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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022079
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】アルカリ性化剤による血液浄化
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/493 20060101AFI20230207BHJP
   C07C 59/265 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 31/194 20060101ALN20230207BHJP
   A61P 13/12 20060101ALN20230207BHJP
   A61P 39/02 20060101ALN20230207BHJP
【FI】
G01N33/493 A
C07C59/265
A61K31/194
A61P13/12
A61P39/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022180930
(22)【出願日】2022-11-11
(62)【分割の表示】P 2019513213の分割
【原出願日】2017-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2017082423
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017103935
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.ウェブサイトの掲載日:平成29年3月13日 ウェブサイトのアドレス: https://endai.umin.ac.jp/cgi-open-bin/hanyou/lookup/detail.cgi?cond=%27A00018-00058-20341%27&&&parm=a00018-00058 2.発行者名:一般社団法人日本腎臓学会 刊行物名:日本腎臓学会誌第59巻・第3号学術総会号 発行年月日:平成29年4月19日
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】000228590
【氏名又は名称】日本ケミファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】阿部 倫明
(72)【発明者】
【氏名】小柴 生造
(72)【発明者】
【氏名】西岡 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】川口 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 里美
(72)【発明者】
【氏名】寺中 康行
(57)【要約】
【課題】慢性腎臓病患者の尿中へ排出された尿毒症物質の排出促進を判定するための被験物を提供する。
【解決手段】クエン酸アルカリ金属塩若しくはその水和物又はそれらの混合物を投与した慢性腎臓病患者の尿を収集し、収集した尿のpHを測定し、尿のpHが5.2~6.8の範囲にあることを確認することで慢性腎臓病患者の尿中へ排出された尿毒症物質のうち、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸からなる群から少なくとも1つ選択される尿毒症物質の排出促進を判定するための被験物であるクエン酸アルカリ金属塩若しくはその水和物又はそれらの混合物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエン酸アルカリ金属塩若しくはその水和物又はそれらの混合物を投与した慢性腎臓病患者の尿を収集し、収集した尿のpHを測定し、尿のpHが5.2~6.8の範囲にあることを確認することで慢性腎臓病患者の尿中へ排出された尿毒症物質のうち、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸からなる群から少なくとも1つ選択される尿毒症物質の排出促進を判定するための被験物であるクエン酸アルカリ金属塩若しくはその水和物又はそれらの混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ性化剤による血液浄化に関する。
本願は、2017年4月18日に、日本に出願された特願2017-82423号、2017年4月24日に、日本に出願された特願2017-85741号、及び2017年5月25日に、日本に出願された特願2017-103935号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
透析や移植を必要とする末期腎不全(end-stage Kidney disease:ESKD)患者は世界的に増加している。日本においても増加傾向にあり、2014年末の透析患者数は32万人となっている。
このESKDの予備軍として認識されているのが慢性腎臓病(CKD)である。CKDは、原疾患を問わず、慢性に経過する腎臓病を包括する概念であり、糸球体濾過量(GFR)で表される腎機能の低下があるか、又は腎臓の障害を示唆する所見が慢性的(3ヶ月以上)に持続する病態全てを包含する概念である。CKDはESKDへの進行リスクであるばかりではなく、心血管疾患(CVD)等の強力な発症リスクであることから、CKDを早期に発見し適切な治療を行うことは非常に重要である。これまでに多くのCKD治療法が確立されているが、まだ不十分で、さらに腎保護剤の開発が求められている。
【0003】
CKDでは、腎クリアランスの低下に伴い、様々な尿毒症物質が生体内に蓄積する。なかでも、トリプトファンの終末代謝産物であるインドキシル硫酸は、CKDの進行に伴い血中濃度が増加し、高濃度(100μM~1mM)のインドキシル硫酸が血中に蓄積する。インドキシル硫酸は、腎臓の線維化による腎障害の進展や、血管石灰化によるCVD等のCKDの合併症にも深くかかわることが知られており、血清中のインドキシル硫酸濃度は透析患者の死亡率や心血管イベント発症率と相関するという報告がある(非特許文献1)。そして、CKD患者の血中インドキシル硫酸の濃度を低下させることで、ESKDへの進行が抑制でき、腎不全に関与したCVDの発症を抑制できると考えられている。実際、腸管内でインドキシル硫酸の前駆体であるインドールを吸着し、血中インドキシル硫酸濃度を低下させる球形吸着炭製剤(クレメジン(登録商標))は、CKD患者の透析導入を遅延させ、動脈硬化を改善する(非特許文献2)。
【0004】
一方、進行したCKD患者では血中の重炭酸イオン(HCO3 -)濃度が低くなり、代謝性アシドーシスを発症することから、炭酸水素ナトリウムやクエン酸製剤等のアルカリ性化剤が投与される。そして、アルカリ性化剤である炭酸水素ナトリウムの投与によりCKDの進行が抑制されることが報告されている(非特許文献3)。また、蛋白質過負荷により惹起されるネフローゼ動物モデルにおいて、炭酸水素ナトリウムの経口投与が、酸性尿による尿細管細胞障害を抑制することが報告されている(非特許文献4)。
しかしながら、早期のCKD患者にアルカリ性化剤を投与することによって、腎障害の進行を抑制することについては報告されておらず、尿毒症物質の血中濃度低下についても報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Barreto, F.C., et al.: Serum indoxyl sulfate is associated with vascular disease and mortality in chronic kidney disease patients. Clin. J. Am. Soc. Nephrol., 4: 1551-1558, 2009.
【非特許文献2】Nakamura T., et al.: Oral ADSORBENT AST-120 decreases carotid intima-media thickness and arterial stiffness in patients with chronic renal failure. Kidney Blood Press Res, 27: 121-6, 2004.
【非特許文献3】Brito-Ashurst, I.D., et al.: Bicarbonate supplementation slows progression of CKD and improves nutritional status. J. Am. Soc. Nephrol., 20: 2075-2084, 2009.
【非特許文献4】Souma T., et al.: Luminal alkalinization attenuates proteinuria-induced oxidative damage in proximal tubular cells. J. Am. Soc. Nephrol., 22: 635-648, 2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題の一つは、腎臓病患者における血液浄化に有用な医薬を提供することである。本発明の他の一つの課題は、慢性腎臓病の進行(慢性腎臓病の重症化)の抑制、尿毒症症状の治療及び予防、及び透析導入の遅延に有用な医薬を提供することである。本発明の他の一つの課題は、急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制に有用な医薬を提供することである。本発明の他の一つの課題は、尿毒症物質の体外排出促進用の食品を提供することである。本発明の他の一つの課題は、慢性腎臓病の進行抑制を判定する方法、血中の尿毒症物質の濃度低下及び/又は尿中への尿毒症物質の排出促進を判定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を行ったところ、体液をアルカリ性化する薬剤が、腎臓病患者体内からの尿毒症物質排泄促進(例えば、尿毒症物質の尿中への排泄促進)に有用であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、一つの側面において、アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の体外への排泄促進用医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明は、一つの側面において、アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の血中濃度低下用医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明は、一つの側面において、アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病における尿中排泄促進用医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明は、一つの側面において、アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病における尿毒症症状の改善用医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明は、一つの側面において、アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病における透析導入の遅延用医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明は、一つの側面において、アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病に伴う心血管系疾患の治療又は予防用医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明は、一つの側面において、アルカリ性化剤を含む、急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制用医薬組成物を提供する。
【0015】
本発明は、一つの側面において、アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の体外排泄促進用食品組成物を提供する。
【0016】
本発明は、一つの側面において、慢性腎臓病の進行抑制を判定する方法を提供する。
【0017】
本発明は、一つの側面において、ヒトの血中の尿毒素の濃度低下及び/又は尿中への尿毒素の排出促進を判定する方法を提供する。
【0018】
すなわち、本発明は以下の側面を有する。
(1)アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の血中濃度低下用医薬組成物。
(2)アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の尿中排泄促進用医薬組成物。
(3)アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の体外排泄促進用医薬組成物。
(4)尿中排泄又は体外排泄が、尿毒症物質の血中濃度に依存する、(2)又は(3)に記載の医薬組成物。
(5)慢性腎臓病又は急性腎臓病の患者に投与される(1)~(4)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(6)尿毒症物質が、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸からなる群から少なくとも1つ選択される、(1)~(5)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(7)尿毒症物質がインドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸である、(1)~(6)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(8)尿毒症物質がインドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミンである、(1)~(6)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(9)尿毒症物質がインドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミンである、(1)~(6)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(10)尿毒症物質がインドキシル硫酸及び馬尿酸である、(1)~(6)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(11)尿毒症物質がフェニルアセチルLグルタミン及びp-クレジル硫酸である、(1)~(6)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(12)尿毒症物質がインドキシル硫酸である、(1)~(6)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(13)アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病における尿毒症症状の改善用医薬組成物。
(14)アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病における透析導入の遅延用医薬組成物。
(15)アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病に伴う心血管系疾患の治療又は予防用医薬組成物。
(16)動脈硬化を改善する、(15)記載の医薬組成物。
(17)アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病の進行抑制用医薬組成物。
(18)アルカリ性化剤を含む、尿細管障害の治療又は予防用医薬組成物。
(19)早期の慢性腎臓病患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(20)ステージG3b以下の慢性腎臓病患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(21)ステージG2以上G3b以下の慢性腎臓病患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(22)ステージG2及びG3aの慢性腎臓病患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(23)ステージG2の慢性腎臓病患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(24)尿中のβ2-マイクログロブリン濃度が290μg/L以下の患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(25)尿中のβ2-マイクログロブリン濃度が50~150μg/L以下の患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(26)血中のシスタチンC濃度が0.5~2.2mg/L以下の患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(27)血中のシスタチンC濃度が1.0~1.3mg/L以下の患者に投与される、(1)~(18)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(28)アルカリ性化剤を含む、急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制用医薬組成物。
(29)アルカリ性化剤が、クエン酸の医薬的に許容可能な塩、若しくはその水和物又はそれらの混合物である、(1)~(28)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(30)アルカリ性化剤が、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム若しくはその水和物又はそれらの混合物である、(1)~(29)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(31)アルカリ性化剤が、クエン酸ナトリウム又はその水和物と、クエン酸カリウム又はその水和物との混合物を含む、(1)~(30)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(32)アルカリ性化剤が、クエン酸ナトリウム又はその水和物である、(1)~(31)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(33)医薬組成物が錠剤である、(1)~(32)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(34)アルカリ性化剤投与開始前に比較した尿毒症物質の血中濃度低下が、アルカリ性化剤の投与12週後に検出される、(1)~(33)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(35)アルカリ性化剤投与開始前に比較した尿毒症物質の尿中濃度増加が、アルカリ性化剤の投与12週後に検出される、(1)~(34)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(36)アルカリ性化剤投与開始前に比較した尿毒症物質の体外排泄増加が、アルカリ性化剤の投与12週後に検出される、(1)~(35)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(37)アルカリ性化剤の投与により、尿中のβ2-マイクログロブリン濃度の増加が抑制される、(1)~(36)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(38)アルカリ性化剤の投与により、投与12週後において、尿中のβ2-マイクログロブリン濃度の増加が抑制されている、(1)~(37)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(39)アルカリ性化剤の投与により、投与開始前に比較し尿中のβ2-マイクログロブリン濃度が実質的に低下していない、(1)~(38)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(40)アルカリ性化剤の投与により、投与12週後において、投与開始前に比較し尿中のβ2-マイクログロブリン濃度が実質的に低下していない、(1)~(39)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(41)アルカリ性化剤の投与により、投与開始前に比較し血中のシスタチンCが実質的に増加しない、(1)~(40)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(42)アルカリ性化剤の投与により、投与開始前に比較し投与12週後において、血中のシスタチンCが実質的に増加していない、(1)~(41)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(43)アルカリ性化剤の投与により、投与開始前に比較して近位尿細管障害の改善及び/又は糸球体障害改善が認められず、投与開始前に比較して尿毒症物質の血中濃度低下、尿毒症物質の尿中排泄促進及び/又は尿毒症物質の体外排泄促進が認められる、(1)~(42)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(44)アルカリ性化剤の投与12週後において、アルカリ性化剤の投与により、投与開始前に比較して近位尿細管障害の改善及び/又は糸球体障害改善が認められず、投与開始前に比較して尿毒症物質の血中濃度低下、尿毒症物質の尿中排泄促進及び/又は尿毒症物質の体外排泄促進が認められる、(1)~(43)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(45)アルカリ性化剤が1~3g/日で投与される、(1)~(44)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(46)アルカリ性化剤が1~1.5g/日で投与される、(1)~(45)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(47)早朝尿のpHがpH5.2~pH6.8となるようにアルカリ性化剤が投与される、(1)~(46)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(48)早朝尿のpHがpH6.0以上pH6.2未満となるようにアルカリ性化剤が投与される、(1)~(47)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(49)アルカリ性化剤が12週間以上投与される、(1)~(48)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(50)アルカリ性化剤が12週間投与される、(1)~(49)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(51)アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の体外排泄促進用食品組成物。
(52)アルカリ性化剤が、クエン酸アルカリ金属塩若しくはその水和物又はそれらの混合物である、(51)に記載の食品組成物。
(53)慢性腎臓病の進行抑制を判定する方法であって、尿のpHを測定することを含む方法。
(54)慢性腎臓病患者の血中の尿毒症物質の濃度低下を判定する方法であって、尿のpHを測定することを含む方法。
(55)慢性腎臓病患者の尿中への尿毒症物質の排出促進を判定する方法であって、尿のpHを測定することを含む方法。
【0019】
さらに、本発明は以下の側面を有する。
(56)アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の血中濃度低下用医薬組成物であって、錠剤である前記医薬組成物。
(57)アルカリ性化剤を含む、尿毒症物質の尿中排泄促進用医薬組成物であって、錠剤である前記医薬組成物。
(58)慢性腎臓病又は急性腎臓病の患者に投与される、(56)又は(57)に記載の医薬組成物。
(59)尿毒症物質が、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸からなる群から少なくとも1つ選択される、(56)~(58)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(60)尿毒症物質がインドキシル硫酸である、(56)~(59)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(61)アルカリ性化剤を含む、慢性腎臓病の進行抑制用医薬組成物であって、錠剤である前記医薬組成物。
(62)アルカリ性化剤を含む、尿細管障害の治療又は予防用医薬組成物であって、錠剤である前記医薬組成物。
(63)アルカリ性化剤が、クエン酸の医薬的に許容可能な塩、若しくはその水和物又はそれらの混合物である、(56)~(62)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(64)アルカリ性化剤が、クエン酸ナトリウム又はその水和物と、クエン酸カリウム又はその水和物との混合物を含む、(56)~(63)のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0020】
本発明が提供する医薬組成物等により、哺乳動物において尿毒症物質が体外に排出される。本発明が提供する方法により、尿毒症物質が体外に排出されるか否か、及び/又は慢性腎臓病の進行が抑制できているか否かの予備的な判断をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】試験開始6、12及び24週後のコントロール群の患者での尿中インドキシル硫酸濃度と血漿中インドキシル硫酸濃度の相関を示す図である。
図2】試験開始6、12及び24週後のクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群の患者での尿中インドキシル硫酸濃度と血漿中インドキシル硫酸濃度の相関を示す図である。
図3】試験開始6、12及び24週後の炭酸水素ナトリウム製剤投与群の患者での尿中インドキシル硫酸濃度と血漿中インドキシル硫酸濃度の相関を示す図である。
図4】試験開始6、12及び24週後の全患者での尿中インドキシル硫酸濃度と血漿中インドキシル硫酸濃度の相関を示す図である。
図5】試験開始6、12及び24週後のコントロール群の患者での尿中p-クレジル硫酸濃度と血漿中p-クレジル硫酸濃度の相関を示す図である。
図6】試験開始6、12及び24週後のクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群の患者での尿中p-クレジル硫酸濃度と血漿中p-クレジル硫酸濃度の相関を示す図である。
図7】試験開始6、12及び24週後の炭酸水素ナトリウム製剤投与群の患者での尿中p-クレジル硫酸濃度と血漿中p-クレジル硫酸濃度の相関を示す図である。
図8】試験開始6、12及び24週後の全患者での尿中p-クレジル硫酸濃度と血漿中p-クレジル硫酸濃度の相関を示す図である。
図9】試験開始6、12及び24週後のコントロール群の患者での尿中馬尿酸濃度と血漿中馬尿酸濃度の相関を示す図である。
図10】試験開始6、12及び24週後のクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群の患者での尿中馬尿酸濃度と血漿中馬尿酸濃度の相関を示す図である。
図11】試験開始6、12及び24週後の炭酸水素ナトリウム製剤投与群の患者での尿中馬尿酸濃度と血漿中馬尿酸濃度の相関を示す図である。
図12】試験開始6、12及び24週後の全患者での尿中馬尿酸濃度と血漿中馬尿酸濃度の相関を示す図である。
図13】試験開始6、12及び24週後のコントロール群の患者での尿中アルギニノコハク酸濃度と血漿中アルギニノコハク酸濃度の相関を示す図である。
図14】試験開始6、12及び24週後のクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群の患者での尿中アルギニノコハク酸濃度と血漿中アルギニノコハク酸濃度の相関を示す図である。
図15】試験開始6、12及び24週後の炭酸水素ナトリウム製剤投与群の患者での尿中アルギニノコハク酸濃度と血漿中アルギニノコハク酸濃度の相関を示す図である。
図16】試験開始6、12及び24週後の全患者での尿中アルギニノコハク酸濃度と血漿中アルギニノコハク酸濃度の相関を示す図である。
図17】試験開始6、12及び24週後のコントロール群の患者での尿中フェニルアセチルLグルタミン濃度と血漿中フェニルアセチルLグルタミン濃度の相関を示す図である。
図18】試験開始6、12及び24週後のクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群の患者での尿中フェニルアセチルLグルタミン濃度と血漿中フェニルアセチルLグルタミン濃度の相関を示す図である。
図19】試験開始6、12及び24週後の炭酸水素ナトリウム製剤投与群の患者での尿中フェニルアセチルLグルタミン濃度と血漿中フェニルアセチルLグルタミン濃度の相関を示す図である。
図20】試験開始6、12及び24週後の全患者での尿中フェニルアセチルLグルタミン濃度と血漿中フェニルアセチルLグルタミン濃度の相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.医薬組成物
本発明が提供する医薬組成物は、有効成分として、アルカリ性化剤を含むことができる。
アルカリ性化剤とは、哺乳動物(特にヒト)の体液、例えば、血液又は尿のHCO3 -濃度やpHを高める能力を有する薬剤である。アルカリ性化剤の例としては、クエン酸の医薬的に許容可能な塩、若しくはその水和物又はそれらの混合物、及び炭酸水素ナトリウム(重曹)が挙げられる。クエン酸の医薬的に許容可能な塩の例としては、クエン酸アルカリ金属塩が挙げられる。クエン酸アルカリ金属塩の例としては、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムが挙げられ、それぞれ安定なクエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及びクエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)等の水和物であってもよい。
好ましいアルカリ性化剤の例としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム若しくはその水和物又はそれらの混合物が挙げられ、例えば、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及びクエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)の混合物であってもよい。クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及びクエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)の混合比は、当業者が適宜設定でき、例えば、クエン酸カリウムの一水和物とクエン酸ナトリウムの二水和物のモル比を、クエン酸カリウムの一水和物1に対してクエン酸ナトリウムの二水和物を0.01~100とすることができる。混合比をモル比で約1:1としてもよい。
また、好ましいアルカリ性化剤の他の例には、クエン酸ナトリウム又はその水和物が挙げられ、例えば、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)であってもよい。
また、好ましいアルカリ性化剤の他の例には、クエン酸カリウム又はその水和物が挙げられ、例えば、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)であってもよい。
一つの実施態様において、本発明の医薬組成物に含まれるアルカリ性化剤は、クエン酸ナトリウム又はその水和物と、クエン酸カリウム又はその水和物との混合物を含んでいてもよい。
別の実施態様において、本発明の医薬組成物に含まれるアルカリ性化剤は、クエン酸ナトリウム又はその水和物と、クエン酸カリウム又はその水和物との混合物のみから構成されていてもよい。
本明細書において、アルカリ性化剤(例えば、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及び、クエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O))の重量について言及する時は、その重量は乾燥重量であり得る。
【0023】
本明細書において尿毒症物質とは、正常な腎により排泄される物質(老廃物や毒素等)であって、腎機能低下等の何らかの原因により排泄機能が低下したときに、血中に増加(蓄積)して尿毒症の症状又は疾患を引き起こす物質を意味する。尿毒症物質の例には、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸が挙げられる。
このうち、インドキシル硫酸は、食物蛋白質由来のトリプトファンから腸内細菌により生成されたインドールが肝臓で酸化及び硫酸抱合されて生成される。インドキシル硫酸は血中ではそのほとんどがアルブミンと結合して存在しており、代謝を受けず、健常人では腎臓から尿中へ排泄されるが、腎臓病患者の場合は、腎臓機能低下によって、血中に高濃度で蓄積されたままとなる。
尿毒症物質であるインドキシル硫酸は、腎臓病患者において尿毒症を惹起するだけでなく、慢性腎臓病患者を透析導入に至らしめる原因となる。
よって、血中のインドキシル硫酸濃度を低下させることで、腎臓病患者の尿毒症症状が改善され、尿毒症の治療及び/又は予防が可能となる。また、血中のインドキシル硫酸濃度を低下させることで、慢性腎臓病患者の透析導入を遅延させることが可能となる。一つの実施態様において、慢性腎臓病患者は、進行性の慢性腎臓病である。
本明細書において、[A、B及び/又はC]という表現は、「A、B及びCからなる群より少なくとも1つ選択される」ことを表す。したがって、例えば、「インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸」とは、「インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸からなる群より少なくとも1つ選択される」ことを表す。
【0024】
また、尿毒症物質であるインドキシル硫酸は、心筋の線維化、動脈硬化、血管平滑筋細胞の増殖、血管内皮細胞障害、動脈壁の肥厚、大動脈の石灰化等を惹起し、慢性腎臓病患者の合併症の一つである心血管系疾患(例えば、心不全、心筋梗塞)及び/又は脳血管系疾患である脳卒中等を発症させる。
よって、血中のインドキシル硫酸濃度を低下させることで、心筋の線維化、動脈硬化、血管平滑筋細胞の増殖、血管内皮細胞障害、動脈壁の肥厚、大動脈の石灰化等を抑制し、慢性腎臓病患者の合併症の一つである心血管系疾患及び/又は脳血管系疾患の治療及び/又は予防が可能となる。
【0025】
一つの側面において、本発明が提供する医薬組成物は、血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ)の濃度を低下させることが可能である。インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせの例には、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;及びフェニルアセチルLグルタミンが挙げられる。
本明細書において、「血中の尿毒症物質の濃度の低下」とは、本発明が提供する医薬組成物の投与前の血中の尿毒症物質の濃度に比較して、投与後の血中の尿毒症物質の濃度が低下することを意味する。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、投与前に比較し、血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;又はフェニルアセチルLグルタミン))の濃度が低下するが、その低下量は、投与前の尿毒症物質の血中濃度の1~5%、3~5%、1~10%、3~10%、5~10%、1~15%、3~15%、5~15%、1~30%、1~40%、3~40%、5~40%、1~50%、3~50%、5~50%、30~50%、1~60%、5%以上、10%以上又は30%以上である。
本明細書において、尿毒症物質の血中濃度の低下量は、以下の計算式(1)により計算される。
尿毒症物質の血中濃度の低下量(%)=[(医薬組成物投与前の尿毒症物質の血中濃度(ng/mL)-医薬組成物投与後の尿毒症物質の血中濃度(ng/mL))/医薬組成物投与前の尿毒症物質の血中濃度(ng/mL)]×100 (1)
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の6、12又は24週の連続投与により、投与前に比較し、血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;又はフェニルアセチルLグルタミン))の濃度が、低下するが、その低下量は、投与前の尿毒症物質の血中濃度の1~5%、3~5%、1~10%、3~10%、5~10%、1~15%、3~15%、5~15%、1~30%、1~40%、3~40%、5~40%、1~50%、3~50%、5~50%、30~50%、1~60%、5%以上、10%以上又は30%以上である。
一つの側面において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ)の尿中への排泄を促進させることが可能である。インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせの例には、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びアルギニノコハク酸;p-クレジル硫酸及びアルギニノコハク酸;馬尿酸及びアルギノコハク酸;フェニルアセチルLグルタミン及びアルギノコハク酸;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;アルギニノコハク酸;及びフェニルアセチルLグルタミンが挙げられる。
本明細書において、「尿毒症物質の尿中への排泄の促進」とは、本発明が提供する医薬組成物の投与前の尿中の尿毒症物質の濃度に比較して、投与後の尿中の尿毒症物質の濃度が増加することを意味する。
本明細書において、「尿中」とは、例えば「早朝尿中」を意味する。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、投与前に比較し、尿中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びアルギニノコハク酸;p-クレジル硫酸及びアルギニノコハク酸;馬尿酸及びアルギノコハク酸;フェニルアセチルLグルタミン及びアルギノコハク酸;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;アルギニノコハク酸;又はフェニルアセチルLグルタミン))の濃度が1~100%、1~50%、3~50%、5~50%、10~50%、15~50%、1~40%、5~40%、10~40%、1~30%、5~30%、10~30%、15~30%、10%以上、20%以上、30%以上又は40%以上増加する。
本明細書において、尿毒症物質の尿中濃度の増加量は、以下の計算式(2)により計算される。
尿毒症物質の尿中濃度の増加量(%)=[(医薬組成物投与後の尿毒症物質の尿中濃度(ng/mL)-医薬組成物投与前の尿毒症物質の尿中濃度(ng/mL))/医薬組成物投与前の尿毒症物質の尿中濃度(ng/mL)]×100 (2)
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の6、12又は24週の連続投与により、投与前に比較し、尿中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びアルギニノコハク酸;p-クレジル硫酸及びアルギニノコハク酸;馬尿酸及びアルギノコハク酸;フェニルアセチルLグルタミン及びアルギノコハク酸;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;アルギニノコハク酸;又はフェニルアセチルLグルタミン))の濃度が1~100%、1~50%、3~50%、5~50%、10~50%、15~50%、1~40%、5~40%、10~40%、1~30%、5~30%、10~30%、15~30%、10%以上、20%以上、30%以上又は40%以上増加する。
一つの側面において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ)の血中から尿中への排泄を促進し、体外への排泄を促進させることが可能である。インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせの例には、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びアルギニノコハク酸;p-クレジル硫酸及びアルギニノコハク酸;馬尿酸及びアルギノコハク酸;フェニルアセチルLグルタミン及びアルギノコハク酸;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;アルギニノコハク酸;及びフェニルアセチルLグルタミンが挙げられる。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、投与前に比較し、血中濃度に対する尿中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びアルギニノコハク酸;p-クレジル硫酸及びアルギニノコハク酸;馬尿酸及びアルギノコハク酸;フェニルアセチルLグルタミン及びアルギノコハク酸;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;アルギニノコハク酸;又はフェニルアセチルLグルタミン))の濃度の比(尿中濃度(ng/mL)/血中濃度(ng/mL))が1~100%、1~50%、3~50%、5~50%、10~50%、15~50%、1~40%、5~40%、10~40%、1~30%、5~30%、10~30%、15~30%、10%以上、20%以上、30%以上又は40%以上増加する。
本明細書において、尿毒症物質の血中濃度に対する尿中濃度の比(尿中濃度(ng/mL)/血中濃度(ng/mL))の増加量は、以下の計算式(3)により計算される。
尿毒症物質の血中濃度に対する尿中濃度の比の増加量(%)=[(医薬組成物投与後の尿毒症物質の血中濃度に対する尿中濃度の比-医薬組成物投与前の尿毒症物質の血中濃度に対する尿中濃度の比)/医薬組成物投与前の尿毒症物質の血中濃度に対する尿中濃度の比]×100 (3)
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の6、12又は24週の連続投与により、投与前に比較し、血中濃度に対する尿中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;馬尿酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;p-クレジル硫酸及び馬尿酸;インドキシル硫酸及びアルギニノコハク酸;p-クレジル硫酸及びアルギニノコハク酸;馬尿酸及びアルギノコハク酸;フェニルアセチルLグルタミン及びアルギノコハク酸;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;馬尿酸;アルギニノコハク酸;又はフェニルアセチルLグルタミン))の濃度の比(尿中濃度(ng/mL)/血中濃度(ng/mL))が1~100%、1~50%、3~50%、5~50%、10~50%、15~50%、1~40%、5~40%、10~40%、1~30%、5~30%、10~30%、15~30%、10%以上、20%以上、30%以上又は40%以上増加する。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、尿毒症物質の血中濃度に依存して尿毒症物質の体外への排泄が促進される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ)の血中濃度に依存して尿毒症物質の尿中への排泄が促進される。例えば、尿毒症物質の血中濃度が高値の場合、それに応じて、当該尿毒症物質の尿中への排泄量が高値となる。尿毒症物質の血中濃度が低値の場合は、尿毒症物質の尿中への排泄量は低値となる。このような血中濃度に依存した尿毒症物質の尿中排拙は、本発明が提供する医薬組成物が副作用のリスクが低く安全性に優れることを示唆している。インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせの例には、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;及びフェニルアセチルLグルタミンが挙げられる。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせ)の血中濃度に依存して尿毒症物質の尿中への排泄が促進され、それにより尿毒症物質の血中濃度が低下する。インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸、アルギニノコハク酸及びその組み合わせの例には、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸;インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸及びp-クレジル硫酸;p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン;インドキシル硫酸;p-クレジル硫酸;及びフェニルアセチルLグルタミンが挙げられる。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、インドキシル硫酸の血中濃度に依存してインドキシル硫酸が尿中に排泄された結果、インドキシル硫酸の血中濃度に対する尿中濃度の比(尿中濃度/血中濃度)は、1~1000、好ましくは1~200、より好ましくは1~100、さらにより好ましくは10~100となり得る。この実施態様において、本発明が提供する医薬組成物はインドキシル硫酸の血中濃度が0.01~100μg/mL(例えば、0.1~30μg/mL)のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されてもよい。また、投与された結果、インドキシル硫酸の血中濃度が0.01~10μg/mL(例えば、0.03~10μg/mL)となってもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、p-クレジル硫酸の血中濃度に依存してp-クレジル硫酸が尿中に排泄された結果、p-クレジル硫酸の血中濃度に対する尿中濃度の比(尿中濃度/血中濃度)は、0.1~1000、好ましくは1~300、より好ましくは1~150、さらにより好ましくは1~100となり得る。この実施態様において、本発明が提供する医薬組成物はp-クレジル硫酸の血中濃度が0.003~300μg/mL(例えば、0.01~30μg/mL)のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されてもよい。また、投与された結果、p-クレジル硫酸の血中濃度が0.001~100μg/mL(例えば、0.001~30μg/mL)となってもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物の投与により、フェニルアセチルLグルタミンの血中濃度に依存してフェニルアセチルLグルタミンが尿中に排泄された結果、フェニルアセチルLグルタミンの血中濃度に対する尿中濃度の比(尿中濃度/血中濃度)は、1~1500、好ましくは1~1000、より好ましくは10~800、さらにより好ましくは10~600となり得る。この実施態様において、本発明が提供する医薬組成物はフェニルアセチルLグルタミンの血中濃度が0.03~30μg/mL(例えば、0.1~10μg/mL)のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されてもよい。また、投与された結果、フェニルアセチルLグルタミンの血中濃度が0.01~10μg/mL(例えば、0.03~10μg/mL)となってもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物が複数のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されることにより、各個体のインドキシル硫酸の血中濃度に対する尿中濃度の比(尿中濃度/血中濃度)は、高い相関性を示す。この実施態様において、高い相関性は、Pearson検定によりr値が0.4以上1以下、0.5以上1以下、0.6以上1以下、又は0.7以上1以下(好ましくは、0.7以上1以下)であることにより示されてもよい。また、本発明が提供する医薬組成物はインドキシル硫酸の血中濃度が0.01~10μg/mL(例えば、0.1~10μg/mL)のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されてもよく、投与された結果、インドキシル硫酸の血中濃度が0.01~10μg/mL(例えば、0.1~10μg/mL)となってもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物が複数のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されることにより、各個体のp-クレジル硫酸の血中濃度に対する尿中濃度の比(尿中濃度/血中濃度)は、高い相関性を示す。この実施態様において、高い相関性は、Pearson検定によりr値が0.4以上1以下、0.5以上1以下、0.6以上1以下、又は0.7以上1以下(好ましくは、0.7以上1以下)であることにより示されてもよい。また、本発明が提供する医薬組成物はp-クレジル硫酸の血中濃度が0.001~100μg/mL(例えば、0.01~50μg/mL)のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されてもよく、投与された結果、p-クレジル硫酸の血中濃度が0.001~100μg/mL(例えば、0.01~50μg/mL)となってもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物が複数のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されることにより、各個体のフェニルアセチルLグルタミンの血中濃度に対する尿中濃度の比(尿中濃度/血中濃度)は、高い相関性を示す。この実施態様において、高い相関性は、Pearson検定によりr値が0.4以上1以下、0.5以上1以下、0.6以上1以下、又は0.7以上1以下(好ましくは、0.7以上1以下)であることにより示されてもよい。また、本発明が提供する医薬組成物はフェニルアセチルLグルタミンの血中濃度が0.01~10μg/mL(例えば、0.05~10μg/mL)のヒト(例えば、慢性腎臓病患者)に投与されてもよく、投与された結果、フェニルアセチルLグルタミンの血中濃度が0.01~10μg/mL(例えば、0.05~10μg/mL)となってもよい。
このような本発明が提供する医薬組成物の特徴により、本発明が提供する医薬組成物は、一つの側面において、尿毒症物質の血中濃度低下用医薬組成物及び/又は尿毒症物質の尿中排泄促進用医薬組成物として使用できるだけではなく、腎臓病患者における尿毒症症状の改善用医薬組成物、腎臓病患者における尿毒症の治療及び/又は予防用医薬組成物、慢性腎臓病の進行抑制用医薬組成物及び慢性腎臓病患者における透析導入の遅延用医薬組成物のいずれかとしても使用できる。
本明細書において、「改善」とは、「病的な」又は「異常な」症状、状態又は疾患を、「健常な」又は「正常な」状態に近づけること又はそのためのこと、及び「健常な」又は「正常な」状態にすること又はそのためのことを含む概念である。したがって、1つの実施態様において、「改善」とは、「病的な」又は「異常な」症状又は状態の指標となる数値が、前記「改善」に従って、小さくなるか、又は大きくなって、正常な値に近づくか、又は正常な値となることを含む。別の実施態様において、「改善」とは、前記「改善」に従って、血中の尿毒症物質の濃度が小さくなることを含み、尿中の尿毒症物質の濃度が大きくなることを含み、更に尿中の尿毒症物質の濃度は、血中の尿毒症物質の濃度が充分小さくなったときには減少に転じてもよい。
本明細書において、「治療」とは、「病的な」又は「異常な」症状、状態又は疾患を、消失、完治、治癒又は寛解させること、及びそのためのことを含み、「病的な」又は「異常な」症状、状態又は疾患の悪化を抑制すること、及びそのためのことを含み、また、前記「改善」を含む概念である。ここで、抑制とは後記の意味を有する。1つの実施態様において、「治療」とは、「病的な」又は「異常な」症状、状態又は疾患を、消失、完治、治癒又は寛解させること、及びそのためのことである。別の実施態様において、「治療」とは、「病的な」又は「異常な」症状、状態又は疾患を、消失、完治、治癒又は寛解させることである。
本明細書において、「予防」とは、「病的な」又は「異常な」症状、状態又は疾患の発症を未然に防止すること、及びそのためのことを含む概念である。
本明細書において、「遅延」とは、対象となる事象までの時間を延長すること、及びそのためのことを含み、また、前記対象となる事象が発現しないように時間を延長することを含む概念である。
本明細書において、「抑制」とは、症状、状態又は疾患の悪化又は進行を、停止又は減速させること、及びそのためのことを含み、また、前記症状、状態又は疾患を改善すること、又はそのためのことを含む概念である。ここで、改善とは前記の意味を有する。前記「症状、状態又は疾患の悪化又は進行」は、「病的な」又は「異常な」症状、状態又は疾患の悪化又は進行、及び「健常な」又は「正常な」状態から、「病的な」又は「異常な」症状、状態又は疾患への悪化又は進行を含む。1つの実施態様において、「抑制」とは、症状、状態又は疾患の悪化又は進行を、停止又は減速させること、又はそのためのことである。別の実施態様において、「抑制」とは、症状、状態又は疾患の悪化又は進行を、停止又は減速させることである。
ここで、前記症状、状態又は疾患は、本発明が提供する医薬組成物の投与前と投与後で比較される。
また、上記のような本発明が提供する医薬組成物の特徴により、本発明が提供する医薬組成物は、一つの側面において、腎臓病患者における心筋の線維化抑制用医薬組成物、腎臓病患者における動脈硬化抑制用医薬組成物、腎臓病患者における血管平滑筋細胞の増殖抑制用医薬組成物、腎臓病患者における血管内皮細胞障害抑制用医薬組成物、腎臓病患者における動脈壁の肥厚抑制用医薬組成物、腎臓病患者における大動脈の石灰化抑制用医薬組成物、及び慢性腎臓病に伴う心血管系疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物のいずれかとしても使用できる。
【0026】
さらに、非糖尿病性慢性腎臓病患者へインドキシル硫酸の血中濃度を低下させる薬剤を投与したところ、動脈硬化の指標である脈波伝播速度と頸動脈内膜中膜複合体肥厚度が、投与前に比較し有意に改善したことが報告されているので(Nakamura T., et al.: Oral ADSORBENT AST-120 decreases carotid intima-media thickness and arterial stiffness in patients with chronic renal failure. Kidney Blood Press Res, 27: 121-6, 2004.)、インドキシル硫酸の血中濃度を低下させる本発明が提供する医薬組成物は、一つの側面において、腎臓病患者(好ましくは、慢性腎臓病患者、より好ましくは、非糖尿病性慢性腎臓病患者)における、動脈硬化の改善用医薬組成物、又は動脈(例えば、頸動脈)壁の肥厚改善用医薬組成物として使用できる。
【0027】
また、インドキシル硫酸の血中濃度を低下させる薬剤は、シスプラチンで惹起される急性腎障害を抑制することが報告されている(Morisaki T., et. Al.,: Regulation of renal organic ion transporters in cisplatin-induced acute kidney injury and uremia in rats. Pharm. Res., 25(11): 2526-33, 2008)。よって、インドキシル硫酸の血中濃度を低下させる本発明が提供する医薬組成物は、一つの側面において、急性腎臓病の治療用医薬組成物、又は急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制用医薬組成物として使用できる。
【0028】
また、尿毒症物質であるp-クレジル硫酸は、血管内皮障害の原因物質であることが報告されている(Meijers B.K., et. Al.,: The uremic retention solute p-cresyl sulfate and markers of endothelial damage., Am. J. Kidney Dis., 54: 891-901, 2009)。
p-クレジル硫酸の尿中排泄を促進させる本発明が提供する医薬組成物は、一つの側面において、腎臓病患者(好ましくは、慢性腎臓病患者)における、血管内皮障害抑制用医薬組成物として使用できる。
また、尿毒症物質であるフェニルアセチルLグルタミンは、慢性腎臓病患者における心血管系疾患の発症リスクを増加することが報告されている。
フェニルアセチルLグルタミンの尿中排泄を促進させる本発明が提供する医薬組成物は、一つの側面において、慢性腎臓病患者における、心血管系疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物として使用できる。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸、アルギニノコハク酸、フェニルアセチルLグルタミン等の尿毒症物質の尿中排泄を促進するから、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者(好ましくは、慢性腎臓病患者)における、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸、アルギニノコハク酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミンの尿中排泄促進用医薬組成物として使用できる。
一つの実施態様において、血中のインドキシル硫酸濃度、血中のp-クレジル硫酸濃度、血中の馬尿酸濃度及び/又は血中のフェニルアセチルLグルタミン濃度を低下させる為に、クエン酸の医薬的に許容可能な塩、若しくはその水和物又はそれらの混合物(例えば、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物)が腎臓病患者(好ましくは、慢性腎臓病患者)に投与される。
一つの実施態様において、尿中のインドキシル硫酸濃度、尿中のp-クレジル硫酸濃度、尿中の馬尿酸濃度、尿中のアルギノコハク酸濃度及び/又は尿中のフェニルアセチルLグルタミン濃度を増加させる為に(好ましくは、尿中のインドキシル硫酸濃度、尿中のp-クレジル硫酸濃度及び尿中のフェニルアセチルLグルタミン濃度を増加させる為に)、クエン酸の医薬的に許容可能な塩、若しくはその水和物又はそれらの混合物(例えば、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物)が腎臓病患者(好ましくは、慢性腎臓病患者)に投与される。
一つの実施態様において、血中のp-クレジル硫酸濃度及び/又は血中のフェニルアセチルLグルタミン濃度を低下させる為に、炭酸水素ナトリウムが腎臓病患者(好ましくは、慢性腎臓病患者)に投与される。
一つの実施態様において、尿中のアルギノコハク酸濃度を増加させる為に、炭酸水素ナトリウムが腎臓病患者(好ましくは、慢性腎臓病患者)に投与される。
【0029】
本発明が提供する医薬組成物は、一つの側面において、尿細管障害の治療用医薬組成物、尿細管障害の予防用医薬組成物又は尿細管障害抑制用医薬組成物として使用できる。尿細管は、例えば近位尿細管であってもよい。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞障害抑制用医薬組成物、近位尿細管細胞保護用医薬組成物又は近位尿細管細胞機能(例えば、グルコース、アミノ酸等の再吸収)維持用医薬組成物である。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病の病期の進行に伴う、尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)の増加を抑制する。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病患者の糸球体機能に影響を及ぼさない一方、慢性腎臓病の病期の進行に伴う、近位尿細管細胞障害を抑制し、近位尿細管細胞を保護する。
本明細書において、「細胞の保護」とは、細胞の状態の維持若しくは保全、又は細胞の障害の抑制を意味する。ここで抑制とは、前記の意味を有する。
本明細書において、「細胞の機能の維持」とは、細胞の機能の保全、又は細胞の機能の悪化の抑制を意味する。ここで抑制とは、前記の意味を有する。
ここで、細胞の状態又は機能は、本発明が提供する医薬組成物の投与前と投与後で比較される。
本明細書において、「早朝尿」とは、起床して最初の尿を表す。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、投与開始前に比較して、投与6週後、12週後及び/又は24週後に尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)の増加を抑制する。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病の病期の進行に伴う、尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)の増加を抑制するが、本発明が提供する医薬組成物投与開始前に比較し、尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)を実質的に低下させない。この実施態様において、例えば、本発明が提供する医薬組成物投与開始前の尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)を1とした場合、投与後の尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)は、0.7~1.0若しくは1.0以上、0.8~1.0若しくは1.0以上、0.85~1.0若しくは1.0以上、0.9~1.0若しくは1.0以上、0.7~2.0、0.8~2.0、0.85~2.0、0.9~2.0、0.7~1.6、0.8~1.6、0.85~1.6又は0.9~1.6であり得る。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病の病期の進行に伴う、尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)の増加を抑制するが、本発明が提供する医薬組成物投与開始前に比較し、投与6週後、投与12週後及び/又は投与24週後において、尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)を実質的に低下させない。この実施態様において、例えば、本発明が提供する医薬組成物投与開始前の尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)を1とした場合、投与6週後、投与12週後又は投与24週後の尿中(例えば、早朝尿)におけるβ2-マイクログロブリンの量(濃度)は、0.7~1.0若しくは1.0以上、0.8~1.0若しくは1.0以上、0.85~1.0若しくは1.0以上、0.9~1.0若しくは1.0以上、0.7~2.0、0.8~2.0、0.85~2.0、0.9~2.0、0.7~1.6、0.8~1.6、0.85~1.6又は0.9~1.6であり得る。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、投与開始前に比較して、血中(例えば、血漿中)のシスタチンCの量(濃度)を実質的に増加しない。この実施態様において、例えば、本発明が提供する医薬組成物投与開始前の血中(例えば、血漿中)におけるシスタチンCの量(濃度)を1とした場合、投与後の血中(例えば、血漿中)におけるシスタチンCの量(濃度)は、1.0以下若しくは1.0~1.2、1.0以下若しくは1.0~1.15、1.0以下若しくは1.0~1.1、1.0以下若しくは1.0~1.05、0.9~1.2、0.9~1.15、0.9~1.1、0.9~1.05、0.95~1.2、0.95~1.15、0.95~1.1又は0.95~1.05であり得る。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、投与開始前に比較して、投与6週後、投与12週後及び/又は投与24週後において、血中(例えば、血漿中)のシスタチンCの量(濃度)を実質的に増加しない。この実施態様において、例えば、本発明が提供する医薬組成物投与開始前の血中(例えば、血漿中)におけるシスタチンCの量(濃度)を1とした場合、投与6週後、投与12週後又は投与24週後において、血中(例えば、血漿中)におけるシスタチンCの量(濃度)は、1.0以下若しくは1.0~1.2、1.0以下若しくは1.0~1.15、1.0以下若しくは1.0~1.1、1.0以下若しくは1.0~1.05、0.9~1.2、0.9~1.15、0.9~1.1、0.9~1.05、0.95~1.2、0.95~1.15、0.95~1.1又は0.95~1.05であり得る。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物の投与により、投与開始前に比較して投与6週後、投与12週後及び/又は投与24週後において、近位尿細管障害の改善及び/又は糸球体障害改善が認められないにもかかわらず、投与開始前に比較して投与6週後、投与12週後及び/又は投与24週後において、尿毒症物質の血中濃度低下、尿毒症物質の尿中排泄促進及び/又は尿毒症物質の体外排泄促進が認められる。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物の投与により、投与開始前に比較して投与6週後、投与12週後及び/又は投与24週後において、近位尿細管障害の改善及び/又は糸球体障害改善が認められないにもかかわらず、投与開始前に比較して投与6週後、投与12週後及び/又は投与24週後において、尿毒症物質の血中濃度低下、尿毒症物質の尿中排泄促進及び/又は尿毒症物質の体外排泄促進が認められる。
【0030】
本発明が提供する医薬組成物は、ヒト又はその他の哺乳動物に経口又は非経口で投与され、非経口投与の例には、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、関節内投与、経粘膜投与、経皮投与、経鼻投与、直腸投与、髄腔内投与、腹腔内投与、局所投与が挙げられる。
本発明が提供する医薬組成物は、アルカリ性化剤を、そのまま、又は薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、D-マンニトール、結晶セルロース、ブドウ糖)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP))、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca))、希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩水)、及び必要な場合はその他の添加剤(例えば、pH調整剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤)と混合して調製されてもよく、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、注射剤、坐薬等の製剤であり得る。例えば、錠剤とするには、アルカリ性化剤を、賦形剤(例えば、乳糖、D-マンニトール、結晶セルロース、ブドウ糖)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca))、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP))、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)等と混合して製剤化してもよい。
本発明に係る錠剤について、以下により詳細に説明する。
【0031】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は錠剤である。本発明が提供する錠剤は、アルカリ性化剤(例えば、クエン酸カリウム又はその水和物;クエン酸ナトリウム又はその水和物;クエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物;又は炭酸水素ナトリウム)の他、製薬分野において慣用の、薬学的に許容される添加剤を含んでもよい。このような添加剤の例としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、滑沢剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤及び香料が挙げられる。
本発明が提供する錠剤におけるアルカリ性化剤の含量は、錠剤に対し10~95重量%、好ましくは30~90重量%であってもよく、より好ましくは60~85重量%であってもよい。
【0032】
本発明が提供する錠剤に使用され得る賦形剤の例には、乳糖(例えば、乳糖水和物、無水乳糖)、グルコース、ショ糖、果糖、マルトース等の糖類、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、D-マンニトール等の糖アルコール類、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン)、結晶セルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、乳酸カルシウム及びエチルセルロースが挙げられ、特に結晶セルロースが好ましい。
本発明が提供する錠剤における賦形剤の含量は、錠剤に対し1~95重量%、好ましくは1~80重量%であってもよく、より好ましくは3~80重量%、更に好ましくは3~20重量%であってもよい。
【0033】
本発明が提供する錠剤に使用され得る結合剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストリン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリエチレングリコール、アルファー化デンプン(例えば、部分アルファー化デンプン)、寒天及びゼラチンが挙げられ、特にヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
本発明が提供する錠剤における結合剤の含量は、錠剤に対し0.1~30重量%、好ましくは0.1~10重量%であってもよく、より好ましくは0.3~3重量%であってもよい。
【0034】
本発明が提供する錠剤に使用され得る崩壊剤の例には、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポピドン、デンプン(例えば、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン)及びカルメロースが挙げられ、特に部分アルファー化デンプンが好ましい。
本発明が提供する錠剤における崩壊剤の含量は、錠剤に対し0.3~20重量%、好ましくは1~10重量%であってもよく、より好ましくは3~10重量%であってもよい。
【0035】
本発明が提供する錠剤に使用され得る流動化剤の例には、軽質無水ケイ酸、タルク及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられる。
本発明が提供する錠剤における流動化剤の含量は、錠剤に対し0.03~3重量%、好ましくは0.1~3重量%であってもよく、より好ましくは0.3~3重量%であってもよい。
【0036】
本発明が提供する錠剤に使用され得る矯味剤の例には、クエン酸(例えば、無水クエン酸)、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、アスコルビン酸等の酸味料(ただし、前記矯味剤は、本発明に係るアルカリ性化剤を含まない)、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム(登録商標)、ステビア、ソーマチン及びスクラロース等の甘味料が挙げられる。
本発明が提供する錠剤における矯味剤の含量は、錠剤に対し0.03~3重量%、好ましくは0.1~3重量%であってもよく、より好ましくは0.3~3重量%であってもよい。
【0037】
本発明が提供する錠剤に使用され得る滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、ショ糖脂肪酸エステル、カルナウバロウ、マクロゴール及びフマル酸ステアリルナトリウムが挙げられ、特にステアリン酸マグネシウムが好ましい。
本発明が提供する錠剤における滑沢剤の含量は、錠剤に対し0.1~30重量%、好ましくは0.3~10重量%であってもよく、より好ましくは1~3重量%であってもよい。
【0038】
本発明が提供する錠剤に使用され得るpH調整剤の例には、クエン酸、リン酸塩(例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム)、炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム)、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩及びアミノ酸塩(ただし、前記pH調整剤は、本発明に係るアルカリ性化剤を含まない)が挙げられる。
本発明が提供する錠剤におけるpH調整剤の含量は、錠剤に対し0.1~30重量%、好ましくは0.3~10重量%であってもよく、より好ましくは1~5重量%であってもよい。
【0039】
本発明が提供する錠剤に使用され得る界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル、マクロゴール及びポロクサマーが挙げられる。
本発明が提供する錠剤における界面活性剤の含量は、錠剤に対し0.01~3重量%、好ましくは0.03~1重量%であってもよく、より好ましくは0.03~0.5重量%であってもよい。
本発明が提供する錠剤に使用され得る安定化剤の例には、クエン酸(例えば、無水クエン酸)、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、マレイン酸、アスコルビン酸、エデト酸ナトリウム、トコフェロール(ただし、前記安定化剤は、本発明に係るアルカリ性化剤を含まない)が挙げられ、特に無水クエン酸が好ましい。
本発明が提供する錠剤における安定化剤の含量は、錠剤に対し0.01~30重量%、好ましくは0.1~30重量%であってもよく、より好ましくは1~20重量%であってもよい。
【0040】
本発明が提供する錠剤に使用され得る香料の例には、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘系香料、ペパーミント、スペアミント及びメントールが挙げられ、錠剤中に適量(例えば、錠剤に対し、0.01~1重量%、より好ましくは0.01~0.1重量%)含有することができる
本発明が提供する錠剤における、アルカリ性化剤及び薬学的に許容される添加剤の合計含量は、錠剤に対し100重量%を超えない。
【0041】
本発明が提供する錠剤は、上記の成分を含有し、コーティング層を施さない素錠とすることもできるし、コーティング層を施したフィルムコーティング錠とすることもできる。コーティング層の含量は、当業者が適宜設定できるが、例えば、素錠に対して、0.1~10重量%であってもよい。コーティング層には、コーティング基剤の他、可塑剤、着色剤や光沢化剤等を適宜含めることができる。
本発明が提供する錠剤に使用され得るコーティング基剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマー及びポリビニルピロリドンが挙げられ、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。本発明が提供する錠剤におけるコーティング基剤の含量は、錠剤に対し0.01~10重量%、好ましくは0.3~3重量%であってもよい。
本発明が提供する錠剤に使用され得るコーティング可塑剤の例には、クエン酸トリエチル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール6000)が挙げられ、特にマクロゴール6000が好ましい。本発明が提供する錠剤におけるコーティング可塑剤の含量は、錠剤に対し0.01~1重量%、好ましくは0.03~3重量%であってもよい。
本発明が提供する錠剤に使用され得るコーティング着色剤の例には、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄、食用青色2号及び食用青色2号アルミニウムレーキが挙げられる。本発明が提供する錠剤におけるコーティング着色剤の含量は、錠剤に対し0.01~1重量%、好ましくは0.03~3重量%であってもよい。
本発明が提供する錠剤に使用され得るコーティング光沢化剤の例には、カルナウバロウが挙げられる。本発明が提供する錠剤におけるコーティング光沢化剤の含量は、錠剤に対し0.0001~0.1重量%、好ましくは0.001~0.01重量%であってもよい。
【0042】
本発明が提供する医薬組成物は、製薬分野において公知の方法により製造することができる。例えば、錠剤とする場合、製造方法には、アルカリ性化剤(例えば、クエン酸カリウム又はその水和物;クエン酸ナトリウム又はその水和物;クエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物;又は炭酸水素ナトリウム)と添加物を混合する混合工程、造粒工程、打錠工程及び/又はコーティング工程を含み得る。
混合工程は、アルカリ性化剤と賦形剤、安定化剤、崩壊剤及び/又は結合剤等の添加物を混合する工程を含み得る。また、打錠工程の前に、アルカリ性化剤と添加剤を含む混合物を、滑沢剤、矯味剤及び/又は香料と混合する工程を更に含み得る。混合は、V型混合機、W型混合機、コンテナミキサー、タンブラー混合機、撹拌混合機等を用いて行うことができる。
造粒工程は、製薬分野において公知の造粒方法により行うことができる。造粒方法の例には、乾式造粒法、湿式造粒法、流動層造粒法が挙げられる。
一つの実施態様として、混合工程で得られた混合物や造粒工程で得られた造粒物は、適宜粉砕及び/又は篩分けすることにより、所望の粒子径を有する混合物や造粒物とされ得る。粉砕は、例えば、ボールミル、ジェットミル、ハンマーミル等の製薬分野において公知の粉砕機で行うことができる。篩分けは、16mesh篩(目開き1000μm)~32mesh篩(目開き500μm)等を用いて行うことができる、
打錠工程は、製薬分野において公知の打錠方法により行うことができる。打錠方法の例には、直接打錠法、乾式打錠法、湿式打錠法、外部滑沢打錠法が挙げられる。例えば、単発式打錠機やロータリー式打錠機等の製薬分野において公知の打錠機を用いて、上記の工程で得られた混合物や造粒物を打錠することができる。単発式打錠機、ロータリー式打錠機等を用いる場合は、1kN~30kNの打錠圧を採用することができる。
コーティング工程は、製薬分野において公知の方法により行うことができる。例えば、コーティング基剤と、可塑剤、着色剤や光沢化剤等を適宜含めたコーティング液を素錠の外側にスプレーコーティングすることにより行うことができる。
一つの実施態様において、本発明が提供する錠剤は、アルカリ性化剤、賦形剤(例えば、乳糖、D-マンニトール、結晶セルロース及び/又はブドウ糖)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン及び/又はポリビニルピロリドン(PVP))、安定化剤(例えば、無水クエン酸)、崩壊剤(例えば、デンプン(例えば、部分アルファ―化デンプン)及び/又はカルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca))及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を混合し、打錠することにより素錠を得て;その素錠の外側に、コーティング基剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はPVP)と、可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル及び/又はマクロゴール6000)、着色剤(例えば、三二酸化鉄及び/又は酸化チタン)や光沢化剤(例えば、カルナウバロウ)を含むコーティング層を形成することにより製造することができる。
一つの実施態様において、得られる錠剤の硬度は、10~200N、好ましくは30~150Nであり得る。
【0043】
本発明が提供する医薬組成物中のアルカリ性化剤の量は適宜設定され得る。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物中のアルカリ性化剤の量は、アルカリ性化剤の投与量がヒトに投与することにより痛風又は高尿酸血症における酸性尿が改善される量、又は、それより少ない量となるように設定されてもよく、例えば、痛風又は高尿酸血症における酸性尿の改善について日本で認可されている1日用量(例えば、アルカリ性化剤がクエン酸製剤の場合:1錠中にクエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0mgを含む錠剤を1回2錠、1日3回経口投与、アルカリ性化剤が炭酸水素ナトリウムの場合:1日3~5g経口投与)の1~50%、又は10~20%となるように設定されてもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は錠剤であり、1錠剤中に、アルカリ性化剤としてのクエン酸カリウム一水和物又はクエン酸ナトリウム二水和物を10mg~1g、好ましくは、100mg~500mg、より好ましくは、400mg~500mgを含んでもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は錠剤であり、1錠剤中に、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ10mg~300mgで、合計20mg~600mg含んでもよく、好ましくは、それぞれ150~250mgで、合計400~500mg、より好ましくは、それぞれ190~240mgで、合計400~450mgを含んでもよい。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は錠剤であり、1錠剤中に、アルカリ性化剤としての炭酸水素ナトリウムを10mg~1g、好ましくは、100mg~500mg含んでもよい。
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は錠剤であり、アルカリ性化剤として、クエン酸カリウム一水和物 231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物 195.0mgを含み、添加剤として、無水クエン酸、結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン及びカルナウバロウを含んでもよい。
一つの実施態様として、クエン酸カリウム一水和物 231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物 195.0mgを含む錠剤を1投与単位としてもよい。
本明細書において、「投与単位」とは、製剤の単位を表し、「1投与単位」とは、製剤の最小単位を表す。したがって、例えば、錠剤であれば、投与単位は各錠剤であり、1投与単位は、1つの錠剤を表す。注射剤であれば、投与単位は、アンプル又はバイアル等の密封容器に入れられた注射剤であり、1投与単位は、1つのアンプル又はバイアル等の密封容器に入れられた注射剤を表す。
本発明が提供する医薬組成物が、ヒト又はその他の哺乳動物に投与される場合、1回あたり、1又は2以上の前記投与単位が投与されてもよく、前記1投与単位が分割されて投与されてもよい。
【0044】
アルカリ性化剤の投与量は、アルカリ性化剤の種類、投与方法、投与対象の年齢、体重、性別、症状、薬剤への感受性等に応じて適宜決定されるが、症状の改善の状況に応じて投与量を調節してよい。
一つの実施態様において、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物又は炭酸水素ナトリウムをヒトに経口投与する場合は、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善の為に日本で認可されている1日の投与量(例えば、アルカリ性化剤がクエン酸製剤の場合:1錠中にクエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0mgを含む錠剤を1回2錠、1日3回経口投与、アルカリ性化剤が炭酸水素ナトリウムの場合:1日3~5g経口投与)の半分量を1日の投与量としてもよい。
一つの実施態様において、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物又は炭酸水素ナトリウムをヒトに経口投与する場合は、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善の為に日本で認可されている1日の投与量(例えば、アルカリ性化剤がクエン酸製剤の場合:1錠中にクエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0mgを含む錠剤を1回2錠、1日3回経口投与、アルカリ性化剤が炭酸水素ナトリウムの場合:1日3~5g経口投与)を1日の投与量としてもよい。
一つの実施態様において、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物又は炭酸水素ナトリウムをヒトに経口投与する場合は、痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善の為に日本で認可されている1日の投与量(例えば、アルカリ性化剤がクエン酸製剤の場合:1錠中にクエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0mgを含む錠剤を1回2錠、1日3回経口投与、アルカリ性化剤が炭酸水素ナトリウムの場合:1日3~5g経口投与)の半分量を1日の投与量として投与を開始し、その後投与量を痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善の為に日本で認可されている1日の投与量まで増量してもよい。
一つの実施態様において、アルカリ性化剤の投与量は、アルカリ性化剤を経口投与することによりヒトの尿(例えば、早朝尿)のpHが、pH5.2~pH6.8、pH5.5~pH6.8、pH5.8~pH6.8、pH5.8~pH6.5、pH5.8~pH6.2、pH5.8以上pH6.2未満、pH6.0~pH6.5、pH6.0~pH6.4、pH6.0~pH6.3、pH6.0~pH6.2、pH6.0以上pH6.2未満、pH6.1~pH6.3、pH6.2~6.8、pH6.2~pH6.5又はpH6.5~6.8となるような投与量であってもよい。
一つの実施態様において、アルカリ性化剤の投与量は、アルカリ性化剤を経口投与することによりヒトの尿(例えば、早朝尿)のpHが、投与6週、12週又は24週後で、pH5.2~pH6.8、pH5.5~pH6.8、pH5.8~pH6.8、pH5.8~pH6.5、pH5.8~pH6.2、pH5.8以上pH6.2未満、pH6.0~pH6.5、pH6.0~pH6.4、pH6.0~pH6.3、pH6.0~pH6.2、pH6.0以上pH6.2未満、pH6.1~pH6.3、pH6.2~6.8、pH6.2~pH6.5又はpH6.5~6.8となるような投与量であってもよい。
一つの実施態様において、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物の混合物をヒトに経口投与する場合は、クエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.1~5g/日で合計0.2~10g/日、それぞれ0.1~3g/日で合計0.2~6g/日、それぞれ0.5~3g/日で合計1~6g/日、好ましくは、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、それぞれ1~1.5g/日で合計2~3g/日、又はそれぞれ0.5~1g/日で合計1~2g/日を投与してもよく、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて投与してもよい。
一つの実施態様において、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物又はクエン酸ナトリウム二水和物をヒトに経口投与する場合は、1~10g/日、1~6g/日、2~5.5g/日、1~3g/日、2~3g/日又は1~1.5g/日を投与してもよく、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて投与してもよい。
一つの実施態様において、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムをヒトに経口投与する場合は、1~6g/日、好ましくは、1~3g/日、又は3~5g/日を投与してもよく、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて投与してもよい。
【0045】
一つの実施態様において、アルカリ性化剤は、長期に投与されてもよく、例えば、1週間、2週間、3週間、6週間、8週間、10週間、12週間、24週間、40週間、60週間、80週間、100週間、120週間、1週間以上、2週間以上、3週間以上、6週間以上、8週間以上、10週間以上、12週間以上、24週間以上、40週間以上、60週間以上、80週間以上、100週間以上、120週間以上、6週間以上24週間以下、12週間以上24週間以下、6週間以上30週間以下、12週間以上30週間以下、6週間以上40週間以下、12週間以上40週間以下、6週間以上60週間以下、12週間以上60週間以下、6週間以上80週間以下、12週間以上80週間以下、6週間以上100週間以下、12週間以上100週間以下、6週間以上120週間以下又は12週間以上120週間以下で投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、6週間の連続投与、12週間の連続投与、及び/又は24週間の連続投与により、腎臓病(例えば、慢性腎臓病)の患者に有益な効果(例えば、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸)の血中濃度低下効果、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸)の尿中濃度増加効果(尿中への排泄促進効果)及び/又は尿中のβ2-マイクログロブリン濃度の増加抑制効果)が検出され得る。
【0046】
一つの実施態様として、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病を罹患しているヒトに投与される。腎臓病は、特に言及のない限り、急性腎臓病及び慢性腎臓病を含む。
急性腎臓病の例には、薬剤(例えば、非ステロイド性抗炎症薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アミノグリコシド系抗生物質、ニューキノロン系抗菌薬、ヨード造影剤、シスプラチン等の白金製剤)に起因する急性腎臓病、及び腎虚血に起因する急性腎臓病が挙げられる。
慢性腎臓病(CKD)は、原疾患を問わず、慢性に経過する腎臓病を包括する概念であり、糸球体濾過量(GFR)で表される腎機能の低下があるか、又は腎臓の障害を示唆する所見が慢性的(3ヶ月以上)に持続する病態全てを包含する概念である。
【0047】
CKD診療ガイド2012(日腎会誌2012)によれば、慢性腎臓病の重症度は原因(Cause:C)、腎機能(GFR:G)、蛋白尿(アルブミン尿:A)による分類で評価される。
GFRの区分は、以下のようである。
G1:GFRが正常又は高値(≧90 mL/分/1.73 m2
G2:GFRが正常又は軽度低下(60~89 mL/分/1.73 m2
G3a:GFRが軽度~中程度低下(45~59 mL/分/1.73 m2
G3b:GFRが中等度~高度低下(30~44 mL/分/1.73 m2
G4:GFRが高度低下(15~29 mL/分/1.73 m2
G5:末期腎不全(ESKD)(<15 mL/分/1.73 m2
蛋白尿(アルブミン尿:A)による区分は、原疾患が糖尿病である場合、尿アルブミン/クレアチニン(Cr)比を用いて以下のように分類される。
A1:正常(30 mg/gCr未満)
A2:微量アルブミン尿(30~299 mg/gCr)
A3:顕性アルブミン尿(300 mg/gCr以上)
また、蛋白尿(アルブミン尿:A)による区分は、原疾患が糖尿病以外の高血圧、腎炎、多発性嚢胞腎、移植腎、その他である場合、尿蛋白/クレアチニン(Cr)比を用いて以下のように分類される。
A1:正常(0.15 g/gCr未満)
A2:軽度蛋白尿(0.15~0.49 g/gCr)
A3:高度蛋白尿(0.50 g/gCr以上)
CKD診療ガイド2012(日腎会誌2012)によれば、慢性腎臓病(CKD)の重症度分類は、上記C、G及びAを用いて、例えば、糖尿病G2A3、慢性腎炎G3bA1等と表記される。
しかしながら、従来、慢性腎臓病の重症度は、GFRで区分されるステージのみで表記されていたことが考慮され、慢性腎臓病の重症度を従来のように、G1、G2、G3a、G3b、G4及びG5というステージで表記することも可能としている。
【0048】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、重症度の低い、早期の慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、ステージG3b以下、好ましくは、ステージG2又はそれ以下の慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、ステージG2以上ステージG3b以下(例えば、ステージG2及びステージG3a;又はステージG2、ステージG3a及びステージG3b)である慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、ステージG3b以下であって、微量アルブミン尿である慢性腎臓病患者、好ましくは、ステージG2であって、微量アルブミン尿である慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、ステージG2以上ステージG3b以下(例えば、ステージG2及びステージG3a;又はステージG2、ステージG3a及びステージG3b)であって、微量アルブミン尿である慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、ステージG3b以下であって、尿中蛋白排泄量が3.5g/gCr未満である慢性腎臓病患者、好ましくは、ステージG2であって、尿中蛋白排泄量が3.5g/gCr未満である慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、ステージG2以上ステージG3b以下(例えば、ステージG2及びステージG3a;又はステージG2、ステージG3a及びステージG3b)であって、尿中蛋白排泄量が3.5g/gCr未満である慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、進行性の慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、β2-マイクログロブリンの尿中(例えば、早朝尿中)濃度が、2000μg/L以下、1000μg/L以下、800μg/L以下、290μg/L以下、200μg/L以下、1~2000μg/L、1~1000μg/L、1~800μg/L、1~290μg/L、1~200μg/L 、10~2000μg/L、10~1000μg/L、10~800μg/L、10~290μg/L、10~200μg/L又は80~200μg/Lである、慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、シスタチンCの血中(例えば、血漿中又は血清中)濃度が、0.1~3.0mg/L、0.1~2.0 mg/L、0.1~1.6 mg/L、0.1~1.3 mg/L、0.5~3.0mg/L、0.5~2.0 mg/L、0.5~1.6 mg/L、0.5~1.3 mg/L又は0.9~1.3 mg/mLである、慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、インドキシル硫酸の血中濃度が0.001~100μg/mL(例えば、0.1~30μg/mL)である、慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、p-クレジル硫酸の血中濃度が0.003~300μg/mL(例えば、0.01~30μg/mL)である、慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、馬尿酸の血中濃度が0.01~100μg/mL(例えば、0.01~10μg/mL)である、慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、アルギノコハク酸の血中濃度が0.01~100μg/mL(例えば、0.1~10μg/mL)である、慢性腎臓病患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、フェニルアセチルLグルタミンの血中濃度が0.03~30μg/mL(例えば、0.1~10μg/mL)である、慢性腎臓病患者に投与される。
【0049】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、CKD診療ガイドに従った治療を施す患者に投与される。例えば、CKD診療ガイドに従った血圧管理(ARBやACE阻害薬などのRA系抑制薬、利尿薬、Ca拮抗薬の投与等)、蛋白尿対策(RA系抑制薬の投与等)、血糖値管理(αグルコシダーゼ阻害剤の投与等)、脂質管理(スタチン、フィブラートの投与等)、貧血管理(エリスロポエチンの投与等)及び/又は骨・ミネラル対策(ビスホスホネートの投与等)を施す患者に投与される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、血圧降下薬(例えば、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、Ca拮抗薬)と併用される。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、石油系炭化水素由来の球形微粒多孔質炭素を高温にて酸化及び還元処理して得た球形吸着炭(クレメジン(登録商標)として日本で販売されている)と併用される。
【0050】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、重症度の低い、早期の慢性腎臓病患者(例えば、ステージG3b以下、好ましくは、ステージG2以上ステージG3b以下、より好ましくは、ステージG2及びステージG3a、さらにより好ましくは、ステージG2の慢性腎臓病患者)に投与され、その患者の血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、馬尿酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン)の濃度を低下させ、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸、アルギニノコハク酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン)の体外への(例えば、尿中への)排泄を促進する。この実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症症状の改善用医薬組成物、尿毒症の治療又は予防用医薬組成物、慢性腎臓病の進行抑制用医薬組成物、透析導入の遅延用医薬組成物、心筋の線維化抑制用医薬組成物、動脈硬化抑制用医薬組成物、動脈硬化改善用医薬組成物、血管平滑筋細胞の増殖抑制用医薬組成物、血管内皮細胞障害抑制用医薬組成物、動脈壁肥厚抑制用医薬組成物、動脈壁肥厚改善用医薬組成物、大動脈の石灰化抑制用医薬組成物、又は合併症である心血管系疾患(例えば、心不全、心筋梗塞、脳卒中等)の治療又は予防用医薬組成物であり得る。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、重症度の低い、早期の慢性腎臓病患者(例えば、ステージG3b以下、好ましくは、ステージG2以上ステージG3b以下、より好ましくは、ステージG2及びステージG3a、さらにより好ましくは、ステージG2の慢性腎臓病患者)に投与され、その患者の尿中のβ2-マイクログロブリンの増加を抑制する。この実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管(例えば、近位尿細管)障害の抑制用組成物、尿細管(例えば、近位尿細管)細胞障害の抑制用組成物、尿細管(例えば、近位尿細管)細胞保護用組成物又は尿細管(例えば、近位尿細管)細胞機能(例えば、グルコース、アミノ酸等の再吸収)維持用医薬組成物であり得る。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、重症度が中等度以上の慢性腎臓病患者(例えば、ステージG3b以上の慢性腎臓病患者)に投与され、その患者の血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、馬尿酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン)の濃度を低下させ、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸、アルギニノコハク酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン)の体外への(例えば、尿中への)排泄を促進する。この実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症症状の改善用医薬組成物、尿毒症の治療又は予防用医薬組成物、慢性腎臓病の進行抑制用医薬組成物、透析導入の遅延用医薬組成物、心筋の線維化抑制用医薬組成物、動脈硬化抑制用医薬組成物、動脈硬化改善用医薬組成物、血管平滑筋細胞の増殖抑制用医薬組成物、血管内皮細胞障害抑制用医薬組成物、動脈壁肥厚抑制用医薬組成物、動脈壁肥厚改善用医薬組成物、大動脈の石灰化抑制用医薬組成物、筋肉細胞内でのエネルギー産生の低下抑制用医薬組成物、筋量及び/又は筋力の低下抑制用医薬組成物、又は合併症である心血管系疾患(例えば、心不全、心筋梗塞、脳卒中等)の治療又は予防用医薬組成物であり得る。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、重症度が中等度以上の慢性腎臓病患者(例えば、ステージG3b以上の慢性腎臓病患者)に投与され、その患者の尿中のβ2-マイクログロブリンの増加を抑制する。この実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管(例えば、近位尿細管)障害の抑制用組成物、尿細管(例えば、近位尿細管)細胞障害の抑制用組成物、尿細管(例えば、近位尿細管)細胞保護用組成物又は尿細管(例えば、近位尿細管)細胞機能(例えば、グルコース、アミノ酸等の再吸収)維持用医薬組成物であり得る。
【0051】
本発明の実施の他の形態の例としては以下が挙げられる。
a)哺乳類対象(例えば、ヒト)における尿毒症物質の血中濃度を低下させる方法であって、尿毒症物質の血中濃度を低下させることが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む方法;
b)哺乳類対象(例えば、ヒト)における尿毒症物質の尿中への排泄を促進させる方法であって、尿毒症物質の尿中への排泄を促進することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む方法;
c)哺乳類対象(例えば、ヒト)における尿毒症症状の改善方法であって、尿毒症症状を改善することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
d)哺乳類対象(例えば、ヒト)における尿毒症の治療又は予防方法であって、尿毒症の治療又は予防が必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
e)哺乳類対象(例えば、ヒト)における慢性腎臓病の進行抑制方法であって、慢性腎臓病の進行を抑制することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む方法;
f)哺乳類対象(例えば、ヒト)における透析導入の遅延方法であって、透析導入の遅延が必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が慢性腎臓病に罹患している、方法;
g)哺乳類対象(例えば、ヒト)における心筋の線維化抑制方法であって、心筋の線維化を抑制することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
h)哺乳類対象(例えば、ヒト)における動脈硬化抑制方法であって、動脈硬化を抑制することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
i)哺乳類対象(例えば、ヒト)における血管平滑筋細胞の増殖を抑制する方法であって、血管平滑筋細胞の増殖を抑制することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
j)哺乳類対象(例えば、ヒト)における血管内皮細胞障害抑制方法であって、血管内皮細胞障害を抑制することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与すること含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
k)哺乳類対象(例えば、ヒト)における動脈壁の肥厚抑制方法であって、動脈壁の肥厚を抑制することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
l)哺乳類対象(例えば、ヒト)における大動脈の石灰化抑制方法であって、大動脈の石灰化を抑制することが必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
m)哺乳類対象(例えば、ヒト)における心血管系疾患の治療又は予防方法であって、心血管系疾患の治療又は予防が必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
n)哺乳類対象(例えば、ヒト)における動脈硬化の改善方法であって、動脈硬化の改善が必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
o)哺乳類対象(例えば、ヒト)における動脈壁の肥厚の改善方法であって、動脈壁の肥厚を改善する必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含み、該対象が腎臓病に罹患している、方法;
p)哺乳類対象(例えば、ヒト)における急性腎臓病の治療方法であって、急性腎臓病の治療が必要な対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
q)哺乳類対象(例えば、ヒト)における急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制方法であって、急性腎臓病から慢性腎臓病への進展を抑制する必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
r)哺乳類対象(例えば、ヒト)における尿細管障害の治療又は予防方法であって尿細管障害を治療又は予防する必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
s)哺乳類対象(例えば、ヒト)における尿細管障害の抑制方法であって尿細管障害を抑制する必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
t)哺乳類対象(例えば、ヒト)における近位尿細管細胞障害の抑制方法であって近位尿細管細胞障害を抑制する必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
u)哺乳類対象(例えば、ヒト)における近位尿細管細胞保護方法であって近位尿細管細胞を保護する必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
v)哺乳類対象(例えば、ヒト)における近位尿細管細胞機能維持方法であって近位尿細管細胞の機能を維持する必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
w)哺乳類対象(例えば、ヒト)における尿毒症物質の体外への排泄を促進させる方法であって、尿毒症物質の体外への排泄を促進させる必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
x)哺乳類対象(例えば、ヒト)における尿毒症物質の血中濃度に依存して、尿毒症物質を尿中へ排泄する方法であって、尿毒症物質を尿中へ排泄する必要がある対象に有効量のアルカリ性化剤を投与することを含む、方法;
【0052】
aa)尿毒症物質の血中濃度低下に使用するための、アルカリ性化剤;
bb)尿毒症物質の尿中への排泄促進に使用するための、アルカリ性化剤;
cc)腎臓病患者における尿毒症症状の改善に使用するための、アルカリ性化剤;
dd)腎臓病患者における尿毒症の治療又は予防に使用するための、アルカリ性化剤;
ee)慢性腎臓病の進行抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
ff)慢性腎臓病患者における透析導入の遅延に使用するための、アルカリ性化剤;
gg)腎臓病患者における心筋の線維化抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
hh)腎臓病患者における動脈硬化抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
ii)腎臓病患者における血管平滑筋細胞の増殖抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
jj)腎臓病患者における血管内皮細胞障害抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
kk)腎臓病患者における動脈壁の肥厚抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
ll)腎臓病患者における大動脈の石灰化抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
mm)腎臓病患者における心血管系疾患の治療又は予防に使用するための、アルカリ性化剤;
nn)腎臓病患者における動脈硬化の改善に使用するための、アルカリ性化剤;
oo)腎臓病患者における動脈壁の肥厚の改善に使用するための、アルカリ性化剤;
pp)急性腎臓病の治療に使用するための、アルカリ性化剤;
qq)急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
rr)尿細管障害の治療又は予防に使用するための、アルカリ性化剤;
ss)尿細管障害の抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
tt)近位尿細管細胞障害の抑制に使用するための、アルカリ性化剤;
uu)近位尿細管細胞保護に使用するための、アルカリ性化剤;
vv)近位尿細管細胞機能維持に使用するための、アルカリ性化剤;
ww)尿毒症物質の体外への排泄促進に使用するための、アルカリ性化剤;
xx)尿毒症物質の血中濃度に依存した尿中への排泄に使用するための、アルカリ性化剤;
【0053】
aaa)尿毒症物質の血中濃度低下における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
bbb)尿毒症物質の尿中への排泄促進における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
ccc)腎臓病患者における尿毒症症状の改善における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
ddd)腎臓病患者における尿毒症の治療又は予防における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
eee)慢性腎臓病の進行抑制における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
fff)慢性腎臓病患者における透析導入の遅延における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
ggg)腎臓病患者における心筋の線維化抑制における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
hhh)腎臓病患者における動脈硬化抑制における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
iii)腎臓病患者における血管平滑筋細胞の増殖抑制における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
jjj)腎臓病患者における血管内皮細胞障害抑制における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
kkk)腎臓病患者における動脈壁の肥厚抑制における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
lll)腎臓病患者における大動脈の石灰化抑制における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
mmm)腎臓病患者における心血管系疾患の治療又は予防における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
nnn)腎臓病患者における動脈硬化の改善における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
ooo)腎臓病患者における動脈壁の肥厚の改善における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
ppp)急性腎臓病の治療における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
qqq)急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制における使用のための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
rrr)尿細管障害の治療又は予防に使用するための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
sss)尿細管障害の抑制に使用するための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
ttt)近位尿細管細胞障害の抑制に使用するための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
uuu)近位尿細管細胞保護に使用するための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
vvv)近位尿細管細胞機能維持に使用するための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
www)尿毒症物質の体外への排泄促進に使用するための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
xxx)尿毒症物質の血中濃度に依存した尿中への排泄に使用するための、アルカリ性化剤を含む医薬組成物;
【0054】
aaaa)尿毒症物質の血中濃度低下用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
bbbb)尿毒症物質の尿中への排泄促進用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
cccc)腎臓病患者における尿毒症症状の改善用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
dddd)腎臓病患者における尿毒症の治療又は予防用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
eeee)慢性腎臓病の進行抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
ffff)慢性腎臓病患者における透析導入の遅延用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
gggg)腎臓病患者における心筋の線維化抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
hhhh)腎臓病患者における動脈硬化抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
iiii)腎臓病患者における血管平滑筋細胞の増殖抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
jjjj)腎臓病患者における血管内皮細胞障害抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
kkkk)腎臓病患者における動脈壁の肥厚抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
llll)腎臓病患者における大動脈の石灰化抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
mmmm)腎臓病患者における心血管系疾患の治療又は予防用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
nnnn)腎臓病患者における動脈硬化の改善用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
oooo)腎臓病患者における動脈壁の肥厚の改善用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
pppp)急性腎臓病の治療用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用; qqqq)急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
rrrr)尿細管障害の治療又は予防用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
ssss)尿細管障害の抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
tttt)近位尿細管細胞障害の抑制用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
uuuu)近位尿細管細胞保護用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;
vvvv)近位尿細管細胞機能維持用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤をの使用;
wwww)尿毒症物質の体外への排泄促進用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用;及び
xxxx)尿毒症物質の血中濃度に依存した尿中への排泄用医薬組成物を製造するための、アルカリ性化剤の使用。
【0055】
2.食品組成物
一つの実施態様において、本発明が提供する食品組成物は、アルカリ性化剤を含み、尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸、好ましくはインドキシル硫酸、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン、より好ましくはインドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン、さらにより好ましくはインドキシル硫酸)の体外排泄促進効果を奏する。
アルカリ性化剤については、上記「1.医薬組成物」で記載したとおりである。アルカリ性化剤の例としては、クエン酸の医薬的に許容可能な塩(例えば、クエン酸アルカリ金属塩若しくはその水和物又はそれらの混合物)、炭酸水素ナトリウムが挙げられ、好ましくは、クエン酸カリウムの一水和物(C6H5K3O7・H2O)及びクエン酸ナトリウムの二水和物(C6H5Na3O7・2H2O)の混合物、又はクエン酸ナトリウムの二水和物である。
尿毒症物質についても上記「1.医薬組成物」で記載したとおりである。尿毒症物質の例には、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸が挙げられる。
本発明が提供する食品組成物中のアルカリ性化剤の含量は、食品の種類により、適宜決定され得る。食品組成物の例には、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品、病院患者用食品、サプリメントが挙げられる。例えば、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品又は病院患者用食品の場合、1食分の食品あたり、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を合計で1~3gの1/3量含むか、又はアルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを1~6gの1/3量含んでいてもよい。サプリメントの場合、例えば、錠剤であれば、1錠あたり、300mg~600mg の錠剤に、70~80重量%のアルカリ性化剤を含んでいてもよい。
本発明が提供する食品組成物は、食品の種類により、当業者が適宜製造でき、例えば、食品素材にアルカリ性化剤(例えば、クエン酸カリウム及び/又はクエン酸ナトリウム)を配合することにより製造され得る。
【0056】
3.血中の尿毒症物質の濃度低下を判定する方法等
一つの実施態様において、本発明は、慢性腎臓病患者の血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸、好ましくはインドキシル硫酸、馬尿酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン、より好ましくはインドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン、さらにより好ましくはインドキシル硫酸)の濃度低下を判定する方法であって、尿のpHを測定することを含む方法を提供する。
また、一つの実施態様において、本発明は、慢性腎臓病患者の尿中への尿毒症物質(インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸、好ましくはインドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン、より好ましくはインドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン、さらにより好ましくはインドキシル硫酸)の排出促進を判定する方法であって、尿のpHを測定することを含む方法を提供する。
体液中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸)の含量の測定は、HPLC法や酵素法により測定することができる。しかしながら、これら測定法は、専門的で高価な試薬を必要とする。
本明細書で記載したように、アルカリ性化剤を投与することにより、血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸濃度、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸)が低下し、尿中へのそれら尿毒症物質の排泄が促進されることから、慢性腎臓病患者が自分の尿のpHを測定することにより、非常に簡便且つ安価に、血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸濃度、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸)の低下及び/又は尿中への尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸)の排泄促進を判定することができる。pHの測定は、周知技術を使用すればよく、例えば、pH試験紙、pH試験液、簡易なpH測定器を使用することができる。
一つの実施態様において、慢性腎臓病患者は、アルカリ性化剤(例えば、クエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物、又はクエン酸ナトリウムの二水和物)の服用開始時から経時的に早朝尿(起床して最初の尿)のpHを測定し、尿のpHが高くなれば、血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸、好ましくはインドキシル硫酸、馬尿酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン、より好ましくはインドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン、さらにより好ましくはインドキシル硫酸)の濃度の低下及び/又は尿中への尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸、好ましくはインドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン、より好ましくはインドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン、さらにより好ましくはインドキシル硫酸)の排泄の促進が達成されていることを簡易的に判断できる。
また、一つの実施態様において、慢性腎臓病患者は、アルカリ性化剤(例えば、クエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物、又はクエン酸ナトリウムの二水和物)の服用後に早朝尿(起床して最初の尿)のpHを測定し、尿のpHが5.2~6.8の範囲(例えば、尿のpHがpH5.5~pH6.8、pH5.8~pH6.8、pH5.8~pH6.5、pH5.8~pH6.2、pH5.8以上pH6.2未満、pH6.0~pH6.5、pH6.0~pH6.4、pH6.0~pH6.3、pH6.0~pH6.2、pH6.0以上pH6.2未満、pH6.1~pH6.3、pH6.2~6.8、pH6.2~pH6.5又はpH6.5~6.8の範囲)にあれば、血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸、好ましくはインドキシル硫酸、馬尿酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン、より好ましくはインドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン、さらにより好ましくはインドキシル硫酸)の濃度の低下及び/又は尿中への尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸、好ましくはインドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、馬尿酸及び/又はフェニルアセチルLグルタミン、より好ましくはインドキシル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミン、さらにより好ましくはインドキシル硫酸)の排泄の促進が達成されていることを簡易的に判断できる。
このようにして得られた、血中の尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸)の濃度の低下及び/又は尿中への尿毒症物質(例えば、インドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及び/又はアルギニノコハク酸)の排泄の促進が達成されているか否かの判断は、慢性腎臓病の進行が抑制されているか否かの診断の補助となり得る。
よって、一つの実施態様において、本発明は、慢性腎臓病の進行抑制を判定する方法であって、アルカリ性化剤(例えば、クエン酸カリウムの一水和物及びクエン酸ナトリウムの二水和物の混合物、又はクエン酸ナトリウムの二水和物)が投与された患者の尿(例えば、早朝尿)のpHを測定することを含む方法を提供する。経時的な尿のpHの上昇、又は尿のpHが5.8~6.8の範囲(例えば、尿のpHが6.0~6.2の範囲)にあることが認められれば、慢性腎臓病の病期の進行が抑制されているという診断の補助となり得る。
【0057】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の血中濃度低下における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の血中濃度低下における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0058】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の尿中への排泄促進における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の尿中への排泄促進における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0059】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における尿毒症症状の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における尿毒症症状の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0060】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における尿毒症の治療又は予防における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における尿毒症の治療又は予防における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0061】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病の進行抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病の進行抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0062】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病患者における透析導入の遅延における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病患者における透析導入の遅延における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0063】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における心筋の線維化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における心筋の線維化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0064】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈硬化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈硬化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0065】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における血管平滑筋細胞の増殖抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における血管平滑筋細胞の増殖抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0066】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における血管内皮細胞障害抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における血管内皮細胞障害抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0067】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈壁の肥厚抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈壁の肥厚抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0068】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における大動脈の石灰化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における大動脈の石灰化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0069】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における心血管系疾患の治療又は予防における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における心血管系疾患の治療又は予防における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0070】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈硬化の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈硬化の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0071】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈壁の肥厚の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈壁の肥厚の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0072】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、急性腎臓病の治療における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、急性腎臓病の治療における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0073】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0074】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管障害の治療又は予防に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管障害の治療又は予防に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0075】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管障害の抑制に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管障害の抑制に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0076】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞障害の抑制に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞障害の抑制に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0077】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞保護に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞保護に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0078】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞機能維持に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞機能維持に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0079】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の体外への排泄促進に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の体外への排泄促進に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0080】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の血中濃度に依存した尿中への排泄に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤としてクエン酸カリウム一水和物及びクエン酸ナトリウム二水和物を、それぞれ0.5~1.5g/日で合計1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の血中濃度に依存した尿中への排泄に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、クエン酸カリウム一水和物231.5mg及びクエン酸ナトリウム二水和物195.0mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0081】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の血中濃度低下における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の血中濃度低下における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0082】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の尿中への排泄促進における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の尿中への排泄促進における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0083】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における尿毒症症状の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における尿毒症症状の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0084】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における尿毒症の治療又は予防における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における尿毒症の治療又は予防における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0085】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病の進行抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病の進行抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0086】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病患者における透析導入の遅延における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、慢性腎臓病患者における透析導入の遅延における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0087】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における心筋の線維化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における心筋の線維化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0088】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈硬化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈硬化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0089】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における血管平滑筋細胞の増殖抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における血管平滑筋細胞の増殖抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0090】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における血管内皮細胞障害抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における血管内皮細胞障害抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0091】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈壁の肥厚抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈壁の肥厚抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0092】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における大動脈の石灰化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における大動脈の石灰化抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0093】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における心血管系疾患の治療又は予防における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における心血管系疾患の治療又は予防における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0094】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈硬化の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈硬化の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0095】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈壁の肥厚の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、腎臓病患者における動脈壁の肥厚の改善における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0096】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、急性腎臓病の治療における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、急性腎臓病の治療における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0097】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、急性腎臓病から慢性腎臓病への進展抑制における使用のためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0098】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管障害の治療又は予防に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管障害の治療又は予防に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0099】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管障害の抑制に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿細管障害の抑制に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0100】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞障害の抑制に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞障害の抑制に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0101】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞保護に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞保護に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0102】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞機能維持に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、近位尿細管細胞機能維持に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0103】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の体外への排泄促進に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の体外への排泄促進に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0104】
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の血中濃度に依存した尿中への排泄に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、アルカリ性化剤として炭酸水素ナトリウムを、1~3g/日、1日1~5回、好ましくは1日3回に分けて経口投与するものである。
一つの実施態様において、本発明が提供する医薬組成物は、尿毒症物質の血中濃度に依存した尿中への排泄に使用するためのアルカリ性化剤を含む医薬組成物であって、1投与単位(好ましくは1錠の錠剤)に、炭酸水素ナトリウム500mgを含み、1日に3投与単位ないし6投与単位を、1日3回に分けて経口投与するものである。
【0105】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例0106】
経口アルカリ性化剤であるクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤及び重曹製剤の経口投与により尿毒症物質の尿中排泄が促進されるか否かを検討する為に、ヒト臨床試験を実施した。
【0107】
1.方法
ステージG2~G3bの慢性腎臓病患者(eGFR:30~89 ml/min/1.73m2)47名をクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群(A群:16名)、重曹(炭酸水素ナトリウム)製剤投与群(B群:16名)及びコントロール群(C群:15名)に無作為に分けた。各群に、年齢、性別、糖尿病の有無、eGFRが偏らないように患者を割り付けした。各群には、「CKD診療ガイド-治療のまとめ」に基づく治療(以下、標準治療と称す)を行った。
コントロール群にはアルカリ性化剤を投与しなかった。A群には、クエン酸カリウム(C6H5K3O7・H2O)231.5 mg及びクエン酸ナトリウム水和物(C6H5Na3O7・2H2O)195.0 mgを含有する錠剤を1日3錠、1日3回(朝、昼、夕)、24週間経口投与した。なお、経時的に早朝尿のpH管理を行い、早朝尿がpH6.5未満の症例には、適宜、医師の判断で1日6錠、1日3回(朝、昼、夕)まで増量できることとした。B群には、炭酸水素ナトリウム500 mgを含む錠剤を1日3錠、1日3回(朝、昼、夕)、24週間経口投与した。なお、経時的に早朝尿のpH管理を行い、早朝尿がpH6.5未満の症例には、適宜、医師の判断で1日6錠、1日3回(朝、昼、夕)まで増量できることとした。
投与開始前、投与開始後6週、12週、24週の早朝尿及び血液を採取し、各検体は-80℃で保存した。尿中及び血漿中のインドキシル硫酸、p-クレジル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、馬尿酸及びアルギニノコハク酸について、本分野で使用されている方法(Sato, E., et. al., Metabolic alteration by indoxyl sulfate in skeletal muscle induce uremic sarcopenia in chronic kidney disease., Sci Rep. 2016 Nov 10;6:36618. doi: 10.1038/srep36618.等)を参照し、以下の液体クロマトグラフィー三連四重極型質量分析装置(LC-MS/MS)を用い定量分析を行った。
LCは、NANOSPACE SI-2 (資生堂製)を用い、分析カラムにCAPCELLPAK MGIIIを選択した。
MSは、TSQ Quantiva(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用い、5種の化合物をネガティブインモードにてイオン化し、Selected Reaction Monitoring法を用いて検出した。定量値は、各化合物の標準溶液によって作成された検量線を用い算出した。
また、尿中のβ2-マイクログロブリン量を、LZテスト‘栄研’β2-M及びLZ-β2-M標準U‘栄研’(栄研化学、東京、日本)を用いたラテックス凝集免疫法で測定した。さらに、血清中のシスタチンC量を、ネスコートGC シスタチンC(Nm)(アルフレッサファーマ、大阪、日本)を用いた金コロイド凝集法で測定した。
統計解析は、群間比較にはMann-Whitney検定を使用し、経時変化の比較にはWilcoxon検定を使用した。また、相関性に関してはPearson検定を使用した。
【0108】
2.結果
LC-MS/MSを用いた測定結果から、A群(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)、B群(炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及びC群(コントロール群)の各患者について、以下を算出した:
(i)投与開始前の血漿中の各尿毒症物質の濃度
(ii)投与開始前の早朝尿中の各尿毒症物質の濃度
(iii)投与開始前における早朝尿中の尿毒症物質濃度と血漿中の尿毒症物質濃度の比(尿中の尿毒症物質量/血漿中の尿毒症物質量)
(iv)投与開始後6週、12週、24週の血漿中の各尿毒症物質の濃度
(v)投与開始後6週、12週、24週の早朝尿中の各尿毒症物質の濃度
(vi)投与開始後6週、12週、24週における早朝尿中の尿毒症物質濃度と血漿中の尿毒症物質濃度の比(尿中の尿毒症物質量/血漿中の尿毒症物質量)
(vii)投与開始後6週、12週、24週の血漿中の各尿毒症物質の濃度の投与開始前からの変化量
(viii)投与開始後6週、12週、24週の早朝尿中の各尿毒症物質の濃度の投与開始前からの変化量
(ix)投与開始後6週、12週、24週の早朝尿中の尿毒症物質濃度と血漿中の尿毒症物質濃度の比(尿中の尿毒症物質量/血漿中の尿毒症物質量)の投与開始前からの変化量
そして、上記(i)~(ix)につき、各群の平均値とSDを算出した。なお、上記(iv)~(ix)のそれぞれについては、各群における投与開始後6週、12週、24週のデータ全てを対象にして各群の平均値とSDを算出した。
結果を以下の表に示した。なお、表中及び図中では、A群:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群を“Citrate”、B群:炭酸水素ナトリウム製剤投与群を“Bicarbonate”と記載した。また、表中の括弧内の数値は、症例数を示した。
表1-1-1:血漿中のインドキシル硫酸量(ng/mL)、
表1-1-2:血漿中のインドキシル硫酸の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表1-2-1:早朝尿中のインドキシル硫酸量(ng/mL)、
表1-2-2:早朝尿中のインドキシル硫酸の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表1-3-1:尿中のインドキシル硫酸量と血漿中のインドキシル硫酸量の比、
表1-3-2:尿中のインドキシル硫酸量と血漿中のインドキシル硫酸量の比の投与開始前からの変化量、
表2-1-1:血漿中のp-クレシル硫酸量(ng/mL)、
表2-1-2:血漿中のp-クレシル硫酸の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表2-2-1:早朝尿中のp-クレシル硫酸量(ng/mL)、
表2-2-2:早朝尿中のp-クレシル硫酸の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表2-3-1:尿中のp-クレシル硫酸量と血漿中のp-クレシル硫酸量の比、
表2-3-2:尿中のp-クレシル硫酸量と血漿中のp-クレシル硫酸量の比の投与開始前からの変化量、
表3-1-1:血漿中の馬尿酸量(ng/mL)、
表3-1-2:血漿中の馬尿酸の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表3-2-1:早朝尿中の馬尿酸量(ng/mL)、
表3-2-2:早朝尿中の馬尿酸の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表3-3-1:尿中の馬尿酸量と血漿中の馬尿酸量の比、
表3-3-2:尿中の馬尿酸量と血漿中の馬尿酸量の比の投与開始前からの変化量、
表4-1-1:血漿中のアルギノコハク酸量(ng/mL)、
表4-1-2:血漿中のアルギノコハク酸の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表4-2-1:早朝尿中のアルギノコハク酸量(ng/mL)、
表4-2-2:早朝尿中のアルギノコハク酸の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表4-3-1:尿中のアルギノコハク酸量と血漿中のアルギノコハク酸量の比、
表4-3-2:尿中のアルギノコハク酸量と血漿中のアルギノコハク酸量の比の投与開始前からの変化量、
表5-1-1:血漿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)量(ng/mL)、
表5-1-2:血漿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表5-2-1:早朝尿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)量(ng/mL)、
表5-2-2:早朝尿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)の投与開始前からの変化量(ng/mL)、
表5-3-1:尿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)量と血漿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)量の比、
表5-3-2:尿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)量と血漿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)量の比の投与開始前からの変化量。
【0109】
A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)ではB群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及びC群(Control:コントロール群)に比較し、投与6、12及び24週後の血漿中のインドキシル硫酸濃度が低値であった(表1-1-1参照)。また、A群ではC群に比較し、投与12及び24週後の早朝尿中でインドキシル硫酸(IS)濃度が高値であった(表1-2-1参照)。6~24週における血漿インドキシル硫酸濃度は、A群ではB群及びC群に比較して有意に低値であり(表1-1-1参照)、6~24週における早朝尿中のインドキシル硫酸濃度の増加は、A群ではB群及びC群に比較して有意に大きかった(表1-2-2参照)。
また、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤を慢性腎臓病患者に投与することにより、尿毒症物質であるインドキシル硫酸の尿中濃度が投与前に比較して増加し、インドキシル硫酸の血中濃度が投与前に比較し低下した。同じアルカリ性化剤であっても、炭酸水素ナトリウム製剤ではこのような効果が認められなかった。炭酸水素ナトリウム製剤に比較し、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の方がより高い血中インドキシル硫酸濃度低下効果及び尿中インドキシル硫酸濃度増加効果を発揮した。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤による血中インドキシル硫酸濃度低下効果及び尿中インドキシル硫酸濃度増加効果は、投与12週後から認められた。
尿中のインドキシル硫酸濃度と血漿中のインドキシル硫酸濃度の比の値から、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により、インドキシル硫酸の血中から尿への排泄が促進され、体外への排泄が促進されることが示された。そしてインドキシル硫酸の血中から尿への排泄効果は、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により認められる一方、炭酸水素ナトリウム製剤投与では認められなかった(表1-3-1、1-3-2参照)。
【0110】
【表1-1-1】
【0111】
【表1-1-2】
【0112】
【表1-2-1】
【0113】
【表1-2-2】
【0114】
【表1-3-1】
【0115】
【表1-3-2】
【0116】
p-クレジル硫酸(PCS)については、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)はC群(Control:コントロール群)に比較し、投与12及び24週後の早朝尿中のp-クレジル硫酸濃度が高値であり、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)に比較しても、A群(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)は、投与6、12及び24週後の早朝尿中のp-クレジル硫酸濃度が高値であった(表2-2-1参照)。6~24週における早朝尿中のp-クレジル硫酸濃度の増加は、A群でのみ認められた(表2-2-2参照)。
また、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤を慢性腎臓病患者に投与することにより、尿毒症物質であるp-クレジル硫酸の尿中濃度が投与前に比較して増加した(表2-2-1、2-2-2参照)。同じアルカリ性化剤であっても、炭酸水素ナトリウム製剤ではこのような効果は認められず、炭酸水素ナトリウム製剤に比較し、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の方が強い尿中p-クレジル硫酸濃度増加効果を発揮した。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤による尿中p-クレジル硫酸濃度増加効果は、投与12週後から認められた。
一方、炭酸水素ナトリウム製剤の投与により、尿毒症物質であるp-クレジル硫酸の血漿濃度が投与前に比較して減少した(表2-1-2参照)。このようなp-クレジル硫酸の血漿濃度低下効果は、A群及びC群に比較しB群で強く認められた(表2-1-2参照)。
尿中のp-クレジル硫酸濃度と血漿中のp-クレジル硫酸濃度の比の値から、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により、p-クレジル硫酸の血中から尿への排泄が促進され、体外への排泄が促進されると示唆される。そしてp-クレジル硫酸の血中から尿への排泄効果は、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与の方が、炭酸水素ナトリウム製剤投与に比較し強いことが示された(表2-3-1、2-3-2参照)。
【0117】
【表2-1-1】
【0118】
【表2-1-2】
【0119】
【表2-2-1】
【0120】
【表2-2-2】
【0121】
【表2-3-1】
【0122】
【表2-3-2】
【0123】
馬尿酸(HA)については、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)はB群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及びC群(Control:コントロール群)に比較し、投与24週後の血漿中の馬尿酸濃度が低値であった(表3-1-1参照)。このような効果は、炭酸水素ナトリウム製剤の投与では見られなかった。また、A群は、C群に比較し、投与12及び24週後の早朝尿中の馬尿酸濃度が高値であった(表3-2-1参照)。
また、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤を慢性腎臓病患者に投与することにより、投与24週後において、尿毒症物質である馬尿酸の血漿濃度が投与前に比較して低下し(表3-1-1、3-2-2参照)、馬尿酸の尿中濃度が投与前に比較して増加した(表3-2-1、3-2-2参照)。6~24週における早朝尿中の馬尿酸濃度の増加は、A群でのみ認められた(表2-2-2参照)。同じアルカリ性化剤であっても、炭酸水素ナトリウム製剤に比較し、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の方がより高い尿中馬尿酸濃度増加効果を発揮した。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤による尿中馬尿酸濃度増加効果は、投与6週後から認められた。
尿中の馬尿酸濃度と血漿中の馬尿酸濃度の比の値から、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により、馬尿酸の血中から尿への排泄が促進され、体外への排泄が促進されると示唆される。そして6~24週における馬尿酸の血中から尿への排泄効果は、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与の方が、炭酸水素ナトリウム製剤投与に比較し強いことが示された(表3-3-1、3-3-2参照)。
【0124】
【表3-1-1】
【0125】
【表3-1-2】
【0126】
【表3-2-1】
【0127】
【表3-2-2】
【0128】
【表3-3-1】
【0129】
【表3-3-2】
【0130】
アルギニノコハク酸(ASA)については、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)はC群(Control:コントロール群)に比較し、早朝尿中のアルギニノコハク酸濃度が高値であった一方、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)に比較して低値であった(表4-2-1参照)。
また、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤を慢性腎臓病患者に投与することにより、尿毒症物質であるアルギニノコハク酸の尿中濃度が投与前に比較して増加した(表4-2-1、4-2-2参照)。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤による尿中アルギニノコハク酸濃度増加効果は、投与12週後から認められた。6~24週における早朝尿中のアルギニノコハク酸濃度の増加は、A群に比較して、B群の方がより増加した(表4-2-2参照)。
尿中のアルギニノコハク酸濃度と血漿中のアルギニノコハク酸濃度の比の値から、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により、アルギニノコハク酸の血中から尿への排泄が促進され、体外への排泄が促進されると示唆される。そして6~24週におけるアルギニノコハク酸の血中から尿への排泄効果は、炭酸水素ナトリウム製剤投与の方が、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与に比較し強いことが示された(表4-3-1、4-3-2参照)。
【0131】
【表4-1-1】
【0132】
【表4-1-2】
【0133】
【表4-2-1】
【0134】
【表4-2-2】
【0135】
【表4-3-1】
【0136】
【表4-3-2】
【0137】
フェニルアセチルLグルタミン(PAG)については、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)はC群(Control:コントロール群)に比較し、血漿中のフェニルアセチルLグルタミン濃度が低値であった(表5-1-1参照)。A群ではC群に比較し、投与12及び24週後の早朝尿中でフェニルアセチルLグルタミン濃度が高値であった(表5-2-1参照)。
また、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤を慢性腎臓病患者に投与することにより、投与12及び24週後における尿毒症物質であるフェニルアセチルLグルタミンの尿中濃度が投与前に比較して増加した(表5-2-1、5-2-2参照)。同じアルカリ性化剤であっても、炭酸水素ナトリウム製剤ではこのような効果は認められなかった。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤による尿中フェニルアセチルLグルタミン濃度増加効果は、投与12週後から認められた。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤を慢性腎臓病患者に投与することにより、尿毒症物質であるフェニルアセチルLグルタミンの血漿濃度が投与前に比較して低下した(表5-1-1、5-2-2参照)。フェニルアセチルLグルタミンの血漿濃度低下効果は、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤に比較し、炭酸水素ナトリウム製剤で強く認められた(表5-1-2参照)。
尿中のフェニルアセチルLグルタミン濃度と血漿中のフェニルアセチルLグルタミン濃度の比の値から、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により、フェニルアセチルLグルタミンの血中から尿への排泄が促進され、体外への排泄が促進されることが示された。そしてフェニルアセチルLグルタミンの血中から尿への排泄効果は、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与の方が、炭酸水素ナトリウム製剤投与に比較し強いことが示された(表5-3-1、5-3-2参照)。
【0138】
【表5-1-1】
【0139】
【表5-1-2】
【0140】
【表5-2-1】
【0141】
【表5-2-2】
【0142】
【表5-3-1】
【0143】
【表5-3-2】
【0144】
各尿毒症物質の血漿濃度、早朝尿中濃度、早朝尿中の濃度と血漿中の濃度の比について、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤(Citrate)及び炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)の効果を纏めると下表のようになる。下表中、対照薬とは、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤(Citrate)の場合は炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)であり、炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)の場合はクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤(Citrate)である。コントロール群又は対照薬群に比較して有意に効果が優るときは○が記載され、コントロール群又は対照薬群に対して有意に効果が劣るときは×が記載され、有意差がないときは、-が記載されている。なお、早朝尿中のインドキシル硫酸濃度についてのコントロール群に対する炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)投与群の効果については、下表において(○)と記載している。これは、炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)投与群はコントロール群に比較し、有意に早朝尿中のインドキシル硫酸濃度を増加するが、投与開始前に比較し炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)投与後の早朝尿中インドキシル硫酸濃度が低下していることから、インドキシル硫酸の尿中への排泄の促進効果があるか否か判断できないからである。
下表より、アルカリ性化剤による血液(血漿)中の尿毒症物質濃度低下効果は、インドキシル硫酸(IS)及びフェニルアセチルLグルタミン(PAG)で明確に認められた。このうちインドキシル硫酸(IS)で、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤(Citrate)の投与が炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)の投与より顕著に低下した。
また、アルカリ性化剤による尿中の尿毒症物質濃度増加効果(尿中への尿毒素物質排泄効果)は、インドキシル硫酸(IS)、p-クレジル硫酸(PCS)、馬尿酸(HA)、アルギニノコハク酸(ASA)及びフェニルアセチルLグルタミン(PAG)で明確に認められた。このうちインドキシル硫酸(IS)、p-クレジル硫酸(PCS)及びフェニルアセチルLグルタミン(PAG)で、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤(Citrate)の投与が炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)の投与より顕著に尿中の尿毒症物質濃度(尿中への排泄)が増加した。
アルカリ性化剤による血中から尿中への尿毒症物質排泄効果(体外排泄効果)は、インドキシル硫酸(IS)、p-クレジル硫酸(PCS)及びフェニルアセチルLグルタミン(PAG)で明確に認められた。このうちインドキシル硫酸(IS)で、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤(Citrate)の投与が炭酸水素ナトリウム製剤(Bicarbonate)の投与より顕著に血中から尿中への尿毒症物質排泄(体外排泄)が増加した。
【0145】
【表6】
【0146】
上記表より、概して、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤が、炭酸水素ナトリウム製剤に比較して、高い尿毒症物質の体外排泄効果を発揮することが理解できる。また、ステージG3bのみならずステージG2の慢性腎臓病患者にアルカリ性化剤を投与することで、慢性腎臓病の進行を抑制できること、そして、炭酸水素ナトリウム製剤に比較し、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤の方が、より慢性腎臓病の進行を抑制することが示唆された。
【0147】
また、尿中のβ2-マイクログロブリン量及び血清中のシスタチンC量を測定した結果を以下に示す。
【0148】
【表7-1】
【0149】
【表7-2】
【0150】
【表8】
【0151】
血漿中のシスタチンCの濃度は、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及びC群(Control:コントロール群)間で差はなく、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与又は炭酸水素ナトリウム製剤投与による糸球体の機能への影響は認められなかった(表8)。
一方、尿中のβ2-マイクログロブリン濃度については、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)はC群(Control:コントロール群)に比較し、尿中のβ2-マイクログロブリン濃度が低値であり、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)に比較しても、A群(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)は、尿中のβ2-マイクログロブリン濃度が低値であった。B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)はC群(Control:コントロール群)に比較し、尿中のβ2-マイクログロブリン濃度が高値であった。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により、病期進行に伴う尿中のβ2-マイクログロブリン濃度増加が抑制され、投与前と比較し尿中のβ2-マイクログロブリン濃度に変化がないことが認められた。
これらの結果から、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により病期進行に伴う尿細管障害(近位尿細管障害)が抑制されることが示された。また、炭酸水素ナトリウム製剤投与によっては病期進行に伴う尿細管障害(近位尿細管障害)が抑制されず、むしろ増悪することが示された。これらの効果は投与6週間後より認められた。
また、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与による尿中の尿毒症物質濃度増加効果及び血中の尿毒症物質濃度低下効果は、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与による尿中のβ2-マイクログロブリン濃度増加抑制効果と相関は認められなかった。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与による尿中への尿毒症物質排泄促進効果は、糸球体及び近位尿細管の障害抑制だけが原因でないことが示唆された。
【0152】
試験開始6、12及び24週後(6W、12W及び24W)での早朝尿中のインドキシル硫酸(IS)濃度と血漿のインドキシル硫酸(IS)濃度の相関性を、C群(Control:コントロール群)、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及び全患者(A群、B群及びC群の全患者)のそれぞれについてPearson検定を用いて解析した。その結果を図1図4に示す。
インドキシル硫酸については、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群はコントロール群に比較し、血漿中濃度と尿中濃度に高い相関性が認められ、炭酸水素ナトリウム製剤投与群に比較しても高い相関性が認められた(図1~3のr値を参照)。図1~4から、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により血中のインドキシル硫酸濃度に依存して尿中へインドキシル硫酸が排泄されることが示唆された。血中のインドキシル硫酸濃度に依存した尿中へのインドキシル硫酸の排泄により、インドキシル硫酸の血中濃度の増加が抑制され、血中インドキシル硫酸濃度と尿中のインドキシル硫酸濃度の比が一定の範囲になることが示唆された。
【0153】
試験開始6、12及び24週後(6W、12W及び24W)での早朝尿中のp-クレジル硫酸(PCS)濃度と血漿のp-クレジル硫酸(PCS)濃度の相関性を、C群(Control:コントロール群)、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及び全患者(A群、B群及びC群の全患者)のそれぞれについてPearson検定を用いて解析した。その結果を図5図8に示す。
p-クレジル硫酸については、コントロール群、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群及び炭酸水素ナトリウム製剤投与群で、血漿中濃度と尿中濃度に相関性が認められ、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群に比較し炭酸水素ナトリウム製剤投与群でより高い相関性が認められた(図5~7のr値を参照)。図5~8から、炭酸水素ナトリウム製剤投与又はクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により血中のp-クレジル硫酸濃度に依存して尿中へp-クレジル硫酸が排泄されることが示唆された。血中のp-クレジル硫酸濃度に依存した尿中へのp-クレジル硫酸の排泄により、p-クレジル硫酸の血中濃度の増加が抑制され、血中p-クレジル硫酸濃度と尿中のp-クレジル硫酸濃度の比が一定の範囲になることが示唆された。
【0154】
試験開始6、12及び24週後(6W、12W及び24W)での早朝尿中の馬尿酸(HA)濃度と血漿の馬尿酸(HA)濃度の相関性を、C群(Control:コントロール群)、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及び全患者(A群、B群及びC群の全患者)のそれぞれについてPearson検定を用いて解析した。その結果を図9図12に示す。
馬尿酸については、コントロール群、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群及び炭酸水素ナトリウム製剤投与群で、血漿中濃度と尿中濃度に高い相関性は認められなかった。
【0155】
試験開始6、12及び24週後(6W、12W及び24W)での早朝尿中のアルギニノコハク酸(ASA)濃度と血漿のアルギニノコハク酸(ASA)濃度の相関性を、C群(Control:コントロール群)、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及び全患者(A群、B群及びC群の全患者)のそれぞれについてPearson検定を用いて解析した。その結果を図13図16に示す。
アルギニノコハク酸については、コントロール群、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群及び炭酸水素ナトリウム製剤投与群で、血漿中濃度と尿中濃度に高い相関性は認められなかった。
【0156】
試験開始6、12及び24週後(6W、12W及び24W)での早朝尿中のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)濃度と血漿のフェニルアセチルLグルタミン(PAG)濃度の相関性を、C群(Control:コントロール群)、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)、B群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)及び全患者(A群、B群及びC群の全患者)のそれぞれについてPearson検定を用いて解析した。その結果を図17図20に示す。
フェニルアセチルLグルタミンについては、コントロール群、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群及び炭酸水素ナトリウム製剤投与群で、血漿中濃度と尿中濃度に相関性が認められ、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群に比較し炭酸水素ナトリウム製剤投与群でより高い相関性が認められた(図17~19のr値を参照)。図17~20から、炭酸水素ナトリウム製剤投与又はクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与により血中のフェニルアセチルLグルタミン濃度に依存して尿中へフェニルアセチルLグルタミンが排泄されることが示唆された。血中のフェニルアセチルLグルタミン濃度に依存した尿中へのフェニルアセチルLグルタミンの排泄により、フェニルアセチルLグルタミンの血中濃度の増加が抑制され、血中フェニルアセチルLグルタミン濃度と尿中のフェニルアセチルLグルタミン濃度の比が一定の範囲になることが示唆された。
【0157】
試験開始6、12及び24週後(6W、12W及び24W)での、インドキシル硫酸(IS)、p-クレジル硫酸(PCS)、馬尿酸(HA)、アルギニノコハク酸(ASA)及びフェニルアセチルLグルタミン(PAG)の早朝尿濃度の相関性を、C群(Control:コントロール群)、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)及びB群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)のそれぞれについてPearson検定を用いて解析した。その結果を表9に示す。表中“Contro”はコントロール群を、“Citrate”はクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群を、“Bicarb”は炭酸水素ナトリウム製剤投与群を示す。
その結果、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群では、インドキシル硫酸とフェニルアセチルLグルタミン、p-クレジル硫酸とフェニルアセチルLグルタミン、アルギニノコハク酸とフェニルアセチルLグルタミンで高い相関性が認められた。炭酸水素ナトリウム製剤投与群では、インドキシル硫酸とアルギニノコハク酸、インドキシル硫酸とフェニルアセチルLグルタミン、p-クレジル硫酸とアルギニノコハク酸、p-クレジル硫酸とフェニルアセチルLグルタミン、アルギニノコハク酸とフェニルアセチルLグルタミンで高い相関性が認められた。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤は、インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、p-クレジル硫酸及びアルギニノコハク酸を同様な機構で尿中濃度を高める可能性が示唆された。また、炭酸水素ナトリウム製剤は、インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン、p-クレジル硫酸及びアルギニノコハク酸を同様な機構で尿中濃度を高める可能性が示唆された。
【0158】
【表9】
【0159】
試験開始6、12及び24週後(6W、12W及び24W)での、インドキシル硫酸(IS)、p-クレジル硫酸(PCS)、馬尿酸(HA)、アルギニノコハク酸(ASA)及びフェニルアセチルLグルタミン(PAG)の血漿濃度の相関性を、C群(Control:コントロール群)、A群(Citrate:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群)及びB群(Bicarbonate:炭酸水素ナトリウム製剤投与群)のそれぞれについてPearson検定を用いて解析した。その結果を表10に示す。表中“Contro”はコントロール群を、“Citrate”はクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群を、“Bicarb”は炭酸水素ナトリウム製剤投与群を示す。
その結果、クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤投与群では、インドキシル硫酸とp-クレジル硫酸、インドキシル硫酸とフェニルアセチルLグルタミン、p-クレジル硫酸とフェニルアセチルLグルタミンで高い相関性が認められた。炭酸水素ナトリウム製剤投与群では、インドキシル硫酸とp-クレジル硫酸で高い相関性が認められた。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤は、インドキシル硫酸、フェニルアセチルLグルタミン及びp-クレジル硫酸を同様な機構で血中濃度を低下させる可能性が示唆された。また、炭酸水素ナトリウム製剤は、p-クレジル硫酸及びフェニルアセチルLグルタミンを同様な機構で血中濃度を低下させる可能性が示唆された。クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤と炭酸水素ナトリウム製剤では、尿毒症物質の血中濃度を低下させる機構が相違することが示唆された。
【0160】
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明が提供する医薬組成物等により、哺乳動物において尿毒症物質が体外に排出される。本発明が提供する方法により、尿毒症物質が体外に排出されるか否か、及び/又は慢性腎臓病の進行が抑制できているか否かの予備的な判断をすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20