015】
本発明の汚泥土の運搬車は、従来の上方全面開放した荷台を傾動させる傾動装置を備えたダンプ荷台(ダンプカー)の後面の上部の回転軸まわりにリヤゲートを枢支した従来構造のダンプ荷台運搬車(ダンプカーD)を改造することで製造できる。即ち、従来のダンプ荷台運搬車の後方に枢支したリヤゲートDN3を取り外し(図3,4参照)、次に前天板と後天板との間の上方中央に汚泥土等の投入口を有し、しかも後面に新リヤゲート61をその上方の回転軸(蝶番部62)で揺動自在に取付けた防水型コンテナ50を荷台3(DN)に固定する。固定方法として防水型コンテナの前方部と荷台前方部とをターンバックル等で脱着自在に連結し、後方はダンプカーの本来のリヤゲートを取付ける門型フレームから回転軸37を外し(図5,6,7参照)、同回転軸に代わりに螺着した固定用軸58でもって防水型コンテナ50の後部を螺着して連結する方法によることで従来のダンプカーを本発明の構造とすることができる。本発明の前記前天板と後天板を有する防水型コンテナを使用することで液分の道路への落下を低減できる液分の多い汚泥土の運搬車とすることができる。本発明は従来古く長く使用されてきたダンプ荷台運搬車(ダンプカーD)を上記のように改造することで、汚泥土の液分の飛散が少なく道路を汚すことがない液分が多い汚泥土の運搬車に改造できるものとしている。従来のダンプ荷台運搬車の有用な活用方法ともなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は従来のダンプ荷台運搬車のリヤゲートを示す説明図である。
図2図2は従来のダンプ荷台運搬車の荷台及びリヤゲートの取付けを示す説明図である。
図3図3は従来のダンプ荷台運搬車のリヤゲートの開閉を示す説明図である。
図4図4は従来のダンプ荷台運搬車のリヤゲートの取り外し作業を示す説明図である。
図5図5は本発明の実施例のダンプ荷台運搬車を示す側面図である。
図6図6は実施例のダンプ荷台運搬車の荷台上の搭載した防水型コンテナを載置した状態の平面図である。
図7図7は実施例のダンプ荷台運搬車の防水型コンテナの後面及び荷台の後部下端部のロック金具を示す説明図である。
図8図8は実施例の防水型コンテナの正面図である。
図9図9は実施例の防水型コンテナの平面図である。
図10図10は実施例の防水型コンテナの後面の新リヤゲートの取付構造とロック金具との係止状態を示す説明図である。
図11図11は実施例のリヤゲートを開いた状態を示す説明図である。
図12図12は実施例の防水型コンテナにおける液面の水位の変動を示す側面図である。
図13図13は実施例の防水型コンテナにおける液面の水位の変動を示す正面図である。
図14図14は実施例における防水型コンテナの運送時の状態と防水型コンテナを傾動させてコンテナ内の汚泥土及び液分の排出状態を示す説明図である。
図15図15は実施例の新リヤゲートを少し開いた状態の説明図である。
図16図16は実施例の係止部とロック金具を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従来のタイプのダンプ荷台運搬車を改造して本発明の汚泥土の運搬車を製造する方法では製造費用が安価にでき、又従来のダンプカーの汚泥土の液分を道路に落下させない運搬車としての再使用方法として有益である。本発明は、従来のダンプカーを使用せずに製造することもできる。
又、防水型コンテナ50と上方全面開放のダンプ荷台3の固定方法は実施例の構造に限らない。更に、上方開放のダンプ荷台3の煽戸(面板)の高さが低くしてフラットな荷台とすることも可能である。
【0018】
請求項1に記載した本発明の構成は、従来のダンプカーの荷台上に本願発明の新リヤゲートを後面に枢支した防水型コンテナを取付ける構造として、従来のダンプカーの上方全面開放のダンプ荷台に防水型コンテナをターンバックルの金具で取付ける構造はその一例で、他の連結固定方法もありえる。ダンプカーでのダンプ荷台のリヤゲートの枢支構造のない上方全面開放のダンプ荷台に直接防水型コンテナを別部材で動かないように固定する構造のものでもよい。従来のリヤゲートを取付けたダンプカーの荷台構造を使って改造する製造方法の方が液分が多い汚泥土を運べない従来のダンプカーの有効活用となり、且つ安価な製造費用で済むので好ましい。
【実施例0019】
図5~16に示す本発明の実施例を図面をもって具体的に説明する。本実施例は、従来の図1~4に示す従来広く使用されている上方全面開放のダンプ荷台運搬車(いわゆるダンプカーD)を使用して、これを改造して本発明の構造とする例である。
【0020】
(実施例の符号の説明)
Gは本発明の実施例の液分が多い汚泥土の運搬車、1は同運搬車の車体、2は運転部、3は上方を全面開放した従来のダンプカーの煽戸構造の荷台DNを用いた荷台、30は同荷台の後方下部に設けた荷台3を傾動させる回転軸、31は同荷台の底面、32は荷台3の前面、33は荷台3の0.5m程の高さの左右の側面(側面煽戸)、34は荷台3の後面の開口、DN3は従来のダンプカーDに付属していた荷台DN後面の開口34の既設のリヤゲート、351は同リヤゲートDN3の下端を荷台側に固定するための係止部、36は同リヤゲートDN3を保持する荷台3の左右の後端で車体1から立設したゲート保持部材、37は同ゲート保持部材の頭部に設けた従来のダンプカーの荷台DNに付属のリヤゲートDN3を揺動自在に枢支するように取付ける回転軸、371は同回転軸をゲート保持部材36の頭部に取付ける軸受部、38は係止部351と連結されて荷台3の下端部に取付けられてリヤゲートDN3を引き寄せるためダンプカーDの荷台DNの後端下部に取付けられているロック金具、40は荷台3(DN)を油圧シリンダーで傾動させる傾動装置、41は車体1に取付けたタイヤ、50は防水型コンテナ、51はコンテナ底面、52はコンテナ前面、53は下方の荷台底面から1.2mの高さを有する左右のコンテナ側面、531は同コンテナ側面の上端に設けた吊金具、54は防水型コンテナ50のコンテナ前面52の上端から中央上方へ傾斜した前天板、55は防水型コンテナ50の左右のコンテナ側面の後上端から中央上方へ傾斜した後天板、56は防水型コンテナ50の天井中央部に開口された投入口、57は防水型コンテナ50を従来のダンプカーDの荷台DN(3)のコンテナ側面の前方位置と連結して防水型コンテナ50を荷台3(DN)に固定するためのターンバックル、58は防水型コンテナ50の後部をダンプカーDの荷台3(DN)の後部に立設したゲート保持部材36と連結するための固定用軸で、前記軸受部371に軸支されていた回転軸37を取り外した後の軸孔に螺合して取付けられるねじ軸である。59は左右のゲート保持部材36の内側で後方に突き出すように設けた防水型コンテナ50のロ字状の後開放口フレーム、60はロ字状の同後開放口フレーム59の口縁に沿って止着したロ字状のゴムパッキンを用いた防水パッキン、61は同後開放口フレーム59の開放口を開閉する新リヤゲート、62は前記後開放口フレーム59の上端で同新リヤゲート61を揺動自在に取付ける蝶番部、63は同新リヤゲートの下端部の係止部であって、既設のリヤゲートDN3の下端部の係止部351と略同じ構造のものである。前記新リヤゲート61を後開放口フレーム59の開口縁に周設したゴムパッキンを用いた防水パッキン60に圧縮するように前記係止部63を荷台3の後端下部に設けたロック金具38に連結させて固定させている。
【0021】
本実施例の液分が多い汚泥土の運搬車Gは、図1~4の従来のダンプカーDを改造して製造されるものである。従来のダンプカーDは図1~4に示すように、上方全面開放の荷台DN(3)を有している。同荷台DN(3)は従来のダンプカーDの荷台前面32,広い荷台底面31,左右の煽戸形式の0.5m高さの荷台側面33を有し、荷台後面を開口している。更に、左右後部に左右一対のゲート保持部材36が荷台3と車体1の後部から立設している。この左右のゲート保持部材36の頭部の回転軸37まわりに揺動するように枢支された従来のダンプカーD付属のリヤゲートDN3をその軸受部371から取り外して荷台DN(3)から取り除く(図3,4参照)。
【0022】
このように、従来のダンプカーDの荷台DN(3)に取付けていたリヤゲートDN3を取り除き、その後図6~11に示す高さが1.2m程の防水型コンテナ50を上方全面開放の荷台3(DN)上に搭載する。搭載された防水型コンテナ50はその前部と荷台3(DN)の左右の側面(左右の煽戸DN2)33との間にターンバックル57を連結する。又、荷台後部に立設された左右一対のゲート保持部材36の軸受部371の軸孔にねじ軸である固定用軸58によって、ゲート保持部材36と防水型コンテナ50の後方部とを螺合連結し、防水型コンテナ50を前記ターンバックル57と前記固定用軸58とで荷台3(DN)に固定する。
しかも、防水型コンテナ50のロ字状の後開放口フレーム59の上端の蝶番部62によって新リヤゲート61を枢支していて、閉状態を係止部63とロック金具38の連結で保持し、防水型コンテナ50の後開放口591の防水パッキン60を押圧して防水状に閉鎖し、又防水パッキン60から離れないようにしている(図15,16参照)。
【0023】
このように、従来のダンプカーDから本発明の実施例の液分が多い汚泥土の運搬車Gを製作する。
【0024】
(汚泥土・液分のコンテナへの収容作業)
本実施例の液分が多い汚泥土の運搬車Gは土木現場で液分の多い汚泥土をバケット作業車によって現場の汚泥を液分とともに掬い上げて、防水型コンテナ50の天井の中央の投入口56から防水型コンテナ50内に収容する。又は、液分が多ければ吸引ポンプを用いてホースでもって吸引して、投入口56から防水型コンテナ50内に収容できる。
【0025】
(搬送時)
液分が多い汚泥土を防水型コンテナ50内に収容した後、新リヤゲート61の下端部の係止部63を荷台3の後端下部に設けたロック金具38と係合して、新リヤゲート61の内面を後開放口フレーム59のゴムパッキンを用いた防水パッキン60に押し付けるようにして防水型コンテナ50の後面の後開放口591を閉鎖し、しかもこの状態を新リヤゲート61の下端の係止部63を荷台3側のロック金具38と連結して保持できるようにして、内部の汚泥土・液分が洩れて流出して道路を汚すことがないようにしている(図15,16参照)。
防水型コンテナ50は、前方は左右一対のターンバックル57と後方はゲート保持部材36の固定用軸58とによって荷台3(DN)に固定されている。
【0026】
(汚泥土の搬送)
実施例の液分が多い汚泥土の運搬車Gの液分が多い汚泥土を防水型コンテナ50内に収容して車体1を搬送させる場合、車体1の急発進・急停止又はターンの揺れ又は道路の起伏によって、防水型コンテナ50内の液分は上下に揺動する。しかし、コンテナ前面52の天井側には中央に向って高くなるように傾斜した前天板があり、又コンテナ後面の天井側には同じく中央に向って高くなるように傾斜した後天板55が存在するため、揺動した液分は前天板54又は後天板55の内面に沿って中央上方へ移動させてコンテナの中央でコンテナ内へ液分を落下させることとなり、液分のコンテナ外への飛散を大巾に低減する。
加えて、実施例の防水型コンテナ50の高さは1.2mあり、ダンプカーDの既設の煽戸DN2の0.5mより高い。これによっても、液分の防水型コンテナ50からの飛び出しを基本的に大巾に低減している。
【0027】
(汚泥土と液分の処理場での排出作業)
このように、汚泥土と液分を外部に飛散させず搬送させた後、目的の汚泥土の処理場の汚泥土排出場所において、新リヤゲート61の下端部の係止部63と荷台3(DN)の下方に設けたロック金具38の連結を解いて新リヤゲート61を開閉自在とする。その後、傾動装置40を作動させて荷台3(DN)を傾動させると、荷台3(DN)に固定された防水型コンテナ50内の汚泥土・液分が後方へ移動して新リヤゲート61を押圧する。傾斜角が大きくなるとその押圧力も強くなって、上方の蝶番部62まわりに新リヤゲート61は開き、コンテナ内の汚泥土と液分は荷台の傾斜による自重で防水型コンテナ50の後開放口591から排出する。これは従来のダンプカーDの荷台DNと同様である。
このように、従来のダンプカーDの荷台DN(3)に汚泥土・液分を収容させて運搬すると、従来の荷台DN(3)の各面板の隙間又は上端から汚泥土・液分の一部が飛散するが、本発明の防水型コンテナ50内に汚泥土・液分を封じて且つ新リヤゲート61を閉状態に防水状にロックできることで、液分の多い汚泥土の運送を道路を汚すことを少なく又処理場に到着させることができる。しかも、ダンプ(傾動)することで搬送した汚泥土・液分を従来のダンプカー同様に容易且つ迅速に目的の現場で排出できるものとした。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は土木工事でよく発生する汚泥土・泥水の搬送で利用できる他に、液分が多い泥土・土壌・土砂の運送にも有益である。
【符号の説明】
【0029】
D 従来のダンプカー
DN 従来のダンプカーDのダンプ荷台
DN1 ダンプカーDの荷台底面
DN2 ダンプカーDの荷台DNの左右の煽戸
DN3 ダンプカーDの後部の既設のリヤゲート
G 実施例の液分が多い汚泥土の運搬車
1 実施例の運搬車Gの車体
2 実施例の運搬車Gの運転部
3 実施例の運搬車Gのダンプする荷台
30 傾動させるための回転軸
31 荷台3の底面
32 荷台3の前面
33 荷台3の側面
34 開口(従来のダンプカーDの荷台DN後面に既設の開口)
351 係止部
36 ゲート保持部材
37 回転軸
371 軸受部
38 ロック金具
40 傾動装置
41 運搬車Gのタイヤ
50 防水型コンテナ
51 コンテナ底面
52 コンテナ前面
53 コンテナ側面
531 コンテナ吊金具
54 前天板
55 後天板
56 投入口
57 ターンバックル
58 固定用軸
59 コンテナの後開放口フレーム
591 後開放口
60 防水パッキン
61 新リヤゲート
62 蝶番部
63 係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16