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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021902
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】首冷却具、首冷却具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/10 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
A61F7/10 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022025269
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】593161375
【氏名又は名称】山真製鋸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA03
4C099GA17
4C099LA07
4C099NA02
(57)【要約】
【課題】装着する者が違和感を覚えることなく、付け心地の良い首冷却具を提供する。
【解決手段】反転工程において、外装3の一端部と他端部を充填口29から引き出し、外装3の外面側と内面側を反転させているので、溶着部27が外装3の内面側にくることになり外面に突出する部分は存在せず、外装3のアーチ部5は滑らかな面のみによって構成されている。従って、首冷却具1を装着する者が違和感を覚えることなく使用することができ、付け心地の良い首冷却具1を提供することが可能となる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲したアーチ部と、前記アーチ部の両端部からそれぞれ延びる第1自由端部及び第2自由端部とを有する袋状の外装に熱を吸収する冷却材を収容してなる首冷却具の製造方法において、
シートを重ね合わせて前記冷却材の充填口となる部分を除いて前記外装の外形に沿う形状の溶着部を形成する溶着部形成工程と、前記シートを前記溶着部に沿って切断し外装を形成する切断工程と、前記外装の前記溶着部が形成された側を前記充填口から引き出して内外を反転させ前記溶着部を内面側に位置させる反転工程と、前記反転工程の後に前記充填口から冷却材を充填して前記充填口を閉鎖する冷却材収容工程とを有することを特徴とする首冷却具の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載した首冷却具の製造方法において、溶着部形成工程の前に重ね合わせるシートの少なくとも一方に絵柄、文字等の印刷部を形成し、溶着部形成工程で前記印刷部が形成された面を合わせ面側として外装を形成することを特徴とする首冷却具の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載した首冷却具の製造方法において、反転工程の後に第1自由端部及び第2自由端部の先端部分にリング状溶着部を形成するリング状溶着部形成工程と、前記リング状溶着部に囲まれた領域を打ち抜いて穴を形成する穴形成工程を有することを特徴とする首冷却具の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載した首冷却具の製造方法において、穴にハトメを装着して前記穴の縁を補強するハトメ装着工程を有することを特徴とする首冷却具の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した首冷却具の製造方法によって製造されたことを特徴とする首冷却具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は首冷却具、首冷却具の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の首冷却具は、アーチ状に湾曲する外装に冷却材が収容されており、第1自由端部と第2自由端部とを互いに離間させ、第1自由端部と第2自由端部との隙間に首を通し、首冷却具を首に巻回して装着するものであり、外装の首との接触面を介して冷却材が熱を吸収する。
この首冷却具を製作する場合は、二枚のシートを重ね合わせて冷却材の充填口となる非溶着部分を除いて縁部を溶着して溶着部を形成して外装を形成する。そして、充填口から冷却材を外装へ充填して前記充填口を閉鎖する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6895671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の首冷却具は、二枚のシートを重ね合わせて縁部を溶着して外装を製作しているので、縁部にある程度の幅寸法を有する溶着部が生じることになる。この溶着部はエッジ状であるため、首冷却具を装着すると溶着部が首に当たり違和感を覚えることも少なくない。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、装着する者が違和感を覚えることなく、付け心地の良い首冷却具の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、湾曲したアーチ部と、前記アーチ部の両端部からそれぞれ延びる第1自由端部及び第2自由端部とを有する袋状の外装に熱を吸収する冷却材を収容してなる首冷却具の製造方法において、シートを重ね合わせて前記冷却材の充填口となる部分を除いて前記外装の外形に沿う形状の溶着部を形成する溶着部形成工程と、前記シートを前記溶着部に沿って切断し外装を形成する切断工程と、前記外装の前記溶着部が形成された側を前記充填口から引き出して内外を反転させ前記溶着部を内面側に位置させる反転工程と、前記反転工程の後に前記充填口から冷却材を充填して前記充填口を閉鎖する冷却材収容工程とを有することを特徴とする首冷却具の製造方法である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載した首冷却具の製造方法において、溶着部形成工程の前に重ね合わせるシートの少なくとも一方に絵柄、文字等の印刷部を形成し、溶着部形成工程で前記印刷部が形成された面を合わせ面側として外装を形成することを特徴とする首冷却具の製造方法である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した首冷却具の製造方法において、反転工程の後に第1自由端部及び第2自由端部の先端部分にリング状溶着部を形成するリング状溶着部形成工程と、前記リング状溶着部に囲まれた領域を打ち抜いて穴を形成する穴形成工程を有することを特徴とする首冷却具の製造方法である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3に記載した首冷却具の製造方法において、穴にハトメを装着して前記穴の縁を補強するハトメ装着工程を有することを特徴とする首冷却具の製造方法である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した首冷却具の製造方法によって製造されたことを特徴とする首冷却具である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の首冷却具では、外装のアーチ部が滑らかな面のみによって構成されているので装着する者が違和感を覚えることなく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る首冷却具の正面図である。
図2図1の首冷却具の背面図である。
図3図1の首冷却具の側面図である。
図4図1の首冷却具の外装を製作するための一方側のシートの正面図である。
図5図1の首冷却具の外装を製作するための他方側のシートの正面図である。
図6図4のシートと図5のシートを重ね合わせて外装を製作する溶着部形成工程を説明するための斜視図である。
図7】切断工程終了後の外装の正面図である。
図8】外装の反転工程を説明するための斜視図である。
図9】外装の反転工程を説明するための斜視図である。
図10】反転工程の後の外装のリング状溶着部形成工程と穴形成工程を説明するための図である。
図11】穴形成工程の後の外装の冷却材充填口を形成する工程を説明するための図である。
図12】外装の冷却材充填口を形成する工程の後のハトメを取り付けるハトメ装着工程を説明するための斜視図である。
図13】外装のハトメ装着工程の後の冷却材収容工程における冷却材を充填する工程を説明するための図である。
図14】外装の冷却材を充填する工程の後の冷却材収容工程における充填口を閉鎖する工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る首冷却具1及びその製造方法を図面にしたがって説明する。
符号3は外装を示し、この外装3は半透明のポリウレタン系熱可塑性エラストマー(以下、TPUという。)によって構成されている。
外装3は、湾曲したアーチ部5と、アーチ部5の両端部からそれぞれ延びる第1自由端部7及び第2自由端部9とを有している。外装3は中空状に形成され、冷却材11が収容されている。外装3は略円菅状に形成されており、アーチ部5、第1自由端部7及び第2自由端部9それぞれの内部は、連通している。
第1自由端部7及び第2自由端部の先端部分には丸穴13が形成され、この丸穴13にはハトメ15が取り付けられている。
冷却材11は例えば相変化部材であり、温度により液相と固相との間で変化する部材で、いわゆるPCM(Phase Change Material)である。この相変化部材は、冷却媒体で、対象物からの熱を融解潜熱として吸収することによって、対象物を冷却する。相変化部材は常温で凝固する。相変化部材の凝固点は、例えば15℃~25℃に設定されている。
【0013】
図1に示すように外装3の正面側には白色の8つの円弧状部と黒色の9つの円弧状部が交互に配置された印刷部17が形成されている。また、図2に示すように外装3の背面側には白色の3つの円弧状部とこの円弧状を挟む黒色の4つの円弧状部が配置された印刷部19が形成されている。図3に示すように印刷部17と印刷部19との間には印刷が施されていない半透明部20が設けられている。この半透明部20から外装3内の冷却材11が凝固しているか否か等の状態を視認することが可能である。
また、アーチ部5の中央部には外側へ突出するタグ21が取り付けられている。
【0014】
次に、この首冷却具1の製造方法を説明する。
符号23、25はTPUによって構成された半透明のシートを示す(図4図5参照)。シート23の一方の面には印刷部17が印刷され、またシート25の一方の面には印刷部19が印刷されている。なお、シート23、25の印刷部17、19は、ロール状に巻かれたシート23、25の原反を順次繰り出しながら、シルク印刷等を施すことによって形成する。そして、印刷が施されたシート23、25の原反を所定の長さ寸法に切断して、図4に示す印刷部17が形成されたシート23、図5に示す印刷部19が形成されたシート25を製作する。
【0015】
溶着部形成工程では、図6に示すようにシート23の印刷部17が形成された面とシート25の印刷部19が形成された面を合わせ面側として、シート23とシート25を重ね合わせる。このとき印刷部17と印刷部19がぴったり合うように位置を調整する。
そして、後述する冷却材11の充填口29となる非溶着部分を除いて図4、5に示す仮想線に沿って高周波により熱溶着する。これにより、図7に示すように外装3の外形に沿う形状の溶着部27を形成して、シート23とシート25とを連結する。
切断工程では、溶着部27に沿ってシート23とシート25を切断してアーチ状に湾曲する外装3を製作する。
【0016】
反転工程では、溶着部27が形成された側を充填口29から引き出して、内外を反転させ溶着部27が内面側にくるようにする。
すなわち、図8、9に示すように棒状の工具Kによって外装3の一端部を押し込むようにして充填口29から引き出す。外装3の他端部も同様にして充填口29から引き出し、外装3の内外を反転させる。これにより、溶着部27が外装3の内面側にくることになり外面に突出する部分は存在せず、外装3のアーチ部分は滑らかな面のみによって構成されることになる。また、印刷部17、19が外装3の外面側にくることになる。
【0017】
リング状溶着部形成工程、穴形成工程では、上記反転工程の後に、図10に示すように高周波により外装3の両端部にリング状溶着部34を形成する。そして、穴形成工程へ移行し、図示しない円形の刃を備えた工具によってリング状溶着部34に囲まれた部分を切断して、丸穴13を形成する。
次いで、図11に示すように充填口29の左右の両側部を所定幅で高周波によって熱溶着して、ゲート37を残して溶着部39、41を形成する。
ハトメ装着工程では、図12に示すように丸穴13にハトメ15を装着して、丸穴13の縁を補強する。なお、ハトメ15は雄側部15aと雌側部15bとから成り、雄側部15aを丸穴13に通し、雄側部15aに雌側部15bを連結することで丸穴13に取り付ける。
【0018】
冷却材収容工程では、図13に示すようにノズルNをゲート37へ挿入して、冷却材11を充填する。そして、図14に示すように高周波によってゲート37を閉じる様に熱溶着して、充填口29を閉鎖する。
更に、閉鎖した充填口29の上端部分を切断してから、充填口29を袋状のタグ21を被せて溶着して取り付ける。
以上により首冷却具1が完成する。
【0019】
首冷却具1は第1自由端部7と第2自由端部9を掴んで互いに離間させ、その状態で首に掛けて装着する。
前述の反転工程において、外装3の一端部と他端部を充填口29から引き出し、外装3の外面側と内面側を反転させているので、溶着部27が外装3の内面側にくることになり外面に突出する部分は存在せず、外装3のアーチ部5は滑らかな面のみによって構成されている。従って、首冷却具1を装着する者が違和感を覚えることなく使用することができ、付け心地の良い首冷却具1を提供することが可能となる。
【0020】
なお、左右の丸穴13に紐などを通して連結することで、首冷却具1が首から脱落するのを防止することができる。また、一方の丸穴13に紐の一端部を連結し、他端部を衣服等の適宜な箇所に連結することにより首冷却具1が首から脱落しても落下を防止することが可能である。このようにすることで、首冷却具1を装着して高所で作業を行った場合など、首冷却具1が作業場の下に落下するのを防止できるようになる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、溶着部形成工程において、二枚のシートの印刷部が形成された面を合わせ面側として、反転工程において印刷部が外装の外面側にくるようにしているが、本発明はこれに限定されず、透明な二枚のシートの印刷部が形成された面の裏面を合わせ面側として、反転工程において印刷部が外装の内面側にくるようにしてもよい。すなわち、首冷却具が完成した状態で印刷部が外装の内面側(冷却材に接触する面側)となるように構成してもよい。この場合には外装(シート)を透明な材料によって構成することで、印刷部が外部から視認できるようにする。
印刷部を設けない構成とすることも可能であり、一方のシートにのみ印刷部を設ける構成としてもよい。
また、丸穴を設けない構成としてもよいのは勿論である。
更に、印刷部には上記したものに限らず、他の絵柄、文字等を印刷することが可能である。
なお、外装、冷却材は他の材料によって構成してもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は首冷却具の製造業に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0023】
1…首冷却具 3…外装
5…アーチ部 7…第1自由端部
9…第2自由端部 11…冷却材
13…丸穴 15…ハトメ
15a…雄側部 15b…雌側部
17…印刷部 19…印刷部
20…半透明部 21…タグ
23…シート 25…シート
27…溶着部 29…充填口
34…リング状溶着部 37…ゲート
39…溶着部 41…溶着部
N…ノズル K…棒状の工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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