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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021934
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】雷バイパスシステム
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/30 20160101AFI20230207BHJP
   F03D 13/10 20160101ALI20230207BHJP
   H02G 13/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
F03D80/30
F03D13/10
H02G13/00 040
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022116796
(22)【出願日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】21382729.8
(32)【優先日】2021-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ラウル・ガルシア・スベルヴィオラ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】風力タービン用の雷バイパスシステムを提供する。
【解決手段】風力タービンのブレード(22)のための雷バイパスシステムは、風力タービンのブレード(22)のブレード根元(24)の回転軸(R)内に実質的に配置される電気絶縁材料(114)のブレードコネクタ(110)を含む。ブレードコネクタ(110)は、ブレード(22)のダウン導体ケーブル(100)に電気的に接続され、ブレードコネクタ(110)の第1の端部(111)及び第2の端部(112)に電気的に接続されるように構成されたコアを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(10)のブレード(22)用の雷バイパスシステムであって、
電気絶縁材料(114)を含み、風力タービンブレード(22)のブレード根元部(24)の回転軸(R)内に実質的に配置されるように構成されたブレードコネクタ(110)を含み、
ブレードコネクタ(110)が、
ブレード(22)のダウン導体ケーブル(100)に電気的に接続されるように構成された第1の端部(111)と、
風力タービン(10)のロータハブ(20)に雷放電を伝導するように構成された第2の端部(112)と、
第1の端部(111)及び第2の端部(112)に電気的に接続されるように構成された導電性材料のコア(113)とを含む、雷バイパスシステム。
【請求項2】
ブレードコネクタ(110)の第1の端部(111)と第2の端部(112)が、回転可能な接続を形成する、請求項1に記載の雷バイパスシステム。
【請求項3】
ブレードコネクタ(110)の少なくとも第2の端部(112)は、回転可能なアイボルトコネクタ(115)を含む、請求項1または2に記載の雷バイパスシステム。
【請求項4】
雷バイパスシステムがさらに、ブレードコネクタ(110)の第2の端部(112)と風力タービンナセル(16)との間の回転可能な電気接続部を備え、
回転可能な電気接続部が、
導電性表面(126)と、
導電性表面(126)に電気的な接触を提供するブラシ(128)とを含み、
ブレードコネクタ(110)の第2の端部(112)が、導電性表面(126)及びブラシ(128)の一方に電気的に接続される、請求項1乃至3のいずれかに記載の雷バイパスシステム。
【請求項5】
導電性表面(126)及びブラシ(128)の一方が風力タービンロータハブ(20)に固定され、導電性表面(126)及びブラシ(128)の他方が風力タービンナセル(16)に固定されて、風力タービンロータハブ(20)と風力タービンナセル(16)との間に電気経路を提供する、請求項4に記載の雷バイパスシステム。
【請求項6】
導電性表面(126)は、環状の金属ディスクである、請求項4に記載の雷バイパスシステム。
【請求項7】
風力タービン(10)のロータハブ(20)に固定された電気絶縁材料(123)からなるハブコネクタ(120)と、導電性材料からなるコア(121)を含むハブコネクタ(120)とをさらに備え、コア(121)は、導電性要素(116)を介してブレードコネクタ(110)の第2の端部(112)に電気的に接続される、請求項1乃至6のいずれかに記載の雷バイパスシステム。
【請求項8】
導電性要素(116)は、電気絶縁材料カバーを含む、請求項7に記載の雷バイパスシステム。
【請求項9】
導電性要素(116)によって画定される接続経路(200)が、ケーブル束(201)へのガイドとして機能する、請求項7または8に記載の雷バイパスシステム。
【請求項10】
ハブコネクタ(120)が、回転可能なアイボルトコネクタ(122)を含む、請求項7乃至9のいずれかに記載の雷バイパスシステム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の雷バイパスシステムを含む風力タービンブレード。
【請求項12】
ブレードコネクタは、ブレードフランジに取り付けられる、請求項11に記載の風力タービン。
【請求項13】
風力タービン(10)内に雷バイパスシステムを提供する方法であって、
風力タービン(10)のブレード根元部(24)の回転軸(R)内に実質的に配置された電気絶縁材料(113)を含むブレードコネクタ(110)を提供するステップであって、ブレードコネクタ(110)が、第1の端部(111)と、第2の端部(112)と、第1の端部(111)及び第2の端部(112)に電気的に接続された導電性材料のコア(113)とを含む、前記ステップと、
ブレードコネクタ(110)の第1の端部(111)をブレード(22)の受雷器からのダウン導体ケーブル(100)に接続するステップと、
ブレードコネクタ(110)の第1の端部(111)と第2の端部(112)との間に回転可能な接続(115,116,122)を提供するステップと、
ブレードコネクタ(110)を風力タービン(10)の雷接地システム(129)に導電的に結合するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
風力タービンロータハブ(20)及び風力タービンナセル(16)の一方に固定され、それらから電気的に絶縁された導電性表面(126)を提供するステップと、
導電性表面(126)と電気的に接触するブラシ(128)を提供するステップであって、ブラシ(128)は、導電性表面(126)が固定される風力タービンロータハブ(20)及びタービンナセル(16)の他方に固定され、風力タービンロータハブ(20)と風力タービンナセル(16)との間に電気経路を提供する、前記ステップと、
ブレードコネクタ(110)の第2の端部(112)を導電性表面(126)に導電的に結合するステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電気絶縁材料(123)を含むハブコネクタ(120)を風力タービン(10)のロータハブ(20)に固定するステップであって、前記ハブコネクタ(120)は、導電性材料のコア(121)を備える、前記ステップと、
導電性要素(116)を介してブレードコネクタ(110)の第2の端部(112)をハブコネクタ(120)に導電的に結合するステップであって、導電性要素(116)は接続経路(120)を画定する、前記ステップと、
導電性要素(116)によって画定される接続経路(200)に沿ってケーブル束(201)を案内するステップと、
を含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雷バイパスシステムおよび雷バイパスシステムを提供するための方法に関し、より詳細には、風力タービン用の雷バイパスシステムおよび関連する方法に関するものである。本開示は、さらに、風力タービンローターハブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは、風力を電気に変換するために広く使用されている。発電された電力は電力網に供給され、消費者に送られる。風力タービンは一般に塔(タワー)を備え、その上にナセルが取り付けられている。ローターハブ(またはハブ)と複数のブレードからなるローターは、一般に、ナセルに対して回転可能に取り付けられている。複数のブレードは、風によって発生する空気力学的な力を利用して、回転軸に正味の正のトルクを発生させ、その結果、機械力を生み出し、その力は発電機で電力に変換される。
【0003】
ブレードは、ロータハブに直接接続されてもよいし、ピッチベアリングを介して接続されてもよい。ピッチシステムは、ブレードをその長手方向軸に沿って回転させ、流入する気流に対する風力タービンブレードの迎え角(angle of attack)を変更することができる。これにより、ブレードに作用する空気力を制御することができる。
【0004】
風力タービンは過去数十年にわたって急速に進化してきており、風力タービンの部品は、より高い負荷や悪天候に耐えるように改良されてきた。風力タービンは高さがあり露出が多いため、風力タービンの電気部品や構造部品に影響を与えることなく、雷撃地点から地上へ放電を逃がす効果的な雷保護システムを提供することが重要となっている。
【0005】
一般に、雷保護システムは、風力タービンブレード上に設けられ、ブレード内に設けられた落雷導体を介して接地接続部に雷放電を伝導する受雷器を含む。既知の雷保護システムに関する主な問題の1つは、ブレード内のダウン導体から風力タービンロータハブ、ナセル、又はタワーに設けられた接地接続部への雷放電をどのように行うかである。
【0006】
スパークギャップ及び/又は電気ブラシは、一般にこの目的で使用され、風力タービン翼根及びロータハブ及び/又はロータハブ及びナセルのような風力タービン可動構成要素の間に電気経路を提供する。しかしながら、これらのアプローチにはいくつかの欠点が存在する。ブレードにスパークギャップを設けることは簡単な解決策ではない。これらのシステムは、風力タービン構成要素間の接続、例えばブレード根元部からロータハブへの接続をバイパスするためにそれらの間に導電接続を提供するために互いに近接して配置された少なくとも2つの導電ストリップを含む。このようなスパーク・ギャップ・システムでは、第1導体ストリップに接触するために、雷放電導体は、ブレード本体の壁を貫通するか、又はブレード根元フランジを貫通する必要がある場合があり、したがって、場合によっては、ブレード根元に貫通孔を設ける必要がある。前記貫通孔は、ブレードの構造安定性に悪影響を与え、ブレードのさらなる強化を必要とする。さらに、ダウン導体が挿入されたら、ブレード内部への種々の物質の漏れを避けるために、貫通孔をシールする必要がある。上記の欠点に加えて、スパーク・ギャップ・システムの定期的なメンテナンスを実施して、清浄度と正確なクリアランス・ギャップを確保する必要がある。
【0007】
さらに、大気中の堆積物・浮遊物や部品の摩耗による破片の蓄積によって、部品のミスアライメントによる雷保護システムの誤作動の可能性があり、雷放電が地面への確立された電気経路ではなく、他の風力タービン部品を通る最小抵抗経路をたどるようになることがある。これは、ブレードピッチベアリングのような電気的及び/又は構造的構成要素が、雷放電導体として作用してしまい、その寿命を大幅に短縮し、高い交換コストを招く可能性があることを意味する。
【0008】
本開示は、上記の欠点のいくつかを少なくとも部分的に克服する方法及びシステムを提供する。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一態様において、風力タービン用の雷バイパスシステムが提供される。雷バイパスシステムは、電気絶縁材料を含むブレードコネクタを含むコネクタアセンブリを含む。さらに、ブレードコネクタは、ブレードのダウン導体ケーブルに電気的に接続されるように構成された第1の端部と、風力タービンのロータハブに雷放電を伝導するように構成された第2の端部とを含む。ブレードコネクタは、第1の端部及び第2の端部に電気的に接続されるように構成された導電性材料のコアをさらに含む。ブレードコネクタは、風力タービンブレードのブレード根元部(ブレードルート)の回転軸内に実質的に位置するように構成される。
【0010】
この態様によれば、ブレードコネクタがブレード根元の回転軸内に実質的に位置するという事実は、ブレードピッチ角を修正するためのブレードの回転が雷バイパスシステムのコンポーネント間の相対移動を発生させない、コンパクトかつ堅牢な雷バイパスシステムのレイアウトを可能にする。これにより、雷システムに関連する導電性要素の長さを調整し、ブレード内の内部位置をブレードのピッチ角で変更しない導電性経路を確立することができる。これらの特徴は、より安全な接続をもたらし、ブレードとロータの内部スペースをより効率的に使用することを可能にする。
【0011】
さらに、このようにして、システムは、雷放電を受けることを意図していない構造的及び電気的ブレード構成要素、特にピッチベアリングをバイパスする。このようにして、ピッチベアリングシステムの構成要素は、強い温度勾配から保護され、その寿命を向上させることができる。
【0012】
別の態様では、雷バイパスアセンブリシステムを提供する方法が提供される。この方法は、実質的に風力タービンの翼根の回転軸内に位置する電気絶縁材料からなるブレードコネクタを提供することを含む。ブレードコネクタは、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部及び第2の端部に電気的に接続された導電性材料のコアを含む。本方法はさらに、ブレードコネクタの第1の端部をブレードの受雷器(雷受容器)のダウン導体ケーブル(下向き導体ケーブル)に接続し、ブレードコネクタの第1の端部と第2の端部との間に回転可能な接続を提供し、ブレードコネクタを風力タービンの雷接地システムに導電的に結合することを含む。
【0013】
本開示のさらなる態様において、風力タービンハブアセンブリが提供される。このアセンブリは、風力タービンロータハブと、少なくとも1つの風力タービンブレードと、雷バイパスシステムとを含む。風力タービンブレードは、ブレード根元を含み、雷バイパスシステムは、風力タービンブレードに固定され、風力タービンのブレード根元の回転軸内に実質的に配置された電気絶縁材料を含むブレードコネクタと、風力タービンのロータハブに固定された電気絶縁材料からなるハブコネクタとを含む。さらに、ブレードコネクタは、ブレードのダウン導体ケーブルに電気的に接続されるように構成された第1の端部と、ハブコネクタに雷放電を伝導するように構成された第2の端部と、第1の端部と第2の端部とを電気的に接続するように構成された導電性材料のコアとを含み、第2の端部は、第1の端部に対して回転可能である。
【0014】
本開示の実施例のさらなる目的、利点及び特徴は、明細書の検討により当業者に明らかになるか、又は本開示の実施により知ることができる。
【0015】
本開示全体を通じて、及び本明細書に開示される様々な実施例に関して、ブレード根元部分は、ロータハブ、ロータハブエクステンダ、ピッチベアリング、又はこの目的のために当技術分野で公知のロータハブの任意の他の要素に直接結合され得ることに留意されたい。
【0016】
本開示を通して使用される電気絶縁材料は、電流が自由に流れない材料を指すものと理解することができる。電気絶縁体は電気抵抗率が高い。ゴム、ガラス、プラスチックは電気絶縁体の例である。本開示を通して使用される導電性材料は、電流の流れを可能にする材料として理解することができる。導電性材料は電気抵抗率が低い。銅及びアルミニウムのワイヤ又はケーブルは、導電体の一例である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、風力タービンの一例の斜視図を概略的に示す。
図2図2は、風力タービンのハブ及びナセルの例を示す。
図3図3は、本開示による雷バイパスシステムの一例を含む風力タービンロータアセンブリの断面図を概略的に示す図である。
図4図4は、本開示による雷バイパスシステムの別の例を含む風力タービンロータアセンブリを概略的に示す詳細な断面図である。
図5図5は、本開示による雷バイパスシステムの別の例を含む風力タービンロータ及びナセルアセンブリの断面図を概略的に示す。
図6図6は、ロータハブが取り付けられるメインロータシャフトを含む風力タービン構成における本開示による雷システムの別の例を示す。
図7図7は、風力タービンブレードアセンブリを提供する方法の一例のフローチャートを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照し、その1つ以上の例を図面に示す。各実施例は、その限定としてではなく、開示の説明として提供される。実際、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として図示又は説明される特徴を別の実施形態とともに使用して、さらに別の実施形態を得ることができる。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内にあるような修正及び変形を包含することが意図される。
【0019】
図1は、風力タービン10の一例の斜視図である。この例では、風車10は水平軸風車である。或いは、風力タービン10は、垂直軸風力タービンであってもよい。実施例では、風力タービン10は、地面12上の支持システム14から延びるタワー15と、タワー15上に取り付けられたナセル16と、ナセル16に結合されたロータ18とを含む。ロータ18は、回転可能なハブ20と、ハブに結合され、ハブ20から外側に延びる少なくとも一つのロータブレード22とを含む。この例では、ロータ18は三つのロータブレード22を有する。別の実施形態では、ロータ18は、3つ以上又は3つ未満のロータブレード22を含む。タワー15は、支持システム14とナセル16との間に空洞(図1には示されていない)を画定するために管状鋼から製造されてもよい。代替実施形態では、タワー15は、任意の適切な高さを有する任意の適切なタイプのタワーである。別の方法によれば、タワーは、コンクリート製部分と管状鋼部分とを含むハイブリッドタワーであり得る。また、タワーは、部分的又は完全な格子タワー(ラティスタワー)にすることもできる。
【0020】
ロータブレード22は、ローター18を回転させて運動エネルギーを風から使用可能な機械エネルギー、ひいては電気エネルギーに変換できるようにするために、ハブ20に対して間隔を置いて配置されている。ローターブレード26は、複数の荷重伝達領域26においてブレード根元部分24をハブ20に結合することにより、ハブ20に嵌合される。荷重伝達領域26は、ハブ荷重伝達領域とブレード荷重伝達領域(いずれも図1には示されていない)とを有していてもよい。ロータブレード26に誘起された荷重は、荷重伝達領域26を介してハブ20に伝達される。
【0021】
実施例では、ロータブレード22は、約15メートル(m)から約90メートル以上の範囲の長さを有することができる。ロータブレード22は、風力タービン10が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な長さを有することができる。例えば、ブレード長の非限定的な例としては、20m以下、37m、48.7m、50.2m、52.2m、又は91mを超える長さが挙げられる。風向28から風がロータブレード22に当たると、ロータ18はロータ軸30を中心に回転する。ロータブレード22が回転して遠心力を受けると、ロータブレード22もまた種々の力及びモーメントを受ける。このように、ロータブレード22は、中立位置又は非偏向位置から偏向位置まで偏向及び/又は回転することができる。
【0022】
さらに、風力ベクトルに対する少なくとも一つのロータブレード22の角度位置を調整することによって風力タービン10によって生成される負荷及び電力を制御するために、ロータブレード22のピッチ角、すなわち、風向に対するロータブレード22の向きを決定する角度をピッチシステム32によって変更することができる。ロータブレード22のピッチ軸34が示されている。風力タービン10の運転中、ピッチシステム32は、ロータブレード22のピッチ角を、ロータブレード(の一部)の迎え角(angle of attack)が減少し、回転速度の減少を容易にし、かつ/又はロータ18の失速(ストール)を容易にするように、特に変更することができる。
【0023】
この例では、各ロータブレード22のブレードピッチは、風力タービン制御装置36又はピッチ制御システム80によって個別に制御される。或いは、すべてのロータブレード22のブレードピッチを、前記制御システムによって同時に制御してもよい。
【0024】
さらに、本実施例では、風向28が変化するにつれて、ナセル16のヨー方向がヨー軸38を中心に回転して、風向28に対してロータブレード22を位置決めしてもよい。
【0025】
実施例では、風力タービン制御装置36は、ナセル16内に集中しているように示されているが、風力タービン制御装置36は、風力タービン10全体、支持システム14上、風力発電所内、及び/又は遠隔制御センターにおける分散システムであってもよい。風力タービン制御装置36は、本明細書に記載の方法及び/又はステップを実行するように構成されたプロセッサ40を含む。さらに、本明細書に記載される他の構成要素の多くは、プロセッサを含む。
【0026】
本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、コンピュータとして当該技術分野で参照される集積回路に限定されるものではなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路、及び他のプログラマブル回路を広く意味し、これらの用語は本明細書では互換的に使用される。プロセッサ及び/又は制御システムは、メモリ、入力チャネル及び/又は出力チャネルも含むことができることを理解されたい。
【0027】
図2は、風力タービン10の一部の拡大断面図である。実施例では、風力タービン10は、ナセル16と、ナセル16に回転可能に結合されたロータ18とを含む。具体的には、ロータ18のハブ20は、メインシャフト44、ギアボックス46、高速シャフト48及びカップリング50により、ナセル16内に位置する発電機42に回転自在に連結されている。この例では、主軸44は、ナセル16の長手方向軸線(図示せず)と少なくとも部分的に同軸に配置されている。メインシャフト44の回転によりギアボックスが駆動され、ギアボックス46は、ロータ18及びメインシャフト44の比較的遅い回転運動を、高速シャフト48の比較的速い回転運動に変換することにより、その後高速シャフト48を駆動する。後者は、カップリング50の助けを借りて電気エネルギーを生成するために発電機42に接続される。さらに、トランス90及び/又は適切な電子機器、スイッチ及び/又はインバータをナセル16内に配置して、400Vから1000Vの間の電圧を有する発電機42によって生成された電気エネルギーを中電圧(10-35KV)を有する電気エネルギーに変換することができる。前記電気エネルギーは、ナセル16からタワー15へ電力ケーブルを介して伝導される。
【0028】
ギアボックス46、発電機42及び変圧器90は、オプションとしてメインフレーム52として具体化されるナセル16のメイン支持構造フレームによって支持されても良い。ギアボックス46は、一つ以上のトルクアーム103によってメインフレーム52に接続されるギアボックスハウジングを含むことができる。実施例では、ナセル16はまた、主前方支持ベアリング(main forward support bearing)60及び主後方支持ベアリング(main aft support bearing)62を含む。さらに、特に、発電機42の振動がメインフレーム52に導入されて騒音放出物質源が発生するのを防止するために、デカップリング支持手段54によって発電機42をメインフレーム52に取り付けることができる。
【0029】
任意選択的に、メインフレーム52は、ロータ18の重量及びナセル16の構成要素、並びに風及び回転負荷によって生じる全負荷を担持し、さらにこれらの負荷を風力タービン10のタワー15に導入するように構成される。ロータシャフト44、発電機42、ギアボックス46、高速シャフト48、カップリング50、及び、これらに限定されるものではないが、支持体52、前方支持ベアリング60及び後方支持ベアリング62を含む関連する締結、支持、及び/又は固定装置は、駆動列64と称されることがある。
【0030】
いくつかの例では、風力タービンは、ギアボックス46のない直接駆動(ダイレクトドライブ)風力タービンであってもよい。発電機42は、直接駆動風力タービンのロータ18と同じ回転速度で動作する。したがって、それらは一般に、ギアボックスを有する風力タービンよりも同量の電力を供給するためのギアボックス46を有する風力タービンで使用される発電機よりもはるかに大きな直径を有する。
【0031】
また、ナセル16は、ナセル16、ひいてはロータ18をヨー軸38を中心に回転させて、風向28に対するロータブレード22のパースペクティブ(perspective:視点、目線、方向)を制御するために使用できるヨー駆動機構56を含んでもよい。
【0032】
ナセル16を風向28に対して適切に位置決めするために、ナセル16は、風向計及び風速計を含むことができる少なくとも一つの気象測定システム58を含むこともできる。気象測定システム58は、風向28及び/又は風速を含む情報を風力タービン制御装置36に提供することができる。この例では、ピッチシステム32は、少なくとも部分的に、ハブ20内にピッチアセンブリ66として配置される。ピッチアセンブリ66は、一つ以上のピッチ駆動システム68及び少なくとも一つのセンサ70を含む。各ピッチ駆動システム68は、ピッチ軸34に沿ってロータブレード22のピッチ角を変調するために、各ロータブレード22(図1に示す)に結合されている。図2には、3つのピッチ駆動システム68のうちの1つのみが示されている。
【0033】
この例では、ピッチアセンブリ66は、それぞれのロータブレード22をピッチ軸34の周りに回転させるために、ハブ20及びそれぞれのロータブレード22(図1に示す)に結合された少なくとも1つのピッチベアリング72を含む。ピッチ駆動システム68は、ピッチ駆動モータ74と、ピッチ駆動ギアボックス76と、ピッチ駆動ピニオン78とを含む。ピッチ駆動モータ74は、ピッチ駆動モータ74がピッチ駆動ギアボックス76に機械力を付与するようにピッチ駆動ギアボックス76に結合されている。ピッチ駆動ギアボックス76は、ピッチ駆動ピニオン78がピッチ駆動ギアボックス76によって回転するように、ピッチ駆動ピニオン78に結合されている。ピッチ軸受72は、ピッチ駆動ピニオン78の回転によってピッチ軸受72が回転するように、ピッチ駆動ピニオン78に結合されている。
【0034】
ピッチ駆動システム68は、風力タービンコントローラ36から一つ以上の信号を受け取り、ロータブレード22のピッチ角を調整するために、風力タービンコントローラ36に結合される。この実施例では、ピッチ駆動モータ74は、電力及び/又は油圧システムによって駆動される任意の適切なモータであり、ピッチアセンブリ66が本明細書に記載されるように機能することを可能にする。或いは、ピッチアセンブリ66は、これに限定されるものではないが、油圧シリンダ、スプリング、及び/又はサーボ機構などの任意の適切な構造、構成、配置、及び/又は構成要素を含むことができる。特定の実施形態では、ピッチ駆動モータ74は、ハブ20の回転慣性及び/又は風力タービン10の構成要素にエネルギーを供給する貯蔵エネルギー源(図示せず)から抽出されたエネルギーによって駆動される。
【0035】
ピッチアセンブリ66はまた、特定の優先順位付けされた状況の場合及び/又はロータ18の過速度(オーバースピード)の間に、風力タービンコントローラ36からの制御信号に従ってピッチ駆動システム68を制御するための一つ以上のピッチ制御システム80を含むことができる。この例では、ピッチアセンブリ66は、風力タービンコントローラ36から独立してピッチ駆動システム68を制御するために、それぞれのピッチ駆動システム68に通信可能に結合された少なくとも一つのピッチ制御システム80を含む。この例では、ピッチ制御システム80は、ピッチ駆動システム68及びセンサ70に結合されている。風力タービン10の通常動作中に、風力タービンコントローラ36は、回転翼22のピッチ角を調整するためにピッチ駆動システム68を制御することができる。
【0036】
一実施形態によれば、例えば、バッテリ及び電気キャパシタを含む発電機84がハブ20の内部又は内部に配置され、センサ70、ピッチ制御システム80、及びピッチ駆動システム68に結合されて、これらの構成要素に電力源を提供する。実施例では、風力発電機84は、風力タービン10の運転中にピッチアセンブリ66に電力の継続的な供給源を提供する。別の実施形態では、発電機84は、風力タービン10の電力損失事象の間にのみピッチアセンブリ66に電力を供給する。電力損失事象は、電力グリッドの損失又はディップ(dip)、風力タービン10の電気システムの誤動作、及び/又は風力タービンコントローラ36の故障を含むことができる。電力損失事象の間、電力発生器84は、電力損失事象の間、ピッチアセンブリ66が動作できるように、ピッチアセンブリ66に電力を提供するように動作する。
【0037】
この実施例では、ピッチ駆動システム68、センサ70、ピッチ制御システム80、ケーブル、及び発電機84は、ハブ20の内面88によって画定されたキャビティ86内にそれぞれ配置されている。別の実施形態では、前記構成要素は、ハブ20の外面に配置され、外面に直接又は間接的に結合され得る。
【0038】
図3は、本発明の雷害防止装置の一例を構成する風力発電機ロータハブの概略断面図である。なお,内壁の厚さは模式的に記載し,切断面との交点は乱雑さを避けるためにハッチングで表示していない。
【0039】
図3は、風力タービンのブレード22のための雷バイパスシステムを示し、この雷バイパスシステムは、電気絶縁材料114を含み、風力タービンのブレードのブレード根元部24の回転軸R内に実質的に配置されるように構成されたブレードコネクタ110を含む。ブレードコネクタ110は、ブレード22のダウン導体ケーブル100に電気的に接続されるように構成された第1の端部111と、風力タービンのハブ20に雷放電を伝導するように構成された第2の端部112と、第1の端部111及び第2の端部112に電気的に接続されるように構成された導電性材料のコア113とを含む。
【0040】
ブレードコネクタ110は、ブレードコネクタ110をブレード根元部、特にブレードフランジ、ブレード根元部内に配置されたプレート、又は同様のものに接続するための電気的に絶縁された留め具114を含むことができる。電気絶縁ファスナー114はブッシングであってもよい。
【0041】
さらに、図3は、ブレードコネクタ110の第2の端部112が第1の端部に対して回転可能であることを示している。図示の例では、ブレードコネクタ110の第2の端部112は、回転可能なアイボルトコネクタ(rotatable eye bolt connector)115を含む。ただし、他のタイプのコネクタも使用できる。
【0042】
実施例では、雷バイパスシステムは、ブレードコネクタの第2の端部と風力タービンナセルとの間の電気接続をさらに含むことができる。回転可能な電気接続部は、導電性表面と、導電性表面と電気的に接触するブラシと、導電性表面とブラシの一方に電気的に接続されるブレードコネクタの第2の端部とを含むことができる。導電性表面又はブラシへの電気的接続は、直接的(例えば直接ケーブル)又は間接的(さらにコネクタ、インターフェース、エレメント(要素)を介して)であり得る。
【0043】
さらに、図3は、コネクタアセンブリが、電気絶縁材料123で作られ、風力タービンのハブ20に固定されたハブコネクタ120をさらに含むことができることを示している。ハブコネクタ120は、導電性要素116を介してブレードコネクタ110の第2の端部112に電気的に接続された導電性材料のコア121を含むこともできる。
【0044】
導電性要素は、接続200の経路を画定することができる。なお、接続部200の経路は、概念的に破線で示されている。図3の図示された例では、ハブコネクタ120は、接地システム129に電気的に結合される。ただし、他の配置も可能である。例えば、ハブコネクタ120が存在しない状況では、接地システム129をハブコネクタ110の第2の端部112に代替的に結合することができる。
【0045】
ハブコネクタ123は、ハブの一部に接続するための電気絶縁材料からなる締結具を含むことができる。ファスナー123はブッシングであってもよい。
【0046】
図3はまた、先に開示した雷バイパスシステムを含む風力タービンブレードの部分図を示す。より詳細には、図3は、風力タービンブレードのブレード根元部分24と、その内部における雷バイパスシステムの配置とを示している。さらに、この例では、風力タービンブレードは、ブレード根元部24を横切って配置され、ブレードコネクタ110をブレード根元部24の回転軸R内に実質的に固定する少なくとも一つのクロスバー301をさらに備える。或いは、ブレードコネクタ110を適所に固定するために、ブレードフランジ300の延長又は他の代替物を使用してもよい。一例として、風力タービンブレードは、実質的に完全なブレード根元部を覆うブレード根元部スティフナ又はブレードフランジ300を含むこともできる。図示の例では、風力タービンブレードは、スティフナーまたはフランジ300と、その直径方向に対向する側面を接続し、ブレードコネクタ110を所定の位置に固定するクロスバー301の両方から構成される。
【0047】
図4は、乱雑さを減らすために接地システムなどのいくつかの構成要素が図示されていない、雷バイパスアセンブリの別の例の詳細図である。この図は、ブレードコネクタ110と前述のハブコネクタ120との接続経路の一例を示している。この例では、導電性要素116は金属スリングであり、電気絶縁材料カバーを含むことができ、雷放電中にそれを通過する電流から他の構成要素を保護する。金属ロッド又はケーブルのような他のタイプの導電性要素も使用することができる。さらに、図3は、ハブコネクタ120が、追加の回転自由度を提供し、接続要素に対するねじり応力を低減するためにアイボルトコネクタ(eye bolt connector)122を含んでもよいことを示している。
【0048】
アイボルトコネクタ122(図3及び図5の両方の例において)は、電気絶縁性ブッシング123内に回転可能に取り付けられてもよい。同様に、アイボルトコネクタ115は、電気絶縁性ブッシング114内に回転可能に取り付けられてもよい。
【0049】
実施例では、導電性要素116は、追加のケーブル束201のためのガイドとして機能する接続の経路を定めてもよい。本実施例では、ケーブル束201は、ブレード内のセンサに接続されたケーブル(例えば、光ファイバケーブル)の束であってよい。センサ及びケーブルは、前記接続経路に従ってブレード根元部24からロータハブ116に延びる風力発電機サブシステム(すなわち、ブレード監視システム、雷監視システム、除氷システム、ブレード航空雷システム:blade aviation lightning system)の一部を形成してもよい。ケーブル束201は、締結具(ファスナー)202によって導電性要素116に結合されてもよく、及び/又は、ブレード及びハブコネクタ110,120によって案内されてもよい。
【0050】
図5は、雷バイパスシステムのさらに別の例を含む風力タービンロータハブ及びナセルの概略断面図である。ブレードからハブへのダウン導体間の接続は、一般に、図3及び図4に示される実施例と同一又は類似であり得る。
【0051】
図5に示す例では、雷バイパスシステムは、ブレードコネクタ110の第2の端部112と風力タービンナセル16との間の回転可能な電気接続部をさらに備える。回転可能な電気接続は、導電性表面126と、導電性表面126との電気的接触を提供するブラシ128とを含む。雷バイパスシステムは、ブレードコネクタ110の第2の端部112と、導電性表面126及びブラシ128の一方との導電性接続部をさらに備える。図示の例では、導電性ケーブル125がハブコネクタ120に物理的に接続されており、図3及び図4を参照して先に説明したように、ハブコネクタはブレードコネクタ110及びブレード内の雷保護システムに接続されている。しかしながら、ハブコネクタ120を省略し、導電性ケーブル125をブレードコネクタ110に直接結合することができる。
【0052】
図5の例では、導電性表面126は風力タービンハブ20に固定され、ブラシ28は風力タービンナセル16に固定され、回転可能な風力タービンハブ20と風力タービンナセル16との間に電気経路を提供する。
【0053】
本例における導電性表面126は、非導電性支持体127によってロータハブ20に固定されており、雷放電がロータハブ20に伝達されることを防止し、雷放電がロータベアリング21’を通過することを回避する。ブラシ128は、同様のアプローチに従ってナセル16に固定されてもよいが、対応する支持体は、乱雑さを減少させるためにこの図では図示されていない。或いは、導電性表面126を風力タービンナセル16に固定し、ブラシ128を風力タービンハブ20に固定して、風力タービンハブ20と風力タービンナセル16との間に電気経路を提供してもよい。
【0054】
図示の例では、導電性表面126は環状の金属ディスクであるが、この構成要素の幾何学的形状は、雷システムの特定の要件に適合させることができる。
【0055】
別の態様では、図5はまた、風力タービンロータハブ20、少なくとも1つの風力タービンブレード22、及び雷バイパスシステムを含む風力タービンハブアセンブリを示す。風力タービンブレード22は、ブレード根元部24を含み、雷バイパスシステムは、風力タービンブレードに固定され、風力タービンのブレード根元部24の回転軸R内に実質的に位置する電気絶縁材料114からなるブレードコネクタ110と、風力タービンのロータハブ20に固定される電気絶縁材料123からなるハブコネクタ120とを含む。ブレードコネクタ110は、ブレードのダウン導体ケーブル100に電気的に接続されるように構成された第1の端部111と、ハブコネクタ120に雷放電を伝導するように構成された第2の端部112と、第1の端部111を第2の端部112に電気的に接続するように構成された導電性材料のコア113とを備え、第2の端部112は、第1の端部に対して回転可能である。
【0056】
ブレードコネクタは、電気絶縁材料からなるブッシングを含む。
【0057】
さらに、風力タービンハブ組立体は、導電性要素116を介してブレードコネクタ110の第2の端部112に電気的に接続され、導電性要素が接続経路200を規定する導電性材料のコア121を含むハブコネクタ120を含むことができる。
【0058】
風力タービンハブアセンブリは、風力タービンロータハブ20に固定された導電性表面126をさらに含むことができる。実施例では、アセンブリは、導電性表面126との電気的接触を提供するためのブラシ128と、ハブコネクタ120及び導電性表面126に電気的に接続された導電性ケーブル125とをさらに含むことができる。ブラシ128は、風力タービンナセル16に固定され、風力タービンロータハブ20と風力タービンナセル16との間に電気経路を提供する。
【0059】
さらに、図5は、ロータハブ20がハブベアリング21’を介してフレーム21に取り付けられ、ハブとフレームとの間に回転可能な接続を形成することを示している。ロータハブ20を支持するフレーム21は、ナセル16内の別のフレーム又は他の構造支持体に接続されてもよい。
【0060】
実施例では、ロータハブは、フレキシブルカップリング(可撓性接手)を介してロータシャフトに接続されてもよい。フレキシブルカップリングは、ねじり荷重を伝達するように構成されてもよいが、伝達曲げ荷重を回避する(又は少なくともその伝達を低減する)ように構成されてもよい。ロータ軸は、発電機を直接駆動してもよいし、ギアボックスの入力軸を形成する低速軸を形成してもよい。
【0061】
図5の例では、直接駆動風力タービン(direct drive wind turbine)が概略的に示されている。この例では、ロータハブ20は、発電機ロータを含むか又は発電機ロータに接続され得る外側構造体162に結合され得る。したがって、外側構造体162は、発電機ステータを含むか又は形成することができるナセル内側構造体161の周りを回転することができる。
【0062】
図6は、ロータハブ20が取り付けられるメインロータシャフト44を含む風力タービン構成における本開示による雷システムの別の例を示す。メインシャフト44は駆動するように構成され、直接又は間接的に発電機ロータのシャフトに動作可能に結合され得る。この例では、ロータ軸44は、主軸受25によってナセル16に回転可能に支持されている。
【0063】
したがって、本開示による雷システムは、広範囲の風力タービン構成、すなわち、とりわけ、ダイレクトドライブ風力タービン又はギアボックスシステムを含む風力タービンに適している。
【0064】
本開示の別の態様において、方法600が提供される。方法600は、雷バイパスシステムを提供するのに適している。方法600は、図7に概略的に示されている。
【0065】
本方法は、ブロック601において、風力タービン(の風力タービンブレード)のブレード根元部24の回転軸R内に実質的に配置された電気絶縁材料114を含むブレードコネクタ110を提供することを含み、ブレードコネクタ110は、第1の端部111と、第2の端部112と、第1の端部111及び第2の端部112に電気的に接続された導電性材料のコア113とを含む。ブレードコネクタ110は、電気的に絶縁されたブッシングであってもよく、又は、電気的に絶縁されたブッシングを含んでもよい。
【0066】
方法600はまた、ブロック602において、ブレードコネクタ110の第1の端部111をブレードの受雷器に接続されたダウン導体ケーブル100に接続することを含む。さらに、方法600は、ブロック603において、ブレードコネクタ110の第1の端部111と第2の端部112との間に回転可能な接続を提供することを含む。回転可能な接続は、例えば、ブレードコネクタ110の第2二の端部112に配置されたアイボルトコネクタ115によって提供することができる。
【0067】
さらに、方法600は、ブロック604において、ブレードコネクタの第2の端部を風力タービンの雷接地システム129に導電的に結合することを含む。
【0068】
実施例では、雷バイパスシステムを提供する方法600は、風力タービンロータハブ20及び風力タービンナセル16の一方に固定され、それらから電気的に絶縁された導電性表面126を提供することを含むことができる。それに加えて、導電性表面126と電気的に接触するためのブラシ128を設けることを含み、ブラシ128は、導電性表面126が固定される風力タービンロータハブ20及びタービンナセル16の他方に固定され、風力タービンハブ20と風力タービンナセル16との間に電気経路を設ける。そして、ブレードコネクタ110の第2の端部112から導電性表面126にケーブル125を導電的に結合する。
【0069】
他の実施例では、方法600は、風力タービンのハブ20に固定された電気絶縁材料123で作られたハブコネクタ120を提供することを含むことができる。ハブコネクタ120が導電性材料のコア121を含む。導電性要素116を介してブレードコネクタ110の第2の端部112をハブコネクタ120に導電的に結合し、導電性要素116が接続経路200を規定する。そして、ケーブル束201を導電性要素116によって画定される接続経路200に沿って案内する。ケーブル束201は、とりわけブレード監視システム、雷監視システム、除氷システム、又はブレード航空雷システムなどのブレードサブシステムの一部であってもよい。
【0070】
この記述された説明は、好ましい実施形態を含む教示を開示するために、また、任意の装置又はシステムを製造及び使用すること、及び任意の組み込まれた方法を実施することを含む、本明細書に開示された教示を当業者が実施することを可能にするために、実施例を使用する。特許可能範囲は、クレームによって定義され、当業者に生じる他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらがクレームの文字どおりの言語と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらがクレームの文字どおりの言語と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、クレームの範囲内にあることを意図している。記載された様々な実施形態からの局面、並びにそのような各局面に対する他の既知の等価物は、当業者の1人によって混合及び整合され、本出願の原理に従って追加の実施形態及び技術を構築することができる。図面に関連する参照符号がクレーム中に括弧書きされている場合は、それらはクレームの理解度を増加させることのみを意図したものであり、クレームの範囲を限定するものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0071】
10 風力タービン
12 地面
14 支持システム
15 タワー
16 ナセル
18 ロータ
20 ハブ
21’ ロータベアリング
22 ロータブレード
24 ブレード根元部
26 ロータブレード
28 風向
30 ロータ軸
32 ピッチシステム
34 ピッチ軸
36 風力タービン制御装置
38 ヨー軸
40 プロセッサ
42 発電機
44 メインシャフト
46 ギアボックス
48 高速シャフト
50 カップリング
52 メインフレーム
54 デカップリング支持手段
56 ヨー駆動機構
58 気象測定システム
60 主前方支持ベアリング
62 主後方支持ベアリング
64 駆動列
66 ピッチアセンブリ
68 ピッチ駆動システム
70 センサ
72 ピッチベアリング
74 ピッチ駆動モータ
76 ピッチ駆動ギアボックス
78 ピッチ駆動ピニオン
80 ピッチ制御システム
84 発電機
86 キャビティ
88 内面
90 変圧器
100 ダウン導体ケーブル
103 トルクアーム
110 ブレードコネクタ
111 第1の端部
112 第2の端部
113 コア
114 電気絶縁ファスナー
115 アイボルトコネクタ
116 導電性要素
120 ハブコネクタ
123 ハブコネクタ
125 導電性ケーブル
126 導電性表面
127 非導電性支持体
128 ブラシ
129 接地システム
161 内側構造体
162 外側構造体
200 接続部/接続経路
201 ケーブル束
202 締結具
300 ブレードフランジ
301 クロスバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】