(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021879
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
A61M25/02 504
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142566
(22)【出願日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2021126826
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592019213
【氏名又は名称】学校法人昭和大学
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若村 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 結香里
(72)【発明者】
【氏名】小口 由希子
(72)【発明者】
【氏名】土取 保紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓真
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA33
4C267BB02
4C267BB18
4C267BB24
4C267BB31
4C267CC01
4C267EE01
4C267HH04
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】体液が排出される際の人の負担を軽減でき、カテーテルの管を適切な状態で人体に留置させ易い保持具を提供すること。
【解決手段】保持具10は、カテーテルの可撓性を有する外套カテーテルを保持可能である。保持具10は、外套カテーテルをガイドするガイド面27aを備える。ガイド面27aは、上側に凸の湾曲状の第1ガイド領域29を外套カテーテル41の刺入部側である前側に有する。第1ガイド領域29は、外部に露出する。保持具10は、外套カテーテルがガイド面27aに沿っている状態で外套カテーテルを保持する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する管を保持可能な保持具であって、
前記管をガイドするガイド面を備え、
前記ガイド面は、上側に凸の湾曲状又は傾斜状のガイド領域の頂部を前記管の刺入部側である前側に有し、
前記ガイド領域が、外部に露出している、保持具。
【請求項2】
前記前側に凹部を有し、
前記凹部が、前記前側とは反対側の後側に窪んでいる、請求項1に記載の保持具。
【請求項3】
前記管を前記ガイド面側に押える押え部を有し、
前記ガイド面は、後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する第2ガイド領域を有する、請求項1又は2に記載の保持具。
【請求項4】
前記第2ガイド領域は、下側に凸の湾曲面を含む、請求項3に記載の保持具。
【請求項5】
前記管を前記ガイド面側に押える押え部を有し、
前記ガイド領域は、前記ガイド面のうちで最も上側に位置する箇所を含む前記頂部を有し、
前記押え部において前記頂部に高さ方向に対向する対向部は、前記頂部の形状に対応する形状を有する、請求項1から4のいずれか1つに記載の保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管を保持可能な保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カテーテルとしては、特許文献1に記載されているものがある。このカテーテルは、内針と外套カテーテルとを組合せたトロッカーカテーテルである。このカテーテルは、内針を抜去して外套カテーテルのみを体内に留置し、連続的に体液等を排出させるために使用される。例えば、上記カテーテルを用いて次の手順で腹水を排出させることができる。詳しくは、先ずトロッカーカテーテルをお腹に略垂直に突き刺し、その後、内針を引き抜く。次に、特許文献1に記載の如く、外套カテーテルをお腹に略垂直に突き刺した状態から外套カテーテルが倒れないように固定させつつ湾曲させて、お腹から腹水を排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施術の現場において、上記カテーテルはコップ状の簡易的な固定具を用いて固定が行われている。具体的には、紙コップの底面に開口部を作り、当該開口部に体表から露出した外套カテーテルを挿通させると共に紙コップをテーピングすることで、カテーテルを患者に固定している。しかし、このような固定具はコップから露出したカテーテルと体表との間に大きな空隙が形成されてしまうため、カテーテルを体表に押しつけた際にカテーテルが折れ曲がり、キンクが発生する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、体液が排出される際の人の心理的及び肉体的な負担を軽減でき、カテーテルの管を適切な状態で人体に留置させやすくする保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る保持具は、可撓性を有する管を保持可能な保持具であって、前記管をガイドするガイド面を備え、前記ガイド面は、上側に凸の湾曲状又は傾斜状のガイド領域(第1ガイド領域)の頂点を前記管の刺入部側である前側に有し、前記ガイド領域が、外部に露出している。
【0007】
上記管は、例えば、トロッカーカテーテルの可撓性を有する外套カテーテル等である。この保持具は、腹水以外の体液を排出する場合にも使用できるが、腹水を排出する場合には、例えば、次のように使用する。先ず、お腹に真っすぐ突き刺されているカテーテルの管をガイド面に沿わせるように保持具で保持する。その後、管を保持している保持具の底面をお腹に接触させた状態で保持具をテープ等でお腹に固定する。保持具をお腹に固定するときに、お腹から真っすぐ延びている管の一部をお腹に沿わせるように湾曲させる。その後、管を用いてお腹から腹水を排出させる。なお、この例では、保持具をお腹に固定する場合について説明した。しかし、上述のように、この保持具は、腹水以外の体液を排出するのに用いられてもよく、お腹以外の如何なる人体の箇所に固定されてもよい。
【0008】
本発明によれば、カテーテルの管が人体(例えば、お腹)に沿うように延在している状態で、体液を排出させることができる。したがって、カテーテルの管が人体から真っすぐ延びた状態を長時間保持して体液を排出させる必要がないので、体液を排出される人の心理的及び肉体的な負担を低減できる。
【0009】
また、管をガイドするガイド面が、上側に凸の湾曲状又は傾斜状のガイド領域を有し、当該ガイド領域の頂点が保持具前後方向の中央より管の刺入部側である前側に位置しているので、後ろ側に向かってガイド面の高さを下げることができ、保持具から出ていく管と人体体表との隙間を小さくできる。このため、管を体表と略平行にすべく曲げるときに管をガイド領域に沿わせるように滑らかに変形させることができると共に、保持具から出ていく管が人体側に押されて折れ曲がってしまうといった事態を防止できる。したがって、管を適切な状態で人体に留置させ易く、管を介して体液を円滑に排出させ易い。
【0010】
また、本発明の保持具において、前記前側に凹部を有し、前記凹部が、前記前側とは反対側の後側に窪んでいてもよい。
【0011】
本構成によれば、保持具が保持具の刺入部側である前側に後側に窪む凹部を有しているので、刺入部から露出したカテーテルの管を保持具に近づける際に、管を所定の位置に位置させやすい。また、管を保持している状態において、管の刺入部が視認し易くなる。
【0012】
また、本発明の保持具において、前記管を前記ガイド面側に押える押え部を有し、前記ガイド面は、後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する第2ガイド領域を有してもよい。
【0013】
本構成によれば、管をガイド面側に押える押え部を有するので、管が保持具から離脱することを抑制できる。
【0014】
また、ガイド面が、後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する第2ガイド領域を有しているので、保持具の後側をコンパクトに形成でき、保持具が邪魔になりにくい。
【0015】
なお、保持具は前後方向の長さが高さ方向の長さに比して長くするのが好ましい。具体的には、保持具の前後方向の長さが、保持具の高さ方向の長さの1.5倍以上とするのが好ましい。そして、第2ガイド領域とそれに高さ方向に対向する押え部が、管の高さ位置が後端に行くにしたがって徐々に低くなるように、管を後端に行くにしたがってなだらかに底面近くまで導く構成とすることにより、管が大きく曲がる箇所を少なくしてカテーテルにテンションがかかりにくくしつつ、人体と管との隙間を小さくすることができ、管が折れ曲がってしまうといった事態を防止できる。
【0016】
また、本発明の保持具において、前記第2ガイド領域は、下側に凸の湾曲面を含んでもよい。
【0017】
本構成によれば、保持具から出ていく管を人体に平行な状態に近づけ易く、保持具から出ていく管の姿勢を更に安定させ易い。
【0018】
また、本発明の保持具において、前記管を前記ガイド面側に押える押え部を有し、前記ガイド領域は、前記ガイド面のうちで最も上側に位置する箇所を含む前記頂部を有し、前記押え部において前記頂部に高さ方向に対向する対向部は、前記頂部の形状に対応する形状を有してもよい。
【0019】
本構成によれば、頂部付近で保持されている管部分を頂部の形状に沿うように円滑に湾曲させ易く、管の捻じれを効果的に抑制できる。したがって、体液を円滑に排出させ易い。
【0020】
また、本発明の保持具において、前記ガイド面を含む本体部と、前後方向及び高さ方向の両方に直交する幅方向の両側に位置する延出部と、を備え、前記延出部は、前記本体部から前記幅方向の外側に延出するように延出してもよい。
【0021】
本構成によれば、延出部を用いることで、保持具を人体に密着させ易く、保持具を人体に安定に固定し易い。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る保持具を用いれば、カテーテルの管を適切な状態で人体に留置させることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態の保持具及びカテーテルを用いて人のお腹から腹水を排出している状態を表す図である。
【
図3】
図1における保持具周辺の拡大斜視図である。
【
図4】前方の斜め上方から見たときの保持具の斜視図である。
【
図5】後方の斜め上方から見たときの保持具の斜視図である。
【
図6】斜め前方から見たときの保持具の斜視図である。
【
図14】第2実施形態の保持具を前方斜め上側から見たときの斜視図である。
【
図15】第2実施形態の保持具を斜め上側から見たときの斜視図である。
【
図16】第2実施形態の保持具を斜め下側から見たときの斜視図である。
【
図23】第2実施形態の保持具を、幅方向の中心を通過すると共に前後方向と高さ方向とを含む平面で切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、以下の説明及び図面において、X方向は、保持具10,110の前後方向を示し、Y方向は、保持具10,110の幅方向を示す。また、Z方向は、保持具10,110の高さ方向を示す。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。また、以下の説明では、菅の刺入側をX方向の前側と言及し、保持具10,110において人体に接触させる底面側をZ方向の下側と言及する。また、
図7~
図12は、意匠出願で使用できる六面図であり、第1実施形態の保持具10における、縦、横、高さ等の寸法比を、一致させるように描いている。また、
図17~
図22も、意匠出願で使用できる六面図であり、第2実施形態の保持具110における、縦、横、高さ等の寸法比を、一致させるように描いている。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態の保持具10及びカテーテル40を用いて人のお腹5から腹水を排出している状態を表す図である。また、
図2は、カテーテル40を表す正面図であり、
図3は、
図1における保持具周辺の拡大斜視図である。まず、
図1~
図3を用いて、保持具10及びカテーテル40を使用した人のお腹5からの腹水の排出方法について説明する。
【0026】
先ず、カテーテル40の先端を、人のお腹に穿刺する。
図2に示すように、カテーテル40は、所謂トロッカーカテーテルであり、カテーテル40の可撓性を有する管の一例としての外套カテーテル41と、外套カテーテル41内に挿通される内針42とを備える。内針42は金属製で、外套カテーテル41内に着脱可能に固定される。また、外套カテーテル41は、可撓性を有する材料、例えば、ポリウレタン、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリアミド、エチレン‐酢酸ビニル共重合体等で構成される管である。
【0027】
公知の構造であるので詳述しないが、カテーテル40の先端を、人のお腹5に穿刺するにあたって、先ず、
図2に示すように、内針42の先端部42aが外套カテーテル41から突出した状態で、内針42を外套カテーテル41に固定する。この固定は、例えば、内針42の基端部と、外套カテーテル41の最後尾に設けられたハブ47とを螺号させることで行う。その後、カテーテル40を、人のお腹に穿刺する。カテーテル40を体内に穿刺した後、内針42をその基端側から抜去して外套カテーテル41のみを体内に留置する。
【0028】
その後、お腹5から真っすぐに延在している外套カテーテル41の刺入側の部分に保持具10を取り付ける。後で詳細に説明するが、
図3に示すように、保持具10は、菅取付溝27を有し、菅取付溝27の開口幅は、外套カテーテル41を収容する収容部の幅よりも小さくなっている。外套カテーテル41の刺入側の部分を、菅取付溝27内にその開口28を通過するように押圧して、その外径を一時的に縮径するように変形させて菅取付溝27内に取り付けることで、外套カテーテル41の刺入側の部分を、保持具10に取り付ける。
【0029】
その後、
図1に示すように、保持具10をお腹5に固定する。詳しくは、外套カテーテル41を保持している保持具10の底面13をお腹5に接触させた状態で保持具10を図示しないテープ等でお腹5に固定する。保持具10をお腹5に固定時するときに、お腹5から真っすぐ延びている外套カテーテル41の一部41a(
図3参照)をお腹5に沿わせるように湾曲させる。その状態で、腹水を連続的に外部に排出する。図示しないが、腹水を排出する際、カテーテル40のハブ47(
図2参照)には、図示しないチューブが取り付けられ、そのチューブは、例えば、滴下調整クランプを介して排液バックに接続される。腹水の排出速度は、滴下調整クランプで調整される。腹水は、滴下調整クランプを介して排液バックに収容される。
【0030】
次に、保持具10の構造について
図4~
図12を用いて更に詳細に説明する。
図4は、保持具10を前方の斜め上方から見たときの保持具10の斜視図であり、
図5は、保持具10を後方の斜め上方から見たときの保持具10の斜視図である。また、
図6は、保持具10を斜め前方から見たときの保持具10の斜視図である。また、
図7は、保持具10の正面図であり、
図8は、保持具10の右側面図であり、
図9は、保持具10の左側面図である。また、
図10は、保持具10の背面図であり、
図11は、保持具10の平面図であり、
図12は、保持具10の底面図である。
【0031】
保持具10は、可撓性を有する材質、例えば、エラストマー、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、又はポリ塩化ビニル等で構成され、人体の設置個所の表面に追随するように自在に変形可能になっている。
図4に示すように、保持具10は、本体部20と、プレート状に延びる2つの第1及び第2延出部21,22を備える。本体部20は、第1及び第2延出部21,22の間に位置し、上方に直立する2つの第1及び第2側壁23,24と、第1及び第2側壁23,24のZ方向下側の開口を閉鎖する底壁25とを有する。第1及び第2側壁23,24はX方向に延在すると共にY方向に間隔をおいて位置する。第1及び第2延出部21,22は第1及び第2側壁23,24の頂部に比して下方に位置し、プレート状である。延出部(翼部)はプレート状であることで、カテーテルガイドの延在方向に平行にテーピングをしやすく、カテーテルを挟むようにテーピングすることで保持具が刺入部から相対移動しにくいように固定することができる。また、翼部に挟まれるように形成された側壁が翼部に比して高さを有することで、翼部にテーピングした際に固定具が人体に対して幅方向にも相対移動しにくく、保持具と刺入部との位置ずれを防止することができる。
【0032】
第1及び第2側壁23,24及び底壁25は、菅取付溝27を画定する。第1及び第2側壁23,24を略面対称にすると共にX方向とZ方向とを含む平面が存在し、保持具10は、その平面に対して略面対称になっている。
図11に示すように、平面図において、菅取付溝27は、Y方向の中央部に設けられ、X方向に延在している。
図4に示すように、菅取付溝27の第1及び第2側壁23,24は、外套カテーテル41の外面に対応する形状を有する湾曲部23a,24aを有し、外套カテーテル41を抱え込むように保持することが可能となっている。
【0033】
図4、及び
図10に示すように、湾曲部23a,24aは、第1及び第2側壁23,24のZ方向上側に存在し、上端に近づくにつれて互いにY方向に接近するように湾曲する。湾曲部23a,24aの夫々は、Y方向外側に凸の湾曲形状を有している。菅取付溝27において外套カテーテル41を収容する収容部のY方向の距離は、菅取付溝27の開口28(
図3参照)のY方向の距離よりも大きくなっている。このため、菅取付溝27の開口28の上側から押し込まれて、その外径が一時的に縮径するように変形することで収容部に収容された外套カテーテル41が、菅取付溝27から離脱できないようになっている。菅取付溝27の底面は、外套カテーテル41をガイドするガイド面27aになっており、湾曲部23a,24aは、外套カテーテル41をガイド面27a側に押える押え部となっている。押え部は、X方向に沿うように延びており、押え部のX方向長さは、保持具10の下面から保持具10のガイド面27aの頂部までのZ方向寸法と比して長くなっている。なお、押え部のX方向長さが、保持具10の下面から保持具10のガイド面27aの頂部までのZ方向寸法に比して1.5倍以上長くなっていると好ましい。
【0034】
図6、
図11、及び
図12に示すように、保持具10は、X方向の前方かつY方向の中央に凹部30を有する。凹部30は、X方向後側に窪んでおり、X方向後側に凸の湾曲面31で構成されている。
図13は、
図11のA-A線断面図であり、湾曲部23aの上側を通過すると共にX方向とZ方向とを含む平面で保持具10を切断したときの断面図である。
図6及び
図13に示すように、湾曲面31の上側の上側湾曲面部31aは、上側にも凸の湾曲面になっている。このため、刺入部から上方に延びるカテーテルが位置ずれすることを防止する。
図11、及び
図12に示すように、保持具10は、底側に板状のプレート部55を有し、第1及び第2延出部21,22は、プレート部55に含まれる。
【0035】
図13に示すように、ガイド面27aは、上側に凸の湾曲状の第1ガイド領域29を外套カテーテル41の刺入部側である前側に有する。また、ガイド面27aは、第1ガイド領域29よりも後方に、X方向の後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する第2ガイド領域39を有する。
図4に示すように、第1ガイド領域29は、外部に露出している。
図13に示すように、第1ガイド領域29は、ガイド面27aのうちで最も上側に位置する箇所(頂点)を含む頂部33を有する。また、押え部を構成する湾曲部23aにおいて頂部33にZ方向に対向する対向部43は、頂部33の形状に対応する形状を有している。保持具10の前方には菅取付溝27における第1ガイド領域29側に外套カテーテル41を導く前方開口が形成されており、保持具10の後方には菅取付溝27における第2ガイド領域39側に外套カテーテル41を導く後方開口が形成されている。第1ガイド領域29は第2ガイド領域39に比して高い位置に形成されており、前方開口は後方開口より上方に形成されている。前方開口は保持具10を前方から見た際に前方開口内に後方開口が見えない程度に上方に形成されている。前方開口は頂部と隣接しており、頂部から前方開口までの長さは頂部から後方開口までの長さより短い。刺入部側に形成された第1ガイド領域29の頂部は底面より5mm以上上方に位置しており、前方開口から外套カテーテル41が保持具10に固定された状態において、外套カテーテル41における刺入部近傍部が略垂直に延びるようにすることができる。その結果、外套カテーテル41を湾曲させたことによるテンションが刺入部に掛かってしまって患者に負担がかかる事態を防止することができる。
【0036】
図6、
図11、及び
図13に示すように、凹部30は、プレート部55で画定される第1部分、第1ガイド領域29の前方に位置する第2部分、湾曲部23a,24aの上端前方に位置する第3部分、及びZ方向に関して第1部分と第2部分の間に位置する第4部分を含み、底面から側壁上端まで連続して形成されている。第1部分は、直立した外套カテーテル41を、外套カテーテル41を保持する保持具10に位置合わせする際に有用である。また、第2及び第4部分は、外套カテーテル41を保持具10に接触させる際に、直立した外套カテーテル41を適切な位置(例えば、外套カテーテル41が菅取付溝27の延長線上に配される位置)に導くのに有用である。また、第3部分は、直立した外套カテーテル41が曲げられた際に外套カテーテル41を第1ガイド領域29に導くのに有用である。
図11に示すように、第3部分は、Z方向上側からから見た平面図において、ハ字状の形状を有している。また、
図11及び
図12に示すように、第3部分は、第1部分より僅かにX方向の後側に位置している。第1凹部は、外套カテーテル41の位置合わせのし易さを考慮し、第3凹部のY方向の最大幅より長いY方向の最大幅を有している。凹部30は、湾曲部23a,24aの上端前側からプレート部55の下面まで形成されていて、保持具10をZ方向上側から見た際に外套カテーテル41の挿入部が見え易くなっている。なお、凹部は湾曲面に限るものではなく、コ状であってもよい。
【0037】
外套カテーテル41を保持する保持具10のX方向の長さは、例えば、保持具10のZ方向の長さの1.5倍以上となっている。また、ガイド面27aのX方向長さは、ガイド面27aにおける最大高さからガイド面27aにおける最小高さまでの高さ寸法に比して2倍以上、好ましくは2.5倍以上になっている。そして、第2ガイド領域39とそれにZ方向に対向する押え部(湾曲部23a,24a)が、外套カテーテル41の高さ位置がX方向の後端に行くにしたがって徐々に低くなるように、外套カテーテル41をX方向の後端に行くにしたがってなだらかに底面近くまで導く構成となっている。外套カテーテル41をなだらかに保持具10に沿わせた方が外套カテーテル41に大きなテンションが生じず、外套カテーテル41が保持具10から外れてしまう事態を低減できる。第2ガイド領域39は、下側に凸の湾曲面となっている。また、
図5に示すように、第1及び第2側壁23,24の稜線(X方向に連続するように最も高い位置を結ぶ線)53,54は、第2ガイド領域39に対応するようにX方向の後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する。このため、保持具10は、その前側の高さが後側の高さよりも高くなっている。
【0038】
図4に示すように、第1延出部21は、Y方向の第1の側に位置し、第2延出部22は、Y方向の第2の側に位置する。各延出部21,22は、本体部20からY方向の外側に延出する。
図11に示すように、本実施形態では、第1及び第2延出部21,22は、平面図において略円弧上の外縁21a,22aを有しており、その外縁21a,22aは、X方向の中央部でY方向の最も外側に位置している。しかし、第1及び第2延出部は、平面図において如何なる形状の外縁を有してもよく、例えば、矩形、台形、又は半楕円形状の外縁を有してもよい。
【0039】
図7~
図9に示すように、第1及び第2延出部21,22は、厚さが略一定の平板形状を有する。上述のように、保持具10は、エラストマー等の可撓性を有する材料で構成されている。したがって、第1及び第2延出部21,22を被固定先の人体の表面に追随させるように自在に変形させることができ、第1及び第2延出部21,22の底面を人体に密着させた状態で保持具10を人体に固定することができる。
図7に示すように、保持具10は、前方から見たときに、手前に円形の開口58が見え、その奥に円形の開口58よりも幅が小さい矩形状の孔59が見える形状になっている。当該幅が小さい孔59は、湾曲させた外套カテーテル41と交差して、外套カテーテル41の戻りを規制する管戻り規制部を構成している。この管戻り規制部は、押え部に含まれる。即ち、使用者は外套カテーテル41を第1ガイド領域29に沿わせるようにしつつ、外套カテーテル41を人体に対して水平に延びるように曲げる。その際に、外套カテーテル41は孔59に対して交差し、外套カテーテル41は押え部の内側面と係止し、一次的な仮留め状態となる。その後、使用者は外套カテーテル41を持ち替えて、菅取付溝27に向かって押圧し、外套カテーテル41をX方向に沿って菅取付溝27内に固定させる。
【0040】
以上、保持具10は、カテーテル40の可撓性を有する外套カテーテル41を保持可能である。また、保持具10は、外套カテーテル41をガイドするガイド面27aを備える。また、ガイド面27aは、上側に凸の湾曲状の第1ガイド領域29を外套カテーテル41の刺入部側である前側に有し、第1ガイド領域29が、外部に露出している。
【0041】
本発明によれば、外套カテーテル41が人体(例えば、お腹5)に沿うように延在している状態で、体液(例えば、腹水)を排出させることができる。したがって、外套カテーテル41が人体から真っすぐ延びた状態を長時間保持して体液を排出させる必要がないので、体液を排出される人の心理的及び肉体的な負担を低減できる。
【0042】
また、外套カテーテル41をガイドするガイド面27aが、上側に凸の湾曲状の第1ガイド領域29を前側に有するので、外套カテーテル41を曲げるときに外套カテーテル41を第1ガイド領域29に沿わせるように滑らかに変形させることができ、ガイド領域の後ろ側において体表に近づくようにできるため、保持具から露出した外套カテーテル41が局所的に屈曲するように折れ曲がることを抑制できる。したがって、外套カテーテル41を適切な状態で人体(例えば、お腹5)に留置させ易く、外套カテーテル41を介して体液を円滑に排出させ易い。
【0043】
また、保持具10において、前側に凹部30を有し、凹部30が、前側とは反対側の後側に窪んでいてもよい。
【0044】
本構成によれば、保持具10が保持具10の刺入部側である前側に後側に窪む凹部を有しているので、外套カテーテル41を第1ガイド領域29に沿わせ易くすることができる。また、外套カテーテル41の刺入部が視認し易くなる。
【0045】
また、保持具10において、外套カテーテル41をガイド面27a側に押える湾曲部(押え部)23a,24aを有し、ガイド面27aが、後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する第2ガイド領域39を有してもよい。
【0046】
本構成によれば、外套カテーテル41をガイド面27a側に押える湾曲部23a,24aを有するので、外套カテーテル41が保持具10から離脱することを抑制できる。
【0047】
また、ガイド面27aが、後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する第2ガイド領域39を有しているので、保持具10の後側をコンパクトに形成でき、保持具10が邪魔になりにくい。また、保持具10から出ていく外套カテーテル41と人体との隙間を小さくできるので、保持具10から出ていく外套カテーテル41の姿勢を安定させ易く、また、外套カテーテル41が人体側に押されて折れ曲がってしまうといった事態を防止できる。
【0048】
また、保持具10において、第2ガイド領域39は、下側に凸の湾曲面でもよい。なお、第1ガイド領域の曲率半径に比して、第2ガイド領域の曲率半径は大きいことが好ましい。尤も第2ガイド領域を湾曲面ではなく一定の角度で傾斜する傾斜面としてもよい。
【0049】
本構成によれば、保持具10から出ていく外套カテーテル41を人体に平行な状態に近づけ易く、保持具10から出ていく外套カテーテル41の姿勢を更に安定させ易い。
【0050】
また、保持具10において、外套カテーテル41をガイド面27a側に押える湾曲部23a,24aを有し、第1ガイド領域29が、ガイド面27aのうちで最も上側に位置する箇所を含む頂部33を有してもよい。そして、湾曲部23a,24aにおいて頂部33にZ方向に対向する対向部43は、頂部33の形状に対応する形状を有してもよい。
【0051】
本構成によれば、頂部33付近で保持されている外套カテーテル部分を頂部33の形状に沿うように円滑に湾曲させ易く、外套カテーテル41の捻じれを効果的に抑制できる。したがって、体液を円滑に排出させ易い。
【0052】
また、保持具10において、ガイド面27aを含む本体部20と、Y方向の両側に位置する延出部21,22と、を備え、延出部21,22が、本体部20からY方向の外側に延出するように延出してもよい。
【0053】
本構成によれば、本実施形態のように、保持具10の下端部にプレート状の延出部21,22を設けることで、保持具10を、延出部21,22を用いて人体に密着させ易く、保持具10を人体に安定に固定し易い。そして、保持具10が所望の姿勢になっている状態を維持し易い。また、テープを、延出部21,22と、人体に跨るように貼布し易く、テープで、保持具10を人体に固定し易い。
【0054】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態の保持具110を前方斜め上側から見たときの斜視図であり、
図15は、保持具110を斜め上側から見たときの斜視図であり、
図16は、保持具110を斜め下側から見たときの斜視図である。また、
図17は、保持具110の正面図であり、
図18は、保持具110の右側面図であり、
図19は、保持具110の左側面図である。また、
図20は、保持具110の背面図であり、
図21は、保持具110の平面図であり、
図22は、保持具110の底面図である。また、
図23は、保持具110を、略Y方向の中心を通過すると共にX方向とZ方向とを含む平面で切断したときの断面図である。保持具110は、その平面に対して略面対称となる形状を有している。なお、第2実施形態の保持具110では、第1実施形態の保持具10と同様の作用効果及び変形例についての説明を省略する。
【0055】
保持具110は、次の構成が保持具10と一致する。詳しくは、
図23に示すように、保持具110は、可撓性を有する管の一例としての外套カテーテルを保持可能な保持具であり、外套カテーテルをガイドするガイド面127aを備える。また、ガイド面127aは、上側に凸の湾曲状又は傾斜状の第1ガイド領域129の頂部133を外套カテーテルの刺入部側である前側に有する。また、
図15に示すように、第1ガイド領域129は、外部に露出している。また、
図14及び
図21に示すように、保持具110は、前側に凹部130を有し、凹部130が、前側とは反対側の後側に窪んでいる。また、
図15に示すように、保持具110は、外套カテーテルをガイド面127a側に押える押え部165を有し、押え部165は、湾曲部123a,124aで構成される。また、
図23に示すように、ガイド面127aは、後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する第2ガイド領域139を有する。また、第1ガイド領域129が、ガイド面127aのうちで最も上側に位置する頂部133を有し、押え部165において頂部133にZ方向に対向する対向部143は、頂部133の形状に対応する形状を有する。頂部133はX方向において山状をなすガイド領域のX軸方向中央より刺入部側に位置する。
【0056】
一方、保持具110は、次の構成が第1実施形態の保持具10と異なる。詳しくは、
図14、
図16、及び
図21に示すように、保持具110は、保持具10と異なり、X方向後側に突出する細長い突出平坦部115をY方向中央部かつX方向後側端部に有する。突出平坦部115は、X方向位置に寄らず略均一のZ方向厚さを有する。
図14に示すように、突出平坦部115には、外套カテーテルをガイドする菅取付溝127の延長部分がY方向中央部に設けられ、菅取付溝127の延長部分は、X方向一端から他端にかけてX方向に延在する。菅取付溝127の延長部分のZ方向深さは、X方向位置に寄らず略一定になっている。換言すると、突出平坦部115には、ガイド面127aの一部を構成するガイド面127aの延長部分が、Y方向中央部に設けられ、ガイド面127aの延長部分は、X方向一端から他端にかけてX方向に延在する。なお、突出平坦部115は第2ガイド領域より小さい角度でもってX方向に延在しており、傾斜を設けても設けなくともよい。また、突出平坦部115の天面は平坦でなくともよい。
【0057】
このように、X方向後側に突出する細長い突出平坦部115を設けることで、第2ガイド領域から延び出た外套カテーテルを安定的にテープで仮止めすることができる。即ち、突出平坦部が無い場合、第2ガイド領域から延び出た外套カテーテルをテープで皮膚に仮止めすると、外套カテーテルは斜めに浮いた状態で皮膚に固定されることになり、保持具基端から外套カテーテルに対し外套カテーテルが折れる方向に力が加わる。このため、外套カテーテルが第2ガイド領域から浮き上がりやすくなったり、外套カテーテルが折れてしまう可能性があるが、突出平坦部115を設けることで、突出平坦部115上で外套カテーテルをテープで仮止めすることができ、安定的に仮止めを行うことができる。また、突出平坦部115に深さが略一定のガイド溝の延長部分を設けることで、当該溝に外套カテーテルを沿わせるようにすると、外套カテーテルを真っ直ぐ伸ばした状態でテープによる仮止めができる。
【0058】
なお、突出平坦部115の天面はなるべく平坦とすることでテープを保持具に密着固定させやすくなる。また、突出平坦部115のY方向長さは第1及び第2延出部(翼部)121,122のY方向長さより小さくされており、テープを人体に固定しやすくされている。
【0059】
保持具110によれば、X方向後側に突出する細長い突出平坦部115を有するので、細長い突出平坦部115及びそれが保持している外套カテーテルの後側端部の両方を、突出平坦部115及び外套カテーテルに密着させた状態で略Y方向に延在するテープで人体に仮止めできる。そして、その後、保持具110の全体を覆うように、保持具110を大きなテープで人体に固定できる。したがって、保持具110を容易、確実、かつ迅速に人体に固定できる。
【0060】
図15、
図18、及び
図19に示すように、保持具110では、第1及び第2延出部(翼部)121,122が突出平坦部115よりもX方向前側に位置しており、突出平坦部115のY方向両側に第1及び第2延出部121,122が存在しない。したがって、当該仮止めを行う際、第1及び第2延出部121,122がその仮止めの妨げになることがなく、仮止めを迅速かつ円滑に行うことができる。
【0061】
保持具110は、更に、ガイド面127aの形状が第1実施形態の保持具10と異なる。詳しくは、
図23に示すように、保持具110では、刺入部側のガイド面127aの前側端部が、湾曲面167となっており、例えば、曲率半径Rが5mm以上8mm以下の湾曲面167となっており、好ましくは、曲率半径Rが7mmの湾曲面167となっている。このようにすることで、外套カテーテルに係る応力を低減しながら、外套カテーテルを当該湾曲面167に沿わせるようにフィットさせた状態で滑らかに折り曲げることができ、しかも、高さが低くてコンパクトな保持具110を実現できる。
【0062】
保持具110は、更に、保持具10と比較して後端に近づくにつれて下側に徐々に変位する第2ガイド領域139の形状が異なる。詳しくは、保持具10では、第2ガイド領域39の全てが下側に凸の湾曲面であったが、保持具110の第2ガイド領域139は、
図23に示す断面において、直線で構成される直線状部139aと、下側に凸の湾曲線で構成される湾曲部139bとを含む。直線状部139aは、第1ガイド領域129の後端に滑らかに繋がり、湾曲部139bは、直線状部139aの後端に滑らかに繋がる。
【0063】
仮に、第2ガイド領域を下に凸の湾曲面のみで構成した場合、第1ガイド領域と第2ガイド領域の接続部周辺の変曲点周辺で外套カテーテルが浮き上がり易くなり、外套カテーテルをガイド面127aにフィットさせにくくなることがある。
【0064】
これに対し、保持具110によれば、第1ガイド領域129の後端に滑らかに繋がる直線状部139aを設けて、第1ガイド領域129の後端に繋がる部分の窪みを抑制することで、外套カテーテルをガイドにフィットさせ易くして、外套カテーテルの浮き上がりを効果的に抑制できる。よって、外套カテーテルを第2ガイド領域139に沿わせた状態で下方に円滑に導くことができる。なお、第1ガイド領域129の後端と139の湾曲部139bの前端の間に直線状部139aを接続して外套カテーテルの挙動を安定化させる場合について説明した。しかし、直線状部は省略してもよく、第1ガイド領域を構成する上に凸の面と第2ガイド領域を構成する下に凸の面との間の曲率半径を変えて、変曲点における角度変化を滑らかにしてもよい。又は、第2ガイド領域を直線状部のみで構成して傾斜面としてもよい。なお、いずれの場合においても、第2ガイド領域の曲率半径を第1ガイド領域の曲率半径に比して大きくしてもよく、その逆でもよく、又は第2ガイド領域の曲率半径を第1ガイド領域の曲率半径に一致させてもよい。
【0065】
なお、
図15に示すように、第2ガイド領域139のY方向両側は、上方に直立する2つの第1及び第2側壁123,124で囲まれている。このようにすることで、下側に変位する外套カテーテルを第1及び第2側壁123,124でY方向に挟持でき、下側に変位する外套カテーテル部分のY方向の挙動を安定させることができる。これに対し、突出平坦部115は平坦な形状を有し、突出平坦部115に位置する菅取付溝127の延長部分においては外套カテーテルがX方向に真っすぐ延びた状態になり、外套カテーテルの挙動が安定する。したがって、突出平坦部115のY方向両側には、X方向上側に広がるサイド壁を設ける必要がない。よって、突出平坦部115のY方向両側に上方に直立して外套カテーテルの天面を押さえるような高さを有する側壁が存在しないので、コンパクトな保持具10を実現できると共に、突出平坦部115を用いた仮止めを迅速かつ容易に行うことができる。
【0066】
保持具110は、更に、下側に凹部180に有する点で、第1実施形態の保持具10と異なる。詳しくは、
図22、及び
図23に示すように、保持具110では、第1ガイド領域129及び第2ガイド領域139を上面に有する底部170の下側に凹部180が設けられている。そして、
図23に示すように、底部170の底面171が、第1ガイド領域129及び第2ガイド領域139の形状に対応する形状になっている。このことから、第1ガイド領域129及び第2ガイド領域139を上面に有する底部170の厚さが、X方向の位置に寄らずに略一定の厚さになっている。
【0067】
図16、
図22、及び
図23に示すように、保持具110は、更に、凹部180内に平板状の壁部150を有する。壁部150は、Y方向とZ方向とを含む方向に広がる。壁部150の底面(下側面)以外の外縁部は、凹部180の外面185に隙間なく繋がり、外面185と一体になっている。
図16、及び
図23に示すように、壁部150の底面151は、保持具110の平坦な底面188よりもZ方向上側に位置している。
【0068】
仮に、保持具110に凹部180を設けない場合、ガイド面を画定する画定部に肉厚な部分と薄肉の部分が生じて、肉厚な部分の成形収縮が大きくなるため、ヒケ(Sink Marks)が生じ易くなる。そして、仮にヒケが生じると、ガイド面が歪んで、外套カテーテルがガイド面にフィットしにくくなり、外套カテーテルをガイド面に円滑に沿わせることができなくなる。
【0069】
これに対し、保持具110では、凹部180を設けて、ヒケの生成を効果的に抑制しているので、ガイド面127aが歪むことを効果的に抑制できる。したがって、外套カテーテルがガイド面127aにフィットし易く、外套カテーテルをガイド面127aに円滑に沿わせ易い。
【0070】
更には、保持具110が、凹部180内に凹部180の外面185に隙間なく繋がってY方向に広がる平板状の壁部150を有するので、保持具110のY方向の強度を大きくでき、保持具110がY方向に広がることを効果的に抑制できる。したがって、ガイド面127aがY方向に開くことを効果的に抑制でき、ガイド面127aに外套カテーテルを装着する際に、ガイド面の形状が変形したり保持具110がZ方向に変形して外套カテーテルを装着しにくいといった事態を防止することができる。また、壁部150はZ方向に延びており、保持具110が大きくZ方向に変形することを防止している。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。例えば、上記実施形態では、可撓性を有する管が外套カテーテルである場合について説明したが、本開示の保持具が保持する管は、外套カテーテルでなくてもよく、可撓性を有する管であれば如何なる管でもよい。また、保持具10をお腹に固定する場合について説明した。しかし、本開示の保持具は、腹水以外の体液を排出するのに用いられてもよく、お腹以外の如何なる人体の箇所に固定されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
5 お腹、 10,110 保持具、 13 底面、 20 本体部、 21,121 第1延出部、 21a,22a 外縁、 22,122 第2延出部、 23,123 第1側壁、 24,124 第2側壁、 23a,123a,24a,124a 湾曲部、 25 底壁、 27,127 菅取付溝、 27a,127a ガイド面、 29,129 第1ガイド領域、 30,130 凹部、 31 湾曲面、 31a 上側湾曲面部、 33,133 頂部、 39,139 第2ガイド領域、 40 カテーテル、 41 外套カテーテル、 42 内針、 42a 内針の先端部、 43 対向部、 47 ハブ、115 突出平坦部、 165 押え部、 150 壁部、 180 凹部。