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特開2023-22153セルロースエステルと耐衝撃性改良剤の組成物及びこれらの組成物を用いて製造される物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022153
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】セルロースエステルと耐衝撃性改良剤の組成物及びこれらの組成物を用いて製造される物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 1/10 20060101AFI20230207BHJP
   C08K 5/10 20060101ALI20230207BHJP
   C08L 51/04 20060101ALI20230207BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230207BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C08L1/10
C08K5/10
C08L51/04
C08J5/18 CEP
C08J5/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187037
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2019524942の分割
【原出願日】2017-11-09
(31)【優先権主張番号】62/505,261
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/513,467
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/420,989
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ウェンライ
(72)【発明者】
【氏名】ペコリーニ,トーマス・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ドネルソン,マイケル・ユージン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ハイニン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い熱変形温度(HDT)を有する、溶融加工可能なセルロースエステル組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種類のセルロースエステル、及び少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、並びに場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。セルロースエステル組成物を製造する方法、並びに眼鏡フレーム、自動車部品、及び玩具のようなこれらの組成物を用いて製造される物品も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースエステル組成物であって、前記組成物の全重量を基準として55~99重量%の少なくとも1種類のセルロースエステル、1~30重量%の少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、及び0~15重量%の少なくとも1種類の可塑剤を含み、前記組成物は、95℃より高いHDT値、及びASTM-D256にしたがって、厚さ3.2mmの棒材について23℃において、棒材を230℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後に測定して80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有する上記セルロースエステル組成物。
【請求項2】
前記組成物が、70~99重量%の前記セルロースエステル、1~15重量%の前記耐衝撃性改良剤、及び0~15重量%の前記可塑剤を含む、請求項1に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項3】
前記組成物が、70~99重量%の前記セルロースエステル、1~30重量%の前記耐衝撃性改良剤を含み、可塑剤を含まない、請求項1に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項4】
前記組成物が、85~99重量%の前記セルロースエステル、1~15重量%の前記耐衝撃性改良剤を含み、可塑剤を含まない、請求項3に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項5】
前記セルロースエステルが、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)の1以上から選択される、請求項1~4のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項6】
前記セルロースエステルがセルロースアセテートプロピオネート(CAP)又はセルロースアセテートブチレート(CAB)から選択され、前記組成物が0乃至2重量%未満の可塑剤を含む、請求項1~2のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項7】
前記CAP又はCABが15000~300000の絶対重量平均分子量を有する、請求項6に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項8】
前記CAP又はCABが70000~120000の絶対重量平均分子量を有する、請求項6に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項9】
前記組成物が、ホスフェート可塑剤、ベンゾエート可塑剤、アジペート可塑剤、フタレート可塑剤、グリコール酸エステル可塑剤、カーボネート可塑剤、クエン酸エステル可塑剤、及びヒドロキシル官能性可塑剤、又は固体の非結晶質樹脂可塑剤、或いはこれらの組合せからなる群から選択される可塑剤を含む、請求項1~8のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項10】
前記耐衝撃性改良剤がコア-シェル型の耐衝撃性改良剤である、請求項1~9のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項11】
前記耐衝撃性改良剤が、アクリルコア-シェル型耐衝撃性改良剤、ABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤、又はMBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤から選択される、請求項1~10のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項12】
前記耐衝撃性改良剤が1.46~1.50の屈折率を有する、請求項1~11のいずれ
かに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項13】
前記耐衝撃性改良剤が0.01~2.0μmの粒径を有する、請求項1~12のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項14】
熱可塑性で溶融加工可能なセルロースエステル組成物であって、
70~99重量%の、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)の1以上を含むセルロースエステル;
0乃至2重量%未満の可塑剤;及び
1~15重量%の、0.01~2.0μmの粒径を有するコア-シェル型耐衝撃性改良剤;
を含み;
前記組成物は、95℃より高いHDT値、ASTM-D256にしたがって厚さ3.2mmの棒材について23℃において測定して80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び400rad/秒及び240℃において10,000P以下の粘度を有する上記組成物。
【請求項15】
前記耐衝撃性改良剤が非反応性の耐衝撃性改良剤である、請求項14に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項16】
前記耐衝撃性改良剤が反応性の耐衝撃性改良剤である、請求項14に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項17】
前記組成物が、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、静電防止剤、増白剤、着色剤、可塑剤、無機物、UV安定剤、滑剤、成核剤、強化フィラー、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、染料、顔料、着色剤、更なる樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、請求項1~13のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項18】
請求項1~13のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含み、前記組成物が少なくとも150J/mのノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する製造物品。
【請求項19】
前記製造物品が射出成形によって形成される、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
請求項1~13のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含むフィルム又はシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、セルロースエステル化学の分野、特に耐衝撃性改良剤及び場合によっては可塑剤を含むセルロースエステルに属する。本発明はまた、少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物の分野にも属する。また、これらのセルロースエステル組成物を製造する方法、並びに眼鏡フレーム、自動車部品、及び玩具のようなこれらの組成物を用いて製造されるプラスチック物品も提供される。
【背景技術】
【0002】
[0002]セルロースアセテート組成物は、通常は90℃未満の熱変形温度(HDT)を有する。物品の熱成形において用いられる商業的に入手できるセルロースエステルは、通常は、加工を可能にし、成形物品に十分な靱性を与えるために相当量の可塑剤を含む。しかしながら、可塑剤を加えることは、これによってHDTがベースのセルロースエステルと比べて低下し、セルロースエステル材料の使用が約90℃より低いHDTを受け入れることができる用途に限定されるので欠点を有している。また、セルロースエステル成形物品は、使用中に可塑剤の滲出を起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる欠点を有しない溶融加工可能なセルロースエステル組成物を提供することができれば有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0003]驚くべきことに、95℃を超えるHDTを有するセルロースエステルの組成物を製造することができることが見出された。本発明の幾つかの態様においては、これは、可塑剤の量を減少させることによって、そして幾つかの態様においては組成物中における可塑剤の使用を完全に排除することによって達成することができる。可塑剤を排除することによって、使用中の可塑剤の滲出に関連する一般的な問題を排除することができる。しかしながら、可塑剤を減少又は排除すると、これらの高HDTセルロース組成物の靱性が低下する可能性がある。驚くべきことに、耐衝撃性改良剤と呼ばれる特定の材料によって、比較的低いレベル、例えばセルロースエステル組成物の全重量を基準として約2重量%のレベルで加えた場合であっても、高HDTセルロース組成物の靱性を回復することができることが見出された。
【0005】
[0004]幾つかの態様においては、本発明は、セルロースエステル組成物の機械的及び物理的特性を向上させるのに十分な量の耐衝撃性改良剤を小さな離散粒子の形態でセルロースエステル組成物中に分散させることに関する。本発明による耐衝撃性が改良されたセルロースエステルは、溶融加工可能で、商業的に入手できる可塑化セルロースエステル熱可塑性樹脂と比べて相当に高いHDTを有するという独特の特性を有し、高い弾性率、良好な衝撃特性、及び荷重変形に対する良好な抵抗性を有する。
【0006】
[0005]本発明の一態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。
【0007】
[0006]本発明の他の態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なく
とも1種類の耐衝撃性改良剤、及び少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。
【0008】
[0007]本発明の他の態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を接触させること、及びかかる組合せをブレンドすることを含む、セルロースエステル組成物の製造方法が提供される。一態様においては、可塑剤は、セルロースエステル組成物のHDTを、可塑剤を有しない同様の組成物と比べて実質的に低下させない量で存在させる。幾つかの態様においては、HDTは、可塑剤を含む結果として、10%より多く、又は5%より多く、或いは2%より多く変化(例えば減少)しない。
【0009】
[0008]本発明の一態様においては、可塑剤を含まないが、セルロースエステル組成物の全重量を基準として1~30重量%、又は1~15重量%、又は2~10重量%、又は10~30重量%、或いは15~30重量%の耐衝撃性改良剤を含み、95℃より高いHDT値を有し、80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有するセルロースエステル組成物が記載される。
【0010】
[0009]本発明の他の態様においては、可塑剤を含まないが、溶融加工可能なセルロースエステル組成物が提供される。幾つかの態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として1~30重量%、又は1~15重量%、又は2~10重量%、又は10~30重量%、或いは15~30重量%の耐衝撃性改良剤を含み、95℃より高いHDT値、及び80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、並びに240℃において測定して少なくとも15インチのスパイラルフロー値を有する。
【0011】
[0010]本発明の他の態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として2重量%~15重量%の耐衝撃性改良剤を含み、95℃より高いHDT値、及び80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、並びに240℃及び400rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0012】
[0011]他の態様においては、約2~約2.99の範囲の全DS/AGUを有し、アセチルのDS/AGUは約0~約2.2の範囲であり、エステル基の残りはプロピオニル、ブチリル、又はこれらの組合せを含むセルロースエステル組成物が提供される。
【0013】
[0012]本発明の一態様においては、15重量%以下の可塑剤、又は10重量%以下の可塑剤;1~30重量%、又は1~15重量%、或いは2~10重量%の耐衝撃性改良剤;を含み;95℃より高いHDT値を有し、80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有する溶融加工可能なセルロースエステル組成物が記載される。
【0014】
[0013]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物の全重量を基準として15重量%以下の可塑剤又は10重量%以下の可塑剤;セルロースエステル組成物の全重量を基準として1~30重量%、又は1~15重量%、或いは2~10重量%の耐衝撃性改良剤;を含み;95℃より高いHDT値、80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び240℃において測定して少なくとも15インチのスパイラルフロー値を有する溶融加工可能なセルロースエステル組成物が記載される。
【0015】
[0014]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物の全重量を基準として15重量%以下の可塑剤又は10重量%以下の可塑剤;セルロースエステル組成物の全重量を基準として1~30重量%、又は1~15重量%、或いは2~10重量%の耐衝撃性
改良剤;を含み;95℃より高いHDT値、80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、並びに240℃及び400rad/秒において10,000P未満の粘度を有する溶融加工可能なセルロースエステル組成物が記載される。
【0016】
[0015]他の態様においては、上記に記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、場合によっては多少の可塑剤を含む。幾つかの態様においては、可塑剤は、セルロースエステル組成物のHDTを、可塑剤を有しない同様の組成物と比べて実質的に減少させない量で存在させる。幾つかの態様においては、HDTは、可塑剤を含む結果として10%より多く、又は5%より多く、或いは2%より多く変化(例えば減少)しない。
【0017】
[0016]本発明の一態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。一態様においては、セルロースエステルはCAPであり、組成物は0~5重量%、0~2重量%、0乃至2重量%未満、又は0~1重量%の可塑剤を含む。一態様においては、セルロースエステルはCAPであり、可塑剤を含まない。
【0018】
[0017]本発明の他の態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、及び少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、並びに少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。一態様においては、セルロースエステルはCAであり、1~15重量%の可塑剤を含む。幾つかの態様においては、セルロースエステルはCAであり、組成物は1~10重量%、又は1乃至10重量%未満、或いは1~9重量%の可塑剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0018]本発明の一態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。
【0020】
[0019]幾つかの態様においては、本発明において用いるセルロースエステルは当該技術において公知の任意のものであってよい。本発明のために用いることができるセルロースエステルは、一般に構造:
【0021】
【化1】
【0022】
(式中、R、R、及びRは、独立して、水素、又は2~10個の炭素原子を有する直鎖アルカノイルからなる群から選択される)
の繰り返し単位を含む。セルロースエステルに関しては、置換レベルは通常は無水グルコース単位(AGU)あたりの非OH置換基の平均数である置換度(DS)で表される。一般に、従来のセルロースは、置換することができるそれぞれのAGU単位中に3つのヒド
ロキシル基を含み;したがってDSは0~3の間の値を有し得る。しかしながら、低分子量セルロース混合エステルは、末端基の寄与のために3よりも僅かに高い全置換度を有し得る。天然のセルロースは、パルプ化及び精製の後においても250~5,000の重合度を有する大型の多糖であり、したがって最大DSは3.0であるという前提はぼぼ正しい。しかしながら、低分子量のセルロース混合エステルのように重合度が低下するにつれて、多糖骨格の末端基は相対的により有意になり、これにより3.0を超える範囲であり得るDSがもたらされる。低分子量セルロース混合エステルは、本明細書において下記でより詳細に議論する。DSは統計平均値であるので、1の値は全てのAGUが単一の置換基を有することを示している訳ではない。幾つかの場合においては、非置換の無水グルコース単位が存在し、幾つかは2つ、幾つかは3つの置換基を有している可能性があり、通常はこの値は非整数である。全DSは、無水グルコース単位あたりの全部の置換基の平均数として定義される。AGUあたりの置換度はまた、例えばヒドロキシル、アセチル、ブチリル、又はプロピオニルのような特定の置換基を指す場合もある。
【0023】
[0020]幾つかの態様においては、用いるセルロースエステルは、セルローストリエステル又は第2級セルロースエステルであってよい。セルローストリエステルの例としては、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、又はセルローストリブチレートが挙げられるが、これらに限定されない。第2級セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
【0024】
[0021]本発明の一態様においては、セルロースエステルは、セルロースアセテート(CA)、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルロースアセテートイソブチレート(CAIB)など、又はこれらの組合せから選択することができる。かかるセルロースエステルの例は、米国特許1,698,049;1,683,347;1,880,808;1,880,560;1,984,147;2,129,052;及び3,617,201(本明細書中の記述と矛盾しない範囲でそれらの全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、セルロースエステルはCAPである。
【0025】
[0022]本発明の一態様においては、セルロースエステルは、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択することができるが、セルロースアセテート(CA)からは選択されない。
【0026】
[0023]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステルは少なくとも2つの無水グルコース環を有し、少なくとも50乃至5,000以下の間の無水グルコース環を有していてよい。分子あたりの無水グルコース単位の数は、セルロースエステルの重合度(DP)として定義される。幾つかの態様においては、セルロースエステルは、フェノール/テトラクロロエタンの重量基準で60/40の溶液100mL中の0.25グラムの試料に関して25℃の温度で測定して、約0.2~約3.0デシリットル/グラム、又は約0.5~約1.8デシリットル/グラム、或いは約1~約1.5デシリットル/グラムのインヘレント粘度(IV)を有してよい。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの態様においては、本発明において有用なセルロースエステルは、約2~約2.99のDS/AGUを
有していてよく、置換エステルは、アセチル、プロピオニル、及びブチリル、又はこれらの任意の組合せを含んでいてよい。本発明の他の態様においては、全DS/AGUは約2~約2.99の範囲であり、アセチルのDS/AGUは約0~2.2の範囲であり、エステル基の残りは、プロピオニル、ブチリル、又はこれらの組合せを含む。
【0027】
[0024]本発明の他の態様においては、全DS/AGUは約2~約2.99の範囲であり、アセチルのDS/AGUは約0~約1.2の範囲であり、エステル基の残りは、プロピオニル、ブチリル、又はこれらの組合せを含む。本発明の他の態様においては、全DS/AGUは約2~約2.99の範囲であり、アセチルのDS/AGUは約0~0.5の範囲であり、エステル基の残りは、プロピオニル、ブチリル、又はこれらの組合せを含む。
【0028】
[0025]セルロースエステルは、当該技術において公知の任意の方法によって製造することができる。セルロースエステルを製造する方法の例は、Kirk-Othmer, Encyclopedia of
Chemical Technology, 5版, vol.5, Wiley-Interscience, New York (2004), pp.394-444において教示されている。セルロースエステルを製造するための出発物質であるセルロ
ースは、中でもコットンリンター、軟木パルプ、硬木パルプ、トウモロコシ繊維、及び他の農業原料物質、及びバクテリアセルロースなどから異なるグレード及び供給源で得ることができる。
【0029】
[0026]セルロースエステルを製造する1つの方法は、セルロースを適当な有機酸、酸無水物、及び触媒と混合することによるセルロースのエステル化である。セルロースは次に、セルローストリエステルに転化させる。次に、セルローストリエステルに水-酸混合物を加えることによってエステルの加水分解を行い、これを次に濾過してゲル粒子又は繊維を除去することができる。次に、混合物に水を加えてセルロースエステルを沈澱させる。次に、セルロースエステルを水で洗浄して反応副生成物を除去し、次に脱水及び乾燥を行うことができる。
【0030】
[0027]加水分解するセルローストリエステルは、2~10個の炭素原子を有するアルカノイルから独立して選択される3つの置換基を有していてよい。セルローストリエステルの例としては、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、及びセルローストリブチレート、又はセルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートのようなセルロースの混合トリエステルが挙げられる。これらのセルロースエステルは、当業者に公知の数多くの方法によって製造することができる。例えば、セルロースエステルは、セルロースを、カルボン酸と無水物の混合物中において、HSOのような触媒の存在下で不均一アシル化することによって製造することができる。セルローストリエステルはまた、LiCl/DMAc又はLiCl/NMPのような適当な溶媒中に溶解したセルロースの均一アシル化によって製造することもできる。
【0031】
[0028]当業者であれば、セルローストリエステルの商用語は、アシル基によって完全には置換されていないセルロースエステルも包含することを理解する。例えば、Eastman Chemical Company, Kingsport, TN,米国から商業的に入手できるセルローストリアセテートは、通常は約2.85~約2.99のDSを有する。
【0032】
[0029]セルロースをトリエステルにエステル化した後、アシル置換基の一部を加水分解又はアルコリシスによって除去して、第2級セルロースエステルを与えることができる。上述したように、用いる特定の方法によって、アシル置換基の分布はランダム又は非ランダムであり得る。第2級セルロースエステルはまた、限定量のアシル化試薬を用いることによって、加水分解を行わずに直接製造することもできる。このプロセスは、セルロースを溶解する溶媒中で反応を行う場合に特に有用である。これらの方法の全てによって、本発明において有用なセルロースエステルが生成する。
【0033】
[0030]一態様においては、本発明において有用な第2級セルロースエステルは、ASTM-D6474にしたがってゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定して約5,000~約400,000の絶対重量平均分子量(Mw)を有する。CEに関する絶対重量平均分子量の値(Mw)を計算するためには、次の方法を用いる。溶媒はBHT保存料で安定化されたTHFである。THF/セルロースエステル手順のための装置は、次のAgilent 1200シリーズの構成要素;脱気装置、アイソクラティックポンプ、自動サンプラー、カラムオーブン、UV/Vis検出器、及び屈折率検出器から構成される。試験温度は30℃であり、流速は1.0mL/分である。BHT保存料及び10μLのトルエン流速マーカーを有する10mLのTHF中の25mgのセルロースエステルの試料溶液を調製する。注入体積は50μLである。カラムセットは、Polymer Laboratoriesの5μm-PLgel, Guard+Mixed C+Oligoporeである。検出は屈折率による。検量体は、Polymer Laboratoriesからの単分散ポリスチレン標準試料、Mw=580~3,220,000である。ユニバーサル較正パラメーターは次の通り:PS(K=0.0001280及びa=0.7120)並びにCE(K=0.00007572及びa=0.8424)である。上記のユニバーサル較正パラメーターを光散乱及び粘度計によって求めて、正確な重量平均分子量を得る。更なる態様においては、Mwは約15,000~約300,000である。更なる態様においては、Mwは、約10,000~約250,000;約15000~約200000;約20,000~約150,000;約50,000~約150,000;又は約70,000~約120,000の範囲である。
【0034】
[0031]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D5296にしたがって、溶媒としてテトラヒドロフラン及び1mL/分の流速を用いて測定して約40,000Da~約200,000Daの範囲の絶対重量平均分子量を有するセルロースエステルを含む。幾つかの態様においては、セルロースエステルは、ASTM-D5296にしたがって、溶媒としてテトラヒドロフラン及び1mL/分の流速を用いて測定して約50,000Da~約200,000Da、又は50,000Da~約170,000Da、又は50,000Da~約120,000Da、又は50,000Da~約90,000Da、又は60,000Da~約200,000Da、又は60,000Da~約170,000Da、又は60,000Da~約120,000Da、又は60,000Da~約90,000Da、又は90,000Da~約170,000Da、又は90,000Da~約120,000Da、又は120,000Da~約170,000Da、或いは120,000Da~約200,000Daの範囲の絶対重量平均分子量を有する。
【0035】
[0032]最も通常的な商業的第2級セルロースエステルは、まずセルロースを酸接触不均一アシル化してセルローストリエステルを形成することによって製造される。セルローストリエステルの対応するカルボン酸中の均一な溶液が得られた後、セルローストリエステルを次に所望の置換度が得られるまで加水分解にかける。単離した後、ランダムな第2級セルロースエステルが得られる。即ち、それぞれのヒドロキシルにおける相対置換度(RDS)はほぼ同等である。
【0036】
[0033]本発明において有用である可能性があるセルロースエステルの幾つかの例は、当該技術において公知の技術を用いて製造することができ、Eastman Chemical Company, Kingsport, TN,米国から得ることができ、例えばEastman(登録商標)セルロースアセテー
トプロピオネートCAP482-20、Eastman(登録商標)セルロースアセテートプロピオネ
ートCAP141-20、Eastman(登録商標)セルロースアセテートブチレートCAB381-20
、セルロースアセテートブチレートCAB171-15、及びEastman(登録商標)セルロース
アセテートCA398-30である。
【0037】
[0034]幾つかの態様においては、本発明において用いるセルロースエステルはまた、化学官能基を含んでいてもよく、これらは誘導体化、変性、又は官能化セルロースエステルのいずれかとしてここに記載する。官能化セルロースエステルは、セルロースエステルの遊離ヒドロキシル基を、セルロースエステルにグラフトするための1つの連結基、及びセルロースエステルに新しい化学基を与えるための1つの官能基を有する二官能性反応物質と反応させることによって製造することができる。かかる二官能性反応物質の例としては、エステル結合によって連結し、酸官能基を与える無水コハク酸;アルコキシシラン結合によって連結し、メルカプト官能基を与えるメルカプトシラン;及びウレタン結合によって連結し、メタクリレート官能基を与えるイソシアナトエチルメタクリレートが挙げられる。
【0038】
[0035]本発明の一態様においては、官能化セルロースエステルは、セルロースエステルの遊離ヒドロキシル基を、不飽和(二重結合)、カルボン酸、アセトアセテート、アセトアセテートイミド、メルカプト、メラミン、及び長鎖アルキル鎖からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するセルロースエステルを生成する二官能性反応物質と反応させることによって製造される。
【0039】
[0036]不飽和(二重結合)官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許4,839,230;5,741,901;5,871,573;5,981,738;4,147,603;4,758,645;及び4,861,629(これらは全て、本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、不飽和を含むセルロースエステルは、残留ヒドロキシル基を含むセルロースエステルを、アクリル系化合物及びm-イソプロピエニル-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネートと反応させることによって製造される。グラフト化セルロースエステルは、懸垂(メタ)アクリレート及びα-メチルスチレン基を有するウレタン含有生成物である。他の態様においては、不飽和を含むセルロースエステルは、無水マレイン酸とセルロースエステルを、低級アルキルモノカルボン酸のアルカリ土類金属又はアンモニウム塩の触媒、及び2~4個の炭素原子を有する少なくとも1種類の飽和モノカルボン酸の存在下で反応させることによって製造される。他の態様においては、不飽和を含むセルロースエステルは、(a)イソシアネート反応性ヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種類のセルロースポリマーと、(b)少なくとも1種類のヒドロキシル反応性ポリ(α,β-エチレン性不飽和)イソシアネートの反応生成物から製造される。
【0040】
[0037]カルボン酸官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,384,163;5,723,151;及び4,758,645(これらは全て、本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、カルボン酸官能基を含むセルロースエステルは、セルロースエステルとマレイン酸又はフマル酸のモノ又はジエステルを反応させて、それによって二重結合官能基を有するセルロース誘導体を得ることによって製造される。他の態様においては、カルボン酸官能基を含むセルロースエステルは第1及び第2の残基を有し、第1の残基は環状ジカルボン酸無水物の残基であり、第2の残基は親油性モノカルボン酸の残基及び/又は親水性モノカルボン酸の残基である。更に他の態様においては、カルボン酸官能基を含むセルロースエステルはセルロースアセテートフタレートであり、これはセルロースアセテートを無水フタル酸と反応させることによって製造することができる。
【0041】
[0038]アセトアセテート官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,292,877(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、アセトアセテート官能基を含むセルロースエステルは、(i)セルロース;(ii)ジケテン、アルキルアセト
アセテート、2,2,6-トリメチル-4H-1,3-ジオキシン-4-オン、又はこれらの混合物;及び(iii)塩化リチウムと、1-メチル-2-ピロリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、又はこれらの混合物からなる群から選択されるカルボキサミドを含む可溶化量の溶媒系;を接触させることによって製造される。
【0042】
[0039]アセトアセテートイミド官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許6,369,214(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。アセトアセテートイミド官能基を含むセルロースエステルは、セルロースエステル、及び少なくとも1種類のアセトアセチル基、並びに少なくとも1つの第1級アミンを含むアミン官能性化合物の反応生成物である。
【0043】
[0040]メルカプト官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,082,914(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。本発明の一態様においては、セルロースエステルに、商業的に入手できるか、又は当該技術において公知の手順によって製造することができるケイ素含有チオール成分をグラフトする。ケイ素含有チオール化合物の例としては、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)-ジメチル-メトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)ジメトキシメチルシラン、(3-メルカプトプロピル)ジメチルクロロシラン、(3-メルカプトプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)ジエトキシメチルシラン、及び(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
[0041]メラミン官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,182,379(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、メラミン官能基を含むセルロースエステルは、セルロースエステルをメラミン化合物と反応させて、セルロースエステルの無水グルコース環の骨格にメラミン基がグラフトされているグラフト化セルロースエステルを形成することによって製造される。一態様においては、メラミン化合物は、メラミンのメチロールエーテル及びアミノプラスト樹脂からなる群から選択される。
【0045】
[0042]長鎖アルキル鎖官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,750,677(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、長鎖アルキル鎖官能基を含むセルロースエステルは、カルボキサミド希釈剤又は尿素系希釈剤中のセルロースを、チタン含有種を用いてアシル化剤と反応させることによって製造される。長鎖アルキル鎖官能基を含むセルロースエステルは、セルロースアセテートヘキサノエート、セルロースアセテートノナノエート、セルロースアセテートラウレート、セルロースパルミテート、セルロースアセテートステアレート、セルロースノナノエート、セルロースヘキサノエート、セルロースヘキサノエートプロピオネート、及びセルロースノナノエートプロピオネートからなる群から選択することができる。
【0046】
[0043]本発明の幾つかの態様においては、耐衝撃性改良剤は、セルロースエステル組成物の衝撃強度を増加させることがわかっている任意の材料であってよい。一態様においては、耐衝撃性改良剤は、室温より低いガラス転移温度(Tg)を有するエラストマーとして分類される任意のポリマー材料であってよい。Tgは、例えばASTM-D3418にしたがって、TA2100熱分析装置を用い、20℃/分の走査速度を用いて測定することができる。幾つかのクラスの耐衝撃性改良剤がこの記載に合致する。
【0047】
[0044]一態様においては、耐衝撃性改良剤は、変性ポリオレフィンとして知られるクラ
スの材料から選択することができる。このクラスにおいては、オレフィンを、ポリマーの結晶化を制限する更なるモノマーと共重合して、室温より低いTgを有する鎖の量を増加させ、弾性率を500MPaより低く低下させている。変性オレフィンの例としては、EMA(例としては、Elvaloy 4051、Lotader 3410、及びLotader 8900が挙げられる)、EBA、EVA(例としては、Levamelt 500、Levamelt 600、Levamelt 700、Levamelt 800、Elvax 40W、Evatane 28-40、Evatane 40-55、Evatane 18-150、Bynel E418、及びBynel
3101が挙げられる)、EEA、EPDM(例としてはRoyaltuf 498が挙げられる)、及
びEPRが挙げられる。
【0048】
[0045]これらの態様の1つのクラスにおいては、耐衝撃性改良剤は、鎖の少なくとも1つのセグメントが室温より低いTgを有し(軟質セグメントと呼ばれる)、鎖の少なくとも1つのセグメントが室温よりも高いTg又はTmを有する(硬質セグメントと呼ばれる)ブロックコポリマーである。これらのブロックコポリマーはまた、一般に熱可塑性エラストマー(TPE)とも呼ばれる。このクラスのブロックコポリマーの例としては、SBS、SEBS、及びSIS(例としては、Kraton G1657MS、Kraton FG1901G、及びKraton
FG1924Gが挙げられる)のようなスチレン系材料;熱可塑性ウレタン(TPU)(例としては、Elastolan 1170Z、Estane 2355、Estane ALR-CL87A、及びEstane ALR-72Aが挙げられる);ポリエステル-エーテルコポリマー(例としては、Ecdel 9966及びHytrel 3078
が挙げられる)、又はポリアミド-エーテルコポリマー(例としてはPebax 5533が挙げられる)が挙げられる。
【0049】
[0046]一態様においては、耐衝撃性改良剤は、コア-シェル型耐衝撃性改良剤として知られるエマルジョン形成材料のクラスから選択することができる。一態様においては、耐衝撃性改良剤は、ブタジエン-スチレンコポリマーから形成されるコア、及びメチルメタクリレート-スチレンコポリマーから形成されるシェルを有するメタクリレート-ブタジエン-スチレンのようなMBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤である。他の態様においては、耐衝撃性改良剤は、ブチルアクリレート又はスチレンブチルアクリレートのようなアクリルポリマーから形成されるコア、及びポリメチルメタクリレート又はスチレンメチルメタクリレートコポリマーから形成されるシェルを有するアクリル系コア-シェル型耐衝撃性改良剤である。
【0050】
[0047]本発明の一態様においては、コア-シェル型耐衝撃性改良剤は、
(A)約70~約85部の、約15~約35重量%の少なくとも1種類のビニル芳香族モノマーから誘導される単位、及び約65~約85重量%の少なくとも1種類のジオレフィンモノマーから誘導される単位を含むコア;
(B)約8~約14部の、少なくとも1種類のビニル芳香族モノマー又は少なくとも1種類のC~Cアルキルメタクリレートモノマーを含む内部グラフト段階;
(C)約0.1~約5部の、C~Cアルキルアクリレート又は多価不飽和架橋剤から選択される少なくとも1種類のモノマーを含む中間シーラー段階;及び
(D)約10~約16部の、少なくとも1種類のC~Cアルキル(メタ)アクリレートモノマー又は少なくとも1種類のビニル芳香族モノマーを含む外側シェル;
を含んでいてよいMBS耐衝撃性改良剤である。
【0051】
[0048]幾つかの態様においては、MBS耐衝撃性改良剤には、10~70重量%のブタジエンのポリマー又はコポリマー、並びに第1にメチル(メタ)アクリレート及び架橋剤、第2にスチレン、及び第3にメチル(メタ)アクリレートと場合によっては架橋剤のグラフトを含むグラフトポリマー組成物を含ませることができる。
【0052】
[0049]共役ジオレフィン、好ましくはブタジエンと重合させるのに好適なモノマーとしては、アルケニル芳香族化合物、好ましくはビニル芳香族化合物、例えばスチレン、ジビ
ニルベンゼン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、水素化スチレン;低級(CZ-Cu)アルキルアクリレート、例えばエチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、Z-メチルブチルアクリレート、3-メチルブチルアクリレート、アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、Z-エチルヘキシルアクリレート;低級(C~C12)アルキル(メタ)アクリレート;アクリロニトリル;オレフィンなど;或いは上記の任意のものの組合せを挙げることができる。
【0053】
[0050]好適な架橋剤としては、ジビニルベンゼン;ジ(メタ)アクリレート;ジアクリレート、例えばモノ、ジ、若しくはポリエチレングリコールのジアクリレート;それらの(メタ)アクリレート;ジビニルスルフィド;ジビニルエーテル;ビニルアクリレート;ビニル(メタ)アクリレート;トリビニルベンゼン;トリメチロールプロパン;トリ(メタ)アクリレート;トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
【0054】
[0051]一態様においては、MBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤に、ブタジエンとスチレンのコポリマー、最も好ましくはブタジエン、スチレン、及びジビニルベンゼンのターポリマーを含ませることができる。コポリマー基材を構成するモノマーの相対量は変化してよいが、ブタジエン、スチレン、及びジビニルベンゼンの合計の100重量部を基準として、ブタジエン成分は通常は約30~100重量部を構成し、スチレン成分は0~約70重量部を構成し、ジビニルベンゼン成分は0~約5重量部を構成する。一態様においては、コポリマー基材に、同じ基準で、約50~約90重量部のブタジエン、約10~約50重量部のスチレン、及び0~約5重量部のジビニルベンゼン、最も好ましくは同じ基準で、約65~約85重量部のブタジエン、約15~約35重量部のスチレン、及び約0.5~約2.0重量部のジビニルベンゼンを含ませることができる。
【0055】
[0052]メタクリレート-ブタジエン-スチレンコアシェルポリマーの例は、特許US-4,446,585、US-5,534,594、及びUS-6,331,580に記載されているものであるが、これらに限定されない。MBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤は、KanekaからKane Ace B564として、ArkemaからClearstrengthとして、Mitsubishi ChemicalからMetablen C及びMetablen Eとして、DowからParaloidとして、及びEvonikからVisiomerとして入手することができる。
【0056】
[0053]本発明の一態様においては、コア-シェル型耐衝撃性改良剤は、約75~99.8重量%の(C~C)アルキルアクリレート、0.1~5重量%の架橋性モノマー、及び0.1~5重量%のグラフト連結性モノマーを含むモノマー系から重合される第1のエラストマー相約25~95重量%、及びかかるエラストマー相の存在下で重合されるエポキシ基を含まない最終剛性熱可塑性相約75~5重量%を含むアクリル系耐衝撃性改良剤である。
【0057】
[0054]有用なアクリレートの例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどである。幾つかの態様においては、アクリレートはn-ブチルアクリレート及びエチルアクリレートである。
【0058】
[0055]グラフト連結性モノマーは、高反応性二重結合及びより低い反応性の二重結合の両方を有し、高反応性二重結合が第1段階のモノマーの重合中に重合して、次の段階の重合中に重合するための残留する二重結合を残して、それによって第1段階ポリマーに第2段階ポリマーをグラフト結合させる傾向を有するポリエチレン性不飽和モノマーとして定義される。幾つかの態様においては、グラフト連結性モノマーは、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、及びジアリルマレエートである。一態様においては、第1段階モノマー系を基準として0.05~3%のグラフト連結性モノマーを存在させる。また、好
ましくは架橋性モノマーも、一般に第1段階モノマー系を基準として約0.05~3重量%の量で存在させ、これは、第1段階重合において架橋を引き起こすようにほぼ同等の反応性の少なくとも2つの二重結合を有するポリエチレン性不飽和モノマーとして定義される。代表的な架橋性モノマーの例は、1,3-ブチレンジアクリレート、1,3-ブチレンジメタクリレート、ジビニルベンゼンなどである。
【0059】
[0056]「エポキシ官能基」とは、最終段階ポリマーから懸垂しているエポキシ単位を意味する。幾つかの態様においては、エポキシ官能基は、最終段階モノマー混合物中においてグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのようなエポキシ含有モノマーを用いることによって最終段階ポリマー中に導入される。
【0060】
[0057]アクリルコアシェルポリマーの例は、特許US-3,448,173、US-3,655,825、及びUS-3,853,968に記載されているものであるが、これらに限定されない。好適なアクリル系耐衝撃性改良剤の例は、KanekaからのKane Ace ECO100、ArkemaからのDurastrength、DuPontからのElvaloy及びElvaloy HP、Mitsubishi ChemicalからのMetablen W、並びにDowからのParaloidである。
【0061】
[0058]この態様の1つのクラスにおいては、耐衝撃性改良剤は、ブタジエン-スチレンコポリマーから形成されるコア、及びアクリロニトリル-スチレンコポリマーから形成されるシェルを有するABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤である。ABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤の例としては、Galata ChemicalsからのBlendex、及びElix PolymersからのElixが挙げられる。
【0062】
[0059]この態様の1つのクラスにおいては、耐衝撃性改良剤は、シリコーン-アクリルゴムから形成されるコア、及びPMMAコポリマー又はメチルメタクリレート-スチレンコポリマーから形成されるシェルを有するシリコーン-アクリル系コアシェル型耐衝撃性改良剤である。シリコーン-アクリル系コアシェル型耐衝撃性改良剤の例としては、Mitsubishi Chemical CompanyからのMetablen Sが挙げられる。
【0063】
[0060]一態様においては、耐衝撃性改良剤は比較的中性のpH(例えば、6~8の間、好ましくは6.5~7.5の間のpH)を有する。これは、組成物の溶融加工中にセルロースエステルが分解するのを阻止するのを助けると考えられる。
【0064】
[0061]1つの特定の有用な態様においては、セルロースエステル及び耐衝撃性改良剤の組成物は透明であり、ASTM-D1003にしたがって、249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して、少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D1003にしたがって、249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して、70%~95%、又は75%~95%、又は80%~95%、又は85%~95%、又は70%~90%、又は75%~90%、又は80%~90%、或いは85%~90%の光透過率を有する。この態様の1つのクラスにおいては、耐衝撃性改良剤を含むセルロースエステル組成物は、10%未満の曇り度%を有する。幾つかの態様においては、耐衝撃性改良剤を含むセルロースエステル組成物は、8%未満、又は6%未満、或いは5%未満の曇り度%を有する。
【0065】
[0062]他の態様においては、耐衝撃性改良剤の屈折率(RI)は、高い透過率及び低い曇り度を有する組成物を与えるのに十分に、セルロースエステルのものに近接している。一態様においては、アクリル系耐衝撃性改良剤は約1.46~1.50のセルロースエステルのRIに近いRIを有していて、透明な組成物を与える。幾つかの態様においては、
耐衝撃性改良剤成分とセルロースエステル成分は、約0.006~約-0.0006のRI(第2の成分)-RI(第1の成分)(例えばCEのRI-耐衝撃性改良剤のRI)の屈折率の差を有しており、非混和性のブレンドは、少なくとも75%の透過率%、及び10%以下、より好ましくは5%以下の曇り度を有する。
【0066】
[0063]一態様においては、耐衝撃性改良剤は、非反応性の耐衝撃性改良剤、又は反応性の耐衝撃性改良剤のいずれか、或いは両方の組合せであってよい。用いる耐衝撃性改良剤はまた、セルロースエステル組成物の機械的及び物理的特性を向上させることもできる。
【0067】
[0064]一態様において、非反応性の耐衝撃性改良剤を用いる場合には、耐衝撃性改良剤は、他のポリマー鎖セグメントよりもセルロースエステルと化学的又は物理的により適合性である第1のポリマー鎖セグメントを含む。一態様においては、第1のセグメントは、エーテル、エステル、アミド、アルコール、アミン、ケトン、及びアセタールのような極性官能基など(しかしながらこれらに限定されない)の、セルロースエステルとの適合性を与える極性官能基を含む。適合性は、第2のセグメントに対して優先的な第1のポリマー鎖セグメントとセルロースエステルポリマーとの相互作用によって定義され、分子スケール又はミクロスケールの相互作用を意味し得る。第1のセグメントは、次のもの:セルロースエステル;セルロースエーテル;ポリオキシアルキレン、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン;ポリグリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール;ポリエステル、例えばポリカプロラクトン、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、脂肪族-芳香族コポリエステル;ポリアクリレート及びポリメタクリレート;ポリアセタール;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンビニルアセテート;ポリビニルアセテート;及びポリビニルアルコール;のオリゴマー又はポリマーから構成することができる。一態様においては、第1のセグメントは、ポリエチレンビニルアセテート;ポリオキシエチレン、又はポリビニルアルコールである。
【0068】
[0065]幾つかの態様においては、第2のセグメントは、飽和又は不飽和のいずれかの炭化水素基であってよく、或いは飽和及び不飽和炭化水素基の両方を含んでいてよい。第2のセグメントは、オリゴマー又はポリマーであってよい。本発明の一態様においては、非反応性耐衝撃性改良剤の第2のセグメントは、ポリオレフィン、ポリジエン、芳香族ポリマー、及びコポリマーからなる群から選択される。芳香族ポリマーの第2のセグメントの例はポリスチレンである。コポリマーの第2のセグメントの例はスチレン/ブタジエンコポリマーである。
【0069】
[0066]非反応性耐衝撃性改良剤の第1及び第2のセグメントは、ジブロック、トリブロック、分岐、又は櫛型構造であってよい。非反応性耐衝撃性改良剤の分子量は、約300~約20,000、又は約500~約10,000、或いは約1,000~約5,000の範囲であってよい。非反応性耐衝撃性改良剤のセグメント比は、約15~約85%の極性の第1のセグメント/約15~約85%の非極性の第2のセグメントの範囲であってよい。
【0070】
[0067]非反応性耐衝撃性改良剤の例としては、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸、ポリエチレンビニルアセテート、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックポリマー、エチレン/プロピレンターポリマー、官能化ポリオレフィン、ポリグリセロールエステル、多糖エステル、及びソルビタンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。エトキシル化アルコールの例は、C11~C15第2級アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、及びエチレンオキシドでエトキシル化されているC12~C14天然線状アルコールである。C11~C15第2級アルコールエトキシレートは
、Dow Chemical CompanyからDow Tergitol(登録商標)15Sとして入手することができる
。ポリオキシエチレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルは、ICI SurfactantsからBrij(登録商標)シリーズの製品で入手することができる。エチレン
オキシドでエトキシル化されているC12~C14天然線状アルコールは、Hoechst CelaneseからGenapol(登録商標)シリーズの製品で入手することができる。エトキシル化ア
ルキルフェノールの例としては、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール及びノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールが挙げられる。オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールは、RhodiaからIgepal(登録商標)CAシリーズの製品として入手することができ、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールは、RhodiaからIgepal COシリーズの製品としてか、或いはDow Chemical CompanyからTergitol(登録商標)NPとして入手することができる。エトキシル化脂肪酸としては、Henkel
からNopalcol(登録商標)シリーズの製品で入手することができるポリエチレングリコールモノステアレート又はモノラウレートを挙げることができる。プロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックポリマーは、BASFからPluronic(登録商標)シリーズの製品で入手することができる。ポリグリセロールエステルは、StepanからDrewpol(登録商標)
シリーズの製品で入手することができる。多糖エステルは、HenkelからGlucopon(登録商標)シリーズの製品(これはアルキルポリグルコシドである)で入手することができる。ソルビタンエステルは、ICIからTween(登録商標)シリーズの製品で入手することができる。
【0071】
[0068]本発明の他の態様においては、非反応性耐衝撃性改良剤は、セルロースエステル適合性の化合物を反応させることによってセルロースエステル組成物中でin situで合成
することができる。これらの化合物は、例えば、それらの反応性末端基によって更なる重合又は他の反応を開始することができるプレポリマーとして定義されるテレケリックオリゴマーであってよい。本発明の一態様においては、これらのin situの耐衝撃性改良剤は
、約10,000~約1,000,000のより高い分子量を有し得る。
【0072】
[0069]本発明の他の態様においては、耐衝撃性改良剤は反応性であってよい。反応性の耐衝撃性改良剤には、組成物の1つの成分と適合性のポリマー又はオリゴマー、及び組成物の他の成分と反応することができる官能基を含ませることができる。幾つかの態様においては、用いることができる2つのタイプの反応性耐衝撃性改良剤が存在する。第1の反応性耐衝撃性改良剤は、セルロースエステルと適合性の炭化水素鎖を有し、セルロースエステルと反応することができる官能基も有する。かかる官能基としては、カルボン酸、無水物、酸塩化物、エポキシド、及びイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。このタイプの反応性耐衝撃性改良剤の具体例としては、長鎖脂肪酸、例えばステアリン酸(オクタデカン酸);長鎖脂肪酸塩化物、例えばステアロイルクロリド(オクタデカノイルクロリド);長鎖脂肪酸無水物、例えば無水ステアリン酸(無水オクタデカン酸);エポキシ化油脂エステル;スチレン無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸グラフトポリプロピレン;無水マレイン酸とオレフィン及び/又はアクリル酸エステルのコポリマー、例えばエチレン、アクリル酸エステル、及び無水マレイン酸のターポリマー;並びに、グリシジルメタクリレートとオレフィン及び/又はアクリル酸エステルのコポリマー、例えばエチレン、アクリル酸エステル、及びグリシジルメタクリレートのターポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
[0070]反応性耐衝撃性改良剤は、Sartomer/Cray ValleyからのSMA(登録商標)3000スチレン無水マレイン酸コポリマー、Eastman Chemical CompanyからのEastman G-3015(登録商標)無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、Westlake Chemicalから得られるEpolene(登録商標)E-43無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、Arkemaから得られるエチレン、アクリル酸エステル、及び無水マレイン酸のLotader(登録商標)MAH 8200ランダム
ターポリマー、エチレン、アクリル酸エステル、及びグリシジルメタクリレートのLotade
r(登録商標)GMA AX8900ランダムターポリマー、及びエチレン、アクリル酸エステル、
及びグリシジルメタクリレートのLotarder(登録商標)GMA AX8840ランダムターポリマーとして入手することができる。
【0074】
[0071]変性ポリオレフィン耐衝撃性改良剤は、Lotader、Fusabond、Elvloy PTW、Lotryl、Elvaloy AC、InterLoyとして入手することができる。
[0072]反応性耐衝撃性改良剤の第2のタイプは、セルロースエステルと適合性の極性鎖を有し、セルロースエステルと反応することができる官能基も有する。これらのタイプの反応性耐衝撃性改良剤の例としては、オレフィン官能基又はチオール官能基を有するセルロースエステル又はポリエチレングリコールが挙げられる。オレフィン官能基を有する反応性ポリエチレングリコール耐衝撃性改良剤としては、ポリエチレングリコールアリルエーテル及びポリエチレングリコールアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。チオール官能基を有する反応性ポリエチレングリコール耐衝撃性改良剤の例としては、ポリエチレングリコールチオールが挙げられる。反応性セルロースエステル耐衝撃性改良剤の例としては、メルカプトアセテートセルロースエステルが挙げられる。
【0075】
[0073]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物中における耐衝撃性改良剤の量は、セルロースエステル組成物の重量を基準として、約1重量%~約30重量%、又は約1重量%~約15重量%、又は約5重量%~約10重量%、又は約10重量%~約30重量%、或いは約15重量%~約30重量%の範囲であってよい。
【0076】
[0074]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物は、少なくとも1種類の更なるポリマー成分を、全セルロースエステル組成物を基準として5~95重量%の量で(セルロースエステルとの)ブレンドとして更に含む。更なるポリマー成分の好適な例としては、ナイロン;ポリエステル;ポリアミド;ポリスチレン;他のセルロースエステル、セルロースエーテル;ポリスチレンコポリマー;スチレンアクリロニトリルコポリマー;ポリオレフィン;ポリウレタン;アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー;ポリ(メチルメタクリレート);アクリルコポリマー;ポリ(エーテル-イミド);ポリフェニレンオキシド;ポリ塩化ビニル;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン;ポリ(エステル-カーボネート);ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリ乳酸;ポリブチレンスクシネート;ポリスルホンエーテル;及び芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ(エーテル-ケトン);或いは任意の上記のポリマーの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ブレンドは、溶融ブレンド又は溶液ブレンドのような当該技術において公知の通常の処理技術によって形成することができる。
【0077】
[0075]本発明の一態様においては、組成物に可塑剤を含ませることができる。本発明において用いる可塑剤は、セルロースエステルのガラス転移温度及び/又は溶融粘度を低下させて溶融加工特性を向上させることができる当該技術において公知の任意のものであってよい。可塑剤は、セルロースエステルと共に用いるのに好適な任意の可塑剤であってよい。可塑剤のレベルはセルロースエステルに関する標準(又は通常)の可塑剤レベルよりも低くして;組成物が完全に可塑化したセルロースエステル組成物よりも高いTg(又はHDT)、良好な靱性、及び良好な流動性を有するようにしなければならない。幾つかの態様においては、可塑剤は、セルロースエステル組成物のTg(又はHDT)を、可塑剤を有しない同様の組成物と比べて実質的に減少させない量で存在させる。幾つかの態様においては、Tg(又はHDT)は、可塑剤を含む結果として20%より多く、又は15%より多く、又は10%より多く、又は5%より多く、或いは2%より多く変化(例えば減少)しない。
【0078】
[0076]可塑剤は、モノマー構造又はポリマー構造のいずれかであってよい。一態様においては、可塑剤は、芳香族ホスフェートエステル可塑剤、アルキルホスフェートエステル
可塑剤、ジアルキルエーテルジエステル可塑剤、トリカルボン酸エステル可塑剤、ポリマーポリエステル可塑剤、ポリグリコールジエステル可塑剤、ポリエステル樹脂可塑剤、芳香族ジエステル可塑剤、芳香族トリエステル可塑剤、脂肪族ジエステル可塑剤、カーボネート可塑剤、エポキシ化エステル可塑剤、エポキシ化油可塑剤、ベンゾエート可塑剤、ポリオールベンゾエート可塑剤、アジペート可塑剤、フタレート可塑剤、グリコ-ル酸エステル可塑剤、クエン酸エステル可塑剤、ヒドロキシル官能性可塑剤、又は固体の非結晶質樹脂可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0079】
[0077]本発明の一態様においては、可塑剤は、次のもの:トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、クレシルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、トリエチルシトレート、トリ-n-ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチル-トリ-n-ブチルシトレート、及びアセチル-トリ-n-(2-エチルヘキシル)シトレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、又はトリエチレングリコールジベンゾエートの少なくとも1つから選択することができる。
【0080】
[0078]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:(i)フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、コハク酸、安息香酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、酪酸、グルタル酸、クエン酸、又はリン酸の1以上の残基を含む酸残基;及び(ii)約20個以下の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、又は芳香族アルコールの1以上の残基を含むアルコール残基;を含むエステルの少なくとも1つから選択することができる。
【0081】
[0079]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:(i)フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、コハク酸、安息香酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、酪酸、グルタル酸、クエン酸、又はリン酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸残基;及び(ii)約20個以下の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、又は芳香族アルコールからなる群から選択される少なくとも1つのアルコール残基;を含むエステルの少なくとも1つから選択することができる。
【0082】
[0080]本発明の他の態様においては、可塑剤はアルコール残基を含んでいてよく、アルコール残基は、次のもの:ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、及びジエチレングリコールから選択される少なくとも1つである。
【0083】
[0081]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:ベンゾエート、フタレート、ホスフェート、アリーレン-ビス(ジアリールホスフェート)、及びイソフタレートの少なくとも1つから選択することができる。他の態様においては、可塑剤は、ジエチレングリコールジベンゾエート(ここでは「DEGDB」と略称する)を含む。
【0084】
[0082]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:C~C10二酸残基、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸の残基;並びにC~C10ジオール残基を含む脂肪族ポリエステルの少なくとも1つから選択することができる。
【0085】
[0083]他の態様においては、可塑剤は、次のC~C10ジオール:エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ペンチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールの少なくとも1つの残基であってよいジオール残基を含んでいてよい。
【0086】
[0084]本発明の他の態様においては、可塑剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールのようなポリグリコールを挙げることができる。これらは、低分子量の二量体及び三量体から、高分子量のオリゴマー及びポリマーまでの範囲であってよい。一態様においては、ポリグリコールの分子量は約200~約2000の範囲であってよい。
【0087】
[0085]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:Resoflex(登録商標)R296可塑剤、Resoflex(登録商標)804可塑剤、SHP(ソルビトールヘキサプロピオネート
)、XPP(キシリトールペンタプロピオネート)、XPA(キシリトールペンタアセテート)、GPP(グルコースペンタアセテート)、GPA(グルコースペンタプロピオネート)、及びAPP(アラビトールペンタプロピオネート)の少なくとも1つを含む。
【0088】
[0086]本発明の他の態様においては、可塑剤は、(A)約5~約95重量%のC~C12炭水化物有機エステル(炭水化物は約1~約3の単糖単位を含む);及び(B)約5~約95重量%のC~C12ポリオールエステル(ポリオールはC又はC炭水化物から誘導される)の1以上を含む。一態様においては、ポリオールエステルは、1種類又は複数のポリオールアセテートを含まないか又は含有しない。
【0089】
[0087]他の態様においては、可塑剤は少なくとも1種類の炭水化物エステルを含み、炭水化物エステルの炭水化物部分は、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ラクトース、フルクトース、ソルボース、スクロース、セロビオース、セロトリオース、及びラフィノースからなる群から選択される1種類以上の化合物から誘導される。
【0090】
[0088]本発明の他の態様においては、可塑剤は少なくとも1種類の炭水化物エステルを含み、炭水化物エステルの炭水化物部分は、α-グルコースペンタアセテート、β-グルコースペンタアセテート、α-グルコースペンタプロピオネート、β-グルコースペンタプロピオネート、α-グルコースペンタブチレート、及びβ-グルコースペンタブチレートの1以上を含む。
【0091】
[0089]他の態様においては、可塑剤は少なくとも1種類の炭水化物エステルを含み、炭水化物エステルの炭水化物部分は、α-アノマー、β-アノマー、又はこれらの混合物を含む。
【0092】
[0090]他の態様においては、可塑剤は、次のもの:プロピレングリコールジベンゾエート、グリセリルトリベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、及びポリエチレングリコールジベンゾエートの少なくとも1つから選択することができる。
【0093】
[0091]本発明の他の態様においては、可塑剤は固体の非結晶質樹脂であってよい。これらの樹脂は、若干量の芳香族又は極性官能基を含んでいてよく、セルロースエステルの溶融粘度を低下させることができる。本発明の一態様においては、可塑剤は、例えばロジン;水素化ロジン;安定化ロジン、及びこれらの単官能性アルコールエステル又はポリオールエステル;マレイン酸及びフェノール変性ロジン及びそれらのエステルなど(しかしな
がらこれらに限定されない)の変性ロジン;テルペン樹脂;フェノール変性テルペン樹脂;クマリン-インデン樹脂;フェノール樹脂;アルキルフェノール-アセチレン樹脂;及びフェノール-ホルムアルデヒド樹脂;のような固体の非結晶質化合物(樹脂)であってよい。
【0094】
[0092]本発明の他の態様においては、可塑剤は、トリアセチン、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルシトレート、アセチルトリメチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリブチル-o-アセチルシトレート、ジブチルフタレート、ジアリールフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジ-2-メトキシエチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジブチルタルトレート、エチルo-ベンゾイルベンゾエート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、n-エチルトルエンスルホンアミド、o-クレシルp-トルエンスルホネート、芳香族ジオール、置換芳香族ジオール、芳香族エーテル、トリプロピオニン、トリベンゾイン、ポリカプロラクトン、グリセリン、グリセリンエステル、ジアセチン、グリセロールアセテートベンゾエート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールジエステル、ジ-2-エチルヘキシルポリエチレングリコールエステル、トリエチレングリコールビス-2-エチルヘキサノエート、グリセロールエステル、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、C~C20ジカルボン酸エステル、ジメチルアジペート、ジブチルマレエート、ジオクチルマレエート、レゾルシノールモノアセテート、カテコール、カテコールエステル、フェノール類、エポキシ化大豆油、ヒマシ油、亜麻仁油、エポキシ化亜麻仁油、他の植物油、他の種油、ポリエチレングリコールベースの二官能性グリシジルエーテル、γ-バレロラクトン、アルキルホスフェートエステル、アリールホスフェートエステル、リン脂質、オイゲノール、シンナミルアルコール、樟脳、メトキシヒドロキシアセトフェノン、バニリン、エチルバニリン、2-フェノキシエタノール、グリコールエーテル、グリコールエステル、グリコールエステルエーテル、ポリグリコールエーテル、ポリグリコールエステル、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、ポリプロピレングリコールエステル、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、ナプロキセン、イミダゾール、トリエタノールアミン、安息香酸、ベンジルベンゾエート、サリチル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、プロピル-4-ヒドロキシベンゾエート、メチル-4-ヒドロキシベンゾエート、エチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ベンジル-4-ヒドロキシベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ソルビトール、キシリトール、エチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、トリアジン、トリアゾール、ピロール、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の可塑剤である。
【0095】
[0093]セルロースエステル組成物中における可塑剤の量は、セルロースエステル組成物の重量を基準として0~約15重量%の範囲であってよい。一態様においては、この量はセルロースエステル組成物の重量を基準として約15重量%以下の範囲であってよい。他の態様においては、この量はセルロースエステル組成物の重量を基準として約10重量%以下の範囲であってよい。他の態様においては、この量は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約5重量%以下、又はセルロースエステル組成物の重量を基準として約3重量%以下、或いはセルロースエステル組成物の重量を基準として2重量%未満の範囲であってよい。
【0096】
[0094]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物は可塑剤を含まない。
一態様においては、セルロースエステル組成物は、CAPであるセルロースエステルを含み、可塑剤を含まない。一態様においては、セルロースエステル組成物は、CABであるセルロースエステルを含み、可塑剤を含まない。
【0097】
[0095]本発明の他の態様においては、組成物は溶融加工可能である。溶融加工性は、一般に、材料をそれらの分解温度より低い温度において熱加工して均一なペレット又はプラスチック物品を得る能力を指す。例えば、記載される組成物は、Werner & Pflerderer3
0mm二軸押出機において250rpmのスクリュー速度及び240℃のバレル温度を用いて35ポンド/時の処理量で溶融押出することができ、Toyo 110射出成形機において240℃のバレル温度及び160°Fの金型温度を用いて最小の分子量又は退色で射出成形することができる。
【0098】
[0096]本発明の一態様においては、1~30重量%、又は1~15重量%、或いは2~10重量%の耐衝撃性改良剤を含み、可塑剤を含まない、95℃より高い熱変形温度(HDT)の値(ASTM-D648にしたがって、70℃で4時間コンディショニングした後に、1.82MPaの応力レベルにおいて測定)、及び80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値(厚さ3.2mmの棒材についてASTM-D256にしたがって23℃において測定)、並びに本明細書に記載する手順を用いて測定して240℃において少なくとも15インチのスパイラルフロー値を有する溶融加工可能なセルロースエステル組成物が提供される。一態様においては、セルロースエステル組成物は、ASTM-D3418にしたがって20℃/分で測定して120℃より高いTg値を有する。他に規定していない限りにおいて、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さ試験は、ASTM法D256にしたがって、厚さ3.2mmの棒材について、23℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後にノッチ付けを行った後の成形棒材に関して23℃で実施した。
【0099】
[0097]本発明の他の態様においては、組成物は、ASTM-D4440にしたがって、1rad/秒~400rad/秒の間の振動数スキャンを用いて測定し、Rheometrics動
的分析装置(RDA II)のようなプレートプレートメルトレオメーターによって、直径25mmの平行プレート、1mmの間隙、及び10%の歪みを用いて測定して10,000P以下の240℃及び400rad/秒における溶融粘度を有する。
【0100】
[0098]一態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、1~30重量%又は1~15重量%の耐衝撃性改良剤、0~15重量%の可塑剤を含み、90℃より高いTgを有する。他の態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、1~30重量%又は1~15重量%の耐衝撃性改良剤、0~10重量%の可塑剤を含み、100℃より高いTgを有する。更に他の態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、1~10重量%の耐衝撃性改良剤、0~10重量%の可塑剤を含み、100℃より高いTgを有する。他の態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、1~10重量%の耐衝撃性改良剤、0~5重量%の可塑剤を含み、115℃より高いTgを有する。
【0101】
[0099]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物は、耐衝撃性改良剤を導入し、可塑剤を導入しないことによって僅か数℃(例えば5℃未満、又は2℃未満)の下降しか与えないで、ベースのセルロースエステルポリマーのものと同等のTg又は熱変形温度(0.455psiにおけるHDT)を有する。これらの組成物の衝撃特性も、80J/m(23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強さ)を超えることができる。
【0102】
[00100]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D6
48にしたがって、70℃に4時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて1.82MPa
において測定して90℃より高く、又は95℃より高い熱変形温度(HDT)を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも105℃、又は少なくとも110℃、或いは少なくとも115℃の熱変形温度(HDT)を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、90℃~140℃、90℃~130℃、90℃~120℃、90℃~110℃、95℃~140℃、95℃~130℃、95℃~120℃、95℃~110℃、95℃~105℃、100℃~140℃、100℃~130℃、100℃~120℃、100℃~110℃、105℃~140℃、105℃~130℃、105℃~120℃、105℃~115℃、105℃~110℃、110℃~140℃、110℃~130℃、110℃~125℃、110℃~120℃、110℃~115℃、115℃~140℃、115℃~130℃、120℃~140℃、120℃~130℃、又は120℃~125℃の範囲の熱変形温度(HDT)を有する。
【0103】
[00101]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D2
56にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、少なくとも80J/m、又は少なくとも90J/m、又は少なくとも100J/m、又は少なくとも110J/m、又は少なくとも120J/m、又は少なくとも130J/m、又は少なくとも140J/m、又は少なくとも150J/m、又は少なくとも160J/m、又は少なくとも170J/m、又は少なくとも180J/m、又は少なくとも190J/m、又は少なくとも200J/mのノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D256にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、約80J/m~約500J/m、約80J/m~約400J/m、約80J/m~約300J/m、約80J/m~約200J/m、約100J/m~約500J/m、約100J/m~約400J/m、約100J/m~約300J/m、約100J/m~約200J/m、約120J/m~約500J/m、約120J/m~約400J/m、約120J/m~約300J/m、約120J/m~約200J/m、約150J/m~約500J/m、約150J/m~約400J/m、約150J/m~約300J/m、約150J/m~約200J/m、約170J/m~約500J/m、約170J/m~約400J/m、約170J/m~約300J/m、約170J/m~約200J/m、180J/m~約500J/m、約180J/m~約400J/m、約180J/m~約300J/m、約180J/m~約200J/m、190J/m~約500J/m、約190J/m~約400J/m、約190J/m~約300J/m、約190J/m~約200J/m、200J/m~約500J/m、約200J/m~約400J/m、又は約200J/m~約300J/mの範囲のノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する。
【0104】
[00102]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D7
90にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して1800MPaより高い曲げ弾性率を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D790にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、少なくとも1900MPa、少なくとも2000MPa、少なくとも2100MPa、少なくとも2200MPa、少なくとも2300MPa、又は少なくとも2400MPaの曲げ弾性率を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D790にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、約1800~約3500MPa、約1900~約3500MPa、約2000~約3500MPa、約2100~約3500MPa、約2200~約3500MPa、約2300~約3500MPa、約2400~約3500MPa、又は約2500~約3500MPaの曲げ弾性率を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は
、ASTM-D790にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、約1900~約2500MPa、約1900~約2800MPa、又は約1900~約3000MPaの曲げ弾性率を有する。
【0105】
[00103]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として1重量%~30重量%、又は2重量%~15重量%の耐衝撃性改良剤を含み、95℃より高いHDT値、及び80J/mより高く、又は100J/mより高く、或いは120J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、並びに240℃及び400rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0106】
[00104]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として1重量%~30重量%、又は2重量%~15重量%の耐衝撃性改良剤を含み、95℃より高いHDT値、及び80J/mより高く、又は100J/mより高く、或いは120J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、並びに、ASTM-D1003にしたがって、249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して、70%より高く、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率値を有する。
【0107】
[00105]可塑剤を含まないか又は低レベルの可塑剤を含むセルロースエステルをスクリ
ュー可塑化射出成形機において溶融加工する際に起こる可能性がある1つの問題は、スクリューが滑らかにリカバリーすることが困難であり(劣ったスクリューリカバリー性)、劣った材料の供給及び「きしり」音がもたらされる場合があることである。驚くべきことに、本発明の幾つかの態様による耐衝撃性改良剤を加えることによって、射出成形中のこれらの問題を排除することができることが見出された。
【0108】
[00106]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として1重量%~30重量%、又は2重量%~15重量%の耐衝撃性改良剤を含み、95℃より高いHDT値、及び80J/mより高く、又は100J/mより高く、或いは120J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有し、249℃のバレル設定点での射出成形中にきしみ音を発生せず、或いはスクリューリカバリーの問題を有しない。
【0109】
[00107]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として1重量%~30重量%、又は2重量%~15重量%のアクリルコア-シェル型耐衝撃性改良剤を含み、95℃より高いHDT値、150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有し、249℃のバレル設定点での射出成形中にきしみ音を発生せず、或いはスクリューリカバリーの問題を有しない。
【0110】
[00108]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物は、酸化防止剤、熱
安定剤、離型剤、静電防止剤、増白剤、着色剤、流動助剤、加工助剤、可塑剤、防曇添加剤、無機物、UV安定剤、滑剤、連鎖延長剤、成核剤、強化フィラー、木質又は木粉フィラー、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、染料、顔料、着色剤、更なる樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む。
【0111】
[00109]幾つかの態様においては、(ここで議論する)耐衝撃性改良剤に加えて、セル
ロースエステル組成物は、二次酸化防止剤、酸スキャベンジャー、又はこれらの組合せからなる群から選択される安定剤を含む。幾つかの態様においては、(ここで議論する)耐衝撃性改良剤に加えて、セルロースエステル組成物は、組成物の全重量を基準として約0.1~約0.8重量%の範囲の二次酸化防止剤を含む。幾つかの態様においては、(ここ
で議論する)耐衝撃性改良剤に加えて、セルロースエステル組成物は、組成物の全重量を基準として約0.2~約2.0重量%の範囲の酸スキャベンジャーを含む。一態様においては、(ここで議論する)耐衝撃性改良剤に加えて、セルロースエステル組成物は、組成物の全重量を基準として、約0.1~約0.8重量%の範囲の二次酸化防止剤、及び約0.2~約2.0重量%の範囲の酸スキャベンジャーを含む。一態様においては、二次酸化防止剤は3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンである。一態様においては、酸スキャベンジャーはエポキシ化脂肪酸エステルである。一態様においては、セルロースエステル組成物は、例えば組成物の全重量を基準として約0.1~約0.5重量%の範囲の塩安定剤を更に含む。一態様においては、(ここで議論する)セルロースエステル、耐衝撃性改良剤、及び安定剤の他に、セルロースエステル組成物は、組成物の全重量を基準として合計で5重量%未満、又は2重量%未満の任意の他の成分を含む。
【0112】
[00110]幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は無水マレイン酸変性E
VAを含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物はポリエーテルエステル化合物を含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物はアジピン酸化合物を含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として、65~99重量%の1種類以上のセルロースエステル、1~30重量%の1種類以上の耐衝撃性改良剤、及び合計で5重量%未満の他の成分を含む。幾つかの態様においては、かかる他の成分は、可塑剤、ポリエーテルエステル化合物、又はアジピン酸化合物を含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物はジオクチルアジペート(DOA)可塑剤を含み、他のアジピン酸化合物を含まない。
【0113】
[00111]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物を製造する方法が提
供される。本方法は、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を接触させることを含む。セルロースエステル、可塑剤、及び耐衝撃性改良剤は、本明細書において上記で議論した。一態様においては、セルロースエステル、耐衝撃性改良剤、及び随意的な可塑剤は、任意の添加順で混合することができる。
【0114】
[00112]本発明の他の態様においては、(a)少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、少
なくとも1種類のセルロースエステル、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を、耐衝撃性改良剤を分散させてセルロースエステル組成物を生成させるのに十分な時間及び温度で混合することを含む、セルロースエステル組成物を製造する方法が提供される。十分な温度は、一般にセルロースエステルのTgよりも約50℃高いセルロースエステルの流動温度として規定される。他の態様においては、この温度はセルロースエステルのTgよりも約80℃高い。幾つかの態様においては、混合時の温度は、上限においては耐衝撃性改良剤の加工温度によって、及び下限においてはセルロースエステル組成物の最高使用温度によって制限される。
【0115】
[00113]2種類以上の粘弾性材料の混合効率は、粘弾性材料の粘度の比によって定まる
可能性がある。一態様においては、与えられた混合装置及び剪断速度範囲に関して、分散相(耐衝撃性改良剤)と連続相(セルロースエステル)の粘度比は、適当な粒径を得るために規定限界内でなければならない。
【0116】
[00114]幾つかの態様においては、耐衝撃性改良剤、セルロースエステル、及び随意的
な可塑剤、並びに任意の添加剤の混合は、耐衝撃性改良剤、可塑剤、及び添加剤をセルロースエステル中に分散させるのに適切である当該技術において公知の任意の方法によって行うことができる。混合装置の例としては、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー
、ロールミル、及び押出機(一軸又は二軸)が挙げられるが、これらに限定されない。混合中の剪断エネルギーは、装置、ブレードのデザイン、回転速度(rpm)、及び混合時間の組み合わせによって定まる。剪断エネルギーは、耐衝撃性改良剤をセルロースエステル全体に分散させるのに十分でなければならない。
【0117】
[00115]幾つかの態様においては、セルロースエステル、耐衝撃性改良剤、可塑剤、及
び添加剤は、プロセス中に任意の順番で混合することができる。一態様においては、セルロースエステルを耐衝撃性改良剤及び/又は可塑剤と前もって混合する。次に、耐衝撃性改良剤及び/又は可塑剤を含むセルロースエステルを添加剤と混合する。本発明の他の態様においては、反応性耐衝撃性改良剤を用いる場合には、まず反応性耐衝撃性改良剤をセルロースエステルと混合することができ、次に他の成分を加える。
【0118】
[00116]本発明の組成物は、成形プラスチック部品としてか、又は中実プラスチック物
品として有用である。本組成物は、硬質の透明なプラスチックが求められる任意の用途において用いるのに好適である。かかる部品の例としては、使い捨てのナイフ、フォーク、スプーン、プレート、カップ、ストロー、並びに眼鏡フレーム、歯ブラシの柄部、玩具、自動車トリム、工具の柄部、カメラ部品、電子機器の部品、かみそりの部品、インクペンのバレル、使い捨て注射器、ボトルなどが挙げられる。一態様においては、本発明の組成物は、プラスチック、フィルム、繊維、及びシートとして有用である。一態様においては、本組成物は、ボトル、ボトルキャップ、眼鏡フレーム、カトラリー、使い捨てカトラリー、カトラリーの柄部、棚、棚仕切板、電子機器ハウジング、電子機器ケース、コンピューターモニター、プリンター、キーボード、パイプ、自動車部品、自動車内装部品、自動車トリム、看板、熱成形文字、サイディング、玩具、熱伝導性プラスチック、眼科用レンズ、工具、工具の柄部、家庭用品を製造するためのプラスチックとして有用である。他の態様においては、本発明の組成物は、フィルム、シーティング、繊維、成形物品、医療器具、包装材、ボトル、ボトルキャップ、眼鏡フレーム、カトラリー、使い捨てカトラリー、カトラリーの柄部、棚、棚の仕切り板、家具部品、電子機器ハウジング、電子機器ケース、コンピューターモニター、プリンター、キーボード、パイプ、歯ブラシの柄部、自動車部品、自動車内装部品、自動車トリム、看板、屋外看板、天窓、多層フィルム、熱成形文字、サイディング、玩具、玩具部品、熱伝導性プラスチック、眼科用レンズ及びフレーム、工具、工具の柄部、及び家庭用品、ヘルスケア用品、商業飲食サービス用製品、箱、グラフィックアート用途のためのフィルム、及びプラスチックガラス積層体用のプラスチックフィルムとして用いるのに好適である。
【0119】
[00117]本セルロースエステル組成物は、繊維、フィルム、成形物品、及びシーティン
グを形成するのに有用である。セルロースエステル組成物を繊維、フィルム、成形物品、及びシーティングに成形する方法は、当該技術において公知の方法にしたがうことができる。可能性のある成形物品の例としては、限定なしに、医療器具、医療用包装材、ヘルスケア用品、商業飲食サービス用製品、例えばフードパン、タンブラー及び貯蔵ボックス、ボトル、フードプロセッサー、ブレンダー、及びミキサーボウル、家庭用品、水筒、クリスパートレイ、洗濯機前面部、電気掃除機部品、及び玩具が挙げられる。他の可能性のある成形物品としては、眼科用レンズ及びフレームを挙げることができる。
【0120】
[00118]本発明は更に、本明細書に記載するセルロースエステル組成物を含む1つ又は
複数のフィルム及び/又はシートを含む製造物品に関する。幾つかの態様においては、本発明のフィルム及び/又はシートは、当業者に明らかな任意の厚さのものであってよい。
【0121】
[00119]本発明は更に、本明細書に記載する1つ又は複数のフィルム及び/又はシート
に関する。セルロースエステル組成物を1つ又は複数のフィルム及び/又はシートに成形する方法としては、当該技術において公知の方法を挙げることができる。本発明の1つ又
は複数のフィルム及び/又はシートの例としては、1つ又は複数の押出フィルム及び/又はシート、1つ又は複数のカレンダー加工フィルム及び/又はシート、1つ又は複数の圧縮成形フィルム及び/又はシート、1つ又は複数の溶液キャストフィルム及び/又はシートが挙げられるが、これらに限定されない。フィルム及び/又はシートを製造する方法としては、押出、カレンダー加工、圧縮成形、湿式ブロック加工、乾式ブロック加工、及び溶液キャストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
[00120]本発明は更に、本明細書に記載する成形物品に関する。セルロースエステル組
成物を成形物品に成形する方法としては、当該技術において公知の方法を挙げることができる。本発明の成形物品の例としては、射出成形物品、押出成形物品、射出ブロー成形物品、射出延伸ブロー成形物品、及び押出ブロー成形物品が挙げられるが、これらに限定されない。成形物品を製造する方法としては、射出成形、押出、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、及び押出ブロー成形が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法としては、押出ブロー成形、押出延伸ブロー成形、射出ブロー成形、及び射出延伸ブロー成形など(しかしながらこれらに限定されない)の当該技術において公知の任意のブロー成形プロセスを挙げることができる。
【0123】
[00121]本発明は、当該技術において公知の任意の射出ブロー成形製造プロセスを包含
する。それに限定されないが、射出ブロー成形(IBM)製造プロセスの代表的な記述は、(1)往復スクリュー式押出機内で組成物を溶融すること;(2)溶融した組成物を射出金型中に射出して、一端において閉止された部分的に冷却されたチューブ(即ちプリフォーム)を形成すること;(3)プリフォームを、プリフォームの周囲に所望の最終形状を有するブロー金型中に移し、プリフォームの周囲のブロー金型を閉止すること;(4)プリフォーム中に空気を吹き込んでプリフォームを延伸及び膨張させて金型を満たすこと;(5)成形物品を冷却すること;(6)物品を金型から取り出すこと;を伴う。
【0124】
[00122]本発明は、当該技術において公知の任意の射出延伸ブロー成形製造プロセスを
包含する。それに限定されないが、射出延伸ブロー成形(ISBM)製造プロセスの代表的な記述は、(1)往復スクリュー式押出機内で組成物を溶融すること;(2)溶融した組成物を射出金型中に射出して、一端において閉止された部分的に冷却されたチューブ(即ちプリフォーム)を形成すること;(3)プリフォームを、プリフォームの周囲に所望の最終形状を有するブロー金型中に移し、プリフォームの周囲のブロー金型を閉止すること;(4)内部延伸ロッドを用いてプリフォームを延伸し、プリフォーム中に空気を吹き込んでプリフォームを延伸及び膨張させて金型を満たすこと;(5)成形物品を冷却すること;(6)物品を金型から取り出すこと;を伴う。
【0125】
[00123]本発明は、当該技術において公知の任意の押出ブロー成形製造プロセスを包含
する。それに限定されないが、押出ブロー成形製造プロセスの代表的な記述は、(1)押出機内で組成物を溶融すること;(2)溶融した組成物をダイを通して押出して、溶融したポリマーのチューブ(即ちパリソン)を形成すること;(3)パリソンの周囲に所望の最終形状を有する金型を締着し;(4)パリソン中に空気を吹き込んで、押出物を延伸及び膨張させて金型を満たすこと;(5)成形物品を冷却すること;(6)物品を金型から取り出すこと;及び(7)物品から過剰のプラスチック(通常はバリと呼ばれる)を除去すること;を伴う。
【0126】
[00124]本発明はその好ましい態様の下記の実施例によって更に示すことができるが、
これらの実施例は単に例示の目的のために含めるものであり、他に具体的に示していない限りにおいて発明の範囲を限定することは意図しないことが理解される。
【実施例0127】
[00125]表1~5における実施例1~25は、下記のようにして調製した。まず、ドラ
ムタンブラー内で、セルロース粉末を、1%のエポキシ化オクチルタレート安定剤と一緒に、Kaneka CorporationからのKaneAce B564-MBS耐衝撃性改良剤、又はKaneka CorporationからのKaneAce ECO100アクリル耐衝撃性改良剤のいずれかと前もって混合した。
【0128】
[00126]次に、前もって混合した材料を、Werner & Pflerderer 30mm二軸押出機に
おいて、35ポンド/時の処理量で、250rpmのスクリュー速度、及びCAP482ベースの組成物に関しては220℃のバレル温度、CA及びCAP141-20ベースの組成物に関しては
240℃のバレル温度において混合した。
【0129】
[00127]次に、混合した材料を、Toyo110トン射出成形機において、240℃のバレ
ル温度及び70℃の金型温度を用いて厚さ3.2mm×幅12.8mmの棒材に射出成形した。
【0130】
[00128]実施例において用いたセルロースエステル材料は、Eastmanの製品のCAP 482-20、CAP-482-0.5、及びCAP 141-20から選択した。ASTM法D648にしたがって、成形
棒材について熱変形温度(HDT)を求めた。試料は、HDT試験の前に70℃のオーブン内に5時間配置することによってコンディショニングした。成形棒材について、23℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後に、ASTM法D256にしたがって、ノッチを付けた後にノッチ付きアイゾッド衝撃強さ試験を実施した。
【0131】
[00129]実施例1~25並びに比較例1及び2に関する材料の組成及び特性を表1~5
に示す。表1~5を検討すると、実施例1~25は全て、耐衝撃性改良剤を含まない比較例1及び2よりも高い靱性を有することが示される。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】
【表5】
【0137】
実施例12の溶融加工性:
[00130]スパイラルフロー試験を用いて、上表2からの実施例12の流動挙動を通常の
プラスチック材料と比較した。スパイラルフロー試験は、Toyo110トン射出成形機を用い、1000psiの射出圧力、1.0インチ/秒の射出速度、10秒の充填時間、150rpmのスクリュー速度、100psiの背圧、22秒の冷却時間を用いて、幅0.5インチ×厚さ0.125インチのスパイラルフロー金型に溶融した材料を充填して実施した。流動長は、同じ成形条件下で特定のバレル温度において成形したそれぞれの材料のスパイラルの長さである。
【0138】
[00131]まず、スパイラルフローを実施して、幾つかのポリマー材料の流動長の値を求
めた。用いた材料は、CovestroからのMakrolon 2458ポリカーボネート(PC)、INEOSからのLustran SAN31(スチレン-アクリロニトリル又はSAN)、及びINEOSからのTerluran GP22NR-ABSであった。これらの材料を、下表6に示す加工温度で試験した。
【0139】
比較例3:
[00132]比較例3は、上記に記載の手順に適合させることによって、Eastman(登録商標)セルロースアセテートプロピオネート482-20(88重量%)、及びジオクチルアジペート可塑剤(12重量%)から調製した。
【0140】
[00133]上記で議論した材料に加えて、実施例12及び比較例3に関してスパイラルフ
ローを求めた。これらの材料は、表6に示す加工温度で試験した。
[00134]
【0141】
【表6】
【0142】
[00135]表6を検討すると、商業材料の流動長の値は10~30インチの間であること
が分かる。実施例12のスパイラルフローは、この組成物が非常に良好な流動性(ABS及びSANと同等で、PCよりも良好)を有することを示しており、本発明の実施例は射出成形及び他のプロセスで溶融加工することができることが示される。比較例3(CAPで完全可塑化したが、耐衝撃性改良剤は用いなかった)のスパイラルフロー流動長が最も高かった。
【0143】
比較例1及び実施例12の光透過率:
[00136]比較例1及び実施例12のペレットを、6.7オンスのバレル容量を有する1
50トンToyo射出成形機内で、1インチ/秒の射出速度において、249℃(480°F)のみかけのバレル温度、2分又は5分の滞留時間、及び80℃の金型温度を用いて、ショットあたり2つの4インチ×4インチ×0.126(10.2cm×10.2cm×0.32cm)のプラークに射出成形した。2分及び5分(滞留時間)において成形されたプラークについて、ASTM-D1003aにしたがって光透過率を測定した。結果を下表7に示す。
【0144】
【表7】
【0145】
[00137]実施例26~30においては、セルロースエステル組成物は、CAP 482-20を、
幾つかのブロックコポリマー熱可塑性エラストマー、及びABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤などの更なる耐衝撃性改良剤と混合することによって調製した。セルロースエステル組成物の混合は、Leistritz 18mm(50:1のL/D比)二軸押出機において、18ポンド/時の処理量、250rpmのスクリュー速度、及び220℃のバレル温度において行った。CA及びCAP 141-20ベースの組成物の混合に関しては、バレル温度は230℃であった。次に、混合した材料を、Toyo110トン射出成形機において、240℃のバレル温度及び70℃の金型温度を用いて、厚さ3.2mm×幅12.8mmの棒材に射出成形した。表8において、これらの組成物に関する特性を比較例1と比較する。
【0146】
[00138]試料を20℃/分の加熱速度で-110℃から加熱するASTM規格法D34
18にしたがってガラス転移温度(Tg)を測定した。複数の材料のブレンドのDSCスキャンは複数のTg遷移を示す場合がある。1つより多いTg遷移がスキャン中に求められた場合には、マトリクスのガラス転移はスキャン中に測定された最も高いTgとして規定される。
【0147】
[00139]厚さ3.2mmの成形棒材について、棒材を230℃及び50%のRHにおい
て48時間コンディショニングした後に、ASTM法D256にしたがって、ノッチを付けた後に23℃においてノッチ付きアイゾッド衝撃強さ試験を実施した。
【0148】
【表8】
【0149】
[00140]本発明の複数の態様の上記の詳細な記載は、当業者が本発明を実施することを
可能にするのに十分に詳細に本発明の種々の形態を記載することを意図している。発明の範囲から逸脱することなく、他の態様を用いることができ、変更を行うことができる。したがって、上記の詳細な記載は限定の意味で解釈すべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲が権利を保有する均等物の全範囲と共に、続く正規の実用新案出願において示されている特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0150】
[00141]本明細書において、「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という記載は
、関連する1つ又は複数の特徴が本技術の少なくとも1つの態様の中に含まれることを意味する。本明細書における「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という別々の記載は、必ずしも同じ態様を指すものではなく、また、そのように言及されているか及び/又はその記載から当業者に明白である場合を除いて互いに排他的でない。例えば、一態様において記載されている特徴、工程等はまた他の態様においても含まれる可能性があるが、必ずしも含まれない。而して、本発明は、ここに記載する複数の態様の種々の組合せ及び/又は統合を包含することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形用セルロースエステル組成物であって、前記組成物の全重量を基準として90重量%を超えて99重量%以下の少なくとも1種類のセルロースエステル、及び1~10重量%の少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤を含み、可塑剤を含まず、前記組成物は、95℃より高いHDT値、及びASTM-D256にしたがって、厚さ3.2mmの棒材について23℃において、棒材を230℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後に測定して80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有し、前記セルロースエステルがセルロースアセテートプロピオネート(CAP)又はセルロースアセテートブチレート(CAB)から選択され、前記耐衝撃性改良剤が、アクリルコア-シェル型耐衝撃性改良剤、ABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤、又はMBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤から選択される上記セルロースエステル組成物。
【請求項2】
前記セルロースエステルは、全置換度(DS)/無水グルコース単位(AGU)が約2~約2.99の範囲であり、アセチルのDS/AGUが約0~0.5の範囲であり、エステル基の残りは、プロピオニル又はブチリルを含む、請求項1に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項3】
前記CAP又はCABが15000~300000の絶対重量平均分子量を有する、請求項に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項4】
前記CAP又はCABが70000~120000の絶対重量平均分子量を有する、請求項に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項5】
ASTM-D256にしたがって、厚さ3.2mmの棒材について23℃において、棒材を230℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後に測定して100J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有する、請求項1~のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項6】
前記耐衝撃性改良剤が1.46~1.50の屈折率を有する、請求項1~のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項7】
前記耐衝撃性改良剤が0.01~2.0μmの粒径を有する、請求項1~のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項8】
前記耐衝撃性改良剤がアクリルコア-シェル型耐衝撃性改良剤である、請求項1~7のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項9】
前記組成物は透明であり、ASTM-D1003にしたがって、249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して、少なくとも70%の光透過率を有する、請求項8に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項10】
熱可塑性で溶融加工可能な射出成形用セルロースエステル組成物であって、
90重量%を超えて99重量%以下の、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)又はセルロースアセテートブチレート(CAB)から選択されるセルロースエステル;及
1~10重量%の、0.01~2.0μmの粒径を有する、アクリルコア-シェル型耐衝撃性改良剤、ABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤、又はMBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤から選択されるコア-シェル型耐衝撃性改良剤;
を含み;
可塑剤を含まず;
前記組成物は、95℃より高いHDT値、ASTM-D256にしたがって厚さ3.2mmの棒材について23℃において、棒材を230℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後に測定して100J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び400rad/秒及び240℃において10,000P(1,000Pa・s)以下の粘度を有する上記組成物。
【請求項11】
前記セルロースエステルは、全置換度(DS)/無水グルコース単位(AGU)が約2~約2.99の範囲であり、アセチルのDS/AGUが約0~0.5の範囲であり、エステル基の残りは、プロピオニル又はブチリルを含む、請求項10に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項12】
前記コア-シェル型耐衝撃性改良剤がアクリルコア-シェル型耐衝撃性改良剤である、請求項10に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項13】
前記組成物は透明であり、ASTM-D1003にしたがって、249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して、少なくとも70%の光透過率を有する、請求項10に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項14】
前記組成物が、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、静電防止剤、増白剤、着色剤、可塑剤、無機物、UV安定剤、滑剤、成核剤、強化フィラー、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、染料、顔料、着色剤、更なる樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、請求項1~13のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含み、前記組成物が少なくとも150J/mのノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する射出成形物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0150
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0150】
[00141]本明細書において、「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という記載は、関連する1つ又は複数の特徴が本技術の少なくとも1つの態様の中に含まれることを意味する。本明細書における「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という別々の記載は、必ずしも同じ態様を指すものではなく、また、そのように言及されているか及び/又はその記載から当業者に明白である場合を除いて互いに排他的でない。例えば、一態様において記載されている特徴、工程等はまた他の態様においても含まれる可能性があるが、必ずしも含まれない。而して、本発明は、ここに記載する複数の態様の種々の組合せ及び/又は統合を包含することができる。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)セルロースエステル組成物であって、前記組成物の全重量を基準として55~99重量%の少なくとも1種類のセルロースエステル、1~30重量%の少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、及び0~15重量%の少なくとも1種類の可塑剤を含み、前記組成物は、95℃より高いHDT値、及びASTM-D256にしたがって、厚さ3.2mmの棒材について23℃において、棒材を230℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後に測定して80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有する上記セルロースエステル組成物。
(2)前記組成物が、70~99重量%の前記セルロースエステル、1~15重量%の前記耐衝撃性改良剤、及び0~15重量%の前記可塑剤を含む、(1)に記載のセルロースエステル組成物。
(3)前記組成物が、70~99重量%の前記セルロースエステル、1~30重量%の前記耐衝撃性改良剤を含み、可塑剤を含まない、(1)に記載のセルロースエステル組成物。
(4)前記組成物が、85~99重量%の前記セルロースエステル、1~15重量%の前記耐衝撃性改良剤を含み、可塑剤を含まない、(3)に記載のセルロースエステル組成物。
(5)前記セルロースエステルが、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)の1以上から選択される、(1)~(4)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(6)前記セルロースエステルがセルロースアセテートプロピオネート(CAP)又はセルロースアセテートブチレート(CAB)から選択され、前記組成物が0乃至2重量%未満の可塑剤を含む、(1)~(2)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(7)前記CAP又はCABが15000~300000の絶対重量平均分子量を有する、(6)に記載のセルロースエステル組成物。
(8)前記CAP又はCABが70000~120000の絶対重量平均分子量を有する、(6)に記載のセルロースエステル組成物。
(9)前記組成物が、ホスフェート可塑剤、ベンゾエート可塑剤、アジペート可塑剤、フタレート可塑剤、グリコール酸エステル可塑剤、カーボネート可塑剤、クエン酸エステル可塑剤、及びヒドロキシル官能性可塑剤、又は固体の非結晶質樹脂可塑剤、或いはこれらの組合せからなる群から選択される可塑剤を含む、(1)~(8)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(10)前記耐衝撃性改良剤がコア-シェル型の耐衝撃性改良剤である、(1)~(9)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(11)前記耐衝撃性改良剤が、アクリルコア-シェル型耐衝撃性改良剤、ABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤、又はMBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤から選択される、(1)~(10)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(12)前記耐衝撃性改良剤が1.46~1.50の屈折率を有する、(1)~(11)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(13)前記耐衝撃性改良剤が0.01~2.0μmの粒径を有する、(1)~(12)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(14)熱可塑性で溶融加工可能なセルロースエステル組成物であって、
70~99重量%の、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)の1以上を含むセルロースエステル;
0乃至2重量%未満の可塑剤;及び
1~15重量%の、0.01~2.0μmの粒径を有するコア-シェル型耐衝撃性改良剤;
を含み;
前記組成物は、95℃より高いHDT値、ASTM-D256にしたがって厚さ3.2mmの棒材について23℃において測定して80J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び400rad/秒及び240℃において10,000P(1,000Pa・s)以下の粘度を有する上記組成物。
(15)前記耐衝撃性改良剤が非反応性の耐衝撃性改良剤である、(14)に記載のセルロースエステル組成物。
(16)前記耐衝撃性改良剤が反応性の耐衝撃性改良剤である、(14)に記載のセルロースエステル組成物。
(17)前記組成物が、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、静電防止剤、増白剤、着色剤、可塑剤、無機物、UV安定剤、滑剤、成核剤、強化フィラー、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、染料、顔料、着色剤、更なる樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、(1)~(13)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(18)(1)~(13)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含み、前記組成物が少なくとも150J/mのノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する製造物品。
(19)前記製造物品が射出成形によって形成される、(18)に記載の物品。
(20)(1)~(13)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含むフィルム又はシート。
【外国語明細書】