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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021873
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】回転式体積走査型3次元空中投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/54 20200101AFI20230207BHJP
   G03B 35/00 20210101ALI20230207BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230207BHJP
   H04N 13/393 20180101ALI20230207BHJP
【FI】
G02B30/54
G03B35/00 Z
G09F9/00 361
H04N13/393
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127016
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】517135316
【氏名又は名称】横山 昴
(72)【発明者】
【氏名】横山 昴
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
5C061
5G435
【Fターム(参考)】
2H059AB11
2H199BA24
2H199BA62
2H199BB20
2H199BB54
2H199BB59
5C061AA06
5C061AB14
5C061AB17
5G435AA01
5G435AA18
5G435CC11
5G435EE16
5G435GG02
(57)【要約】
【課題】
映像表示面を有した被投影回転体の回転によって生じた残像から得られる疑似的な3次元の実像を空中に投影することで映像の表示性能が高い3次元映像表示装置を提供する。
【解決手段】
回転体を被投影物としてバランスを取りながら回転させ、その映像表示面に映像表示することで安定的に高リフレッシュレートの大型3次元像を投影する。この回転体はアフォーカル光学系素子の下部に設置され、映像表示面の回転角ごとの半径距離の違いとスラスト方向の位置の差によって生じる回転時の残像を利用して、疑似的に3次元の実像を発生させ、アフォーカル光学系素子を用いて素子の相対する空間上に3次元の空中像を得る。
【選択図】図8


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動を行う映像表示面を持つ被投影回転体と、その回転に同期して被投影回転体に映像を表示できる表示装置と、被投影回転体を回転運動をさせる駆動装置と、被投影回転体上の実像を空中に再結像可能なアフォーカル光学系素子とを有する回転式体積走査型3次元投影装置。
【請求項2】
前記被投影回転体は、底面がある基準となる半径を有する円で、この円の半径がしだいに増減しながら360度する円になっており、それを底面とした立体的な映像表示面を持つ回転式体積走査型3次元投影装置。
【請求項3】
前記被投影回転体は、底面からある高さにスラスト方向の基準となる基準面を有する回転体で、このスラスト基準面から映像表示面までの高さが増減しながら360度する立体的な映像表示面を持つ回転式体積走査型3次元投影装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転型映像表示面を使用した体積走査型3次元投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空中に像を結像する体積走査型の3次元投影装置は、疑似的に厚みを持たせた実像を、アフォーカル光学系素子を用いてその対称面に再結像することで、空中にも厚みのある3次元像を得るものが提案されている。これまでの体積走査型の3次元投影装置は、ある軸上で実像映像を表示するためのディスプレイやスクリーンなどの映像表示面またはアフォーカル光学系素子そのものを高速で往復運動させ、その運動に同期した断面図のような映像を映像表示面上に次々に表示することで、残像を利用して2次元像から3次元像を得る構造であった。
【0003】
例えば特許文献1には、映像表示するディスプレイを映像表示面と垂直方向に運動させることによって疑似的に3次元像を得て、実鏡映像結像光学系によってその対称面に3次元の空中像を得る方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-80227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
往復運動による3次元投影を行う場合において、表示像のリフレッシュレートを向上させるために往復運動の周期を増やすと、運動方向が逆転する際にかかる加速度が増加し、部品に作用する力が大きくなることで構造物にたわみ等が生じ、繰り返し応力がかかるために耐久性に難があった。そのため往復運動を利用する3次元投影装置は構造的に大型化やリフレッシュレートの増加に限界があった。
【0006】
往復運動のみでなく、直線運動を行うベルトコンベアのような場合であっても、動作部品の大きさが大きくなる場合、折り返し地点にて構造物の運動方向が変化するため大型化やリフレッシュレートの増加は現実的でないという欠点があった。
【0007】
また、直線運動や往復運動の場合、3次元像を構成できる方向は最大で映像表示面に正対する面とその背面の2面だけであった。
【0008】
そこで本発明は映像表示面をある軸方向に直線、又は往復運動させるのではなく、回転する映像表示面に変えて多方向から視認できる空中3次元像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、回転体の表面に映像表示面を設置することでどのような大きさであっても安定した体積走査型の3次元像表示ができることを特徴としている。
【0010】
回転体の場合リフレッシュレート上限に値する回転体の最高回転数は回転体の重量バランスと駆動装置の最高回転数に依存し、回転体を調芯することで安定した回転が得られるため、回転体を被投影物として重量バランスを取りながら回転させ、その映像表示面に映像表示することで簡単に高リフレッシュレートの3次元映像を投影することを特徴としている。
【0011】
上記の回転体は図1に示すアフォーカル光学系素子の下部に設置され、映像表示面の回転角ごとの半径距離の違いとスラスト方向の位置の差によって生じる回転時の残像を利用して、疑似的に3次元の実像を発生させ、この3次元像をアフォーカル光学系素子を用いて素子の相対する空間上に3次元の空中像を得ることを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載の発明に係るアフォーカル光学系素子とは角度の付いた2面の微細な反射面を複数並べて再帰反射機能を持たせたリフレクタアレイや、ある面上に窪みを複数配置しリフレクタアレイに準ずる機能を有する素子、またはある面上に複数の微細なレンズを持つレンズアレイのような、素子の空中に結像させる機能を有する光学素子を採用する。
【0013】
請求項1に記載の発明に係る回転運動を行う映像表示面を持つ被投影回転体は、回転体の回転方向や回転速度、回転パターンは必ずしも決まった法則性を持つ必要はなく、回転体を複数設け各々の回転方向や回転速度を変化させることで、装置に作用するアンバランスをプロセス中に修正し振動を制御できる機能を付与することが可能である。
【0014】
請求項1に記載の発明に係る回転に同期して映像を表示できる表示装置は、本発明の回転体の映像表示面へ映像を表示する機材である。これにはフレキシブルディスプレイやLEDマトリクス等の自身が光源となり映像を表示し得る機材のほか、プロジェクターやレーザー光源等の外部から映像を照射する事によって映像表示面に映像を投影できるものが考えられる。また、自身が光源となる機材は回転体の映像表示面上に実装する場合が考えられる。外部から映像を照射する場合はその光源の位置や投影角度に指定はなく、回転体内側からの投影表示機能を有する機構を用いれば、表面からの投影表示の限りではない。
【0015】
請求項1に記載の発明に係る回転運動を行う映像表示面を持つ被投影回転体は、映像表示面の材質が不透明の素材だけではなく、その材料の表面に像を形成可能な半透明、または限りなく透明度の高い素材であっても許容される。
【0016】
請求項1に記載の発明に係る回転運動を行う映像表示面を持つ被投影回転体は、回転体を支持する軸等を含め回転バランスが取れた重量配置であることが望ましいが、設計思想により回転バランスが不釣り合いである場合であってもその装置の3次元像の投影性能に影響しない場合はこの限りではない。
【0017】
請求項2に記載の発明に係る被投影回転体は、例えば回転体の外周に映像を表示する場合、図2に示す最小半径を基準半径とすると、基準半径の有る回転角と違う角に1ヵ所以上の基準半径より大きな半径を持つことを特徴としている。
【0018】
上記基準半径距離より大きな半径距離を持つ角は回転体1周のうち複数ある場合も想定され、半径距離が回転角が変化するにつれて滑らかに変化する形状はこれに含まれる。また、最小半径距離となる回転角が2か所以上存在することも考えられる。
【0019】
ここで回転体の最小半径距離を持つ回転角ととなり合うそれ以上の半径距離を持つ角どうしは段差の付いた接続方法だけではなく、滑らかに半径距離が変化する形状や、半径距離が複雑に変化する形状など様々な形態が考えられる。
【0020】
請求項2に記載の発明に係る被投影回転体は、回転軸に対して映像表示面が平行に設置される場合や、図3図4に示すように回転軸に対して映像表示面が傾いており、回転体の外面または内面に映像を表示させる形態の回転体が使用できる。
【0021】
請求項3に記載の発明に係る被投影回転体は、図5に示すように底面からある高さの面をスラスト基準面を有する。スラスト基準面からある方向に回転させた時、映像表示面の位置がスラスト方向に変化する形態であることを特徴としている。
【0022】
ここで回転体のスラスト基準面を持つ回転角ととなり合う角どうしは段差の付いた接続方法だけではなく、滑らかに半径距離が変化する形状や、半径距離が複雑に変化する形状など様々な形態が考えられる。
【0023】
請求項1から3に記載の発明に係る映像表示面は、図6に示すように回転軸と平行な断面において、図7に示すように映像表示面の断面を見た際に映像表示面が自由曲線である形態である場合が考えられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、円筒状の回転体の映像表示面を有した被投影回転体の回転によって生じた残像から得られる疑似的な3次元の実像を空中に投影することで、高リフレッシュレートで厚みのある映像を、安定的に得る事が可能になる。


【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】回転式体積走査型3次元投影装置の構造の概要を示す外観斜視図
図2】映像表示面が回転角によって半径距離の違う被投影回転体の斜視図
図3】映像表示面が回転軸に対して正の傾きを持つ被投影回転体の斜視図
図4】映像表示面が回転軸に対して負の傾きを持つ被投影回転体の斜視図
図5】映像表示面が回転角によって回転軸のスラスト方向に位置の変化を持つ被投影回転体の斜視図
図6】映像表示面の回転軸と平行な断面のとり方を示す被投影回転体の斜視図
図7】映像表示面の断面図
図8】実施形態1に係る回転式体積走査型3次元投影装置の構造を示した外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
体積走査型の3次元投影装置に回転体を使用しその映像表示面に映像表示装置を用いて映像を投影することで、高リフレッシュレートで3次元像を得る事ができる機械を実現した。
【実施例0027】
図8は、本発明の3次元投影装置の半径方向の構造である。
【0028】
回転式体積走査型3次元投影装置は、表面に映像表示面3を備え映像表示面の傾き16をもつ図2に示す形状の被投影回転体1を有し、映像表示装置5によって表示映像4を映像表示面3上に表示する。映像表示面3上に疑似的に再現された3次元像はアフォーカル光学系素子7によって空中に投影映像6’ 、6’’ 、6’’’として投影される。
【0029】
被投影回転体1は被投影回転体1の駆動装置19によって動力を与えられ回転軸2を中心に回転運動を行うものである。
【0030】
表示映像4は被投影回転体1の回転角に応じて表示する映像を変化させる。図2の形状の被投影回転体であれば、最小半径部のある微小回転角9が映像表示装置5の正対する位置に来た瞬間に最小半径部の微小映像表示面10に対して、最小半径8に対応する映像を表示させる。
【0031】
続いて回転が進み、最小半径より大きな半径のある微小回転角13が映像表示装置5の正対する位置に来た瞬間には、最小半径より大きな半径を持つ微小映像表示面15に対して、最小半径より大きな半径12に対応する映像を表示させる。
【0032】
一連の動作が高速で行われているとき、投影映像群6の範囲内で残像が発生し、空中に疑似的な3次元像を得る。
【産業上の利用可能性】
【0033】
商業施設の店頭やライブ会場でのデジタルサイネージとしての活用や、専用のゴーグル等を必要としないアフォーカルな3次元空中像をフィルムのような遮蔽物なしに得られることから医療分野での手術シミュレーションや遠隔ロボット手術でのオペレーター側への映像投影装置としての利用が期待される。
【符号の説明】
【0034】
1 被投影回転体
2 回転軸
3 映像表示面
4 表示映像
5 映像表示装置
6 投影映像群
6’ 投影映像
6’’ 投影映像(前面)
6’’’投影映像(後面)
7 アフォーカル系光学素子
8 最小半径
9 最小半径部のある微小回転角
10 最小半径部の微小映像表示面
11 最小半径の円
12 最小半径より大きな半径
13 最小半径より大きな半径のある微小回転角
14 最小半径より大きな半径(最大半径)
15 最小半径より大きな半径を持つ微小映像表示面
16 映像表示面の外側への傾き
17 映像表示面の内側への傾き
9’ スラスト高さが基準面と等しい微小回転角
10’ スラスト高さが基準面と等しい微小回転角の微小映像表示面
11’ スラスト基準面
13’ スラスト高さが正のある微小回転角
15’ スラスト高さが正のある微小回転角の微小映像表示面
18 スラスト基準面からの高さ
19 被投影回転体の駆動装置
20 回転軸rxと平行な軸
21 rxとT1との軸を結ぶ断面
22 断面が直線的な映像表示面
23 断面が凸状の映像表示面
24 断面が凹状の映像表示面
25 断面が複雑に変化する映像表示面
26 底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8