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特開2023-21888光学ユニット、撮影装置および撮影システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021888
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】光学ユニット、撮影装置および撮影システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230207BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230207BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230207BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20230207BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
G03B15/00 V
G02B7/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186332
(22)【出願日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2021126894
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
2K005CA04
2K005CA13
2K005CA14
2K005CA22
2K005CA34
2K005CA44
2K005CA53
(57)【要約】
【課題】光学モジュールを有する可動体を回動可能に保持する固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、固定体に対して可動体を回動させる駆動機構の駆動力の低下を抑制しつつ、原点位置に配置される可動体を固定体に対してより動かしやすくすることが可能な光学ユニットを提供する。
【解決手段】この光学ユニットでは、駆動用磁石24の磁石側対向面24aは、可動体の回動中心を曲率中心とする円弧状に形成されている。磁石側対向面24aに沿って曲げられている駆動用コイル23の有効辺部23a、23bの有効辺部側対向面23d、23eは、可動体の回動中心を中心とする径方向に略直交している。駆動用磁石24は、可動体が原点位置に配置されている状態でZ方向から見たときに、有効辺部側対向面23d、23eの中心を通過する磁力線F1、F2が有効辺部側対向面23d、23eに略直交するように着磁されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを有する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する固定体と、前記光学モジュールの光軸に直交する第1方向を回動の軸方向として前記固定体に対して前記可動体を回動させる駆動機構とを備え、
前記駆動機構は、空芯状に巻回された駆動用コイルと、前記固定体に対する前記可動体の回動中心を中心とする径方向で前記駆動用コイルに対向配置される駆動用磁石とを備え、
前記駆動用コイルに対向する前記駆動用磁石の対向面である磁石側対向面は、前記第1方向から見たときに前記可動体の回動中心を曲率中心とする円弧状に形成され、
前記駆動用コイルは、前記第1方向に平行な一対の有効辺部を備えるとともに、前記第1方向から見たときの形状が円弧状をなす前記磁石側対向面に沿って曲げられ、
一対の前記有効辺部は、前記可動体の回動中心を中心とする周方向において間隔をあけた状態で配置され、
前記第1方向から見たときに、前記磁石側対向面に対向する前記有効辺部の対向面である有効辺部側対向面は、前記可動体の回動中心を中心とする径方向に略直交しており、
前記駆動用磁石は、前記固定体に対して前記可動体が所定の原点位置に配置されている状態で前記第1方向から見たときに、前記有効辺部側対向面の中心を通過する磁力線が前記有効辺部側対向面に略直交するように着磁されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
一対の前記有効辺部のうちの一方の前記有効辺部を第1有効辺部とし、他方の前記有効辺部を第2有効辺部とし、前記第1有効辺部の前記有効辺部側対向面を第1有効辺部側対向面とし、前記第2有効辺部の前記有効辺部側対向面を第2有効辺部側対向面とすると、
前記駆動用磁石は、前記可動体の回動中心を中心とする周方向において前記第1有効辺部側に配置される第1磁石部と、前記可動体の回動中心を中心とする周方向において前記第2有効辺部側に配置される第2磁石部とから構成され、
前記第1磁石部の前記磁石側対向面の磁極と前記第2磁石部の前記磁石側対向面の磁極とが異なる磁極となっており、
前記第1磁石部は、前記固定体に対して前記可動体が前記原点位置に配置されている状態において、前記第1有効辺部側対向面を通過する磁力線が前記第1有効辺部側対向面に略直交するように着磁され、
前記第2磁石部は、前記固定体に対して前記可動体が前記原点位置に配置されている状態において、前記第2有効辺部側対向面を通過する磁力線が前記第2有効辺部側対向面に略直交するように着磁されていることを特徴とする請求項1記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記可動体が前記原点位置に配置されている状態を維持するための位置保持機構を備えることを特徴とする請求項1または2記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記駆動用磁石は、前記可動体に固定され、
前記駆動用コイルは、前記固定体に固定され、前記可動体の回動中心を中心とする径方向において前記駆動用磁石の外側に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記可動体は、前記可動体の回動中心を規定するための規定部材を備え、
前記駆動用磁石には、前記可動体に対して前記駆動用磁石を位置決めするための位置決め用凹部が形成され、
前記規定部材には、前記位置決め用凹部に係合して前記可動体に対して前記駆動用磁石を位置決めする係合部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記光学モジュールは、カメラモジュールであり、
前記位置決め用凹部は、前記駆動用磁石の、前記可動体側の面の中心に形成されていることを特徴とする請求項5記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記固定体には、前記可動体の回動中心を中心とする周方向において前記駆動用コイルの両側に配置される保護壁部が形成され、
前記保護壁部は、前記可動体の回動中心を中心とする径方向において前記駆動用コイルよりも前記駆動用磁石側に配置されていることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記固定体に取り付けられる慣性センサを備え、
前記駆動機構は、前記慣性センサの検知結果に基づいて前記可動体を回動させることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項9】
請求項8記載の光学ユニットを備え、
前記光学モジュールは、カメラモジュールであることを特徴とする車載用の撮影装置。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載の光学ユニットと、前記光学ユニットの外部に配置される慣性センサと、前記慣性センサおよび前記駆動用コイルが電気的に接続される制御部とを備え、
前記光学モジュールは、カメラモジュールであり、
前記制御部は、前記慣性センサの検知結果に基づいて前記駆動用コイルに供給される電流を制御して前記可動体を回動させることを特徴とする車載用の撮影装置。
【請求項11】
請求項1から7のいずれかに記載の光学ユニットを有する車載用の撮影装置と、車両のステアリング角度を検知するステアリング角度検知器とを備え、
前記光学モジュールは、カメラモジュールであり、
前記撮影装置は、前記ステアリング角度検知器および前記駆動用コイルが電気的に接続される制御部を備え、
前記制御部は、前記ステアリング角度検知器の検知結果に基づいて前記駆動用コイルに供給される電流を制御して前記可動体を回動させることを特徴とする撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール等の光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体とを備える光学ユニットに関する。また、本発明は、かかる光学ユニットを備える撮影装置および撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学像の振れを補正するための振れ補正機能を有する振れ補正機能付き光学ユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを保持する可動体と、可動体を保持する固定体と、固定体に対して可動体を回動させる磁気駆動機構と、可動体と固定体とを繋ぐ板状のバネ部材とを備えている。磁気駆動機構は、板状の磁石と、磁石に対向するコイルとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、固定体は、ジンバル機構を介して可動体を保持しており、可動体は、固定体に対して、光学モジュールの光軸方向に直交するX軸方向を回動の軸方向とする回動と、光軸方向とX軸方向とに直交するY軸方向を回動の軸方向とする回動とが可能になっている。バネ部材は、磁気駆動機構が休止しているときに固定体に対する可動体の姿勢を規定する機能を果たしており、磁気駆動機構が休止しているときには、可動体は、バネ部材の付勢力によって、固定体に対して所定の原点位置(基準位置)に配置されている。
【0004】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、たとえば、コイルに対向する磁石の対向面は、凸曲面となっており、磁石に対向するコイルの対向面は、凹曲面となっている。そのため、この振れ補正機能付き光学ユニットでは、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、磁石とコイルとの距離を一定に保つことが可能になっており、その結果、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、磁気駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-99503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、上述のように、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、磁気駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能になっている。また、この振れ補正機能付き光学ユニットの場合、磁気駆動機構が休止しているときに、可動体は、原点位置に配置されており、可動体は、固定体に対して原点位置から動き出すことが多い。そのため、この振れ補正機能付き光学ユニットでは、原点位置に配置される可動体が固定体に対してより動きやすくなっていることが好ましい。
【0007】
そこで、本発明の課題は、光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備える光学ユニットにおいて、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能で、かつ、所定の原点位置に配置される可動体を固定体に対してより動かしやすくすることが可能な光学ユニットを提供することにある。また、本発明の課題は、かかる光学ユニットを備える撮影装置および撮影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の光学ユニットは、光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、光学モジュールの光軸に直交する第1方向を回動の軸方向として固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備え、駆動機構は、空芯状に巻回された駆動用コイルと、固定体に対する可動体の回動中心を中心とする径方向で駆動用コイルに対向配置される駆動用磁石とを備え、駆動用コイルに対向する駆動用磁石の対向面である磁石側対向面は、第1方向から見たときに可動体の回動中心を曲率中心とする円弧状に形成され、駆動用コイルは、第1方向に平行な一対の有効辺部を備えるとともに、第1方向から見たときの形状が円弧状をなす磁石側対向面に沿って曲げられ、一対の有効辺部は、可動体の回動中心を中心とする周方向において間隔をあけた状態で配置され、第1方向から見たときに、磁石側対向面に対向する有効辺部の対向面である有効辺部側対向面は可動体の回動中心を中心とする径方向に略直交しており、駆動用磁石は、固定体に対して可動体が所定の原点位置に配置されている状態で第1方向から見たときに、有効辺部側対向面の中心を通過する磁力線が有効辺部側対向面に略直交するように着磁されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の光学ユニットでは、駆動用コイルに対向する駆動用磁石の対向面である磁石側対向面は、第1方向から見たときに可動体の回動中心を曲率中心とする円弧状に形成され、駆動用コイルは、第1方向に平行な一対の有効辺部を備えるとともに、第1方向から見たときの形状が円弧状をなす磁石側対向面に沿って曲げられている。また、本発明では、第1方向から見たときに、磁石側対向面に対向する有効辺部の対向面である有効辺部側対向面は、可動体の回動中心を中心とする径方向に略直交している。そのため、本発明では、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、駆動用磁石の磁石側対向面と駆動用コイルの有効辺部側対向面との距離を一定に保つことが可能になる。したがって、本発明では、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、駆動用磁石は、固定体に対して可動体が所定の原点位置に配置されている状態で第1方向から見たときに、可動体の回動中心を中心とする径方向に略直交している有効辺部側対向面の中心を通過する磁力線が有効辺部側対向面に略直交するように着磁されている。そのため、本発明では、可動体が原点位置に配置されている状態で駆動用コイルに電流が供給されたときに、駆動機構の、磁石側対向面の接線方向に作用する駆動力を高めることが可能になる。したがって、本発明では、原点位置に配置される可動体を固定体に対してより動かしやすくすることが可能になる。
【0011】
本発明において、一対の有効辺部のうちの一方の有効辺部を第1有効辺部とし、他方の有効辺部を第2有効辺部とし、第1有効辺部の有効辺部側対向面を第1有効辺部側対向面とし、第2有効辺部の有効辺部側対向面を第2有効辺部側対向面とすると、たとえば、駆動用磁石は、可動体の回動中心を中心とする周方向において第1有効辺部側に配置される第1磁石部と、可動体の回動中心を中心とする周方向において第2有効辺部側に配置される第2磁石部とから構成され、第1磁石部の磁石側対向面の磁極と第2磁石部の磁石側対向面の磁極とが異なる磁極となっており、第1磁石部は、固定体に対して可動体が原点位置に配置されている状態において、第1有効辺部側対向面を通過する磁力線が第1有効辺部側対向面に略直交するように着磁され、第2磁石部は、固定体に対して可動体が原点位置に配置されている状態において、第2有効辺部側対向面を通過する磁力線が第2有効辺部側対向面に略直交するように着磁されている。
【0012】
この場合には、磁力線が可動体の回動中心を中心とする放射状をなすように第1磁石部および第2磁石部が着磁されている場合と比較して、駆動用磁石の形状が複雑な形状になっていても、駆動用磁石を比較的容易に着磁することが可能になる。
【0013】
本発明において、光学ユニットは、たとえば、可動体が原点位置に配置されている状態を維持するための位置保持機構を備えている。
【0014】
本発明において、たとえば、駆動用磁石は、可動体に固定され、駆動用コイルは、固定体に固定され、可動体の回動中心を中心とする径方向において駆動用磁石の外側に配置されている。
【0015】
本発明において、可動体は、可動体の回動中心を規定するための規定部材を備え、駆動用磁石には、可動体に対して駆動用磁石を位置決めするための位置決め用凹部が形成され、規定部材には、位置決め用凹部に係合して可動体に対して駆動用磁石を位置決めする係合部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、可動体の回動中心を規定するための規定部材が駆動用磁石に直接係合することで可動体に対して駆動用磁石が位置決めされているため、可動体の回動中心に対する駆動用磁石の位置ずれを抑制することが可能になる。したがって、駆動用磁石の磁石側対向面と駆動用コイルの有効辺部側対向面との距離が短くなっていても、固定体に対して可動体が回動したときの磁石側対向面と有効辺部側対向面との干渉を防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、光学モジュールは、カメラモジュールであり、位置決め用凹部は、駆動用磁石の、可動体側の面の中心に形成されている。この場合には、駆動用磁石の、可動体側の面の中心部分の磁束を弱めることが可能になる。したがって、たとえば、カメラモジュールがオートフォーカス用の磁気駆動機構を備えていても、この磁気駆動機構と光学ユニットの駆動機構との磁気的な干渉を抑制することが可能になる。
【0017】
本発明において、固定体には、可動体の回動中心を中心とする周方向において駆動用コイルの両側に配置される保護壁部が形成され、保護壁部は、可動体の回動中心を中心とする径方向において駆動用コイルよりも駆動用磁石側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、たとえば、光学ユニットに衝撃が加わり、可動体に過剰な力が作用して、固定体に対して可動体が移動したとしても、駆動用磁石と駆動用コイルとの接触を防止することが可能になる。したがって、可動体に過剰な力が作用して、固定体に対して可動体が移動したとしても、駆動用磁石および駆動用コイルの損傷を防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、光学ユニットは、たとえば、固定体に取り付けられる慣性センサを備え、駆動機構は、慣性センサの検知結果に基づいて可動体を回動させる。この場合には、慣性センサの検知結果に基づいて、固定体が傾いた方向に光学モジュールが向くように可動体を回動させることが可能になる。
【0019】
本発明の光学ユニットは、たとえば、車載用の撮影装置に用いることができ、この撮影装置では、光学モジュールは、カメラモジュールである。すなわち、本発明の光学ユニットは、たとえば、ドライブレコーダに用いることができる。この撮影装置(ドライブレコーダ)では、慣性センサの検知結果に基づいて、カメラモジュールの光軸方向が常に車両の進行方向を向くように可動体を回動させることが可能になる。したがって、たとえば、交差点で車両が曲がっている最中の車両の進行方向の画像を取得することが可能になる。その結果、たとえば、交差点で車両が曲がった後に衝突事故が発生しても、撮影装置で取得された画像に基づいて、事故発生の少し前から事故発生までの状況を把握することが可能になる。
【0020】
本発明の光学ユニットは、たとえば、光学ユニットの外部に配置される慣性センサと、慣性センサおよび駆動用コイルが電気的に接続される制御部とを備える車載用の撮影装置に用いることができ、この撮影装置では、光学モジュールは、カメラモジュールであり、制御部は、慣性センサの検知結果に基づいて駆動用コイルに供給される電流を制御して可動体を回動させる。
【0021】
すなわち、本発明の光学ユニットは、たとえば、ドライブレコーダに用いることができる。この撮影装置では、慣性センサの検知結果に基づいて、カメラモジュールの光軸方向が常に車両の進行方向を向くように可動体を回動させることが可能になる。したがって、たとえば、交差点で車両が曲がっている最中の車両の進行方向の画像を取得することが可能になる。その結果、たとえば、交差点で車両が曲がった後に衝突事故が発生しても、撮影装置で取得された画像に基づいて、事故発生の少し前から事故発生までの状況を把握することが可能になる。
【0022】
本発明の光学ユニットは、たとえば、この光学ユニットを有する車載用の撮影装置と、車両のステアリング角度を検知するステアリング角度検知器とを備える撮影システムに用いることができ、この撮影システムでは、光学モジュールは、カメラモジュールであり、撮影装置は、ステアリング角度検知器および駆動用コイルが電気的に接続される制御部を備え、制御部は、ステアリング角度検知器の検知結果に基づいて駆動用コイルに供給される電流を制御して可動体を回動させる。
【0023】
すなわち、本発明の光学ユニットは、たとえば、ドライブレコーダを有する撮影システムに用いることができる。この撮影システムでは、ステアリング角度検知器の検知結果に基づいて、カメラモジュールの光軸方向が常に車両の進行方向を向くように可動体を回動させることが可能になる。したがって、たとえば、交差点で車両が曲がっている最中の車両の進行方向の画像を取得することが可能になる。その結果、たとえば、交差点で車両が曲がった後に衝突事故が発生しても、撮影装置で取得された画像に基づいて、事故発生の少し前から事故発生までの状況を把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明では、光学モジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する固定体と、固定体に対して可動体を回動させる駆動機構とを備える光学ユニットにおいて、固定体に対する可動体の回動角度が大きくなっても、駆動機構の駆動力の低下を抑制することが可能になるとともに、所定の原点位置に配置される可動体を固定体に対してより動かしやすくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態にかかる光学ユニットの斜視図である。
図2図1に示す光学ユニットの分解斜視図である。
図3図1に示す光学ユニットからカバーを取り外した状態の平面図である。
図4図1に示す可動体、駆動用磁石および磁性板を抜き出して示す平面図である。
図5図2に示す駆動用コイル、駆動用磁石および磁性板を抜き出して示す平面図である。
図6図1に示す固定体に対して可動体が回動したときの駆動用コイルと駆動用磁石との配置関係を説明するための平面図である。
図7図1に示す光学ユニットの用途の変更例を説明するためのブロック図である。
図8図1に示す光学ユニットの用途の変更例を説明するためのブロック図である。
図9図1に示す光学ユニットの用途の変更例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1に示す光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、図1に示す光学ユニット1からカバー19を取り外した状態の平面図である。
【0028】
以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、左右方向の一方側である図1等のX1方向側を「左」側、その反対側である図1等のX2方向側を「右」側、前後方向の一方側である図1等のY1方向側を「前」側、その反対側である図1等のY2方向側を「後ろ」側、上下方向の一方側である図1等のZ1方向側を「上」側、その反対側である図1等のZ2方向側を「下」側とする。
【0029】
本形態の光学ユニット1は、たとえば、スマートフォン等の携帯機器に搭載される小型かつ薄型のユニットであり、撮影用のレンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール2を備えている。光学ユニット1は、全体として厚さの薄い扁平な略直方体状に形成されている。光学ユニット1は、カメラモジュール2を有する可動体3と、可動体3を回動可能に保持する固定体4(図1参照)と、固定体4に対して可動体3を回動させる駆動機構5と、固定体4に対する可動体3の回動の支点を構成する球状の2個のボール6、7とを備えている。本形態のカメラモジュール2は、光学モジュールである。
【0030】
カメラモジュール2の光軸Lは、上下方向に直交している。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lに直交する上下方向を回動の軸方向として固定体4に対して回動可能となっている。すなわち、可動体3は、上下方向を軸線方向とする軸線L1を回動中心にして固定体4に対して回動可能となっている。駆動機構5は、上下方向を回動の軸方向として固定体4に対して可動体3を回動させる。たとえば、駆動機構5は、撮影時の光学ユニット1の振れを補正するために、固定体4に対して可動体3を回動させる。あるいは、駆動機構5は、たとえば、パノラマ撮影を行うために、固定体4に対して可動体3を回動させる。本形態の上下方向(Z方向)は、カメラモジュール2の光軸Lに直交する第1方向となっている。また、上下方向は、光学ユニット1の厚さ方向となっている。
【0031】
本形態では、駆動機構5の一部を構成する後述の駆動用コイル23が非通電状態になっていて固定体4に対して可動体3が回動しておらず、固定体4に対して可動体3が所定の原点位置(基準位置)に配置されているときには、カメラモジュール2の光軸Lの方向(光軸方向)は、前後方向と一致している。可動体3は、たとえば、原点位置を基準して、図3の時計回りの方向(以下、この方向を「時計方向」とする。)および図3の反時計回りの方向(以下、この方向を「反時計方向」とする。)のそれぞれに10°~15°程度回動可能となっている。
【0032】
可動体3は、全体として上下方向の厚さが薄い扁平な直方体状に形成されている。可動体3は、カメラモジュール2に加えて、カメラモジュール2が固定されるフレーム8と、フレーム8に固定される磁性板9とを備えている。カメラモジュール2は、上下方向の厚さが薄い扁平な直方体状に形成されている。カメラモジュール2の上面、下面、後面および左右方向の側面は、平面となっている。カメラモジュール2の上面および下面は、上下方向に直交している。可動体3が原点位置に配置されているときに、カメラモジュール2の左右方向の側面は左右方向に直交し、カメラモジュール2の後面は前後方向に直交している。
【0033】
フレーム8は、カメラモジュール2の左右方向の側面および下面を覆う第1フレーム10と、カメラモジュール2の上面を覆う第2フレーム11とによって構成されている。第1フレーム10および第2フレーム11は、薄い金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。第1フレーム10は、第1フレーム10の左右方向の側面を構成する2枚の側面部10aと、第1フレーム10の底面を構成する底面部10bを備えている。側面部10aは、長方形の平板状に形成されている。側面部10aの厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向と一致している。
【0034】
底面部10bは、長方形の平板状に形成されている。底面部10bの厚さ方向は、上下方向と一致している。底面部10bの中心部には、上下方向で底面部10bを貫通する貫通穴10cが形成されている。貫通穴10cは、丸穴状に形成されている。底面部10bの下側には、ボール6が配置されている。貫通穴10cの内径は、ボール6の外径よりも小さくなっている。貫通穴10cの中には、ボール6の上端部が配置されている。
【0035】
第2フレーム11は、長方形の平板状に形成される上面部11aと、上面部11aから左右方向の外側に突出する2個の突出部11bとを備えている。上面部11aの厚さ方向は、上下方向と一致している。上面部11aは、第1フレーム10の上端に固定されている。上面部11aの中心部には、上下方向で上面部11aを貫通する貫通穴11cが形成されている。貫通穴11cは、丸穴状に形成されている。上面部11aの上側には、ボール7が配置されている。貫通穴11cの内径は、ボール7の外径よりも小さくなっている。貫通穴11cの中には、ボール7の下端部が配置されている。
【0036】
貫通穴11cは、水平方向において貫通穴10cと同じ位置に配置されており、上下方向から見たときに、貫通穴11cと貫通穴10cとが重なっている。すなわち、ボール6とボール7とは、水平方向において同じ位置に配置されており、上下方向から見たときに、ボール6とボール7とが重なっている。ボール6の中心およびボール7の中心は、軸線L1上に配置されている。
【0037】
突出部11bは、突出部11bの先端側部分が下側に向かって直角に折れ曲がるL字状に形成されている。下側に向かって伸びる突出部11bの先端部は、駆動機構5の一部を構成する後述の駆動用磁石24の位置決め用凹部24dに係合する係合部11dとなっている。係合部11dは、長方形の平板状に形成されている。係合部11dの厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向と一致している。係合部11dは、側面部10aよりも左右方向の外側に配置されている。
【0038】
磁性板9は、磁性を有する磁性材料によって構成されている。磁性板9は、第1フレーム10の側面部10a等よりも厚い長方形の平板状に形成されている。磁性板9は、側面部10aの左右方向の外側面に固定されている。磁性板9の厚さ方向は、可動体3が原点位置に配置されているときに、左右方向と一致している。
【0039】
上述のように、カメラモジュール2は、レンズおよび撮像素子を備えている。撮像素子は、カメラモジュール2の後端側に配置されており、カメラモジュール2の前側に配置される被写体がカメラモジュール2によって撮影される。カメラモジュール2は、撮像素子が実装される回路基板15を備えている。回路基板15は、カメラモジュール2の後面を構成している。また、本形態のカメラモジュール2は、オートフォーカス用の磁気駆動機構を備えている。
【0040】
カメラモジュール2の後面を構成する回路基板15からは、フレキシブルプリント基板(FPC)16が引き出されている。FPC16は、左右方向における回路基板15の中心部から後ろ側に向かって引き出されている。また、FPC16は、左右方向におけるカメラモジュール2の中心部から後ろ側に向かって引き出されるとともに、左右方向における可動体3の中心部から後ろ側に向かって引き出されている。回路基板15から後ろ側に向かって引き出されたFPC16は、その後、左側に向かって引き回された後、前側に向かって引き回されている。FPC16の前端部は、固定体4を構成する後述のケース体18に固定されている。FPC16は、略角溝状(略コの字状)に折り曲げられている。
【0041】
固定体4は、固定体4の左右方向の側面および下面を構成するケース体18と、固定体4の上面を構成するカバー19と、ケース体18に固定される固定板20とを備えている。ケース体18は、樹脂材料で形成されている。カバー19は、薄い金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。固定板20は、薄い金属板によって形成されている。また、固定板20は、略円板状に形成されている。ケース体18は、ケース体18の左右方向の側面を構成する2個の側面部18aと、ケース体18の下面を構成する底面部18bとから構成されている。可動体3は、左右方向において2個の側面部18aの間に配置されている。また、可動体3は、底面部18bの上側に配置されている。
【0042】
側面部18aには、左右方向に貫通する貫通穴18cが形成されている。貫通穴18cの中には、駆動機構5の一部を構成する後述の駆動用コイル23が配置されている。側面部18aの、可動体3の回動中心を中心とする周方向における貫通穴18cの両側部分は、駆動用コイル23を保護するための保護壁部18dとなっている。すなわち、固定体4には、保護壁部18dが形成されている。
【0043】
また、側面部18aには、貫通穴18cに配置される駆動用コイル23を位置決めするための当接面18eが形成されている(図2参照)。当接面18eは、貫通穴18cの下側に形成されている。左側に配置される側面部18aの前端部には、左側に向かって突出するFPC固定部18fが形成されている。FPC固定部18fには、FPC16の前端部が両面テープ等によって固定されている。
【0044】
固定板20は、底面部18bの上面の中心部に固定されている。固定板20の中心には、ボール6の下端部が配置されるボール配置部20aが形成されている。ボール配置部20aは、下側に膨らむ略半球状に形成されており、ボール配置部20aの上面は、下側に向かって窪む半球状の凹曲面になっている。ボール6は、ボール配置部20aの上側に配置されている。
【0045】
カバー19は、ケース体18の上端部に固定されている。可動体3は、カバー19の下側に配置されている。カバー19の中心部には、ボール7を付勢するバネ部19aが形成されている。すなわち、カバー19は、板バネである。バネ部19aは、下側に向かってわずかに切り起されている。バネ部19aの先端部には、ボール7の上端部が配置されるボール配置部19bが形成されている。ボール配置部19bは、上側に膨らむ略半球状に形成されており、ボール配置部19bの下面は、上側に向かって窪む半球状の凹曲面になっている。ボール7は、ボール配置部19bの下側に配置されている。
【0046】
バネ部19aは、ボール7を下側に向かって付勢している。ボール7は、バネ部19aの付勢力によって、ボール配置部19bの下面および第2フレーム11の貫通穴11cの上端の縁に所定の接触圧で接触している。また、上述のように、ボール6は、ボール7と水平方向において同じ位置に配置されており、バネ部19aの付勢力によって、第1フレーム10の貫通穴10cの下端の縁およびボール配置部20aの上面に所定の接触圧で接触している。
【0047】
上述のように、可動体3は、ボール6、7の中心を通過する軸線L1を回動中心にして固定体4に対して回動可能となっており、固定体4に対する可動体3の回動中心は、ボール6、7と、第1フレーム10の貫通穴10cと、第2フレーム11の貫通穴11cと、カバー19のボール配置部19bと、固定板20のボール配置部20aとによって規定されている。本形態の第2フレーム11は、可動体3の回動中心を規定するための規定部材となっており、規定部材である第2フレーム11に係合部11dが形成されている。
【0048】
(駆動機構の構成)
図4は、図1に示す可動体3、駆動用磁石24および磁性板25を抜き出して示す平面図である。図5は、図2に示す駆動用コイル23、駆動用磁石24および磁性板27を抜き出して示す平面図である。図6は、図1に示す固定体4に対して可動体3が回動したときの駆動用コイル23と駆動用磁石24との配置関係を説明するための平面図である。以下の説明では、固定体4に対する可動体3の回動中心を中心とする径方向を「径方向」とし、固定体4に対する可動体3の回動中心を中心とする周方向(円周方向)を「周方向」とする。
【0049】
駆動機構5は、空芯状に巻回された駆動用コイル23と、径方向で駆動用コイル23に対向配置される駆動用磁石24と、駆動用磁石24が固定される磁性板25とを備えている。本形態の駆動機構5は、可動体3の左右方向の両側のそれぞれに配置される駆動用コイル23と駆動用磁石24と磁性板25とを備えている。すなわち、駆動機構5は、2個の駆動用コイル23と2個の駆動用磁石24と2枚の磁性板25とを備えている。駆動用コイル23、駆動用磁石24および磁性板25は、固定体4に対する可動体3の回動中心に対して180°ピッチで配置されている。
【0050】
磁性板25は、磁性材料からなる金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。磁性板25は、磁性板9に固定される被固定部25aと、被固定部25aの前後方向の両端に繋がる2個の傾斜部25bとから構成されている。被固定部25aは、長方形の平板状に形成されている。被固定部25aは、磁性板9の左右方向の外側面に固定されている。すなわち、可動体3の右側に配置される磁性板25の被固定部25aは、フレーム8の右側に配置される磁性板9の右面に固定され、可動体3の左側に配置される磁性板25の被固定部25aは、フレーム8の左側に配置される磁性板9の左面に固定されている。
【0051】
傾斜部25bは、長方形の平板状に形成されている。被固定部25aの前端に繋がる傾斜部25bは、前側に向かうにしたがって左右方向の内側に向かうように被固定部25aに対して傾斜している。被固定部25aの後端に繋がる傾斜部25bは、後ろ側に向かうにしたがって左右方向の内側に向かうように被固定部25aに対して傾斜している。2個の傾斜部25bは、被固定部25aに対して対称に形成されている。
【0052】
駆動用磁石24は、上下方向から見たときの形状が略三日月状となるブロック状に形成されている。駆動用磁石24は、磁性板25の被固定部25aに固定されている。すなわち、駆動用磁石24は、磁性板25を介して可動体3に固定されている。駆動用磁石24の上面および下面は、上下方向に直交する平面となっている。径方向における駆動用磁石24の外側面は、駆動用コイル23に対向する磁石側対向面24aとなっている。
【0053】
磁石側対向面24aは、凸曲面状に形成されている。また、磁石側対向面24aは、上下方向から見たときに可動体3の回動中心を曲率中心とする円弧状に形成されている。すなわち、駆動用コイル23に対向する駆動用磁石24の対向面である磁石側対向面24aは、上下方向から見たときに可動体3の回動中心を曲率中心とする円弧状に形成されている。上下方向から見たときの磁石側対向面24aの中心角は、たとえば、90°程度となっている。
【0054】
径方向における駆動用磁石24の内側面は、被固定部25aに固定される平面状の被固定面24bと、被固定面24bの前後方向の両端に繋がる平面状の傾斜面24cとから構成されている。被固定面24bは、径方向における駆動用磁石24の内側面の中心部を構成している。被固定面24bは、被固定部25aの左右方向の外側面に固定されており、被固定部25aの左右方向の外側面に接触している。被固定面24bの前端に繋がる傾斜面24cは、前側に向かうにしたがって左右方向の内側に向かうように被固定面24bに対して傾斜し、被固定面24bの後端に繋がる傾斜面24cは、後ろ側に向かうにしたがって左右方向の内側に向かうように被固定面24bに対して傾斜している。
【0055】
被固定面24bの前端に繋がる傾斜面24cは、被固定部25aの前端に繋がる傾斜部25bと平行になっている。この傾斜面24cとこの傾斜部25bの外側面との間にはわずかな隙間が形成されている。被固定面24bの後端に繋がる傾斜面24cは、被固定部25aの後端に繋がる傾斜部25bと平行になっている。この傾斜面24cとこの傾斜部25bの外側面との間にはわずかな隙間が形成されている。磁性板25は、駆動用磁石24のバックヨークとしての機能を果たしている。なお、磁性板9は、カメラモジュール2が有するオートフォーカス用の磁気駆動機構と、駆動機構5との磁気干渉を防止する磁気シールドとしての機能を果たしている。
【0056】
被固定面24bの中心には、可動体3に対して駆動用磁石24を位置決めするための位置決め用凹部24dが形成されている。すなわち、駆動用磁石24には、可動体3に対して駆動用磁石24を位置決めするための位置決め用凹部24dが形成されており、位置決め用凹部24dは、駆動用磁石24の、可動体3側の面の中心に形成されている。位置決め用凹部24dは、被固定面24bから左右方向の外側に窪んでいる。位置決め用凹部24dは、被固定面24bの上下方向の全域に亘る角溝状に形成されている。
【0057】
カメラモジュール2の光軸方向における位置決め用凹部24dの幅は、カメラモジュール2の光軸方向における第2フレーム11の係合部11dの幅よりもわずかに広くなっている。位置決め用凹部24dには、係合部11dが係合している。本形態では、係合部11dが位置決め用凹部24dに係合することで、可動体3に対して駆動用磁石24が位置決めされている。具体的には、係合部11dが位置決め用凹部24dに係合することで、カメラモジュール2の光軸方向において、可動体3に対して駆動用磁石24が位置決めされている。可動体3が原点位置に配置されているときには、2個の駆動用磁石24は左右対称に配置されている。
【0058】
駆動用コイル23は、導線が空芯状に巻回されることで形成された空芯コイルである。駆動用コイル23は、上下方向に平行な一対(2個)の有効辺部23a、23bと、一対の有効辺部23a、23bの上端同士を繋ぐ接続辺部23cと、一対の有効辺部23a、23bの下端同士を繋ぐ接続辺部23cとから構成されている。有効辺部23a、23bは、駆動機構5の駆動力に寄与する部分である。駆動用コイル23は、上下方向から見たときの形状が円弧状をなす磁石側対向面24aに沿って曲げられている。具体的には、駆動用コイル23は、磁石側対向面24aに沿って2箇所で折り曲げられている。また、駆動用コイル23は、略V形状に折り曲げられている。
【0059】
一対の有効辺部23a、23bは、周方向において間隔をあけた状態で配置されている。有効辺部23aは、周方向における駆動用コイル23の一端部を構成し、有効辺部23bは、周方向における駆動用コイル23の他端部を構成している。本形態では、有効辺部23aは、駆動用コイル23の時計方向の端部を構成し、有効辺部23bは、反時計方向の端部を構成している。本形態の有効辺部23aは、第1有効辺部であり、有効辺部23bは、第2有効辺部である。
【0060】
駆動用コイル23は、径方向において駆動用磁石24の外側に配置されている。また、駆動用コイル23は、左右方向において駆動用磁石24の外側に配置されている。駆動用コイル23は、ケース体18の貫通穴18cの中に配置されており、2個の駆動用コイル23は左右対称に配置されている。下側に配置される接続辺部23cの左右方向の内側面は、ケース体18の当接面18eに当接しており、当接面18eによって駆動用コイル23が水平方向において位置決めされている。
【0061】
上述のように、周方向における貫通穴18cの両側部分は保護壁部18dとなっており、周方向において駆動用コイル23の両側には、保護壁部18dが配置されている。保護壁部18dは、径方向において駆動用コイル23よりも内側に配置されている。すなわち、保護壁部18dは、径方向において駆動用コイル23よりも駆動用磁石24側に配置されている。
【0062】
上下方向から見たときに、周方向における駆動用コイル23の中心部は、前後方向に平行な直線状になっている。駆動用コイル23は、フレキシブルプリント基板(FPC)26に取り付けられている。具体的には、周方向における駆動用コイル23の中心部の、左右方向の外側面がFPC26に取り付けられている。また、2個の駆動用コイル23が共通のFPC26に取り付けられている。FPC26は、ケース体18の左右方向の外側面および下面に固定されている。すなわち、駆動用コイル23は、FPC26を介して固定体4に固定されている。駆動用コイル23に電流が供給されると、軸線L1を回動中心にして固定体4に対して可動体3が回動する。
【0063】
径方向における有効辺部23aの内側面は、駆動用磁石24の磁石側対向面24aに対向する有効辺部側対向面23dとなっている。径方向における有効辺部23bの内側面は、磁石側対向面24aに対向する有効辺部側対向面23eとなっている。上下方向から見たときに、有効辺部側対向面23d、23eは、径方向に略直交している。すなわち、上下方向から見たときに、磁石側対向面24aに対向する有効辺部23a、23bの対向面である有効辺部側対向面23d、23eは、可動体3の回動中心を中心とする径方向に略直交している。また、有効辺部側対向面23d、23eは、磁石側対向面24aの接線方向と平行になっている。本形態の有効辺部側対向面23dは、第1有効辺部側対向面であり、有効辺部側対向面23eは、第2有効辺部側対向面である。
【0064】
磁石側対向面24aは、周方向において2極に着磁されている。すなわち、磁石側対向面24aは、周方向における磁石側対向面24aの一方側部分の磁極と周方向における磁石側対向面24aの他方側部分の磁極とが異なる磁極となるように着磁されており、周方向で2極に分極している。具体的には、周方向における駆動用磁石24の中心が分極位置(着磁分極線)24eとなっており、磁石側対向面24aは、分極位置24eを境にして2極に分極している。
【0065】
駆動用磁石24の、分極位置24eよりも時計方向側に配置される部分を第1磁石部24fとし、駆動用磁石24の、分極位置24eよりも反時計方向側に配置される部分を第2磁石部24gとすると、駆動用磁石24は、第1磁石部24fと第2磁石部24gとから構成されている。すなわち、駆動用磁石24は、周方向において有効辺部23a側に配置される第1磁石部24fと、周方向において有効辺部23b側に配置される第2磁石部24gとから構成されており、第1磁石部24fの磁石側対向面24aの磁極と第2磁石部24gの磁石側対向面24aの磁極とが異なる磁極となっている。本形態では、第1磁石部24fの磁石側対向面24aの磁極はN極となっており、第2磁石部24gの磁石側対向面24aの磁極はS極となっている。
【0066】
駆動用磁石24は、固定体4に対して可動体3が原点位置に配置されている状態で上下方向から見たときに、有効辺部側対向面23d、23eの中心を通過する磁力線F1、F2(図5参照)が有効辺部側対向面23d、23eに略直交するように着磁されている。すなわち、第1磁石部24fは、可動体3が原点位置に配置されている状態で上下方向から見たときに、有効辺部側対向面23dの中心を通過する磁力線F1が有効辺部側対向面23dに略直交するように着磁され、第2磁石部24gは、可動体3が原点位置に配置されている状態で上下方向から見たときに、有効辺部側対向面23eを通過する磁力線F2が有効辺部側対向面23eに略直交するように着磁されている。磁力線F1、F2の向きは、径方向と一致している。
【0067】
本形態では、第1磁石部24fは、可動体3が原点位置に配置されている状態で上下方向から見たときに、有効辺部側対向面23dの中心を通過する磁力線F1と、有効辺部側対向面23dの、中心から外れた箇所を通過する磁力線F3(図5参照)とが平行になるように着磁されている。すなわち、第1磁石部24fは、可動体3が原点位置に配置されている状態において、有効辺部側対向面23dを通過する磁力線F1、F3が有効辺部側対向面23dに略直交するように着磁されている。また、本形態では、第1磁石部24fは、第1磁石部24fの、可動体3の回動範囲において有効辺部側対向面23dと対向する部分が発生させる磁力線が磁力線F1と平行になるように着磁されている。
【0068】
同様に、第2磁石部24gは、可動体3が原点位置に配置されている状態で上下方向から見たときに、有効辺部側対向面23eの中心を通過する磁力線F2と、有効辺部側対向面23eの、中心から外れた箇所を通過する磁力線F4(図5参照)とが平行になるように着磁されている。すなわち、第2磁石部24gは、可動体3が原点位置に配置されている状態において、有効辺部側対向面23eを通過する磁力線F2、F4が有効辺部側対向面23eに略直交するように着磁されている。また、本形態では、第2磁石部24gは、第2磁石部24gの、可動体3の回動範囲において有効辺部側対向面23eと対向する部分が発生させる磁力線が磁力線F2と平行になるように着磁されている。
【0069】
なお、第1磁石部24fの傾斜面24cは、有効辺部側対向面23dを通過するときの磁力線F1の方向に略直交する平面となっている。すなわち、可動体3が原点位置に配置されているときの第1磁石部24fの傾斜面24cは、有効辺部側対向面23dと略平行になっている。また、第2磁石部24gの傾斜面24cは、有効辺部側対向面23eを通過するときの磁力線F2の方向に略直交する平面となっている。すなわち、可動体3が原点位置に配置されているときの第2磁石部24gの傾斜面24cは、有効辺部側対向面23eと略平行になっている。
【0070】
本形態では、可動体3が時計方向における回動端まで固定体4に対して回動しても、駆動用磁石24の分極位置24eは、周方向において、有効辺部23aに到達しない(図6(A)参照)。また、可動体3が反時計方向における回動端まで固定体4に対して回動しても、分極位置24eは、周方向において、有効辺部23bに到達しない(図6(B)参照)。すなわち、周方向における一対の有効辺部23a、23bの間隔は、可動体3の回動範囲の全域で、分極位置24eが有効辺部23a、23bに到達しないように設定されている。
【0071】
FPC26の、駆動用コイル23が取り付けられている面には、固定体4に対する可動体3の回動角度を検知するためのホール素子(図示省略)が実装されている。ホール素子は、空芯状に巻回される駆動用コイル23の内周側に配置されている。FPC26の、駆動用コイル23が取り付けられている面の反対側の面(具体的には、左右方向におけるFPC26の外側面)には、磁性材料からなる平板状の磁性板27が固定されている。磁性板27は、長方形状に形成されている。磁性板27の厚さ方向は、左右方向と一致している。可動体3が原点位置に配置されている状態で上下方向から見たときに、磁性板27の前後方向の中心と駆動用磁石24の分極位置24eとは周方向において同じ位置に配置されている。
【0072】
駆動用磁石24と磁性板27との間に生じる磁気的吸引力によって、原点位置に配置される可動体3の位置が保持されている。すなわち、駆動用磁石24および磁性板27は、駆動用コイル23に電流が供給されていないときに、可動体3が原点位置に配置されている状態を維持する機能を果たしている。本形態では、駆動用磁石24と磁性板27とによって、可動体3が原点位置に配置されている状態を維持するための位置保持機構28が構成されている。
【0073】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、駆動用磁石24の磁石側対向面24aは、上下方向から見たときに可動体3の回動中心を曲率中心とする円弧状に形成され、駆動用コイル23は、上下方向から見たときの形状が円弧状をなす磁石側対向面24aに沿って折り曲げられている。また、本形態では、上下方向から見たときに、駆動用コイル23の有効辺部23a、23bの有効辺部側対向面23d、23eは、径方向に略直交している。そのため、本形態では、固定体4に対する可動体3の回動角度が大きくなっても、磁石側対向面24aと有効辺部側対向面23d、23eとの距離を一定に保つことが可能になる。したがって、本形態では、固定体4に対する可動体3の回動角度が大きくなっても、駆動機構5の駆動力の低下を抑制することが可能になる。
【0074】
本形態では、駆動用磁石24は、固定体4に対して可動体3が原点位置に配置されている状態で上下方向から見たときに、径方向に略直交している有効辺部側対向面23d、23eの中心を通過する磁力線F1、F2が有効辺部側対向面23d、23eに略直交するように着磁されている。そのため、本形態では、可動体3が原点位置に配置されている状態で駆動用コイル23に電流が供給されたときに、駆動機構5の、磁石側対向面24aの接線方向に作用する駆動力を高めることが可能になる。したがって、本形態では、原点位置に配置される可動体3を固定体4に対してより動かしやすくすることが可能になる。
【0075】
本形態では、第1磁石部24fは、第1磁石部24fの、可動体3の回動範囲において有効辺部側対向面23dと対向する部分が発生させる磁力線が磁力線F1と平行になるように着磁されている。また、本形態では、第2磁石部24gは、第2磁石部24gの、可動体3の回動範囲において有効辺部側対向面23eと対向する部分が発生させる磁力線が磁力線F2と平行になるように着磁されている。そのため、本形態では、磁力線が可動体3の回動中心を中心とする放射状をなすように第1磁石部24fおよび第2磁石部24gが着磁されている場合と比較して、駆動用磁石24の形状が複雑な形状になっていても、駆動用磁石24を比較的容易に着磁することが可能になる。
【0076】
本形態では、可動体3の回動中心を規定するための第2フレーム11に、駆動用磁石24の位置決め用凹部24dに係合して可動体3に対して駆動用磁石24を位置決めする係合部11dが形成されている。すなわち、本形態では、可動体3の回動中心を規定するための第2フレーム11の一部分が駆動用磁石24に直接係合することで可動体3に対して駆動用磁石24が位置決めされている。そのため、本形態では、可動体3の回動中心に対する駆動用磁石24の位置ずれを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、駆動用磁石24の磁石側対向面24aと駆動用コイル23の有効辺部側対向面23d、23eとの距離が短くなっていても、固定体4に対して可動体3が回動したときの磁石側対向面24aと有効辺部側対向面23d、23eとの干渉を防止することが可能になる。
【0077】
本形態では、位置決め用凹部24dは、駆動用磁石24の、可動体3側の面の中心に形成されている。そのため、本形態では、駆動用磁石24の、可動体3側の面の中心部分の磁束を弱めることが可能になる。したがって、本形態では、カメラモジュール2がオートフォーカス用の磁気駆動機構を備えていても、この磁気駆動機構と駆動機構5との磁気的な干渉を抑制することが可能になる。また、本形態では、第1フレーム10の左右方向の外側面に、磁気シールドとしての機能を果たす磁性板9が固定されているため、カメラモジュール2のオートフォーカス用の磁気駆動機構と駆動機構5との磁気的な干渉を効果的に抑制することが可能になる。
【0078】
本形態では、周方向において駆動用コイル23の両側に配置される保護壁部18dは、径方向において駆動用コイル23よりも内側に配置されている。そのため、本形態では、たとえば、光学ユニット1に衝撃が加わり、可動体3に過剰な力が作用して、固定体4に対して可動体3が移動したとしても、駆動用コイル23と駆動用磁石24との接触を防止することが可能になる。したがって、本形態では、可動体3に過剰な力が作用して、固定体4に対して可動体3が移動したとしても、駆動用コイル23および駆動用磁石24の損傷を防止することが可能になる。
【0079】
(光学ユニットの用途の変更例1)
図7図8は、図1に示す光学ユニット1の用途の変更例を説明するためのブロック図である。
【0080】
上述した形態では、光学ユニット1は、スマートフォン等の携帯機器に搭載されて使用されるが、光学ユニット1は、図7図8に示すように、車載用の撮影装置であるドライブレコーダ35に搭載されて使用されても良い。この変更例では、ドライブレコーダ35は、慣性センサ36を備えている。慣性センサ36は、たとえば、ジャイロセンサ(ジャイロスコープ)または加速度センサである。また、慣性センサ36は、ジャイロセンサと加速度センサとを一体化させたセンサであっても良い。
【0081】
図7に示す変更例では、光学ユニット1が慣性センサ36を備えている。慣性センサ36は、固定体4に取り付けられている。たとえば、慣性センサ36は、FPC26に実装されており、FPC26を介して固定体4に固定されている。図8に示す変更例では、慣性センサ36は、光学ユニット1の外部に配置されている。たとえば、ドライブレコーダ35は、固定体4が固定される固定部材を備えており、慣性センサ36は、この固定部材に取り付けられている。慣性センサ36は、ドライブレコーダ35が搭載される車両の進行方向を検知する機能を果たしている。
【0082】
ドライブレコーダ35は、慣性センサ36が電気的に接続される制御部37を備えている。慣性センサ36の出力信号は、制御部37に入力される。制御部37には、駆動用コイル23も電気的に接続されている。具体的には、FPC26が電気的に接続されており、駆動用コイル23の内周側に配置されるホール素子も制御部37に電気的に接続されている。制御部37は、駆動機構5を制御する。
【0083】
ドライブレコーダ35では、制御部37は、慣性センサ36の検知結果に基づいて駆動用コイル23に供給される電流を制御して可動体3を回動させる。すなわち、駆動機構5は、慣性センサ36の検知結果に基づいて可動体3を回動させる。具体的には、制御部37は、慣性センサ36の検知結果に基づいて、車両のハンドルの動きに追従するように可動体3を回動させる。より具体的には、制御部37は、慣性センサ36の検知結果に基づいて、カメラモジュール2の光軸方向が常に車両の進行方向を向くように可動体3を回動させる。すなわち、この変更例では、駆動機構5は、カメラモジュール2の光軸方向が常に車両の進行方向を向くように固定体4に対して可動体3を回動させる。また、制御部37は、ホール素子の検知結果に基づいて駆動用コイル23に供給される電流を制御して可動体3を回動させる。
【0084】
この変更例では、慣性センサ36の検知結果に基づいて、カメラモジュール2の光軸方向が常に車両の進行方向を向くように可動体3を回動させているため、たとえば、交差点で車両が曲がっている最中の車両の進行方向の画像を取得することが可能になる。したがって、たとえば、交差点で車両が曲がった後に衝突事故が発生しても、ドライブレコーダ35で取得された画像に基づいて、事故発生の少し前から事故発生までの状況を把握することが可能になる。
【0085】
なお、図7に示す光学ユニット1(すなわち、慣性センサ36を備える光学ユニット1)がドライブレコーダ35以外の装置に搭載されて使用されても良い。この場合であっても、慣性センサ36の検知結果に基づいて、固定体4が傾いた方向にカメラモジュール2の光軸方向が向くように可動体3を回動させることが可能になる。
【0086】
(光学ユニットの用途の変更例2)
図9は、図1に示す光学ユニット1の用途の変更例を説明するためのブロック図である。
【0087】
光学ユニット1がドライブレコーダ35に搭載されて使用される場合、ドライブレコーダ35は、慣性センサ36を備えていなくても良い。この場合には、ドライブレコーダ35が取り付けられる車両は、図9に示すように、車両のステアリング角度を検知するステアリング角度検知器38を備えている。ドライブレコーダ35の制御部37には、ステアリング角度検知器38および駆動用コイル23が電気的に接続されている。図9に示す例では、ドライブレコーダ35とステアリング角度検知器38とによって、撮影システムとしてのドライブレコーダシステム39が構成されている。
【0088】
この変更例では、制御部37は、ステアリング角度検知器38の検知結果に基づいて駆動用コイル23に供給される電流を制御して可動体3を回動させる。具体的には、制御部37は、ステアリング角度検知器38の検知結果に基づいて、カメラモジュール2の光軸方向が常に車両の進行方向を向くように可動体3を回動させる。この変更例でも、たとえば、交差点で車両が曲がっている最中の車両の進行方向の画像を取得することが可能になるため、たとえば、交差点で車両が曲がった後に衝突事故が発生しても、ドライブレコーダ35で取得された画像に基づいて、事故発生の少し前から事故発生までの状況を把握することが可能になる。
【0089】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0090】
上述した形態において、可動体3が原点位置に配置されている状態を維持するための位置保持機構は、板バネ等のバネ部材であっても良い。位置保持機構が板バネである場合には、この板バネは、たとえば、可動体3に固定される被固定部と、固定体4に固定される被固定部と、被固定部同士を繋ぐ複数のバネ部とを備えている。また、上述した形態において、駆動用コイル23は、磁石側対向面24aに沿って1箇所で折り曲げられていても良いし、3箇所以上で折り曲げられていても良い。また、駆動用コイル23は、磁石側対向面24aに沿って円弧状に曲げられていても良い。
【0091】
上述した形態において、駆動機構5は、1個のみの駆動用コイル23および駆動用磁石24を備えていても良いし、3個以上の駆動用コイル23および駆動用磁石24を備えていても良い。また、上述した形態において、駆動用コイル23が可動体3に固定され、駆動用磁石24が固定体4に固定されていても良い。この場合には、駆動用磁石24が径方向において駆動用コイル23の外側に配置されている。また、この場合には、径方向における駆動用磁石24の内側面が、駆動用コイル23に対向する磁石側対向面となっており、径方向における有効辺部23a、23bの外側面が、駆動用磁石24の磁石側対向面に対向する有効辺部側対向面となっている。
【0092】
上述した形態において、磁力線が可動体3の回動中心を中心とする放射状をなすように第1磁石部24fおよび第2磁石部24gが着磁されていても良い。また、上述した形態において、光学ユニット1は、カメラモジュール2以外の光学モジュールを備えていても良い。たとえば、光学ユニット1は、光学モジュールとして、レーザ光を射出するレーザモジュールを備えていても良い。また、光学ユニット1は、レンズやプリズム等の光学部品を有する光学モジュールを備えていても良い。
【符号の説明】
【0093】
1 光学ユニット
2 カメラモジュール(光学モジュール)
3 可動体
4 固定体
5 駆動機構
11 第2フレーム(規定部材)
11d 係合部
18d 保護壁部
23 駆動用コイル
23a 有効辺部(第1有効辺部)
23b 有効辺部(第2有効辺部)
23d 有効辺部側対向面(第1有効辺部側対向面)
23e 有効辺部側対向面(第2有効辺部側対向面)
24 駆動用磁石
24a 磁石側対向面
24d 位置決め用凹部
24f 第1磁石部
24g 第2磁石部
28 位置保持機構
35 ドライブレコーダ(撮影装置)
36 慣性センサ
37 制御部
38 ステアリング角度検知器
39 撮影システム
F1、F2 磁力線(有効辺部側対向面の中心を通過する磁力線)
F3 磁力線(第1有効辺部側対向面を通過する磁力線)
F4 磁力線(第2有効辺部側対向面を通過する磁力線)
L カメラモジュールの光軸(光学モジュールの光軸)
Z 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9