(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021959
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】反応装置、反応システム、材料製造システム、電池用材料製造システム、電池製造システム、反応生成物製造方法、電池用材料製造方法および電池製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 19/20 20060101AFI20230207BHJP
B01F 27/1143 20220101ALI20230207BHJP
B01F 27/721 20220101ALI20230207BHJP
B01F 33/40 20220101ALI20230207BHJP
B01F 35/222 20220101ALI20230207BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230207BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20230207BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20230207BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20230207BHJP
【FI】
B01J19/20
B01F27/1143
B01F27/721
B01F33/40
B01F35/222
B01F35/71
B01F35/75
H01M10/058
H01M10/0562
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160653
(22)【出願日】2022-10-05
(62)【分割の表示】P 2021126703の分割
【原出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】植田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 諭
(72)【発明者】
【氏名】古木 賢一
【テーマコード(参考)】
4G036
4G037
4G075
4G078
5H029
【Fターム(参考)】
4G036AC17
4G037AA04
4G037AA11
4G037AA18
4G037EA03
4G075AA22
4G075AA61
4G075AA63
4G075BA10
4G075BB02
4G075BB05
4G075CA02
4G075CA03
4G075CA63
4G075DA02
4G075EA06
4G075EB01
4G075EC01
4G075ED03
4G075ED06
4G075ED09
4G078AA03
4G078AB01
4G078BA01
4G078BA07
4G078DA09
4G078EA03
4G078EA10
5H029AJ14
5H029AL12
5H029BJ04
5H029CJ02
5H029CJ06
5H029CJ08
5H029CJ30
(57)【要約】
【課題】所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供する。
【解決手段】反応装置10において、反応炉100は、筒状であって、一端側に供給される原料を受け入れる供給口を有し他端側に反応生成物の送出口を有する。温度制御領域110は、加熱装置または冷却装置を含み、供給口と送出口の間の中間部における所定の位置の反応炉の温度を制御する。スクリュ120は、反応炉の一端側から他端側に亘り延伸することにより、供給口から供給された原料を送出口に向かって搬送可能に回転する。第1流体制御領域130は、中間部における所定の領域において反応炉に第1流体を通過させるための第1流体入口および第1流体出口を含む。第2流体制御領域140は、中間部における第1流体制御領域とは異なる領域において第2流体を通過させるための第2流体入口および第2流体出口を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に供給される原料を受け入れる供給口を有し他端側に反応生成物の送出口を有する筒状の反応炉と、
加熱装置または冷却装置を含み、前記供給口と前記送出口の間の中間部における所定の位置の前記反応炉の温度を制御する温度制御領域と、
前記反応炉の前記一端側から前記他端側に亘り延伸することにより、前記供給口から供給された前記原料を前記送出口に向かって搬送可能に回転するスクリュと、
前記中間部における所定の領域において前記反応炉に少なくとも1の流体を通過させるための流体入口および前記流体を排出するための流体出口を含み、前記流体の流量を調製可能に設定された流体制御領域と、を備える、
反応装置。
【請求項2】
前記流体制御領域は、前記流体入口に供給する前記流体の流量を調製するバルブを含む流体供給管を有する、
請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記流体制御領域は、前記流体出口に接続した流体排出管から強制的に前記流体を排出するための強制排出機構を含む、
請求項1または2に記載の反応装置。
【請求項4】
前記強制排出機構は、前記流体排出管に排出された前記流体を吸引することにより、前記流体排出管に排出された前記流体の流量を上昇させるためのモータを含むポンプを有する、
請求項3に記載の反応装置。
【請求項5】
前記スクリュの回転数を変速可能に設定されたスクリュ駆動装置をさらに備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項6】
前記スクリュは、前記原料を搬送するための凸部のピッチが送り方向で変化する構造を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項7】
前記スクリュは、前記原料を滞留、攪拌、混合、混練または粉砕する目的で送り方向との間に0度~180度の範囲の角度を成す面または配列を有する凸部を有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項8】
前記反応炉の内部において、平行に配置された複数の前記スクリュを備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項9】
前記中間部において前記反応炉の内部に気流を発生させるための送風孔を含む気流攪拌部をさらに備える、
請求項1~8のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項10】
前記気流攪拌部は、前記送風孔が屈曲部を含むラビリンス構造を有する
請求項9に記載の反応装置。
【請求項11】
前記反応炉は、前記一端側において、複数の異なる前記原料をそれぞれ受け入れる複数の前記供給口を有する
請求項1~10のいずれか一項に記載の反応装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の反応装置である第1反応装置と第2反応装置とを直列に連結した、
反応システム。
【請求項13】
複数のそれぞれ異なる成分を有する粉末を混練して混練物を製造する混練機、前記混練物を造粒して造粒物を製造する造粒機、および前記造粒物を乾燥させた前記原料を製造する乾燥機のうち少なくともいずれか1つと、
前記混練物、前記造粒物または前記原料のいずれか1つを受け入れて反応生成物を製造する請求項1~11のいずれか一項に記載の反応装置と、を備える
反応システム。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の反応装置が前記反応生成物として製造した固体電解質と、バインダ樹脂と、を混練して連続的に押し出すことにより混練物を製造する混練物製造装置と、
前記混練物をシート状に成形するシート製造装置と、を備える
電池用材料製造システム。
【請求項15】
前記反応装置として、第1反応装置と、前記第1反応装置が製造した第1反応生成物を受け入れて第2反応生成物である前記固体電解質を製造する第2反応装置と、を有し、
前記混練物製造装置は、前記第2反応生成物を受け入れて前記混練物を製造する、
請求項14に記載の電池用材料製造システム。
【請求項16】
請求項14または15に記載の電池用材料製造システムと、
前記電池用材料製造システムが有する前記シート製造装置が成形した電解質シートの一方の面に正極活物質を含む正極シートを、他方の面に負極活物質を含む負極シートをラミネートするラミネータと、を備える、
電池製造システム。
【請求項17】
請求項1~11のいずれか一項に記載の反応装置が製造した前記反応生成物と、バインダ樹脂と、を混練して連続的に押し出すことにより混練物を製造する混練物製造装置と、
前記混練物をシート状に成形するシート製造装置と、を備える
材料製造システム。
【請求項18】
前記反応装置として、第1反応装置と、前記第1反応装置が製造した第1反応生成物を受け入れて第2反応生成物を製造する第2反応装置と、を有し、
前記混練物製造装置は、前記第2反応生成物を受け入れて前記混練物を製造する、
請求項17に記載の材料製造システム。
【請求項19】
一端側に供給される原料を受け入れる供給口を有し他端側に反応生成物の送出口を有する筒状の反応炉に前記供給口から所定の原料を受け入れ、
前記反応炉の前記一端側から前記他端側に亘り延伸するスクリュにより前記原料を前記送出口に向かって搬送し、
前記反応炉における前記供給口と前記送出口との間の中間部における所定の位置の温度を制御し、
前記中間部に設けられた流体制御領域において少なくとも1の流体を前記流体の流量を調製したうえで前記反応炉に通過させ、
前記流体制御領域を通過した前記反応生成物を前記送出口から送出する、
反応生成物製造方法。
【請求項20】
一端側に供給される原料を受け入れる供給口を有し他端側に反応生成物の送出口を有する筒状の反応炉に前記供給口から所定の原料を受け入れ、
前記反応炉の前記一端側から前記他端側に亘り延伸するスクリュにより前記原料を前記送出口に向かって搬送し、
前記反応炉における前記供給口と前記送出口との間の中間部における所定の位置の温度を制御し、
前記中間部に設けられた流体制御領域において少なくとも1の流体を前記流体の流量を調製したうえで前記反応炉に通過させ、
前記送出口から前記反応生成物として製造した固体電解質を送出し、
送出された前記固体電解質と、バインダ樹脂と、を混練して連続的に押し出すことにより混練物を製造し、
前記混練物をシート状に成形して電池用材料を製造する、
電池用材料製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の電池用材料製造方法を実行した後に、
前記電池用材料製造方法により製造された電解質シートの一方の面に正極活物質を含む正極シートをラミネートし、
前記電解質シートの他方の面に負極活物質を含む負極シートをラミネートして、電池を製造する、
電池製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応装置、反応システム、材料製造システム、電池用材料製造システム、電池製造システム、反応生成物製造方法、電池用材料製造方法および電池製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体状の原料に対して所定の雰囲気を与えることにより所望の製品を製造するための反応装置が存在する。例えば一般には、ロータリーキルンと称される反応装置は、中心軸周りに回転する中空の反応炉を加熱し、この反応炉に材料を転動させながら通過させることにより所望の製品を製造する。また例えばローラーハースキルンと称される反応装置は、トンネル型の反応炉に原料やワークを通過させることにより所望の製品を製造する。またその他にも種々の反応装置が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1は、以下の反応装置について開示している。反応装置は、圧力反応容器となるスクリュフィーダ本体と、スクリュフィーダ本体内に触媒を導入する触媒供給部と、スクリュフィーダ本体内に低級炭化水素を導入する低級炭化水素供給部と、を有する。またこの反応装置は、生成したナノ炭素を移送するスクリュと、スクリュによって移送される触媒とナノ炭素を送出する固体送出部と、生成した水素をフィーダ本体外に送出する気体送出部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば連続式のロータリーキルンは、炉内の軸方向の温度を細かく制御することができない。またローラーハースキルンは、粉粒体状の原料を鞘に入れて搬送するため、炉内の原料を攪拌する機能がない。さらに上述のスクリュを用いた反応装置はスクリュフィーダの入り口から導入する材料および触媒による反応が1種類のみである。そのため、所望の製品を製造するうえで複数の反応をさせたい場合には装置が複雑かつ管理が煩雑になる。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる反応装置は、反応炉、温度制御領域、スクリュ、第1流体制御領域および第2流体制御領域を有する。反応炉は、筒状であって、一端側に供給される原料を受け入れる供給口を有し他端側に反応生成物の送出口を有する。温度制御領域は、加熱装置または冷却装置を含み、供給口と送出口の間の中間部における所定の位置の反応炉の温度を制御する。スクリュは、反応炉の一端側から他端側に亘り延伸することにより、供給口から供給された原料を送出口に向かって搬送可能に回転する。第1流体制御領域は、中間部における所定の領域において反応炉に第1流体を通過させるための第1流体入口および第1流体出口を含む。第2流体制御領域は、中間部における第1流体制御領域とは異なる領域において第2流体を通過させるための第2流体入口および第2流体出口を含む。
【0008】
本開示にかかる反応生成物製造方法は、以下の方法を反応装置が実行する。反応装置は、筒状の反応炉であり、一端側に供給される原料を受け入れる供給口を有し他端側に反応生成物の送出口を有する。反応装置は、反応炉の一端側から他端側に亘り延伸するスクリュにより原料を送出口に向かって搬送する。反応装置は、反応炉における供給口と送出口との間の中間部における所定の位置の温度を制御する。反応装置は、中間部に設けられた第1流体制御領域において第1流体を反応炉に通過させる。反応装置は、中間部において第1流体制御領域とは異なる第2流体制御領域において第2流体を反応炉に通過させる。反応装置は、第2流体制御領域を通過した反応生成物を送出口から送出する。
【0009】
本開示にかかる電池用材料製造方法は、以下の方法を電池用材料製造装置が実行する。電池用材料製造装置は、一端側に供給される原料を受け入れる供給口を有し、他端側に反応生成物の送出口を有する筒状の反応炉に、供給口から所定の原料を受け入れる。電池用材料製造装置は、反応炉の一端側から他端側に亘り延伸するスクリュにより原料を送出口に向かって搬送する。電池用材料製造装置は、反応炉における供給口と送出口との間の中間部における所定の位置の温度を制御する。電池用材料製造装置は、中間部に設けられた第1流体制御領域において第1流体を反応炉に通過させる。電池用材料製造装置は、第1流体制御領域とは異なる中間部に設けられた第2流体制御領域において第2流体を反応炉に通過させる。電池用材料製造装置は、送出口から反応生成物を送出する。電池用材料製造装置は、送出された反応生成物と、バインダ樹脂と、固体電解質と、を混練して連続的に押し出すことにより混練物を製造する。電池用材料製造装置は、混練物をシート状に成形して電池用材料を製造する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1にかかる反応装置の側面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる反応装置のブロック図である。
【
図3】反応装置が実行する処理のフローチャートである。
【
図4】実施の形態2にかかる反応装置の側面図である。
【
図5】実施の形態2にかかる反応炉の断面図である。
【
図6】実施の形態3にかかる反応システムの構成図である。
【
図7】実施の形態4にかかる反応システムの構成図である。
【
図8】実施の形態5にかかる反応システムの構成図である。
【
図9】実施の形態6にかかる電池用材料製造システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
<実施の形態1>
図1を参照しながら、実施の形態1にかかる反応装置の主な構成について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる反応装置10の側面図である。図に示す反応装置10は理解容易のために一部を切り取った状態で示している。反応装置10は、例えば粉粒体状の原料に所定の物理的な刺激等の条件を与えることにより反応生成物を製造するための装置である。原料や反応生成物の種類や状態は特に制限されないが、リチウムを成分の一つに含む金属酸化物や金属硫化物のような無機物であってもよいし、炭化水素のような有機物であってもよい。また、原料や反応生成物の形状や大きさは特に制限されないが、形状が塊状の場合の対角長さは、好ましくは0.1mm~50mmであり、さらに好ましくは1~20mmである。さらに、原料や反応生成物の形状が塊状の場合、対角長さの比率(アスペクト比)は、好ましくは1~10であり、さらに好ましくは1.3~1.8である。反応装置10は主な構成として、反応炉100、温度制御領域110、スクリュ120、第1流体制御領域130および第2流体制御領域140を有する。
【0014】
反応炉100は、筒状の炉であって、一端側に供給される原料を受け入れる供給口101を有し、他端側に反応生成物の送出口102を有する。また反応炉100は、供給口101と送出口102との間に中間部を有する。反応炉100は、炉内において反応生成物を製造する際に生じる温度変化や、炉内に供給される物質との接触を許容可能な材質により形成される。例えば反応炉100は、ニッケルやクロムを主成分とした合金やアルミナを含むセラミックスにより形成され得る。また、例えばスクリュ120は、ニッケルやクロムを主成分とした合金やアルミナを含むセラミックスにより形成され得る。
【0015】
図1に示す反応装置10は、水平方向に横臥しており、左上端部に供給口101を有し、右下端部に送出口102を有する。
図1に示す反応炉100は、供給口101から原料R10を受け入れる。反応装置10は、反応炉100の内部に設けられたスクリュ120を回転させることにより、反応炉100が受け入れた原料R10を送出口102に向かって推進させる。すなわち反応炉100に供給された原料R10は、中間部を通過して送出口102に向かう。反応装置10は、反応炉100の中間部に原料R10を通過させることにより原料R10から反応生成物R11を製造する。そして反応炉100は、製造した反応生成物R11を送出口102から送出する。
【0016】
温度制御領域110は、温度制御装置、すなわち加熱装置または冷却装置を含み、供給口101と送出口102の間の中間部における所定の位置の反応炉の温度を制御する。
図1に示す温度制御領域110は、反応炉100の中間部において筒状の反応炉100の周囲を囲むように加熱装置を有している。加熱装置は例えばシースヒータ、コイルヒータまたはセラミックヒータなどの温度制御可能な任意のヒータを含む。加熱装置は例えば常温から800度程度の範囲の加熱を行う。また温度制御領域110は、反応炉100の中間部の領域ごとに、後述するスクリュ120の軸方向に沿って、異なる温度を設定できる。例えば温度制御領域110は後述する第1流体制御領域130や第2流体制御領域140において原料R10に与える温度変化を制御し得る。
【0017】
また温度制御領域110は、加熱装置または冷却装置を制御するための制御装置を含みうる。例えば温度制御領域110は、反応炉100の所定の位置に温度を監視するための温度計を有していてもよい。また反応炉100は、例えば加熱装置が電流を流すことにより加熱する原理を有する場合には、電流値を監視することにより温度制御を行ってもよい。
【0018】
なお、温度制御領域110は、例えば水やオイルを循環させることにより加熱または冷却を行う構成を有していてもよい。また温度制御領域110は例えばペルチェ素子などを用いて冷却を行う構成を有していてもよい。上述の構成により、温度制御領域110は、反応炉100においてスクリュ120の軸方向に沿って種々の温度分布を設定できる。
【0019】
スクリュ120は、反応炉100の一端側から他端側に亘り延伸することにより、供給口101から供給された原料R10を送出口102に向かって搬送可能に回転する。
図1に示すスクリュ120は、左右方向に延伸する軸の周囲に螺旋状の凸部121が形成されている。この凸部121が原料R10と接触しながら回転することにより、スクリュ120は原料R10を
図1の左側から右側へ向かって搬送する。
【0020】
なお、
図1に示す凸部121の形状は一例であって、凸部121の形状はこれに限られない。凸部121は、反応炉100の領域ごとに異なる形状を有していてもよい。より具体的には、例えば凸部121は螺旋のピッチが変化してもよい。また凸部121の螺旋形状は、1条ではなく、2条であってもよい。また凸部121は螺旋形状ではない部分を有していてもよい。これにより反応装置10は、反応炉100の内部に存在する物体の移動する速さや移動する際の挙動などを領域ごとに設定できる。より具体的には、例えば反応装置10は、反応炉100における物体を搬送、攪拌、混合、混練または粉砕する。
【0021】
スクリュ120は、反応炉100の両端部においてそれぞれ軸支されている。また
図1に示すスクリュ120は、供給口101の側において駆動装置150に接続している。駆動装置150は、モータなどの所定の回転機構を有し、スクリュ120を回転させる。駆動装置150は、スクリュ120の回転数を変速可能に設定されたものであってもよい。この場合、駆動装置150は、回転数が変動可能なモータであってもよいし、回転数が一定のモータと、減速比が変更可能な減速機とを組み合わせたものであってもよい。
【0022】
第1流体制御領域130は、中間部における所定の領域において反応炉100に第1流体を通過させるための第1流体入口131および第1流体出口132を含む。第1流体制御領域130は反応炉100において、供給口101と第2流体制御領域140との間に設けられている。第1流体入口131は第1流体供給管133に接続し、第1流体供給管133から供給される第1流体を反応炉100に供給する。なお、第1流体供給管133は第1流体の流量を調整するための第1バルブ134を含む。第1流体出口132は、第1流体制御領域130の流体を反応炉100の外へ排出するための孔である。
【0023】
上述の構成により、反応装置10は、第1流体制御領域130において原料R10と第1流体とを反応させて中間物を生成する。また反応装置10は、反応後の流体を第1流体制御領域130の外へ排出する。また反応装置10は、スクリュ120が回転しながら原料R10ないし反応生成物を搬送し、さらに第1流体を接触させることにより、第1流体による反応を促進できる。なお、第1流体は、気体であってもよいし、液体であってもよい。
【0024】
第2流体制御領域140は、中間部における第1流体制御領域130とは異なる領域において第2流体を通過させるための第2流体入口141および第2流体出口142を含む。すなわち第2流体制御領域140は、第1流体制御領域130とは異なる領域において、第1流体制御領域130と同等の構成を有し得る。
【0025】
第2流体制御領域140は反応炉100において、第1流体制御領域130と送出口102との間に設けられている。第2流体入口141は第2流体供給管143に接続し、第2流体供給管143から供給される第2流体を反応炉100に供給する。なお、第2流体供給管143は第2流体の流量を調整するための第2バルブ144を含む。第2流体出口142は、第2流体制御領域140の流体を反応炉100の外へ排出するための孔である。
【0026】
上述の構成により、反応装置10は、第2流体制御領域140において第1流体制御領域130を通過した後の中間物と第2流体とを反応させて反応生成物R11を生成する。また反応装置10は、反応後の流体を第2流体制御領域140の外へ排出する。なお、第2流体は、気体であってもよいし、液体であってもよい。
【0027】
以上、反応装置10の構成について説明したが、実施の形態1にかかる反応装置10は、上述の構成に限られない。例えば、スクリュ120は1以上であれば、2以上であってもよい。すなわち、反応装置10は、平行に配置された複数のスクリュ120を有してもよい。
【0028】
反応炉100のスクリュ120の軸と直交する平面における断面形状はルーローの定幅図形で定義される組合せを持つものであってもよい。この場合、スクリュ120の凸部121の断面形状は、ルーローの定副図形に対応した複数の円弧を組み合わせた形状を有する。例えば反応炉100の内部の断面形状が円形の場合には、スクリュ120の断面形状は、3つの円弧で構成されたルーロー定幅図形を有する。
【0029】
反応炉100は水平方向に平行に横臥するものに限らず、水平面に対して所定の角度を有し、反応炉100は斜面を有するものであってもよい。反応装置10は、中間部において第1流体制御領域130と第2流体制御領域140とを有しているが、さらに別の流体を通過させるための構成を有していてもよい。すなわち反応装置10は、3以上の流体制御領域を有していてもよい。なお、上述の反応装置10は、後述する制御装置により制御されている。
【0030】
次に、
図2を参照して、反応装置10の機能について説明する。
図2は、実施の形態1にかかる反応装置10のブロック図である。反応装置10は
図1において示した構成に加えて、制御装置200、温度制御装置210、第1流体制御装置230、第2流体制御装置240および情報入出力部250を有している。
【0031】
制御装置200は、CPU(Central Processing Unit)やMCU(Micro Controller Unit)等の演算装置を含む回路基板である。制御装置200は、温度制御装置210、第1流体制御装置230、第2流体制御装置240および情報入出力部250のそれぞれと通信可能に接続し、これの構成をそれぞれ制御する。制御装置200は回路基板に実装されたハードウェアおよびソフトウェアによりその機能を実現する。
【0032】
制御装置200は主な機能構成として、全体制御部201、温度制御部202、スクリュ回転制御部203、第1流体制御部204、第2流体制御部205、IF制御部206および記憶部207を有している。制御装置200が有するこれらの機能構成は、一体となったものであってもよいし、ディスクリートであってもよい。また制御装置200が有するこれらの機能構成は、別個の複数の装置が連動することにより実現されてもよい。
【0033】
全体制御部201は、制御装置200が有する各機能構成に接続し、これらの機能の全体の動作を制御する。例えば全体制御部201は、温度制御部202から供給される温度の状態に応じてスクリュ回転制御部203に動作の指示を出す、といった動作を行い得る。
【0034】
温度制御部202は、温度制御装置210に接続し、温度制御領域110における反応炉100の温度を制御する。温度制御部202は、加熱装置および冷却装置のうち少なくともいずれか一方を有している。また温度制御部202は、温度を制御するための1以上の温度計を有し得る。
【0035】
スクリュ回転制御部203は、駆動装置150に接続し、駆動装置150の動作を制御する。スクリュ回転制御部203は例えば駆動装置150が有するモータを駆動するためのモータ駆動回路を有し得る。またスクリュ回転制御部203は、モータの回転数を監視するための回転センサを有し得る。
【0036】
第1流体制御部204は、第1流体制御領域130における第1流体の流れを制御する。より具体的には、第1流体制御部204は第1流体制御装置230に接続し、第1流体制御装置230の動作を制御する。第1流体制御装置230は第1流体を圧送するための第1バルブ134を含む。第2流体制御部205は、第2流体制御領域140における第2流体の流れを制御する。より具体的には、第2流体制御部205は第2流体制御装置240に接続し、第2流体制御装置240の動作を制御する。第2流体制御装置240は第2流体を圧送するための第2バルブ144を含む。
【0037】
IF制御部206(IF=Interface)は、情報入出力部250に接続し、情報入出力部250を介してユーザとの情報交換を行うためのインタフェースである。すなわちIF制御部206は、情報入出力部250を介してユーザからの操作を受け付け、受け付けた操作にかかる情報を、制御装置200の各構成に適宜供給する。またIF制御部206は、情報入出力部250が有する表示部の状態を制御する。
【0038】
記憶部207は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む記憶装置である。記憶部207は反応装置10が本開示における機能を実現するためのプログラムを格納している。また記憶部207は揮発性メモリを含み、制御装置200が動作する際に所定の情報を一時的に格納する。情報入出力部250は、例えばユーザからの操作を受け付けるためのボタン、スイッチまたはタッチパネル等を有する。また情報入出力部250は、ユーザに情報を提示するためのディスプレイ装置等を含む。
【0039】
以上、反応装置10の機能ブロックについて説明した。反応装置10は上述の構成により、受け入れた原料R10をスクリュ120により搬送し、反応炉100の温度を制御し、第1流体制御領域130および第2流体制御領域140における雰囲気を制御する。
【0040】
次に、
図3を参照して、反応装置10が実行する反応生成物の製造方法(反応生成物製造方法)について説明する。
図3は、反応装置10が実行する処理のフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、例えば反応装置10に対して原料R10の供給を開始することにより開始する。
【0041】
まず、反応装置10は、供給口101から所定の原料R10を受け入れる(ステップS11)。
【0042】
次に、反応装置10の制御装置200は、温度制御部202を介して、反応炉100の温度制御領域110の加熱装置または冷却装置を駆動することにより温度を制御する(ステップS12)。
【0043】
次に、反応装置10の制御装置200は、スクリュ回転制御部203を介して駆動装置150を駆動する。これにより駆動装置150はスクリュ120を回転させる。そしてスクリュ120は、受け入れた原料R10を送出口102に向かって搬送する(ステップS13)。
【0044】
次に、反応装置10の制御装置200は、第1流体制御部204を介して、第1流体制御領域130に通過させる第1流体の流れを制御する(ステップS14)。
【0045】
次に、反応装置10の制御装置200は、第2流体制御部205を介して、第2流体制御領域140に通過させる第2流体の流れを制御する(ステップS15)。
【0046】
次に、反応装置10は、第2流体制御領域140を通過した反応生成物R11を送出口102から送出する(ステップS16)。
【0047】
以上、反応装置10が実行する反応方法について説明した。上述の方法は、反応装置10が原料R10から反応生成物R11を製造し、製造した反応生成物R11を排出するまでの流れに沿って示されている。しかし、反応装置10は、例えばステップS12における温度制御を、ステップS11の前から実行していてもよい。また例えば反応装置10は、ステップS14とステップS15とを同時に開始してもよい。
【0048】
以上、実施の形態1について説明した。なお、上述の反応装置10において、反応装置10は2つの流体制御領域(第1流体制御領域130および第2流体制御領域140)を有しているが、反応装置10は3つ以上の流体制御領域を有しても良い。また反応装置10は、スクリュ120の軸方向に沿って複数の温度制御領域110を有していても良い。上述の反応装置10は、供給口101から受け入れた原料R10に対して、中間部において複数の流体を別個に接触させる。また反応装置10は、中間部において、スクリュ120の軸方向に沿って、反応炉100の温度制御を行う。さらに反応装置10は、反応炉100の内部の物体を搬送し、攪拌や混練などの物理的な刺激を与えることができる。反応装置10は上述の雰囲気制御、温度制御および物理制御を、同時に、且つ、精度よく行うことができる。よって、実施の形態1によれば、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供することができる。
【0049】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。
図4は、実施の形態2にかかる反応装置20の側面図である。
図4に示す反応装置20は、スクリュ120の構成が
図1に示す反応装置10と異なる。また反応装置20は、第1流体制御領域130および第2流体制御領域140が、反応炉100から強制的に流体を排出するための強制排出機構を含む点が
図1に示す反応装置10と異なる。さらに、反応装置20は、気流攪拌領域160を有する点が、反応装置10と異なる。
【0050】
本実施の形態にかかるスクリュ120は、凸部121の構成が
図1に示すスクリュ120と異なる。スクリュ120は、原料を搬送するための凸部のピッチが送り方向で変化する構造を有する。
図2に示すスクリュ120は、第1流体制御領域130における凸部121のピッチ(すなわちスクリュピッチ)が距離D1であり、第2流体制御領域140における凸部121のスクリュピッチが距離D2である。また距離D1は距離D2より大きい。すなわちスクリュ120は、第2流体制御領域140に対応するスクリュピッチが、第1流体制御領域130に対応するスクリュピッチより小さい。これにより、反応装置20は、第2流体制御領域140における物体の搬送速度を、第1流体制御領域130における物体の搬送速度より遅く設定している。
【0051】
また反応装置20のスクリュ120は、原料を滞留、攪拌、混合、混練または粉砕する目的で送り方向との間に0度~180度の範囲の角度を成す面または配列を有する凸部を有し得る。
図4に示すスクリュ120は、第2流体制御領域140と送出口102との間に攪拌部122を有している。攪拌部122は、送り方向に平行な、すなわち送り方向に対して0度の角度を成す複数の凸部を有する。
【0052】
図5を参照して攪拌部122について説明する。
図5は、実施の形態2にかかる反応炉の断面図である。
図5に示す断面図は、
図4のV-V断面を示したものである。
図5には反応炉100の内部に配置された攪拌部122が示されている。攪拌部122はスクリュ120の軸の中心Cから放射状に複数の凸部が形成されている。また攪拌部122は中心Cを回転軸として時計周りに回転する。これにより攪拌部122は、攪拌部122に接触する物質を攪拌する。
【0053】
図4に戻り反応装置20について説明を続ける。反応装置20は、第1流体制御領域130において第1流体排出管135に第1強制排出機構136を有している。第1強制排出機構136は第1流体出口132を介して第1流体排出管135に排出された流体の流量を上昇させ、かかる流体を強制排出するための機構である。第1強制排出機構136は、例えばモータを含むポンプである。この場合、強制排出機構136であるポンプは、モータを駆動して流体を吸引することにより、第1流体排出管135に排出された流体の流量を上昇させる。反応装置20は、第1バルブ134と第1強制排出機構136とを有することにより、第1流体制御領域130における第1流体の流れを好適に制御できる。なお、第1強制排出機構136は、第1流体制御領域130から排出される流体を強制的に排出できる機構であれば、上述の構成に限定されない。
【0054】
同様に、反応装置20は、第2流体制御領域140において第2流体排出管145に第2強制排出機構146を有している。第2強制排出機構146は第2流体出口142を介して第2流体排出管145に排出された流体の流量を上昇させる。第2強制排出機構146は、例えばモータを含むポンプである。この場合、強制排出機構146であるポンプは、モータを駆動して流体を吸引することにより、第2流体排出管145に排出された流体の流量を上昇させる。反応装置20は、第2バルブ144と第2強制排出機構146とを有することにより、第2流体制御領域140における第2流体の流れを好適に制御できる。なお、第2強制排出機構146は、第2流体制御領域140から排出される流体を強制的に排出できる機構であれば、上述の構成に限定されない。
【0055】
反応装置20は、攪拌部122に対応する部分に気流攪拌領域160を有している。気流攪拌領域160は、反応炉100の中間部において反応炉100の内部に気流を発生させる。
【0056】
気流攪拌領域160は主な構成として、送風ファン161、気流制御バルブ162、送風孔163を有している。送風ファン161は、所定の不活性ガスを気流制御バルブ162に圧送する。なお、送風ファン161は、例えばガス圧縮機や圧縮ガスボンベが代替として用いられてもよい。気流制御バルブ162は送風ファン161から圧送される不活性ガスの流量を制御する。送風孔163は、気流制御バルブ162を介して圧送された不活性ガスを反応炉100の内部に吐出させるための孔である。送風孔163は、反応炉100の内部に面する部分に屈曲部を含むラビリンス構造を有している。これにより気流攪拌領域160は、気流を発生させるとともに、吐出口である送風孔163に反応炉100の物体が流入するのを抑制する。
【0057】
図5を参照して、気流攪拌領域160についてさらに説明する。
図5に示す断面には、送風孔163が3か所に配置されている。このように、気流攪拌領域160が複数の送風孔163を有することにより、反応装置20は、反応炉100の内部の所望の領域において、好適に気流を発生させることができる。またこれにより反応装置20は、反応炉100の内部に存在する物体を好適に攪拌できる。なお、上述の送風孔163は、ラビリンス構造に代えて、反応炉100の内部に存在する物体の粒径より小さい小径孔を有するものであってもよい。これにより送風孔163は、反応炉100の内部に存在する物体が流入してくるのを抑制できる。
【0058】
以上、実施の形態2について説明したが、反応装置20の構成は上述のものに限られない。例えばスクリュ120の形状または構成は原料R10に対してどのような物理的な刺激を与えるかにより種々のパターンが考えられる。また気流攪拌領域160が配置される位置は、上述の位置に限られず、所望の位置に設定され得る。実施の形態2によれば、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供することができる。
【0059】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。
図6は、実施の形態3にかかる反応システム1の構成図である。
図6に示す反応システム1は、2つの反応装置10すなわち第1反応装置10Aおよび第2反応装置10Bが直列に連結されたシステムである。
図6には、第1反応装置10Aと第2反応装置10Bとが連結した状態が模式的に示されている。
【0060】
図に示す第1反応装置10Aは、第1流体制御領域130Aと、第2流体制御領域140Aと、を有している。第1流体制御領域130Aは、第1供給口101Aから受け入れた原料R10に対して反応Aを付与する。第2流体制御領域140Aは、反応Aを付与することにより生成した反応生成物Aに対して反応Bを付与する。また第1反応装置10Aは、反応Bを付与することにより生成した反応生成物Bを、第1送出口102Aから送出し、第2反応装置10Bの第2供給口101Bに供給する。
【0061】
第2反応装置10Bは、第1流体制御領域130Bと、第2流体制御領域140Bと、を有している。第2反応装置10Bにおいて、第1流体制御領域130Bは、第2供給口101Bから受け入れた反応生成物Bに対して反応Cを付与する。第2流体制御領域140Bは、反応Cを付与することにより生成した反応生成物Cに対して反応Dを付与する。また第2反応装置10Bは、反応Dを付与することにより生成した反応生成物Dを、第2送出口102Bから送出する。
【0062】
以上、実施の形態3について説明した。なお、上述の反応装置10の一方または両方は、もちろん反応装置20であってもよい。また実施の形態3にかかる反応システムは、3つ以上の反応装置10が連結するものであってもよい。このような構成により、実施の形態3にかかる反応システム1は、複数の反応を連続して付与できる。またこのような構成により、実施の形態3にかかる反応システム1は、システム自体の柔軟な配置および柔軟なシステム構成を可能とする。すなわち、実施の形態3によれば、複数の反応を要する所望の製品を効率よく製造する反応システムを提供することができる。
【0063】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4について説明する。
図7は、実施の形態4にかかる反応システム2の構成図である。
図7に示す反応システム2は主な構成として、混練機310、造粒機320、乾燥機330、反応装置10および粉砕分級機340を有している。
【0064】
混練機310(混練物製造装置)は、粉末成分A、粉末成分Bおよび粉末成分Cをそれぞれ受け入れ、受け入れたこれらの粉末成分をスクリュにより混練する。混練機310は造粒機320に連結しており、混練した粉末成分を造粒機320に供給する。
【0065】
造粒機320は、混練機310が混練した粉末成分を受け入れ、受け入れた粉末成分から所定の大きさの粒状物を生成する。造粒機320は生成した粒状物を、乾燥機330に供給する。乾燥機330は、造粒機320から受け入れた粒状物を乾燥させて、所定の原料を生成する。さらに乾燥機330は、生成した原料を、反応装置10に供給する。
【0066】
反応装置10は、乾燥機330から原料を受け入れ、受け入れた原料を第1流体制御領域130および第2流体制御領域140に通過させて、反応生成物を生成する。反応装置10は、生成した反応生成物を粉砕分級機340に供給する。粉砕分級機340は、反応装置10から反応生成物を受け入れて、受け入れた反応生成物を粉砕し、さらに分級する。そして、粉砕分級機340は、分級した製造物を吐出する。
【0067】
以上、実施の形態4について説明した。なお、反応システム2の構成は、上述のものに限られない。例えば反応システム2は、混練機310、造粒機320および乾燥機330のうちいずれか1つを少なくとも有するものであってもよい。また反応システム2は、粉砕分級機340を含まないものであっても良い。上述の反応システム2において、反応装置10は、反応装置20に置き換えられ得る。また反応装置10は、実施の形態3にかかる反応システム1に置き換えられ得る。以上、実施の形態4によれば、複合的な反応を要する所望の製品を効率よく製造する反応システムを提供することができる。
【0068】
<実施の形態5>
次に、実施の形態5について説明する。
図8は、実施の形態5にかかる反応システム3の構成図である。実施の形態5にかかる反応システム3は、複数の異なる原料をそれぞれ受け入れる供給口を有する点が、上述の反応装置と異なる。
【0069】
図8に記載の反応システム3は、反応装置11と、粉砕分級機340と、を有する。反応装置11は、原料として粉末成分A、粉末成分Bおよび粉末成分Cをそれぞれ受け入れる。すなわち実施の形態5にかかる反応装置11は、反応炉100が、一端側において、複数の異なる原料をそれぞれ受け入れる複数の供給口を有する。より具体的には、反応装置11は、供給口として、第1供給口101A、第2供給口101Bおよび第3供給口101Cをそれぞれ有する。第1供給口101A、第2供給口101Bおよび第3供給口101Cは、反応炉100の一端側から第1流体制御領域130の間にそれぞれ設けられている。第1供給口101A、第2供給口101Bおよび第3供給口101Cからそれぞれ供給された粉末成分は、スクリュ120により送出口102の方向に搬送される。なお、この際、スクリュ120は受け入れたそれぞれの原料を混合またするための形状を有していてもよい。
【0070】
反応装置11は、受け入れた粉末成分A、粉末成分Bおよび粉末成分Cを第1流体制御領域130に通過させ、さらに第2流体制御領域140に通過させる。これにより反応装置11は反応生成物を生成し、生成した反応生成物を粉砕分級機340に供給する。粉砕分級機340は反応装置11が生成した反応生成物を受け入れ、受け入れた反応生成物を粉砕し、さらに分級する。そして、粉砕分級機340は、分級した製造物を吐出する。
【0071】
以上、実施の形態5について説明した。上述の反応システム3において、反応装置11は、気流攪拌領域160を有していてもよい。以上、実施の形態5によれば、複数の原料を用いて複合的な反応を要する所望の製品を効率よく製造する反応システムを提供することができる。
【0072】
<実施の形態6>
次に、実施の形態6について説明する。
図9は、実施の形態6にかかる電池用材料製造システム4の構成図である。
図9に示す電池用材料製造システム4は、例えば固体二次電池の正極シートや、電解質シートを製造するためのシステムである。電池用材料製造システム4は主な構成として第1工程領域P41、第2工程領域P42、第3工程領域P43および第4工程領域P44を有する。すなわち電池用材料製造システム4は、上述の第1工程、第2工程、第3工程および第4工程を経ることにより電池用材料を製造する。
【0073】
以下に示す例は、電池用材料製造システム4を用いて電解質シートを製造するものである。第1工程領域P41において、電池用材料製造システム4は、固体電解質を製造する。第1工程領域P41は主な構成として、第1反応装置10A、第2反応装置10Bおよび粉砕分級機340を有する。
【0074】
第1工程領域P41において、第1反応装置10Aは原料を受け入れ、スクリュにより原料を搬送し、第1流体制御領域130Aにおいて反応Aを付与し、第2流体制御領域140Aにおいて反応Bを付与し、反応生成物Bを第2反応装置10Bに供給する。第2反応装置10Bは反応生成物Bを受け入れ、スクリュにより原料を搬送し、第1流体制御領域130Bにおいて反応Cを付与し、第2流体制御領域140Bにおいて反応Dを付与し、これにより生成される固体電解質を粉砕分級機340に供給する。粉砕分級機340は、受け入れた固体電解質を粉砕し、さらに分級する。そして、粉砕分級機340は、分級した固体電解質を第2工程領域P42に供給する。
【0075】
第2工程領域P42において、電池用材料製造システム4は、固体電解質とバインダ樹脂との混合化を行う。第2工程領域P42は、押出機350を有する。押出機350は、第1工程領域P41において生成された固体電解質と、別途供給されるバインダ樹脂とを併せて受け入れ、受け入れた固体電解質とバインダ樹脂とを混練して混練物を製造する。押出機350は、製造した混練物を第3工程領域P43に供給する。
【0076】
第3工程領域P43において、電池用材料製造システム4は、第2工程領域P42から混練物を受け入れ、受け入れた混練物から電解質シートを製造する。第3工程領域P43は主な構成として、押出成形機360、コータ370、乾燥機380および圧延機390を有する。
【0077】
押出成形機360は、押出機350から混練物を受け入れ、受け入れた混練物を押出成形してシート状の成形物を連続的に製造する。このとき第3工程領域P43は、押出成形機360が押し出したシートに不織布などの基材361を合わせて一体化してもよい。すなわち第3工程領域P43は、シート製造装置を含む。
【0078】
次にコータ370は、成形物の表面に所定の保護膜等を塗布する。さらに乾燥機380は、所定の保護膜等が塗布された成形物を乾燥し、圧延機390に供給する。圧延機390は、乾燥した成形物を圧延して第4工程領域P44に供給する。
【0079】
第4工程領域P44において、電池用材料製造システム4は、所定のシートを貼り合わせ、これを巻き取る工程を有する。第4工程領域P44は主な構成として、ラミネータ400および巻取機410を有する。ラミネータ400は、圧延機390から供給されるシート状の成形物に、正極活物質を含む正極シート401と負極活物質を含む負極シート402とを貼り合わせ、貼り合わせた製造物を巻取機410に供給する。巻取機410は、ラミネータ400から供給される電解質シートを巻き取る。
【0080】
以上、電池用材料製造システム4の構成および電池用材料製造システム4が実行する電池用材料製造方法について説明した。実施の形態6にかかる電池用材料製造システム4は、複数の反応を要する固体電解質等の反応生成物を一貫して効率よく製造し、製造した反応生成物を用いて連続的にシートを製造できる。なお、本実施の形態にかかる電池用材料製造システム4は、
図9に示したものに限られない。例えば電池用材料製造システム4は例えば第4工程領域P44におけるラミネータ400を有していなくてもよい。
【0081】
また
図9に示すシステムは、電池用材料ではない所定の材料を製造することもできる。すなわち、
図9に示すシステムは、材料製造システムと称することが出来る。また、かかる材料製造システムが実行する方法を、材料製造方法と称することが出来る。
【0082】
また
図9に示す電池用材料製造システム4は、上述のように、第3工程領域P43において電解質シートを製造し、且つ、第4工程領域P44において正極シートをラミネートし、さらに負極シートをラミネートすることができる。このようなこれにより、電池用材料製造システム4は、電池を製造することが出来る。すなわちこの場合、
図9に示すシステムを、電池製造システムと称し、
図9に示すシステムが実行する方法を、電池製造方法と称することが出来る。
【0083】
以上に述べたように、実施の形態6によれば、所望の電池用材料、電池または所定の材料を効率よく製造するためのシステムまたはその方法を提供できる。
【0084】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 反応システム
2 反応システム
3 反応システム
4 電池用材料製造システム
10 反応装置
11 反応装置
20 反応装置
100 反応炉
101 供給口
102 送出口
110 温度制御領域
120 スクリュ
121 凸部
122 攪拌部
130 第1流体制御領域
131 第1流体入口
132 第1流体出口
133 第1流体供給管
134 第1バルブ
135 第1流体排出管
136 第1強制排出機構
140 第2流体制御領域
141 第2流体入口
142 第2流体出口
143 第2流体供給管
144 第2バルブ
145 第2流体排出管
146 第2強制排出機構
150 駆動装置
160 気流攪拌領域
161 送風ファン
162 気流制御バルブ
163 送風孔
200 制御装置
201 全体制御部
202 温度制御部
203 スクリュ回転制御部
204 第1流体制御部
205 第2流体制御部
206 IF制御部
207 記憶部
210 温度制御装置
230 第1流体制御装置
240 第2流体制御装置
250 情報入出力部
310 混練機
320 造粒機
330 乾燥機
340 粉砕分級機
350 押出機
360 押出成形機
361 基材
370 コータ
380 乾燥機
390 圧延機
400 ラミネータ
401 正極シート
402 負極シート
410 巻取機