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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022037
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】ナチュラルキラー細胞及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20230207BHJP
   C12N 5/0789 20100101ALI20230207BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230207BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C12N5/0783
C12N5/0789
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176993
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2020213684の分割
【原出願日】2015-12-30
(31)【優先権主張番号】62/098,560
(32)【優先日】2014-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ジップロック
(71)【出願人】
【識別番号】520169074
【氏名又は名称】セルラリティ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン マーフィー
(72)【発明者】
【氏名】バネッサ ボスキナリアン‐ベルセ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ノードバーグ
(72)【発明者】
【氏名】キース ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】リン カング
(57)【要約】      (修正有)
【課題】殺腫瘍機能を保持するナチュラルキラー細胞を産生し、それを増殖させる効率的な方法を提供する。
【解決手段】ナチュラルキラー(NK)細胞の集団を、幹細胞動員因子を含む培地中で、造血幹細胞又は前駆細胞の集団から産生する方法、例えば、NK細胞を、幹細胞動員因子を含む培地中で、胎盤の細胞由来の、例えば、胎盤灌流液(例えば、ヒト胎盤灌流液)又は他の組織、例えば、臍帯血もしくは末梢血由来の造血幹細胞又は前駆細胞から産生する3段階法である。また、本明細書に記載される3段階法によって産生されるNK細胞及びNK細胞集団を用いて腫瘍細胞増殖を抑制する方法、並びに癌又はウイルス感染を有する個体を治療する方法であって、本明細書に記載される3段階法によって産生されるNK細胞及びNK細胞集団を該癌又はウイルス感染を有する個体に投与することを含む、方法を開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団を産生する方法であって:
(a)造血幹細胞又は前駆細胞を、幹細胞動員剤及びトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の
培地中で培養して、第1の細胞集団を産生する工程;
(b)該第1の細胞集団を、幹細胞動員剤及びインターロイキン-15(IL-15)を含み、かつTp
oを欠いている第2の培地中で培養して、第2の細胞集団を産生する工程;並びに
(c)該第2の細胞集団を、IL-2及びIL-15を含み、かつ幹細胞動員剤及びLMWHを欠いてい
る第3の培地中で培養して、第3の細胞集団を産生する工程;
を含み、
ここで、該第3の細胞集団が、CD56+、CD3-、CD16-又はCD16+、及びCD94+又はCD94-であ
るナチュラルキラー細胞を含み、かつ該ナチュラルキラー細胞の少なくとも80%が生存し
ている、前記方法。
【請求項2】
前記造血幹細胞がCD34+造血幹細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記造血幹細胞が胎盤造血幹細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記胎盤造血幹細胞が、ヒト胎盤灌流液から入手されるか又は入手可能である、請求項
3記載の方法。
【請求項5】
前記胎盤造血幹細胞が、ヒト胎盤灌流液から単離される有核細胞から入手されるか又は
入手可能である、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記Tpoが、前記第1の培地中に、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在する、請求項1記載の方
法。
【請求項7】
前記Tpoが、前記第1の培地中に、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在する、請求項6記載の
方法。
【請求項8】
前記Tpoが、前記第1の培地中に、約25ng/mLの濃度で存在する、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記IL-15が、前記第2の培地中に、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在する、請求項1記載の
方法。
【請求項10】
前記IL-15が、前記第2の培地中に、10ng/mL~30ng/mLの濃度で存在する、請求項1記載
の方法。
【請求項11】
前記IL-15が、前記第2の培地中に、約20ng/mLの濃度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記IL-2が、前記第3の培地中に、10U/mL~10,000U/mLの濃度で存在し、かつ前記IL-15
が、前記第3の培地中に、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記IL-2が、前記第3の培地中に、300U/mL~3,000U/mLの濃度で存在し、かつ前記IL-15
が、前記第3の培地中に、10ng/mL~30ng/mLの濃度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記IL-2が、前記第3の培地中に、約1,000U/mLの濃度で存在し、かつ前記IL-15が、前
記第3の培地中に、約20ng/mLの濃度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記Tpo、IL-2、及びIL-15が、前記第1の培地、第2の培地、又は第3の培地の不確定成
分に含まれない、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記Tpo、IL-2、及びIL-15が血清に含まれない、請求項1~14のいずれか一項記載の方
法。
【請求項17】
前記幹細胞動員剤がアリール炭化水素受容体阻害剤である、請求項1~14のいずれか一
項記載の方法。
【請求項18】
前記アリール炭化水素受容体阻害剤がレスベラトロールである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記アリール炭化水素受容体阻害剤が、次式の化合物;又はその塩である、請求項17記
載の方法:
【化1】
(式中:
G1は、N及びCR3から選択され;
G2、G3、及びG4は、CH及びNから独立に選択され;但し、G3及びG4のうちの少なくとも1
つはNであり;但し、G1及びG2が両方ともNであることはなく;
Lは、--NR5a(CH2)0-3--、--NR5aCH(C(O)OCH3)CH2--、--NR5a(CH2)2NR5b--、--NR5a(CH2
)2S--、--NR5aCH2CH(CH3)CH2--、--NR5aCH2CH(OH)--、及び--NR5aCH(CH3)CH2--から選択
され;ここで、R5a及びR5bは、水素及びC1-4アルキルから独立に選択され;
R1は、水素、フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノ
リニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、1H-ピラゾリル、
ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル
、及びチアゾリルから選択され;ここで、R1の該フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-
ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、
ピリミジニル、1H-ピラゾリル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニ
ル、ピリダジニル、1H-ピロリル、又はチアゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキ
ル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、ヒドロキ
シ、アミノ、--C(O)R8a、--S(O)0-2R8a、--C(O)OR8a、及び--C(O)NR8aR8bから独立に選択
される1~3個のラジカルによって任意に置換されることができ;ここで、R8a及びR8bは、
水素及びC1-4アルキルから独立に選択され;但し、R1及びR3が両方とも水素であることは
なく;
R2は、--S(O)2NR6aR6b、--NR9aC(O)R9b、--NR6aC(O)NR6bR6c、フェニル、1H-ピロロピ
リジン-3-イル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2
-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾ
リル、及び1H-インダゾリルから選択され;ここで、R6a、R6b、及びR6cは、水素及びC1-4
アルキルから独立に選択され;ここで、R2の該フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イル、1H-
インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリ
ジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、又は1H-イン
ダゾリルは、ヒドロキシ、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、--O(CH2)nNR7aR7b、--S(O)
2NR7aR7b、--OS(O)2NR7aR7b、及び--NR7aS(O)2R7bから独立に選択される1~3個のラジカ
ルで任意に置換されており;ここで、R7a及びR7bは、水素及びC1-4アルキルから独立に選
択され;
R3は、水素、C1-4アルキル、及びビフェニルから選択され;かつ
R4は、C1-10アルキル、プロパ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(
2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒド
ロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン
-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、及び1-(1-(2-オキソ-6,9,
12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルか
ら選択され;ここで、該アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2-(2-オキソピロリ
ジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、ベンズヒドリル、テトラ
ヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4
-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、ベンジル
、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、又は1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-
アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-
4アルキル、及びハロ置換C1-4アルキルから独立に選択される1~3個のラジカルで任意に
置換されることができる。)。
【請求項20】
前記アリール炭化水素受容体阻害剤が、StemRegenin-1(SR-1)(4-(2-(2-(ベンゾ[b]チオ
フェン-3-イル)-9-イソプロピル-9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)フェノール)である、
請求項15記載の方法。
【請求項21】
前記アリール炭化水素受容体阻害剤が、化合物CH223191(1-メチル-N-[2-メチル-4-[2-(
2-メチルフェニル)ジアゼニル]フェニル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド]である、請求
項17記載の方法。
【請求項22】
前記幹細胞動員剤がピリミド(4,5-b)インドール誘導体である、請求項1~16のいずれか
一項記載の方法。
【請求項23】
前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体が、以下のうちの1つもしくは複数:又はその塩
もしくはプロドラッグである、請求項22記載の方法:
【化2】
(式中:
Zは、
1)-P(O)(OR<1>)(OR<1>)、
2)-C(0)OR<1>、
3)-C(0)NHR<1>、
4)-C(0)N(R)R<1>、
5)-C(0)R<1>、
6)-CN、
7)-SR、
8)-S(0)2NH2、
9)-S(0)2NHR<1>、
10)-S(0)2N(R)R<1>、
11)-S(0)R<1>、
12)-S(0)2R<1>、
13)-L、
14)1つ、2つ、もしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ベンジル、
15)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロアリールであって、
該置換基が該L及び該ヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
16)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロシクリルであって、
該置換基が該L及び該ヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの、
17)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-アリールであって、該置換
基が該L及び該ヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
18)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ヘテロアリール、又は
19)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-アリール
であり、ここで、各々の置換基は、それがまだ存在しないならば、該L基に任意に結合し
ており、かつ(R<1>)及びR<1>が窒素原子に結合しているとき、任意に、それらは、該窒素
原子と一緒になって、N、0、及びSから選択される1以上の他のヘテロ原子を任意に含む3
~7員環を形成し、任意に、該環は、1以上のR<1>又はR<A>で置換されており;
Wは、
1)-H、
2)-ハロゲン、
3)-OR<1>、
4)-L-OH、
5)-L-OR<1>、
6)-SR<1>、
7)-CN、
8)-P(0)(OR<1>)(OR<1>)、
9)-NHR<1>、
10)-N(R<1>)R<1>、
11)-L-NH2、
12)-L-NHR<1>、
13)-L-N(R<1>)R<1>、
14)-L-SR<1>、
15)-L-S(0)R<1>、
16)-L-S(0)2R<1>、
17)-L-P(0)(OR<1>)(OR<1>
18)-C(0)OR<1>、
19)-C(0)NH2、
20)-C(0)NHR<1>、
21)-C(0)N(R<1>)R<1>、
22)-NHC(0)R<1>、
23)-NR1C(0)R<1>、
-NHC(0)0R<1>、
-NR1C(0)0R<1>、
-0C(0)NH2、
-0C(0)NHR<1>、
-0C(0)N(R)R<1>、
-0C(0)R<1>、
-C(0)R<1>、
-NHC(0)NH2、
-NHC(0)NHR<1>、
-NHC(0)N(R)R<1>、
-NR C(0)NH2、
-NR C(0)NHR<1>、
-NR C(0)N(R)R<1>、
-NHS(0)2R<1>、
-NR S(0)2R<1>、
-S(0)2NH2、
-S(0)2NHR<1>、
-S(0)2N(R)R<1>、
-S(0)R<1>、
-S(0)2R<1>、
-0S(0)2R1、
-S(0)20R<1>、
1つ、2つ、もしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ベンジル
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロアリールであって、該置
換基が該L及び該ヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロシクリルであって、該置
換基が該L及び該ヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-アリールであって、該置換基が
該L及びアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
-L-NR<1>(R<1>)、
-L-)2 NR<1>、
-L-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール
であって、該置換基が該L及びヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの

1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル
であって、該置換基が該L及びヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの

1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-(N(R<1>)-L)n-アリールであっ
て、該置換基が該L及びアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
-0-L-N(R)R<1>、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-ヘテロアリールであって、該
置換基が該L及びヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-ヘテロシクリルであって、該
置換基が該L及びヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-アリールであって、該置換基
が該L及びアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
-0-L)2-NR<1>、
-0-L-(N(R)-L)n-N(R)R<1>、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリー
ルであって、該置換基が該L及びヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているも
の、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリ
ルであって、該置換基が該L及びヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているも
の、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-S-L-ヘテロアリール、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-S-L-ヘテロシクリル、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-S-L-アリールであって、該置換基
が該L及びアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
-S-L)2 NR1、
-S-L-(N(R1)-L)''-N(R1)R1、
1以上のR<A>置換基で任意に置換された-S-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
1以上のR<A>置換基で任意に置換された-S-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、
1以上のR<A>置換基で任意に置換された-S-L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
-NR<1>(R<1>)、
-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、
-N(R1)L)2-NR1、
76)-(N(R1)-L)''-N(R1)RA、
77)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール

78)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル

79)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-(N(R<1>)-L)n-アリール、
80)1以上のR<A>置換基で任意に置換された-ヘテロアリール、又は
81)1以上のR<A>置換基で任意に置換された-アリール
であり、ここで、各々の置換基は、それがまだ存在しないならば、該L基に任意に結合し
ており、かつ2つのR<1>置換基が同じ窒素原子上に存在するとき、各々のR<1>置換基は、
後に記載されるR<1>値のリストから独立に選択され、
ここで、nは、0、1、2、3、4、又は5のいずれかに等しい整数であり、
ここで、(R<1>)及びR<1>が窒素原子に結合しているとき、任意に、それらは、該窒素原
子と一緒になって、N、0、及びSから選択される1以上の他のヘテロ原子を任意に含む3~7
員環を形成し、任意に、該環は、1以上のR<1>又はR<A>で置換されており;
Lは、
1)-Ci-6アルキル、
2)-C2-6アルケニル、
3)-C2-6アルキニル、
4)-C3-7シクロアルキル、
5)-C3-7シクロアルケニル、
6)ヘテロシクリル、
7)-Ci-6アルキル-C3-7シクロアルキル、
8)-Ci-6アルキル-ヘテロシクリル、
9)アリール、又は
10)ヘテロアリール
であり、ここで、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキル、該シク
ロアルケニル、該ヘテロシクリル、該アリール、及び該ヘテロアリール基は、各々独立に
、1つ又は2つのR<A>置換基で任意に置換されており;
Riは、
1)-H、
2)-C1-6アルキル、
3)-C2-6アルケニル、
4)-C2-6アルキニル、
5)-C3-7シクロアルキル、
6)-C3-7シクロアルケニル、
7)-パーフルオロ化C1-5、
8)-ヘテロシクリル、
9)-アリール、
10)-ヘテロアリール、
11)-ベンジル、又は
12)5-[(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル]ペ
ンタノイル
であり、ここで、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルケニル、該パ
ーフルオロ化アルキル、該ヘテロシクリル、該アリール、該ヘテロアリール、及び該ベン
ジル基は、各々独立に、1つ、2つ、又は3つのR<A>又はR<1>置換基で任意に置換されてお
り;
R2は、
1)-H、
2)-C1-6アルキル、
3)-SR、
4)-C(0)R1、
5)-S(0)R1、
6)-S(0)2R<1>、
7)1つ、2つ、もしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ベンジル、
8)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロアリールであって、該
置換基が該L及び該ヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
9)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロシクリルであって、該
置換基が該L及び該ヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの、
10)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-アリールであって、該置換
基が該L及び該アリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
11)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ヘテロアリール、又は
12)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-アリール
であり、ここで、各々の置換基は、それがまだ存在しないならば、該L基に任意に結合し
ており;
R<A>は、
1)-ハロゲン、
2)-CFs、
3)-OH、
4)-OR<1>、
5)-L-OH、
6)-L-OR<1>、
7)-OCFs、
8)-SH、
9)-SR1、
10)-CN、
11)-NO2、
12)-NH2、
13)-NHR<1>、
14)-NR<1>R<1>、
15)-L-NH2、
16)-L-NHR<1>、
17)-L-NR<4>R<1>、
18)-L-SR<1>、
19)-L-S(0)R<1>、
20)-L-S(0)2R<1>、
21)-C(0)OH、
22)-C(0)OR<1>、
23)-C(0)NH2、
24)-C(0)NHR<1>、
25)-C(0)N(R<1>)R<1>、
26)-NHC(0)R<1>、
27)-NR1C(0)R<1>、
28)-NHC(0)OR<1>、
29)-NR1C(0)0R<1>、
30)-OC(0)NH2、
31)-OC(0)NHR<1>、
32)-OC(0)N(R)R<1>、
33)-OC(0)R<1>、
34)-C(0)R1、
35)-NHC(0)NH2、
36)-NHC(0)NHR1、
37)-NHC(0)N(R)R<1>、
38)-NR C(0)NH2、
39)-NR C(0)NHR<1>、
40)-NR1C(0)N(R1)R1、
41)-NHS(0)2R<1>、
42)-NR S(0)2R<1>、
43)-S(0)2NH2、
44)-S(0)2NHR<1>、
45)-S(0)2N(R)R<1>、
46)-S(0)R<1>、
47)-S(0)2R<1>、
48)-0S(0)2R<1>、
49)-S(0)20R<1>、
50)-ベンジル、
51)-N3、又は
52)-C(-N=N-)(CF3)
であり、ここで、該ベンジル基は、1つ、2つ、又は3つのR<A>又はR<1>置換基で任意に置
換されている。)。
【請求項24】
前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体が、下記化学構造を有する、請求項22記載の方
法:
【化3】
【請求項25】
前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体が、下記化学構造を有する、請求項22記載の方
法:
【化4】
【請求項26】
前記第1の培地が、低分子量ヘパリン(LMWH)、Flt-3リガンド(Flt-3L)、幹細胞因子(SCF
)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、又は顆粒球マクロファージ刺激因子(G
M-CSF)のうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記第1の培地が、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む
、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第1の培地中、前記LMWHが1U/mL~10U/mLの濃度で存在し;前記Flt-3Lが1ng/mL~50n
g/mLの濃度で存在し;前記SCFが1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;前記IL-6が0.01ng/mL~0
.1ng/mLの濃度で存在し;前記IL-7が1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;前記G-CSFが0.01ng/
mL~0.50ng/mLの濃度で存在し;かつ前記GM-CSFが0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する
、請求項26又は請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記第1の培地中、前記LMWHが、該第1の培地中、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し;前記Flt
-3Lが20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;前記SCFが20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;前記
IL-6が0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;前記IL-7が20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在
し;前記G-CSFが0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ前記GM-CSFが0.005ng/mL~0.5
ng/mLの濃度で存在する、請求項26又は請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記第1の培地中、前記LMWHが、該第1の培地中、約4.5U/mLの濃度で存在し;前記Flt-3L
が約25ng/mLの濃度で存在し;前記SCFが約27ng/mLの濃度で存在し;前記IL-6が約0.05ng/mL
の濃度で存在し;前記IL-7が約25ng/mLの濃度で存在し;前記G-CSFが約.25ng/mLの濃度で存
在し;かつ前記GM-CSFが約0.01ng/mLの濃度で存在する、請求項26又は請求項27記載の方法
【請求項31】
前記第2の培地が、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFのうちの1つ又
は複数をさらに含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
前記第2の培地が、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々をさらに
含む、請求項1~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記第2の培地中、前記LMWHが1U/mL~10U/mLの濃度で存在し;前記Flt-3Lが1ng/mL~50n
g/mLの濃度で存在し;前記SCFが1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;前記IL-6が0.01ng/mL~0
.1ng/mLの濃度で存在し;前記IL-7が1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;前記G-CSFが0.01ng/
mL~0.50ng/mLの濃度で存在し;かつ前記GM-CSFが0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する
、請求項31又は請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記第2の培地中、前記LMWHが、該第2の培地中、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し;前記Flt
-3Lが20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;前記SCFが20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;前記
IL-6が0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;前記IL-7が20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在
し;前記G-CSFが0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ前記GM-CSFが0.005ng/mL~0.5
ng/mLの濃度で存在する、請求項31又は請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記第2の培地中、前記LMWHが、該第2の培地中、約4.5U/mLの濃度で存在し;前記Flt-3L
が約25ng/mLの濃度で存在し;前記SCFが約27ng/mLの濃度で存在し;前記IL-6が約0.05ng/mL
の濃度で存在し;前記IL-7が約25ng/mLの濃度で存在し;前記G-CSFが約0.25ng/mLの濃度で
存在し;かつ前記GM-CSFが約0.01ng/mLの濃度で存在する、請求項31又は請求項32記載の方
法。
【請求項36】
前記第3の培地が、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、又はGM-CSFのうちの1つ又は複数をさらに
含む、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
前記第3の培地が、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む、請求項36記載
の方法。
【請求項38】
前記第3の培地中、前記SCFが1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;前記IL-6が0.01ng/mL~0
.1ng/mLの濃度で存在し;前記IL-7が1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;前記G-CSFが0.01ng/
mL~0.50ng/mLの濃度で存在し;かつ前記GM-CSFが0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する
、請求項36又は請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記第3の培地中、前記SCFが20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;前記IL-6が0.04ng/mL~
0.06ng/mLの濃度で存在し;前記IL-7が20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;前記G-CSFが0.20
ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ前記GM-CSFが0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在
する、請求項36又は請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記第3の培地中、前記SCFが約22ng/mLの濃度で存在し;前記IL-6が約0.05ng/mLの濃度
で存在し;前記IL-7が約20ng/mLの濃度で存在し;前記G-CSFが約0.25ng/mLの濃度で存在し;
かつ前記GM-CSFが約0.01ng/mLの濃度で存在する、請求項36又は請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及び/又はGM-CSFが、前記第1の培地、第2
の培地、又は第3の培地の不確定成分に含まれない、請求項26~40のいずれか一項記載の
方法。
【請求項42】
前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及び/又はGM-CSFが血清に含まれない、請
求項26~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかがヒト血清-ABを含む、請求項1
~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
前記第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかが、1%~20%ヒト血清-ABを含
む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかが、5%~15%ヒト血清-ABを含
む、請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかが約10%ヒト血清-ABを含む、請
求項43記載の方法。
【請求項47】
前記第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかが2-メルカプトエタノールを含
む、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
前記第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかがゲンタマイシンを含む、請求
項1~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
前記造血幹細胞を、前記第1の培地中で、7~13日間培養することを含む、請求項1~48
のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
前記造血幹細胞を、前記第1の培地中で、8~12日間培養することを含む、請求項49記載
の方法。
【請求項51】
前記造血幹細胞を、前記第1の培地中で、約10日間培養することを含む、請求項49記載
の方法。
【請求項52】
前記第1の細胞集団を、前記第2の培地中で、2~6日間培養することを含む、請求項1~4
8のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
前記第1の細胞集団を、前記第2の培地中で、3~5日間培養することを含む、請求項1~4
8のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
前記第1の細胞集団を、前記第2の培地中で、約4日間培養することを含む、請求項1~48
のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
前記第2の細胞集団を、前記第3の培地中で、10~30日間培養することを含む、請求項1
~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
前記第2の細胞集団を、前記第3の培地中で、15~25日間培養することを含む、請求項1
~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
前記第2の細胞集団を、前記第3の培地中で、約21日間培養することを含む、請求項1~4
8のいずれか一項記載の方法。
【請求項58】
前記第1の培地、第2の培地、及び第3の培地中での前記培養が全て静置培養条件下で行
われる、請求項1~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項59】
前記第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のうちの少なくとも1つの中での前記培養が
スピナーフラスコ中で行われる、請求項1~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項60】
前記第1の培地及び前記第2の培地中での前記培養が静置培養条件下で行われ、前記第3
の培地中での前記培養がスピナーフラスコ中で行われる、請求項1~48のいずれか一項記
載の方法。
【請求項61】
前記造血細胞が、前記第1の培地中に、1×104~1×105細胞/mLで最初に播種される、請
求項1~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
前記造血細胞が、前記第1の培地中に、約3×104細胞/mLで最初に播種される、請求項61
記載の方法。
【請求項63】
前記第1の細胞集団が、前記第2の培地中に、5×104~5×105細胞/mLで最初に播種され
る、請求項1~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
前記第1の細胞集団が、前記第2の培地中に、約1×105細胞/mLで最初に播種される、請
求項63記載の方法。
【請求項65】
前記第2の細胞集団が、前記第3の培地中に、1×105~5×106細胞/mLで最初に播種され
る、請求項1~60のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
前記第2の細胞集団が、前記第3の培地中に、1×105~1×106細胞/mLで最初に播種され
る、請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記第2の細胞集団が、前記第3の培地中に、約5×105細胞/mLで最初に播種される、請
求項65記載の方法。
【請求項68】
前記第2の細胞集団が、前記第3の培地中に、約3×105細胞/mLで最初に播種される、請
求項65記載の方法。
【請求項69】
前記第1の培地中に最初に播種される造血幹細胞の数と比較したとき、少なくとも5000
倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
少なくとも10,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する、請求項69記載の方法。
【請求項71】
少なくとも50,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する、請求項69記載の方法。
【請求項72】
少なくとも75,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する、請求項69記載の方法。
【請求項73】
少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生
する、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生
する、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項75】
少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生
する、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項76】
少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生
する、請求項1~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項77】
前記ナチュラルキラー細胞とK562細胞をインビトロで10:1の比で共培養したとき、該ナ
チュラルキラー細胞が該K562細胞に対する少なくとも20%の細胞傷害性を示す、請求項1
~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項78】
前記ナチュラルキラー細胞が前記K562細胞に対する少なくとも35%の細胞傷害性を示す
、請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記ナチュラルキラー細胞が前記K562細胞に対する少なくとも45%の細胞傷害性を示す
、請求項77記載の方法。
【請求項80】
前記ナチュラルキラー細胞が前記K562細胞に対する少なくとも60%の細胞傷害性を示す
、請求項77記載の方法。
【請求項81】
前記ナチュラルキラー細胞が前記K562細胞に対する少なくとも75%の細胞傷害性を示す
、請求項77記載の方法。
【請求項82】
前記ナチュラルキラー細胞の生存が7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)染色によって決
定される、請求項1~81のいずれか一項記載の方法。
【請求項83】
前記ナチュラルキラー細胞の生存がアネキシン-V染色によって決定される、請求項1~8
1のいずれか一項記載の方法。
【請求項84】
前記ナチュラルキラー細胞の生存が7-AAD染色とアネキシン-V染色の両方によって決定
される、請求項1~81のいずれか一項記載の方法。
【請求項85】
前記ナチュラルキラー細胞の生存がトリパンブルー染色によって決定される、請求項1
~81のいずれか一項記載の方法。
【請求項86】
前記細胞集団を工程(c)の後に凍結保存することをさらに含む、請求項1~81のいずれか
一項記載の方法。
【請求項87】
前記ナチュラルキラー細胞を工程(c)の後に凍結保存することをさらに含む、請求項1~
81のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
請求項1~81のいずれか一項記載の方法によって産生されるナチュラルキラー細胞の集
団。
【請求項89】
請求項1~81のいずれか一項記載の方法によって産生される、ナチュラルキラー細胞を
含む細胞の集団。
【請求項90】
腫瘍細胞の増殖を抑制する方法であって、該腫瘍細胞を複数のナチュラルキラー細胞と
接触させることを含み、ここで、該ナチュラルキラー細胞が請求項1記載の方法によって
産生される、前記方法。
【請求項91】
前記接触させることがインビトロで行われる、請求項90記載の方法。
【請求項92】
前記接触させることがインビボで行われる、請求項90記載の方法。
【請求項93】
前記接触させることがヒト個体で行われる、請求項92記載の方法。
【請求項94】
前記ナチュラルキラー細胞を前記個体に投与することを含む、請求項92記載の方法。
【請求項95】
前記腫瘍細胞が多発性骨髄腫細胞である、請求項90~94のいずれか一項記載の方法。
【請求項96】
前記腫瘍細胞が急性骨髄性白血病(AML)細胞である、請求項90~94のいずれか一項記載
の方法。
【請求項97】
前記個体が再発性/難治性AMLを有する、請求項96記載の方法。
【請求項98】
前記個体が、AMLに対する少なくとも1つの非ナチュラルキラー細胞治療剤が奏効してい
ないAMLを有する、請求項96記載の方法。
【請求項99】
前記個体が65歳以上であり、かつ第1寛解期にある、請求項96記載の方法。
【請求項100】
前記個体が、前記ナチュラルキラー細胞を投与する前に、フルダラビン、シタラビン、
又は両方で馴化されている、請求項96~99のいずれか一項記載の方法。
【請求項101】
前記腫瘍細胞が、乳癌細胞、頭頸部癌細胞、又は肉腫細胞である、請求項90~93のいず
れか一項記載の方法。
【請求項102】
前記腫瘍細胞が、原発性腺管癌細胞、白血病細胞、急性T細胞白血病細胞、慢性骨髄性
リンパ腫(CML)細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、肺癌細胞、結腸腺癌細胞、組織球性リ
ンパ腫細胞、結腸直腸癌細胞、結腸直腸腺癌細胞、又は網膜芽腫細胞である、請求項90~
93のいずれか一項記載の方法。
【請求項103】
前記ナチュラルキラー細胞が、前記接触させること又は前記投与することの前に凍結保
存されたものである、請求項90~102のいずれか一項記載の方法。
【請求項104】
前記ナチュラルキラー細胞が、前記接触させること又は前記投与することの前に凍結保
存されなかったものである、請求項90~102のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2014年12月31日に
出願された米国仮特許出願第62/098,560号の恩典を主張する。
【0002】
(1.分野)
本明細書に提供されるのは、ナチュラルキラー(NK)細胞の集団を、幹細胞動員因子を含
む培地中で、造血幹細胞又は前駆細胞の集団から産生する方法、例えば、NK細胞を、幹細
胞動員因子を含む培地中で、胎盤の細胞由来の、例えば、胎盤灌流液(例えば、ヒト胎盤
灌流液)又は他の組織、例えば、臍帯血もしくは末梢血由来の造血幹細胞又は前駆細胞か
ら産生する3段階法である。さらに本明細書に提供されるのは、胎盤灌流液、本明細書に
記載されるNK細胞及び/又はNK前駆細胞を用いて、例えば、腫瘍細胞の増殖を抑制し、又
は病原体感染、例えば、ウイルス感染を阻害する方法である。ある実施態様において、本
明細書に記載される3段階法によって産生されるNK細胞及び/又はNK前駆細胞は、1以上の
免疫調節化合物と組み合わせて使用され、及び/又は該免疫調節化合物で処理される。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
ナチュラルキラー(NK)細胞は、自然免疫系の主要な構成要素となる細胞傷害性リンパ球
である。
【0004】
NK細胞は、インターフェロン又はマクロファージ由来サイトカインに応答して活性化さ
れる。NK細胞の細胞傷害活性は、「活性化受容体」又は「抑制性受容体」とみなされ得る
2つのタイプの表面受容体によって主に調節されるが、一部の受容体、例えば、CD94及び2
B4(CD244)は、リガンド相互作用に応じて、どちらでも機能することができる。
【0005】
他の活性の中でも、NK細胞は、宿主による腫瘍の拒絶において役割を果たし、ウイルス
感染細胞を死滅させることができることが示されている。ナチュラルキラー細胞は、主要
組織適合性複合体(MHC)タンパク質を欠き、又はそのレベルの低下を示す細胞によって活
性化され得る。自己のクラスI MHC発現のレベルが変化又は低下している癌細胞は、NK細
胞感受性の誘導をもたらす。末梢血由来の活性化させられ、増殖させられたNK細胞、及び
場合により、LAK細胞は、進行癌を有する患者のエクスビボ療法とインビボ治療の両方で
使用されており、白血病などの骨髄関連疾患;乳癌;及びある種のリンパ腫に対してある程
度の成功を収めている。
【0006】
腫瘍細胞及びウイルス感染細胞を死滅させる上でのNK細胞の有利な特性にもかかわらず
、NK細胞は、その腫瘍標的能力及び殺腫瘍能力を培養及び増殖の間に維持するのが難しい
ことが主な理由で、免疫療法での適用が依然として難しい。したがって、当技術分野では
、殺腫瘍機能を保持するナチュラルキラー細胞を産生し、それを増殖させる効率的な方法
を開発することが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
(3.概要)
本明細書に提供されるのは、細胞、例えば、造血細胞、例えば、造血幹細胞、例えば、
CD34+造血幹細胞を増殖及び分化させて、ナチュラルキラー(NK)細胞を産生する方法であ
る。
【0008】
一態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される3つの段階を含む(
及び本明細書において「3段階法」と呼ばれる)、NK細胞集団を産生する方法である。本明
細書に提供される3段階法によって産生されるナチュラルキラー細胞は、本明細書におい
て、「3段階法によって産生されるNK細胞」と呼ばれる。ある実施態様において、該方法
は、細胞を接触させる(又は培養する)第4の工程も中間工程も含まない。
【0009】
一態様において、本明細書に提供されるのは、NK細胞を産生する方法であって、造血幹
細胞又は前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞又は前駆細胞を、幹細胞動員剤及びトロンボポ
エチン(Tpo)を含む第1の培地中で培養して、第1の細胞集団を産生し、その後、該第1の細
胞集団を、幹細胞動員剤及びインターロイキン-15(IL-15)を含み、かつTpoを欠いている
第2の培地中で培養して、第2の細胞集団を産生し、その後、該第2の細胞集団を、IL-2及
びIL-15を含み、かつ幹細胞動員剤及び低分子量ヘパリン(LMWH)を欠いている第3の培地中
で培養して、第3の細胞集団を産生することを含み、ここで、該第3の細胞集団が、CD56+
、CD3-であるナチュラルキラー細胞を含み、かつ該ナチュラルキラー細胞の少なくとも70
%、例えば、80%が生存している、方法である。ある実施態様において、そのようなナチ
ュラルキラー細胞は、CD16-であるナチュラルキラー細胞を含む。ある実施態様において
、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある
実施態様において、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+又はCD16+であるナチュラ
ルキラー細胞を含む。ある実施態様において、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94
-又はCD16-であるナチュラルキラー細胞を含む。ある実施態様において、そのようなナチ
ュラルキラー細胞は、CD94+及びCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある実施態様
において、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94-及びCD16-であるナチュラルキラー
細胞を含む。ある実施態様において、該第1の培地、第2の培地、及び第3の培地のうちの
少なくとも1つ、2つ、又は3つ全ては、培地GBGM(登録商標)ではない。ある実施態様にお
いて、該第3の培地は、添加された脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある実
施態様において、該第3の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。
【0010】
ある実施態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、哺乳動物細胞である。具体的な
実施態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、ヒト細胞である。具体的な実施態様に
おいて、該造血幹細胞又は前駆細胞は、霊長類細胞である。具体的な実施態様において、
該造血幹細胞又は前駆細胞は、イヌ細胞である。具体的な実施態様において、該造血幹細
胞又は前駆細胞は、齧歯類細胞である。
【0011】
ある態様において、該第1の培地中で培養される造血幹細胞又は前駆細胞は、CD34+幹細
胞又は前駆細胞である。ある態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、胎盤造血幹細
胞又は前駆細胞である。ある態様において、該胎盤造血幹細胞又は前駆細胞は、胎盤灌流
液から入手されるか又は入手可能である(例えば、胎盤灌流液由来の単離された有核細胞
から入手されるか又は入手可能である)。ある態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞
は、臍帯血から入手されるか又は入手可能である。ある態様において、該造血幹細胞又は
前駆細胞は、胎児肝臓細胞である。ある態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、動
員末梢血細胞である。ある態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、骨髄細胞である
【0012】
ある態様において、該3段階法で使用される該第1の培地は、幹細胞動員剤及びトロンボ
ポエチン(Tpo)を含む。ある態様において、該3段階法で使用される第1の培地は、幹細胞
動員剤及びTpoの他に、低分子量ヘパリン(LMWH)、Flt-3リガンド(Flt-3L)、幹細胞因子(S
CF)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、又は顆粒球マクロファージ刺激因子
(GM-CSF)のうちの1つ又は複数を含む。ある態様において、該第1の培地は、添加されたLM
WHを含まない。ある態様において、該第1の培地は、添加された脱硫酸化グリコサミノグ
リカンを含まない。ある態様において、該第1の培地は、LMWHを含まない。ある態様にお
いて、該第1の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない。ある態様において、
該3段階法で使用される第1の培地は、幹細胞動員剤及びTpoの他に、LMWH、Flt-3L、SCF、
IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む。ある態様において、該3段階法で使用され
る第1の培地は、幹細胞動員剤及びTpoの他に、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM
-CSFの各々を含む。ある態様において、該Tpoは、該第1の培地中に、1ng/mL~100ng/mL、
1ng/mL~50ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、又は約25ng/mLの濃度で存在する。ある態様におい
て、該第1の培地中、該LMWHは1U/mL~10U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは1ng/mL~50ng/mL
の濃度で存在し;該SCFは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.01ng/mL~0.1ng/mL
の濃度で存在し;該IL-7は1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.01ng/mL~0.50ng/
mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある態様に
おいて、該第1の培地中、該Flt-3Lは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該SCFは1ng/mL~50
ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は1ng/mL~50
ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.
005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第1の培地中、該LMWHは4U/
mL~5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該SCFは20ng/mL
~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は20ng/
mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-C
SFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第1の培地中、該Flt
-3Lは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6
は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-
CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度
で存在する。ある態様において、該第1の培地中、該LMWHは約4.5U/mLの濃度で存在し;該F
lt-3Lは約25ng/mLの濃度で存在し;該SCFは約27ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は約0.05ng/m
Lの濃度で存在し;該IL-7は約25ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは約.25ng/mLの濃度で存在
し;かつ該GM-CSFは約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第1の培地中、
該Flt-3Lは約25ng/mLの濃度で存在し;該SCFは約27ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は約0.05n
g/mLの濃度で存在し;該IL-7は約25ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは約.25ng/mLの濃度で存
在し;かつ該GM-CSFは約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある実施態様において、該第1の培
地は、GBGM(登録商標)ではない。
【0013】
ある態様において、該3段階法で使用される該第2の培地は、幹細胞動員剤及びインター
ロイキン-15(IL-15)を含み、かつTpoを欠いている。ある態様において、該3段階法で使用
される第2の培地は、幹細胞動員剤及びIL-15の他に、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-
CSF、及びGM-CSFのうちの1つ又は複数を含む。ある態様において、該第2の培地は、添加
されたLMWHを含まない。ある態様において、該第2の培地は、添加された脱硫酸化グリコ
サミノグリカンを含まない。ある態様において、該第2の培地は、LMWHを含まない。ある
態様において、該第2の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない。ある態様に
おいて、該3段階法で使用される第2の培地は、幹細胞動員剤及びIL-15の他に、LMWH、Flt
-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む。ある態様において、該3段階法
で使用される第2の培地は、幹細胞動員剤及びIL-15の他に、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-
CSF、及びGM-CSFの各々を含む。ある態様において、該IL-15は、該第2の培地中に、1ng/m
L~50ng/mL、10ng/mL~30ng/mL、又は約20ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、
該第2の培地中、該LMWHは1U/mL~10U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは1ng/mL~50ng/mLの濃
度で存在し;該SCFは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃
度で存在し;該IL-7は1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.01ng/mL~0.50ng/mLの
濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある態様におい
て、該第2の培地中、該LMWHは、該第2の培地中、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3L
は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0
.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSF
は0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で
存在する。ある態様において、該第2の培地中、該Flt-3Lは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存
在し;該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で
存在し;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃
度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様において
、該第2の培地中、該LMWHは、該第2の培地中、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは2
0ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04
ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0
.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在
する。ある態様において、該第2の培地中、該Flt-3Lは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;
該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し
;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存
在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第2
の培地中、該LMWHは、該第2の培地中、約4.5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは約25ng/mLの
濃度で存在し;該SCFは約27ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は約0.05ng/mLの濃度で存在し;該
IL-7は約25ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは約0.25ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは
約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第2の培地中、該Flt-3Lは約25ng/m
Lの濃度で存在し;該SCFは約27ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は約0.05ng/mLの濃度で存在し
;該IL-7は約25ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは約0.25ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSF
は約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある実施態様において、該第2の培地は、GBGM(登録商
標)ではない。
【0014】
ある態様において、該第1の培地、該第2の培地、又は該第1及び第2の培地中に存在する
幹細胞動員因子は、アリール炭化水素受容体阻害剤、例えば、アリール炭化水素受容体ア
ンタゴニストである。ある態様において、該アリール炭化水素受容体阻害剤は、レスベラ
トロールである。ある態様において、該アリール炭化水素受容体阻害剤は、次式の化合物
;又はその塩である。
【化1】
(式中:
G1は、N及びCR3から選択され;
G2、G3、及びG4は、CH及びNから独立に選択され;但し、G3及びG4のうちの少なくとも1
つはNであり;但し、G1及びG2が両方ともNであることはなく;
Lは、--NR5a(CH2)0-3--、--NR5aCH(C(O)OCH3)CH2--、--NR5a(CH2)2NR5b--、--NR5a(CH2
)2S--、--NR5aCH2CH(CH3)CH2--、--NR5aCH2CH(OH)--、及び--NR5aCH(CH3)CH2--から選択
され;ここで、R5a及びR5bは、水素及びC1-4アルキルから独立に選択され;
R1は、水素、フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノ
リニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、1H-ピラゾリル、
ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリル
、及びチアゾリルから選択され;ここで、R1の該フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-
ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、
ピリミジニル、1H-ピラゾリル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニ
ル、ピリダジニル、1H-ピロリル、又はチアゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキ
ル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、ヒドロキ
シ、アミノ、--C(O)R8a、--S(O)0-2R8a、--C(O)OR8a、及び--C(O)NR8aR8bから独立に選択
される1~3個のラジカルによって任意に置換されることができ;ここで、R8a及びR8bは、
水素及びC1-4アルキルから独立に選択され;但し、R1及びR3が両方とも水素であることは
なく;
R2は、--S(O)2NR6aR6b、--NR9aC(O)R9b、--NR6aC(O)NR6bR6c、フェニル、1H-ピロロピ
リジン-3-イル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2
-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾ
リル、及び1H-インダゾリルから選択され;ここで、R6a、R6b、及びR6cは、水素及びC1-4
アルキルから独立に選択され;ここで、R2の該フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イル、1H-
インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリ
ジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、又は1H-イン
ダゾリルは、ヒドロキシ、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、--O(CH2)nNR7aR7b、--S(O)
2NR7aR7b、--OS(O)2NR7aR7b、及び--NR7aS(O)2R7bから独立に選択される1~3個のラジカ
ルで任意に置換されており;ここで、R7a及びR7bは、水素及びC1-4アルキルから独立に選
択され;
R3は、水素、C1-4アルキル、及びビフェニルから選択され;かつ
R4は、C1-10アルキル、プロパ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(
2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒド
ロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン
-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、及び1-(1-(2-オキソ-6,9,
12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルか
ら選択され;ここで、該アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2-(2-オキソピロリ
ジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、ベンズヒドリル、テトラ
ヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4
-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、ベンジル
、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、又は1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-
アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-
4アルキル、及びハロ置換C1-4アルキルから独立に選択される1~3個のラジカルで任意に
置換されることができる。)
【0015】
ある態様において、該アリール炭化水素受容体阻害剤は、StemRegenin-1(SR-1)(4-(2-(
2-(ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)-9-イソプロピル-9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)フェ
ノール)である。ある態様において、該アリール炭化水素受容体阻害剤は、化合物CH22319
1(1-メチル-N-[2-メチル-4-[2-(2-メチルフェニル)ジアゼニル]フェニル-1H-ピラゾール-
5-カルボキサミド]である。
【0016】
ある態様において、該第1の培地、該第2の培地、又は該第1及び第2の培地中に存在する
幹細胞動員因子は、ピリミド(4,5-b)インドール誘導体である。ある態様において、該ピ
リミド(4,5-b)インドール誘導体は、以下のうちの1つもしくは複数:又はその塩もしくは
プロドラッグである。
【化2】
(式中:
Zは、
1)-P(O)(OR<1>)(OR<1>)、
2)-C(0)OR<1>、
3)-C(0)NHR<1>、
4)-C(0)N(R)R<1>、
5)-C(0)R<1>、
6)-CN、
7)-SR、
8)-S(0)2NH2、
9)-S(0)2NHR<1>、
10)-S(0)2N(R)R<1>、
11)-S(0)R<1>、
12)-S(0)2R<1>、
13)-L、
14)1つ、2つ、もしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ベンジル、
15)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロアリールであって、
該置換基が該L及び該ヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
16)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロシクリルであって、
該置換基が該L及び該ヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの、
17)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-アリールであって、該置換
基が該L及び該ヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
18)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ヘテロアリール、又は
19)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-アリール
であり、ここで、各々の置換基は、それがまだ存在しないならば、該L基に任意に結合し
ており、かつ(R<1>)及びR<1>が窒素原子に結合しているとき、任意に、それらは、該窒素
原子と一緒になって、N、0、及びSから選択される1以上の他のヘテロ原子を任意に含む3
~7員環を形成し、任意に、該環は、1以上のR<1>又はR<A>で置換されており;
Wは、
1)-H、
2)-ハロゲン、
3)-OR<1>、
4)-L-OH、
5)-L-OR<1>、
6)-SR<1>、
7)-CN、
8)-P(0)(OR<1>)(OR<1>)、
9)-NHR<1>、
10)-N(R<1>)R<1>、
11)-L-NH2、
12)-L-NHR<1>、
13)-L-N(R<1>)R<1>、
14)-L-SR<1>、
15)-L-S(0)R<1>、
16)-L-S(0)2R<1>、
17)-L-P(0)(OR<1>)(OR<1>
18)-C(0)OR<1>、
19)-C(0)NH2、
20)-C(0)NHR<1>、
21)-C(0)N(R<1>)R<1>、
22)-NHC(0)R<1>、
23)-NR1C(0)R<1>、
-NHC(0)0R<1>、
-NR1C(0)0R<1>、
-0C(0)NH2、
-0C(0)NHR<1>、
-0C(0)N(R)R<1>、
-0C(0)R<1>、
-C(0)R<1>、
-NHC(0)NH2、
-NHC(0)NHR<1>、
-NHC(0)N(R)R<1>、
-NR C(0)NH2、
-NR C(0)NHR<1>、
-NR C(0)N(R)R<1>、
-NHS(0)2R<1>、
-NR S(0)2R<1>、
-S(0)2NH2、
-S(0)2NHR<1>、
-S(0)2N(R)R<1>、
-S(0)R<1>、
-S(0)2R<1>、
-0S(0)2R1、
-S(0)20R<1>、
1つ、2つ、もしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ベンジル、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロアリールであって、該置
換基が該L及び該ヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロシクリルであって、該置
換基が該L及び該ヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-アリールであって、該置換基が
該L及びアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
-L-NR<1>(R<1>)、
-L-)2 NR<1>、
-L-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール
であって、該置換基が該L及びヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの

1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル
であって、該置換基が該L及びヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの

1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-(N(R<1>)-L)n-アリールであっ
て、該置換基が該L及びアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
-0-L-N(R)R<1>、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-ヘテロアリールであって、該
置換基が該L及びヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-ヘテロシクリルであって、該
置換基が該L及びヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-アリールであって、該置換基
が該L及びアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
-0-L)2-NR<1>、
-0-L-(N(R)-L)n-N(R)R<1>、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリー
ルであって、該置換基が該L及びヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているも
の、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリ
ルであって、該置換基が該L及びヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているも
の、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-0-L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-S-L-ヘテロアリール、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-S-L-ヘテロシクリル、
1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-S-L-アリールであって、該置換基
が該L及びアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
-S-L)2 NR1、
-S-L-(N(R1)-L)''-N(R1)R1、
1以上のR<A>置換基で任意に置換された-S-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
1以上のR<A>置換基で任意に置換された-S-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、
1以上のR<A>置換基で任意に置換された-S-L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
-NR<1>(R<1>)、
-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、
-N(R1)L)2-NR1、
76)-(N(R1)-L)''-N(R1)RA、
77)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール

78)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル

79)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-(N(R<1>)-L)n-アリール、
80)1以上のR<A>置換基で任意に置換された-ヘテロアリール、又は
81)1以上のR<A>置換基で任意に置換された-アリール
であり、ここで、各々の置換基は、それがまだ存在しないならば、該L基に任意に結合し
ており、かつ2つのR<1>置換基が同じ窒素原子上に存在するとき、各々のR<1>置換基は、
後に記載されるR<1>値のリストから独立に選択され、
ここで、nは、0、1、2、3、4、又は5のいずれかに等しい整数であり、
ここで、(R<1>)及びR<1>が窒素原子に結合しているとき、任意に、それらは、該窒素原
子と一緒になって、N、0、及びSから選択される1以上の他のヘテロ原子を任意に含む3~7
員環を形成し、任意に、該環は、1以上のR<1>又はR<A>で置換されており;
Lは、
1)-Ci-6アルキル、
2)-C2-6アルケニル、
3)-C2-6アルキニル、
4)-C3-7シクロアルキル、
5)-C3-7シクロアルケニル、
6)ヘテロシクリル、
7)-Ci-6アルキル-C3-7シクロアルキル、
8)-Ci-6アルキル-ヘテロシクリル、
9)アリール、又は
10)ヘテロアリール
であり、ここで、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルキル、該シク
ロアルケニル、該ヘテロシクリル、該アリール、及び該ヘテロアリール基は、各々独立に
、1つ又は2つのR<A>置換基で任意に置換されており;
Riは、
1)-H、
2)-C1-6アルキル、
3)-C2-6アルケニル、
4)-C2-6アルキニル、
5)-C3-7シクロアルキル、
6)-C3-7シクロアルケニル、
7)-パーフルオロ化C1-5、
8)-ヘテロシクリル、
9)-アリール、
10)-ヘテロアリール、
11)-ベンジル、又は
12)5-[(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル]ペ
ンタノイル
であり、ここで、該アルキル、該アルケニル、該アルキニル、該シクロアルケニル、該パ
ーフルオロ化アルキル、該ヘテロシクリル、該アリール、該ヘテロアリール、及び該ベン
ジル基は、各々独立に、1つ、2つ、又は3つのR<A>又はR<1>置換基で任意に置換されてお
り;
R2は、
1)-H、
2)-C1-6アルキル、
3)-SR、
4)-C(0)R1、
5)-S(0)R1、
6)-S(0)2R<1>、
7)1つ、2つ、もしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ベンジル
8)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロアリールであって、該
置換基が該L及び該ヘテロアリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
9)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-ヘテロシクリルであって、該
置換基が該L及び該ヘテロシクリル基の一方もしくは両方に結合しているもの、
10)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-L-アリールであって、該置換
基が該L及び該アリール基の一方もしくは両方に結合しているもの、
11)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-ヘテロアリール、又は
12)1以上のR<A>もしくはR<1>置換基で任意に置換された-アリール
であり、ここで、各々の置換基は、それがまだ存在しないならば、該L基に任意に結合し
ており;
R<A>は、
1)-ハロゲン、
2)-CFs、
3)-OH、
4)-OR<1>、
5)-L-OH、
6)-L-OR<1>、
7)-OCFs、
8)-SH、
9)-SR1、
10)-CN、
11)-NO2、
12)-NH2、
13)-NHR<1>、
14)-NR<1>R<1>、
15)-L-NH2、
16)-L-NHR<1>、
17)-L-NR<4>R<1>、
18)-L-SR<1>、
19)-L-S(0)R<1>、
20)-L-S(0)2R<1>、
21)-C(0)OH、
22)-C(0)OR<1>、
23)-C(0)NH2、
24)-C(0)NHR<1>、
25)-C(0)N(R<1>)R<1>、
26)-NHC(0)R<1>、
27)-NR1C(0)R<1>、
28)-NHC(0)OR<1>、
29)-NR1C(0)0R<1>、
30)-OC(0)NH2、
31)-OC(0)NHR<1>、
32)-OC(0)N(R)R<1>、
33)-OC(0)R<1>、
34)-C(0)R1、
35)-NHC(0)NH2、
36)-NHC(0)NHR1、
37)-NHC(0)N(R)R<1>、
38)-NR C(0)NH2、
39)-NR C(0)NHR<1>、
40)-NR1C(0)N(R1)R1、
41)-NHS(0)2R<1>、
42)-NR S(0)2R<1>、
43)-S(0)2NH2、
44)-S(0)2NHR<1>、
45)-S(0)2N(R)R<1>、
46)-S(0)R<1>、
47)-S(0)2R<1>、
48)-0S(0)2R<1>、
49)-S(0)20R<1>、
50)-ベンジル、
51)-N3、又は
52)-C(-N=N-)(CF3)
であり、ここで、該ベンジル基は、1つ、2つ、又は3つのR<A>又はR<1>置換基で任意に置
換されている。)
【0017】
ある態様において、該ピリミド(4,5-b)インドール誘導体は、化学構造
【化3】
を有する。
【0018】
ある態様において、該ピリミド(4,5-b)インドール誘導体は、化学構造
【化4】
を有する。
【0019】
ある態様において、該3段階法で使用される該第3の培地は、IL-2及びIL-15を含み、か
つ幹細胞動員剤及びLMWHを欠いている。ある態様において、該3段階法で使用される第3の
培地は、IL-2及びIL-15の他に、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、又はGM-CSFのうちの1つ又は複
数を含む。ある態様において、該3段階法で使用される第3の培地は、IL-2及びIL-15の他
に、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む。ある態様において、該IL-2は、
該第3の培地中、10U/mL~10,000U/mLの濃度で存在し、かつ該IL-15は、該第3の培地中、1
ng/mL~50ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該IL-2は、該第3の培地中、100U/
mL~10,000U/mLの濃度で存在し、かつ該IL-15は、該第3の培地中、1ng/mL~50ng/mLの濃
度で存在する。ある態様において、該IL-2は、該第3の培地中、300U/mL~3,000U/mLの濃
度で存在し、かつ該IL-15は、該第3の培地中、10ng/mL~30ng/mLの濃度で存在する。ある
態様において、該IL-2は、該第3の培地中、約1,000U/mLの濃度で存在し、かつ該IL-15は
、該第3の培地中、約20ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第3の培地中、該S
CFは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し;該IL
-7は1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し;か
つ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第3の培地
中、該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存
在し;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度
で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、
該第3の培地中、該SCFは約22ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は約0.05ng/mLの濃度で存在し;
該IL-7は約20ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは約0.25ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSF
は約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある実施態様において、該第3の培地は、GBGM(登録商
標)ではない。
【0020】
通常、特に列挙される培地成分は、該培地の不確定成分、例えば、血清中の考え得る構
成成分を指すものではない。例えば、該Tpo、IL-2、及びIL-15は、該第1の培地、第2の培
地、又は第3の培地の不確定成分に含まれず、例えば、該Tpo、IL-2、及びIL-15は、血清
に含まれない。さらに、該LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及び/又はGM-CSFは、
該第1の培地、第2の培地、又は第3の培地の不確定成分に含まれず、例えば、該LMWH、Flt
-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及び/又はGM-CSFは、血清に含まれない。
【0021】
ある態様において、該第1の培地、第2の培地、又は第3の培地は、ヒト血清-ABを含む。
ある態様において、該第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかは、1%~20%ヒ
ト血清-AB、5%~15%ヒト血清-AB、又は約2、5、もしくは10%ヒト血清-ABを含む。
【0022】
ある態様において、該第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかは、2-メルカ
プトエタノールを含む。ある態様において、該第1の培地、第2の培地、又は第3の培地の
いずれかは、ゲンタマイシンを含む。
【0023】
ある実施態様において、本明細書に記載される3段階法において、該造血幹細胞又は前
駆細胞を、該第2の培地中で該培養することの前に、該第1の培地中で、1、2、3、4、5、6
、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日間培養する。ある実施
態様において、細胞を、該第3の培地中で該培養することの前に、該第2の培地中で、1、2
、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日間培養す
る。ある実施態様において、細胞を、該第3の培地中で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、も
しくは30日間、又は30日よりも長い間培養する。
【0024】
一実施態様において、本明細書に記載される3段階法において、該造血幹細胞又は前駆
細胞を該第1の培地中で7~13日間培養して、第1の細胞集団を産生し;該第1の細胞集団を
該第2の培地中で2~6日間培養して、第2の細胞集団を産生し;かつ該第2の細胞集団を該第
3の培地中で10~30日間培養する、すなわち、該細胞を合計19~49日間培養する。
【0025】
一実施態様において、本明細書に記載される3段階法において、該造血幹細胞又は前駆
細胞を該第1の培地中で8~12日間培養して、第1の細胞集団を産生し;該第1の細胞集団を
該第2の培地中で3~5日間培養して、第2の細胞集団を産生し;かつ該第2の細胞集団を該第
3の培地中で15~25日間培養する、すなわち、該細胞を合計26~42日間培養する。
【0026】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される3段階法において、該造血幹細胞又
は前駆細胞を該第1の培地中で約10日間培養して、第1の細胞集団を産生し;該第1の細胞集
団を該第2の培地中で約4日間培養して、第2の細胞集団を産生し;かつ該第2の細胞集団を
該第3の培地中で約21日間培養する、すなわち、該細胞を合計約35日間培養する。
【0027】
ある態様において、該第1の培地、第2の培地、及び第3の培地中で該培養することは、
全て静置培養条件下、例えば、培養皿又は培養フラスコ中で行われる。ある態様において
、該第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のうちの少なくとも1つの中で該培養すること
は、スピナーフラスコ中で行われる。ある態様において、該第1の培地及び該第2の培地中
で該培養することは、静置培養条件下で行われ、該第3の培地中で該培養することは、ス
ピナーフラスコ中で行われる。
【0028】
ある態様において、該培養することは、スピナーフラスコ中で行われる。他の態様にお
いて、該培養することは、G-Rex装置中で行われる。また他の態様において、該培養する
ことは、WAVEバイオリアクター中で行われる。
【0029】
ある態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、該第1の培地中に、1×104~1×105
細胞/mLで最初に播種される。具体的な態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、該
第1の培地中に、約3×104細胞/mLで最初に播種される。
【0030】
ある態様において、該第1の細胞集団は、該第2の培地中に、5×104~5×105細胞/mLで
最初に播種される。具体的な態様において、該第1の細胞集団は、該第2の培地中に、約1
×105細胞/mLで最初に播種される。
【0031】
ある態様において、該第2の細胞集団は、該第3の培地中に、1×105~5×106細胞/mLで
最初に播種される。ある態様において、該第2の細胞集団は、該第3の培地中に、1×105
1×106細胞/mLで最初に播種される。具体的な態様において、該第2の細胞集団は、該第3
の培地中に、約5×105細胞/mLで最初に播種される。より具体的な態様において、該第2の
細胞集団は、該第3の培地中に、スピナーフラスコ中、約5×105細胞/mLで最初に播種され
る。具体的な態様において、該第2の細胞集団は、該第3の培地中に、約3×105細胞/mLで
最初に播種される。より具体的な態様において、該第2の細胞集団は、該第3の培地中に、
静置培養下、約3×105細胞/mLで最初に播種される。
【0032】
ある態様において、本明細書に開示される3段階法は、該第1の培地中に最初に播種され
た造血幹細胞の数と比較したとき、少なくとも5000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生
する。ある態様において、該3段階法は、該第1の培地中に最初に播種された造血幹細胞の
数と比較したとき、少なくとも10,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する。ある態
様において、該3段階法は、該第1の培地中に最初に播種された造血幹細胞の数と比較した
とき、少なくとも50,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、
該3段階法は、該第1の培地中に最初に播種された造血幹細胞の数と比較したとき、少なく
とも75,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該ナチュラル
キラー細胞の生存は、7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)染色によって決定される。ある
態様において、該ナチュラルキラー細胞の生存は、アネキシン-V染色によって決定される
。具体的な態様において、該ナチュラルキラー細胞の生存は、7-AAD染色とアネキシン-V
染色の両方によって決定される。ある態様において、該ナチュラルキラー細胞の生存は、
トリパンブルー染色によって決定される。
【0033】
ある態様において、本明細書に開示される3段階法は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチ
ュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階
法は、少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を
産生する。ある態様において、該3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラ
ー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階法は、少な
くとも70%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生する。
ある態様において、該3段階法は、少なくとも75%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含
むナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階法は、少なくとも80%
のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生する。
【0034】
ある態様において、本明細書に開示される3段階法は、ナチュラルキラー細胞とK562細
胞をインビトロで10:1の比で共培養したとき、該K562細胞に対する少なくとも20%の細胞
傷害性を示すナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階法は、ナチ
ュラルキラー細胞とK562細胞をインビトロで10:1の比で共培養したとき、該K562細胞に対
する少なくとも35%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様にお
いて、該3段階法は、ナチュラルキラー細胞とK562細胞をインビトロで10:1の比で共培養
したとき、該K562細胞に対する少なくとも45%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞
を産生する。ある態様において、該3段階法は、ナチュラルキラー細胞とK562細胞をイン
ビトロで10:1の比で共培養したとき、該K562細胞に対する少なくとも60%の細胞傷害性を
示すナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階法は、ナチュラルキ
ラー細胞とK562細胞をインビトロで10:1の比で共培養したとき、該K562細胞に対する少な
くとも75%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を産生する。
【0035】
ある態様において、該第3の培養工程の後、該第3の細胞集団、例えば、該ナチュラルキ
ラー細胞集団を凍結保存する。
【0036】
ある態様において、本明細書に提供されるのは、ナチュラルキラー細胞、すなわち、本
明細書に記載される3段階法によって産生されるナチュラルキラー細胞を含む細胞集団で
ある。したがって、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される3段階法によって
産生される単離されたナチュラルキラー細胞集団である。具体的な実施態様において、該
ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む
。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも40%のCD56+C
D3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞
集団は、少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施態様に
おいて、該ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー
細胞を含む。
【0037】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、単離されたNK前駆細胞集団であり、
ここで、該NK前駆細胞は、本明細書に記載される3段階法に従って産生される。
【0038】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、単離された成熟NK細胞集団であり
、ここで、該成熟NK細胞は、本明細書に記載される3段階法に従って産生される。
【0039】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、単離されたNK細胞集団であり、こ
こで、該NK細胞は活性化させられており、該活性化させられたNK細胞は、本明細書に記載
される3段階法に従って産生される。
【0040】
したがって、別の態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍細胞増殖を抑制する
か、ウイルス感染を治療するか、又は癌、例えば、血液癌及び固形腫瘍を治療するための
、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団の使用である。ある実施
態様において、該NK細胞集団は、免疫調節化合物、例えば、本明細書に記載される免疫調
節化合物、もしくはサリドマイドと接触させられるか、又はこれらと組み合わせて使用さ
れる。ある実施態様において、該NK細胞集団を、免疫調節化合物、例えば、本明細書に記
載される免疫調節化合物、もしくはサリドマイドで処理されるか、又はこれらと組み合わ
せて使用される。
【0041】
具体的な実施態様において、該癌は、固形腫瘍である。別の実施態様において、該癌は
、血液癌である。具体的な実施態様において、該癌は、膠芽腫、原発性腺管癌、白血病、
急性T細胞白血病、慢性骨髄性リンパ腫(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血
病(CML)、肺癌、結腸腺癌、組織球性リンパ腫、結腸直腸癌、結腸直腸腺癌、前立腺癌、
多発性骨髄腫、又は網膜芽腫である。より具体的な実施態様において、該癌は、AMLであ
る。より具体的な実施態様において、該癌は、多発性骨髄腫である。
【0042】
別の具体的な実施態様において、NK細胞集団が産生される造血細胞、例えば、造血幹細
胞又は前駆細胞は、胎盤灌流液、臍帯血、又は末梢血から得られる。一実施態様において
、NK細胞集団が産生される造血細胞、例えば、造血幹細胞又は前駆細胞は、胎盤から、例
えば、胎盤灌流液から得られる。一実施態様において、NK細胞集団が産生される造血細胞
、例えば、造血幹細胞又は前駆細胞は、臍帯血から得られない。一実施態様において、NK
細胞集団が産生される造血細胞、例えば、造血幹細胞又は前駆細胞は、末梢血から得られ
ない。別の具体的な実施態様において、NK細胞集団が産生される造血細胞、例えば、造血
幹細胞又は前駆細胞は、胎盤灌流液及び臍帯血、例えば、該灌流液と同じ胎盤由来の臍帯
血に由来する組み合わされた細胞である。別の具体的な実施態様において、該臍帯血は、
該胎盤灌流液が得られる胎盤以外の胎盤から単離される。ある実施態様において、該組み
合わされた細胞は、該臍帯血及び胎盤灌流液をプールするか、又はこれらを組み合わせる
ことによって得ることができる。ある実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液を、容
積で100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45: 50:50、
45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1
、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、
20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45
、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100などの比で組
み合わせて、該組み合わされた細胞を得る。具体的な実施態様において、該臍帯血及び胎
盤灌流液を、10:1~1:10、5:1~1:5、又は3:1~1:3の比で組み合わせる。別の具体的な実
施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液を、10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5、又は1:1
0の比で組み合わせる。より具体的な実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液を、8.5
:1.5(85%:15%)の比で組み合わせる。
【0043】
ある実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液を、全有核細胞(TNC)含有量によって
決定されるように、100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、
55:45: 50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:
1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1
、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:3
5、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100
などの比で組み合わせて、該組み合わされた細胞を得る。具体的な実施態様において、該
臍帯血及び胎盤灌流液を、10:1~1:10、5:1~1:5、又は3:1~1:3の比で組み合わせる。別
の具体的な実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液を、10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、
1:5、又は1:10の比で組み合わせる。
【0044】
一実施態様において、それゆえ、本明細書に提供されるのは、癌又はウイルス感染を有
する個体を治療する方法であって、該個体に、本明細書に記載される3段階法を用いて産
生される単離されたNK細胞集団由来の細胞の有効量を投与することを含む、方法である。
ある実施態様において、該癌は、固形腫瘍である。ある実施態様において、該癌は、血液
癌である。具体的な実施態様において、該血液癌は、白血病である。別の具体的な実施態
様において、該血液癌は、リンパ腫である。別の具体的な実施態様において、該血液癌は
、急性骨髄性白血病である。別の具体的な実施態様において、該血液癌は、慢性リンパ球
性白血病である。別の具体的な実施態様において、該血液癌は、慢性骨髄性白血病である
。ある態様において、該ナチュラルキラー細胞は、該接触させること又は該投与すること
の前に凍結保存されたものである。他の態様において、該ナチュラルキラー細胞は、該接
触させること又は該投与することの前に凍結保存されなかったものである。
【0045】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞
集団は、該投与の前に、免疫調節化合物、例えば、本明細書に記載される免疫調節化合物
、又はサリドマイドで処理されたものである。具体的な実施態様において、本明細書に記
載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団は、該投与の前に、IL2とIL12とIL18、IL
12とIL15、IL12とIL18、IL2とIL12とIL15とIL18、又はIL2とIL15とIL18で処理されたもの
である。別の具体的な実施態様において、該方法は、個体に、(1)本明細書に記載される3
段階法を用いて産生される単離されたNK細胞集団の有効量;及び(2)免疫調節化合物又はサ
リドマイドの有効量を投与することを含む。この文脈での「有効量」は、NK細胞集団及び
任意に免疫調節化合物又はサリドマイドを投与されていない該癌又は該感染を有する個体
と比較して、該癌又は該感染の1以上の症状の検出可能な改善をもたらす、該NK細胞集団
内の細胞及び任意に免疫調節化合物又はサリドマイドの量を意味する。具体的な実施態様
において、該免疫調節化合物は、レナリドミド又はポマリドミドである。別の実施態様に
おいて、該方法は、該個体に、抗癌化合物、例えば、1以上の下記の抗癌化合物を投与す
ることをさらに含む。
【0046】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法で
あって、NK細胞集団の治療有効量を腫瘍細胞と近接させること、例えば、腫瘍細胞をNK細
胞集団内の細胞と接触させることを含む、方法である。以後、別途注記されない限り、「
近接」という用語は、所望の結果をもたらすのに十分な近接を指し;例えば、ある実施態
様において、近接という用語は、接触を指す。ある実施態様において、該接触させること
は、インビトロで行われる。他の実施態様において、該接触させることは、インビボで行
われる。ある実施態様において、該腫瘍細胞は、乳癌細胞、頭頸部癌細胞、又は肉腫細胞
である。ある実施態様において、該腫瘍細胞は、原発性腺管癌細胞、白血病細胞、急性T
細胞白血病細胞、慢性骨髄性リンパ腫(CML)細胞、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、肺癌細胞
、結腸腺癌細胞、組織球性リンパ腫細胞、結腸直腸癌細胞、結腸直腸腺癌細胞、又は網膜
芽腫細胞である。
【0047】
単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、全身性又は局所性であり得る。具
体的な実施態様において、投与は、非経口的である。具体的な実施態様において、対象へ
の単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、注射、注入、静脈内(IV)投与、大
腿骨内投与、又は腫瘍内投与によるものである。具体的な実施態様において、対象への単
離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、装置、マトリックス、又はスキャフォ
ールドを用いて行われる。具体的な実施態様において、対象への単離されたNK細胞集団又
はその医薬組成物の投与は、注射によるものである。具体的な実施態様において、対象へ
の単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、カテーテルによるものである。具
体的な実施態様において、NK細胞の注射は、局所注射である。より具体的な実施態様にお
いて、局所注射は、固形腫瘍(例えば、肉腫)に直接のものである。具体的な実施態様にお
いて、対象への単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、注射器による注射に
よるものである。具体的な実施態様において、対象への単離されたNK細胞集団又はその医
薬組成物の投与は、ガイド下送達によるものである。具体的な実施態様において、注射に
よる対象への単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、腹腔鏡検査、内視鏡検
査、超音波、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴、又は放射線検査によって支援される。
【0048】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される3段階法を用いて産生される単離さ
れたNK細胞集団は、該接触させること又は近接させることの前に、免疫調節化合物、例え
ば、以下で本明細書に記載される免疫調節化合物、もしくはサリドマイド、及び/又はIL2
とIL12とIL18、IL12とIL15、IL12とIL18、IL2とIL12とIL15とIL18、もしくはIL2とIL15と
IL18で処理されたものである。別の具体的な実施態様において、免疫調節化合物、例えば
、以下で本明細書に記載される免疫調節化合物、又はサリドマイドの有効量をさらに、腫
瘍細胞と近接させ、例えば、腫瘍細胞を免疫調節化合物又はサリドマイドと接触させる。
この文脈での「有効量」は、NK細胞集団内の細胞及び任意に免疫調節化合物又はサリドマ
イドと接触も近接もさせていない同等数の腫瘍細胞と比較して、該腫瘍細胞の検出可能な
抑制をもたらす、NK細胞集団内の細胞及び任意に免疫調節化合物又はサリドマイドの量を
意味する。別の具体的な実施態様において、該方法は、抗癌化合物、例えば、下記の抗癌
化合物の有効量を、腫瘍細胞と近接させること、例えば、腫瘍細胞を抗癌化合物と接触さ
せることをさらに含む。
【0049】
本方法の具体的な実施態様において、該腫瘍細胞は、血液癌細胞である。別の具体的な
実施態様において、該腫瘍細胞は、固形腫瘍細胞である。別の実施態様において、該腫瘍
細胞は、原発性腺管癌細胞、白血病細胞、急性T細胞白血病細胞、慢性骨髄リンパ腫(CML)
細胞、急性骨髄性白血病細胞(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)細胞、膠芽腫細胞、肺癌細胞
、結腸腺癌細胞、組織球性リンパ腫細胞、多発性骨髄腫細胞、網膜芽腫細胞、結腸直腸癌
細胞、前立腺癌細胞、又は結腸直腸腺癌細胞である。より具体的な実施態様において、該
腫瘍細胞は、AML細胞である。より具体的な実施態様において、該腫瘍細胞は、多発性骨
髄腫細胞である。別の具体的な実施態様において、該接触させること又は近接させること
は、インビトロで行われる。別の具体的な実施態様において、該接触させること又は近接
させることは、インビボで行われる。より具体的な実施態様において、該インビボで接触
させること又は近接させることは、ヒトで行われる。具体的な実施態様において、該腫瘍
細胞は、固形腫瘍細胞である。具体的な実施態様において、該腫瘍細胞は、肝臓腫瘍細胞
である。具体的な実施態様において、該腫瘍細胞は、肺腫瘍細胞である。具体的な実施態
様において、該腫瘍細胞は、膵臓腫瘍細胞である。具体的な実施態様において、該腫瘍細
胞は、腎臓腫瘍細胞である。具体的な実施態様において、該腫瘍細胞は、多形性膠芽腫(G
BM)細胞である。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞は、抗体とともに
投与される。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞は、抗CD33抗体ととも
に投与される。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞は、抗CD20抗体とと
もに投与される。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞は、抗CD138抗体
とともに投与される。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞は、抗CD32抗
体とともに投与される。
【0050】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、多発性骨髄腫を有する個体を治療する
方法であって、該個体に、(1)レナリドミド;(2)メルファラン;及び(3)NK細胞を投与する
ことを含み、ここで、該NK細胞が、該個体の多発性骨髄腫を治療するのに有効である、方
法である。具体的な実施態様において、該NK細胞は、臍帯血NK細胞、又は臍帯血造血細胞
、例えば、造血幹細胞から産生されるNK細胞である。別の実施態様において、該NK細胞は
、NK細胞を産生するための、例えば、3段階法を用いてNK細胞集団を産生するための、本
明細書に記載される方法のいずれかによって産生されたものである。別の実施態様におい
て、該NK細胞は、該投与することの前に増殖させられたものである。別の実施態様におい
て、該レナリドミド、メルファラン、及び/又はNK細胞は、互いに別々に投与される。多
発性骨髄腫を有する個体を治療する方法のある具体的な実施態様において、該NK細胞集団
は、本明細書に記載される3段階法によって産生される。
【0051】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、急性骨髄性白血病(AML)を有する個体
を治療する方法であって、該個体に、NK細胞(IL2とIL12とIL18、IL12とIL15、IL12とIL18
、IL2とIL12とIL15とIL18、又はIL2とIL15とIL18による前処理によって任意に活性化させ
られたもの)を投与することを含み、ここで、該NK細胞が、該個体のAMLを治療するのに有
効である、方法である。具体的な実施態様において、該NK細胞は、臍帯血NK細胞、又は臍
帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から産生されるNK細胞である。別の実施態様において
、該NK細胞は、NK細胞を産生するための、例えば、本明細書に示される3段階法を用いてN
K細胞集団を産生するための、本明細書に記載される方法のいずれかによって産生された
ものである。AMLを有する個体を治療する方法のある具体的な実施態様において、該NK細
胞集団は、本明細書に記載される3段階法によって産生される。特定の実施態様において
、前述の方法によって治療されるべきAMLは、難治性AML、予後不良AML、又は小児AMLを含
む。ある実施態様において、該個体は、AMLに対する少なくとも1つの非ナチュラルキラー
細胞治療剤が奏効していないAMLを有する。具体的な実施態様において、該個体は、65歳
以上であり、かつ第1寛解期にある。具体的な実施態様において、該個体は、ナチュラル
キラー細胞を投与する前に、フルダラビン、シタラビン、又は両方で馴化されている。
【0052】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、慢性リンパ球性白血病(CLL)を有する
個体を治療する方法であって、該個体に、(1)レナリドミド;(2)メルファラン;(3)フルダ
ラビン;及び(4)NK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細
胞集団の治療有効用量を投与することを含み、ここで、該NK細胞が、該個体の該CLLを治
療するのに有効である、方法である。具体的な実施態様において、該NK細胞は、臍帯血NK
細胞、又は臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から産生されるNK細胞である。別の実施
態様において、該NK細胞は、NK細胞を産生するための、例えば、本明細書に記載される3
段階法を用いてNK細胞集団を産生するための、本明細書に記載される方法のいずれかによ
って産生されたものである。上記の方法のいずれかの具体的な実施態様において、該レナ
リドミド、メルファラン、フルダラビン、及び増殖させられたNK細胞は、該個体に別々に
投与される。CLLを有する個体を治療する方法のある具体的な実施態様において、該NK細
胞集団は、本明細書に記載される3段階法によって産生される。
【0053】
ある実施態様において、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団
を凍結保存する、例えば、本明細書に記載される方法を用いて凍結保存する。ある実施態
様において、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団を、凍結保存
培地、例えば、本明細書に記載される凍結保存培地中で凍結保存する。具体的な実施態様
において、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK前駆細胞集団及び/又はNK
細胞集団の凍結保存は、(1)本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK前駆細胞
集団及び/又はNK細胞集団を含む細胞懸濁溶液を調製すること;(2)凍結保存培地を工程(1)
由来の細胞懸濁溶液に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得ること;(3)工程(3)由来の凍結
保存細胞懸濁液を冷却して、凍結保存試料を得ること;並びに(4)該凍結保存試料を-80℃
未満で保存することを含む。
【0054】
上記の治療又は腫瘍抑制の方法のある実施態様において、本明細書に記載される3段階
法によって産生されるNK細胞集団を、他のナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤灌流液、
臍帯血、もしくは末梢血から単離されるか又は異なる方法によって造血細胞から産生され
るナチュラルキラー細胞と組み合わせる。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラ
ー細胞集団を、別の供給源に由来するか又は異なる方法によって作製されるナチュラルキ
ラー細胞と、約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:4
5: 50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、9
5:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:
1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:
40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100など
の比で組み合わせる。
【0055】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される3段階法によっ
て産生される単離されたNK細胞を含む組成物である。具体的な実施態様において、該NK細
胞は、造血細胞、例えば、胎盤灌流液、臍帯血、及び/又は末梢血から単離される造血幹
細胞又は前駆細胞から産生される。別の具体的な実施態様において、該NK細胞は、該組成
物中の細胞の少なくとも70%を含む。別の具体的な実施態様において、該NK細胞は、該組
成物中の細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、又は99%を含む。ある実施態
様において、該組成物中のNK細胞の少なくとも80%、82%、84%、86%、88%、又は90%
は、CD3-及びCD56+である。ある実施態様において、該組成物中のNK細胞の少なくとも65
%、70%、75%、80%、82%、84%、86%、88%、又は90%は、CD16-である。ある実施
態様において、該組成物中のNK細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、3
5%、40%、45%、50%、55%、又は60%は、CD94+である。
【0056】
ある態様において、該組成物中の複数のNK細胞は、マイクロRNAのdme-miR-7、hsa-let-
7a、hsa-let-7c、hsa-let-7e、hsa-let-7g、hsa-miR-103、hsa-miR-106a、hsa-miR-10b、
hsa-miR-1183、hsa-miR-124、hsa-miR-1247、hsa-miR-1248、hsa-miR-1255A、hsa-miR-12
6、hsa-miR-140-3p、hsa-miR-144、hsa-miR-151-3p、hsa-miR-155、hsa-miR-15a、hsa-mi
R-16、hsa-miR-17、hsa-miR-181a、hsa-miR-182、hsa-miR-192、hsa-miR-199a-3p、hsa-m
iR-200a、hsa-miR-20a、hsa-miR-214、hsa-miR-221、hsa-miR-29a、hsa-miR-29b、hsa-mi
R-30b、hsa-miR-30c、hsa-miR-31、hsa-miR-335、hsa-miR-374b、hsa-miR-454、hsa-miR-
484、hsa-miR-513C、hsa-miR-516-3p、hsa-miR-520h、hsa-miR-548K、hsa-miR-548P、hsa
-miR-600、hsa-miR-641、hsa-miR-643、hsa-miR-874、hsa-miR-875-5p、及びhsa-miR-92a
-2のうちの1つ又は複数を、末梢血ナチュラルキラー細胞よりも検出可能な程度に高いレ
ベルで発現する。ある態様において、該組成物中の複数のNK細胞は、マイクロRNAのmiR18
8-5p、miR-339-5p、miR-19a、miR-34c、miR-18a、miR-500、miR-22、miR-222、miR-7a、m
iR-532-3p、miR-223、miR-26b、miR-26a、miR-191、miR-181d、miR-322、及びmiR342-3p
のうちの1つ又は複数を、末梢血ナチュラルキラー細胞よりも検出可能な程度に低いレベ
ルで発現する。ある態様において、該組成物中の複数のNK細胞は、マイクロRNAのmiR-181
a、miR-30b、及びmiR30cのうちの1つ又は複数を、末梢血ナチュラルキラー細胞と同等の
レベルで発現する。
【0057】
具体的な実施態様において、該NK細胞は、単一の個体に由来するものである。より具体
的な実施態様において、該NK細胞は、少なくとも2人の異なる個体由来のナチュラルキラ
ー細胞を含む。別の具体的な実施態様において、該NK細胞は、該NK細胞による治療が意図
される個体とは異なる個体に由来するものである。別の具体的な実施態様において、該NK
細胞は、該NK細胞が、免疫調節化合物又はサリドマイドと接触も近接もさせていない同等
数のナチュラルキラー細胞、すなわち、NK細胞よりも検出可能な程度に多くのグランザイ
ムB又はパーフォリンを発現するのに十分な量及び時間で、該免疫調節化合物又はサリド
マイドと接触又は近接させたものである。別の具体的な実施態様において、該組成物は、
免疫調節化合物又はサリドマイドをさらに含む。ある実施態様において、該免疫調節化合
物は、下記の化合物、例えば、アミノ置換イソインドリン化合物である。ある実施態様に
おいて、該免疫調節化合物は、レナリドミドである。ある実施態様において、該免疫調節
化合物は、ポマリドミドである。
【0058】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、1以上の抗癌化合物、例えば、1以上の下
記の抗癌化合物をさらに含む。
【0059】
より具体的な実施態様において、該組成物は、本明細書に記載される3段階法によって
産生されるNK細胞及び別の供給源に由来するか又は別の方法によって作製されるナチュラ
ルキラー細胞を含む。具体的な実施態様において、該他の供給源は、胎盤血及び/又は臍
帯血である。別の具体的な実施態様において、該他の供給源は、末梢血である。より具体
的な実施態様において、NK細胞を、別の供給源に由来するか又は別の方法によって作製さ
れるナチュラルキラー細胞と、約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65
:35、60:40、55:45: 50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90
、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1
、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:2
5、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90
、1:95、1:100などの比で組み合わせる。
【0060】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、本明細書に記載される3段階法を用いて
産生されるNK細胞及び単離された胎盤灌流液又は単離された胎盤灌流液細胞のどちらかを
含む。より具体的な実施態様において、該胎盤灌流液は、該NK細胞と同じ個体に由来する
ものである。別のより具体的な実施態様において、該胎盤灌流液は、該NK細胞とは異なる
個体に由来する胎盤灌流液を含む。別の具体的な実施態様において、該胎盤灌流液中の細
胞の全て、又は実質的に全て(例えば、90%、95%、98%、もしくは99%超)は、胎児細胞
である。別の具体的な実施態様において、該胎盤灌流液又は胎盤灌流液細胞は、胎児細胞
及び母親細胞を含む。より具体的な実施態様において、該胎盤灌流液中の胎児細胞は、該
灌流液中の細胞の約90%、80%、70%、60%、又は50%未満を含む。別の具体的な実施態
様において、該灌流液は、0.9%NaCl溶液を胎盤血管系に通すことによって得られる。別
の具体的な実施態様において、該灌流液は培養培地を含む。別の具体的な実施態様におい
て、該灌流液は、赤血球を除去するように処理されたものである。別の具体的な実施態様
において、該組成物は、免疫調節化合物、例えば、下記の免疫調節化合物、例えば、アミ
ノ置換イソインドリン化合物を含む。別の具体的な実施態様において、該組成物は、1以
上の抗癌化合物、例えば、1以上の下記の抗癌化合物をさらに含む。
【0061】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、本明細書に記載される3段階法を用いて
産生されるNK細胞及び胎盤灌流液細胞を含む。より具体的な実施態様において、該胎盤灌
流液細胞は、該NK細胞と同じ個体に由来するものである。別のより具体的な実施態様にお
いて、該胎盤灌流液細胞は、該NK細胞とは異なる個体に由来するものである。別の具体的
な実施態様において、該組成物は、単離された胎盤灌流液及び単離された胎盤灌流液細胞
を含み、ここで、該単離された灌流液及び該単離された胎盤灌流液細胞は、異なる個体に
由来するものである。胎盤灌流液を含む上記の実施態様のいずれかの別のより具体的な実
施態様において、該胎盤灌流液は、少なくとも2の個体由来の胎盤灌流液を含む。胎盤灌
流液細胞を含む上記の実施態様のいずれかの別のより具体的な実施態様において、該単離
された胎盤灌流液細胞は、少なくとも2の個体に由来するものである。別の具体的な実施
態様において、該組成物は、免疫調節化合物を含む。別の具体的な実施態様において、該
組成物は、1以上の抗癌化合物、例えば、1以上の下記の抗癌化合物をさらに含む。
【0062】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、本明細書に記載される3段階
法によって産生される単離されたNK細胞集団を含む、組成物、例えば、医薬組成物である
。具体的な実施態様において、該単離されたNK細胞集団は、造血細胞、例えば、胎盤から
、例えば、胎盤灌流液、臍帯血、及び/又は末梢血から単離される造血幹細胞又は前駆細
胞から産生される。別の具体的な実施態様において、該単離されたNK細胞集団は、該組成
物中の細胞の少なくとも70%を含む。別の具体的な実施態様において、該単離されたNK細
胞集団は、該組成物中の細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、又は99%を含
む。別の具体的な実施態様において、該NK細胞は、該組成物中の細胞の少なくとも70%を
含む。ある実施態様において、該組成物中のNK細胞の少なくとも80%、82%、84%、86%
、88%、又は90%は、CD3-及びCD56+である。ある実施態様において、該組成物中のNK細
胞の少なくとも65%、70%、75%、80%、82%、84%、86%、88%、又は90%は、CD16-
である。ある実施態様において、該組成物中のNK細胞の少なくとも5%、10%、15%、20
%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%は、CD94+である。
【0063】
別の具体的な実施態様において、該組成物中の該単離されたNK細胞は、単一の個体に由
来するものである。より具体的な実施態様において、該単離されたNK細胞は、少なくとも
2の異なる個体由来のNK細胞を含む。別の具体的な実施態様において、該組成物中の該単
離されたNK細胞は、該NK細胞による治療が意図される個体とは異なる個体に由来するもの
である。別の具体的な実施態様において、該NK細胞は、該NK細胞が、免疫調節化合物又は
サリドマイドと接触も近接もさせていない同等数のナチュラルキラー細胞、すなわち、NK
細胞よりも検出可能な程度に多くのグランザイムB又はパーフォリンを発現するのに十分
な量及び時間で、該免疫調節化合物又はサリドマイドと接触又は近接させたものである。
別の具体的な実施態様において、該組成物は、免疫調節化合物又はサリドマイドをさらに
含む。ある実施態様において、該免疫調節化合物は、下記の化合物である。
【0064】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、1以上の抗癌化合物、例えば、1以上の下
記の抗癌化合物をさらに含む。
【0065】
より具体的な実施態様において、該組成物は、別の供給源に由来するか又は別の方法に
よって作製されるNK細胞を含む。具体的な実施態様において、該他の供給源は、胎盤血及
び/又は臍帯血である。別の具体的な実施態様において、該他の供給源は、末梢血である
。より具体的な実施態様において、該組成物中の該NK細胞集団を、別の供給源に由来する
か又は別の方法によって作製されるNK細胞と、約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75
:25、70:30、65:35、60:40、55:45: 50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80
、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:
1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:
15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80
、1:85、1:90、1:95、1:100などの比で組み合わせる。
【0066】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、NK細胞集団及び単離された胎盤灌流液又
は単離された胎盤灌流液細胞のどちらかを含む。より具体的な実施態様において、該胎盤
灌流液は、該NK細胞集団と同じ個体に由来するものである。別のより具体的な実施態様に
おいて、該胎盤灌流液は、該NK細胞集団とは異なる個体由来の胎盤灌流液を含む。別の具
体的な実施態様において、該胎盤灌流液中の細胞の全て、又は実質的に全て(例えば、90
%、95%、98%、もしくは99%超)は、胎児細胞である。別の具体的な実施態様において
、該胎盤灌流液又は胎盤灌流液細胞は、胎児細胞及び母親細胞を含む。より具体的な実施
態様において、該胎児細胞は、該胎盤灌流液中の細胞の約90%、80%、70%、60%、又は
50%未満を含む。別の具体的な実施態様において、該灌流液は、0.9%NaCl溶液を胎盤血
管系に通すことによって得られる。別の具体的な実施態様において、該灌流液は培養培地
を含む。別の具体的な実施態様において、該灌流液は、赤血球を除去するように処理され
たものである。別の具体的な実施態様において、該組成物は、免疫調節化合物、例えば、
下記の免疫調節化合物、例えば、アミノ置換イソインドリン化合物を含む。別の具体的な
実施態様において、該組成物は、1以上の抗癌化合物、例えば、1以上の下記の抗癌化合物
をさらに含む。
【0067】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、NK細胞集団及び胎盤灌流液細胞を含む。
より具体的な実施態様において、該胎盤灌流液細胞は、該NK細胞集団と同じ個体に由来す
るものである。別のより具体的な実施態様において、該胎盤灌流液細胞は、該NK細胞集団
とは異なる個体に由来するものである。別の具体的な実施態様において、該組成物は、単
離された胎盤灌流液及び単離された胎盤灌流液細胞を含み、ここで、該単離された灌流液
及び該単離された胎盤灌流液細胞は、異なる個体に由来するものである。胎盤灌流液を含
む上記の実施態様のいずれかの別のより具体的な実施態様において、該胎盤灌流液は、少
なくとも2人の個体由来の胎盤灌流液を含む。胎盤灌流液細胞を含む上記の実施態様のい
ずれかの別のより具体的な実施態様において、該単離された胎盤灌流液細胞は、少なくと
も2人の個体に由来するものである。別の具体的な実施態様において、該組成物は、免疫
調節化合物を含む。別の具体的な実施態様において、該組成物は、1以上の抗癌化合物、
例えば、1以上の下記の抗癌化合物をさらに含む。
【0068】
(3.1.用語)
本明細書で使用されるように、「免疫調節化合物」及び「IMiD(商標)」という用語は、
サリドマイドを包含しない。
【0069】
本明細書で使用されるように、「レナリドミド」は、3-(4'アミノイソインドリン-1'-
オン)-1-ピペリジン-2,6-ジオン(ケミカル・アブストラクツ・サービス名)、又は2,6-ピ
ペリジンジオン,3-(4-アミノ-1,3-ジヒドロ-1-オキソ-2H-イソインドール-2-イル)-(国際
純正応用化学連合(IUPAC)名)を意味する。本明細書で使用されるように、「ポマリドミド
」は、4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを意味
する。
【0070】
本明細書で使用されるように、細胞に言及する場合の「寡能性」は、該細胞が別の細胞
型の細胞に分化する能力を有することを意味する。ある実施態様において、「寡能性細胞
」は、哺乳動物の体の約260種の細胞型のサブセットに成長する能力を有する細胞である
。多能性細胞とは異なり、寡能性細胞は、該細胞型の全てを形成する能力を有するわけで
はない。
【0071】
本明細書で使用されるように、「フィーダー細胞」は、第2のタイプの細胞が維持され
、おそらくは増殖することができる環境を提供するために、該第2のタイプの細胞と共培
養されるあるタイプの細胞を指す。任意の理論に束縛されるものではないが、フィーダー
細胞は、標的細胞に対して、例えば、ペプチド、ポリペプチド、電気信号、有機分子(例
えば、ステロイド)、核酸分子、成長因子(例えば、bFGF)、他の因子(例えば、サイトカイ
ン)、及び代謝栄養素を提供することができる。ある実施態様において、フィーダー細胞
は、単層で成長する。
【0072】
本明細書で使用されるように、さらに修飾することなく、本明細書に記載される方法を
用いて産生される「ナチュラルキラー細胞」又は「NK細胞」には、任意の組織源由来のナ
チュラルキラー細胞が含まれる。
【0073】
本明細書で使用されるように、「胎盤灌流液」は、胎盤、例えば、ヒト胎盤の少なくと
も一部に通した、例えば、胎盤血管系に通した灌流溶液を意味し、これは、胎盤に通す間
に、該灌流溶液によって回収される複数の細胞を含む。
【0074】
本明細書で使用されるように、「胎盤灌流液細胞」は、胎盤灌流液から単離されるか又
は単離可能である有核細胞、例えば、全有核細胞を意味する。
【0075】
本明細書で使用されるように、「腫瘍細胞抑制」、「腫瘍細胞増殖の抑制」などは、例
えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞又はNK細胞集団を、該腫
瘍細胞の集団と接触又は近接させ、例えば、該腫瘍細胞の集団を、本明細書に記載される
3段階法を用いて産生されるNK細胞又はNK細胞集団と接触させることによって、例えば、
腫瘍細胞の集団内の腫瘍細胞の1つ又は複数を死滅させることにより、該腫瘍細胞の集団
の成長を減速させることを含む。ある実施態様において、該接触させることは、インビト
ロで行われる。他の実施態様において、該接触させることは、インビボで行われる。
【0076】
本明細書で使用されるように、「造血細胞」という用語は、造血幹細胞及び造血前駆細
胞を含む。
【0077】
本明細書で使用されるように、「不確定成分」は、その構成成分が、通常は、提供も定
量もされない成分を指す培養培地分野の技術用語である。「不確定成分」の例としては、
限定するものではないが、血清、例えば、ヒト血清(例えば、ヒト血清AB)及び胎仔血清(
例えば、胎仔ウシ血清(fetal bovine serum)又は胎仔ウシ血清(fetal calf serum))が挙
げられる。
【0078】
本明細書で使用されるように、「+」は、特定の細胞マーカーの存在を示すために使用
される場合、該細胞マーカーが、蛍光活性化細胞選別で、アイソタイプ対照と比べて検出
可能な程度に存在すること;又は定量的もしくは半定量的RT-PCRで、バックグラウンドを
上回って検出可能であることを意味する。
【0079】
本明細書で使用されるように、「-」は、特定の細胞マーカーの存在を示すために使用
される場合、該細胞マーカーが、蛍光活性化細胞選別で、アイソタイプ対照と比べて検出
可能な程度には存在しないこと;又は定量的もしくは半定量的RT-PCRで、バックグラウン
ドを上回るほど検出可能ではないことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
(4.図面の簡単な説明)
図1図1:以前のNK細胞増殖培地(「NK細胞増殖」)又はDMSOと比較したときの、1μM、10μM、及び30μMのStemRegenin-1(SR-1)又はCH223191を用いる3段階法についての、10:1(E:T)比でのK562細胞の(A)増殖倍率、(B)細胞純度(CD56+CD3-)、及び(C)細胞傷害性に対する効果。
【0081】
図2図2: CD11a及びナチュラル細胞傷害性受容体NKp30、c-レクチン受容体NKG2D、DNAM-1、2B4、細胞溶解メディエーターであるパーフォリン及びグランザイムB、並びにNK細胞成熟及び細胞溶解機能の調節因子であるEOMESの発現を示す、3段階法によって産生されるCD3-CD56+ゲート細胞のマルチカラーフローサイトメトリー。
【0082】
図3図3:腫瘍細胞株のK562(CML)、HL-60(AML)、及びRPMI8226(多発性骨髄腫)に対する35日目の3段階NK細胞(n=10)の細胞傷害性。溶解は、10:1のエフェクター対標的比で測定した。
【0083】
図4図4:細胞溶解メディエーターであるパーフォリン(上)及び脱顆粒のマーカーであるCD107(下)の発現におけるFITCアイソタイプ対照細胞と3段階NK細胞とを比較したマルチカラーフローサイトメトリー。矢印は、パーフォリン(上)及びCD107(下)を発現する3段階NK細胞を示している。
【0084】
図5図5: K562(CML)細胞と1:1の比で24時間共培養したときの3段階NK細胞(n=11)によるサイトカインの産生。
【0085】
図6図6A~B:インキュベーションから15分後、63倍の倍率での、1:1のエフェクター対標的での3段階NK細胞とK562(CML)細胞(A)及びRPMI8226(多発性骨髄腫)細胞(B)の共焦点イメージングによって捉えられたパーフォリンの極性化を伴うF-アクチン免疫シナプスの形成。細胞をホルムアルデヒドで固定し、F-アクチンをAlexa-488コンジュゲートファロイジンで染色し、パーフォリン抗体、次に、Alexa Fluor 555色素コンジュゲートヤギ抗ウサギ二次抗体を用いて共染色を行った。腫瘍標的細胞をセルトラッカーバイオレット色素でも染色した。矢印は、NK細胞、パーフォリン、及び標的細胞を示している。
【0086】
図7図7:腫瘍細胞株のK562(CML)、HL-60(AML)、及びRPMI8226(多発性骨髄腫)に対する3段階NK細胞(n=3)の細胞傷害性。溶解は、様々なエフェクター対標的比で測定した。
【0087】
図8図8:腫瘍細胞(K562もしくはHL-60)又はホルボール 12-ミリスチン酸 13-アセテート(PMA)で刺激したときの3段階NK細胞(n=4)におけるCD107a発現。CD107a発現は、脱顆粒のマーカーである。4人のドナーからの結果が示されている。
【0088】
図9図9:腫瘍細胞(K562、HL-60、もしくはRPMI8226)又はホルボール 12-ミリスチン酸 13-アセテート(PMA)で刺激したときの3段階NK細胞(n=3)におけるIFNγ分泌。3人のドナーからの結果が示されている。
【0089】
図10図10: 3:1のエフェクター対標的比での初代AML標的細胞(A1、A2、及びKG1a)に対する3段階NK細胞(n=2)の細胞溶解活性。結果は、24時間のインキュベーションについて示されている。2人のドナーからの結果が示されている。
【0090】
図11図11: HL-60(AML)腫瘍細胞株による刺激と比較した、初代AML標的細胞(AML1-4及びKG1a)で刺激したときの3段階NK細胞(n=5)におけるIFNγ分泌。5人のドナーからの結果が示されている。四角は、比較しやすくするために追加されている。
【0091】
図12図12: 3段階NK細胞の注入から1、7、14、21、28、及び45日後のNOD/SCIDγヌル(NSG)マウスにおけるヒトキメラ率(CD45+)。
【0092】
図13図13: 3段階NK細胞の注入から1、7、14、21、28、及び45日後のヒトNK細胞上でのCD16発現の頻度。
【0093】
図14図14: 3段階NK細胞の注入から1、7、14、21、28、及び45日後のヒトNK細胞上でのKIRの発現。棒の下の部分は、KIR2DL2/DL3の発現を示し、棒の真ん中の部分は、KIR2DL2/DL3とKIR3DL1の両方の発現を示し、棒の上の部分は、KIR3DL1の発現を示している。
【0094】
図15図15: 3段階NK細胞を投与されたマウス由来のプールされた14日目の末梢血又は肝臓から単離されたヒト細胞からのコロニー阻害アッセイを用いて、様々なE:T比でのK562細胞に対する抗腫瘍活性を試験した。形成されたコロニーの有意な減少は、K562対照腫瘍細胞のみと比較して、ヒト細胞とともに培養されたK562で観察された。
【0095】
図16図16: 3段階NK細胞を投与されたマウス由来のプールされた14日目の末梢血又は肝臓から単離されたヒト細胞からのコロニー阻害アッセイを用いて、様々なE:T比でのMA9.3Ras細胞に対する抗腫瘍活性を試験した。形成されたコロニーの有意な減少は、MA9.3Ras対照腫瘍細胞のみと比較して、ヒト細胞とともに培養されたMA9.3Rasで観察された。
【発明を実施するための形態】
【0096】
(5.詳細な説明)
本明細書に提供されるのは、造血細胞、例えば、造血幹細胞又は前駆細胞からNK細胞を
産生し、増殖させる新規の方法である。また本明細書に提供されるのは、造血細胞、例え
ば、造血幹細胞又は前駆細胞からNK細胞集団を産生する方法、例えば、3段階法である。
該NK細胞及びNK細胞集団を産生するために使用される造血細胞は、任意の供給源、例えば
、限定するものではないが、胎盤、臍帯血、胎盤血、末梢血、脾臓、又は肝臓から得るこ
とができる。ある実施態様において、該NK細胞又はNK細胞集団は、増殖させられた造血細
胞、例えば、造血幹細胞及び/又は造血前駆細胞から産生される。一実施態様において、
造血細胞は、そのような細胞の供給源、例えば、胎盤から、例えば、胎盤灌流液、臍帯血
、胎盤血、末梢血、脾臓、肝臓、及び/又は骨髄から回収される。
【0097】
NK細胞及びNK細胞集団を産生するために使用される造血細胞は、任意の動物種から得る
ことができる。ある実施態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、哺乳動物細胞であ
る。具体的な実施態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、ヒト細胞である。具体的
な実施態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、霊長類細胞である。具体的な実施態
様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、イヌ細胞である。具体的な実施態様において
、該造血幹細胞又は前駆細胞は、齧歯類細胞である。
【0098】
(5.1.造血細胞)
本明細書に開示される方法において有用な造血細胞は、NK細胞に分化することができる
任意の造血細胞、例えば、前駆細胞、造血前駆細胞、造血幹細胞などであることができる
。造血細胞は、例えば、骨髄、臍帯血、胎盤血、末梢血、肝臓など、又はこれらの組合せ
などの組織源から得ることができる。造血細胞は、胎盤から得ることができる。具体的な
実施態様において、該造血細胞は、胎盤灌流液から得られる。一実施態様において、該造
血細胞は、臍帯血から得られない。一実施態様において、該造血細胞は、末梢血から得ら
れない。胎盤灌流液由来の造血細胞は、胎児造血細胞と母親造血細胞の混合物、例えば、
母親細胞が造血細胞の総数の5%超を含む混合物を含むことができる。ある実施態様にお
いて、胎盤灌流液由来の造血細胞は、少なくとも約90%、95%、98%、99%、又は99.5%
の胎児細胞を含む。
【0099】
別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK
細胞集団が産生される造血細胞、例えば、造血幹細胞又は前駆細胞は、胎盤灌流液、臍帯
血、胎児肝臓、動員末梢血、又は骨髄から得られる。別の具体的な実施態様において、本
明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団が産生される造血細胞、例え
ば、造血幹細胞又は前駆細胞は、胎盤灌流液及び臍帯血、例えば、該灌流液と同じ胎盤由
来の臍帯血に由来する組み合わされた細胞である。別の具体的な実施態様において、該臍
帯血は、該胎盤灌流液が得られる胎盤以外の胎盤から単離される。ある実施態様において
、該組み合わされた細胞は、該臍帯血及び胎盤灌流液をプールするか、又はこれらを組み
合わせることによって得ることができる。ある実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流
液を、容積で100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:
50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:
1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1
、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:4
0、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100などの
比で組み合わせて、該組み合わされた細胞を得る。具体的な実施態様において、該臍帯血
及び胎盤灌流液を、10:1~1:10、5:1~1:5、又は3:1~1:3の比で組み合わせる。別の具体
的な実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液を、10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5、
又は1:10の比で組み合わせる。より具体的な実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液
を、8.5:1.5(85%:15%)の比で組み合わせる。
【0100】
ある実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液を、全有核細胞(TNC)含有量で100:1、
95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45: 50:50、45:55、40:6
0、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1
、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、
10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55
、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100などの比で組み合わせて、
該組み合わされた細胞を得る。具体的な実施態様において、該臍帯血及び胎盤灌流液を、
10:1~1:10、5:1~1:5、又は3:1~1:3の比で組み合わせる。別の具体的な実施態様におい
て、該臍帯血及び胎盤灌流液を、10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5、又は1:10の比で組み
合わせる。
【0101】
別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される3段階法を用いて産生される該N
K細胞集団が産生される造血細胞、例えば、造血幹細胞又は前駆細胞は、臍帯血と胎盤灌
流液の両方に由来するものであるが、その場合、該臍帯血は、該胎盤灌流液が得られる胎
盤以外の胎盤から単離される。
【0102】
ある実施態様において、該造血細胞はCD34+細胞である。具体的な実施態様において、
本明細書に開示される方法において有用な造血細胞は、CD34+CD38+又はCD34+CD38-である
。より具体的な実施態様において、該造血細胞はCD34+CD38-Lin-である。別の具体的な実
施態様において、該造血細胞は、CD2-、CD3-、CD11b-、CD11c-、CD14-、CD16-、CD19-、C
D24-、CD56-、CD66b-、及び/又はグリコフォリンA-のうちの1つ又は複数である。別の具
体的な実施態様において、該造血細胞は、CD2-、CD3-、CD11b-、CD11c-、CD14-、CD16-
CD19-、CD24-、CD56-、CD66b-、及びグリコフォリンA-である。別のより具体的な実施態
様において、該造血細胞は、CD34+CD38-CD33-CD117-である。別のより具体的な実施態様
において、該造血細胞は、CD34+CD38-CD33-CD117-CD235-CD36-である。
【0103】
別の実施態様において、該造血細胞はCD45+である。別の具体的な実施態様において、
該造血細胞はCD34+CD45+である。別の実施態様において、該造血細胞はThy-1+である。具
体的な実施態様において、該造血細胞はCD34+Thy-1+である。別の実施態様において、該
造血細胞はCD133+である。具体的な実施態様において、該造血細胞は、CD34+CD133+又はC
D133+Thy-1+である。別の具体的な実施態様において、該CD34+造血細胞はCXCR4+である。
別の具体的な実施態様において、該CD34+造血細胞はCXCR4-である。別の実施態様におい
て、該造血細胞は、KDR(血管成長因子受容体2)が陽性である。具体的な実施態様において
、該造血細胞は、CD34+KDR+、CD133+KDR+、又はThy-1+KDR+である。ある他の実施態様に
おいて、該造血細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼが陽性(ALDH+)であり、例えば、該
細胞はCD34+ALDH+である。
【0104】
ある他の実施態様において、該CD34+細胞はCD45-である。具体的な実施態様において、
該CD34+細胞、例えば、CD34+、CD45-細胞は、miRNAのhsa-miR-380、hsa-miR-512、hsa-mi
R-517、hsa-miR-518c、hsa-miR-519b、hsa-miR-520a、hsa-miR-337、hsa-miR-422a、hsa-
miR-549、及び/又はhsa-miR-618のうちの1つもしくは複数、又は全てを発現する。
【0105】
ある実施態様において、該造血細胞はCD34-である。
【0106】
該造血細胞はまた、系譜決定(lineage commitment)又は発生的未感作性(developmental
naivete)の欠如を示す特定のマーカーを欠如していてもよい。例えば、別の実施態様に
おいて、該造血細胞はHLA-DR-である。具体的な実施態様において、該造血細胞は、CD34+
HLA-DR-、CD133+HLA-DR-、Thy-1+HLA-DR-、又はALDH+HLA-DR-である。別の実施態様にお
いて、該造血細胞は、系譜マーカーCD2、CD3、CD11b、CD11c、CD14、CD16、CD19、CD24、
CD56、CD66b、及びグリコフォリンAのうちの1つもしくは複数、又は全てが陰性である。
【0107】
したがって、造血細胞は、未分化状態を示すマーカーの存在に基づくか、又は少なくと
もいくつかの系譜分化が起こったことを示す系譜マーカーの不在に基づいて、本明細書に
開示される方法での使用のために選択することができる。特定のマーカーの存在又は不在
に基づいて、造血細胞を含む細胞を単離する方法は、例えば、以下で詳細に論じられてい
る。
【0108】
本明細書に提供される方法で使用される造血細胞は、実質的に均一な集団、例えば、単
一の組織源由来の少なくとも約95%、少なくとも約98%、もしくは少なくとも約99%の造
血細胞を含む集団、又は同じ造血細胞関連細胞マーカーを示す造血細胞を含む集団である
ことができる。例えば、様々な実施態様において、該造血細胞は、骨髄、臍帯血、胎盤血
、末梢血、又は胎盤、例えば、胎盤灌流液由来の少なくとも約95%、98%、又は99%の造
血細胞を含むことができる。
【0109】
本明細書に提供される方法で使用される造血細胞を、単一の個体から、例えば、単一の
胎盤から、又は複数の個体から得ることができ、例えば、プールすることができる。該造
血細胞を複数の個体から得て、プールする場合、該造血細胞を同じ組織源から得てもよい
。したがって、様々な実施態様において、プールされた造血細胞は全て、胎盤、例えば、
胎盤灌流液由来のもの、全て胎盤血由来のもの、全て臍帯血由来のもの、全て末梢血由来
のものなどである。
【0110】
本明細書に開示される方法で使用される造血細胞は、ある実施態様において、2以上の
組織源由来の造血細胞を含むことができる。例えば、ある実施態様において、2以上の源
由来の造血細胞を本明細書中の方法での使用のために組み合わせる場合、本明細書に記載
される3段階法を用いてナチュラルキラー細胞を産生するために使用される複数の造血細
胞は、胎盤、例えば、胎盤灌流液由来の造血細胞を含む。様々な実施態様において、本明
細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団を産生するために使用される造
血細胞は、胎盤由来及び臍帯血由来の;胎盤及び末梢血由来の;胎盤及び胎盤血由来の、又
は胎盤及び骨髄由来の造血細胞を含む。一実施態様において、該造血細胞は、臍帯血由来
の造血細胞と組み合わせた胎盤灌流液由来の造血細胞を含み、ここで、該臍帯血及び胎盤
は、同じ個体に由来するものであり、すなわち、該灌流液及び臍帯血はマッチしている。
造血細胞が2つの組織源由来の造血細胞を含む実施態様において、該源由来の造血細胞は
、例えば、1:10、2:9、3:8、4:7:、5:6、6:5、7:4、8:3、9:2、1:10、1:9、1:8、1:7、1:
6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、又は9:1の比で組み
合わせることができる。
【0111】
(5.1.1.胎盤造血幹細胞)
ある実施態様において、本明細書に提供される方法で使用される造血細胞は、胎盤造血
細胞である。一実施態様において、胎盤造血細胞はCD34+である。具体的な実施態様にお
いて、該胎盤造血細胞は、主に(例えば、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、7
5%、80%、85%、90%、95%、又は98%)CD34+CD38-細胞である。別の具体的な実施態様
において、該胎盤造血細胞は、主に(例えば、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70
%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%)CD34+CD38+細胞である。胎盤造血細胞は
、当業者に公知の任意の手段によって、例えば、灌流によって、分娩後の哺乳動物(例え
ば、ヒト)胎盤から得ることができる。
【0112】
別の実施態様において、該胎盤造血細胞はCD45-である。具体的な実施態様において、
該造血細胞はCD34+CD45-である。別の具体的な実施態様において、該胎盤造血細胞はCD34
+CD45+である。
【0113】
(5.2.ナチュラルキラー細胞及びナチュラルキラー細胞集団の産生)
本方法によるNK細胞及びNK細胞集団の産生は、造血細胞の集団を増殖させることを含む
。細胞増殖の間に、該造血細胞集団内の複数の造血細胞はNK細胞に分化する。一態様にお
いて、本明細書に提供されるのは、NK細胞を産生する方法であって、造血幹細胞又は前駆
細胞、例えば、CD34+幹細胞又は前駆細胞を、幹細胞動員剤及びトロンボポエチン(Tpo)を
含む第1の培地中で培養して、第1の細胞集団を産生し、その後、該第1の細胞集団を、幹
細胞動員剤及びインターロイキン-15(IL-15)を含み、かつTpoを欠いている第2の培地中で
培養して、第2の細胞集団を産生し、その後、該第2の細胞集団を、IL-2及びIL-15を含み
、かつ幹細胞動員剤及びLMWHを欠いている第3の培地中で培養して、第3の細胞集団を産生
することを含み、ここで、該第3の細胞集団が、CD56+、CD3-であるナチュラルキラー細胞
を含み、かつ該ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%、例えば、80%が、ある実施態様
を用いて生存可能であり、そのようなナチュラルキラー細胞が、CD16-であるナチュラル
キラー細胞を含む、方法である。ある実施態様において、そのようなナチュラルキラー細
胞は、CD94+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある実施態様において、そのようなナ
チュラルキラー細胞は、CD94+又はCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある実施態
様において、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94-又はCD16-であるナチュラルキラ
ー細胞を含む。ある実施態様において、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+及びC
D16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある実施態様において、そのようなナチュラル
キラー細胞は、CD94-及びCD16-であるナチュラルキラー細胞を含む。
【0114】
(5.2.1. 3段階法を用いたNK細胞集団の産生)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、NK細胞集団を産生する3段階法であ
る。ある実施態様において、本明細書に記載される3段階法に従ってNK細胞集団を産生す
るための、本明細書に記載される造血細胞の増殖及び分化の方法は、該造血細胞を含む細
胞集団を、1ミリリットル当たり約2×104~約6×106細胞で維持することを含む。ある態
様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、該第1の培地中に、1×104~1×105細胞/mLで
最初に播種される。具体的な態様において、該造血幹細胞又は前駆細胞は、該第1の培地
中に、約3×104細胞/mLで最初に播種される。
【0115】
ある態様において、該第1の細胞集団は、該第2の培地中に、5×104~5×105細胞/mLで
最初に播種される。具体的な態様において、該第1の細胞集団は、該第2の培地中に、約1
×105細胞/mLで最初に播種される。
【0116】
ある態様において、該第2の細胞集団は、該第3の培地中に、1×105~5×106細胞/mLで
最初に播種される。ある態様において、該第2の細胞集団は、該第3の培地中に、1×105
1×106細胞/mLで最初に播種される。具体的な態様において、該第2の細胞集団は、該第3
の培地中に、約5×105細胞/mLで最初に播種される。より具体的な態様において、該第2の
細胞集団は、該第3の培地中に、スピナーフラスコ中、約5×105細胞/mLで最初に播種され
る。具体的な態様において、該第2の細胞集団は、該第3の培地中に、約3×105細胞/mLで
最初に播種される。より具体的な態様において、該第2の細胞集団は、該第3の培地中に、
静置培養下、約3×105細胞/mLで最初に播種される。
【0117】
ある実施態様において、該3段階法は、造血幹細胞又は前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞
又は前駆細胞を、例えば、本明細書に記載されるように、第1の培地中で特定の期間培養
して、第1の細胞集団を産生することを含む、第1の段階(「段階1」)を含む。ある実施態
様において、該第1の培地は、幹細胞動員剤及びトロンボポエチン(Tpo)を含む。ある実施
態様において、該第1の培地は、幹細胞動員剤及びTpoの他に、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6
、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFのうちの1つ又は複数を含む。具体的な実施態様において、該
第1の培地は、幹細胞動員剤及びTpoの他に、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及
びGM-CSFの各々を含む。具体的な実施態様において、該第1の培地は、添加されたLMWHを
欠いている。具体的な実施態様において、該第1の培地は、添加された脱硫酸化グリコサ
ミノグリカンを欠いている。具体的な実施態様において、該第1の培地は、LMWHを欠いて
いる。具体的な実施態様において、該第1の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠
いている。具体的な実施態様において、該第1の培地は、幹細胞動員剤及びTpoの他に、Fl
t-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む。
【0118】
ある実施態様において、その後、「段階2」において、該細胞を、例えば、本明細書に
記載されるように、第2の培地中で特定の期間培養して、第2の細胞集団を産生する。ある
実施態様において、該第2の培地は、幹細胞動員剤及びインターロイキン-15(IL-15)を含
み、かつTpoを欠いている。ある実施態様において、該第2の培地は、幹細胞動員剤及びIL
-15の他に、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFのうちの1つ又は複数を
含む。ある実施態様において、該第2の培地は、幹細胞動員剤及びIL-15の他に、LMWH、Fl
t-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む。具体的な実施態様において、
該第2の培地は、添加されたLMWHを欠いている。具体的な実施態様において、該第2の培地
は、添加された脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な実施態様において
、該第2の培地は、LMWHを欠いている。具体的な実施態様において、該第2の培地は、脱硫
酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある実施態様において、該第2の培地は、幹細
胞動員剤及びIL-15の他に、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む。
【0119】
ある実施態様において、その後、「段階3」において、該細胞を、例えば、本明細書に
記載されるように、第3の培地中で特定の期間培養して、第3の細胞集団、例えば、ナチュ
ラルキラー細胞を産生する。ある実施態様において、該第3の培地は、IL-2及びIL-15を含
み、かつ幹細胞動員剤及びLMWHを欠いている。ある実施態様において、該第3の培地は、I
L-2及びIL-15の他に、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFのうちの1つ又は複数を含む
。ある実施態様において、該第3の培地は、IL-2及びIL-15の他に、SCF、IL-6、IL-7、G-C
SF、及びGM-CSFの各々を含む。具体的な実施態様において、該第3の培地は、脱硫酸化グ
リコサミノグリカンを欠いている。具体的な実施態様において、該第3の培地は、添加さ
れた脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。
【0120】
具体的な実施態様において、該3段階法を用いて、NK細胞集団を産生する。ある実施態
様において、該3段階法を、間質フィーダー細胞支持物の非存在下で実施する。ある実施
態様において、該3段階法を、外因性に添加されるステロイド(例えば、コルチゾン、ヒド
ロコルチゾン、又はこれらの誘導体)の非存在下で実施する。
【0121】
ある態様において、該3段階法で使用される該第1の培地は、幹細胞動員剤及びトロンボ
ポエチン(Tpo)を含む。ある態様において、該3段階法で使用される第1の培地は、幹細胞
動員剤及びTpoの他に、低分子量ヘパリン(LMWH)、Flt-3リガンド(Flt-3L)、幹細胞因子(S
CF)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、又は顆粒球マクロファージ刺激因子
(GM-CSF)のうちの1つ又は複数を含む。ある態様において、該3段階法で使用される第1の
培地は、幹細胞動員剤及びTpoの他に、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-
CSFの各々を含む。ある態様において、該3段階法で使用される第1の培地は、幹細胞動員
剤及びTpoの他に、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む。具体的
な態様において、該第1の培地は、添加されたLMWHを欠いている。具体的な態様において
、該第1の培地は、添加された脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な態
様において、該第1の培地は、LMWHを欠いている。具体的な態様において、該第1の培地は
、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある態様において、該Tpoは、該第1の培
地中、1ng/mL~100ng/mL、1ng/mL~50ng/mL、20ng/mL~30ng/mL、又は約25ng/mLの濃度で
存在する。ある態様において、該第1の培地中、該LMWHは1U/mL~10U/mLの濃度で存在し;
該Flt-3Lは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該SCFは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該I
L-6は0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該G
-CSFは0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃
度で存在する。ある態様において、該第1の培地中、該Flt-3Lは1ng/mL~50ng/mLの濃度で
存在し;該SCFは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で
存在し;該IL-7は1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度
で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、
該第1の培地中、該LMWHは4U/mL~5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは20ng/mL~30ng/mLの濃
度で存在し;該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの
濃度で存在し;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/m
Lの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様にお
いて、該第1の培地中、該Flt-3Lは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該SCFは20ng/mL~30
ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は20ng/mL~
30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは
0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第1の培地中、該LMWHは
約4.5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは約25ng/mLの濃度で存在し;該SCFは約27ng/mLの濃度
で存在し;該IL-6は約0.05ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は約25ng/mLの濃度で存在し;該G-C
SFは約.25ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある態様
において、該第1の培地中、該Flt-3Lは約25ng/mLの濃度で存在し;該SCFは約27ng/mLの濃
度で存在し;該IL-6は約0.05ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は約25ng/mLの濃度で存在し;該G
-CSFは約.25ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある実
施態様において、該第1の培地は、以下のもの:抗生物質、例えば、ゲンタマイシン;抗酸
化剤、例えば、トランスフェリン、インスリン、及び/又はβ-メルカプトエタノール;亜
セレン酸ナトリウム;アスコルビン酸;エタノールアミン;並びにグルタチオンのうちの1つ
又は複数をさらに含む。ある実施態様において、該第1の培地の基材を提供する培地は、
当業者に公知の細胞/組織培養培地、例えば、市販の細胞/組織培養培地、例えば、SCGM(
商標)、STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(
商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:ハムF12
(「F12」)(例えば、2:1比、又は高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DME
M(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDM、及び/或いはRPMI-1640であるか;或
いは既知の細胞/組織培養培地に通常含まれる成分、例えば、GBGM(登録商標)、AIM-V(登
録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELL
GRO COMPLETE(商標)、DMEM:ハムF12(「F12」)(例えば、2:1比、又は高グルコースもしく
は低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDM
、及び/或いはRPMI-1640に含まれる成分を含む培地である。ある実施態様において、該第
1の培地は、GBGM(登録商標)ではない。
【0122】
ある態様において、該3段階法で使用される該第2の培地は、幹細胞動員剤及びインター
ロイキン-15(IL-15)を含み、かつTpoを欠いている。ある態様において、該3段階法で使用
される第2の培地は、幹細胞動員剤及びIL-15の他に、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-
CSF、及びGM-CSFのうちの1つ又は複数を含む。ある態様において、該3段階法で使用され
る第2の培地は、幹細胞動員剤及びIL-15の他に、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF
、及びGM-CSFの各々を含む。ある態様において、該3段階法で使用される第2の培地は、幹
細胞動員剤及びIL-15の他に、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む
。具体的な態様において、該第2の培地は、添加されたLMWHを欠いている。具体的な態様
において、該第2の培地は、添加された脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具
体的な態様において、該第2の培地は、LMWHを欠いている。具体的な態様において、該第2
の培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある態様において、該IL-15は
、該第2の培地中、1ng/mL~50ng/mL、10ng/mL~30ng/mL、又は約20ng/mLの濃度で存在す
る。ある態様において、該第2の培地中、該LMWHは1U/mL~10U/mLの濃度で存在し;該Flt-3
Lは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該SCFは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.
01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0
.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在
する。ある態様において、該第2の培地中、該Flt-3Lは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;
該SCFは1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し;
該IL-7は1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在
し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第2の
培地中、該LMWHは、該第2の培地中、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは20ng/mL~3
0ng/mLの濃度で存在し;該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.
06ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL
~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。あ
る態様において、該第2の培地中、該Flt-3Lは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該SCFは2
0ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;該IL-7
は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;か
つ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第2の培地
中、該LMWHは、該第2の培地中、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは20ng/mL~30ng/
mLの濃度で存在し;該SCFは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng
/mLの濃度で存在し;該IL-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.3
0ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態
様において、該第2の培地中、該Flt-3Lは20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該SCFは20ng/
mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は20n
g/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM
-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第2の培地中、該L
MWHは、該第2の培地中、約4.5U/mLの濃度で存在し;該Flt-3Lは約25ng/mLの濃度で存在し;
該SCFは約27ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は約0.05ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は約25ng/
mLの濃度で存在し;該G-CSFは約0.25ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは約0.01ng/mLの
濃度で存在する。ある態様において、該第2の培地中、該Flt-3Lは約25ng/mLの濃度で存在
し;該SCFは約27ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は約0.05ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は約25
ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは約0.25ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは約0.01ng/mL
の濃度で存在する。ある実施態様において、該第2の培地は、以下のもの:抗生物質、例え
ば、ゲンタマイシン;抗酸化剤、例えば、トランスフェリン、インスリン、及び/又はβ-
メルカプトエタノール;亜セレン酸ナトリウム;アスコルビン酸;エタノールアミン;並びに
グルタチオンのうちの1つ又は複数をさらに含む。ある実施態様において、該第2の培地の
基材を提供する培地は、当業者に公知の細胞/組織培養培地、例えば、市販の細胞/組織培
養培地、例えば、SCGM(商標)、STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-V
IVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE
(商標)、DMEM:ハムF12(「F12」)(例えば、2:1比、又は高グルコースもしくは低グルコー
スDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDM、及び/或いは
RPMI-1640であるか;或いは既知の細胞/組織培養培地に通常含まれる成分、例えば、GBGM(
登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(
登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:ハムF12(「F12」)(例えば、2:1比、又
は高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocu
lt(商標)H5100、IMDM、及び/或いはRPMI-1640に含まれる成分を含む培地である。ある実
施態様において、該第2の培地は、GBGM(登録商標)ではない。
【0123】
ある実施態様において、該3段階法で使用される第3の培地は、を含む培地である。ある
態様において、該3段階法で使用される該第3の培地は、IL-2及びIL-15を含み、かつ幹細
胞動員剤及びLMWHを欠いている。ある態様において、該3段階法で使用される第3の培地は
、IL-2及びIL-15の他に、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、又はGM-CSFのうちの1つ又は複数を含
む。ある態様において、該3段階法で使用される第3の培地は、IL-2及びIL-15の他に、SCF
、IL-6、IL-7、G-CSF、及びGM-CSFの各々を含む。ある態様において、該IL-2は、該第3の
培地中、10U/mL~10,000U/mLの濃度で存在し、かつ該IL-15は、該第3の培地中、1ng/mL~
50ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該IL-2は、該第3の培地中、100U/mL~10,
000U/mLの濃度で存在し、かつ該IL-15は、該第3の培地中、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在
する。ある態様において、該IL-2は、該第3の培地中、300U/mL~3,000U/mLの濃度で存在
し、かつ該IL-15は、該第3の培地中、10ng/mL~30ng/mLの濃度で存在する。ある態様にお
いて、該IL-2は、該第3の培地中、約1,000U/mLの濃度で存在し、かつ該IL-15は、該第3の
培地中、約20ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第3の培地中、該SCFは1ng/m
L~50ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は1ng/m
L~50ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CS
Fは0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第3の培地中、該SCF
は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し;該IL
-7は20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し;
かつ該GM-CSFは0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある態様において、該第3の培
地中、該SCFは約22ng/mLの濃度で存在し;該IL-6は約0.05ng/mLの濃度で存在し;該IL-7は
約20ng/mLの濃度で存在し;該G-CSFは約0.25ng/mLの濃度で存在し;かつ該GM-CSFは約0.01n
g/mLの濃度で存在する。ある実施態様において、該第3の培地は、以下のもの:抗生物質、
例えば、ゲンタマイシン;抗酸化剤、例えば、トランスフェリン、インスリン、及び/又は
β-メルカプトエタノール;亜セレン酸ナトリウム;アスコルビン酸;エタノールアミン;並
びにグルタチオンのうちの1つ又は複数をさらに含む。ある実施態様において、該第3の培
地の基材を提供する培地は、当業者に公知の細胞/組織培養培地、例えば、市販の細胞/組
織培養培地、例えば、SCGM(商標)、STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)
、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COM
PLETE(商標)、DMEM:ハムF12(「F12」)(例えば、2:1比、又は高グルコースもしくは低グル
コースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDM、及び/或
いはRPMI-1640であるか;或いは既知の細胞/組織培養培地に通常含まれる成分、例えば、G
BGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSP
AN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:ハムF12(「F12」)(例えば、2:1比、
又は高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelo
cult(商標)H5100、IMDM、及び/或いはRPMI-1640に含まれる成分を含む培地である。ある
実施態様において、該第3の培地は、GBGM(登録商標)ではない。
【0124】
通常、特に列挙される培地成分は、該培地の不確定成分中の考え得る構成成分を指すも
のではない。例えば、該Tpo、IL-2、及びIL-15は、該第1の培地、第2の培地、又は第3の
培地の不確定成分に含まれず、例えば、該Tpo、IL-2、及びIL-15は、血清に含まれない。
さらに、該LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF、及び/又はGM-CSFは、該第1の培地、
第2の培地、又は第3の培地の不確定成分に含まれず、例えば、該LMWH、Flt-3、SCF、IL-6
、IL-7、G-CSF、及び/又はGM-CSFは、血清に含まれない。
【0125】
ある態様において、該第1の培地、第2の培地、又は第3の培地は、ヒト血清-ABを含む。
ある態様において、該第1の培地、第2の培地、又は第3の培地のいずれかは、1%~20%ヒ
ト血清-AB、5%~15%ヒト血清-AB、又は約2、5、もしくは10%ヒト血清-ABを含む。
【0126】
ある実施態様において、本明細書に記載される3段階法において、該造血幹細胞又は前
駆細胞を、該第1の培地中で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16
、17、18、19、又は20日間培養する。ある実施態様において、本明細書に記載される3段
階法において、細胞を、該第2の培地中で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13
、14、15、16、17、18、19、又は20日間培養する。ある実施態様において、本明細書に記
載される3段階法において、細胞を、該第3の培地中で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、も
しくは30日間、又は30日よりも長い間培養する。
【0127】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される3段階法において、該造血幹細胞又
は前駆細胞を、該第2の培地中で該培養することの前に、該第1の培地中で7~13日間培養
して、第1の細胞集団を産生し;該第1の細胞集団を、該第3の培地中で該培養することの前
に、該第2の培地中で2~6日間培養して、第2の細胞集団を産生し;かつ該第2の細胞集団を
該第3の培地中で10~30日間培養する、すなわち、該細胞を合計19~49日間培養する。
【0128】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される3段階法において、該造血幹細胞又
は前駆細胞を、該第2の培地中で該培養することの前に、該第1の培地中で8~12日間培養
して、第1の細胞集団を産生し;該第1の細胞集団を、該第3の培地中で該培養することの前
に、該第2の培地中で3~5日間培養して、第2の細胞集団を産生し;かつ該第2の細胞集団を
該第3の培地中で15~25日間培養する、すなわち、該細胞を合計26~42日間培養する。
【0129】
具体的な実施態様において、本明細書に記載される3段階法において、該造血幹細胞又
は前駆細胞を、該第2の培地中で該培養することの前に、該第1の培地中で約10日間培養し
て、第1の細胞集団を産生し;該第1の細胞集団を、該第3の培地中で該培養することの前に
、該第2の培地中で約4日間培養して、第2の細胞集団を産生し;かつ該第2の細胞集団を該
第3の培地中で約21日間培養する、すなわち、該細胞を合計約35日間培養する。
【0130】
ある態様において、本明細書に開示される3段階法は、該第1の培地中に最初に播種され
た造血幹細胞の数と比較したとき、少なくとも5000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生
する。ある態様において、該3段階法は、該第1の培地中に最初に播種された造血幹細胞の
数と比較したとき、少なくとも10,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する。ある態
様において、該3段階法は、該第1の培地中に最初に播種された造血幹細胞の数と比較した
とき、少なくとも50,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、
該3段階法は、該第1の培地中に最初に播種された造血幹細胞の数と比較したとき、少なく
とも75,000倍多くのナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該ナチュラル
キラー細胞の生存は、7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)染色によって決定される。ある
態様において、該ナチュラルキラー細胞の生存は、アネキシン-V染色によって決定される
。具体的な態様において、該ナチュラルキラー細胞の生存は、7-AAD染色とアネキシン-V
染色の両方によって決定される。ある態様において、該ナチュラルキラー細胞の生存は、
トリパンブルー染色によって決定される。
【0131】
ある態様において、該3段階法は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を
含むナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階法は、少なくとも40
%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様
において、該3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュ
ラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階法は、少なくとも70%のCD56+CD
3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該
3段階法は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細
胞を産生する。
【0132】
ある態様において、該3段階法は、ナチュラルキラー細胞とK562細胞をインビトロで10:
1の比で共培養したとき、該K562細胞に対する少なくとも20%の細胞傷害性を示す該ナチ
ュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階法は、ナチュラルキラー細胞
とK562細胞をインビトロで10:1の比で共培養したとき、該K562細胞に対する少なくとも35
%の細胞傷害性を示す該ナチュラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階
法は、ナチュラルキラー細胞とK562細胞をインビトロで10:1の比で共培養したとき、該K5
62細胞に対する少なくとも45%の細胞傷害性を示す該ナチュラルキラー細胞を産生する。
ある態様において、該3段階法は、ナチュラルキラー細胞とK562細胞をインビトロで10:1
の比で共培養したとき、該K562細胞に対する少なくとも60%の細胞傷害性を示す該ナチュ
ラルキラー細胞を産生する。ある態様において、該3段階法は、ナチュラルキラー細胞とK
562細胞をインビトロで10:1の比で共培養したとき、該K562細胞に対する少なくとも75%
の細胞傷害性を示す該ナチュラルキラー細胞を産生する。
【0133】
ある態様において、該第3の培養工程の後、該第3の細胞集団、例えば、該ナチュラルキ
ラー細胞集団を凍結保存する。
【0134】
ある態様において、本明細書に提供されるのは、ナチュラルキラー細胞、すなわち、本
明細書に記載される3段階法によって産生されるナチュラルキラー細胞を含む細胞集団で
ある。したがって、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される3段階法によって
産生される単離されたナチュラルキラー細胞集団である。具体的な実施態様において、該
ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む
。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも40%のCD56+C
D3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞
集団は、少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施態様に
おいて、該ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー
細胞を含む。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも60
%のCD16-細胞を含む。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞集団は、少
なくとも80%のCD16-細胞を含む。具体的な実施態様において、該ナチュラルキラー細胞
集団は、少なくとも20%のCD94+細胞を含む。具体的な実施態様において、該ナチュラル
キラー細胞集団は、少なくとも40%のCD94+細胞を含む。
【0135】
(5.3.幹細胞動員因子)
(5.3.1.化学的定義)
本明細書に示される幹細胞動員因子の開示を理解しやすくするために、いくつかの用語
を以下で定義する。
【0136】
一般に、本明細書で使用される命名法、並びに本明細書に記載される生物学、細胞生物
学、生化学、有機化学、医薬品化学、及び薬理学の検査法は、当技術分野で周知であり、
かつ一般に利用されるものである。別途定義されない限り、本明細書で使用される専門用
語及び科学用語は全て、通常、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるも
のと同じ意味を有する。
【0137】
「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、当業者によって決定された特
定の値に対する許容誤差を意味し、これは、一つには、該値がどのように測定又は決定さ
れるかによって決まる。ある実施態様において、「約(about)」又は「約(approximately)
」という用語は、1、2、3又は4標準偏差以内を意味する。ある実施態様において、「約(a
bout)」又は「約(approximately)」という用語は、所与の値又は範囲の50%、20%、15%
、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味
する。
【0138】
「アリール炭化水素受容体」又は「AHR」という用語は、ヒトのAHR遺伝子によってコー
ドされるタンパク質、又はその変異体を指す(例えば、GenBankアクセッション番号P35869
.2及びAAH70080.1を参照されたい)。
【0139】
「アリール炭化水素受容体アンタゴニスト」、「AHRアンタゴニスト」、「アリール炭
化水素受容体阻害剤」、又は「AHR阻害剤」という用語は、アリール炭化水素受容体の活
性を下方調節し又は低下させる化合物を指す。
【0140】
「アルキル」という用語は、線状又は分岐状飽和一価炭化水素ラジカルを指し、ここで
、該アルキルは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換されている。「アル
キル」という用語はまた、別途規定されない限り、線状アルキルと分岐状アルキルの両方
を包含する。ある実施態様において、アルキルは、1~20個(C1-20)、1~15個(C1-15)、1
~10個(C1-10)、もしくは1~6個(C1-6)の炭素原子を有する線状飽和一価炭化水素ラジカ
ル、又は3~20個(C3-20)、3~15個(C3-15)、3~10(C3-10)個、もしくは3~6個(C3-6)の炭
素原子を有する分岐状飽和一価炭化水素ラジカルである。本明細書で使用されるように、
線状C1-6及び分岐状C3-6アルキル基は、「低級アルキル」とも呼ばれる。アルキル基の例
としては、メチル、エチル、プロピル(全ての異性体形態を含む)、n-プロピル、イソプロ
ピル、ブチル(全ての異性体形態を含む)、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル
、ペンチル(全ての異性体形態を含む)、及びヘキシル(全ての異性体形態を含む)が挙げら
れるが、これらに限定されない。例えば、C1-6アルキルは、1~6個の炭素原子の線状飽和
一価炭化水素ラジカル又は3~6個の炭素原子の分岐状飽和一価炭化水素ラジカルを指す。
【0141】
「アルキレン」という用語は、線状又は分岐状飽和二価炭化水素ラジカルを指し、ここ
で、該アルキレンは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換されている。例
えば、C1-6アルキレンは、1~6個の炭素原子の線状飽和二価炭化水素ラジカル又は3~6個
の炭素原子の分岐状飽和二価炭化水素ラジカルを指す。ある実施態様において、アルキレ
ンは、1~20個(C1-20)、1~15個(C1-15)、1~10個(C1-10)、もしくは1~6個(C1-6)の炭素
原子を有する線状飽和二価炭化水素ラジカル、又は3~20個(C3-20)、3~15個(C3-15)、3
~10(C3-10)個、もしくは3~6個(C3-6)の炭素原子の分岐状飽和二価炭化水素ラジカルで
ある。本明細書で使用されるように、線状C1-6及び分岐状C3-6アルキレン基は、「低級ア
ルキレン」とも呼ばれる。アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン
(全ての異性体形態を含む)、n-プロピレン、イソプロピレン、ブチレン(全ての異性体形
態を含む)、n-ブチレン、イソブチレン、t-ブチレン、ペンチレン(全ての異性体形態を含
む)、及びヘキシレン(全ての異性体形態を含む)が挙げられるが、これらに限定されない
【0142】
「アルケニル」という用語は、1以上の、一実施態様において、1つ、2つ、3つ、4つ、
又は5つの、別の実施態様において、1つの炭素-炭素二重結合を含有する、線状又は分岐
状一価炭化水素ラジカルを指す。アルケニルは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで
任意に置換されている。「アルケニル」という用語はまた、当業者に理解されているよう
に、「シス」及び「トランス」配置、或いは「Z」及び「E」配置を有するラジカルを包含
する。本明細書で使用されるように、「アルケニル」という用語は、別途規定されない限
り、線状アルケニルと分岐状アルケニルの両方を包含する。例えば、C2-6アルケニルは、
2~6個の炭素原子の線状不飽和一価炭化水素ラジカル、又は3~6個の炭素原子の分岐状不
飽和一価炭化水素ラジカルを指す。ある実施態様において、アルケニルは、2~20個(C2-2
0)、2~15個(C2-15)、2~10個(C2-10)、もしくは2~6個(C2-6)の炭素原子の線状一価炭化
水素ラジカル、又は3~20個(C3-20)、3~15個(C3-15)、3~10個(C3-10)、もしくは3~6個
(C3-6)の炭素原子の分岐状一価炭化水素ラジカルである。アルケニル基の例としては、エ
テニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、アリル、ブテニル、及び4-メチルブテニル
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
「アルケニレン」という用語は、1以上の、一実施態様において、1つ~5つの、別の実
施態様において、1つの炭素-炭素二重結合を含有する、線状又は分岐状二価炭化水素ラジ
カルを指す。アルケニレンは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換されて
いる。「アルケニレン」という用語は、当業者に理解されているように、「シス」もしく
は「トランス」配置又はそれらの混合物、或いは「Z」もしくは「E」配置又はそれらの混
合物を有するラジカルを包含する。例えば、C2-6アルケニレンは、2~6個の炭素原子の線
状不飽和二価炭化水素ラジカル又は3~6個の炭素原子の分岐状不飽和二価炭化水素ラジカ
ルを指す。ある実施態様において、アルケニレンは、2~20個(C2-20)、2~15個(C2-15)、
2~10個(C2-10)、もしくは2~6個(C2-6)の炭素原子の線状二価炭化水素ラジカル、又は3
~20個(C3-20)、3~15個(C3-15)、3~10個(C3-10)、もしくは3~6個(C3-6)の炭素原子の
分岐状二価炭化水素ラジカルである。アルケニレン基の例としては、エテニレン、アリレ
ン、プロペニレン、ブテニレン、及び4-メチルブテニレンが挙げられるが、これらに限定
されない。
【0144】
「アルキニル」という用語は、1以上の、一実施態様において、1つ、2つ、3つ、4つ、
又は5つの、別の実施態様において、1つの炭素-炭素三重結合を含有する、線状又は分岐
状一価炭化水素ラジカルを指す。アルキニルは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで
任意に置換されている。「アルキニル」という用語はまた、別途規定されない限り、線状
アルキニルと分岐状アルキニルの両方を包含する。ある実施態様において、アルキニルは
、2~20個(C2-20)、2~15個(C2-15)、2~10個(C2-10)、もしくは2~6個(C2-6)の炭素原子
の線状一価炭化水素ラジカル、又は3~20個(C3-20)、3~15個(C3-15)、3~10個(C3-10)、
もしくは3~6個(C3-6)の炭素原子の分岐状一価炭化水素ラジカルである。アルキニル基の
例としては、エチニル(-C≡CH)及びプロパルギル(-CH2C≡CH)が挙げられるが、これらに
限定されない。例えば、C2-6アルキニルは、2~6個の炭素原子の線状不飽和一価炭化水素
ラジカル又は3~6個の炭素原子の分岐状不飽和一価炭化水素ラジカルを指す。
【0145】
「アルキニレン」という用語は、1以上の、一実施態様において、1つ~5つの、別の実
施態様において、1つの炭素-炭素三重結合を含有する、線状又は分岐状二価炭化水素ラジ
カルを指す。アルキニレンは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換されて
いる。例えば、C2-6アルキニレンは、2~6個の炭素原子の線状不飽和二価炭化水素ラジカ
ル又は3~6個の炭素原子の分岐状不飽和二価炭化水素ラジカルを指す。ある実施態様にお
いて、アルキニレンは、2~20個(C2-20)、2~15個(C2-15)、2~10個(C2-10)、もしくは2
~6個(C2-6)の炭素原子の線状二価炭化水素ラジカル、又は3~20個(C3-20)、3~15個(C3-
15)、3~10個(C3-10)、もしくは3~6個(C3-6)の炭素原子の分岐状二価炭化水素ラジカル
である。アルキニレン基の例としては、エチニレン、プロピニレン(全ての異性体形態、
例えば、1-プロピニレン及びプロパルギレンを含む)、ブチニレン(全ての異性体形態、例
えば、1-ブチン-1-イレン及び2-ブチン-1-イレンを含む)、ペンチニレン(全ての異性体形
態、例えば、1-ペンチン-1-イレン及び1-メチル-2-ブチン-1-イレンを含む)、並びにヘキ
シニレン(全ての異性体形態、例えば、1-ヘキシン-1-イレンを含む)が挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0146】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換
されている、環状飽和又は非芳香族不飽和の架橋又は非架橋一価炭化水素ラジカルを指す
。ある実施態様において、シクロアルキルは、環状飽和架橋又は非架橋一価炭化水素ラジ
カルである。ある実施態様において、シクロアルキルは、3~20個(C3-20)、3~15個(C3-1
5)、3~10個(C3-10)、又は3~7個(C3-7)の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例とし
ては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチ
ル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカリニル、及びアダマンチ
ルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
「シクロアルキレン」という用語は、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置
換されている、環状二価炭化水素ラジカルを指す。一実施態様において、シクロアルキル
基は、飽和もしくは不飽和であるが非芳香族の、及び/又は架橋された、及び/又は架橋さ
れていない、及び/又は縮合した二環式基である。ある実施態様において、シクロアルキ
レンは、3~20個(C3-20)、3~15個(C3-15)、3~10個(C3-10)、又は3~7個(C3-7)の炭素原
子を有する。シクロアルキレン基の例としては、シクロプロピレン(例えば、1,1-シクロ
プロピレン及び1,2-シクロプロピレン)、シクロブチレン(例えば、1,1-シクロブチレン、
1,2-シクロブチレン、又は1,3-シクロブチレン)、シクロペンチレン(例えば、1,1-シクロ
ペンチレン、1,2-シクロペンチレン、又は1,3-シクロペンチレン)、シクロヘキシレン(例
えば、1,1-シクロヘキシレン、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、又は1,4-
シクロヘキシレン)、シクロヘプチレン(例えば、1,1-シクロヘプチレン、1,2-シクロヘプ
チレン、1,3-シクロヘプチレン、又は1,4-シクロヘプチレン)、デカリニレン、並びにア
ダマンチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
「アリール」という用語は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含有する単環式芳香
族炭素環基及び/又は多環式一価芳香族炭素環基を指す。ある実施態様において、アリー
ルは、6~20個(C6-20)、6~15個(C6-15)、又は6~10個(C6-10)の環原子を有する。アリー
ル基の例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェ
ナントリル、ピレニル、ビフェニル、及びテルフェニルが挙げられるが、これらに限定さ
れない。ある実施態様において、「アリール」という用語は、環の1つが芳香族であり、
かつ環のその他のものが、飽和、部分不飽和、又は芳香族であり得る、二環式又は三環式
炭素環、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、又はテトラヒドロナフチ
ル(テトラリニル)を指す。アリールは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置
換されている。
【0149】
「アリーレン」という用語は、少なくとも1つの芳香族炭素環を含有する二価単環式芳
香族基及び/又は二価多環式芳香族基を指す。ある実施態様において、アリーレンは、6~
20個(C6-20)、6~15個(C6-15)、又は6~10個(C6-10)の環原子を有する。アリーレン基の
例としては、フェニレン、ナフチレン、フルオレニレン、アズレニレン、アントリレン、
フェナントリレン、ピレニレン、ビフェニレン、及びテルフェニレンが挙げられるが、こ
れらに限定されない。アリーレンは、環の1つが芳香族であり、かつ環のその他のものが
、飽和、部分不飽和、又は芳香族であり得る、二環式又は三環式炭素環、例えば、ジヒド
ロナフチレン、インデニレン、インダニレン、又はテトラヒドロナフチレン(テトラリニ
レン)も指す。アリーレンは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換されて
いる。
【0150】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」という用語は、1以上のアリール基で置換さ
れた一価アルキル基を指す。ある実施態様において、アラルキルは、7~30個(C7-30)、7
~20個(C7-20)、又は7~16個(C7-16)の炭素原子を有する。アラルキル基の例としては、
ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、及び3-フェニルプロピルが挙げられる
が、これらに限定されない。アラルキルは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意
に置換されている。
【0151】
「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの芳香環を含有する一価単環式芳香
族基又は一価多環式芳香族基を指し、ここで、少なくとも1つの芳香環は、その各々が、O
、S、N、及びPから独立に選択される1以上のヘテロ原子を環中に含有する。明確にするた
めに、本明細書で使用される「アリール」及び「ヘテロアリール」という用語は、相互排
他的である、すなわち、「アリール」基に「ヘテロアリール」基は含まれず、逆もまた同
じである。ヘテロアリール基は、その芳香環を介して分子の残りの部分に結合している。
ヘテロアリール基の各々の環は、1もしくは2個のO原子、1もしくは2個のS原子、1~4個の
N原子、及び/又は1もしくは2個のP原子を含有することができ、但し、各々の環中のヘテ
ロ原子の総数は4以下であり、かつ各々の環は、少なくとも1個の炭素原子を含有する。あ
る実施態様において、ヘテロアリールは、5~20個、5~15個、又は5~10個の環原子を有
する。単環式ヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル
、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル
、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チ
アゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、及びトリアゾリルが挙げられるが、
これらに限定されない。二環式ヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラニル、ベンゾ
イミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベン
ゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジ
ル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾ
リル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イ
ソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、
プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニ
ル、チアジアゾロピリミジル、及びチエノピリジルが挙げられるが、これらに限定されな
い。三環式ヘテロアリール基の例としては、アクリジニル、ベンゾインドリル、カルバゾ
リル、ジベンゾフラニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナントリジニル、フ
ェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、及びキサンテニ
ルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、本明細書に記載される1
以上の置換基Qで任意に置換されている。
【0152】
「ヘテロアリーレン」という用語は、少なくとも1つの芳香環を含有する二価単環式芳
香族基又は二価多環式芳香族基を指し、ここで、少なくとも1つの芳香環は、O、S、及びN
から独立に選択される1以上のヘテロ原子を環中に含有する。明確にするために、本明細
書で使用される「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」という用語は、相互排他的であ
る、すなわち、「アリーレン」基に「ヘテロアリーレン」基は含まれず、逆もまた同じで
ある。ヘテロアリーレン基は、その芳香環を介して分子の残りの部分に結合している。ヘ
テロアリーレン基の各々の環は、1もしくは2個のO原子、1もしくは2個のS原子、及び/又
は1~4個のN原子を含有することができ、但し、各々の環中のヘテロ原子の総数は4以下で
あり、かつ各々の環は、少なくとも1個の炭素原子を含有する。ある実施態様において、
ヘテロアリーレンは、5~20個、5~15個、又は5~10個の環原子を有する。単環式ヘテロ
アリーレン基の例としては、フラニレン、イミダゾリレン、イソチアゾリレン、イソオキ
サゾリレン、オキサジアゾリレン、オキサジアゾリレン、オキサゾリレン、ピラジニレン
、ピラゾリレン、ピリダジニレン、ピリジレン、ピリミジニレン、ピロリレン、チアジア
ゾリレン、チアゾリレン、チエニレン、テトラゾリレン、トリアジニレン、及びトリアゾ
リレンが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリーレン基の例としては
、ベンゾフラニレン、ベンゾイミダゾリレン、ベンゾイソオキサゾリレン、ベンゾピラニ
レン、ベンゾチアジアゾリレン、ベンゾチアゾリレン、ベンゾチエニレン、ベンゾトリア
ゾリレン、ベンゾオキサゾリレン、フロピリジレン、イミダゾピリジニレン、イミダゾチ
アゾリレン、インドリジニレン、インドリレン、インダゾリレン、イソベンゾフラニレン
、イソベンゾチエニレン、イソインドリレン、イソキノリニレン、イソチアゾリレン、ナ
フチリジニレン、オキサゾロピリジニレン、フタラジニレン、プテリジニレン、プリニレ
ン、ピリドピリジレン、ピロロピリジレン、キノリニレン、キノキサリニレン、キナゾリ
ニレン、チアジアゾロピリミジレン、及びチエノピリジレンが挙げられるが、これらに限
定されない。三環式ヘテロアリーレン基の例としては、アクリジニレン、ベンゾインドリ
レン、カルバゾリレン、ジベンゾフラニレン、ペリミジニレン、フェナントロリニレン、
フェナントリジニレン、フェナルサジニレン、フェナジニレン、フェノチアジニレン、フ
ェノキサジニレン、及びキサンテニレンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロ
アリーレンは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換されている。
【0153】
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環式」という用語は、少なくとも1つの非芳香環を含
有する一価単環式非芳香環系又は一価多環式環系を指し、ここで、該非芳香環原子のうち
の1つ又は複数は、その各々が、O、S、N、及びPから独立に選択されるヘテロ原子であり;
かつ残りの環原子は炭素原子である。ある実施態様において、ヘテロシクリル又はヘテロ
環基は、3~20個、3~15個、3~10個、3~8個、4~7個、又は5~6個の環原子を有する。
ヘテロシクリル基は、その非芳香環を介して分子の残りの部分に結合している。ある実施
態様において、ヘテロシクリルは、単環式、二環式、三環式、又は四環式環系であり、該
環系は、スピロであっても、縮合していても、架橋されていてもよく、また、該環系にお
いて、窒素又は硫黄原子は任意に酸化されていてもよく、窒素原子は任意に四級化されて
いてもよく、いくつかの環は、部分的にもしくは完全に飽和されていても、芳香族であっ
てもよい。ヘテロシクリルは、安定な化合物の生成をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素
原子で主構造に結合していてもよい。ヘテロ環基の例としては、アゼピニル、ベンゾジオ
キサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル
、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベ
ンゾオキサジニル、β-カルボリニル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリ
ニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソ
キサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピ
ラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロ
ピロリル、ジオキソラニル、1,4-ジチアニル、フラノニル、イミダゾリジニル、イミダゾ
リニル、インドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエ
ニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソ
オキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリ
ル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニ
ル、4-ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌ
クリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル
、テトラヒドロチエニル、チアモルホリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロキノリニル
、及び1,3,5-トリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリルは、
本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換されている。
【0154】
「ヘテロシクリレン」という用語は、少なくとも1つの非芳香環を含有する二価単環式
非芳香環系又は二価多環式環系を指し、ここで、該非芳香環原子のうちの1つ又は複数は
、O、S、及びNから独立に選択されるヘテロ原子であり;かつ残りの環原子は炭素原子であ
る。ある実施態様において、ヘテロシクリレン基は、3~20個、3~15個、3~10個、3~8
個、4~7個、又は5~6個の環原子を有する。ある実施態様において、ヘテロシクリレンは
、単環式、二環式、三環式、又は四環式環系であり、該環系は、縮合していても、架橋さ
れていてもよく、また、該環系において、窒素又は硫黄原子は任意に酸化されていてもよ
く、窒素原子は任意に四級化されていてもよく、いくつかの環は、部分的にもしくは完全
に飽和されていても、芳香族であってもよい。ヘテロシクリレンは、安定な化合物の生成
をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子で主構造に結合していてもよい。そのようなヘ
テロシクリレン基の例としては、アゼピニレン、ベンゾジオキサニレン、ベンゾジオキソ
リレン、ベンゾフラノニレン、ベンゾピラノニレン、ベンゾピラニレン、ベンゾテトラヒ
ドロフラニレン、ベンゾテトラヒドロチエニレン、ベンゾチオピラニレン、ベンゾオキサ
ジニレン、β-カルボリニレン、クロマニレン、クロモニレン、シンノリニレン、クマリ
ニレン、デカヒドロイソキノリニレン、ジヒドロベンゾイソチアジニレン、ジヒドロベン
ゾイソキサジニレン、ジヒドロフリレン、ジヒドロイソインドリレン、ジヒドロピラニレ
ン、ジヒドロピラゾリレン、ジヒドロピラジニレン、ジヒドロピリジニレン、ジヒドロピ
リミジニレン、ジヒドロピロリレン、ジオキソラニレン、1,4-ジチアニレン、フラノニレ
ン、イミダゾリジニレン、イミダゾリニレン、インドリニレン、イソベンゾテトラヒドロ
フラニレン、イソベンゾテトラヒドロチエニレン、イソクロマニレン、イソクマリニレン
、イソインドリニレン、イソチアゾリジニレン、イソオキサゾリジニレン、モルホリニレ
ン、オクタヒドロインドリレン、オクタヒドロイソインドリレン、オキサゾリジノニレン
、オキサゾリジニレン、オキシラニレン、ピペラジニレン、ピペリジニレン、4-ピペリド
ニレン、ピラゾリジニレン、ピラゾリニレン、ピロリジニレン、ピロリニレン、キヌクリ
ジニレン、テトラヒドロフリレン、テトラヒドロイソキノリニレン、テトラヒドロピラニ
レン、テトラヒドロチエニレン、チアモルホリニレン、チアゾリジニレン、テトラヒドロ
キノリニレン、及び1,3,5-トリチアニレンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテ
ロシクリレンは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換されている。
【0155】
「ハロゲン」、「ハロゲン化物」、又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、
及び/又はヨウ素を指す。
【0156】
「ハロアルキル」という用語は、1以上の、一実施態様において、1つ、2つ、又は3つの
ハロ基で置換されたアルキル基を指し、ここで、該アルキルは、本明細書に定義されてい
る通りである。ハロアルキルは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換され
ている。
【0157】
「アルコキシ」という用語は、-O-アルキルを指し、ここで、該アルキルは、本明細書
に定義されている通りである。
【0158】
「ハロアルコキシ」という用語は、-O-ハロアルキルを指し、ここで、該ハロアルキル
は、本明細書に定義されている通りである。
【0159】
「任意に置換される」という用語は、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレ
ン、アルキニル、アルキニレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、アリール、アリー
レン、アラルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシク
リル、及びヘテロシクリレン基などの基又は置換基が1以上の置換基Qで置換されていても
よいことを意味することが意図され、該置換基Qの各々は、独立に、例えば、(a)オキソ(=
O)、シアノ(-CN)、ハロ、及びニトロ(-NO2);(b)その各々が、1以上の、一実施態様におい
て、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの置換基Qaでさらに任意に置換されている、C1-6アル
キル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15
アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル;並びに(c)-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C(O)
NRbRc、-C(NRa)NRbRc、-ORa、-OC(O)Ra、-OC(O)ORa、-OC(O)NRbRc、-OC(=NRa)NRbRc、-OS
(O)Ra、-OS(O)2Ra、-OS(O)NRbRc、-OS(O)2NRbRc、-NRbRc、-NRaC(O)Rd、-NRaC(O)ORd、-N
RaC(O)NRbRc、-NRaC(=NRd)NRbRc、-NRaS(O)Rd、-NRaS(O)2Rd、-NRaS(O)NRbRc、-NRaS(O)2
NRbRc、-P(O)RaRd、-P(O)(ORa)Rd、-P(O)(ORa)(ORd)、-SRa、-S(O)Ra、-S(O)2Ra、-S(O)N
RbRc、及び-S(O)2NRbRcから選択され、ここで、各々のRa、Rb、Rc、及びRdは、独立に、(
i)水素;(ii)その各々が、1以上の、一実施態様において、1つ、2つ、3つ、もしくは4つの
置換基Qaで任意に置換されている、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3
-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテ
ロシクリルであるか;又は(iii)Rb及びRcは、それらが結合しているN原子と一緒に、その
各々が、1以上の、一実施態様において、1つ、2つ、3つ、もしくは4つの置換基Qaで任意
に置換されている、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成する。本明細書で使用
されるように、置換され得る本明細書に記載される基は全て、別途規定されない限り、「
任意に置換される」。
【0160】
一実施態様において、各々の置換基Qaは、独立に、(a)オキソ、シアノ、ハロ、及びニ
トロ;並びに(b)C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル
、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル;並びに(c)-C
(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)NRfRg、-C(NRe)NRfRg、-ORe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)NRfR
g、-OC(=NRe)NRfRg、-OS(O)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)NRfRg、-OS(O)2NRfRg、-NRfRg、-NReC
(O)Rh、-NReC(O)ORh、-NReC(O)NRfRg、-NReC(=NRh)NRfRg、-NReS(O)Rh、-NReS(O)2Rh、-N
ReS(O)NRfRg、-NReS(O)2NRfRg、-P(O)ReRh、-P(O)(ORe)Rh、-P(O)(ORe)(ORh)、-SRe、-S(
O)Re、-S(O)2Re、-S(O)NRfRg、及び-S(O)2NRfRgからなる群から選択され;ここで、各々の
Re、Rf、Rg、及びRhは、独立に、(i)水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキ
ニル、C3-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリール、もし
くはヘテロシクリルであるか;又は(ii)Rf及びRgは、それらが結合しているN原子と一緒に
、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成する。
【0161】
ある実施態様において、「光学活性のある」及び「エナンチオマー的に活性のある」は
、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%
以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約
99.5%以上、又は約99.8%以上のエナンチオマー過剰率を有する分子群を指す。ある実施
態様において、化合物は、当該の2種のエナンチオマーの総重量に基づいて、約95%以上
の望ましいエナンチオマー及び約5%以下のあまり好ましくないエナンチオマーを含む。
【0162】
光学活性化合物を記載する際、接頭辞R及びSを用いて、光学活性化合物の絶対配置をそ
のキラル中心(複数可)に関して示す。(+)及び(-)を用いて、光学活性化合物の旋光度、す
なわち、偏光面が光学活性化合物によって回転する方向を示す。(-)の接頭辞は、光学活
性化合物が左旋性であること、すなわち、該化合物が偏光面を左又は反時計回りに回転さ
せることを示す。(+)の接頭辞は、光学活性化合物が右旋性であること、すなわち、該化
合物が偏光面を右又は時計回りに回転させることを示す。しかしながら、旋光度の記号で
ある(+)及び(-)は、化合物の絶対配置R及びSに関連するものではない。
【0163】
「同位体変種」という用語は、そのような化合物を構成する原子の1つ又は複数におい
て非天然の割合の同位体を含有する化合物を指す。ある実施態様において、化合物の「同
位体変種」は、非天然の割合の1以上の同位体を含有し、該同位体としては、水素(1H)、
ジュウテリウム(2H)、トリチウム(3H)、炭素-11(11C)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、炭
素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-14(14O)、酸素-15(15O)
、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、フッ素-17(17F)、フッ素-18(18F)、リン
-31(31P)、リン-32(32P)、リン-33(33P)、硫黄-32(32S)、硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)、
硫黄-35(35S)、硫黄-36(36S)、塩素-35(35Cl)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、臭素-79
(79Br)、臭素-81(81Br)、ヨウ素-123(123I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-127(127I)、ヨ
ウ素-129(129I)、及びヨウ素-131(131I)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実
施態様において、化合物の「同位体変種」は、安定型、すなわち、非放射性である。ある
実施態様において、化合物の「同位体変種」は、非天然の割合の1以上の同位体を含有し
、該同位体としては、水素(1H)、ジュウテリウム(2H)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、窒
素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、フッ素-17(17
F)、リン-31(31P)、硫黄-32(32S)、硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)、硫黄-36(36S)、塩素-3
5(35Cl)、塩素-37(37Cl)、臭素-79(79Br)、臭素-81(81Br)、及びヨウ素-127(127I)が挙げ
られるが、これらに限定されない。ある実施態様において、化合物の「同位体変種」は、
不安定型、すなわち、放射性である。ある実施態様において、化合物の「同位体変種」は
、非天然の割合の1以上の同位体を含有し、該同位体としては、トリチウム(3H)、炭素-11
(11C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、酸素-14(14O)、酸素-15(15O)、フッ素-18(18F)、
リン-32(32P)、リン-33(33P)、硫黄-35(35S)、塩素-36(36Cl)、ヨウ素-123(123I)、ヨウ
素-125(125I)、ヨウ素-129(129I)、及びヨウ素-131(131I)が挙げられるが、これらに限定
されない。当業者の判断によって実現可能である場合、本明細書に提供される化合物にお
いて、任意の水素は、例えば、2Hであることができ、又は任意の炭素は、例えば、13Cで
あることができ、又は任意の窒素は、例えば、15Nであることができ、又は任意の酸素は
、例えば、18Oであることができることが理解されるであろう。ある実施態様において、
化合物の「同位体変種」は、非天然の割合のジュウテリウム(D)を含有する。
【0164】
「溶媒和物」という用語は、化学量論的又は非化学量論的量で存在する、1以上の溶質
分子、例えば、本明細書に提供される化合物、及び1以上の溶媒分子によって形成される
複合体又は凝集体を指す。好適な溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n-プロパ
ノール、イソプロパノール、及び酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施
態様において、溶媒は、医薬として許容し得るものである。一実施態様において、該複合
体又は凝集体は、結晶性形態である。別の実施態様において、該複合体又は凝集体は、非
結晶性形態である。溶媒が水である場合、溶媒和物は、水和物である。水和物の例として
は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、及び五水和物が挙げられるが
、これらに限定されない。
【0165】
「そのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合
物、もしくは同位体変種;又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、も
しくはプロドラッグ」という語句は、「(i)その中に言及される化合物のエナンチオマー
、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体変種;
(ii)その中に言及される化合物の医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくは
プロドラッグ;又は(iii)その中に言及される化合物のエナンチオマー、エナンチオマーの
混合物、2種以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体変種の医薬として許容し
得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ」という語句と同じ意味を有する。
【0166】
(5.3.2.幹細胞動員化合物)
一実施態様において、幹細胞動員化合物は、アリール炭化水素受容体阻害剤、例えば、
アリール炭化水素受容体アンタゴニストである。
【0167】
別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、5,6-縮合ヘテロアリール化合物であり、
これには、その各々の開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許出願
公開第2010/0183564号、第2014/0023626号、及び第2014/0114070号に記載されているもの
が含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、式Iの化合物:
【化5】
【0169】
又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合
物、もしくは同位体変種;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、
又はプロドラッグであり;式中:
【0170】
G1は、N及びCR3であり;
【0171】
G2、G3、及びG4は、各々独立に、CH及びNであり;但し、G3及びG4のうちの少なくとも1
つはNであり、かつG1及びG2のうちの少なくとも1つはNではなく;
【0172】
L1は、-NR1a-、-NR1a(CH2)1-3-、-NR1aCH(C(O)OCH3)CH2-、-NR1a(CH2)2NR1c-、-NR1a(C
H2)2S-、-NR1aCH2CH(CH3)CH2-、-NR1aCH2CH(OH)-、又は-NR1aCH(CH3)CH2-であり;
【0173】
R1は、(i)水素;又は(ii)その各々が、1つ、2つ、もしくは3つの置換基(ここで、各々の
置換基は、独立に、シアノ、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキル、
C1-4ハロアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1aR1b、-SR
1a、-S(O)R1a、又は-S(O)2R1aである)によって任意に置換されている、フェニル、フラニ
ル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チエニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリミ
ジニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニ
ル、イミダゾピリジニル、もしくはベンゾチエニルであり;
【0174】
R2は、(i)-NR1aC(O)R1c、-NR1cC(O)NR1aR1b、もしくは-S(O)2NR1aR1b;又は(ii)その各
々が、1つ、2つ、もしくは3つの置換基(ここで、各々の置換基は、独立に、ヒドロキシル
、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、-O(CH2)1-3NR1aR1b、-OS(O)2NR1aR1b、-NR1aS(O)2R
1b、もしくは-S(O)2NR1aR1bである)によって任意に置換されている、フェニル、ピロロピ
リジン-3-イル、インドリル、チエニル、ピリジニル、1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイ
ミダゾリジニル、ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、又はイ
ンダゾリルであり;
【0175】
R3は、水素、C1-4アルキル、又はビフェニルであり;但し、R1及びR3のうちの少なくと
も1つは、水素ではなく;
【0176】
R4は、その各々が、1つ、2つ、又は3つの置換基(ここで、各々の置換基は、独立に、ヒ
ドロキシル、C1-4アルキル、又はC1-4ハロアルキルである)によって任意に置換されてい
る、C1-10アルキル、プロパ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オ
キソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H
-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イ
ル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、又は1-(1-(2-オキソ-6,9,12-ト
リオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルであり;
かつ
【0177】
各々のR1a、R1b、及びR1cは、独立に、水素もしくはC1-4アルキルであるか;又はR1a
びR1bは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成する。
【0178】
一実施態様において、式Iにおいて、G1は、CR3、一実施態様において、CHであり; G2
G3、及びG4は、各々、Nであり;かつR1、R2、R3、R4、及びL1は、各々、本明細書に定義さ
れている通りである。
【0179】
別の実施態様において、式Iにおいて、G1、G3、及びG4は、各々、Nであり; G2はCHであ
り;かつR1、R2、R4、及びL1は、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0180】
また別の実施態様において、式Iにおいて、G1は、CR3、一実施態様において、CHであり
; G2及びG3は、各々、Nであり; G4はCHであり;かつR1、R2、R3、R4、及びL1は、各々、本
明細書に定義されている通りである。
【0181】
また別の実施態様において、式Iにおいて、G1は、CR3、一実施態様において、CHであり
; G2及びG4は、各々、Nであり; G3はCHであり;かつR1、R2、R3、R4、及びL1は、各々、本
明細書に定義されている通りである。
【0182】
また別の実施態様において、式Iにおいて、G1は、CR3、一実施態様において、CHであり
; G2はCHであり; G3及びG4は、各々、Nであり;かつR1、R2、R3、R4、及びL1は、各々、本
明細書に定義されている通りである。
【0183】
さらなる実施態様において、式Iにおいて、
【0184】
G1はCHであり;
【0185】
G2、G3、及びG4は、各々、Nであり;
【0186】
R1は、その各々が、独立に、シアノ、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロ
アルキル、C1-4ハロアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR
1aR1b、-SR1a、-S(O)R1a、又は-S(O)2R1aである、1つ、2つ、又は3つの置換基で任意に置
換された、ベンゾチエニルであり;
【0187】
R2は、その各々が、独立に、ヒドロキシル、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、-O(CH2
)1-3NR1aR1b、-OS(O)2NR1aR1b、-NR1aS(O)2R1b、又は-S(O)2NR1aR1bである、1つ、2つ、
又は3つの置換基で任意に置換された、フェニルであり;
【0188】
R4は、その各々が、独立に、ヒドロキシル、C1-4アルキル、又はC1-4ハロアルキルであ
る、1つ、2つ、又は3つの置換基で任意に置換された、C1-10アルキルであり;
【0189】
L1は、-NR1a(CH2)2-であり;かつ
【0190】
R1a及びR1bは、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0191】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、式IIの化合物:
【化6】
【0192】
又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合
物、もしくは同位体変種;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、
又はプロドラッグであり;式中、R2及びR4は、各々、本明細書に定義されている通りであ
る。
【0193】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、式IIIの化合物:
【化7】
【0194】
又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合
物、もしくは同位体変種;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、
又はプロドラッグであり;式中、R2及びR4は、各々、本明細書に定義されている通りであ
り;かつR5a、R5b、及びR5cは、各々独立に、水素、シアノ、メチル、ハロ、トリフルオロ
メチル、又は-SO2CH3である。
【0195】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、4-(2-(2-(ベンゾ[b]チエン-3-イル)
-9-イソプロピル-9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)フェノールである。ある実施態様にお
いて、幹細胞動員化合物は、以下の構造を有する、StemRegenin-1(SR-1)である:
【化8】
【0196】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、1-メチル-N-(2-メチル-4-(2-(2-メ
チルフェニル)ジアゼニル)フェニル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミドである。ある実施
態様において、幹細胞動員化合物は、以下の構造を有する、CH223191である:
【化9】
【0197】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、ピリミド(4,5-b)インドールである
【0198】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、式IVの化合物:
【化10】
【0199】
又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合
物、もしくは同位体変種;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、
又はプロドラッグであり;式中:
【0200】
Zは、シアノ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル
、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ベンジル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-L-C
6-14アリール、-L-ヘテロアリール、-L-ヘテロシクリル、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NH
R1a、-C(O)N(R1a)R1b、-P(O)(OR1a)(OR1c)、-SR1a、-S(O)R1a、-S(O)2R1a、-S(O)2NH2、-
S(O)2NHR1a、又は-S(O)2N(R1a)R1bであり;
【0201】
Wは、水素、ハロ、シアノ、C6-14アリール、ベンジル、ヘテロアリール、ヘテロシクリ
ル、-L-C6-14アリール、-L-ヘテロアリール、-L-ヘテロシクリル、-L-OH、-L-OR1a、-L-N
H2、-L-NHR1a、-L-N(R1a)R1b、-L-SR1a、-L-S(O)R1a、-L-S(O)2R1a、-L-P(O)(OR1a)(OR1c
)、-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-L-(N(R1c)-L)n-C6-14アリール、-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロ
アリール、-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリル、-O-L-N(R1a)R1b、-O-L-C6-14アリール、-O-
L-ヘテロアリール、-O-L-ヘテロシクリル、-O-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-O-L-(N(R1c)-
L)n-C6-14アリール、-O-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリール、-O-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシク
リル、-S-L-N(R1a)R1b、-S-L-C6-14アリール、-S-L-ヘテロアリール、-S-L-ヘテロシクリ
ル、-S-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-S-L-(N(R1c)-L)n-C6-14アリール、-S-L-(N(R1c)-L)n
-ヘテロアリール、-S-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリル、-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-(N(R1
c)-L)n-C6-14アリール、-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリール、-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリル、
-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NH2、-C(O)NHR1a、-C(O)N(R1a)R1b、-NHR1a、-N(R1a)R1b、-
NHC(O)R1a、-NR1aC(O)R1c、-NHC(O)OR1a、-NR1aC(O)OR1c、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NHR1a、-
NHC(O)N(R1a)R1b、-NR1aC(O)NH2、-NR1cC(O)NHR1a、-NR1cC(O)N(R1a)R1b、-NHS(O)2R1a
-NR1cS(O)2R1a、-OR1a、-OC(O)R1a、-OC(O)OR1a、-OC(O)NH2、-OC(O)NHR1a、-OC(O)N(R1a
)R1b、-OS(O)2R1a、-P(O)(OR1a)(OR1c)、-SR1a、-S(O)R1a、-S(O)2R1a、-S(O)2NH2、-S(O
)2NHR1a、-S(O)2N(R1a)R1b、又は-S(O)2OR1aであり;
【0202】
各々のLは、独立に、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、C3-7
クロアルキレン、C6-14アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリレン、C1-6アルキ
レン-C3-7シクロアルキレン、又はC1-6アルキレン-ヘテロシクリレンであり;
【0203】
R6は、水素、C1-6アルキル、C6-14アリール、ベンジル、ヘテロアリール、-C(O)R1a、-
SR1a、-S(O)R1a、-S(O)2R1a、-L-C6-14アリール、-L-ヘテロアリール、又は-L-ヘテロシ
クリルであり;
【0204】
各々のnは、独立に、1、2、3、4、又は5の整数であり;かつ
【0205】
各々のR1a、R1b、及びR1cは、独立に、(i)水素;(ii)C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリー
ル、もしくはヘテロシクリルであるか;又は(iii)R1a及びR1bは、それらが結合しているN
原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成し;
【0206】
ここで、各々のアルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アル
キニレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、アリーレン、ヘテ
ロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリレンは、1以上の、
一実施態様において、1つ、2つ、3つ、又は4つの置換基Qで任意に置換されており、ここ
で、各々の置換基Qは、独立に、(a)オキソ、シアノ、ハロ、及びニトロ;(b)その各々が、
1以上の、一実施態様において、1つ、2つ、3つ、又は4つの置換基Qaでさらに任意に置換
されている、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C
6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル;並びに(c)-C(O)
Ra、-C(O)ORa、-C(O)NRbRc、-C(NRa)NRbRc、-ORa、-OC(O)Ra、-OC(O)ORa、-OC(O)NRbRc
-OC(=NRa)NRbRc、-OS(O)Ra、-OS(O)2Ra、-OS(O)NRbRc、-OS(O)2NRbRc、-NRbRc、-NRaC(O)
Rd、-NRaC(O)ORd、-NRaC(O)NRbRc、-NRaC(=NRd)NRbRc、-NRaS(O)Rd、-NRaS(O)2Rd、-NRaS
(O)NRbRc、-NRaS(O)2NRbRc、-SRa、-S(O)Ra、-S(O)2Ra、-S(O)NRbRc、及び-S(O)2NRbRc
ら選択され、ここで、各々のRa、Rb、Rc、及びRdは、独立に、(i)水素;(ii)その各々が、
1以上の、一実施態様において、1つ、2つ、3つ、もしくは4つの置換基Qaでさらに任意に
置換されている、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキ
ル、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルである
か;又は(iii)Rb及びRcは、それらが結合しているN原子と一緒に、1以上の、一実施態様に
おいて、1つ、2つ、3つ、もしくは4つの置換基Qaでさらに任意に置換されている、ヘテロ
シクリルを形成し;
【0207】
ここで、各々のQaは、独立に、(a)オキソ、シアノ、ハロ、及びニトロ;(b)C1-6アルキ
ル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15
ラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル;並びに(c)-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)NR
fRg、-C(NRe)NRfRg、-ORe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)NRfRg、-OC(=NRe)NRfRg、-OS(O
)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)NRfRg、-OS(O)2NRfRg、-NRfRg、-NReC(O)Rh、-NReC(O)ORh、-NRe
C(O)NRfRg、-NReC(=NRh)NRfRg、-NReS(O)Rh、-NReS(O)2Rh、-NReS(O)NRfRg、-NReS(O)2NR
fRg、-SRe、-S(O)Re、-S(O)2Re、-S(O)NRfRg、及び-S(O)2NRfRgからなる群から選択され;
ここで、各々のRe、Rf、Rg、及びRhは、独立に、(i)水素;(ii)C1-6アルキル、C2-6アルケ
ニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテ
ロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか;又は(iii)Rf及びRgは、それらが結合して
いるN原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成する。
【0208】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、式Vの化合物:
【化11】
【0209】
又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合
物、もしくは同位体変種;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、
又はプロドラッグであり;式中、R6、W、及びZは、各々、本明細書に定義されている通り
である。
【0210】
一実施態様において、式IV又はVにおいて、
【0211】
Zは、シアノ、ヘテロアリール、又は-C(O)OR1aであり;
【0212】
Wは、ヘテロシクリル、-L-ヘテロシクリル、-O-L-ヘテロシクリル、-(N(R1c)-L)n-N(R1
a)R1b、-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリル、-NHR1a、又は-N(R1a)R1bであり;
【0213】
各々のLは、独立に、C1-6アルキレン又はC3-7シクロアルキレンであり;
【0214】
R6は、水素、C1-6アルキル、ベンジル、-C(O)R1a、-L-C6-14アリール、又は-L-ヘテロ
アリールであり;
【0215】
各々のnは、独立に、1の整数であり;かつ
【0216】
R1a、R1b、及びR1cは、各々、本明細書に定義されている通りであり;
【0217】
ここで、各々のアルキル、アルキレン、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、ヘテ
ロアリール、及びヘテロシクリルは、本明細書に定義されている1以上の置換基Qで任意に
置換されている。
【0218】
別の実施態様において、式IV又はVにおいて、
【0219】
Zは、シアノ、5員ヘテロアリール、又は-C(O)O-C1-6アルキルであり;
【0220】
Wは、ヘテロシクリル、-L-ヘテロシクリル、-O-L-ヘテロシクリル、-(N(R1c)-L)n-N(R1
a)R1b、-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリル、-NHR1a、又は-N(R1a)R1bであり;
【0221】
各々のLは、独立に、C1-6アルキレン又はC3-7シクロアルキレンであり;
【0222】
R6は、水素、メチル、ベンジル、-L-C6-14アリール、又は-L-ヘテロアリールであり;
【0223】
各々のnは、独立に、1の整数であり;かつ
【0224】
R1a、R1b、及びR1cは、各々、本明細書に定義されている通りであり;
【0225】
ここで、各々のアルキレン、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、ヘテロアリール
、及びヘテロシクリルは、本明細書に定義されている1以上の置換基Qで任意に置換されて
いる。
【0226】
一実施態様において、式IV又はVにおいて、Wは、-L-N(R1a)R1b、-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a
)R1b、-O-L-N(R1a)R1b、-O-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1b、-S-L-N(R1a)R1b、-S-L-(N(R1c)-L
)n-N(R1a)R1b、又は-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1bであり;かつR6、R1a、R1b、R1c、L、及びZは
、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0227】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、式VIの化合物:
【化12】
【0228】
又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合
物、もしくは同位体変種;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、
又はプロドラッグであり;式中、Xは、結合、O、S、又はNR1cであり;かつR1a、R1c、R6、L
、及びZは、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0229】
さらに別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、式VIIの化合物:
【化13】
【0230】
又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2種以上のジアステレオマーの混合
物、もしくは同位体変種;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、
又はプロドラッグであり;式中、R1a、R6、L、X、及びZは、各々、本明細書に定義されて
いる通りである。
【0231】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、以下の構造を有する化合物である:
【化14】
【0232】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、以下の構造を有する化合物である:
【化15】
【0233】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、レスベラトロール、テトラエチレン
ペンタミン(TEPA)、αナフトフラボン、3'-メトキシ-4'-ニトロフラボン、3,4-ジメトキ
シフラボン、4',5,7-トリヒドロキシフラボン(アピゲニン)、6-メチル-1,3,8-トリクロロ
ジベンゾフラン、エピガロカテキン、又は没食子酸エピガロカテキンである。
【0234】
また別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、レスベラトロールである。ある実施
態様において、幹細胞動員化合物は、(Z)-レスベラトロールである。ある実施態様におい
て、幹細胞動員化合物は、(E)-レスベラトロールである。
【0235】
さらに別の実施態様において、幹細胞動員化合物は、テトラエチレンペンタミン(TEPA)
である。
【0236】
本明細書に記載される化合物は全て、市販されているか、又は本明細書に開示される特
許もしくは特許公報に記載されている方法に従って調製することができる。さらに、光学
的に純粋な化合物は、不斉合成するか、又は既知の分割剤もしくはキラルカラム及び他の
標準的な合成有機化学技術を用いて分割することができる。幹細胞動員化合物、その調製
及び使用に関するさらなる情報は、例えば、米国特許出願公開第2010/0183564号、第2014
/0023626号、及び第2014/0114070号;並びにKimらの文献、Mol. Pharmacol.、2006、69、1
871-1878に見出すことができ;これらの各々の開示は、引用により完全に本明細書中に組
み込まれる。
【0237】
本明細書に提供される式、例えば、式I~VII中の基又は変数G1、G2、G3、G4、R1、R2
R3、R4、R5a、R5b、R5c、R6、X、L、L1、X、W、Z、及びnは、本明細書に記載される実施
態様においてさらに定義されている。そのような基及び/又は変数についての本明細書に
提供される実施態様の全ての組合せは、本開示の範囲内のものである。
【0238】
ある実施態様において、G1はNである。ある実施態様において、G1はCR3であり、ここで
、R3は、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、G1はCHである。
【0239】
ある実施態様において、G2はNである。ある実施態様において、G2はCHである。
【0240】
ある実施態様において、G3はNである。ある実施態様において、G3はCHである。
【0241】
ある実施態様において、G4はNである。ある実施態様において、G4はCHである。
【0242】
ある実施態様において、R1は、水素である。ある実施態様において、R1は、本明細書に
記載されている通りに任意に置換されたフェニルである。ある実施態様において、R1は、
本明細書に記載されている通りに任意に置換されたフラニルである。ある実施態様におい
て、R1は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたピロリルである。ある実施
態様において、R1は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたイミダゾリルで
ある。ある実施態様において、R1は、本明細書に記載されている通りに任意に置換された
ピラゾリルである。ある実施態様において、R1は、本明細書に記載されている通りに任意
に置換されたチエニルである。ある実施態様において、R1は、本明細書に記載されている
通りに任意に置換されたチアゾリルである。ある実施態様において、R1は、本明細書に記
載されている通りに任意に置換されたピリジニルである。ある実施態様において、R1は、
本明細書に記載されている通りに任意に置換されたピリミジニルである。ある実施態様に
おいて、R1は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたピロリジニルである。
ある実施態様において、R1は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたピラジ
ニルである。ある実施態様において、R1は、本明細書に記載されている通りに任意に置換
されたピリダジニルである。ある実施態様において、R1は、本明細書に記載されている通
りに任意に置換されたベンゾイミダゾリルである。ある実施態様において、R1は、本明細
書に記載されている通りに任意に置換されたイソキノリニルである。ある実施態様におい
て、R1は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたイミダゾピリジニルである
。ある実施態様において、R1は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたベン
ゾチエニルである。
【0243】
ある実施態様において、R2は、-NR1aC(O)R1cであり、ここで、R1a及びR1cは、各々、本
明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、R2は、-NR1cC(O)NR1aR1b
あり、ここで、R1a、R1b、及びR1cは、各々、本明細書に定義されている通りである。あ
る実施態様において、R2は、-S(O)2NR1aR1bであり、ここで、R1a及びR1bは、各々、本明
細書に定義されている通りである。ある実施態様において、R2は、本明細書に記載されて
いる通りに任意に置換されたフェニルである。ある実施態様において、R2は、本明細書に
記載されている通りに任意に置換されたピロロピリジン-3-イルである。ある実施態様に
おいて、R2は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたインドリルである。あ
る実施態様において、R2は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたチエニル
である。ある実施態様において、R2は、本明細書に記載されている通りに任意に置換され
たピリジニルである。ある実施態様において、R2は、本明細書に記載されている通りに任
意に置換された1,2,4-トリアゾリルである。ある実施態様において、R2は、本明細書に記
載されている通りに任意に置換された2-オキソイミダゾリジニルである。ある実施態様に
おいて、R2は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたピラゾリルである。あ
る実施態様において、R2は、本明細書に記載されている通りに任意に置換された2-オキソ
-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリルである。ある実施態様において、R2は、本明細書
に記載されている通りに任意に置換されたインダゾリルである。
【0244】
ある実施態様において、R3は、水素である。ある実施態様において、R3は、本明細書に
記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C1-4アルキルである。ある実施態様にお
いて、R3は、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、ビフェニルであ
る。
【0245】
ある実施態様において、R4は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたC1-1
0アルキルである。ある実施態様において、R4は、本明細書に記載されている通りに任意
に置換されたプロパ-1-エン-2-イルである。ある実施態様において、R4は、本明細書に記
載されている通りに任意に置換されたシクロヘキシルである。ある実施態様において、R4
は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたシクロプロピルである。ある実施
態様において、R4は、本明細書に記載されている通りに任意に置換された2-(2-オキソピ
ロリジン-1-イル)エチルである。ある実施態様において、R4は、本明細書に記載されてい
る通りに任意に置換されたオキセタン-3-イルである。ある実施態様において、R4は、本
明細書に記載されている通りに任意に置換されたベンズヒドリルである。ある実施態様に
おいて、R4は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたテトラヒドロ-2H-ピラ
ン-3-イルである。ある実施態様において、R4は、本明細書に記載されている通りに任意
に置換されたテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルである。ある実施態様において、R4は、本
明細書に記載されている通りに任意に置換されたフェニルである。ある実施態様において
、R4は、本明細書に記載されている通りに任意に置換されたテトラヒドロフラン-3-イル
である。ある実施態様において、R4は、本明細書に記載されている通りに任意に置換され
たベンジルである。ある実施態様において、R4は、本明細書に記載されている通りに任意
に置換された(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチルである。ある実施態様において、R4
は、本明細書に記載されている通りに任意に置換された1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキ
サ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルである。
【0246】
ある実施態様において、L1は、-NR1a-であり、ここで、R1aは、本明細書に定義されて
いる通りである。ある実施態様において、L1は、-NR1a(CH2)1-3-であり、ここで、R1a
、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、L1は、-NR1aCH(C(O)OC
H3)CH2-であり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様に
おいて、L1は、-NR1a(CH2)2NR1c-であり、ここで、R1a及びR1cは、各々、本明細書に定義
されている通りである。ある実施態様において、L1は、-NR1a(CH2)2S-であり、ここで、R
1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、L1は、-NR1aCH2CH
(CH3)CH2-であり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様
において、L1は、-NR1aCH2CH(OH)-であり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通
りである。ある実施態様において、L1は、-NR1aCH(CH3)CH2-であり、ここで、R1aは、本
明細書に定義されている通りである。
【0247】
ある実施態様において、R5aは、水素である。ある実施態様において、R5aは、シアノで
ある。ある実施態様において、R5aは、メチルである。ある実施態様において、R5aは、ハ
ロである。ある実施態様において、R5aは、フルオロ、クロロ、又はブロモである。ある
実施態様において、R5aは、トリフルオロメチルである。ある実施態様において、R5aは、
-SO2CH3である。
【0248】
ある実施態様において、R5bは、水素である。ある実施態様において、R5bは、シアノで
ある。ある実施態様において、R5bは、メチルである。ある実施態様において、R5bは、ハ
ロである。ある実施態様において、R5bは、フルオロ、クロロ、又はブロモである。ある
実施態様において、R5bは、トリフルオロメチルである。ある実施態様において、R5bは、
-SO2CH3である。
【0249】
ある実施態様において、R5cは、水素である。ある実施態様において、R5cは、シアノで
ある。ある実施態様において、R5cは、メチルである。ある実施態様において、R5cは、ハ
ロである。ある実施態様において、R5cは、フルオロ、クロロ、又はブロモである。ある
実施態様において、R5cは、トリフルオロメチルである。ある実施態様において、R5cは、
-SO2CH3である。
【0250】
ある実施態様において、Lは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換され
た、C1-6アルキレンである。ある実施態様において、Lは、本明細書に記載される1以上の
置換基Qで各々任意に置換された、エチレン、プロピレン、又はブチレンである。ある実
施態様において、Lは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C2-6
アルケニレンである。ある実施態様において、Lは、本明細書に記載される1以上の置換基
Qで任意に置換された、C2-6アルキニレンである。ある実施態様において、Lは、本明細書
に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C3-7シクロアルキレンである。ある実
施態様において、Lは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、シク
ロヘキシレンである。ある実施態様において、Lは、本明細書に記載される1以上の置換基
Qで任意に置換された、C6-14アリーレンである。ある実施態様において、Lは、本明細書
に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、ヘテロアリーレンである。ある実施態
様において、Lは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、ヘテロシ
クリレンである。ある実施態様において、Lは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで
任意に置換された、C1-6アルキレン-C3-7シクロアルキレンである。ある実施態様におい
て、Lは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C1-6アルキレン-ヘ
テロシクリレンである。
【0251】
ある実施態様において、R6は、水素である。ある実施態様において、R6は、本明細書に
記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C1-6アルキルである。ある実施態様にお
いて、R6は、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、メチルである。
ある実施態様において、R6は、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された
、C6-14アリールである。ある実施態様において、R6は、本明細書に記載される1以上の置
換基Qで任意に置換された、ベンジルである。ある実施態様において、R6は、本明細書に
記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、ヘテロアリールである。ある実施態様に
おいて、R6は、-C(O)R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである
。ある実施態様において、R6は、-SR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されてい
る通りである。ある実施態様において、R6は、-S(O)R1aであり、ここで、R1aは、本明細
書に定義されている通りである。ある実施態様において、R6は、-S(O)2R1aであり、ここ
で、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、R6は、-L-C6
-14アリールであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様
において、R6は、-L-ヘテロアリールであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通
りである。ある実施態様において、R6は、-L-ヘテロシクリルであり、ここで、Lは、本明
細書に定義されている通りである。
【0252】
ある実施態様において、Wは、水素である。ある実施態様において、Wは、ハロである。
ある実施態様において、Wは、シアノである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記
載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C6-14アリールである。ある実施態様にお
いて、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、ベンジルである
。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換され
た、ヘテロアリールである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の
置換基Qで任意に置換された、ヘテロシクリルである。
【0253】
ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換され
た、-L-C6-14アリールであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通りである。あ
る実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、-
L-ヘテロアリールであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通りである。ある実
施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、-L-ヘ
テロシクリルであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態
様において、Wは、-L-OHであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通りである。
ある実施態様において、Wは、-L-OR1aであり、ここで、R1a及びLは、各々、本明細書に定
義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-L-NH2であり、ここで、Lは、本
明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-L-NHR1aであり、こ
こで、R1a及びLは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において
、Wは、-L-N(R1a)R1bであり、ここで、R1a、R1b、及びLは、各々、本明細書に定義されて
いる通りである。ある実施態様において、Wは、-L-SR1aであり、ここで、R1a及びLは、各
々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-L-S(O)R1a
あり、ここで、R1a及びLは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様
において、Wは、-L-S(O)2R1aであり、ここで、R1a及びLは、各々、本明細書に定義されて
いる通りである。ある実施態様において、Wは、-L-P(O)(OR1a)(OR1c)であり、ここで、R1
a、R1c、及びLは、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0254】
ある実施態様において、Wは、-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1bであり、ここで、R1a、R1b、R
1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、
Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、-L-(N(R1c)-L)n-C6-14
アリールであり、ここで、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りであ
る。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換さ
れた、-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリールであり、ここで、R1c、L、及びnは、各々、本明細
書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以
上の置換基Qで任意に置換された、-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリルであり、ここで、R1c
、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0255】
ある実施態様において、Wは、-O-L-N(R1a)R1bであり、ここで、R1a、R1b、及びLは、各
々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記
載される1以上の置換基Qで任意に置換された、-O-L-C6-14アリールであり、ここで、Lは
、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載
される1以上の置換基Qで任意に置換された、-O-L-ヘテロアリールであり、ここで、Lは、
本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載さ
れる1以上の置換基Qで任意に置換された、-O-L-ヘテロシクリルであり、ここで、Lは、本
明細書に定義されている通りである。
【0256】
ある実施態様において、Wは、-O-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1bであり、ここで、R1a、R1b
、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様におい
て、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、-O-L-(N(R1c)-L)n-
C6-14アリールであり、ここで、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通り
である。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置
換された、-O-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリールであり、ここで、R1c、L、及びnは、各々、
本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載さ
れる1以上の置換基Qで任意に置換された、-O-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリルであり、こ
こで、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0257】
ある実施態様において、Wは、-S-L-N(R1a)R1bであり、ここで、R1a、R1b、及びLは、各
々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記
載される1以上の置換基Qで任意に置換された、-S-L-C6-14アリールであり、ここで、Lは
、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載
される1以上の置換基Qで任意に置換された、-S-L-ヘテロアリールであり、ここで、Lは、
本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載さ
れる1以上の置換基Qで任意に置換された、-S-L-ヘテロシクリルであり、ここで、Lは、本
明細書に定義されている通りである。
【0258】
ある実施態様において、Wは、-S-L-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1bであり、ここで、R1a、R1b
、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様におい
て、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、-S-L-(N(R1c)-L)n-
C6-14アリールであり、ここで、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通り
である。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置
換された、-S-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリールであり、ここで、R1c、L、及びnは、各々、
本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載さ
れる1以上の置換基Qで任意に置換された、-S-L-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリルであり、こ
こで、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0259】
ある実施態様において、Wは、-(N(R1c)-L)n-N(R1a)R1bであり、ここで、R1a、R1b、R1c
、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、W
は、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、-(N(R1c)-L)n-C6-14アリ
ールであり、ここで、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定義されている通りである。
ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された
、-(N(R1c)-L)n-ヘテロアリールであり、ここで、R1c、L、及びnは、各々、本明細書に定
義されている通りである。ある実施態様において、Wは、本明細書に記載される1以上の置
換基Qで任意に置換された、-(N(R1c)-L)n-ヘテロシクリルであり、ここで、R1c、L、及び
nは、各々、本明細書に定義されている通りである。
【0260】
ある実施態様において、Wは、-C(O)R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されて
いる通りである。ある実施態様において、Wは、-C(O)OR1aであり、ここで、R1aは、本明
細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-C(O)NH2である。ある
実施態様において、Wは、-C(O)NHR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている
通りである。ある実施態様において、Wは、-C(O)N(R1a)R1bであり、ここで、R1a及びR1b
は、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-NHR1a
であり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において
、Wは、-N(R1a)R1bであり、ここで、R1a及びR1bは、各々、本明細書に定義されている通
りである。ある実施態様において、Wは、-NHC(O)R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に
定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-NR1aC(O)R1cであり、ここで
、R1a及びR1cは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、
Wは、-NHC(O)OR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある
実施態様において、Wは、-NR1aC(O)OR1cであり、ここで、R1a及びR1cは、各々、本明細書
に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-NHC(O)NH2である。ある実
施態様において、Wは、-NHC(O)NHR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている
通りである。ある実施態様において、Wは、-NHC(O)N(R1a)R1bであり、ここで、R1a及びR1
bは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-NR1aC
(O)NH2であり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様に
おいて、Wは、-NR1cC(O)NHR1aであり、ここで、R1a及びR1cは、各々、本明細書に定義さ
れている通りである。ある実施態様において、Wは、-NR1cC(O)N(R1a)R1bであり、ここで
、R1a、R1b、及びR1cは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様に
おいて、Wは、-NHS(O)2R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りであ
る。ある実施態様において、Wは、-NR1cS(O)2R1aであり、ここで、R1a及びR1cは、各々、
本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-OR1aであり、ここ
で、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-OC(O)
R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様におい
て、Wは、-OC(O)OR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。あ
る実施態様において、Wは、-OC(O)NH2である。ある実施態様において、Wは、-OC(O)NHR1a
であり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において
、Wは、-OC(O)N(R1a)R1bであり、ここで、R1a及びR1bは、各々、本明細書に定義されてい
る通りである。ある実施態様において、Wは、-OS(O)2R1aであり、ここで、R1aは、本明細
書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-P(O)(OR1a)(OR1c)であり
、ここで、R1a及びR1cは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様に
おいて、Wは、-SR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。あ
る実施態様において、Wは、-S(O)R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている
通りである。ある実施態様において、Wは、-S(O)2R1aであり、ここで、R1aは、本明細書
に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-S(O)2NH2である。ある実施
態様において、Wは、-S(O)2NHR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通
りである。ある実施態様において、Wは、-S(O)2N(R1a)R1bであり、ここで、R1a及びR1b
、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Wは、-S(O)2OR1
aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。
【0261】
ある実施態様において、Zは、シアノである。ある実施態様において、Zは、本明細書に
記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C1-6アルキルである。ある実施態様にお
いて、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C2-6アルケニル
である。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置
換された、C2-6アルキニルである。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載される1
以上の置換基Qで任意に置換された、C3-10シクロアルキルである。ある実施態様において
、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、C6-14アリールである
。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換され
た、C7-15アラルキルである。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載される1以上
の置換基Qで任意に置換された、ベンジルである。ある実施態様において、Zは、本明細書
に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、ヘテロアリールである。ある実施態様
において、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、5員ヘテロア
リールである。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任
意に置換された、テトラゾリルである。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載さ
れる1以上の置換基Qで任意に置換された、1,2,4-オキサジアゾリルである。ある実施態様
において、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換された、ヘテロシク
リルである。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意
に置換された、-L-C6-14アリールであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通り
である。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置
換された、-L-ヘテロアリールであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通りであ
る。ある実施態様において、Zは、本明細書に記載される1以上の置換基Qで任意に置換さ
れた、-L-ヘテロシクリルであり、ここで、Lは、本明細書に定義されている通りである。
【0262】
ある実施態様において、Zは、-C(O)R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されて
いる通りである。ある実施態様において、Zは、-C(O)OR1aであり、ここで、R1aは、本明
細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Zは、-C(O)OC1-6アルキルで
あり、ここで、該アルキルは、本明細書に定義される1以上の置換基Qで任意に置換されて
いる。ある実施態様において、Zは、-C(O)OCH3である。ある実施態様において、Zは、-C(
O)NHR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様に
おいて、Zは、-C(O)N(R1a)R1bであり、ここで、R1a及びR1bは、各々、本明細書に定義さ
れている通りである。ある実施態様において、Zは、-P(O)(OR1a)(OR1c)であり、ここで、
R1a及びR1cは、各々、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様において、Z
は、-SR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。ある実施態様
において、Zは、-S(O)R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである
。ある実施態様において、Zは、-S(O)2R1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義され
ている通りである。ある実施態様において、Zは、-S(O)2NH2である。ある実施態様におい
て、Zは、-S(O)2NHR1aであり、ここで、R1aは、本明細書に定義されている通りである。
ある実施態様において、Zは、-S(O)2N(R1a)R1bであり、ここで、R1a及びR1bは、各々、本
明細書に定義されている通りである。
【0263】
ある実施態様において、Xは結合である。ある実施態様において、XはOである。ある実
施態様において、XはSである。ある実施態様において、XはNR1cであり、ここで、R1cは、
本明細書に定義されている通りである。
【0264】
ある実施態様において、nは1である。ある実施態様において、nは2である。ある実施態
様において、nは3である。ある実施態様において、nは4である。ある実施態様において、
nは5である。
【0265】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、AHRのアンタゴニストとして
の活性を示す。
【0266】
本明細書に提供される化合物は、エナンチオマー的に純粋なもの、例えば、単一のエナ
ンチオマーもしくは単一のジアステレオマーであってもよく、又は立体異性体の混合物、
例えば、エナンチオマーの混合物、例えば、2種のエナンチオマーのラセミ混合物;もしく
は2種以上のジアステレオマーの混合物であってもよい。したがって、当業者は、インビ
ボでエピマー化を受ける化合物について、その(R)型の化合物の投与が、その(S)型の化合
物の投与と等価であることを認識するであろう。個々のエナンチオマーの調製/単離のた
めの従来の技術としては、好適な光学的に純粋な前駆体からの合成、アキラルな出発材料
からの不斉合成、又は例えば、キラルクロマトグラフィー、再結晶化、分割、ジアステレ
オマー塩形成、もしくはジアステレオマー付加物への誘導体化と、その後の分離によるエ
ナンチオマー混合物の分割が挙げられる。
【0267】
(5.4. NK細胞の単離)
ナチュラルキラー細胞を単離する方法は当技術分野で公知であり、該方法を用いて、ナ
チュラルキラー細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞
を単離することができる。例えば、NK細胞は、細胞を、一実施態様において、CD56及びCD
3に対する抗体で染色し、CD56+CD3-細胞を選択することにより、単離又は濃縮することが
できる。NK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生される細胞は、市
販のキット、例えば、NK細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いて単離することができ
る。NK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生される細胞は、該NK細
胞、例えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生される細胞を含む細胞の集団内
のNK細胞以外の細胞の除去によって単離又は濃縮することもできる。例えば、NK細胞、例
えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生される細胞は、例えば、CD3、CD4、CD1
4、CD19、CD20、CD36、CD66b、CD123、HLA DR、及び/又はCD235a(グリコフォリンA)のう
ちの1つ又は複数に対する抗体を用いた非NK細胞マーカーを示す細胞の除去によって単離
又は濃縮することができる。陰性単離は、市販のキット、例えば、NK細胞陰性単離キット
(Dynal Biotech)を用いて実施することができる。これらの方法によって単離される細胞
をさらに選別して、例えば、CD16+細胞とCD16-細胞及び/又はCD94+とCD94-を分離するこ
とができる。
【0268】
細胞分離は、例えば、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別(FACS)、又は一実施
態様において、特異的抗体とコンジュゲートされたマイクロビーズを用いる磁気細胞選別
によって達成することができる。該細胞は、例えば、1以上の特異的抗体、例えば、抗CD5
6抗体を含む磁気ビーズ(例えば、約0.5~100μmの直径)に結合するその能力に基づいて粒
子を分離する方法である、磁気活性化細胞選別(MACS)技術を用いて単離することができる
。磁気細胞分離は、例えば、AUTOMACS(商標)セパレーター(Miltenyi)を用いて実施し、自
動化することができる。特定の細胞表面分子又はハプテンを特異的に認識する抗体の共有
結合的付加を含む、種々の有用な修飾を、磁気マイクロスフェア上で行うことができる。
その後、ビーズを該細胞と混合し、結合させておく。その後、細胞を磁場に通して、特定
の細胞表面マーカーを有する細胞を完全に分離する。一実施態様において、その後、これ
らの細胞を単離し、さらなる細胞表面マーカーに対する抗体と結合した磁気ビーズと再び
混合することができる。該細胞を再び磁場に通して、両方の抗体に結合した細胞を単離す
る。その後、そのような細胞を希釈して、別々のディッシュ、例えば、クローン単離用の
マイクロタイターディッシュに入れることができる。
【0269】
(5.5.胎盤灌流液)
NK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法に従って産生されるNK細胞集団は、任
意の供給源、例えば、胎盤組織、胎盤灌流液、臍帯血、胎盤血、末梢血、脾臓、肝臓など
に由来する造血細胞、例えば、造血幹又は前駆細胞から産生することができる。ある実施
態様において、該造血幹細胞は、胎盤灌流液由来及び該胎盤灌流液を生成させるために使
用される同じ胎盤に由来する臍帯血由来の組み合わされた造血幹細胞である。例えば、そ
の開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,045,148号及び第7,4
68,276号並びに米国特許出願公開第2009/0104164号に開示されている方法によって得るこ
とができる胎盤灌流液細胞を含む胎盤灌流液。
【0270】
(5.5.1.細胞回収組成物)
造血幹又は前駆細胞を単離し得るか、或いは例えば、NK細胞、例えば、本明細書に提供
される3段階法に従って産生されるNK細胞集団と組み合わせた、腫瘍抑制又は腫瘍細胞、
癌、もしくはウイルス感染を有する個体の治療において有用な胎盤灌流液及び灌流液細胞
は、胎盤細胞回収組成物を用いる、哺乳動物、例えば、ヒトの分娩後胎盤の灌流によって
回収することができる。灌流液は、任意の生理的に許容し得る溶液、例えば、生理食塩水
溶液、培養培地、又はより複雑な細胞回収組成物を用いる胎盤の灌流によって、胎盤から
回収することができる。胎盤の灌流に、並びに灌流液細胞の回収及び保存に好適な細胞回
収組成物は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる関連米国特許出願公開第2007/0
190042号に詳細に記載されている。
【0271】
細胞回収組成物は、幹細胞の回収及び/又は培養に好適な任意の生理的に許容し得る溶
液、例えば、生理食塩水溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、クレブス溶液、改変クレ
ブス溶液、イーグル溶液、0.9%NaClなど)、培養培地(例えば、DMEM、H.DMEMなど)などを
含むことができる。
【0272】
細胞回収組成物は、回収の時点から培養の時点まで、胎盤細胞を保存する、すなわち、
胎盤細胞の死を防止するか、又は胎盤細胞の死を遅延させるか、死滅する細胞の集団内の
胎盤細胞の数を低下させるなどの傾向がある1以上の成分を含むことができる。そのよう
な成分は、例えば、アポトーシス阻害剤(例えば、カスパーゼ阻害剤もしくはJNK阻害剤);
血管拡張剤(例えば、硫酸マグネシウム、抗高血圧薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド(AN
P)、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ニトロプルシドナトリ
ウム、ヒドララジン、アデノシン三リン酸、アデノシン、インドメタシン、もしくは硫酸
マグネシウム、ホスホジエステラーゼ阻害剤など);壊死阻害剤(例えば、2-(1H-インドー
ル-3-イル)-3-ペンチルアミノ-マレイミド、ピロリジンジチオカルバメート、もしくはク
ロナゼパム); TNF-α阻害剤;及び/又は酸素担持ペルフルオロカーボン(例えば、臭化ペル
フルオロオクチル、臭化ペルフルオロデシルなど)であることができる。
【0273】
細胞回収組成物は、1以上の組織分解酵素、例えば、メタロプロテアーゼ、セリンプロ
テアーゼ、中性プロテアーゼ、ヒアルロニダーゼ、RNアーゼ、又はDNアーゼなどを含むこ
とができる。そのような酵素としては、コラゲナーゼ(例えば、コラゲナーゼI、II、III
、又はIV、クロストリジウム・ヒストリチカム(Clostridium histolyticum)に由来するコ
ラゲナーゼなど);ディスパーゼ、サーモリシン、エラスターゼ、トリプシン、LIBERASE、
ヒアルロニダーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0274】
細胞回収組成物は、殺菌又は静菌有効量の抗生物質を含むことができる。ある非制限的
な実施態様において、抗生物質は、マクロライド(例えば、トブラマイシン)、セファロス
ポリン(例えば、セファレキシン、セフラジン、セフロキシム、セフプロジル、セファク
ロル、セフィキシム、もしくはセファドロキシル)、クラリスロマイシン、エリスロマイ
シン、ペニシリン(例えば、ペニシリンV)、又はキノロン(例えば、オフロキサシン、シプ
ロフロキサシン、もしくはノルフロキサシン)、テトラサイクリン、ストレプトマイシン
などである。特定の実施態様において、抗生物質は、グラム(+)及び/又はグラム(-)細菌
、例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
などに対して活性がある。
【0275】
細胞回収組成物は、以下の化合物:アデノシン(約1mM~約50mM); D-グルコース(約20mM
~約100mM);マグネシウムイオン(約1mM~約50mM);一実施態様において、内皮の完全性及
び細胞の生存能力を維持するのに十分な量で存在する、分子量20,000ダルトン超の巨大分
子(例えば、約25g/l~約100g/l、もしくは約40g/l~約60g/lで存在する、合成もしくは天
然のコロイド、デキストランなどの多糖類、もしくはポリエチレングリコール);酸化防止
剤(例えば、約25μM~約100μMで存在するブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒド
ロキシトルエン、グルタチオン、ビタミンC、もしくはビタミンE);還元剤(例えば、約0.1
mM~約5mMで存在するN-アセチルシステイン);細胞内へのカルシウム進入を防止する薬剤(
例えば、約2μM~約25μMで存在するベラパミル);ニトログリセリン(例えば、約0.05g/L
~約0.2g/L);一実施態様において、残留血液の凝固の防止を助けるのに十分な量で存在す
る抗凝血剤(例えば、約1000ユニット/l~約100,000ユニット/lの濃度で存在するヘパリン
もしくはヒルジン);又はアミロライド含有化合物(例えば、約1.0μM~約5μMで存在する
アミロライド、エチルイソプロピルアミロライド、ヘキサメチレンアミロライド、ジメチ
ルアミロライド、もしくはイソブチルアミロライド)のうち1つ又は複数を含むこともでき
る。
【0276】
(5.5.2.胎盤の回収及び取扱い)
通常、ヒトの胎盤を、出産後のその娩出後すぐに回収する。一実施態様において、イン
フォームドコンセント後、及び患者の全病歴を取得して、該胎盤と関連付けた後、胎盤を
患者から回収する。一実施態様において、この病歴は分娩後も続く。
【0277】
灌流液の回収前に、臍帯血及び胎盤血を除去する。ある実施態様において、分娩後、胎
盤内の臍帯血を回収する。胎盤は、従来の臍帯血の回収プロセスに供することができる。
通常、針又はカニューレを用い、重力の助けを借りて、胎盤を放血させる(例えば、Ander
sonの米国特許第5,372,581号: Hesselらの米国特許第5,415,665号を参照されたい)。針又
はカニューレを、通常、臍帯静脈内に留置し、胎盤を穏やかにマッサージして、胎盤から
の臍帯血の排出を助けることができる。そのような臍帯血の回収は、商業的に、例えば、
LifeBank Inc.、Cedar Knolls, N.J.、ViaCord、Cord Blood Registry、及びCryoCellに
より行われてもよい。一実施態様において、臍帯血回収時の組織破壊を最小限に抑えるた
めに、胎盤を重力排出させ、それ以上は操作しない。
【0278】
通常、臍帯血の回収及び灌流液の回収のために、胎盤を、分娩室又は出産室から別の場
所、例えば、実験室まで輸送する。例えば、胎盤を、近位臍帯をクランプしたまま、滅菌
されたジップロック式プラスチックバッグの中に入れ、その後、このプラスチックバッグ
を断熱容器内に入れることにより、胎盤を(胎盤の温度を20~28℃に維持する)滅菌された
断熱輸送装置に入れて輸送することができる。別の実施態様において、米国特許第7,147,
626号に概ね記載されているように、胎盤を臍帯血回収キットに入れて輸送する。一実施
態様において、胎盤を、分娩から4~24時間後に、実験室に移送する。ある実施態様にお
いて、臍帯血の回収前に、近位臍帯を、例えば、胎盤への挿入部から4~5cm(センチメー
トル)以内のところでクランプする。他の実施態様において、臍帯血の回収後であるが、
それ以上の胎盤の処理前に、近位臍帯をクランプする。
【0279】
胎盤を、灌流液の回収前に、滅菌条件下かつ室温又は5~25℃の温度(摂氏)のどちらか
で保存することができる。胎盤を灌流して残留臍帯血を除去する前に、胎盤を、48時間よ
りも長い時間、又は4~24時間、保存してもよい。胎盤は、5~25℃の温度(摂氏)で、抗凝
血剤溶液に入れて保存することができる。好適な抗凝血剤溶液は当技術分野で周知である
。例えば、ヘパリン又はワルファリンナトリウム溶液を用いることができる。一実施態様
において、抗凝血剤溶液は、ヘパリン溶液(例えば、1:1000溶液中に1%w/w)を含む。いく
つかの実施態様において、放血された胎盤は、胎盤灌流液を回収する前に、36時間を超え
ない時間、保存される。
【0280】
(5.5.3.胎盤灌流)
哺乳動物の胎盤を灌流する方法及び胎盤灌流液を得る方法は、例えば、その開示が引用
により完全に本明細書中に組み込まれる、Haririの米国特許第7,045,148号及び第7,255,8
79号、並びに米国特許第8,057,788号として発行されている、米国特許出願公開第2009/01
04164号、第2007/0190042号、及び第20070275362号に開示されている
【0281】
灌流液を、灌流溶液、例えば、生理食塩水溶液、培養培地、又は上記の細胞回収組成物
を、胎盤血管系に通すことによって得ることができる。一実施態様において、哺乳動物の
胎盤を、灌流溶液を臍帯動脈と臍帯静脈のどちらか又は両方に通すことによって灌流する
。胎盤を通る灌流溶液の流れを、例えば、胎盤の中への重力流を用いて達成することがで
きる。例えば、灌流溶液を、ポンプ、例えば、蠕動ポンプを用いて、胎盤に強制的に通す
。臍帯静脈に、例えば、滅菌チューブなどの滅菌された接続装置に接続されている、カニ
ューレ、例えば、TEFLON(登録商標)又はプラスチックカニューレを挿入することができる
。この滅菌された接続装置は、灌流マニフォールドに接続されている。
【0282】
灌流に備えて、臍帯動脈及び臍帯静脈が胎盤の最も高い地点に位置するような形で、胎
盤を配置することができる。灌流溶液を胎盤血管系に通すか、又は胎盤血管系及び周辺組
織に通すことによって、胎盤を灌流することができる。一実施態様において、臍帯動脈及
び臍帯静脈を、可撓性コネクタを介して灌流溶液のリザーバに接続されているピペットに
同時に接続する。灌流溶液を臍帯静脈及び臍帯動脈に通す。灌流溶液は、血管壁から滲出
し、及び/又は血管壁を通って胎盤の周辺組織に入り、妊娠中に母体の子宮に付着してい
た胎盤表面から好適な開放容器に回収される。灌流溶液を、臍帯開口部を介して導入し、
母体子宮壁と接触していた胎盤壁の開口部から流出又は浸出させることもできる。別の実
施態様において、灌流溶液を、臍帯静脈に通し、臍帯動脈から回収するか、又は臍帯動脈
に通し、臍帯静脈から回収する、すなわち、胎盤血管系(胎児組織)のみに通す。
【0283】
一実施態様において、例えば、臍帯動脈及び臍帯静脈を、例えば、可撓性コネクタを介
して灌流溶液のリザーバに接続されているピペットに同時に接続する。灌流溶液を臍帯静
脈及び臍帯動脈に通す。灌流溶液は、血管壁から滲出し、及び/又は血管壁を通って胎盤
の周辺組織に入り、妊娠中に母体の子宮に付着していた胎盤表面から好適な開放容器に回
収される。灌流溶液を、臍帯開口部を介して導入し、母体子宮壁と接触していた胎盤壁の
開口部から流出又は浸出させることもできる。「受け皿(pan)」法と呼ぶことができるこ
の方法によって回収される胎盤細胞は、通常、胎児細胞と母親細胞の混合物である。
【0284】
別の実施態様において、灌流溶液を臍帯静脈に通し、臍帯動脈から回収するか、又は臍
帯動脈に通し、臍帯静脈から回収する。「閉回路」法と呼ぶことができるこの方法によっ
て回収される胎盤細胞は、通常、ほとんど胎児のものしかない。
【0285】
閉回路灌流法を、一実施態様において、次のように実施することができる。分娩後胎盤
を、出産後、約48時間以内に得る。臍帯をクランプし、クランプの上方で切断する。臍帯
は、廃棄することができるか、又は例えば、臍帯幹細胞を回収するために、及び/もしく
は生体材料の産生用に臍帯膜を処理するために、処理することができる。羊膜を灌流中保
持することができるか、又は例えば、指を用いる鈍的剥離を用いて、絨毛膜から分離する
ことができる。羊膜を灌流前に絨毛膜から分離する場合、それを、例えば、廃棄するか、
又は例えば、酵素的消化によって幹細胞を得るために、もしくは例えば、羊膜生体材料、
例えば、米国特許出願公開第2004/0048796号に記載されている生体材料を産生するために
、処理することができる。例えば、滅菌ガーゼを用いて、全ての目に見える血の塊及び残
留血液を胎盤から除去した後、例えば、臍帯膜を一部切断して、臍帯の断面を露出させる
ことにより、臍帯血管を露出させる。血管を確認し、それを、例えば、閉じたアリゲータ
ークランプを各々の血管の切断端に通して前進させることによって広げる。その後、装置
、例えば、灌流装置又は蠕動ポンプに接続されたプラスチックチューブを胎盤動脈の各々
に挿入する。ポンプは、この目的に好適な任意のポンプ、例えば、蠕動ポンプであること
ができる。その後、滅菌された回収リザーバ、例えば、250mL回収バッグなどの血液バッ
グに接続されたプラスチックチューブを胎盤静脈に挿入する。或いは、ポンプに接続され
たチューブを胎盤静脈に挿入し、回収リザーバ(複数可)に接続されたチューブを胎盤動脈
の一方又は両方に挿入する。その後、胎盤を、一定の容積の灌流溶液、例えば、約750ml
の灌流溶液で灌流する。その後、灌流液中の細胞を、例えば、遠心分離によって回収する
【0286】
一実施態様において、灌流中、近位臍帯をクランプし、より具体的には、胎盤への臍帯
挿入部から4~5cm(センチメートル)以内のところで、近位臍帯をクランプすることができ
る。
【0287】
放血プロセスの間の哺乳動物の胎盤からの灌流液の最初の回収物は、通常、臍帯血及び
/又は胎盤血の残留赤血球のために色が付いている。該灌流液は、灌流が進み、残留臍帯
血細胞が胎盤から洗い流されるにつれて、より無色になっていく。通常、最初に胎盤から
血液を洗い流すためには、30~100mLの灌流液で十分であるが、観察された結果次第で、
より多くの又はより少ない灌流液を用いることができる。
【0288】
ある実施態様において、臍帯血を胎盤から除去した後、(例えば、重力排出によって)灌
流するが、胎盤を、残留血液を除去するための溶液で洗い流さない(例えば、灌流しない)
。ある実施態様において、臍帯血を胎盤から除去した後、(例えば、重力排出によって)灌
流し、胎盤を残留血液を除去するための溶液で洗い流す(例えば、灌流する)。
【0289】
胎盤を灌流するために使用される灌流液の容積は、回収しようとする胎盤細胞の数、胎
盤の大きさ、単一の胎盤から行われる回収の回数などによって異なり得る。様々な実施態
様において、灌流液の容積は、50mL~5000mL、50mL~4000mL、50mL~3000mL、100mL~200
0mL、250mL~2000mL、500mL~2000mL、又は750mL~2000mLであることができる。通常、放
血後、胎盤を700~800mLの灌流液で灌流する。
【0290】
胎盤を、数時間又は数日間かけて、複数回灌流することができる。胎盤を複数回灌流し
ようとする場合、それを、容器(container)又は他の好適な容器(vessel)中、無菌条件下
で維持又は培養し、細胞回収組成物、或いは標準的な灌流溶液(例えば、抗凝血剤(例えば
、ヘパリン、ワルファリンナトリウム、クマリン、ビスヒドロキシクマリン)を含むかも
しくは含まない、及び/又は抗微生物剤(例えば、β-メルカプトエタノール(0.1mM):スト
レプトマイシン(例えば、40~100μg/ml)、ペニシリン(例えば、40U/ml)、アンフォテリ
シンB(例えば、0.5μg/ml)などの抗生物質を含むかもしくは含まない標準生理食塩水溶液
、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」))で灌流することができる。一実施態様におい
て、単離された胎盤を、灌流及び灌流液の回収前に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24時間、又は2もしくは
3日間、又はそれより長い間、維持又は培養するように、該胎盤を、灌流液を回収しない
で、しばらくの間、維持又は培養する。灌流された胎盤を、さらにもう1回以上、例えば
、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22
、23、24時間、又はそれより長い時間、維持し、例えば、700~800mLの灌流液で再び灌流
することができる。胎盤を、1、2、3、4、5回、又はそれより多く、例えば、1、2、3、4
、5、又は6時間に1回、灌流することができる。一実施態様において、回収された有核細
胞の数が100細胞/mlを下回るまで、胎盤の灌流、及び灌流溶液、例えば、胎盤細胞回収組
成物の回収を繰り返す。異なる時点の灌流液をさらに個別に処理して、細胞、例えば、全
有核細胞の時間依存的な集団を回収することができる。異なる時点からの灌流液をプール
することもできる。
【0291】
(5.5.4.胎盤灌流液及び胎盤灌流液細胞)
通常、単回の胎盤灌流由来の胎盤灌流液は、約1億~約5億個の有核細胞を含み、これに
は、NK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法に従って産生されるNK細胞を本明細
書に開示される方法によって産生し得る造血細胞が含まれる。ある実施態様において、該
胎盤灌流液又は灌流液細胞は、CD34+細胞、例えば、造血幹細胞又は前駆細胞を含む。そ
のような細胞は、より具体的な実施態様において、CD34+CD45-幹細胞もしくは前駆細胞、
CD34+CD45+幹細胞もしくは前駆細胞、又は同様の細胞を含むことができる。ある実施態様
において、該灌流液又は灌流液細胞は、それから造血細胞を単離する前に凍結保存される
。ある他の実施態様において、該胎盤灌流液は、胎児細胞のみ、もしくは胎児細胞と母親
細胞の組合せを含むか、又は該灌流液細胞は、胎児細胞のみ、もしくは胎児細胞と母親細
胞の組合せを含む。
【0292】
(5.6.NK細胞)
(5.6.1. 3段階法によって産生されるNK細胞)
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、単離されたNK細胞集団であり、こ
こで、該NK細胞は、先に記載される3段階法に従って産生される。
【0293】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される3段階法によ
って産生される単離されたNK細胞集団であり、ここで、該NK細胞集団は、本明細書に記載
される3段階法によって産生されるNK前駆細胞集団、例えば、該NK前駆細胞集団を産生す
るために使用される第3の培養工程が、該NK細胞集団を産生するために使用される第3の培
養工程よりも持続期間が短いことを除いては同じ3段階法によって産生されるNK前駆細胞
集団よりも大きいパーセンテージのCD3-CD56+細胞を含む。具体的な実施態様において、
該NK細胞集団は、約70%又はそれよりも多く、いくつかの実施態様においては、75%、80
%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%のCD3-CD56+細胞を含む。別の具体的な実施
態様において、該NK細胞集団は、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%以上のCD3-CD
56+細胞を含む。別の具体的な実施態様において、該NK細胞集団は、70%~75%、75%~8
0%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、又は95%~99%のCD3-CD56+細胞を含む。
【0294】
ある実施態様において、該NK細胞集団内の該CD3-CD56+細胞は、さらにNKp46+であるCD3
-CD56+細胞を含む。ある実施態様において、該NK細胞集団内の該CD3-CD56+細胞は、さら
にCD16-であるCD3-CD56+細胞を含む。ある実施態様において、該NK細胞集団内の該CD3-CD
56+細胞は、さらにCD16+であるCD3-CD56+細胞を含む。ある実施態様において、該NK細胞
集団内の該CD3-CD56+細胞は、さらにCD94-であるCD3-CD56+細胞を含む。ある実施態様に
おいて、該NK細胞集団内の該CD3-CD56+細胞は、さらにCD94+であるCD3-CD56+細胞を含む
【0295】
一実施態様において、本明細書に記載される3段階法によって産生されるNK細胞集団は
、CD117+である細胞を含む。一実施態様において、本明細書に記載される3段階法によっ
て産生されるNK細胞集団は、NKG2D+である細胞を含む。一実施態様において、本明細書に
記載される3段階法によって産生されるNK細胞集団は、NKp44+である細胞を含む。一実施
態様において、本明細書に記載される3段階法によって産生されるNK細胞集団は、CD244+
である細胞を含む。
【0296】
(5.7.胎盤灌流液と組み合わせたNK細胞)
さらに本明細書に提供されるのは、例えば、腫瘍細胞又は複数の腫瘍細胞の増殖を抑制
する際に使用するための、胎盤灌流液、胎盤灌流液細胞、及び/又は接着性胎盤細胞と組
み合わせた、本明細書に記載される3段階法によるNK細胞を含む組成物である。
【0297】
(5.7.1. NK細胞と灌流液又は灌流液細胞の組合せ)
さらに本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される3段階法に従って産生されるN
K細胞集団と胎盤灌流液及び/又は胎盤灌流液細胞の組合せを含む組成物である。一実施態
様において、例えば、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される方法を用いて産
生されるNK細胞が補充された一定の容積の胎盤灌流液である。具体的な実施態様において
、例えば、胎盤灌流液の各ミリリットルに、約1×104、5×104、1×105、5×105、1×106
、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108個、又はそれより多くの本明細書に記載され
る方法を用いて産生されるNK細胞を補充する。別の実施態様において、胎盤灌流液細胞に
、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞を補充する。ある他の実施態様に
おいて、胎盤灌流液細胞を、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と組み
合わせる場合、該胎盤灌流液細胞は、通常、細胞の総数の約50%、45%、40%、35%、30
%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%、もしくは1%、約50%、45%、40%
、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%、もしくは1%超、又は約5
0%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%、もしく
は1%未満を含む。ある他の実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生
されるNK細胞を複数の胎盤灌流液細胞及び/又は組み合わされたナチュラルキラー細胞と
組み合わせる場合、該NK細胞又はNK細胞集団は、通常、細胞の総数の約50%、45%、40%
、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%、もしくは1%、約50%、4
5%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%、もしくは1%超
、又は約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%
、もしくは1%未満を含む。ある他の実施態様において、本明細書に記載される方法を用
いて産生されるNK細胞を用いて胎盤灌流液を補充する場合、細胞を懸濁させる溶液(例え
ば、生理食塩水溶液又は培養培地など)の容積は、灌流液+細胞の全容積の約50%、45%
、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%、もしくは1%、約5
0%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4%、2%、もしく
は1%超、又は約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、8%、6%、4
%、2%、もしくは1%未満を含み、その場合、該NK細胞を、補充前に、1ミリリットル当
たり約1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5
×108個、又はそれより多くの細胞になるように懸濁させる。
【0298】
他の実施態様において、細胞の上記の組合せのいずれかをさらに、臍帯血又は臍帯血由
来の有核細胞と組み合わせる。
【0299】
さらに本明細書に提供されるのは、2以上の供給源、例えば、2以上の胎盤から得られ、
混合された、例えば、プールされた、プール胎盤灌流液である。そのようなプール灌流液
は、各々の供給源に由来するほぼ等容積の灌流液を含むことができるか、又は各々の供給
源に由来する異なる容積を含むことができる。各々の供給源に由来する相対的な容積は、
無作為に選択することができるか、或いは例えば、1以上の細胞因子、例えば、サイトカ
イン、成長因子、ホルモンなどの濃度もしくは量;各々の供給源に由来する灌流液中の胎
盤細胞の数;又は各々の供給源に由来する灌流液の他の特徴に基づくことができる。同じ
胎盤の複数回の灌流に由来する灌流液を同様にプールすることができる。
【0300】
同様に、本明細書に提供されるのは、2以上の供給源、例えば、2以上の胎盤から得られ
、プールされた胎盤灌流液細胞及び胎盤由来中間ナチュラルキラー細胞である。そのよう
なプール細胞は、2以上の供給源に由来するほぼ同等数の細胞を含むことができるか、又
はプール供給源のうちの1つ又は複数に由来する異なる数の細胞を含むことができる。各
々の供給源に由来する細胞の相対的な数は、例えば、プールされるべき細胞における1以
上の特定細胞型の数、例えば、CD34+細胞の数などに基づいて選択することができる。
【0301】
さらに本明細書に提供されるのは、例えば、所与の数のNK細胞もしくはNK細胞集団、又
は所与の容積の灌流液から期待される腫瘍抑制の程度又は量(すなわち、効力)を決定する
ためにアッセイされた、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、並びにそ
のような細胞と胎盤灌流液及び/又は胎盤灌流液細胞との組合せである。例えば、一定の
分量又はサンプル数の細胞を、そうでなければ腫瘍細胞が増殖するであろう条件下で既知
の数の腫瘍細胞と接触又は近接させ、胎盤灌流液、灌流液細胞、胎盤ナチュラルキラー細
胞、又はこれらの組合せの存在下における経時的な(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9
、もしくは10週、又はそれより長い間の)腫瘍細胞の増殖速度を、灌流液、灌流液細胞、
胎盤ナチュラルキラー細胞、又はこれらの組合せの非存在下における同等数の腫瘍細胞の
増殖と比較する。該細胞の効力は、例えば、腫瘍細胞成長を、例えば、約10%、15%、20
%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又は同様の程度を抑制するために必要とされ
る細胞の数又は溶液の容積として表すことができる。
【0302】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞は、医薬
品等級の投与可能なユニットとして提供される。そのようなユニットは、例えば、15mL、
20mL、25mL、30nL. 35mL、40mL、45mL、50mL、55mL、60mL、65mL、70mL、75mL、80mL、85
mL、90mL、95mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、350mL、400mL、450mL、500mLな
どの個別の容積で提供することができる。そのようなユニットは、他のNK細胞又は灌流液
細胞と組み合わせた、指定された数の細胞、例えば、NK細胞又はNK細胞集団、例えば、1
ミリリットル当たり1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107
、1×108、5×108個、もしくはそれより多くの細胞、又は1ユニット当たり1×104、5×10
4、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×10
9、1×1010、5×1010、1×1011個、もしくはそれより多くの細胞を含むように提供するこ
とができる。具体的な実施態様において、該ユニットは、1ミリリットル当たり約、少な
くとも約、もしくは多くとも約1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106個、も
しくはそれより多くのNK細胞、又は1ユニット当たり約、少なくとも約、もしくは多くと
も約1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×1
08、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011個、もしくはそれより多くの細胞を含
むことができる。そのようなユニットは、指定された数のNK細胞もしくはNK細胞集団、及
び/又は他の細胞のうちのいずれかを含むように提供することができる。
【0303】
上記の実施態様において、NK細胞もしくはNK細胞集団、又はNK細胞もしくはNK細胞集団
と他のNK細胞、灌流液細胞、もしくは灌流液との組合せは、レシピエントにとって自己の
もの(すなわち、該レシピエントから得られたもの)であることができるか、又はレシピエ
ントにとって同種異系(すなわち、少なくとも1の該レシピエント以外の他の個体から得ら
れたもの)であることができる。
【0304】
ある実施態様において、各々のユニットの細胞に表示を付けて、1又は複数の容積、細
胞の数、細胞のタイプ、該ユニットが特定のタイプの細胞について濃縮されているかどう
か、及び/又は該ユニット中の所与の細胞数、もしくは該ユニットの所与のミリリットル
数の効力、すなわち、該ユニット中の細胞が、特定のタイプ(単数もしくは複数)の腫瘍細
胞の増殖の測定可能な抑制を引き起こすかどうかを明記する。
【0305】
(5.7.2. NK細胞と接着性胎盤幹細胞との組合せ)
他の実施態様において、単独の又は胎盤灌流液もしくは胎盤灌流液細胞と組み合わせた
、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、例えば、本明細書に記載される
3段階法を用いて産生されるNK細胞集団に、例えば、その開示が引用により完全に本明細
書中に組み込まれる、Haririの米国特許第7,045,148号及び第7,255,879号、並びに米国特
許出願公開第2007/0275362号に記載されている、単離された接着性胎盤細胞、例えば、胎
盤幹細胞及び胎盤寡能性細胞を補充する。「接着性胎盤細胞」とは、該細胞が、組織培養
物表面、例えば、組織培養プラスチックに接着することを意味する。本明細書に開示され
る組成物及び方法において有用な接着性胎盤細胞は、栄養芽細胞でも、胚性生殖細胞でも
、胚性幹細胞でもない。
【0306】
単独の又は胎盤灌流液もしくは胎盤灌流液細胞と組み合わせた、本明細書に記載される
方法を用いて産生されるNK細胞、例えば、NK細胞集団に、例えば、1ミリリットル当たり1
×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108
、もしくはそれより多くの接着性胎盤細胞、又は1×104、5×104、1×105、5×105、1×1
06、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1
×1011個、もしくはそれより多くの接着性胎盤細胞を補充することができる。該組合せ中
の接着性胎盤細胞は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、2
2、24、26、28、30、32、34、36、38、もしくは40回の集団倍加の間、又はそれより長い
間、培養された、例えば、接着性胎盤細胞であることができる。
【0307】
単離された接着性胎盤細胞は、初代培養で培養するか又は細胞培養で増殖したとき、組
織培養基材、例えば、組織培養容器表面(例えば、組織培養プラスチック)に接着する。培
養下の接着性胎盤細胞は、通常、線維芽細胞のような星状の外観をしており、いくつかの
細胞質突起が中央の細胞体から伸びている。しかしながら、接着性胎盤細胞は、線維芽細
胞が示すよりも多くのそのような突起を示すので、接着性胎盤細胞は、同じ条件下で培養
された線維芽細胞と形態的に区別することができる。形態的には、接着性胎盤細胞は、造
血幹細胞からも区別することができ、造血幹細胞は、通常、培養下では、より丸みを帯び
た、又は敷石状の形態をとる。
【0308】
本明細書に提供される組成物及び方法において有用な、単離された接着性胎盤細胞、及
び接着性胎盤細胞の集団は、該接着性胎盤細胞を含む細胞、又は該接着性胎盤細胞を含む
細胞の集団を同定及び/又は単離するために使用することができる複数のマーカーを発現
する。本明細書に提供される組成物及び方法において有用な、接着性胎盤細胞、及び接着
性胎盤細胞集団には、胎盤、又は任意のその部分(例えば、羊膜、絨毛膜、羊膜-絨毛膜板
、胎盤葉、臍帯など)から直接的に得られる接着性胎盤細胞及び接着性胎盤細胞含有細胞
集団が含まれる。接着性胎盤幹細胞集団は、一実施態様において、培養下の接着性胎盤幹
細胞の集団(すなわち、2個以上の接着性胎盤幹細胞)、例えば、容器、例えば、バッグの
中の集団である。
【0309】
接着性胎盤細胞は、通常、マーカーCD73、CD105、及びCD200、並びに/又はOCT-4を発現
し、かつCD34も、CD38も、CD45も発現しない。接着性胎盤幹細胞は、HLA-ABC(MHC-1)及び
HLA-DRを発現することもできる。これらのマーカーを用いて、接着性胎盤細胞を同定し、
かつ該接着性胎盤細胞を他の細胞型と区別することができる。接着性胎盤細胞は、CD73及
びCD105を発現することができるので、それらは、間葉系幹細胞様の特徴を有することが
できる。CD34、CD38、及び/又はCD45の発現の欠如により、接着性胎盤幹細胞は非造血幹
細胞とみなされる。
【0310】
ある実施態様において、本明細書に記載される単離された接着性胎盤細胞は、癌細胞増
殖又は腫瘍成長を検出可能な程度に抑制する。
【0311】
ある実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、単離された胎盤幹細胞である。
ある他の実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、単離された胎盤寡能性細胞で
ある。具体的な実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、フローサイトメトリー
によって検出したとき、CD34-、CD10+、及びCD105+である。より具体的な実施態様におい
て、該単離されたCD34-、CD10+、CD105+接着性胎盤細胞は、胎盤幹細胞である。別のより
具体的な実施態様において、該単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞は、寡能性接着
性胎盤細胞である。別の具体的な実施態様において、該単離されたCD34-、CD10+、CD105+
胎盤細胞は、神経表現型の細胞、骨形成表現型の細胞、又は軟骨形成表現型の細胞に分化
する潜在能力を有する。より具体的な実施態様において、該単離されたCD34-、CD10+、CD
105+接着性胎盤細胞はさらに、CD200+である。別のより具体的な実施態様において、該単
離されたCD34-、CD10+、CD105+接着性胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって
検出したとき、CD90+又はCD45-である。別のより具体的な実施態様において、該単離され
たCD34-、CD10+、CD105+接着性胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出し
たとき、CD90+又はCD45-である。より具体的な実施態様において、該CD34-、CD10+、CD10
5+、CD200+接着性胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出したとき、CD90
+又はCD45-である。別のより具体的な実施態様において、該CD34-、CD10+、CD105+、CD20
0+接着性胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出したとき、CD90+及びCD4
5-である。別のより具体的な実施態様において、該CD34-、CD10+、CD105+、CD200+、CD90
+、CD45-接着性胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出したとき、CD80-
及びCD86-である。
【0312】
一実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、CD200+、HLA-G+である。具体的な
実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD73+及びCD105+である。別の
具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD34-、CD38-、又はCD
45-である。より具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD34-
、CD38-、CD45-、CD73+、及びCD105+である。別の実施態様において、該単離された接着
性胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養したときに、1以上の胚様体
様体を産生する。
【0313】
別の実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、CD73+、CD105+、CD200+である
。該集団の具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、HLA-G+であ
る。別の具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD34-、CD38-
、又はCD45-である。別の具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はま
た、CD34-、CD38-、及びCD45-である。より具体的な実施態様において、該単離された接
着性胎盤細胞はまた、CD34-、CD38-、CD45-、及びHLA-G+である。別の具体的な実施態様
において、該単離された接着性胎盤細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養
したときに、1以上の胚様体様体を産生する。
【0314】
別の実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、CD200+、OCT-4+である。具体的
な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD73+及びCD105+である。別
の具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、HLA-G+である。別の
具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD34-、CD38-、及びCD
45-である。より具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD34-
、CD38-、CD45-、CD73+、CD105+、及びHLA-G+である。別の具体的な実施態様において、
該単離された接着性胎盤細胞はまた、胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養したと
きに、1以上の胚様体様体を産生する。
【0315】
別の実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、CD73+、CD105+、及びHLA-G+
ある。具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD34-、CD38-
又はCD45-である。別の具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた
、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的な実施態様において、該接着性幹細胞は
また、OCT-4+である。別の具体的な実施態様において、該接着性幹細胞はまた、CD200+
ある。より具体的な実施態様において、該接着性幹細胞はまた、CD34-、CD38-、CD45-、O
CT-4+、及びCD200+である。
【0316】
別の実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、CD73+、CD105+幹細胞であり、
ここで、該細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で1以上の胚様体様体を産生す
る。具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD34-、CD38-、又
はCD45-である。別の具体的な実施態様において、単離された接着性胎盤細胞はまた、CD3
4-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的な実施態様において、単離された接着性胎盤細
胞はまた、OCT-4+である。より具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞
はまた、OCT-4+、CD34-、CD38-、及びCD45-である。
【0317】
別の実施態様において、接着性胎盤幹細胞は、OCT-4+幹細胞であり、ここで、該接着性
胎盤幹細胞は、胚様体様体の形成を可能にする条件下で1以上の胚様体様体を産生し、か
つ該幹細胞は、癌細胞増殖又は腫瘍成長を検出可能な程度に抑制するとみなされている。
【0318】
様々な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞の少なくとも10%、少なくとも
20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも
70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は、OCT-4+である。上記の
集団の具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD73+及びCD105
+である。別の具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD34-
CD38-、又はCD45-である。別の具体的な実施態様において、該幹細胞はCD200+である。よ
り具体的な実施態様において、該単離された接着性胎盤細胞はまた、CD73+、CD105+、CD2
00+、CD34-、CD38-、及びCD45-である。別の具体的な実施態様において、該単離された接
着性胎盤細胞は、増殖させられたもの、例えば、少なくとも1回、少なくとも3回、少なく
とも5回、少なくとも10回、少なくとも15回、又は少なくとも20回継代されたものである
【0319】
上記の実施態様のいずれかのより具体的な実施態様において、単離された接着性胎盤細
胞は、ABC-p(胎盤特異的ABC輸送体タンパク質;例えば、Allikmetsらの文献、Cancer Res.
58(23):5337-9(1998)参照)を発現する。
【0320】
別の実施態様において、単離された接着性胎盤細胞は、CD29+、CD44+、CD73+、CD90+
CD105+、CD200+、CD34-、及びCD133-である。別の実施態様において、単離された接着性
胎盤細胞は、IL-6、IL-8、及び単球走化性タンパク質(MCP-1)を構成的に分泌する。
【0321】
上で参照されている単離された接着性胎盤細胞の各々は、哺乳動物胎盤から直接得られ
、単離された細胞、又は培養され、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14
、16、18、20、25、30回、もしくはそれより多くの回数、継代された細胞、又はこれらの
組合せを含むことができる。腫瘍細胞抑制性の複数の上記の単離された接着性胎盤細胞は
、約、少なくとも、又は高々1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108
、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011個、又はそれより多くの単離さ
れた接着性胎盤細胞を含むことができる。
【0322】
(5.7.3.接着性胎盤細胞馴化培地を含む組成物)
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞
、例えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団、及びさらに馴
化培地を含む組成物の使用であり、ここで、該組成物は、腫瘍抑制性であるか、又は癌も
しくはウイルス感染の治療において効果がある。本明細書に記載される接着性胎盤細胞を
用いて、腫瘍細胞抑制性、抗癌性、又は抗ウイルス性である馴化培地、すなわち、検出可
能な腫瘍細胞抑制効果、抗癌効果、又は抗ウイルス効果を有する細胞によって分泌又は排
出される1以上の生体分子を含む培地を産生することができる。様々な実施態様において
、馴化培地は、該細胞が、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
日、又はそれより長い間、その中で増殖した(すなわち、培養された)培地を含む。他の実
施態様において、馴化培地は、そのような細胞が、少なくとも30%、40%、50%、60%、
70%、80%、90%コンフルエンス、又は100%コンフルエンスにまでその中で成長した培
地を含む。そのような馴化培地を用いて、細胞、例えば、胎盤細胞、又は別の種類の細胞
の別々の集団の培養を支援することができる。別の実施態様において、本明細書に提供さ
れる馴化培地は、単離された接着性胎盤細胞、例えば、単離された接着性胎盤幹細胞又は
単離された接着性胎盤寡能性細胞、及び単離された接着性胎盤細胞以外の細胞、例えば、
非胎盤幹細胞又は寡能性細胞がその中で培養された培地を含む。
【0323】
そのような馴化培地を、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、胎盤灌
流液、もしくは胎盤灌流液細胞のいずれか、又はこれらの任意の組合せと組み合わせて、
腫瘍細胞抑制性、抗癌性、又は抗ウイルス性である組成物を形成させることができる。あ
る実施態様において、該組成物は、容積で半分未満の、例えば、容積で約50%、45%、40
%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%、又は約5
0%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、もしく
は1%未満の馴化培地を含む。
【0324】
したがって、一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される
方法を用いて産生されるNK細胞と、単離された接着性胎盤細胞の培養物由来の培養培地と
を含む組成物であり、ここで、該単離された接着性胎盤細胞は、(a)基材に接着し;かつ(b
)CD34-、CD10+、及びCD105+であり;該組成物は腫瘍細胞の成長もしくは増殖を検出可能な
程度に抑制するか、又は抗癌性もしくは抗ウイルス性である。具体的な実施態様において
、単離された接着性胎盤細胞は、フローサイトメトリーによって検出したとき、CD34-、C
D10+、及びCD105+である。より具体的な実施態様において、該単離されたCD34-、CD10+
CD105+接着性胎盤細胞は、胎盤幹細胞である。別のより具体的な実施態様において、該単
離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞は、寡能性接着性胎盤細胞である。別の具体的な
実施態様において、該単離されたCD34-、CD10+、CD105+胎盤細胞は、神経表現型の細胞、
骨形成表現型の細胞、又は軟骨形成表現型の細胞に分化する潜在能力を有する。より具体
的な実施態様において、該単離されたCD34-、CD10+、CD105+接着性胎盤細胞はさらに、CD
200+である。別のより具体的な実施態様において、該単離されたCD34-、CD10+、CD105+
着性胎盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出したとき、CD90+又はCD45-
ある。別のより具体的な実施態様において、該単離されたCD34-、CD10+、CD105+接着性胎
盤細胞はさらに、フローサイトメトリーによって検出したとき、CD90+又はCD45-である。
より具体的な実施態様において、該CD34-、CD10+、CD105+、CD200+接着性胎盤細胞はさら
に、フローサイトメトリーによって検出したとき、CD90+又はCD45-である。別のより具体
的な実施態様において、該CD34-、CD10+、CD105+、CD200+接着性胎盤細胞はさらに、フロ
ーサイトメトリーによって検出したとき、CD90+及びCD45-である。別のより具体的な実施
態様において、該CD34-、CD10+、CD105+、CD200+、CD90+、CD45-接着性胎盤細胞はさらに
、フローサイトメトリーによって検出したとき、CD80-及びCD86-である。
【0325】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される方法を用い
て産生されるNK細胞と、単離された接着性胎盤細胞の培養物由来の培養培地とを含む組成
物であり、ここで、該単離された接着性胎盤細胞は、(a)基材に接着し;かつ(b)CD200及び
HLA-Gを発現するか、又はCD73、CD105、及びCD200を発現するか、又はCD200及びOCT-4を
発現するか、又はCD73、CD105、及びHLA-Gを発現するか、又はCD73及びCD105を発現し、
かつ胎盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団を胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養した
ときに、該集団内の1以上の胚様体様体の形成を促進するか、又はOCT-4を発現し、かつ胎
盤幹細胞を含む胎盤細胞の集団を胚様体様体の形成を可能にする条件下で培養したときに
、該集団内の1以上の胚様体様体の形成を促進し; 該組成物は腫瘍細胞の成長もしくは増
殖を検出可能な程度に抑制するか、又は抗癌性もしくは抗ウイルス性である。具体的な実
施態様において、該組成物は、複数の該単離された胎盤接着性細胞をさらに含む。別の具
体的な実施態様において、該組成物は、複数の非胎盤細胞を含む。より具体的な実施態様
において、該非胎盤細胞はCD34+細胞、例えば、造血前駆細胞、例えば、末梢血造血前駆
細胞、臍帯血造血前駆細胞、又は胎盤血造血前駆細胞を含む。該非胎盤細胞は、幹細胞、
例えば、間葉系幹細胞、例えば、骨髄由来間葉系幹細胞を含むこともできる。該非胎盤細
胞は、1種類以上の成体細胞又は細胞株であることもできる。別の具体的な実施態様にお
いて、該組成物は、抗増殖剤、例えば、抗MIP-1α又は抗MIP-1β抗体を含む。
【0326】
具体的な実施態様において、上記の細胞又は細胞組合せのうちの1つによって馴化され
た培養培地は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、又は約5:1の単離された接着性胎盤細胞対
腫瘍細胞の比率で複数の腫瘍細胞と共培養した複数の単離された接着性胎盤細胞から得ら
れる。例えば、馴化された培養培地又は上清は、約1×105個の単離された接着性胎盤細胞
、約1×106個の単離された接着性胎盤細胞、約1×107個の単離された接着性胎盤細胞、も
しくは約1×108個の単離された接着性胎盤細胞、又はそれより多くのものを含む培養物か
ら得ることができる。別の具体的な実施態様において、馴化された培養培地又は上清は、
約1×105~約5×105個の単離された接着性胎盤細胞及び約1×105個の腫瘍細胞;約1×106
~約5×106個の単離された接着性胎盤細胞及び約1×106個の腫瘍細胞;約1×107~約5×10
7個の単離された接着性胎盤細胞及び約1×107個の腫瘍細胞;又は約1×108~約5×108個の
単離された接着性胎盤細胞及び約1×108個の腫瘍細胞を含む共培養物から得られる。
【0327】
(5.8.細胞の保存)
細胞、例えば、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、例えば、本明細
書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団、又は造血幹細胞もしくは前駆細
胞を含む胎盤灌流液細胞を保存する、すなわち、長期保存を可能にする条件下、又は例え
ば、アポトーシスもしくは壊死による細胞死を阻害する条件下に置くことができる。
【0328】
胎盤灌流液は、細胞回収組成物を、胎盤の少なくとも一部に、例えば、胎盤血管系に通
すことによって産生することができる。細胞回収組成物は、灌流液内に含まれている細胞
を保存するように作用する1以上の化合物を含む。そのような胎盤細胞回収組成物は、そ
の開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、関連米国特許出願公開第20070190
042号に記載されているような、アポトーシス阻害剤、壊死阻害剤、及び/又は酸素担持ペ
ルフルオロカーボンを含むことができる。
【0329】
一実施態様において、灌流液又は胎盤細胞の集団は、該灌流液又は該細胞の集団を、ア
ポトーシスの阻害剤及び酸素担持ペルフルオロカーボンを含む細胞回収組成物と近接させ
ることにより、哺乳動物、例えば、ヒトの分娩後胎盤から回収され、ここで、該アポトー
シスの阻害剤は、該アポトーシスの阻害剤と接触も近接もさせていない細胞の集団と比較
して、胎盤細胞、例えば、接着性胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞又は胎盤寡能性細胞の集
団におけるアポトーシスを低下させるか又は防止するのに十分な量及び時間で存在する。
例えば、該胎盤を該細胞回収組成物で灌流することができ、胎盤細胞、例えば、全有核胎
盤細胞をそれから単離する。具体的な実施態様において、該アポトーシスの阻害剤は、カ
スパーゼ阻害剤である。別の具体的な実施態様において、該アポトーシスの阻害剤は、JN
K阻害剤である。より具体的な実施態様において、該JNK阻害剤は、接着性胎盤細胞、例え
ば、接着性胎盤幹細胞又は接着性胎盤寡能性細胞の分化も増殖も調節しない。別の実施態
様において、該細胞回収組成物は、分離相中に該アポトーシスの阻害剤及び該酸素担持ペ
ルフルオロカーボンを含む。別の実施態様において、該細胞回収組成物は、エマルジョン
中に該アポトーシスの阻害剤及び該酸素担持ペルフルオロカーボンを含む。別の実施態様
において、該細胞回収組成物は、乳化剤、例えば、レシチンをさらに含む。別の実施態様
において、該アポトーシス阻害剤及び該ペルフルオロカーボンは、該胎盤細胞を該細胞回
収組成物と近接させるときに、約0℃~約25℃である。別のより具体的な実施態様におい
て、該アポトーシス阻害剤及び該ペルフルオロカーボンは、該胎盤細胞を該細胞回収組成
物と近接させるときに、約2℃~10℃、又は約2℃~約5℃である。別のより具体的な実施
態様において、該近接させることは、該細胞の集団の輸送の間に行われる。別のより具体
的な実施態様において、該近接させることは、該細胞の集団の凍結及び解凍の間に行われ
る。
【0330】
別の実施態様において、胎盤灌流液及び/又は胎盤細胞を、該灌流液及び/又は細胞をア
ポトーシスの阻害剤及び臓器保存化合物と近接させることによって回収及び保存すること
ができ、ここで、該アポトーシスの阻害剤は、該アポトーシスの阻害剤と接触も近接もさ
せていない灌流液又は胎盤細胞と比較したとき、該細胞のアポトーシスを低下させるか又
は防止するのに十分な量及び時間で存在する。具体的な実施態様において、臓器保存化合
物は、UW溶液(米国特許第4,798,824号に記載されており; VIASPAN(商標)としても知られ
ているもの; Southardらの文献、Transplantation 49(2):251-257(1990)も参照のこと)、
又はSternらの米国特許第5,552,267号に記載されている溶液であり、これらの文献の開示
は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。別の実施態様において、該臓器保存化
合物は、ヒドロキシエチルスターチ、ラクトビオン酸、ラフィノース、又はこれらの組合
せである。別の実施態様において、胎盤細胞回収組成物は、2相状態にあるか又はエマル
ジョンとしてかのいずれかの、酸素担持ペルフルオロカーボンをさらに含む。
【0331】
本方法の別の実施態様において、胎盤細胞を、灌流の間、アポトーシス阻害剤及び酸素
担持ペルフルオロカーボン、臓器保存化合物、又はこれらの組合せを含む細胞回収組成物
と近接させる。別の実施態様において、胎盤細胞を、灌流による回収の後に、該細胞回収
化合物と近接させる。
【0332】
通常、胎盤細胞の回収、濃縮、及び単離時に、低酸素及び機械的ストレスによる細胞ス
トレスを最小限に抑えるか、又はそれらを排除することが好ましい。本方法の別の実施態
様において、それゆえ、胎盤灌流液、又は胎盤細胞の集団は、回収、濃縮、又は単離時に
、該保存時に6時間未満の間、低酸素状態に曝され、ここで、低酸素状態は、正常な血中
酸素濃度を下回る酸素濃度である。より具体的な実施態様において、該灌流液又は胎盤細
胞の集団は、該保存時に2時間未満の間、該低酸素状態に曝される。別のより具体的な実
施態様において、該胎盤細胞の集団は、回収、濃縮、又は単離時に、1時間未満、もしく
は30分未満の間、該低酸素状態に曝されるか、又は低酸素状態に曝されない。別の具体的
な実施態様において、該胎盤細胞の集団は、回収、濃縮、又は単離時に、剪断ストレスに
曝されない。
【0333】
細胞、例えば、胎盤灌流液細胞、造血細胞、例えば、CD34+造血幹細胞;本明細書に記載
される方法を用いて産生されるNK細胞;本明細書に提供される単離された接着性胎盤細胞
を、例えば、小型の容器、例えば、アンプル又はセプタムバイアル中の凍結保存培地に入
れて凍結保存することができる。ある実施態様において、本明細書に提供される細胞を、
1mL当たり約1×104~5×108細胞の濃度で凍結保存する。具体的な実施態様において、本
明細書に提供される細胞を、1mL当たり約1×106~1.5×107細胞の濃度で凍結保存する。
より具体的な実施態様において、本明細書に提供される細胞を、1mL当たり約1×104、5×
104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、1.5×107細胞の濃度で凍結保存する。
【0334】
好適な凍結保存培地としては、標準生理食塩水、例えば、成長培地を含む培養培地、又
は細胞凍結培地、例えば、市販の細胞凍結培地、例えば、C2695、C2639、もしくはC6039(
Sigma); CryoStor(登録商標)CS2、CryoStor(登録商標)CS5、もしくはCryoStor(登録商標)
CS10(BioLife Solutions)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施態様において
、凍結保存培地は、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%(v/v)の濃度のDMSO
(ジメチルスルホキシド)を含む。凍結保存培地は、追加の薬剤、例えば、メチルセルロー
ス、デキストラン、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、トレハロース、及び/又
はグリセロールを含んでいてもよい。ある実施態様において、凍結保存培地は、約1%~1
0%のDMSO、約25%~75%のデキストラン、及び/又は約20~60%のヒト血清アルブミン(H
SA)を含む。ある実施態様において、凍結保存培地は、約1%~10%のDMSO、約25%~75%
のトレハロース、及び/又は約20~60%のヒトHSAを含む。具体的な実施態様において、凍
結保存培地は、5%のDMSO、55%のデキストラン、及び40%のHSAを含む。より具体的な実
施態様において、凍結保存培地は、5%のDMSO、55%のデキストラン(標準生理食塩水中、
10%w/v)、及び40%のHSAを含む。別の具体的な実施態様において、凍結保存培地は、5%
のDMSO、55%のトレハロース、及び40%のHSAを含む。より具体的な実施態様において、
凍結保存培地は、5%のDMSO、55%のトレハロース(標準生理食塩水中、10%w/v)、及び40
%のHSAを含む。別の具体的な実施態様において、凍結保存培地は、CryoStor(登録商標)C
S5を含む。別の具体的な実施態様において、凍結保存培地は、CryoStor(登録商標)CS10を
含む。
【0335】
本明細書に提供される細胞は、種々の方法のいずれかによって、かつ細胞の培養、増殖
、又は分化のどの段階でも凍結保存することができる。例えば、本明細書に提供される細
胞は、もとの組織もしくは器官、例えば、胎盤灌流液もしくは臍帯血から単離した直後、
又は上で概説した方法の第1の工程、第2の工程、もしくは第3の工程のいずれかの間、又
は該第1の工程、第2の工程、もしくは第3の工程のいずれかの後に、凍結保存することが
できる。ある実施態様において、造血細胞、例えば、造血幹細胞又は前駆細胞は、該もと
の組織もしくは器官からの単離後、約1、5、10、15、20、30、45分以内に、又は約1、2、
4、6、10、12、18、20、もしくは24時間以内に凍結保存される。ある実施態様において、
該細胞は、該もとの組織もしくは器官からの単離後、1、2、又は3日以内に凍結保存され
る。ある実施態様において、該細胞は、上記のように、第1の培地中で培養された後、約1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23
、24、25、26、27、又は28日間、凍結保存される。いくつかの実施態様において、該細胞
は、上記のように、第1の培地中で、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日間、及び上記のよう
に、第2の培地中で、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、
18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は28日間培養された後、凍結保存される。
いくつかの実施態様において、NK細胞が本明細書に記載される3段階法を用いて作製され
る場合、該細胞は、第1の培地中で、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25日間培養された後;及び/又は第
2の培地中で、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19
、20、21、22、23、24、もしくは25日間培養された後;及び/又は第3の培地中で、約1、2
、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、2
4、もしくは25日間培養された後、凍結保存される。具体的な実施態様において、NK細胞
は、本明細書に記載される3段階法を用いて作製され、該細胞は、第1の培地中で10日間培
養された後;第2の培地中で4日間培養された後;及び第3の培地中で21日間培養された後、
凍結保存される。
【0336】
一態様において、本明細書に提供されるのは、NK細胞、例えば、本明細書に記載される
3段階法によって産生されるNK細胞の集団を凍結保存する方法である。一実施態様におい
て、該方法は:造血幹細胞又は前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞又は前駆細胞を、幹細胞動
員剤及びトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で培養して、第1の細胞集団を産生し
、その後、該第1の細胞集団を、幹細胞動員剤及びインターロイキン-15(IL-15)を含み、
かつTpoを欠いている第2の培地中で培養して、第2の細胞集団を産生し、その後、該第2の
細胞集団を、IL-2及びIL-15を含み、かつ幹細胞動員剤及びLMWHを欠いている第3の培地中
で培養して、第3の細胞集団を産生し(ここで、該第3の細胞集団は、CD56+、CD3-、CD16-
又はCD16+、及びCD94+又はCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、かつ該ナチュラル
キラー細胞の少なくとも70%又は少なくとも80%は生存している)、次に、該NK細胞を凍
結保存培地中で凍結保存することを含む。具体的な実施態様において、該凍結保存工程は
、(1)細胞懸濁溶液を調製すること;(2)凍結保存培地を工程(1)由来の細胞懸濁溶液に添加
して、凍結保存細胞懸濁液を得ること;(3)工程(3)由来の凍結保存細胞懸濁液を冷却して
、凍結保存試料を得ること;及び(4)該凍結保存試料を-80℃未満で保存することをさらに
含む。ある実施態様において、本方法は、中間工程を含まない。
【0337】
本明細書に提供される細胞を、速度制御フリーザーで、例えば、凍結保存時に、約0.1
、0.3、0.5、1、又は2℃/分で冷却することができる。一実施態様において、凍結保存温
度は、約-80℃~約-180℃、又は約-125℃~約-140℃である。凍結保存した細胞を液体窒
素に移した後、使用のために解凍することができる。いくつかの実施態様において、例え
ば、アンプルが約-90℃に達したら、それを液体窒素保存領域に移す。凍結保存した細胞
を、約25℃~約40℃の温度で解凍することができ、より具体的には、約37℃の温度に解凍
することができる。ある実施態様において、凍結保存した細胞を、約1、2、4、6、10、12
、18、20、もしくは24時間、又は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、もしくは28日間凍結保存した後
に解凍する。ある実施態様において、凍結保存した細胞を、約1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、又は2
8カ月間凍結保存した後に解凍する。ある実施態様において、凍結保存した細胞を、約1、
2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年間凍結保存した後に解凍する。
【0338】
好適な解凍培地としては、標準生理食塩水、例えば、成長培地、例えば、RPMI培地を含
む、プラズマライト(plasmalyte)培養培地が挙げられるが、これらに限定されない。ある
実施態様において、解凍培地は、培地添加物(例えば、栄養素、サイトカイン、及び/又は
因子)のうちの1つ又は複数を含む。本明細書に提供される細胞を解凍するのに好適な培地
添加物としては、例えば、限定するものではないが、血清、例えば、ヒト血清AB、胎仔ウ
シ血清(fetal bovine serum)(FBS)、もしくは胎仔ウシ血清(fetal calf serum)(FCS)、ビ
タミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、アミノ酸(例えば、L-グ
ルタミン)、脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、もしくはパルミチン酸)、インス
リン(例えば、組換えヒトインスリン)、トランスフェリン(鉄飽和ヒトトランスフェリン)
、β-メルカプトエタノール、幹細胞因子(SCF)、Fms様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3-
L)、サイトカイン、例えば、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、イ
ンターロイキン-15(IL-15)、トロンボポエチン(Tpo)、又はヘパリンが挙げられる。具体
的な実施態様において、本明細書に提供される方法において有用な解凍培地は、RPMIを含
む。別の具体的な実施態様において、該解凍培地は、プラズマライトを含む。別の具体的
な実施態様において、該解凍培地は、約0.5~20%のFBSを含む。別の具体的な実施態様に
おいて、該解凍培地は、約1、2、5、10、15、又は20%のFBSを含む。別の具体的な実施態
様において、該解凍培地は、約0.5%~20%のHSAを含む。別の具体的な実施態様において
、該解凍培地は、約1、2.5、5、10、15、又は20%のHSAを含む。より具体的な実施態様に
おいて、該解凍培地は、RPMI及び約10%のFBSを含む。別のより具体的な実施態様におい
て、該解凍培地は、プラズマライト及び約5%のHSAを含む。
【0339】
本明細書に提供される凍結保存法を、長期保存を可能にするように、又は例えば、アポ
トーシスもしくは壊死による細胞死を阻害する条件下で最適化することができる。一実施
態様において、解凍後細胞は、例えば、自動細胞カウンター又はトリパンブルー法によっ
て測定したとき、生細胞の60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は98%
超を含む。別の実施態様において、解凍後細胞は、死細胞の約0.5、1、5、10、15、20、
又は25%を含む。別の実施態様において、解凍後細胞は、初期アポトーシス細胞の約0.5
、1、5、10、15、20、又は25%を含む。別の実施態様において、解凍後細胞の約0.5、1、
5、10、15、又は20%は、例えば、アポトーシスアッセイ(例えば、TO-PRO3又はAnnV/PIア
ポトーシスアッセイキット)によって測定したとき、解凍されてから1、2、3、4、5、6、7
、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、
又は28日後に、アポトーシスを経る。ある実施態様において、解凍後細胞を、本明細書に
提供される方法を用いて、培養するか、増殖させるか、又は分化させた後に、再び凍結保
存する。
【0340】
(5.9. NK細胞を含む組成物)
(5.9.1. 3段階法を用いて産生されるNK細胞)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される3段
階法を用いて産生される単離されたNK細胞集団を含む組成物、例えば、医薬組成物である
。具体的な実施態様において、該単離されたNK細胞集団は、造血細胞、例えば、胎盤灌流
液、臍帯血、及び/又は末梢血から単離される造血幹細胞又は前駆細胞から産生される。
別の具体的な実施態様において、該単離されたNK細胞集団は、該組成物中の細胞の少なく
とも50%を含む。別の具体的な実施態様において、該単離されたNK細胞集団、例えば、CD
3-CD56+細胞は、該組成物中の細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、又は99
%を含む。ある実施態様において、該単離されたNK細胞集団内の細胞の5%、10%、15%
、20%、25%、30%、35%、又は40%以下は、CD3-CD56+細胞である。ある実施態様にお
いて、該CD3-CD56+細胞は、CD16-である。
【0341】
別の具体的な実施態様において、該組成物中の該単離されたNK細胞は、単一の個体に由
来するものである。より具体的な実施態様において、該単離されたNK細胞は、少なくとも
2人の異なる個体由来のNK細胞を含む。別の具体的な実施態様において、該組成物中の該
単離されたNK細胞は、該NK細胞による治療が意図される個体とは異なる個体に由来するも
のである。別の具体的な実施態様において、該NK細胞は、該NK細胞が、免疫調節化合物又
はサリドマイドと接触も近接もさせていない同等数のナチュラルキラー細胞、すなわち、
NK細胞よりも検出可能な程度に多くのグランザイムB又はパーフォリンを発現するのに十
分な量及び時間で、該免疫調節化合物又はサリドマイドと接触又は近接させたものである
。別の具体的な実施態様において、該組成物は、免疫調節化合物又はサリドマイドをさら
に含む。ある実施態様において、該免疫調節化合物は、下記の化合物である。例えば、そ
の開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれる米国特許第7,498,171号を参照され
たい。ある実施態様において、該免疫調節化合物は、アミノ置換イソインドリンである。
一実施態様において、該免疫調節化合物は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソイ
ンドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン; 3-(4'アミノイソリンドリン(aminoisolindol
ine)-1'-オン)-1-ピペリジン-2,6-ジオン; 4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))
-イソインドリン-1,3-ジオン;又は4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソイ
ンドール-1,3-ジオンである。別の実施態様において、該免疫調節化合物は、ポマリドミ
ド又はレナリドミドである。別の実施態様において、該免疫調節化合物は、構造
【化16】
(ここで、X及びYのうちの一方は、C=Oであり、X及びYのうちのもう一方は、C=O又はCH2
あり、かつR2は、水素もしくは低級アルキルである)を有する化合物、又はその医薬とし
て許容し得る塩、水和物、溶媒和物、包摂化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、
ラセミ化合物、もしくは立体異性体の混合物である。別の実施態様において、該免疫調節
化合物は、構造
【化17】
(ここで、X及びYのうちの一方は、C=Oであり、もう一方は、CH2又はC=Oであり;
R1は、H、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)ア
ルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、(C0-C
4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、C(O)R3、C(S)R3、C(O)OR4、(C1-C8)アルキル-N(R6)
2、(C1-C8)アルキル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、C(O)NHR3、C(S)NHR3、C(O)NR3R3'
、C(S)NR3R3'、又は(C1-C8)アルキル-O(CO)R5であり;
R2は、H、F、ベンジル、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、又は(C2-C8)アルキニ
ルであり;
R3及びR3'は、独立に、(C1-C8)アルキル、(C3-C7)シクロアルキル、(C2-C8)アルケニル
、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアル
キル、(C0-C4)アルキル-(C2-C5)ヘテロアリール、(C0-C8)アルキル-N(R6)2、(C1-C8)アル
キル-OR5、(C1-C8)アルキル-C(O)OR5、(C1-C8)アルキル-O(CO)R5、又はC(O)OR5であり;
R4は、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、(C1-C4)アルキル-O
R5、ベンジル、アリール、(C0-C4)アルキル-(C1-C6)ヘテロシクロアルキル、又は(C0-C4)
アルキル-(C2-C5)ヘテロアリールであり;
R5は、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキニル、ベンジル、アリー
ル、又は(C2-C5)ヘテロアリールであり;
各々出現するR6は、独立に、H、(C1-C8)アルキル、(C2-C8)アルケニル、(C2-C8)アルキ
ニル、ベンジル、アリール、(C2-C5)ヘテロアリール、もしくは(C0-C8)アルキル-C(O)O-R
5であるか、又は該R6基は結合して、ヘテロシクロアルキル基を形成することができ;
nは、0又は1であり;かつ
*は、不斉炭素中心を表す)を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩、水和物
、溶媒和物、包摂化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、もしくは
立体異性体の混合物である。別の実施態様において、該免疫調節化合物は、構造
【化18】
(ここで:
X及びYのうちの一方は、C=Oであり、もう一方は、CH2又はC=Oであり;
Rは、H又はCH2OCOR'であり;
(i)R1、R2、R3、もしくはR4の各々は、他のものとは独立に、ハロ、1~4個の炭素原子
のアルキル、もしくは1~4個の炭素原子のアルコキシであるか、又は(ii)R1、R2、R3、も
しくはR4のうちの1つは、ニトロもしくは-NHR5であり、かつR1、R2、R3、もしくはR4の残
りのものは、水素であり;
R5は、水素又は1~8個の炭素のアルキルであり
R6は、水素、1~8個の炭素原子のアルキル、ベンゾ、クロロ、又はフルオロであり;
R'は、R7-CHR10-N(R8R9)であり;
R7は、m-フェニレン又はp-フェニレン又は-(CnH2n)-(ここで、nは、0~4の値を有する)
であり;
R8及びR9の各々は、他のものとは独立に、水素又は1~8個の炭素原子のアルキルである
か、或いはR8及びR9は、一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレ
ン、又は-CH2CH2X1CH2CH2-(ここで、X1は、-O-、-S-、もしくは-NH-である)であり;
R10は、水素、炭素原子8個までのアルキル、又はフェニルであり;かつ
*は、不斉炭素中心を表す)を有する化合物、又はその医薬として許容し得る塩、水和物
、溶媒和物、包摂化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、もしくは
立体異性体の混合物である。
【0342】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、1以上の抗癌化合物、例えば、1以上の下
記の抗癌化合物をさらに含む。
【0343】
より具体的な実施態様において、該組成物は、別の供給源に由来するか又は別の方法に
よって作製されるNK細胞を含む。具体的な実施態様において、該他の供給源は、胎盤血及
び/又は臍帯血である。別の具体的な実施態様において、該他の供給源は、末梢血である
。より具体的な実施態様において、該組成物中の該NK細胞集団を、別の供給源に由来する
か又は別の方法によって作製されるNK細胞と、約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75
:25、70:30、65:35、60:40、55:45: 50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80
、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:
1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:
15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80
、1:85、1:90、1:95、1:100などの比で組み合わせる。
【0344】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、本明細書に記載される3段階法を用いて
産生されるNK細胞集団、及び単離された胎盤灌流液又は単離された胎盤灌流液細胞のどち
らかを含む。より具体的な実施態様において、該胎盤灌流液は、該NK細胞集団と同じ個体
に由来するものである。別のより具体的な実施態様において、該胎盤灌流液は、該NK細胞
集団とは異なる個体由来の胎盤灌流液を含む。別の具体的な実施態様において、該胎盤灌
流液中の細胞の全て、又は実質的に全て(例えば、90%、95%、98%、もしくは99%超)は
、胎児細胞である。別の具体的な実施態様において、該胎盤灌流液又は胎盤灌流液細胞は
、胎児細胞及び母親細胞を含む。より具体的な実施態様において、該胎盤灌流液中の胎児
細胞は、該灌流液中の細胞の約90%、80%、70%、60%、又は50%未満を含む。別の具体
的な実施態様において、該灌流液は、0.9%NaCl溶液を胎盤血管系に通すことによって得
られる。別の具体的な実施態様において、該灌流液は培養培地を含む。別の具体的な実施
態様において、該灌流液は、赤血球を除去するように処理されたものである。別の具体的
な実施態様において、該組成物は、免疫調節化合物、例えば、下記の免疫調節化合物、例
えば、アミノ置換イソインドリン化合物を含む。別の具体的な実施態様において、該組成
物は、1以上の抗癌化合物、例えば、1以上の下記の抗癌化合物をさらに含む。
【0345】
別の具体的な実施態様において、該組成物は、NK細胞集団及び胎盤灌流液細胞を含む。
より具体的な実施態様において、該胎盤灌流液細胞は、該NK細胞集団と同じ個体に由来す
るものである。別のより具体的な実施態様において、該胎盤灌流液細胞は、該NK細胞集団
とは異なる個体に由来するものである。別の具体的な実施態様において、該組成物は、単
離された胎盤灌流液及び単離された胎盤灌流液細胞を含み、ここで、該単離された灌流液
及び該単離された胎盤灌流液細胞は、異なる個体に由来するものである。胎盤灌流液を含
む上記の実施態様のいずれかの別のより具体的な実施態様において、該胎盤灌流液は、少
なくとも2人の個体由来の胎盤灌流液を含む。胎盤灌流液細胞を含む上記の実施態様のい
ずれかの別のより具体的な実施態様において、該単離された胎盤灌流液細胞は、少なくと
も2人の個体に由来するものである。別の具体的な実施態様において、該組成物は、免疫
調節化合物を含む。別の具体的な実施態様において、該組成物は、1以上の抗癌化合物、
例えば、1以上の下記の抗癌化合物をさらに含む。
【0346】
(5.10. 3段階法を用いて産生されるNK細胞の使用)
本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、例えば、本明細書に提供される
、本明細書に記載される3段階法に従って産生されるNK細胞は、癌を有する個体、例えば
、固形腫瘍細胞及び/もしくは血液癌細胞を有する個体、又はウイルス感染を有する人を
治療する方法で使用することができる。いくつかのそのような実施態様において、本明細
書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞の有効投薬量は、1×104~5×104、5×104
~1×105、1×105~5×105、5×105~1×106、1×106~5×106、5×106~1×107、又はそ
れを上回る細胞/キログラム体重の範囲である。本明細書に記載される方法を用いて産生
されるNK細胞は、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法で使用することもできる。
【0347】
(5.10.1.癌を有する個体の治療)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌、例えば、血液癌又は固形腫瘍を
有する個体を治療する方法であって、該個体に、本明細書に記載される方法を用いて産生
されるNK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団の
治療有効量を投与することを含む、方法である。ある実施態様において、該個体は、ナチ
ュラルキラー細胞の欠損、例えば、該個体の癌に対して活性があるNK細胞の欠損を有する
。具体的な実施態様において、該方法は、該個体に、単離された胎盤灌流液又は単離され
た胎盤灌流液細胞、例えば、胎盤灌流液又は単離された胎盤灌流液細胞の治療有効量を投
与することをさらに含む。別の具体的な実施態様において、該方法は、該個体に、免疫調
節化合物、例えば、上記の免疫調節化合物、又はサリドマイドの有効量を投与することを
さらに含む。本明細書で使用されるように、「有効量」は、例えば、該個体が罹患してい
る癌の1以上の症状の検出可能な改善、該症状の進行の軽減、又は該症状の消失をもたら
す量である。
【0348】
単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、全身性又は局所性であり得る。具
体的な実施態様において、投与は、非経口的である。具体的な実施態様において、対象へ
の単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、注射、注入、静脈内(IV)投与、大
腿骨内投与、又は腫瘍内投与によるものである。具体的な実施態様において、対象への単
離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、装置、マトリックス、又はスキャフォ
ールドを用いて行われる。具体的な実施態様において、対象への単離されたNK細胞集団又
はその医薬組成物の投与は、注射によるものである。具体的な実施態様において、対象へ
の単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、カテーテルによるものである。具
体的な実施態様において、NK細胞の注射は、局所注射である。より具体的な実施態様にお
いて、局所注射は、固形腫瘍(例えば、肉腫)に直接のものである。具体的な実施態様にお
いて、対象への単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、注射器による注射に
よるものである。具体的な実施態様において、対象への単離されたNK細胞集団又はその医
薬組成物の投与は、ガイド下送達によるものである。具体的な実施態様において、注射に
よる対象への単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、腹腔鏡検査、内視鏡検
査、超音波、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴、又は放射線検査によって支援される。
【0349】
具体的な実施態様において、癌は、血液癌、例えば、白血病又はリンパ腫である。より
具体的な実施態様において、癌は、急性白血病、例えば、急性T細胞白血病、急性骨髄性
白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、
前駆B急性リンパ芽球性白血病、前駆T急性リンパ芽球性白血病、バーキット白血病(バー
キットリンパ腫)、もしくは急性混合型白血病;慢性白血病、例えば、慢性骨髄リンパ腫、
慢性骨髄性白血病(CML)、慢性単球性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性
リンパ腫、もしくはB細胞前リンパ球性白血病;有毛細胞リンパ腫; T細胞前リンパ球性白
血病;又はリンパ腫、例えば、組織球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(例えば、ワ
ルデンシュトレームマクログロブリン血症)、脾辺縁帯リンパ腫、形質細胞新生物(例えば
、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、単クローン性免疫グロブリン沈着症、もしくは重鎖病
)、節外辺縁帯B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)、節辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL)、濾胞性リ
ンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B
細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、T細胞大型顆粒リ
ンパ球性白血病、侵攻性NK細胞白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、鼻型の節外NK/T細胞
リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉
腫(セザリー症候群)、原発性皮膚CD30陽性T細胞リンパ増殖性障害(例えば、原発性皮膚未
分化大細胞リンパ腫もしくはリンパ腫様丘疹症)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、非特定
型の末梢T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、もしくは結節性リ
ンパ球優位型ホジキンリンパ腫である。別の具体的な実施態様において、癌は、多発性骨
髄腫又は骨髄異形成症候群である。
【0350】
ある他の具体的な実施態様において、癌は、固形腫瘍、例えば、癌腫、例えば、腺癌、
副腎皮質癌、結腸腺癌、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、腺管癌、肺癌、甲状腺癌、上咽頭癌
、黒色腫(例えば、悪性黒色腫)、非黒色腫皮膚癌、又は詳細不明の癌;類腱腫;線維形成性
小円形細胞腫瘍;内分泌腫瘍;ユーイング肉腫;胚細胞腫瘍(例えば、精巣癌、卵巣癌、絨毛
癌、内胚葉洞腫瘍、胚細胞腫など);肝芽腫;肝細胞癌;神経芽腫;非横紋筋肉腫軟部組織肉
腫;骨肉腫;網膜芽腫;横紋筋肉腫;又はウィルムス腫瘍である。別の実施態様において、固
形腫瘍は、膵癌又は乳癌である。他の実施態様において、固形腫瘍は、聴神経腫;星状細
胞腫(例えば、グレードIの毛様細胞性星状細胞腫、グレードIIの低悪性度星状細胞腫;グ
レードIIIの未分化星状細胞腫;もしくはグレードIVの多形性膠芽腫);脊索腫;頭蓋咽頭腫;
神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫;上衣腫;混合性神経膠腫;視神経神経膠腫;もしくは上衣
下腫);膠芽腫;髄芽腫;髄膜腫;転移性脳腫瘍;乏突起膠腫;松果体芽腫;下垂体部腫瘍;未分
化神経外胚葉性腫瘍;又は神経鞘腫である。別の実施態様において、癌は、前立腺癌であ
る。別の実施態様において、癌は、肝臓癌である。別の実施態様において、癌は、肺癌で
ある。別の実施態様において、癌は、腎臓癌である。
【0351】
ある実施態様において、癌、例えば、血液癌又は固形腫瘍を有する個体、例えば、ナチ
ュラルキラー細胞の欠損を有する個体は、該投与することの前に骨髄移植を受けた個体で
ある。ある実施態様において、該骨髄移植は、該癌の治療でのものであった。ある他の実
施態様において、該骨髄移植は、該癌以外の状態の治療でのものであった。ある実施態様
において、個体は、該骨髄移植に加えて、免疫抑制剤を受容した。ある実施態様において
、骨髄移植を受けた個体は、該投与のときに、移植片対宿主病(GVHD)の1以上の症状を示
している。ある他の実施態様において、骨髄移植を受けた個体に、GVHDの症状が現われる
前に、該細胞を投与する。
【0352】
ある具体的な実施態様において、癌、例えば、血液癌を有する個体は、該投与すること
の前に、少なくとも1用量のTNFα阻害剤、例えば、ETANERCEPT(登録商標)(Enbrel)を受容
した。具体的な実施態様において、該個体は、該癌の診断から1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、又は12カ月以内に、該用量のTNFα阻害剤を受容した。具体的な実施態様にお
いて、一定用量のTNFα阻害剤を受容した個体は、急性骨髄性白血病を示している。より
具体的な実施態様において、一定用量のTNFα阻害剤を受容し、かつ急性骨髄性白血病を
示している個体はさらに、血液細胞の第5番染色体の長腕の欠失を示す。別の実施態様に
おいて、癌、例えば、血液癌を有する個体は、フィラデルフィア染色体を示す。
【0353】
ある他の実施態様において、該個体の癌、例えば、血液癌又は固形腫瘍は、1以上の抗
癌薬に不応性である。具体的な実施態様において、癌は、GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イ
マチニブ)に不応性である。
【0354】
ある実施態様において、該個体の癌、例えば、血液癌は、少なくとも1つの抗癌薬に応
答し;この実施態様において、胎盤灌流液、単離された胎盤灌流液細胞、単離されたナチ
ュラルキラー細胞、例えば、胎盤ナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤由来中間ナチュラ
ルキラー細胞、単離され、組み合わされたナチュラルキラー細胞、又は本明細書に記載さ
れるNK細胞、及び/或いはこれらの組合せ、並びに任意に免疫調節化合物を、補助治療と
して又は該抗癌薬との併用療法として追加する。ある他の実施態様において、癌、例えば
、血液癌を有する個体は、少なくとも1つの抗癌薬で治療されたことがあり、かつ該投与
することの前に、再発している。ある実施態様において、治療すべき個体は、難治性癌を
有する。一実施態様において、本明細書に記載される細胞による癌治療法は、癌の再発を
防ぐ(例えば、予防するか又は遅延させる)。一実施態様において、本明細書に記載される
癌治療法は、1カ月以上、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12カ月以上、1年以
上、2年以上、3年以上、又は4年以上の間、癌の緩解をもたらす。
【0355】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、多発性骨髄腫を有する個体を治療す
る方法であって、該個体に、(1)レナリドミド;(2)メルファラン;及び(3)NK細胞を投与す
ることを含み、ここで、該NK細胞が、該個体の多発性骨髄腫を治療するのに有効である、
方法である。具体的な実施態様において、該NK細胞は、臍帯血NK細胞、又は臍帯血造血細
胞、例えば、造血幹細胞から産生されるNK細胞である。別の実施態様において、該NK細胞
は、NK細胞を産生するための本明細書に記載される3段階法によって産生されたものであ
る。別の実施態様において、該レナリドミド、メルファラン、及び/又はNK細胞は、互い
に別々に投与される。多発性骨髄腫を有する個体を治療する方法のある具体的な実施形態
において、該NK細胞は:造血幹細胞又は前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞又は前駆細胞を、
幹細胞動員剤及びトロンボポエチン(Tpo)を含む第1の培地中で培養して、第1の細胞集団
を産生し、その後、該第1の細胞集団を、幹細胞動員剤及びインターロイキン-15(IL-15)
を含み、かつTpoを欠いている第2の培地中で培養して、第2の細胞集団を産生し、その後
、該第2の細胞集団を、IL-2及びIL-15を含み、かつ幹細胞動員剤及びLMWHを欠いている第
3の培地中で培養して、第3の細胞集団を産生することを含み、ここで、該第3の細胞集団
が、CD56+、CD3-、CD16-又はCD16+、及びCD94+又はCD94-であるナチュラルキラー細胞を
含み、かつ該ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%又は少なくとも80%が生存している
、方法によって産生される。
【0356】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、急性骨髄性白血病(AML)を有する
個体を治療する方法であって、該個体に、NK細胞(IL2とIL12とIL18、IL12とIL15、IL12と
IL18、IL2とIL12とIL15とIL18、又はIL2とIL15とIL18による前処理よって任意に活性化さ
せられたもの)を投与することを含み、ここで、該NK細胞が、該個体のAMLを治療するのに
有効である、方法である。具体的な実施態様において、該NK細胞は、臍帯血NK細胞、又は
臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から産生されるNK細胞である。別の実施態様におい
て、該NK細胞は、NK細胞を産生する本明細書に記載される3段階法によって産生されたも
のである。AMLを有する個体を治療する方法のある具体的な実施態様において、該NK細胞
は、本明細書に記載される3段階法によって産生される。特定の実施態様において、前述
の方法によって治療されるべきAMLは、難治性AML、予後不良AML、又は小児AMLを含む。難
治性AML、予後不良AML、又は小児AMLの治療用にNK細胞を投与するための当技術分野で公
知の方法をこの目的に適合させることができる;例えば、Millerらの文献、2005, Blood 1
05:3051-3057; Rubnitzらの文献、2010, J Clin Oncol. 28:955-959を参照されたく、こ
れらは各々、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。ある実施態様において、該個
体は、AMLに対する少なくとも1つの非ナチュラルキラー細胞治療剤が奏効していないAML
を有する。具体的な実施態様において、該個体は、65歳以上であり、かつ第1寛解期にあ
る。具体的な実施態様において、該個体は、該ナチュラルキラー細胞を投与する前に、フ
ルダラビン、シタラビン、又は両方で馴化されている。
【0357】
AMLを有する個体を治療する方法の他の具体的な実施態様において、該NK細胞は:造血幹
細胞又は前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞又は前駆細胞を、幹細胞動員剤及びトロンボポ
エチン(Tpo)を含む第1の培地中で培養して、第1の細胞集団を産生し、その後、該第1の細
胞集団を、幹細胞動員剤及びインターロイキン-15(IL-15)を含み、かつTpoを欠いている
第2の培地中で培養して、第2の細胞集団を産生し、その後、該第2の細胞集団を、IL-2及
びIL-15を含み、かつ幹細胞動員剤及びLMWHを欠いている第3の培地中で培養して、第3の
細胞集団を産生することを含み、ここで、該第3の細胞集団が、CD56+、CD3-、CD16-又はC
D16+、及びCD94+又はCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、かつ該ナチュラルキラー
細胞の少なくとも70%又は少なくとも80%が生存している、方法によって産生される。
【0358】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、慢性リンパ球性白血病(CLL)を有する
個体を治療する方法であって、該個体に、(1)レナリドミド;(2)メルファラン;(3)フルダ
ラビン;及び(4)NK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法によって産生されるNK細
胞の治療有効量を投与することを含み、ここで、該NK細胞が、該個体の該CLLを治療する
のに有効である、方法である。具体的な実施態様において、該NK細胞は、臍帯血NK細胞、
又は臍帯血造血幹細胞から産生されたNK細胞である。別の実施態様において、該NK細胞は
、NK細胞を産生する本明細書に記載される3段階法によって産生されたものである。上記
の方法のいずれかの具体的な実施態様において、該レナリドミド、メルファラン、フルダ
ラビン、及び増殖させられたNK細胞は、該個体に別々に投与される。CLLを有する個体を
治療する方法のある具体的な実施形態において、該NK細胞は、造血幹細胞又は前駆細胞、
例えば、CD34+幹細胞又は前駆細胞を、幹細胞動員剤及びトロンボポエチン(Tpo)を含む第
1の培地中で培養して、第1の細胞集団を産生し、その後、該第1の細胞集団を、幹細胞動
員剤及びインターロイキン-15(IL-15)を含み、かつTpoを欠いている第2の培地中で培養し
て、第2の細胞集団を産生し、その後、該第2の細胞集団を、IL-2及びIL-15を含み、かつ
幹細胞動員剤及びLMWHを欠いている第3の培地中で培養して、第3の細胞集団を産生するこ
とを含み、ここで、該第3の細胞集団が、CD56+、CD3-、CD16-又はCD16+、及びCD94+又はC
D94-であるナチュラルキラー細胞を含み、かつ該ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%
又は少なくとも80%が生存している、方法によって産生される。
【0359】
(5.10.2.腫瘍細胞増殖の抑制)
さらに本明細書に提供されるのは、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書
に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法を
用いて産生されるNK細胞集団を、腫瘍細胞と近接させ、例えば、該腫瘍細胞を、本明細書
に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と接触させることを含む、方法である。任意
に、単離された胎盤灌流液又は単離された胎盤灌流液細胞を、腫瘍細胞及び/又は本明細
書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と近接させる。別の具体的な実施態様にお
いて、免疫調節化合物、例えば、上記の免疫調節化合物、又はサリドマイドを、腫瘍細胞
の増殖が、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と近接させていない同じ
タイプの腫瘍細胞と比較して検出可能な程度に低下するように、腫瘍細胞及び/又は本明
細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞とさらに近接させる。任意に、単離され
た胎盤灌流液又は単離された胎盤灌流液細胞を、免疫調節化合物と接触又は近接させた、
該腫瘍細胞及び/又は本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と近接させる
【0360】
本明細書で使用されるように、ある実施態様において、細胞に関連して、「接触させる
こと」は、一実施態様において、胎盤灌流液、胎盤灌流液細胞、ナチュラルキラー細胞、
例えば、本明細書に記載される3段階法に従って産生されるNK細胞集団、及び/又は単離さ
れ、組み合わされたナチュラルキラー細胞と腫瘍細胞との直接的で物理的な、例えば、細
胞間の接触を包含する。別の実施態様において、「接触させること」は、同じ物理的空間
内での存在を包含し、例えば、胎盤灌流液、胎盤灌流液細胞、ナチュラルキラー細胞、例
えば、胎盤中間ナチュラルキラー細胞、本明細書に記載されるナチュラルキラー細胞、例
えば、本明細書に記載される3段階法に従って産生されるNK細胞集団、及び/又は単離され
、組み合わされたナチュラルキラー細胞は、腫瘍細胞と同じ容器(例えば、培養ディッシ
ュ、マルチウェルプレート)に入れられる。別の実施態様において、胎盤灌流液、胎盤灌
流液細胞、組み合わされたナチュラルキラー細胞、胎盤中間ナチュラルキラー細胞、又は
本明細書に記載されるナチュラルキラー細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法に
従って産生されるNK細胞集団と腫瘍細胞とを「接触させること」は、例えば、該胎盤灌流
液、又は細胞、例えば、胎盤灌流液細胞、組み合わされたナチュラルキラー細胞、もしく
はナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤中間ナチュラルキラー細胞を、個体、例えば、腫
瘍細胞を含むヒト、例えば、癌患者に注射又は注入することによって達成される。免疫調
節化合物及び/又はサリドマイドとの関連における「接触させること」は、例えば、細胞
と免疫調節化合物及び/又はサリドマイドとを、互いに直接的に物理的に接触させるか、
又は同じ物理的容積(例えば、細胞培養容器もしくは個体)内に入れることを意味する。
【0361】
具体的な実施態様において、腫瘍細胞は、血液癌細胞、例えば、白血病細胞又はリンパ
腫細胞である。より具体的な実施態様において、癌は、急性白血病、例えば、急性T細胞
白血病細胞、急性骨髄性白血病(AML)細胞、急性前骨髄球性白血病細胞、急性骨髄芽球性
白血病細胞、急性巨核芽球性白血病細胞、前駆B急性リンパ芽球性白血病細胞、前駆T急性
リンパ芽球性白血病細胞、バーキット白血病(バーキットリンパ腫)細胞、もしくは急性混
合型白血病細胞;慢性白血病細胞、例えば、慢性骨髄リンパ腫細胞、慢性骨髄性白血病(CM
L)細胞、慢性単球性白血病細胞、慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫細胞
、もしくはB細胞前リンパ球性白血病細胞;有毛細胞リンパ腫細胞; T細胞前リンパ球性白
血病細胞;又はリンパ腫細胞、例えば、組織球性リンパ腫細胞、リンパ形質細胞性リンパ
腫細胞(例えば、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症細胞)、脾辺縁帯リンパ腫細
胞、形質細胞新生物細胞(例えば、形質細胞性骨髄腫細胞、形質細胞腫細胞、単クローン
性免疫グロブリン沈着症、もしくは重鎖病)、節外辺縁帯B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)細
胞、節辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL)細胞、濾胞性リンパ腫細胞、マントル細胞リンパ腫細
胞、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫細胞、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫細胞、血管
内大細胞型B細胞リンパ腫細胞、原発性滲出液リンパ腫細胞、T細胞大型顆粒リンパ球性白
血病細胞、侵攻性NK細胞白血病細胞、成人T細胞白血病/リンパ腫細胞、節外NK/T細胞リン
パ腫-鼻型細胞、腸症型T細胞リンパ腫細胞、肝脾T細胞リンパ腫細胞、芽球性NK細胞リン
パ腫細胞、菌状息肉腫(セザリー症候群)、原発性皮膚CD30陽性T細胞リンパ増殖性障害(例
えば、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫もしくはリンパ腫様丘疹症)細胞、血管免疫芽球
性T細胞リンパ腫細胞、末梢T細胞リンパ腫-非特定型細胞、未分化大細胞リンパ腫細胞、
ホジキンリンパ腫細胞もしくは結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫細胞である。別の
具体的な実施態様において、腫瘍細胞は、多発性骨髄腫細胞又は骨髄異形成症候群細胞で
ある。
【0362】
具体的な実施態様において、腫瘍細胞は、固形腫瘍細胞、例えば、癌細胞、例えば、腺
癌細胞、副腎皮質癌細胞、結腸腺癌細胞、結腸直腸腺癌細胞、結腸直腸癌細胞、腺管癌細
胞、肺癌細胞、甲状腺癌細胞、上咽頭癌細胞、黒色腫細胞(例えば、悪性黒色腫細胞)、非
黒色腫皮膚癌細胞、もしくは詳細不明の癌細胞;類腱腫細胞;線維形成性小円形細胞腫瘍細
胞;内分泌腫瘍細胞;ユーイング肉腫細胞;胚細胞腫瘍細胞(例えば、精巣癌細胞、卵巣癌細
胞、絨毛癌細胞、内胚葉洞腫瘍細胞、胚細胞腫細胞など);肝芽腫細胞;肝細胞癌細胞;神経
芽腫細胞;非横紋筋肉腫軟部組織肉腫細胞;骨肉腫細胞;網膜芽腫細胞;横紋筋肉腫細胞;又
はウィルムス腫瘍細胞である。別の実施態様において、腫瘍細胞は、膵癌細胞又は乳癌細
胞である。他の実施態様において、固形腫瘍細胞は、聴神経腫細胞;星状細胞腫細胞(例え
ば、グレードIの毛様細胞性星状細胞腫細胞、グレードIIの低悪性度星状細胞腫細胞;グレ
ードIIIの未分化星状細胞腫細胞;もしくはグレードIVの多形性膠芽腫細胞);脊索腫細胞;
頭蓋咽頭腫細胞;神経膠腫細胞(例えば、脳幹神経膠腫細胞;上衣腫細胞;混合性神経膠腫細
胞;視神経神経膠腫細胞;もしくは上衣下腫細胞);膠芽腫細胞;髄芽腫細胞;髄膜腫細胞;転
移性脳腫瘍細胞;乏突起膠腫細胞;松果体芽腫細胞;下垂体部腫瘍細胞;未分化神経外胚葉性
腫瘍細胞;又は神経鞘腫細胞である。別の実施態様において、腫瘍細胞は、前立腺癌細胞
である。
【0363】
本明細書で使用されるように、「治療的に有益な」及び「治療的利益」には、例えば、
腫瘍のサイズの低下;腫瘍の増殖の軽減又は停止;転移性疾患の軽減又は予防;単位容積当
たりの、組織試料、例えば、血液試料中の癌細胞の数の低下;該個体が有する特定の癌又
は腫瘍の任意の症状の臨床的改善、該個体が有する特定の癌の任意の症状の悪化の軽減又
は停止などが含まれるが、これらに限定されない。
【0364】
(5.10.3. NK細胞及び他の抗癌剤を用いた癌の治療)
本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、例えば、本明細書に記載される
3段階法を用いて産生されるNK細胞集団を用いた、癌を有する個体の治療は、1以上の他の
抗癌剤を含む抗癌治療レジメンの一部であることができる。さらに又は代わりに、本明細
書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞を用いた、癌を有する個体の治療を用いて
、1以上の他の抗癌剤を含む抗癌療法を補完することができる。そのような抗癌剤は当技
術分野で周知であり、これには、抗炎症剤、免疫調節剤、細胞毒性剤、癌ワクチン、化学
療法薬、HDAC阻害剤、及びsiRNAが含まれる。本明細書に記載される方法を用いて産生さ
れるNK細胞、及び任意に灌流液、灌流液細胞、本明細書に記載される方法を用いて産生さ
れるNK細胞以外のナチュラルキラー細胞に加えて、癌を有する個体、例えば、腫瘍細胞を
有する個体に投与し得る具体的な抗癌剤としては、限定されないが:アシビシン;アクラル
ビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アドリアマイシン;アドルシル;アル
デスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムサクリン;アナ
ストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ(例えば、エルウィニア・クリサン(Er
winia chrysan)由来のもの;エルウィナーゼ(Erwinaze));アスペルリン;アバスチン(ベバ
シズマブ);アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカル
タミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブ
レキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラ
セミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデ
フィンゴール;セレコキシブ(COX-2阻害剤);セルビジン(Cerubidine);クロラムブシル;シ
ロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド
;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソル
マプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビ
シン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ド
ロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロミチン;エルサミトルシ
ン;エルスパー(Elspar);エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビ
シン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナト
リウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトポフォス(Etopophos);エトプ
リン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フル
ダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;
ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;イダマイシン(Idamycin);塩酸イダルビ
シン;イホスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢
酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナ
トリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロ
レタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メル
カプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;
ミチンドミド;マイトカルシン;マイトクロミン;マイトギリン;マイトマルシン;マイトマ
イシン;マイトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;
ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリ
オマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポ
スルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウ
ム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;プロロイキン(Proleukin
);プリネトール(Purinethol);ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;
リューマトレックス(Rheumatrex);リボプリン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セム
スチン;シムトラゼン;スパルホセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニ
ウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェ
ヌル;タブロイド(Tabloid);タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテール;テガフ
ール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;
チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トポサル(Toposar);
クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;トレキサル(Trexall);リン酸トリシリビン;ト
リメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;
ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫
酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;
硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾー
ル;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルビシンが挙げられる。
【0365】
他の抗癌薬としては、限定されないが: 20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3; 5-アザ
シチジン; 5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペ
ノール;アドゼレシン;アルデスロイキン; ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバ
ムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;ア
ナグレリド;アナストロゾール;アンドログラフォリド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;
アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立
腺癌;抗エストロゲン剤;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィ
ジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子調節物質;アポトーシス調節因子;アプリン酸;
ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン
;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン
;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット; BCR/ABLアンタゴニス
ト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン;βクラ
マイシンB;ベツリン酸; bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペ
ルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビセレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタ
ン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトサール(カン
プトとも呼ばれる;イリノテカン)カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド-
アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール; CaRest M3; CARN700;軟骨由来阻
害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン; CC-122; CC-48
6;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロ
スト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマ
イシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン
;クラムベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;ク
ラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホス
フェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデンミ
ンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパ
ミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシ
チジン;ジヒドロタキソール、9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキ
セル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;
ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレ
コロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラ
ムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;
リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィ
ルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フル
ダラビン(例えば、Fludara);塩酸フルオロダウノルニシン;フォルフェニメックス;フォル
メスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム
;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘ
プスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸
;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニ
ブ(例えば、GLEEVEC(登録商標))、イミキモド;免疫刺激性ペプチド;インスリン様成長因
子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イ
オベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4-;イロプラクト;イルソグラジン
;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラ
リドF;ラメラリン-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸
レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン
;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミソール;リアロ
ゾール;直鎖ポリアミン類似体;脂溶性二糖ペプチド;脂溶性白金化合物;リッソクリナミド
7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソ
リビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタ
ンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリライシン阻害
剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチ
オニナーゼ;メトクロプラミド; MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチ
ム;マイトグアゾン;マイトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキ
シン線維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;
抗EGFR抗体(例えば、Erbitux(セツキシマブ));抗CD19抗体;抗CD20抗体(例えば、リツキシ
マブ);抗ジシアロガングリオシド(GD2)抗体(例えば、モノクローナル抗体3F8又はch14>18
);抗ErbB2抗体(例えば、ハーセプチン);ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン;モノホスホリル脂
質A+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マ
イコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン; N-アセチルジナリン; N-置換ベンズアミド;
ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナル
トグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;一酸
化窒素調節物質;窒素酸化物酸化防止剤;ニトルリン;オブリメルセン(GENASENSE(登録商標
)); O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリス
トン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導因子;オルマ
プラチン;オサテロン;オキサリプラチン(例えば、Floxatin);オキサウノマイシン;パクリ
タキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾ
キシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペ
ガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾ
ール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸
フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリト
レキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金
化合物;白金トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン
;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに
基づく免疫調節物質;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類
;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;
プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン抱合体
; rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン; rasファルネシルタンパク質トラ
ンスフェラーゼ阻害剤; ras阻害剤; ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe
186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム; RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロ
キニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン; SarCNU;サルコ
フィトールA;サルグラモスチム; Sdi 1模倣剤;セムスチン;老化誘導阻害剤1;センスオリ
ゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテ
イト;酢酸フェニルナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;
スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;
スクアラミン;スチピアミド;ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作用性
小腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモ
キシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;
テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオ
キシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイ
エチン模倣剤;チマルファシン;チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺
激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン
;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメト
レキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チ
ルホスチン; UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体ア
ンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB; Vectibix(パニツムマブ)ベラレソール;ベラミ
ン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;
Welcovorin(ロイコボリン); Xeloda(カペシタビン);ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコ
ルブ;及びジノスタチンスチマラマーが挙げられる。
【0366】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞を
用いた、癌を有する個体の治療は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)に対する抗癌
療法レジメンの一部である。一実施態様において、ADCCレジメンは、本明細書に記載され
る方法を用いて産生されるNK細胞と組み合わせた、1以上の抗体(例えば、前述の段落に記
載されている抗体)の投与を含む。限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)又は他
のB細胞悪性腫瘍(リンパ腫及び白血病)、神経芽腫、黒色腫、乳癌、並びに頭頸部癌を含
む、数種類の癌を、そのようなADCC法を用いて治療することができる。具体的な実施態様
において、ADCC療法は、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と組み合わ
せた、以下の抗体、抗EGFR抗体(例えば、Erbitux(セツキシマブ))、抗CD19抗体、抗CD20
抗体(例えば、リツキシマブ)、抗ジシアロガングリオシド(GD2)抗体(例えば、モノクロー
ナル抗体3F8もしくはch14>18)、又は抗ErbB2抗体(例えば、ハーセプチン)のうちの1つ又
は複数の投与を含む。一実施態様において、ADCCレジメンは、本明細書に記載される方法
を用いて産生されるNK細胞と組み合わせた抗CD33抗体の投与を含む。一実施態様において
、ADCCレジメンは、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と組み合わせた
抗CD20抗体の投与を含む。一実施態様において、ADCCレジメンは、本明細書に記載される
方法を用いて産生されるNK細胞と組み合わせた抗CD138抗体の投与を含む。一実施態様に
おいて、ADCCレジメンは、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と組み合
わせた抗CD32抗体の投与を含む。
【0367】
(5.10.4.ウイルス感染の治療)
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、ウイルス感染を有する個体を治療
する方法であって、該個体に、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、例
えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団の治療有効量を投与
することを含む、方法である。ある実施態様において、該個体は、ナチュラルキラー細胞
の欠損、例えば、該個体のウイルス感染に対して活性があるNK細胞の欠損を有する。ある
具体的な実施態様において、該投与することは、該個体に、単離された胎盤灌流液、単離
された胎盤灌流液細胞、単離されたナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤ナチュラルキラ
ー細胞、例えば、胎盤由来中間ナチュラルキラー細胞、単離され、組み合わされたナチュ
ラルキラー細胞、及び/又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数を投与することをさらに
含む。ある具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK
細胞を、該投与の前に、免疫調節化合物、例えば、上記の免疫調節化合物、又はサリドマ
イドと接触又は近接させる。ある他の具体的な実施態様において、該投与することは、本
明細書に記載される方法を用いて産生される該NK細胞に加えて、免疫調節化合物、例えば
、上記の免疫調節化合物、又はサリドマイドを、該個体に投与することを含み、ここで、
該量は、例えば、該ウイルス感染の1以上の症状の検出可能な改善、該症状の進行の軽減
、又は該症状の消失をもたらす量である。具体的な実施態様において、ウイルス感染は、
アデノウイルス科、ピコルナウイルス科、ヘルペスウイルス科、ヘパドナウイルス科、フ
ラビウイルス科、レトロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、
パピローマウイルス科、ラブドウイルス科、又はトガウイルス科ファミリーのウイルスに
よる感染である。より具体的な実施態様において、該ウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス
(HIV)、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス(HAV)、ポリオウイルス、エプスタイン
・バーウイルス(EBV)、単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV2
)、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV8)、帯状疱疹(herpes
zoster)ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)もしくは帯状疱疹(shingles)ウイルス)、B
型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス
(HEV)、インフルエンザウイルス(例えば、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエン
ザウイルス、C型インフルエンザウイルス、もしくはトゴトウイルス)、麻疹ウイルス、流
行性耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス、パピローマウイルス、狂犬病ウイ
ルス、又は風疹ウイルスである。
【0368】
他のより具体的な実施態様において、該ウイルスは、アデノウイルス種A、血清型12、1
8、もしくは31;アデノウイルス種B、血清型3、7、11、14、16、34、35、もしくは50;アデ
ノウイルス種C、血清型1、2、5、もしくは6;種D、血清型8、9、10、13、15、17、19、20
、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、33、36、37、38、39、42、43、44、45、46
、47、48、49、もしくは51;種E、血清型4;又は種F、血清型40もしくは41である。
【0369】
ある他のより具体的な実施態様において、該ウイルスは、アポイウイルス(APOIV)、ア
ロアウイルス(AROAV)、バガザウイルス(BAGV)、バンジウイルス(BANV)、ブブイウイルス(
BOUV)、カシパコレウイルス(CPCV)、カレイ島ウイルス(CIV)、カウボーンリッジウイルス
(CRV)、デングウイルス(DENV)、エッジヒルウイルス(EHV)、ガジェッツガリーウイルス(G
GYV)、イルヘウスウイルス(ILHV)、イスラエルターキー髄膜脳脊髄炎ウイルス(ITV)、日
本脳炎ウイルス(JEV)、ジュグラウイルス(JUGV)、ジュチアパウイルス(JUTV)、カダムウ
イルス(KADV)、ケドゥグウイルス(KEDV)、ココベラウイルス(KOKV)、コウタンゴウイルス
(KOUV)、キャサヌル森林病ウイルス(KFDV)、ランガトウイルス(LGTV)、メアバンウイルス
(MEAV)、モドックウイルス(MODV)、モンタナ筋炎白質脳炎ウイルス(MMLV)、マレー渓谷脳
炎ウイルス(MVEV)、ウンタヤウイルス(NTAV)、オムスク出血熱ウイルス(OHFV)、ポワサン
ウイルス(POWV)、リオブラボーウイルス(RBV)、ロイヤルファームウイルス(RFV)、サボヤ
ウイルス(SABV)、セントルイス脳炎ウイルス(SLEV)、サルビエハウイルス(SVV)、サンペ
ルリタウイルス(SPV)、ソーマレズリーフウイルス(SREV)、セピックウイルス(SEPV)、テ
ンブスウイルス(TMUV)、ダニ媒介型脳炎ウイルス(TBEV)、チュレニーウイルス(TYUV)、ウ
ガンダSウイルス(UGSV)、ウスツウイルス(USUV)、ウェセルスブロンウイルス(WESSV)、西
ナイルウイルス(WNV)、ヤウンデウイルス(YAOV)、黄熱病ウイルス(YFV)、ヨコセウイルス
(YOKV)、又はジカウイルス(ZIKV)である。
【0370】
他の実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、及び任
意に胎盤灌流液及び/又は灌流液細胞を、ウイルス感染を有する個体に、1以上の他の抗ウ
イルス剤を含む抗ウイルス治療レジメンの一部として投与する。ウイルス感染を有する個
体に投与し得る具体的な抗ウイルス剤としては:イミキモド、ポドフィロックス、ポドフ
ィリン、インターフェロンアルファ(IFNα)、レチコロス、ノノキシノール-9、アシクロ
ビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル;アマンタジ
ン、リマンタジン;リバビリン;ザナマビル及びオセルタミビル;プロテアーゼ阻害剤、例
えば、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、もしくはサキナビル;ヌクレオシド
逆転写酵素阻害剤、例えば、ジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビン;又は
ジドブジン;並びに非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えば、ネビラピンもしくはエフ
ァビレンツが挙げられるが、これらに限定されない。
【0371】
(5.10.5.投与)
細胞、例えば、胎盤灌流液細胞、例えば、胎盤灌流液由来の有核細胞、組み合わされた
ナチュラルキラー細胞、及び/又は単離されたナチュラルキラー細胞、例えば、本明細書
に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団の数の決定、並びに免疫調節化合物
、例えば、免疫調節化合物、又はサリドマイドの量の決定は、互いに独立に行うことがで
きる。
【0372】
単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、全身性又は局所性であり得る。具
体的な実施態様において、投与は、非経口的である。具体的な実施態様において、対象へ
の単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、注射、注入、静脈内(IV)投与、大
腿骨内投与、又は腫瘍内投与によるものである。具体的な実施態様において、対象への単
離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、装置、マトリックス、又はスキャフォ
ールドを用いて行われる。具体的な実施態様において、対象への単離されたNK細胞集団又
はその医薬組成物の投与は、注射によるものである。具体的な実施態様において、対象へ
の単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、カテーテルによるものである。具
体的な実施態様において、NK細胞の注射は、局所注射である。より具体的な実施態様にお
いて、局所注射は、固形腫瘍(例えば、肉腫)に直接のものである。具体的な実施態様にお
いて、対象への単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、注射器による注射に
よるものである。具体的な実施態様において、対象への単離されたNK細胞集団又はその医
薬組成物の投与は、ガイド下送達によるものである。具体的な実施態様において、注射に
よる対象への単離されたNK細胞集団又はその医薬組成物の投与は、腹腔鏡検査、内視鏡検
査、超音波、コンピュータ断層撮影、磁気共鳴、又は放射線検査によって支援される。
【0373】
(5.10.5.1.細胞の投与)
ある実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、例えば
、本明細書に記載される3段階法を用いて産生されるNK細胞集団を、ウイルス感染、癌、
又は腫瘍細胞を有する個体、例えば、腫瘍細胞、固形腫瘍、又は血液癌を有する個体、例
えば、癌患者に対して検出可能な治療的利益をもたらす任意の量又は数、例えば、有効量
で、該個体に使用する、例えば、投与する。そのような細胞を、そのような個体に、細胞
の絶対数で投与することができ、例えば、該個体に、約、少なくとも約、又は多くとも約
1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109
1×1010、5×1010、又は1×1011個の本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細
胞で投与することができる。他の実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて
産生されるNK細胞を、そのような個体に、細胞の相対数で投与することができ、例えば、
該個体に、該個体のキログラム当たり約、少なくとも約、又は多くとも約1×105、5×105
、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×10
10、又は1×1011個の本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞で投与するこ
とができる。他の実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細
胞を、そのような個体に、細胞の相対数で投与することができ、例えば、該個体に、該個
体のキログラム当たり約、少なくとも約、又は多くとも約1×105、5×105、1×106、5×1
06、1×107、5×107、1×108、又は5×108個の本明細書に記載される方法を用いて産生さ
れるNK細胞で投与することができる。本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細
胞を、そのような個体に、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞並びに任
意に胎盤灌流液細胞及び/又は本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞以外
のナチュラルキラー細胞の数と該個体内の腫瘍細胞の数(例えば、推定数)との近似比に従
って投与することができる。例えば、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細
胞を、該個体に、該個体内の腫瘍細胞の数に対して約、少なくとも約、又は多くとも約1:
1、1:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、4
0:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、又は100:1
の比で投与することができる。そのような個体内の腫瘍細胞の数は、例えば、該個体由来
の組織の試料、例えば、血液試料、生検などにおける腫瘍細胞の数を計数することによっ
て推定することができる。例えば、固形腫瘍についての具体的な実施態様において、該計
数することを、腫瘍(単数又は複数)のイメージングと組み合わせて行い、おおよその腫瘍
容積を得る。具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生される
NK細胞、任意に、胎盤灌流液細胞及び/又は本明細書に記載される方法を用いて産生され
るNK細胞以外のナチュラルキラー細胞に加えて、免疫調節化合物又はサリドマイド、例え
ば、免疫調節化合物又はサリドマイドの有効量を個体に投与する。
【0374】
ある実施態様において、例えば、個体内の腫瘍細胞の増殖を抑制する方法;個体のナチ
ュラルキラー細胞の欠損を有する個体の治療;又はウイルス感染を有する個体の治療;又は
癌を有する個体、例えば、腫瘍細胞、血液癌、もしくは固形腫瘍を有する個体の治療は、
該腫瘍細胞を、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と胎盤灌流液及び/
もしくは胎盤灌流液細胞のうちの1つもしくは複数の組合せと近接させること、又は該個
体に、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と胎盤灌流液及び/もしくは
胎盤灌流液細胞のうちの1つもしくは複数の組合せを投与することを含む。具体的な実施
態様において、該方法は、腫瘍細胞を免疫調節化合物もしくはサリドマイドと近接させる
こと、又は該個体に免疫調節化合物もしくはサリドマイドを投与することをさらに含む。
【0375】
具体的な実施態様において、例えば、個体のナチュラルキラー細胞の欠損(例えば、NK
細胞の数の欠損、又は癌、腫瘍、もしくはウイルス感染細胞に対するNK細胞の反応性の欠
損)を有する個体の治療;或いは癌又はウイルス感染を有する個体の治療、或いは腫瘍細胞
増殖の抑制は、該腫瘍細胞を、単離された胎盤灌流液細胞もしくは胎盤灌流液が補充され
た本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と近接させること、又は該個体に
、単離された胎盤灌流液細胞もしくは胎盤灌流液が補充された本明細書に記載される方法
を用いて産生されるNK細胞を投与することを含む。具体的な実施態様において、1ミリリ
ットル当たり約1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1
×108、5×108個、もしくはそれより多くの本明細書に記載される方法を用いて産生され
るNK細胞、又は1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1
×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011個、もしくはそれより多く
の本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞に、1ミリリットル当たり約、又
は少なくとも約1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1
×108、5×108個、もしくはそれより多くの単離された胎盤灌流液細胞、又は1×104、5×
104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×
109、1×1010、5×1010、1×1011個、もしくはそれより多くの単離された胎盤灌流液細胞
を補充する。他のより具体的な実施態様において、約1×104、5×104、1×105、5×105
1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108個、もしくはそれより多くの本明細書
に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、又は1×104、5×104、1×105、5×105、1
×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010
、1×1011個、もしくはそれより多くの本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK
細胞に、約、もしくは少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、3
5、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350
、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、もしくは1000mLの灌
流液、又は約1ユニットの灌流液を補充する。
【0376】
別の具体的な実施態様において、個体のナチュラルキラー細胞の欠損を有する個体の治
療;癌を有する個体の治療;ウイルス感染を有する個体の治療、又は腫瘍細胞増殖の抑制は
、該腫瘍細胞を、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と近接させること
、又は該個体に、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞を投与することを
含み、ここで、該細胞には、接着性胎盤細胞、例えば、接着性胎盤幹細胞又は寡能性細胞
、例えば、CD34-、CD10+、CD105+、CD200+組織培養プラスチック接着性胎盤細胞が補充さ
れる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞
に、1ミリリットル当たり約1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107
、5×107、1×108、5×108個、もしくはそれより多くの接着性胎盤幹細胞、又は1×104
5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109
5×109、1×1010、5×1010、1×1011個、もしくはそれより多くの接着性胎盤細胞、例え
ば、接着性胎盤幹細胞もしくは寡能性細胞を補充する。
【0377】
別の具体的な実施態様において、個体のナチュラルキラー細胞の欠損を有する個体の治
療;癌を有する個体の治療;ウイルス感染を有する個体の治療、又は腫瘍細胞増殖の抑制を
、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞と組み合わせた免疫調節化合物又
はサリドマイドを用いて行い、ここで、該細胞には、馴化培地、例えば、CD34-、CD10+
CD105+、CD200+組織培養プラスチック接着性胎盤細胞で馴化された培地、例えば、灌流液
1ユニット当たり、又は104、105、106、107、108、109、1010、もしくは1011個の本明細
書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞当たり、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、
0.1、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mLの幹細胞馴化培養培地が補充される。
ある実施態様において、該組織培養プラスチック接着性胎盤細胞は、その開示が引用によ
り完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第7,468,276号及び米国特許出願公開第200
7/0275362号に記載されている寡能性接着性胎盤細胞である。別の具体的な実施態様にお
いて、該方法は、該腫瘍細胞を免疫調節化合物もしくはサリドマイドと近接させるか、又
は該個体に免疫調節化合物もしくはサリドマイドを投与することをさらに含む。
【0378】
別の具体的な実施態様において、本明細書に記載される方法を用いて産生される該NK細
胞に胎盤灌流液細胞が補充される、個体のナチュラルキラー細胞の欠損を有する個体の治
療;癌を有する個体の治療;ウイルス感染を有する個体の治療、又は腫瘍細胞増殖の抑制で
は、該灌流液細胞を、該近接させることの前に、一定期間、インターロイキン-2(IL-2)と
近接させる。ある実施態様において、該一定期間は、該近接させることの前の約、少なく
とも、又は多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26
、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、又は48時間である。
【0379】
本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、及び任意に灌流液又は灌流液細
胞を、一連の抗癌療法の間に1回、ウイルス感染を有する個体、癌を有する個体、もしく
は腫瘍細胞を有する個体に投与することができるか;或いは治療の間に複数回、例えば、1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、も
しくは23時間に1回、又は1、2、3、4、5、6、もしくは7日に1回、又は1、2、3、4、5、6
、7、8、9、10、24、36週間、もしくはそれより長い期間に1回投与することができる。細
胞及び免疫調節化合物又はサリドマイドを用いる実施態様において、該免疫調節化合物又
はサリドマイド、及び細胞又は灌流液を、該個体に、一緒に、例えば、同じ製剤中で;別
々に、例えば、別々の製剤中で、ほぼ同時に投与することができるか;又は別々に、例え
ば、異なる投与スケジュールで、もしくは1日の異なる時間に投与することができる。同
様に、細胞及び抗ウイルス化合物もしくは抗癌化合物を用いる実施態様において、該抗ウ
イルス化合物又は抗癌化合物、及び細胞又は灌流液を、個体に、一緒に、例えば、同じ製
剤中で;別々に、例えば、別々の製剤中で、ほぼ同時に投与することができるか;又は別々
に、例えば、異なる投与スケジュールで、もしくは1日の異なる時間に投与することがで
きる。本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、及び灌流液又は灌流液細胞
を、本明細書に記載される方法を用いて産生されるNK細胞、灌流液、又は灌流液細胞が過
去に該個体に投与されたことがあるかどうかということには関係なく、投与することがで
きる。
【0380】
(6.キット)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載さ
れる方法によって産生されるNK細胞、例えば、本明細書に記載される3段階法を用いて産
生されるNK細胞集団を含む組成物のうちの1つ又は複数を充填した1以上の容器を含む医薬
パック又はキットである。そのような容器(複数可)には、医薬品又は生物学的製剤の製造
、使用、又は販売を規制する政府機関によって定められた形での注意書きが任意に関連付
けられることがあり、この注意書きは、該機関による、ヒト投与のための製造、使用、又
は販売の認可を示すものである。
【0381】
本明細書に包含されるキットは、本明細書に記載される方法、例えば、腫瘍細胞の成長
を抑制する方法、及び/又は癌、例えば、血液癌を治療する方法、及び/又はウイルス感染
を治療する方法に従って使用することができる。一実施態様において、キットは、1以上
の容器中に、本明細書に記載される方法によって産生されるNK細胞、又はその組成物を含
む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される3段
階法によって産生されるNK細胞集団、又はその組成物を含むキットである。
【実施例0382】
(7.実施例)
(7.1.実施例1:造血幹細胞又は前駆細胞からナチュラルキラー細胞を産生する3段階法)
CD34+細胞を、以下の培地製剤中で、示された日数、培養し、細胞のアリコートを、細
胞数、細胞生存の評価、ナチュラルキラー細胞分化の特徴解析、及び機能評価のために採
取する。
【0383】
(第1段階の培地): 4.5U/mLの低分子量ヘパリン(LMWH)、25ng/mLの組換えヒトトロンボポ
エチン(TPO)、25ng/mLの組換えヒトFlt3L、27ng/mLの組換えヒト幹細胞因子(SCF)、25ng/
mLの組換えヒトIL-7、0.05ng/mLの組換えヒトIL-6(500倍)、0.25ng/mLの組換えヒト顆粒
球コロニー刺激因子(G-CSF)(50倍)、0.01ng/mLの組換えヒト顆粒球マクロファージコロニ
ー刺激因子(GM-CSF)(500倍)、0.10%ゲンタマイシン、及び1~10μmのStemRegenin-1(SR-
1)が補充された、90%幹細胞成長培地(SCGM)(CellGro(登録商標))、10%ヒト血清-AB。
【0384】
(第2段階の培地): 4.5U/mLの低分子量ヘパリン(LMWH)、25ng/mLの組換えヒトFlt3L、27ng
/mLの組換えヒトSCF、25ng/mLの組換えヒトIL-7、20ng/mLの組換えヒトIL-15、0.05ng/mL
の組換えヒトIL-6(500倍)、0.25ng/mLの組換えヒトG-CSF(50倍)、0.01ng/mLの組換えヒト
GM-CSF(500倍)、0.10%ゲンタマイシン、及び1~10μmのSR1が補充された、90%SCGM、10
%ヒト血清-AB。
【0385】
(第3段階の培地): 22ng/mLの組換えヒトSCF、1000U/mLの組換えヒトIL-2、20ng/mLの組換
えヒトIL-7、20ng/mLの組換えヒトIL-15、0.05ng/mLの組換えヒトIL-6(500倍)、0.25ng/m
Lの組換えヒトG-CSF(50倍)、0.01ng/mLの組換えヒトGM-CSF(500倍)、及び0.10%ゲンタマ
イシンが補充された、90%STEMMACS(商標)、10%ヒト血清-AB、0.025mMの2-メルカプトエ
タノール(55mM)。
【0386】
細胞を、0日目に、3×104細胞/mLで、第1段階の培地に播種し、細胞を、純度について
はCD34+及びCD45+カウントにより、及び生存については7AAD染色により試験する。5日目
に、細胞を計数し、1×105細胞/mLの濃度になるように第1段階の培地とともに播種する。
7日目に、細胞を計数し、1×105細胞/mLの濃度になるように第1段階の培地とともに播種
する。
【0387】
10日目に、細胞を計数し、1×105細胞/mLの濃度になるように第2段階の培地に播種する
。12日目に、細胞を計数し、3×105細胞/mLの濃度になるように第2段階の培地に播種する
【0388】
或いは、以下のプロトコルを14日目まで使用する:細胞を、0日目に、7.5×103細胞/mL
で、第1段階の培地に播種し、細胞を、純度についてはCD34+及びCD45+カウントにより、
及び生存については7AAD染色により試験する。7日目に、細胞を計数し、3×105細胞/mLの
濃度になるように第1段階の培地とともに播種する。9日目に、細胞を計数し、3×105細胞
/mLの濃度になるように第2段階の培地とともに播種する。12日目に、細胞を計数し、3×1
05細胞/mLの濃度になるように第2段階の培地に播種する。
【0389】
スピナーフラスコ中での動的分化のために、14日目に、細胞を遠心分離して濃縮し、計
数し、5×105細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種する。17日目に、細胞を遠
心分離し、計数し、7.5×105細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種する。21日
目に、細胞を遠心分離し、計数し、CD56、CD3、CD16、及びCD94について表現型を解析し
、7AAD染色により生存をアッセイし、1×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に
播種する。24日目に、細胞を計数し、1×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に
播種する。25~27日目まで、容積を1日当たり5mLの第3段階の培地で追加する。28日目に
、細胞を計数し、1×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種する。31日目に
、細胞を計数し、1×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種する。32~34日
目まで、容積を1日当たり5mLの第3段階の培地で追加する。35日目に、細胞を回収し、計
数し、表現型を解析し、細胞傷害性についてアッセイする。
【0390】
静的分化のために、14日目に、細胞を遠心分離して濃縮し、計数し、3×105細胞/mLの
濃度になるように第3段階の培地に播種する。17日目に、細胞を計数し、3×105細胞/mLの
濃度になるように第3段階の培地に播種する。19日目に、細胞を計数し、3×105細胞/mLの
濃度になるように第3段階の培地に播種する。21日目に、細胞を遠心分離し、計数し、CD5
6、CD3、CD16、及びCD94について表現型を解析し、7AAD染色により生存をアッセイし、5
×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種する。24日目に、細胞を遠心分離
し、計数し、7.5×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種する。26日目に、
細胞を計数し、7.5×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種する。28日目に
、細胞を計数し、1×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種する。31日目に
、細胞を遠心分離し、計数し、1×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の培地に播種す
る。33日目に、細胞を遠心分離し、計数し、1×106細胞/mLの濃度になるように第3段階の
培地に播種する。35日目に、細胞を回収し、計数し、表現型を解析し、細胞傷害性につい
てアッセイする。
【0391】
回収のために、細胞を400×gで7分間スピンし、その後、ペレットを等量のプラズマラ
イトAに懸濁させる。この懸濁液を400×gで7分間スピンし、得られたペレットを、目標細
胞濃度で、10%HSA(w/v)、60%プラズマライトA(v/v)に懸濁させる。その後、細胞を70μ
mメッシュに通して漉し、最終容器を満たし、細胞のアリコートを、生存、細胞傷害性、
純度、及び細胞数について試験し、残りをパッケージングする。
【0392】
(7.2.実施例2: 3段階法におけるSR-1及びCH223191の濃度の評価)
Stemregenin-1(SR-1)を、段階1及び第2段階の培地の成分として、上の実施例1で概説し
た3段階法を用いて、1μM、10μM、及び30μMの濃度で評価した。3段階法における同じ濃
度のCH223191も評価した。10μMのSR-1は、試験した他の2つの濃度よりも高い細胞傷害性
をもたらした。10:1(E:T)の比でのK562細胞の増殖倍率、細胞純度(CD56+CD3-)、及び細胞
傷害性に対する同程度の効果が、SR-1及びCH223191について、10μMと1μMの両方の濃度
で認められた(図1A~C)。また、SR-1とCH223191はどちらも、7日目及び14日目のCD34の発
現に関する同様の効果及び傾向を示した。
【0393】
(7.3.実施例3: 3段階NK細胞の特徴解析)
(方法)
【0394】
UCB CD34+細胞を、トロンボポエチン、SCF、Flt3リガンド、IL-7、IL-15、及びIL-2を
含むサイトカインの存在下で、35日間培養して、実施例1に記載されている3段階NK細胞を
産生した。マルチカラーフローサイトメトリーを用いて、3段階NK細胞の表現型特徴を決
定した。35個のNKサブタイプ及び他の表面マーカー(表1参照)を利用した11種の6-マーカ
ーパネルを評価した。
【0395】
表1. 3段階NK細胞の表現型特徴を評価するために使用された、35個のNKサブタイプ表面マ
ーカーを含む表面マーカー。
【表1】
【0396】
3段階NK細胞を腫瘍細胞株と4時間共培養することにより、細胞傷害性アッセイを実施し
た。さらに、上清を回収して、分泌されたパーフォリン、グランザイム、及びサイトカイ
ンを解析した。
【0397】
細胞溶解活性をさらに調べるために、免疫シナプス形成をモニタリングした。NK感受性
標的細胞(K562、慢性骨髄性白血病細胞)をCellTracker Violet(Life Techology)で標識し
た。等しい容量及び細胞数のNKエフェクター細胞(1×106/ml)及び標的細胞を、カバース
ライド上で、37℃で15分間、培養培地に懸濁させることにより、NK細胞/標的細胞コンジ
ュゲートを形成させた。その後、細胞を3%メタノール不含ホルムアルデヒドで固定し、
透過処理した。F-アクチンをAlexa-488コンジュゲートファロイジン(Life Techology)で
染色した。パーフォリン、CD2、又はLFA-1抗体とF-アクチンとの共染色のために、スライ
ドを一次抗体とともに1時間インキュベートし、その後、Alexa Fluor 555色素コンジュゲ
ートヤギ抗ウサギ二次抗体(Life Technology)を添加した。Leica SP8 LIAchroicsコンパ
クトユニットを2 HyD検出器が装備された倒立型DMI 6000顕微鏡とともに用いて、共焦点
イメージングを実施した。
【0398】
(結果)
【0399】
実施例1に記載されている培養プロセスを用いて、高純度のCD3-CD56+NK細胞集団(88.3
%±6.3%)をルーチンに獲得した。3段階NK細胞は、CD16及びKIRの発現が低い/陰性であ
ることから明らかなように、発生的に中間の免疫表現型を示した。3段階NK細胞は、ナチ
ュラル細胞傷害性受容体(NKp30、NKp46、及びNKp44)、c-レクチン受容体(CD94、NKG2D、
及びCD161)、DNAM-1、2B4、CD117、並びにCD11aを発現していた(図2)。細胞溶解メディエ
ーター(パーフォリン及びグランザイム)、並びにNK細胞成熟及び細胞溶解機能の調節因子
であるEOMESも3段階NK細胞で検出された(図2)。
【0400】
3段階NK細胞は、血液腫瘍細胞株に対する細胞傷害性をインビトロで示した。10:1のエ
フェクター対標的比で、3段階NK細胞は、CML(K562、70.3%±14.8%)、AML(HL-60、31.0
%±17.8%)、及び多発性骨髄腫(RPMI8266、32.4%±19.5%)を含む細胞株に対する溶解
を及ぼした(図3)。3段階NK細胞は、高いパーフォリン産生及び高い顆粒度も示した(図4)
。K562細胞と1:1の比で24時間共培養したとき、3段階NK細胞は、IFNγ、TNFα、及びGM-C
SFを含む機能的サイトカインを産生した(図5及び表2)。
【0401】
表2. 3段階NK細胞は、K562細胞と1:1で24時間共培養したとき、機能的サイトカインを産
生する。
【表2】
【0402】
1:1のエフェクター対標的(E:T)比で、共焦点イメージングにより、3段階NK細胞が、腫
瘍細胞と接触したとき、パーフォリンの極性化を伴ってF-アクチン免疫シナプスを形成し
(図6A~B)、高い細胞溶解活性を示すことが明らかになった。
【0403】
さらに、抗CD20(リツキシマブ、10μg/mL)の存在下で、Daudi細胞(バーキットリンパ腫
、NK殺傷に対して抵抗性があるリンパ芽球細胞株)に対する3段階NK細胞の細胞傷害性は、
7.3%±8.0%から35.1%±5.7%に増大し、強力な抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC
)を示した。
【0404】
(7.4.実施例4: 3段階NK細胞のさらなる特徴解析)
図7に示すように、様々なエフェクター対標的比での、CML、AML、及び多発性骨髄腫細
胞(それぞれ、K562、HL-60、及びRPMI8226)に対する3段階NK細胞の細胞傷害性を調べた。
K562、HL60、又はPMA(ホルボール 12-ミリスチン酸 13-アセテート)の存在下では、脱顆
粒の指標である様々なレベルのCD107a発現が認められた(図8)。同様に、K562及びHL60細
胞株と共培養したとき、又はPMA刺激したとき、3段階NK細胞によるIFNγ産生の増加が認
められた(図9)。最大40%の比溶解が、初代AML標的の存在下、3:1のエフェクター対標的
比で、インキュベーションから24時間後に認められ、NK殺傷に対するAML標的の示差感受
性が認められた(図10)。広範囲のIFNγ産生レベルが、腫瘍細胞株及び初代標的、並びに3
段階NK細胞と初代AML標的の両方についてのドナー変異(variation)にわたって認められた
(図11)。
【0405】
表3に示すように、3段階NK細胞は、様々な腫瘍細胞株又は初代AML標的(AML1~4)の存在
下で、様々な細胞溶解酵素及びサイトカインを産生することが示された。
【0406】
表3.平均サイトカイン分泌(pg/1×106細胞)を様々な初代細胞及び腫瘍細胞に対する1:1の
エフェクター対標的比で示す。
【表3】
【0407】
まとめると、3段階NK細胞は、様々な腫瘍細胞株にわたる細胞溶解活性を示し、腫瘍細
胞と接触したとき、及びPMAによって活性化させられたとき、脱顆粒能を示し、かつ腫瘍
細胞と共培養したとき、又はPMAによって活性化させられたとき、IFNγ、パーフォリン、
グランザイムA、及びグランザイムBを分泌した。さらに、3段階NK細胞は、3:1のエフェク
ター対標的比で初代AML標的に対する24時間の細胞溶解活性を示し、かつ初代AML細胞に対
するIFNγ分泌能を示した。
【0408】
(7.5.実施例5: NOD/SCIDγヌルマウスにおける3段階NK細胞のインビボ特徴解析)
以下の実験により、NOD/SCIDγヌル(NSG)マウスをブスルファンで予め馴化させ、かつ
組換えヒト(h)IL-15タンパク質を補給するインビボモデルを用いて、3段階NK細胞が特徴
付けられた。3段階NK細胞を、45日間にわたるインビボでの3段階NK細胞の持続性、成熟、
及び生体分布、並びに3段階NK細胞を投与されたマウス由来の末梢血又は肝臓組織から単
離されたヒト細胞の(腫瘍細胞に対する)エクスビボでの抗腫瘍活性について解析した。
【0409】
(実験設計)
16~31グラムの範囲の6~12週齢の雄及び雌NOD/SCIDγヌル(NSG)マウスをこれらの実験
に利用した。NSGマウスは、30mg/kgのブスルファンで予め馴化させられてから24時間後に
、マウス1匹当たり10×106個の3段階NK細胞のIV注入を受けた。細胞投与後、1、7、14、2
1、28、及び45日目に、末梢血、脾臓、肝臓、及び骨髄を回収し、ヒトNK細胞マーカーの
存在について解析した。これらの組織内のヒトNK細胞を、ヒト(CD45+)NK細胞(CD56+CD3-)
上のNK成熟マーカー(CD16又はKIR)の表面発現解析を含むフローサイトメトリーによって
定量した。NK細胞絶対数を、末梢血中のNK細胞の頻度に全血球計算によるリンパ球数を乗
じることにより推定した。K562及びMA9.3Ras腫瘍細胞に対するコロニー阻害アッセイを用
いて、3段階NK細胞を投与されたプール動物組織から単離されたヒト細胞の抗腫瘍活性を
調べた。
【0410】
(結果)
全体的に、データは、3段階NK細胞の生存率及び純度が高いことを示した。図12に示す
ように、3段階NK細胞は、末梢血、骨髄、脾臓、及び肝臓で検出され、インビボ持続性は
、NSGマウスモデルでの養子移入から2週間後にピークに達した。末梢血、脾臓、肝臓、及
び骨髄で検出された3段階NK細胞は、ヒトIL-15の存在下で、NK成熟マーカーCD16(図13)及
びKIR(図14)の発現を示した。マウスのプール末梢血から単離されたヒト細胞は、3段階NK
細胞が14日目(最大インビボキメラ化時)にK562腫瘍細胞(図15)及びMA9.3 Ras腫瘍細胞(図
16)に対する頑強な抗腫瘍活性を示すことを示した。プールマウス肝臓から単離されたヒ
ト細胞もMA9.3Ras腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を示したが、この活性は、プール末梢血か
ら単離されたNK細胞から観察された活性よりも低かった。全体的に、投与されたマウスか
ら単離されたヒト細胞のエクスビボでの機能性が示された。
【0411】
(7.6.実施例6: AMLの治療としての3段階NK細胞の投与)
ある個体がAMLを示している。3段階NK細胞を、投与のために十分な数で、実施例1に記
載の通りに産生する。該個体に、本明細書に記載される投与の様式によって、3段階NK細
胞を投与する。投与後、該個体をAMLについて再評価する。
【0412】
(等価物:)
本発明は、本明細書に記載される具体的な実施態様によって範囲が限定されるべきでは
ない。実際、記載された変さらに加えて、本発明の様々な変更が、上の説明及び添付の図
面から当業者に明白となるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲内に含ま
れることが意図される。
【0413】
本明細書で引用された全ての参考文献は、各々の個々の刊行物、特許、又は特許出願が
、あらゆる目的のために、その全体として引用により具体的かつ個別に組み込まれること
が示される場合と同じ程度に、あらゆる目的のために、引用により完全に本明細書中に組
み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示を目的としたものであり、本発
明が先行発明を理由としてそのような刊行物に先行する資格がないという承認と解釈され
るべきではない。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に実質的に記載された、新規な物、方法及び製造方法。
【外国語明細書】