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  • 特開-多相導電性ポリマー複合材組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021992
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】多相導電性ポリマー複合材組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20230207BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20230207BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20230207BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20230207BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230207BHJP
   H01B 1/24 20060101ALI20230207BHJP
   H01B 9/02 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L23/26
C08L23/16
C08K3/01
C08K3/04
H01B1/24 E
H01B9/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022173471
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2019523028の分割
【原出願日】2017-11-13
(31)【優先権主張番号】62/425,759
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591123001
【氏名又は名称】ユニオン カーバイド コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ブリガンディ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エム・コーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・レフナー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】架橋性ポリマーを使用し、より低い浸透限界およびより低い脆性を示すポリマー複合材組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、(A)1mN/m以上から5mN/m以下のγを有するエチレン/不飽和エステルコポリマーと、(B)0mN/m以上から1mN/m未満のγを有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、非極性ポリマー、(C)5mN/m超のγをを有するエチレン/不飽和エステルコポリマー、ならびに(D)EPDMコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーと、(A)および少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む三相ポリマー複合材を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1ミリニュートン毎メートル(mN/m)以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γP)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと、
(B)0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γP)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、
(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γP)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに
(D) 少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される、少なくとも2つの追加のポリマーと;
成分(A)および前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤と、を含む三相ポリマー複合材を含む組成物であって、
(i)前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの前記第1のポリマーは、(C)から選択され、前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの前記第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択される、組成物。
【請求項2】
成分(A)が、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、エチレン-ブチルアクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記導電性充填剤が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記三相ポリマー複合材が、
a)成分(A)、(B)および(C)、または
b)成分(A)、(C)および(D)、または
c)成分(A)、(B)および(D)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分(B)が存在し、かつポリエチレンホモポリマーおよびシラン官能化ポリエチレンホモポリマーからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分(A)が、複合材の全体積を基準として0体積%超から40体積%以下の量で存在する、
a)成分Bが、複合材の全体積を基準として0体積%超から50体積%以下の量で存在する、
b)成分Cが、複合材の全体積を基準として0体積%超から50体積%以下の量で存在する、または
c)成分Dが、複合材の全体積を基準として0体積%超から50体積%以下の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記三相ポリマー複合材が、
a)成分(A)が、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、エチレン-ブチルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、成分(B)が、ポリエチレンホモポリマーおよびシラン官能化ポリエチレンホモポリマーからなる群から選択され、成分(C)が、5mN/m超の表面張力の極性成分(γP)を有するエチレン-酢酸ビニルである、成分(A)(B)および(C)、または
b)成分(A)が、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、エチレン-ブチルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、成分(D)が、EPDMターポリマーである、成分(A)、(C)および(D)、または
c)成分(A)が、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、エチレン-ブチルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、成分(B)が、ポリエチレンホモポリマーおよびシラン官能化ポリエチレンホモポリマーからなる群から選択され、成分(D)が、EPDMターポリマーである、成分(A)、(B)および(D)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を含む半導体層を備えるケーブル。
【請求項9】
導体と、
前記導体の少なくとも一部を覆う内側半導体層と、
前記内側半導体層の少なくとも一部を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも一部を覆う外側半導体層と、を備えるケーブルであって、 前記内側および外側半導体層の少なくとも一方が、
(A)1ミリニュートン毎メートル(mN/m)以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γP)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと、
(B)0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γP)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、
(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γP)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー、ならびに
(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される、少なくとも2つの追加のポリマーと、
成分(A)および前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む、三相ポリマー複合材を含み、
(i)前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーが、(B)から選択され、前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーが、(C)もしくは(D)から選択される、または、(ii)前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの前記第1のポリマーが、(C)から選択され、前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの前記第2のポリマーが、(B)もしくは(D)から選択される、ケーブル。
【請求項10】
請求項8または9に記載のケーブルを介して電圧を印加することを含む、電気伝導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、単一ポリマー系は、例えば10-9~10-3S/cm程度の著しい導電率を達成するために、実質的な濃度の導電性充填剤を必要とする。そのような実質的な濃度の導電性充填剤は、材料の溶融粘度を増加させる一方で、材料の機械的性質も減少させる。低い充填剤濃度で複合材の導電性を高め、それによって機械的性質およびレオロジー的性質への有害な影響を最小限に抑えるための1つのアプローチは、浸透限界を下げることができる多相ポリマーブレンドを使用することである。二成分ポリマーブレンドの場合、いくつかの研究では、導電性充填剤が非混和性ポリマーブレンドに組み込まれた二相ポリマーブレンドを用いて浸透限界が低減され得、また導電性充填剤が豊富な相およびポリマーブレンド内のこの相の連続性によって支配されることが判明した。
【0002】
三元ポリマーブレンド、すなわち三成分ポリマーブレンドを、導電性充填剤、例えばカーボンブラックと組み合わせて使用すると、浸透限界が低減され、いくつかの異なるポリマー系において導電性が達成されることも示されている。しかしながら、そのような三元ポリマーブレンドは依然としてかなりの脆性を示す。用途によっては、浸透限界の増加を犠牲にして脆性を改善することができる。
【0003】
架橋性ポリマーを使用し、また改善された、すなわちより低い浸透限界、および改善された、すなわちより低い脆性を示すポリマー複合材組成物が必要とされている。さらに、改善された、すなわちより低い融点およびガラス転移温度、ならびに改善された、すなわち増加した可撓性を示すそのような複合材組成物が、特にケーブル用途のために必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、以下の成分:
(A)1ミリニュートン毎メートル(mN/m)以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと;
(B)0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、
(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに
(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーと;
成分(A)および少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む三相ポリマー複合材を含む組成物であって、
(i)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(C)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択される組成物を提供する。
【0005】
別の実施形態において、本開示は、導体と;導体の少なくとも一部を覆う内側半導体層と;内側半導体層の少なくとも一部を覆う絶縁層と;絶縁層の少なくとも一部を覆う外側半導体層とを備えるケーブルであって、内側および外側半導体層の少なくとも一方が、以下の成分:
(A)1ミリニュートン毎メートル(mN/m)以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと;
(B)0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、
(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに
(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーと;
成分(A)および少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む三相ポリマー複合材を含み、
(i)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(C)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択されるケーブルを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】浸透限界を示す比較例および本発明の実施例の抵抗率の日付のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態において、本開示は、以下の成分:(A)1ミリニュートン毎メートル(mN/m)以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと;(B)0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーと;成分(A)および少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む三相ポリマー複合材を含む組成物であって、(i)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(C)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択される組成物を提供する。
【0008】
成分A
一実施形態において、三元ポリマー複合材は(A)1mN/m以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー(「成分(A)」)を含む。
【0009】
一実施形態において、不飽和エステルは、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートである。好ましくは、アルキルは、C1-C8アルキル、より好ましくはC1-C4アルキルである。好ましいカルボキシレートは、2~8個の炭素原子、より好ましくは2~5個の炭素原子を含むものである。
【0010】
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの例は、ラウリルメタクリレート;ミリスチルメタクリレート;パルミチルメタクリレート;ステアリルメタクリレート;3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン;30メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン;シクロヘキシルメタクリレート;n-ヘキシルメタクリレート;イソデシルメタクリレート;2-メトキシエチルメタクリレート;テトラヒドロフルフリルメタクリレート;オクチルメタクリレート;2-フェノキシエチルメタクリレート;イソボルニルメタクリレート;イソオクチルメタクリレート;イソオクチルメタクリレート;オレイルメタクリレート;エチルアクリレート;メチルアクリレート;t-ブチルアクリレート;n-ブチルアクリレート;および2-エチルヘキシルアクリレートである。メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびn-またはt-ブチルアクリレートが好ましい。
【0011】
一実施形態において、成分(A)中のエステルコモノマーの量は、2重量%以上、または10重量%以上、または15重量%以上から、55重量%以下、または30重量%以下である。
【0012】
一実施形態において、成分(A)の密度は、0.900g/cc以上、または0.920g/cc以上から、0.990g/cc以下、または0.970g/cc以下である。
【0013】
一実施形態において、成分(A)のメルトインデックスは、0.1g/10分以上、または1g/10分以上、または5g/10分以上から、100g/10分以下、または50g/10分以下、または21g/10分以下である。
【0014】
一実施形態において、成分(A)の融点は166℃未満である。
【0015】
一実施形態において、成分(A)は、25℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0016】
好ましくは、成分(A)は、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、エチレン-ブチルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
一実施形態において、成分(A)は、1ミリニュートン毎メートル(mN/m)以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの2種以上のコポリマーの混合物であってもよい。
【0018】
一実施形態において、成分(A)は、三元ポリマー複合材中に、複合材の全体積を基準として0体積%超、または1体積%以上、または2.5体積%以上、または7.5体積%以上、または15体積%以上から、40体積%以下、または30体積%以下、または25体積%以下の量で存在する。
【0019】
成分B
実施形態において、三元ポリマー複合材は(B)0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー(「成分(B)」)を含む。
【0020】
一実施形態において、成分(B)は、ポリエチレンホモポリマーである。好ましくは、ポリエチレンホモポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)または高密度ポリエチレン(HDPE)である。
【0021】
LDPEは、当技術分野において公知であり、市販されている。典型的には、LDPEは、0.910g/cc以上から0.940g/cc以下の密度を有する。
【0022】
VLDPEは、当技術分野において公知であり、市販されている。典型的には、VLDPEは、0.860g/cc以上から0.915g/cc以下の密度を有する。
【0023】
LLDPEは、当技術分野において公知であり、市販されている。典型的には、LLDPEは、0.916g/cc以上から0.925g/cc以下の密度を有する。
【0024】
MDPEは、当技術分野において公知であり、市販されている。典型的には、MDPEは、0.925g/cc以上から0.940以下の密度を有する。
【0025】
HDPEは、当技術分野において公知であり、市販されている。典型的には、HDPEは、0.940g/cc以上から0.970g/cc以下の密度を有する。
【0026】
一実施形態において、成分(B)はエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。
【0027】
アルファ-オレフィンは、炭化水素分子または置換炭化水素分子(すなわち、水素および炭素以外の、例えばハロゲン、酸素、窒素等の1つ以上の原子を含む炭化水素分子)であり、炭化水素分子は、(i)ただ1つのエチレン系不飽和を含み、この不飽和は第1の炭素原子と第2の炭素原子との間に位置し、また(ii)少なくとも3個の炭素原子、好ましくは3~20個の炭素原子、いくつかの場合には好ましくは4~10個の炭素原子、他の場合には好ましくは4~8個の炭素原子を含む。コポリマーが調製されるα-オレフィンの非限定的な例には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ドデセン、およびこれらのモノマーの2つ以上の混合物が含まれる。
【0028】
一実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、好ましくは、エチレン/プロピレン、エチレン/1-ブテン、エチレン/1-ヘキセン、またはエチレン/1-オクテンコポリマーであり、より好ましくは、エチレン/プロピレン、エチレン/1-ブテン、エチレン/1-ヘキセンまたはエチレン/1-オクテン二元重合体である。
【0029】
一実施形態において、本開示における使用に適したエチレン/アルファ-オレフィンは、重合性モノマーの総量を基準として50モル%を超える重合エチレンモノマー、および少なくとも1つのアルファ-オレフィンコモノマーを含む。
【0030】
一実施形態において、ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、シランで官能化されている。そのようなシラン官能化ポリマーは、ビニルシランモノマーとの共重合によって、またはポリマー変化の主鎖にシラン含有分子をグラフトするための多くの方法のうちの1つによって作製することができる。そのような技術の例は、米国特許第3,646,155号;第6,420,485号;第6,331,597号;第3,225,018号;第4,574,133号;または第6,048,935号において開示されており、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーにシラン官能基を付加するのに使用され得るシラン化合物の例には、ビニルシラン、例えばビニルトリアルコキシシランが含まれるが、これらに限定されない。典型的には、シランの量は、一般に、ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの総重量を基準として0重量%超から5重量%以下である。
【0031】
一実施形態において、成分(B)は、シラン官能化ポリエチレンホモポリマーまたはシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。一実施形態において、成分(B)は、シラン官能化ポリエチレンホモポリマーまたはシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、架橋されている。
【0032】
一実施形態において、成分(B)は、シラングラフトポリエチレンホモポリマーまたはシラングラフトエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。一実施形態において、成分(B)は、シラングラフトポリエチレンホモポリマーまたはシラングラフトエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、架橋されている。
【0033】
好ましくは、成分(B)は、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、成分(B)は、LDPE、シラン官能化LDPE、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0034】
一実施形態において、成分(B)は、1mN/m未満、または0.5mN/m以下、または0.5mN/m未満、または0.0mN/mの表面張力の極性成分(γ)を有する。
【0035】
一実施形態において、成分(B)は、166℃未満の融点を有する。
【0036】
一実施形態において、成分(B)は、25℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0037】
一実施形態において、成分(B)は、0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、2種以上の非極性ポリマーの混合物であってもよい。
【0038】
一実施形態において、成分(B)は、複合材の全体積を基準として0体積%から、または0体積%超から、または30体積%以上から、または35体積%以上から、または40体積%以上から、50体積%以下、または49体積%以下、または48体積%以下、または45体積%以下、または42体積%以下の量で存在する。
【0039】
成分C
一実施形態において、三元ポリマー複合材は、(C)5mN/m超、または6mN/m以上、または7mN/m以上、または8mN/m以上の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー(「成分(C)」)を含む。
【0040】
一実施形態において、本開示において有用なエチレンと不飽和エステルとのコポリマーは、コポリマーの総重量を基準として5重量%以上、または10重量%以上、または15重量%以上、または20重量%以上から、50重量%以下、または40重量%以下、または35重量%以下、または30重量%以下の1種以上の不飽和エステルを含む。
【0041】
一実施形態において、本開示において有用な不飽和エステルには、酢酸ビニル、エチルアクリレート、およびブチルアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、不飽和エステルは、酢酸ビニルである。
【0042】
一実施形態において、成分(C)の融点は、166℃未満である。
【0043】
一実施形態において、ガラス転移温度(Tg)は、25℃未満である。
【0044】
一実施形態において、成分(C)は、架橋されている。
【0045】
一実施形態において、成分(C)は、5mN/m超、または6mN/m以上、または7mN/m以上、または8mN/m以上の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの2種以上のコポリマーの混合物であってもよい。
【0046】
一実施形態において、成分(C)、すなわちエチレンと不飽和エステルとのコポリマーは、複合材の全体積を基準として0体積%から、または0体積%超から、または30体積%以上から、または35体積%以上から、または40体積%以上から、50体積%以下、または49体積%以下、または48以下、または45体積%以下、または42体積%以下の量で存在する。
【0047】
成分D
一実施形態において、三元ポリマー複合材は、(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)コポリマーを含む。好ましくは、少なくとも1つのEPDMコポリマーは、EPDMターポリマー(「成分(D)」)である。
【0048】
一実施形態において、EPDMコポリマーは、エチレン由来の単位、プロピレン由来の単位、および少なくとも1つの共役ジエンまたは非共役ジエン由来の単位を含む。
【0049】
本開示のEPDMコポリマーに有用な例示的な共役ジエンには、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチルブタジエン-1,3、1,2-ジメチルブタジエン-1,3、1,4-ジメチルブタジエン-1,3、1-エチルブタジエン-1,3、2-フェニルブタジエン-1,3、ヘアジエン-1,3、4-メチルペンタジエン-1,3、1,3-ペンタジエン(CHCH=CH-CH=CH;一般にピペリレンと呼ばれる)、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2,4ジメチル-1,3-ペンタジエン、3-エチル-1,3-ペンタジエンが含まれる。好ましい共役ジエンには、ブタジエンおよびイソプレンが含まれる。
【0050】
本開示のEPDMコポリマーに有用な例示的な非共役ジエンには、例えば、脂肪族ジエン、例えば1,4-ペンタジエン、1,4-ヘアジエン、1,5-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタデン、7-メチル-1,6-オクタジエン、1,13-テトラデカジエン、1,19-エイコサジエン;環式ジエン、例えば1,4-シクロヘキサジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5ジエン、5-エチリデン-2-ノボロネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、二環式[2.2。2]オクタ-2,5-ジエン、4-ビニルシクロヘキサ-1-エン、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2,6-ジエン、1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-アリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、および1,5-シクロオクタジエン;芳香族ジエン、例えば1,4-ジアリルベンゼンおよび4-アリル-1H-インデン;ならびにトリエン、例えば2,3-ジイソプロペニリジエン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン、1,3,7-オクタトリエン、および1,4,9-デカトリエンが含まれる。好ましい非共役ジエンには、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、およびビニルノルボルネン(VNB)が含まれる。
【0051】
好ましくは、ジエンは、非共役ジエンである。好ましくは、ジエンは、DCPD、ENB、およびVNBからなる群から選択される非共役ジエンである。
【0052】
一般に、EPDMコポリマーは、EPDMコポリマーの総重量を基準として、30重量%以上、または40重量%以上、または50重量%以上から、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下のエチレンに由来する単位;15重量%以上、または20重量%以上、または25重量%以上から、60重量%以下、または55重量%以下、または50重量%以下のプロピレンに由来する単位;および0重量%超、または0.1重量%以上、または0.5重量%以上から、10重量%以下、または5重量%以下、または2重量%以下の1種以上のジエン、例えば共役または非共役ジエンに由来する単位を含む。
【0053】
好ましい実施形態において、EPDMコポリマーは、5mN/m超、または5.1mN/m以上、または5.2mN/m以上、または5.3mN/m以上の表面張力の極性成分(γ)を有する。
【0054】
一実施形態において、成分(D)の溶融温度は、166℃未満である。
【0055】
一実施形態において、成分(D)のガラス転移温度(Tg)は、25℃未満である。
【0056】
一実施形態において、成分(D)は、架橋されている。
【0057】
一実施形態において、成分(D)は、2種以上のエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)コポリマーの混合物であってもよい。
【0058】
一実施形態において、成分(D)、すなわちEPDMコポリマーは、複合材の全体積を基準として0体積%から、または0体積%超から、または30体積%以上から、または35体積%以上から、または40体積%以上から、50体積%以下、または49体積%以下、または48体積%以下、または45体積%以下、または42体積%以下の量で存在する。
【0059】
導電性充填剤
一実施形態において、導電性充填剤は、三相ポリマー複合材の成分のうちの1つのみ、すなわち成分(A)、(B)、(C)および(D)のうちの1つのみに分散される。好ましくは、導電性充填剤は、成分(A)中に分散される。
【0060】
一実施形態において、導電性充填剤は、三相ポリマー複合材の一成分のみに選択的に分散される。すなわち、一実施形態において、導電性充填剤は、最終組成物中のその一成分のみに分散されるように、三相ポリマー複合材の一成分のみと意図的に目的をもって予備混合される。
【0061】
一実施形態において、導電性充填剤が分散されていない成分(A)、(B)、(C)および(D)は、導電性充填剤を本質的に含まない。例えば、導電性充填剤が成分(A)中に分散している場合、成分(B)、(C)および(D)から選択される残りの2つの成分は導電性充填剤を本質的に含まない。本明細書において使用される場合、「導電性充填剤を本質的に含まない」とは、導電性充填剤を含む成分以外の成分がそれぞれ、成分の全体積を基準として0.5体積%以下、または0.25体積%以下、または0.1体積%以下、または0.05体積%以下の導電性充填剤を含むことを意味する。
【0062】
導電性充填剤は、半導体シールドに一般的に使用されている従来のカーボンブラックであってもよい。本開示において有用な他の導電性充填剤には、カーボンフラーレン(好ましくはカーボンナノチューブ)、グラファイト、グラフェン、他の金属粒子、および導電性ポリマー、例えばポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、およびポリアニリンが含まれる。好ましくは、導電性充填剤は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、導電性充填剤は、カーボンブラックである。
【0063】
本開示において有用な代表的なカーボンブラックは、0超から100ナノメートル(nm)以下、好ましくは50nm以下の平均粒径を有し得る。一実施形態において、本開示において有用なカーボンブラックは、700m/g以上から1250m/g以下、または700m/g以上から900m/g以下の表面積(BET)を有する。一実施形態において、本開示において有用なカーボンブラックは、200ml/100g以上から600ml/100g以下、または300ml/100g以上から500ml/100g以下の吸油量(フタル酸ジブチルまたはDBP)を有する。
【0064】
一実施形態において、約35nm以下の粒径、約750~850m/gの表面積(BET)、および約約300~400ml/100gの吸油量を有する、AKZO Ketjenblack EC300Jが本開示における使用に適したカーボンブラックである。
【0065】
一実施形態において、導電性充填剤は、三元ポリマー複合材中に、複合材の全体積を基準として0体積%超、または0.25体積%以上、または0.5体積%以上、または1体積%以上、または1.5体積%以上、または2体積%以上、または3体積%以上、または5体積%以上、または10体積%以上から、30体積%以下、または20体積%以下、または15体積%以下、または12体積%以下の量で存在する。
【0066】
組成物
本開示は、以下の成分:(A)1mN/m以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと;(B)0.0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーと;成分(A)および少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む三相ポリマー複合材を含む組成物であって、(i)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(C)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択される組成物を提供する。
【0067】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(C)、または成分(A)、(B)および(D)、または成分(A)、(C)および(D)を含む三相ポリマー複合材を含む。一実施形態において、三相ポリマー複合材は、成分(A)中に分散した導電性充填剤を含む。
【0068】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(C)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(A)中に分散している。
【0069】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(C)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(B)中に分散している。
【0070】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(C)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(C)中に分散している。
【0071】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(D)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(A)中に分散している。
【0072】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(D)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(B)中に分散している。
【0073】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(D)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(D)中に分散している。
【0074】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(C)および(D)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(A)中に分散している。
【0075】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(C)および(D)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(C)中に分散している。
【0076】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(C)および(D)を含む三相ポリマー複合材を含み、導電性充填剤は成分(D)中に分散している。
【0077】
一実施形態において、組成物は、成分(A)、(B)および(C)を含み、成分(B)は、ポリエチレンホモポリマーまたはシラングラフトポリエチレンホモポリマーである。
一実施形態において、組成物は成分(A)、(B)および(D)を含み、成分(B)は、ポリエチレンホモポリマーまたはシラン官能化ポリエチレンホモポリマーである。
【0078】
一実施形態において、本開示は、以下の成分:(A)1mN/m以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと;(B)0.0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーと;成分(A)および少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む三相ポリマー複合材を含む組成物であって、(i)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(C)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択され、三相ポリマー複合材は、多相複合材である、すなわち、3つのポリマー成分のそれぞれが独自の相として存在する組成物を提供する。
【0079】
一実施形態において、組成物は、1種以上の添加剤を含む。そのような添加剤は、処理前、処理中および/または処理後に組成物に添加され得る。添加剤の量は、通常、組成物の総重量を基準として約0.01重量%から約3重量%の範囲内である。有用な添加剤には、追加の酸化防止剤、有機過酸化物を含む架橋剤、硬化促進剤、助剤、スコーチ防止剤およびシランが含まれる。
【0080】
一実施形態において、組成物は、9未満、または7未満、または5未満、または4未満、または3未満の、体積抵抗率(オーム-cm)対導電性充填剤パーセント(体積%)の対数で定義される導電率を有する。
【0081】
一実施形態において、組成物は、室温で脆性破壊を示さない。
【0082】
一実施形態において、組成物は、少なくとも1つの架橋成分を含み、すなわち成分(B)、成分(C)および成分(D)のうちの少なくとも1つが組成物中に存在し、架橋されている。
【0083】
組成物を形成する方法
実施形態において、本開示は、以下の成分:(A)1mN/m以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと;(B)0.0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーと;成分(A)および少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む三相ポリマー複合材を含む組成物であって、(i)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(C)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択される組成物を形成する方法を提供する。
【0084】
一実施形態において、成分(A)および少なくとも2つの追加のポリマーは、導電性充填剤と共に溶融ブレンドされる。特に、一実施形態において、方法は、(A)1mN/m以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと;(B)0.0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーとを、導電性充填剤と共に溶融ブレンドすることを含む。
【0085】
好ましくは、導電性充填剤は、(A)、(B)、(C)および(D)のうちの1つと溶融ブレンドされて、マスターバッチが形成される。次いで、マスターバッチは、(A)、(B)、(C)および(D)の残りの2つの成分と溶融ブレンドされる。一実施形態において、導電性充填剤は、(A)と溶融ブレンドされて、マスターバッチが形成される。次いで、マスターバッチは、(i)(B)および(C)もしくは(D)の一方、または(ii)(C)および(B)もしくは(D)の一方と溶融ブレンドされる。
【0086】
一実施形態において、導電性充填剤は、マスターバッチ中に10重量%以上、または15重量%以上、または20重量%以上、または25重量%以上、または30重量%以上から、50重量%以下、または40重量%以下、または35重量%以下の量で存在する。
【0087】
任意選択で、溶融ブレンド前、溶融ブレンド中または溶融ブレンド後に追加の添加剤が添加されてもよい。
【0088】
ケーブル
本開示はまた、本明細書に記載の複合材組成物を含む層(例えば半導体層)を備える電力ケーブル等のケーブルを提供する。
【0089】
一実施形態において、本開示は、導体と、導体の少なくとも一部を覆う半導体層とを備える電力ケーブル等のケーブルであって、半導体層は本明細書に記載の複合組成物を含むケーブルを提供する。好ましくは、ケーブルは、導体と、導体の少なくとも一部を覆う内側半導体層と、内側半導体層の少なくとも一部を覆う絶縁層と、絶縁層の少なくとも一部を覆う外側半導体層とを備え、内側および外側半導体層の少なくとも一方は、本明細書に記載の複合組成物を含む。
【0090】
実施形態において、内側および/または外側半導体層は、以下の成分:(A)1mN/m以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ)を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと;(B)0.0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ)を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ)を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される少なくとも2つの追加のポリマーと;成分(A)および少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む三相ポリマー複合材を含む組成物を含み、(i)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(C)から選択され、少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択される。
【0091】
一実施形態において、本開示は、本明細書に開示されるケーブルを介して電圧を印加することを含む、電気を伝導する方法を提供する。
【0092】
定義
別段の記載がない限り、すべての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0093】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含む材料の混合物を含む。
【0094】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じまたは異なる種類に限らずモノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において以下に定義されるコポリマーという用語を包含する。例えば、触媒残渣等の微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。本明細書で使用される場合、「コポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、コポリマーという一般的な用語は、二元重合体(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0095】
用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。曖昧さを避けるために、「含む(comprising)」という用語を使用して請求される全ての組成物は、別途記載がない限り、任意の追加の添加剤、アジュバント、またはポリマー化合物であるか否かにかかわらず化合物を含んでもよい。対照的に、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる(consisting of)」という用語は、具体的に列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙されたメンバーを個々に、および任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、逆の場合も同じである。
【0096】
試験方法
低抵抗(<10オーム(Ω))測定:低抵抗測定は、20点プローブ付きKeithley 2700 Integraシリーズデジタルマルチメータを使用して行う。各配合物について少なくとも2つの試料(長さ101.6mm×幅50.8mm×厚さ1.9mm)を試験する。ポリマー複合材の電気抵抗率は、圧縮成形試料から得られる。試料と電極との間の接触抵抗を最小限に抑えるために、銀塗料(導電性銀#4817N)が塗布される。
【0097】
高抵抗(>10Ω)測定:高抵抗測定は、直径76.2mmおよび厚さ1.9mmの円板試料を用い、Keithley Model 6517B電位計高抵抗メータおよびモデル8009抵抗率試験チャンバを使用して行う。
【0098】
体積抵抗率:
脆性:複合材の脆性は、幅25.4mm、長さ203.2mmの長方形の試験片を、端部が接触するまで荷重下で曲げることにより試験する。
【0099】
実験
本開示のポリマー、組成物、および方法、ならびにそれらの使用は、以下の実施例によってさらに十分に説明される。以下の実施例は、本発明を例示する目的で提供されており、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0100】
材料
PP:ポリプロピレンホモポリマー(230℃でのMFR(I2.16)=1.8g/10分;密度=0.935g/cc)
PMMA:ポリ(メチルメタクリレート)(230℃でのMFR(I2.16)=12.1g/10分;密度=1.180g/cc)
EAA-CB:エチルアクリル酸/カーボンブラックマスターバッチ
EAA:エチルアクリル酸(230℃でのMFR(I2.16)=8.5g/10分;密度=0.938g/cc)
Si-LDPE:エチレン-ビニルトリメトキシシランコポリマー(230℃でのMFR(I2.16)=1.5g/10分;密度=0.920g/cc)
EPDM:エチレンプロピレンジエンモノマーゴム;EPDMの重量を基準としてジエンレベルが0.9重量%の半結晶性炭化水素ゴム(125℃でのムーニー粘度=18)
LDPE:低密度ポリエチレン(230℃でのMFR(I2.16)=2.3g/10分;密度=0.920g/cc)
EVA:エチレン-酢酸ビニル(230℃でのMFR(I2.16)=3.0g/10分;密度=0.956g/cc)
EEA:エチレン-エチルアクリレート(230℃でのMFR(I2.16)=20g/10分;密度=0.930g/cc)
EEA-CB:エチレン-酢酸ビニル/カーボンブラックマスターバッチ 上に挙げたポリマーの表面エネルギーデータを、以下の表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
以下の表2に示す配合を有する比較例1~6を調製する。比較PP/PMMA/(EAA-CB)複合材を、既知の従来技術の方法と同様に調製し、従来技術の系の脆性を示すために使用する。導電性カーボンブラック(CB)をEAAポリマー相内で予備混合し、マスターバッチの全体積を基準として9.3体積%のCB含有量を有するEAA-CBマスターバッチを形成する。マスターバッチは、250ccの内部C.W.Brabenderバッチプレミキサーを使用して溶融混合することにより調製する。EAAポリマーおよびCBをバッチプレミキサーのミキシングボウルに直接投入し、130℃で10分間60rpmで配合する。EAA-CBマスターバッチをバッチプレミキサー内で他の2つのポリマーと合わせ、190℃で5分間60rpmで混合する。次いで、試料を取り出す。次いで、複合材を8インチ×8インチ×0.075インチのプラークに圧縮成形する。ポリマー複合材を135℃および3.45MPaで5分間圧縮成形する。5分後、圧力を17MPaに上げ、続いて190℃で30分間熱アニールする。次いで試料を30℃に冷却し、プレス機から取り出す。
【0103】
比較例1~6を作製するのに使用した方法と同様の方法を使用して、下記の表1に示す配合を有する比較例7~10を調製する。EAA-CBマスターバッチを、比較例1~6について説明したように調製し、次いでEEAと混合して単相複合材を調製する。EAA-CBマスターバッチおよびEEAを、135℃で5分間40rpmで溶融混合する。次いで、試料を取り出す。複合材を8インチ×8インチ×0.075インチのプラークに圧縮成形する。ポリマー複合材を135℃および3.45MPaで5分間圧縮成形する。5分後、圧力を17MPaに上げ、続いて135℃で15分間熱アニールする。次いで試料を30℃に冷却し、プレス機から取り出す。
【0104】
以下の表1に示す配合を有する本発明の実施例1~16を調製する。本発明の実施例では、導電性カーボンブラックをEEAポリマー相と予備混合して、マスターバッチの全体積を基準として20体積%のCB含有量を有するEEA-CBマスターバッチを形成する。マスターバッチは、250ccの内部C.W.Brabenderバッチプレミキサーを使用して溶融混合することにより調製する。EEAおよびCBをバッチプレミキサーのミキシングボウルに直接投入し、130℃で10分間60rpmで配合する。マスターバッチをバッチプレミキサー内で他の2つのポリマーと合わせ、135℃で5分間40rpmで混合する。次いで、試料を取り出す。次いで、複合材を8インチ×8インチ×0.075インチのプラークに圧縮成形する。ポリマー複合材を135℃および3.45MPaで5分間圧縮成形する。5分後、圧力を17MPaに上げ、続いて135℃で15分間熱アニールする。次いで試料を30℃に冷却し、プレス機から取り出す。
【0105】
【表2】
【0106】
複合材(比較例および本発明の実施例)についての結果を表3に示す。比較例1~6(PP+PMMA+EAA-CBマスターバッチ)とは異なり、本発明の実施例は、より低いCB投入量で低減された浸透閾値を示し、導電率を達成した。低減された浸透限界は、図1において特に見られる。本発明の実施例および比較例7~10を、荷重下に置かれたときの破損および亀裂について観察する。結果は、本発明の実施例が先行技術の単一ポリマー系よりも改善されていることを示している。特に、本発明の実施例は、より低い溶融温度およびガラス転移温度を有するポリマー系に関してそのような従来技術の系より改善されており、その結果、プロセス限界を超える融点およびガラス転移温度を有すると共に多くの用途には適さない非常に脆い材料をもたらすPP/PMMA系のものと比較して、より安定な、より延性が高い/可撓性の系が得られる。
【0107】
【表3】
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
材料
PP:ポリプロピレンホモポリマー(230℃でのMFR(I2.16)=1.8g/10分;密度=0.935g/cc)
PMMA:ポリ(メチルメタクリレート)(230℃でのMFR(I2.16)=12.1g/10分;密度=1.180g/cc)
EAA-CB:エチルアクリル酸/カーボンブラックマスターバッチ
EAA:エチルアクリル酸(230℃でのMFR(I2.16)=8.5g/10分;密度=0.938g/cc)
Si-LDPE:エチレン-ビニルトリメトキシシランコポリマー(230℃でのMFR(I2.16)=1.5g/10分;密度=0.920g/cc)
EPDM:エチレンプロピレンジエンモノマーゴム;EPDMの重量を基準としてジエンレベルが0.9重量%の半結晶性炭化水素ゴム(125℃でのムーニー粘度=18)
LDPE:低密度ポリエチレン(230℃でのMFR(I2.16)=2.3g/10分;密度=0.920g/cc)
EVA:エチレン-酢酸ビニル(230℃でのMFR(I2.16)=3.0g/10分;密度=0.956g/cc)
EEA:エチレン-エチルアクリレート(230℃でのMFR(I2.16)=20g/10分;密度=0.930g/cc)
EEA-CB:エチレン-エチルアクリレート/カーボンブラックマスターバッチ
上に挙げたポリマーの表面エネルギーデータを、以下の表1に示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
【表3】

本願は以下の態様にも関する。
(1) (A)1ミリニュートン毎メートル(mN/m)以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ )を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと、
(B)0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ )を有し、ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、
(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ )を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー;ならびに
(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される、少なくとも2つの追加のポリマーと;
成分(A)および前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤と、を含む三相ポリマー複合材を含む組成物であって、
(i)前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーは、(B)から選択され、前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーは、(C)もしくは(D)から選択され、または、(ii)前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの前記第1のポリマーは、(C)から選択され、前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの前記第2のポリマーは、(B)もしくは(D)から選択される、組成物。
(2) 成分(A)が、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、エチレン-ブチルアクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、(1)に記載の組成物。
(3) 前記導電性充填剤が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、(1)または(2)に記載の組成物。
(4) 前記三相ポリマー複合材が、
a)成分(A)、(B)および(C)、または
b)成分(A)、(C)および(D)、または
c)成分(A)、(B)および(D)を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
(5) 成分(B)が存在し、かつポリエチレンホモポリマーおよびシラン官能化ポリエチレンホモポリマーからなる群から選択される、(1)~(4)のいずれかに記載の組成物。
(6) 成分(A)が、複合材の全体積を基準として0体積%超から40体積%以下の量で存在する、
a)成分Bが、複合材の全体積を基準として0体積%超から50体積%以下の量で存在する、
b)成分Cが、複合材の全体積を基準として0体積%超から50体積%以下の量で存在する、または
c)成分Dが、複合材の全体積を基準として0体積%超から50体積%以下の量で存在する、(1)~(5)のいずれかに記載の組成物。
(7) 前記三相ポリマー複合材が、
a)成分(A)が、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、エチレン-ブチルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、成分 (B)が、ポリエチレンホモポリマーおよびシラン官能化ポリエチレンホモポリマーからなる群から選択され、成分(C)が、5mN/m超の表面張力の極性成分(γ )を有するエチレン-酢酸ビニルである、成分(A)(B)および(C)、または
b)成分(A)が、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、
エチレン-ブチルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、成分(D)が、EPDMターポリマーである、成分(A)、(C)および(D)、または
c)成分(A)が、エチレン-エチルアクリレート、エチレン-メチルアクリレート、エチレン-ブチルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、成分(B)が、ポリエチレンホモポリマーおよびシラン官能化ポリエチレンホモポリマーからなる群から選択され、成分(D)が、EPDMターポリマーである、成分(A)、(B)および(D)を含む、(1)~(6)のいずれかに記載の組成物。
(8) (1)~(7)のいずれかに記載の組成物を含む半導体層を備えるケーブル。
(9) 導体と、
前記導体の少なくとも一部を覆う内側半導体層と、
前記内側半導体層の少なくとも一部を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の少なくとも一部を覆う外側半導体層と、を備えるケーブルであって、
前記内側および外側半導体層の少なくとも一方が、
(A)1ミリニュートン毎メートル(mN/m)以上から5mN/m以下の表面張力の極性成分(γ )を有する、エチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマーと、
(B)0mN/m以上から1mN/m未満の表面張力の極性成分(γ )を有し、
ポリエチレンホモポリマー、シラン官能化ポリエチレンホモポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、およびシラン官能化エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1つの非極性ポリマー、
(C)5mN/m超の表面張力の極性成分(γ )を有するエチレンと不飽和エステルとの少なくとも1つのコポリマー、ならびに
(D)少なくとも1つのエチレンプロピレンジエンモノマーコポリマーからなる群から選択される、少なくとも2つの追加のポリマーと、
成分(A)および前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの1つのみに分散した導電性充填剤とを含む、三相ポリマー複合材を含み、
(i)前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第1のポリマーが、(B)から選択され、前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの第2のポリマーが、(C)もしくは(D)から選択される、または、(ii)前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの前記第1のポリマーが、(C)から選択され、前記少なくとも2つの追加のポリマーのうちの前記第2のポリマーが、(B)もしくは(D)から選択される、ケーブル。
(10) (8)または(9)に記載のケーブルを介して電圧を印加することを含む、電気伝導方法。
【外国語明細書】