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  • 特開-人工まつ毛装着座面帯 図1-1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021880
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】人工まつ毛装着座面帯
(51)【国際特許分類】
   A41G 5/02 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
A41G5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021144305
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】508171826
【氏名又は名称】株式会社國井
(72)【発明者】
【氏名】松本 真理子
(57)【要約】      (修正有)
【課題】まつ毛美容に用いられる人工まつ毛装着補助用具として、1)製造が容易、2)施術者が取り扱い易く、地まつ毛への取付け装着が容易、3)装着施術を受ける利用者の希望や施術者の美容設計に従って、様々な装着形態を容易に実現可能、4)装着により獲得できる美容効果が高い、などの特性および機能を有する人工まつ毛装着座面帯を提供する。
【解決手段】人工まつ毛14を取り付ける座面として用いる装着座面帯11に、装着座面帯11を地まつ毛1に接着する装着座面帯取付け用接着材12を備え、地まつげ1に装着座面帯11を接着した後に、装着座面帯11上に人工まつ毛装着用接着剤15によって人工まつ毛14を接着する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まつ毛美容施術において、施術の対象となる地まつ毛の列に所要の人工まつ毛を装着するに際して、該人工まつ毛の装着を補助するために、予め対象となる地まつ毛列に取り付けておき、該人工まつ毛を取り付ける座面として用いる帯状の座面帯であり、該人工まつ毛の装着に先立って、装着対象となる地まつ毛列の一部又は全ての対象地まつ毛列の根元部に、横断的且つ架橋的に取り付けておく帯状の座面帯であり、該座面帯は、所要の面形状、厚さ、幅、長さ、を有し、所要の材質から成る膜又は薄板又は織布又は不織布から作られた帯状体であり、又は、所要の材質の糸又は紐を同一面内に並列的に並べて相互に接着させて帯状に作りあげた帯状体であり、その一方の面には、所要の接着剤が所要の厚さに塗布されており、該接着剤塗布面を対象地まつ毛列に押し当て接着させ固定し、その反対側の面、すなわち、人工まつ毛装着座面に、所要の該人工まつ毛を所望の美容方案に基いて望ましい形態に装着し、人工まつ毛装着美容施術を完成させ、当初の美容施術目的を達成することを特徴とする人工まつ毛装着美容施術用人工まつ毛装着座面帯。
【請求項2】
[請求項1]に説明した該人工まつ毛装着座面帯であって、化学繊維、絹繊維、綿繊維、麻繊維、楮繊維、植物性セルロース繊維、動物毛繊維、等繊維から製造された糸、ひも、織布、不織布、膜、薄板を単独又は組み合わせて作られていることを特徴とする該人工まつ毛装着座面帯。
【請求項3】
[請求項1,2]に説明した該人工まつ毛装着座面帯であって、該人工まつ毛装着座面帯を被施術者に装着するに際して、該被施術者の地まつ毛列に装着すると同時に、該人工まつ毛装着座面帯の幅方向端部部位の片方の部位であって所要の幅を持つ該端部部位を、被施術者の瞼の先端部位に該瞼の形状に沿って接着し固定できるように、必要な形状および幅寸法をもって作られていることを特徴とする該人工まつ毛装着座面帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間のまつ毛に関わる美容施術、すなわち、まつ毛に外観の美しさを付与するために、地まつ毛に人工まつ毛を装着する、いわゆる、まつ毛エクステンション美容施術において、装着施術を容易化且つ確実化し、美容効果を高めるために、装着される人工まつ毛のより望ましい装着を可能にするための人工まつ毛装着補助具、すなわち、人工まつ毛装着座面帯、に関わる発明である。本発明が関わる人工まつ毛装着座面帯には、1)製造が可能且つ容易であること、2)多様な美を追求するまつ毛美容施術に必要な一連の形状寸法の異なる装着座面帯を系統的に製造し、揃えて、装着施術の場へ提供できること、3)施術者にとって取り扱い易く、対象となる地まつ毛列への取付けが容易であること、4)人工まつ毛の装着の自由度と可能性を拡張し、人工まつ毛装着が獲得できる美容効果を高め得ること、などの機能および効果が求められる。
【背景技術】
【0002】
人間の地まつ毛に人工まつ毛を装着する美容施術は、現在、広く行われており、人工まつ毛そのもの、および、その装着方法について、様々な提案や試行が行われている。それら過程で、美容施術時に、対象地まつ毛への人工まつ毛の装着を迅速且つ確実に実施すること、および、装着に依る美容効果の向上を可能な限り高めること、などを目指して、利用する人工まつ毛の対象地まつ毛への接着部位の形状寸法を種々作り込むなど、幾つかの提案および試行が行われている。特許第6130571号等に、それら提案の事例を見ることが出来る([図1]参照)。
【0003】
しかしながら、従前および現行の人工まつ毛の装着方法あるいは補助具の機能は未だ不十分であり、上記人工まつ毛の装着に本来求められる特性および機能の一部を、しかも不十分な形で、具体化しているに過ぎない。まつ毛美容施術が求める美容効果を十分に満足できる人工まつ毛装着技術、装着補助具、施術者にとって負担が少なく容易且つ確実な装着方法は、未だ完成しておらず、利用者が求める美容効果の確実な実現、施術および装着の安全性および信頼性の確保、等の諸要求を総合的に満足し得る人工まつ毛とその装着方法の高度化は、今後の開発如何にかかっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5955355
【特許文献2】特許第6130571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0001]において説明した如く、まつ毛美容施術における人工まつ毛の装着施術に求められる基本的な要件、特性、機能は、1)地まつ毛への確実な装着が達成し易いこと、2)一定以上の装着強度、即ち、人工まつ毛と地まつ毛との間の必要十分な接着強度、が得られること、3)利用者の希望に合わせて、あるいは、施術者が提案する様々な美容方案に合わせて、各種形態の人工まつ毛の装着を正確に実現できること、4)美容効果を高めるために、必要に応じて、所望本数の人工まつ毛を装着できること、5)同じく、美容効果を高めるために、対象地まつ毛の任意の部位に、望ましい寸法形状の人工まつ毛を、望ましい方向角度を以て装着できること、などである。しかしながら、従前および現在、これらの要件を総合的に満足できる人工まつ毛そのもの、および、その装着方法は、未だ実現していない([図 1-1,1-2]参照)。
【0006】
本発明者らは、かかる状況に鑑み、従来にない特性と機能性に優れた人工まつ毛の装着補助具の開発を進めてきたが、本特許願においては、このうち人工まつ毛の対象地まつ毛への装着手段、とりわけ、装着を補助して、まつ毛美容施術の可能性を大きく広げることが出来る人工まつ毛装着座面帯を考案するに至った。本特許願は、容易且つ効率的且つ確実性の高い人工まつ毛装着施術を実現するための手段として該人工まつ毛装着座面帯を提案するものである([図1-1,1-2]参照)。
【課題を解決するための手段】
【0007】
該人工まつ毛装着座面帯は、所要の人工まつ毛を対象地まつ毛へ装着する美容施術を補助することを目的として、予め、対象となる地まつ毛列の根元部に取付け、所要人工まつ毛を貼り付け装着するための座面を用意する帯状体である。その全体の面形状としては、概略細長い帯状、又は扇形状、又は台形形状、その他所要の外形状を有しており、面構成としては、膜状、極薄板状、織布状、不織布状、組糸状、組紐状、あるいは、糸又は紐を平面上に並列に並べて相互に接着して帯状体を構成したものであり、材質的には、高分子物質材、動物繊維質材、植物繊維質材などから製造する([図2,3]参照)。
【0008】
本発明では、該人工まつ毛を対象地まつ毛に対して直接的に接着するのではなく、該人工まつ毛を接着する座面となる装着座面帯を、予め、対象となる一部対象地まつ毛列、又は、全ての対象地まつ毛列を横断して架橋的に取付け接着しておき、接着固定された該装着座面帯に該人工まつ毛を、美容方案に従って装着する方式である。該装着座面帯は、柔軟性のある高分子膜又は薄膜、あるいは、柔軟性の高い繊維織布又は不織布、組糸帯状体、又は、組紐帯状体などを用いて作られており、広げた面形状としては、細長い帯板状、又は、細く幅広い扇形状、又は、細く幅広い台形状、又は、所要の湾曲面形状等を有しており、寸法は概ね、帯状体の幅=100~3000μm、厚さ=30~100μm、長さ=10~40mmの範囲にある。該装着座面帯の片面に適切な接着剤を所望の厚さに塗布した後、選択した複数本の地まつ毛列の根元部に、又は、全ての対象地まつ毛列の根元部に、横断的且つ架橋的に貼付け装着することにより、対象地まつ毛列の上に、該人工まつ毛接着座面を設定する。該接着座面帯の該人工まつ毛取付け座面側表面の使用前の面形状としては、単純な平板状又は所要の曲面状の他に、必要に応じて、溝形、波形等の表面形状を付与しておくことが出来る([図4]参照)。
【0009】
対象地まつ毛列に装着された該装着座面帯の上面は平面状又は曲面状又は所要の表面形状構造を有する面であり、連続した平板状又は曲面状又は所要の溝あるいは凹凸を有する面を呈しているが、この座面に、該人工まつ毛を装着することは、表面が円柱面である対象地まつ毛に直接的に該人工まつ毛を装着するよりもはるかに容易であり、装着可能な該人工まつ毛の本数を増加し、様々な装着姿勢を実現し、美容効果を著しく高めることが出来る([図4,5]参照)。
【0010】
本発明に依る該装着座面帯を導入することにより、施術対象となる地まつ毛の周辺所要部位に、望ましい方向角度を以て、複数本の該人工まつ毛を接着し装着することが容易となる。まつ毛美容施術の観点からは、1本の対象地まつ毛の長手方向所定の部位に複数本の人工まつ毛を装着することは極めて重要な装着形態である。しかるに、従前および現行の所要対象地まつ毛へ人工まつ毛を直接装着しようとする際、多くの場合、該人工まつ毛の外径が対象地まつ毛の接着部位の外径と同程度に作られているため、該人工まつ毛の接着部位および胴体部が互いに干渉し、美容上望まれる所要本数の人工まつ毛の装着が出来ないことが多い。この点についても、本発明に依る装着座面帯を導入することにより、対象地まつ毛の所要の部位、あるいは、その周辺部位へ装着できる該人工まつ毛の本数を格段に増やすことが出来る([図6]参照)。
【0011】
該装着座面帯は、製造時には、片面に塗布された接着剤を安全に保持するため、保護膜で被覆しておき、該装着座面帯を使用する際に、この保護膜を取り除いて、対象とする地まつ毛列に貼り付ける。装着された該装着座面帯の上面は、平板状又は所要の曲面状又は所要の溝形状や凹凸形状を呈しているが、該人工まつ毛を装着することは、表面が円柱面である対象地まつ毛に直接的に装着するよりもはるかに容易である。加えて、該人工まつ毛の対象地まつ毛に対する垂直面内及び水平面内の装着角度の構成、あるいは、各種寸法の該人工まつ毛の組合せ装着など、様々な装着姿勢を実現し、美容効果を著しく高めることも、容易に達成できる([図5,6]参照)。
【発明の効果】
【0012】
従前および現行の人工まつ毛の発展形として、1)地まつ毛への装着を容易にすることを目指して、当該人工まつ毛の根元部表面に平面状接着面を作り込み、地まつ毛への接着を少しでも補助しようとする試み、2)人工まつ毛の根元部が装着対象地まつ毛に抱き付く形になるように、該人工まつ毛根元部に凹み部位を作りみ、装着をより確実にしようとする試み、などがある([図1-1,1-2]参照)。
しかしながら、装着する該人工まつ毛の外径が、概ね30~90μm程度の微細線状であるため、上記いずれの方策も正確に実現することが出来ず、装着施術時の該人工まつ毛の取付け姿勢の制御の多くは、紙上の検討に終わっているといえる。
【0013】
所要の人工まつ毛を対象地まつ毛へ装着する場合、美容施術の見地から見るとき、瞼から生えている対象地まつ毛の形態や方向に応じて、最も適した人工まつ毛の形態・寸法、および、対象地まつ毛への接着位置および装着方向を選択して、装着施術を行うことが主要な課題となるが、従前および現行の人工まつ毛では、望ましい装着を任意に実現することは出来ていない。
【0014】
本発明が提案する装着座面帯を用いる人工まつ毛の装着においては、該人工まつ毛を装着する相手座面は、対象地まつ毛の表面のように円筒面ではなく、単純な平面又は緩やかな曲面、又は、該人工まつ毛を取り付け易い波形状や溝形状等となっているので、該人工まつげの取付けに際して、取付け角度や接着姿勢などの調整や修正もし易く、精度の高い装着施術を行うことが容易である。また、各対象地まつ毛の周辺部位に相当する装着座面帯に、十分な接着面を確保することが可能であり、装着可能本数に関する制約も大幅に緩和される。
【0015】
以上の特性および機能から、該装着座面帯を用いた該人工まつ毛の対象地まつ毛への装着美容施術は、現行の施術法に比して顕著に優れており、その可能性と期待できる成果は大幅に拡張できることから、まつげ美容分野の発展に大きく寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1-1】従前および現行の美容施術に利用されている代表的人工まつ毛の基本形状形態と地まつ毛への装着状況の概要、
図1-2】対象地まつ毛への接着を助けるために、該人工まつ毛の根元部に作り込んだ平面状および凹面状接着面の事例、
図2】該装着座面帯(矩形座面帯、切込み入り矩形座面帯)の基本構造説明図
図3】該装着座面帯(扇形座面帯、台形座面帯)の基本構造説明図
図4】該装着座面帯の座面表層構造(波形、角溝形、円弧形)説明図
図5】該装着座面帯への人工まつ毛装着の概要説明図(新型人工まつ毛使用)、
図6】該装着座面帯への人工まつ毛の密集装着の事例説明図
図7】該装着座面帯を用いた人工まつ毛装着の全体形態説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例0017】
選択した人工まつ毛を対象地まつ毛へ接着するための座面となる該装着座面帯を、予め、所要の複数の地まつ毛の列又は全ての対象地まつ毛の列を横断して架橋的に取付け接着し、該装着座面帯に該人工まつ毛を装着する方式は、まつげ美容施術の極めて有力な方法である。該装着座面帯は、柔軟性のある膜、織布、又は、不織布、又は、組糸あるいは組紐で作られており、瞼の形状寸法や動きに対して柔軟に適応できる。該装着座面帯の面形状は概ね、細長い矩形、台形、扇形をしており、寸法は概ね、幅=100~3000μm、厚さ=30~100μm、長さ=10~40mmの範囲にある。
また、必要に応じて、該装着座面帯には、当該座面の適当な部位に、該座面に垂直に、複数の切込みを入れておき、対象地まつ毛列に取り付ける際に、該地まつ毛の生え方や生え位置および当該瞼の形状に容易に対応できるように、すなわち、該装着座面が適宜面内変形を起こすことが出来るように配慮してある。
【0018】
該装着座面帯の片面に適切な接着剤を所望の厚さに塗布した後、選択した地まつ毛列の根元部に、又は、全ての対象地まつ毛の列の根元部に、横断的且つ架橋的に貼付け装着する。対象地まつ毛列に装着された該装着座面帯は上面が平面状又は所定の曲面状又は所要の凹凸形状あるいは溝形形状有しており、連続した座面を呈しているので、この面に、該人工まつ毛を装着することは、表面が円柱面である対象地まつ毛に直接的に該人工まつ毛を装着するよりもはるかに容易であり、装着可能な該人工まつ毛の本数を増加し、様々な装着姿勢を正確に実現し、美容効果を著しく高めることが出来る([図4,5]参照)。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に依る該人工まつ毛装着座面帯は、まつ毛美容施術を業とする全国の美容サロンにおいて使用され、多くの施術者および利用者に多大の満足と利益をもたらし得ると考えられる。
【符号の説明】
【0020】
1 地まつ毛
1-1 地まつ毛軸心
1-2 地まつ毛表面
2 円錐形人工まつ毛
3 接着面作り込み円錐形人工まつ毛
3-1 平面状作り込み接着面
3-2 凹面状作り込み接着面
4 複合円錐形人工まつ毛
5 接着面作り込み複合円錐形人工まつ毛
6 三日月形人工まつ毛
7 接着面作り込み三日月形人工まつ毛
8 人工まつ毛原状接着面+接着剤
9 人工まつ毛作り込み接着面+接着剤
10 接着面作り込みに伴う除去加工部位
11-1 装着座面帯(矩形座面帯)
11-2 装着座面帯(矩形座面帯+切込み)
11-3 装着座面帯(扇形座面帯、台形座面帯)
11-4 装着座面帯の表層構造(波形表層構造)
11-5 装着座面帯の表層構造(角溝表層構造)
11-6 装着座面帯の表層構造(円弧溝表層構造)
11-7 装着座面帯の横断面(平板形)
11-8 装着座面帯の横断面(前高段付き形)
11-9 装着座面帯の横断面(前高傾斜台形)
12 装着座面帯取付け用接着剤
13 切込み
14 人工まつ毛
15 人工まつ毛装着用接着剤
16 取り付けられた装着座面帯説明図
17 取り付けられた装着座面帯に装着された人工まつ毛説明図
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7