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特開2023-22051直流回路の故障を予測するための方法および装置
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  • 特開-直流回路の故障を予測するための方法および装置 図1
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  • 特開-直流回路の故障を予測するための方法および装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022051
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】直流回路の故障を予測するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022178021
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2019524884の分割
【原出願日】2017-11-16
(31)【優先権主張番号】62/422,762
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519138760
【氏名又は名称】スマートケーブル、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ、ダグラス エス.
(72)【発明者】
【氏名】ミュールマン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フリンダ、ラドバン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回路の状態を監視する新たな方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、特定タイプの回路(各々は多少異なる)について既知のベースライン信号を確立するステップと、波形の前縁角度成分および後縁角度成分(ゼロ交差点における)、電圧(振幅)、および周期(時間長)に関してこれらの特性を決定するステップとを含む。理想的には、方形波の角度成分は、垂直、またはX軸に対して90度であるべきである。電流、電圧、これらの任意の高調波、またはこれらの信号の組み合わせで構成されたベースラインの非正規の方形波は、監視されている特定タイプの回路に起因する予測測定を最もよく示す。未来の波形は、ベースライン信号および/または観測中の特定のスプライスの前の波形と比較されたときの、ゼロ交差点の角度成分、振幅成分、および周期成分の総計に基づいて減衰率を示す。減衰率は、特定の回路の予測寿命を求めるために予想される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC回路のライフサイクルを予測する方法であって、
a)生成されたDCパルス列のゼロ交差点における振幅比歪み、周期比変動、および持続時間比変動の特性に関して特定の構成の特定のDC回路についてのベースラインを確立するステップと、
b)使用されていたDC回路について、ゼロ点交差領域で、ステップ(a)で使用されたDC回路の同一の対応する比率および係数を監視し求めるステップと、
c)減衰率分析曲線を確立するためにステップ(a)およびステップ(b)の対応する比率および係数を比較するステップであって、これにより、減衰率分析が、前記DC回路の予測寿命の最後を確立し、故障までの推定時間を予測するために使用され得る、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
個別の回路が、独立型であるか、またはシステム内の回路のネットワークの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(c)が、分析中の回路の劣化率、および故障までの回路の予測寿命を示す減衰曲線を作成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)から得られるデータが、完全な故障の後に回路をトラブルシューティングするために利用され得る方法1。
【請求項5】
請求項1に記載の方法を実施するために適合された装置であって、
a)必要な場合に、必要な電力を生成するDC電源と、
b)パルス列を生成するパルス発生器と、
c)負パルス列を生成するパルスインバータと、
d)検査中の回路に特有のパルス波を生成する中央処理装置と、
e)パルス波が前記中央処理装置に送り返されるまで前記パルス波を記憶するためのメモリモジュールと、
f)減衰率分析曲線を作成するために比率、係数を求め、アルゴリズムを生成するための手段であって、前記減衰率分析曲線が、検査されているDC回路の予測寿命の最後を確立するために使用される、手段と
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC回路の未来の故障時期を予測するためにそのような技術を使用し、劣化の属性を監視して検証され分析される、電流を流すことができるDC回路に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な電気回路は、正常に動作するか、または故障する(オンまたはオフである)。これらのシステム内の配線が、典型的には故障の最大の可能性であり、これらのシステムの欠陥のトラブルシューティングには時間も費用もかかる。断続的なタイプの故障は、構成要素の損傷およびオペレータの極度のフラストレーションにつながる可能性がある。このタイプの故障モードは、自動車、航空機、および他の産業用または輸送用システムにおいて最も一般的である。私たちは、電池または他の電源で動作する直流(DC)システムを用いて、この新しい技術の焦点をこれらに合わせる。
【0003】
この技術は、故障状態になる前または断続的な欠陥モード中に故障を予測するために既存の電源を使用するように設計されている。これらのシステムは機器の動作には利用されないが、システムの完全性を判断するために一連のDCパルス(図1)が生成される。これらのシステムテストは短期間実行され、その結果は、「正常な」動作を参照するために記憶される。各連続データストリームは、標準的な警告のために中央処理装置(CPU)に提供され得る予測アルゴリズムを生成するために正常なデータに対して分析される。このアルゴリズムが重大な故障モードに至ると、安全性関連の巧妙なシャットダウンを開始することができる。
【0004】
酸化、湿気、接続不良、内部損傷、および外部破壊の典型的な故障モードは、システムが故障する前、人間の視覚によって発見される前、または既存の診断によってフィードバックが提供され得るようになる前に判断され得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、劣化について回路経路および副分岐を監視することによってDC回路の予測寿命を予測する方法を提供する。
【0006】
過去の従来技術は、良好な回路または不良な(故障した)回路を判断する手段のみを提供していた。これらのノー/ノーゴーテスト方法は、壊滅的な故障を防止するまたは予測寿命の時期を予測する手段を提供しない。
【0007】
回路の状態を監視する本発明の方法は、特定タイプの回路(各々は多少異なる)について既知のベースライン信号を確立するステップと、波形の前縁(リーディング・エッジ)角度成分および後縁(トレーリング・エッジ)角度成分(ゼロ交差点における)、電圧(振幅)、および周期(時間長)に関してこれらの特性を決定するステップとを含む。理想的には、方形波の角度成分は、垂直、またはX軸に対して90度であるべきである(図2)。電流、電圧、これらの任意の高調波、またはこれらの信号の組み合わせで構成されたベースラインの非正規の方形波は、監視されている特定タイプの回路に起因する予測測定を最もよく示す。未来の波形は、ベースライン信号および/または観測中の特定のスプライスの前の波形と比較されたときの、ゼロ交差点の角度成分、振幅成分、および周期成分(図3および図4)の総計に基づいて減衰率を示す。減衰率は、特定の回路の予測寿命を求めるために予想される。
【0008】
生成されるDCパルスは、特別にテスト中の回路に合わせて調整される。DCパルスは、正(V+)電圧および負(V-)電圧の両方であり、これらは互いに等しくなる。これらのパルスの持続時間は、時間の変数(T)であるが、回路の構成要素に合わせて調整される。これらのパルス特性が確立されると、これらはマッピングされて「正常な」状態として記憶される。
【0009】
連続テストは、「正常な」状態中に確立された同一のパルス特性(V+、V-、およびTv)を利用した。これらのテストは、システムの動作に影響を及ぼさないように、製造業者の推奨に基づいて所定の間隔で、システムが動作していない間に実行される。連続テストパルス特性は、回路配線の減衰率を求めるアルゴリズムによって「正常な」状態および前のテストと比較される。このアルゴリズムは、任意の回路の故障の可能性およびワイヤハーネス内の故障箇所のおおよその位置を予測するように設計される。
【0010】
本発明は、費用対効果の高い予防保全を実施するためのリアルタイム予測手段をユーザに提供する方法および装置を提供する。この装置および包括的通信ネットワークは、これらの重要な決定が集中決定ポイントに転送されることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】DCパルス信号の生成ならびに電位、電流出力、およびアルゴリズムに入力するために計算された比率の処理を示すフローチャートである。
図2】様々な振幅、周期、および持続時間を有する生成されたDCパルス信号を示す。
図3】システムへの最初の回路の組み込み後のある短い減衰時間(P1)における劣化した振幅、周期、および持続時間を有する生成されたDCパルス信号を示す。
図4】システムへの最初の回路の組み込み後のある減衰時間長(P)における劣化した振幅、周期、および持続時間を有する生成されたDCパルス信号を示す。
図5】回路の減衰曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、DC回路の重要な構成要素の各々を測定し、組み合わせ属性調査を提供し、故障までの時間TTFの予測分析を遂行し、決定プロセスのために遠隔集中ロジスティックシステムに報告する装置および方法を提供する。
【0013】
図1を参照すると、典型的なDC回路303は、電源101と、システム内の様々な負荷に電力を分配するためのワイヤハーネスとを必要とする。負荷がより高度になると、負荷の多くは「内蔵」メモリ105の機能を有するようになる。本発明は、パルス発生器102によってDCパルス列201を生成し、インバータ103によって逆DCパルス列202を生成する。中央処理装置(CPU)104は、減衰率曲線(図5)を生成し、意思決定者が必要とする予測動作を行うために、特別にDC回路303に対して交番DCパルス信号203を生成するために、これらのDCパルス列201、202を合成する。
【0014】
負荷に共通であるかまたはアップグレードの一部として実装されるメモリ記憶デバイス105は、正常なシステム動作に使用される同一のワイヤハーネスに沿って回路が停止されたときに送信用の最後のDCパルス信号204を記憶する能力を有する。
【0015】
好ましい実施形態では、正(V+)の前縁(L @N+、L @N+、…、L1+y @N+)、負(V-)の前縁(L @N-、L @N-、…、L1+y @N-)、正(V+)の後縁(T @N+、T @N+、…、T1+y @N+)、負(V-)の後縁(T @N-、T @N-、…、T1+y @N-)、正(V+)の電圧(dV @N+、dV @N+、dV1+y @N+)、負(V-)の電圧(dV @N-、dV @N-、dV1+y @N-)の同期収集データ、ならびにパルス数(1+y)およびDCパルス長(T1、T2、…、T(1+y))が、検査中の特定の各回路に関して保持される。CPU104は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの方法のハイブリッドの組み合わせによって、本明細書に記載されているように情報を処理する。最初の交番DCパルス信号203は、上記のデータ点と検査中の回路用にカスタマイズされたアルゴリズムとを利用することによって最新のDCパルス信号203と比較される。上記の分析方法は、純粋にアナログ的な方法、または同じもしくは同様の結果を達成するアナログ的方法とデジタル的方法の組み合わせによって遂行されてもよい。
【0016】
DCパルス信号203は、外部電源で生成することができる。DCパルス信号203、204は、正常な動作に影響を及ぼさないようにテスト中の回路303がアイドル状態にある間に送信される。生成DCパルス列203は、特別に分析中の回路に合わせて調整され、この個別の回路の特定の構成要素、材料、長さ、および構成が考慮される。
【0017】
ある期間(P1)に、これらの同じデータ点が、収集され(図2)、パルス数(1+y)ごとにこれらのDCパルスの線形減衰および角度減衰を求めるのに適したアルゴリズムに通される。別の期間P(x)に、これらのデータ点は、再び記録され(図3)、減衰率を求めるために正常なデータおよび前のデータP(x-1)と共にアルゴリズムに入れられる。瞬時測定およびその後の分析は、検査中の回路の減衰率に応じて様々な間隔で実行することができる。回路の減衰は、図5の非線形イベントであり、つまり、減衰率は時間の経過と共に変化する。
【0018】
減衰率アルゴリズムは、正(V+)の前縁(L @N+、L @N+、…、L1+y @N+)、負(V-)の前縁(L @N-、L @N-、…、L1+y @N-)、正(V+)の後縁(T @N+、T @N+、…、T1+y @N+)、負(V-)の後縁(T @N-、T @N-、…、T1+y @N-)の角度成分、および正(V+)の電圧(dV @N+、dV @N+、dV1+y @N+)、負(V-)の電圧(dV @N-、dV @N-、dV1+y @N-)、ならびにパルス数(1+y)およびDCパルス長(T1、T2、…、T(1+y))に基づいて、元の状態および前の測定サイクルと比較されるときに計算される各測定サイクルの比率を決定する。このアルゴリズムは、検査中のDC回路の構成要素に関連する異常を排除するために各特性データセットの比率を決定する。なぜなら、これらは、減衰曲線分析において誤検出を生じる可能性があるからである。
【0019】
典型的なDC回路の比率には、以下が反映されてもよい。
縁部比=正弦(Sine)(T @N+-T @P1+)-正弦(L @N+-L @P1+)+正弦(T @N--T @P1-)-正弦(L @N--L @P1-)+正弦(T @N+-T @P1+)-正弦(L @N+-L @P1+)+正弦(T @N--T @P1-)-正弦(L @N--L @P1-)+…+正弦(T1+y @N+-T1+y @P1+)-正弦(L1+y @N+-L1+y @P1+)+正弦(T1+y @N--T1+y @P1-)-正弦(L1+y @N--L1+y @P1-
周期比=(T@N1-T@P(x-1))/2+(TP(x-1)-T2@P(x))/2+(T@N1-T@P(x-1))/2+(TP(x-1)-T2@P(x))/2+…+(T(1+y)@N1-T(1+y)@P(x-1))/2+(T(1+y)P(x-1)-T(1+y)@P(x))/2
振幅比=(dV @N+[L @N+]-dV @N+[T @N+]+dV @N-[L @N-]-dV @N-[T @N-])/2+(dV @N+[L @N+]-dV @N+[T @N+]+dV @N-[L @N-]-dV @N-[T @N-])/2+…+(dV(1+y) @N+[L(1+y) @N+]-dV(1+y) @N+[T(1+y) @N+]+dV(1+y) @N-[L(1+y) @N-]-dV(1+y) @N-[T(1+y) @N-])/2
これらのデータ比に基づいて、アルゴリズムは、回路の推定故障点を予測することができる。典型的なアルゴリズムでは、検査中の回路に合わせて波形を調整した後、以下のように指定の比率を重み付けする。
出力(アルゴリズム)=縁部比+周期比×1.3+振幅比×0.7
これにより、検査中のDC回路に特有の、図5に示すような分析用の予測減衰曲線を作成するためにデータを正規化することができる。各回路には個別の共通しない構成要素があるため、各回路は別々に指定しなければならない。
【0020】
複数のアルゴリズム点は、履歴目的で記憶することができ、システムの完全性に関する技術的なトラブルシューティングに役立ち得る。
【0021】
特定のDC回路について適切なベースラインが確立されると、検査中の回路の予測寿命を計算するために定量的閾値が確立され得る。この予測寿命は、未来の分析に基づいて再確立されてもよく、予想寿命の最後に基づいて予防保全措置を予定することができる。
【0022】
このように、発明は、上述したような本発明の目的の各々を実現するその好ましい実施形態に関して開示されており、DC回路のライフサイクルを予測するための新しい改善された方法および装置を提供する。
【0023】
当然のことながら、本発明の教示からの様々な変更、修正、および改変は、その意図する精神および範囲から逸脱することなく当業者によって企図され得る。本発明は添付の特許請求の範囲の観点によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】