(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022073
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】信号分類方法および信号分類デバイス、ならびに符号化/復号化方法および符号化/復号化デバイス
(51)【国際特許分類】
G10L 25/27 20130101AFI20230207BHJP
G10L 19/02 20130101ALI20230207BHJP
G10L 25/18 20130101ALN20230207BHJP
G10L 25/06 20130101ALN20230207BHJP
【FI】
G10L25/27 100
G10L19/02 160A
G10L19/02 150
G10L25/18
G10L25/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022180559
(22)【出願日】2022-11-10
(62)【分割の表示】P 2021000129の分割
【原出願日】2011-10-21
(31)【優先権主張番号】201110138461.1
(32)【優先日】2011-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building,Bantian,Longgang District Shenzhen,Guangdong 518129(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲ゼ▼新
(72)【発明者】
【氏名】苗 磊
(72)【発明者】
【氏名】塔勒布 阿里斯
(57)【要約】
【課題】本発明の実施形態は、より正確な信号分類結果をもたらす、信号分類方法および信号分類デバイスを提供する。
【解決手段】信号分類方法および信号分類デバイス、ならびに符号化/復号化方法および符号化/復号化デバイスが提供される。この符号化方法は、現在のフレームを低帯域信号と高帯域信号に分解するステップ(401)と、高帯域信号、または高帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを、低帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰させ、このエネルギー減衰値は、低帯域信号を符号化する際に生じる低帯域信号のエネルギー減衰を表すステップ(402)と、減衰された高帯域信号、または高帯域信号の減衰された符号化されるべき特性パラメータを符号化するステップ(403)とを含む。本発明の実施形態によって提供される技術的解決法は、復号端における低帯域信号と高帯域信号の組み合わせ効果をより良好にするのに使用され得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビットストリームを復号化して、現在のフレームの高周波数帯域信号、または前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の特性パラメータを得るステップと、
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記特性パラメータを、前記現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて処理するステップであって、前記エネルギー減衰値は、前記低周波数帯域信号を符号化することによって生じる前記低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す、ステップと
を備える復号化方法。
【請求項2】
前記方法が、前記ビットストリームを復号化して、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の信号クラスを得るステップをさらに備え、
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記特性パラメータを、前記現在のフレームの前記低周波数帯域信号の前記エネルギー減衰値に応じて処理する前記ステップは、
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記特性パラメータを、前記エネルギー減衰値および前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスに応じて減衰させるステップを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記特性パラメータを、前記エネルギー減衰値、および前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスに応じて減衰させる前記ステップは、
前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが遷移クラスである場合、前記エネルギー減衰値に応じて高周波数帯域時間領域信号、または前記高周波数帯域信号の時間領域エンベロープを減衰させるステップ、および/または
前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが摩擦音クラス、高調波クラス、または正規クラスである場合、前記エネルギー減衰値に応じて高周波数帯域周波数領域信号、または前記高周波数帯域信号の周波数領域エンベロープを減衰させるステップを備える請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビットストリームを復号化して前記エネルギー減衰値を獲得するステップであって、前記エネルギー減衰値が、前記現在のフレームの前記低周波数帯域信号のエネルギーと前記現在のフレームの前記低周波数帯域信号を符号器によって符号化したことの結果をローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を示すステップをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エネルギー減衰値が事前設定された値であり、同一クラスのフレームの低周波数帯域信号のエネルギーと前記同一クラスのフレームの前記低周波数帯域信号を符号化したことの結果を復号化することによって得られた信号のエネルギーの比に応じて前記エネルギー減衰値が得られ、前記同一クラスのフレームが前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号と同一の信号クラスのデータフレームである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するステップと、
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを、前記低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて処理するステップであって、前記エネルギー減衰値は、前記低周波数帯域信号を符号化することによって生じる前記低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す、ステップと、
前記減衰された高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記減衰された符号化されるべき特性パラメータを符号化するステップと
を備える符号化方法。
【請求項7】
前記方法が、前記高周波数帯域信号の信号クラスを判定するステップをさらに備え、
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記符号化されるべき特性パラメータを、前記低周波数帯域信号の前記エネルギー減衰値に応じて減衰させる前記ステップは、
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記符号化されるべき特性パラメータを、前記エネルギー減衰値および前記高周波数帯域信号の前記信号クラスに応じて処理するステップを備える請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記符号化されるべき特性パラメータを、前記エネルギー減衰値、および前記高周波数帯域信号の前記信号クラスに応じて減衰させる前記ステップは、
前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが遷移クラスである場合、前記エネルギー減衰値に応じて高周波数帯域時間領域信号、または前記高周波数帯域信号の符号化されるべき時間領域エンベロープを減衰させるステップ、および/または
前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが摩擦音クラス、高調波クラス、または正規クラスである場合、前記エネルギー減衰値に応じて高周波数帯域周波数領域信号、または前記高周波数帯域信号の符号化されるべき周波数領域エンベロープを減衰させるステップを備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記低周波数帯域信号を符号化し、前記低周波数帯域信号を符号化したことの結果をローカルで復号化するステップと、前記低周波数帯域信号のエネルギーと前記ローカルで復号化するステップによって得られた信号のエネルギーの比を前記エネルギー減衰値として使用するステップとをさらに備える請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記エネルギー減衰値が事前設定された値であり、同一クラスのフレームの複数の低周波数帯域信号のエネルギーと前記同一クラスの前記低周波数帯域信号の符号化結果を復号化することによって得られた信号のエネルギーの比に応じて前記エネルギー減衰値が得られ、前記同一クラスのフレームが前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号と同一の信号クラスのデータフレームである請求項6に記載の方法。
【請求項11】
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するように構成された分割ユニットと、
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを、前記低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて処理するように構成され、前記エネルギー減衰値は、前記現在のフレームの前記低周波数帯域信号を符号化することによって生じる前記低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す補正ユニットと、
前記減衰された高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記減衰された符号化されるべき特性パラメータを符号化するように構成された符号化ユニットと
を備える符号化デバイス。
【請求項12】
前記高周波数帯域信号の信号クラスを判定するように構成された信号クラス判定ユニットをさらに備えるデバイスであって、
前記補正ユニットは、前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記符号化されるべき特性パラメータを、前記エネルギー減衰値、および前記高周波数帯域信号の前記信号クラスに応じて減衰させるように構成される請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記補正ユニットは、前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが遷移クラスである場合、前記エネルギー減衰値に応じて、高周波数帯域時間領域信号または前記高周波数帯域信号の符号化されるべき時間領域エンベロープを減衰させるように構成され、かつ/または
前記補正ユニットは、前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが摩擦音クラス、高調波クラス、または正規クラスである場合、前記エネルギー減衰値に応じて、高周波数帯域周波数領域信号または前記高周波数帯域信号の符号化されるべき周波数領域エンベロープを減衰させるように構成される請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記低周波数帯域信号を符号化し、前記低周波数帯域信号を符号化したことの結果をローカルで復号化して、前記低周波数帯域信号のエネルギーと前記ローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を前記エネルギー減衰値として使用するように構成されるエネルギー減衰値獲得ユニットをさらに備える請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記エネルギー減衰値を設定するように構成されるエネルギー減衰値設定ユニットをさらに備え、前記エネルギー減衰値は、同一クラスのフレームの複数の低周波数帯域信号のエネルギーと前記同一クラスの前記低周波数帯域信号を符号化したことの結果を復号化することによって得られた信号のエネルギーの比に応じて得られ、前記同一クラスのフレームは、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号と同一の信号クラスのデータフレームである請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
ビットストリームを復号化して、現在のフレームの高周波数帯域信号、または前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の特性パラメータを得るように構成された復号化ユニットと、
前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記特性パラメータを、前記現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて処理するように構成され、前記エネルギー減衰値は、前記現在のフレームの前記低周波数帯域信号の符号化によって生じる前記低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す補正ユニットと
を備える復号化デバイス。
【請求項17】
前記復号化ユニットは、前記ビットストリームを復号化して、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の信号クラスを得るようにさらに構成され、
前記補正ユニットは、前記高周波数帯域信号、または前記高周波数帯域信号の前記特性パラメータを、前記エネルギー減衰値、および前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスに応じて減衰するように構成される請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記補正ユニットは、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが遷移クラスである場合、前記エネルギー減衰値に応じて、高周波数帯域時間領域信号または前記高周波数帯域信号の時間領域エンベロープを減衰させるように構成され、かつ/または
前記補正ユニットは、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが摩擦音クラス、高調波クラス、または正規クラスである場合、前記エネルギー減衰値に応じて、高周波数帯域周波数領域信号または前記高周波数帯域信号の周波数領域エンベロープを減衰させるように構成される請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記復号化ユニットは、前記ビットストリームを符号して、前記エネルギー減衰値を得るようにさらに構成され、前記エネルギー減衰値は、前記現在のフレームの前記低周波数帯域信号のエネルギーと前記現在のフレームの前記低周波数帯域信号を符号器によって符号化したことの結果をローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を示す請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記現在のフレームの前記エネルギー減衰値を設定するように構成されるエネルギー減衰値設定ユニットであって、前記エネルギー減衰値は、同一クラスのフレームの低周波数帯域信号のエネルギーと前記同一クラスの前記低周波数帯域信号を符号化したことの結果を復号化することによって得られた信号のエネルギーの比に応じて得られ、前記同一クラスのフレームは、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号と同一の信号クラスのデータフレームであるエネルギー減衰値設定ユニットをさらに備える請求項16に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2011年5月25日に中華人民共和国国家知識産権局に出願した、「SIGNAL CLASSIFICATION METHOD AND DEVICE, AND ENCODING AND DECODING METHODS AND DEVICES」という名称の中国特許出願第201110138461.1号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、音声技術およびオーディオ技術の分野に関し、詳細には、信号分類方法および信号分類デバイス、ならびに符号化および復号化方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
オーディオ処理技術および音声処理技術において、帯域幅拡張技術が、既に出現しており、つまり、高周波数帯域信号が、音声/オーディオ信号の周波数帯域範囲を拡張するように少数のビットを使用して符号化される。帯域幅拡張技術は、近年、急速に発展しており、さらに一部の符号器および復号器において商業的に適用されている。
【0004】
現在、採用されている帯域幅拡張技術は、基本的に、入力信号における高周波数帯域信号の信号特性に応じて、高周波数帯域信号の信号クラスが判定され、さらに異なる信号クラスに関して異なる符号化アルゴリズム、および異なる復号化アルゴリズムが採用される、マルチモード帯域幅拡張技術である。高周波数帯域信号の信号特性に応じて、高周波数帯域信号は、4つのクラス、すなわち、遷移(Transient)クラス、高調波クラス(Harmonic)、雑音(Noise)クラス、および正規(Normal)クラスに分類される。或る特定の分類プロセスは、或るフレームの高周波数帯域時間領域信号をいくつかのサブフレームに分割し、各サブフレームの時間領域エンベロープを獲得し、さらに或るサブフレームのエネルギーが、前のサブフレームのエネルギーの特定の倍数より大きく、さらにそのサブフレームのエネルギーが、そのフレーム全体におけるすべてのサブフレームの平均エネルギーの或る倍数より大きい場合、そのフレームの高周波数帯域信号は、遷移クラスであると判定するステップと、そのフレームが遷移クラスではない場合、そのフレームの高周波数帯域周波数領域信号をいくつかのサブバンドに分割し、各サブバンドのピーク対平均比を獲得し、ただし、ピーク対平均比は、そのサブバンドのピークエネルギーまたはピーク振幅対そのサブバンドの平均エネルギーまたは平均振幅の比であり、さらに特定のしきい値より高いピーク対平均比を有するサブバンドの数が、或る数より大きい場合、そのフレームの高周波数帯域信号は、高調波クラスであると判定するステップと、特定のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、或る数より大きい場合、そのフレームの高周波数帯域信号は、雑音であると判定し、その数以下である場合、そのフレームの高周波数帯域信号は、正規クラスであると判定するステップとを含む。
【0005】
従来技術は、以下の欠点を有する。
【0006】
従来技術において、或るフレームの高周波数帯域信号の信号分類中、そのフレームの高周波数帯域信号の特性だけしか考慮されず、このことは、そのフレームの高周波数帯域信号に関して不正確な信号分類結果をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、より正確な信号分類結果をもたらす、信号分類方法および信号分類デバイスを提供する。
【0008】
以上のことに鑑みて、本発明の実施形態は、以下を提供する。
【0009】
信号分類方法が、
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するステップと、
信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、その信号クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するステップと、
判定結果に応じて現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを判定するステップとを含む。
【0010】
信号分類デバイスが、
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するように構成された分割ユニットと、
信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、その信号クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するように構成された判断ユニットと、
判定結果に応じて現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを判定するように構成された判定ユニットとを含む。
【0011】
符号化方法が、
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するステップと、
低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを減衰させ、ただし、このエネルギー減衰値は、低周波数帯域信号の符号化によって生じる低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示すステップと、
減衰された高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の減衰された符号化されるべき特性パラメータを符号化するステップとを含む。
【0012】
復号化方法が、
ビットストリームを復号化して、現在のフレームの高周波数帯域信号、または現在のフレームの高周波数帯域信号の特性パラメータを獲得するステップと、
現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の特性パラメータを減衰させ、ただし、このエネルギー減衰値は、低周波数帯域信号の符号化によって生じる低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示すステップとを含む。
【0013】
符号化デバイスが、
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するように構成された分割ユニットと、
低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを減衰させるように構成された、ただし、このエネルギー減衰値は、現在のフレームの低周波数帯域信号の符号化によって生じる低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す補正ユニットと、
減衰された高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の減衰された符号化されるべき特性パラメータを符号化するように構成された符号化ユニットとを含む。
【0014】
復号化デバイスが、
ビットストリームを復号化して、現在のフレームの高周波数帯域信号、または現在のフレームの高周波数帯域信号の特性パラメータを獲得するように構成された復号化ユニットと、
現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の特性パラメータを減衰させるように構成された、ただし、このエネルギー減衰値は、現在のフレームの低周波数帯域信号の符号化によって生じる低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す補正ユニットとを含む。
【0015】
本発明の一実施形態において、信号分類中、信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすかどうかが判定されて、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスが、符号化/復号化特性パラメータに対応する信号クラスであるかどうかが判定されるようになり、さらに、このようにして、様々な信号クラスの符号化/復号化特性が、信号分類中に考慮に入れられて、その結果、現在のフレームの高周波数帯域信号に関する信号分類が、より正確になる。
【0016】
本発明の別の実施形態において、高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータが、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰され、さらに減衰結果が、符号化され、さらに復号化器に送られて、復号化することによって復号化器によって得られる高周波数帯域信号のエネルギーが、相応して減衰されて、その結果、高周波数帯域信号が低周波数帯域信号と組み合わされた後により良好な効果が実現されるようになる。
【0017】
本発明の実施形態による技術的解決法をより明確に例示するのに、実施形態を説明するための添付の図面を、以下に簡単に概説する。明らかに、以下の説明における添付の図面は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、当業者は、創造的な取り組みなしに、これらの添付の図面から他の図面を導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態において提供される信号分類方法を示す流れ図である。
【
図2A】本発明の別の実施形態において提供される信号分類方法を示す流れ図である。
【
図2B】本発明の別の実施形態において提供される信号分類方法を示す流れ図である。
【
図3】本発明の一実施形態において提供される信号分類デバイスを示す構造図である。
【
図4】本発明の一実施形態において提供される符号化方法を示す流れ図である。
【
図5】本発明の一実施形態において提供される別の符号化方法を示す流れ図である。
【
図6】本発明の一実施形態において提供される復号化方法を示す流れ図である。
【
図7】本発明の一実施形態において提供される別の復号化方法を示す流れ図である。
【
図8】本発明の一実施形態において提供される符号化デバイスを示す構造図である。
【
図9】本発明の一実施形態において提供される復号化デバイスを示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の以下の実施形態は、信号分類中に様々な信号クラスの符号化/復号化特性を考慮に入れ、さらに本発明の実施形態による技術的解決法を、より明確にするのに、様々な信号クラスに関する符号化/復号化アルゴリズムの特性が、以下に簡単に説明される。
【0020】
1. 現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが雑音クラスである場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の符号化/復号化プロセスは、符号化中、符号器が、その高周波数帯域信号のサブバンドの周波数領域エンベロープ対低周波数帯域信号の対応するサブバンドの周波数領域エンベロープの比を獲得し、さらにそれらの比を復号器に送る必要があるステップを含む。このようにして、符号器および復号器は、高周波数帯域信号の或るサブバンドと低周波数帯域信号の或るサブバンドの間のマッピング関係を前もって決定する。代替として、符号器が、低周波数帯域信号のサブバンドの周波数領域エンベロープに応じて、高周波数帯域信号の或るサブバンドの周波数領域エンベロープと最も強く互いに関係しているサブバンドを探索し、その後、復号器に、サブバンド番号(つまり、低周波数帯域信号の見出されたサブバンドの通し番号)、および高周波数帯域信号のそのサブバンドの周波数領域エンベロープ対低周波数帯域信号の見出されたサブバンドの周波数領域エンベロープの比を送る。復号化中、復号器が、そのサブバンド番号に対応する低周波数帯域信号のサブバンドを探索し、さらに符号器によって送られた比に応じた高周波数帯域信号の各サブバンドの周波数領域エンベロープ、およびそのサブバンド番号に応じて特定される低周波数帯域信号のそのサブバンドの周波数領域エンベロープを判定する。復号器は、低周波数帯域の指定された周波数範囲の励起スペクトルを、高周波数帯域の励起スペクトルとして直接に使用し、このようにして、雑音クラスのデータフレームが正常に復号化され得る。前述の分析から、符号化/復号化アルゴリズムは、現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが雑音クラスである場合、高周波数帯域信号のサブバンドの周波数領域エンベロープと低周波数帯域信号の対応するサブバンドの周波数領域エンベロープの間の相互関係を利用するため、信号分類中、高周波数帯域信号の周波数領域エンベロープが低周波数帯域信号の周波数領域エンベロープと強く互いに関係している場合の高周波数帯域信号のクラスは、或るしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、或る数より大きいという前提で、雑音クラスと判定され得ると考えられることが可能であることを見て取ることができる。
【0021】
2. 現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが予測されたクラスである場合、データフレームの高周波数帯域信号の符号化/復号化プロセスは、符号化中、符号器がまず、低周波数帯域信号の複数のサブバンドの複数の励起スペクトルから、高周波数帯域信号のサブバンドの励起スペクトルと最も強く互いに関係しているサブバンドを選択するステップと、選択されたサブバンドの通し番号を復号器に送ると同時に、高周波数帯域信号のサブバンドの周波数領域エンベロープを復号器に送るステップとを含む。復号器は、高周波数帯域信号のサブバンドの受け取られた周波数領域エンベロープに応じて、高周波数帯域信号全体の周波数領域エンベロープを判定し、受け取られたサブバンド通し番号に応じて、低周波数帯域信号から高周波数帯域信号のサブバンドの励起スペクトルを予測して、高周波数帯域信号全体の励起スペクトルを判定するようにする。前述の分析から、符号化/復号化アルゴリズムは、現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが予測されたクラスである場合、高周波数帯域信号の励起スペクトルと低周波数帯域信号の励起スペクトルの間の相互関係を利用するため、信号分類中、高周波数帯域信号の励起スペクトルが低周波数帯域信号の励起スペクトルと強く互いに関係している場合の高周波数帯域信号のクラスは、予測されたクラスと判定され得ると考えられることが可能であることを見て取ることができる。
【0022】
3. 現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが遷移クラスである場合、励起スペクトルに関する処理の様態は、雑音クラスの場合と同様であり、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。違いは、符号器が、高周波数帯域信号のサブフレームの時間領域エンベロープと、サブフレームの周波数領域エンベロープの両方を復号器に送る必要があることにある。復号器は、符号器によって送られた前述の情報に応じて、高周波数帯域信号を回復する。
【0023】
4. 現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが高調波クラスである場合、励起スペクトルの処理の様態は、雑音クラスの場合と基本的に同様であり、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。違いは、符号器が、高周波数帯域信号のサブバンドの周波数領域エンベロープを復号器に送る必要があることにある。復号器は、符号器によって送られた前述の情報に応じて、高周波数帯域信号を回復する。
【0024】
5. 現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが正規クラスである場合、励起スペクトルの処理の様態は、雑音クラスの場合と同様であり、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。違いは、符号器が、高周波数帯域信号のサブバンドの周波数領域エンベロープを復号器に送る必要があることにある。復号器は、符号器によって送られた前述の情報に応じて、高周波数帯域信号を回復する。
【0025】
図1を参照すると、本発明の一実施形態が、信号分類方法を提供し、ただし、この方法は、以下を特に含む。
【0026】
101:現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割する。
【0027】
本発明のこの実施形態は、符号器によって実施される。
【0028】
特に、低周波数帯域信号と高周波数帯域信号は、相対的な概念であり、さらに、一般に、現在のフレームは、直交ミラーフィルタ(Quadrature Mirror Filter、QMF)によって、現在のフレームの中心周波数から低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割される。しかし、本発明は、そのように分割されることに限定されず、さらに現在のフレームは、他の処理の様態で他の周波数から低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割されることも可能である。
【0029】
102:信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、その信号クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすかどうかを判定する。符号化/復号化特性パラメータに対応する信号クラスは、その符号化/復号化特性パラメータによって表される符号化/復号化特性を有する信号クラスである。
【0030】
つまり、信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、その信号クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすかどうかが判定される。
【0031】
信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータは、雑音クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータ、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータ、および高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータのうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
雑音クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータは、低周波数帯域周波数領域信号の振幅と高周波数帯域周波数領域信号の振幅の間の相互関係パラメータ、および低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーと高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーの間の相互関係パラメータのうちの1つであり、ただし、雑音クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータは、低周波数帯域周波数領域信号の振幅(またはエネルギー)と高周波数帯域周波数領域信号の振幅(またはエネルギー)の間の相互関係パラメータに限定されず、低周波数帯域周波数領域信号の他の特徴値と高周波数帯域周波数領域信号の他の特徴値の間の相互関係パラメータであってもよく、このことは、本発明の実施に影響を与えない。
【0033】
雑音クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータが、低周波数帯域周波数領域信号の振幅と高周波数帯域周波数領域信号の振幅の間の相互関係パラメータである場合、このステップは、特に、現在のフレームの低周波数帯域周波数領域信号の振幅と高周波数帯域周波数領域信号の振幅の間の相互関係パラメータが、低周波数帯域周波数領域信号の振幅と高周波数帯域周波数領域信号の振幅の間の事前設定された相互関係パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するステップであり、雑音クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータが、低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーと高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーの間の相互関係パラメータである場合、このステップは、特に、現在のフレームの低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーと高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーの間の相互関係パラメータが、低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーと高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーの間の事前設定された相互関係パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するステップである。
【0034】
雑音クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件は、特に、特定のしきい値より大きいこと、または或る値範囲内であることであり得る。低周波数帯域周波数領域信号の振幅と高周波数帯域周波数領域信号の振幅の間の相互関係パラメータの値要件と、低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーと高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーの間の相互関係パラメータの値要件は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0035】
予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータは、低周波数帯域信号の周波数領域係数と高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータ、低周波数励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、および低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータのうちの1つである。予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータは、前述の相互関係パラメータに限定されず、低周波数帯域信号の他の特徴値と高周波数帯域信号の他の特徴値の間の相互関係パラメータ、または低周波数帯域励起スペクトルの他の特徴値と高周波数帯域励起スペクトルの他の特徴値の間の相互関係パラメータであることが可能であり、このことは、本発明の実施に影響を与えない。
【0036】
予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータが、低周波数帯域信号の周波数領域係数と高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータである場合、このステップは、特に、現在のフレームの低周波数帯域信号の周波数領域係数と高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータが、低周波数帯域信号の周波数領域係数と高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の事前設定された相互関係パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するステップである。予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータが、低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータである場合、このステップは、特に、現在のフレームの低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータが、低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の事前設定された相互関係パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するステップである。予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータが、低周波数励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータである場合、このステップは、特に、現在のフレームの低周波数励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータが、低周波数励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数励起スペクトルの周波数領域係数の間の事前設定された相互関係パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するステップである。予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータが、低周波数励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータである場合、このステップは、特に、低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータが、低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の事前設定された相互関係パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するステップである。
【0037】
予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件は、特に、特定のしきい値より大きいこと、または或る値範囲内であることであり得る。低周波数帯域信号の周波数領域係数と高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値要件、低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータの値要件、低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値要件、および低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータの値要件は、同一であっても、異なっていてもよく、このことは、本発明の実施に影響を与えない。
【0038】
高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータは、低周波数帯域信号の周波数領域係数と高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータ、低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、および低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータのうちの1つであり、関連する説明は、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータの値要件の説明と同一であり、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。
【0039】
信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータにおける信号クラスは、前述したクラスに限定されず、他の信号クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータが事前設定されることも可能であり、このことは、本発明の実施に影響を与えないことに留意されたい。
【0040】
103:判定結果に応じて、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを判定する。
【0041】
一実装形態において、雑音クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、雑音クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、雑音クラスであると判定される。例示的な一実装形態において、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きく、雑音クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、雑音クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、雑音クラスであると判定される。
【0042】
一実装形態において、信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータ、または高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータを含む場合、予測されたクラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすと、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、予測されたクラスであると判定される。代替として、高調波クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、高調波クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすと、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、高周波数クラスであると判定される。例示的な一実装形態において、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きく、高調波クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、高調波クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、高調波クラスであると判定され、または第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数以下であり、予測されたクラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、予測されたクラスであると判定され、または、代替として、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数以下であり、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数以下であり、予測されたクラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、予測されたクラスであると判定される。
【0043】
一実装形態において、信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータと、高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータとを含む場合、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きく、さらに高調波クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、高調波クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすと、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、高調波クラスであると判定され、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数以下であり、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数以下であり、さらに予測されたクラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすと、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、予測されたクラスであると判定される。第1のしきい値と第2のしきい値は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0044】
さらに別の実装形態において、現在のフレームの全周波数時間領域信号が、N個のサブフレームに分割され、さらに、1つのサブフレームのエネルギーが、そのサブフレームの前のサブフレームのエネルギーの特定の倍数より大きい場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、遷移クラスであると判定される。
【0045】
本発明のこの実施形態において、信号分類中、信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすかどうかが判定されて、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスが、その符号化/復号化特性パラメータに対応する信号クラスであるかどうかが判定されるようになり、このようにして、様々な信号クラスの符号化/復号化特性が、信号分類中に考慮に入れられて、その結果、信号分類がより正確になる。
【0046】
本発明の実施形態において提供される技術的解決法をより明確にするのに、この技術的解決法を、以下の実施形態を介して以下に詳細に説明する。
【0047】
201:符号器が、現在のフレームの全周波数時間領域信号をN個のサブフレームに分割する。
【0048】
202:符号器が、各サブフレームのエネルギーまたは振幅を計算する。
【0049】
203:符号器が、現在のフレーム内に指定されたサブフレームが存在するかどうかを判定し、存在する場合、ステップ204を実行し、存在しない場合、ステップ205を実行する。指定されたサブフレームのエネルギーは、指定されたサブフレームの前のサブフレームのエネルギーの特定の倍数より大きい、または指定されたサブフレームの振幅は、指定されたサブフレームの前のサブフレームの振幅の特定の倍数より大きい。
【0050】
例えば、符号器における現在のフレーム内の特定のサブフレームのエネルギーがECURであり、そのサブフレームの前のサブフレームのエネルギーがEprevであり、所定の倍数が、符号化セクションにおいて事前設定され、さらにaであるものと想定されるとともに、一般に、a>5であり、ECUR>a×Eprevである場合、そのサブフレームは、指定されたサブフレームである。
【0051】
204:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、遷移クラスであると判定し、さらにプロセスが終了される。
【0052】
1つのサブフレームは、高周波数帯域部分と、低周波数帯域部分とを含み、一般に、低周波数帯域部分のエネルギーは、高周波数帯域部分のエネルギーより大きいため、連続した2つのサブフレーム、つまり、サブフレーム1とサブフレーム2に関して、サブフレーム1の高周波数帯域部分のエネルギーは1であり、サブフレーム2の高周波数帯域部分のエネルギーは6であり、サブフレーム1の低周波数帯域部分のエネルギーは100であり、サブフレーム2の低周波数帯域部分のエネルギーは100であり、サブフレーム1のエネルギーは101であり、さらにサブフレーム2のエネルギーは106であるものと想定され、所定の倍数が5であるものと想定すると、ステップ203の解決法を採用することによって、サブフレーム2のエネルギーは、サブフレーム1のエネルギーの所定の倍数以下であり、したがって、サブフレーム2は、指定されたサブフレームではない。従来技術における解決法は、指定されたサブフレームが、現在のフレームの高周波数帯域信号の中に存在するかどうかを判定することであり、従来技術における解決法によれば、サブフレーム2の高周波数帯域エネルギーは、サブフレーム1の高周波数帯域エネルギーの所定の倍数より大きく、したがって、サブフレーム2は、指定されたサブフレームである。このようにして、データフレームの周波数帯域全体に鑑みて、隣接するサブフレームの高周波数帯域部分の間に相当なエネルギージャンプが存在する場合に限り、そのデータフレームは、遷移クラスであると判定され、本発明の実施形態による、データフレームが遷移クラスであるかどうかを判定する技術的解決法は、より正確な信号分類結果をもたらすことを見て取ることができる。
【0053】
205:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号をM個のサブバンドに分割する。
【0054】
ステップ205に先立って、符号器は、現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割する必要がある。
【0055】
206:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号の中の、第1のしきい値を超えるピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きいかどうかを判定し、第1の所定の数より大きい場合、ステップ207を実行し、第1の所定の数以下である場合、ステップ208を実行する。
【0056】
207:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは高調波クラスであると判定し、プロセスが終了される。
【0057】
208:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号の中の、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きいかどうかを判定し、第2の所定の数より大きい場合、ステップ209を実行し、第2の所定の数以下である場合、ステップ211を実行する。
【0058】
第1の所定の数と第2の所定の数は、経験を介して得られる経験値であり、同一であっても、異なっていてもよい。
【0059】
209:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅と低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータを獲得し、現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅と低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値が、所定のエネルギーしきい値または振幅しきい値より大きいかどうかを判定し、所定のエネルギーしきい値または振幅しきい値より大きい場合、ステップ210を実行し、所定のエネルギーしきい値または振幅しきい値以下である場合、ステップ211を実行する。
【0060】
現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅と低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値を獲得するこの特定のプロセスは、以下の2つの様態を含むが、これらの様態には限定されない。
【0061】
第1の様態:符号器が、高周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅と低周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅の間の、これらのサブバンドにそれぞれが対応する相互関係パラメータの値を獲得し、これらの相関パラメータの獲得された値の平均値を計算し、さらにこの平均値を、現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅と低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値として使用する。
【0062】
このようにして、符号器および復号器は、高周波数帯域信号の特定のサブバンドと低周波数帯域信号の特定のサブバンドの間のマッピング関係を既に前もって決定し、これに相応して、符号器は、このマッピング関係に応じて、高周波数帯域信号の特定のサブバンドのエネルギーまたは振幅と、そのサブバンドに対応する低周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値を決定し、同様に高周波数帯域の複数のサブバンドのエネルギーまたは振幅と低周波数帯域の対応する複数のサブバンドのエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値を計算し、その後、これらの相互関係パラメータの計算された値の平均値を獲得して、高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅と低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値を得るようにする。
【0063】
このようにして、符号器は、特に、高周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅対、サブバンドにそれぞれが対応する低周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅の比に応じて、高周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅と、それらのサブバンドに対応する低周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値を得ることが可能であり、一般に、比が1に近い場合、このことは、この2つの間の強い相互関係を示し、さらに相互関係パラメータの値は大きく、比が1に近くはない場合、このことは、この2つの間の弱い相互関係を示し、さらに相互関係パラメータの値は、小さく、または符号器は、高周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅と、サブバンドにそれぞれが対応する低周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅の差の絶対値に応じて、相互関係パラメータの値を計算することが可能であり、一般に、この絶対値が小さい場合、このことは、この2つの間の強い相互関係を示し、さらに相互関係パラメータの値は大きく、この絶対値が小さくはない場合、このことは、この2つの間の弱い相互関係を示し、相互関係パラメータの値は小さい。
【0064】
第2の様態:符号器が、高周波数帯域信号の各サブバンドのエネルギーまたは振幅と最も強く互いに関係している低周波数帯域信号のサブバンドをそれぞれ判定し、高周波数帯域信号の各サブバンドのエネルギーまたは振幅と、低周波数帯域信号の判定された最も強く互いに関係しているサブバンドのエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値を獲得し、これらの相互関係パラメータの獲得された値の平均値を計算し、この平均値を、現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅と低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値として使用する。
【0065】
この様態を、例を使用することによって以下に説明する。
【0066】
高周波数帯域信号が10個のサブバンドを含み、低周波数帯域信号が10個のサブバンドを含み、低周波数帯域信号のサブバンドから、高周波数帯域の第1のサブバンドのエネルギーまたは振幅と最も強く互いに関係しているサブバンドが探索され、この2つのサブバンドの間の相互関係パラメータの値が獲得され、同様に、低周波数帯域信号のサブバンドから、高周波数帯域の第2のサブバンドのエネルギーまたは振幅と最も強く互いに関係しているサブバンドが探索され、この2つのサブバンドの間の相互関係パラメータの値が獲得され、このようにして、10の相互関係パラメータ値が、同様に獲得され、この10の相互関係パラメータの平均値が計算され、さらに高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅と低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値として使用されるものと想定される。
【0067】
このように、高周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅と、低周波数帯域信号の最も強く互いに関係しているサブバンドのエネルギーまたは振幅の間の相互関係パラメータの値を獲得する特定の様態は、第1の様態と同様であり、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。
【0068】
サブバンドの数は、1以上であることが可能であり、サブバンドの数が1である場合、相互関係パラメータの値は、周波数帯域全体に関して直接に計算される。
【0069】
210:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは雑音クラスであると判定し、プロセスが終了される。
【0070】
211:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値を獲得し、高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値が、特定の所定のしきい値より大きいかどうかを判定し、その所定のしきい値より大きい場合、ステップ212を実行し、その所定のしきい値以下である場合、ステップ213を実行する。
【0071】
現在のフレームの高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値が、正規化された相互相関アルゴリズムを使用することによって獲得され得る。
【0072】
一実装形態において、現在のフレームの高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値が、以下の様態で獲得され得る。すなわち、符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の各サブバンドの励起スペクトルの周波数領域係数と最も強く互いに関係している低周波数帯域信号のサブバンドをそれぞれ判定し、高周波数帯域信号の各サブバンドの励起スペクトルの周波数領域係数と、低周波数帯域信号の、判定された最も強く互いに関係しているサブバンドの励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値を獲得し、さらに相互関係パラメータの獲得された値の平均値を計算して、現在のフレームの高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値を獲得するようにする。
【0073】
高周波数帯域励起スペクトルが2つのサブバンドを含み、低周波数帯域励起スペクトルが5つのサブバンドを含み、高周波数帯域の各サブバンドが20の周波数領域係数を含み、さらに低周波数帯域の各サブバンドが40の周波数領域係数を含むものと想定される。以下の式を使用することによって、低周波数帯域信号の各サブバンドの40の周波数領域係数、および高周波数帯域の第1のサブバンドの20の周波数領域係数における第1~第20の周波数領域係数、第2~第21の周波数領域係数、第3~第22の周波数領域係数、...、および第21~第40の周波数領域係数の正規化された相互関係パラメータ値が判定され、判定された、正規化された相互関係パラメータ値のうちの最大値が獲得され、同様に、低周波数帯域信号の各サブバンドの40の周波数領域係数、および高周波数帯域の第2のサブバンドの20の周波数領域係数における第1~第20の周波数領域係数、第2~第21の周波数領域係数、第3~第22の周波数領域係数、...、および第21~第40の周波数領域係数の正規化された相互関係パラメータ値が判定され、判定された、正規化された相互関係パラメータ値のうちの最大値が獲得され、この2つの最大値の平均値が計算されて、現在のフレームの高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値が獲得される。
【0074】
【0075】
この場合、aiおよびbiはそれぞれ、低周波数帯域信号のサブバンドにおける特定の周波数領域係数、および高周波数帯域信号のサブバンドの特定の周波数領域係数であり、例えば、低周波数帯域信号の特定のサブバンドの第2~第21の周波数領域係数と高周波数帯域信号の20の周波数領域係数の正規化された相互関係パラメータ値が計算される場合、a1は、低周波数帯域信号の特定のサブバンドの第2の周波数領域係数であり、a2は、そのサブバンドの第3の周波数領域係数であり、a20は、そのサブバンドの第21の周波数領域係数であり、さらにb1からb20は、高周波数帯域信号の特定のサブバンドにおける20の周波数領域係数である。
【0076】
代替として、別の実装形態において、符号器が、このステップで、現在のフレームの高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータの値をやはり獲得し、高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータの値が、特定のしきい値より大きいかどうかを判定し、そのしきい値より大きい場合、ステップ212を実行し、そのしきい値以下である場合、ステップ213を実行することも可能である。
【0077】
212:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは予測されたクラスであると判定し、プロセスが終了される。
【0078】
213:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは正規クラスであると判定する。
【0079】
前述の判定ステップの順序は、固定ではなく、変更されることが可能であり、例えば、ステップ206~ステップ211がまず実行されてもよく、ステップ211が実行され、判定結果が「Yes」である場合、ステップ212が実行され、判定結果が「No」である場合、ステップ201~204が実行され、ただし、ステップ203の判定結果が「Yes」である場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、遷移クラスであると判定され、さらにステップ203の判定結果が「No」である場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、正規クラスであると判定されることに留意されたい。
【0080】
本発明の実施形態において、信号分類中、現在のフレームの高周波数帯域信号の符号化/復号化特性が考慮に入れられ、したがって、高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅と低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーまたは振幅が強く互いに関係している場合、その高周波数帯域信号は、雑音クラスに分類され、現在のフレームの高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数が強く互いに関係している場合、その高周波数帯域信号は、予測されたクラスに分類され、その結果、信号分類がより正確になるのに対して、従来技術において、クラスは、ピーク対平均比だけに応じて判定され、信号の符号化/復号化特性は、考慮に入れられず、したがって、雑音クラスの符号化/復号化特性を有するデータフレームが正規クラスに分類されて、不正確な分類結果がもたらされることが可能であり、さらに、現在のフレームの高周波数帯域信号が遷移クラスであるかどうかが判定される際、判定は、現在のフレームの全周波数帯域のサブフレームに基づいて実行されるが、高周波数帯域信号の中のサブバンドだけに基づいて実行されるわけではなく、その結果、より正確な判定結果がもたらされる。さらに、信号分類がより正確であるため、同一の数のビットが使用される場合、符号化/復号化パフォーマンスが向上し、例えば、従来技術における信号分類方法によって、特定のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスが正規クラスであると判定されるのに対して、本出願において提供される信号分類方法によって、そのフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、雑音クラスであると判定され、さらに符号器および復号器が、高周波数帯域信号の特定のサブバンドと低周波数帯域信号の特定のサブバンドの間のマッピング関係を前もって決定する場合、符号器は、高周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅対低周波数帯域信号のサブバンドのエネルギーまたは振幅の比を送るだけでよく、他の情報を伝送する必要がなく、その結果、ビットの数が低減される。
【0081】
代替として、別の実装形態において、ステップ211で、符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の周波数領域係数と低周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値を獲得し、高周波数帯域信号の周波数領域係数と低周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値が、特定のしきい値より大きいかどうかを判定し、そのしきい値より大きい場合、ステップ212を実行し、そのしきい値以下である場合、ステップ213を実行することが可能である。詳細には、現在のフレームの高周波数帯域信号の周波数領域係数と低周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値が、以下の様態で獲得され得る。すなわち、符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の各サブバンドの周波数領域係数と最も強く互いに関係している低周波数帯域信号のサブバンドをそれぞれ判定し、高周波数帯域信号の各サブバンドの周波数領域係数と、そのサブバンドと最も強く互いに関係している低周波数帯域信号の判定されたサブバンドの周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値を獲得し、これらの相互関係パラメータの獲得された値の平均値を計算し、さらにこの平均値を、現在のフレームの高周波数帯域信号の周波数領域係数と低周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータの値として使用する。
【0082】
代替として、別の実装形態において、ステップ211で、符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータの値を獲得し、高周波帯域信号の周波数領域係数の絶対値と低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータの値が、特定のしきい値より大きいかどうかを判定し、そのしきい値より大きい場合、ステップ212を実行し、そのしきい値以下である場合、ステップ213を実行することが可能である。
【0083】
代替として、別の実装形態において、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きく、さらに雑音クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、雑音クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす(つまり、現在のフレームの低周波数帯域周波数領域信号の振幅と高周波数帯域周波数領域信号の振幅の間の相互関係パラメータが、事前設定された値要件を満たす、または低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーと高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーの間の相互関係パラメータが、事前設定された値要件を満たす)場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、雑音クラスであると判定される。
【0084】
第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きく、高調波クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、高調波クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす(つまり、低周波数帯域信号の周波数領域係数と高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、または低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータ、または低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、または低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータが、事前設定された値要件を満たす)場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、高調波クラスであると判定される。
【0085】
第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数以下であり、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数以下であり、予測されたクラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす(つまり、低周波数帯域信号の周波数領域係数と高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、または低周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域信号の周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータ、または低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、または低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータが、事前設定された値要件を満たす)場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、予測されたクラスであると判定される。
【0086】
前述の技術的解決法を使用することによって、データフレームが遷移クラス、雑音クラス、高調波クラス、および予測されたクラスに属さないと既に判定されている場合、そのデータフレームは、正規クラスに属すると判定され得る。
【0087】
高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータの値要件と予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータの値要件は、同一であっても、異なっていてもよく、このことは、本発明の実施に影響を与えない。
【0088】
図3を参照すると、本発明の一実施形態が、信号分類デバイスを提供し、ただし、このデバイスは、特に、
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するように構成された分割ユニット10と、
信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、その信号クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすかどうかを判定するように構成された判断ユニット20とを含み、判断ユニット20は、その信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、その信号クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たすかどうかを判定する、判断ユニット20と、
現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスが、符号化/復号化特性パラメータに対応する信号クラスであるかどうかの判定結果に応じて、符号化/復号化特性パラメータに対応する信号クラスが、符号化/復号化特性パラメータによって表される符号化/復号化特性を有する信号クラスであるかどうかを判定するように構成された判定ユニット30とを含む。
【0089】
一実装形態において、信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、雑音クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータを含み、ただし、雑音クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータは、低周波数帯域周波数領域信号の振幅と高周波数帯域周波数領域信号の振幅の間の相互関係パラメータ、および低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーと高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーの間の相互関係パラメータのうちのいずれかである。この場合、信号分類デバイスは、現在のフレームの高周波数帯域信号の中の、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第2のピーク対平均比判断ユニット40をさらに含むことが可能であり、判定ユニットは、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きく、さらに雑音クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、雑音クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、雑音クラスであると判定するように構成された雑音クラス判定ユニット31を含む。代替として、信号分類デバイスは、第2のピーク対平均比判断ユニット40を含まなくてもよく、他のデバイスまたはチップが、現在のフレームの高周波数帯域信号の中の、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きいかどうかを判定し、信号分類デバイスに判定結果を通知するのに使用される。
【0090】
別の実装形態において、信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータ、または高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータを含み、ただし、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータ、および高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータの対応する説明は、方法実施形態における説明と同一であり、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。信号分類デバイスは、現在のフレームの高周波数帯域信号の中の、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第1のピーク対平均比判断ユニット50をさらに含むことが可能であり、さらに信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータを含む場合、判定ユニットは、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きく、高調波クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、高調波クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、高調波クラスであると判定するように構成された高調波クラス判定ユニット32を含む。信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータを含む場合、判定ユニットは、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数以下であり、予測されたクラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、予測されたクラスであると判定するように構成された予測されたクラス判定ユニット33を含む。代替として、信号分類デバイスは、第1のピーク対平均比判断ユニット50を含まなくてもよく、他のデバイスまたはチップが、現在のフレームの高周波数帯域信号の中の、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きいかどうかを判定し、さらに信号分類デバイスに判定結果を通知するのに使用される。一例示的な実装形態において、予測されるクラス判定ユニットは、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数以下であり、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数以下であり、予測されたクラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、予測されたクラスであると判定するように特に構成される。この場合、信号分類デバイスは、現在のフレームの高周波数帯域信号の中の、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第2のピーク対平均比判断ユニット40をさらに含み得る。
【0091】
一実装形態において、信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータと、高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータとを含み、ただし、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータ、および高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータの対応する説明は、方法実施形態における説明と同一であり、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。この場合、信号分類デバイスは、現在のフレームの高周波数帯域信号の中の、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第2のピーク対平均比判断ユニット40と、現在のフレームの高周波数帯域信号の中の、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第1のピーク対平均比判断ユニット50とをさらに含むことが可能であり、判定ユニットは、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きく、高調波クラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、高調波クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、高調波クラスであると判定するように構成された高調波クラス判定ユニット32と、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数以下であり、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数以下であり、予測されたクラスに対応する現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、予測されたクラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件を満たす場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、予測されたクラスであると判定するように構成された予測されたクラス判定ユニット33とをさらに含む。代替として、信号分類デバイスは、第2のピーク対平均比判断ユニット40、および第1のピーク対平均比判断ユニット50を含まなくてもよく、他のデバイスまたはチップが、判断を実行し、その後、信号分類デバイスに判定結果を通知するのに使用される。
【0092】
予測されるクラス判定ユニット33、高調波クラス判定ユニット32、および雑音クラス判定ユニット31が
図7に描かれているものの、判定ユニット30は、特定の実装形態において任意の1つまたは2つのユニットだけしか含まなくてもよいことに留意されたい。
【0093】
さらに別の実装形態において、デバイスは、
現在のフレームの全周波数時間領域信号をN個のサブフレームに分割し、1つのサブフレームのエネルギーが、そのサブフレームの前のサブフレームのエネルギーの特定の倍数より大きい場合、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、遷移クラスであると判定するように構成された遷移クラス判定ユニットをさらに含む。
【0094】
本発明のこの実施形態において、信号分類中、現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータの値が、事前設定された要件を満たすかどうかを判定することによって、現在のフレームの信号クラスが符号化/復号化特性パラメータに対応する信号クラスであるかどうかが判定され、さらに、このようにして、様々な信号クラスの符号化/復号化特性が、信号分類中に考慮に入れられて、その結果、信号分類がより正確になる。さらに、データフレームに関する信号分類がより正確であるため、データフレームが符号化された後に伝送されるビットの数が低減される。従来技術における信号分類方法によって、特定のデータフレームが正規フレームであると判定される一方で、本出願における信号分類方法によって、そのデータフレームが雑音フレームであると判定され、さらに符号器および復号器が、高周波数帯域信号の特定のサブバンドと低周波数帯域信号の特定のサブバンドの間のマッピング関係を前もって決定する場合、符号器は、高周波数帯域信号のそのサブバンドの周波数領域エンベロープ対低周波数帯域信号のそのサブバンドの周波数領域エンベロープの比を送るだけでよく、励起スペクトルと関係する情報を送る必要はなく、その結果、ビットの数が低減される。
【0095】
信号分類デバイスは、システム側に、例えば、基地局内に配置されてもよく、さらに、特に、基地局内のチップまたはソフトウェアモジュールであり得る。代替として、信号分類デバイスは、端末装置側に配置されてもよく、さらに、特に、チップまたはソフトウェアモジュールであり得る。
【0096】
帯域ベースの符号化/復号化アルゴリズムにおいて、一般に、低周波数帯域信号を符号化/復号化するためと、高周波数帯域信号を符号化/復号化するためでは、異なるアルゴリズムが使用され、一般に、低周波数帯域信号を符号化/復号化するために使用されるアルゴリズムは、特に、ACELP(Algebraic Code Excited Linear Prediction、algebraic code excited linear prediction)、QCELP(Qualcomm Code Excited Linear Prediction)、またはRCELP(Relaxed code excited linear prediction)であり得る、CELP(Code Excited Linear Prediction、code excited linear prediction)である。CELPアルゴリズムのため、符号器は、低周波数帯域信号を符号化する際、低周波数帯域信号のエネルギーを減衰させる。高周波数帯域信号を符号化/復号化するための既存のアルゴリズムは、高周波数帯域信号のエネルギーを減衰させないが、高周波数帯域信号のエネルギーが減衰されない場合、ときとして、復号化することによって復号器によって得られる信号は、聞くのが不快であり、したがって、前述の技術的問題を解決するのに、本発明の以下の実施形態が、高周波数帯域信号のエネルギーを相応して減衰させる、符号化方法および復号化方法、ならびに符号化デバイスおよび復号化デバイスを提供する。
【0097】
図4を参照すると、本発明の一実施形態が、以下を主に含む符号化方法を提供する。
【0098】
401:現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割する。
【0099】
本発明のこの実施形態は、符号器によって実施される。
【0100】
特に、低周波数帯域信号と高周波数帯域信号は、相対的な概念であり、一般に、入力信号は、QMFフィルタによって入力信号の中心周波数から低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割される。しかし、本発明は、そのように分割されることに限定されず、さらに入力信号は、他の処理の様態で他の周波数から低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割されることも可能である。
【0101】
402:高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを、低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰させ、ただし、このエネルギー減衰値は、低周波数帯域信号の符号化によって生じる低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す。
【0102】
このステップに先立って、方法は、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを判定するステップをさらに含み、ただし、信号クラスは、特に、従来技術において提供される信号クラス判定方法、または本発明の前述の実施形態において提供される信号クラス判定方法を使用することによって判定されることが可能であり、このことは、本発明の実施に影響を与えない。
【0103】
現在のフレームの高周波数帯域信号は、現在のフレーム高周波数帯域時間領域信号、または現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号であることが可能であり、現在のフレームの高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータは、高周波数帯域信号の符号化されるべきエネルギー特性パラメータであることが可能であり、特に、現在のフレームの高周波数帯域信号の符号化されるべき時間領域エンベロープまたは符号化されるべき周波数領域エンベロープであることが可能である。
【0104】
高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータは、エネルギー減衰値、および現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスに応じて特に減衰され得る。別の実装形態において、符号器は、すべての信号クラスの高周波数帯域信号、またはそれらの高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを減衰させることが可能である。しかし、現在のフレームの信号クラスは様々であるため、現在のフレームの減衰された高周波数帯域信号、または現在のフレームの高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータもまた、様々であり得る。詳細については、
図5に示される実施形態の説明を参照されたい。さらに別の実装形態において、いくつかのクラスの信号だけが減衰され、または特定のクラスの信号だけが減衰され、このことは、本発明の実施に影響を与えない。
【0105】
特定の一実装形態において、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、雑音クラス、予測されたクラス、遷移クラス、高調波クラス、および正規クラスを含むことが可能であり、別の特定の実装形態において、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスは、雑音クラス、予測されたクラス、遷移クラス、高調波クラス、摩擦音クラス、および有声音クラスを含むことが可能である。この2つの特定の実装形態における信号クラスの間の違いは、後者の実装形態では、正規クラスが摩擦音クラスと有声音クラスに分割されることにある。
【0106】
エネルギー減衰値を獲得する様態は、以下の2つの様態を含むが、これらの様態に限定されない。
【0107】
第1の様態:符号器が、現在のフレームの低周波数帯域信号を符号化し、この低周波数帯域信号を符号化したことの結果をローカルで復号化し、低周波数帯域信号のエネルギーとローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を、エネルギー減衰値として使用する。このように判定されたエネルギー減衰値は、最も正確である。
【0108】
第2の様態:エネルギー減衰値は、符号器において事前設定され、エネルギー減衰値は、同一クラスフレームの複数の低周波数帯域信号のエネルギーと同一クラスフレームの低周波数帯域信号を符号化したことの結果を復号化することによって得られた信号のエネルギーの比に応じて得られ、このことは、特に、LBGアルゴリズムを使用することによってこれらの比に応じて訓練することによって値を獲得すること、およびこの値をエネルギー減衰値として使用することであることが可能であり、ただし、同一クラスフレームは、現在のフレームの高周波数帯域信号と同一の信号クラスのデータフレームである。
【0109】
このようにして、すべての信号クラスに関して対応するエネルギー減衰値が事前設定されることが可能であり、または減衰を要求する信号クラスに関してだけ、対応するエネルギー減衰値が事前設定されることが可能である。例えば、特定の一実装形態において、摩擦音クラスの信号だけが減衰される必要がある場合、摩擦音クラスの信号のエネルギー減衰値を事前設定するだけでよい。
【0110】
403:減衰された高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の減衰された符号化されるべき特性パラメータを符号化する。
【0111】
本発明の実施形態における符号器は、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて、高周波数帯域信号、またはその高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを減衰させ、減衰結果を符号化して復号器に送り、復号化によって復号器によって得られる高周波数帯域信号のエネルギーが、相応して減衰される。このようにして、高周波数帯域信号は、低周波数帯域信号と組み合わされた後、ユーザの耳に快適となり、その結果、ユーザ体験を向上させる。
【0112】
本発明の前述の実施形態において提供される技術的解決法を、
図5に示される実施形態を介して以下に詳細に説明する。
【0113】
501:符号器が、現在のフレームの低周波数帯域信号を符号化し、この低周波数帯域信号を符号化したことの結果をローカルで復号化し、低周波数帯域信号のエネルギーとローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値として使用する。
【0114】
502:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを判定する。
【0115】
信号クラスは、特に、従来技術において提供される信号クラス判定方法、または本発明の前述の実施形態において提供される信号クラス判定方法を使用することによって判定され得る。
【0116】
503:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラス、およびエネルギー減衰値に応じて、現在のフレームの高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを減衰させる。
【0117】
このステップで、現在のフレームの信号クラスにかかわらず、符号器は、エネルギー減衰値を使用して、高周波数帯域信号のエネルギーを減衰させるが、異なる信号クラスに関して、異なる処理様態が使用される。特に、現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが遷移クラスである場合、高周波数帯域時間領域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき時間領域エンベロープが、エネルギー減衰値に応じて減衰され、現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが摩擦音クラス、高調波クラス、または正規クラスである場合、高周波数帯域周波数領域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき周波数領域エンベロープが、エネルギー減衰値に応じて減衰される。
【0118】
504:符号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスの減衰結果およびIDを符号化して、ビットストリームを得る。
【0119】
505:符号器が、ビットストリームを送る。
【0120】
本発明のこの実施形態における符号器は、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて、現在のフレームの高周波数帯域信号、またはその高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを減衰させ、減衰結果を符号化して復号器に送り、復号化によって復号器によって得られる高周波数帯域信号のエネルギーが、相応して減衰されるようにし、このようにして、高周波数帯域信号は、低周波数帯域信号と組み合わされた後、ユーザの耳に快適となり、その結果、ユーザ体験を向上させる。
【0121】
代替として、特定の一実装形態において、特定のクラスのデータフレームが減衰されることが可能であり、例えば、符号器が、CELPアルゴリズムを使用して、特定のデータフレームの低周波数帯域信号を符号化する際に、そのデータフレームの高周波数帯域信号が、遷移クラスである場合、そのデータフレームの低周波数帯域信号は、一般に、エネルギージャンプが生じるサブフレームを有し、そのデータフレームの低周波数帯域信号も遷移クラスであると一般に考えられる。CELPアルゴリズムは、遷移クラスの低周波数帯域信号を大きく減衰させ、他のクラスの低周波数帯域信号をわずかに減衰させ、そのような事例において、他のクラスの低周波数帯域信号の減衰は無視され得るとともに、遷移クラスの低周波数帯域信号の減衰だけが考慮に入れられ、その事例において、現在のフレームの高周波数帯域信号が遷移クラスである場合に限って、現在のフレームの高周波数帯域時間領域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき時間領域エンベロープが減衰される。つまり、現在のフレームの高周波数帯域時間領域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき時間領域エンベロープが減衰される。
【0122】
代替として、さらに別の特定の実装形態において、遷移クラスの高周波数帯域信号が減衰される必要があるだけでなく、摩擦音クラスの高周波数帯域信号も減衰される必要がある。正規クラスは、摩擦音クラスと有声音クラスにさらに分割され得るため、符号器が、CELPアルゴリズムを使用することによって有声音クラスの低周波数帯域信号を符号化する際、その符号化は、小さいエネルギー減衰をもたらし、さらに符号器が、摩擦音クラスの低周波数帯域信号を符号化する際、その符号化は、大きいエネルギー減衰をもたらす。したがって、データフレームの高周波数帯域信号を符号化するのに先立って、符号器が、そのデータフレームのその高周波数帯域信号が摩擦音クラスであると判定した場合、符号器は、摩擦音クラスの高周波数帯域周波数領域信号、または摩擦音クラスの高周波数帯域信号の符号化されるべき周波数領域エンベロープを減衰させる必要がある。つまり、摩擦音クラスの高周波数帯域周波数領域信号、または摩擦音クラスの高周波数帯域信号の符号化されるべき周波数領域エンベロープを減衰される。
【0123】
前述の実施形態において符号器によって使用される現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値は、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギーとその低周波数帯域信号を符号化する符号器による符号化したことの結果をローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比である。代替として、別の特定の実装形態において、様々な信号クラスに関して、LBGアルゴリズムを使用することによって、訓練によって様々なエネルギー減衰値が得られることが可能であり、その後、この獲得されたエネルギー減衰値が符号器および復号器において事前設定され、例えば、高周波数帯域信号の信号クラスが、雑音クラス、予測されたクラス、遷移クラス、高調波クラス、および正規クラスを含む場合、訓練によって雑音クラスに関して1つのエネルギー減衰値が得られ、訓練によって予測されたクラスに関して1つのエネルギー減衰値が得られ、訓練によって遷移クラスに関して1つのエネルギー減衰値が得られ、訓練によって正規クラスに関して1つのエネルギー減衰値が得られる。訓練によって特定の信号クラスに対応する1つのエネルギー減衰値を獲得する特定の様態は、その信号クラスの複数の低周波数帯域信号のエネルギーと対応する低周波数帯域信号を符号化したことの結果を復号器によって復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を得ること、LBGアルゴリズムを使用することによって、これらの得られた比に応じて訓練することによって1つの値を得ること、およびこの値を、その信号クラスに対応するエネルギー減衰値として使用することであり得る。さらに別の特定の実装形態において、正規信号クラスが、摩擦音クラスと有声音クラスにさらに分割される場合、LBGアルゴリズムを使用することによって訓練によって摩擦音クラスおよび有声音クラスに関するエネルギー減衰値が得られ、符号器および復号器において事前設定される。代替として、一部の信号クラスの高周波数帯域信号だけしか減衰される必要がない場合、例えば、遷移クラスおよび摩擦音クラスの高周波数帯域信号だけが減衰される場合、遷移クラスに対応するエネルギー減衰値、および摩擦音クラスに対応するエネルギー減衰値を事前設定するだけでよく、他のクラスに対応するエネルギー減衰値を事前設定する必要はない。
【0124】
図6を参照すると、本発明の一実施形態が、以下を含む復号化方法を提供する。
【0125】
601:ビットストリームを復号化して、現在のフレームの高周波数帯域信号、または現在のフレームの高周波数帯域信号の特性パラメータを得る。
【0126】
本発明のこの実施形態は、復号器によって実施される。
【0127】
現在のフレームの高周波数帯域信号は、現在のフレームの高周波数帯域時間領域信号、または現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号であることが可能であり、現在のフレームの高周波数帯域信号の特性パラメータは、現在のフレームの高周波数帯域信号の時間領域エンベロープまたは周波数領域エンベロープであることが可能である。
【0128】
602:高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の特性パラメータを、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰させ、ただし、エネルギー減衰値は、低周波数帯域信号を符号化することによって生じる低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す。
【0129】
高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の特性パラメータは、特に、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値、および現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスに応じて減衰されることが可能である。別の実装形態において、復号器は、すべての信号クラスの高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号のすべての特性パラメータを減衰させることが可能であるが、現在のフレームの信号クラスは様々であるため、現在のフレームの減衰された高周波数帯域信号、または現在のフレームの高周波数帯域信号の減衰された特性パラメータもまた、様々であり得る。詳細については、
図7に示される実施形態の説明を参照されたい。さらに別の実装形態において、いくつかのクラスの信号だけしか減衰されず、または特定のクラスの信号だけしか減衰されず、このことは、本発明の実施に影響を与えない。
【0130】
高周波数帯域信号の信号クラスの分類については、
図4に示される実施形態の詳細な説明が参照され、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。
【0131】
現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値を得ることは、以下の2つの態様を含むが、これらの態様には限定されない。
【0132】
第1の様態:復号器が、符号器によって送られたビットストリームを解析して、エネルギー減衰値を得る。つまり、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値が、符号器によって獲得され、復号器に送られ、特に、符号器が、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギーと現在のフレームの低周波数帯域信号を符号器によって符号化したことの結果をローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を、エネルギー減衰値として使用することが可能である。
【0133】
第2の態様:現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値が、復号器において事前設定され、さらにこのエネルギー減衰値が、同一クラスのフレームの複数の低周波数帯域信号のエネルギーと同一クラスのフレームの低周波数帯域信号を符号化したことの結果を復号化することによって得られた信号のエネルギーの比に応じて得られ、このことは、特に、LBGアルゴリズムを使用することによってこれらの比に応じて訓練することによって値を得ること、およびこの値をエネルギー減衰値として使用することであることが可能であり、ただし、同一クラスのフレームは、現在のフレームの高周波数帯域信号と同一信号クラスのデータフレームである。
【0134】
本発明のこの実施形態における復号器は、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて、高周波数帯域信号、または復号化することによって得られた高周波数帯域信号の特性パラメータを減衰して、最終的に得られる高周波数帯域信号が、低周波数帯域信号と組み合わされた後、ユーザの耳に快適であるようにして、その結果、ユーザ体験が向上する。
【0135】
本発明の前述の実施形態において提供される技術的解決法を、
図7に示される実施形態を介して以下に詳細に説明する。
【0136】
701:復号器が、符号器によって送られたビットストリームを受け取り、ただし、このビットストリームは、高周波数帯域信号を符号化したことの結果と、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値と、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスのIDとを含む。
【0137】
702:復号器が、ビットストリームを復号化して、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値と、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスと、現在のフレームの高周波数帯域信号、または現在のフレームの高周波数帯域信号の特性パラメータとを得る。
【0138】
703:復号器が、現在のフレームの高周波数帯域信号、または現在のフレームの高周波数帯域信号の特性パラメータを、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値、および現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスに応じて減衰させる。
【0139】
この実施形態において、現在のフレームの信号クラスにかかわらず、復号器は、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値を使用して高周波数帯域信号のエネルギーを減衰させるが、様々な信号クラスに関して、様々な処理様態が使用される。特に、現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが遷移クラスである場合、高周波数帯域時間領域信号、または高周波数帯域信号の時間領域エンベロープが、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰され、現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが摩擦音クラス、高調波クラス、または正規クラスである場合、高周波数帯域周波数領域信号、または高周波数帯域信号の周波数領域エンベロープが、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰される。
【0140】
本発明の実施形態における復号器は、現在のフレームの高周波数帯域信号、または復号化することによって得られた高周波数帯域信号の特性パラメータを減衰して、最終的に得られる高周波数帯域信号が、低周波数帯域信号と組み合わされた後、ユーザの耳に快適であるようにして、その結果、ユーザ体験が向上するようにする。
【0141】
代替として、特定の一実装形態において、復号器は、特定のクラスの信号だけを減衰させることが可能であり、例えば、現在のフレームの高周波数帯域信号が遷移クラスである場合に限って、復号器は、現在のフレームの高周波数帯域時間領域信号、または高周波数帯域信号の時間領域エンベロープを減衰させる。つまり、現在のフレームの高周波数帯域時間領域信号、または高周波数帯域信号の時間領域エンベロープが減衰される。
【0142】
代替として、さらに別の特定の実装形態において、遷移クラスの高周波数帯域信号が減衰される必要があるだけでなく、摩擦音クラスの高周波数帯域信号もまた、減衰される必要がある。このため、復号器は、復号化することによって摩擦音クラスの高周波数帯域信号を獲得し、その後、摩擦音クラスの高周波数帯域信号を減衰させる。つまり、摩擦音クラスの高周波数帯域信号が減衰される。代替として、復号器は、復号化することによって摩擦音クラスの高周波数帯域信号の周波数領域エンベロープを獲得し、その後、摩擦音クラスの高周波数帯域信号の周波数領域エンベロープを減衰させる。つまり、摩擦音クラスの高周波数帯域信号が減衰される。
【0143】
前述の実施形態において、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値は、符号器によって復号器に送られ、代替として、別の特定の実装形態において、エネルギー減衰値は、復号器において事前設定されることが可能であり、つまり、LBGアルゴリズムを使用することによって訓練によって様々な信号クラスに関して様々なエネルギー減衰値が得られることが可能であり、その後、得られたエネルギー減衰値が、符号器および復号器において事前設定される。この特定の実装形態は、前述した対応する部分の説明と同様であり、したがって、詳細をここで再び説明することはしない。
【0144】
図8を参照すると、本発明の一実施形態が、
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するように構成された分割ユニット100と、
高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを、低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰させるように構成され、このエネルギー減衰値は、現在のフレームの低周波数帯域信号の符号化によって生じる低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す補正ユニット200であって、
現在のフレームの高周波数帯域信号は、現在のフレームの高周波数帯域時間領域信号、または現在のフレームの高周波数帯域周波数領域信号であることが可能であり、現在のフレームの高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータは、高周波数帯域信号の符号化されるべきエネルギー特性パラメータであることが可能であり、特に、現在のフレームの高周波数帯域信号の符号化されるべき時間領域エンベロープまたは符号化されるべき周波数領域エンベロープであることが可能である補正ユニット200と、
減衰された高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の減衰された符号化されるべき特性パラメータを符号化するように構成された符号化ユニット300とを含む符号化デバイスを提供する。
【0145】
現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを判定するのに、符号化デバイスは、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを判定するように構成された信号クラス判定ユニット400をさらに含み、この場合、補正ユニット200は、高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき特性パラメータを、エネルギー減衰値、および高周波数帯域信号の信号クラスに応じて減衰させるように構成される。
【0146】
補正ユニット200は、高周波数帯域信号のクラスが遷移クラスである場合、高周波数帯域時間領域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき時間領域エンベロープを、エネルギー減衰値に応じて減衰させるように特に構成され、かつ/または高周波数帯域信号のクラスが摩擦音クラス、高調波クラス、または正規クラスである場合、高周波数帯域周波数領域信号、または高周波数帯域信号の符号化されるべき周波数領域エンベロープを、エネルギー減衰値に応じて減衰させるように特に構成される。
【0147】
現在のフレームのエネルギー減衰値を得るのに、符号化デバイスは、低周波数帯域信号を符号化し、さらに低周波数帯域信号を符号化したことの結果をローカルで復号化し、さらに低周波数帯域信号のエネルギーとローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を、エネルギー減衰値として使用するように構成されたエネルギー減衰値獲得ユニット500、または現在のフレームのエネルギー減衰値を設定するように構成され、ただし、このエネルギー減衰値は、同一クラスのフレームの複数の低周波数帯域信号のエネルギーと同一クラスのフレームの低周波数帯域信号を符号化したことの結果を復号化することによって得られた信号のエネルギーの比に応じて得られ、ただし、同一クラスのフレームは、現在のフレームの高周波数帯域信号と同一の信号クラスのデータフレームであるエネルギー減衰値設定ユニット600をさらに含むことが可能である。エネルギー減衰値獲得ユニット500およびエネルギー減衰値設定ユニット600が
図8に描かれているものの、符号化デバイスは、実際の使用時に、エネルギー減衰値獲得ユニット500を含むが、エネルギー減衰値設定ユニット600は含まないことも可能であり、またはエネルギー減衰値設定ユニット600を含むが、エネルギー減衰値獲得ユニット500は含まないことも可能であることに留意されたい。
【0148】
本発明のこの実施形態における符号化デバイスは、高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号から復号化されるべき特性パラメータを、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰させ、さらに減衰結果を符号化し、復号器に送って、復号化によって復号器によって得られる高周波数帯域信号のエネルギーが、相応して減衰されるようにし、このようにして、高周波数帯域信号は、低周波数帯域信号と組み合わされた後、ユーザの耳に快適であり、その結果、ユーザ体験が向上する。
【0149】
図9を参照すると、本発明の一実施形態が、
ビットストリームを復号化して、現在のフレームの高周波数帯域信号、または現在のフレームの高周波数帯域信号の特性パラメータを得るように構成された復号化ユニット700と、
高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の特性パラメータを、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて減衰させるように構成され、このエネルギー減衰値は、現在のフレームの低周波数帯域信号の符号化によって生じる低周波数帯域信号のエネルギー減衰を示す補正ユニット800とを含む復号化デバイスを提供する。
【0150】
現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを得るのに、復号化ユニット700は、ビットストリームを復号化して、現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスを得るようにさらに構成され、さらに補正ユニット800は、高周波数帯域信号、または高周波数帯域信号の特性パラメータを、エネルギー減衰値、および現在のフレームの高周波数帯域信号の信号クラスに応じて減衰させるように特に構成される。
【0151】
特に、補正ユニット800は、現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが遷移クラスである場合、エネルギー減衰値に応じて高周波数帯域時間領域信号、または高周波数帯域信号の時間領域エンベロープを減衰させるように特に構成され、かつ/または補正ユニットは、現在のフレームの高周波数帯域信号のクラスが摩擦音クラス、高調波クラス、または正規クラスである場合、エネルギー減衰値に応じて高周波数帯域周波数領域信号、または高周波数帯域信号の周波数領域エンベロープを減衰させるように特に構成される。
【0152】
現在のフレームのエネルギー減衰値を得るのに、復号化ユニット700は、ビットストリームからエネルギー減衰値を復号化するようにさらに構成され、このエネルギー減衰値は、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギーと現在のフレームの低周波数帯域信号を符号器によって符号化したことの結果をローカルで復号化することによって得られた信号のエネルギーの比を示す。
【0153】
代替として、現在のフレームのエネルギー減衰値を得るのに、復号化デバイスは、現在のフレームのエネルギー減衰値を設定するように構成され、このエネルギー減衰値は、同一クラスのフレームの低周波数帯域信号のエネルギーと同一クラスのフレームの低周波数帯域信号を符号化したことの結果を復号化することによって得られた信号のエネルギーの比に応じて得られ、同一クラスのフレームは、現在のフレームの高周波数帯域信号と同一の信号クラスのデータフレームであるエネルギー減衰値設定ユニット900をさらに含む。
【0154】
本発明のこの実施形態における復号化デバイスは、現在のフレームの低周波数帯域信号のエネルギー減衰値に応じて、高周波数帯域信号、または復号化することによって得られた高周波数帯域信号の特性パラメータを減衰させて、最終的に得られる高周波数帯域信号が、低周波数帯域信号と組み合わされた後、ユーザの耳に快適であるようにして、その結果、ユーザ体験が向上するようにする。
【0155】
これらの実施形態による方法におけるステップのすべて、または一部分が、関係のあるハードウェアに命令するプログラムによって実施され得ることが、当業者には理解されよう。このプログラムは、読み取り専用メモリ、磁気ディスク、または光ディスクなどのコンピュータ可読記憶媒体の中に格納され得る。
【0156】
本発明の実施形態による信号分類方法および信号分類デバイス、ならびに符号化および復号化の方法およびデバイスが、以上に詳細に説明される。本発明の原理および実施は、特定の実施例を介して本明細書で説明される。これらの実施形態についての説明は、本発明の方法および中核の考え方の理解を容易にするために与えられているに過ぎない。当業者は、本発明の考え方に従って特定の実施形態および応用範囲に関して本発明の様々な変更形態および変形形態を作成することができる。したがって、特定化は、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0157】
10 分割ユニット
20 判断ユニット
30 判定ユニット
31 雑音クラス判定ユニット
32 予測されたクラス判定ユニット
33 高調波クラス判定ユニット
【手続補正書】
【提出日】2022-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在のフレームを低周波数帯域信号と高周波数帯域信号に分割するように構成された分割ユニットと、
信号クラスに対応する事前設定された符号化/復号化特性パラメータの値要件に応じて、前記信号クラスに対応する前記現在のフレームの符号化/復号化特性パラメータが、前記符号化/復号化特性パラメータの前記値要件を満たすかどうかを判定するように構成された判断ユニットと、
判定結果に応じて前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の信号クラスを判定するように構成された判定ユニットと
を備える信号分類デバイス。
【請求項2】
前記信号クラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータは、雑音クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータを備え、
前記雑音クラスに対応する前記符号化/復号化特性パラメータは、低周波数帯域周波数領域信号の振幅と高周波数帯域周波数領域信号の振幅の間の相互関係パラメータ、および前記低周波数帯域周波数領域信号のエネルギーと前記高周波数帯域周波数領域信号のエネルギーの間の相互関係パラメータのうちのいずれかである請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の中の、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第2のピーク対平均比判断ユニットを前記デバイスがさらに備え、
前記判定ユニットは、
前記第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの前記数が前記第2の所定の数より大きく、前記雑音クラスに対応する前記現在のフレームの前記符号化/復号化特性パラメータの値が前記雑音クラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータの前記値要件を満たす場合、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが前記雑音クラスであると判定するように構成された雑音クラス判定ユニットを備える請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記信号クラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータは、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータ、または高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータを備え、
前記予測されたクラスに対応する前記符号化/復号化特性パラメータおよび前記高調波クラスに対応する前記符号化/復号化特性パラメータのそれぞれは、前記低周波数帯域信号の周波数領域係数と前記高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、前記低周波数帯域信号の前記周波数領域係数の絶対値と前記高周波数帯域信号の前記周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータ、低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、および前記低周波数帯域励起スペクトルの前記周波数領域係数の絶対値と前記高周波数帯域励起スペクトルの前記周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータのうちの1つである請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の中の、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が第1の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第1のピーク対平均比判断ユニットを前記デバイスがさらに備え、
前記信号クラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、前記高調波クラスに対応する前記符号化/復号化特性パラメータを備える場合、前記判定ユニットは、
前記第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの前記数が前記第1の所定の数より大きく、前記高調波クラスに対応する前記現在のフレームの前記符号化/復号化特性パラメータの値が前記高調波クラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータの前記値要件を満たす場合、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが前記高調波クラスであると判定するように構成された高調波クラス判定ユニットを備える請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の中の、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第1のピーク対平均比判断ユニットを前記デバイスがさらに備え、
前記信号クラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータが、前記予測されたクラスに対応する前記符号化/復号化特性パラメータを備える場合、前記判定ユニットは、
前記第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの前記数が前記第1の所定の数以下であり、前記予測されたクラスに対応する前記現在のフレームの前記符号化/復号化特性パラメータの値が前記予測されたクラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータの前記値要件を満たす場合、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが前記予測されたクラスであると判定するように構成された予測されたクラス判定ユニットを備える請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記信号クラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータは、予測されたクラスに対応する符号化/復号化特性パラメータおよび高調波クラスに対応する符号化/復号化特性パラメータを備え、
前記予測されたクラスに対応する前記符号化/復号化特性パラメータおよび前記高調波クラスに対応する前記符号化/復号化特性パラメータのそれぞれは、前記低周波数帯域信号の周波数領域係数と前記高周波数帯域信号の周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、前記低周波数帯域信号の前記周波数領域係数の絶対値と前記高周波数帯域信号の前記周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータ、低周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数と高周波数帯域励起スペクトルの周波数領域係数の間の相互関係パラメータ、および前記低周波数帯域励起スペクトルの前記周波数領域係数の絶対値と前記高周波数帯域励起スペクトルの前記周波数領域係数の絶対値の間の相互関係パラメータのうちの1つであり、
前記デバイスは、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の中の、第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第1の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第1のピーク対平均比判断ユニットと、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の中の、第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの数が、第2の所定の数より大きいかどうかを判定するように構成された第2のピーク対平均比判断ユニットとをさらに備え、
前記判定ユニットは、
前記第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの前記数が前記第1の所定の数より大きく、前記高調波クラスに対応する前記現在のフレームの前記符号化/復号化特性パラメータの値が前記高調波クラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータの前記値要件を満たす場合、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが前記高調波クラスであると判定するように構成された高調波クラス判定ユニット、および
前記第1のしきい値より大きいピーク対平均比を有するサブバンドの前記数が前記第1の所定の数より大きくであり、前記第2のしきい値より小さいピーク対平均比を有するサブバンドの前記数が前記第2の所定の数以下であり、前記予測されたクラスに対応する前記現在のフレームの前記符号化/復号化特性パラメータの値が前記予測されたクラスに対応する前記事前設定された符号化/復号化特性パラメータの前記値要件を満たす場合、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが前記予測されたクラスであると判定するように構成された予測されたクラス判定ユニットを備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記現在のフレームの全周波数帯域時間領域信号をN個のサブフレームに分割し、1つのサブフレームのエネルギーが前記サブフレームの前のサブフレームのエネルギーの所定の倍数より大きい場合、前記現在のフレームの前記高周波数帯域信号の前記信号クラスが遷移クラスであると判定するように構成された遷移クラス判定ユニットをさらに備える請求項1に記載のデバイス。
【外国語明細書】