(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022099
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】アンビエント照明条件において眼についての判定を行うための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/103 20060101AFI20230207BHJP
【FI】
A61B3/103
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022182734
(22)【出願日】2022-11-15
(62)【分割の表示】P 2020187167の分割
【原出願日】2015-11-06
(31)【優先権主張番号】62/076,804
(32)【優先日】2014-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】516133799
【氏名又は名称】オハイオ・ステート・イノヴェーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ・ディー・ベイリー
(57)【要約】
【課題】眼又は他の光学系の光学特性の検出を改善する方法を提供する。
【解決手段】被験体の眼の網膜から被験体の眼の外に反射したアンビエント光を検出することと、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての判定を行うことと、を含む、アンビエント照明条件において眼についての判定を行うための方法及び装置が本明細書において開示されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスを使用して、被験体の眼の網膜から該被験体の眼の外へ反射したアンビエント光を検出することと、
該反射したアンビエント光に基づいて、該被験体の眼についての判定を行うことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行うことは、前記反射したアンビエント光の明度及び1つ又は2つ以上の色に少なくとも部分的に基づいて判定を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行うことは、前記反射したアンビエント光の明度及び1つ又は2つ以上の色に少なくとも部分的に基づいて、前記被験体の眼の屈折異常の判定を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイスを使用して、被験体の眼の網膜から該被験体の眼の外へ反射したアンビエント光を検出することは、
画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像することであって、該画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、該被験体の眼からの無関係な反射は、該画像を撮像中、処理される、ことと、
前記コンピューティングデバイスを使用して、該画像内に撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から光の全体の強度を判定することと、
前記コンピューティングデバイスを使用して、該画像内に撮像された該被験体の眼の瞳孔の該少なくとも一部の中に位置する該複数の画素からの第1の色の第1の強度を判定することと、
前記コンピューティングデバイスを使用して、該画像内に撮像された該被験体の眼の瞳孔の該少なくとも一部の中に位置する該複数の画素からの第2の色の第2の強度を判定することと、
前記コンピューティングデバイスによって、該第1の色の相対強度及び該第2の色の相対強度を比較することであって、該比較及び該全体の強度を使用して、該反射したアンビエント光に基づいて、該被験体の眼についての判定を行うことと、を含む、方法。
【請求項5】
前記反射したアンビエント光に基づく、前記被験体の眼についての前記判定は、自動屈折検査測定又は光屈折検査測定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の色は、赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを含み、前記第2の色は、赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記画像撮像デバイスを使用して、前記被験体の眼の画像を撮像することは、前記被験体が前記眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用した状態で、アンビエント照明条件のみを使用して、該眼鏡レンズ又は該コンタクトレンズを介して、前記画像撮像デバイスで第1の画像を撮像することと、前記被験体が前記眼の上に該眼鏡レンズ又は該コンタクトレンズを装用しない状態で、アンビエント照明条件のみを使用して、前記画像撮像デバイスで第2の画像を撮像することと、含み、該第1の画像は、該第2の画像と比較され、前記反射したアンビエント光に基づく、前記被験体の眼についての前記判定は、該比較に基づき、該眼鏡レンズ又は該コンタクトレンズの推定処方を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の色の前記第1の強度は、前記第2の色の前記第2の強度と比べて明るく、前記全体の強度は相対的により明るく、前記反射したアンビエント光に基づく、前記被験体の眼についての前記判定は、正の値、すなわち、遠視を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の色の前記第1の強度は、前記第2の色の前記第2の強度と比べて薄暗く、前記全体の強度は相対的により薄暗く、前記反射したアンビエント光に基づく、前記被験体の眼についての前記判定は、負の値、すなわち、近視を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記画像内に撮像された前記被験体の眼の瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する第1の複数の画素からの前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての第1の判定を行うことと、
前記画像内に撮像された前記被験体の眼の瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する第2の複数の画素から第2の判定を行うことであって、該第2の複数の画素は、該第1の複数の画素のサブセットである、ことと、
前記画像内に撮像された前記被験体の眼の瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する第3の複数の画素から第3の判定を行うことであって、該第3の複数の画素は、該第1の複数の画素のサブセットであり、該第2の複数の画素と別個である、ことと、
該第1の判定と、該第2の判定と、該第3の判定とを比較して、前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定行うことと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の判定と、前記第2の判定と、前記第3の判定とを比較して、前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定行うことは、前記第2の判定に対する前記第1の判定の標準偏差を判定すること、前記第2の判定に対する前記第1の判定の標準偏差を判定すること、又は前記第3の判定に対する前記第2の判定の標準偏差を判定することのうち1つ又は2つ以上を含み、該判定された標準偏差は、前記反射したアンビエント光に基づく、前記被験体の眼についての判定を示す、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反射したアンビエント光に基づく、前記被験体の眼についての前記判定は、乱視の有無である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
乱視の存在が検出され、乱視の大きさは、前記全体の強度と、前記瞳孔の多様な領域の前記第1の色の相対強度又は前記第2の色の相対強度とを比較することによって判定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像を撮像中、前記眼からの無関係な反射を処理することは、前記画像を撮像中、前記被験体の眼の角膜又は水晶体からの反射を処理することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記画像を撮像中、前記眼からの無関係な反射を処理することは、前記画像撮像デバイスのレンズの上に、若しくは前記画像撮像デバイスと前記被験体の眼との間に、偏光フィルタを配置することを含むか、又は前記画像を撮像中、前記眼からの無関係な反射を処理することは、前記眼の角膜表面若しくは前記眼の水晶体からの反射をもたらすであろう光を遮断することを含むか、又は前記画像を撮像中、前記眼からの無関係な反射を処理することは、前記画像を撮像中、光を吸収するか、若しくは前記眼からの該無関係な反射を防止する表面を提供することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
前記被験体の瞳孔は、およそ2mm以下の直径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
前記被験体の瞳孔は、自然瞳孔であってもよく、又は前記被験体の瞳孔は、人工瞳孔であってもよい、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
画像撮像デバイスと、
メモリと、
該メモリ及び該画像撮像デバイスと連通するプロセッサであって、該プロセッサは、該プロセッサに、
該画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像することであって、該画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、該被験体の眼からの無関係な反射は、該画像を撮像中、処理される、ことと、
該被験体の眼の該画像から、該被験体の眼の網膜から該被験体の眼の外へ反射したアンビエント光を検出することと、
該検出した反射したアンビエント光に基づいて、該被験体の眼についての判定を行うことと、を行わせる、該メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する、プロセッサと、を備える、装置。
【請求項19】
前記プロセッサに、前記検出した反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサは、前記プロセッサに、前記反射したアンビエント光の明度及び1つ又は2つ以上の色に少なくとも部分的に基づいて判定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセッサに、前記検出した反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサは、前記プロセッサに、前記反射したアンビエント光の明度及び1つ又は2つ以上の色に少なくとも部分的に基づいて、前記被験体の眼の屈折異常の判定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサに、被験体の眼の網膜から該被験体の眼の外へ反射したアンビエント光を検出させる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサは、前記プロセッサに、
前記画像内に撮像された瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する複数の画素から光の全体の強度を判定することと、
前記画像内に撮像された該被験体の眼の瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する該複数の画素からの第1の色の第1の強度を判定することと、
前記画像内に撮像された該被験体の眼の瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する該複数の画素からの第2の色の第2の強度を判定することと、
該第1の色の相対強度及び該第2の色の相対強度並びに該全体の強度を使用して、該反射したアンビエント光に基づいて、該被験体の眼についての判定を判定することと、を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサを更に含む、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の色は、赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを含み、前記第2の色は、赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記プロセッサに、前記検出した反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサは、前記プロセッサに、自動屈折検査測定又は光屈折検査測定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記画像撮像デバイスを使用して、前記被験体の眼の画像を撮像することは、前記被験体が前記眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用している状態で、該眼鏡レンズ又は該コンタクトレンズを介して、アンビエント照明条件のみを使用して、前記画像撮像デバイスで第1の画像を撮像することと、前記被験体が前記眼の上に該眼鏡レンズ又は該コンタクトレンズを装用していない状態で、アンビエント照明条件のみを使用して、前記画像撮像デバイスで第2の画像を撮像することと、を含み、前記プロセッサは、前記プロセッサに、前記第1の画像を前記第2の画像と比較させる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行し、前記反射したアンビエント光に基づく、前記被験体の眼についての前記判定は、該比較に基づいて行われ、該眼鏡レンズ又は該コンタクトレンズの推定処方を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の強度は前記第2の強度と比べて明るく、前記全体の強度は、相対的により明るく、前記反射したアンビエント光に基づく前記被験体の眼についての前記判定は、正の値、すなわち、遠視を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項26】
前記第1の強度は前記第2の強度と比べて薄暗く、前記全体の強度は、相対的により薄暗く、前記反射したアンビエント光に基づく前記被験体の眼についての前記判定は、負の値、すなわち、近視を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項27】
前記プロセッサに、前記検出した反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサは、前記プロセッサに、
前記画像内に撮像された前記被験体の眼の瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する第1の複数の画素からの前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼について第1の判定を行うことと、
前記画像内に撮像された前記被験体の眼の瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する第2の複数の画素から第2の判定を行うことであって、該第2の複数の画素は、該第1の複数の画素のサブセットである、ことと、
前記画像内に撮像された前記被験体の眼の瞳孔の前記少なくとも一部の中に位置する第3の複数の画素から第3の判定を行うことであって、該第3の複数の画素は、該第1の複数の画素のサブセットであり、該第2の複数の画素と別個である、ことと、
該第1の判定と、該第2の判定と、該第3の判定と、を比較して、前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行うことと、を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項28】
前記プロセッサに、前記検出した反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサは、前記プロセッサに、前記第1の判定と、前記第2の判定と、前記第3の判定と、を比較して、前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の眼についての判定を行わせる、前記メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する前記プロセッサを含み、該判定は、前記第2の判定に対する前記第1の判定の標準偏差を判定すること、前記第2の判定に対する前記第1の判定の標準偏差を判定すること、又は前記第3の判定に対する前記第2の判定の標準偏差を判定することのうち1つ又は2つ以上を含み、該判定された標準偏差は、前記反射したアンビエント光に基づく前記被験体の眼についての該判定を示す、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記反射したアンビエント光に基づく前記被験体の眼についての前記判定は、乱視の有無である、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
乱視の存在が検出され、乱視の大きさは、前記全体の強度と、前記瞳孔の多様な領域の前記第1の色の相対強度又は前記第2の色の相対強度とを比較することによって判定される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記乱視の大きさは、前記瞳孔の前記多様な領域における遠視又は近視のうち1つ又は2つ以上を測定することによって判定される、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記画像撮像デバイスは、前記画像を撮像中、前記被験体の眼の角膜及び水晶体からの無関係な反射を処理するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項33】
偏光フィルタであって、前記画像を撮像中、前記眼からの無関係な反射は、前記画像撮像デバイスのレンズの上に、又は前記画像撮像デバイスと前記被験体の眼との間に、該偏光フィルタを置くことによって処理される、偏光フィルタを更に備える、請求項18に記載の装置。
【請求項34】
表面であって、前記画像を撮像中、前記眼からの無関係な反射は処理され、該表面は、前記画像を撮像中、光を吸収するか、又は前記眼からの該無関係な反射を防止する、表面を更に備える、請求項18に記載の装置。
【請求項35】
前記被験体の眼の瞳孔の前記一部は、およそ2mm以下の直径を有する瞳孔を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項36】
前記被験体の瞳孔は、自然瞳孔であるか、又は前記被験体の瞳孔は、人工瞳孔である、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
眼の光学特性を検出するために使用される既存のデバイス、又は自動屈折計/眼科用屈折計、収差計などを含む他の光学系が多く存在する。既存のデバイスはすべて、眼に光を当てるための光源を使用することによって機能している。多数の自動屈折計を含む多くのデバイスは、赤外光源を使用しているが、可視光源もまた使用されている。フラッシュを備えた標準的なカメラを使用したことがある者であれば、撮影時、フラッシュからの光が網膜に反射することを知っているであろう。この反射光によって、ヒトの眼の写真では、瞳孔が赤く見えるか、又は多くの動物の写真では、瞳孔が緑色を帯びて見えることとなる。反射光はまた、眼の光学的歪みに応じた、特定のパターンを有することとなる。多くの既存/従前の自動屈折計又は収差計は、この原理、すなわち、眼内に光を照らして、その後、反射光が眼によって歪曲した後に反射光のパターンを検出する、という原理に基づいている。デバイスは、光源の構成若しくは種類、又は反射光の検出方法(単一画像、レンズレットアレイ、レンズレットアレイと組み合わされた望遠鏡など)において異なる。しかしながら、これらの場合のそれぞれにおいて、眼内に光を照らして、その後、屈折異常の大きさを判定する。これは、多くの場合、網膜から反射し、眼の外へ戻る(瞳孔の上部又は下部のいずれか一方においてより明るい)光の強度の傾斜に基づいている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
したがって、眼又は他の光学系の光学特性の検出を改善し、一部上述した当該技術分野における課題を解決する、方法、装置、及びシステムが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
アンビエント照明条件下の被験体の瞳孔内における光の第1の色の強度対光の第2の色の強度をモニタすることによって、眼内の光学的歪みを測定するデバイス及び方法を本明細書において説明する。ここで、アンビエント照明とは、眼内に光の放出体が照らされていない容易に利用可能な光である。例えば、本開示で記載されるデバイス及び方法を実際に使用する室内にランプ及び照明器具があったとしても、眼に光を当てるために、これらの光源又は光の放出体を意図的に使用せず、光源を眼内に向けることもない。被験体は、ヒトであってもよいし、動物であってもよい。フラッシュを使用していない写真では、瞳孔は、黒色か又は非常に暗く見える場合があるが、画素値の大きさは、眼の力に基づいて変化する。本発明の実施形態のために取得された画像では、眼の光学的歪みを測定するために必要な情報は、第1及び第2の色の画素値の中に含有されている。
【0004】
水晶体及び角膜表面からの無関係な反射は、遮断され、さもなければ、これらの他の反射により、瞳孔内の光の測定が不明瞭になると考えられる。例えば、画像を取得する装置の、患者に最も近接する表面は、測定を不明瞭にすると考えられる角膜反射を生じさせないように、マット及び黒色であってもよい。あるいは、偏光フィルタを使用してもよい。
【0005】
この画像が取得されると、瞳孔及び瞳孔の境界が特定される。次いで、瞳孔内の光を分析する。眼内に光は照らさない。自動屈折検査の結果を算出する式において瞳孔の全体の強度が使用され、最小強度が必要とされるが、自動屈折検査に関して、瞳孔全体における強度の差異は測定されない。球面屈折異常を有する眼の中の光は、傾斜を有しておらず、瞳孔内において均一な強度である。第1の色の画素と第2の色の画素と間の差異でさえ、球面屈折異常(すなわち、乱視)に関しては、瞳孔全体において均一である。網膜から常に反射している、室内のアンビエント光を測定する。第1の色の画素値対第2の色の画素値の強度における差異を判定し、比較する。この差異は、眼の屈折異常/眼鏡の処方に関連する。例えば、第1の色の画素と第2の色の画素との間の差異は、遠視(遠視眼)では、より大きな数となり、近視(近視眼)では、より小さな数となる。また、遠視を有する眼の瞳孔内の光は、近視を有する眼の瞳孔内の光よりもいくぶん明るい。乱視の場合、瞳孔全体における個々の画素の強度は、遠視単体又は近視単体を有するこの強度よりも、高い標準偏差を有することとなる。ほとんどの眼において、乱視の軸は正常であることが既知であり、これは、2つの強主経線が90度離れていることを意味する。本開示では、光学系内の乱視の存在により、瞳孔内の強度に差異が生じる。近視性経線(myopic meridian)が薄暗くなるにつれ、遠視性経線(hyperopic meridian)がより明るくなることとなる。
【0006】
眼についての判定を行う方法を、本明細書において開示している。本方法は、コンピューティングデバイスを使用して、被験体の眼の網膜から被験体の眼の外に反射したアンビエント光を検出することと、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての判定を行うことと、を含む。本明細書に記載のとおり、反射光は、アンビエント光に依拠しており、反射光を生じさせるための追加の光放出体は不要であり、又は追加の光放出体が眼に向けられるものではない。眼についての判定は、反射したアンビエント光の一態様に少なくとも部分的に基づいて行われる。例えば、全体の明度及び反射したアンビエント光のうちの1つ又は2つ以上の色の強度を使用して、眼についての判定を行うことができる。
【0007】
一態様において、眼についての判定は、反射したアンビエント光の一態様に少なくとも部分的に基づく、被験体の眼に関する屈折異常を含む。
【0008】
代替的に又は任意選択的に、上述の方法に関して、コンピューティングデバイスを使用して、被験体の眼の網膜から被験体の眼の外に反射したアンビエント光を検出することは、画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像することであって、画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、被験体の眼からの無関係な反射は、画像を撮像中、処理される、ことと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から光の全体の強度を判定することと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素からの第1の色の第1の強度を判定することと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素からの第2の色の第2の強度を判定することと、コンピューティングデバイスにより、第1の色の相対強度と第2の色の相対強度とを比較することであって、比較及び全体の強度を使用して、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての判定を行うことと、を更に含んでもよい。第1の色又は第2の色のいずれか一方は、赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせであってもよい。
【0009】
一態様において、上述の方法を使用して、自動屈折検査測定又は光屈折検査測定を含む眼についての判定を行うことができる。例えば、画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像することは、被験体が眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用している状態で、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを介して、アンビエント照明条件のみを使用して、画像撮像デバイスで第1の画像を撮像することと、被験体が眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用していない状態で、アンビエント照明条件のみを使用して、画像撮像デバイスで第2の画像を撮像することと、を含んでもよく、第1の画像は、第2の画像と比較され、反射したアンビエントに基づく被験体の眼についての判定は、その比較に基づいており、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズの推定処方(estimated prescription)を含む。
【0010】
代替的に又は任意選択的に、上述の方法に関して、第1の色の第1の強度が第2の色の第2の強度と比べて明るく、全体の強度が相対的により明るい場合、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、正の値、すなわち、遠視を含む。同様に、第1の色の第1の強度が第2の色の第2の強度と比べて薄暗く、全体の強度が相対的により薄暗い場合、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、負の値、すなわち、近視を含む。
【0011】
また、上述の方法を使用して、乱視などの、眼についての判定を行ってもよい。例えば、本方法は、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第1の複数の画素からの反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての第1の判定を行うことと、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第2の複数の画素から第2の判定を行うことであって、第2の複数の画素は、第1の複数の画素のサブセットである、ことと、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第3の複数の画素から第3の判定を行うことであって、第3の複数の画素は、第1の複数の画素のサブセットであり、第2の複数の画素とは別個である、ことと、第1の判定と、第2の判定と、第3の判定と、を比較して、反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行うことと、を更に含んでもよい。第1の判定と、第2の判定と、第3の判定と、を比較して、反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行うことは、第2の判定に対する第1の判定の標準偏差を判定すること、第2の判定に対する第1の判定の標準偏差を判定すること、又は第3の判定に対する第2の判定の標準偏差を判定することのうち1つ又は2つ以上を含んでもよく、判定された標準偏差は、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定を示す。上記のとおり、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、乱視の有無であってもよい。更に、乱視の存在が検出された場合、乱視の大きさは、全体の強度と、瞳孔の多様な領域の第1の色の相対強度又は第2の色の相対強度とを比較することによって判定することができる。
【0012】
上記のとおり、本方法は、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することを含む。概して、本方法は、画像を撮像中、被験体の眼の角膜又は水晶体からの反射を処理することを含む。例えば、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することは、画像撮像デバイスのレンズの上に、又は画像撮像デバイスと被験体の眼との間に、偏光フィルタを配置することを含んでもよい。代替的に又は任意選択的に、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することは、眼の角膜表面又は眼の水晶体からの反射をもたらすであろう光を遮断することを含んでもよい。例えば、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することは、画像を撮像中、光を吸収するか、又は眼からの無関係な反射を防止する表面を提供することを含んでもよい。表面は、黒色のマット仕上げが施されていてもよい。一態様において、表面は、画像撮像デバイスの一部を含んでいてもよい。例えば、表面は、画像撮像デバイスを収容するケースの少なくとも一部を含んでいてもよい。
【0013】
上述の方法に関して、画像撮像デバイスは、カメラを有するスマートフォン又は他のモバイルコンピューティングデバイスを含んでもよい。一般的に、画像撮像デバイスは、被験体の眼の静止画又は動画を撮像することができる。
【0014】
また、上述の方法を使用して、平均的な瞳孔よりも小さな瞳孔を有するヒトの眼についての判定を行うことができる。例えば、被験体の瞳孔が、およそ2mm以下の直径を有する場合である。更に、被験体の瞳孔は、自然瞳孔であってもよいし、人工瞳孔であってもよい。被験体の眼は、被験体の左眼又は右眼であってもよいし、あるいは被験体の左眼及び右眼であってもよい。一態様において、本方法は、アンビエント光条件に対する強度を検出することと、アンビエント光条件が、画像撮像デバイスが被験体の眼の画像を撮像するには低すぎる場合に指標を提供することと、を更に含んでもよい。
【0015】
眼についての判定を行う代替の方法もまた、本明細書に開示されている。本方法は、画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像することであって、画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、被験体の眼の角膜及び水晶体からの無関係な反射は、画像を撮像中、処理される、ことと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から光の全体の強度を判定することであって、複数の画素は、赤色の画素、緑色の画素、及び青色の画素を含む、ことと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から赤色の平均強度を判定することと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から青色の平均強度を判定することと、赤色の平均強度、青色の平均強度、及び判定された全体の強度を使用して、眼の光学特性をコンピューティングデバイスによって判定することと、を含む。
【0016】
上述と同様に、判定された眼の光学特性は、本方法を使用して、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズの推定処方を提供できるように、自動屈折検査測定又は光屈折検査測定を含んでいてもよい。更に、本方法を使用して、正の値、すなわち、遠視、負の値、すなわち、近視、乱視の有無、及び乱視がある場合には、乱視の大きさなどの、眼の光学特性を判定することができる。
【0017】
本開示の別の態様は、上述の方法を実施するための装置である。一実施形態では、装置は、画像撮像デバイスと、メモリと、メモリ及び画像撮像デバイスと連通するプロセッサであって、プロセッサは、プロセッサに、画像撮像デバイス撮像を使用して、被験体の眼の画像を撮像することであって、画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、被験体の眼からの無関係な反射は、画像を撮像中、処理される、ことと、被験体の眼の画像から、被験体の眼の網膜から被験体の眼の外へ反射したアンビエント光を検出することと、検出した反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての判定を行うことと、を行わせる、メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行する、プロセッサと、を備える。
【0018】
一態様において、装置による眼について行われる判定は、反射したアンビエント光の一態様に少なくとも部分的に基づく、被験体の眼に関する屈折異常を含む。
【0019】
代替的に又は任意選択的に、装置は、画像内に撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から光の全体の強度を判定することによって、被験体の眼の網膜から被験体の眼の外へ反射したアンビエント光を検出することと、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素からの第1の色の第1の強度を判定することと、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素からの第2の色の第2の強度を判定することと、第1の色の相対強度と第2の色の相対強度とを比較することであって、比較及び全体の強度を使用して、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての判定を行う、ことと、のために使用することができる。第1の色又は第2の色のいずれか一方は、赤色、緑色、及び青色のうち任意の1つ又は任意の組み合わせであってもよい。
【0020】
一態様において、上述の装置は、自動屈折検査測定又は光屈折検査測定を含む眼についての判定を行うことができる。例えば、画像撮像デバイス使用して、被験体の眼の画像を撮像する際、プロセッサは、被験体が眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用している状態で、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを介して、アンビエント照明条件のみを使用して、画像撮像デバイスで第1の画像を撮像することと、被験体が眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用していない状態で、アンビエント照明条件のみを使用して、画像撮像デバイスで第2の画像を撮像することと、を行うための、メモリに格納されたコンピュータ可読指示を実行することができ、第1の画像は、第2の画像と比較され、反射したアンビエントに基づく被験体の眼についての判定は、その比較に基づいており、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズの推定処方を含む。
【0021】
代替的に又は任意選択的に、装置のプロセッサは、第1の色の第1の強度が第2の色の第2の強度と比べて明るく、全体の強度が相対的により明るい場合、反射したアンビエント光に基づく、被験体の眼についての判定は、正の値、すなわち、遠視を含むようなコンピュータ可読指示を実行することができる。同様に、第1の色の第1の強度が第2の色の第2の強度と比べて薄暗く、全体の強度が相対的により薄暗い場合、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、負の値、すなわち、近視を含む。
【0022】
上述の装置はまた、乱視などの眼についての判定を行うために使用することができる。例えば、装置のプロセッサは、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第1の複数の画素からの反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての第1の判定を行うことと、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第2の複数の画素から第2の判定を行うことであって、第2の複数の画素は、第1の複数の画素のサブセットである、ことと、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第3の複数の画素から第3の判定を行うことであって、第3の複数の画素は、第1の複数の画素のサブセットであり、第2の複数の画素とは別個である、ことと、第1の判定と、第2の判定と、第3の判定と、を比較して、反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行うことと、行うためのコンピュータ可読指示を実行することができる。第1の判定と、第2の判定と、第3の判定と、を比較して、反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行うことは、第2の判定に対する第1の判定の標準偏差を判定すること、第2の判定に対する第1の判定の標準偏差を判定すること、又は第3の判定に対する第2の判定の標準偏差を判定することのうち1つ又は2つ以上を含んでもよく、判定された標準偏差は、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定を示す。上記のとおり、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、乱視の有無であってもよい。更に、乱視の存在が検出された場合、乱視の大きさは、全体の強度と、瞳孔の多様な領域の第1の色の相対強度又は第2の色の相対強度とを比較することによって判定することができる。
【0023】
上記のとおり、装置は、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することができる。概して、これは、画像を撮像中、被験体の眼の角膜又は水晶体からの反射を処理することを含む。例えば、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することは、画像撮像デバイスのレンズの上に、又は画像撮像デバイスと被験体の眼との間に、偏光フィルタを配置することを含んでもよい。代替的に又は任意選択的に、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することは、眼の角膜表面又は眼の水晶体からの反射をもたらすであろう光を遮断することを含んでもよい。例えば、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することは、画像を撮像中、光を吸収するか、又は眼からの無関係な反射を防止する表面を提供することを含んでもよい。表面は、黒色のマット仕上げが施されていてもよい。一態様において、表面は、画像撮像デバイスの一部を含んでいてもよい。例えば、表面は、画像撮像デバイスを収容するケースの少なくとも一部を含んでいてもよい。
【0024】
上述の装置に関連して、画像撮像デバイスは、カメラを有する、スマートフォン又は他の携帯型コンピューティングデバイスを含むことができる。一般的に、画像撮像デバイスは、被験体の眼の静止画又は動画を撮像することができる。
【0025】
上述された装置を使用して、平均的な瞳孔より小さい患者の眼についての判定を行うことができる。例えば、被験体の瞳孔が、およそ2mm以下の直径を有する場合である。更に、被験体の瞳孔は、自然瞳孔であってもよいし、人工瞳孔であってもよい。被験体の眼は、被験体の左眼又は右眼であってもよいし、あるいは被験体の左眼及び右眼であってもよい。一態様において、装置は、アンビエント光条件に対する強度を検出し、アンビエント光条件があまりにも低く、被験体の眼の画像を画像撮像デバイスが撮像することができない場合、指標を提供するための露出計を更に備えることができる。
【0026】
上述の主題はまた、コンピュータ制御型装置、コンピュータ処理、コンピューティングシステム、又はコンピュータ可読ストレージ媒体などの製品として実施することができることを理解されたい。
【0027】
他のシステム、方法、特徴、及び/又は利点は、以下の図面及び発明を実施するための形態を考察すると、当業者には明らかであるか、又は明らかになり得る。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、及び/又は利点は、この説明内に含まれ、付属の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面内の構成要素は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。同様の参照番号は、複数の図を通して対応する部分を示している。
【
図1】アンビエント照明条件において、被験体の眼についての判定を行うための例示的な装置の外観を示す図である。
【
図2A】アンビエント照明条件において、眼の画像を撮像し、眼についての判定を行うための装置の一例を示す図である。
【
図2B】アンビエント照明条件において、眼の画像を撮像し、眼についての判定を行うための装置により撮像された眼の画像を示す図である。
【
図2C】アンビエント照明条件において、眼の画像を撮像し、眼についての判定を行うための装置の一例を示す図である。
【
図2D】乱視などの眼についての判定を行うために使用することができる眼の画像を示す図である。
【
図2E】アンビエント照明条件において、偏光フィルタを使用して眼の画像を撮像し、眼についての判定を行うための装置の一例を示す図である。
【
図2F】アンビエント照明条件において、表面を使用して眼の画像を撮像し、眼についての判定を行うための装置の一例を示す図である。
【
図3】発明の実施形態を実施することができる例示的なコンピューティングデバイスを示す図である。
【
図4】眼の外に反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行う例示的な方法を示す図である。
【
図5】眼の外に反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行う例示的な代替方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
特に定義されない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はいずれも、当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載するものに類似又は同等の方法及び材料を、本開示の実践又は試験において使用することができる。
【0030】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表されてもよい。このような範囲が表されるとき、別の態様は、1つの特定の値から、かつ/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって近似として表されるとき、特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるであろう。範囲のそれぞれの端点は、他の端点に関しても、他の端点とは独立しても、この両方において、有意であると更に理解されるであろう。
【0031】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、引き続いて記載された事象又は状況が起こってもよくあるいは起こらなくてもよいこと、及び説明が、該事象又は状況が起こる場合の例及びそれが起こらない場合の例を含むことを意味する。
【0032】
本明細書の説明及び特許請求の範囲の全体を通して、単語「含む、comprise」及び「comprising」並びに「comprises」などの単語の変化形は、例えば、他の添加剤、構成成分、整数又は工程が「含まれるが、これらに限定されない」及び「例えば、除外することを意図しない」ことを意味する。「例示的な」は、「の一例」を意味し、好ましい又は理想的な実施形態の指示を伝えることを意図しない。「などの」は、限定的な意味で使用されるものではなく、説明的な目的で使用される。
【0033】
開示された方法及びシステムを行うために使用することができる構成要素が開示されている。これらの構成要素及び他の構成要素が本明細書において開示され、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示される場合、これらのそれぞれの多様な個別の組み合わせ及び集合的な組み合わせ並びに置換が明確に開示される一方、それぞれは、すべての方法及びシステムに関して、具体的に本明細書において企図及び記載されていることを理解されたい。これは、本出願のすべての態様に適用されるが、開示された方法における工程に限定されるわけではない。このように、実施することができる多様な更なる工程が存在する場合、これらの更なる工程のそれぞれは、任意の特定の実施形態又は開示された方法の実施形態の組み合わせにより実施することができることを理解されたい。
【0034】
本方法及びシステムは、好ましい実施形態の以下の詳細な説明及び好ましい実施形態に含まれる実施例並びに図面及びこれらのこれまでの記載及び以下の記載を参照することにより、より容易に理解することができる。
【0035】
図1は、アンビエント照明条件において、被験体の眼についての判定を行うための例示的な装置の外観を示す図である。
図1に示すように、装置100の一実施形態は、画像撮像機構102を備える。一態様において、画像撮像機構102はカメラであってもよい。画像撮像機構102は、静止画及び/又は動画を撮影することができる。概ね、画像撮像機構102は、デジタルカメラであると考えられるが、適当なアナログ/デジタルコンバータが備えられているか又はこれと連通しているアナログデバイスであってもよい。画像撮像機構102はまた、ウェブカメラ、スキャナ、レコーダ、又は静止画若しくは動画を撮像することができる任意の他のデバイスであってもよい。
【0036】
一態様において、画像撮像機構102は、例えば、ネットワーク((光ファイバを含む)有線、無線若しくは有線と無線との組み合わせ)又は(例えば、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)接続、IEEE 1394「Firewire」接続などを使用する)直接接続ケーブルを介してコンピューティングデバイス110と直接連通している。他の態様において、画像撮像機構102は、コンピューティングデバイス110から離れて位置することができるが、画像を撮像し、メモリデバイス上に画像を格納することができ、画像は、例えば、携帯用メモリデバイスなどを使用してコンピューティングデバイス110にダウンロードするか又は転送することができる。一態様において、コンピューティングデバイス110及び画像撮像機構102は、スマートフォン、テーブルコンピュータ、ラップトップコンピュータ又は任意の他の携帯型コンピューティングデバイスなどのデバイスを備えることができるか、又はこれらの一部であってもよい。
【0037】
基本的な構成において、コンピューティングデバイス110は、プロセッサ104及びメモリ108を備えることができる。プロセッサ104は、メモリ108に格納されているコンピュータ可読指示を実行することができる。更に、静止画であれ動画であれ、画像撮像デバイス102によって撮像された画像は、メモリ108に格納され、メモリ108に格納されたコンピュータ可読指示を使用して、プロセッサ104によって処理することができる。
【0038】
プロセッサ104は、画像撮像デバイス102及びメモリ108と連通している。プロセッサ104は、メモリ108に格納されたコンピュータ可読指示を実行して、画像撮像デバイス102を使用して、被験体の眼106の画像を撮像することができる。アンビエント照明以外の光源は、画像を撮像するために必要でない。画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、更なる光源が眼106に向けられることは要求されない。眼106の画像を撮像中、被験体の眼106からの無関係な反射が処理される。
【0039】
プロセッサ104は、メモリ108に格納されたコンピュータ可読指示を更に実行して、被験体の眼106の画像から、被験体の眼106の網膜からの被験体の眼106から外へ反射するアンビエント光を検出し、検出した反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼106についての判定を行うことができる。概ね、反射したアンビエント光の態様に少なくとも部分的に基づいて、被験体の眼106についての判定をプロセッサ104に行わせる、メモリ108に格納されているコンピュータ可読指示を実行する装置100のプロセッサ104。かかる態様は、例えば、画像撮像デバイス102によって取得された画像の複数の画素において判定される、反射したアンビエント光の全体の明度又は強度を含むことができる。態様はまた、画像撮像デバイス102によって取得された画像の複数の画素からまた判定される、反射したアンビエント光の1つ又は2つ以上の色を含むことができる。例えば、メモリ108に格納されたコンピュータ可読指示を実行するプロセッサ104は、プロセッサ104に、画像撮像デバイスによって取得された画像から判定される、反射したアンビエント光を含む赤色の画素、緑色の画素、及び青色の画素の全体の明度又は強度に少なくとも部分的に基づいて、眼106についての判定を行わせることができる。全体の明度は、非限定的な例として、参照により本明細書に十分に援用され、本明細書の一部をなしている、Allan Hanburyによって開発された方法及びソフトウェア(例えば、「A 3D-Polar Coordinate Colour Representation Well Adapted to Image Analysis」,Hanbury,Allan、Vienna University of Technology,Vienna,Austria,2003参照)を使用して判定することができる。プロセッサ104はまた、画像撮像デバイス102によって取得された画像の複数の画素において見出された赤、緑、又は青の相対強度を使用して、眼106についての判定を行う。例えば、画像撮像デバイス102によって撮像された、眼106の画像から判定される、反射したアンビエント光の態様を少なくとも一部使用して、メモリ108に格納されたコンピュータ可読指示を実行するプロセッサ104は、被験体の眼106の屈折異常を含む眼106についての判定を行うことができる。言い換えれば、画像撮像デバイス102によって取得された画像の複数の画素において判定される、反射したアンビエント光の全体の明度又は強度、及び画像撮像デバイス102によって取得された画像の複数の画素からもまた判定される、反射したアンビエント光の1つ又は2つ以上の色の相対強度を少なくとも部分的に使用して、メモリ108に格納されたコンピュータ可読指示を実行するプロセッサ104は、被験体の眼106の屈折異常を含む眼106についての判定を行うことができる。
【0040】
図2Aに示すように、装置100の画像撮像デバイス102は、眼106の画像(
図2B)208を撮像する。装置100のプロセッサ104は、プロセッサ104に、眼の画像208から、被験体の眼106の網膜206から被験体の眼106の外へ反射された204アンビエント光202を検出し、瞳孔210又は瞳孔210の一部の中の複数の画素(例示的な画素は、眼の画像208の瞳孔210内の白い「x」として
図2Bに図示されている)の全体の強度を判定することと、瞳孔210又は画像208内に撮像された被験体の眼の瞳孔210の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から第1の色の強度を判定することと、瞳孔201又は画像208内に撮像され被験体の眼の瞳孔201の少なくとも一部の中に位置する複数の画素からの第2の色の強度を判定することと、屈折異常又は眼鏡の処方を回帰分析に基づいて算出することと、を行わせる、メモリ108に格納されたコンピュータ可読指示を実行することができる。回帰分析は、以下の要素のうち少なくとも1つを含む。(1)瞳孔210又は瞳孔210の一部の中の画素の全体の強度又は明度、(2)画像208内に撮像された被験体の眼の瞳孔210の少なくとも一部の中に位置する第2の1つ又は2つ以上の画素からの第2の色と比較して画像208内に撮像された被験体の眼の瞳孔210の少なくとも一部の中に位置する第1の1つ又は2つ以上の画素からの第1の色の相対強度。任意選択的に、回帰分析はまた、(3)画像208内に撮像された被験体の虹彩の色、及び(4)画像撮像デバイス100で画像が撮像されるときのアンビエント照明の全体の強度。例えば、第1の色の強度が第2の色の強度と比べて明るく、全体の強度が相対的により明るい場合、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、正の値、すなわち、遠視を含むことができる。あるいは、第1の色の強度が第2の色の強度と比べて薄暗く、全体の強度が相対的により薄暗い場合、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、負の値、すなわち、近視を含むことができる。
【0041】
例えば、第1の色は、赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを含み、第2の色は、第1の色として使用されない赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを含むことができる。
【0042】
上述の工程を行うことによって、装置100のプロセッサ104は、プロセッサ104に、自動屈折検査測定又は光屈折検査測定を行わせる、メモリ108内に格納されたコンピュータ可読指示を実行することができる。例えば、
図2Cに示すように、装置100は、画像撮像デバイス102を使用して、被験体が眼鏡レンズ又はコンタクトレンズ212を眼106の上に装用している状態で、(両方とも
図2Cの212として図示されている)眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを介して、アンビエント照明202条件のみを使用して、被験体の眼106の画像208を撮像することができる。その後、装置100の画像撮像デバイス102は、被験体が眼鏡レンズ又はコンタクトレンズ212を眼の上に装用していない状態で(例えば、
図2A参照)、アンビエント照明202条件のみを使用して、第2の画像を撮像し、プロセッサ104は、プロセッサ104に、第1の画像を第2の画像と比較させる、メモリ108内に格納されたコンピュータ可読指示を実行し、反射した204アンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、比較に基づき、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズ212の推定処方を含む。
【0043】
次に、
図2Dを参照して、更に他の態様において、プロセッサ104は、プロセッサ104に、画像208内に撮像された被験体の眼106の瞳孔210の少なくとも一部の中に位置する第1の複数の画素220からの反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼106ついての第1の判定を行うことと、画像208内に撮像された被験体の眼106の瞳孔210少なくとも一部の中に位置する第2の複数の画素222から第2の判定を行うことであって、第2の複数の画素222は、第1の複数の画素210のサブセットである、ことと、画像208内に撮像された被験体の眼106の瞳孔210少なくとも一部の中に位置する第3の複数の画素224から第3の判定を行うことであって、第3の複数の画素224は、第1の複数の画素210のサブセットであり、第2の複数の画素222と別個である、ことと、第1の判定と、第2の判定と、第3の判定と、を比較して、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼106についての判定を行うことと、を行わせる、メモリ108内に格納されたコンピュータ可読指示を実行することができる。例えば、第1の判定と、第2の判定と、第3の判定と、を比較して、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼106についての判定を行うことは、第2の判定に対する第1の判定の標準偏差を判定すること、第2の判定に対する第1の判定の標準偏差を判定すること、又は第3の判定に対する第2の判定の標準偏差を判定することのうち1つ又は2つ以上を含むことができ、判定された標準偏差は、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼106についての判定を示す。反射したアンビエント光に基づく被験体の眼106について行われた判定は、乱視の有無であり得る。検出された場合、乱視の大きさは、全体の強度と、瞳孔の多様な領域の第1の色の相対強度又は第2の色の相対強度とを比較することによって判定することができる。例えば、本明細書に記載のとおり、装置100を使用して、瞳孔の多様な領域における遠視又は近視のうち1つ又は2つ以上を測定することにより、眼106の中に存在する乱視の大きさを判定することができる。
【0044】
図2Dを再び参照して、以下の例を検討する。近視(Ex:-2.00)であるが乱視ではない患者の瞳孔(白色破線の全円)220の中央領域上で、本明細書に記載された方法及び装置を使用して、眼の判定を行った場合、-2.00の値はまた、90度(実線正方形)222及び0度(破線正方形)224におけるサブ領域においても得られると考えられる。乱視の場合、-2.00の屈折異常が得られ、瞳孔の全瞳孔中央領域(白色破線の全円)210が本明細書に記載された方法及び装置を使用して分析された場合であるが、90度でのサブ領域(実線正方形)222が-1.00の屈折異常を有すると分析及び判定され、0度でのサブ領域(破線正方形)224が-3.00の屈折異常を有すると分析及び判定された場合、標準偏差は、サブ領域222、224がそれぞれ-1.00、-3.00である乱視の場合、高くなると考えられる。このように、補正レンズの処方はまた、中央瞳孔領域220に対する全体的な-2.00ではなく、これらの2つのサブ領域222、224において-1.00、-3.00である必要がある。これらの数はまた、単なる一例に過ぎない。これらは、正、負、又はこの両方(それぞれ別)であると考えられる。また、多くのサブ領域を評価して、眼についての判定を行うことができる。本例において、2つのサブ領域は90度及び0度であるが、これらは、瞳孔210の任意の場所であってもよい。
【0045】
本明細書に記載のとおり、装置100又は画像撮像デバイス102は、画像208を撮像中、被験体の眼106の角膜及び水晶体からの無関係な反射を処理することができる。かかる無関係な反射は、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定に影響を与える場合がある。無関係な反射を処理することは、例えば、
図2Eに示すように、偏光フィルタ214の使用を含むことができ、眼106からの無関係な反射216は、画像208を撮像する際に、画像撮像デバイス102のレンズ上か、又は画像撮像デバイス102と被験者の眼106との間に偏光フィルタ214を置くことによって、画像208を撮像中、処理される。
【0046】
更に他の態様において、
図2Fに示すように、装置100は、表面218を更に含むことができ、眼106からの無関係な反射216は、画像208を撮像中、処理され、表面218は、画像208を撮像中、光を吸収し、眼106からの無関係な反射216を防止する。例えば、画像208を取得する際、画像撮像デバイス102を備える装置100は、眼106に近接して置かれ、無関係な反射216を最小化し、発生する反射は表面218によって吸収されるか又は防止される。例えば、画像撮像デバイス102を備える装置100を、画像208を撮像中、眼106からおよそ4~10cm離れて配置することができるか、又は画像撮像デバイス102を備える装置100を、画像208を撮像中、眼106からおよそ8~9cm離れて配置することができる。表面218は、例えば、アンビエント光の吸収及び無関係な反射の防止を容易にするブラックマット加工を有する表面を含むことができる。表面218は、画像撮像デバイス102又は装置100の一部を含むことができ、画像撮像デバイス102又は装置100の少なくとも一部を収容することができるケースを含む。例えば、画像撮像デバイス102は、カメラを有するスマートフォン又は他の携帯型コンピューティングデバイスの少なくとも一部を含むことができ、表面218は、カメラを有するスマートフォン又は他の携帯型コンピューティングデバイスを収容するケースの少なくとも一部であってもよい。
【0047】
この開示は、例えば、およそ2mm以下などの瞳孔の平均直径より小さい眼において眼106についての判定を行うために使用することができる装置を想到している。これは、広い瞳孔の直径上の反射光の勾配を評価することが必要な多くのフォトレフラクターにとって現在、課題であり、明るく照らされた室内又は小さい瞳孔を有する年配の患者にはさほど有用ではない。更に、本明細書に記載される装置の実施形態は、小さめの瞳孔を正確に測定することができるこの測定において瞳孔の中心領域内だけの反射光をモニタすることができる。
【0048】
更に、本明細書に記載される装置の実施形態は、自然瞳孔又は人工瞳孔における反射光をモニタすることができる。眼の中に何も置くことなくレンズと開口を組み合わせることによって、眼に対して光学的に人工瞳孔、すなわち、第2の瞳孔を生成することができる。視覚科学者は、人工瞳孔を作製することによって、すべての被験体に同一の瞳孔サイズを付与することが所望される実験中に、いわゆる、マクスウェル視を通常は生成する。人工瞳孔は、眼の前に開口を配置することによって、光学的に作製されるか、又は物理的に作製されると考えられる。
【0049】
代替的に又は任意選択的に、本明細書に記載されたような装置100を使用して、被験体の左眼又は右眼を判定することができる。同様に、これを使用して、被験体の左眼及び右眼を判定することができる。
【0050】
図1に図示されていないが、装置100は、任意選択的に、露出計又はアンビエント照明レベルを測定するための任意の他の機構を備えることができる。露出計は、アンビエント光条件があまりにも低く、反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼の画像を装置100が撮像することができない場合、アンビエント光条件の強度を検出し、指標を提供することができる。他の態様において、露出計は、アンビエント照明条件を測定することができ、かかる測定値を使用して、画像を調節し、その結果、回帰分析を使用して屈折異常の算出を調節することができる。
【0051】
本明細書に記載された論理動作がソフトウェアにおいて実行される場合、プロセスは、任意の種類のコンピューティングアーキテクチャ又はプラットフォーム上で実行することができる。
図3に図示されるように、かかるコンピューティングデバイス300は、上述のコンピューティングデバイス110と同一であり、コンピューティングデバイス110に対して代替的に使用することができる。例えば、
図3を参照して、本発明の実施形態を実施することができる例示的なコンピューティングデバイス300が図示されている。コンピューティングデバイス300は、任意選択的に、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話などの携帯型コンピューティングデバイスであってもよい。コンピューティングデバイス300は、コンピューティングデバイス300の多様な構成要素間で情報を伝達するためのバス又は他の通信機構を備えることができる。最も基本的な構成において、コンピューティングデバイス300は、典型的には、少なくとも1つの処理部306及びシステムメモリ304を備える。正確な構成及び正確な種類のコンピューティングデバイスに応じて、システムメモリ304は、(ランダムアクセスメモリ(RAM)などの)揮発性であってもよく、(読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどの)非揮発性又は二者のある組み合わせであってもよい。この最も基本的な構成は、
図3に破線302によって図示されている。処理部306は、コンピューティングデバイス300の動作に対して必要な算術演算及び論理演算を行う標準的なプログラマブルプロセッサであってもよい。
【0052】
コンピューティングデバイス300は、更なる機構/機能性を有することができる。例えば、コンピューティングデバイス300は、磁気又は光ディスク若しくはテープを含むがこれらに限定されないリムーバブルストレージ308及び非リムーバブルストレージ310などの更なるストレージを備えることができる。コンピューティングデバイス300はまた、デバイスが他のデバイスと通信することができる(複数の)ネットワーク接続316を含有することができる。コンピューティングデバイス300はまた、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどの(複数の)入力デバイス314を有することができる。ディスプレイ、スピーカ、プリンターなどの(複数の)出力デバイス312もまた備えることができる。コンピューティングデバイス300の部品間のデータの通信を容易にするために、更なるデバイスをバスに接続することができる。これらのすべてのデバイスは、当該技術分野において周知であり、ここで詳細に記載する必要はない。
【0053】
有形、コンピュータ可読媒体においてコード化されたプログラムコードを実行するように処理部306を設定することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピューティングデバイス300(すなわち、マシン)を特定の様式で動作させるデータを提供することができる任意の媒体を指す。多様なコンピュータ可読媒体を利用して、処理部306に実行するための指示を提供することができる。コンピュータ可読媒体の共通の形態としては、例えば、コンピュータが読み取ることができる、磁気媒体、光学媒体、物理媒体、メモリチップ若しくはカートリッジ、又は任意の他の非一時的媒体を挙げることができる。例示的なコンピュータ可読媒体としては、揮発性媒体、非揮発性媒体及び伝送媒体が挙げられるが、これらに限定されない。揮発性媒体及び非揮発性媒体は、コンピュータ可読指示、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報のストレージのための任意の方法又は技術において実施することができ、共通の形態は以下に詳細に記載されている。伝送媒体としては、同軸ケーブル、銅線及び/又は光ファイバケーブル、並びに電波通信、赤外線データ通信中に生成されるものなどの弾性波又は光波などを挙げることができる。例示的な有形コンピュータ可読記録媒体としては、集積回路(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ又は特定用途向けIC)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、ホログラフィックストレージ媒体、ソリッドステートデバイス、RAM、ROM、電気的に書き換え可能なプログラム読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気ストレージデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
例示的な実施において、処理部306は、システムメモリ304内に格納されたプログラムコードを実行することができる。例えば、バスは、システムメモリ304へデータを運ぶことができ、処理部306は、データからの指示を受信及び実行する。システムメモリ304によって受信されたデータは、任意選択的にリムーバブルストレージ308に格納されるか、又処理部306による実行前又は実行後に非リムーバブルストレージ310に格納され得る。
【0055】
コンピューティングデバイス300は典型的には、多様なコンピュータ可読媒体を備える。コンピュータ可読媒体は、デバイス300によってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよく、揮発性及び非揮発性媒体、リムーバブル及び非リムーバブル媒体を含む。コンピュータストレージ媒体としては、コンピュータ可読指示、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報のストレージのための任意の方法又は技術において実施される揮発性及び非揮発性媒体、リムーバブル及び非リムーバブル媒体が挙げられる。システムメモリ304、リムーバブルストレージ308、及び非リムーバブルストレージ310はすべて、コンピュータストレージ媒体の例である。コンピュータストレージ媒体としては、RAM、ROM、電気的に書き換え可能なプログラム読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージデバイス、又は所望の情報を格納するために使用され、コンピューティングデバイス300によってアクセス可能な任意の他の媒体が挙げられるが、これらに限定されない。任意のかかるコンピュータストレージ媒体は、コンピューティングデバイス300の一部であってもよい。
【0056】
本明細書に記載された多様な手法がハードウェア若しくはソフトウェア又は適宜これらの組み合わせと関連して実施することができることを理解されたい。このように、現在開示されている主題の方法及び装置又はある態様若しくはこれらの一部は、フロッピーディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、又は任意の他の機械可読ストレージ媒体などの有形媒体に統合されたプログラムコード(すなわち、指示)の形態をとることができる。プログラムコードがコンピューティングデバイスなどのマシンにロードされ、マシンによって実行される場合、マシンは、現在開示されている主題を実践するための装置となる。プログラマブルコンピュータ上でプログラムコードを実行する場合、コンピューティングデバイスは、概ね、プロセッサ、(揮発性及び非揮発性メモリ及び/又はストレージ要素を含む)プロセッサによって読み取り可能なストレージ媒体、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスを備える。1つ又は2つ以上のプログラムは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、再利用可能な制御(reusable control)などの使用によって、現在開示されている主題に関連して記載されているプロセスを実施又は利用することができる。かかるプログラムは、高水準手続き型プログラミング言語又はオブジェクト指向プログラミング言語で実施されて、コンピュータシステムと通信することができる。しかしながら、所望の場合、(複数の)プログラムは、アセンブリ言語又はマシン言語で実施することができる。任意の場合、言語は、コンパイラ型言語又はインタプリト型言語であってもよく、ハードウェアの実装と組み合わせることができる。
【0057】
本明細書に記載されたアンビエント照明条件において、眼についての判定を行う手法は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ又は携帯電話などの携帯型コンピューティングデバイスによって任意選択的に実施することができる。したがって、携帯型コンピューティングデバイスは、従来のデバイスと比較して非常に小さく、非常に可搬性であるので、必要な場所ならどこでも携帯型コンピューティングデバイスを使用することができる。多くの従来のデバイスは、この試験中、被験体にただ前を真っ直ぐに見ることを要求する顎当てを有する。従来のデバイスとは異なり、携帯型コンピューティングデバイスは、被験体の頭部に対して任意の位置に配置することができ、任意の位置において、眼をまだ尚見ることができ、測定を行うことができる。
【0058】
多様な図に関して本明細書に記載された論理演算は、(1)一連のコンピュータ実施行動又はコンピューティングデバイス上で稼働しているプログラムモジュール(すなわち、ソフトウェア)として、(2)コンピューティングデバイス内の相互接続しているマシン論理回路又は回路モジュール(すなわち、ハードウェア)として、かつ/又は(3)コンピューティングデバイスのソフトウェア及びハードウェアの組み合わせとして、実施することができることを理解されたい。このように、本明細書において検討された論理演算は、任意の特定のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせに限定されるわけではない。実施は、コンピューティングデバイスの性能及び他の要件に依存する選択の問題である。したがって、本明細書に記載された論理演算は、演算、構造的デバイス、行動、又はモジュールと多様に称される。これらの演算、構造的デバイス、行動、及びモジュールは、ソフトウェアにおいて、ファームウエアにおいて、専用デジタル論理において、これらの任意の組み合わせにおいて、実施することができる。演算は、図示され、本明細書に記載される演算よりも多く又は少なく行われる場合があることを理解されたい。これらの演算はまた、本明細書に記載された順番とは異なる順番で行われてもよい。
【0059】
図4は、眼の外に反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行うための例示的な方法を示す図である。本方法は、コンピューティングデバイスを使用して、被験体の眼の網膜から被験体の眼の外に反射したアンビエント光を検出する工程402と、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての判定を行う工程404と、を含む。
【0060】
反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての判定を行うことは、反射したアンビエント光の一態様に少なくとも部分的に基づいて判定を行うことを含む。態様は、眼の画像の全体の明度(輝度)及び反射したアンビエント光の1つ又は2つ以上の色の強度に少なくとも部分的に基づいて判定を行うことを含むことができる。被験体の眼についての判定が屈折異常を含み、屈折異常は、回帰分析によって開発された式によって判定されるある非限定的な例を検討する。例示的な式は、アンビエント光のレベル(「LuminanceAmbient」)を制御しながら、アンビエント光のみを使用して撮像された画像からの瞳孔の全体の明度(「LuminancePupil」)、画像における瞳孔からの1つ又は2つ以上の画素からの青の強度(「BluePixel」)、画像における瞳孔からの1つ又は2つ以上の画素における赤の強度(「RedPixel」)、及びに画像における瞳孔からの1つ又は2つ以上の画素における緑の強度(「GreenPixel」)を検討する。例示的な式は、屈折異常=-36.47+(-638.37*RedPixel)+(-1807.2*GreenPixel)+(-333.64*BluePixel)+(2156.5*LuminancePupil)+(183.0*LuminanceAmbient)m+(890.2*GreenPixel*LuminanceAmbient)+(-4895.0*RedPixel*RedPixel)+(-8457.1*GreenPixel*GreenPixel)+(-1711.4*BluePixel*BluePixel)+(1592.8*LuminancePupil*LuminancePupil)+(-178.7*LuminanceAmbient*LuminanceAmbient)を含み、眼の計画屈折異常に測定値を適合させるために、R2は、およそ0.78である。これは、眼についての判定を行うための式の単なる一例であり、他の式が本開示の範囲において想到されることを理解されたい。
【0061】
図4に記載された方法に戻り参照して、被験体の眼の網膜から被験体の眼の外に反射するアンビエント光を検出することは、画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像することであって、画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、被験体の眼からの無関係な反射は、画像を撮像中、処理される、ことと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から光の全体の強度を判定することと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素からの第1の色の第1の強度を判定することと、コンピューティングデバイスを使用して、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素からの第2の色の第2の強度を判定することと、コンピューティングデバイスにより、第1の色の相対強度と第2の色の相対強度とを比較することであって、比較及び全体の強度を使用して、反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての判定を行うことと、を更に含んでもよい。例えば、第1の色の強度が第2の色の強度と比べて明るく、全体の強度が相対的により明るい場合、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、正の値、すなわち、遠視を含む。逆に、第1の色の強度が第2の色の強度と比べて薄暗く、全体的な画素の強度が相対的により薄暗い場合、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、負の値、すなわち、近視を含む。第1の色は、赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを含み、第2の色は、赤、緑、及び青のうち任意の1つ又は任意の組み合わせを含むことができる。
【0062】
図4の方法において、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、代替的に又は任意選択的に自動屈折検査測定又は光屈折検査測定を含むことができる。画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像することは、被験体が眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用している状態で、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを介して、アンビエント照明条件のみを使用して、画像撮像デバイスで第1の画像を撮像することと、被験体が眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用していない状態で、アンビエント照明条件のみを使用して、画像撮像デバイスで第2の画像を撮像することと、を含んでもよく、第1の画像における反射したアンビエント光の態様は、第2の画像における反射したアンビエント光の態様と比較することができ、反射したアンビエントに基づく被験体の眼についての判定は、その比較に基づいており、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズの推定処方を含む。
【0063】
図4に示される方法は、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の一部の中に位置する第1の複数の画素からの反射したアンビエント光に基づいて、被験体の眼についての第1の判定を行うことと、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の一部の中に位置する第2の複数の画素から第2の判定を行うことであって、第2の複数の画素は、第1の複数の画素のサブセットである、ことと、画像内に撮像された被験体の眼の瞳孔の一部の中に位置する第3の複数の画素から第3の判定を行うことであって、第3の複数の画素は、第1の複数の画素のサブセットであり、第2の複数の画素とは別個である、ことと、第1の判定と、第2の判定と、第3の判定と、を比較して、反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行うことと、を更に含んでもよい。第1の判定と、第2の判定と、第3の判定と、を比較して、反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行うことは、第2の判定に対する第1の判定の標準偏差を判定すること、第2の判定に対する第1の判定の標準偏差を判定すること、又は第3の判定に対する第2の判定の標準偏差を判定することのうちの1つ又は2つ以上を含んでもよく、判定された標準偏差は、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定を示す。例えば、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、乱視の有無であってもよい。乱視の存在が検出された場合、乱視の大きさは、全体の強度と、瞳孔の多様な領域の第1の色の相対強度又は第2の色の相対強度とを比較することによって判定してもよい。瞳孔の多様な領域のかかる測定は、瞳孔の多様な領域における遠視又は近視のうち1つ又は2つ以上を測定することを含むことができる。
【0064】
上記のとおり、
図4の方法は、画像を撮像中、被験体の眼の角膜又は水晶体からの反射を処理することを含むことができる、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することを含む。例えば、偏光フィルタを、画像撮像デバイスのレンズの上又は画像撮像デバイスと被験体の眼との間に配置することができる。画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することはまた、眼の角膜表面又は眼の水晶体からの反射をもたらすであろう光を遮断することを含んでもよい。例えば、画像を撮像中、光を吸収するか、又は眼からの無関係な反射を防止する表面を提供することができる。一態様において、表面は、黒色のマット仕上げが施されていてもよい。多様な態様において、表面は、画像撮像デバイスの一部又は画像撮像デバイスを収容するケースの少なくとも一部分を含んでいてもよい。
【0065】
図5は、眼の外に反射したアンビエント光に基づいて被験体の眼についての判定を行うための例示的な代替方法を示す図である。本方法は、画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像する工程502であって、前記画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、被験体の眼の角膜及び水晶体からの無関係な反射は、画像を撮像中、処理される、工程502を含む。工程504において、赤の平均強度は、画像において撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から判定することができる。工程506において、青の平均強度は、画像において撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から判定することができる。工程508において、全体の強度は、画像において撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から判定することができ、工程510において、赤の平均強度と青の平均強度とを比較し、比較及び判定された全体の強度を使用して、眼の光学特性を判定する。
【0066】
図5の方法において、反射したアンビエント光に基づく被験体の眼についての判定は、代替的に又は任意選択的に自動屈折検査測定又は光屈折検査測定を含むことができる。画像撮像デバイスを使用して、被験体の眼の画像を撮像することは、被験体が眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用している状態で、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを介して、アンビエント照明条件のみを使用して、画像撮像デバイスで第1の画像を撮像することと、被験体が眼の上に眼鏡レンズ又はコンタクトレンズを装用していない状態で、アンビエント照明条件のみを使用して、画像撮像デバイスで第2の画像を取り込むことと、を含んでもよく、第1の画像における反射したアンビエント光の態様は、第2の画像における反射したアンビエント光の態様と比較することができ、反射したアンビエントに基づく被験体の眼についての判定は、その比較に基づいており、眼鏡レンズ又はコンタクトレンズの推定処方を含む。
【0067】
図5に示す方法は、乱視の有無を判定することを更に含むことができる。乱視の存在が示された場合、乱視の大きさは、瞳孔の多様な領域の光学特性測定値を比較することによって判定することができる。瞳孔の多様な領域のかかる光学特性測定値は、瞳孔の多様な領域における遠視又は近視のうち1つ又は2つ以上を測定することを含むことができる。
【0068】
上記のとおり、
図5の方法は、画像を撮像中、被験体の眼の角膜又は水晶体からの反射を処理することを含むことができる、画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することを含む。例えば、偏光フィルタを、画像撮像デバイスのレンズの上又は画像撮像デバイスと被験体の眼との間に配置することができる。画像を撮像中、眼からの無関係な反射を処理することはまた、眼の角膜表面又は眼の水晶体からの反射をもたらすであろう光を遮断することを含んでもよい。例えば、画像を撮像中、光を吸収するか、又は眼からの無関係な反射を防止する表面を提供することができる。一態様において、表面は、黒色のマット仕上げが施されていてもよい。多様な態様において、表面は、画像撮像デバイスの一部又は画像撮像デバイスを収容するケースの少なくとも一部分を含んでいてもよい。
【0069】
本明細書において使用する場合、被験体の眼の少なくとも一方は、被験体の左眼又は右眼であり得る。あるいは、被験体の眼の少なくとも一方は、被験体の左眼又は右眼であり得る。本開示は、被験体の左眼及び右眼に基づく光学特性が同一か又は異なり得ることを想到している。
【0070】
主題が構造的特徴及び/又は方法的行為に特有な文言で記載されているが、添付の特許請求の範囲に規定された主題は、必ずしも上述の特定の特徴及び行為に限定されるわけではないことを理解されたい。むしろ、上述の特定の特徴及び行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
【符号の説明】
【0071】
100 装置
102 画像撮像デバイス
104 プロセッサ
106 眼
108 メモリ
110 コンピューティングデバイス
202 アンビエント光
206 網膜
210 瞳孔
212 眼鏡レンズ又はコンタクトレンズ
214 偏光フィルタ
220 中央瞳孔領域
224 サブ領域
300 コンピューティングデバイス
304 システムメモリ
306 処理部
308 リムーバブルストレージ
310 非リムーバブルストレージ
312 出力デバイス
314 入力デバイス
【手続補正書】
【提出日】2022-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスを使用して、被験体の眼の1つまたは複数の画像を受信するステップであって、前記1つまたは複数の画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、前記被験体の前記眼の角膜および水晶体からの無関係な反射は、前記1つまたは複数の画像の撮像中に処理される、ステップと、
前記コンピューティングデバイスを使用して、
前記1つまたは複数の画像のうちの少なくとも1つに撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から光の全体の強度であって、前記複数の画素は、赤色の画素、緑色の画素、青色の画素を含む、光の全体の強度と、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された前記瞳孔の少なくとも一部の中に位置する前記複数の画素から赤色の平均強度と、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する前記複数の画素から青色の平均強度と
を判定するステップと、
前記赤色の平均強度、前記青色の平均強度、および判定された全体の強度を使用して、前記眼の光学特性を判定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記眼の前記判定された光学特性が自動屈折検査測定または光屈折検査測定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記眼の前記判定された光学特性または前記眼の前記光学特性についての情報が、前記コンピューティングデバイスに表示されるか、そうでなければ前記コンピューティングデバイスのユーザに提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記赤色の平均強度が前記青色の平均強度と比べて明るく、前記全体の強度が相対的により明るく、前記眼の前記判定された光学特性が正の値、すなわち遠視である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記赤色の平均強度が前記青色の平均強度と比べて薄暗く、前記全体の強度が相対的により薄暗く、前記眼の前記判定された光学特性が負の値、すなわち近視である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記コンピューティングデバイスが、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された前記被験体の前記眼の前記瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第1の複数の画素からの前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の前記眼についての第1の判定された光学特性を作成するステップと、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された前記被験体の前記眼の前記瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第2の複数の画素から前記眼についての第2の判定された光学特性を作成するステップであって、前記第2の複数の画素が前記第1の複数の画素のサブセットである、ステップと、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された前記被験体の前記眼の前記瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第3の複数の画素から前記眼についての第3の判定された光学特性を作成するステップであって、前記第3の複数の画素が前記第1の複数の画素のサブセットであり、かつ前記第2の複数の画素とは別個である、ステップと、
前記反射したアンビエント光に基づいて前記被験体の前記眼について前記判定された光学特性を作成するために前記第1の判定された光学特性、前記第2の判定された光学特性、および前記第3の判定された光学特性を比較するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピューティンググデバイスが前記反射したアンビエント光に基づいて前記被験体の前記眼について前記判定を行うために前記判定された光学特性、前記第2の判定された光学特性、および前記第3の判定された光学特性を比較するステップが、前記第2の判定に対する前記第1の判定の標準偏差を判定すること、前記第2の判定された光学特性に対する前記第1の判定の標準偏差を判定すること、または前記第3の判定された光学特性に対する前記第2の判定された光学特性の標準偏差を判定することのうち1つまたは2つ以上を含み、前記判定された標準偏差が、前記反射したアンビエント光に基づく前記被験体の前記眼の前記判定された光学特性を示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記眼の前記判定された光学特性は、乱視の有無である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記乱視の存在が検出され、乱視の大きさが前記全体の強度と、前記瞳孔の多様な領域の前記赤色の平均強度あるいは前記青色の平均強度とを比較することによって判定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記乱視の大きさは、前記瞳孔の多様な領域における遠視または近視のうち1つ以上を測定することにより判定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数の画像の撮像中に前記被験体の前記眼の角膜および水晶体からの無関係な反射を処理するステップが、前記眼の角膜の表面または水晶体からの反射をもたらすであろう光を防止するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
システムであって、
少なくともプロセッサを備えるコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスが、被験体の眼の1つまたは複数の画像を受信し、前記1つまたは複数の画像は、アンビエント照明条件のみを使用して撮像され、前記被験体の前記眼の角膜および水晶体からの無関係な反射は、前記1つまたは複数の画像の撮像中に処理され、
前記コンピューティングデバイスが、
前記1つまたは複数の画像のうちの少なくとも1つに撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する複数の画素から光の全体の強度であって、前記複数の画素は、赤色の画素、緑色の画素、青色の画素を含む、光の全体の強度と、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された前記瞳孔の少なくとも一部の中に位置する前記複数の画素から赤色の平均強度と、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された瞳孔の少なくとも一部の中に位置する前記複数の画素から青色の平均強度と
を判定し、
前記赤色の平均強度、前記青色の平均強度、および判定された全体の強度を使用して、前記眼の光学特性を判定する、
システム。
【請求項13】
前記眼の前記判定された光学特性が自動屈折検査測定または光屈折検査測定を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コンピューティングデバイスがディスプレイをさらに備え、前記眼の前記判定された光学特性または前記眼の前記光学特性についての情報が、前記コンピューティングデバイスに表示されるか、そうでなければ前記コンピューティングデバイスのユーザに提供される、または前記コンピューティングデバイスを使用して前記被験体に提供される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記赤色の平均強度が前記青色の平均強度と比べて明るく、前記全体の強度が相対的により明るく、前記眼の前記判定された光学特性が正の値、すなわち遠視である、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記赤色の平均強度が前記青色の平均強度と比べて薄暗く、前記全体の強度が相対的により薄暗く、前記眼の前記判定された光学特性が負の値、すなわち近視である、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記コンピューティングデバイスが、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された前記被験体の前記眼の前記瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第1の複数の画素からの前記反射したアンビエント光に基づいて、前記被験体の前記眼についての第1の判定された光学特性を作成するステップと、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された前記被験体の前記眼の前記瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第2の複数の画素から前記眼についての第2の判定された光学特性を作成するステップであって、前記第2の複数の画素が前記第1の複数の画素のサブセットである、ステップと、
前記1つまたは複数の画像のうちの前記少なくとも1つに撮像された前記被験体の前記眼の前記瞳孔の少なくとも一部の中に位置する第3の複数の画素から前記眼についての第3の判定された光学特性を作成するステップであって、前記第3の複数の画素が前記第1の複数の画素のサブセットであり、かつ前記第2の複数の画素とは別個である、ステップと、
前記反射したアンビエント光に基づいて前記被験体の前記眼について前記判定された光学特性を作成するために前記第1の判定された光学特性、前記第2の判定された光学特性、および前記第3の判定された光学特性を比較するステップと、
をさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記コンピューティングデバイスが前記反射したアンビエント光に基づいて前記被験体の前記眼について前記判定を行うために前記判定された光学特性、前記第2の判定された光学特性、および前記第3の判定された光学特性を比較するステップが、前記第2の判定に対する前記第1の判定の標準偏差を判定すること、前記第2の判定された光学特性に対する前記第1の判定の標準偏差を判定すること、または前記第3の判定された光学特性に対する前記第2の判定された光学特性の標準偏差を判定することのうち1つまたは2つ以上を含み、前記判定された標準偏差が、前記反射したアンビエント光に基づく前記被験体の前記眼の前記判定された光学特性を示す、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記眼の前記判定された光学特性は、乱視の有無である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記乱視の存在が検出され、乱視の大きさが前記全体の強度と、前記瞳孔の多様な領域の前記赤色の平均強度あるいは前記青色の平均強度とを比較することによって判定される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記乱視の大きさは、前記瞳孔の多様な領域における遠視または近視のうち1つ以上を測定することにより判定される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つまたは複数の画像の撮像中に前記被験体の前記眼の角膜および水晶体からの無関係な反射を処理するステップが、前記眼の角膜の表面または水晶体からの反射をもたらすであろう光を防止するステップを含む、請求項12に記載のシステム。
【外国語明細書】