(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022168
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】セルロースエステルとエチレンビニルアセテートの組成物並びにこれらの組成物を用いて製造される物品
(51)【国際特許分類】
C08L 1/10 20060101AFI20230207BHJP
C08L 31/04 20060101ALI20230207BHJP
C08K 5/11 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C08L1/10
C08L31/04 S
C08K5/11
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187985
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2019524949の分割
【原出願日】2017-11-09
(31)【優先権主張番号】62/420,989
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/513,467
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/505,261
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/563,671
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】アン,ハイニン
(72)【発明者】
【氏名】ドネルソン,マイケル・ユージン
(72)【発明者】
【氏名】フェン,ウェンライ
(72)【発明者】
【氏名】ペコリーニ,トーマス・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ロディッグ,マイケル・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シェルビー,マーカス・デヴィッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】溶融加工可能なセルロースエステル組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種類のセルロースエステル、及び少なくとも1種類のエチレンビニルアセテートコポリマー、並びに場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。セルロースエステル組成物を製造する方法、及び眼鏡フレーム、自動車部品、及び玩具のようなこれらの組成物を用いて製造される物品も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類のエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物であって、
前記少なくとも1種類のセルロースエステルは、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択され;
前記少なくとも1種類のセルロースエステルの相対粘度は、2重量%のセルロースエステルを含むアセトン溶液に関して25℃において測定して6.0より高く;そして
前記セルロースエステル組成物は少なくとも120℃のTgを有する上記セルロースエステル組成物。
【請求項2】
前記組成物が、65~99重量%の前記セルロースエステル、1~35重量%の前記EVA、及び0~15重量%の前記可塑剤を含む、請求項1に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項3】
前記組成物が、65~99重量%の前記セルロースエステル、1~35重量%の前記EVA、及び0~5重量%の前記可塑剤を含む、請求項1に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項4】
前記組成物が、70~97.5重量%の前記セルロースエステル、2.5~30重量%の前記EVAを含み、可塑剤を含まない、請求項1に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項5】
前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)又はセルロースアセテートブチレート(CAB)から選択される、請求項1~4のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項6】
前記セルロースエステル組成物が、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択される少なくとも2種類の異なるセルロースエステルを含み、
セルロースエステルの少なくとも1つは、2重量%のセルロースエステルを含むアセトン溶液に関して25℃において測定して6.0より高い相対粘度を有し;そして、前記セルロースエステル組成物は少なくとも120℃のTgを有する、請求項1~5のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項7】
前記EVAが40~70重量%の範囲のビニルアセテート含量を有する、請求項1~6のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項8】
前記EVAが50~65重量%の範囲のビニルアセテート含量を有する、請求項1~7のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項9】
前記EVAが異なる酢酸ビニル(VA)含量を有する少なくとも2種類のEVAコポリマーの組合せであり、前記組合せの平均VA含量は50~65重量%の範囲であり、前記組成物は(実施例にしたがって試験した際に)延性破壊を示す、請求項1~8のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項10】
(i)セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択される少なくとも1種類のセルロースエステル;
(ii)少なくとも1種類のエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー;及び
(iii)少なくとも1種類の可塑剤;
を含むセルロースエステル組成物であって、
前記セルロースエステル組成物は、少なくとも120℃のTg、及びASTM法D256にしたがって、3.2mmの棒材を用いて23℃において、前記棒材を23℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後に測定して少なくとも200J/mのノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する上記セルロースエステル組成物。
【請求項11】
前記セルロースエステル組成物が、セルロースエステル連続相及びEVAコポリマー不連続相を有し、前記可塑剤がEVA不連続相中に含まれる、請求項10に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項12】
前記セルロースエステル組成物が、可塑剤を有しない同様のセルロースエステル組成物のTgと5%以下異なるTgを有する、請求項10又は11に記載のセルロースエステル組成物。
【請求項13】
前記セルロースエステルがCAPであり、前記可塑剤がジオクチルアジペート(DOA)であり、前記EVAが40~70重量%の範囲のビニルアセテート含量を有する、請求項10~12のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項14】
前記セルロースエステルがCAPであり、前記可塑剤がジオクチルアジペート(DOA)であり、前記EVAが50~65重量%の範囲のビニルアセテート含量を有する、請求項10~13のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項15】
前記組成物が、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、静電防止剤、増白剤、着色剤、可塑剤、無機物、UV安定剤、滑剤、成核剤、強化フィラー、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、染料、顔料、着色剤、更なる樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、請求項1~14のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項16】
少なくとも1つのポリマー成分をブレンドとして更に含み、前記ポリマーが、ナイロン;ポリエステル;ポリアミド;ポリスチレン;他のセルロースエステル、セルロースエーテル;ポリスチレンコポリマー;スチレンアクリロニトリルコポリマー;ポリオレフィン;ポリウレタン;アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー;ポリ(メチルメタクリレート);アクリルコポリマー;ポリ(エーテル-イミド);ポリフェニレンオキシド;ポリ塩化ビニル;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン;ポリ(エステル-カーボネート);ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリ乳酸;ポリブチレンスクシネート;ポリスルホンエーテル;及び芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ(エーテル-ケトン);並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~15のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
【請求項17】
セルロースエステル組成物を製造する方法であって、
(a)セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、
セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択され少なくとも1種類のセルロースエステル:及び
(b)少なくとも1種類のEVA;
を、前記EVAを前記セルロースエステル全体に分散させのに十分な時間及び温度で混合して前記組成物を生成させることを含み;
前記少なくとも1種類のセルロースエステルの相対粘度は、2重量%のセルロースエステルを含むアセトン溶液に関して25℃において測定して6.0より高い上記方法。
【請求項18】
請求項1~16のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含む製造物品。
【請求項19】
前記物品が、請求項1に記載のセルロースエステル組成物を含む射出成形物品、押出成形物品、射出ブロー成形物品、射出延伸ブロー成形物品、押出ブロー成形物品から選択される、請求項18に記載の製造物品。
【請求項20】
請求項1~16のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含むフィルム又はシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、セルロースエステル化学の分野、特にエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、及び場合によっては可塑剤を含むセルロースエステルの分野に属する。本発明はまた、少なくとも1種類のEVAコポリマー及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物の分野にも属する。また、これらのセルロースエステル組成物を製造する方法、並びに眼鏡フレーム、自動車部品、及び玩具のようなこれらの組成物を用いて製造されるプラスチック物品も提供される。
【背景技術】
【0002】
[0002]セルロースエステル組成物は、通常は90℃未満の熱変形温度(HDT)又はガラス転移温度(Tg)を有する。物品に溶融加工される商業的に入手できるセルロースエステルは、通常は、加工を可能にし、成形物品に十分な靱性を与えるために相当量の可塑剤を含む。しかしながら、可塑剤を加えることは、これによってHDTがベースのセルロースエステルと比べて低下し、セルロースエステル材料の使用が約90℃より低いHDTを受け入れることができる用途に限定されるので欠点を有している。また、セルロースエステル成形物品は、使用中に可塑剤の滲出を起こす可能性がある。
【0003】
[0003]低分子量可塑剤の必要性を排除するために、特定のEVAコポリマーを特定のセルロースエステルと混合することが提案されている。しかしながら、これまで提案されている組合せは、成形用途のために許容しうる加工性及び溶融流動性を与えるために特定の比較的低分子量のセルロースエステルに限定されていた。その結果、かかる材料の使用は、より高い温度の最終用途及びより高い衝撃靱性の用途に関しては使用が限定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]かかる欠点を有しない溶融加工可能なセルロースエステル組成物を提供することができれば有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]驚くべきことに、120℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有し、良好な透明度及び靱性を有するセルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステルの組成物を製造することができることが見出された。本発明の幾つかの態様においては、これは、可塑剤の量を減少させることによって、そして幾つかの態様においては組成物中における可塑剤の使用を完全に排除することによって達成することができる。可塑剤を排除することによって、使用中の可塑剤の滲出に関連する一般的な問題を排除することができる。しかしながら、可塑剤を減少又は排除すると、これらの高Tgセルロース組成物の靱性が低下する可能性がある。驚くべきことに、特定のEVAコポリマーによって、高Tgセルロース系組成物の靱性を回復することができ、より高温の用途のために好適で、長時間寸法安定性を維持する、良好な流動特性及び良好な透明度を有するセルロースエステル組成物を提供することができることが見出された。
【0006】
[0006]幾つかの態様においては、本発明は、セルロースエステル組成物の機械的及び物理的特性を向上させるのに十分な量のEVAコポリマーをセルロースエステル組成物中に分散させることに関する。本発明の幾つかの態様によるEVAコポリマーで変性されたセルロースエステルは、溶融加工可能で、商業的に入手できる可塑化セルロースエステル熱
可塑性樹脂と比べて相当に高いTgを有するという独特の特性を有し、高い弾性率、良好な衝撃特性、及び荷重変形に対する良好な抵抗性を有する。
【0007】
[0007]本発明の一態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類のエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。一態様においては、セルロースエステルの相対粘度は、2重量%のセルロースエステルを含むアセトン溶液に関して25℃において測定して6.0より高く、セルロースエステル組成物は少なくとも120℃のTgを有する。
【0008】
[0008]本発明の他の態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、及び少なくとも1種類のEVAコポリマー、並びに少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。
【0009】
[0009]本発明の他の態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類のEVAコポリマー、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を接触させ、そしてこの組合せを混合することを含む、セルロースエステル組成物を製造する方法が提供される。一態様においては、可塑剤は、セルロースエステル組成物のTgを、可塑剤を有しない同様の組成物と比べて実質的に低下させない量で存在させる。幾つかの態様においては、Tgは、可塑剤を含む結果として、10%より多く、又は5%より多く、或いは2%より多く変化(例えば減少)しない。
【0010】
[0010]本発明の幾つかの態様においては、可塑剤を含まないが、セルロースエステル組成物の全重量を基準として1重量%~35重量%、又は2.5重量%~30重量%、或いは10~30重量%のEVAコポリマーを含み、120℃より高いTg値を有し、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有するセルロースエステル組成物が記載される。
【0011】
[0011]本発明の他の態様においては、可塑剤を含まないが溶融加工可能なセルロースエステル組成物が提供される。幾つかの態様において、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として1重量%~35重量%、又は2.5重量%~30重量%、或いは10~30重量%のEVAコポリマーを含み、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び本明細書に記載する手順を用いて240℃のバレル温度において測定して少なくとも38センチメートル(15インチ)のスパイラルフロー値を有する。
【0012】
[0012]本発明の他の態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として2重量%~20重量%、又は5重量%~15重量%のEVAコポリマーを含み、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、並びに230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0013】
[0013]他の態様においては、上記に記載の溶融加工可能なセルロースエステル組成物に多少の可塑剤を含ませることができる。幾つかの態様においては、可塑剤は、セルロースエステル組成物のTgを、可塑剤を有しない同様の組成物と比べて実質的に低下させない量で存在させる。幾つかの態様においては、Tgは、可塑剤を含む結果として10%より多く、又は5%より多く、或いは2%より多く変化(例えば減少)しない。
【0014】
[0014]本発明の一態様においては、15重量%以下の可塑剤、又は10重量%以下の可塑剤を含み;1重量%~35重量%、又は2.5重量%~30重量%、或いは10~30重量%のEVAコポリマーを含み;120℃より高いTg値を有し;100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有する溶融加工可能なセルロースエステル組成物が記載される。
【0015】
[0015]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物の全重量を基準として15重量%以下の可塑剤、又は10重量%以下の可塑剤を含み;セルロースエステル組成物の全重量を基準として1重量%~35重量%、又は2.5重量%~30重量%、或いは10~30重量%のEVAコポリマーを含み;120℃より高いTg値を有し;100J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有し;そして、本明細書に記載する手順を用いて240℃のバレル温度において測定して少なくとも38センチメートル(15インチ)のスパイラルフロー値を有する溶融加工可能なセルロースエステル組成物が記載される。
【0016】
[0016]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物の全重量を基準として15重量%以下の可塑剤、又は10重量%以下の可塑剤を含み;セルロースエステル組成物の全重量を基準として1重量%~35重量%、又は2.5重量%~30重量%、或いは10~30重量%のEVAコポリマーを含み;120℃より高いTg値を有し;100J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有し;そして、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度を有する溶融加工可能なセルロースエステル組成物が記載される。
【0017】
[0017]本発明の一態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類のEVAコポリマー、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むポリマーベースの樹脂であって、セルロースエステルはCAPであり、樹脂は0~5重量%、0~2重量%、又は0~1重量%の可塑剤を含む上記樹脂が提供される。一態様においては、セルロースエステルはCAPであり、樹脂は可塑剤を含まない。一態様においては、セルロースエステルはCAPであり、EVAは未変性であり、樹脂は可塑剤を含まず、5重量%未満、又は2重量%未満の任意の他の添加剤を含む。
【0018】
[0018]本発明の他の態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、及び少なくとも1種類のEVAコポリマー、並びに場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含み、セルロースエステルはCABであり、0~5重量%、0~2重量%、又は0~1重量%の可塑剤を含む、セルロースエステル組成物が提供される。一態様においては、セルロースエステルはCABであり、樹脂は可塑剤を含まない。一態様においては、セルロースエステルはCABであり、EVAは未変性であり、樹脂は可塑剤を含まず、5重量%未満、又は2重量%未満の任意の他の添加剤を含む。
【0019】
[0019]幾つかの態様においては、セルロースエステル樹脂は、少なくとも1つのセルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートイソブチレート(CAIB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択される。幾つかの態様においては、樹脂は、25重量%未満、又は20重量%未満、又は15重量%未満、又は10重量%未満、或いは5重量%未満の、樹脂とセルロースエステルとの連続バインダー相に寄与する任意の他の1種類又は複数のポリマーを含むか、又は含まない。例えば、EVAはセルロースエステル樹脂内に分散相として存在し、樹脂とセルロースエステルとの連続バインダー相には寄与しない。
【0020】
[0020]幾つかの態様においては、セルロースエステル樹脂は、少なくとも1つのセルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートイソブチレート(CAIB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択され、6.0より高い相対粘度を有する。幾つかの態様においては、セルロースエステル樹脂は、6.0より高い相対粘度を有する個々のグレードであってよく、或いはより低い相対粘度(即ち<6.0)を有する1以上のグレード及びより高い相対粘度(即ち>6.0)を有する少なくとも1つのグレードを有するセルロースエステルのブレンドであってよい。一態様においては、セルロースエステル樹脂は、より低い相対粘度(即ち<6.0)を有する1以上のグレード及びより高い相対粘度(即ち>6.0)を有する少なくとも1つのグレードを有するセルロースエステルのブレンドであってよく、このブレンドによって6.0より高い平均相対粘度がもたらされる。相対粘度は、アセトン中の2%のセルロースエステル溶液に関して求められ、25℃の温度において測定される。
【0021】
[0021]幾つかの態様においては、6.0より高い相対粘度を有するセルロースエステルは、ポリマーの全重量を基準として約15~約57重量%のブチリルを含むセルロースアセテートブチレートから選択することができる。幾つかの態様においては、6.0より高い相対粘度を有するセルロースエステルは、ポリマーの全重量を基準として約15~約52重量%のプロピオニルを含むセルロースアセテートプロピオネートから選択することができる。
【0022】
[0022]幾つかの態様においては、セルロースエステル樹脂は、2.5未満の相対粘度を有する少なくとも1つのセルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートイソブチレート(CAIB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択される。幾つかの態様においては、セルロースエステル樹脂は、2.5より低い相対粘度を有する個々のグレードであってよく、或いはより高い相対粘度(即ち2.5より高い)を有する1以上のグレード及び2.5未満の相対粘度を有する少なくとも1つのグレードを有するセルロースエステルのブレンドであってよい。一態様においては、セルロースエステル樹脂は、より高い相対粘度(即ち2.5より高い)を有する1以上のグレード及びより低い相対粘度(即ち2.5未満)を有する少なくとも1つのグレードを有するセルロースエステルのブレンドであってよく、このブレンドによって2.5より低い平均相対粘度がもたらされる。相対粘度は、アセトン中の2%のセルロースエステル溶液に関して求められ、25℃の温度において測定される。幾つかの態様において、セルロースエステルが2.5未満の相対粘度を有する場合には、セルロースエステル組成物/樹脂は、より高い相対粘度を有するセルロースエステル組成物と比べて同等のTgにおいて減少した溶融粘度(又は増加した溶融流動性)を有し得る。
【0023】
[0023]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、ポリマーの全重量を基準として15重量%より高いプロピオニル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート(CAP)である。幾つかの態様においては、セルロースエステルは、CAPポリマーの全重量を基準として49%より高いプロピオニル含量(66%より高いプロピオン酸含量)を有するセルロースアセテートプロピオネート(CAP)である。幾つかの態様においては、セルロースエステルは、CAPポリマーの全重量を基準として38%未満のプロピオニル含量(50%未満のプロピオン酸含量)を有するセルロースアセテートプロピオネート(CAP)である。
【0024】
[0024]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、ポリマーの全重量を基準とし
て15重量%より高いブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート(CAB)である。幾つかの態様においては、セルロースエステルは、CABポリマーの全重量を基準として40%より高いブチリル含量(50%より高い酪酸含量)を有するセルロースアセテートブチレート(CAB)である。幾つかの態様においては、セルロースエステルは、CABポリマーの全重量を基準として32%未満のブチリル含量(40%未満の酪酸含量)、又は15~32重量%の間の範囲のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート(CAB)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0025]本発明の一態様においては、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類のEVAコポリマー、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物が提供される。
【0026】
[0026]幾つかの態様においては、本発明において用いるセルロースエステルは、十分な含量のC3~C10酸の塩又はエステル基を有する任意のセルロースエステルであってよい。本発明のために用いることができるセルロースエステルは、一般に構造:
【0027】
【0028】
(式中、R1、R2、及びR3は、独立して、水素、又は2~10個の炭素原子を有する直鎖アルカノイルからなる群から選択される)
の繰り返し単位を含む。セルロースエステルに関しては、置換レベルは通常は無水グルコース単位(AGU)あたりの非OH置換基の平均数である置換度(DS)で表される。一般に、従来のセルロースは、置換することができるそれぞれのAGU単位中に3つのヒドロキシル基を含み;したがってDSは0~3の間の値を有し得る。しかしながら、低分子量セルロース混合エステルは、末端基の寄与のために3よりも僅かに高い全置換度を有し得る。天然のセルロースは、パルプ化及び精製の後においても250~5,000の重合度を有する大型の多糖であり、したがって最大DSは3.0であるという前提はぼぼ正しい。しかしながら、低分子量のセルロース混合エステルのように重合度が低下するにつれて、多糖骨格の末端基は相対的により有意になり、これにより3.0を超える範囲であり得るDSがもたらされる。低分子量セルロース混合エステルは、本明細書において下記でより詳細に議論する。DSは統計平均値であるので、1の値は全てのAGUが単一の置換基を有することを示している訳ではない。幾つかの場合においては、非置換の無水グルコース単位が存在し、幾つかは2つ、幾つかは3つの置換基を有している可能性があり、通常はこの値は非整数である。全DSは、無水グルコース単位あたりの全部の置換基の平均数として定義される。AGUあたりの置換度はまた、例えばヒドロキシル、アセチル、ブチリル、又はプロピオニルのような特定の置換基を指す場合もある。
【0029】
[0027]幾つかの態様においては、用いるセルロースエステルは、セルローストリエステル又は第2級セルロースエステルであってよい。セルローストリエステルの例としては、
セルローストリプロピオネート又はセルローストリブチレートが挙げられるが、これらに限定されない。第2級セルロースエステルの例としては、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
【0030】
[0028]本発明の一態様においては、セルロースエステルは、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルロースアセテートイソブチレート(CAIB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)など、又はこれらの組合せから選択することができる。幾つかのセルロースエステルの例は、米国特許1,698,049;1,683,347;1,880,808;1,880,560;1,984,147;2,129,052;及び3,617,201(本明細書中の記述と矛盾しない範囲でそれらの全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、セルロースエステルはCAPである。
【0031】
[0029]本発明の一態様においては、セルロースエステルは、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートイソブチレート(CAIB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択することができるが、セルロースアセテート(CA)からは選択されない。
【0032】
[0030]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、アセトン中のセルロースエステルの2重量%溶液に関して25℃の温度において測定して6.0より高く約9.0まで、又は約6.1~約8.5の相対粘度(ηrel)を有していてよい。相対粘度は、その中にポリマーが溶解する溶媒に対するポリマー溶液の流出時間の比である。本発明による相対粘度は次のようにして求めることができる。毛細管タイプの粘度計(CANNONミニPV-HX)を用い、ASTM-D4603にしたがって試料の相対粘度を測定する。セルロースエステルの例としては、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートイソブチレート(CAIB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
[0031]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステルは、セルロースエステルポリマーの全重量を基準として、重量基準で15~52%、又は20~52%、又は25~52%、又は30~52%、又は35~52%、又は40~52%、又は45~52%、又は49~52%、又は15~50%、又は20~50%、又は25~50%、又は30~50%、又は35~50%、又は40~50%、又は45~50%、15乃至50%未満、又は20乃至50%未満、又は25乃至50%未満、又は30乃至50%未満、又は35乃至50%未満、又は40乃至50%未満、又は45乃至50%未満、又は35乃至50%未満、又は40乃至50%未満、又は45乃至50%未満、又は15~38%、又は20~38%、又は25~38%、又は30~38%、又は35~38%、又は15~35%、又は20~35%、又は25~35%、又は30~35%、又は15~30%、又は20~30%、或いは25~30%の範囲のプロピオニルの全パーセントを有する。
【0034】
[0032]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステルは、セルロースエステルポリマーの全重量を基準として、重量基準で15~57%、又は20~57%、又は25~57%、又は30~57%、又は35~57%、又は40~57%、又は40%より多
く57%まで、又は41~57%、又は45~57%、又は50~57%、又は15~55%、又は20~55%、又は25~55%、又は30~55%、又は35~55%、又は40~55%、又は40%より多く55%まで、又は41~55%、又は45~55%、又は50~55%、15~50%、又は20~50%、又は25~50%、又は30~50%、又は35~50%、又は40~50%、又は40%より多く50%まで、又は41~50%、又は45~50%、又は15~45%、又は20~45%、又は25~45%、又は30~45%、又は35~45%、又は40~45%、又は40%より多く45%まで、又は41~45%、又は15~35%、又は20~35%、又は25~35%、又は30~35%、又は15%乃至32%未満、又は20%乃至32%未満、又は25%乃至32%未満、又は15~30%、又は20~30%、又は25~30%の範囲のブチリルの全パーセントを有する。
【0035】
[0033]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、ポリマーの全重量のパーセントとして15%~55%、又は15%~50%、又は15%~45%、又は15%~40%、又は15%~35%、又は15%~30%、又は15%~25%、又は15%~20%、又は20%~55%、又は20%~50%、又は20%~45%、又は20%~40%、又は20%~35%、又は20%~30%、又は20%~25%、又は25%~55%、又は25%~50%、又は25%~45%、又は25%~40%、又は25%~35%、又は25%~30%、又は30%~55%、又は30%~50%、又は30%~45%、又は30%~40%、又は30%~35%、又は35%~55%、又は35%~50%、又は35%~45%、又は35%~40%、40%~55%、又は40%~50%、又は40%~45%、又は40%~55%、又は40%~55%、又は40%~55%、又は40%~45%、又は45%~55%、又は45%~50%、或いは50%~55%の範囲のプロピオネートとブチリルの合計の含量を有するセルロースプロピオネートブチレート又はセルロースアセテートプロピオネートブチレートである。
【0036】
[0034]セルロースエステルは、当該技術において公知の任意の方法によって製造することができる。セルロースエステルを製造する方法の例は、Kirk-Othmer, Encyclopedia of
Chemical Technology, 5版, vol.5, Wiley-Interscience, New York (2004), pp.394-444において教示されている。セルロースエステルを製造するための出発物質であるセルロ
ースは、中でもコットンリンター、軟木パルプ、硬木パルプ、トウモロコシ繊維、及び他の農業原料物質、及びバクテリアセルロースからのような異なるグレード及び供給源で得ることができる。
【0037】
[0035]セルロースエステルを製造する1つの方法は、セルロースを適当な有機酸、酸無水物、及び触媒と混合することによるセルロースのエステル化である。セルロースは次に、セルローストリエステルに転化される。次に、セルローストリエステルに水-酸混合物を加えることによってエステルの加水分解を行い、これを次に濾過してゲル粒子又は繊維を除去することができる。次に、混合物に水を加えてセルロースエステルを沈澱させる。次に、セルロースエステルを水で洗浄して反応副生成物を除去し、次に脱水及び乾燥を行うことができる。
【0038】
[0036]加水分解するセルローストリエステルは、2~10個の炭素原子を有するアルカノイルから独立して選択される3つの置換基を有していてよい。セルローストリエステルの例としては、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、及びセルローストリブチレート、又はセルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートのようなセルロースの混合トリエステルが挙げられる。これらのセルロースエステルは、当業者に公知の数多くの方法によって製造することができる。例えば、セルロースエステルは、セルロースを、カルボン酸と無水物の混合物中において、H2SO4のような触媒の存在下で不均一アシル化することによって製造することができる。セルロ
ーストリエステルはまた、LiCl/DMAc又はLiCl/NMPのような適当な溶媒中に溶解したセルロースの均一アシル化によって製造することもできる。
【0039】
[0037]セルロースをトリエステルにエステル化した後、アシル置換基の一部を加水分解又はアルコリシスによって除去して、第2級セルロースエステルを与えることができる。上述したように、用いる特定の方法によって、アシル置換基の分布はランダム又は非ランダムであり得る。第2級セルロースエステルはまた、限定量のアシル化試薬を用いることによって、加水分解を行わずに直接製造することもできる。このプロセスは、セルロースを溶解する溶媒中で反応を行う場合に特に有用である。これらの方法の全てを用いて、本発明において有用なセルロースエステルが生成する。
【0040】
[0038]最も通常的な商業的第2級セルロースエステルは、まずセルロースを酸接触不均一アシル化してセルローストリエステルを形成することによって製造される。セルローストリエステルの対応するカルボン酸中の均一な溶液が得られた後、セルローストリエステルを次に所望の置換度が得られるまで加水分解にかける。単離した後、ランダムな第2級セルロースエステルが得られる。即ち、それぞれのヒドロキシルにおける相対置換度(RDS)はほぼ同等である。
【0041】
[0039]本発明において有用なセルロースエステルの幾つかの例は、当該技術において公知の技術を用いて製造することができ、Eastman Chemical Company, Kingsport, TN,米国から得ることができ、例えばEastman(登録商標)セルロースアセテートプロピオネート
CAP482-20、Eastman(登録商標)セルロースアセテートプロピオネートCAP141-20
、Eastman(登録商標)セルロースアセテートブチレートCAB381-20、及びセルロース
アセテートブチレートCAB171-15である。幾つかの一般的なセルロースエステルの例を、示されている相対粘度の値と一緒に下表1に示す。幾つかの態様においては、(表1に示すような)6.0より高い相対粘度を有する一般的なセルロースエステルを本発明において用いることができる。幾つかの他の態様においては、(表1に示すような)6.0より高いか又はそれ未満の相対粘度を有する異なる一般的なセルロースエステルの組合せを用いることができる。
【0042】
[0040]
【0043】
【0044】
[0041]幾つかの態様においては、(例えば表1に示すような)6.0未満の相対粘度を有するセルロースエステルを用いることができる。幾つかの他の態様においては、(例えば表1に示すような)6.0より高い相対粘度を有するグレードと6.0未満の相対粘度を有するグレードの異なる一般的なセルロースエステルのグレードの組合せを用いることができる。6.0未満の相対粘度を有するセルロースエステルとEVAコポリマーを含む幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、120℃より高く、又は130℃より高く、或いは140℃より高いTg;及び150J/m未満、又は125J/m未満、或いは100J/m未満のアイゾッド衝撃値が必要な用途のために提供することができる。6.0未満の相対粘度を有するセルロースエステルとEVAコポリマーを含む幾つかの他の態様においては、セルロースエステル組成物は、100℃より高く、又は110℃より高く、或いは120℃より高いTg;及びより高い相対粘度を有するセルロースエステルを用いる場合と比べてより高い溶融流動性(又は低い溶融粘度)が必要な用途のために提供することができ、この場合には、セルロースエステル組成物は本明細書で議論するタイプ及び量の可塑剤を更に含む。一態様においては、可塑剤は、主として、又は実質的に、或いは完全にセルロースエステル組成物のEVAコポリマー不連続相中に含まれ、連続セルロースエステルポリマー連続相中には(場合による微量を除いて)含まれないタイプである。
【0045】
[0042]幾つかの態様においては、2.5未満の相対粘度を有するセルロースエステルを用いることができる。幾つかの他の態様においては、2.5未満の相対粘度を有するグレードと2.5より高い相対粘度を有するグレードの異なるセルロースエステルのグレードの組合せを用いることができる。2.5未満の相対粘度を有するセルロースエステルとEVAコポリマーを含む幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、120℃より高く、又は130℃より高く、或いは140℃より高いTg;及びより高い相対粘度を有するセルロースエステルと比べてより低い溶融粘度(又はより高い溶融流動性)が必要な用途のために提供することができる。
【0046】
[0043]幾つかの態様においては、本発明において用いるセルロースエステルはまた、化学官能基を含んでいてもよく、これらは誘導体化、変性、又は官能化セルロースエステルのいずれかとしてここに記載する。官能化セルロースエステルは、セルロースエステルの
遊離ヒドロキシル基を、セルロースエステルにグラフトするための1つの連結基、及びセルロースエステルに新しい化学基を与えるための1つの官能基を有する二官能性反応物質と反応させることによって製造することができる。かかる二官能性反応物質の例としては、エステル結合によって連結し、酸官能基を与える無水コハク酸;アルコキシシラン結合によって連結し、メルカプト官能基を与えるメルカプトシラン;及びウレタン結合によって連結し、メタクリレート官能基を与えるイソシアナトエチルメタクリレートが挙げられる。
【0047】
[0044]本発明の一態様においては、官能化セルロースエステルは、セルロースエステルの遊離ヒドロキシル基を、不飽和(二重結合)、カルボン酸、アセトアセテート、アセトアセテートイミド、メルカプト、メラミン、及び長鎖アルキル鎖からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するセルロースエステルを生成する二官能性反応物質と反応させることによって製造される。
【0048】
[0045]不飽和(二重結合)官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許4,839,230;5,741,901;5,871,573;5,981,738;4,147,603;4,758,645;及び4,861,629(これらは全て、本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、不飽和を含むセルロースエステルは、残留ヒドロキシル基を含むセルロースエステルを、アクリル系化合物及びm-イソプロピエニル-α,α’-ジメチルベンジルイソシアネートと反応させることによって製造される。グラフト化セルロースエステルは、懸垂(メタ)アクリレート及びα-メチルスチレン基を有するウレタン含有生成物である。他の態様においては、不飽和を含むセルロースエステルは、無水マレイン酸とセルロースエステルを、低級アルキルモノカルボン酸のアルカリ土類金属又はアンモニウム塩の触媒、及び2~4個の炭素原子を有する少なくとも1種類の飽和モノカルボン酸の存在下で反応させることによって製造される。他の態様においては、不飽和を含むセルロースエステルは、(a)イソシアネート反応性ヒドロキシル官能基を有する少なくとも1種類のセルロースポリマーと、(b)少なくとも1種類のヒドロキシル反応性ポリ(α,β-エチレン性不飽和)イソシアネートの反応生成物から製造される。
【0049】
[0046]カルボン酸官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,384,163;5,723,151;及び4,758,645(これらは全て、本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、カルボン酸官能基を含むセルロースエステルは、セルロースエステルとマレイン酸又はフマル酸のモノ又はジエステルを反応させて、それによって二重結合官能基を有するセルロース誘導体を得ることによって製造される。他の態様においては、カルボン酸官能基を含むセルロースエステルは第1及び第2の残基を有し、第1の残基は環状ジカルボン酸無水物の残基であり、第2の残基は親油性モノカルボン酸の残基及び/又は親水性モノカルボン酸の残基である。更に他の態様においては、カルボン酸官能基を含むセルロースエステルはセルロースアセテートフタレートであり、これはセルロースアセテートを無水フタル酸と反応させることによって製造することができる。
【0050】
[0047]アセトアセテート官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,292,877(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、アセトアセテート官能基を含むセルロースエステルは、(i)セルロース;(ii)ジケテン、アルキルアセトアセテート、2,2,6-トリメチル-4H-1,3-ジオキシン-4-オン、又はこれらの混合物;及び(iii)塩化リチウムと、1-メチル-2-ピロリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド、又はこれらの混合物からなる群から選択されるカルボキサミドを
含む可溶化量の溶媒系;を接触させることによって製造される。
【0051】
[0048]アセトアセテートイミド官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許6,369,214(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。アセトアセテートイミド官能基を含むセルロースエステルは、セルロースエステル、及び少なくとも1種類のアセトアセチル基、並びに少なくとも1つの第1級アミンを含むアミン官能性化合物の反応生成物である。
【0052】
[0049]メルカプト官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,082,914(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。本発明の一態様においては、セルロースエステルに、商業的に入手できるか、又は当該技術において公知の手順によって製造することができるケイ素含有チオール成分をグラフトする。ケイ素含有チオール化合物の例としては、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)-ジメチル-メトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)ジメトキシメチルシラン、(3-メルカプトプロピル)ジメチルクロロシラン、(3-メルカプトプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)ジエトキシメチルシラン、及び(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
[0050]メラミン官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,182,379(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、メラミン官能基を含むセルロースエステルは、セルロースエステルをメラミン化合物と反応させて、セルロースエステルの無水グルコース環の骨格にメラミン基がグラフトされているグラフト化セルロースエステルを形成することによって製造される。一態様においては、メラミン化合物は、メラミンのメチロールエーテル及びアミノプラスト樹脂からなる群から選択される。
【0054】
[0051]長鎖アルキル鎖官能基を含むセルロースエステルを製造するための二官能性反応物質は、米国特許5,750,677(本明細書中の記述と矛盾しない範囲で参照として本明細書中に包含する)に記載されている。一態様においては、長鎖アルキル鎖官能基を含むセルロースエステルは、カルボキサミド希釈剤又は尿素系希釈剤中のセルロースを、チタン含有種を用いてアシル化剤と反応させることによって製造される。長鎖アルキル鎖官能基を含むセルロースエステルは、セルロースアセテートヘキサノエート、セルロースアセテートノナノエート、セルロースアセテートラウレート、セルロースパルミテート、セルロースアセテートステアレート、セルロースノナノエート、セルロースヘキサノエート、セルロースヘキサノエートプロピオネート、及びセルロースノナノエートプロピオネートからなる群から選択することができる。
【0055】
[0052]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、CAPポリマーの全重量を基準として49%より高いプロピオニル含量(66%より高いプロピオン酸含量)を有するセルロースアセテートプロピオネート(CAP)である。幾つかの態様においては、セルロースエステルは、CAPポリマーの全重量を基準として38%未満のプロピオニル含量(50%未満のプロピオン酸含量)を有するセルロースアセテートプロピオネート(CAP)である。
【0056】
[0053]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、15%~52%、又は15%~45%、又は15%~38%、又は15%~35%、又は15%~30%、又は15%~25%、又は20%~52%、又は20%~45%、又は20%~38%、又は20%~35%、又は20%~30%、又は25%~52%、又は25%~45%、又は25%
~38%、又は25%~35%、又は30%~52%、又は30%~45%、又は30%~38%、又は35%~52%、又は35%~45%、又は35%~38%、又は38%~49%、或いは49%~52%の範囲のプロピオニル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート(CAP)である。
【0057】
[0054]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、CABポリマーの全重量を基準として40%より高いブチリル含量(50%より高い酪酸含量)を有するセルロースアセテートブチレート(CAB)である。幾つかの態様においては、セルロースエステルは、CABポリマーの全重量を基準として32%未満のブチリル含量(40%未満の酪酸含量)を有するセルロースアセテートブチレート(CAB)である。
【0058】
[0055]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、ポリマーの全重量のパーセントとして10%~57%、又は10%~50%、又は10%~45%、又は10%~40%、又は10%~32%、又は10%~25%、又は10%~18%、又は15%~57%、又は15%~50%、又は15%~45%、又は15%~40%、又は15%~32%、又は15%~25%、又は15%~18%、又は20%~57%、又は20%~50%、又は20%~45%、又は20%~40%、又は20%~32%、又は20%~25%、又は25%~57%、又は25%~50%、又は25%~45%、又は25%~40%、又は25%~32%、又は30%~57%、又は30%~50%、又は30%~45%、又は35%~57%、又は35%~50%、又は35%~40%、又は40%~57%、又は40%~50%、又は40%~45%、又は45%~57%、或いは45%~50%の範囲のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート(CAB)である。
【0059】
[0056]幾つかの態様においては、セルロースエステルは、ポリマーの全重量のパーセントとして15%~55%、又は15%~50%、又は15%~45%、又は15%~40%、又は15%~35%、又は15%~30%、又は15%~25%、又は15%~20%、又は20%~55%、又は20%~50%、又は20%~45%、又は20%~40%、又は20%~35%、又は20%~30%、又は20%~25%、又は25%~55%、又は25%~50%、又は25%~45%、又は25%~40%、又は25%~35%、又は25%~30%、又は30%~55%、又は30%~50%、又は30%~45%、又は30%~40%、又は30%~35%、又は35%~55%、又は35%~50%、又は35%~45%、又は35%~40%、40%~55%、又は40%~50%、又は40%~45%、又は40%~55%、又は40%~55%、又は40%~55%、又は40%~45%、又は45%~55%、又は45%~50%、又は50%~55%のプロピオニルとブチリルの合計含量を有するセルロースプロピオネートブチレート又はセルロースアセテートプロピオネートブチレートである。
【0060】
[0057]本発明の幾つかの態様においては、EVAポリマーは、セルロースエステル組成物と適合性の任意のエチレンビニルアセテートゴム材料であってよい。「適合性」とは、EVAポリマーが、良好な透明度を有し、Tgがベースのセルロースエステル(EVAを含まない)と比べて維持され、且つ相当に増加した靱性も有し、好ましくは少なくとも100J/mの23℃におけるアイゾッド衝撃強さを有し、透明で曇りのないセルロースエステル組成物を与えるタイプのものであることを意味する。幾つかの態様においては、EVAポリマーは、得られるセルロースエステル組成物が十分な透明度及び靱性を有するならば、単一の適合性のポリマーグレード、異なるEVA適合性ポリマーグレードのブレンド、適合性のEVAポリマーと非適合性のEVAポリマーの組合せ(例えば、「非適合性」のEVAポリマーを同様の配合物中でそのままで用いる場合)、或いは適合性のEVAポリマーと他の耐衝撃性改良剤の組合せであってよい。幾つかの態様においては、EVAは無水マレイン酸で変性されていない。一態様においては、EVAは任意の他の化学置換基によって変性(例えば官能化又は反応)されていない。EVAは、ビニルアセテート含
量を調節することによって(他の化学置換基で)変性されているとはみなされない。
【0061】
[0058]幾つかの態様においては、エチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマーは、公知の高圧及び中圧プロセスによって、場合によってはt-ブタノールのような溶媒中で製造することができる。幾つかの態様においては、EVAコポリマーは、30~98重量%のビニルアセテート含量を有する。本発明の幾つかの態様においては、適合性のEVAコポリマーは、40重量%乃至80重量%未満、又は40~70重量%の範囲、好ましくは50~65重量%の範囲、或いは50重量%より多く65重量%までのビニルアセテート含量を有する。一態様においては、セルロースエステル組成物は、40~70重量%の範囲、好ましくは50~65重量%の範囲、或いは50重量%より多く65重量%までのビニルアセテート(VA)の組成を有する少なくとも1種類の適合性EVAコポリマーを含む。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物中のかかる適合性EVAコポリマー(40~70重量%、好ましくは50~65重量%、又は50重量%より多く65重量%までのVA含量を有する)の量は、全セルロースエステル組成物を基準として0.5~40重量%、又は1~35重量%、又は2.5~30重量%、又は5~30重量%、又は10~30重量%、又は10重量%より多く30重量%まで、又は12~25重量%、又は15~30重量%、又は15~25重量%、或いは15~20重量%である。
【0062】
[0059]本発明の一態様においては、EVA混合物の重量平均のビニルアセテート含量が40重量%乃至80重量%未満、又は40~70重量%、好ましくは50~65重量%の範囲、又は50重量%より多く65重量%までの範囲である限りにおいて、異なるビニルアセテート含量を有する複数のEVAコポリマーを用いることができる。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物中の適合性EVAコポリマーのこの混合物(40~70重量%、好ましくは50~65重量%の範囲、又は50重量%より多く65重量%までの重量平均VA含量を有する)の全量は、全セルロースエステル組成物を基準として0.5~40重量%、又は1~35重量%、又は2.5~30重量%、又は5~30重量%、又は10~30重量%、又は10重量%より多く30重量%まで、又は12~25重量%、又は15~30重量%、又は15~25重量%、或いは15~20重量%である。幾つかの態様においては、EVA(又はEVAブレンド)は、EVA成分の重量を基準として50~65重量%、又は50重量%より多く65重量%まで、又は51~65重量%、又は52~65重量%、又は53~65重量%、又は51~64重量%、又は51~62重量%、又は51~60重量%、又は52~64重量%、又は52~62重量%、又は52~60重量%、又は53~64重量%、又は53~62重量%、或いは53~60重量%の範囲のVA含量(又は重量平均VA含量)を有する。
【0063】
[0060]幾つかの態様においては、高圧プロセスによって製造されるエチレン/ビニルアセテートコポリマーは、0.1~100g、好ましくは1.0~10g、より好ましくは4.5~6gのメルトインデックス値(DIN53,735にしたがって190℃において2.16kpの荷重下で測定)を有する。テトラリン中120℃において測定される固有粘度は一般に0.6~1.5dL/gである。光散乱法によって求められる絶対分子量は、好ましくは50,000~約100万である。関係式Mw/Mn-1にしたがって規定される不一致係数(inconsistency factor)(U)(G. Shulz, Z., phys. Chem. (B) 43 (1939), P.25-34)は1.6~30である。これらのコポリマーは、好ましくは高温の炭化水素中に可溶である。
【0064】
[0061]例えば溶液重合又は乳化重合によって製造され、30~98重量%、好ましくは0~70重量%のビニルアセテートを含むエチレン/ビニルアセテートコポリマーは、100gを超える場合があるメルトインデックス値(190℃/2.16kp)を有するが、メルトインデックスの範囲は、好ましくは15gより小さく、より特には0.5~5gである。光散乱法によって測定される絶対分子量は、好ましくは40,000~100万
である。不一致係数(U)は1~6である。このコポリマーは、炭化水素及びアルコール中に可溶であり、好ましくは0.5~2.5dL/gのトルエン中の固有粘度を有する。
【0065】
[0062]一態様においては、適合性のEVAコポリマーと共に1種類以上の耐衝撃性改良剤を含ませることができ、幾つかの態様においては、耐衝撃性改良剤は、室温より低いガラス転移温度(Tg)を有するエラストマーとして分類される任意のポリマー材料であってよい。Tgは、例えばASTM-D3418にしたがって、TA2100熱分析装置を用い、20℃/分の走査速度を用いて測定することができる。幾つかのクラスの耐衝撃性改良剤がこの記載に合致する。
【0066】
[0063]一態様においては、耐衝撃性改良剤は、(ここで議論する)EVA成分以外の変性ポリオレフィン(又はオレフィンコポリマー)として知られるクラスの材料から選択することができる。このクラスにおいては、オレフィンを、ポリマーの結晶化を制限する更なるモノマーと共重合して、室温より低いTgを有する鎖の量を増加させ、弾性率を500MPaより低く低下させている。変性オレフィンの例としては、EMA(例としては、Elvaloy 4051、Lotader 3410、及びLotader 8900が挙げられる)、EBA、EEA、EPDM(例としてはRoyaltuf 498が挙げられる)、及びEPRが挙げられる。
【0067】
[0064]一態様においては、耐衝撃性改良剤は、鎖の少なくとも1つのセグメントが室温より低いTgを有し(軟質セグメントと呼ばれる)、鎖の少なくとも1つのセグメントが室温よりも高いTg又はTmを有する(硬質セグメントと呼ばれる)ブロックコポリマーであってよい。これらのブロックコポリマーはまた、一般に熱可塑性エラストマー(TPE)とも呼ばれる。このクラスのブロックコポリマーの例としては、SBS、SEBS、及びSIS(例としては、Kraton G1657MS、Kraton FG1901G、及びKraton FG1924Gが挙げられる)のようなスチレン系材料;熱可塑性ウレタン(TPU)(例としては、Elastolan 1170Z、Estane 2355、Estane ALR-CL87A、及びEstane ALR-72Aが挙げられる);ポリエステル-エーテルコポリマー(例としては、Ecdel 9966及びHytrel 3078が挙げられる)
、又はポリアミド-エーテルコポリマー(例としてはPebax 5533が挙げられる)が挙げられる。
【0068】
[0065]一態様においては、耐衝撃性改良剤は、コア-シェル型耐衝撃性改良剤として知られるエマルジョン形成材料のクラスから選択することができる。一態様においては、耐衝撃性改良剤は、ブタジエン-スチレンコポリマーから形成されるコア、及びメチルメタクリレート-スチレンコポリマーから形成されるシェルを有するメタクリレート-ブタジエン-スチレンのようなMBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤である。他の態様においては、耐衝撃性改良剤は、ブチルアクリレート又はスチレンブチルアクリレートのようなアクリルポリマーから形成されるコア、及びポリメチルメタクリレート又はスチレンメチルメタクリレートコポリマーから形成されるシェルを有するアクリル系コア-シェル型耐衝撃性改良剤である。
【0069】
[0066]幾つかの態様においては、MBS耐衝撃性改良剤には、10~70重量%のブタジエンのポリマー又はコポリマー、並びに第1にメチル(メタ)アクリレート及び架橋剤、第2にスチレン、及び第3にメチル(メタ)アクリレートと場合によっては架橋剤のグラフトを含むグラフトポリマー組成物を含ませることができる。
【0070】
[0067]共役ジオレフィン、好ましくはブタジエンと重合させるのに好適なモノマーとしては、アルケニル芳香族化合物、好ましくはビニル芳香族化合物、例えばスチレン、ジビニルベンゼン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、水素化スチレン;低級(CZ-Cu)アルキルアクリレート、例えばエチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、Z-メチルブチルアクリレート、3-メチルブチルアクリレート
、アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、Z-エチルヘキシルアクリレート;低級(C2~C12)アルキル(メタ)アクリレート;アクリロニトリル;オレフィンなど;或いは上記の任意のものの組合せを挙げることができる。
【0071】
[0068]好適な架橋剤としては、ジビニルベンゼン;ジ(メタ)アクリレート;ジアクリレート、例えばモノ、ジ、若しくはポリエチレングリコールのジアクリレート;それらの(メタ)アクリレート;ジビニルスルフィド;ジビニルエーテル;ビニルアクリレート;ビニル(メタ)アクリレート;トリビニルベンゼン;トリメチロールプロパン;トリ(メタ)アクリレート;トリアリルシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレートが挙げられる。
【0072】
[0069]一態様においては、MBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤に、ブタジエンとスチレンのコポリマー、最も好ましくはブタジエン、スチレン、及びジビニルベンゼンのターポリマーを含ませることができる。コポリマー基材を構成するモノマーの相対量は変化してよいが、ブタジエン、スチレン、及びジビニルベンゼンの合計の100重量部を基準として、ブタジエン成分は通常は約30~100重量部を構成し、スチレン成分は0~約70重量部を構成し、ジビニルベンゼン成分は0~約5重量部を構成する。一態様においては、コポリマー基材に、同じ基準で、約50~約90重量部のブタジエン、約10~約50重量部のスチレン、及び0~約5重量部のジビニルベンゼン、最も好ましくは同じ基準で、約65~約85重量部のブタジエン、約15~約35重量部のスチレン、及び約0.5~約2.0重量部のジビニルベンゼンを含ませることができる。
【0073】
[0070]メタクリレート-ブタジエン-スチレンコアシェルポリマーの例は、特許US-4,446,585、US-5,534,594、及びUS-6,331,580に記載されているものであるが、これらに限定されない。MBSコア-シェル型耐衝撃性改良剤は、KanekaからKane Ace B564として、ArkemaからClearstrengthとして、Mitsubishi ChemicalからMetablen C及びMetablen Eとして、DowからParaloidとして、及びEvonikからVisiomerとして入手することができる。
【0074】
[0071]本発明の一態様においては、コア-シェル型耐衝撃性改良剤は、約75~99.8重量%の(C1~C6)アルキルアクリレート、0.1~5重量%の架橋性モノマー、及び0.1~5重量%のグラフト連結性モノマーを含むモノマー系から重合される第1のエラストマー相約25~95重量%、及びかかるエラストマー相の存在下で重合されるエポキシ基を含まない最終剛性熱可塑性相約75~5重量%を含むアクリル系耐衝撃性改良剤である。
【0075】
[0072]有用なアクリレートの例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートなどである。幾つかの態様においては、アクリレートはn-ブチルアクリレート及びエチルアクリレートである。
【0076】
[0073]グラフト連結性モノマーは、高反応性二重結合及びより低い反応性の二重結合の両方を有し、高反応性二重結合が第1段階のモノマーの重合中に重合して、次の段階の重合中に重合するための残留する二重結合を残して、それによって第1段階ポリマーに第2段階ポリマーをグラフト結合させる傾向を有するポリエチレン性不飽和モノマーとして定義される。幾つかの態様においては、グラフト連結性モノマーは、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、及びジアリルマレエートである。一態様においては、第1段階モノマー系を基準として0.05~3%のグラフト連結性モノマーを存在させる。また、好ましくは架橋性モノマーも、一般に第1段階モノマー系を基準として約0.05~3重量%の量で存在させ、これは、第1段階重合において架橋を引き起こすようにほぼ同等の反応性の少なくとも2つの二重結合を有するポリエチレン性不飽和モノマーとして定義され
る。代表的な架橋性モノマーの例は、1,3-ブチレンジアクリレート、1,3-ブチレンジメタクリレート、ジビニルベンゼンなどである。
【0077】
[0074]「エポキシ官能基」とは、最終段階ポリマーから懸垂しているエポキシ単位を意味する。幾つかの態様においては、エポキシ官能基は、最終段階モノマー混合物中においてグリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのようなエポキシ含有モノマーを用いることによって最終段階ポリマー中に導入される。
【0078】
[0075]アクリルコアシェルポリマーの例は、特許US-3,448,173、US-3,655,825、及びUS-3,853,968に記載されているものであるが、これらに限定されない。好適なアクリル系耐衝撃性改良剤の例は、KanekaからのKane Ace ECO100、ArkemaからのDurastrength、DuPontからのElvaloy及びElvaloy HP、Mitsubishi ChemicalからのMetablen W、並びにDowからのParaloidである。
【0079】
[0076]この態様の1つのクラスにおいては、耐衝撃性改良剤は、ブタジエン-スチレンコポリマーから形成されるコア、及びアクリロニトリル-スチレンコポリマーから形成されるシェルを有するABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤である。ABSコア-シェル型耐衝撃性改良剤の例としては、Galata ChemicalsからのBlendex、及びElix PolymersからのElixが挙げられる。
【0080】
[0077]この態様の1つのクラスにおいては、耐衝撃性改良剤は、シリコーン-アクリルゴムから形成されるコア、及びPMMAコポリマー又はメチルメタクリレート-スチレンコポリマーから形成されるシェルを有するシリコーン-アクリル系コアシェル型耐衝撃性改良剤である。シリコーン-アクリル系コアシェル型耐衝撃性改良剤の例としては、Mitsubishi Chemical CompanyからのMetablen Sが挙げられる。
【0081】
[0078]一態様においては、耐衝撃性改良剤は中性の酸性度を有する。これは、組成物の溶融加工中にセルロースエステルが分解するのを阻止するのを助けると考えられる。
[0079]一態様においては、耐衝撃性改良剤は、非反応性の耐衝撃性改良剤、又は反応性の耐衝撃性改良剤のいずれか、或いは両方の組合せであってよい。用いる耐衝撃性改良剤はまた、セルロースエステル組成物の機械的及び物理的特性を向上させることもできる。
【0082】
[0080]一態様において、非反応性の耐衝撃性改良剤を用いる場合には、耐衝撃性改良剤は、他のポリマー鎖セグメントよりもセルロースエステルと化学的又は物理的により適合性である第1のポリマー鎖セグメントを含む。一態様においては、第1のセグメントは、エーテル、エステル、アミド、アルコール、アミン、ケトン、及びアセタールのような極性官能基など(しかしながらこれらに限定されない)の、セルロースエステルとの適合性を与える極性官能基を含む。適合性は、第2のセグメントに対して優先的な第1のポリマー鎖セグメントとセルロースエステルポリマーとの相互作用によって定義され、分子スケール又はミクロスケールの相互作用を意味し得る。第1のセグメントは、次のもの:セルロースエステル;セルロースエーテル;ポリオキシアルキレン、例えばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン;ポリグリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール;ポリエステル、例えばポリカプロラクトン、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、脂肪族-芳香族コポリエステル;ポリアクリレート及びポリメタクリレート;ポリアセタール;ポリビニルピロリドン;ポリエチレンビニルアセテート;ポリビニルアセテート;及びポリビニルアルコール;のオリゴマー又はポリマーから構成することができる。一態様においては、第1のセグメントは、ポリエチレンビニルアセテート;ポリオキシエチレン、又はポリビニルアルコールである。
【0083】
[0081]幾つかの態様においては、第2のセグメントは、飽和又は不飽和のいずれかの炭化水素基であってよく、或いは飽和及び不飽和炭化水素基の両方を含んでいてよい。第2のセグメントは、オリゴマー又はポリマーであってよい。本発明の一態様においては、非反応性耐衝撃性改良剤の第2のセグメントは、ポリオレフィン、ポリジエン、芳香族ポリマー、及びコポリマーからなる群から選択される。芳香族ポリマーの第2のセグメントの例はポリスチレンである。コポリマーの第2のセグメントの例はスチレン/ブタジエンコポリマーである。
【0084】
[0082]非反応性耐衝撃性改良剤の第1及び第2のセグメントは、ジブロック、トリブロック、分岐、又は櫛型構造であってよい。非反応性耐衝撃性改良剤の重量平均の分子量(Mw)は、約300~約20,000、又は約500~約10,000、或いは約1,000~約5,000の範囲であってよい。非反応性耐衝撃性改良剤のセグメント比は、約15~約85%の極性の第1のセグメント/約15~約85%の非極性の第2のセグメントの範囲であってよい。
【0085】
[0083]非反応性耐衝撃性改良剤の例としては、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸、ポリエチレンビニルアセテート、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックポリマー、エチレン/プロピレンターポリマー、官能化ポリオレフィン、ポリグリセロールエステル、多糖エステル、及びソルビタンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。エトキシル化アルコールの例は、C11~C15第2級アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、及びエチレンオキシドでエトキシル化されているC12~C14天然線状アルコールである。C11~C15第2級アルコールエトキシレートは、Dow Chemical CompanyからDow Tergitol(登録商標)15Sとして入手することができる
。ポリオキシエチレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルは、ICI SurfactantsからBrij(登録商標)シリーズの製品で入手することができる。エチレン
オキシドでエトキシル化されているC12~C14天然線状アルコールは、Hoechst CelaneseからGenapol(登録商標)シリーズの製品で入手することができる。エトキシル化ア
ルキルフェノールの例としては、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール及びノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールが挙げられる。オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールは、RhodiaからIgepal(登録商標)CAシリーズの製品として入手することができ、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールは、RhodiaからIgepal COシリーズの製品としてか、或いはDow Chemical CompanyからTergitol(登録商標)NPとして入手することができる。エトキシル化脂肪酸としては、Henkel
からNopalcol(登録商標)シリーズの製品で入手することができるポリエチレングリコールモノステアレート又はモノラウレートを挙げることができる。プロピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックポリマーは、BASFからPluronic(登録商標)シリーズの製品で入手することができる。ポリグリセロールエステルは、StepanからDrewpol(登録商標)
シリーズの製品で入手することができる。多糖エステルは、HenkelからGlucopon(登録商標)シリーズの製品(これはアルキルポリグルコシドである)で入手することができる。ソルビタンエステルは、ICIからTween(登録商標)シリーズの製品で入手することができる。
【0086】
[0084]本発明の他の態様においては、非反応性耐衝撃性改良剤は、セルロースエステル適合性の化合物を反応させることによってセルロースエステル組成物中でin situで合成
することができる。これらの化合物は、例えば、それらの反応性末端基によって更なる重合又は他の反応を開始することができるプレポリマーとして定義されるテレケリックオリゴマーであってよい。本発明の一態様においては、これらのin situの耐衝撃性改良剤は
、約10,000~約1,000,000のより高い重量平均の分子量(Mw)を有し得る。
【0087】
[0085]本発明の他の態様においては、耐衝撃性改良剤は反応性であってよい。反応性の耐衝撃性改良剤には、組成物の1つの成分と適合性のポリマー又はオリゴマー、及び組成物の他の成分と反応することができる官能基を含ませることができる。幾つかの態様においては、用いることができる2つのタイプの反応性耐衝撃性改良剤が存在する。第1の反応性耐衝撃性改良剤は、セルロースエステルと適合性の炭化水素鎖を有し、セルロースエステルと反応することができる官能基も有する。かかる官能基としては、カルボン酸、無水物、酸塩化物、エポキシド、及びイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。このタイプの反応性耐衝撃性改良剤の具体例としては、長鎖脂肪酸、例えばステアリン酸(オクタデカン酸);長鎖脂肪酸塩化物、例えばステアロイルクロリド(オクタデカノイルクロリド);長鎖脂肪酸無水物、例えば無水ステアリン酸(無水オクタデカン酸);エポキシ化油脂エステル;スチレン無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸グラフトポリプロピレン;無水マレイン酸とオレフィン及び/又はアクリル酸エステルのコポリマー、例えばエチレン、アクリル酸エステル、及び無水マレイン酸のターポリマー;並びに、グリシジルメタクリレートとオレフィン及び/又はアクリル酸エステルのコポリマー、例えばエチレン、アクリル酸エステル、及びグリシジルメタクリレートのターポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
[0086]反応性耐衝撃性改良剤は、Sartomer/Cray ValleyからのSMA(登録商標)3000スチレン無水マレイン酸コポリマー、Eastman Chemical CompanyからのEastman G-3015(登録商標)無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、Westlake Chemicalから得られるEpolene(登録商標)E-43無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、Arkemaから得られるエチレン、アクリル酸エステル、及び無水マレイン酸のLotader(登録商標)MAH 8200ランダム
ターポリマー、エチレン、アクリル酸エステル、及びグリシジルメタクリレートのLotader(登録商標)GMA AX8900ランダムターポリマー、及びエチレン、アクリル酸エステル、
及びグリシジルメタクリレートのLotarder(登録商標)GMA AX8840ランダムターポリマーとして入手することができる。
【0089】
[0087]反応性ポリオレフィン耐衝撃性改良剤は、Lotader、Fusabond、Elvloy PTW、Lotryl、Elvaloy AC、InterLoyとして入手することができる。
[0088]反応性耐衝撃性改良剤の第2のタイプは、セルロースエステルと適合性の極性鎖を有し、セルロースエステルと反応することができる官能基も有する。これらのタイプの反応性耐衝撃性改良剤の例としては、オレフィン官能基又はチオール官能基を有するセルロースエステル又はポリエチレングリコールが挙げられる。オレフィン官能基を有する反応性ポリエチレングリコール耐衝撃性改良剤としては、ポリエチレングリコールアリルエーテル及びポリエチレングリコールアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。チオール官能基を有する反応性ポリエチレングリコール耐衝撃性改良剤の例としては、ポリエチレングリコールチオールが挙げられる。反応性セルロースエステル耐衝撃性改良剤の例としては、メルカプトアセテートセルロースエステルが挙げられる。
【0090】
[0089]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物中の耐衝撃性改良剤の量は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約1重量%~約15重量%、又は約5重量%~約10重量%の範囲であってよい。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、55~98重量%の少なくとも1種類のセルロースエステル、好ましくはCAP;1~30重量%の少なくとも1種類のEVAコポリマー、好ましくは40~70重量%、好ましくは50~65重量%、又は50重量%より多く65重量%までのVA含量を有するEVA、或いは(異なるVA含量を有する)EVAのブレンド(ブレンドは45~65重量%、又は50~65重量%、或いは50重量%より多く65重量%までの平均VA含量を有する);及び1~15重量%の少なくとも1種類の耐衝撃性改良剤、好ましくはコア-シェル型耐衝撃性改良剤;を含む。
【0091】
[0090]一態様においては、セルロースエステル及びEVAコポリマーの組成物は透明であり、ASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して70%~95%、又は75%~95%、又は80%~95%、又は85%~95%、又は90%~95%、又は70%~90%、又は75%~90%、又は80%~90%、或いは85%~90%の範囲の透過率を有する。この態様の1つのクラスにおいては、EVAコポリマーを含むセルロースエステル組成物は、10%未満の曇り度%を有する。幾つかの態様においては、EVAポリマーを含むセルロースエステル組成物は、8%未満、又は6%未満、或いは5%未満の曇り度%を有する。
【0092】
[0091]他の態様においては、EVAコポリマーの屈折率(RI)は、高い透過率及び低い曇り度を有する組成物を与えるのに十分にセルロースエステルのものに近接している。一態様においては、EVAコポリマーは、約1.46~1.48のセルロースエステルのRIに近いRIを有していて、透明な組成物を与える。幾つかの態様においては、EVAコポリマーとセルロースエステル成分は、約0.006~約-0.0006の屈折率の差:RI(第2の成分)-RI(第1の成分)(例えばCEのRI-EVAのRI)を有しており、ブレンドは、少なくとも75%の透過率%、及び10%以下、より好ましくは5%以下の曇り度を有する。
【0093】
[0092]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物中のEVAコポリマーの量は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約0.5重量%~約40重量%、又は約1重量%~約35重量%、又は約2.5重量%~約30重量%、又は約5重量%~約25重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約5重量%~約15重量、又は約5重量%~約10重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約10重量%~約25重量%、又は約10重量%~約20重量%、又は約10重量%~約15重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は10重量%より多く約25重量%まで、又は10重量%より多く約20重量%まで、或いは10重量%より多く約15重量%までの範囲であってよい。
【0094】
[0093]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物は、少なくとも1種類の更なるポリマー成分を、全セルロースエステル組成物を基準として5~95重量%の量で(セルロースエステルとの)ブレンドとして更に含む。更なるポリマー成分の好適な例としては、ナイロン;ポリエステル;ポリアミド;ポリスチレン;他のセルロースエステル、セルロースエーテル;ポリスチレンコポリマー;スチレンアクリロニトリルコポリマー;ポリオレフィン;ポリウレタン;アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー;ポリ(メチルメタクリレート);アクリルコポリマー;ポリ(エーテル-イミド);ポリフェニレンオキシド;ポリ塩化ビニル;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン;ポリ(エステル-カーボネート);ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリ乳酸;ポリブチレンスクシネート;ポリスルホンエーテル;及び芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ(エーテル-ケトン);或いは任意の上記のポリマーの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ブレンドは、溶融ブレンド又は溶液ブレンドのような当該技術において公知の通常の処理技術によって形成することができる。幾つかの態様においては、更なるポリマー成分(EVAを含まない)の全量は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として25重量%未満、又は20重量%未満、又は15重量%未満、又は10重量%未満、又は5重量%未満、或いはゼロである。
【0095】
[0094]本発明の一態様においては、EVAコポリマーに加えて、組成物に可塑剤を含ませることができる。幾つかの態様においては、本発明において用いる可塑剤は、セルロースエステルのガラス転移温度及び/又は溶融粘度を低下させて溶融加工特性を向上させることができる当該技術において公知の任意のものであってよい。可塑剤は、セルロースエステルと共に用いるのに好適な任意の可塑剤であってよい。可塑剤のレベルは通常の/商業的なセルロースエステルにおいて用いられる標準(又は通常)の可塑剤レベルよりも低くして;組成物が完全に可塑化したセルロースエステル組成物よりも高いTg、良好な靱性、及び良好な流動性を有するようにしなければならない。幾つかの態様においては、可塑剤は、セルロースエステル組成物のTgを、可塑剤を有しない同様の組成物と比べて実質的に減少させない量で存在させる。幾つかの態様においては、Tgは、可塑剤を含む結果として20%より多く、又は15%より多く、又は10%より多く、又は5%より多く、或いは2%より多く変化(例えば減少)しない。
【0096】
[0095]可塑剤は、モノマー構造又はポリマー構造のいずれかであってよい。一態様においては、可塑剤は、芳香族ホスフェートエステル可塑剤、アルキルホスフェートエステル可塑剤、ジアルキルエーテルジエステル可塑剤、トリカルボン酸エステル可塑剤、ポリマーポリエステル可塑剤、ポリグリコールジエステル可塑剤、ポリエステル樹脂可塑剤、芳香族ジエステル可塑剤、芳香族トリエステル可塑剤、脂肪族ジエステル可塑剤、カーボネート可塑剤、エポキシ化エステル可塑剤、エポキシ化油可塑剤、ベンゾエート可塑剤、ポリオールベンゾエート可塑剤、アジペート可塑剤、フタレート可塑剤、グリコ-ル酸エステル可塑剤、クエン酸エステル可塑剤、ヒドロキシル官能性可塑剤、又は固体の非結晶質樹脂可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0097】
[0096]本発明の一態様においては、可塑剤は、次のもの:トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、クレシルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、トリエチルシトレート、トリ-n-ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチル-トリ-n-ブチルシトレート、及びアセチル-トリ-n-(2-エチルヘキシル)シトレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、又はトリエチレングリコールジベンゾエートの少なくとも1つから選択することができる。
【0098】
[0097]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:(i)フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、コハク酸、安息香酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、酪酸、グルタル酸、クエン酸、又はリン酸の1以上の残基を含む酸残基;及び(ii)約20個以下の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、又は芳香族アルコールの1以上の残基を含むアルコール残基;を含むエステルの少なくとも1つから選択することができる。
【0099】
[0098]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:(i)フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、コハク酸、安息香酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、酪酸、グルタル酸、クエン酸、又はリン酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸残基;及び(ii)約20個以下の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、又は芳香族アルコールからなる群から選択される少なくとも1つのアルコール残基;を含むエステルの少なくとも1つから選択することができる。
【0100】
[0099]本発明の他の態様においては、可塑剤はアルコール残基を含んでいてよく、アルコール残基は、次のもの:ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、フェノール、ベ
ンジルアルコール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、及びジエチレングリコールから選択される少なくとも1つである。
【0101】
[00100]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:ベンゾエート、フタレー
ト、ホスフェート、アリーレン-ビス(ジアリールホスフェート)、及びイソフタレートの少なくとも1つから選択することができる。他の態様においては、可塑剤は、ジエチレングリコールジベンゾエート(ここでは「DEGDB」と略称する)を含む。
【0102】
[00101]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:C2~C10二酸残基、
例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸の残基;並びにC2~C10ジオール残基を含む脂肪族ポリエステルの少なくとも1つから選択することができる。
【0103】
[00102]他の態様においては、可塑剤は、次のC2~C10ジオール:エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ペンチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールの少なくとも1つの残基であってよいジオール残基を含んでいてよい。
【0104】
[00103]本発明の他の態様においては、可塑剤としては、例えばポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、及びポリブチレングリコールのようなポリグリコールを挙げることができる。これらは、低分子量の二量体及び三量体から、高分子量のオリゴマー及びポリマーまでの範囲であってよい。一態様においては、ポリグリコールの重量平均の分子量(Mw)は約200~約2000の範囲であってよい。
【0105】
[00104]本発明の他の態様においては、可塑剤は、次のもの:Resoflex(登録商標)R296可塑剤、Resoflex(登録商標)804可塑剤、SHP(ソルビトールヘキサプロピオネート)、XPP(キシリトールペンタプロピオネート)、XPA(キシリトールペンタアセテート)、GPP(グルコースペンタアセテート)、GPA(グルコースペンタプロピオネート)、及びAPP(アラビトールペンタプロピオネート)の少なくとも1つを含む。
【0106】
[00105]本発明の他の態様においては、可塑剤は、(A)約5~約95重量%のC2~
C12炭水化物有機エステル(炭水化物は約1~約3の単糖単位を含む);及び(B)約5~約95重量%のC2~C12ポリオールエステル(ポリオールはC5又はC6炭水化物から誘導される)の1以上を含む。一態様においては、ポリオールエステルは、1種類又は複数のポリオールアセテートを含まないか又は含有しない。
【0107】
[00106]他の態様においては、可塑剤は少なくとも1種類の炭水化物エステルを含み、
炭水化物エステルの炭水化物部分は、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、ラクトース、フルクトース、ソルボース、スクロース、セロビオース、セロトリオース、及びラフィノースからなる群から選択される1種類以上の化合物から誘導される。
【0108】
[00107]本発明の他の態様においては、可塑剤は少なくとも1種類の炭水化物エステル
を含み、炭水化物エステルの炭水化物部分は、α-グルコースペンタアセテート、β-グルコースペンタアセテート、α-グルコースペンタプロピオネート、β-グルコースペンタプロピオネート、α-グルコースペンタブチレート、及びβ-グルコースペンタブチレートの1以上を含む。
【0109】
[00108]他の態様においては、可塑剤は少なくとも1種類の炭水化物エステルを含み、
炭水化物エステルの炭水化物部分は、α-アノマー、β-アノマー、又はこれらの混合物を含む。
【0110】
[00109]他の態様においては、可塑剤は、次のもの:プロピレングリコールジベンゾエ
ート、グリセリルトリベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、及びポリエチレングリコールジベンゾエートの少なくとも1つから選択することができる。
【0111】
[00110]本発明の他の態様においては、可塑剤は固体の非結晶質樹脂であってよい。こ
れらの樹脂は、若干量の芳香族又は極性官能基を含んでいてよく、セルロースエステルの溶融粘度を低下させることができる。本発明の一態様においては、可塑剤は、例えばロジン;水素化ロジン;安定化ロジン、及びこれらの単官能性アルコールエステル又はポリオールエステル;マレイン酸及びフェノール変性ロジン及びそれらのエステルなど(しかしながらこれらに限定されない)の変性ロジン;テルペン樹脂;フェノール変性テルペン樹脂;クマリン-インデン樹脂;フェノール樹脂;アルキルフェノール-アセチレン樹脂;及びフェノール-ホルムアルデヒド樹脂;のような固体の非結晶質化合物(樹脂)であってよい。
【0112】
[00111]本発明の他の態様においては、可塑剤は、トリアセチン、トリメチルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルシトレート、アセチルトリメチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリブチル-o-アセチルシトレート、ジブチルフタレート、ジアリールフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジ-2-メトキシエチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジブチルタルトレート、エチルo-ベンゾイルベンゾエート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、n-エチルトルエンスルホンアミド、o-クレシルp-トルエンスルホネート、芳香族ジオール、置換芳香族ジオール、芳香族エーテル、トリプロピオニン、トリベンゾイン、ポリカプロラクトン、グリセリン、グリセリンエステル、ジアセチン、グリセロールアセテートベンゾエート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールジエステル、ジ-2-エチルヘキシルポリエチレングリコールエステル、トリエチレングリコールビス-2-エチルヘキサノエート、グリセロールエステル、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリジノン、C1~C20ジカルボン酸エステル、ジメチルアジペート、ジブチルマレエート、ジオクチルマレエート、レゾルシノールモノアセテート、カテコール、カテコールエステル、フェノール類、エポキシ化大豆油、ヒマシ油、亜麻仁油、エポキシ化亜麻仁油、他の植物油、他の種油、ポリエチレングリコールベースの二官能性グリシジルエーテル、γ-バレロラクトン、アルキルホスフェートエステル、アリールホスフェートエステル、リン脂質、オイゲノール、シンナミルアルコール、樟脳、メトキシヒドロキシアセトフェノン、バニリン、エチルバニリン、2-フェノキシエタノール、グリコールエーテル、グリコールエステル、グリコールエステルエーテル、ポリグリコールエーテル、ポリグリコールエステル、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、ポリプロピレングリコールエステル、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、ナプロキセン、イミダゾール、トリエタノールアミン、安息香酸、ベンジルベンゾエート、サリチル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、プロピル-4-ヒドロキシベンゾエート、メチル-4-ヒドロキシベンゾエート、エチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ベンジル-4-ヒドロキシベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベ
ンゾエート、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ソルビトール、キシリトール、エチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、トリアジン、トリアゾール、ピロール、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の可塑剤である。
【0113】
[00112]セルロースエステル組成物中における可塑剤の量は、セルロースエステル組成
物の重量を基準として0~約15重量%の範囲であってよい。一態様においては、この量はセルロースエステル組成物の重量を基準として約15重量%以下の範囲であってよい。他の態様においては、この量はセルロースエステル組成物の重量を基準として約10重量%以下の範囲であってよい。他の態様においては、この量は、セルロースエステル組成物の重量を基準として約5重量%以下、又はセルロースエステル組成物の重量を基準として約3重量%以下の範囲であってよい。
【0114】
[00113]本発明の他の態様においては、組成物は可塑剤を含まない。幾つかの態様にお
いては、組成物はポリエーテルエステル化合物を含まない。幾つかの態様においては、組成物はアジピン酸化合物を含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として、65~99重量%の1種類以上のセルロースエステル、1~35重量%の1種類以上のEVAコポリマー、及び合計で5重量%未満の他の成分を含む。幾つかの態様においては、かかる他の成分は、可塑剤、ポリエーテルエステル化合物、又はアジピン酸化合物を含まない。
【0115】
[00114]本発明の他の態様においては、組成物は溶融加工可能である。溶融加工性は、
一般に、材料をそれらの分解温度より低い温度において熱加工して均一なペレット又はプラスチック物品を得る能力を指す。例えば、記載される組成物は、Werner & Pflerderer
30mm二軸押出機において250rpmのスクリュー速度及び240℃のバレル温度を用いて35ポンド/時の処理量で溶融押出することができ、及び/又は、Toyo 110射出成形機において240℃のバレル温度及び160°Fの金型温度を用いて、最小の分子量の減少(例えば、当初のMwから5%未満のMwの減少)、又は退色(例えば0~100%のスケールを基準として5%未満の曇り度の増加又は5%未満の透過率の減少)で射出成形することができる。
【0116】
[00115]本発明の一態様においては、1~35重量%、又は2.5~30重量%のEV
Aコポリマーを含み、可塑剤を含まない、少なくとも120℃のガラス転移温度(Tg)(ASTM-D3418にしたがって本明細書で更に記載するように20℃/分で測定)、及び100J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値(ASTM-D256にしたがって厚さ3.2mmの棒材について23℃において測定)、並びに本明細書に記載する手順を用いて測定して240℃のバレル温度において測定して少なくとも38センチメートル(15インチ)のスパイラルフロー値を有する溶融加工可能なセルロースエステル組成物が提供される。他に特定していない限りにおいて、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さ試験は、ASTM法D256にしたがって、厚さ3.2mmの棒材について、23℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後にノッチ付けを行った後の成形棒材に関して23℃で実施した。
【0117】
[00116]スパイラルフローは次のようにして求めた。110トンの型締力及び32mm
のスクリュー径を有する往復スクリュー式射出成形機に、幅0.50インチ×深さ0.030インチ×長さ60.00インチの寸法を有するらせん形状のキャビティを有する水冷のコールドランナー金型を取り付けた。キャビティに、0.400インチの呼び径及び3°のテーパーを有する長さ3.5インチのコールドスプルー、次に0.30インチの呼び径を有する長さ1.0インチのコールドランナー、次に幅0.25インチ×厚さ0.030インチ×長さ0.10インチの長方形のゲートを通して供給した。実験の範囲に関して
制御された変数には、樹脂乾燥、射出ユニットバレル温度、金型温度、当初射出速度、射出圧力限界、スクリュー回転速度、及びスクリューリカバリーに関する背圧、射出時間、及びサイクル時間が含まれた。それぞれの変数の組合せに関して、応答には、実際の溶融温度、及びらせん形状のキャビティ内の溶融体の移動距離(ランナー及びゲートを除く)が含まれた。射出プロセスは、それぞれの条件の組(通常は10~15ショット)において安定化することができ、次に報告された平均流動長に関して10の成形試験片が回収された。全ての材料は、圧力制御を用い、120°Fの金型温度、1インチ/秒の当初射出速度、2000psiの射出ユニット圧力限界、5秒の射出時間、32秒のサイクル時間、0.2インチの最大クッション、150rpmのスクリューリカバリー回転速度、及び100psiのスクリューリカバリー背圧を用いて成形した。
【0118】
[00117]本発明の他の態様においては、組成物は、ASTM-D4440にしたがって
、1rad/秒~100rad/秒の間の振動数スキャンを用いて測定し、Rheometrics
動的分析装置(RDA II)のようなプレートプレートメルトレオメーターによって、直径25mmの平行プレート、1mmの間隙、及び10%の歪みを用いて測定して10,000P以下の230℃及び100rad/秒における溶融粘度を有する。
【0119】
[00118]一態様においては、EVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物に
加えて、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、0~15重量%の耐衝撃性改良剤、0~15重量%の可塑剤を含み、120℃より高いTgを有する。他の態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、0~15重量%の耐衝撃性改良剤、0~10重量%の可塑剤を含み、130℃より高いTgを有する。更に他の態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、0~10重量%の耐衝撃性改良剤、0~10重量%の可塑剤を含み、140℃より高いTgを有する。他の態様においては、溶融加工可能なセルロースエステル組成物は、0~10重量%の耐衝撃性改良剤、0~5重量%の可塑剤を含み、140℃より高いTgを有する。
【0120】
[00119]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物は、EVAコポリマ
ー又は複数のEVAコポリマーの混合物を導入し、可塑剤を導入しないことによって僅か数℃(例えば5℃未満、又は2℃未満)の下降しか与えないで、ベースのセルロースエステルポリマーのものと同等のTgを有する。幾つかの態様においては、これらの組成物の衝撃特性も、100J/m(23℃におけるノッチ付きアイゾッド衝撃強さ)を超える。
【0121】
[00120]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、100℃より高
く、又は110℃より高く、或いは120℃より高いTgを有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、少なくとも120℃、又は少なくとも125℃、又は少なくとも130℃、又は少なくとも135℃、或いは少なくとも140℃のTgを有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、100℃~150℃、100℃~145℃、100℃~140℃、100℃~135℃、100℃~130℃、100℃~125℃、110℃~150℃、110℃~145℃、115℃~150℃、115℃~145℃、120℃~150℃、120℃~145℃、125℃~150℃、125℃~145℃、130℃~150℃、130℃~145℃、135℃~150℃、135℃~145℃、140℃~150℃、140℃~145℃、又は145℃~150℃の範囲のTgを有する。
【0122】
[00121]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D2
56にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、少なくとも80J/m、又は少なくとも90J/m、又は少なくとも100J/m、又は少なくとも110J/m、又は少なくとも120J/m、又は少なくとも130J/m、又は少なくとも140J/m、又は少なくとも150J/m、又
は少なくとも160J/m、又は少なくとも170J/m、又は少なくとも180J/m、又は少なくとも190J/m、又は少なくとも200J/mのノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D256にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、約80J/m~約500J/m、約80J/m~約400J/m、約80J/m~約300J/m、約80J/m~約200J/m、約100J/m~約500J/m、約100J/m~約400J/m、約100J/m~約300J/m、約100J/m~約200J/m、約120J/m~約500J/m、約120J/m~約400J/m、約120J/m~約300J/m、約120J/m~約200J/m、約150J/m~約500J/m、約150J/m~約400J/m、約150J/m~約300J/m、約150J/m~約200J/m、約170J/m~約500J/m、約170J/m~約400J/m、約170J/m~約300J/m、約170J/m~約200J/m、180J/m~約500J/m、約180J/m~約400J/m、約180J/m~約300J/m、約180J/m~約200J/m、190J/m~約500J/m、約190J/m~約400J/m、約190J/m~約300J/m、約190J/m~約200J/m、200J/m~約500J/m、約200J/m~約400J/m、又は約200J/m~約300J/mの範囲のノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する。
【0123】
[00122]幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D256にし
たがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、少なくとも300J/m、又は少なくとも325J/m、又は少なくとも350J/m、又は少なくとも400J/m、又は少なくとも450J/m、或いは少なくとも500J/mのノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する。幾つかの態様において、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さが少なくとも300J/m、又は少なくとも325J/m、又は少なくとも350J/m、又は少なくとも400J/m、又は少なくとも450J/m、或いは少なくとも500J/mである場合には、Tgは、80℃~130℃、80℃~125℃、80℃~120℃、85℃~130℃、85℃~125℃、90℃~130℃、90℃~125℃、95℃~130℃、95℃~125℃、100℃~130℃、100℃~125℃、105℃~130℃、105℃~125℃、110℃~130℃、110℃~125℃、又は110℃~120℃の範囲であってよい。
【0124】
[00123]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂の厚さ3.2mmの
プラークは、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示す。
【0125】
[00124]本発明の幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D7
90にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して1800MPaより高い曲げ弾性率を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D790にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、少なくとも1900MPa、少なくとも2000MPa、少なくとも2100MPa、少なくとも2200MPa、少なくとも2300MPa、又は少なくとも2400MPaの曲げ弾性率を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D790にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、約1800~約3000MPa、約1900~約3000MPa、約2000~約3000MPa、約2100~約3000MPa、約2200~約3000MPa、約2300~約3000MPa、約2400~約3000MPa、又は約2500~約3000MPaの曲げ弾性率を有する。幾つかの態様においては、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D790にしたがって、23℃において50%の相対湿度に48時間かけた
厚さ3.2mmの棒材を用いて測定して、約1900~約2500MPa、約1900~約2800MPa、又は約1900~約3000MPaの曲げ弾性率を有する。
【0126】
[00125]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物を含み、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0127】
[00126]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物を含み、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び、ASTM-D1003にしたがって、249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して、80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率値を有する。
【0128】
[00127]可塑剤を含まないか又は低レベルの可塑剤を含むセルロースエステルをスクリ
ュー可塑化射出成形機において溶融加工する際に起こる可能性がある1つの問題は、スクリューが滑らかにリカバリーすることが困難であり、劣った材料の供給及び「きしり」音がもたらされる場合があることである。驚くべきことに、本発明の幾つかの態様によるEVAコポリマーを加えることによって、射出成形中のこれらの問題を排除することができることが見出された。
【0129】
[00128]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物を含み、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有し、249℃のバレル設定点での射出成形中にきしみ音を発生せず、或いはスクリューリカバリーの問題を有しない。
【0130】
[00129]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(40~70重量%、好ましくは50~65重量%、又は50重量%より多く65重量%までのVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、120℃より高いTg値、150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値を有し、249℃のバレル設定点における射出成形中にきしみ音を発生せず、又はスクリューリカバリーの問題を有しない。
【0131】
[00130]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物を含み、100℃より高いTg値、200J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、並びに230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0132】
[00131]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロース
エステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物を含み、120℃より高いTg値、200J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及びASTM-D1003にしたがって249℃
のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0133】
[00132]幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、CAP樹脂、セルロ
ースエステル組成物の全重量を基準として5~20重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物、及び5~15重量%の可塑剤を含み、80℃より高いTg値、500J/mより高く、又は600J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0134】
[00133]幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、CAP樹脂、セルロ
ースエステル組成物の全重量を基準として5~20重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物、及び5~15重量%の可塑剤を含み、120℃より高いTg値、350J/mより高く、又は400J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0135】
[00134]幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、CAP樹脂、セルロ
ースエステル組成物の全重量を基準として5~10重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(45~65%、又は50~65%のVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、140℃より高いTg値、200J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0136】
[00135]幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、CAP樹脂、セルロ
ースエステル組成物の全重量を基準として10~25重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(50~65%のVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、140℃より高いTg値、250J/mより高く、又は300J/mより高く、或いは400J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0137】
[00136]幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、CAB樹脂、セルロ
ースエステル組成物の全重量を基準として5~15重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(45~65、又は50~65%のVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、130℃より高いTg値、250J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0138】
[00137]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物の厚さ3.2m
mのプラークは、セルロースエステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(50~65%、又は50%より多く65%までのVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値を有する。
【0139】
[00138]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物の厚さ3.2m
mのプラークは、セルロースエステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(50~65%、又は50%より多く65%までのVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0140】
[00139]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物の厚さ3.2m
mのプラークは、セルロースエステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(50~65%、又は50%より多く65%までのVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値、250J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0141】
[00140]本発明の幾つかの態様においては、CAP組成物の厚さ3.2mmのプラーク
は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(50~65%、又は50%より多く65%までのVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値を有する。
【0142】
[00141]本発明の幾つかの態様においては、CAP組成物の厚さ3.2mmのプラーク
は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVAコポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(50~65%、又は50%より多く65%までのVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0143】
[00142]本発明の幾つかの態様においては、CAP組成物の厚さ3.2mmのプラーク
は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として2.5重量%~30重量%のEVA
コポリマー又は複数のEVAコポリマーの混合物(50~65%、又は50%より多く65%までのVA含量又は重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値、250J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0144】
[00143]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物の厚さ3.2m
mのプラークは、セルロースエステル組成物の全重量を基準として合計で2.5重量%~30重量%の2種類以上のEVAコポリマー(50~65%、又は50%より多く65%までの重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値を有する。
【0145】
[00144]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物の厚さ3.2m
mのプラークは、セルロースエステル組成物の全重量を基準として合計で2.5重量%~30重量%の2種類以上のEVAコポリマー(50~65%、又は50%より多く65%までの重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0146】
[00145]本発明の幾つかの態様においては、セルロースエステルの厚さ3.2mmのプ
ラークは、セルロースエステル組成物の全重量を基準として合計で2.5重量%~30重量%の2種類以上のEVAコポリマー(50~65%、又は50%より多く65%までの重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値、250J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0147】
[00146]本発明の幾つかの態様においては、CAP組成物の厚さ3.2mmのプラーク
は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として合計で2.5重量%~30重量%の2種類以上のEVAコポリマー(50~65%、又は50%より多く65%までの重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値を有する。
【0148】
[00147]本発明の幾つかの態様においては、CAPの厚さ3.2mmのプラークは、セ
ルロースエステル組成物の全重量を基準として合計で2.5重量%~30重量%の2種類以上のEVAコポリマー(50~65%、又は50%より多く65%までの重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されて
いる延性破壊を示し、120℃より高いTg値、100J/mより高く、又は125J/mより高く、或いは150J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、及び230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度を有する。
【0149】
[00148]本発明の幾つかの態様においては、CAPの厚さ3.2mmのプラークは、セ
ルロースエステル組成物の全重量を基準として合計で2.5重量%~30重量%の2種類以上のEVAコポリマー(50~65%、又は50%より多く65%までの重量平均VA含量を有する)を含み、ポリマーベースの樹脂は、ASTM-D3763にしたがって計装化衝撃によって試験した際にASTM-D3763のセクション×1.8に規定されている延性破壊を示し、120℃より高いTg値、250J/mより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さの値、230℃及び100rad/秒において10,000P未満の粘度、及びASTM-D1003にしたがって249℃のバレル設定点及び5分の滞留時間で射出成形した後の3.2mmのプラークを用いて測定して80%より高く、又は少なくとも85%、或いは少なくとも90%の光透過率の値を有する。
【0150】
[00149]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物は、酸化防止剤、熱
安定剤、離型剤、静電防止剤、増白剤、着色剤、流動助剤、加工助剤、可塑剤、防曇添加剤、無機物、UV安定剤、滑剤、連鎖延長剤、成核剤、強化フィラー、木質又は木粉フィラー、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、染料、顔料、着色剤、更なる樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む。
【0151】
[00150]幾つかの態様においては、(ここで議論する)EVAに加えて、セルロースエ
ステル組成物は、二次酸化防止剤、酸スキャベンジャー、又はこれらの組合せからなる群から選択される安定剤を含む。幾つかの態様においては、(ここで議論する)EVAに加えて、セルロースエステル組成物は、組成物の全重量を基準として約0.1~約0.8重量%の範囲の二次酸化防止剤を含む。幾つかの態様においては、(ここで議論する)EVAに加えて、セルロースエステル組成物は、組成物の全重量を基準として約0.2~約2.0重量%の範囲の酸スキャベンジャーを含む。一態様においては、(ここで議論する)EVAに加えて、セルロースエステル組成物は、組成物の全重量を基準として、約0.1~約0.8重量%の範囲の二次酸化防止剤、及び約0.2~約2.0重量%の範囲の酸スキャベンジャーを含む。一態様においては、二次酸化防止剤は3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンである。一態様においては、酸スキャベンジャーはエポキシ化脂肪酸エステルである。一態様においては、セルロースエステル組成物は、例えば組成物の全重量を基準として約0.1~約0.5重量%の範囲の塩安定剤を更に含む。一態様においては、(ここで議論する)セルロースエステル、EVA、及び安定剤の他に、セルロースエステル組成物は、組成物の全重量を基準として合計で5重量%未満、又は2重量%未満の任意の他の成分を含む。
【0152】
[00151]幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は無水マレイン酸変性E
VAを含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物はポリエーテルエステル化合物を含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物はアジピン酸化合物を含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物は、セルロースエステル組成物の全重量を基準として、65~99重量%の1種類以上のセルロースエステル、1~35重量%の1種類以上のEVAコポリマー、及び合計で5重量%未満の他の成分を含む。幾つかの態様においては、かかる他の成分は、可塑剤、ポリエーテルエステル化合物、又はアジピン酸化合物を含まない。幾つかの態様においては、セルロースエステル組成物はジオクチルアジペート(DOA)可塑剤を含み、他のアジピン酸化合物を含まない。
【0153】
[00152]本発明の他の態様においては、セルロースエステル組成物を製造する方法が提
供される。本方法は、少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類のEVAコポリマー、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を接触させることを含む。セルロースエステル、可塑剤、及びEVAコポリマーは、本明細書において上記で議論した。一態様においては、セルロースエステル、EVAコポリマー、及び随意的な可塑剤は、任意の添加順で混合することができる。
【0154】
[00153]本発明の他の態様においては、(a)少なくとも1種類のEVAコポリマー、
少なくとも1種類のセルロースエステル、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を、EVAコポリマーを分散させてセルロースエステル組成物を生成させるのに十分な時間及び温度で混合することを含む、セルロースエステル組成物を製造する方法が提供される。十分な温度は、一般にセルロースエステルのTgよりも約50℃高いセルロースエステルの流動温度として規定される。他の態様においては、この温度はセルロースエステルのTgよりも約80℃高い。幾つかの態様においては、混合時の温度は、上限においてはEVAコポリマーの加工温度によって、及び下限においてはセルロースエステル組成物の最高使用温度によって制限される。
【0155】
[00154]2種類以上の粘弾性材料の混合効率は、粘弾性材料の粘度の比によって定まる
可能性がある。一態様においては、与えられた混合装置及び剪断速度範囲に関して、分散相(EVAコポリマー)と連続相(セルロースエステル)の粘度比は、適当な粒径を得るために規定限界内でなければならない。
【0156】
[00155]幾つかの態様においては、EVAコポリマー、セルロースエステル、及び随意
的な可塑剤、並びに任意の添加剤の混合は、EVAコポリマー、可塑剤、及び添加剤をセルロースエステル中に分散させるのに適切である当該技術において公知の任意の方法によって行うことができる。混合装置の例としては、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、ロールミル、及び押出機(一軸又は二軸)が挙げられるが、これらに限定されない。混合中の剪断エネルギーは、装置、ブレードのデザイン、回転速度(rpm)、及び混合時間の組み合わせによって定まる。剪断エネルギーは、EVAコポリマーをセルロースエステル全体に分散させるのに十分でなければならない。
【0157】
[00156]幾つかの態様においては、セルロースエステル、EVAコポリマー、可塑剤、
及び添加剤は、プロセス中に任意の順番で混合することができる。一態様においては、セルロースエステルをEVAコポリマー及び/又は可塑剤と前もって混合する。次に、EVAコポリマー及び/又は可塑剤を含むセルロースエステルを添加剤と混合する。本発明の他の態様においては、反応性耐衝撃性改良剤を用いる場合には、まず反応性耐衝撃性改良剤をセルロースエステルと混合することができ、次に他の成分を加える。
【0158】
[00157]本発明の組成物は、成形プラスチック部品としてか、又は中実プラスチック物
品として有用である。本組成物は、硬質の透明なプラスチックが求められる任意の用途において用いるのに好適である。かかる部品の例としては、使い捨てのナイフ、フォーク、スプーン、プレート、カップ、ストロー、並びに眼鏡フレーム、歯ブラシの柄部、玩具、自動車トリム、工具の柄部、カメラ部品、電子機器の部品、かみそりの部品、インクペンのバレル、使い捨て注射器、ボトルなどが挙げられる。一態様においては、本発明の組成物は、プラスチック、フィルム、繊維(溶融紡糸繊維及び溶液紡糸繊維を含む)、及びシートとして有用である。一態様においては、本組成物は、ボトル、ボトルキャップ、眼鏡フレーム、カトラリー、使い捨てカトラリー、カトラリーの柄部、棚、棚仕切板、電子機器ハウジング、電子機器ケース、コンピューターモニター、プリンター、キーボード、パイプ、自動車部品、自動車内装部品、自動車トリム、看板、熱成形文字、サイディング、玩具、熱伝導性プラスチック、眼科用レンズ、工具、工具の柄部、家庭用品を製造するた
めのプラスチックとして有用である。他の態様においては、本発明の組成物は、フィルム、シーティング、繊維、成形物品、医療器具、包装材、ボトル、ボトルキャップ、眼鏡フレーム、カトラリー、使い捨てカトラリー、カトラリーの柄部、棚、棚の仕切り板、家具部品、電子機器ハウジング、電子機器ケース、コンピューターモニター、プリンター、キーボード、パイプ、歯ブラシの柄部、自動車部品、自動車内装部品、自動車トリム、看板、屋外看板、天窓、多層フィルム、熱成形文字、サイディング、玩具、玩具部品、熱伝導性プラスチック、眼科用レンズ及びフレーム、工具、工具の柄部、及び家庭用品、ヘルスケア用品、商業飲食サービス用製品、箱、グラフィックアート用途のためのフィルム、及びプラスチックガラス積層体用のプラスチックフィルムとして用いるのに好適である。
【0159】
[00158]本セルロースエステル組成物は、繊維、フィルム、成形物品、及びシーティン
グを形成するのに有用である。セルロースエステル組成物を繊維、フィルム、成形物品、及びシーティングに成形する方法は、当該技術において公知の方法にしたがうことができる。可能性のある成形物品の例としては、限定なしに、医療器具、医療用包装材、ヘルスケア用品、商業飲食サービス用製品、例えばフードパン、タンブラー及び貯蔵ボックス、ボトル、フードプロセッサー、ブレンダー、及びミキサーボウル、家庭用品、水筒、クリスパートレイ、洗濯機前面部、電気掃除機部品、及び玩具が挙げられる。他の可能性のある成形物品としては、眼科用レンズ及びフレームを挙げることができる。
【0160】
[00159]本発明は更に、本明細書に記載するセルロースエステル組成物を含む1つ又は
複数のフィルム及び/又はシートを含む製造物品に関する。幾つかの態様においては、本発明のフィルム及び/又はシートは、当業者に明らかな任意の厚さのものであってよい。
【0161】
[00160]本発明は更に、本明細書に記載する1つ又は複数のフィルム及び/又はシート
に関する。セルロースエステル組成物を1つ又は複数のフィルム及び/又はシートに成形する方法としては、当該技術において公知の方法を挙げることができる。本発明の1つ又は複数のフィルム及び/又はシートの例としては、1つ又は複数の押出フィルム及び/又はシート、1つ又は複数のカレンダー加工フィルム及び/又はシート、1つ又は複数の圧縮成形フィルム及び/又はシート、1つ又は複数の溶液キャストフィルム及び/又はシートが挙げられるが、これらに限定されない。フィルム及び/又はシートを製造する方法としては、押出、カレンダー加工、圧縮成形、湿式ブロック加工、乾式ブロック加工、及び溶液キャストが挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
[00161]本発明は更に、本明細書に記載する成形物品に関する。セルロースエステル組
成物を成形物品に成形する方法としては、当該技術において公知の方法を挙げることができる。本発明の成形物品の例としては、射出成形物品、押出成形物品、射出ブロー成形物品、射出延伸ブロー成形物品、及び押出ブロー成形物品が挙げられるが、これらに限定されない。成形物品を製造する方法としては、射出成形、押出、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、及び押出ブロー成形が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法としては、押出ブロー成形、押出延伸ブロー成形、射出ブロー成形、及び射出延伸ブロー成形など(しかしながらこれらに限定されない)の当該技術において公知の任意のブロー成形プロセスを挙げることができる。
【0163】
[00162]本発明は、当該技術において公知の任意の射出ブロー成形製造プロセスを包含
する。それに限定されないが、射出ブロー成形(IBM)製造プロセスの代表的な記述は、(1)往復スクリュー式押出機内で組成物を溶融すること;(2)溶融した組成物を射出金型中に射出して、一端において閉止された部分的に冷却されたチューブ(即ちプリフォーム)を形成すること;(3)プリフォームを、プリフォームの周囲に所望の最終形状を有するブロー金型中に移し、プリフォームの周囲のブロー金型を閉止すること;(4)プリフォーム中に空気を吹き込んでプリフォームを延伸及び膨張させて金型を満たすこと
;(5)成形物品を冷却すること;(6)物品を金型から取り出すこと;を伴う。
【0164】
[00163]本発明は、当該技術において公知の任意の射出延伸ブロー成形製造プロセスを
包含する。それに限定されないが、射出延伸ブロー成形(ISBM)製造プロセスの代表的な記述は、(1)往復スクリュー式押出機内で組成物を溶融すること;(2)溶融した組成物を射出金型中に射出して、一端において閉止された部分的に冷却されたチューブ(即ちプリフォーム)を形成すること;(3)プリフォームを、プリフォームの周囲に所望の最終形状を有するブロー金型中に移し、プリフォームの周囲のブロー金型を閉止すること;(4)内部延伸ロッドを用いてプリフォームを延伸し、プリフォーム中に空気を吹き込んでプリフォームを延伸及び膨張させて金型を満たすこと;(5)成形物品を冷却すること;(6)物品を金型から取り出すこと;を伴う。
【0165】
[00164]本発明は、当該技術において公知の任意の押出ブロー成形製造プロセスを包含
する。それに限定されないが、押出ブロー成形製造プロセスの代表的な記述は、(1)押出機内で組成物を溶融すること;(2)溶融した組成物をダイを通して押出して、溶融したポリマーのチューブ(即ちパリソン)を形成すること;(3)パリソンの周囲に所望の最終形状を有する金型を締着し;(4)パリソン中に空気を吹き込んで、押出物を延伸及び膨張させて金型を満たすこと;(5)成形物品を冷却すること;(6)物品を金型から取り出すこと;及び(7)物品から過剰のプラスチック(通常はバリと呼ばれる)を除去すること;を伴う。
【0166】
[00165]本発明はその好ましい態様の下記の実施例によって更に示すことができるが、
これらの実施例は単に例示の目的のために含めるものであり、他に具体的に示していない限りにおいて発明の範囲を限定することは意図しないことが理解される。
【実施例0167】
[00166]選択されたセルロースエステルをEVAコポリマー及び/又は可塑剤と混合す
ることによって、セルロースエステル組成物を調製した。他に規定していない限りにおいて、セルロースエステル組成物の混合は、Leistritz18mm(50:1のL/D比)二
軸押出機で、18ポンド/時の処理量において、250rpmのスクリュー速度及び220℃のバレル温度を用いて行った。CA及びCAP141-20ベースの組成物の混合に関しては、バレル温度は230℃であった。以下の実施例において用いたセルロースエステル組成物のグレードは、上表1に示される。
【0168】
[00167]実施例において用いたEVAコポリマーは、下表2に示される。
[00168]
【0169】
【0170】
[00169]実施例は、射出成形プラーク及び棒材についての試験を含む。他に規定してい
ない限りにおいて、成形は、Toyo射出成形機において、240℃(460°F)のバレル温度及び70℃(160°F)の金型温度を用いて行った。他に規定していない限りにおいて、Tg、曇り度、光透過率、透明度、溶融粘度、及びノッチ付きアイゾッド衝撃強さは、下記に議論するようにして測定した/求めた。
【0171】
[00170]試料を20℃/分の加熱速度で-100℃から加熱するASTM標準規格法D
3418にしたがってガラス転移温度(Tg)を測定した。複数の材料のブレンドのDSCスキャンは複数のTg遷移を示す場合がある。1つより多いTg遷移がスキャン中に求められた場合には、マトリクスのガラス転移はスキャン中に測定された最も高いTgとして規定される。
【0172】
[00171]曇り度%及び光透過率は、ASTM-D1003にしたがって、102mm×
102mm×3.2mmの射出成形プラークについて測定した。実施例において、透明度の等級付けが与えられている場合には、等級付けは目視検査によって求め、透明の等級付けは約10%未満の曇り度%に対応し、僅かな曇りの等級付けは約10%より高く、又は約15%より高く、約25%未満の曇り度%に対応し、曇り又は濁りの等級付けは約25%より高い曇り度%に対応する。
【0173】
[00172]溶融粘度は、Rheometrics動的分析装置(RDA II)プレートプレートメルトレオメーターを用い、直径25mmの平行プレート、1mmの間隙、及び10%の歪みを用いて測定し、ASTM-D4440にしたがって、1rad/秒~100rad/秒の間の振動数スキャンを用いて測定した。
【0174】
[00173]ノッチ付きアイゾッド衝撃強さ試験は、棒材を23℃及び50%のRHにおい
て48時間コンディショニングした後に、ASTM法D256にしたがって、ノッチを付けた後の厚さ3.2mmの成形棒材について23℃で行った。
【0175】
実施例1:可塑剤を有するCAP及び有しないCAP:
[00174]表1からのCAPグレード1(可塑剤を有しないもの(実施例1A)及び10
%のDOA可塑剤を有するもの(実施例1B))を、Toyo110トン射出成形機において、240℃のバレル温度及び70℃の金型温度を用いて、それぞれ厚さ3.2mm×幅12.8mmの棒材に射出成形した。
【0176】
[00175]それぞれの試料に関して、透明度、溶融粘度、Tg、及びアイゾッド衝撃強さ
を求めた。実施例1A及び1Bに関する材料の組成及び特性を下表3に示す。
[00176]
【0177】
【0178】
[00177]表3は、CAP482-20(可塑剤とブレンドしたもの及びブレンドしていないも
の)の特性を示す。表を検討すると、2種類のプラスチックは透明な状態で保持されたことが分かる。可塑剤を有しないCAPプラスチックは比較的高いガラス転移温度を有していたが、低いレベルの耐衝撃性を有していた。これに対して、可塑化CAP化合物はより高いレベルの衝撃強さを有していたが、より低いTgを有していた。高いTg及び良好な耐衝撃性の有利性の両方を有するセルロースエステル組成物を与えることが望ましいであろう。
【0179】
実施例2:CE及びEVAのブレンド:
[00178]異なるセルロースエステルのグレード(表1から)を異なるグレード及び異な
る量のEVAコポリマーとブレンドし、Toyo110トン射出成形機において、240℃のバレル温度及び70℃の金型温度を用いて、厚さ3.2mm×幅12.8mmの棒材に射出成形した。
【0180】
[00179]それぞれの試料に関して、透明度、溶融粘度、Tg、及びアイゾッド衝撃強さ
を求めた。実施例2に関する材料の組成及び特性を下表4に示す。
[00180]
【0181】
【0182】
[00181]表4を検討すると、CE/EVA化合物は、表3からの可塑化CAP化合物と
比べて相当に高いTgを有していたことが分かる。更に、CAP482-20(グレード1)に関しては、(EVAコポリマーの)VA含量が約40重量%~70重量%、又は50~65重量%の範囲内であった場合には、良好な透明度及び増加した靱性(即ち150J/mより高い衝撃強さ)の両方を有する配合物が得られたことが示される。これは、適切な界面接着、屈折率の近い一致、及びEVAゴム粒子の微細分散の結果であったと考えられる。更に、VA含量が過度に高い(例えば80%)と、EVAとセルロースエステルは完全に混和性である(単一の組成依存性のガラス転移温度)と考えられる。その結果、かかる配合物は透明である場合があるが、このブレンドはより低いTg及びあまり良くない靱性を有していた。
【0183】
[00182]また、表4を検討すると、(EVAコポリマーの)VA含量が過度に低い(即
ち<40%)と、曇っていて概してより脆性である配合物が得られたことも分かる。かかる配合物は、EVAゴム粒子とセルロースエステルの間の適切な相間接着に欠けるために曇っていたと考えられる。
【0184】
実施例3:高Mw及び低MwのCAP及びEVAのブレンド:
[00183](表1からの)異なる比の分子量(Mw)のCAPグレード(1つのグレード
は7.4の相対粘度を有し、1つのグレードは2.5の相対粘度を有する)を、異なる量のLevamelt 600EVAコポリマーとブレンドし、Toyo110トン射出成形機において、240℃のバレル温度及び70℃の金型温度を用いて、厚さ3.2mm×幅12.8mmの棒材に射出成形した。
【0185】
[00184]それぞれの試料に関して、透明度、溶融粘度、Tg、及びアイゾッド衝撃強さ
を求めた。実施例3に関する材料の組成及び特性を下表5に示す。
[00185]
【0186】
【0187】
[00186]表5を検討すると、配合物中により低分子量のセルロースエステルをブレンド
するとより良好な流動性(又はより低い溶融粘度)が与えられたことが分かる。より低Mwのセルロースエステルをブレンドするとまた、より低い加工温度のために改良された色安定性を与えることもできると考えられる。また、CAP482-20及びCAP482-0.5とE
VAとのブレンドは、同等のEVA装填量の同様のCAP482-20/EVA組成物よりも僅かに低い靱性を有していたことも示される。50%以下の482-0.5を含むCAP482-20の
引張特性及び曲げ特性(示していない)は、CAP482-20のみを有する同様の組成物と比べて実質的に変化しなかった。
【0188】
実施例4:中程度のMwのCAPとEVAのブレンド:
[00187]4.26の相対粘度を有する中程度の分子量(Mw)のCAPグレード(表1
から)を、10重量%の異なるグレードのEVAコポリマーとブレンドし、Toyo110トン射出成形機において、240℃のバレル温度及び70℃の金型温度を用いて、厚さ3.2mm×幅12.8mmの棒材に射出成形した。
【0189】
[00188]それぞれの試料に関して、透明度、溶融粘度、Tg、及びアイゾッド衝撃強さ
を求めた。実施例4に関する材料の組成及び特性を下表6に示す。
[00189]
【0190】
【0191】
[00190]表6を検討すると、高分子量のセルロースエステルと低分子量のセルロースエ
ステルのブレンドではなく、中程度の分子量のセルロースエステルを用いることができることが示される。表は、中程度の分子量のセルロースエステルによってEVAとの良好な適合性が与えられ、この場合にはより低いVA含量のEVA(VA=約28~40%)を用いることができ、なお幾つかの用途に関して適当である可能性がある靱性(4Eにおいて示される)を与えることを示す。しかしながら、より高い靱性が必要な場合には、実施例4Bと2D、及び4Cと2Gを比較することにより、6.0よりも高い相対粘度を有するCAPを用いると、同一のEVA装填量のより低い相対粘度を有するCAPを用いた場合と比べて相当により高い衝撃強さ及び同等のTg値が与えられたことが示される。而して、本発明の幾つかの態様においては、6.0より高い相対粘度の値を有するセルロースエステル組成物が好ましい。
【0192】
実施例5:CAP、EVA、及び可塑剤のブレンド:
[00191]セルロースエステルのグレード1(表1から)を、異なるグレードのEVAコ
ポリマー、及び異なるタイプ及び量の可塑剤とブレンドし、Toyo110トン射出成形機において、240℃のバレル温度及び70℃の金型温度を用いて、厚さ3.2mm×幅12.8mmの棒材に射出成形した。DOAはジオクチルアジペートであり、TEGEHはトリエチレングリコールビス-2-エチルヘキサノエートである。
【0193】
[00192]それぞれの試料に関して、透明度、溶融粘度、Tg、及びアイゾッド衝撃強さ
を求めた。実施例5に関する材料の組成及び特性を下表7に示す。
[00193]
【0194】
【0195】
[00194]表7を検討すると、可塑剤を加えることは、セルロースエステル組成物に関す
る流動助剤として機能させることができることが示される。更に、完全に可塑化したセルロースエステル化合物よりも高いTg、並びに良好な靱性及び良好な流動性を有する化合物を与えるためには、流動助剤のレベルはセルロースエステルに関する通常の可塑剤レベルよりも低く保持しなければならないことも示される。幾つかの場合においては、特定の可塑剤は、実施例5AにおけるようにCE(連続相又は主要相)中ではなくEVA(分散相又は少量相)中で機能することが分かった。その結果、可塑剤(DOA)を加えると、実施例2Dと比べてガラス転移温度に対して大きなマイナスの影響を与えることなく粘度が低下した。これにより、幾つかの用途に関してより低い加工温度のためにより良好な流動性及び改良された色安定性を与えることができると考えられる。
【0196】
実施例6:CAPとEVAコポリマーのブレンド:
[00195]異なるセルロースエステルのグレード(表1から)を、異なるグレードの複数
のEVAコポリマーの組み合わせとブレンドし、Toyo110トン射出成形機において、240℃のバレル温度及び70℃の金型温度を用いて、厚さ3.2mm×幅12.8mmの棒材に射出成形した。
【0197】
[00196]それぞれの試料に関して、透明度、Tg、及びアイゾッド衝撃強さを求めた。
実施例6に関する材料の組成及び特性を下表8に示す。
[00197]
【0198】
【0199】
[00198]表8を検討すると、より高いVA含量及びより低いVA含量を有する異なる複
数のEVAコポリマーをCAPとブレンドすると、同等の量のより高いVA含量(実施例4A)又はより低いVA含量(実施例4E)のEVAコポリマーとのみ比べてより高い衝撃強さ(実施例6B)がもたらされ、良好な透明を有していたことが示される。
【0200】
[00199]また、表4及び8からの選択された材料を、ASTM-D3763による計装
化衝撃試験のために、Toyo110トン射出成形機で、240℃のバレル温度及び70℃の金型温度を用いて、厚さ3.2mm×102mm×幅102mmのプラークに射出成形した。表9は、それぞれの試料に関する破壊モードを示す。延性破壊モードは、試験片が、破壊の前に衝撃点の中心から10mmより多く超えて放射状に広がる亀裂を形成しないで塑性変形した場合に与えられる。脆性破壊モードは、試験片の試験領域が鋭利な縁を有する2以上の片に分解し、塑性流動が殆ど示されない場合に与えられる。驚くべきことに、同程度のEVA%及び平均VA含量%においても、複数のEVAコポリマーの混合物を用いた組成物は延性破壊を示す一方で、単一のEVAコポリマーを用いた組成物は脆性破壊を示す。
【0201】
[00200]
【0202】
【0203】
実施例7:CAP組成物に関する曇り度%及び光透過率:
[00201]耐衝撃性改良剤(IM)又はEVAコポリマーを有しないCAP組成物、耐衝
撃性改良剤を有するCAP組成物、及び異なるレベルのEVAコポリマーを有するCAP組成物に関して、240℃において5分の滞留時間を用いて射出成形した後に、曇り度及び光透過率を求めた。全ての試料にはまた、0.5重量%のIrganox 1010も含ませた。実施例7に関する材料の組成及び特性を下表9に示す。
【0204】
[00202]
【0205】
【0206】
[00203]表10を検討すると、(規定量の)アクリル耐衝撃性改良剤又はEVAコポリ
マーを加えると、CAP組成物に関する曇り度が、IM又はEVAを有しないCAPと比べて増加し、EVAコポリマーを有するCAP組成物は、アクリル耐衝撃性改良剤を有するCAP組成物よりも曇り度の増加がより少なかったことが示される。また、EVAコポリマーは耐衝撃性改良剤よりも透過率%に対する効果がより小さかった。
【0207】
[00204]本発明の複数の態様の上記の詳細な記載は、当業者が本発明を実施することを
可能にするのに十分に詳細に本発明の種々の形態を記載することを意図している。発明の範囲から逸脱することなく、他の態様を用いることができ、変更を行うことができる。したがって、上記の詳細な記載は限定の意味で解釈すべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲が権利を保有する均等物の全範囲と共に、続く正規の実用新案出願において示されている特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0208】
[00205]本明細書において、「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という記載は
、関連する1つ又は複数の特徴が本技術の少なくとも1つの態様の中に含まれることを意味する。本明細書における「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という別々の記載は、必ずしも同じ態様を指すものではなく、また、そのように言及されているか及び/又はその記載から当業者に明白である場合を除いて互いに排他的でない。例えば、一態様において記載されている特徴、工程等はまた他の態様においても含まれる可能性があるが、必ずしも含まれない。而して、本発明は、ここに記載する複数の態様の種々の組合せ及び/又は統合を包含することができる。
少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類のエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物であって、
前記少なくとも1種類のセルロースエステルは、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択され;
前記少なくとも1種類のセルロースエステルの相対粘度は、2重量%のセルロースエステルを含むアセトン溶液に関して25℃において測定して6.0より高く;そして
前記セルロースエステル組成物は少なくとも120℃のTgを有する上記セルロースエステル組成物。
[00205]本明細書において、「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という記載は、関連する1つ又は複数の特徴が本技術の少なくとも1つの態様の中に含まれることを意味する。本明細書における「一態様」、「態様」、又は「複数の態様」という別々の記載は、必ずしも同じ態様を指すものではなく、また、そのように言及されているか及び/又はその記載から当業者に明白である場合を除いて互いに排他的でない。例えば、一態様において記載されている特徴、工程等はまた他の態様においても含まれる可能性があるが、必ずしも含まれない。而して、本発明は、ここに記載する複数の態様の種々の組合せ及び/又は統合を包含することができる。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)少なくとも1種類のセルロースエステル、少なくとも1種類のエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤を含むセルロースエステル組成物であって、
前記少なくとも1種類のセルロースエステルは、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択され;
前記少なくとも1種類のセルロースエステルの相対粘度は、2重量%のセルロースエステルを含むアセトン溶液に関して25℃において測定して6.0より高く;そして
前記セルロースエステル組成物は少なくとも120℃のTgを有する上記セルロースエステル組成物。
(2)前記組成物が、65~99重量%の前記セルロースエステル、1~35重量%の前記EVA、及び0~15重量%の前記可塑剤を含む、(1)に記載のセルロースエステル組成物。
(3)前記組成物が、65~99重量%の前記セルロースエステル、1~35重量%の前記EVA、及び0~5重量%の前記可塑剤を含む、(1)に記載のセルロースエステル組成物。
(4)前記組成物が、70~97.5重量%の前記セルロースエステル、2.5~30重量%の前記EVAを含み、可塑剤を含まない、(1)に記載のセルロースエステル組成物。
(5)前記セルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)又はセルロースアセテートブチレート(CAB)から選択される、(1)~(4)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(6)前記セルロースエステル組成物が、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択される少なくとも2種類の異なるセルロースエステルを含み、
セルロースエステルの少なくとも1つは、2重量%のセルロースエステルを含むアセトン溶液に関して25℃において測定して6.0より高い相対粘度を有し;そして、前記セルロースエステル組成物は少なくとも120℃のTgを有する、(1)~(5)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(7)前記EVAが40~70重量%の範囲のビニルアセテート含量を有する、(1)~(6)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(8)前記EVAが50~65重量%の範囲のビニルアセテート含量を有する、(1)~(7)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(9)前記EVAが異なる酢酸ビニル(VA)含量を有する少なくとも2種類のEVAコポリマーの組合せであり、前記組合せの平均VA含量は50~65重量%の範囲であり、前記組成物は(実施例にしたがって試験した際に)延性破壊を示す、(1)~(8)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(10)(i)セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択される少なくとも1種類のセルロースエステル;
(ii)少なくとも1種類のエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー;及び
(iii)少なくとも1種類の可塑剤;
を含むセルロースエステル組成物であって、
前記セルロースエステル組成物は、少なくとも120℃のTg、及びASTM法D256にしたがって、3.2mmの棒材を用いて23℃において、前記棒材を23℃及び50%のRHにおいて48時間コンディショニングした後に測定して少なくとも200J/mのノッチ付きアイゾッド衝撃強さを有する上記セルロースエステル組成物。
(11)前記セルロースエステル組成物が、セルロースエステル連続相及びEVAコポリマー不連続相を有し、前記可塑剤がEVA不連続相中に含まれる、(10)に記載のセルロースエステル組成物。
(12)前記セルロースエステル組成物が、可塑剤を有しない同様のセルロースエステル組成物のTgと5%以下異なるTgを有する、(10)又は(11)に記載のセルロースエステル組成物。
(13)前記セルロースエステルがCAPであり、前記可塑剤がジオクチルアジペート(DOA)であり、前記EVAが40~70重量%の範囲のビニルアセテート含量を有する、(10)~(12)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(14)前記セルロースエステルがCAPであり、前記可塑剤がジオクチルアジペート(DOA)であり、前記EVAが50~65重量%の範囲のビニルアセテート含量を有する、(10)~(13)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(15)前記組成物が、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、静電防止剤、増白剤、着色剤、可塑剤、無機物、UV安定剤、滑剤、成核剤、強化フィラー、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、染料、顔料、着色剤、更なる樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤を更に含む、(1)~(14)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(16)少なくとも1つのポリマー成分をブレンドとして更に含み、前記ポリマーが、ナイロン;ポリエステル;ポリアミド;ポリスチレン;他のセルロースエステル、セルロースエーテル;ポリスチレンコポリマー;スチレンアクリロニトリルコポリマー;ポリオレフィン;ポリウレタン;アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー;ポリ(メチルメタクリレート);アクリルコポリマー;ポリ(エーテル-イミド);ポリフェニレンオキシド;ポリ塩化ビニル;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンスルフィド/スルホン;ポリ(エステル-カーボネート);ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリ乳酸;ポリブチレンスクシネート;ポリスルホンエーテル;及び芳香族ジヒドロキシ化合物のポリ(エーテル-ケトン);並びにこれらの組合せからなる群から選択される、(1)~(15)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物。
(17)セルロースエステル組成物を製造する方法であって、
(a)セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルローストリプロピオネート(CTP)、又はセルローストリブチレート(CTB)から選択され少なくとも1種類のセルロースエステル:及び
(b)少なくとも1種類のEVA;
を、前記EVAを前記セルロースエステル全体に分散させのに十分な時間及び温度で混合して前記組成物を生成させることを含み;
前記少なくとも1種類のセルロースエステルの相対粘度は、2重量%のセルロースエステルを含むアセトン溶液に関して25℃において測定して6.0より高い上記方法。
(18)(1)~(16)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含む製造物品。
(19)前記物品が、(1)に記載のセルロースエステル組成物を含む射出成形物品、押出成形物品、射出ブロー成形物品、射出延伸ブロー成形物品、押出ブロー成形物品から選択される、(18)に記載の製造物品。
(20)(1)~(16)のいずれかに記載のセルロースエステル組成物を含むフィルム又はシート。