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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021802
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230207BHJP
【FI】
G03B5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126896
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2K005
【Fターム(参考)】
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA34
2K005CA44
2K005CA53
(57)【要約】
【課題】光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備える光学ユニットにおいて、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、光学モジュールから引き出されるフレキシブルプリント基板と固定体との干渉を防止することが可能な光学ユニットを提供する。
【解決手段】光学ユニット1では、可動体3は、原点位置から固定体4に対する可動体3の回動方向の両側へ回動可能になっている。固定体4には、フレキシブルプリント基板16を固定体4の外周側に引き出すための開口18dが形成されており、光学モジュール2から引き出されるフレキシブルプリント基板16は、可動体3が原点位置に配置されているときに、可動体3の回動中心を中心とする周方向における開口18dの中心部から固定体4の外周側に向かって引き出されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを有する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する固定体と、前記光学モジュールの光軸に直交する第1方向を回動の軸方向として前記固定体に対して前記可動体を回動させる駆動機構と、前記光学モジュールから引き出されるフレキシブルプリント基板とを備え、
前記可動体は、所定の原点位置から前記固定体に対する前記可動体の回動方向における両側へ前記固定体に対して回動可能になっており、
前記固定体は、前記固定体に対する前記可動体の回動中心を中心とする径方向において前記可動体の外側に配置される外周壁部を備え、
前記固定体には、前記フレキシブルプリント基板を前記固定体の外周側に引き出すための開口が形成され、
前記開口は、前記固定体に対する前記可動体の回動中心を中心とする周方向において所定の範囲で形成され、
前記フレキシブルプリント基板は、前記可動体が前記原点位置に配置されているときに、前記可動体の回動中心を中心とする周方向における前記開口の中心部から前記固定体の外周側に向かって引き出されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記光学モジュールは、前記光学モジュールの外周面の一部を構成する平板状のリジッド基板を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、前記可動体の回動中心を中心とする周方向における前記リジッド基板の中心部から前記リジッド基板の厚さ方向の一方側に向かって引き出されていることを特徴とする請求項1記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント基板の厚さ方向に直交する前記フレキシブルプリント基板の幅方向と前記第1方向とが一致していることを特徴とする請求項2記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板の、前記可動体の回動中心を中心とする周方向における前記リジッド基板の中心部から前記リジッド基板の厚さ方向の一方側に向かって引き出される部分を引出部とすると、
前記第1方向から見たときに、前記引出部の延長線上に、前記固定体に対する前記可動体の回動中心が配置されていることを特徴とする請求項3記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント基板は、前記光学モジュールの光軸の方向である光軸方向の一方側に向かって引き出されていることを特徴とする請求項4記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント基板は、前記可動体の回動中心を中心とする周方向における前記リジッド基板の中心部から前記リジッド基板の厚さ方向の一方側に向かって引き出された後、前記固定体の外周面に沿って2回折り曲げられていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記第1方向から見たときの前記固定体の外形は、長方形状となっており、
前記フレキシブルプリント基板は、前記可動体の回動中心を中心とする周方向における前記リジッド基板の中心部から前記リジッド基板の厚さ方向の一方側に向かって引き出された後、前記固定体の外周面に沿って90°に2回折り曲げられていることを特徴とする請求項6記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記フレキシブルプリント基板に貼り付けられ前記フレキシブルプリント基板の折り曲げ角度を規定する板状部材を備えることを特徴とする請求項6または7記載の光学ユニット。
【請求項9】
前記固定体には、2回折り曲げられた後の前記フレキシブルプリント基板の所定の箇所が固定される基板固定部が形成されていることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項10】
前記光学モジュールは、カメラモジュールであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール等の光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体とを備える光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する振れ補正機能付き光学ユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを保持する可動体と、可動体を保持する固定体と、固定体に対して可動体を回動させる磁気駆動機構と、光学モジュールに接続されるフレキシブルプリント基板(フレキシブル配線基板)と、可動体と固定体とを繋ぐ板状のバネ部材とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、固定体は、ジンバル機構を介して可動体を保持しており、可動体は、固定体に対して、光学モジュールの光軸方向に直交するX軸方向を回動の軸方向とする回動と、光軸方向とX軸方向とに直交するY軸方向を回動の軸方向とする回動とが可能になっている。バネ部材は、磁気駆動機構が休止しているときに固定体に対する可動体の姿勢を規定する機能を果たしており、磁気駆動機構が休止しているときには、可動体は、バネ部材の付勢力によって、固定体に対して所定の原点位置(基準位置)に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-99503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、カメラモジュール等の光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、光学モジュールの光軸に直交する方向を回動の軸方向として固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備える光学ユニットを開発している。この光学ユニットでは、光学モジュールから固定体の外周側に向かってフレキシブルプリント基板が引き出されている。本願発明者は、このような光学ユニットにおいて、固定体に対する可動体の回動角度を大きくすることを検討している。しかしながら、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなると、固定体に対して可動体が回動したときに、光学モジュールから引き出されるフレキシブルプリント基板と固定体とが干渉するおそれが高くなる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備える光学ユニットにおいて、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、光学モジュールから引き出されるフレキシブルプリント基板と固定体との干渉を防止することが可能な光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、光学モジュールの光軸に直交する第1方向を回動の軸方向として固定体に対して可動体を回動させる駆動機構と、光学モジュールから引き出されるフレキシブルプリント基板とを備え、可動体は、所定の原点位置から固定体に対する可動体の回動方向における両側へ固定体に対して回動可能になっており、固定体は、固定体に対する可動体の回動中心を中心とする径方向において可動体の外側に配置される外周壁部を備え、固定体には、フレキシブルプリント基板を固定体の外周側に引き出すための開口が形成され、開口は、固定体に対する可動体の回動中心を中心とする周方向において所定の範囲で形成され、フレキシブルプリント基板は、可動体が原点位置に配置されているときに、可動体の回動中心を中心とする周方向における開口の中心部から固定体の外周側に向かって引き出されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光学ユニットでは、可動体は、所定の原点位置から固定体に対する可動体の回動方向における両側へ固定体に対して回動可能になっている。また、本発明では、固定体に、フレキシブルプリント基板を固定体の外周側に引き出すための開口が、可動体の回動中心を中心とする周方向において所定の範囲で形成されており、光学モジュールから引き出されるフレキシブルプリント基板は、可動体が原点位置に配置されているときに、可動体の回動中心を中心とする周方向における開口の中心部から固定体の外周側に向かって引き出されている。
【0009】
そのため、本発明では、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、可動体が原点位置から固定体に対する可動体の回動方向における両側へ回動したときのフレキシブルプリント基板と固定体との干渉を防止することが可能になる。なお、本明細書において、「可動体の回動中心を中心とする周方向における開口の中心部」には、可動体の回動中心を中心とする周方向における開口の完全な中心に加えて、可動体の回動中心を中心とする周方向における開口の完全な中心から若干ずれている位置も含まれている。すなわち、「可動体の回動中心を中心とする周方向における開口の中心部」には、可動体の回動中心を中心とする周方向における開口の略中心も含まれている。
【0010】
本発明において、たとえば、光学モジュールは、光学モジュールの外周面の一部を構成する平板状のリジッド基板を備え、フレキシブルプリント基板は、可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の中心部からリジッド基板の厚さ方向の一方側に向かって引き出されている。なお、本明細書において、「可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の中心部」には、可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の完全な中心に加えて、可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の完全な中心から若干ずれている位置も含まれている。すなわち、「可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の中心部」には、可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の略中心も含まれている。
【0011】
本発明において、フレキシブルプリント基板の厚さ方向に直交するフレキシブルプリント基板の幅方向と第1方向とが一致していることが好ましい。このように構成すると、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、固定体に対して可動体が回動したときに、可動体の回動動作に応じてフレキシブルプリント基板が変形しやすくなる。したがって、フレキシブルプリント基板が固定体に対する可動体の回動動作の妨げになるのを抑制することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、フレキシブルプリント基板の、可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の中心部からリジッド基板の厚さ方向の一方側に向かって引き出される部分を引出部とすると、第1方向から見たときに、引出部の延長線上に、固定体に対する可動体の回動中心が配置されている。すなわち、引出部は、たとえば、可動体の回動中心を中心とする径方向の外側に向かって引き出されている。
【0013】
本発明において、フレキシブルプリント基板は、たとえば、光学モジュールの光軸の方向である光軸方向の一方側に向かって引き出されている。
【0014】
本発明において、フレキシブルプリント基板は、可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の中心部からリジッド基板の厚さ方向の一方側に向かって引き出された後、固定体の外周面に沿って2回折り曲げられていることが好ましい。このように構成すると、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、固定体に対して可動体が回動したときに、可動体の回動動作に応じてフレキシブルプリント基板の全体が変形しやすくなる。したがって、フレキシブルプリント基板が固定体に対する可動体の回動動作の妨げになるのを効果的に抑制することが可能になる。
【0015】
本発明において、たとえば、第1方向から見たときの固定体の外形は、長方形状となっており、フレキシブルプリント基板は、可動体の回動中心を中心とする周方向におけるリジッド基板の中心部からリジッド基板の厚さ方向の一方側に向かって引き出された後、固定体の外周面に沿って90°に2回折り曲げられている。
【0016】
本発明において、光学ユニットは、フレキシブルプリント基板に貼り付けられフレキシブルプリント基板の折り曲げ角度を規定する板状部材を備えることが好ましい。このように構成すると、固定体の外周面に沿って2回折り曲げられるように引き回されるフレキシブルプリント基板の、引き回された状態の形状を維持することが可能になる。
【0017】
本発明において、固定体には、2回折り曲げられた後のフレキシブルプリント基板の所定の箇所が固定される基板固定部が形成されていることが好ましい。たとえば、光学ユニットが搭載される携帯機器に、2回折り曲げられた後のフレキシブルプリント基板の所定の箇所が固定される場合には、光学ユニットの中で、フレキシブルプリント基板の引き回しを確定させることはできないが、このように構成すると、光学ユニットの中で、フレキシブルプリント基板の引き回しを確定させることが可能になる。
【0018】
本発明において、光学モジュールは、たとえば、カメラモジュールである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明では、光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備える光学ユニットにおいて、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、光学モジュールから引き出されるフレキシブルプリント基板と固定体との干渉を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態にかかる光学ユニットの斜視図である。
図2図1に示す光学ユニットの分解斜視図である。
図3図1に示す光学ユニットからカバーを取り外した状態の平面図である。
図4図1に示すフレキシブルプリント基板の斜視図である。
図5図1に示す固定体に対して可動体が回動したときのフレキシブルプリント基板の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1に示す光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、図1に示す光学ユニット1からカバー19を取り外した状態の平面図である。
【0023】
以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、左右方向の一方側である図1等のX1方向側を「左」側、その反対側である図1等のX2方向側を「右」側、前後方向の一方側である図1等のY1方向側を「前」側、その反対側である図1等のY2方向側を「後ろ」側、上下方向の一方側である図1等のZ1方向側を「上」側、その反対側である図1等のZ2方向側を「下」側とする。
【0024】
本形態の光学ユニット1は、たとえば、スマートフォン等の携帯機器に搭載される小型かつ薄型のユニットであり、撮影用のレンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール2を備えている。光学ユニット1は、全体として厚さの薄い扁平な略直方体状に形成されている。光学ユニット1は、カメラモジュール2を有する可動体3と、可動体3を回動可能に保持する固定体4(図1参照)と、固定体4に対して可動体3を回動させる駆動機構5と、固定体4に対する可動体3の回動の支点を構成する球状の2個のボール6、7とを備えている。本形態のカメラモジュール2は、光学モジュールである。
【0025】
カメラモジュール2の光軸Lは、上下方向に直交している。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lに直交する上下方向を回動の軸方向として固定体4に対して回動可能となっている。すなわち、可動体3は、上下方向を軸線方向とする軸線L1を回動中心にして固定体4に対して回動可能となっている。駆動機構5は、上下方向を回動の軸方向として固定体4に対して可動体3を回動させる。たとえば、駆動機構5は、撮影時の光学ユニット1の振れを補正するために、固定体4に対して可動体3を回動させる。あるいは、駆動機構5は、たとえば、パノラマ撮影を行うために、固定体4に対して可動体3を回動させる。本形態の上下方向(Z方向)は、カメラモジュール2の光軸Lに直交する第1方向となっている。また、上下方向は、光学ユニット1の厚さ方向となっている。
【0026】
本形態では、駆動機構5の一部を構成する後述の駆動用コイル23が非通電状態になっていて固定体4に対して可動体3が回動しておらず、固定体4に対して可動体3が所定の原点位置(基準位置)に配置されているときには、カメラモジュール2の光軸Lの方向(光軸方向)は、前後方向と一致している。可動体3は、原点位置から固定体4に対する可動体3の回動方向における両側へ固定体4に対して回動可能になっている。
【0027】
可動体3は、たとえば、原点位置から、図3の時計回りの方向(以下、この方向を「時計方向」とする。)および図3の反時計回りの方向(以下、この方向を「反時計方向」とする。)のそれぞれに10°程度回動可能となっている。以下の説明では、固定体4に対する可動体3の回動中心を中心とする径方向を「径方向」とし、固定体4に対する可動体3の回動中心を中心とする周方向(円周方向)を「周方向」とする。
【0028】
可動体3は、全体として上下方向の厚さが薄い扁平な直方体状に形成されている。可動体3は、カメラモジュール2に加えて、カメラモジュール2が固定されるフレーム8と、フレーム8に固定される磁性板9とを備えている。カメラモジュール2は、上下方向の厚さが薄い扁平な直方体状に形成されている。カメラモジュール2の上面、下面、後面および左右方向の側面は、平面となっている。カメラモジュール2の上面および下面は、上下方向に直交している。可動体3が原点位置に配置されているときに、カメラモジュール2の左右方向の側面は左右方向に直交し、カメラモジュール2の後面は前後方向に直交している。
【0029】
フレーム8は、カメラモジュール2の左右方向の側面および下面を覆う第1フレーム10と、カメラモジュール2の上面を覆う第2フレーム11とによって構成されている。第1フレーム10および第2フレーム11は、薄い金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。第1フレーム10は、第1フレーム10の左右方向の側面を構成する2枚の側面部10aと、第1フレーム10の底面を構成する底面部10bを備えている。側面部10aは、長方形の平板状に形成されている。側面部10aの厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向と一致している。
【0030】
底面部10bは、長方形の平板状に形成されている。底面部10bの厚さ方向は、上下方向と一致している。底面部10bの中心部には、上下方向で底面部10bを貫通する貫通穴10cが形成されている。貫通穴10cは、丸穴状に形成されている。底面部10bの下側には、ボール6が配置されている。貫通穴10cの内径は、ボール6の外径よりも小さくなっている。貫通穴10cの中には、ボール6の上端部が配置されている。
【0031】
第2フレーム11は、長方形の平板状に形成される上面部11aと、上面部11aから左右方向の外側に突出する2個の突出部11bとを備えている。上面部11aの厚さ方向は、上下方向と一致している。上面部11aは、第1フレーム10の上端に固定されている。上面部11aの中心部には、上下方向で上面部11aを貫通する貫通穴11cが形成されている。貫通穴11cは、丸穴状に形成されている。上面部11aの上側には、ボール7が配置されている。貫通穴11cの内径は、ボール7の外径よりも小さくなっている。貫通穴11cの中には、ボール7の下端部が配置されている。
【0032】
貫通穴11cは、水平方向において貫通穴10cと同じ位置に配置されており、上下方向から見たときに、貫通穴11cと貫通穴10cとが重なっている。すなわち、ボール6とボール7とは、水平方向において同じ位置に配置されており、上下方向から見たときに、ボール6とボール7とが重なっている。ボール6の中心およびボール7の中心は、軸線L1上に配置されている。
【0033】
突出部11bは、突出部11bの先端側部分が下側に向かって直角に折れ曲がるL字状に形成されている。下側に向かって伸びる突出部11bの先端部は、駆動機構5の一部を構成する後述の駆動用磁石24の位置決め用凹部24dに係合する係合部11dとなっている。係合部11dは、長方形の平板状に形成されている。係合部11dの厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向と一致している。係合部11dは、側面部10aよりも左右方向の外側に配置されている。
【0034】
磁性板9は、磁性を有する磁性材料によって構成されている。磁性板9は、第1フレーム10の側面部10a等よりも厚い長方形の平板状に形成されている。磁性板9は、側面部10aの左右方向の外側面に固定されている。磁性板9の厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向と一致している。
【0035】
上述のように、カメラモジュール2は、レンズおよび撮像素子を備えている。撮像素子は、カメラモジュール2の後端側に配置されており、カメラモジュール2の前側に配置される被写体がカメラモジュール2によって撮影される。カメラモジュール2は、オートフォーカス用の磁気駆動機構を備えている。また、カメラモジュール2は、撮像素子が実装されるリジッド基板15を備えている。リジッド基板15は、たとえば、ガラスエポキシ基板である。リジッド基板15は、長方形の平板状に形成されている。リジッド基板15は、カメラモジュール2の外周面の一部を構成している。具体的には、リジッド基板15は、カメラモジュール2の後面を構成している。
【0036】
リジッド基板15の厚さ方向は、カメラモジュール2の光軸方向と一致している。すなわち、リジッド基板15の厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに前後方向と一致している。リジッド基板15からは、フレキシブルプリント基板(FPC)16が引き出されている。すなわち、光学ユニット1は、カメラモジュール2から引き出されるFPC16を備えている。カメラモジュール2には、FPC16を介して電力が供給される。また、撮像素子で取得される画像データは、光学ユニット1が搭載される携帯機器にFPC16を介して送信される。
【0037】
FPC16は、左右方向におけるリジッド基板15の中心部から後ろ側に向かって引き出されている。また、FPC16は、左右方向におけるカメラモジュール2の中心部から後ろ側に向かって引き出されるとともに、左右方向における可動体3の中心部から後ろ側に向かって引き出されている。FPC16の具体的な構成およびFPC16の引き回しについては後述する。
【0038】
固定体4は、固定体4の左右方向の側面および下面を構成するケース体18と、固定体4の上面を構成するカバー19と、ケース体18に固定される固定板20とを備えている。上下方向から見たときの固定体4の外形は、長方形状となっている。具体的には、上下方向から見たときの固定体4の外形は、左右方向を長辺の方向とし、前後方向を短辺の方向とする長方形状となっている。ケース体18は、樹脂材料で形成されている。カバー19は、薄い金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。固定板20は、薄い金属板によって形成されている。また、固定板20は、略円板状に形成されている。
【0039】
ケース体18は、ケース体18の左右方向の側面を構成する2個の側面部18aと、ケース体18の下面を構成する底面部18bとから構成されている。可動体3は、底面部18bの上側に配置されている。また、可動体3は、左右方向において2個の側面部18aの間に配置されている。本形態の側面部18aは、径方向において可動体3の外側に配置される外周壁部である。すなわち、固定体4は、径方向において可動体3の外側に配置される外周壁部を備えている。
【0040】
2個の側面部18aの後端の間は、FPC16をケース体18の外周側に引き出すための開口18dとなっている。すなわち、固定体4には、FPC16を固定体4の外周側に引き出すための開口18dが形成されている。開口18dは、周方向において所定の範囲で形成されている。開口18dの左右方向の幅は、可動体3が原点位置に配置されているときのカメラモジュール2の左右方向の幅よりも広くなっている。
【0041】
開口18dの右端は、可動体3が原点位置に配置されているときのカメラモジュール2の右側面よりも右側に配置され、開口18dの左端は、可動体3が原点位置に配置されているときのカメラモジュール2の左側面よりも左側に配置されている。開口18dは、固定体4に対して可動体3が回動したときに、駆動機構5の一部を構成する後述の駆動用磁石24とケース体18とが干渉するのを防止する機能も果たしている。なお、2個の側面部18aの前端の間は、カメラモジュール2の前側に配置される被写体を撮影するための開口となっている。
【0042】
側面部18aには、左右方向に貫通する貫通穴18cが形成されている。貫通穴18cの中には、駆動機構5の一部を構成する後述の駆動用コイル23が配置されている。左側に配置される側面部18aの前端部には、左側に向かって突出するFPC固定部18fが形成されている。FPC固定部18fには、FPC16の先端部側の所定の箇所が固定されている。すなわち、固定体4には、FPC16の所定の箇所が固定される基板固定部としてのFPC固定部18fが形成されている。
【0043】
固定板20は、底面部18bの上面の中心部に固定されている。固定板20の中心には、ボール6の下端部が配置されるボール配置部20aが形成されている。ボール配置部20aは、下側に膨らむ略半球状に形成されており、ボール配置部20aの上面は、下側に向かって窪む半球状の凹曲面になっている。ボール6は、ボール配置部20aの上側に配置されている。
【0044】
カバー19は、ケース体18の上端部に固定されている。可動体3は、カバー19の下側に配置されている。カバー19の中心部には、ボール7を付勢するバネ部19aが形成されている。すなわち、カバー19は、板バネである。バネ部19aは、下側に向かってわずかに切り起されている。バネ部19aの先端部には、ボール7の上端部が配置されるボール配置部19bが形成されている。ボール配置部19bは、上側に膨らむ略半球状に形成されており、ボール配置部19bの下面は、上側に向かって窪む半球状の凹曲面になっている。ボール7は、ボール配置部19bの下側に配置されている。
【0045】
バネ部19aは、ボール7を下側に向かって付勢している。ボール7は、バネ部19aの付勢力によって、ボール配置部19bの下面および第2フレーム11の貫通穴11cの上端の縁に所定の接触圧で接触している。また、上述のように、ボール6は、ボール7と水平方向において同じ位置に配置されており、バネ部19aの付勢力によって、第1フレーム10の貫通穴10cの下端の縁およびボール配置部20aの上面に所定の接触圧で接触している。上述のように、可動体3は、ボール6、7の中心を通過する軸線L1を回動中心にして固定体4に対して回動可能となっている。
【0046】
駆動機構5は、空芯状に巻回された駆動用コイル23と、径方向で駆動用コイル23に対向配置される駆動用磁石24と、駆動用磁石24が固定される磁性板25とを備えている。本形態の駆動機構5は、可動体3の左右方向の両側のそれぞれに配置される駆動用コイル23と駆動用磁石24と磁性板25とを備えている。駆動用コイル23、駆動用磁石24および磁性板25は、固定体4に対する可動体3の回動中心に対して180°ピッチで配置されている。
【0047】
磁性板25は、磁性材料からなる金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。磁性板25は、磁性板9に固定される被固定部25aと、被固定部25aの前後方向の両端に繋がる2個の傾斜部25bとから構成されている。被固定部25aは、磁性板9の左右方向の外側面に固定されている。被固定部25aの前端に繋がる傾斜部25bは、前側に向かうにしたがって左右方向の内側に向かうように被固定部25aに対して傾斜している。被固定部25aの後端に繋がる傾斜部25bは、後ろ側に向かうにしたがって左右方向の内側に向かうように被固定部25aに対して傾斜している。
【0048】
駆動用磁石24は、上下方向から見たときの形状が略三日月状となるブロック状に形成されている。駆動用磁石24は、磁性板25の被固定部25aに固定されており、磁性板25を介して可動体3に固定されている。駆動用磁石24の上面および下面は、上下方向に直交する平面となっている。径方向における駆動用磁石24の外側面は、駆動用コイル23に対向する磁石側対向面24aとなっている。磁石側対向面24aは、凸曲面状に形成されている。また、磁石側対向面24aは、上下方向から見たときに可動体3の回動中心を曲率中心とする円弧状に形成されている。上下方向から見たときの磁石側対向面24aの中心角は、たとえば、90°程度となっている。磁石側対向面24aは、周方向において2極に着磁されている。
【0049】
径方向における駆動用磁石24の内側面は、被固定部25aに固定される平面状の被固定面24bと、被固定面24bの前後方向の両端に繋がる平面状の傾斜面24cとから構成されている。被固定面24bは、被固定部25aの左右方向の外側面に固定されており、被固定部25aの左右方向の外側面に接触している。被固定面24bの前端に繋がる傾斜面24cは、前側に向かうにしたがって左右方向の内側に向かうように被固定面24bに対して傾斜し、被固定面24bの後端に繋がる傾斜面24cは、後ろ側に向かうにしたがって左右方向の内側に向かうように被固定面24bに対して傾斜している。
【0050】
被固定面24bの中心には、可動体3に対して駆動用磁石24を位置決めするための位置決め用凹部24dが形成されている。位置決め用凹部24dには、係合部11dが係合している。本形態では、係合部11dが位置決め用凹部24dに係合することで、カメラモジュール2の光軸方向において、可動体3に対して駆動用磁石24が位置決めされている。可動体3が原点位置に配置されているときには、2個の駆動用磁石24は左右対称に配置されている。
【0051】
駆動用コイル23は、導線が空芯状に巻回されることで形成された空芯コイルである。駆動用コイル23は、上下方向に平行な一対(2個)の有効辺部23a、23bと、一対の有効辺部23a、23bの上端同士を繋ぐ接続辺部23cと、一対の有効辺部23a、23bの下端同士を繋ぐ接続辺部23cとから構成されている。有効辺部23a、23bは、駆動機構5の駆動力に寄与する部分である。駆動用コイル23は、上下方向から見たときの形状が円弧状をなす磁石側対向面24aに沿って曲げられている。一対の有効辺部23a、23bは、周方向において間隔をあけた状態で配置されている。
【0052】
駆動用コイル23は、径方向において駆動用磁石24の外側に配置されている。また、駆動用コイル23は、左右方向において駆動用磁石24の外側に配置されている。駆動用コイル23は、ケース体18の貫通穴18cの中に配置されており、2個の駆動用コイル23は左右対称に配置されている。駆動用コイル23は、フレキシブルプリント基板(FPC)26に取り付けられている。FPC26は、ケース体18の左右方向の外側面および下面に固定されており、駆動用コイル23は、FPC26を介して固定体4に固定されている。駆動用コイル23に電流が供給されると、軸線L1を回動中心にして固定体4に対して可動体3が回動する。
【0053】
FPC26の、駆動用コイル23が取り付けられている面の反対側の面(具体的には、左右方向におけるFPC26の外側面)には、磁性材料からなる平板状の磁性板27が固定されている。磁性板27は、長方形状に形成されている。磁性板27の厚さ方向は、左右方向と一致している。可動体3が原点位置に配置されている状態で上下方向から見たときに、周方向において2極に着磁される駆動用磁石24の分極位置と磁性板27の前後方向の中心とは周方向において同じ位置に配置されている。
【0054】
駆動用磁石24と磁性板27との間に生じる磁気的吸引力によって、原点位置に配置される可動体3の位置が保持されている。すなわち、駆動用磁石24および磁性板27は、駆動用コイル23に電流が供給されていないときに、可動体3が原点位置に配置されている状態を維持する機能を果たしている。本形態では、駆動用磁石24と磁性板27とによって、可動体3が原点位置に配置されている状態を維持するための位置保持機構が構成されている。
【0055】
(FPCの構成および引き回し)
図4は、図1に示すFPC16の斜視図である。図5は、図1に示す固定体4に対して可動体3が回動したときのFPC16の状態を示す平面図である。なお、図5では、第2フレーム11の貫通穴11cの図示を省略している。
【0056】
FPC16は、全体として細長い帯状に形成されている。FPC16は、FPC16の厚さ方向に直交するFPC16の幅方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、FPC16の幅方向と上下方向とは一致している。上述のように、FPC16は、左右方向におけるリジッド基板15の中心部から後ろ側に向かって引き出されている。すなわち、FPC16は、周方向におけるリジッド基板15の中心部から後ろ側に向かって引き出されている。
【0057】
本形態では、FPC16は、周方向におけるリジッド基板15の中心部から径方向の外側に向かって引き出されている。すなわち、周方向におけるリジッド基板15の中心部からのFPC16の引出し方向は、径方向と一致している。具体的には、FPC16は、周方向におけるリジッド基板15の中心部からカメラモジュール2の光軸方向の一方側に向かって引き出されており、周方向におけるリジッド基板15の中心部からのFPC16の引出し方向は、カメラモジュール2の光軸方向と一致している。また、上述のように、リジッド基板15の厚さ方向は、カメラモジュール2の光軸方向と一致しており、FPC16は、周方向におけるリジッド基板15の中心部からリジッド基板15の厚さ方向の一方側に向かって引き出されている。
【0058】
また、FPC16は、可動体3が原点位置に配置されているときに、周方向におけるケース体18の開口18dの中心部から固定体4の外周側に向かって引き出されている。すなわち、FPC16は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向における開口18dの中心部から固定体4の外周側に向かって引き出されている。FPC16は、周方向におけるリジッド基板15の中心部からリジッド基板15の厚さ方向の一方側に向かって引き出された後、固定体4の外周面に沿って2回折り曲げられている。具体的には、FPC16は、周方向におけるリジッド基板15の中心部から後ろ側に向かって引き出された後、ケース体18の外周面に沿って90°に2回折り曲げられている。
【0059】
本形態では、リジッド基板15から後ろ側に向かって引き出されたFPC16は、その後、左側に向かって折り曲げられて左側に向かって引き回された後、前側に向かって折り曲げられて前側に向かって引き回されており、FPC16は、略角溝状(略コの字状)に折り曲げられている。2回折り曲げられた後のFPC16の先端部側(前端部側)の所定の箇所は、ケース体18のFPC固定部18fに固定されている。具体的には、2回折り曲げられた後のFPC16の先端部側の所定の箇所に、長方形の薄い平板状に形成される補強板32が固定されており、補強板32がFPC固定部18fに固定されている。すなわち、2回折り曲げられた後のFPC16の所定の箇所は、補強板32を介してFPC固定部18fに固定されている。
【0060】
FPC16は、リジッド基板15に固定される被固定部16aと、被固定部16aの一部分に重なる重なり部16bと、周方向におけるリジッド基板15の中心部から後ろ側に引き出される引出部16cと、引出部16cの後端から左側に向かって引き回される第1引回し部16dと、第1引回し部16dの左端から前側に向かって引き回される第2引回し部16eとから構成されている。
【0061】
被固定部16aの厚さ方向および重なり部16bの厚さ方向は、カメラモジュール2の光軸方向と一致している。重なり部16bは、被固定部16aの右側部分の後ろ側に配置されており、カメラモジュール2の光軸方向で被固定部16aの右側部分に重なっている。被固定部16aの右側部分の上端と重なり部16bの上端とが繋がっており、FPC16は、被固定部16aの右側部分と重なり部16bとの接続部分において180°に折り返されている。重なり部16bの前面は、被固定部16aの右側部分の後ろ側に両面テープ等によって固定されている。
【0062】
引出部16cの前端は、重なり部16bの左端に繋がっている。引出部16cの厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向と一致している。FPC16は、重なり部16bと引出部16cとの接続部分において90°に折り曲げられている。上述のように、FPC16は、周方向におけるリジッド基板15の中心部から径方向の外側に向かって(具体的には、カメラモジュール2の光軸方向の一方側に向かって)引き出されている。そのため、上下方向から見たときに、引出部16cの延長線上には、固定体4に対する可動体3の回動中心が配置されている。また、上下方向から見たときに、引出部16cは、カメラモジュール2の光軸L上に配置されている。引出部16cの後端は、側面部18aの後端面よりも後ろ側に配置されている。
【0063】
第1引回し部16dの右端は、引出部16cの後端に繋がっている。第1引回し部16dの厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、前後方向と一致している。FPC16は、引出部16cと第1引回し部16dとの接続部分において90°に折り曲げられている。第1引回し部16dは、ケース体18の後ろ側に配置されている。左側に配置される側面部18aの後端面と第1引回し部16dとの間には、隙間が形成されている。
【0064】
第2引回し部16eの後端は、第1引回し部16dの左端に繋がっている。第2引回し部16eの厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向と一致している。FPC16は、第1引回し部16dと第2引回し部16eとの接続部分において90°に折り曲げられている。第2引回し部16eは、ケース体18の左側に配置されている。左側に配置される側面部18aの左側面と第2引回し部16eとの間には、隙間が形成されている。第2引回し部16eの先端部側の所定の箇所には、補強板32が固定されている。補強板32は、FPC固定部18fの左面に両面テープ等によって固定されている。
【0065】
FPC16には、3箇所において90°に折り曲げられるFPC16の折り曲げ角度を規定する板状部材30、31が貼り付けられている。すなわち、光学ユニット1は、FPC16の折り曲げ角度を規定する板状部材30、31を備えており、板状部材30、31は、FPC16に貼り付けられている。板状部材30は、金属製の平板(板金)を90°に2回折り曲げることで形成されている。板状部材31は、金属製の平板を90°に1回折り曲げることで形成されている。
【0066】
板状部材30、31には、板状部材30、31の折り曲げが容易になるように切欠きや開口が形成されている(図4参照)。板状部材30は、被固定部16aの右側部分の後面、重なり部16bの前面、引出部16cの左面および第1引回し部16dの右端部の前面に接触するようにFPC16に貼り付けられている。板状部材31は、第1引回し部16dの左端部の前面および第2引回し部16eの後端部の右面に接触するようにFPC16に貼り付けられている。
【0067】
光学ユニット1では、可動体3が固定体4に対して時計方向に回動すると、FPC16は、図5(A)に示すように変形する。可動体3が時計方向における回動端まで固定体4に対して回動しても、引出部16cは、周方向において開口18dの右端に到達しない。また、可動体3が固定体4に対して反時計方向に回動すると、FPC16は、図5(B)に示すように変形する。可動体3が反時計方向における回動端まで固定体4に対して回動しても、引出部16cは、周方向において開口18dの左端に到達しない。
【0068】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、可動体3は、原点位置から時計方向および反時計方向に固定体4に対して回動可能になっている。また、本形態では、ケース体18の2個の側面部18aの後端の間は、FPC16を固定体4の外周側に引き出すための開口18dとなっており、カメラモジュール2から引き出されるFPC16は、可動体3が原点位置に配置されているときに、周方向における開口18dの中心部から固定体4の外周側に向かって引き出されている。
【0069】
そのため、本形態では、固定体4に対する可動体3の回動角度が大きくなっても、可動体3が回動したときのFPC16と固定体4との干渉を防止することが可能になる。具体的には、固定体4に対する可動体3の回動角度が大きくなっても、可動体3が回動したときの引出部16cと側面部18aとの干渉を防止することが可能になる。また、本形態では、FPC16は、左右方向におけるリジッド基板15の中心部から径方向の外側に向かって引き出されているため、固定体4に対する可動体3の回動角度が大きくなっても、可動体3が回動したときの、FPC16と左側に配置される駆動用磁石24との干渉を防止することが可能になる。
【0070】
本形態では、固定体4に対する可動体3の回動の軸方向である上下方向とFPC16の幅方向とが一致している。そのため、本形態では、固定体4に対する可動体3の回動角度が大きくなっても、固定体4に対して可動体3が回動したときに、可動体3の回動動作に応じてFPC16が変形しやすくなる。したがって、本形態では、FPC16が可動体3の回動動作の妨げになるのを抑制することが可能になる。
【0071】
本形態では、FPC16は、周方向におけるリジッド基板15の中心部から後ろ側に向かって引き出された後、固定体4の外周面に沿って2回折り曲げられている。そのため、本形態では、固定体4に対する可動体3の回動角度が大きくなっても、固定体4に対して可動体3が回動したときに、可動体3の回動動作に応じてFPC16の全体が変形しやすくなる。したがって、本形態では、FPC16が可動体3の回動動作の妨げになるのを効果的に抑制することが可能になる。
【0072】
本形態では、FPC16の折り曲げ角度を規定する板状部材30、31がFPC16に貼り付けられている。そのため、本形態では、固定体4の外周面に沿って2回折り曲げられるように引き回されるFPC16の、引き回された状態の形状を維持することが可能になる。また、本形態では、2回折り曲げられた後のFPC16の第2引回し部16eの前端部側の所定の箇所が、補強板32を介してケース体18のFPC固定部18fに固定されているため、光学ユニット1の中で、FPC16の引き回しを確定させることが可能になる。
【0073】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0074】
上述した形態において、周方向におけるリジッド基板15の中心部からのFPC16の引出し方向は、カメラモジュール2の光軸方向に対して傾いていても良い。すなわち、リジッド基板15の厚さ方向がカメラモジュール2の光軸方向と一致していなくても良い。また、上述した形態において、周方向におけるリジッド基板15の中心部からのFPC16の引出し方向は、径方向からずれていても良い。すなわち、上下方向から見たときの引出部16cの延長線上に、固定体4に対する可動体3の回動中心が配置されていなくても良い。さらに、上述した形態において、FPC16は、リジッド基板15の、周方向の中心部からずれている位置から後ろ側に向かって引き出されていても良い。
【0075】
上述した形態において、上下方向から見たときの固定体4の外形は長方形状以外の形状となっていても良い。この場合には、たとえば、リジッド基板15から後ろ側に向かって引き出された後に2回折り曲げられるFPC16の折り曲げ角度は、90°でなくても良い。すなわち、上述した形態において、リジッド基板15から後ろ側に向かって引き出された後に2回折り曲げられるFPC16の折り曲げ角度は、鋭角であっても良いし、鈍角であっても良い。
【0076】
上述した形態において、周方向におけるリジッド基板15の中心部から後ろ側に向かって引き出された後のFPC16の折り曲げ回数は、1回であっても良いし、3回以上であっても良い。また、上述した形態において、周方向におけるリジッド基板15の中心部から後ろ側に向かって引き出されるFPC16は、折り曲げられずにそのまま後ろ側に向かって引き回されても良い。さらに、上述した形態において、FPC16の第2引回し部16eの前端部側の所定の箇所は、ケース体18のFPC固定部18fに固定されずに、光学ユニット1が搭載される携帯機器のフレーム等に固定されていても良い。すなわち、補強板32は、FPC固定部18fに固定されずに、光学ユニット1が搭載される携帯機器のフレーム等に固定されていても良い。また、上述した形態において、第2引回し部16eの前端部側の所定の箇所が直接、FPC固定部18fに固定されていても良い。
【0077】
上述した形態において、可動体3が原点位置に配置されている状態を維持するための位置保持機構は、板バネ等のバネ部材であっても良い。位置保持機構が板バネである場合には、この板バネは、たとえば、可動体3に固定される被固定部と、固定体4に固定される被固定部と、被固定部同士を繋ぐ複数のバネ部とを備えている。また、上述した形態において、駆動機構5は、1個のみの駆動用コイル23および駆動用磁石24を備えていても良いし、3個以上の駆動用コイル23および駆動用磁石24を備えていても良い。
【0078】
上述した形態において、駆動用コイル23と駆動用磁石24とが上下方向で対向配置されていても良い。この場合には、駆動用コイル23は、上下方向を巻回の軸方向として巻回されていても良いし、前後方向を巻回の軸方向として巻回されていても良い。また、この場合には、駆動用コイル23の上下方向の一方側のみに駆動用磁石24が配置されていても良いし、駆動用コイル23の上下方向の両側に駆動用磁石24が配置されていても良い。
【0079】
上述した形態において、駆動用コイル23が可動体3に固定され、駆動用磁石24が固定体4に固定されていても良い。この場合には、駆動用磁石24が径方向において駆動用コイル23の外側に配置されている。また、上述した形態において、光学ユニット1は、カメラモジュール2以外の光学モジュールを備えていても良い。たとえば、光学ユニット1は、光学モジュールとして、レーザ光を射出するレーザモジュールを備えていても良い。
【符号の説明】
【0080】
1 光学ユニット
2 カメラモジュール(光学モジュール)
3 可動体
4 固定体
5 駆動機構
15 リジッド基板
16 FPC(フレキシブルプリント基板)
16c 引出部
18a 側面部(外周壁部)
18d 開口
18f FPC固定部(基板固定部)
30、31 板状部材
L カメラモジュールの光軸(光学モジュールの光軸)
Z 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5