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  • 特開-実装基板および実装基板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021803
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】実装基板および実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20230207BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20230207BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H05K3/28 B
H05K1/18 J
H05K3/34 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126897
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 智史
(72)【発明者】
【氏名】圓尾 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】吉永 誠一
(72)【発明者】
【氏名】境 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宗像 宏典
【テーマコード(参考)】
5E314
5E319
5E336
【Fターム(参考)】
5E314AA26
5E314AA32
5E314BB06
5E314CC06
5E314EE02
5E314FF03
5E314FF05
5E314FF19
5E314GG22
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB06
5E319AC02
5E319BB05
5E319CC33
5E319GG05
5E336AA04
5E336AA12
5E336BB01
5E336BB02
5E336BB03
5E336BB16
5E336CC32
5E336CC52
5E336CC53
5E336CC60
5E336EE03
5E336GG06
(57)【要約】
【課題】微小チップ型電子部品の狭隣接実装においてブリッジの発生を抑止する。
【解決手段】実装基板10は、100μm以下の隣接距離L1で隣接する第1および第2電子部品11,12と、両者が表面実装される基板13と、両者を基板13に半田付けする第1および第2半田部15,16と、第1および第2電子部品11,12と基板13との間に介在する第1および第2スペーサ17,18と、を備える。第1および第2電子部品11,12は、長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である。基板13は、第1および第2半田部15,16に対応する複数のランド14を有する。第1および第2スペーサ17,18は、第1半田部15と第2半田部16との間でブリッジが発生するのを防止するために必要なランド14と端子11a,12aとの間の距離を確保する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子部品と、
前記第1電子部品と100μm以下の隣接距離で隣接する第2電子部品と、
前記第1電子部品および前記第2電子部品が表面実装される基板と、
前記第1電子部品を前記基板に半田付けする第1半田部と、
前記第2電子部品を前記基板に半田付けする第2半田部と、
前記第1電子部品と前記基板との間に介在する第1スペーサと、
前記第2電子部品と前記基板との間に介在する第2スペーサと、
を備え、
前記第1電子部品および前記第2電子部品は、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品であり、
前記基板は、前記第1半田部および前記第2半田部に対応する複数のランドを有し、
前記第1および第2スペーサが、前記第1半田部と前記第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要な前記ランドと前記端子との間の距離を確保する、実装基板。
【請求項2】
前記第1および第2スペーサは、前記基板の表面に形成されたソルダーレジストで構成される、請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記第1および第2スペーサは、前記第1および第2電子部品を前記基板の表面に接着する接着部に含まれるフィラー粒子で構成される、請求項1に記載の実装基板。
【請求項4】
前記第1および第2スペーサの厚さは、10μm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の実装基板。
【請求項5】
前記第1および第2スペーサの厚さは、前記第1および第2半田部を形成するときに用いるマスクの厚さ以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の実装基板。
【請求項6】
互いに100μm以下の隣接距離で隣接する第1電子部品および第2電子部品が表面実装され、前記第1電子部品および前記第2電子部品は、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である、実装基板の製造方法であって、
互いに100μm以下の隣接距離で隣接する複数のランドを有する基板を準備する基板準備工程と、
前記複数のランドに対応する開口を有するマスクを用いて、前記複数のランド上にクリーム半田を塗布する塗布工程と、
前記複数のランド上に前記クリーム半田と第1スペーサおよび第2スペーサとを介して前記第1電子部品および前記第2電子部品を搭載する部品搭載工程と、
前記第1電子部品および前記第2電子部品が搭載された前記基板を加熱するリフロー工程と、
を備え、
前記第1および第2スペーサの厚さは、前記マスクの厚さ以下であり、
前記リフロー工程において、前記クリーム半田を溶融後固化させて、前記第1電子部品の端子と前記ランドとを接続する第1半田部および前記第2電子部品の端子と前記ランドとを接続する第2半田部を形成すると共に、前記第1および第2スペーサにより、前記第1半田部と前記第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要な前記ランドと前記端子との間の距離を確保する、実装基板の製造方法。
【請求項7】
互いに100μm以下の隣接距離で隣接する第1電子部品および第2電子部品が表面実装され、前記第1電子部品および前記第2電子部品は、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である、実装基板の製造方法であって、
互いに100μm以下の隣接距離で隣接する複数のランド、および前記複数のランド上にそれぞれ形成された半田プリコートを有する基板を準備する基板準備工程と、
前記複数のランドに対応する開口を有するマスクを用いて、前記半田プリコート上にフラックスを塗布する塗布工程と、
前記半田プリコート上に前記フラックスと第1スペーサおよび第2スペーサとを介して前記第1電子部品および前記第2電子部品を搭載する部品搭載工程と、
前記第1電子部品および前記第2電子部品が搭載された前記基板を加熱するリフロー工程と、
を備え、
前記第1および第2スペーサの厚さは、前記マスクの厚さ以下であり、
前記リフロー工程において、前記半田プリコートを溶融後固化させて、前記第1電子部品の端子と前記ランドとを接続する第1半田部および前記第2電子部品の端子と前記ランドとを接続する第2半田部を形成すると共に、前記第1および第2スペーサにより、前記第1半田部と前記第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要な前記ランドと前記端子との間の距離を確保する、実装基板の製造方法。
【請求項8】
互いに100μm以下の隣接距離で隣接する第1電子部品および第2電子部品が表面実装され、前記第1電子部品および前記第2電子部品は、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である、実装基板の製造方法であって、
互いに100μm以下の隣接距離で隣接する複数のランド、および前記複数のランド上にそれぞれ形成された半田プリコートを有する基板を準備する基板準備工程と、
前記複数のランドに対応する開口を有するマスクを用いて、前記半田プリコート上にフィラー粒子を含む熱硬化型のフラックスを塗布する塗布工程と、
前記半田プリコート上に前記フラックスを介して前記第1電子部品および前記第2電子部品を搭載する部品搭載工程と、
前記第1電子部品および前記第2電子部品が搭載された前記基板を加熱するリフロー工程と、
を備え、
前記フィラー粒子の最大粒径は、前記マスクの厚さ以下であり、
前記リフロー工程において、前記半田プリコートを溶融後固化させて、前記第1電子部品の端子と前記ランドとを接続する第1半田部および前記第2電子部品の端子と前記ランドとを接続する第2半田部を形成すると共に、前記フィラー粒子を前記第1電子部品および前記第2電子部品と前記基板との間に介在させて、前記第1半田部と前記第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要な前記ランドと前記端子との間の距離を確保する、実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実装基板および実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップ型電子部品が表面実装された基板である実装基板が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の実装基板では、同文献の段落0024に記載されているように、隣り合うチップ型電子部品の間の隣接距離が、500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-110303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、微小なチップ型電子部品を、さらに狭い隣接距離で表面実装しようとすると、従来とは異なる態様で、チップ型電子部品の間でブリッジ(電気的短絡)が生じることがある。すなわち、従来は、チップ型電子部品が接続されるランド上の半田が基板表面に沿って広がることでブリッジが発生していた。これに対し、例えば100μm以下の隣接距離でチップ型電子部品を表面実装すると、チップ型電子部品の端子側面にぬれ広がった半田同士が接触してブリッジが発生する。
【0005】
例えば、図4に示す実装基板110は、互いに100μm以下の隣接距離L1で隣接する第1電子部品111および第2電子部品112と、第1電子部品111および第2電子部品112が表面実装される基板113と、第1電子部品111を基板113に半田付けする第1半田部115と、第2電子部品112を基板113に半田付けする第2半田部116と、を備え、第1および第2電子部品111,112が、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子111a,112aを有するチップ型電子部品であり、基板113が、第1半田部115および第2半田部116に対応する複数のランド114を有する。同図に示すように、このような実装基板110では、第1半田部115と第2半田部116との間でブリッジが発生することがある。このような状況において、本開示は、微小チップ型電子部品の狭隣接実装においてブリッジの発生を抑止することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一局面は、実装基板に関する。当該実装基板は、第1電子部品と、前記第1電子部品と100μm以下の隣接距離で隣接する第2電子部品と、前記第1電子部品および前記第2電子部品が表面実装される基板と、前記第1電子部品を前記基板に半田付けする第1半田部と、前記第2電子部品を前記基板に半田付けする第2半田部と、前記第1電子部品と前記基板との間に介在する第1スペーサと、前記第2電子部品と前記基板との間に介在する第2スペーサと、を備え、前記第1電子部品および前記第2電子部品は、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品であり、前記基板は、前記第1半田部および前記第2半田部に対応する複数のランドを有し、前記第1および第2スペーサが、前記第1半田部と前記第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要な前記ランドと前記端子との間の距離を確保する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、微小チップ型電子部品の狭隣接実装においてブリッジの発生を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1の実装基板を模式的に示す正面図である。
図2】実施形態1の変形例の実装基板を模式的に示す正面図である。
図3】実施形態2のスペーサについて説明するための正面図である。
図4】スペーサを備えずブリッジが発生した実装基板を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る実装基板および実装基板の製造方法の実施形態について例を挙げて以下に説明する。しかしながら、本開示は以下に説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
【0010】
(実装基板)
本開示に係る実装基板は、第1電子部品と、第2電子部品と、基板と、第1半田部と、第2半田部と、第1スペーサと、第2スペーサとを備える。
【0011】
第1電子部品は、長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である。第1電子部品の外形サイズは、例えば、1005(1.0mm×0.5mm)、0603(0.6mm×0.3mm)、または0402(0.4mm×0.2mm)であってもよい。第1電子部品は、例えば、チップ型コンデンサやチップ型抵抗器であってもよいが、これらに限られるものではない。
【0012】
第2電子部品は、第1電子部品と100μm以下の隣接距離で隣接する。第2電子部品は、長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である。第2電子部品の外形サイズは、例えば、1005(1.0mm×0.5mm)、0603(0.6mm×0.3mm)、または0402(0.4mm×0.2mm)であってもよい。第2電子部品は、例えば、チップ型コンデンサやチップ型抵抗器であってもよいが、これらに限られるものではない。
【0013】
基板は、第1電子部品および第2電子部品が表面実装される。基板は、基材と配線層とを含んでよく、配線層は、通常、ランドやパッドなどの複数の電極を具備する。基材は、例えば、半導体、ガラス、樹脂などで構成される。基板は、例えば、配線層を有するガラスエポキシ樹脂基板、ビスマレイミドトリアジン基板、ポリイミド基板、フッ素樹脂基板、ガラス基板、半導体ウェハなどでもよい。基板は、第1半田部および第2半田部に対応する複数のランドを有する。各ランドは、例えば、銅または銅合金で構成されてもよい。
【0014】
第1半田部は、第1電子部品を基板に半田付けする。第1半田部は、例えば、クリーム半田を溶融後固化させることで形成されてもよいし、半田プリコートを溶融後固化させることで形成されてもよい。
【0015】
第2半田部は、第2電子部品を基板に半田付けする。第2半田部は、例えば、クリーム半田を溶融後固化させることで形成されてもよいし、半田プリコートを溶融後固化させることで形成されてもよい。
【0016】
第1スペーサは、第1電子部品と基板との間に介在する。第1スペーサは、第1電子部品の底面と基板の表面との間の距離を規定する。換言すると、第1スペーサの厚さは、第1電子部品の底面と基板の表面との間の距離と実質的に等しい。
【0017】
第2スペーサは、第2電子部品と基板との間に介在する。第2スペーサは、第2電子部品の底面と基板の表面との間の距離を規定する。換言すると、第2スペーサの厚さは、第2電子部品の底面と基板の表面との間の距離と実質的に等しい。
【0018】
本明細書において、第1および第2スペーサの厚さとは、基板の表面の法線方向における第1および第2スペーサの寸法のことをいう。また、本明細書において、厚さと距離が実質的に等しいとは、距離に対する両者の差の比率が5%以下であることをいう。
【0019】
第1および第2スペーサは、第1半田部と第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要なランドと各電子部品の端子との間の距離を確保する。ランドと各端子との間の距離が大きいほど、各電子部品の端子側面でブリッジが発生しにくくなる。これは、ランドと各端子との間のスペースに第1および第2半田部の一部が格納されるところ、当該距離が大きいほど当該スペースも大きくなるためである。つまり、ランドと各端子との間のスペースに格納される半田の量が増えるにつれて、各端子の側面にぬれ広がる半田の量が減って端子側面におけるブリッジが発生しにくくなる。第1および第2スペーサは、そのようなランドと各端子との間の十分な距離を確保するのである。
【0020】
第1および第2スペーサは、基板の表面に形成されたソルダーレジストで構成されてもよい。この場合、基板にソルダーレジスト層を形成する際に、第1および第2スペーサをあわせて形成できるため、各スペーサを形成するための別工程を設ける必要がない。
【0021】
第1および第2スペーサは、第1および第2電子部品を基板の表面に接着する接着部に含まれるフィラー粒子で構成されてもよい。この場合、フィラー粒子のサイズを調節することで、ランドと各端子との間の距離を柔軟に調節することができる。また、接着部の接着作用によって、第1および第2電子部品を基板に対して強固に固定することができる。接着部は、例えば、第1および第2電子部品を基板に搭載する前にランドもしくはランド上に形成された半田プリコートに塗布される熱硬化型のフラックスにより形成される。熱硬化型のフラックスは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂と、ロジンなどのフラックス成分と、活性剤と、フィラー粒子とを含んでもよい。熱硬化型のフラックスは、リフローの際に軟化する。軟化した熱硬化型のフラックスは、表面張力の作用により、フィラー粒子と共に第1および第2電子部品と基板との間に侵入する。第1および第2電子部品と基板との間に侵入したフィラー粒子は、第1スペーサおよび第2スペーサとして機能する。
【0022】
第1および第2スペーサの厚さは、10μm以上であってもよい。第1および第2スペーサの厚さは、25μm以上であってもよい。フィラー粒子の最大粒径も同様に、10μm以上であってもよく、25μm以上であってもよい。ここで、最大粒径とは、体積基準の粒度分布における累積体積90%時の粒径をいう。フィラー粒子を分離できる場合、累積体積90%時の粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置で測定できる。硬化した接着部においては、接着部の断面で観測される相当円が最大の粒子の円相当径として最大粒径が求められる。
【0023】
第1および第2スペーサの厚さは、第1および第2半田部を形成するときに用いるマスクの厚さ以下であってもよい。このマスクは、第1および第2半田部を、例えばスクリーン印刷法によって形成するときに用いられてもよい。マスクの厚さは、例えば、50μm以上、110μm以下であってもよいし、60μm以上、100μm以下であってもよい。
【0024】
第1および第2スペーサとランドとの間には、空間が形成されていてもよい。この場合、第1および第2半田部の一部が当該空間に入り込むことで、各電子部品の端子の側面にぬれ広がる半田の量が減少する。したがって、ブリッジの発生をより一層抑止することができる。
【0025】
(実装基板の製造方法)
本開示に係る実装基板の製造方法(以下、製造方法Aともいう。)は、互いに100μm以下の隣接距離で隣接する第1電子部品および第2電子部品が表面実装され、第1電子部品および第2電子部品は、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である、実装基板の製造方法である。製造方法Aは、基板準備工程と、塗布工程と、部品搭載工程と、リフロー工程とを備える。
【0026】
基板準備工程では、互いに100μm以下の隣接距離で隣接する複数のランドを有する基板を準備する。複数のランドは、第1電子部品に対応する第1ランドと、第2電子部品に対応する第2ランドとを含んでもよい。
【0027】
塗布工程では、複数のランドに対応する開口を有するマスクを用いて、複数のランド上にクリーム半田を塗布する。この場合におけるクリーム半田の塗布厚さは、マスクの厚さと略等しい。
【0028】
部品搭載工程では、複数のランド上にクリーム半田と第1スペーサおよび第2スペーサとを介して第1電子部品および第2電子部品を搭載する。第1および第2スペーサは、第1および第2電子部品の底面と基板の表面との間に介在してもよい。第1および第2スペーサの厚さは、マスクの厚さ(クリーム半田の塗布厚さ)以下である。よって、第1および第2スペーサが存在しても、第1および第2電子部品の端子にクリーム半田が接触する。
【0029】
リフロー工程では、第1電子部品および第2電子部品が搭載された基板を加熱する。このリフロー工程では、クリーム半田を溶融後固化させて、第1電子部品の端子とランド(例えば、第1ランド)とを接続する第1半田部および第2電子部品の端子とランド(例えば、第2ランド)とを接続する第2半田部を形成すると共に、第1および第2スペーサにより、第1半田部と第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要なランドと各電子部品の端子との間の距離を確保する。
【0030】
本開示に係る実装基板の製造方法(以下、製造方法Bともいう。)は、互いに100μm以下の隣接距離で隣接する第1電子部品および第2電子部品が表面実装され、第1電子部品および第2電子部品は、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である、実装基板の製造方法である。製造方法Bは、基板準備工程と、塗布工程と、部品搭載工程と、リフロー工程とを備える。
【0031】
基板準備工程では、互いに100μm以下の隣接距離で隣接する複数のランドと、複数のランド上にそれぞれ形成された半田プリコートとを有する基板を準備する。複数のランドは、第1電子部品に対応する第1ランドと、第2電子部品に対応する第2ランドとを含んでもよい。半田プリコートは、例えば、ランド上に塗布したクリーム半田を溶融後固化させることで形成されてもよい。
【0032】
塗布工程では、複数のランドに対応する開口を有するマスクを用いて、半田プリコート上にフラックスを塗布する。この場合におけるフラックスの塗布厚さは、マスクの厚さと略等しい。
【0033】
部品搭載工程では、半田プリコート上にフラックスと第1スペーサおよび第2スペーサとを介して第1電子部品および第2電子部品を搭載する。第1および第2スペーサは、第1および第2電子部品の底面と基板の表面との間に介在してもよい。第1および第2スペーサの厚さは、マスクの厚さ(フラックスの塗布厚さ)以下である。よって、第1および第2スペーサが存在しても、第1および第2電子部品の端子にフラックスが接触する。
【0034】
リフロー工程では、第1電子部品および第2電子部品が搭載された基板を加熱する。このリフロー工程では、半田プリコートを溶融後固化させて、第1電子部品の端子とランド(例えば、第1ランド)とを接続する第1半田部および第2電子部品の端子とランド(例えば、第2ランド)とを接続する第2半田部を形成すると共に、第1および第2スペーサにより、第1半田部と第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要なランドと各電子部品の端子との間の距離を確保する。
【0035】
本開示に係る実装基板の製造方法(以下、製造方法Cともいう。)は、互いに100μm以下の隣接距離で隣接する第1電子部品および第2電子部品が表面実装され、第1電子部品および第2電子部品は、それぞれ長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子を有するチップ型電子部品である、実装基板の製造方法である。製造方法Cは、基板準備工程と、塗布工程と、部品搭載工程と、リフロー工程とを備える。
【0036】
基板準備工程では、互いに100μm以下の隣接距離で隣接する複数のランドと、複数のランド上にそれぞれ形成された半田プリコートとを有する基板を準備する。複数のランドは、第1電子部品に対応する第1ランドと、第2電子部品に対応する第2ランドとを含んでもよい。半田プリコートは、例えば、ランド上に塗布したクリーム半田を溶融後固化させることで形成されてもよい。
【0037】
塗布工程では、複数のランドに対応する開口を有するマスクを用いて、半田プリコート上にフィラー粒子を含む熱硬化型のフラックスを塗布する。この場合における熱硬化型のフラックスの塗布厚さは、マスクの厚さと略等しい。フィラー粒子の最大粒径は、マスクの厚さ以下である。
【0038】
部品搭載工程では、半田プリコート上に熱硬化型のフラックスを介して第1電子部品および第2電子部品を搭載する。
【0039】
リフロー工程では、第1電子部品および第2電子部品が搭載された基板を加熱する。このリフロー工程では、半田プリコートを溶融後固化させて、第1電子部品の端子とランド(例えば、第1ランド)とを接続する第1半田部および第2電子部品の端子とランド(例えば、第2ランド)とを接続する第2半田部を形成すると共に、フィラー粒子を第1電子部品および第2電子部品と基板との間に介在させて、第1半田部と第2半田部との間でブリッジが発生するのを防止するために必要なランドと各電子部品の端子との間の距離を確保する。
【0040】
以上のように、本開示によれば、第1および第2スペーサによってランドと各電子部品の端子との間の距離を十分に確保することで、微小チップ型電子部品の狭隣接実装においてブリッジの発生を抑止することができる。
【0041】
以下では、本開示に係る実装基板の一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する一例の実装基板の構成要素には、上述した構成要素を適用できる。以下で説明する一例の実装基板の構成要素は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。以下で説明する一例の実装基板の構成要素のうち、本開示に係る実装基板に必須ではない構成要素は省略してもよい。なお、以下で示す図は模式的なものであり、実際の部材の形状や数を正確に反映するものではない。
【0042】
《実施形態1》
本開示の実施形態1について説明する。図1に示すように、本実施形態の実装基板10は、第1電子部品11と、第2電子部品12と、基板13と、第1半田部15と、第2半田部16と、第1スペーサ17と、第2スペーサ18とを備える。
【0043】
第1電子部品11は、長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子11aを有するチップ型電子部品である。長辺および短辺とは、直方体状の第1電子部品11を頂面側(図1における上側)から見たときの長方形の長辺および短辺をいう。本実施形態の第1電子部品11は、0402サイズのチップ型コンデンサであるが、これに限られるものではない。
【0044】
第2電子部品12は、長辺が1.0mm以下かつ短辺が0.5mm以下で両端に端子12aを有するチップ型電子部品である。長辺および短辺とは、直方体状の第2電子部品12を頂面側(図1における上側)から見たときの長方形の長辺および短辺をいう。本実施形態の第2電子部品12は、0402サイズのチップ型コンデンサであるが、これに限られるものではない。
【0045】
第1電子部品11と第2電子部品12との間の隣接距離L1は、100μm以下である。当該隣接距離L1は、例えば、90μm以下、80μm以下、70μm以下、もしくは50μm以下であってもよいし、例えば、10μm以上、20μm以上、30μm以上、もしくは40μm以上であってもよい。
【0046】
基板13は、第1電子部品11および第2電子部品12が表面実装される。基板13は、ガラスエポキシ樹脂で構成された基材を有する。基板13は、第1半田部15および第2半田部16に対応する複数のランド14を有する。各ランド14は、銅または銅合金で構成され、上面視で矩形状になっている。
【0047】
第1半田部15は、第1電子部品11を基板13に半田付けする。本実施形態の第1半田部15は、クリーム半田を溶融後固化させることで形成される。第1半田部15は、第1電子部品11の端子11aとこれに対応するランド14との間のスペースに格納される第1格納部15aと、第1電子部品11の端子11aの側面において側方へ膨出する第1膨出部15bとを有する。
【0048】
第2半田部16は、第2電子部品12を基板13に半田付けする。本実施形態の第2半田部16は、クリーム半田を溶融後固化させることで形成される。第2半田部16は、第2電子部品12の端子12aとこれに対応するランド14との間のスペースに格納される第2格納部16aと、第2電子部品12の端子12aの側面において側方へ膨出する第2膨出部16bとを有する。
【0049】
第1スペーサ17は、第1電子部品11と基板13との間に介在する。第1スペーサ17は、第1電子部品11の底面と基板13の表面との間の距離を規定する。換言すると、第1スペーサ17の厚さは、第1電子部品11の底面と基板13の表面との間の距離と実質的に等しい。第1スペーサ17とランド14との間には、空間Sが形成されている。本実施形態の第1スペーサ17は、基板13の表面に形成されたソルダーレジストで構成される。
【0050】
第2スペーサ18は、第2電子部品12と基板13との間に介在する。第2スペーサ18は、第2電子部品12の底面と基板13の表面との間の距離を規定する。換言すると、第2スペーサ18の厚さは、第2電子部品12の底面と基板13の表面との間の距離と実質的に等しい。第2スペーサ18とランド14との間には、空間Sが形成されている。本実施形態の第2スペーサ18は、基板13の表面に形成されたソルダーレジストで構成される。
【0051】
第1および第2スペーサ17,18は、第1半田部15と第2半田部16との間でブリッジが発生するのを防止するために必要なランド14と第1および第2電子部品11,12の端子11a,12aとの間の距離を確保する。ランド14と各端子11a,12aとの間の距離が大きいほど、第1格納部15aおよび第2格納部16aが大きくなる一方、第1膨出部15bおよび第2膨出部16bは小さくなる。第1膨出部15bおよび第2膨出部16bが小さいほど、各端子11a,12aの側面でブリッジが発生しにくい。第1および第2スペーサ17,18は、第1膨出部15bおよび第2膨出部16bの膨出高さ(図1における各膨出部15b,16bの左右方向の最大長さ)の和が、第1および第2電子部品11,12間の隣接距離L1よりも小さくなるように、各ランド14と第1および第2電子部品11,12の端子11a,12aとの間の距離を確保する。
【0052】
第1および第2スペーサ17,18の厚さは、10μm以上であり、好ましくは25μm以上である。第1および第2スペーサ17,18の厚さは、第1および第2半田部15,16を形成するとき(具体的には、クリーム半田を印刷するとき)に用いるマスク(図示せず)の厚さ以下である。マスクの厚さは、例えば、60μm以上、100μm以下である。
【0053】
《実施形態1の変形例》
実施形態1の変形例について説明する。本変形例は、第1および第2スペーサ17,18などの構成が上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0054】
図2に示すように、各電子部品11,12に対応するランド14は、各端子11a,12aよりも各スペーサ17,18側へ(各電子部品11,12の中央側へ)突出している。その突出している部分は、ソルダーレジストで構成された各スペーサ17,18によって覆われている。換言すると、各スペーサ17,18は、ランド14の一部(この例では、各電子部品11,12の中央寄りの一部)を覆っている。この構成によると、ランド14と基板13との間の接着面積が大きくなることで、半田付け後の各電子部品11,12と基板13との間の接着強度が向上し得る。さらに、この構成によると、各スペーサ17,18によってランド14の一部が覆われることで、ランド14と基板13との間の接着が補強され得る。
【0055】
《実施形態2》
本開示の実施形態2について説明する。本実施形態は、第1および第2スペーサ17,18の構成が上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0056】
図3に示すように、第1および第2スペーサ17,18は、第1および第2電子部品11,12を基板13の表面に接着する接着部19に含まれるフィラー粒子20で構成される。接着部19は、例えば、フィラー粒子20を含む接着剤をディスペンサで塗布することによって形成されてもよい。フィラー粒子20は、例えば球形であってもよいが、その他の形状を有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示は、実装基板および実装基板の製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
10:実装基板
11:第1電子部品
11a:端子
12:第2電子部品
12a:端子
13:基板
14:ランド
15:第1半田部
15a:第1格納部
15b:第1膨出部
16:第2半田部
16a:第2格納部
16b:第2膨出部
17:第1スペーサ
18:第2スペーサ
19:接着部
20:フィラー粒子
110:実装基板
111:第1電子部品
111a:端子
112:第2電子部品
112a:端子
113:基板
114:ランド
115:第1半田部
116:第2半田部
L1:電子部品間の隣接距離
S:空間
図1
図2
図3
図4