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特開2023-21812対象物撮影システム、制御装置、対象物撮影システムにおける制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021812
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】対象物撮影システム、制御装置、対象物撮影システムにおける制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/66 20230101AFI20230207BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230207BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20230207BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230207BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230207BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20230207BHJP
   G05D 1/10 20060101ALN20230207BHJP
【FI】
H04N5/232 030
H04Q9/00 301Z
H04N5/222 100
H04N5/232 300
B64C39/02
B64D47/08
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126911
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】512171124
【氏名又は名称】株式会社ケー・シー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昭弘
【テーマコード(参考)】
5C122
5H301
5K048
【Fターム(参考)】
5C122EA63
5C122FA01
5C122FK23
5C122GC53
5C122GD11
5C122HA75
5C122HB01
5C122HB03
5H301AA06
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD02
5H301DD05
5H301DD17
5H301GG09
5K048AA05
5K048BA45
5K048BA48
5K048DC01
5K048EB02
5K048FB15
(57)【要約】
【課題】より簡単な方法で空撮を可能にする。
【解決手段】所定の視野内を撮像して撮像データを出力する撮像装置20を有し、所定の位置に移動可能な飛行体10と、被写体の被写体位置を検出する第2通信装置50と、飛行体10の所定の位置への移動を制御するリモコン30とを有し、リモコン30は、飛行体10の飛行中の異なる時間帯においてそれぞれ異なる複数の制御モードで飛行体10の移動を制御し、複数の制御モードのうち第1の制御モードにおいて、被写体位置に依存した姿勢を取りながら飛行するように飛行体10の飛行を制御し、複数の制御モードのうち第2の制御モードにおいて、被写体位置から独立した所定の姿勢を取りながら移動するように飛行体10の飛行を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を用いて対象物を撮影する対象物撮影システムであって、
所定の視野内を撮像して撮像データを出力する撮像装置を有し、所定の位置に移動可能な前記移動体と、
前記対象物の対象物位置を検出する検出装置と、
前記移動体の前記位置への移動を制御する制御装置と
を有し、
前記制御装置は、前記移動体の移動中の異なる時間帯においてそれぞれ異なる複数の制御モードで前記移動体の移動を制御し、
前記制御装置は、前記複数の制御モードのうち第1の制御モードにおいて、前記対象物位置に依存した姿勢を取りながら移動するように前記移動体の移動を制御し、
前記制御装置は、前記複数の制御モードのうち第2の制御モードにおいて、前記対象物位置から独立した所定の姿勢を取りながら移動するように前記移動体の移動を制御する
ことを特徴とする対象物撮影システム。
【請求項2】
前記撮像装置は、少なくとも前記第1の制御モード及び前記第2の制御モードにおいて、前記視野内を撮像して前記撮像データを出力することを特徴とする請求項1に記載の対象物撮影システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1の制御モード及び前記第2の制御モードを逐次的にかつ連続的に実行することを特徴とする請求項1または2に記載の対象物撮影システム。
【請求項4】
前記移動体は、前記撮像装置の撮像方向を制御可能に構成され、
前記制御装置は、前記第1の制御モードにおいて、前記対象物位置に基づいて前記撮像装置の前記視野内に前記対象物が位置するように前記撮像装置の前記撮像方向を制御しながら前記移動体の移動を制御する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の対象物撮影システム。
【請求項5】
前記制御装置は、少なくとも前記第2の制御モードにおいて、前記移動体の複数の前記位置を時系列的に並べてなる移動経路に沿って前記移動体の移動を制御することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の対象物撮影システム。
【請求項6】
前記制御装置は、少なくとも前記第1の制御モード及び第2の制御モードにおいて、前記移動経路に沿って前記移動体の移動を制御することを特徴とする請求項5に記載の対象物撮影システム。
【請求項7】
前記移動体は移動体位置を検出可能に構成され、
前記制御装置は、前記移動経路を構成する複数の前記位置に関する情報を送出し、
前記移動体は、前記制御装置から送出された複数の前記位置に関する情報と前記移動体位置とに基づいて、前記移動経路に沿って前記移動体を移動させる
ことを特徴とする請求項6に記載の対象物撮影システム。
【請求項8】
前記制御装置は、少なくとも前記第1の制御モード及び前記第2の制御モードにおいて、前記撮像装置から出力された前記撮像データである動画データを取得し、この動画データを外部サーバに送出することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の対象物撮影システム。
【請求項9】
前記移動体は移動体位置を検出可能に構成され、
前記制御装置は、前記移動体の複数の予定位置を時系列的に並べてなる予定移動経路に沿って前記移動体を移動させ、前記予定移動経路に沿って前記移動体を移動させた際にこの移動体が検出した前記移動体位置を取得し、取得した前記移動体位置に基づいて、少なくとも前記第2の制御モードにおいて前記移動体の移動を制御する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の対象物撮影システム。
【請求項10】
前記移動体は飛行体であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の対象物撮影システム。
【請求項11】
所定の視野内を撮像して撮像データを出力する撮像装置を有し、所定の位置に移動可能な移動体と、
対象物の対象物位置を検出する検出装置と、
前記移動体の前記位置への移動を制御する制御装置と
を有する対象物撮影システムに用いられる制御装置であって、
前記制御装置は、前記移動体の移動中の異なる時間帯においてそれぞれ異なる複数の制御モードで前記移動体の移動を制御し、
前記制御装置は、前記複数の制御モードのうち第1の制御モードにおいて、前記対象物位置に依存した姿勢を取りながら移動するように前記移動体の移動を制御し、
前記制御装置は、前記複数の制御モードのうち第2の制御モードにおいて、前記対象物位置から独立した所定の姿勢を取りながら移動するように前記移動体の移動を制御する
ことを特徴とする対象物撮影システムに用いられる制御装置。
【請求項12】
所定の視野内を撮像して撮像データを出力する撮像装置を有し、所定の位置に移動可能な移動体と、
対象物の対象物位置を検出する検出装置と、
前記移動体の前記位置への移動を制御する制御装置と
を有する対象物撮影システムにおける制御方法であって、
前記移動体の移動中の異なる時間帯においてそれぞれ異なる複数の制御モードで前記移動体の移動を制御し、
前記複数の制御モードのうち第1の制御モードにおいて、前記対象物位置に依存した姿勢を取りながら移動するように前記移動体の移動を制御し、
前記複数の制御モードのうち第2の制御モードにおいて、前記対象物位置から独立した所定の姿勢を取りながら移動するように前記移動体の移動を制御する
ことを特徴とする対象物撮影システムにおける制御方法。
【請求項13】
所定の視野内を撮像して撮像データを出力する撮像装置を有し、所定の位置に移動可能な移動体と、
対象物の対象物位置を検出する検出装置と、
前記移動体の前記位置への移動を制御するコンピュータと
を有する対象物撮影システムにおけるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
前記移動体の移動中の異なる時間帯においてそれぞれ異なる複数の制御モードで前記移動体の移動を制御させ、
前記複数の制御モードのうち第1の制御モードにおいて、前記対象物位置に依存した姿勢を取りながら移動するように前記移動体の移動を制御させ、
前記複数の制御モードのうち第2の制御モードにおいて、前記対象物位置から独立した所定の姿勢を取りながら移動するように前記移動体の移動を制御させる
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物撮影システム、制御装置、対象物撮影システムにおける制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、対象物撮影システム、対象物撮影システムにおける制御方法及びコンピュータプログラムに関し、好ましくは、ドローンのような飛行体を用いた対象物撮影システム、対象物撮影システムにおける制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【0003】
本明細書では、「ドローン」という用語を、搭乗員なしに操縦し得る移動体(例えば、遠隔から無線で操縦し得るか、または自律的に操縦し得る航空機、走行機、水上船、潜水機など)を指す意味で用いる。
【0004】
飛行体に搭載のカメラで空中から対象物を撮影するシステム、特に、観光地にて旅行者たちが記念撮影をするシステムに関連する技術として、特許文献1~3に記載のものがある。
【0005】
特許文献1には、利用者端末の操作に応じて撮影装置を搭載した移動体が利用者の元へ移動し、記念撮影を行うシステムが開示されてる。特許文献2には、ユーザが操作する操作端末とカメラ付きドローンによって撮影ポイントに位置するユーザを撮影する遠隔操作映像記録装置が開示されている。特許文献3には、ユーザ端末を介して飛行体に各種の指示データを送信し、それら各種指示データに応じて飛行体および飛行体に搭載された機器の制御を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-146074号公報
【特許文献2】特開2019-134375号公報
【特許文献3】特開2020-112458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3に開示された技術によれば、利用者は自分のもつ端末装置を操作して、飛行体の移動や飛行体に搭載のカメラの動作を制御する。
【0008】
しかし、一般の多くの人々は、自分で端末装置を操作して飛行体やカメラの動作を適切に制御するスキルはもっていない。例えば、特許文献1に記載されたような、観光の記念撮影を行いたい場合に、自ら端末を操作して飛行体を制御して良い写真や動画を撮影することは、殆どの観光者にとり不可能に近い。
【0009】
他方、空撮という非日常的な方法で、プロフェッショナルが行うような高品質の記念撮影が行い得るならば、観光者にとり、旅行の楽しみを増大させ、撮影された動画や写真は価値の高い記念品となるに違いない。
【0010】
したがって、本発明の一つの側面の目的は、より簡単な方法で空撮を可能にすることにある。
【0011】
本発明の別の側面の目的は、より簡単な方法で飛行体に代表される移動体を用いた観光者のための記念撮影を可能にすることにある。
【0012】
他の目的は、後述の実施形態の説明により明らかにされるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従う対象物撮影システム1は、移動体を用いて対象物を撮影する対象物撮影システムであって、所定の視野内を撮像して撮像データを出力する撮像装置を有し、所定の位置に移動可能な移動体と、対象物の対象物位置を検出する検出装置と、移動体の位置への移動を制御する制御装置とを有し、制御装置は、移動体の移動中の異なる時間帯においてそれぞれ異なる複数の制御モードで移動体の移動を制御し、複数の制御モードのうち第1の制御モードにおいて、対象物位置に依存した姿勢を取りながら移動するように移動体の移動を制御し、複数の制御モードのうち第2の制御モードにおいて、対象物位置から独立した所定の姿勢を取りながら移動するように移動体の移動を制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より簡単な方法で空撮を可能にする対象物撮影システム、制御装置、対象物撮影システムにおける制御方法及びコンピュータプログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る対象物撮影システムの概要を説明するための図である。
図2】実施形態に係る対象物撮影システムのリモコン、第1通信装置及び第2通信装置の概略構成を示す図である。
図3】実施形態に係る対象物撮影システムの飛行体の概略構成を示す図である。
図4】実施形態に係る対象物撮影システムの飛行計画を構成するルート情報テーブルの一例を示す図である。
図5】実施形態に係る対象物撮影システムの飛行計画を構成するポイント情報テーブルの一例を示す図である。
図6】実施形態に係る対象物撮影システムによる対象物撮影動作の概要を説明するための図である。
図7】実施形態に係る対象物撮影システムによる飛行体の飛行パターンの一例を示す図である。
図8】実施形態に係る対象物撮影システムによる飛行体の飛行パターンの他の例を示す図である。
図9】実施形態に係る対象物撮影システムによる飛行体の飛行パターンのまた他の例を示す図である。
図10】実施形態に係る対象物撮影システムにおけるリモコンと第2通信装置との間の通信手順を示すシーケンス図である。
図11】実施形態に係る対象物撮影システムにおけるリモコンの動作の一例を示すフローチャートである。
図12】実施形態に係る対象物撮影システムにおけるリモコンのポイント飛行動作の一例を示すフローチャートである。
図13】実施形態に係る対象物撮影システムにおけるリモコンの表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図14】実施形態に係る対象物撮影システムにおけるリモコンの表示部に表示される画面の他の例を示す図である。
図15】実施形態に係る対象物撮影システムにおけるリモコンの表示部に表示される画面のまた他の例を示す図である。
図16】実施形態に係る対象物撮影システムにおけるリモコンの表示部に表示される画面のさらに他の例を示す図である。
図17】実施形態に係る対象物撮影システムにおける第2通信装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
なお、実施例を説明する図において、同一の機能を有する箇所には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
また、以下の説明では、情報の一例として「xxxデータ」といった表現を用いる場合があるが、情報のデータ構造はどのようなものでもよい。すなわち、情報がデータ構造に依存しないことを示すために、「xxxデータ」を「xxxテーブル」と言うことができる。さらに、「xxxデータ」を単に「xxx」と言うこともある。そして、以下の説明において、各情報の構成は一例であり、情報を分割して保持したり、結合して保持したりしても良い。
【0019】
なお、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)及び/又は通信インターフェースデバイス(例えばポート)を用いながら行うため、処理の主語がプログラムとされても良い。プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサ或いはそのプロセッサを有する計算機が行う処理としても良い。
【0020】
なお、以降の説明において、"○○部は"と動作主体を記した場合、それは、プロセッサがメモリからプログラムである○○部の処理内容を読み出し、メモリにロードしたうえで○○部の機能(詳細後記)を実現することを意味する。
【0021】
<対象物撮影システムの概要>
図1は、本実施形態である対象物撮影システムの概要を説明するための図である。
【0022】
図1において、本実施形態の対象物撮影システム1は、撮像装置20を有する飛行体10、無線通信等の手段により飛行体10と通信してこの飛行体10の飛行を制御するリモートコントローラ(以下、単に「リモコン」と称する)30、リモコン30と情報の授受が可能に設けられた第1通信装置40、及び第1通信装置40と通信可能に構成された第2通信装置50とを概略有する。
【0023】
飛行体10は、本実施例の対象物撮影システム1における移動体の一例であり、空中の所定の飛行経路(移動経路)を飛行して、撮像装置20により背景、風景及び第2通信装置50を所持するサービス利用者である被写体(対象物)を撮像させ、撮像した撮像データ(静止画、動画のいずれでもよい)をリモコン30に送出する。飛行体10は、一例としてドローンである。
【0024】
撮像装置20は、CMOS等の撮像素子及びレンズ等の撮影系を有し、所定の視野方向にある視野内(より正確には視野内にある被写体)を撮像し、視野内を撮像した結果を撮像データとして出力する。撮像装置20は、一例としてビデオカメラである。撮像装置20は飛行体10に固定されており、また、飛行体10に対して上下方向に俯仰自在に(図1において矢印A)支持されている。飛行体10に対する撮像装置20の俯仰角は、撮像装置20を支持する飛行体10の支持・駆動機構により変更可能である。
【0025】
リモコン30は、所定の飛行経路に沿って飛行体10を飛行させる(つまり、飛行体10の飛行制御を行う)。詳細は後述するが、リモコン30は、飛行体10の飛行経路に関する飛行計画を有し、この飛行計画に基づいて飛行体10の飛行を制御する。飛行計画は上述した飛行経路を指定するための情報を有している。この情報の形態の詳細について特段の限定はないが、一例として、飛行経路上に複数のポイント(つまり飛行体10が通過すべき位置)を設定し、このポイントを逐次飛行体10に送信して、飛行体10が自身の位置情報と照合してポイントに向かうように飛行する形態がある。あるいは、飛行経路を指定するための情報として飛行方向及び飛行時間を飛行体10に逐次送信し、飛行体10がこの情報に基づいて自身の飛行を制御する形態がある。飛行計画の詳細について特段の制限はないが、本実施例では、飛行計画は飛行経路上に設定された複数のポイントに関する情報を有するものとして以下の説明を行う。ポイントに関する情報としては、一般的に緯度・経度・高度に関する情報があるが、他に、飛行体10の離陸地点からの相対的な3次元位置を指定する情報もありうる。
【0026】
加えて、本実施例の対象物撮影システム1における飛行計画は、飛行体10の機首方向及び飛行体10に対する撮像装置20の俯仰角を指定する情報を含む。機首方向及び俯仰角を指定する情報は、上述のポイント単位で指定されてもよいし、所定時間間隔で指定されてもよい。以下説明する本実施例においては、機首方向及び俯仰角を指定する情報はポイント単位で指定されるものとする。なお、撮像装置20がいわゆるジンバルを介して飛行体10に取り付けられている場合、俯仰角はジンバルの角度になる。
【0027】
本実施例の対象物撮影システム1においては、飛行計画は、景色モード(第2の制御モード)及び被写体モード(第1の制御モード)を有する。景色モードは、被写体の位置とは関係なく(被写体の位置から独立して)所定の飛行経路に沿って飛行体10を飛行させる飛行計画である。被写体モードは、被写体の位置に依存した飛行位置、機首方向(飛行体10の飛行方向)及び撮像装置20の俯仰角に基づいた飛行経路に沿って飛行体10を飛行させる飛行計画である。
【0028】
飛行計画は、撮像装置20により撮像をしながら飛行体10を飛行させる動作(以下、実演飛行と称する)に先立って作成される。飛行計画の作成方法は任意であるが、本実施例の対象物撮影システム1においては、リモコン30により飛行体10を飛行させつつ(以下、学習飛行と称する)飛行体10の位置情報(緯度、経度、高度)を飛行体10自身が取得し、この位置情報をリモコン30が受信して位置情報に基づいて飛行計画を作成する手法を採用する。この際、飛行体10が自身の位置情報を逐次リモコン30に送信するか、あるいは、学習飛行終了後に一括して飛行体10の位置情報をリモコン30に送信するかは任意である。あるいは、飛行体10を飛行させる領域に関する航空地図等の地図上においてリモコン30を操作するオペレータが飛行経路を指定し、指定された飛行経路に基づいてリモコン30が飛行計画を作成する手法もある。
【0029】
学習飛行を行う際、飛行体10の機首方向及び撮像装置20の俯仰角についてもリモコン30から制御を行う。飛行体10の位置情報と同様に、実際の学習飛行時の機首方向及び俯仰角に関する情報についてもリモコン30に送信される。また、学習飛行を行う際、現在の飛行経路において飛行計画が景色モードであるか被写体モードであるかもリモコン30から指定し、各々のポイントがいずれのモードにおけるものであるかについての情報も学習飛行による飛行計画に含まれる。なお、被写体モードにおいては、実際の飛行体10の機首方向及び撮像装置20の俯仰角は被写体の位置情報に依存して決定される(詳細は後述)ので、被写体モードにおいて飛行体10の機首方向及び撮像装置20の俯仰角に関する情報を指定する必要はない。
【0030】
本実施例の対象物撮影システム1の飛行計画においては、景色モードと被写体モードとは逐次的かつ連続的に実行される。景色モードと被写体モードといずれを先に実行するかは任意である。
【0031】
第1通信装置40は、例えばスマートフォン、タブレット端末等の通信機能を有する情報処理端末であり、サービス提供者Pにより所持されている。第1通信装置40はリモコン30に有線または無線通信(含む無線LAN、近距離通信、移動体通信)により通信可能とされている。また、第1通信装置40は無線通信(含む無線LAN、移動体通信)により第2通信装置50と通信可能に構成されており、さらに、第1通信装置40は無線通信(含む移動体通信)により外部のコンテンツサーバ60に接続されている。
【0032】
リモコン30は、実演飛行終了後に、撮像装置20による撮像データ(静止画データ、動画データ)を飛行体10から受信し、この撮像データを第1通信装置40に送出する。第1通信装置40は、リモコン30から送出された撮像データをコンテンツサーバ60に送出し、コンテンツサーバ60はこの撮像データを自身に格納する。また、コンテンツサーバ60は、被写体が保有する利用者端末70からの求めに応じて、この撮像データを送出する。
【0033】
第2通信装置50も、例えばスマートフォン、タブレット端末等の通信機能を有する情報処理端末であり、サービス利用者である被写体Oにより所持されている。第2通信装置50は無線通信(含む無線LAN、移動体通信)により第1通信装置40と通信可能に構成されている。
【0034】
なお、本実施例の対象物撮影システム1においてはリモコン30が飛行計画を保有し、この飛行計画に基づいて飛行体10の飛行制御(含む機首方向の制御)及び撮像装置20の俯仰角の制御を行っているが、このような制御を行う機能を第1通信装置40が持ち、リモコン30は、第1通信装置40からの指示に基づいて飛行経路のポイントに関する情報、飛行体10の機首方向に関する情報及び撮像装置20の俯仰角に関する情報を送出する機能を実行する形態も可能である。
【0035】
<対象物撮影システムの構成>
図2は、本実施例の対象物撮影システム1を構成するリモコン30、第1通信装置40及び第2通信装置50の概略構成を示すブロック図である。
【0036】
リモコン30は、各種情報処理が可能な装置、一例として計算機能を有する情報処理端末である。リモコン30は、プロセッサ31及びメモリ32を有する。
【0037】
プロセッサ31は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等である。メモリ32は、例えばHDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶媒体、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)などの半導体記憶媒体等を有する。また、DVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスク及び光ディスクドライブの組み合わせもメモリとして用いられる。その他、磁気テープメディアなどの公知の記憶媒体もメモリとして用いられる。
【0038】
メモリ32には、ファームウェアなどのプログラムが格納されている。リモコン30の動作開始時(例えば電源投入時)にファームウェア等のプログラムをこのメモリ32から読み出して実行し、リモコン30の全体制御を行う。また、メモリ32には、プログラム以外にも、リモコン30の各処理に必要なデータ等が格納されている。
【0039】
また、リモコン30は、表示部33、入力部34、第1通信部35及び第2通信部36を有する。
【0040】
表示部33は、例えば液晶(含む有機EL)ディスプレイ等であり、プロセッサ31から送出される画面表示制御信号に基づいてリモコン30の操作画面等を表示する。入力部34は、例えば表示部33の表示画面上に重ねて設けられたタッチパネル、キーボード、マウス等であり、リモコン30の操作者による操作に基づいて操作入力信号を受け入れる。加えて、入力部34はジョイスティック等を含み、飛行体10に対してリモコン30の操作者による3次元上の飛行方向の操作指示に基づいて操作入力信号を受け入れる。
【0041】
第1通信部35は飛行体10との間で無線通信を行う。第1通信部35と飛行体10との間の無線通信は、好ましくはドローンとの通信に通常用いられる無線通信規格に基づいたものであるが、無線局としての免許が不要な無線通信規格をメインとして、特段の限定はない。
【0042】
第2通信部36は第1通信装置40との間でデータ送受信を行う。第2通信部36と第1通信装置40との間のデータ送受信の手段に特段の限定はなく、USB等のデータ通信規格に基づく有線接続、あるいはBluetooth(登録商標)等の近距離通信、WiFi(登録商標)等の無線LANに基づく無線接続のいずれも使用可能である。
【0043】
リモコン30のプロセッサ31は、機能実現部として飛行制御部31a及び飛行計画作成部31bを有する。
【0044】
飛行制御部31aは、メモリ32に格納されている飛行計画32a(詳細は後述)に基づいて飛行体10に飛行計画32aに従った飛行をさせる制御を行う。つまり、飛行制御部31aは実演飛行における飛行体10の制御を行う。飛行計画作成部31bは、リモコン30の入力部34による指示に基づいて飛行体10による飛行をさせる制御を行う。つまり、飛行計画作成部31bは学習飛行における飛行体10の制御を行う。飛行制御部31a及び飛行計画作成部31bの具体的な動作については、フローチャートを参照して後述する。
【0045】
また、リモコン30のメモリ32には、飛行計画32a及び被写体位置情報32dが格納されている。
【0046】
飛行計画32aは、飛行体10の飛行経路に関する情報が格納されたルート情報テーブル32bと、ルート情報テーブル32bに格納された個々の飛行経路(ルート)を特定するポイントに関する情報が格納されたポイント情報テーブル32cとを有する。ルート情報テーブル32b及びポイント情報テーブル32cの詳細については、図4及び図5を参照して後述する。
【0047】
被写体位置情報32dは、第2通信装置50が有する位置取得部51により取得された、第2通信装置50の位置情報(緯度、経度、高度)である。第2通信装置50はサービス利用者である被写体が所持しているので(図1参照)、位置取得部51により取得された位置情報は被写体の位置情報と見なして構わない。
【0048】
第1通信装置40は、リモコン30の第2通信部36、及び第2通信装置50との間で通信を行い、データの送受信を行う。
【0049】
第2通信装置50は、第1通信装置40との間で通信を行い、データの送受信を行う。第2通信装置50は位置取得部51及び表示部52を有する。位置取得部51は、例えばGPSモジュール等の位置情報取得手段を有し、第2通信装置50の位置情報(緯度、経度、高度)を取得してこの位置情報を第1通信装置40(及び第1通信装置40を経由してリモコン30)に送出する。第2通信装置50の位置情報の送出頻度は任意であるが、本実施例の対象物撮影システム1においては、第1通信装置40との間の通信が確立した後、リアルタイムの第2通信装置50の位置情報をリモコン30が取得できる程度の短時間の時間間隔(例えば0.2秒間隔)でこの第2通信装置50の位置情報を第1通信装置40に送出する。表示部52は、例えば液晶(含む有機EL)ディスプレイ等であり、図略のプロセッサから送出される画面表示制御信号に基づいて操作画面等を表示する。
【0050】
図3は、本実施例の対象物撮影システム1を構成する飛行体10の概略構成を示すブロック図である。
【0051】
飛行体10は、駆動部11、駆動制御部12、位置取得部13、撮像装置制御部14、撮像装置姿勢制御部15、及び通信部16を有する。
【0052】
駆動部11は、飛行体10を空中の所定の位置(緯度、経度、高度)に移動させる。駆動部11は、一例として、複数(好ましくは4つ以上)のプロペラと、このプロペラを回転駆動させることで飛行体10に所定の浮揚力及び推進力を付与させるプロペラ駆動機構とを有する。当然、飛行体10に求められる飛行能力に応じて駆動部11の構成は周知のものから適宜選択されればよい。
【0053】
駆動制御部12は、リモコン30から送出された飛行体10の飛行制御を行うための情報(一例として飛行体10の飛行経路に設けられたポイントの位置情報)に基づいて駆動部11の駆動制御を行い、飛行体10をリモコン30からの指示に基づいた位置に飛行させる。さらに、駆動制御部12は、リモコン30から送出された飛行体10の機首方向に関する情報に基づいて駆動部11の駆動制御を行い、飛行体10の機首方向を制御する。
【0054】
位置取得部13は、一例としてGPSモジュール等の位置情報取得手段を有し、飛行体10の位置情報(緯度、経度、高度)を取得し、通信部16を介してこの位置情報をリモコン30に送出する。位置取得部13による飛行体10の位置情報送出頻度は、飛行体10を実演飛行させる際にはリモコン30が飛行体10の位置をリアルタイムで把握できる程度の短時間の時間間隔であることが好ましく、一方、飛行体10を計画飛行させる際には、図略のメモリ等に飛行体10の位置情報を所定の時間間隔毎に格納し、計画飛行終了後にリモコン30に送出すれば足りる。当然、計画飛行時においてもリモコン30が飛行体10の位置をリアルタイムで把握できる程度の短時間の時間間隔で飛行体10の位置情報を送出してもよい。
【0055】
撮像装置制御部14は、リモコン30からの指示に基づいて撮像装置20に撮像動作を行わせ、撮像データを撮像装置20から取得する。そして、撮像装置制御部14は、取得した撮像データを通信部16経由でリモコン30に送出する。
【0056】
撮像装置姿勢制御部15は、リモコン30から送出された撮像装置20の俯仰角に関する情報に基づき、撮像装置20の回転角及び俯仰角を所定の角度にする制御を行う。
【0057】
通信部16は、リモコン30との間でデータの送受信を行う。リモコン30(の第1通信部35)と通信部16との間の無線通信は、好ましくはドローンとの通信に通常用いられる無線通信規格に基づいたものであるが、無線局としての免許が不要な無線通信規格をメインとして、特段の限定はない。
【0058】
図4は、本実施例の対象物撮影システム1のリモコン30に格納されているルート情報テーブル32bの一例を示す図である。
【0059】
図4に示すように、ルート情報テーブル32bは、エントリとして、ルートID320、ルート名321、目安飛行時間322、登録日時323、離陸地点緯度324、離陸地点経度325及び離陸地点高度326を有する。
【0060】
ルートID320は、複数の飛行計画(ルート)がリモコン30に登録されている場合、各々のルートを特定するためのIDである。ルート名321は、各々のルートに付された名称である。目安飛行時間322は、実演飛行により飛行体10を飛行させた際の目安となる飛行時間であり、一例として、計画飛行により飛行体10を飛行させた際の飛行時間が格納される。登録日時323は、計画飛行により飛行体10を飛行させてルートを登録した際の日時である。離陸地点緯度324は、計画飛行の際に飛行体10を離陸させた地点の緯度である。離陸地点経度325は、計画飛行の際に飛行体10を離陸させた地点の経度である。離陸地点高度326は、計画飛行の際に飛行体10を離陸させた地点の高度である。
【0061】
ルート情報テーブル32bの各エントリは、計画飛行により飛行体10を飛行させてルートを登録する際にそれぞれの情報が格納される。また、離陸地点緯度324、経度325及び高度326は、実演飛行させる際に飛行体10をどの位置から離陸させるかを決定する際に用いられる。
【0062】
図5は、本実施例の対象物撮影システム1のリモコン30に格納されているポイント情報テーブル32cの一例を示す図である。
【0063】
図5に示すように、ポイント情報テーブル32cは、エントリとして、ルートID330、ポイントID331、時間332、緯度333、経度334、高度335、機首方向336、俯仰角337及び撮影モード338を有する。
【0064】
ルートID330はルート情報テーブル32bのルートID320と共通のエントリである。ポイントID331は、ルートに設けられたポイントを特定するためのIDである。時間332は、計画飛行により飛行体10を飛行させた際における、離陸からの経過時間である。緯度333はポイントの緯度であり、経度334はポイントの経度であり、高度335はポイントの高度である。この際、高度335については離陸地点高度326からの相対値であってもよい。機首方向336は、飛行体10の機首方向を示す角度であり、一例として北の方向を0°として時計回りに指定される角度である(一例として東は90°)。俯仰角337は飛行体10を基準とした撮像装置20の上下方向の角度である。機首方向336及び俯仰角337により、撮像装置20の視野(言い換えれば撮像方向)が決定される。撮影モード338は飛行計画のそれぞれのポイントにおける制御モード、すなわち景色モードまたは被写体モードを特定するための情報であり、一例として、ポイントが景色モードである時は0、被写体モードである時は1が格納される。なお、被写体モードの場合、飛行体10の機首方向及び撮像装置20の俯仰角は被写体の位置情報に基づいて定められるので、ポイントが被写体モードであれば機首方向336及び俯仰角337に関する情報は不要である。従って、被写体モードにおける機首方向336及び俯仰角337には無効値(例えば0)が入力されている。
【0065】
<対象物撮影システムの動作の概要>
図6は、本実施例の対象物撮影システム1による対象物撮影動作の概要を示す図である。
【0066】
図6において、飛行体10は、離陸地点t0から離陸し、着陸地点t3に至るまでの飛行経路に沿って空中を飛行する。この際、離陸地点t0~ポイントt1、及びポイントt2~着陸地点t3において、飛行体10は景色モードで飛行し、ポイントt1~t2において、飛行体10は被写体モードで飛行する。
【0067】
従って、景色モードである離陸地点t0~ポイントt1の間、及びポイントt2~着陸地点t3において、撮像装置20はサービス利用者である被写体Oの位置から独立した撮影方向C1、C4を向くように飛行体10の姿勢(特に機首方向)及び撮像装置20の俯仰角が制御される。これにより、撮像装置20は離陸位置及び着陸位置周辺の背景及び景色を撮像し、撮像データを取得する。
【0068】
一方、被写体モードであるポイントt1~t2の間において、撮像装置20は被写体Oの位置に依存した撮影方向C2、C3を向くように飛行体10の姿勢(特に機首方向)及び撮像装置20の俯仰角が制御される。これにより、撮像装置20は被写体及びその周辺を撮像し、撮像データを取得する。
【0069】
図7図9は、本実施例の対象物撮影システム1における景色モードと被写体モードとの設定の一例を示す図である。
【0070】
図7に示す例では、飛行体10は景色モードとして離陸地点から所定の高度(10m~15m)までほぼ垂直に上昇した後下降しながら撮像装置20により背景、風景を撮像し、この後、被写体モードに移行して被写体Oの目の高さで水平飛行しながら被写体Oの5mほど手前まで近づきつつ撮像装置20により被写体Oを撮像し、その後、後退及び上昇しながら被写体モードを継続して撮像装置20により被写体Oを撮像し、そして、所定の高度に至った時点で景色モードに戻って撮像装置20により背景、風景を撮像して一連の飛行を終了している。
【0071】
また、図8に示す例では、飛行体10は景色モードとして離陸地点から所定の高度まで上昇してからその地点で機首方向を左右(図において紙面を直交する方向)に動かして(つまり首振りをして)撮像装置20により背景、風景を撮像し、この後、被写体モードに移行して、被写体Oの目の高さで5mほど手前に向かって前進及び下降しつつ撮像装置20により被写体Oを撮像し、その後、前進及び上昇しながら被写体モードを継続して撮像装置20により被写体Oを撮像し、被写体Oのほぼ真上に至った時点で景色モードに戻って撮像装置20により背景、風景を撮像して一連の飛行を終了している。
【0072】
さらに、図9に示す例では、飛行体10は景色モードとして離陸地点から所定の高度まで上昇してからその地点で機首方向を左右(図において紙面を直交する方向)に動かして(つまり首振りをして)撮像装置20により背景、風景を撮像し、さらに、下降しながら撮像装置20により背景、風景を撮像し、この後、被写体モードに移行して被写体Oの目の高さで水平飛行しながら被写体Oの5mほど手前まで近づきつつ撮像装置20により被写体Oを撮像し、その後、後退及び所定の高度(5m~7m)まで上昇してから被写体Oの上空を半径5m~7mの円の円周上を飛行しながら被写体モードを継続して撮像装置20により被写体Oを撮像し、そして、円周上を一周したら所定の高度(10m~15m)まで上昇し、この時点で景色モードに戻って撮像装置20により背景、風景を撮像して一連の飛行を終了している。
【0073】
<対象物撮影システムの動作>
次に、図10図12のフローチャート、及び、図13図17の画面例を参照して、本実施例の対象物撮影システム1の動作について説明する。
【0074】
まず、図13図15の画面例を参照して、本実施例の対象物撮影システム1における計画飛行の動作について説明する。
【0075】
図13(a)は、本実施例の対象物撮影システム1の動作開始時にリモコン30の表示部33に表示される画面の一例を示す。対象物撮影システム1の操作者(サービス提供者)が、この画面の右上にあるアイコン1301を指でタッチする等して操作入力を行うと、画面は図13(b)に示すものに推移する。そこで、計画飛行を実行させる操作者は、画面に表示された「飛行ルート登録」ボタン1302を指でタッチする等して操作入力を行うと、計画飛行動作が開始する。
【0076】
まず、操作者は、予め定めた離陸地点に飛行体10を配置してからリモコン30の入力部34を操作して、飛行体10を所定の高さ(10m~15m)まで上昇させ、この地点で高度を維持しつつ水平位置を停止させた状態にさせる(つまりホバリングさせる)。リモコン30の表示部33には、図14(a)に示すように、飛行体10に設けられた撮像装置20により撮像されている撮像データが表示されている。この時点で、操作者は表示部33の画面に表示されている「登録開始」ボタン1401を指でタッチする等して操作入力を行うと、飛行ルート登録が開始する。
【0077】
以降、操作者がリモコン30の入力部34を操作して飛行体10を所定の飛行ルートに沿って飛行させつつ、飛行体10の機首方向及び撮像装置20の俯仰角を適宜変更して撮像装置20により所望の被写体(含む背景、風景)を撮像させる。飛行体10の位置情報、機首方向に関する情報及び撮像装置20の俯仰角に関する情報は逐次リモコン30に送信され、メモリ32に蓄積される。なお、表示部33の画面には撮影モードを指定するボタン1402が表示されており、飛行ルート登録時においてその地点(ポイント)における撮影モードを指定することができる。撮影モードに関する情報も逐次リモコン30に送信され、メモリ32に蓄積される。
【0078】
計画飛行時における飛行体10の飛行中は、図14(b)に示すように、「登録開始」ボタン1401を押してからその時点までの飛行体10の飛行経路(ルート)1403が画面に表示されている。そして、操作者が、表示部33の画面に表示されている「登録終了」ボタン1404を指でタッチする等して操作入力を行うと、飛行体10による計画飛行が終了する。
【0079】
この後、飛行体10は着陸地点に降下して飛行を終了するが、着陸地点までの飛行体10の飛行制御は操作者がリモコン30の入力部34を操作して行ってもよいし、飛行体10が自身を制御して行ってもよい。
【0080】
飛行体10による計画飛行が終了すると、リモコン30の表示部33には、図15に示すような画面が表示される。画面には、計画飛行の飛行ルート1501が表示されている。操作者は、リモコン30の入力部34を操作して飛行ルートの名称を入力欄1502に入力し、「ルート登録」ボタン1503を指でタッチする等して操作入力を行う。これにより、リモコン30の飛行計画作成部31bが、飛行計画32aを構成するルート情報テーブル32b及びポイント情報テーブル32cに所定の情報を入力する。
【0081】
次に、図10図12のフローチャート及び図16図17の画面例を参照して、本実施例の対象物撮影システム1における実演飛行の動作について説明する。
【0082】
図10は、リモコン30及び第2通信装置50の間の通信手順を説明するためのシーケンス図である。なお、図10ではリモコン30と第2通信装置50との間で通信を行う表示をしているが、第1通信装置40が第2通信装置50との間の通信手順を制御し、その結果をリモコン30に送出する構成であってもよい。
【0083】
まず、リモコン30及び第2通信装置50による通信が開始する(S1000、S1001)。第2通信装置50はリモコン30を発見すると(S1002)、リモコン30に対して接続リクエストメッセージを送信する(S1003)。接続リクエストメッセージを受信した(S1004)リモコン30は、第2通信装置50に対して接続開始メッセージを送信する(S1005)。接続開始メッセージを受信した(S1006)第2通信装置50は、位置取得部51が取得した第2通信装置50の位置情報(すなわち被写体位置情報)をリモコン30に送信し(S1007)、位置情報を受信した(S1008)リモコン30は、その時点における飛行体10の飛行状態に関する情報を送信する(S1009)とともに、送信された被写体位置情報によりメモリ32内の被写体位置情報32dを更新する(S1010)。飛行体10の飛行状態に関する情報は、一例として待機中、飛行中、飛行終了のそれぞれを示す情報を含む。一方、第2通信装置50は、リモコン30から送信された飛行体の飛行状態に関する情報を受信し(S1011)、画面を更新する(S1012)。
【0084】
以降、リモコン30と第2通信装置50との間で、S1007~S1011に示すステップを繰り返し行う。繰り返しの頻度は、一例として0.2秒間隔である。
【0085】
図10のシーケンス図に示す通信手順は、一例としてWiFi Aware規格に基づくものである。当然、この規格による通信に限定されず、WiFiルータを経由した通信、また、WiFi Direct規格に基づく通信等も可能である。
【0086】
図17は、第2通信装置50が有する表示部52に表示される画面の一例を示す図である。まず、サービス利用者である被写体Oは、自身が持つ第2通信装置50の表示部52の画面に図17(a)が表示されたら、この画面に表示された「接続」ボタン1701を指でタッチする等して操作入力を行うと、リモコン30との間の通信が開始する(図10のS1001)。この後、リモコン30から送信される情報に基づいて、第2通信装置50の表示部52に表示される画面が変更する。一例として、図17(b)ではリモコン30との接続待機中であることが表示され、図17(c)では飛行体10が撮影準備中であることが表示されている。
【0087】
リモコン30と第2通信装置50との間の通信が確立した状態で、サービス提供者である操作者が飛行体10を所定の離陸位置に配置させ、さらに、図13(a)に示すリモコン30の表示部33の画面において、「ルート飛行」ボタン1303を指でタッチする等して操作入力を行うと、飛行制御部31aは、飛行計画32aのルート情報テーブル32bを読み出し、このルート情報テーブル32bのルート名321の一覧を図略の画面において表示させることで、飛行ルート(飛行経路)一覧をリモコン30の表示部の画面に表示させる。そこで、操作者が実演飛行を希望する飛行ルートを選択すると、図11のフローチャートに示す手順が開始する。
【0088】
まず、リモコン30の飛行制御部31aは、選択された飛行ルートに対応するポイント情報テーブル32cを読み出す。そして、飛行制御部31aは、飛行ルートの開始ポイントの各種情報、すなわち、ポイント情報テーブル32cにおいてポイントID331が一番小さいポイントの緯度333、経度334、高度335、機首方向336及び俯仰角337に記載された情報を読み出し、飛行体10をこの開始ポイントまで移動させる指示をこの飛行体10に送信する(S1100)。
【0089】
飛行体10が開始ポイントまで移動すると、リモコン30の表示部33の画面には、図16(a)に示すような画面が表示される。この状態で操作者が「開始」ボタン1601を指でタッチする等して操作入力を行うと、飛行制御部31aは、開始ポイントから最終ポイントに至るまで、ポイント飛行動作を行うように飛行体10に指示する(S1101~S1103)。ポイント飛行動作の詳細については図12のフローチャートを参照して後述する。ポイント飛行動作中において、リモコン30の表示部33の画面には、図16(b)に示すように、撮像装置20が撮像している撮像データに基づく画面が表示されている。
【0090】
そして、飛行体10が最終ポイントまで移動すると、飛行制御部31aは、飛行体10を着陸ポイント(着陸地点)まで移動するように指示をする(S1104)。
【0091】
図12は、本実施例の対象物撮影システム1におけるポイント飛行動作を説明するためのフローチャートである。
【0092】
まず、飛行制御部31aは、飛行体10が水平ポイント、つまり飛行体10をホバリングすべきポイントに到着したか否かを判定する(S1200)。そして、水平ポイントに到着したと判定したら(S1200においてYES)、飛行制御部31aは飛行体10の水平移動指示量を算出する(S1204)。S1204における水平移動指示量は0、つまり飛行体10の水平移動は行わないという指示になる。
【0093】
一方、水平ポイントに到着していないと判定したら(S1200においてNO)、飛行制御部31aは、現在のポイントが開始ポイントであるか否かを判定する(S1201)。そして、開始ポイントであると判定したら(S1201においてYES)、飛行制御部31aは現在の飛行体10の位置情報に基づいて、飛行体10の現在位置(緯度、経度)から進むべきポイントの緯度、経度までの距離と方角、すなわち水平移動指示量を算出し(S1202)、さらに、飛行体10の現在位置(高度)から進むべきポイントの高度までの距離、すなわち垂直移動指示量を算出する(S1203)。一方、開始ポイントでないと判定したら(S1201においてNO)、S1203のみ実行する。
【0094】
次いで、飛行制御部31aは、ポイント情報テーブル32cの撮影モード338に記載されている情報に基づき、進むべきポイントにおける撮影モードが景色モードであるか被写体モードであるかを判定する(S1205)。
【0095】
そして、景色モードであると判定したら、飛行制御部31aは、現在の飛行体10の機首方向とポイント情報テーブル32cに記載された機首方向336とに基づき、飛行体10の回転方向を算出し、さらに、ポイント情報テーブル32cに記載された俯仰角337に基づき、進むべきポイントにおける撮像装置20の俯仰角を算出する(S1207)。
【0096】
一方、被写体モードであると判定したら、飛行制御部31aは、現在の飛行体10の機首方向とポイント情報テーブル32cに記載された機首方向336とに基づき、飛行体10の回転方向を算出し、さらに、被写体の高さを所定の高さ(例えば1m)と仮定し、この被写体の高さと現在の飛行体10の高度とから撮像装置20の俯仰角を算出する(S1206)。
【0097】
そして、飛行制御部31aは、S1202、S1203で算出した水平移動指示量、垂直移動指示量及びS1206またはS1207で算出した回転移動指示量及び俯仰角を飛行体10に送出し、これら情報に基づいて飛行をするように指示をする(S1208)。
【0098】
以上詳細に説明したように、本実施例の対象物撮影システム1によれば、リモコン30に格納された飛行計画32aに基づいて飛行体10に搭載された撮像装置20により空撮を行うことができる。これにより、ドローンのような飛行体10を飛行させるスキルを持たないサービス提供者であっても、簡易に空撮を行うことができる。
【0099】
さらに、本実施例の対象物撮影システム1によれば、飛行経路に景色モードと被写体モードとを設け、被写体モードにおいてはサービス利用者である被写体の位置情報に基づいて飛行体10の機首方向及び撮像装置20の俯仰角を変更、制御しているので、飛行体10(及び撮像装置20)を用いて、より簡単な方法で飛行体10を用いた観光者のための記念撮影を行うことができる。特に、本実施例の対象物撮影システム1によれば、単に被写体の撮像データを取得するのみならず、景色モードにおいて撮影地周辺の景色、名刹といった、通常、観光客が撮影することが困難な風景を空中から撮影した撮像データを取得することができ、観光客(被写体)を撮像した撮像データだけでは得られない風趣のある撮像データを取得することができる。
【0100】
なお、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0101】
一例として、本実施形態では被写体は原則として指定された地点に静止していることを前提としていたが、被写体位置情報32dは逐次リモコン30が取得しているので、被写体位置情報32dに基づいて被写体モードにおいて飛行体10の機首方向及び撮像装置20の俯仰角を適宜変更することで、移動中の被写体を追従するように撮像装置20による撮像を行うことができる。
【0102】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0103】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)、Python等の広範囲のプログラムまたはスクリプト言語で実装できる。
【0104】
さらに、各実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードのすべてまたは一部は、予めメモリ32に格納されていてもよいし、必要に応じて、ネットワークに接続された他の装置の非一時的記憶装置から、またはリモコン30が備える図略の外部I/Fを介して、非一時的な記憶媒体から、メモリ32に格納されてもよい。
【0105】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段またはCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0106】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…対象物撮影システム 10…飛行体 11…駆動部 12…駆動制御部 13…位置取得部 14…撮像装置制御部 15…撮像装置姿勢制御部 16…通信部 20…撮像装置 30…リモコン 31…プロセッサ 31a…飛行制御部 31b…飛行計画作成部 32…メモリ 32a…飛行計画 32b…ルート情報テーブル 32c…ポイント情報テーブル 32d…被写体位置情報 33…表示部 34…入力部 35…第1通信部 36…第2通信部 40…第1通信装置 50…第2通信装置 51…位置取得部 60…コンテンツサーバ 70…利用者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17