(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021788
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】海苔束横出し装置
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20230207BHJP
【FI】
A23L17/60 103F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126872
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】593146268
【氏名又は名称】ニシハツ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉丸 泰治
(72)【発明者】
【氏名】吉丸 郁郎
【テーマコード(参考)】
4B019
【Fターム(参考)】
4B019LT71
4B019LT73
(57)【要約】
【課題】 海苔束横出し装置において、海苔束を落下させるときに生じる空気抵抗等による海苔のバラツキや不揃いの拡大を防止し、整列羽による整列がより確実に行われるようにすること及び12000枚/時程度の処理能力を保持することのできる海苔束横出し装置を提供すること。
【解決手段】 上下動する昇降軸11、昇降軸11の頂部に固定されている受け板10、インバータモータ15の回転軸17の先端に取り付けられている歯車12及びインバータモータ制御手段等を備え、海苔束8を落下させるときには受け板10を上死点位置に停止させ、海苔束8を落下させた後に受け板10を中速度から高速度で下降させ、海苔束8を搬送コンベア9で搬出した後に受け板10を高速度で上昇させる海苔束横出し装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔を所定枚数積層させて海苔束を形成し落下させるカウンターボックスと、
該カウンターボックスの下方に設置され、前記海苔束を載置可能な受け板と、
所定枚数の海苔が重ねられた海苔束を載置可能な受け板と、
該受け板を上死点と下死点の間で昇降させることのできる受け板昇降機構と、
該受け板昇降機構を駆動する可変速モータと、
該可変速モータの始動、停止及び回転速度を制御する可変速モータ制御手段と、
前記受け板が前記上死点から前記下死点まで下降する途中で、前記受け板に載置されている前記海苔束が積載され、前記受け板が前記下死点から上昇する前に、前記海苔束を下流側に搬送する搬送コンベアを備えている
ことを特徴とする海苔束横出し装置。
【請求項2】
前記可変速モータ制御手段は、
前記受け板が前記上死点から前記下死点まで下降する段階の前期において、前記受け板を中速で下降させるため、前記回転速度を中速度に制御し、
前記受け板が前記上死点から前記下死点まで下降する段階の後期において、前記受け板を高速で下降させるため、前記回転速度を高速度に制御し、
前記受け板が前記下死点から前記上死点まで上昇する段階において、前記受け板を高速で上昇させるため、前記回転速度を高速度に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の海苔束横出し装置。
【請求項3】
前記海苔束横出し装置は、下降した状態にある前記受け板の四方に起倒可能に設けられている整列羽及び該整列羽を起倒させる整列羽起倒手段を備えており、
前記整列羽起倒手段は、前記受け板の上面が前記搬送コンベアの上面より高く前記整列羽が起立した時の上端より低い位置に到達したときに前記整列羽が起立状態となるように、前記受け板が前記上死点から前記下死点まで下降する間に、前記整列羽を倒れた状態から起立した状態に姿勢制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の海苔束横出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔製造ラインにおいて、選別機により良品と判断された海苔を複数枚重ねて形成された海苔束について、整列させた上で長辺側を前にして折曲機及び結束機に送り込むために、海苔束を下降させ上流側の搬送方向と直交する搬送方向のコンベア上に載置する海苔束横出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような海苔製造ラインにおいて利用される海苔束横出し装置及び整列機の先行技術としては、特許文献1(特開2001-333746号公報)に記載されている乾海苔の後処理装置および集積装置や本出願人の出願に係る特許文献2(特開2006-101809号公報)に記載されている海苔束製造ラインが挙げられる。
特許文献1には、
図8に示すように、乾海苔の検査装置(2)からコンベア(10)で送られてきた良品の乾海苔mは、切替え板(13)に案内されて第1の集積部3Aの板体(22)上に落下する(矢印A1,A2)。センサ(17)により、第1の集積部3A上に10枚の乾海苔mが送り込まれたことを検知すると、切替え板(13)は下方へ回転し、以後、コンベア(10)から送られてきた良品の乾海苔mは切替え板(13)の上方を通過し、切替え板(14)に案内されて第2の集積部3Bの板体(22)上に落下する(矢印B1,B2)。センサ(17)により、第2の集積部3B上に10枚の乾海苔mが送り込まれたことを検知すると、切替え板(13)は上方に戻り、第1の集積部3Aへの良品の乾海苔mの集積が再開される。
なお、検査装置2で不良品と判定された乾海苔mが送られると、切替え板(13)及び(14)は下方へ回転し、不良品の乾海苔mは切替え板(13)及び(14)の上方を通過し、系外のボックス(29)に回収される(矢印C)。
また、第1の集積部3Aの板体(22)上に所定枚数(10枚)の乾海苔mが積層すると、回転軸(21)を90°回転させ乾海苔mが積層した海苔束m’をコンベア(23)上に落し込む(矢印A3)。するとコンベア(23)が駆動し、コンベア(10)の搬送方向と直交する方向へ海苔束m’を搬送して第1の折曲機に送り込む。
同様に、第2の集積部3Bの板体(22)上に10枚の乾海苔mが積層すると、回転軸(21)を90°回転させ海苔束m’を受け部(25)上に落し込む(矢印B3)。すると受け部(25)は90°水平回転しながら下降して向きの変わった海苔束m’をコンベア(28)上に移載し、コンベア(28)は海苔束m’をコンベア(48)へ搬送して第2の折曲機に送り込む(特に段落0017、0018及び
図1、2を参照)。
【0003】
特許文献2に記載されている海苔束製造ラインは、
図9(a)に示すように、海苔乾燥装置(20)から一枚ずつ搬出される乾燥させた平海苔を反転させる反転装置(21)、反転された平海苔を検査する検査装置(22)、検査装置(22)を通過した平海苔を所定枚数集束し、集束した平海苔束を整列する海苔集束整列装置(23)が順に配置されている。
そして、海苔集束整列装置(23)には方向転換装置(26)となる搬出コンベヤが配置されており、平海苔束は、正方向・逆方向に駆動可能な搬出コンベヤからなる方向転換装置(26)により束ね装置(1)と折曲装置(24)に方向転換される(特に段落0010を参照)。
また、検査装置(22)から搬出される平海苔を平海苔束にして折曲装置(24)又は束ね装置(1)に送り込むため、
図9に示すように、検査装置(22)を通過した所定枚数の平海苔を積層させて平海苔束とし、その平海苔束を海苔集束整列装置(23)に落として整列した後に、整列した平海苔束を方向転換装置(26)の搬出コンベヤによって検査装置(22)における平海苔の搬送方向と直交する方向へ搬送し、搬出コンベヤの駆動方向を制御することにより、一方の端部(26a)を経て折曲装置(24)に搬入するか、他方の端部(26b)を経て束ね装置(1)に搬入するかが選択可能となっている(特に段落0011~0013を参照)。
【0004】
このように、従来の海苔束横出し装置及び整列機は、検査済みの海苔を検査装置の下流側にあるカウンターボックス内で所定枚数積層させて海苔束を形成し、検査装置における海苔の搬送方向と直交する方向へ延びる搬送コンベアの上に落下させ、落下後に整列羽で整列させた後に整列した海苔束を搬送コンベアで折曲装置等に送り込むものであった。
そのため、海苔束を落下させてから搬送コンベアで搬送を開始するまでの時間が短く、製造上のボトルネックになることはなかったが、海苔の状態によってはカウンターボックス内で海苔束を形成する際に不揃いが生じることがあり、不揃いが生じた海苔束を長い距離落下させると空気抵抗等による海苔のバラツキや不揃いが拡大して、整列羽による整列が十分でなくなることがあった。
また、通常の搬送コンベアを利用する場合、海苔束は2本又は3本のゴム製搬送ベルト上に載置された状態で整列されるため、ゴムと海苔の摩擦の大きさが海苔束の整列に悪影響を及ぼすという問題もあった。
【0005】
これらの問題の解決策としては、海苔束の落下距離を短くすることも考えられるが、現状では次の3つの理由により実現困難である。
(1)乾燥装置の海苔搬出口の高さが一定以上あり、反転装置以降の検査装置の構造等との関係も考慮しなければならないため、乾燥装置から検査装置にかけて設置されるコンベアの高さを低くすることが困難である点。
(2)カウンターボックスの構造(例えば、引用文献1記載の装置において、板体(22)が回転軸(21)を中心に水平位置から垂直位置へ90°回転する構造)や直交する搬送コンベアが有している整列羽との干渉を避けるために、ある程度の距離が必要である点。
(3)折曲装置等においても、構造上の問題から海苔束を受け入れるためのコンベアの高さや位置等を変更することが困難である点。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-333746号公報(特許第3547368号公報)
【特許文献2】特開2006-101809号公報(特許第4533079号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決し、海苔束横出し装置において、海苔束を落下させるときに生じる空気抵抗等による海苔のバラツキや不揃いの拡大を防止し、整列羽による整列がより確実に行われるようにすることを第1の課題としている。
また、第1の課題を解決しながら、12000枚/時以上の処理能力を保持することのできる海苔束横出し装置を提供することを第2の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の海苔束横出し装置は、
海苔を所定枚数積層させて海苔束を形成し落下させるカウンターボックスと、
該カウンターボックスの下方に設置され、前記海苔束を載置可能な受け板と、
該受け板を上死点と下死点の間で昇降させることのできる受け板昇降機構と、
該受け板昇降機構を駆動する可変速モータと、
該可変速モータの始動、停止及び回転速度を制御する可変速モータ制御手段と、
前記受け板が前記上死点から前記下死点まで下降する途中で、前記受け板に載置されている前記海苔束が積載され、前記受け板が前記下死点から上昇する前に、前記海苔束を下流側に搬送する搬送コンベアを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の海苔束横出し装置において、
前記可変速モータ制御手段は、
前記受け板が前記上死点から前記下死点まで下降する段階の前期において、前記受け板を中速で下降させるため、前記回転速度を中速度に制御し、
前記受け板が前記上死点から前記下死点まで下降する段階の後期において、前記受け板を高速で下降させるため、前記回転速度を高速度に制御し、
前記受け板が前記下死点から前記上死点まで上昇する段階において、前記受け板を高速で上昇させるため、前記回転速度を高速度に制御することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、本願請求項1又は2に記載の海苔束横出し装置において、
前記海苔束横出し装置は、下降した状態にある前記受け板の四方に起倒可能に設けられている整列羽及び該整列羽を起倒させる整列羽起倒手段を備えており、
前記整列羽起倒手段は、前記受け板の上面が前記搬送コンベアの上面より高く前記整列羽が起立した時の上端より低い位置に到達したときに前記整列羽が起立状態となるように、前記受け板が前記上死点から前記下死点まで下降する間に、前記整列羽を倒れた状態から起立した状態に姿勢制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の海苔束横出し装置は、海苔を所定枚数積層させて海苔束を形成し落下させるカウンターボックスと、カウンターボックスの下方に設置され、海苔束を載置可能な受け板と、受け板を上死点と下死点の間で昇降させることのできる受け板昇降機構を備えているため、カウンターボックスと上死点にある受け板との距離を小さくすることができ、海苔束を落下させるときに生じる空気抵抗等による海苔のバラツキや不揃いの拡大を防止し、整列羽による整列をより確実に行うことができる。
また、受け板昇降機構を駆動する可変速モータと、可変速モータの始動、停止及び回転速度を制御する可変速モータ制御手段を備えているので、海苔乾燥装置や検査装置の能力に応じて、海苔束横出し装置の処理能力を制御することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の海苔束横出し装置による効果に加えて、受け板が上死点から下死点まで下降する段階の前期において、受け板を中速で下降させ、受け板が上死点から下死点まで下降する段階の後期において、受け板を高速で下降させ、受け板が下死点から上死点まで上昇する段階において、受け板を高速で上昇させるので、海苔束を処理する1サイクルとなる受け板が上死点から下死点まで下降し、その後下死点から上死点に達するまでの時間を2.5秒程度に短縮でき、処理枚数を14000枚/時程度まで上げることができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に係る発明の海苔束横出し装置による効果に加えて、海苔束横出し装置は、下降した状態にある受け板の四方に起倒可能に設けられている整列羽及び整列羽を起倒させる整列羽起倒手段を備えており、整列羽起倒手段は、受け板の上面が搬送コンベアの上面より高く前記整列羽が起立した時の上端より低い位置に到達したときに整列羽が起立状態となるように、受け板が上死点から下死点まで下降する間に、整列羽を倒れた状態から起立した状態に姿勢制御することができるので、搬送コンベアのベルトと海苔との摩擦力に影響されることなく迅速に整列羽による整列を実行できる。
そのため、海苔束が搬送コンベアに載置されてから搬送コンベアを動作させるまでの時間を短縮でき、海苔束を処理する1サイクルの時間が延びてしまうことがない。
また、海苔束の昇降と整列をまとめて実施でき、整列機を別途設ける必要がなくなるので、海苔製造ライン全体をコンパクト化でき、設置面積を小さくすることができる。
さらに、海苔が結束される前に通過する経路が短くなるので、引っ掛かり等に伴う海苔の姿勢乱れが発生する頻度を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】上死点における海苔束横出し装置及び整列機の側面図と平面図。
【
図3】下死点における海苔束横出し装置及び整列機の側面図と平面図。
【
図4】上昇中における海苔束横出し装置及び整列機の側面図と平面図。
【
図5】実施例1に係る海苔束横出し装置の動作状態を示すフロー図。
【
図7】実施例2に係る海苔束横出し整列装置の動作状態を示すフロー図。
【
図8】特許文献1に記載されている乾海苔の後処理装置等の概要を示す図。
【
図9】特許文献2に記載されている海苔束製造ラインの概要を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例1及び2によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例0016】
図1は、実施例1に係る海苔束横出し装置1が適用される海苔製造ラインの概要を示す図であり、
図2は、海苔束横出し装置1及び整列機2の側面図(a)と平面図(b)であって、海苔束横出し装置1の受け板10が上死点にある状態を示している。
図1の左上側には海苔乾燥装置があり、海苔乾燥装置から2ラインで搬出されてくる長方形の海苔は、それぞれ2つの方向転換機3、4を利用して1ラインとされた後、右側に搬送されつつ選別機5によって1枚ずつ良品か不良品か判別される。
そして、選別機5で不良品と判別された不良海苔は不良品バケット(図示せず)に集積され、良品と判別された海苔は集束機6へ搬送され、カウンターボックスでカウントされつつ重ねられ、所定枚数(通常は10枚)カウントされる度に落とされ、
図2(a)に示すように、上死点にある状態で待機している受け板10の上に海苔束8が載置される。
【0017】
図3は、
図2と同様、海苔束横出し装置1及び整列機2の側面図(a)と平面図(b)であって、海苔束横出し装置1の受け板10が下死点にある状態を示している。
受け板10に海苔束8が載置され第1所定時間(海苔束8の動揺が収まるまでの時間)経過してインバータモータ15が始動すると、受け板10は下降し、下死点に達する直前に海苔束8が停止している搬送コンベア9の上に積載される。
そして、受け板10が下死点に達すると、搬送コンベア9が始動し海苔束8を下流側に搬送して、整列機搬送コンベア27に積載させ、海苔束8が整列機搬送コンベア27で搬送され始めると搬送コンベア9は停止し、受け板10は下死点から上昇を開始する。
すなわち、
図2(b)及び
図3(b)から分かるように、海苔束8の長辺は搬送コンベア9による搬送方向と垂直となるように受け板10へ載置され、そのまま下降して搬送コンベア9に積載され、受け板10が下死点に達したら下流側に搬送され、整列機2で整列させた後に長辺側を前にして折曲機及び結束機7に送り込むことができるので、スムーズに海苔束8を二つ折りにし、二つ折りされた10帖分(通常は計100枚)を1束にして紙テープで結束し、箱詰めして出荷できる状態にすることができる。
【0018】
図4は、
図2、3と同様、海苔束横出し装置1及び整列機2の側面図(a)と平面図(b)であって、海苔束横出し装置1の受け板10が上昇中の状態を示している。
上述のとおり、海苔束8は受け板10が下死点にある状態で下流側(整列機2のある側)に搬送されるが、その後第2所定時間経過して海苔束8が受け板10のサイズ分移動したら受け板10は上昇を開始し上死点に到達して停止する。
そして、
図4に示すように、受け板10の上昇中に海苔束8が整列機2に到達すると、整列機搬送コンベア27は一旦停止し、四方にある整列用羽28が起立し四辺が断続的に叩かれるので、海苔束8は四辺が揃った整列状態となる。
海苔束8を整列させた後に、整列用羽28が整列機搬送コンベア27の下に倒れると、整列機搬送コンベア27は再度始動し、整列状態の海苔束8は下流側に搬送され、折曲機搬送コンベア31に乗り移り、折曲機及び結束機7に送り込まれる。
【0019】
図2~4に示すように、受け板10は上下動する垂直な昇降軸11の頂部に固定されており、昇降軸11を上下動させるため、インバータモータ15の回転軸17の先端に取り付けられている歯車12が、昇降軸11の側面に設けられているラック(図示せず)と噛み合っている。なお、図示していないが、上下動の邪魔にならない位置(中央部又は下端部)に昇降軸11を支持する昇降軸支持体を設けてある。
すなわち、
図2の状態からインバータモータ15の回転軸17を時計回りに回転させると昇降軸11は下降し、
図3のように受け板10が下死点に到達したところで回転軸17の回転を停止させることにより昇降軸11の下降を止めることができる。
また、
図3と
図4の状態の間(海苔束8が搬送コンベア9で搬送され受け板10の上昇に支障がなくなった時点)において、インバータモータ15の回転軸17を反時計回りに回転させると昇降軸11は上昇し、
図4のように受け板10が上死点に到達したところで回転軸17の回転を停止させることにより昇降軸11の上昇を止めることができる。
このように、回転軸17を時計回り及び反時計回りに回転させることによって、昇降軸11は垂直方向に昇降するので、受け板10を昇降させることができる。
【0020】
なお、受け板10の下降速度を途中で変化させ、受け板10を下死点及び上死点で停止させるため、昇降軸11の側面にはエンコーダ(例えば、下死点を示す0位置エンコーダ、下降途中の変速点を示す70位置エンコーダ、95位置エンコーダ及び上死点を示す100位置エンコーダの4種類)が設けられ、昇降軸11近傍の基準位置(
図2~4における横線部)には、各エンコーダを検知することのできるセンサ16が設けられている。
また、インバータモータ15は、上死点において受け板10に海苔束8が載置され第1所定時間経過するまで昇降軸11を待機させ下降させないようにするため、また、下死点において搬送コンベア9が始動し第2所定時間経過するまで昇降軸11を待機させ上昇させないようにするため、間欠運転できるようになっている。
さらに、インバータモータ15は、受け板10に海苔束8が載置された状態でスムーズかつ迅速に昇降軸11を下降できるようにするため、また、受け板10が下死点にある状態(
図3の状態)から、できる限り短時間のうちに昇降軸11を上昇させて受け板10を上死点にある状態に戻せるようにするため、始動、停止及び回転速度を制御することのできるインバータモータ制御手段(図示せず)を有している。
【0021】
次に、実施例1に係る海苔束横出し装置1における受け板10の昇降及び搬送コンベア9の動作等について説明する。
図5は海苔束横出し装置1の動作状態を示すフロー図であり、左側に基準位置にあるエンコーダの位置を表示し、中央に受け板10等の側面図を表示し、右側に各時期における受け板10の動作状態を表示してある。
【0022】
(1)動作開始
海苔束横出し装置1の動作開始前において、受け板10及び昇降軸11は上死点にあって、海苔束8が載置されるのを待機している。
海苔束横出し装置1の動作は、海苔束8を落下させるために集束機6が備えているクラッチの動作に起因して開始されるが、クラッチが動作してから第1所定時間(受け板10に海苔束8が載置された後、海苔束8の動揺が収まり静止するまでの時間)経過するまではインバータモータ15を停止したままとする。
そのため、クラッチ動作信号を受信してから第1所定時間が経過すると、インバータモータ15の始動信号を出力する第1タイマーを有している。
【0023】
(2)中速動作(受け板が上死点から下死点まで下降する段階の前期)
第1タイマーから始動信号が出力されると、インバータモータ制御手段は、インバータモータ15を始動させ、海苔束8が受け板10の上で浮き上がらないようにするため、中速度で回転するように制御し、センサ16が70位置エンコーダを検知するまでは、受け板10及び昇降軸11が中速で下降する。
【0024】
(3)高速動作(海苔搬送位置へ/受け板が上死点から下死点まで下降する段階の後期)
センサ16が70位置エンコーダを検知すると、インバータモータ制御手段は、インバータモータ15を高速度で回転するように制御し、センサ16が0位置エンコーダを検知するまで高速度で回転させる。
そうすると、受け板10は高速で垂直方向へ下降するが、その下降途中において、海苔束8は停止している搬送コンベア9上に積載され、受け板10が搬送コンベア9より下側となる下死点まで下降してセンサ16が0位置エンコーダを検知すると、インバータモータ制御手段はインバータモータ15を停止させる。
【0025】
(4)停止(海苔搬送)
インバータモータ15が停止すると搬送コンベア9が始動し、海苔束8を下流側に搬送して整列機搬送コンベア27に積載させ、海苔束8が整列機搬送コンベア27で搬送され始めると搬送コンベア9は停止する。なお、整列機2のストッパ29は、海苔束横出し装置1の動作開始時から起立して待機している。
一方、インバータモータ15は、第2所定時間経過して海苔束8が受け板10のサイズ分移動するまでは停止状態を継続する。
そのため、センサ16が0位置エンコーダを検知してから第2所定時間が経過すると、インバータモータ15の再始動信号を出力する第2タイマーを有している。
【0026】
(5)高速動作(上昇/受け板が下死点から上死点まで上昇する段階の初期から最終期)
第2タイマーから再始動信号が出力されると、インバータモータ制御手段は、インバータモータ15を再始動させ、センサ16が95位置エンコーダを検知するまで高速度で回転させる。
そのため、受け板10及び昇降軸11は高速で上死点の直前まで上昇する。
【0027】
(6)低速動作(終了位置/受け板が下死点から上死点まで上昇する段階の最終期以降)
センサ16が95位置エンコーダを検知すると、インバータモータ制御手段は、オーバーランを防止するため、インバータモータ15を低速度で回転するように制御し、センサ16が100位置エンコーダを検知するまで低速度で回転させる。
そして、受け板10が上死点まで上昇し、センサ16が100位置エンコーダを検知すると、インバータモータ制御手段はインバータモータ15を停止させる。
また、上記(4)において整列機搬送コンベア27で搬送され始めた海苔束8は、整列機2の中央に進入し、ストッパ29に当たって停止すると、進入センサ30が作動して、整列機搬送コンベア27も一旦停止する。
その後、ストッパ29が整列機搬送コンベア27の上面より下側に倒れ、四方の整列用羽28が起立して海苔束8の四辺を断続的に叩くので、四辺が揃った整列状態となる。
海苔束8を整列させた後に、整列用羽28が整列機搬送コンベア27の下に倒れると、整列機搬送コンベア27は再度始動し、海苔束8はさらに下流側に搬送され、折曲機搬送コンベア31に乗り移り、折曲機及び結束機7に送り込まれる。
【0028】
(7)動作終了
受け板10及び昇降軸11は上死点で停止して、上記(1)で説明した動作開始前の状態に戻り、次の海苔束8が載置されるのを待機する状態となる。
そして、上記(1)~(7)は海苔束横出し装置1において10枚の海苔束8を処理する1サイクルであるが、海苔製造ラインの処理枚数は、海苔束横出し装置1の処理能力、すなわち、1サイクルに要する時間で決まるところ、実施例1によれば、1サイクルを2.5秒程度に短縮できるので、処理枚数を14000枚/時程度にすることが可能である。
なお、海苔束8を搬送コンベア9で送り出してから整列機2によって整列させるまでの時間も2.5秒以下に短縮させる必要があるが、その処理は海苔束8の平行移動とストッパ29及び整列用羽28の起倒動作だけなので、搬送コンベア9、整列機搬送コンベア27及び折曲機搬送コンベア31の移動速度を調整するだけで容易に制御可能である。
(2)実施例1及び2においては、受け板10の下降中にセンサ16が70位置エンコーダを検知すると、インバータモータ15を中速度から高速度で回転するように制御し、受け板10の上昇中にセンサ16が95位置エンコーダを検知すると、インバータモータ15を高速度から低速度で回転するように制御したが、速度を切り替えるエンコーダの位置はこれに限らず、1サイクルにかかる時間等に応じて変更しても良い。
また、実施例2の動作(B)において、整列羽32を起倒させる回動モータへの起立信号を出力するために用いるエンコーダの位置についても同様である。
そのため、エンコーダは0位置から100位置まで等間隔に設け、センサ16でホームポジションのエンコーダ(通常は0位置又は100位置のエンコーダ)から何番目のエンコーダが通過したかを検知することによって、常時受け板10及び昇降軸11の位置を確認できるようにした方が良い。
さらに、エンコーダに代えて他の位置検出手段や基準となるタイミングから各動作タイミングまでの待ち時間を規定するタイマーを用いても良い。
(3)実施例1及び2においては、受け板10及び昇降軸11を上昇させるときに、オーバーランを防止するため、上死点の直前までは高速で、それ以降は低速で回転及び上昇させたが(実施例1における動作(5)及び(6)並びに実施例2における動作(E)及び(F)の説明を参照)、予めオーバーランを見込んで少し早いタイミングで(例えば、センサ16が98位置エンコーダを検知したとき)停止信号を出力すれば、途中から低速で上昇させる必要はなく、そうした方が、1サイクルに要する時間をより短縮できる。
(4)実施例1及び2においては、センサ16が0位置エンコーダを検知すると、インバータモータ制御手段はインバータモータ15を停止させるようにしたが、下死点において受け板10の下面又は昇降軸11の下端部で適宜のスイッチを動作させることによって、停止信号を出力するようにしても良い。
(5)実施例2においては、整列羽32を起倒させるために回動モータを用いたが、整列羽32を倒れた状態と起立した状態との間で姿勢制御することができれば、回動モータに限らず、ソレノイド等の直線運動機構とリンク機構を用いても良い。
そのため、特許請求の範囲においては、「整列羽を起倒させる整列羽起倒手段」と表現している。
(6)実施例2においては、センサ16が70位置エンコーダを検知してから0位置エンコーダを検知するまで受け板10を高速で下降させたが、センサ16が30位置エンコーダを検知してから0位置エンコーダを検知するまで受け板10を低速又は中速で下降させても良く、センサ16が30位置エンコーダを検知した時に受け板10を一旦停止した後センサ16が0位置エンコーダを検知するまで受け板10を高速で下降させても良い。
なお、いずれの場合も第3所定時間は、センサ16が30位置エンコーダを検知してから10位置エンコーダを検知するまでの時間より長く、センサ16が30位置エンコーダを検知してから0位置エンコーダを検知するまでの時間より短い方が良い。
(7)実施例2においては、整列羽32が閉まった状態となってから第3所定時間が経過するまで閉状態を継続させたが、整列羽32を1、2回小さく開閉させても良い。