(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022172
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】宝石用原石のスクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20230207BHJP
G01N 21/87 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N21/87
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022188054
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2019531803の分割
【原出願日】2017-11-17
(31)【優先権主張番号】62/435,045
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517340921
【氏名又は名称】ジェモロジカル インスティテュート オブ アメリカ インコーポレイテッド(ジーアイエー)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ウーイー
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ツンハン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本物の土壌採掘された宝石用原石(例えば、ダイヤモンド)を合成および処理済みの宝石用原石または宝石用原石の模擬物から効率的かつ正確に識別および区別するための方法およびシステムが必要とされている。
【解決手段】一態様では、第1の所定の波長未満の放射線を実質的に通過させるショートパスフィルタと結合され、第1の所定の波長は、励起波長よりも長いLED光源と、第2の所定の波長を超える放射線のみが蛍光検出器で受信され、第2の所定の波長は、第1の波長よりも長い蛍光検出器と、LED光源から宝石用原石に放射線を送達し、宝石用原石から放射された蛍光を受信して蛍光検出器に送信するように構成される光ファイバプローブとを含む宝石用原石のスクリーニング装置である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宝石用原石のスクリーニング装置であって、
予め設定された励起波長またはその近傍の波長で宝石用原石に放射線を供給するためのLED光源であって、前記LED光源は、第1の所定の波長未満の放射線を実質的に通過させるショートパスフィルタと結合され、前記第1の所定の波長が前記励起波長よりも長い、LED光源と、
第2の所定の波長を超える放射線を実質的に通過させるロングパスフィルタと結合される蛍光検出器であって、前記第2の所定の波長を超える放射線のみが前記蛍光検出器で受信され、前記第2の所定の波長が前記第1の波長よりも長い、蛍光検出器と、
前記LED光源と前記蛍光検出器との両方に接続される光ファイバプローブであって、前記LED光源から前記宝石用原石に前記放射線を送達し、前記宝石用原石から放射された蛍光を受信してそれを蛍光検出器に送信するように構成される、光ファイバプローブと、を備えるスクリーニング装置。
【請求項2】
宝石用原石のスクリーニングおよび分析システムであって、
スクリーニング装置であって、
予め設定された励起波長またはその近傍の波長で宝石用原石に放射線を供給するためのLED光源であって、前記LED光源は、第1の所定の波長未満の放射線を実質的に通過させるショートパスフィルタと結合され、前記第1の所定の波長が前記励起波長よりも長い、LED光源と、
第2の所定の波長を超える放射線を実質的に通過させるロングパスフィルタと結合される蛍光検出器であって、前記第2の所定の波長を超える放射線のみが前記蛍光検出器で受信され、前記第2の所定の波長が前記第1の波長よりも長い、蛍光検出器と、
前記LED光源と前記蛍光検出器との両方に接続されるファイバプローブであって、前記LED光源から前記宝石用原石に前記放射線を送達し、前記宝石用原石から放射された蛍光を受信してそれを蛍光検出器に送信するように構成されるファイバプローブと、を備えるスクリーニング装置と、
前記スクリーニング装置に通信可能に接続されるコンピュータ装置であって、ユーザから1つ以上のコマンドを受信するためのユーザインターフェースを提供し、前記1つ以上のコマンドに基づいて前記スクリーニング装置を制御するコンピュータ装置と、
を備えるシステム。
【請求項3】
前記予め設定された励起波長は405nm以下である、請求項1または2に記載の宝石用原石のスクリーニング装置。
【請求項4】
前記予め設定された励起波長は385nmである、請求項1または2に記載の宝石用原石のスクリーニング装置。
【請求項5】
前記LED光源は、ヒートシンク上に配置されるか、またはバンドパスフィルタと結合される、請求項1から4のいずれか1項に記載の宝石用原石のスクリーニング装置。
【請求項6】
前記第1の所定の波長は360nm~405nmである、請求項1から5のいずれか1項に記載の宝石用原石のスクリーニング装置。
【請求項7】
前記第2の所定の波長は405nm~413nmである、請求項1から6のいずれか1項に記載の宝石用原石のスクリーニング装置。
【請求項8】
前記光ファイバプローブは、2本以上の光ファイバを含む光ケーブルに接続されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の宝石用原石のスクリーニング装置。
【請求項9】
前記光ファイバプローブに接続された前記光ケーブルは、前記LED光源に接続された第1の光ケーブルと、前記蛍光検出器に接続された第2の光ケーブルとを含む少なくとも2つの光ケーブルに分割される、請求項1から8のいずれか1項に記載の宝石用原石のスクリーニング装置。
【請求項10】
宝石用原石をその蛍光発光に基づいてスクリーニングする方法であって、
光ファイバプローブを前記宝石用原石の近くにまたはそれに接触して配置することによって、予め設定された励起波長またはその近くの放射線を宝石用原石に当てるステップであって、前記放射線は、ショートパスフィルタを光源に結合することによって提供され、前記ショートパスフィルタは、前記予め設定された励起波長よりも長い第1の所定の波長に設定される、ステップと、
前記光ファイバプローブを用いて前記宝石用原石からの蛍光発光を受信するステップと、
前記蛍光発光にロングパスフィルタを適用して修正された蛍光発光を提供するステップであって、前記ロングパスフィルタが第2の所定の波長を有する、ステップと、
前記修正された蛍光発光の1つ以上の測定値に基づいて宝石用原石を特徴付けるステップであって、前記1つ以上の測定値が蛍光検出器を使用して得られる、ステップと、を含む方法。
【請求項11】
周囲光の較正を実行するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
周囲光の較正を実行するステップは、
前記光源が消えている間に前記宝石用原石を前記光ファイバプローブに接触させるステップと、
周囲光スペクトルを測定するステップと、
前記測定された周囲光スペクトルをその後の測定のための背景スペクトルとして設定することによって周囲光を較正するステップとを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
暗部較正を実行するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
暗部較正を実行するステップは、
前記蛍光検出器への光の侵入を排除することによって暗部信号の測定値を収集するステップと、
前記測定された暗部信号を光信号の不在として設定することによって暗部信号を較正するステップと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の測定値は蛍光検出器を用いて得られる、請求項10から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記光源は、バンドパスフィルタと結合されたLED光源である、請求項10から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記予め設定された励起波長は405nm以下である、請求項10から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記予め設定された励起波長は385nmである、請求項10から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の所定の波長は360nm~405nmである、請求項10から18のいずれ
か1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の所定の波長は405nm~413nmである、請求項10から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記光ファイバプローブは、2本以上の光ファイバを含む光ケーブルに接続されている、請求項10から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記光ファイバプローブに接続された前記光ケーブルは、前記LED光源に接続された第1の光ケーブルと、前記蛍光検出器に接続された第2の光ケーブルとを含む少なくとも2つの光ケーブルに分割される、請求項10から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
宝石用原石のスクリーニングアプリケーションのための命令を格納する非一時的マシン可読媒体であって、前記アプリケーションは、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能であるときに、
光ファイバプローブを前記宝石用原石の近くにまたはそれに接触して配置することによって、予め設定された励起波長またはその近くの放射線を宝石用原石に当てるステップであって、前記放射線は、ショートパスフィルタを光源に結合することによって提供され、前記ショートパスフィルタは、前記予め設定された励起波長よりも長い第1の所定の波長に設定される、ステップと、
前記光ファイバプローブを用いて前記宝石用原石からの蛍光発光を受信するステップと、
前記蛍光発光にロングパスフィルタを適用して修正された蛍光発光を提供するステップであって、前記ロングパスフィルタは第2の所定の波長を有する、ステップと、
前記修正された蛍光発光の1つ以上の測定値に基づいて宝石用原石を特徴付けるステップと、を含む操作を前記少なくとも1つのプロセッサに実行させる非一時的マシン可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年12月15日に出願され、「宝石用原石をスクリーニングするための装置および方法」と題する米国仮特許出願第62/435,045号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示された装置、システム、および方法は、宝石用原石認証の分野に関する。特に、装置、システム、および方法は、土壌採掘された本物の宝石用原石が、人工的な手段によって成長したものとどのように区別され得るかに関する。現在の分析に適した宝石用原石には、無色の天然ダイヤモンド、ピンクダイヤモンド、他の天然ダイヤモンド、非ダイヤモンド材料(例えば、コランダム(ルビー、サファイア))、エメラルド、ゾイサイト、およびスピネルが含まれるがこれらに限定されない。
【背景技術】
【0003】
人造宝石用原石(例えば、高圧高温(HPHT)法または化学気相成長(CVD)を用いて得られる合成ダイヤモンド)は、市場でより一般的になっている。現在市販のスクリーニング装置は、紫外線吸収および/または透過率および紫外線-可視吸収分光法に関する技術に基づいている。これらの装置は、高い誤参照率、限られたセンサダイナミックレンジ、限られた範囲のサンプルサイズおよびカット、マウントされたダイヤモンドの分析の失敗などの多数の欠陥に関連している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本物の土壌採掘された宝石用原石(例えば、ダイヤモンド)を合成および処理済みの宝石用原石または宝石用原石の模擬物から効率的かつ正確に識別および区別するための方法およびシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本明細書に開示されるのは、予め設定された励起波長またはその近傍の波長で宝石用原石に放射線を供給するためのLED光源であって、LED光源は、第1の所定の波長未満の放射線を実質的に通過させるショートパスフィルタと結合され、第1の所定の波長は、励起波長よりも長いLED光源と、第2の所定の波長を超える放射線を実質的に通過させるロングパスフィルタと結合される蛍光検出器であって、第2の所定の波長を超える放射線のみが蛍光検出器で受信され、第2の所定の波長は、第1の波長よりも長い蛍光検出器と、LED光源と蛍光検出器との両方に接続される光ファイバプローブであって、LED光源から宝石用原石に放射線を送達し、宝石用原石から放射された蛍光を受信して蛍光検出器に送信するように構成される光ファイバプローブとを含む宝石用原石のスクリーニング装置である。
【0006】
一態様では、本明細書で開示されるのは、スクリーニング装置と、スクリーニング装置に通信可能に接続されるコンピュータ装置であって、ユーザから1つ以上のコマンドを受信するためのユーザインターフェースを提供し、1つ以上のコマンドに基づいてスクリーニング装置を制御するコンピュータ装置とを含む宝石用原石のスクリーニングおよび分析システムである。スクリーニング装置は、予め設定された励起波長またはその近傍の波長で宝石用原石に放射線を供給するためのLED光源であって、LED光源は、第1の所定の波長未満の放射線を実質的に通過させるショートパスフィルタと結合され、第1の所定の波長は、励起波長よりも長いLED光源と、第2の所定の波長を超える放射線を実質的
に通過させるロングパスフィルタと結合される蛍光検出器であって、第2の所定の波長を超える放射線のみが蛍光検出器で受信され、第2の所定の波長は、第1の波長よりも長い蛍光検出器と、LED光源と蛍光検出器との両方に接続されるファイバプローブであって、LED光源から宝石用原石に放射線を送達し、宝石用原石から放射された蛍光を受信して蛍光検出器に送信するように構成されるファイバプローブとを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、予め設定された励起波長は405nm以下またはそれに近い波長である。いくつかの実施形態では、予め設定された励起波長は385nmに設定される。いくつかの実施形態では、LED光源はヒートシンク上に配置される。いくつかの実施形態では、LED光源はバンドパスフィルタと結合される。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の所定の波長は、約360~405nmの波長であり得る。いくつかの実施形態では、第2の所定の波長は、約405~413nmの波長であり得る。いくつかの実施形態では、第2の所定の波長は、それが第1の所定の波長よりも大きい限り、405nmより短い波長であり得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、光ファイバプローブは、2本以上の光ファイバを含む光ケーブルに接続される。いくつかの実施形態では、光ファイバプローブに接続された光ケーブルは、LED光源に接続された第1の光ケーブルと、蛍光検出器に接続された第2の光ケーブルとを含む少なくとも2つの光ケーブルに分割される。
【0010】
一態様では、本明細書に開示されているのは、宝石用原石をその蛍光発光に基づいてスクリーニングする方法である。この方法は、光ファイバプローブを宝石用原石の近くにまたはそれに接触して配置することによって、予め設定された励起波長またはその近くの放射線を宝石用原石に当てるステップであって、放射線は、ショートパスフィルタを光源に結合することによって提供され、ショートパスフィルタは、予め設定された励起波長よりも長い第1の所定の波長に設定されるステップと、光ファイバプローブを用いて宝石用原石からの蛍光発光を受信するステップと、蛍光発光にロングパスフィルタを適用して修正された蛍光発光を提供するステップであって、ロングパスフィルタは第2の所定の波長を有するステップと、修正された蛍光発光の1つ以上の測定値に基づいて宝石用原石を特徴付けるステップとを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の測定値は蛍光検出器を用いて得られる。いくつかの実施形態では、当てられる放射線は紫外線を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、宝石用原石の鉱物のタイプを識別するために使用される。
【0011】
一態様では、本明細書で開示されるのは、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な宝石用原石のスクリーニングアプリケーションを格納する非一時的コンピュータ可読媒体である。宝石用原石のスクリーニングアプリケーションは、光ファイバプローブを宝石用原石の近くにまたはそれに接触して配置することによって、予め設定された励起波長またはその近くの放射線を宝石用原石に当てるステップであって、放射線は、ショートパスフィルタを光源に結合することによって提供され、ショートパスフィルタは、予め設定された励起波長よりも長い第1の所定の波長に設定されるステップと、光ファイバプローブを用いて宝石用原石からの蛍光発光を受信するステップと、蛍光発光にロングパスフィルタを適用して修正された蛍光発光を提供するステップであって、ロングパスフィルタは第2の所定の波長を有するステップと、修正された蛍光発光の1つ以上の測定値に基づいて宝石用原石を特徴付けるステップのための命令のセットを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、周囲光較正を実行するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、周囲光の較正を実行するステップは、UV光源が消えている間に宝石用原石を光ファイバプローブに接触させるステップと、周囲光スペクトルを測定する
ステップと、測定された周囲光スペクトルをその後の測定のための背景スペクトルとして設定することによって周囲光を較正するステップとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、暗部較正を実行するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、暗部較正を実行するステップは、蛍光検出器への光の侵入を排除することによって暗部信号の測定値を収集するステップと、測定された暗部信号を光信号の不在として設定することによって暗部信号を較正するステップとを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、1つ以上の測定値は蛍光検出器を用いて得られる。
【0015】
いくつかの実施形態では、予め設定された励起波長は405nm以下またはそれに近い波長である。いくつかの実施形態では、予め設定された励起波長は385nmに設定される。いくつかの実施形態では、LED光源はヒートシンク上に配置される。いくつかの実施形態では、LED光源はバンドパスフィルタと結合される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の所定の波長は、約360~405nmの波長であり得る。いくつかの実施形態では、第2の所定の波長は、約405~413nmの波長であり得る。いくつかの実施形態では、第2の所定の波長は、それが第1の所定の波長よりも大きい限り、405nmより短い波長であり得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、光ファイバプローブは、2本以上の光ファイバを含む光ケーブルに接続される。
【0018】
いくつかの実施形態では、光ファイバプローブに接続された光ケーブルは、LED光源に接続された第1の光ケーブルと、蛍光検出器に接続された第2の光ケーブルとを含む少なくとも2つの光ケーブルに分割される。
【0019】
当業者は、適用可能であれば、本明細書に開示された任意の実施形態が本発明の任意の態様に適用され得ることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
当業者は、以下に記載される図面が例示目的のみのためであることを理解するであろう。図面は、決して本教示の範囲を限定することを意図しない。
【0021】
【
図1A】宝石用原石をスクリーニングするためのシステムの例示的な一実施形態を示す。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【
図2A】宝石用原石をスクリーニングするための装置の例示的な一実施形態を示す。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【
図3B】ショートパスフィルタをLED光源と結合することの効果を示す例示的な一実施形態を示す。
【0034】
【
図3C】ショートパスフィルタおよびロングパスフィルタの使用を示す例示的な一実施形態を示す。
【0035】
【
図4A】検出器で受信される前に蛍光発光がどのように処理されるかを示す例示的な一実施形態を示す。
【0036】
【
図4B】蛍光検出器に到達する前に蛍光発光を処理することの効果を示す例示的な一実施形態を示す。
【0037】
【
図5A】スクリーニング装置のための光学設定を示す例示的な一実施形態を示す。
【0038】
【
図5B】サンプルの宝石用原石に対するプローブ位置を示す例示的な一実施形態を示す。
【0039】
【
図6A】様々な量の青色蛍光を有する10個のサンプルを示す例示的な一実施形態を示す。
【0040】
【
図6B】様々な量の青色蛍光を有する10個のサンプルの実験的測定値を示す例示的な一実施形態を示す。
【0041】
【
図6C】様々な量の青色蛍光を有する10個のサンプルに対する455染色フィルタの効果を示す例示的な一実施形態を示す。
【0042】
【
図6D】様々な量の青色蛍光への10個のサンプルの長期曝露の効果を示す例示的な一実施形態を示す。
【0043】
【
図6E】天然および様々な合成宝石用原石とダイヤモンド模擬物との間の違いを示す例示的な一実施形態を示す。
【0044】
【
図6F】天然宝石用原石中の追加のタイプの蛍光発光を示す例示的な一実施形態を示す。
【0045】
【
図7A】天然ダイヤモンド中のN3蛍光に基づくサンプルスペクトルを示す例示的な一実施形態を示す。
【0046】
【
図7B】天然ダイヤモンドの白色蛍光レベルとHTHT合成ダイヤモンドの白色蛍光レベルとを比較する例示的な一実施形態を示す。
【0047】
【
図8】無色のダイヤモンドの分析結果を示す例示的な一実施形態を示す。
【0048】
【
図9】天然のピンクダイヤモンドと処理されたピンクダイヤモンドの違いを示す例示的な一実施形態を示す。
【0049】
【
図10】異なる色の宝石用原石の分析結果を示す例示的な一実施形態を示す。
【0050】
【
図11A】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【0051】
【
図11B】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【0052】
【
図11C】一般的に使用される光源からの例示的スペクトルを示す例示的な一実施形態を示す。
【0053】
【
図11D】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【0054】
【
図11E】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【0055】
【
図11F】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【0056】
【
図12A】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【0057】
【
図12B】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す
【0058】
【
図12C】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【0059】
【
図12D】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【0060】
【
図12E】スクリーニング装置を操作するためのソフトウェアプログラムのスクリーンショットを示す例示的な一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[定義]
合成宝石用原石(例えば、ダイヤモンド)を作成するための技術はより洗練されたものとなっており、高品質の合成宝石用原石は、土壌採掘された本物の宝石用原石に非常に近い外観をしているため、肉眼を用いて区別することはほとんど不可能である。しかしながら、土壌採掘された本物の宝石用原石と合成のものとの間には根本的な違いがある。
【0062】
そのような違いの1つは、光源(例えば、UV光源)に曝露されると蛍光を発する天然の宝石用原石の能力である。例えば、発光分析は、ダイヤモンドの結晶学的欠陥を検出す
る非常に高感度で正確な方法である。大部分の天然ダイヤモンドには通常、窒素関連の欠陥が含まれており、これは、UV励起下で可視光信号を生成する可能性がある。一方、合成ダイヤモンドやダイヤモンド模擬物には、ほとんどの採掘されたダイヤモンドと同じ窒素関連の欠陥は含まれない。したがって、採掘されたダイヤモンドは、発光分析を通して容易に識別することができる。
【0063】
ダイヤモンドの蛍光検出が一例として使用される。しかしながら、それは決して本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に開示されるシステム、装置、および方法は、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルド、オパール、アクアマリン、ペリドットおよびシモファン(キャッツアイ)、アンダルサイト、アキシナイト、カシテライト、クリノフマイト、レッドベリルなどを含むがこれらに限定されない任意のタイプの宝石用原石に適用できる。
【0064】
本明細書に開示されるように、「天然宝石用原石」、「本物の宝石用原石」、「土壌掘削された宝石用原石」、および「真の宝石用原石」という用語は互換的に使用される。
【0065】
本明細書に開示されるように、「プローブ」、「ファイバプローブ」、「光ファイバプローブ」という用語は互換的に使用される。
【0066】
一態様では、天然の宝石用原石を識別するためのシステムが本明細書に開示される(例えば、
図1A~1E)。
図1Aは、コンピュータ、スクリーニング装置(光プローブを含む)、電源、および様々な接続ケーブルを含む宝石用原石スクリーニングシステムの例示的な設定を示す。
【0067】
現在のシステムの光学設計は、光源、集光方法、および波長分離方法を含む多くの態様において当技術分野で既知のもの(例えば、中国実用新案第202383072号(U)とは異なる。特に、このシステムはオープンスペースで光プローブを使用しているため、ルースダイヤモンドとマウントされたメレダイヤモンドの両方の測定が可能である。
【0068】
図1Bは、電源を示している。
図1Cは、一例のスクリーニング装置を示す:装置の大部分の構成要素は、箱の中で見えないように隠れている。この装置の重要な構成は、完全に露出して箱の外側にある拡張プローブである。プローブは分析中に宝石用原石と接触するように使用される。多くの既存の携帯型宝石用原石スクリーニング装置は、分析の前に宝石用原石を配置することができる密閉プラットフォームを有する。プラットフォームは、分析中に外側に対して閉じられている区画内にある。これらのスクリーニング装置はプローブを使用せず、まして外部プローブも使用しない。
【0069】
図1Dは、装置を電源とコンピュータに(USBポート経由で)接続する方法を示す。
図1Eは、(箱の内側の)UV光源からの放射線が第1のポートを介して箱から送出され、宝石用原石から収集された光信号は別個のポートを介してボックスに供給されることを示す。
【0070】
図1Aに示すサンプルシステムには、次の物品が含まれる。
・マウントされたダイヤモンドのスクリーニング装置-1式
・AC/DC壁部取付アダプタ15V 36W-1個
・インライン電源スイッチ-1個
・USB2.0A-USB2.0Bケーブル-1本
・ファイバプローブ-1本
【0071】
システムは以下に従って起動することができる。まず、前面パネルと背面パネルの接続
(例えば、
図1Dおよび
図1E)は、背面パネルとコンピュータとをUSBケーブルで接続し、電源ケーブルを接続し、スイッチをオフにしたまま、ファイバプローブを前面パネルに接続することによって完了する。ここで、ファイバ脚部が切り替わらないことが重要である。光源のヒントラベルはファイバ上にある。ファイバが曲がるのを回避するために、両方のファイバ脚部を同時に装置に接続することが推奨される。
【0072】
図1Fは、中央装置、プローブ、電源アダプタ、およびスイッチを含む他の例示的なスクリーニング装置の概略図を示す。そのような実施形態では、別個のコンピュータ装置は必要とされない。例えば、中央装置は分析の結果を表示するためのディスプレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、中央装置は、テストプロセスを進めるためにユーザが様々なオプションを選択することを可能にする1つ以上の押ボタンを含む。いくつかの実施形態では、中央装置は、テストプロセスを実行するための方法ステップを実行するためのプロセッサおよびメモリを備えたコンピュータマイクロチップを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイはタッチスクリーンである。例えば、ユーザはタッチスクリーンに表示されたメニューからオプションを選択することができる。物理的なボタンは、もはや必要ない。いくつかの実施形態では、マイクロチップは、光源を制御することができる。例えば、UV光源(例えば、1つ以上のUV LED)は、タッチスクリーン上に表示されたメニューオプションを通じてマイクロチップによってオンまたはオフにすることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、テスト結果はスピーカを介して言葉で告知することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、
図1Fの例示的な実施形態は、2つの光ファイバ(1つはUV光源をテストされるサンプルの石に提供するためのものであり、もう1つはサンプルの石から蛍光信号を収集するためのものである)を介して中央装置に接続される外部プローブを含む構造部品のいくつかを維持する。いくつかの実施形態では、光ファイバは、それぞれが中央装置に接続される前に2本の光ケーブルに分割される(例えば、
図1Cおよび
図1E)。いくつかの実施形態では、2本の光ケーブルはそれらの違いを示すために、例えば、テキストラベルまたはコード、または異なる色を用いてラベル付けされる。いくつかの実施形態では、光ファイバは、中央装置に入った後に分割することができる。他の適切な構成もまた使用され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、
図1Fの中央装置は、USBポートなどのメモリポートを含むことができる。メモリポートは、ユーザが、例えばUSBメモリキーを介してテスト結果を保存し転送することを可能にする。いくつかの実施形態では、中央装置はまた、ネットワーク接続を提供するためのネットワーク通信ポートを含むことができる。
【0076】
図1Gは、タッチスクリーンディスプレイと外部プローブとを有する例示的なテスト装置を示す。タッチスクリーン上の例示的なメニューデザインは、
図12A~
図12Eに見出すことができる。
【0077】
一態様では、天然の宝石用原石を識別するための例示的なスクリーニングシステムが本明細書に開示されている(例えば、
図2A~
図2D)。
図2Aは、385nmで発光するように設計されているLED光源を示す。一方では、光源からの光はファイバプローブを介して宝石用原石に送られる。他方では、宝石用原石からプローブによって集光された光(例えば、蛍光発光)は、カプラを通過し、測定および特性化のために分光計に到達する。いくつかの実施形態では、385nm以外の波長を有する1つ以上のLED光源を使用することができる。本明細書に開示されるように、LED光源は、約15nm、約10nm、または約5nmの波長幅を有することができる。いくつかの実施形態では、LED光
源は、15nmより大きいまたは5nmより小さい波長幅を有することができる。
【0078】
当業者は、分析されているサンプルに最も適した波長または波長範囲を有するLED光を選択することができる。例えば、360nm~405nmの任意の波長は、天然ダイヤモンドにおいて吸収およびそれに続く蛍光を起こし得る。しかしながら、天然ダイヤモンドは、385、395、および403nmに強い吸収ピークを有し、385が最も強い。そのため、約385nmの光源が最良の蛍光結果を生み出す。
【0079】
図2Bは、一例のLED光源を示す。
図2Cは、信号検出を向上させるためにプローブと分光計との間のカプラに使用することができる(例えば、409nmまたは410nmの波長を有する)ロングパスフィルタを示す。
【0080】
図2Dは、宝石用原石との間で光を効果的に供給し且つ集光するための、プローブ先端を有する例示的な反射プローブを示す。いくつかの実施形態では、プローブサイズは宝石用原石のサイズよりも小さい。いくつかの実施形態では、サンプルの宝石用原石は、プローブよりもわずかに小さくすることができる。一般的に、ファイバプローブが小さいほど、空間分解能を向上できる。例えば、小さい先端を有する反射プローブを使用することができる。(非常に)小さい先端は、反射率測定をするために望ましい。いくつかの実施形態では、小さな先端の反射プローブは、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、または1mm以下のプローブ直径を有する。いくつかの実施形態では、プローブの直径は1.5mmである。いくつかの実施形態では、プローブの直径は2.5mmである。プローブは任意の適切な長さ(例えば、200mm以下、150mm以下、100mm以下、50mm以下、25mm以下、または10mm以下)を有することができる。いくつかの実施形態では、プローブは200mm以上の長さを有することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、プローブは、ファイバ結合光源に接続する6本の200μmファイバケーブルと、分光計への接続を介して反射を測定するための単一の200μm読み込みファイバケーブルとを有する照明脚部で構成することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、スペクトルの解像度を改善しながらスループットを制限するために分光計において光学スリットが使用される。スリットは、例えば、50ミクロン以下、75ミクロン以下、または100ミクロン以下を含むが、これに限定されない特定の分析に適した任意のサイズであり得る。いくつかの実施形態では、100ミクロンより大きいスリットを使用することができる。
【0083】
直径1.5mmの反射プローブには、専用のアングルファイバホルダー(AFH-15)が利用できる。いくつかの実施形態では、装置は、15、30、45、60、75、および90度の角度の下での反射測定を可能にする。
【0084】
本明細書に開示されるようなスクリーニング装置は、例えば、合成ダイヤモンド、処理されたダイヤモンド、およびダイヤモンド模擬物から、無色から近無色(例えば、DからZまでの色グレード)の天然ダイヤモンドおよび褐色ダイヤモンドを識別することと、宝石台枠内にマウントされたダイヤモンドをテストすることと、好ましくは直径が0.9mm(約0.005カラット)より大きいルースダイヤモンドをテストすることと、リアルタイムのテスト結果を視覚的通知と音声通知の両方で約3秒以内に提供することとを含むがこれに限定されない多数の機能を有する。いくつかの実施形態では、テスト結果は2秒以下で提供され得る。
【0085】
この装置は、そのスクリーニング機能に基づいて開発および設計されている。装置自体には、ユーザコマンドを受信するためのユーザインターフェースはない。その代わりに、
コンピュータで動作するソフトウェアが自動的に信号を収集して分析し、ダイヤモンドの発光パターンを検出する。それはそれらのダイヤモンドの発光パターンの存在に基づいて天然のダイヤモンドを識別し、同時に、さらなるテストのためにそれらのパターンのないサンプルを参照する。
【0086】
この装置は、ルースダイヤモンドとマウントされた宝石の両方のテストに使用できる。それは、任意の形状の無色から近無色(DからZまでの色グレード)のダイヤモンドおよび褐色ダイヤモンド用に設計されている。ファイバプローブは、存在する場合にはテストされるサンプルの発光効果を励起するようにUV光源を導き、次に光信号を装置内部のセンサに集める。この装置のソフトウェアは、音による通知と共に画面上に読みやすい結果を提供し、これにより、ユーザはテストの実行中に両手を使うことができる。
【0087】
天然ダイヤモンドの発光パターンが装置によって検出された場合、陽性または「合格」のテスト結果が表示され、テストサンプルが土壌採掘天然ダイヤモンドであることを示す。ダイヤモンドの発光パターンが検出されない場合は、非陽性または「照会」のテスト結果が表示され、テストされたサンプルが合成ダイヤモンド、処理されたダイヤモンド、またはダイヤモンド模擬物である可能性があることを示す。
【0088】
図3Aは、LED光源からのUV放射がファイバプローブに送達されて宝石用原石に照射される前にどのように最適化できるかを示している。いくつかの実施形態では、バンドパスLEDを使用して測定におけるLED反射を排除する。いくつかの実施形態では、LED光源は、適切な機能を確実にするために効果的な冷却用のヒートシンク上に配置される。図示されるスキーム例では、LED光源からのUV放射は、LED光源から第1の後側焦点距離(BFL1)に配置されているレンズ#1に最初に到達する。いくつかの実施形態では、コリメート光は、第1の所定の波長(例えば、390nm)を有するように構成されたショートパスフィルタを通過する。そのため、390nmより短い光波長のみがフィルタを通過してレンズ#2に到達する。ファイバプローブに接続されたファイバポートは、レンズ#2から第2の後側焦点距離(BFL2)に配置される。レンズ#2は、ショートパスフィルタからの平行ビームを集束させ、結果として生じる光をファイバプローブに送達する。
【0089】
図3Aに示すシステムは、390nmを超えるスペクトル密度を排除することによってLED出力を大幅にカットする。
図3Bに示されるように、400nmを超える有意な光スペクトルが除去され、結果として生じるLED光源は、より集光され、LEDパワーレベルの変化に対してそれほど敏感ではない。
【0090】
図3Cは、ショートパスフィルタおよびロングパスフィルタの使用を説明する例示的な一実施形態を示す。ショートパスフィルタおよびロングパスフィルタは、結果として得られる蛍光放射線から励起放射線を分離するために使用される。図示されるように、ショートパスフィルタは第1の波長に設定され、ロングパスフィルタは第2の波長に設定され、第1の波長は第2の波長より短い。そのように、励起放射線の効果は、結果として生じる蛍光放射線の効果から分離されている。
図3Cでは、第1の波長は約400nmおよびそれより少し下で示され、第2の波長は約412nmで示されている。当業者は、この一対の波長が本明細書に開示された値に限定されないことを理解するであろう。波長は、分析されているサンプルに従って、特にその吸収および蛍光特性に基づいて設定することができる。
【0091】
図4Aは、宝石用原石から放出された蛍光信号が検出器に送達される前にどのように処理され得るかを示す。例えば、ファイバプローブによって収集された信号は、最初に、光ファイバプローブの端部から第3の後側焦点距離(BFL3)に配置されたレンズ#3に
到達する。ここで、コリメート光は、別のフィルタ、ロングパスフィルタを通過する。いくつかの実施形態では、ロングパスフィルタは、所定の波長(例えば、409nm)を超える波長を有する光を通過させるように構成される。この例では、490nmより長い波長を有する光のみがレンズ#4に到達し、レンズ#4は検出器(例えば、
図2Aに示される分光計)から第4の後側焦点距離(BFL4)に配置される。レンズ#4は、フィルタリングされた蛍光信号を再集束させ、それらを測定および/または特性化のために検出器に送る。
【0092】
図4Bは、
図4Aにおける蛍光信号フィルタリングの効果を示す。この特定の例では、409nmまたは410nm未満の信号が除去されている。上述のように、LED光源からの信号は全て390nm未満であり、LED光信号が蛍光信号の測定および/または特性化を妨害することを不可能にする。したがって、励起光源からの出力と蛍光信号の入力とは互いに分離されている。
【0093】
いくつかの実施形態では、ショートパスフィルタおよびロングパスフィルタは、重なり合う波長スペクトルを有する光信号をもたらさない。
【0094】
図5Aは、光源からのUV放射およびサンプル宝石用原石(例えば、ダイヤモンド)からの蛍光発光の両方がフィルタセットで修正される完全な装置構成を示す。図示されるように、光源、検出器、および様々なフィルタセットを含む光学部品は、破線の箱で整理することができる。実際には、これらの部品は、光ファイバプローブおよびプローブを区画に接続するケーブルだけを露出させて、区画または箱内に組み立てることができる(例えば、
図2A参照)。いくつかの実施形態では、区画または箱は遮光性である。区画の唯一の開口部は、電源またはプローブに接続するためのポートである。
【0095】
ダイヤモンドの蛍光以外の光信号がテストに干渉し、感度が低下する可能性がある。いくつかの実施形態では、感度を最大にするために、白い紙、人間の皮膚、手袋、ほこり、および油など、テストを実行している間に蛍光信号を生成する可能性のあるいかなる材料もプローブから遠ざける必要がある。例えば、指、紙、布、プラスチックなど、多くの材料が1mWを超える385励起下で検出可能な蛍光信号を生成する可能性がある。これらの材料からの蛍光は、サンプルの宝石用原石からの信号と重なる可能性のあるノイズをもたらす。いくつかの実施形態では、そのようなノイズはソフトウェアアルゴリズムによってフィルタリング除去することができる。しかしながら、検出感度が低下する可能性がある。いくつかの実施形態では、装置による検知を実行するときにこれらの材料を避けることが推奨される。
【0096】
いくつかの実施形態では、サンプルへの強い光曝露は避けられるべきである。いくつかの実施形態では、システムは自由空間から光信号を収集するファイバプローブを使用するので、室内光は必要ならば減光されるべきである。
【0097】
最適な性能を確保するために、石や宝石はテストされる前に掃除されるべきである。その後、ユーザは光源をオンにしてからファイバプローブで石に軽く触れることができる。いくつかの実施形態では、
図5Bに示されるように、表面に対するプローブの入射角は30°未満に維持されるべきである。
【0098】
いくつかの実施形態では、装置はマウントされたサンプルの石をテストするために使用される。同時に複数のサンプルを測定することを回避するために、分離された(互いに接触していない)サンプルをテストするようにこの装置を使用することが推奨される。
【0099】
いくつかの実施形態では、ダイヤモンドなどのサンプルの宝石用原石は、表面に対する
プローブの入射角が30°未満に保たれながら、テーブルの視点から測定される。いくつかの実施形態では、ダイヤモンドなどのサンプルの宝石用原石は、パビリオンの視点から測定される。
【0100】
いくつかの実施形態では、装置は、ルースサンプル石をテストするために使用される。いくつかの実施形態では、宝石用原石は、テストのために少なくとも1mm以上の幅を有する。最高の感度を得るには、石のテーブルから信号を収集することが推奨されるが、信号が十分に強い限り、パビリオンまたは他の表面からテストを実行することは可能である。いくつかの実施形態では、ダイヤモンドの直径が1.5mmよりも小さい場合、ユーザは、ファイバヘッドの損傷を防ぐために、パビリオンまたはキュレットからのテストの実行を避けるべきである。いくつかの実施形態では、例えば、ルースダイヤモンドの場合は、プローブヘッドをテストサンプルに直接触れるのは避けるべきである。
【0101】
図6Aは、蛍光比色計によって認定された、様々なレベルの青色蛍光を有する10個のサンプル宝石用原石(ダイヤモンド)を示す。
図6Bの表は、各サンプル宝石用原石についてとられた具体的な測定値を列挙している。蛍光発光の強度および計算されたN3/ラマン値に基づいて、サンプル石1~6は天然のものとして識別される。石#7~#10は、LWUVランプまたは蛍光装置のいずれの下でも蛍光を示さず、さらなる分析のために照会される。
【0102】
図6Cは、同じ10個の石の蛍光強度を示しており、装置が非常に敏感であることを示している。
【0103】
いくつかの実施形態では、露光時間を長くすることによって検出感度を向上させることが可能である。
図6Dは長期露光の影響を示している。ここで、サンプル石#1~6は、
図6Bの測定と一致する同じ蛍光プロファイルを示した。さらに、石#7~10への露光時間を長くすることによって、石#7および#8について、より弱いとはいえ類似の蛍光プロファイルが観察された。
図6Dの分析はさらに石#7および#8を自然石として識別する。
【0104】
N3欠陥の存在に基づく蛍光検出は、現在のシステムおよび方法を説明するときの一例として使用される。それは決して本発明の範囲を限定するものではない。いくつかの実施形態では、いくつかの天然ダイヤモンドは、N3欠陥なしに検出可能な蛍光を示す。例えば、強いA中心ダイヤモンドは白色蛍光を示す。480nmの吸収帯をもつダイヤモンドは黄色の蛍光を示す。例えば、
図6Eを参照のこと。そのような蛍光の検出を達成し、天然の宝石用原石(ダイヤモンドなど)を識別するために、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(下記参照)の調整を用いることができる。そして、これらの蛍光パターンに基づいて、
図6Eの分析はさらに石#9および#10を天然石として識別する。
【0105】
本明細書に開示されているように、天然ダイヤモンドを検出するために、N3欠陥および対応する蛍光を用いることができる。いくつかの実施形態では、ダイヤモンドは、検出に十分なデータをもたらすのに十分なN3欠陥を有さない可能性があるか、またはN3蛍光を消光することができる他の欠陥を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、緑色、白色、緑色、または黄色の蛍光を含むがこれらに限定されない他の蛍光データを使用して、天然ダイヤモンドの検出を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、N3蛍光データに加えて追加の蛍光データを使用することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、
図6A~
図6Fに示されている異なるレベルまたはタイプの分析は、1ラウンドの光学/蛍光分析における逐次ステップとして組み合わせることができる。このような組み合わせは、ソフトウェアの統合によって実現できる。例えば、光学
分析は、天然石に対して最も一般的に存在するマーカまたは欠陥の検出から始まり、比較的まれであるマーカまたは欠陥を検出するための方法が続く。例えば、
図6A~
図6Fに示す例では、N3欠陥がより一般的に存在し、露光時間の単純な変動によって大部分の自然石(石#1~#8)を検出するために使用することができる。黄色の蛍光は比較的まれであるが、石#9と#10で検出できる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法およびシステムは、DからZまでのグレーディング範囲の天然の無色のダイヤモンドを識別するために使用される(例えば、
図7および
図8を参照)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている方法およびシステムは、処理されたピンクダイヤモンドを検出するために使用することができる(例えば、
図9参照)。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法およびシステムは、天然色ダイヤモンドを識別するために使用される。例示的な色の付いた宝石用原石としては、ルビー、サファイア、コランダム、トパーズ、エメラルド、スピネル、ガーネット、およびゾイサイトなどが挙げられるが、これらに限定されない。天然起源の色石の輝度スペクトルは、明確な発光パターンを明らかにした(例えば、
図10参照)。
【0109】
本明細書に開示されるように、宝石用原石からの特徴的な蛍光は、サンプル石に埋め込まれた鉱物のタイプを識別し、それによってダイヤモンド、コランダム(ルビー、サファイア)、スピネル、エメラルド、ゾイサイト(タンザナイト)、およびいくつかのトパーズおよびガーネットを識別するために使用できる。
【0110】
いくつかの実施形態では、無色から近無色のダイヤモンドまで、ピンクダイヤモンド、そしてルビー、サファイア、コランダム、トパーズ、エメラルド、スピネル、ガーネット、ゾイサイト他まで、様々なタイプの宝石の輝度スペクトルに対して1つ以上のライブラリを確立することができる。いくつかの実施形態では、各々のタイプの宝石用原石の輝度特徴曲線の集合を確立することができる。
【0111】
一態様では、本明細書に開示されているのは、宝石用原石のスクリーニングを操作および制御するためのソフトウェアプラットフォームである。
【0112】
本明細書に開示される分析と一致して、現在のシステムおよび方法のためのソフトウェアプラットフォームは、2つの重要なタイプの機能、すなわち較正およびサンプル分析を実行するためのユーザインターフェースを含み得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、較正は周囲光較正を含むことができる。ユーザがソフトウェアを起動するたびに周囲光較正が必要とされる。周囲光スペクトルは、ワークステーションの背景スペクトルに依存している。感度を維持するために、ソフトウェアを使用する前に、潜在的な背景スペクトルの変化後にこの機能を実行することが推奨される。
【0114】
いくつかの実施形態では、較正は暗部較正も含み得る。いくつかの実施形態では、暗部較正はオプションであり得る。例えば、暗部較正データが利用できないとき(例えば、データが失われたとき、または新しいセンサの最初の使用が初めて使用されたとき)、ソフトウェアインターフェースは暗部較正を実行するようにユーザに求める。いくつかの実施形態では、暗部較正中に、光ファイバプローブを取り外し、プローブを接続するための空のポートをコネクタキャップで覆うことができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、システムは定期的に較正を実行するように設定することができる。いくつかの実施形態では、システムは、システムが再起動するたびに自動的に較正
を実行するように設定することができる。
【0116】
サンプル分析を実行するとき、システムは特定のサンプルについての蛍光データを収集するための予め設定された露光時間を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、特定のデータ収集ラウンド中に収集された信号に応じて露光時間を自動的に調整することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、データが曖昧な結果を示す場合、システムは特定のサンプルに対して分析を繰り返すためのオプションをユーザに提示することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、関心のある蛍光の特徴が周囲光の主な特性の近く(450~650nmの間)にあるとき、実際の測定プロセスの条件と同様の条件下で周囲光スペクトルを収集することを含む較正プロセスが引き起こされる。UV光源が消えている間にプローブをサンプルの近くに移動することによって周囲光スペクトルが収集される。
【0119】
いくつかの実施形態では、周囲光スペクトルが収集された後、周囲光スペクトルと測定されたスペクトルの両方が0~1のスケールに正規化され、倍率が記録される。いくつかの実施形態では、周囲スペクトルにおけるピークまたは極大値の位置が識別され、チェックポイントとして使用される。
【0120】
サンプル周囲光較正プロセスでは、重みが正規化された環境スペクトルに割り当てられる。いくつかの実施形態では、重みは0から始まる。いくつかの実施形態では、重量は0.1、0.2、0.3などから始まる。測定スペクトルはまた、UV光源がオンにされている間のサンプルの宝石用原石について収集される。測定スペクトルは正規化することができる。その後、重み付けされた周囲スペクトルが正規化された測定スペクトルから差し引かれる。次に、スペクトル曲線の平滑度が、以前に識別されたチェックポイントの周囲でチェックされる。平滑度が要求を満たすならば、較正された測定スペクトルが返される。平滑度が要件を満たさない場合は、正規化された周囲スペクトルの重みを0.05だけ調整することができる。本明細書に開示されるように、調整は増加または減少のいずれかであり得る。平滑度フィッティングステップは反復プロセスであり得る。重み調整は、予め設定された基準に従って自動的に生成することができるか、またはユーザによって手動で入力することができる。いくつかの実施形態では、最適化重みを抽出するためにフィッティング機構を適用することができる。
【0121】
フィッティングステップの後、較正された測定スペクトルはその元のスケールにスケールバックされ、さらなる分析に使用される。
【0122】
本明細書に開示されるように、周囲光が1つ以上の蛍光灯によって提供される場合、蛍光灯からのピークがダイヤモンドの蛍光スペクトルを圧倒する可能性があるため、較正は必須である。
【0123】
[実施例]
以下の非限定的な実施例は、本明細書に開示される本発明の実施形態をさらに説明するために提供される。以下の実施例に開示された技術は、本発明の実施において良好に機能することが見出されたアプローチを表し、したがってその実施のための様式の例を構成すると見なすことができることを当業者は理解するべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された特定の実施形態に多くの変更を加えることができ、それでもなお本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができることを理解すべきである。
【0124】
[実施例1]例示的なN
3分析
図7Aは、天然ダイヤモンドの例示的なN3蛍光スペクトルを示す。ここでは、410nmと450nmの間に3つのピークが確認される。選択されたデータを各ピークから抽出して、ピークを代表するであろう特徴を計算した。
【0125】
例えば、
図7Aに示される3つのピークのそれぞれに対して、ピーク強度値および参照強度値が決定された。次いで、ピーク対基準の比を計算した。
図7Aに示す例では、415.6nmでのピーク強度が最も代表的であった。N3は室温で415.6nmにゼロフォノン線を有し、本明細書に開示される分析はこのピークおよびその相対的な側方ピークを確認するためのものである。この比率分析は、ピーク分析を達成するための多くの方法のうちの1つにすぎない。いくつかの実施形態では、このピーク位置は室温で非常に安定しているため、415.6nmのピークが使用される。
【0126】
本明細書に開示されるように、複数のピークおよびそれらの対応するピーク対基準比を決定するために複数のスペクトルを収集することができる。ピーク比に基づいてさらなる処理のために1つ以上のピークを選択することができる。その後の分析ですべてのピークを使用する必要はない。
【0127】
図7Bは、蛍光バンドを特徴付ける一例を示す。蛍光バンドの質は、中心強度値、nm単位の帯域幅、および基準強度値を含むいくつかのパラメータに基づいて評価した。この実施例において、基準強度値は、陰性対照としての役割を果たすHPHT合成ダイヤモンドの蛍光スペクトルに基づいて決定された。図示のように、天然ダイヤモンドから来るこの種の蛍光スペクトルを識別するために中心と帯域幅を使用することは依然として可能である。対照的に、HPHT合成ダイヤモンドは強い蛍光バンドを示さない。
【0128】
[実施例2]無色ダイヤモンド分析
図8は、無色ダイヤモンドの分析結果を示す。(N
3分析を使用する)現在の方法は、テストされた1660個の天然ダイヤモンドおよび1077個の合成メレダイヤモンドのうち97%の天然ダイヤモンドを正しく識別することができた。
【0129】
さらに2%の天然ダイヤモンドがそれらの蛍光スペクトルに基づいて(例えば、蛍光スペクトルの中心帯域幅(例えば、
図7B)に基づいて)さらに識別された。合成ダイヤモンドおよびダイヤモンド模擬物を100%の精度で検出することができる。
【0130】
図8の右側では、天然由来のダイヤモンドの発光または輝度曲線が、典型的な合成ダイヤモンドのそれと比較されている。曲線は、400nmをわずかに超える(ロングパスフィルタによって決定される)から約750nmまでの可視範囲の蛍光発光を示し、紫色から赤色までの色スペクトルをカバーする。図示のように、紫外線光源にさらされると、合成ダイヤモンドは検出範囲で観察可能な発光を示さない。一方、天然由来のダイヤモンドは顕著な発光を示す。いくつかの実施形態では、いくつかの天然ダイヤモンドは、検出可能なN
3スペクトルを有さない。
【0131】
[実施例3]ピンクダイヤモンド分析
ピンクダイヤモンドの色の外観を向上させるために、異なるタイプの処理、例えば、高温高圧(HPHT)、照射および/またはアニーリングが使用されてきた。しかしながら、このプロセスの後、それはまた天然の未処理のピンクダイヤモンドに見つけるには非常に稀ないくつかの特徴を増幅または導入する。
図9は、天然ピンクダイヤモンドと処理されたピンクダイヤモンドの分光特性を比較することによるピンクダイヤモンドの分析結果を示す。この例では、特徴的な蛍光を用いて、温度または圧力処理によって処理したピンク色のダイヤモンドを識別することができる。上のスペクトルは天然ピンクダイヤモンド
の蛍光曲線であり、一方、下の曲線は処理したピンクダイヤモンドの蛍光スペクトルを示している。注目すべきことに、天然のピンクダイヤモンドは540nm後(特に560nmまたは580nm後)に有意な発光を示さなかった。
【0132】
処理したピンクダイヤモンドは540nmと660nmの間でかなりの発光を示した。特に、オレンジ色の範囲の明瞭な蛍光ピークが、処理されたピンクダイヤモンドに対して560nmと580nmの間で観察され、それは処理したピンクダイヤモンドを識別するための特徴の基準として使用することができる。一方で、処理した(色強化した)ピンクダイヤモンドは、天然ピンクダイヤモンドでは稀である以下の特徴を示した:504(H3)でのピーク、575(N-V)0でのピーク、および637(N-V)-でのピーク。一方、天然の未処理のピンクダイヤモンドの大部分は、明確な575nmのピークを有さない。これらのピークは、処理を識別するために単独でまたは組み合わせて使用することができる。これらの特徴は色強化処理中に生成される。
【0133】
[実施例4]宝石用原石のその他のタイプ
多くの鉱物は金属イオンの不純物で着色されている。これらの鉱物や宝石用原石の外観を変えるだけでなく、金属イオンの中には蛍光の一因となるものもある。例えば、クロムは多くの鉱物の中で赤色蛍光の重要な原因である。蛍光分光法に基づいて、これらの宝石用原石の輝度スペクトルは、それらの対応する鉱物のタイプを識別するために使用され得る。
【0134】
図10は、様々な色の宝石用原石の分析結果を示しており、入手可能な着色石のかなりの幅をカバーしている6タイプの着色石の輝度特性を示している。この例では、本明細書に開示されている方法およびシステムは、異なる着色宝石用原石の鉱物のタイプを識別するために使用される。着色宝石用原石の例としては、ルビー、サファイア、コランダム、トパーズ、エメラルド、スピネル、ガーネット、およびゾイサイトなどが挙げられるが、これらに限定されない。天然起源の着色石の輝度スペクトルは、明確な発光パターンを示した。
【0135】
例えば、クロムはこれらの鉱物の赤色蛍光に寄与する主な微量元素である。近紫外光によって励起されると、コランダムとスピネルの90%以上、エメラルドの95%以上、そしてゾイサイトの80%以上は、はっきりとした赤色蛍光特性を生成する。さらに、トパーズやガーネットの一部は、認識可能なスペクトルを生成する可能性がある。ピーク位置と帯域幅を使用することによって、対応する鉱物のタイプを迅速に識別できる宝石用原石の識別アルゴリズムを作成した。
【0136】
[実施例5]サンプルユーザインターフェース
図11A~
図11Fは、宝石用原石のスクリーニング装置を操作および制御するサンプルソフトウェアプログラムからのサンプルスクリーンショットを示す。
【0137】
ユーザは、
図11Aに示すショートカットアイコンをダブルクリックすることによってプログラムを起動することができる。
図11Aに示すウェルカムページには、プログラムのシリアル番号が表示される。この段階で、ソフトウェアは光学センサの存在を検出することができる。センサが検出されない場合は、ソフトウェアを閉じてUSB接続を確認するようにユーザに通知することができる。
【0138】
図11Bに示す周囲光較正機能スタートメニューを選択することによって周囲光較正を実行することが可能である。較正を進め得る前に、LED光源を回転させる必要がある。ユーザは、ファイバプローブでサンプル(ダイヤモンド)を軽く触ってから、「開始」をクリックする。一般的な光源の典型的なスペクトルは
図11Cに含まれる。
【0139】
暗部較正メニューの開始アイコン(例えば、
図11D参照)をクリックすることにより、ソフトウェアは暗部信号を自動的に較正する。暗部較正は陰性対照として機能し、測定なしの開始を表す。完了したら、ユーザは「次へ」アイコンをクリックして暗部較正を終了できる。
【0140】
較正後、ユーザは
図8Eに示すように、LED光源をオンにして宝石用原石のテストを進めることができる。ユーザは、ファイバプローブをサンプルの宝石用原石(例えば、ダイヤモンド)に軽く触れることができる。識別結果は図と音声の両方で提示することができる。ユーザが「テストを中断する」を押すまで、ソフトウェアは連続モードで実行できる。いくつかの実施形態では、以下の表に示すように、緑色のチェックマークは「合格」を表し、黄色の疑問符は「照会」を表す。
【表1】
【0141】
図11Eまたは
図11Fに示されるいずれのインターフェースでも、ユーザは「テストを中断する」の選択をクリックすることによってテストを終了することを選択することができる。
【0142】
図12Aから
図12Eは、別の例示的なユーザインターフェースを示す。サンプルのスクリーンショットは、組み込みマイクロコンピュータを備えた宝石用原石スクリーニング装置(例えば、
図1Fおよび1G)を操作および制御する別のサンプルソフトウェアプログラムからのものであった。ここでは、タッチスクリーンが使用される。特定のタスクを実行するためのメニューオプションは、タッチスクリーン上のボタンとして表示される。装置上の物理的なボタンを押す代わりに、ユーザは今やタッチスクリーン上のオプション(例えば、
図12Aの較正ボタンおよび
図12Bのテストボタン)に触れることができる。
図12C~
図12Eは、分析が任意の段階(例えば、合格または照会結果が返された後(例えば、
図12Cおよび12D)または分析中(例えば、
図12E))で停止され得ることを示す。
【0143】
図12A~
図12Eに示されるユーザインターフェースは単純であり、それは単純でコンパクトな装置設計を可能にすることができる。
【0144】
本発明を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく、修正、変形、および同等の実施形態が可能であることは明らかであろう。さらに、本開示における全ての例は、非限定的な例として提供されることを理解すべきである。
【0145】
上記の様々な方法および技術は、本発明を実施するためのいくつかの方法を提供する。当然ながら、記載された目的または利点のすべてが、本明細書に記載された任意の特定の実施形態に従って達成され得るとは限らないことを理解すべきである。したがって、例え
ば、本明細書で教示または示唆され得るような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または利点群を達成または最適化するように、本方法を実行できることを当業者は認識するであろう。本明細書では、様々な有利なおよび不利な代替形態が言及されている。いくつかの好ましい実施形態は、特に1つの、他の、またはいくつかの有利な構成を含み、他のものは、1つの、他の、またはいくつかの不利な構成を具体的に排除し、さらに他のものは、1つの、他の、またはいくつかの有利な構成を含むことによって存在する不利な構成を具体的に軽減することを理解すべきである。
【0146】
さらに、当業者は、異なる実施形態からの様々な構成の適用可能性を認識するであろう。同様に、上述した様々な要素、構成、およびステップ、ならびにそのような要素、構成、またはステップのそれぞれに対する他の既知の均等物は、本明細書に記載の原理に従って方法を実行するために当業者によって混合および適合され得る。多様な実施形態において、様々な要素、構成、およびステップのうち、いくつかは具体的に含まれ、他は具体的に除外されるであろう。
【0147】
本発明を特定の実施形態および実施例に関連して開示したが、本発明の実施形態は具体的に開示した実施形態を超えて他の代替の実施形態および/またはその使用および修正および均等物に及ぶことが当業者には理解されるであろう。
【0148】
本発明の実施形態において、多くの変形および代替の要素が開示されている。さらに、さらなる変形および代替の要素が当業者には明らかであろう。
【0149】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を説明および特許請求するために使用される成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す数は、場合によっては用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態では、明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変わり得る近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、報告された有効桁数に照らして、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載されている数値は実施可能な限り正確に報告されている。本発明のいくつかの実施形態で提示される数値は、それらのそれぞれのテスト測定値において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含み得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を説明する文脈で(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)使用される用語「a」および「an」および「the」および類似の参照は、単数形と複数形の両方を網羅すると解釈され得る。本明細書における値の範囲の列挙は単に、その範囲内に含まれるそれぞれの別々の値を個々に指す簡潔な方法として役立つことを意図している。本明細書で別段の指定がない限り、各個別の値は、あたかも個別に本明細書に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書の特定の実施形態に関して提供されるありとあらゆる例、または例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにするためのものであり、別の方法で特許請求される本発明の範囲を限定しない。本明細書中のいかなる言葉も、本発明の実施に必須のあらゆる特許請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0151】
本明細書に開示された本発明の代替の要素または実施形態の群分類は、限定として解釈されるべきではない。各群の要素は、個別に、またはその群の他の要素または本明細書中
に見出される他の要素との任意の組み合わせで、参照および特許請求することができる。利便性および/または特許性の理由から、群の1つ以上の要素を群に含めることも、群から削除することもできる。そのような包含または削除が生じたとき、本明細書は修正されたものとして群を含み、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ群の書面による説明を満たすと見なされる。
【0152】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。当業者はそのような変形形態を適宜使用することができ、本発明は本明細書に具体的に記載された以外にも実施することができると考えられる。したがって、本発明の多くの実施形態は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載の主題のすべての修正形態および均等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形形態における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書中に別段の指示がない限りまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0153】
さらに、本明細書を通して特許および印刷された刊行物に対して多数の参照がなされてきた。上記に引用された参考文献および印刷された刊行物のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に個々に組み込まれる。
【0154】
最後に、本明細書に開示された本発明の実施形態は、本発明の原理の例示であることを理解されたい。採用され得る他の修正形態は、本発明の範囲内で可能である。こうして、限定ではなく例として、本明細書の教示に従って本発明の代替構成を利用することができる。したがって、本発明の実施形態は、図示および説明したものに厳密には限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宝石用原石をその蛍光発光に基づいてスクリーニングする方法であって、
光ファイバプローブによって宝石用原石にLED光源から放射線を送達するステップであって、前記放射線は、前記LED光源からの光を第1のレンズでコリメート光とすることによって提供され、前記第1のレンズは、前記LED光源から第1の後側焦点距離に配置され、前記コリメート光は、ショートパスフィルタ、および、第1のファイバポートに接続された前記第1の光ファイバプローブを通して送るように光を集束するように構成された第2のレンズを通過し、前記第1のファイバポートは、前記第2のレンズから第2の後側焦点距離に配置されており、前記ショートパスフィルタは、390nmの第1の所定の波長に設定されている、ステップと、
前記第1の光ファイバプローブによって、前記宝石用原石から放射された蛍光を受信するステップと、を含み、
ロングパスフィルタによって、修正された蛍光発光が提供され、第3のレンズが、第2のファイバポートから第3の後側焦点距離に配置され、第4のレンズが、蛍光検出器から第4の後側焦点距離で離れて配置され、前記ロングパスフィルタが409nmの第2の所定の波長を有しており、
コンピュータ装置によって、フィルタリングされた前記修正された蛍光発光の1つ以上の測定値を自動的に収集して分析することで、前記宝石用原石の発光パターンを検出し、
前記発光パターンが天然宝石用原石の発光パターンである場合、前記宝石用原石が天然であることを示し、
前記発光パターンが天然宝石用原石の発光パターンでない場合、前記宝石用原石が天然でないことを示し、さらなるテストのために前記宝石用原石を参照する、方法。
【請求項2】
周囲光の較正を実行するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発光パターンが450から650nmの間である場合、
周囲光の較正を実行するステップは、
前記光源が消えている間に前記宝石用原石を前記光ファイバプローブに接触させるステップと、
周囲光スペクトルを測定するステップと、
前記測定された周囲光スペクトルをその後の測定のための背景スペクトルとして設定することによって周囲光を較正するステップとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
暗部較正を実行するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
暗部較正を実行するステップは、
前記蛍光検出器への光の侵入を排除することによって暗部信号の測定値を収集するステップと、
測定された暗部信号を光信号の不在として設定することによって暗部信号を較正するステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の測定値は前記蛍光検出器を用いて得られる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記LED光源は、バンドパスフィルタと結合されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記光ファイバプローブは、2本以上の光ファイバを含む光ケーブルに接続されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記光ファイバプローブに接続された前記光ケーブルは、前記光源に接続された第1の光ケーブルと、前記蛍光検出器に接続された第2の光ケーブルとを含む少なくとも2つの光ケーブルに分割される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記蛍光検出器は、分光計であり、かつ、100ミクロン以下の光学スリットを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記LED光源はヒートシンク上に配置されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】