(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022000
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/62 20060101AFI20230207BHJP
C07C 211/14 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C07C209/62
C07C211/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022174747
(22)【出願日】2022-10-31
(62)【分割の表示】P 2020506734の分割
【原出願日】2018-08-07
(31)【優先権主張番号】17185949.9
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Nouryon Chemicals International B.V.
【住所又は居所原語表記】Velperweg 76, 6824 BM Arnhem, the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】テン ケイト,アントーン ジェイコブ ベレンド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネマン,レンス
(72)【発明者】
【氏名】ラージメイカーズ,ミヒール ジョゼフ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴィック,スラヴィサ
(72)【発明者】
【氏名】エドヴィンソン,ロルフ クリスター
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダム,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】カンツァー,アイケ ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】エーラス,イナ
(72)【発明者】
【氏名】スカンセン,ビョルン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】サーニング,ミカエル ベルティル アイナー
(72)【発明者】
【氏名】レイク,カール フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ワーナーソン,スティグ ミカエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法であって、大量の苛性剤または水の存在に依拠せず、効率的に実施することができる方法を提供する。
【解決手段】環式アルキレン尿素を含む供給原料を、液相において、水と、尿素部分1モル当たり0.1~20モルの水の量で少なくとも230℃の温度で反応させつつ、CO2を除去する方法である。本方法は、収率が高く、副生成物の生成が少ない。前記環式アルキレン尿素が、EU(エチレン尿素、エチレンジアミン(EDA)の尿素誘導体)、UDETA(ジエチレントリアミン(DETA)の尿素誘導体)、UTETA(トリエチレンテトラアミン(TETA)の尿素誘導体の基)、DUTETA(トリエチレンテトラミンのジ尿素誘導体)、UTEPA(テトラエチレンペンタミン(TEPA)の尿素誘導体)等のうちの1種または複数を含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法であって、環
式アルキレン尿素を含む供給原料を、液相において、水と、尿素部分1モル当たり0.1
~20モルの水の量で少なくとも230℃の温度で反応させつつ、CO2を除去する、方
法。
【請求項2】
前記環式アルキレン尿素が、下記の反応
【化1】
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、水素、式X-R
3-(NH-R
3-)p-
のアルキレンアミン基、もしくは式X-R
3-(O-R
3-)n-のアルコキシ基、また
はそのようなアルキレンアミンおよびアルコキシ単位pおよびnを組み合わせた基の群か
ら選択され、任意選択で1つまたは複数の単位~N-R
3-N~は、下記環
【化2】
のどちらか1つとして存在することができ、
R
3はそれぞれ独立して、以下に定義される通りであり、Xは、ヒドロキシル、アミン、
直鎖状または分枝状C1~C20ヒドロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキル
基とすることができ、(nおよびpは独立して、少なくとも1、好ましくは2~20であ
り)、1つまたは複数のピペラジンまたはアルキレン尿素基を任意選択で含み、あるいは
pまたはnが0であるとき、C1~C20ヒドロキシアルキルまたはC1~C20アミノ
アルキルとすることができ、R
3は、アルキレンまたは置換アルキレンである]
に従って反応してアルキレンアミンになる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R2が、水素原子である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
R3が、エチレン、プロピレン、またはイソプロピレン、特にエチレンである、請求項
2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記環式アルキレン尿素が、EU(エチレン尿素、エチレンジアミン(EDA)の尿素
誘導体)、UDETA(ジエチレントリアミン(DETA)の尿素誘導体)、UTETA
(トリエチレンテトラアミン(TETA)の尿素誘導体の基)、DUTETA(トリエチ
レンテトラミンのジ尿素誘導体)、UTEPA(テトラエチレンペンタミン(TEPA)
の尿素誘導体)、DUTEPA(TEPAのジ尿素誘導体)、またはペンタエチレンヘキ
サミン(PEHA)および高級類似体の尿素誘導体、UAEEA(アミノエチルエタノー
ルアミンの尿素誘導体)、HE-UDETA(ヒドロキシエチルジエチレントリアミンの
尿素誘導体)、HE-UTETA(ヒドロキシエチルトリエチレンテトラアミンの尿素誘
導体)、HE-DUTETA(ヒドロキシエチルトリエチレンテトラアミンのジ尿素誘導
体)、あるいはこれらのいずれかの混合物のうちの1種または複数を含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記供給原料が、混合物中に存在する環式尿素化合物の合計に対して算出して、少なく
とも10モル%、特に少なくとも15モル%、さらに特に少なくとも20モル%の、-N
H-R3-NH-R3-NH-R3-NH-部分を含むアルキレンアミン化合物の環式尿
素誘導体を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
水と尿素部分のモル比が、尿素部分1モル当たり最大でも15モルの水、さらに特に尿
素部分1モル当たり最大でも10モルの水、またはさらに尿素部分1モル当たり最大でも
5モルの水である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記水が、前記方法中に分割投入でまたは連続的に添加される、請求項1から7のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応が、少なくとも240℃、特に少なくとも250℃、好ましくは最大でも40
0℃、特に最大でも350℃、さらに特に最大でも320℃の温度で実施される、請求項
1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
CO2が、前記反応中に除去される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応が、15分~24時間、特に1時間~12時間、さらに特に1時間~6時間の
反応時間実施される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
環式アルキレン尿素は、カルボニル部分とアルキレン部分とによって連結された2個の
窒素原子を含む化合物である。例えば、環式エチレン尿素は、次式によるカルボニル部分
とエチレン部分とによって2個の窒素原子が連結されている環式エチレン尿素部分を含む
化合物である。
【0003】
【0004】
環式アルキレン尿素化合物は、CO基の除去および2個の水素原子の付加によって、対
応するアルキレンアミンに変換することができる。アルキレンアミン、特にエチレンアミ
ン、具体的には特にジエチレントリアミン(DETA)および(直鎖状)トリエチレンテ
トラミン(L-TETA)などの高級エチレンアミンは、商業的観点から魅力的な製品で
ある。環式エチレン尿素はそれらと共に、エチレンジアミンおよび高級エチレンアミンの
製造において魅力的な前駆体である。
【0005】
しかし、環式アルキレン尿素は比較的安定であり、対応するアルキレンアミンに変換す
るのが困難であることが判明した。これは、従来技術からもわかる可能性があり、変換は
、大過剰の無機強塩基を用いてまたは大量の水の存在下で実施される。環式アルキレン尿
素を対応するアルキレンアミンに変換する上での困難は、特に、アルキレン尿素部分が別
のアルキレンアミン部分に窒素原子を介して連結されている化合物、特にアルキレン尿素
部分が別の2つのアルキレンアミン部分の間に存在している化合物に当てはまる。
【0006】
米国特許第4,503,250号は、直鎖状ポリアルキレンポリアミンを調製する方法
であって、アンモニアもしくは2つの第一級アミノ基を有するアルキレンアミン化合物ま
たはそれらの混合物と、アルコールまたは第一級アミノ基および第一級もしくは第二級ヒ
ドロキシル基を有するアルカノールアミン化合物あるいはそれらの混合物を炭酸の誘導体
の存在下で、反応混合物を液相中に実質的に維持するのに十分な加圧下で反応が進行する
温度で反応させるステップを含む方法を記載している。この方法によって、ポリアルキレ
ンポリアミンの尿素付加物が形成される。尿素付加物は、50%水性KOHを用いて還流
下に終夜反応させることによってポリエチレンポリアミンに変換される。二酸化炭素1モ
ル当たりKOH8モルが使用される。
【0007】
米国特許第4,387,249号は、エチレンジアミン(EDA)、エタノールアミン
(MEA)および尿素を反応させて、アミノエチルエチレン尿素(UDETA)およびエ
チレン尿素(EU)を得、加水分解して、DETAおよびEDAが形成される方法を開示
している。加水分解ステップは、不活性雰囲気中、ブレンステッド塩基の存在下で行われ
る。ブレンステッド塩基は、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、より好ましくはNaO
Hの水性溶液である。例において、5モル/リットルのNaOH溶液を使用して、200
℃の温度で自生圧力下に加水分解が行われる。NaOHの使用量は、エチレン尿素部分1
mol当量当たり6.5モルのNaOHに一致するように算出することができる。この参
考文献において、変換される化合物、すなわちアミノエチルエチレン尿素(UDETA)
およびエチレン尿素(EU)は、アルキレン尿素部分が別の2つのアルキレンアミン部分
間に存在する変換し難い化合物ではないことに留意されたい。
【0008】
米国特許第2,812,333号は、水の存在下で高温で加熱し、CO2を除去するこ
とによって、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリノン-2を対応するヒドロキシエ
チルエチレンジアミンに加水分解する方法を記載している。反応は、大過剰の水中で行わ
れる。例において、12%の1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリノン-2溶液が使
用される。変換率は低い。試験条件下で、1時間当たり約5%の化合物が加水分解した。
【0009】
英国特許第878,967号明細書は、オートクレーブ中、水を用いて175℃で加水
分解することによって、N-β-ヒドロキシエチルエチレンジアミンを調製することが知
られていることを示す。この方法はあまり実用でなく、8時間で変換率が25%であるこ
とが示されている。この参考文献には、濃硫酸を使用する代替方法が提示されている。こ
の方法は、大量の水および硫酸を使用し、その後に塩基、この場合CaOを使用する中和
を必要とする。
【0010】
米国特許第2,847,418号明細書は、モル当量の5%NaOH水溶液を使用して
、1,3-ジ-(2-ヒドロキシエチル)-イミダゾリノン-2を対応するアミンに加水
分解する方法を記載している。したがって、水の量は、かなり大量である。プロセス条件
に関する詳細な情報は提示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当技術分野において、環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換
する方法であって、大量の苛性剤または水の存在に依拠せず、効率的に実施することがで
きる方法が求められている。本発明は、そのような方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法で
あって、環式アルキレン尿素を含む供給原料を、液相において、水と、尿素部分1モル当
たり0.1~20モルの水の量で少なくとも230℃の温度で反応させつつ、CO2を除
去する、方法に関する。
【0013】
本発明による方法により、アルキレン尿素の対応するアルキレンアミンへの効率的な変
換が可能になることが判明した。本方法は、収率が高く、副生成物の生成が少ない。特に
、本発明による方法は、一方ではアルキレン尿素部分が別の2つのアルキレンアミン部分
間に存在する副生成物である環式アルキレン尿素の生成を低減させ、同時に強塩基および
大量の水性溶媒の使用を回避し、したがって塩廃棄物流、腐食および生成物分解を回避す
る、または少なくとも最小限にすることが判明した。本発明による方法の別の利点および
それらの具体的実施形態は、以下の明細書から明確になる。
【0014】
本発明を以下にさらに詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本明細書に記載されるいくつかの化合物の化学式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において使用される出発物質は、環式アルキレン尿素を含む反応混合物である。
環式アルキレン尿素は、カルボニル部分とアルキレン部分とによって連結された2個の窒
素原子を含む化合物である。例えば、環式エチレン尿素において、次式のように、カルボ
ニル部分とエチレン部分とを通じて2個の窒素原子が連結されている。
【0017】
【0018】
好ましい実施形態において、本発明の方法では、変換を受けて、対応するアルキレンア
ミンをもたらす環式アルキレン尿素は、
【0019】
【化3】
であり、式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、水素、式X-R
3-(NH-R
3-
)
P-のアルキレンアミン基、もしくは式X-R
3-(O-R
3-)
n-のアルコキシ基
、またはそのようなアルキレンアミンおよびアルコキシ単位pおよびnを組み合わせた基
の群から選択され、1つまたは複数の単位~N-R
3-N~は、下記環
【0020】
【化4】
のどちらか1つとして存在することができ、
R
3はそれぞれ独立して、以下に定義される通りであり、Xは、ヒドロキシル、アミン、
直鎖状または分枝状C1~C20ヒドロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキル
基とすることができ、(nおよびpは独立して、少なくとも0、好ましくは1~20、よ
り好ましくは2~20であり)、1つまたは複数のピペラジンまたはアルキレン尿素基を
任意選択で含み、あるいはpまたはnが0であるとき、C1~C20ヒドロキシアルキル
またはC1~C20アミノアルキルとすることができ、R
3は、アルキレンまたは置換ア
ルキレンである。
【0021】
好ましい実施形態において、R2は、水素原子であり、R1は水素原子でない。
【0022】
より好ましい実施形態において、R2は、水素原子であり、R1は、反復アルキレンア
ミン基、さらにより好ましくは式X-(NH-C2H4)nの反復エチレンアミン基を含
むことができる基であり、任意選択で1つまたは複数の単位-NH-C2H4-NH-は
、下記環
【0023】
【化5】
の1つとして存在することができ、nは、0~20であり、Xは、水素原子、アミノアル
キル、ヒドロキシアルキル、N-イミダゾリジノンアルキルもしくはピペラジノアルキル
基とすることができ、またはnが0であるとき、ヒドロキシアルキルもしくはアミノアル
キルとすることができ、最も好ましくはアルキルがエチルである。
【0024】
R3は、好ましくはエチレンまたはプロピレンであり、C1~C3アルキル置換基で任
意選択で置換されている。より好ましくは、それは、非置換エチレン、非置換プロピレン
またはイソプロピレンであり、最も好ましくは非置換エチレンである。
【0025】
最も好ましい環式アルキレン尿素のいくつかの例は、EU(エチレン尿素)、UDET
A(ジエチレントリアミンの尿素)、UTETA(トリエチレンテトラアミンの尿素、す
なわちそれぞれ尿素が鎖中の1番目のアミンと2番目のアミンの間それとも2番目のアミ
ンと3番目のアミンの間に存在するかに依存してU1TETAまたはU2TETA)、D
UTETA(トリエチレンテトラミンのジ尿素)、UTEPA(テトラエチレンペンタミ
ンの尿素、すなわち尿素単位が位置する場所に依存してU1TEPA、U2TEPA)、
DUTEPA(DU1,3TEPA、DU1,4TEPA、テトラエチレンペンタミンの
ジ尿素)、UAEEA(アミノエチルエタノールアミンの尿素)、HE-UDETA(2
つの異性体HE-U1DETAおよびHE-U2DETAとして存在することができるヒ
ドロキシエチルジエチレントリアミンの尿素)、HE-UTETA(3つの異性体HE-
U1TETA、HE-U2TETAおよびHE-U3TETAとして存在することができ
るヒドロキシエチルトリエチレンテトラアミンの尿素)、HE-DUTETA(ヒドロキ
シエチルトリエチレンテトラアミンのジ尿素)、またはそれらのいずれかの混合物である
。いくつかの上記環式アルキレン尿素の分子構造を
図1に示す。いかなる混乱も避けるた
め、環式尿素単位Uが位置するアミン基の番号が与えられている場合、アミン基は、ヒド
ロキシエチル化エチレンアミンの場合には、ヒドロキシル基を含まない端部におけるアミ
ン基である分子の末端アミン基から数えるものとする。
【0026】
本発明による方法は、混合物中に存在する環式尿素化合物の合計に対して算出して、少
なくとも10モル%の、-NH-R3-NH-R3-NH-R3-NH-部分を含むアル
キレンアミン化合物の環式尿素誘導体を含むアルキレンアミンの混合物を変換するのに特
に適している。この部分を有する化合物の環式尿素誘導体は、対応するアミンに変換する
のは比較的困難であり、本発明の方法の特徴は、これらの化合物を含む混合物を、高収率
を得ながら変換することができることである。出発物質が、混合物中に存在する環式尿素
化合物の合計に対して算出して、少なくとも15モル%、特に少なくとも20モル%の、
-NH-R3-NH-R3-NH-R3-NH-部分を含むアルキレンアミン化合物の環
式尿素誘導体を含むアルキレンアミンの混合物であることが好ましいことがある。
【0027】
本発明による方法において、環式アルキレン尿素を含む供給原料を、液相において、水
と、尿素部分1モル当たり0.1~20モルの水の量で少なくとも230℃の温度で反応
させつつ、CO2を除去する。
【0028】
本発明による方法において、水を、出発供給原料中に存在する尿素部分1モル当たり0
.1~20モルの水の量で使用する。尿素部分1モル当たり0.1~20モルの範囲の水
は、反応の開始時において供給原料中の尿素部分の量に対して算出して、本方法中に添加
された全水量を指す。完全な変換を得るためには、尿素部分1モルの変換当たり1モルの
水が必要とされる。完全な変換が常に必要とは限らないので、水の減量が考えられ得る。
したがって、尿素部分1モル当たり少なくとも0.1モルの量の水が使用される。高量、
例えば尿素部分1モル当たり少なくとも0.2モルの水、特に尿素部分1モル当たり少な
くとも0.5モルの水が使用されることが多い。
【0029】
本発明による方法において、尿素部分1モル当たり最大でも20モルの水という比較的
限定された量の水で、良好な変換を得ることができることが判明した。尿素部分1モル当
たり最大でも15モルの量の水、さらに特に尿素部分1モル当たり最大でも10モルの量
の水、またはさらに尿素部分1モル当たり最大でも5モルの水などのはるかに少ない量の
水で機能することができることが判明した。
【0030】
第1のステップに提供される組成物が、合計の少なくとも70重量%を水と、環式アル
キレン尿素、特に以上に好ましいと指摘したものと、存在する場合、第一級アミン、環式
第二級アミン、および二環式第三級アミンの群から選択されるアミン化合物、特に以上に
好ましいと指摘したものとからなることが好ましい。第1のステップに提供される組成物
が、合計の少なくとも80重量%、さらに特に少なくとも90重量%をこれらの化合物か
らなることが特に好ましい。
【0031】
水は、本方法の初めに一括投入で添加することができる。しかし、水を本方法中に分割
投入でまたは連続的に添加することが好ましい。連続操作において、複数の供給点を使用
することができる。水の添加量を反応によって消費される水の量に一致させることによっ
て、反応混合物中に過剰の水が存在することを制限することができる。これにより、副生
成物の形成が制限されることが判明した。
【0032】
水と尿素部分のモル比は、液体反応媒体中に存在する水で算出される。水を蒸気の形で
添加する場合、水添加と反応混合物への熱供与を組み合わせた魅力的な実施形態であり得
るが、蒸気中の水の大部分は、液体反応媒体に吸収されない。反応媒体によって所望の水
の量が吸収されるように、蒸気による水添加方法の条件を調節することは、当業者の範囲
内である。水は、例えば供給原料が生成した本方法によって生成された結果として反応の
最初から供給原料中に存在することもできる。水は液体として添加することもできる。
【0033】
反応は、少なくとも230℃の温度で行われる。この値を下回る温度では、反応速度が
低すぎて、許容できる時間枠で有意義な変換を得ることができないことが判明した。反応
を少なくとも240℃、特に少なくとも250℃の温度で実施することが好ましい。最大
値として、400℃の値を挙げることができる。反応を最大でも350℃、特に最大でも
320℃の温度で実施することが好ましいことがある。
【0034】
本方法中の圧力は、反応媒体が液相である限りはクリティカルでない。一般的な範囲と
して、0.5~100barの値を所望の温度に応じて挙げることができる。CO2除去
ステップを、少なくとも5bar、特に少なくとも10barの圧力で実施して、十分量
のアミンおよび水を媒体中に維持することが好ましい。高圧装置に関連した高コストを考
えると、圧力が最大でも50bar、特に最大でも40barであることが好ましいこと
がある。
【0035】
本発明による方法において、CO2は除去される。アルキレン尿素のエチレンアミン化
合物への変換が完了したとき、CO2除去を実施することができる。しかし、反応中にC
O2除去を実施することが好ましい。CO2除去は、当技術分野において公知であるよう
に実施することができる。これを行う最も基本的な方式は、反応容器を排気することであ
る。ストリッピング流体、特にストリッピングガスを使用して、CO2除去速度を上げる
ことができる。CO2の除去を改善する他の措置は当業者に明らかであり、反応混合物の
撹拌、ストリッピングガスのスパージング、薄膜蒸発、充填物またはトレーなどの使用の
ような措置が挙げられる。ストリッピングガスが使用される場合、流速は、典型的には反
応器の容積1m3当たり(反応温度および圧力において)1時間当たり少なくとも1m3
、最大でも反応器の容積1m3当たり(反応温度および圧力において)1時間当たり10
0m3である。ストリッピング流速は、反応容器の内側で液体の蒸発によって発生させる
ことができ、ストリッピングガスのその場発生が起こる。上記の範囲は、この実施形態に
も適用される。当然、ストリッピングガスの添加とストリッピングガスのその場形成を組
み合わせることも可能である。
【0036】
CO2除去ステップから除去されたCO2含有ストリッピング流体は、例えば1~99
mol.%のCO2を含み得る。他の実施形態において、ストリッピング流体は、1~8
0mol.%のCO2、または1~60mol.%のCO2を含むことがある。一部の実
施形態において、CO2除去ステップからの溶出液は、1~40mol.%のCO2また
は1~20mol.%のCO2を含むことがある。CO2含有量が低いほど、ストリッピ
ングの効率が高くなるが、ストリッピングガスの使用も多くなる。これらのパラメータ間
で適切なバランスを見出すことは当業者の範囲内である。
【0037】
反応温度および所望の変換度に応じて、反応時間は、広範囲内、例えば少なくとも1分
、特に少なくとも5分、さらに特に15分~24時間で変化することができる。一実施形
態において、反応時間は、少なくとも30分、または少なくとも1時間とすることができ
る。反応時間が、1時間~12時間、特に1時間~6時間で変化することが好ましいこと
がある。より低い温度を使用すると、所望の変換度を得るのに要する反応時間が長くなる
ことがある。
【0038】
本発明による方法は、無機強塩基の使用に依拠しない。それにもかかわらず、所望に応
じて、限定された量の無機強塩基が存在することができる。本発明の文脈内において、無
機強塩基は、炭素-炭素結合を含まず、1未満のpKbを有する材料である。一実施形態
において、無機強塩基は使用される場合、金属水酸化物の群、特にアルカリ金属およびア
ルカリ土類金属の水酸化物の群、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化バリウムから選択される。一
実施形態において、無機強塩基は、金属酸化物の群、特にアルカリ金属およびアルカリ土
類金属の酸化物の群、特に酸化カルシウム、酸化マグネシウム、および酸化バリウムから
選択される。無機強塩基を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、(水)酸化マグネシウム
、および(水)酸化カルシウムの群から選択することが好ましいことがある。水酸化ナト
リウムおよび水酸化カリウムの使用が特に好ましいと考えられ得る。水酸化アンモニウム
など他の無機強塩基も使用することができる。当業者に明らかであるように、様々な無機
強塩基の混合物を使用することができる。反応媒体中において無機強塩基に変換される化
合物を使用することができるように、他の成分に加えて強塩基を含む化合物も使用するこ
とができる。無機強塩基は使用される場合、一般に環式アルキレン尿素部分1モル当たり
無機塩基0.5モル未満、特に環式アルキレン尿素部分1モル当たり無機塩基0.2モル
未満の量で使用される。
【0039】
本発明の一実施形態において、本発明による方法は、第一級アミン、環式第二級アミン
、および二環式第三級アミンの群から選択されるアミン化合物の存在下で実施される。反
応速度を上げることができることが判明した。
【0040】
第一級アミンは、アミン基が式R4-NH2を有するアミン官能性化合物であり、式中
、R4は、いずれかの有機基、好ましくは酸素および/または窒素などの任意選択のヘテ
ロ原子を含む脂肪族炭化水素とすることができる。第二級環式アミンは、式R5-NH-
R6のアミンであり、式中、R5とR6は一緒になって、酸素および/または窒素などの
ヘテロ原子を任意選択で含む炭化水素環、好ましくはピペラジン環を形成する。第三級二
環式アミンは、式R7-N(-R9)-R8のアミンであり、式中、R7とR8は一緒に
なって、酸素および/または窒素などのヘテロ原子を任意選択で含む炭化水素環を形成し
、R7とR9は一緒になって、酸素および/または窒素などのヘテロ原子を任意選択で含
む別の炭化水素環を形成する。上記の基R4~R9すべてにおいて、アルキルまたはヒド
ロキシアルキル基のような置換基が存在することができる。第一級アミン、環式第二級ア
ミンおよび二環式第三級アミンはすべて、比較的立体障害のないアミン基を含む。本文書
において、化合物は、化合物中のアミン基の1つが第一級アミンまたは第二級環式アミン
または第三級二環式アミン基である場合、この化合物が、性質の異なる可能性がある別の
アミン基を含むかどうかに関係なく、第一級アミンまたは第二級環式アミンまたは第三級
二環式アミンと定義される。化合物は、異なる2つ以上のアミン官能基、例えば第一級ア
ミンおよび第二級環式アミン官能基、または第一級アミン、第二級環式アミンおよび第三
級二環式アミン官能基を含むこともできる。
【0041】
第一級アミンの好ましい例は、アルキルアミン、直鎖状エチレンアミン、およびアルカ
ノールアミンである。環式第二級アミンの好ましい例は、末端のピペラジン環を含むアミ
ンである。二環式第三級アミンの好ましい例は、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]
オクタン(DABCO)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル)
メタノールおよび1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)である。
【0042】
アミン化合物は、好ましくは1つより多いアミン基を含み、アミン基の少なくとも1つ
が第一級アミンである化合物であり、さらにより好ましくは2つのアミン基が第一級アミ
ンである。アミン化合物は好ましくは、本発明の方法により得られるR1-NH-R3-
NH-R2とは異なる化合物である。
【0043】
別の好ましい実施形態において、アミン化合物は、環式エチレン尿素からのカルボニル
基と結合することができる化合物である。好ましいアミン化合物としては、アルキレンア
ミンまたはアルカノールアミン化合物、さらにより好ましくは本発明の方法により形成さ
れるものより小さいアルキレンアミン、エチレンアミン、またはアルカノールアミン、エ
タノールアミン、最も好ましくはエチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(
DETA)、モノエタノールアミン(MEA)、アミノエチルエタノールアミン(AEE
A)、N-アミノエチルピペラジン(AEP)、N,N’-ジアミノエチルピペラジン(
DAEP)、UDETA、N,N’-ジアミノエチル-2-イミダゾリジノン(U2TE
TA)、トリス-アミノエチルアミン(TAEA)が挙げられる。
【0044】
さらにもう1つの好ましい実施形態において、アミン化合物は、環式アルキレン尿素か
らのカルボニル基を結合させて、本発明の方法によって形成されるアルキレンアミンより
大きくまたは低揮発性であるとりわけ別の直鎖状もしくは環式アルキレン尿素または直鎖
状もしくは環式アルキレンカルバメートをもたらす化合物、さらにより好ましくは反応混
合物を後処理するために使用される条件下で固体であるエチレンアミン、または固体担体
に結合しているエチレンアミンである。それらの例は、DETA-PS(すなわち、固体
ポリスチレンに連結しているジエチレントリアミン)または固体ポリエチレンイミン(P
EI)である。
【0045】
本発明による方法のCO2除去ステップで使用することができる好ましいアミン化合物
としては、エチレンジアミン(EDA)、N-メチルエチレンジアミン(MeEDA)、
ジエチレントリアミン(DETA)、エタノールアミン(MEA)、アミノエチルエタノ
ールアミン(AEEA)、ピペラジン(PIP)、N-アミノエチルピペラジン(AEP
)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,4-ジアザビ
シクロ[2.2.2]オクタ-2-イル)メタノール、トリエチレンテトラミン(TET
A)、N-ジエチルジアミン-2-イミダゾリジノン(U1TETA)、N,N’-ジア
ミノエチルピペラジン(DAEP)、N-[(2-アミノエチル)2-アミノエチル]ピ
ペラジン)(PEEDA)、PEEDAの環式尿素(UPEEDA)、N,N’-ジアミ
ノエチル-2-イミダゾリジノン(U2TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEP
A)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ならびにTEPAおよびPEHAの単環
式尿素(すなわち、U1TEPA、U2TEPA、U1PEHA、U2PEHA、U3P
EHA)およびPEHAの二環式尿素異性体(すなわち、DUPEHA)、ポリエチレン
イミン(PEI)または固体担体上のアルキレンアミンが挙げられる。
【0046】
アミン化合物は使用される場合、好ましくは環式エチレン尿素の全モル量に対して0.
001~100当量、より好ましくは0.01~50当量、さらにより好ましくは0.0
5~30当量、さらにより好ましくは0.15~25当量、最も好ましくは0.20~2
0当量のモル量で投入される。
【0047】
本発明による方法によって、アルキレンアミン、好ましくはエチレンアミンを含む反応
混合物が形成される。
【0048】
本発明による方法は、バッチ操作、流加操作、または連続操作で、例えば段階的な連続
流式反応器で実施することができる。操作の規模に応じて、連続操作が好ましいことがあ
る。
【0049】
本発明は、以下の例により明らかにされるが、それらに限定されることもまたはそれら
によって限定されることもない。
【0050】
[例1]
水と尿素の比4:1でのDUTETAの変換
下記の実験で使用される実験用具一式は、凝縮器、圧力調整器、気体分配器および混合
器を装備した容積2000mlの圧力容器であった。圧力調整器を使用して、反応容器お
よび凝縮器の圧力を30baraで一定に保持した。凝縮器の上端温度を30~60℃に
保持した。反応中に、混合物を連続撹拌し、気体分配器を使用して、一定流量のN2ガス
を反応器容器に供給した。反応時に30baraを上回って生成し、または系に供給され
た気体または蒸気は、凝縮器および圧力調整器を介して反応器から流出することができた
。
【0051】
430グラムのDUTETAおよび300グラムのH2Oを混合することによって、反
応混合物を調製した。H2Oと尿素部分のモル比は4:1であった。混合物を上記の反応
器中、270℃で5.4時間保持した。使用したN2ガス流は約2L/分であった。水素
炎イオン化検出器を使用したガスクロマトグラフィーによる分析(GC-FID分析)は
、DUTETAのL-TETAへの変換が54%であり、初期の尿素基の70%が系から
除去されたことを示した。CO2除去速度は0.54mol/kg/時であった。
【0052】
この例は、限定された量の水の存在下でDUTETAをL-TETAに変換することが
できることを示す。
【0053】
[例2~4]
異なる水と尿素の比でのDUTETAの変換
異なる水と尿素の比にて、例1を同じ実験用具一式で繰り返した。各実験で除去速度を
妥当な正確度で算出することができるように、反応時間を選択した。結果を表1に示す。
【0054】
【0055】
表1において、例1、2、および3は、本発明による例である。それらは、水と尿素部
分のモル比4:1、10:1、および1:1での操作によって、尿素基が実質的に除去さ
れ、L-TETAに対する選択性が良好になることを示す。予想に反して、比較の例4に
おけるより多くの水の存在(H2O/Uモル比は50:1である)は、L-TETAに対
する選択性の低下、さらには除去速度の低下も導く。
【0056】
[例5]
水と尿素の比4:1でのUDETAの変換
例1に記載された実験用具一式で、350グラムのUDETAおよび191グラムのH
2Oを混合することによって、反応混合物を調製した。H2Oと尿素部分のモル比は4:
1であった。混合物を上記の反応器中、270℃で5.8時間保持した。使用したN2ガ
ス流は約4L/分であった。水素炎イオン化検出器を使用したガスクロマトグラフィーに
よる分析(GC-FID分析)は、UDETAのDETAへの変換が55%であり、初期
の尿素基の60%が系から除去されたことを示した。平均除去速度は0.62mol/k
g/時であった。
【0057】
[例6]
水と尿素の比4:1でのUAEEAの変換
例1に記載された実験用具一式で、350グラムのUAEEAおよび188グラムのH
2Oを混合することによって、反応混合物を調製した。H2Oと尿素部分のモル比は4:
1であった。混合物を上記の反応器中、250℃で4.2時間保持した。使用したN2ガ
ス流は約2L/分であった。
【0058】
水素炎イオン化検出器を使用したガスクロマトグラフィーによる分析(GC-FID分
析)は、UAEEAのAEEAへの変換が42%であり、初期の尿素基の38%が系から
除去されたことを示した。平均除去速度は0.45mol/kg/時であった。
【0059】
[例7]
水と尿素の比0.5:1でのUAEEAの変換
例1に記載された実験用具一式で、500グラムのUAEEAおよび33グラムのH2
Oを混合することによって、反応混合物を調製した。H2Oと尿素部分のモル比は0.5
:1であった。混合物を上記の反応器中、250℃で4.25時間保持した。使用したN
2ガス流は約1.5L/分であった。反応時に20baraを上回って生成し、または系
に供給された気体または蒸気は、凝縮器および圧力調整器を介して反応器から流出するこ
とができた。
【0060】
水素炎イオン化検出器を使用したガスクロマトグラフィーによる分析(GC-FID分
析)は、UAEEAのAEEAへの変換が13%であり、初期の尿素基の13%が系から
除去されたことを示した。平均除去速度は0.23mol/kg/時であった。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
環式アルキレン尿素をそれらの対応するアルキレンアミンに変換する方法であって、環式アルキレン尿素を含む供給原料を、液相において、水と、尿素部分1モル当たり0.1~20モルの水の量で少なくとも230℃の温度で反応させつつ、CO
2を除去する、方法。
項2.
前記環式アルキレン尿素が、下記の反応
【化1】
[式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、水素、式X-R
3-(NH-R
3-)p-のアルキレンアミン基、もしくは式X-R
3-(O-R
3-)n-のアルコキシ基、またはそのようなアルキレンアミンおよびアルコキシ単位pおよびnを組み合わせた基の群から選択され、任意選択で1つまたは複数の単位~N-R
3-N~は、下記環のどちらか1つとして存在することができ、
【化2】
R
3はそれぞれ独立して、以下に定義される通りであり、Xは、ヒドロキシル、アミン、直鎖状または分枝状C1~C20ヒドロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキル基とすることができ、(nおよびpは独立して、少なくとも1、好ましくは2~20であり)、1つまたは複数のピペラジンまたはアルキレン尿素基を任意選択で含み、あるいはpまたはnが0であるとき、C1~C20ヒドロキシアルキルまたはC1~C20アミノアルキルとすることができ、R
3は、アルキレンまたは置換アルキレンである]
に従って反応してアルキレンアミンになる、項1に記載の方法。
項3.
R
2が、水素原子である、項2に記載の方法。
項4.
R
3が、エチレン、プロピレン、またはイソプロピレン、特にエチレンである、項2または3に記載の方法。
項5.
前記環式アルキレン尿素が、EU(エチレン尿素、エチレンジアミン(EDA)の尿素誘導体)、UDETA(ジエチレントリアミン(DETA)の尿素誘導体)、UTETA(トリエチレンテトラアミン(TETA)の尿素誘導体の基)、DUTETA(トリエチレンテトラミンのジ尿素誘導体)、UTEPA(テトラエチレンペンタミン(TEPA)の尿素誘導体)、DUTEPA(TEPAのジ尿素誘導体)、またはペンタエチレンヘキサミン(PEHA)および高級類似体の尿素誘導体、UAEEA(アミノエチルエタノールアミンの尿素誘導体)、HE-UDETA(ヒドロキシエチルジエチレントリアミンの尿素誘導体)、HE-UTETA(ヒドロキシエチルトリエチレンテトラアミンの尿素誘導体)、HE-DUTETA(ヒドロキシエチルトリエチレンテトラアミンのジ尿素誘導体)、あるいはこれらのいずれかの混合物のうちの1種または複数を含む、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記供給原料が、混合物中に存在する環式尿素化合物の合計に対して算出して、少なくとも10モル%、特に少なくとも15モル%、さらに特に少なくとも20モル%の、-NH-R
3-NH-R
3-NH-R
3-NH-部分を含むアルキレンアミン化合物の環式尿素誘導体を含む、項1から5のいずれか一項に記載の方法。
項7.
水と尿素部分のモル比が、尿素部分1モル当たり最大でも15モルの水、さらに特に尿素部分1モル当たり最大でも10モルの水、またはさらに尿素部分1モル当たり最大でも5モルの水である、項1から6のいずれか一項に記載の方法。
項8.
前記水が、前記方法中に分割投入でまたは連続的に添加される、項1から7のいずれか一項に記載の方法。
項9.
前記反応が、少なくとも240℃、特に少なくとも250℃、好ましくは最大でも400℃、特に最大でも350℃、さらに特に最大でも320℃の温度で実施される、項1から8のいずれか一項に記載の方法。
項10.
CO
2が、前記反応中に除去される、項1から9のいずれか一項に記載の方法。
項11.
前記反応が、15分~24時間、特に1時間~12時間、さらに特に1時間~6時間の反応時間実施される、項1から10のいずれか一項に記載の方法。
本発明は、以下の例により明らかにされるが、それらに限定されることもまたはそれらによって限定されることもない。
【外国語明細書】