(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022175
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】グリカン治療剤及びその関連方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/716 20060101AFI20230207BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230207BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230207BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230207BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230207BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20230207BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230207BHJP
【FI】
A61K31/716
A61P1/00
A61P1/04
A61K45/00
A61K9/08
A61K9/10
A23L33/10
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022188156
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2020201305の分割
【原出願日】2016-01-13
(31)【優先権主張番号】62/152,005
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/216,997
(32)【優先日】2015-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/216,993
(32)【優先日】2015-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/108,039
(32)【優先日】2015-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/216,995
(32)【優先日】2015-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/152,011
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/152,007
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/152,017
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/238,110
(32)【優先日】2015-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/238,112
(32)【優先日】2015-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/152,016
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/217,002
(32)【優先日】2015-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517258420
【氏名又は名称】カレイド・バイオサイエンシズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フォン・マルトツァーン,ジェフリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】シルバーマン,ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】ヤマナカ,イボンヌ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ミルウィド,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミア,ジョン・エム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒトの胃腸の微生物叢における細菌分類群の存在度を調節可能な医薬組成物を提供する。
【解決手段】ヒト対象の胃腸の微生物叢における細菌分類群の存在度を調節するのに用いるための薬学的組成物であって、前記組成物が前記細菌分類群の存在度を調節するのに有効な量でグリカン治療調合剤を含み、i)前記グリカン治療調合剤が分岐グリカンの混合物を含み、前記調合剤中の前記グリカンの平均分岐度(DB)が少なくとも0.01であり、ii)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつiii)前記調合剤中の前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、約1:1~約5:1である、組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め同定された腸内毒素症の治療を必要とするヒト対象において腸内毒素症と関連する疾患、障害又は状態の治療における使用のためのグリカン治療調合剤を含む薬学的組成物であって、
i)前記グリカン治療調合剤が分岐グリカンの混合物を含み、前記調合剤中の前記グリカンの平均分岐度(DB)が少なくとも0.05であり、
ii)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつ
iii)前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、約1:1~約5:1であり、
前記疾患、障害又は状態が、腸炎である、前記組成物。
【請求項2】
前記腸炎が、炎症性腸疾患(IBD)である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
IBDが、潰瘍性大腸炎(UC)又はクローン病(CD)である、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記腸炎が、顕微鏡的大腸炎である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
治療が、第2の薬物または薬学的薬剤を投与することをさらに含む、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記第2の薬物または薬学的薬剤が、標準治療薬物または薬剤である、請求項5に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記組成物が毎日投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記組成物が、所定の日数(治療期間)の間毎日投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記対象が、単一治療期間中、又は、1回を超える治療期間中、前記組成物を投与される、請求項8に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記グリコシド結合のうちの少なくとも2つ、又は少なくとも3つが、独立して、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記グリカン単位が、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース、及びラムノースの群から選択される単糖類のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記グリカン治療調合剤が、合成であり、かつ天然のオリゴ糖または多糖源から単離されない、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記組成物が、単位剤形として製剤化され、
(i)前記単位剤形が、経口送達のために製剤化されてもよいか、又は
(ii)前記単位剤形が、水溶液中に溶解するように製剤化され、飲料、シロップ、溶液、または懸濁液として経口投与されてもよい、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、アラビノース、ラムノース、及びマンノースの群から選択される少なくとも1つのグリカン単位を含む請求項1に記載の使用のための組成物であって、前記調合剤が、以下の1H-13C HSQCピークの1つ又は2つ以上と関連するグリカン単位を含む、前記使用:
(i)グルコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.42、92.5;5.21、92.8;5.18、93.9;5.08、97.0;5.36、98.4;5.34、99.8;5.38、100.3;4.95、98.6;4.62、96.6;4.70、103.6;4.49、103.4 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含み、
(ii)ガラクトースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、92.9;5.24、93.1;5.14、96.0;4.96、99.3;5.31、98.7;5.39、101.4;5.00、101.8;4.80、101.3;4.63、97.0;4.56、97.2;4.53、103.1;4.43、104.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含み、
(iii)フコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、92.9;5.33、92.4;5.04、96.3;4.90、99.7;4.52、97.0;4.39、103.6 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含み、
(iv)キシロースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、93.0;5.10、94.3;5.34、98.2;5.31、99.6;5.11、100.8;4.91、99.4;4.56、97.3;4.64、104.2;4.54、103.4;4.44、102.6;4.44、104.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含み、
(v)アラビノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.22、93.2;5.13、93.2;5.29、96.0;5.26、97.2;5.12、96.6;5.18、99.6;5.06、99.2;4.99、100.0;5.26、101.9;5.06、102.1;4.55、97.4;4.54、105.2;4.50、105.5;4.38、103.9 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含み、
(vi)ラムノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.21、93.2;5.10、94.5;4.85、94.1;5.01、95.8;5.35、100.5;5.15、102.2;5.04、102.9;4.78、97.9;4.71、99.0;4.72、101.0 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含み、
(vii)マンノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、93.0;5.16、94.6;4.88、94.2;5.39、101.7;5.24、101.9;5.13、102.8;5.03、102.7;5.24、105.6;5.09、108.0;4.88、94.2;4.89、100.0;4.70、101.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒトの微生物叢は複雑であり、遺伝学、年齢、性別、ストレス、栄養素、及び食事に応
じて個体によって異なる。微生物叢は、多くの活動を行い、宿主の生理学に影響を及ぼし
得る。腸内の微生物叢の数及び種の変化は、共同体機能及び宿主との相互作用を変化させ
得る。限定された数のプロバイオティクス細菌が当該技術分野において公知であり、健康
効果とのいくつかの関連が、ヒトによって得られるときに、文書化される。いくつかの食
物は、ヒト宿主にとって有効であると考えられるある特定の細菌の増殖を促進し得る物質
を含有する「プレバイオティクス」食物であると見なされる。これらの物質を用いた臨床
試験の結果は、それらの有効性に関して矛盾して、ヒトの健康における影響は、概して、
適度であると記載されている。それ故に、有益な微生物叢シフトを刺激し、ヒトの健康を
改善することができる新規の治療的入力に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、本発明は、ヒト対象の胃腸の微生物叢における細菌分類群の存在度を調節
する方法を特徴とし、本方法は、ヒト対象に、細菌分類群の存在度を調節するのに有効な
量でグリカン治療調合剤を含む薬学的組成物を投与することを含み、i)グリカン治療調
合剤が分岐グリカンの混合物を含み、調合剤中のグリカンの平均分岐度(DB、残渣当た
りの分岐点)が、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05、または少なくとも
0.1)であり、ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30
未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつiii)調合剤中のグリカン中に存在
するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、全体で約1:1~約
5:1である。いくつかの実施形態では、細菌分類群は、少なくとも第1及び第2の細菌
分類群を含む。
【0003】
いくつかの実施形態では、調合剤は、分岐オリゴ糖を含む。いくつかの実施形態では、
調合剤中の平均分岐度(DB)は、少なくとも0.05(例えば、少なくとも0.1)で
ある。
【0004】
いくつかの実施形態では、グリコシド結合のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、
少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれ以上が、独立して、1->2グリコシド結
合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合
を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上、2つ以上、または3つ以上のグリコシド結
合は、アルファ及びベータ構造の両方で存在する。
【0005】
いくつかの実施形態では、グリカン単位は、テトロース、ペントース、ヘキソース、及
びヘプトースの群から選択される単糖類のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、また
は少なくとも3つ、またはそれ以上を含む。いくつかの実施形態では、グリカン単位は、
グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フ
コース、及びラムノースの群から選択される単糖類のうちの少なくとも1つ、少なくとも
2つ、少なくとも3つ、またはそれ以上を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、当該調合剤中のグリカンの少なくとも複数のグリカン、例え
ば、少なくとも10、20、30 40、50、60、70、80、90、95、もしく
は99%(重量または数で)、または実質的にはすべてが、事前選択された基準レベルよ
りも多い、グリカン単位の反復単位、例えば、2、3、4個、またはそれ以上のグリカン
単位の反復単位を含まない。一実施形態では、事前選択された基準レベルは、グリカン中
の全グリカン単位の10、20、30、40、50、または60%である。例として、一
実施形態では、これらの20のモノマーの50%未満である、20の単糖類モノマーから
構成されているグリカンは、2または3個のグリカン反復の反復単位である。
【0007】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、合成であり、かつ天然のオリゴ糖ま
たは多糖源から単離されない。
【0008】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の胃腸の微生物叢における細菌分類群の(例えば、
第1及び第2の細菌分類群のそれぞれの)存在度は、少なくとも約5%、10%、25%
50%、75%、100%、250%、500%、750%で、または少なくとも10
00%で調節される。いくつかの実施形態では、調節は、ヒト対象の胃腸の微生物叢にお
ける細菌分類群の(例えば、第1及び第2の細菌分類群のそれぞれの)存在度の増加また
は減少を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、共生
細菌分類群を含む。他の実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群
)は、病原性細菌分類群を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、Ak
kermansia、Alistipes、Anaerofilum、Bacteroi
des、Bilophila、Blautia、Bifidobacterium、Bu
tyrivibrio、Campylobacter、Candidatus、Citr
obacter、Clostridium、Collinsella、Coprococ
cus、Desulfovibrio、Dialister、Dorea、Entero
bacter、Enterococcus、Escherichia、Eubacter
ium、Faecalibacterium、Fusobacterium、Haemo
philus、Klebsiella、Lachnospira、Lactobacil
lus、Odoribacter、Oscillospira、Parabactero
ides、Peptococcus、Peptostreptococcus、Phas
colarctobacterium、Porphyromonas、Portiera
、Prevotella、Providencia、Pseudomonas、Rose
buria、Ruminococcus、Salmonella、Shigella、S
taphylococcus、Streptococcus、Subdoligranu
lum、Vibrio、及びYersiniaの群から選択される属を含む。いくつかの
実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、Prevotel
la、Akkermansia、Bacteroides、Clostridium(E
rysipelotrichaceae)、Clostridium(Clostrid
iaceae)、Bifidobacterium、Aggregatibacter、
Clostridium(Peptostreptococcaveae)、Parab
acteroides、Lactobacillus、及びEnterococcusの
群から選択される属を含む。いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第
2の細菌分類群)は、Akkermansia、Bacteroides、Bifido
bacterium、Lactobacillus、及びParabacteroide
sの群から選択される属を含む。いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及
び第2の細菌分類群)は、Akkermansia及びBlautiaの群から選択され
る属を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、小腸
または大腸において優勢である分類群を含む。いくつかの実施形態では、小腸において優
勢である細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、Achromobact
er、Agrobacterium、Blautia、Burkholderia、Co
prococcus、Cryocola、Enterococcus、Eubacter
ium、Holdemania、Lactococcus、Mycobacterium
、Pseudoramibacter、Ralstonia、Sphingomonas
、Streptococcus、及びTuricibacterの群から選択される属を
含む。いくつかの実施形態では、大腸において優勢である細菌分類群(例えば、第1及び
第2の細菌分類群)は、Anaerotruncus、Akkermansia、Bac
teroides、Bilophila、Butyricimonas、Odoriba
cter、Parabacteroides、Phascolarctobacteri
um、Prevotella、及びRuminococcusの群から選択される属を含
む。
【0012】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ポリフェノール調合剤をさらに含む。いく
つかの実施形態では、ポリフェノール調合剤は、植物源材料から単離された植物ポリフェ
ノールを含む。いくつかの実施形態では、植物源材料は、ブルーベリー、クランベリー、
ブドウ、モモ、プラム、ザクロ、大豆、赤ワイン、紅茶、または緑茶を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)の存在度
の調節は、腸内毒素症、例えば、本明細書に記載される腸内毒素症を治療する。
【0014】
別の態様では、本発明は、ヒト対象における薬物または治療誘発性の症状を軽減させる
方法を特徴とし、ヒト対象に、薬物または治療によって誘発された症状を軽減させるのに
有効な量でグリカン治療調合剤を投与することを含み、i)グリカン治療調合剤は、分岐
グリカンの混合物を含み、調合剤中のグリカンの平均分岐度(DB)が、少なくとも0.
01(例えば、少なくとも0.05、または少なくとも0.1)であり、ii)調合剤中
のグリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(D
P)を有し、かつiii)調合剤中のグリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対
ベータ-グリコシド結合の比率が、全体で約1:1~約5:1である。
【0015】
いくつかの実施形態では、薬物または治療誘導性の症状は、膨満感、下痢、嘔吐、吐き
気、及び便秘の群から選択される。いくつかの実施形態では、薬物または治療誘導性は、
下痢である。いくつかの実施形態では、薬物または治療誘導性の症状は、便秘である。
【0016】
いくつかの実施形態では、本組成物は、薬物誘発性の症状を軽減させ、本組成物は、薬
物の投与の前、それと同時に、またはその後に投与される。いくつかの実施形態では、薬
物は、抗糖尿病薬、免疫抑制薬、抗菌薬、化学療法薬、抗精神病薬、プロトンポンプ阻害
薬、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。いくつかの実施形態では、薬
物は、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、アモキシシリン-クラブラネート、セフ
ィキシム、エファロスポリン、フルオロキノロン、アジスロマイシン、クラリスロマイシ
ン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、イリノテカン(Camp
tosar)、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ボルテゾミブ
、イマチニブ、レナリドマイド、イムブルビカ、イピリムマブ、ペルツズマブ、カペシタ
ビン、ドセタキセル、ラパチニブ、エルロチニブ、カルムスチン、エトポシド、アラシチ
ン、メルファラン、シタラビン、ダウノルビシン、アムサクリン、ミトキサントロン、オ
ランザピン、ラニチジン、ファモチジン、シメチジン、オメプラゾール、スクラルファー
ト、エソメプラゾール、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェ
ン、ケトプロフェン、ピロキシカム、セレコキシブ、ニメスリド、アスピリン、メトホル
ミン、パロキセチン、バルプロ酸、及びクロザピンの群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、本組成物は、治療誘導性の症状を軽減させ、この治療は、放
射線治療または手術を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、薬物または治療誘導性の症状は、治療レジメン中に対象によ
って示される。いくつかの実施形態では、1つ以上の症状の軽減は、治療レジメンに対す
る対象によるコンプライアンスを増大させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の症状
の軽減は、治療レジメン中に投与される、高投与量の薬物に対する対象の耐性を増大させ
る。
【0019】
別の態様では、本発明は、ヒト対象の胃腸管中の微生物多様性を調節する方法を特徴と
し、本組成物は、微生物多様性を調節するのに有効な量でグリカン治療調合剤を含み、i
)グリカン治療調合剤は分岐グリカンの混合物を含み、調合剤中のグリカンの平均分岐度
(DB、残渣当たりの分岐点)は、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05、
または少なくとも0.1)であり、ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50%が、少
なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつiii)調合剤中の
グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、全
体で約1:1~約5:1である。いくつかの実施形態では、微生物多様性は、細菌多様性
を含む。いくつかの実施形態では、調節は、微生物多様性の増加または減少を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、微生物多様性は、シャノン多様性指数の使用によって決定さ
れる(例えば、測定される)か、またはそれによって表される。いくつかの実施形態では
、シャノン多様性は、少なくとも約5%増加または減少する。いくつかの実施形態では、
シャノン多様性は、少なくとも約15%増加または減少する。いくつかの実施形態では、
シャノン多様性は、少なくとも約0.3対数倍増加または減少する。いくつかの実施形態
では、シャノン多様性は、少なくとも約0.6対数倍増加または減少する。いくつかの実
施形態では、シャノン多様性は、少なくとも約1対数倍増加または減少する。
【0021】
いくつかの実施形態では、Prevotella、Akkermansia、Bact
eroides、Clostridium(Erysipelotrichaceae)
、Clostridium(Clostridiaceae)、Bifidobacte
rium、Aggregatibacter、Clostridium(Peptost
reptococcaveae)、Parabacteroides、Lactobac
illus、及びEnterococcusの属の群から選択される少なくとも1つの細
菌分類群の存在度が、調節される。いくつかの実施形態では、Prevotella、A
kkermansia、Bacteroides、Clostridium(Erysi
pelotrichaceae)、Clostridium(Clostridiace
ae)、Bifidobacterium、Aggregatibacter、Clos
tridium(Peptostreptococcaveae)、Parabacte
roides、Lactobacillus、及びEnterococcusの属の群か
ら選択される少なくとも1つの細菌分類群の存在度は、少なくとも約5%増加する。
【0022】
いくつかの実施形態では、Prevotella、Akkermansia、Bact
eroides、Clostridium(Erysipelotrichaceae)
、Clostridium(Clostridiaceae)、Bifidobacte
rium、Aggregatibacter、Clostridium(Peptost
reptococcaveae)、Parabacteroides、Lactobac
illus、及びEnterococcusの属の群から選択される少なくとも2つの細
菌分類群の存在度が、調節される。いくつかの実施形態では、Prevotella、A
kkermansia、Bacteroides、Clostridium(Erysi
pelotrichaceae)、Clostridium(Clostridiace
ae)、Bifidobacterium、Aggregatibacter、Clos
tridium(Peptostreptococcaveae)、Parabacte
roides、Lactobacillus、及びEnterococcusの属の群か
ら選択される少なくとも2つの細菌分類群の存在度は、少なくとも約5%増加する。
【0023】
いくつかの実施形態では、Akkermansia、Bacteroides、Bif
idobacterium、Lactobacillus、及びParabactero
idesの属の群から選択される少なくとも1つの細菌分類群の存在度が、調節される。
いくつかの実施形態では、Akkermansia、Bacteroides、Bifi
dobacterium、Lactobacillus、及びParabacteroi
desの属の群から選択される少なくとも2つの細菌分類群の存在度が、調節される。い
くつかの実施形態では、Akkermansia及びBlautiaの属の群から選択さ
れる少なくとも1つの細菌分類群の存在度が、調節される。いくつかの実施形態では、A
kkermansia及びBlautiaの細菌属の両方の存在度が、調節される。いく
つかの実施形態では、微生物多様性の調節は、腸内毒素症を治療する。
【0024】
別の態様では、本発明は、治療を必要とするヒト対象を治療する方法を特徴とし、本方
法は、a)腸内毒素症の治療を必要とするヒト対象を同定することと、b)ヒト対象に、
腸内毒素症を治療するのに有効な量でグリカン治療調合剤を含む薬学的組成物を投与する
ことと、を含み、i)グリカン治療調合剤は、分岐グリカンの混合物を含み、調合剤中の
グリカンの平均分岐度(DB)は、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05、
または少なくとも0.1)であり、ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50%が、少
なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつiii)調合剤中の
グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、全
体で約1:1~約5:1である。
【0025】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、感染性疾患、障害、または状態を有する。いく
つかの実施形態では、感染性疾患、障害、または状態は、クロストリジウム・ディフィシ
ル感染症(CDI)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症、感染性大腸炎、また
はC.ディフィシル大腸炎の群から選択される。いくつかの実施形態では、感染性疾患、
障害、または状態は、クロストリジウム・ディフィシル関連下痢(CDAD)、抗生物質
関連下痢(AAD)、抗生物質誘導性下痢、旅行者下痢(TD)、小児下痢、及び(急性
)感染性下痢の群から選択される下痢である。
【0026】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、代謝性疾患、障害、または状態を有する。いく
つかの実施形態では、代謝性疾患、障害、または状態は、肥満、(インスリン耐性)前糖
尿病、2型糖尿病、高空腹血糖(高血糖)、及び代謝症候群の群から選択される。いくつ
かの実施形態では、代謝性疾患、障害、または状態は、高血中コレステロール、高LDL
、高血圧(高血圧症)、高トリグリセリドレベル、低HDLの群から選択される心血管リ
スク因子である。
【0027】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、炎症性疾患、障害、または状態を有する。いく
つかの実施形態では、炎症性疾患、障害、または状態は、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍
性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、腸炎、及び顕微鏡的大腸炎の群から選択される
。いくつかの実施形態では、炎症性疾患、障害、または状態は、過敏性腸症候群(IBS
)、便秘、下痢、消化不良、及び非潰瘍性消化不良の群から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、自己免疫疾患、障害、または状態を有する。い
くつかの実施形態では、自己免疫疾患、障害、または状態は、自己免疫性関節炎、1型糖
尿病、多発性硬化症、及び乾癬の群から選択される。いくつかの実施形態では、ヒト対象
は、アレルギーを有する。いくつかの実施形態では、アレルギーは、喘息またはアトピー
性皮膚炎を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、神経学的疾患、障害、または状態を有する。い
くつかの実施形態では、神経学的疾患、障害、または状態は、自閉症、高アンモニア血症
、及び肝性脳症の群から選択される。
【0030】
いくつかの実施形態では、治療は、第2の薬物または薬学的薬剤を投与することをさら
に含む。いくつかの実施形態では、第2の薬物または薬学的薬剤は、標準治療薬物または
薬剤である。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤及び第2の薬物または薬学的
薬剤を含む薬学的組成物の治療効果は、付加的である。いくつかの実施形態では、グリカ
ン治療調合剤及び第2の薬物または薬学的薬剤を含む薬学的組成物の治療効果は、相乗的
である。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は、毎日投与される。いくつかの実施形態では、本組
成物は、所定の日数(治療期間)の間、毎日投与される。いくつかの実施形態では、治療
期間は、約1日~約30日間を含む。いくつかの実施形態では、治療期間は、約1カ月~
約6カ月間を含む。いくつかの実施形態では、対象は、単一の治療期間中、組成物を投与
される。いくつかの実施形態では、対象は、1を超える治療期間中、組成物を投与される
。
【0032】
いくつかの実施形態では、腸内毒素症を治療することによって、ヒト対象の疾患が治療
される。
【0033】
別の態様では、本発明は、ヒト対象の胃腸管の微生物叢の機能的経路を調節する方法を
特徴とし、本組成物は、機能的経路を調節するのに有効な量でグリカン治療調合剤を含み
、i)グリカン治療調合剤は分岐グリカンの混合物を含み、調合剤中のグリカンの平均分
岐度(DB)は、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05、または少なくとも
0.1)であり、ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30
未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつ
iii)調合剤中のグリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシ
ド結合の比率が、全体で約1:1~約5:1である。
【0034】
いくつかの実施形態では、機能的経路は、微生物叢によって表2中に列挙される、抗菌
剤、二次胆汁酸、短鎖脂肪酸、親鉄剤、または代謝産物の産生を調節する。いくつかの実
施形態では、抗菌剤は、バクテリオシンまたは過酸化水素を含む。いくつかの実施形態で
は、短鎖脂肪酸は、ギ酸塩、酪酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、または吉草酸塩を含む。
いくつかの実施形態では、代謝産物は、2-ヒドロキシイソ酪酸塩、3-ヒドロキシイソ
吉草酸塩、3-メチルクロトニルグリシン、3-メチルクロトニルグリシン、アラントイ
ン、ベタイン、ギ酸塩、マンニトール、p-クレゾールグルクロニド、フェニルアセチル
グリシン、サルコシン、タウリン、酢酸、アセチルアルデヒド、アスコルビン酸、ブタン
ジオン、酪酸、デオキシコール酸、エチルフェニル硫酸塩、ギ酸、インドール、イソ酪酸
、イソ吉草酸、プロピオン酸、セロトニン、コハク酸、コハク酸塩、TMAO、トリプト
ファン、吉草酸、ウルソデオキシコール酸、乳酸塩、乳酸、または過酸化水素を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、機能的経路は、ヒト対象における炎症性または免疫調節サイ
トカインのレベルを調節する。いくつかの実施形態では、炎症性及び免疫調節サイトカイ
ンは、インターロイキン-1α(IL-1α)、IL-1β、IL-2、IL-4、IL
-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17A、IL-17F、
IL-22、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガ
ンド5(CCL5、RANTESとしても知られている)、形質転換成長因子ベータ(T
GF-β)、またはインターフェロンガンマ(IFN-γ)を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、機能性経路は、対象における短鎖脂肪酸のレベルを増加する
。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸の増加は、対象による制御T(Treg)細胞の
生成を誘導する。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸の増加は、対象における腸内また
は血漿内毒素レベルの透過性を軽減させる。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸の増加
は、対象の炎症反応を軽減させる。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸が、Rumin
ocaccaceae及び/またはLachnospiraceaeファミリーのうちの
少なくとも1つの細菌種によって産生される。
【0037】
いくつかの実施形態では、対象は、肥満である。
【0038】
別の態様では、本発明は、C.ディフィシル感染症の治療のための薬物を以前に投与さ
れたヒト対象におけるクロストリジウム・ディフィシル感染症の再発を防止する方法を特
徴とし、本方法は、再発を防止するのに有効な量でグリカン治療調合剤を投与することを
含み、i)グリカン治療調合剤は、分岐グリカンの混合物を含み、調合剤中のグリカンの
平均分岐度(DB)は、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05、または少な
くとも0.1)であり、ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50%は、少なくとも3
で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつiii)調合剤中のグリカン中
に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、全体で約1:
1~約5:1である。
【0039】
いくつかの実施形態では、再発は、C.ディフィシル感染症と関連する1つ以上の症状
の回帰を含む。いくつかの実施形態では、再発は、第1選択または標準治療の薬物治療レ
ジメン中、またはその後に生じる。
【0040】
いくつかの実施形態では、C.ディフィシル感染症の治療のための薬物が抗生物質であ
る。いくつかの実施形態では、抗生剤は、バンコマイシン、メトロニダゾール、及びフィ
ダキソマイシンの群から選択される。いくつかの実施形態では、本組成物は、C.ディフ
ィシル感染症の治療のための薬物の投与と同時に、またはその後に投与される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本組成物は、第2の薬物または治療と組み合わせて投与され
る。いくつかの実施形態では、第2の薬物または治療は、抗生剤を含む。いくつかの実施
形態では、抗生剤は、バンコマイシン、メトロニダゾール、及びフィダキソマイシンの群
から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本組成物の投与は、対象におけるC.ディフィシル感染症と
関連する症状の重症度の軽減をもたらすが、対象におけるC.difficileの集団
を排除しない。いくつかの実施形態では、本組成物の投与は、対象におけるC.ディフィ
シル感染症と関連する症状の重症度の軽減をもたらすが、対象におけるC.diffic
ileの集団のレベルを変化させない。
【0043】
別の態様では、本発明は、薬学的組成物を作製する方法を特徴とし、本方法は、a)合
成グリカンの混合物を含む調合剤を提供することと、b)調合剤の以下の特徴のうちの1
つ以上の値を得ることと、c)重合度(DP)、d)平均分岐度(DB)、e)アルファ
-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率、f)i)調合剤中のグリカンの少な
くとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位のDPを有し、ii)調合剤中
のグリカンの平均分岐度(DB)が、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05
、または少なくとも0.1)であり、iii)調合剤中のグリカン中に存在するアルファ
-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、全体で約1:1~約5:1である
、という基準のうちの1つ以上を満たす場合、薬学的組成物として調合剤を製剤化するこ
とと、を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、本方法は、a)調合剤のさらなる特徴:i)グリカン単位の
同定、ii)グリカン単位の比率、のうちのいずれか1つまたはそれらの両方の値を得る
ことと、b)iii)調合剤中のグリカン単位の比率が、グリカン単位の入力の比率とほ
ぼ同じである場合、薬学的組成物として調合剤を製剤化することと、をさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法は、b)調合剤のさらなる特徴:iv)調合剤を補充
した培地中で、Bacteroides caccae ATCC 43185、Pre
votella copri DSM 18205、Bacteroides thet
aiotamicron ATCC 29741、Bacteroides cellu
losilyticus DSM 14838、Clostridium scinde
ns ATCC 35704、Ruminococcus obeum ATCC 29
714、Clostridium nexile ATCC 27757、及びPara
bacteroides distasonis ATCC 8503からなる群から選
択される共生菌株の細菌増殖のレベル、v)調合剤を補充した培地中で、Clostri
dium difficile ATCC BAA-1382、Clostridium
difficile ATCC 43255、Enterococcus faeci
um ATCC 700221、及びSalmonella enterica ATC
C 27869からなる群から選択される病原性株の細菌増殖のレベル、のうちのいずれ
か1つのまたはそれらの両方の値を得ることと、c)以下の基準:vi)少なくとも5つ
の共生菌株の増殖の調合剤が追加される培地による促進、vii)2つ以下の病原性株の
増殖の調合剤が追加される培地による促進、のうちの1つまたはそれらの両方が満たされ
る場合、薬学的組成物として調合剤を製剤化することと、をさらに含む。いくつかの実施
形態では、ステップ(b)は、プロセスにおける別のステップの前に、それと同時に行わ
れ得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物として調合剤を製剤化するステップは、i)調
合剤から望ましくない構成物質を除去すること、ii)調合剤の体積を減少させること、
iii)調合剤を殺菌すること、iv)調合剤を薬学的に許容される賦形剤または担体と
混合すること、v)調合剤を第2の薬物または薬学的薬剤と混合すること、vi)調合剤
を水溶液またはシロップに製剤化すること、vii)調合剤を錠剤または丸剤に製剤化す
ること、及びviii)調合剤をカプセル剤に製剤化すること、のうちの1つ以上を含む
。
【0047】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物として調合剤を製剤化するステップは、ix)
調合剤をパッケージ化すること、x)パッケージ化した調合剤にラベル付けすること、及
びxi)パッケージ化及びラベル付けされた調合剤を販売するか、または販売に供するこ
と、のうちの1つ以上を含む。
【0048】
別の態様では、本発明は、薬学的組成物を作製する方法を特徴とし、本方法は、(i)
グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、アラビノース、ラムノース、及びマ
ンノースの群から選択される少なくとも1つのグリカン単位を含む治療用グリカン調合剤
を提供することと、(ii)事前選択されたNMRピークまたは一連のNMRピークがグ
リカン調合剤と関連するかどうかを決定することと、(iii)事前選択されたピークま
たは一連のピークが存在する場合、薬学的組成物として調合剤を製剤化することと、を含
む。
【0049】
いくつかの実施形態では、このピークは、1H-13C HSQC NMRピークであ
る。いくつかの実施形態では、決定は、調合剤と関連する1H-13C HSQCピーク
または一連のピークの特定の値を得ることと、事前選択されたピークが存在する場合、薬
学的組成物として調合剤を製剤化することと、を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、i)グルコースを含むグリカンについては、ピークは、5.
42、92.5;5.21、92.8;5.18、93.9;5.08、97.0;5.
36、98.4;5.34、99.8;5.38、100.3;4.95、98.6;4
.62、96.6;4.70、103.6;4.49、103.4 1H シフト(pp
m)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-13C HS
QCピークまたは対応するピークを含み、ii)ガラクトースを含むグリカンについては
、ピークは、5.37、92.9;5.24、93.1;5.14、96.0;4.96
、99.3;5.31、98.7;5.39、101.4;5.00、101.8;4.
80、101.3;4.63、97.0;4.56、97.2;4.53、103.1;
4.43、104.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択
される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、i
ii)フコースを含むグリカンについては、ピークは、5.18、92.9;5.33、
92.4;5.04、96.3;4.90、99.7;4.52、97.0;4.39、
103.6 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少な
くとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、iv)キシロ
ースを含むグリカンについては、ピークは、5.18、93.0;5.10、94.3;
5.34、98.2;5.31、99.6;5.11、100.8;4.91、99.4
;4.56、97.3;4.64、104.2;4.54、103.4;4.44、10
2.6;4.44、104.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)
から選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを
含み、v)アラビノースを含むグリカンについては、ピークは、5.22、93.2;5
.13、93.2;5.29,96.0;5.26、97.2;5.12、96.6;5
.18、99.6;5.06、99.2;4.99、100.0;5.26、101.9
;5.06、102.1;4.55、97.4;4.54、105.2;4.50、10
5.5;4.38、103.9 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)
から選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを
含み、vi)ラムノースを含むグリカンについては、ピークは、5.21、93.2;5
.10、94.5;4.85、94.1;5.01、95.8;5.35、100.5;
5.15、102.2;5.04、102.9;4.78、97.9;4.71、99.
0;4.72、101.0 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から
選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み
、vii)マンノースを含むグリカンについては、ピークは、5.37、93.0;5.
16、94.6;4.88、94.2;5.39、101.7;5.24、101.9;
5.13、102.8;5.03、102.7;5.24、105.6;5.09、10
8.0;4.88、94.2;4.89、100.0;4.70、101.1 1H シ
フト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-1
3C HSQCピークまたは対応するピークを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、i)グルコースを含むグリカンについては、ピークは、5.
42、92.5;5.21、92.8;5.18、93.9;5.08、97.0;5.
36、98.4;5.34、99.8;5.38、100.3;4.95、98.6;4
.62、96.6;4.70、103.6;4.49、103.4 1H シフト(pp
m)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少
なくとも4つ、もしくはそれ以上の1H-13C HSQCピークまたは対応するピーク
を含み、ii)ガラクトースを含むグリカンについては、ピークは、5.37、92.9
;5.24、93.1;5.14、96.0;4.96、99.3;5.31、98.7
;5.39、101.4;5.00、101.8;4.80、101.3;4.63、9
7.0;4.56、97.2;4.53、103.1;4.43、104.1 1H シ
フト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つ、少なくと
も3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上の1H-13C HSQCピークまたは対応
するピークを含み、iii)フコースを含むグリカンについては、ピークは、5.18、
92.9;5.33、92.4;5.04、96.3;4.90、99.7;4.52、
97.0;4.39、103.6 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm
)から選択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上
の1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、iv)キシロースを含む
グリカンについては、ピークは、5.18、93.0;5.10、94.3;5.34、
98.2;5.31、99.6;5.11、100.8;4.91、99.4;4.56
、97.3;4.64、104.2;4.54、103.4;4.44、102.6;4
.44、104.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択さ
れる少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上の1H-13
C HSQCピークまたは対応するピークを含み、v)アラビノースを含むグリカンにつ
いては、ピークは、5.22、93.2;5.13、93.2;5.29、96.0;5
.26、97.2;5.12、96.6;5.18、99.6;5.06、99.2;4
.99、100.0;5.26、101.9;5.06、102.1;4.55、97.
4;4.54、105.2;4.50、105.5;4.38、103.9 1H シフ
ト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つ、少なくとも
3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上の1H-13C HSQCピークまたは対応す
るピークを含み、vi)ラムノースを含むグリカンについては、ピークは、5.21、9
3.2;5.10、94.5;4.85、94.1;5.01、95.8;5.35、1
00.5;5.15、102.2;5.04、102.9;4.78、97.9;4.7
1、99.0;4.72、101.0 1H シフト(ppm)及び13C シフト(p
pm)から選択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ
以上の1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、vii)マンノース
を含むグリカンについては、ピークは、5.37、93.0;5.16、94.6;4.
88、94.2;5.39、101.7;5.24、101.9;5.13、102.8
;5.03、102.7;5.24、105.6;5.09、108.0;4.88、9
4.2;4.89、100.0;4.70、101.1 1H シフト(ppm)及び1
3C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4
つ、もしくはそれ以上の1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含む。
【0052】
別の態様では、本発明は、分岐グリカンの混合物を含む治療用グリカン調合剤を含む薬
学的組成物を特徴とし、ここで、平均分岐度(DB)が、少なくとも0.01であり、i
)調合剤中のグリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位の
重合度(DP)を有し、ii)グリカン調合剤が、アルファ-グリコシド結合及びベータ
-グリコシド結合の両方を含み、iii)調合剤中のグリカン中に存在するグリコシド結
合のうちの少なくとも1つが、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1-
>4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合を含み、かつiv)調合剤中のグリ
カン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、約1:
1~約5:1である。
【0053】
いくつかの実施形態では、グリコシド結合のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、
少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれ以上が、独立して、1->2グリコシド結
合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合
を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上、2つ以上、または3つ以上のグリコシド結
合は、アルファ及びベータ構造の両方で存在する。
【0054】
いくつかの実施形態では、グリカン単位は、テトロース、ペントース、ヘキソース、及
びヘプトースの群から選択される単糖類のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、また
は少なくとも3つ、またはそれ以上を含む。いくつかの実施形態では、グリカン単位は、
グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フ
コース、及びラムノースの群から選択される単糖類のうちの少なくとも1つ、少なくとも
2つ、少なくとも3つ、またはそれ以上を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、当該調合剤中のグリカンの少なくとも複数のグリカン、例え
ば、少なくとも10、20、30 40、50、60、70、80、90、95、もしく
は99%(重量または数で)、または実質的にはすべてが、事前選択された基準レベルよ
りも多い、グリカン単位の反復単位、例えば、2、3、4個、またはそれ以上のグリカン
単位の反復単位を含まない。一実施形態では、事前選択された基準レベルは、グリカン中
の全グリカン単位の10、20、30、40、50、または60%である。例として、一
実施形態では、これらの20のモノマーの50%未満である、20の単糖類モノマーから
構成されているグリカンは、2または3個のグリカン反復の反復単位である。
【0056】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、合成であり、かつ天然のオリゴ糖ま
たは多糖源から単離されない。
【0057】
いくつかの実施形態では、本組成物は、ポリフェノール調合剤をさらに含む。いくつか
の実施形態では、本組成物は、プロバイオティクス細菌の調合剤をさらに含む。いくつか
の実施形態では、本組成物は、薬物または治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態では
、本組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、本組成物は、単位剤形として製剤化される。いくつかの実施
形態では、単位剤形は、経口送達のために製剤化される。いくつかの実施形態では、単位
剤形は、水溶液中に溶解するように製剤化され、飲料、シロップ、溶液、または懸濁液と
して経口投与される。
【0059】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、遅延放出または時間制御システムとして製剤化
される。いくつかの実施形態では、単位剤形は、胃腸管の特定領域内に治療用グリカン調
合剤を放出するように製剤化される。いくつかの実施形態では、胃腸管の特定領域が、胃
、小腸、大腸、または結腸を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、本組成物は、胃腸管中に存在する細菌属の存在度を調節する
。いくつかの実施形態では、本組成物は、小腸または大腸のうちの1つまたはそれらの両
方に存在する細菌属の存在度を調節する。いくつかの実施形態では、本組成物は、Ach
romobacter、Agrobacterium、Blautia、Burkhol
deria、Coprococcus、Cryocola、Enterococcus、
Eubacterium、Holdemania、Lactococcus、Mycob
acterium、Pseudoramibacter、Ralstonia、Sphi
ngomonas、Streptococcus、及びTuricibacterの属の
群から選択される小腸において優勢である細菌属の存在度を調節する。いくつかの実施形
態では、本組成物は、Anaerotruncus、Akkermansia、Bact
eroides、Bilophila、Butyricimonas、Odoribac
ter、Parabacteroides、Phascolarctobacteriu
m、Prevotella、及びRuminococcusの属の群から選択される大腸
において優勢である細菌属の存在度を調節する。
【0061】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、約0.1mL~約5mLの治療用グリカン調合
剤を含み、経口送達のために製剤化され、胃腸管の特定領域内に治療用グリカン調合剤を
放出するように製剤化される。いくつかの実施形態では、単位剤形は、約0.1mg~約
100mgの治療用グリカン調合剤を含み、経口送達のために製剤化され、胃腸管の特定
領域内に治療用グリカン調合剤を放出するように製剤化される。
【0062】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、約0.1mL~約5mLの治療用グリカン調合
剤を含み、経口送達のために製剤化され、本組成物は、Bacteroides、But
yricimonas、Odoribacter、Parabacteroides、P
revotella、Anaerotruncus、Phascolarctobact
erium、Ruminococcus、Bilophila、Akkermansia
、Cryocola、Mycobacterium、Enterococcus、Lac
tococcus、Streptococcus、Turicibacter、Blau
tia、Coprococcus、Holdemania、Pseudoramibac
ter、Eubacterium、Agrobacterium、Sphingomon
as、Achromobacter、Burkholderia、及びRalstoni
aの群から選択される細菌属の存在度を調節する。
【0063】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、約0.1mg~約100mgの治療用グリカン
調合剤を含み、経口送達のために製剤化され、本組成物は、Bacteroides、B
utyricimonas、Odoribacter、Parabacteroides
、Prevotella、Anaerotruncus、Phascolarctoba
cterium、Ruminococcus、Bilophila、Akkermans
ia、Cryocola、Mycobacterium、Enterococcus、L
actococcus、Streptococcus、Turicibacter、Bl
autia、Coprococcus、Holdemania、Pseudoramib
acter、Eubacterium、Agrobacterium、Sphingom
onas、Achromobacter、Burkholderia、及びRalsto
niaの群から選択される細菌属の存在度を調節する。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明は、a)細菌分類群の存在度を調節するのに有効な量
で、グリカン治療調合剤であって、i)グリカン治療調合剤が、分岐グリカンの混合物を
含み、調合剤中のグリカンの平均分岐度(DB)が少なくとも0.01であり、ii)調
合剤中のグリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位の重合
度(DP)を有し、かつiii)調合剤中のグリカン中に存在するアルファ-グリコシド
結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、全体で約1:1~約5:1である、治療調合剤
と、b)ポリフェノールの調合剤、プロバイオティクス細菌の調合剤、薬物または治療剤
、及び食事成分の群から選択される少なくとも第2の構成成分と、c)教材と、d)パッ
ケージ化と、を含む、薬学的キットを特徴とする。
【0065】
別の態様では、本発明は、グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、アラビ
ノース、ラムノース、及びマンノースの群から選択される少なくとも1つのグリカン単位
を含む治療用グリカン調合剤を含む薬学的組成物を特徴とし、調合剤は、以下の1H-1
3C HSQCピークのうちの1つ以上と関連するグリカン単位を含み、i)グルコース
を含むグリカンについては、ピークは、5.42、92.5;5.21、92.8;5.
18、93.9;5.08、97.0;5.36、98.4;5.34、99.8;5.
38、100.3;4.95、98.6;4.62、96.6;4.70、103.6;
4.49、103.4 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択
される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、i
i)ガラクトースを含むグリカンについては、ピークは、5.37、92.9;5.24
、93.1;5.14、96.0;4.96、99.3;5.31、98.7;5.39
、101.4;5.00、101.8;4.80、101.3;4.63、97.0;4
.56、97.2;4.53、103.1;4.43、104.1 1H シフト(pp
m)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-13C HS
QCピークまたは対応するピークを含み、iii)フコースを含むグリカンについては、
ピークは、5.18、92.9;5.33、92.4;5.04、96.3;4.90、
99.7;4.52、97.0;4.39、103.6 1H シフト(ppm)及び1
3C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピーク
または対応するピークを含み、iv)キシロースを含むグリカンについては、ピークは、
5.18、93.0;5.10、94.3;5.34、98.2;5.31、99.6;
5.11、100.8;4.91、99.4;4.56、97.3;4.64、104.
2;4.54、103.4;4.44、102.6;4.44、104.1 1H シフ
ト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-13
C HSQCピークまたは対応するピークを含み、v)アラビノースを含むグリカンにつ
いては、ピークは、5.22、93.2;5.13、93.2;5.29,96.0;5
.26、97.2;5.12、96.6;5.18、99.6;5.06、99.2;4
.99、100.0;5.26、101.9;5.06、102.1;4.55、97.
4;4.54、105.2;4.50、105.5;4.38、103.9 1H シフ
ト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-13
C HSQCピークまたは対応するピークを含み、vi)ラムノースを含むグリカンにつ
いては、ピークは、5.21、93.2;5.10、94.5;4.85、94.1;5
.01、95.8;5.35、100.5;5.15、102.2;5.04、102.
9;4.78、97.9;4.71、99.0;4.72,101.0 1H シフト(
ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-13C
HSQCピークまたは対応するピークを含み、vii)マンノースを含むグリカンについ
ては、ピークは、5.37、93.0;5.16、94.6;4.88、94.2;5.
39、101.7;5.24、101.9;5.13、102.8;5.03、102.
7;5.24、105.6;5.09、108.0;4.88、94.2;4.89、1
00.0;4.70、101.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm
)から選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピーク
を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、本薬学的組成物は、グルコース、ガラクトース、フコース、
キシロース、アラビノース、ラムノース、及びマンノースの群から選択される少なくとも
1つのグリカン単位を含む治療用グリカン調合剤を含み、調合剤は、以下の1H-13C
HSQCピークのうちの2つ以上と関連するグリカン単位を含み、i)グルコースを含
むグリカンについては、ピークは、5.42、92.5;5.21、92.8;5.18
、93.9;5.08、97.0;5.36、98.4;5.34、99.8;5.38
、100.3;4.95、98.6;4.62、96.6;4.70、103.6;4.
49、103.4 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択され
る少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上の1H-13C
HSQCピークまたは対応するピークを含み、ii)ガラクトースを含むグリカンにつ
いては、ピークは、5.37、92.9;5.24、93.1;5.14、96.0;4
.96、99.3;5.31、98.7;5.39、101.4;5.00、101.8
;4.80、101.3;4.63、97.0;4.56、97.2;4.53、103
.1;4.43、104.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)か
ら選択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上の1
H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、iii)フコースを含むグリ
カンについては、ピークは、5.18、92.9;5.33、92.4;5.04、96
.3;4.90、99.7;4.52、97.0;4.39、103.6 1H シフト
(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つ、少なくとも3
つ、少なくとも4つ、またはそれ以上の1H-13C HSQCピークまたは対応するピ
ークを含み、iv)キシロースを含むグリカンについては、ピークは、5.18、93.
0;5.10、94.3;5.34、98.2;5.31、99.6;5.11、100
.8;4.91、99.4;4.56、97.3;4.64、104.2;4.54、1
03.4;4.44、102.6;4.44、104.1 1H シフト(ppm)及び
13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも
4つ、もしくはそれ以上の1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、
v)アラビノースを含むグリカンについては、ピークは、5.22、93.2;5.13
、93.2;5.29,96.0;5.26、97.2;5.12、96.6;5.18
、99.6;5.06、99.2;4.99、100.0;5.26、101.9;5.
06、102.1;4.55、97.4;4.54、105.2;4.50、105.5
;4.38、103.9 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選
択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上の1H-
13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、vi)ラムノースを含むグリカン
については、ピークは、5.21、93.2;5.10、94.5;4.85、94.1
;5.01、95.8;5.35、100.5;5.15、102.2;5.04、10
2.9;4.78、97.9;4.71、99.0;4.72、101.0 1H シフ
ト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つ、少なくとも
3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上の1H-13C HSQCピークまたは対応す
るピークを含み、vii)マンノースを含むグリカンについては、ピークは、5.37、
93.0;5.16、94.6;4.88、94.2;5.39、101.7;5.24
、101.9;5.13、102.8;5.03、102.7;5.24、105.6;
5.09、108.0;4.88、94.2;4.89、100.0;4.70、101
.1 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも
2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、もしくはそれ以上の1H-13C HSQCピ
ークまたは対応するピークを含む。
【0067】
別の態様では、本発明は、ヒト対象の胃腸の微生物叢における細菌分類群の存在度を調
節するのに用いるための薬学的組成物を特徴とし、本組成物は、細菌分類群の存在度を調
節するのに有効な量でグリカン治療調合剤を含み、i)グリカン治療調合剤が分岐グリカ
ンの混合物を含み、調合剤中のグリカンの平均分岐度(DB、残渣当たりの分岐点)が、
少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05、または少なくとも0.1)であり、
ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単
位の重合度(DP)を有し、かつiii)調合剤中のグリカン中に存在するアルファ-グ
リコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、全体で約1:1~約5:1である。い
くつかの実施形態では、細菌分類群は、少なくとも第1及び第2の細菌分類群を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、調合剤は、分岐オリゴ糖を含む。いくつかの実施形態では、
調合剤中の平均分岐度(DB)は、少なくとも0.05(例えば、少なくとも0.1)で
ある。
【0069】
いくつかの実施形態では、グリコシド結合のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、
少なくとも3つ、少なくとも4つ、またはそれ以上が、独立して、1->2グリコシド結
合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合
を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上、2つ以上、または3つ以上のグリコシド結
合は、アルファ及びベータ構造の両方で存在する。
【0070】
いくつかの実施形態では、グリカン単位は、テトロース、ペントース、ヘキソース、及
びヘプトースの群から選択される単糖類のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、また
は少なくとも3つ、またはそれ以上を含む。いくつかの実施形態では、グリカン単位は、
グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フ
コース、及びラムノースの群から選択される単糖類のうちの少なくとも1つ、少なくとも
2つ、少なくとも3つ、またはそれ以上を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、当該調合剤中のグリカンの少なくとも複数のグリカン、例え
ば、少なくとも10、20、30 40、50、60、70、80、90、95、もしく
は99%(重量または数で)、または実質的にはすべてが、事前選択された基準レベルよ
りも多い、グリカン単位の反復単位、例えば、2、3、4個、またはそれ以上のグリカン
単位の反復単位を含まない。一実施形態では、事前選択された基準レベルは、グリカン中
の全グリカン単位の10、20、30、40、50、または60%である。例として、一
実施形態では、これらの20のモノマーの50%未満である、20の単糖類モノマーから
構成されているグリカンは、2または3個のグリカン反復の反復単位である。
【0072】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、合成であり、かつ天然のオリゴ糖ま
たは多糖源から単離されない。
【0073】
いくつかの実施形態では、ヒト対象の胃腸の微生物叢における細菌分類群の(例えば、
第1及び第2の細菌分類群のそれぞれの)存在度は、少なくとも約5%、10%、25%
50%、75%、100%、250%、500%、750%で、または少なくとも10
00%で調節される。いくつかの実施形態では、調節は、ヒト対象の胃腸の微生物叢にお
ける細菌分類群の(例えば、第1及び第2の細菌分類群のそれぞれの)存在度の増加また
は減少を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、共生
細菌分類群を含む。他の実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群
)は、病原性細菌分類群を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、Ak
kermansia、Alistipes、Anaerofilum、Bacteroi
des、Bilophila、Blautia、Bifidobacterium、Bu
tyrivibrio、Campylobacter、Candidatus、Citr
obacter、Clostridium、Collinsella、Coprococ
cus、Desulfovibrio、Dialister、Dorea、Entero
bacter、Enterococcus、Escherichia、Eubacter
ium、Faecalibacterium、Fusobacterium、Haemo
philus、Klebsiella、Lachnospira、Lactobacil
lus、Odoribacter、Oscillospira、Parabactero
ides、Peptococcus、Peptostreptococcus、Phas
colarctobacterium、Porphyromonas、Portiera
、Prevotella、Providencia、Pseudomonas、Rose
buria、Ruminococcus、Salmonella、Shigella、S
taphylococcus、Streptococcus、Subdoligranu
lum、Vibrio、及びYersiniaの群から選択される属を含む。いくつかの
実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、Prevotel
la、Akkermansia、Bacteroides、Clostridium(E
rysipelotrichaceae)、Clostridium(Clostrid
iaceae)、Bifidobacterium、Aggregatibacter、
Clostridium(Peptostreptococcaveae)、Parab
acteroides、Lactobacillus、及びEnterococcusの
群から選択される属を含む。いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第
2の細菌分類群)は、Akkermansia、Bacteroides、Bifido
bacterium、Lactobacillus、及びParabacteroide
sの群から選択される属を含む。いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及
び第2の細菌分類群)は、Akkermansia及びBlautiaの群から選択され
る属を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、小腸
または大腸において優勢である分類群を含む。いくつかの実施形態では、小腸において優
勢である細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)は、Achromobact
er、Agrobacterium、Blautia、Burkholderia、Co
prococcus、Cryocola、Enterococcus、Eubacter
ium、Holdemania、Lactococcus、Mycobacterium
、Pseudoramibacter、Ralstonia、Sphingomonas
、Streptococcus、及びTuricibacterの群から選択される属を
含む。いくつかの実施形態では、大腸において優勢である細菌分類群(例えば、第1及び
第2の細菌分類群)は、Anaerotruncus、Akkermansia、Bac
teroides、Bilophila、Butyricimonas、Odoriba
cter、Parabacteroides、Phascolarctobacteri
um、Prevotella、及びRuminococcusの群から選択される属を含
む。
【0077】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ポリフェノール調合剤をさらに含む。いく
つかの実施形態では、ポリフェノール調合剤は、植物源材料から単離された植物ポリフェ
ノールを含む。いくつかの実施形態では、植物源材料は、ブルーベリー、クランベリー、
ブドウ、モモ、プラム、ザクロ、大豆、赤ワイン、紅茶、または緑茶を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、細菌分類群(例えば、第1及び第2の細菌分類群)の存在度
の調節は、腸内毒素症、例えば、本明細書に記載される腸内毒素症を治療する。
【0079】
別の態様では、本発明は、ヒト対象における薬物または治療誘発性の症状を軽減させる
のに用いるための薬学的組成物を特徴とし、ヒト対象に、薬物または治療によって誘発さ
れた症状を軽減させるのに有効な量でグリカン治療調合剤を投与することを含み、i)グ
リカン治療調合剤は、分岐グリカンの混合物を含み、調合剤中のグリカンの平均分岐度(
DB)が、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05、または少なくとも0.1
)であり、ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満の
グリカン単位の重合度(DP)を有し、かつiii)調合剤中のグリカン中に存在するア
ルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、全体で約1:1~約5:1
である。
【0080】
いくつかの実施形態では、薬物または治療誘導性の症状は、膨満感、下痢、嘔吐、吐き
気、及び便秘の群から選択される。いくつかの実施形態では、薬物または治療誘導性は、
下痢である。いくつかの実施形態では、薬物または治療誘導性の症状は、便秘である。
【0081】
いくつかの実施形態では、本組成物は、薬物誘発性の症状を軽減させ、本組成物は、薬
物の投与の前、それと同時に、またはその後に投与される。いくつかの実施形態では、薬
物は、抗糖尿病薬、免疫抑制薬、抗菌薬、化学療法薬、抗精神病薬、プロトンポンプ阻害
薬、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。いくつかの実施形態では、薬
物は、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、アモキシシリン-クラブラネート、セフ
ィキシム、エファロスポリン、フルオロキノロン、アジスロマイシン、クラリスロマイシ
ン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、イリノテカン(Camp
tosar)、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ボルテゾミブ
、イマチニブ、レナリドマイド、イムブルビカ、イピリムマブ、ペルツズマブ、カペシタ
ビン、ドセタキセル、ラパチニブ、エルロチニブ、カルムスチン、エトポシド、アラシチ
ン、メルファラン、シタラビン、ダウノルビシン、アムサクリン、ミトキサントロン、オ
ランザピン、ラニチジン、ファモチジン、シメチジン、オメプラゾール、スクラルファー
ト、エソメプラゾール、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェ
ン、ケトプロフェン、ピロキシカム、セレコキシブ、ニメスリド、アスピリン、メトホル
ミン、パロキセチン、バルプロ酸、及びクロザピンの群から選択される。
【0082】
いくつかの実施形態では、本組成物は、治療誘導性の症状を軽減させ、この治療は、放
射線治療または手術を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、薬物または治療誘導性の症状は、治療レジメン中に対象によ
って示される。いくつかの実施形態では、1つ以上の症状の軽減は、治療レジメンに対す
る対象によるコンプライアンスを増大させる。いくつかの実施形態では、1つ以上の症状
の軽減は、治療レジメン中に投与される、高投与量の薬物に対する対象の耐性を増大させ
る。
【0084】
別の態様では、本発明は、ヒト対象の胃腸管中の微生物多様性を調節するのに用いるた
めの薬学的組成物を特徴とし、本組成物は、微生物多様性を調節するのに有効な量でグリ
カン治療調合剤を含み、i)グリカン治療調合剤は分岐グリカンの混合物を含み、調合剤
中のグリカンの平均分岐度(DB、残渣当たりの分岐点)は、少なくとも0.01(例え
ば、少なくとも0.05、または少なくとも0.1)であり、ii)調合剤中のグリカン
の少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し
、かつiii)調合剤中のグリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グ
リコシド結合の比率が、全体で約1:1~約5:1である。いくつかの実施形態では、微
生物多様性は、細菌多様性を含む。いくつかの実施形態では、調節は、微生物多様性の増
加または減少を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、微生物多様性は、シャノン多様性指数の使用によって決定さ
れる(例えば、測定される)か、またはそれによって表される。いくつかの実施形態では
、シャノン多様性は、少なくとも約5%増加または減少する。いくつかの実施形態では、
シャノン多様性は、少なくとも約15%増加または減少する。いくつかの実施形態では、
シャノン多様性は、少なくとも約0.3対数倍増加または減少する。いくつかの実施形態
では、シャノン多様性は、少なくとも約0.6対数倍増加または減少する。いくつかの実
施形態では、シャノン多様性は、少なくとも約1対数倍増加または減少する。
【0086】
いくつかの実施形態では、Prevotella、Akkermansia、Bact
eroides、Clostridium(Erysipelotrichaceae)
、Clostridium(Clostridiaceae)、Bifidobacte
rium、Aggregatibacter、Clostridium(Peptost
reptococcaveae)、Parabacteroides、Lactobac
illus、及びEnterococcusの属の群から選択される少なくとも1つの細
菌分類群の存在度が、調節される。いくつかの実施形態では、Prevotella、A
kkermansia、Bacteroides、Clostridium(Erysi
pelotrichaceae)、Clostridium(Clostridiace
ae)、Bifidobacterium、Aggregatibacter、Clos
tridium(Peptostreptococcaveae)、Parabacte
roides、Lactobacillus、及びEnterococcusの属の群か
ら選択される少なくとも1つの細菌分類群の存在度は、少なくとも約5%増加する。
【0087】
いくつかの実施形態では、Prevotella、Akkermansia、Bact
eroides、Clostridium(Erysipelotrichaceae)
、Clostridium(Clostridiaceae)、Bifidobacte
rium、Aggregatibacter、Clostridium(Peptost
reptococcaveae)、Parabacteroides、Lactobac
illus、及びEnterococcusの属の群から選択される少なくとも2つの細
菌分類群の存在度が、調節される。いくつかの実施形態では、Prevotella、A
kkermansia、Bacteroides、Clostridium(Erysi
pelotrichaceae)、Clostridium(Clostridiace
ae)、Bifidobacterium、Aggregatibacter、Clos
tridium(Peptostreptococcaveae)、Parabacte
roides、Lactobacillus、及びEnterococcusの属の群か
ら選択される少なくとも2つの細菌分類群の存在度は、少なくとも約5%増加する。
【0088】
いくつかの実施形態では、Akkermansia、Bacteroides、Bif
idobacterium、Lactobacillus、及びParabactero
idesの属の群から選択される少なくとも1つの細菌分類群の存在度が、調節される。
いくつかの実施形態では、Akkermansia、Bacteroides、Bifi
dobacterium、Lactobacillus、及びParabacteroi
desの属の群から選択される少なくとも2つの細菌分類群の存在度が、調節される。い
くつかの実施形態では、Akkermansia及びBlautiaの属の群から選択さ
れる少なくとも1つの細菌分類群の存在度が、調節される。いくつかの実施形態では、A
kkermansia及びBlautiaの細菌属の両方の存在度が、調節される。いく
つかの実施形態では、微生物多様性の調節は、腸内毒素症を治療する。
【0089】
別の態様では、本発明は、治療を必要とするヒト対象を治療するのに用いるための薬学
的組成物を特徴とし、この治療は、a)腸内毒素症の治療を必要とするヒト対象を同定す
ることと、b)ヒト対象に、腸内毒素症を治療するのに有効な量でグリカン治療調合剤を
含む薬学的組成物を投与することと、を含み、i)グリカン治療調合剤は、分岐グリカン
の混合物を含み、調合剤中のグリカンの平均分岐度(DB)は、少なくとも0.01(例
えば、少なくとも0.05、または少なくとも0.1)であり、ii)調合剤中のグリカ
ンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有
し、かつiii)調合剤中のグリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-
グリコシド結合の比率が、全体で約1:1~約5:1である。
【0090】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、感染性疾患、障害、または状態を有する。いく
つかの実施形態では、感染性疾患、障害、または状態は、クロストリジウム・ディフィシ
ル感染症(CDI)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症、感染性大腸炎、また
はC.ディフィシル大腸炎の群から選択される。いくつかの実施形態では、感染性疾患、
障害、または状態は、クロストリジウム・ディフィシル関連下痢(CDAD)、抗生物質
関連下痢(AAD)、抗生物質誘導性下痢、旅行者下痢(TD)、小児下痢、及び(急性
)感染性下痢の群から選択される下痢である。
【0091】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、代謝性疾患、障害、または状態を有する。いく
つかの実施形態では、代謝性疾患、障害、または状態は、肥満、(インスリン耐性)前糖
尿病、2型糖尿病、高空腹血糖(高血糖)、及び代謝症候群の群から選択される。いくつ
かの実施形態では、代謝性疾患、障害、または状態は、高血中コレステロール、高LDL
、高血圧(高血圧症)、高トリグリセリドレベル、低HDLの群から選択される心血管リ
スク因子である。
【0092】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、炎症性疾患、障害、または状態を有する。いく
つかの実施形態では、炎症性疾患、障害、または状態は、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍
性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、腸炎、及び顕微鏡的大腸炎の群から選択される
。いくつかの実施形態では、炎症性疾患、障害、または状態は、過敏性腸症候群(IBS
)、便秘、下痢、消化不良、及び非潰瘍性消化不良の群から選択される。
【0093】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、自己免疫疾患、障害、または状態を有する。い
くつかの実施形態では、自己免疫疾患、障害、または状態は、自己免疫性関節炎、1型糖
尿病、多発性硬化症、及び乾癬の群から選択される。いくつかの実施形態では、ヒト対象
は、アレルギーを有する。いくつかの実施形態では、アレルギーは、喘息またはアトピー
性皮膚炎を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、神経学的疾患、障害、または状態を有する。い
くつかの実施形態では、神経学的疾患、障害、または状態は、自閉症、高アンモニア血症
、及び肝性脳症の群から選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、治療は、第2の薬物または薬学的薬剤を投与することをさら
に含む。いくつかの実施形態では、第2の薬物または薬学的薬剤は、標準治療薬物または
薬剤である。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤及び第2の薬物または薬学的
薬剤を含む薬学的組成物の治療効果は、付加的である。いくつかの実施形態では、グリカ
ン治療調合剤及び第2の薬物または薬学的薬剤を含む薬学的組成物の治療効果は、相乗的
である。
【0096】
いくつかの実施形態では、組成物は、毎日投与される。いくつかの実施形態では、本組
成物は、所定の日数(治療期間)の間、毎日投与される。いくつかの実施形態では、治療
期間は、約1日~約30日間を含む。いくつかの実施形態では、治療期間は、約1カ月~
約6カ月間を含む。いくつかの実施形態では、対象は、単一の治療期間中、組成物を投与
される。いくつかの実施形態では、対象は、1を超える治療期間中、組成物を投与される
。
【0097】
いくつかの実施形態では、腸内毒素症を治療することによって、ヒト対象の疾患が治療
される。
【0098】
別の態様では、本発明は、ヒト対象の胃腸管の微生物叢の機能的経路を調節するのに用
いるための薬学的組成物を特徴とし、本組成物は、機能的経路を調節するのに有効な量で
グリカン治療調合剤を含み、i)グリカン治療調合剤は分岐グリカンの混合物を含み、調
合剤中のグリカンの平均分岐度(DB)は、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0
.05、または少なくとも0.1)であり、ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50
%が、少なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつiii)調
合剤中のグリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比
率が、全体で約1:1~約5:1である。
【0099】
いくつかの実施形態では、機能的経路は、微生物叢によって表2中に列挙される、抗菌
剤、二次胆汁酸、短鎖脂肪酸、親鉄剤、または代謝産物の産生を調節する。いくつかの実
施形態では、抗菌剤は、バクテリオシンまたは過酸化水素を含む。いくつかの実施形態で
は、短鎖脂肪酸は、ギ酸塩、酪酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、または吉草酸塩を含む。
いくつかの実施形態では、代謝産物は、2-ヒドロキシイソ酪酸塩、3-ヒドロキシイソ
吉草酸塩、3-メチルクロトニルグリシン、3-メチルクロトニルグリシン、アラントイ
ン、ベタイン、ギ酸塩、マンニトール、p-クレゾールグルクロニド、フェニルアセチル
グリシン、サルコシン、タウリン、酢酸、アセチルアルデヒド、アスコルビン酸、ブタン
ジオン、酪酸、デオキシコール酸、エチルフェニル硫酸塩、ギ酸、インドール、イソ酪酸
、イソ吉草酸、プロピオン酸、セロトニン、コハク酸、コハク酸塩、TMAO、トリプト
ファン、吉草酸、ウルソデオキシコール酸、乳酸塩、乳酸、または過酸化水素を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、機能的経路は、ヒト対象における炎症性または免疫調節サイ
トカインのレベルを調節する。いくつかの実施形態では、炎症性及び免疫調節サイトカイ
ンは、インターロイキン-1α(IL-1α)、IL-1β、IL-2、IL-4、IL
-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17A、IL-17F、
IL-22、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガ
ンド5(CCL5、RANTESとしても知られている)、形質転換成長因子ベータ(T
GF-β)、またはインターフェロンガンマ(IFN-γ)を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、機能性経路は、対象における短鎖脂肪酸のレベルを増加する
。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸の増加は、対象による制御T(Treg)細胞の
生成を誘導する。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸の増加は、対象における腸内また
は血漿内毒素レベルの透過性を軽減させる。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸の増加
は、対象の炎症反応を軽減させる。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸が、Rumin
ocaccaceae及び/またはLachnospiraceaeファミリーのうちの
少なくとも1つの細菌種によって産生される。
【0102】
いくつかの実施形態では、対象は、肥満である。
【0103】
別の態様では、本発明は、C.ディフィシル感染症の治療のための薬物を以前に投与さ
れたヒト対象におけるクロストリジウム・ディフィシル感染症の再発を防止するのに用い
るための薬学的組成物を特徴とし、本組成物は、再発を防止するのに有効な量でグリカン
治療調合剤を含み、i)グリカン治療調合剤は、分岐グリカンの混合物を含み、調合剤中
のグリカンの平均分岐度(DB)は、少なくとも0.01(例えば、少なくとも0.05
、または少なくとも0.1)であり、ii)調合剤中のグリカンの少なくとも50%は、
少なくとも3で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつiii)調合剤中
のグリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率が、
全体で約1:1~約5:1である。
【0104】
いくつかの実施形態では、再発は、C.ディフィシル感染症と関連する1つ以上の症状
の回帰を含む。いくつかの実施形態では、再発は、第1選択または標準治療の薬物治療レ
ジメン中、またはその後に生じる。
【0105】
いくつかの実施形態では、C.ディフィシル感染症の治療のための薬物が抗生物質であ
る。いくつかの実施形態では、抗生剤は、バンコマイシン、メトロニダゾール、及びフィ
ダキソマイシンの群から選択される。いくつかの実施形態では、本組成物は、C.ディフ
ィシル感染症の治療のための薬物の投与と同時に、またはその後に投与される。
【0106】
いくつかの実施形態では、本組成物は、第2の薬物または治療と組み合わせて投与され
る。いくつかの実施形態では、第2の薬物または治療は、抗生剤を含む。いくつかの実施
形態では、抗生剤は、バンコマイシン、メトロニダゾール、及びフィダキソマイシンの群
から選択される。
【0107】
いくつかの実施形態では、本組成物の投与は、対象におけるC.ディフィシル感染症と
関連する症状の重症度の軽減をもたらすが、対象におけるC.difficileの集団
を排除しない。いくつかの実施形態では、本組成物の投与は、対象におけるC.ディフィ
シル感染症と関連する症状の重症度の軽減をもたらすが、対象におけるC.diffic
ileの集団のレベルを変化させない。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】曲線の前縁及び後縁の両方における平均分子量及び10%の最大吸収の分子量を示すglu100試料の16分~20.5分の代表的なSEC曲線。
【
図2】アルファ-グリコシド結合及びベータ-グリコシド結合のシグナル分布を含むglu100試料の
1H-
13C HSQCスペクトルの代表的なアノマー領域。
【
図3】フィンガープリントピークの相加効果を示す、a)glu100、b)glu50gal50、及びc)gal100試料の
1H-
13C HSQCスペクトルの代表的なアノマー領域。
【
図4】周知の基準の比較によって割り当てられる、位置化学の分布を示す、3つの代表的なパーメチル化及び加水分解されたグリカンの代表的なGCクロマトグラム。
【
図5】アルファ異性体を下流(この場合、
1H>4.8ppm)に、ベータ異性体を上流(この場合、
1H<4.8ppm)に有する、
1H軸でのアルファ異性体とベータ異性体との間の分離を示す、glu100試料
1H-
13C HSQCスペクトルのアノマー領域内のピークの代表的な部分的な割り当て。さらに、末端及び内部糖は、末端糖を上流(この場合、アルファについては、
13C<94ppm、及びベータについては、
1
3C<100ppm)に、内部糖を下流(この場合、アルファについては、
13C>94ppm、及びベータについては、
13C>100ppm)に有する、
13C軸で区別することができる。
【
図6】ポリマー骨格及び側鎖を持つ例示的な触媒の一部を
図6Aに示す。酸性基を持つ側鎖がリンカーによってポリマー骨格に接続され、陽イオン基を持つ側鎖がポリマー骨格に直接接続される、例示的な触媒の一部を
図6Bに示す。
【
図7】実施例10において記載される、グリカンまたは水が投与される1日前、及び投与されてから5日後に抽出された、微生物叢間の距離が、各マウスに対して計算された。距離が長いほど、微生物組成物においてより大きな変化が観察される。
【
図8】シャノン多様性指数。対ウィルコクソン検定は、実施例10において記載される、観察された差異の有意性を計算するために使用された。
【
図9】Verrucomicrobia門Akkermansia属に割り当てられた配列の相対存在度を
図9Aに示し、Firmicutes門Blautia属に割り当てられた配列の相対存在度を
図9Bに示す。
【
図10】実施例12において記載される、すべての短期間処置群における処置群によるC.ディフィシル感染後のカプランマイヤー生存曲線。
【
図11】実施例12において記載される、すべての短期間処置群におけるC.ディフィシル感染から10日後の体重変化(平均+/-標準誤差)
【
図12】実施例12において記載される、グリカン処置及びC.ディフィシル感染直前(-1日目)からグリカン処置の6日及びバンコマイシン処置の4日直後(6日目)までの属による細菌の相対存在度の変化。相対存在度が平均5%変化する属のみを示す。水処置群において1つのケージのみが、6日目に生存する動物を有した。
【
図13】実施例12において記載される、グリカンまたはバンコマイシンでの処置直後の6日目における二次胆汁酸生合成経路の予測された相対存在度。白丸は、ケージを表し、黒丸は平均+/-標準偏差を表す。0日目に発症したC.ディフィシル感染症及び感染から生存した動物を有するケージのみを示す(0日目のn=4のケージ)。(*P<0.05、ウィルコクソンの順位和検定)。
【
図14】実施例12において記載される、C.difficileによる感染におけるグリカン処置直前の-1日目からグリカンまたはバンコマイシンでの処置後の6日目までのアルファ多様性(シャノン指数によって測定)の対数倍率の変化。点は、単一のケージのアルファ多様性を表し、線は、中央アルファ多様性を表す。
【
図15】研究の0日目に比較されたマウスの体重変化の割合(%)(平均+/-標準誤差)。実施例13において記載される、すべての群において、2.5%のDSSが、0~5日目まで投与された。アカシア繊維、glu100及びman52glu29gal19が、処置群において、-7~14日目まで投与された。
【
図16】実施例13において記載される、研究の14日目の結腸炎症を測定する内視鏡検査スコア。水平バーは、中央内視鏡検査スコアを表す。**P<0.01、*P<0.05;多重仮説におけるボンフェローニ補正を有するウィルコクソンの順位和検定。
【
図17】実施例14において記載される、glu100(0.3%;
図17A)、man52glu29gal19(1%;
図17B)、及び水(両方のプロット)で処置されたマウスにおける0日目から41日目までの体重変化(%)の傾き。glu100-及びman52glu29gal19-で処置された群の傾きが、水で処置されたマウスの傾きよりも有意に異なった(P<0.001;研究日と体重変化との間の有意な相互関係を有する線形混合効果モデル;回帰線は、代表的なシェーディング+/-傾きの標準誤差で示される)。個々の動物の体重変化(%)がプロット化される(三角形または丸形)。
【
図18】実施例14において記載される、高脂肪食、低脂肪食、またはglu100(0.3%)もしくはman52glu29gal19(1%)での処置を伴う高脂肪食を食餌するマウスにおける39日目の血液グルコースレベル。ボックスプロットにおける上限及び下限ヒンジは、第1四分位数及び第3四分位数に相当し、上及び下ひげは、”四分位間の1.5倍以内の最大値及び最小値、または第1四分位数と第3四分位数との間の距離に広がる。マウスは、投与から2時間後に評価された水及び血液グルコースレベルにおいて2g/kg(5mL/kgの線量率で)のグルコースで強制投与された。y軸上の単位は、グルコース(mg/dL)である。
【
図19】実施例14において記載される、高脂肪食を食餌したマウス、低脂肪食を食餌したマウス、ならびにman52glu29gal19(1%)、fos(0.3%、1%)、及びglu100(0.3%)での処置を伴う高脂肪食を食餌したマウスにおける総体重の割合として、41日目の精巣上体の脂肪パッド重量。
【発明を実施するための形態】
【0109】
ヒトにおける胃腸の微生物叢は、宿主が良好な健康であるとき、概して安定しているが
、胃腸の微生物叢の生態系は、宿主年齢、病原体による感染症、ストレス、食事、及び薬
学的治療を含む疾患に応じて異なり、腸内毒素症の状態に突入し得る。本発明は、腸内毒
素症を治療するのに有効であることが見出される、グリカン治療剤及びその薬学的組成物
(及びそのメディカルフードまたは栄養補助食品)の調合剤、ならびに関連方法に関する
。本明細書に記載されるグリカン治療剤及び薬学的組成物の調合剤は、驚くほど、腸内毒
素症と関連し得る、多くの疾患、障害、または病的状態への治療効果を有する。理論によ
り拘束されることは望まないが、本明細書に記載されるグリカン治療剤及び薬学的組成物
の調合剤が、宿主における健康を改善することのような所望の生理学的効果を生じるよう
にヒト宿主の胃腸(GI)管内に微生物を調節することによって作用することが考えられ
る。グリカン治療剤は、宿主の幸福及び健康に利益をもたらす、ある特定の微生物構成成
分によって選択的に消化され、それによって、本組成物及び/または微生物叢の活性(例
えば機能)の両方における胃腸管内の特定の変化を引き起こし得る。グリカン治療剤は、
例えば、有益な細菌の増殖を増強もしくは復元する、及び/または病原微生物もしくは疾
患または状態と関連する微生物の増殖を抑制する、固有または後天性の微生物叢に適合し
、細かく調整された調節剤の機能を果たし得る。
【0110】
本明細書に記載されるグリカン治療剤は、胃腸の微生物叢の重要な分類群の存在度の変
化(及び関連した機能またはゲノム変化)を介在し得、グリカン治療剤が本組成物または
胃腸の微生物叢の機能を変化し得る方法が提供される。いくつかの実施形態では、微生物
の変化は、多数の重要な微生物叢の特性により導入、調節、増加、減少、または刺激する
ことができる。いくつかの実施形態では、調節は、i)擾乱(または腸内毒素症)に対す
る生態系の回復力、ii)微生物叢の多様性、iii)代謝産物の産生、iv)パソビオ
ント及び病原体のコロニー化、ならびにv)宿主の代謝、免疫、及び他の機能の変化した
効果、またはその任意の組み合わせの修正を含む。
【0111】
腸内毒素症及び胃腸の微生物叢の腸内毒素症と関連する可能性のある疾患の治療及び/
もしくは予防、ならびに/または症状の軽減を必要とする対象におけるその症状の軽減、
ならびに宿主の健康全般を改善するために有用な方法、組成物、及びキットが、本明細書
に記載されている。グリカン治療剤のための剤形が、本明細書にさらに記載されている。
いくつかの実施形態では、剤形は、胃腸管、例えば、小腸または大腸等の特異的領域に特
異的送達のために製剤化される。グリカン治療剤の調合剤を含む、薬学的組成物、メディ
カルフード、または栄養補助食品の投与は、腸内毒素症、例えば、有益な細菌性微生物叢
が擾乱され、微生物叢が腸内毒素症を示す状態を治療または予防し得る。いくつかの実施
形態では、擾乱は、本明細書に記載されるグリカン治療剤の使用によって緩和され得、そ
れによって、有益な微生物叢及び宿主の両方の改善された生理学的増殖及び機能が達成さ
れ得る。かかる治療または予防は、直接的に生じ得、例えば、本明細書に記載されるグリ
カン治療剤は、病原微生物の非病原微生物による置換、または有益なもしくは共生微生物
の増殖を増加させ得るか、あるいはそれは、間接的に生じ得、例えば、本明細書に記載さ
れるグリカン治療剤は、微生物叢の代謝または他の機能に影響を及ぼし、それ故に、例え
ば、1つ以上の下流代謝産物の効果によって宿主生理学を調節し得る。本明細書に記載さ
れるグリカン治療剤の投与は、宿主の健康全般を改善し得、微生物群の1つ以上のメンバ
ーに影響を及ぼすことによって、胃腸管等の選択された生態学的地位において健全な均衡
を回復し得る。
【0112】
グリカン治療調合剤の生成
オリゴ糖及び多糖の混合物等の複数のグリカンを含む調合剤は、非酵素触媒、例えば、
米国特許第8,466,242号(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる
)に記載されるポリマー触媒を用いて、または他の好適な方法によって生成することがで
きる。本明細書に記載されるポリマー及び固体支持触媒を調製するための方法は、WO2
014/031956(これは参照により本明細書に組み込まれる)において見出され得
る。例えば、触媒を用いることによって生成されるグリカンは、酵素反応によって生成さ
れるものよりも構造的にはるかに多様性のあるグリカンであり得る。
【0113】
本明細書に記載されるグリカン(例えば、オリゴ糖または多糖化合物)の調合剤を生成
するために方法もまた、a)1つ以上の単糖類もしくは二糖類グリカン単位またはその組
み合わせを提供すること、b)重合種集団(所望の平均重合度を有する)を生成するのに
十分な期間中、単糖類もしくは二糖類を、本明細書に記載されるポリマー触媒及び好適な
溶媒(例えば、水または非水性溶媒等)のうちのいずれかと接触すること、及びc)重合
されたグリカン調合剤の少なくとも一部分を単離及び/または回復することによって提供
される。
【0114】
いくつかの実施形態では、グリカン(例えば、オリゴ糖または多糖)の調合剤は、多分
子である。いくつかの実施形態では、グリカン(例えば、オリゴ糖または多糖)の調合剤
は、多分子かつ多分散である。例えば、グリカン治療調合剤は、異なるオリゴ糖種(例え
ば、異なる重合度及び分岐度及び異なるアルファグリコシド結合対ベータグリコシド結合
の比率)の混合物を含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、複数の異な
る種(例えばオリゴ糖)を含み、互いに様々な割合で1×103、1×104、1×10
5、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、
1×1012、1×1013、1×1014、またはそれ以上の種からなり得る。グリカ
ン治療調合剤の平均の特性、例えば、重合度、分岐度、アルファ-グリコシド結合及びベ
ータ-グリコシド結合の比率等が、本明細書に記載されている。
【0115】
ある特定の実施形態では、出発物質(グリカン単位を含む)は、グリカン単位間で1つ
以上のグリコシド結合の形成を促進し、それによってグリカンの調合剤を生成する条件下
で、ポリマー触媒と接触させる。いくつかの実施形態では、グリカン単位は、単糖類であ
る。好適なポリマー触媒は、ポリマー骨格を形成するように接続される酸性モノマー及び
イオン性モノマーを含み、各酸性モノマーは、少なくとも1つのBronsted-Lo
wry酸を含み、各イオン性モノマーは、独立して、少なくとも1つの窒素含有カチオン
基またはリン含有カチオン基を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー触媒の各酸性
モノマーは、1つのBronsted-Lowry酸を有し得、任意に、このBrons
ted-Lowry酸は、独特である。いくつかの実施形態では、ポリマー触媒の各イオ
ン性モノマーは、1つの窒素含有カチオン基またはリン含有カチオン基を有する。いくつ
かの実施形態では、ポリマー触媒の少なくとも1つのイオン性モノマーは、2つの窒素含
有カチオン基またはリン含有カチオン基を有する。一般的な官能基を概説する概略図を図
6a及び6bを示す。
【0116】
ある特定の実施形態では、ポリマー触媒を用いたグリカン(例えば、オリゴ糖または多
糖)の合成は、水性環境において行われる。ある好適な水性溶媒は、水であり、様々な源
から得られ得る。概して、低濃度のイオン種を有する水源は、好ましく、したがって、か
かるイオン種が、ポリマー触媒の有効性を軽減し得る。水性溶媒が水であるいくつかの実
施形態では、水は、10%未満のイオン種(例えば、ナトリウム、リン、アンモニウム、
マグネシウムの塩)を有する。
【0117】
概して、ポリマー触媒及びグリカン単位は、同時にまたは連続して、反応器の内部チャ
ンバに導入される。グリカン(例えば、オリゴ糖または多糖)の合成は、バッチプロセス
または連続プロセスにおいて行われ得る。例えば、一実施形態では、グリカン合成は、バ
ッチプロセスにおいて行われ、反応器の内容物が、連続して混合またはブレンドされる場
合に、反応物のすべてまたはかなりの量の生成物が除去される(例えば、単離及び/また
は回収される)。ある変形例では、グリカン合成は、バッチプロセスにおいて行われ、反
応器の内容物を、初めに混ぜるまたは混合するが、さらなる物理的混合は行われない。別
の変形例では、グリカン合成は、バッチプロセスにおいて行われ、一旦内容物がさらに混
合される、または反応器の内容物が定期的に混合されると、(例えば、1時間当たり1回
以上で)行われ、反応物のすべてまたはかなり量の生成物が、ある期間後に除去される(
例えば、単離及び/または回収される)。
【0118】
他の実施形態では、グリカン(例えば、オリゴ糖または多糖)の合成は、内容物が平均
連続流量で反応器を流れるが、明示的に混合しない、連続プロセスにおいて行われ得る。
反応器へのポリマー触媒及びグリカン単位の導入後、反応器の内容物が、連続してまたは
定期的に混合またはブレンドされ、反応物のすべてに満たない生成物が除去される(例え
ば、単離及び/または回収される)。ある変形例では、グリカン合成は、連続的プロセス
において行われ、触媒及びグリカン単位を含有する混合物は、活発に混合しない。さらに
、触媒及びグリカン単位の混合は、重力によるポリマー触媒の沈降の再分配、または材料
が連続的反応器を流れるときに生じる非活性混合の結果として生じ得る。
【0119】
本方法のいくつかの実施形態では、重合反応のための出発物質は、1つ以上の単糖類、
1つ以上の二糖類、またはその組み合わせから選択される1つ以上のグリカン単位である
。本方法のいくつかの実施形態では、重合反応のための出発物質は、フラノース糖及びピ
ラノース糖から選択される1つ以上のグリカン単位である。本方法のいくつかの実施形態
では、重合反応のための出発物質は、テトロース、ペントース、ヘキソース、またはヘプ
トースから選択される1つ以上のグリカン単位である。本方法のいくつかの実施形態では
、重合反応のための出発物質は、すべて、任意に、必要に応じて、L-もしくはD-形態
のいずれか、アルファもしくはベータ構造(二量体においては)、及び/またはデオキシ
-形態、ならびにそれらの任意の組み合わせで、グルコース、ガラクトース、アラビノー
ス、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース、及びラムノースから選択される
1つ以上のグリカン単位である。いくつかの実施形態では、グリカン単位は、酢酸エステ
ル、硫酸半エステル、リン酸エステル、またはピルビル環状アセタール基のうちの1つ以
上と置換されるか、または誘導体化されるか、あるいは、そうでなければ、例えば、1つ
以上のヒドロキシル基で誘導体化される。
【0120】
本明細書に記載される方法において使用されるグリカン単位は、1つ以上の糖を含み得
る。いくつかの実施形態では、1つ以上の糖は、単糖類、二糖類、及び三糖類、またはそ
れらの任意の混合物から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の糖は、単糖類
、例えば、1つ以上のC5またはC6単糖類である。いくつかの実施形態では、1つ以上
の糖は、C5単糖類である。他の実施形態では、1つ以上の糖は、C6単糖類である。
【0121】
本方法のいくつかの実施形態では、重合反応のための出発物質は、ハイブリッドグリカ
ンを産生するためのアミノ糖、デオキシ糖、イミノ糖、糖酸、短鎖脂肪酸、及び糖アルコ
ールから選択される1つ以上のグリカン単位である。
【0122】
いくつかの実施形態では、重合反応のための出発物質は、グリコールアルデヒド、グリ
セルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン、エリトロース、トレオース、エリトルロース(
erythulose)、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロー
ス、キシルロース、アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イ
ドース、マンノース、タロース、フルクトース、プシコース、ソルボース、タガトース、
フコース、フクロース、ラムノース、マンノヘプツロース、セドヘプツロース、ノイラミ
ン酸、N-アセチルノイラミン酸、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサ
ミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、ソルビトール、グリセロール、
エリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、ソルビト
ール、ガラクチトール、フシトール、及び乳酸が挙げられるが、これらに限定されない、
単糖類及び他の炭水化物から選択される1つ以上のグリカン単位である。
【0123】
いくつかの実施形態では、重合反応のための出発物質は、アカルビオシン、N-アセチ
ルラクトサミン、アロラクトース、セロビオース、キトビオース、グラクトース-アルフ
ァ-1,3-ガラクトース、ゲンチオビオース、イソマルト、イソマルトース、イソマル
ツロース、コージビオース、ラクチトール、ラクトビオン酸、ラクトース、ラクツロース
、ラミナリビオース、マルチトール、マルトース、マンノビオース、メリビオース、メリ
ビウロース、ネオヘスペリドース、ニゲロース、ロビノース、ルチノース、サンブビオー
ス、ソホロース、スクラロース、スクロース、スクロース酢酸イソ酪酸エステル、オクタ
アセチルスクロース、トレハロース、ツラノース、ビシアノース、及びキシロビオースが
挙げられるが、これらに限定されない、二糖類及び他の炭水化物から選択される1つ以上
のグリカン単位である。
【0124】
いくつかの実施形態では、重合反応のための出発物質は、アミノ糖、デオキシ糖、イミ
ノ糖、糖酸、短鎖脂肪酸、及び糖アルコールから選択される1つ以上のグリカン単位であ
る。
【0125】
いくつかの実施形態では、グリカン単位は、例えば、ヒドロクロレート(hydroc
hlorate)、ヒドロヨーデート(hydroiodate)、臭化水素酸塩、リン
酸塩、硫酸塩、メタンスルファート、酢酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸
塩、コハク酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、
アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩等の塩形態(例えば
、薬学的に許容される塩形態)として存在し得る。
【0126】
好適なグリカン単位には、アミノ糖、例えば、アカルボース、N-アセチルエマンノサ
ミン、N-アセチルムラミン酸、N-アセチルノイラミン酸、N-アセチルエタロサミヌ
ロニン酸(acetyletalosaminuronic acid)、アラビノピラ
ノシル-N-メチル-N-ニトロソ尿素、D-フルクトース-L-ヒスチジン、N-グリ
コリルノイラミン酸、ケトサミン、キダマイシン、マンノサミン、1B-メチルセレノ-
N-アセチル-D-ガラクトサミン、ムラミン酸、ムラミルジペプチド、ホスホリボシー
ルアミン、PUGNAc、シアリル-Lewis A、シアリル-Lewis X、バリ
ダマイシン、ボグリボース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコミサン、
アスパルチルグルコサミン、バシリチオール、ダウノサミン、デソサミン、フルクトサミ
ン、ガラクトサミン、グルコサミン、メグルミン、及びペロサミン等が含まれる。
【0127】
好適なグリカン単位には、デオキシ糖、例えば、1-5-アヒドログルシトール、クラ
ジノース、コリトース、2-デオキシ-D-グルコース、3-デオキシグルカソン、デオ
キシリボース、ジデオキシヌクレオチド、ジギタロース、フルデオオキシグルコース、サ
ルメントース、及びスルホキノボース等が含まれる。
【0128】
好適なグリカン単位には、イミノ糖、例えば、カスタノスペルミン、1-デオキシノジ
リマイシン、イミノ糖、ミグリトール、ミグルスタット、及びスワインソニン等が含まれ
る。
【0129】
好適なグリカン単位には、糖酸、例えば、N-アセチルノイラミン酸、N-アセチルタ
ロサムヌロニン酸(acetyltalosamnuronic acid)、アルダル
酸、アルドン酸、3-デオキシ-D-マンノ-オクト-2-ウロソニック酸、グルクロン
酸、グルコサミンウロニック酸、グリセリン酸、N-グリコリルノイラミン酸、イズロン
酸、イソサッカリン酸、パンガミン酸、シアル酸、トレオン酸、ウロソニック酸、ウロニ
ック酸、キシロン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ケトデオキシオクツルソニック酸、
ガラクツロン酸、ガラクトサミヌロン酸、マンヌロン酸、マンノサミヌロン酸、酒石酸、
粘液酸、糖酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、ヘキサン酸、フマル酸、マレイン酸、酪酸、
クエン酸、グルコサミン酸、リンゴ酸、スクシンアミド酸、セバシン酸、及びカプリン酸
等が含まれる。
【0130】
好適なグリカン単位は、短鎖脂肪酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、
イソブチル酸、吉草酸、及びイソ吉草酸を含む。
【0131】
好適なグリカン単位は、糖アルコール、例えば、メタノール、エチレングリコール、グ
リセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール
、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イジトール、ボレミトール、フシトー
ル、イノシトール、マルトトリイトール、マルトテトライトール、及びポリグリシトール
を含む。
【0132】
本明細書に記載される方法において使用されるグリカン単位(例えば糖)は、任意に市
販の周知の源から得られ得るか、または当該技術分野において周知の任意の方法に従って
生成され得る。
【0133】
反応条件
いくつかの実施形態では、グリカン単位及び触媒(例えば、ポリマー触媒または固体支
持触媒)は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時
間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも24時間、
少なくとも36時間、もしくは少なくとも48時間、または1~24時間、2~12時間
、3~6時間、1~96時間、12~72時間、もしくは12~48時間反応することが
できる。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って生成される1種以上のオ
リゴ糖の重合度は、反応時間調節され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1種以上
のオリゴ糖の重合度は、反応時間を増加させることによって増加させるが、他の実施形態
では、1種以上のオリゴ糖の重合度は、反応時間を減少させることによって減少させる。
【0135】
反応温度
いくつかの実施形態では、反応温度は、約25℃~約150℃の範囲で維持される。あ
る特定の実施形態では、この温度は、約30℃~約125℃、約60℃~約120℃、約
80℃~約115℃、約90℃~約110℃、約95℃~約105℃、または約100℃
~110℃である。
【0136】
グリカン単位の量
使用された溶媒量に対して本明細書に記載される方法において使用されるグリカン単位
の量は、反応率及び収率に影響を及ぼし得る。使用されたグリカン単位の量は、乾燥固形
含量で特徴付けられ得る。ある特定の実施形態では、乾燥固形含量は、乾燥重量基準の割
合としてスラリーの総固体を指す。いくつかの実施形態では、グリカン単位の乾燥固形含
量は、約5重量%~約95重量%、約10重量%~約80重量%、約15重量%~約75
重量%、または約15重量%~約50重量%である。
【0137】
触媒の量
本明細書に記載される方法において使用される触媒の量は、例えば、グリカン単位のタ
イプの選択、グリカン単位の濃度、及び反応条件(例えば、温度、時間、及びpH)を含
む、いくつかの因子に応じて異なり得る。いくつかの実施形態では、触媒のグリカン単位
に対する重量比は、約0.01g/g~約50g/g、約0.01g/g~約5g/g、
約0.05g/g~約1.0g/g、約0.05g/g~約0.5g/g、約0.05g
/g~約0.2g/g、または約0.1g/g~約0.2g/gである。
【0138】
溶媒
ある特定の実施形態では、触媒を使用する方法は、水性環境において行われる。ある好
適な水性溶媒は、水であり、様々な源から得られ得る。概して、低濃度のイオン種が触媒
の有効性を軽減し得るため、かかるイオン種を有する水源(例えば、ナトリウム、リン、
アンモニウム、またはマグネシウムの塩)が、好ましい。水性溶媒が水であるいくつかの
実施形態では、水は、少なくとも0.1メガオーム-センチメートル、少なくとも1メガ
オーム-センチメートル、少なくとも2メガオーム-センチメートル、少なくとも5メガ
オーム-センチメートル、または少なくとも10メガオーム-センチメートルの抵抗率を
有する。
【0139】
水分含量
さらに、本方法の脱水反応が進行するにつれて、水が、1つ以上のグリカン単位の各カ
ップリングで生成される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、反応
混合物中に存在する水の量及び/または一期間にわたって水のモノマーまたは触媒に対す
る比率をモニタリングすることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、
(例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、8
0%、90%、95%、97%、99%、または100%のうちのいずれかを除去するこ
とによって、例えば、真空濾過によって)反応混合物において生成される水の少なくとも
一部を除去することをさらに含む。しかしながら、モノマーに対する水の量は、使用され
る反応条件及び特定の触媒に基づいて調節され得ることを理解されたい。
【0140】
当該技術分野において周知の任意の方法は、例えば、真空濾過、真空蒸留、加熱、及び
/または蒸発によって、反応混合物において水を除去するために使用され得る。いくつか
の実施形態では、本方法は、反応混合物中に水を含むことを含む。
【0141】
いくつかの態様では、酸性及びイオン部分を有するグリカン単位及び触媒を混合して、
反応混合物を形成し、水が反応混合物において生成されることと、反応混合物において生
成される少なくとも一部を除去することと、によって、オリゴ糖組成物を生成する方法が
、本明細書に提供される。ある変形例において、水の少なくとも一部は、99重量%未満
、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満
、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、
または1重量%未満の反応混合物中の水分含量を維持するために除去される。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って生成される1種以上のオ
リゴ糖の重合度は、反応混合物中に存在する水の濃度を調節または制御することによって
調整され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1種以上のオリゴ糖の重合度は、水濃
度を減少させることによって増加するが、他の実施形態では、1種以上のオリゴ糖の重合
度は、水濃度を増加させることによって減少させる。いくつかの実施形態では、反応物の
水分含量は、生成される1種以上のオリゴ糖の重合度を調整するために反応中調整される
。
【0143】
一例において、オーバーヘッド撹拌器及びジャケット短経路凝縮器を装備した丸底フラ
スコに、1つ以上のモノ-、二量体-、三量体、または他のオリゴ糖を、乾燥重量で1~
50%(1~10%、1~20%、1~30%、1~40%、1~60%、1~70%)
の本明細書に記載される触媒のうちの1つ以上を添加し得る。水または別の適合溶媒(0
.1~5当量、1~5当量、1~4当量、0.1~4当量)は、乾燥混合物に添加され得
、スラリーは、できるだけ接近して選択された丸底フラスコの輪郭に一致するようにサイ
ズ決めされたへらを用いて、低速度(例えば、10~100rpm、50~200rpm
、100~200rpm)で混合され得る。混合物は、10~1000mbarの真空圧
下で、70~180℃(70~160℃、75~165℃、80~160℃)に加熱され
る。反応物は、30分間~6時間撹拌し、絶えず、反応物から水を取り除いてもよい。反
応進行は、HPLCによってモニタリングされ得る。進行から得られた固体塊は、約50
Brix(100gの溶液当たりの糖のグラム量)の溶液を作製するのに十分な水の体積
中に溶解され得る。一旦溶解が完了すると、固体触媒は、濾過によって除去され得、オリ
ゴマー溶液は、例えば、回転蒸発によって、約50~75Brixまで濃縮され得る。任
意に、有機溶媒が使用され得、水非混和性溶媒は、二相性抽出によって除去され得、水混
和性溶媒は、例えば、濃縮ステップと同時に回転蒸発によって除去され得る。
【0144】
さらなる処理ステップ
任意に、調合剤は、さらなる処理ステップを行い得る。さらなる処理ステップは、例え
ば、精製ステップを含み得る。精製ステップは、例えば、分離、希釈、濃縮、濾過、脱塩
、またはイオン交換、クロマトグラフ分離、または脱色、またはこれらの任意の組み合わ
せを含み得る。
【0145】
脱色
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、脱色ステップをさらに含む。
生成される1種以上のオリゴ糖は、例えば、吸収剤、活性炭、クロマトグラフィー(例え
ば、イオン交換樹脂を用いる)、水素化、及び/または濾過(例えば、精密濾過)による
処理を含む、当該技術分野において周知の任意の方法を用いた脱色ステップを行い得る。
【0146】
ある特定の実施形態では、生成される1種以上のオリゴ糖を、特定の温度、特定の濃度
、及び/または特定の期間中、色を吸収する材料と接触させる。いくつかの実施形態では
、1種以上のオリゴ糖と接触させる色を吸収する材料の質量は、1種以上のオリゴ糖の質
量の50%未満、1種以上のオリゴ糖の質量の35%未満、1種以上のオリゴ糖の質量の
20%未満、1種以上のオリゴ糖の質量の10%未満、1種以上のオリゴ糖の質量の5%
未満、1種以上のオリゴ糖の質量の2%未満、または1種以上のオリゴ糖の質量の1%未
満である。
【0147】
いくつかの実施形態では、1種以上のオリゴ糖を、色を吸収する物質と接触させる。あ
る特定の実施形態では、1種以上のオリゴ糖を、10時間未満、5時間未満、1時間未満
、または30分間未満、色を吸収する物質と接触させる。特定の実施形態では、1種以上
のオリゴ糖を、1時間、色を吸収する物質と接触させる。
【0148】
ある特定の実施形態では、1種以上のオリゴ糖を、摂氏20~100度、摂氏30~8
0度、摂氏40~80度、または摂氏40~65度の温度で色を吸収する物質と接触させ
る。特定の実施形態では、1種以上のオリゴ糖を、摂氏50度の温度で色を吸収する物質
と接触させる。
【0149】
ある特定の実施形態では、色を吸収する物質は、活性炭である。一実施形態では、色を
吸収する物質は、粉末活性炭である。他の実施形態では、色を吸収する物質は、イオン交
換樹脂である。一実施形態では、色を吸収する物質は、塩化物形態で強塩基性陽イオン交
換樹脂である。別の実施形態では、色を吸収する物質は、架橋ポリスチレンである。さら
に別の実施形態では、色を吸収する物質は、架橋ポリアクリレートである。ある特定の実
施形態では、色を吸収する物質は、Amberlite FPA91、Amberlit
e FPA98、Dowex 22、Dowex Marathon MSA、またはD
owex Optipore SD-2である。
【0150】
イオン交換/脱塩(脱鉱化)
いくつかの実施形態では、生成される1種以上のオリゴ糖を、塩、鉱物、及び/または
他のイオン種を除去するための物質と接触させる。ある特定の実施形態では、1種以上の
オリゴ糖は、陰イオン/陽イオン交換カラム対を流れる。一実施形態では、陰イオン交換
カラムは、水酸化物形態で弱塩基性交換樹脂を含有し、陽イオン交換カラムは、プロトン
化形態で強酸性交換樹脂を含有する。
【0151】
分離及び濃縮
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、生成される1種以上のオリゴ
糖を単離することをさらに含む。ある特定の変形例では、1種以上のオリゴ糖の単離は、
例えば、遠心分離、濾過(例えば、真空濾過、膜濾過)、及び重力沈降を含む、当該技術
分野において周知の任意の方法を用いて、1種以上のオリゴ糖の少なくとも一部分から触
媒の少なくとも一部分を分離することを含む。いくつかの実施形態では、1種以上のオリ
ゴ糖の単離は、例えば、濾過(例えば、膜濾過)、クロマトグラフィー(例えば、クロマ
トグラフィーによる分画化)、差異的溶解度、及び遠心分離(例えば、分画遠心分離)を
含む、当該技術分野において周知の任意の方法を用いて、任意の未反応の糖の少なくとも
一部分から1種以上のオリゴ糖の少なくとも一部分を分離することを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、濃縮ステップをさらに含む。
例えば、いくつかの実施形態では、単離されたオリゴ糖は、蒸発(例えば、真空蒸発)を
経て、濃縮されたオリゴ糖組成物を生成する。他の実施形態では、単離されたオリゴ糖は
、スプレー乾燥ステップを経て、オリゴ糖粉末を生成する。ある特定の実施形態では、単
離されたオリゴ糖は、蒸発ステップ及びスプレー乾燥ステップの両方を経る。
【0153】
水分含量
さらに、本方法の脱水反応が進行するにつれて、水が、1つ以上の糖の各カップリング
で生成される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、反応混合物中に
存在する水の量及び/または一期間にわたって水の糖または触媒に対する比率をモニタリ
ングすることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、(例えば、少なく
とも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、9
5%、97%、99%、または100%のうちのいずれかを除去することによって、例え
ば、真空濾過によって)反応混合物において生成される水の少なくとも一部を除去するこ
とをさらに含む。しかしながら、糖に対する水の量は、使用される反応条件及び特定の触
媒に基づいて調節され得ることを理解されたい。
【0154】
当該技術分野において周知の任意の方法は、例えば、真空濾過、真空蒸留、加熱、及び
/または蒸発によって、反応混合物において水を除去するために使用され得る。いくつか
の実施形態では、本方法は、反応混合物中に水を含むことを含む。
【0155】
いくつかの態様では、酸性及びイオン部分を有するグリカン単位及び触媒を混合して、
反応混合物を形成し、水が反応混合物において生成されることと、反応混合物において生
成される少なくとも一部を除去することと、によって、オリゴ糖組成物を生成する方法が
、本明細書に提供される。ある変形例において、水の少なくとも一部は、99重量%未満
、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満
、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、
または1重量%未満の反応混合物中の水分含量を維持するために除去される。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って生成される1種以上のオ
リゴ糖の重合度は、反応混合物中に存在する水の濃度を調節または制御することによって
調整され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1種以上のオリゴ糖の重合度は、水濃
度を減少させることによって増加するが、他の実施形態では、1種以上のオリゴ糖の重合
度は、水濃度を増加させることによって減少させる。いくつかの実施形態では、反応物の
水分含量は、生成される1種以上のオリゴ糖の重合度を調整するために反応中調整される
。
【0157】
分画化
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、分画化ステップをさらに含む
。調製され、精製されるオリゴ糖または多糖は、その後、例えば、高速液体クロマトグラ
フィー、吸着/脱離(例えば低圧活性炭クロマトグラフィー)、または濾過(例えば、限
外濾過または透析濾過)を含む、当該技術分野において周知の任意の方法を用いた分子量
によって分離され得る。ある特定の実施形態では、調製され、精製されるグリカンは、6
0%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、ま
たは98%超の短い(DPが約1~2)、中等度(DPが約3~10)、長い(DPが約
11~18)、または非常に長い(DPが約18超)種を表すプールに分離される。
【0158】
ある特定の実施形態では、調製されるグリカンは、炭素質の物質に吸着させ、その後、
1%、5%、10%、20%、50%、または100%の濃度で水中の有機溶媒の混合物
で物質を洗浄することによって、分画の脱離させることによって分画化される。一実施形
態では、吸着物質は、活性炭である。別の実施形態では、吸着物質は、活性炭と、体積ま
たは重量で、5%、10%、20%、30%、40%、または50%の部分において、珪
藻土またはCelite 545等の増量剤の混合物である。
【0159】
さらなる実施形態では、調製されるグリカンは、高速液体クロマトグラフィーシステム
を通過させることによって分離される。ある特定の変形例では、調製されるグリカンは、
ゲル透過及びゲル濾過を含む、イオン親和性クロマトグラフィー、親水性相互作用クロマ
トグラフィー、またはサイズ排除クロマトグラフィーによって分離される。
【0160】
他の実施形態では、低分子量物質は、濾過方法によって除去される。ある特定の変形例
では、低分子量物質は、透析、限外濾過、透析濾過、または接線流濾過によって除去され
得る。ある特定の実施形態では、濾過は、静的透析チューブ装置において行われる。他の
実施形態では、濾過は、動的流れ濾過システムにおいて行われる。他の実施形態では、濾
過は、遠心力駆動型濾過遠心分離において行われる。
【0161】
グリカン治療調合剤の特徴
本明細書に記載されるグリカン治療剤は、オリゴ糖及び/または多糖を含み得る。いく
つかの実施形態では、グリカン治療剤は、ホモ-オリゴ糖または多糖(またはホモグリカ
ン)を含み、多糖中の単糖類はすべて、同じタイプのものである。ホモ多糖を含むグリカ
ン治療剤は、単一または複数のグリコシド結合タイプを介して一緒に結合される単糖類を
含み得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、ヘテロ-オリゴ糖または多糖(またはヘ
テログリカン)を含み、1種を超える単糖類が存在する。ヘテロ多糖を含むグリカン治療
剤は、単一または複数のグリコシド結合タイプを介して一緒に結合される異なるタイプの
単糖類を含み得る。
【0163】
単糖類は、二糖類(スクロース及びラクトース等)ならびに多糖(セルロース及びデン
プン等)の構築ブロックである。グリカン治療剤は、単一タイプの単糖類(ホモポリマー
またはホモグリカンと称される)または混合物(ヘテロポリマーまたはヘテログリカンと
称される)を含み得る。オリゴ糖は、少数(典型的には、2~9)のグリカン単位を含有
する単糖類ポリマーである(この場合は、単糖類)。
【0164】
例えば、多くの野菜に見出される、フルクト-オリゴ糖(FOS)は、フルクトース分
子の短鎖からなり、これらのいくつかは、グルコース分子で終端する。また、天然に生じ
るガラクトオリゴ糖(GOS)は、ガラクトース分子の短鎖からなる。これらの化合物は
、ヒトによって唯一部分的に消化され得る。オリゴ糖は、主に、デンプンまたはイヌリン
等の天然ポリマーの分解から、大豆等の天然物質からの直接抽出から、または化学もしく
は酵素合成から産生される。
【0165】
多糖は、結合、例えば、グリコシド結合等によって一緒に結合される長鎖のグリカン単
位からなるポリマー炭水化物分子である。多糖は、10を超えるグリカン単位を含有する
(この場合は、単糖類)。天然に存在する多糖は、Cx(H2O)yの一般式を有し得、
式中、xは、通常、大数、例えば、10~2500である。いくつかの実施形態では、加
水分解は、本明細書に記載されるグリカンを生成するのに適している構成成分の単糖類ま
たはオリゴ糖を作製するために使用され得る。グリカン単位、例えば、単糖類等は、多く
の異なる形態、例えば、配座異性体、環状形態、非環状形態、立体異性体、互変異性体、
アノマー、及び異性体で存在し得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、様々な範囲の重合度を示す多分散であるグリカン治療調合剤
(例えば、オリゴ糖または多糖)が、作製される。任意に、調合剤が、分画され得、例え
ば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98
%、または98%超の短い(DPが約1~2)、中等度(DPが約3~10)、長い(D
Pが約11~18)、または非常に長い(DPが約18超)種を表す。
【0167】
一実施形態では、約3~10のDPを有する少なくとも85%、90%、または少なく
とも95%の中等度の長さの種を含む、多分散で分画されたグリカン治療調合剤が、提供
される。一実施形態では、約11~18のDPを有する少なくとも85%、90%、また
は少なくとも95%の長尺の種を含む、多分散で分画されたグリカン治療調合剤が、提供
される。一実施形態では、約18~30のDPを有する少なくとも85%、90%、また
は少なくとも95%の超長尺の種を含む、多分散で分画されたグリカン治療調合剤が、提
供される。いくつかの実施形態では、中等度、長尺、及び超長尺の分画された調合剤は、
0.8:1~5:1または1:1~4:1のアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコ
シド結合の比率を含む。いくつかの実施形態では、分画された調合剤は、約0.01~約
0.2または約0.05~0.1の平均分岐度を有する。
【0168】
いくつかの実施形態では、グリカンの分子量分布を制御するために、開示されたポリマ
ー触媒を用いた方法が提供される。例えば、グリカン治療調合剤の大部分、例えば、約5
5%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または約9
7%は、2~25、3~25、4~25、5~25、6~25、7~25、8~25、9
~25、10~25、2~30、3~30、4~30、5~30、6~30、7~30、
8~30、9~30、または10~30のDPを有する。
【0169】
一実施形態では、グリカン治療調合剤は、少なくとも3で30未満のグリカン単位の重
合度(DP)を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の約55%、60%、65%、70%、
75%、80%、85%、90%、95%、または約97%は、少なくとも5で30未満
のグリカン単位のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の約55
%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または約97
%は、少なくとも8で30未満のグリカン単位のDPを有する。いくつかの実施形態では
、グリカン治療調合剤の約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、
90%、95%、または約97%は、少なくとも10で30未満のグリカン単位のDPを
有する。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の約55%、60%、65%、7
0%、75%、80%、85%、90%、95%、または約97%は、3、4、5、6、
7、8~10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20のグリカ
ン単位のDPを有する。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の約55%、60
%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または約97%は、1
0、11、12、13、14、15、16、17、18、19~20、21、22、23
、24、25、26、27、28、29、30のグリカン単位のDPを有する。いくつか
の実施形態では、グリカン治療調合剤の約55%、60%、65%、70%、75%、8
0%、85%、90%、95%、または約97%は、3、4、5、6、7、8、9、10
~20、21、22、23、24、25、26、27、28のグリカン単位のDPを有す
る。
【0171】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、1つ以上のグリカン単位(例えば糖
)をポリマー触媒と混合した後(例えば、1つ以上のグリカン単位(例えば糖)を触媒と
混合してから2、3、4、8、12、24、または48時間後)が、DP2=0%~40
%、例えば、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、または2%
未満;または10%~30%もしくは15%~25%、DP3=0%~20%、例えば、
15%未満、10%未満、5%未満;または5%~15%、及びDP4+=15%超、2
0%超、30%超、40%超、50%超、または15%~75%、20%~40%、また
は25%~35%である、重合度(DP)分布を有する。
【0172】
本明細書に記載される方法において1つ以上のグリカン単位(例えば糖)のための変換
収率は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、当該技術分野におい
て周知の任意の好適な方法によって決定され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の
グリカン単位を触媒と混合した後(例えば、1つ以上のグリカン単位を触媒と混合してか
ら2、3、4、8、12、24、または48時間後)の1超のDPを有するグリカン治療
調合剤に対する変換収率は、約50%より大きい(例えば、約55%、60%、65%、
70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%より大きい)。いくつ
かの実施形態では、1つ以上のグリカン単位を触媒と混合した後(例えば、1つ以上のグ
リカン単位を触媒と混合してから2、3、4、8、12、24、または48時間後)の2
超のDPを有するグリカン治療調合剤に対する変換収率は、30%より大きい(例えば、
35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、
85%、90%、95%、または98%より大きい)。
【0173】
一実施形態では、グリカン治療調合剤の約55%、60%、65%、70%、75%、
80%、85%、90%、95%、または約97%は、少なくとも2のDPを有する。一
実施形態では、グリカン治療調合剤の約55%、60%、65%、70%、75%、80
%、85%、90%、95%、または約97%は、少なくとも3のDPを有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の少なくとも5%、10%、15%、2
0%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、7
0%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.8%
、または少なくとも99.9%、またはさらに100%は、少なくとも2、3、4、5、
6、7、8、9、10、11、または少なくとも12のグリカン単位で、75、70、6
5、60、55、50、45、40、35、30、25、20、19、18、17、16
、または15未満のグリカン単位の重合度(DP)を有する、グリカン治療調合剤が提供
される。
【0175】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の少なくとも5%、10%、15%、2
0%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、7
0%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.8%
、または少なくとも99.9%、またはさらに100%は、少なくとも5で30未満のグ
リカン単位、少なくとも8で30未満のグリカン単位の重合度(DP)を有する、グリカ
ン治療調合剤が提供される。
【0176】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の約55%、60%、65%、70%、
75%、80%、85%、90%、95%、または約97%は、約DP5、DP6、DP
7、DP8、DP9、DP10、DP11、またはDP12の平均重合度(DP)を有す
る。
【0177】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の少なくとも50%、60%、70%、
または80%は、少なくとも3で30未満のグリカン単位、または少なくとも5で25未
満のグリカン単位の重合度を有する、グリカン治療調合剤が提供される。いくつかの実施
形態では、グリカン治療調合剤の平均DPは、約DP7~DP9または約DP6~DP1
0である。いくつかの実施形態では、これらのグリカン治療調合剤は、0.8:1~5:
1または1:1~4:1のアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率を
含む。いくつかの実施形態では、分画された調合剤は、約0.01~約0.2または約0
.05~0.1の平均分岐度を有する。
【0178】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤の約55%、60%、65%、70%、
75%、80%、85%、90%、95%、または約97%は、約500、550、60
0、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、
1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、
1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800g/molで
、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600
、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400
、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200
、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、及び50
00g/mol未満の平均分子量を有する。
【0179】
いくつかの実施形態では、グリカン調合剤(例えば、オリゴ糖または多糖)は、線形か
ら高度分岐の構造に及ぶ。非分岐グリカンは、アルファ結合のみまたはベータ結合のみを
含有し得る。非分岐グリカンは、少なくとも1つのアルファ結合及び少なくとも1つのベ
ータ結合を含有し得る。分岐グリカンは、アルファグリコシド結合またはベータグリコシ
ド結合を介して結合して、分岐を形成する少なくとも1つのグリカン単位を含有し得る。
分岐速度または分岐度(DB)は、変化し得、そのため、ほぼ2番目、3番目、4番目、
5番目、6番目、7番目、8番目、9番目、10番目、15番目、20番目、25番目、
30番目、35番目、40番目、45番目、50番目、60番目、または70番目毎の単
位は、少なくとも1つの分岐点を含む。例えば、動物グリコーゲンは、ほぼ10毎の単位
に分岐点を含有する。
【0180】
いくつかの実施形態では、調合剤が分岐グリカンの混合物を含み、平均分岐度(DB、
1残基当たり分岐点)が、0、0.01.0.02、0.03、0.04、0.05、0
.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0
.6、0.7、0.8、0.9、0.95、0.99、1、または2である、グリカン治
療剤の調合剤が提供される。いくつかの実施形態では、平均分岐度が、少なくとも0.0
1、0.05、0.1、0.2、0.3、または少なくとも0.4である、グリカン治療
剤の調合剤が提供される。いくつかの実施形態では、平均分岐度が、約0.01~0.1
、0.01~0.2、0.01~0.3、0.01~0.4、または0.01~0.5で
ある、グリカン治療剤の調合剤が提供される。いくつかの実施形態では、平均分岐度は、
0ではない、グリカン治療剤の調合剤が提供される。いくつかの実施形態では、平均分岐
度は、少なくとも0.1で0.4未満または少なくとも0.2で0.4未満ではない、グ
リカン治療剤の調合剤が提供される。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤
は、直鎖状グリカンを含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、分岐
または分岐の分岐構造を示すグリカンを含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、平均分岐度(DB)は、0ではないが、少なくとも0.01
、0.05、0.1、または少なくとも0.2であるか、または約0.01~約0.2ま
たは約0.05~0.1の範囲に及ぶ、グリカン治療剤の調合剤が提供される。
【0182】
いくつかのグリカンは、還元末端及び非還元末端を有し、還元末端でのサッカリドは、
還元糖であるかどうかに関わらず、実際にオリゴ糖を含む。認められている命名法に従っ
て、ほとんどのオリゴ糖は、本明細書中で左に非還元末端及び右に還元末端を有するよう
に示される。本明細書に記載されるほとんどのオリゴ糖は、非還元サッカリドに対する名
称または略語(例えば、GalまたはD-Gal)、先行してまたは続いて、グリコシド
結合の配置(アルファまたはベータ)、環結合、結合に関与する還元サッカリドの環の位
置、次いで、還元サッカリドの名称または略語(例えば、GlcまたはD-Glc)で記
載される。2つの糖単位の間の結合(例えば、グリコシド結合、ガラクトシド結合、グル
コシド結合等)は、例えば、本明細書に同義に使用される1,4、1->4、または(1
-4)として表され得る。各サッカリドは、環状形態(例えば、ピラノースまたはフラノ
ース形態)であり得る。例えば、ラクトースは、アセタール酸素架橋がベータ配向にある
ベータ(1-4)結合によって連結された環状形態のガラクトース及びグルコースからな
る二糖類である。
【0183】
グリカン治療剤の調合剤に見出される個々のグリカン単位の間の結合は、アルファ1-
>2、アルファ1->3、アルファ1->4、アルファ1->6、アルファ2->1、ア
ルファ2->3、アルファ2->4、アルファ2->6、ベータ1->2、ベータ1->
3、ベータ1->4、ベータ1->6、ベータ2->1、ベータ2->3、ベータ2->
4、及びベータ2->6を含み得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、アルファ結合のみを含む。いくつか
の実施形態では、グリカン治療剤は、ベータ結合のみを含む。いくつかの実施形態では、
グリカン治療剤は、アルファ結合及びベータ結合の混合物を含む。いくつかの実施形態で
は、調合剤中のアルファグリコシド結合:ベータグリコシド結合の比率は、約0.1:1
、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8
:1、0.9:1、1:1、1.2:1、1.5:1、1.7:1、2:1、2.2:1
、2.5:1、2.7:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1
、または約10:1である。
【0185】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、1->2グリコシド結合、1->3
グリコシド結合、1->4グリコシド結合、1->5グリコシド結合、及び1->6グリ
コシド結合からなる群から選択されるアルファ-グリコシド結合及びベータ-グリコシド
結合の両方を含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、少なくとも2つま
たは少なくとも3つのアルファ及びベータ1->2グリコシド結合、アルファ及びベータ
1->3グリコシド結合、アルファ及びベータ1->4グリコシド結合、アルファ及びベ
ータ1->5グリコシド結合、ならびに/またはアルファ及びベータ1->6グリコシド
結合を含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、約0.8:1、1:1、
2:1、3:1、4:1、または5:1の調合剤中のアルファ:ベータグリコシド結合の
比率を含むか、またはそれは、約0.8:1~約5:1または約1:1~約4:1の範囲
に及ぶ。
【0186】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)の調合剤は、
アルファ配置またはベータ配置を有するグリカン単位の所望の混合物を含み、例えば、グ
リカン治療剤の調合剤は、所望の比率、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:
5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:14、1:16、1:
18、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:
55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:
100、1:150のアルファ配置対ベータ配置またはベータ配置対アルファ配置を含む
。
【0187】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)の調合剤は、
実質的には、すべてのアルファ配置またはベータ配置のグリカン単位を含み、任意に、代
表的な他の配置の約1%、2%、3%、4% 5%、6%、7%、8%、9%、10%、
11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または2
0%を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、アルファグリコシド結合を有す
る少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%
、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%
、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、少なく
とも99.9%、またはさらに100%のグリカンを含む。いくつかの実施形態では、グ
リカン治療剤の調合剤は、ベータグリコシド結合を有する少なくとも1%、2%、3%、
4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35
%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85
%、90%、95%、97%、98%、99%、少なくとも99.9%、またはさらに1
00%のグリカンを含む。いくつかの実施形態では、グリコシド結合を有する少なくとも
10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、
60%、65%、70%、75%、80%、または少なくとも85%のグリカンはアルフ
ァグリコシド結合であり、グリコシド結合を有する少なくとも10%、15%、20%、
25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、
75%、80%、または少なくとも85%のグリカンはベータグリコシド結合であり、ア
ルファグリコシド結合及びベータグリコシド結合の割合は、100%を超えない、グリカ
ン治療剤の調合剤が提供される。
【0189】
いくつかの実施形態では、グリカングリコシド結合の少なくとも1%、2%、3%、4
%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%
、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%
、90%、95%、97%、98%、99%、少なくとも99.9%、またはさらに10
0%は、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、
及び1->6グリコシド結合のうちの1つ以上である、グリカン治療剤の調合剤が提供さ
れる。いくつかの実施形態では、グリカングリコシド結合の各々の少なくとも1%、2%
、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、少なくとも20%、ま
たは25%は、1->2、1->3、1->4、及び1->6グリコシド結合である、グ
リカン治療剤の調合剤が提供される。任意に、グリカン治療剤の調合剤は、アルファ2-
>1、アルファ2->3、アルファ2->4、アルファ2->6、ベータ2->1、ベー
タ2->3、ベータ2->4、及びベータ2->6グリコシド結合からなる群から選択さ
れるグリカングリコシド結合の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、
8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50
%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または少なくとも85%をさら
に含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、アルファ1->2及びアルファ
1->3、アルファ1->2及びアルファ1->4、アルファ1->2及びアルファ1-
>6、アルファ1->2及びベータ1->2、アルファ1->2及びベータ1->3、ア
ルファ1->2及びベータ1->4、アルファ1->2及びベータ1->6、アルファ1
->3及びアルファ1->4、アルファ1->3及びアルファ1->6、アルファ1->
3及びベータ1->2、アルファ1->3及びベータ1->3、アルファ1->3及びベ
ータ1->4、アルファ1->3及びベータ1->6、アルファ1->4及びアルファ1
->6、アルファ1->4及びベータ1->2、アルファ1->4及びベータ1->3、
アルファ1->4及びベータ1->4、アルファ1->4及びベータ1->6、アルファ
1->6及びベータ1->2、アルファ1->6及びベータ1->3、アルファ1->6
及びベータ1->4、アルファ1->6及びベータ1->6、ベータ1->2及びベータ
1->3、ベータ1->2及びベータ1->4、ベータ1->2及びベータ1->6、ベ
ータ1->3及びベータ1->4、ベータ1->3及びベータ1->6、ならびにベータ
1->4及びベータ1->6からなる群から選択される少なくとも2つのグリコシド結合
を有するグリカンを含む。
【0191】
同じまたは異なる側鎖であり得る、側鎖を含む分岐グリカン治療剤を含む調合剤(例え
ば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.0
8、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0
.9、0.95、0.99、1、または2のDBを有するもの)としては、側鎖は、1つ
以上のベータ結合及びアルファ結合、例えば、(1-2)、(1-3)、(1-4)、(
1-6)、(2-3)、(2-6)、または主鎖に対して他の好適な結合を介して結合さ
れ得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカン単位がL形態で糖である、グリカ
ン治療剤の調合剤が提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカン単
位がD形態で糖である、グリカンの調合剤が提供される。いくつかの実施形態では、グリ
カン単位が天然に存在するかさらに一般的である(例えば、D-グルコース、D-キシロ
ース、L-アラビノース)ときに、グリカン単位がL形態またはD形態で糖である、グリ
カンの調合剤が提供される。
【0193】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)の調合剤は、
所望の比率、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:
8、1:9、1:10、1:12、1:14、1:16、1:18、1:20、1:25
、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65
、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:100、1:150のL形
態対D形態またはD形態対L形態等のグリカン単位のL形態対D形態の所望の混合物を含
む。
【0194】
いくつかの実施形態では、グリカンの治療剤の調合剤は、任意に、代表的な他の形態の
約1%、2%、3%、4% 5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、
13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%を含む、グリ
カン単位の実質的にすべてのL形態またはD形態のグリカン単位を有するグリカンを含む
。
【0195】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカン単位が、テトロース、ペントース
、ヘキソース、またはヘプトースである、グリカン治療剤の調合剤が提供される。任意に
、グリカン治療調合剤のグリカン(例えば、分岐オリゴ糖または多糖の混合物)の形成に
関与するグリカン単位を変動させる。単糖類のグリカン単位の例には、ヘキソース、例え
ば、グルコース、ガラクトース、及びフルクトース、ならびにペントース、例えばキシロ
ースが含まれる。単糖類は、概して、化学式:Cx(H2O)y(式中、通常、x≧3で
ある)を有する。単糖類は、例えば、ジオース(2)トリオース(3)テトロース(4)
、ペントース(5)、ヘキソース(6)、及びヘプトース(7)を含有する、炭素原子の
数xによって分類され得る。単糖類のグリカン単位は、非環式(開鎖)形態で存在し得る
。同じ分子グラフを有する開鎖の単糖類は、2つ以上の立体異性体として存在し得る。単
糖類はまた、カルボニル基と同じ分子のヒドロキシルのうちの1つの間で求核付加反応を
介して環状形態で存在し得る。反応物は、1個の架橋酸素原子によって閉口している炭素
原子の環を形成する。これらの環状形態では、環は、通常、5個の原子(フラノース)ま
たは6個の原子(ピラノース)を有する。
【0196】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
任意の所望の比率、例えば、任意に2つのグリカン単位については、1:1、1:2、1
:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:1
4、1:16、1:18、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:4
5、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:8
5、1:90、1:100、1:150等、任意に3つのグリカン単位については、1:
1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1、1:5:1、1:6:1、1:7:1、
1:8:1、1:9:1、1:10:1、1:12:1、1:14:1、1:16:1、
1:18:1、1:20:1、1:1:2、1:2:2、1:3:2、1:4:2、1:
5:2、1:6:2、1:7:2、1:8:2、1:9:2、1:10:2、1:1:3
、1:2:3、1:3:3、1:4:3、1:5:3、1:6:3、1:7:3、1:8
:3、1:9:3、1:10:3、1:1:4、1:2:4、1:3:4、1:4:4、
1:5:4、1:6:4、1:7:4、1:8:4、1:9:4、1:10:4、1:1
:5、1:2:5、1:3:5、1:4:5、1:5:5、1:6:5、1:7:5、1
:8:5、1:9:5、1:10:5等、任意に4つのグリカン単位については、1:1
:1:1、1:2:2:1、1:3:2:1、1:4:2:1、1:5:2:1、1:6
:2:1、1:7:2:1、1:8:2:1、1:9:2:1、1:10:2:1、1:
1:1:2、1:2:2:2、1:3:2:2、1:4:2:2、1:5:2:2、1:
6:2:2、1:7:2:2、1:8:2:2、1:9:2:2、1:10:2:2等、
任意に5つのグリカン単位については、1:1:1:1:1、1:2:2:1:1等、任
意に6つのグリカン単位については、1:1:1:1:1:1、1:1:1:1:1:2
等、任意に7つのグリカン単位については、1:1:1:1:1:1:1、1:1:1:
1:1:1:2等で、異なる単糖類のグリカン単位の所望の混合物、例えば、ジオース(
2)、トリオース(3)、テトロース(4)、ペントース(5)、ヘキソース(6)、ま
たはヘプトース(7)の混合物を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、2つ、3つ、4つ、または5つ
の異なるグリカン単位の所望の混合物、例えば、i)グルコース、ガラクトース、アラビ
ノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース、及びラムノースから選択さ
れる単糖類から選択される1つ以上のグリカン単位、ii)アカルビオシン、n-アセチ
ルラクトサミン、アロラクトース、セロビオース、キトビオース、グラクトース-アルフ
ァ-1,3-ガラクトース、ゲンチオビオース、イソマルト、イソマルトース、イソマル
ツロース、コージビオース、ラクチトール、ラクトビオン酸、ラクトース、ラクツロース
、ラミナリビオース、マルチトール、マルトース、マンノビオース、メリビオース、メリ
ビウロース、ネオヘスペリドース、ニゲロース、ロビノース、ルチノース、サンブビオー
ス、ソホロース、スクラロース、スクロース、スクロース酢酸イソ酪酸エステル、オクタ
アセチルスクロース、トレハロース、ツラノース、ビシアノース、及びキシロビオースか
ら選択される二糖類から選択される1つ以上のグリカン単位、iii)アカルボース、N
-アセチルエマンノサミン、N-アセチルムラミン酸、N-アセチルノイラミン酸、N-
アセチルエタロサミヌロニン酸(acetyletalosaminuronic ac
id)、アラビノピラノシル-N-メチル-N-ニトロソ尿素、D-フルクトース-L-
ヒスチジン、N-グリコリルノイラミン酸、ケトサミン、キダマイシン、マンノサミン、
1B-メチルセレノ-N-アセチル-D-ガラクトサミン、ムラミン酸、ムラミルジペプ
チド、ホスホリボシールアミン、PUGNAc、シアリル-Lewis A、シアリル-
Lewis X、バリダマイシン、ボグリボース、N-アセチルガラクトサミン、N-ア
セチルグルコミサン、アスパルチルグルコサミン、バシリチオール、ダウノサミン、デソ
サミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、グルコサミン、メグルミン、及びペロサミン
から選択されるアミノ糖から選択される1つ以上のグリカン単位;iv)1-5-アヒド
ログルシトール、クラジノース、コリトース、2-デオキシ-D-グルコース、3-デオ
キシグルカソン、デオキシリボース、ジデオキシヌクレオチド、ジギタロース、フルデオ
オキシグルコース、サルメントース、及びスルホキノボースから選択されるデオキシ糖か
ら選択される1つ以上のグリカン単位;v)カスタノスペルミン、1-デオキシノジリマ
イシン、イミノ糖、ミグリトール、ミグルスタット、及びスワインソニンから選択される
イミノ酸から選択される1つ以上のグリカン単位、N-アセチルノイラミン酸、N-アセ
チルタロサムヌロニン酸(acetyltalosamnuronic acid)、ア
ルダル酸、アルドン酸、3-デオキシ-D-マンノ-オクト-2-ウロソニック酸、グル
クロン酸、グルコサミンウロニック酸、グリセリン酸、N-グリコリルノイラミン酸、イ
ズロン酸、イソサッカリン酸、パンガミン酸、シアル酸、トレオン酸、ウロソニック酸、
ウロニック酸、キシロン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ケトデオキシオクツルソニッ
ク酸、ガラクツロン酸、ガラクトサミヌロン酸、マンヌロン酸、マンノサミヌロン酸、酒
石酸、粘液酸、糖酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、ヘキサン酸、フマル酸、マレイン酸、
酪酸、クエン酸、グルコサミン酸、リンゴ酸、スクシンアミド酸、セバシン酸、及びカプ
リン酸から選択される糖酸から選択される1つ以上のグリカン単位、vi)ギ酸、酢酸、
プロピオン酸、ブチル酸、イソブチル酸、吉草酸、及びイソ吉草酸から選択される短鎖脂
肪酸から選択される1つ以上のグリカン単位、ならびにvii)メタノール、エチレング
リコール、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、
キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イジトール、ボレミトー
ル、フシトール、イノシトール、マルトトリイトール、マルトテトライトール、及びポリ
グリシトールから選択される糖アルコールから選択される1つ以上のグリカン単位の混合
物を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、例えば、ヒドロクロレート(h
ydrochlorate)、ヒドロヨーデート(hydroiodate)、臭化水素
酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルファート、酢酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩
、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、プロピ
オン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩等の塩形
態(例えば、薬学的に許容される塩形態)で存在するグリカン単位または複数のグリカン
単位を含む。
【0199】
例示的なグリカンは、モノマーが構成する物質の割合を反映する100の中からの数に
従って、単量体の糖成分を表す3文字コードによって記載されている。それ故に、「gl
u100」は、100%のD-グルコース(グリカン単位)の入力から生成されるグリカ
ンに属し、「glu50gal50」は、50%のD-グルコース及び50%のD-ガラ
クトース(グリカン単位)の入力から、またはあるいは、ラクトース二量体(グリカン単
位)の入力から生成されるグリカンに属するものと見なす。本明細書に使用される場合、
xyl=D-キシロース、ara=L-アラビノース、gal=D-ガラクトース、gl
u=D-グルコース、rha=L-ラムノース、fuc=L-フコース、man=D-マ
ンノース、sor=D-ソルビトール、gly=D-グリセロール、neu=NAc-ノ
イラミン酸。
【0200】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、上のi)~vii)から選択さ
れる1つのグリカン単位Aを含み、グリカン単位Aは、100%のグリカン単位入力を含
む。例えば、いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、ホモ-グリカンxyl1
00、rha100、ara100、gal100、glu100、及びman100か
ら選択される。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、ホモ-グリカンfuc
100及びfru100から選択される。
【0201】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、上のi)~vii)から独立し
て選択される2つのグリカン単位A及びBの混合物を含み、A及びBは、i)~vii)
の同じまたは異なる群から選択され得、A及びBは、任意の所望の比率(例えば、100
%を超えない、1~99%のA及び99~1%のBの範囲)で選択され得る。
【0202】
例えば、いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、ヘテロ-グリカンara5
0gal50、xyl75gal25、ara80xyl20、ara60xyl40、
ara50xyl50、glu80man20、glu60man40、man60gl
u40、man80glu20、gal75xyl25、glu50gal50、man
62glu38、及びハイブリッドグリカンglu90sor10及びglu90gly
10から選択される。
【0203】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、上のi)~vii)から独立し
て選択される3つのグリカン単位A、B、及びCの混合物を含み、A、B、及びCは、i
)~vii)の同じまたは異なる群から選択され得、A、B、及びCは、任意の所望の比
率(例えば、100%を超えない、1~99%のA、1~99%のB、及び1~99%の
Cの範囲)で選択され得る。
【0204】
例えば、いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、ヘテロ-グリカンxyl7
5glu12gal12、xyl33glu33gal33、glu33gal33fu
c33、man52glu29gal19、及びハイブリッドグリカンglu33gal
33neu33から選択される。
【0205】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、上のi)~vii)から独立し
て選択される4つのグリカン単位A、B、C、及びDの混合物を含み、A、B、C、及び
Dは、i)~vii)の同じまたは異なる群から選択され得、A、B、C、及びDは、任
意の所望の比率(例えば、100%を超えない、1~99%のA、1~99%のB、1~
99%のC、及び1~99%のDの範囲)で選択され得る。
【0206】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、上のi)~vii)から独立し
て選択される5つのグリカン単位A、B、C、D、及びEの混合物を含み、A、B、C、
D、及びEは、i)~vii)の同じまたは異なる群から選択され得、A、B、C、D、
及びEは、任意の所望の比率(例えば、100%を超えない、1~99%のA、1~99
%のB、1~99%のC、1~99%のDの範囲、及び1~99%のEの範囲)で選択さ
れ得る。
【0207】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカン単位が、グルコース、ガラクトー
ス、アラビノース、マンノース、フルクトース、キシロース、フコース、及びラムノース
からなる群から選択される、グリカン治療剤の調合剤が、提供される。
【0208】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
例えば、グルコース及びガラクトース、グルコース及びアラビノース、グルコース及びマ
ンノース、グルコース及びフルクトース、グルコース及びキシロース、グルコース及びフ
コース、グルコース及びラムノース、ガラクトース及びアラビノース、ガラクトース及び
マンノース、ガラクトース及びフルクトース、ガラクトース及びキシロース、ガラクトー
ス及びフコース、ならびにガラクトース及びラムノース、アラビノース及びマンノース、
アラビノース及びフルクトース、アラビノース及びキシロース、アラビノース及びフコー
ス、ならびにアラビノース及びラムノース、マンノース及びフルクトース、マンノース及
びキシロース、マンノース及びフコース、ならびにマンノース及びラムノース、フルクト
ース及びキシロース、フルクトース及びフコース、ならびにフルクトース及びラムノース
、キシロース及びフコース、キシロース及びラムノース、ならびにフコース及びラムノー
スの混合物のような、2つの異なる単糖類のグリカン単位の所望の混合物を、例えば、1
:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、
1:12、1:14、1:16、1:18、1:20、1:25、1:30、1:35、
1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、
1:80、1:85、1:90、または1:100の比率またはそれらの逆比率で含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
3つの異なる単糖類のグリカン単位の所望の混合物、例えば、グルコース含有グリカン治
療剤の調合剤については、グルコース、ガラクトース、及びアラビノース;グルコース、
ガラクトース、及びマンノース;グルコース、ガラクトース、及びフルクトース;グルコ
ース、ガラクトース、及びキシロース;グルコース、ガラクトース、及びフコース、グル
コース、ガラクトース、及びラムノース;グルコース、アラビノース、及びマンノース;
グルコース、アラビノース、及びフルクトース;グルコース、アラビノース、及びキシロ
ース;グルコース、アラビノース、及びフコース;グルコース、アラビノース、及びラム
ノース;グルコース、マンノース、及びフルクトース;グルコース、マンノース、及びキ
シロース;グルコース、マンノース、及びフコース;グルコース、マンノース ラムノー
ス;グルコース、フルクトース、及びキシロース;グルコース、フルクトース、及びフコ
ース;グルコース、フルクトース、及びラムノース;グルコース、フコース、及びラムノ
ースの混合物等を、例えば、1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1、1:5
:1、1:6:1、1:7:1、1:8:1、1:9:1、1:10:1、1:12:1
、1:14:1、1:16:1、1:18:1、1:20:1、1:1:2、1:2:2
、1:3:2、1:4:2、1:5:2、1:6:2、1:7:2、1:8:2、1:9
:2、1:10:2、1:1:3、1:2:3、1:3:3、1:4:3、1:5:3、
1:6:3、1:7:3、1:8:3、1:9:3、1:10:3、1:1:4、1:2
:4、1:3:4、1:4:4、1:5:4、1:6:4、1:7:4、1:8:4、1
:9:4、1:10:4、1:1:5、1:2:5、1:3:5、1:4:5、1:5:
5、1:6:5、1:7:5、1:8:5、1:9:5、1:10:5等の比率で含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
実質的にすべてのジオース(2)の単糖類単位を含み、任意に、1%、2%、3%、4%
5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、
16%、17%、18%、19%、または20%のトリオース(3)テトロース(4)、
ペントース(5)、ヘキソース(6)、もしくはヘプトース(7)、またはこれらの任意
の組み合わせを含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
実質的にすべてのトリオース(3)の単糖類単位を含み、任意に、1%、2%、3%、4
% 5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%
、16%、17%、18%、19%、または20%のジオース(2)、テトロース(4)
、ペントース(5)、ヘキソース(6)、もしくはヘプトース(7)、またはこれらの任
意の組み合わせを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
実質的にすべてのテトロース(4)の単糖類単位を含み、任意に、1%、2%、3%、4
% 5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%
、16%、17%、18%、19%、または20%のジオース(2)、トリオース(3)
、ペントース(5)、ヘキソース(6)、もしくはヘプトース(7)、またはこれらの任
意の組み合わせを含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
実質的にすべてのペントース(5)の単糖類単位を含み、任意に、1%、2%、3%、4
% 5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%
、16%、17%、18%、19%、または20%のジオース(2)、トリオース(3)
テトロース(4)、ヘキソース(6)、もしくはヘプトース(7)、またはこれらの任意
の組み合わせを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
実質的にすべてのヘキソース(6)の単糖類単位を含み、任意に、1%、2%、3%、4
% 5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%
、16%、17%、18%、19%、または20%のジオース(2)、トリオース(3)
テトロース(4)、ペントース(5)、もしくはヘプトース(7)、またはこれらの任意
の組み合わせを含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
実質的にすべてのヘプトース(7)の単糖類単位を含み、任意に、1%、2%、3%、4
% 5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%
、16%、17%、18%、19%、または20%のジオース(2)、トリオース(3)
テトロース(4)、ペントース(5)、もしくはヘキソース(6)、またはこれらの任意
の組み合わせを含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカン単位がフラノース糖である、グリ
カン治療剤の調合剤が、提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリカ
ン単位がピラノース糖である、グリカンの調合剤が、提供される。いくつかの実施形態で
は、グリカン治療剤は、フラノース糖及びピラノース糖の混合物を含む。いくつかの実施
形態では、調合剤中のフラノース糖:ピラノース糖の比率は、約0.1:1、0.2:1
、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9
:1、1:1、1.2:1、1.5:1、1.7:1、2:1、2.2:1、2.5:1
、2.7:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または約1
0:1である。
【0217】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤(例えば、オリゴ糖及び多糖)は、
例えば、所望の比率、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:
7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:14、1:16、1:18、1:20、
1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、
1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:100、1:15
0のフラノース対ピラノースまたはピラノース対フラノースのフラノース糖及びピラノー
ス糖の所望の混合物を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、実質的にすべてのフラノースま
たはピラノース糖を含み、任意に、1%、2%、3%、4% 5%、6%、7%、8%、
9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、1
9%、または20%の代表的な他の糖を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、実質的にすべてのピラノース糖
を含み、かつ、フラノース形態で調合剤において約0.1%以下、02%、0.5%、1
%、2%、3%、4%、または5%以下の単量体のグリカン単位を含む。いくつかの実施
形態では、調合剤において3%以下、2%、または1%以下の単量体のグリカン単位は、
フラノース形態である。
【0220】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、N-アセチルガラクトサミンも
N-アセチルグルコサミンも含まない。いくつかの実施形態では、グリカンの調合剤は、
シアル酸を含まない。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、脂質及び脂
肪酸を含まない。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、アミノ酸を含ま
ない。
【0221】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、検出可能な反復単位を含まない
。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、統計的に有意な量の反復単位を
含まない。いくつかの実施形態では、反復単位は、少なくとも2、3、4、5、または少
なくとも6つのグリカン単位のDPを有する。例えば、ヒアルロナンは、2つのグルコー
ス誘導体、グルクロン酸塩(グルクロン酸)、及びN-アセチルグルコサミンからなる反
復二糖類単位を有するグルコサミノグリカンである。グリコシド結合は、ベータ(1->
3)及びベータ(1->4)である。セルロースは、ベータ結合によって一緒に結合され
る反復グルコース単位で作製されるポリマーである。反復単位の存在及び量は、例えば、
総加水分解(例えば、グリカン単位の割合を決定するために)、メチル化分析(例えば、
結合型の分布を決定するために)、及びHSQC(例えば、アルファ-及びベータ-グリ
コシドの分布を決定するために)によって使用することを決定することができる。有意性
を決定するための統計的方法は、当業者によって周知である。
【0222】
必要に応じて、グリカンの単糖類またはオリゴ糖グリカン単位は、さらに置換または誘
導体化され、例えば、ヒドロキシル基は、エーテル化またはエステル化され得る。例えば
、グリカン(例えば、オリゴ糖または多糖)は、修飾サッカリド単位、例えば、ヒドロキ
シル基が除去される2’-デオキシリボース、ヒドロキシル基がフッ素と置換される2’
-フルオロリボース、またはN-アセチルグルコサミン、グルコース(例えば、2’-フ
ルオロリボース、デオキシリボース、及びヘキソース)の窒素含有形態を含有し得る。置
換度(DS、1グリコシル単位当たりヒドロキシル基の平均数)は、1、2、もしくは3
、または別の好適なDSであり得る。いくつかの実施形態では、1%、2%、3%、4%
5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、
16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、
50%、55%、60%、65%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、
97%、98%、99%、または100%のグリカン単位が、置換または誘導体化される
。いくつかの実施形態では、置換度は、例えば、ある特定の割合では誘導体化されず、1
のDSを示し、2のDSを示し、3のDSを示す、サブユニット間で変動する。任意の望
ましい混合物は、例えば、0~99%のサブユニットは、誘導体化されず、0~99%の
サブユニットは、1のDSを示し、0~99%のサブユニットは、2のDSを示し、0~
99%のサブユニットは、3のDSを示し、合計で100%になる。置換度は、グリコシ
ル部分に添加される置換基(モル置換(MS))のモルの平均数を調整することによって
制御され得る。グリカンオリゴ糖または多糖鎖の長さに沿って置換の分布は、反応条件、
試薬タイプ、及び置換の範囲を調整することによって制御され得る。いくつかの実施形態
では、単量体のサブユニットは、酢酸エステル、硫酸半エステル、リン酸エステル、また
はピルビル環状アセタール基のうちの1つ以上と置換される。
【0223】
集団におけるnの重合度(DP)(本明細書では、DP(n)として示される)を有す
る種のモル率は、例えば、屈折率(RI)検出器を備えたAgilent 1260 B
ioInertシリーズの装置、及び移動相として水を用いた当業者によく知られている
様々なカラム上の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定される。カラム
は、対象となる種を最も単離する、HILIC、金属配位、及び水性のサイズ排除クロマ
トグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない、化学的性質から選択される。DP
(n)のモル%は、式:
DP(n)の割合(%)=100*AUC[DP(n)]/AUC[DP(合計)]
によって決定され、
式中、AUCは、公知の標準物に対する較正によって決定されるときに、対象となる種に
対する濃度曲線下面積として定義される。グリコシド結合の異性体のモル率(アルファ(
%)及びベータ(%))は、当業者によく知られている様々な2D技術を用いた核磁気共
鳴(NMR)分光法によって決定される。アルファ-異性体及びベータ-異性体は、例え
ば、NMRスペクトルにおけるそれらの異なるシフトによって区別され、モル率は、式:
グリコシド結合の(グリコシド異性体n)の割合(%)=
100*AUC[シフト(異性体n)]/AUC[シフト(異性体アルファ+異性体
ベータ)]、
式中、AUCは、所望の異性体nを表すために周知の特定のシフト値の濃度曲線下面積と
して定義される。位置化学異性体のモル率は、式:
位置異性体の(位置異性体n)の割合(%)=100*AUC[シフト(位置異性体
n)]/AUC[シフト(すべての位置異性体)]、を用いた類似の様式で決定される。
【0224】
オリゴマー集団を作製する単量体糖の相対的割合は、例えば、オリゴマー試料の酸性消
化の合計、続いて、アルジトールアセテートへの変換、続いて、周知の基準のGCに対し
て比較される得られた単量体溶液のガスクロマトグラフ(GC)分析によって決定される
。モノマーのモル率(n)(nは任意の糖であり得る)は、式:
(糖n)の割合(%)=100*AUC[糖n]/AUC[すべての単量体糖の合計
]、によって決定される。
【0225】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤の溶解度は、例えば、電荷、構造(
例えば、DP、分岐度)の選択、及び/またはグリカン単位の誘導体化によって制御され
得る。
【0226】
直鎖に均一に結合されたある種の糖単位からなるグリカン治療剤の調合剤は、通常、グ
リカンが20~30の重合度(DP)を有する低分子量を有する場合でさえ、23℃で不
水溶性である。グリカン治療剤の溶解度は、例えば、(1->6)結合を導入し、グリカ
ンにおいてグリコシド結合に交代することによって調節され得る。C-5からC-6結合
に交代することによって与えられる余分の自由度により、より高い溶液のエントロピー値
を得る。2種類の糖結合を有するホモグリカンまたは2種類の糖からなるヘテログリカン
は、概して、同種のポリマーよりも溶解性がある。直鎖ホモグリカンのイオン化は、例え
ば、ゲルのイオン化に溶解度を増し得る。溶液の粘度は、グリカンの第三級構造によって
異なる場合がある。
【0227】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、高度に分岐しており、例えば、少な
くとも0.01、0.05、または0.1の平均DBを有する。いくつかの実施形態では
、グリカン治療調合剤は、0.1~0.2の平均DBを有する。分岐オリゴ糖を含むグリ
カン治療調合剤は、高溶解性である。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、
23℃で明らかな固化または結晶化を行わずに(最終溶解限度)、少なくとも55Bri
x、65Brix、60Brix、65Brix、70Brix、75Brix、80B
rix、または少なくとも85Brixまで濃縮され得る。いくつかの実施形態では、グ
リカン治療調合剤は、23℃で明らかな固化または結晶化を行わずに(最終溶解限度)、
少なくとも約0.5g/ml、1g/ml、1.5g/ml、2g/ml、2.5g/m
l、3g/ml、3.5g/ml、または少なくとも4g/mlまで濃縮され得る。
【0228】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤(例えばオリゴ糖)は、分岐しており、
例えば、少なくとも0.01、0.05、または0.1の平均DBを有し、かつ、23℃
で少なくとも約70Brix、75Brix、80Brix、または少なくとも約85B
rixの水中に最終溶解限度を有するか、または少なくとも約1g/ml、2g/ml、
または少なくとも約3g/mlである。
【0229】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、脱イオン水中、または好適な緩
衝液中、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、または類似の生理学的pH)中、
20℃で、少なくとも0.001g/L、0.005g/L、0.01g/L、0.05
g/L、0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、0.4g/L、0.5g/L、0
.6g/L、0.7g/L、0.8g/L、0.9g/L、1g/L,5g/L、10g
/L、20g/L、30g/L、40g/L、50g/L、100g/L、200g/L
、300g/L、400g/L、500g/L、600g/L、700g/L、800g
/L、900g/L、1000g/Lの最終溶解限度を有する。いくつかの実施形態では
、グリカン治療剤の調合剤は、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、9
5%超、96%超、97%超、98%超、99%超、または99.5%超の溶解性があり
、脱イオン水中、または好適な緩衝液中、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、
または類似の生理学的pH)中、20℃で、少なくとも0.001g/L、0.005g
/L、0.01g/L、0.05g/L、0.1g/L、0.2g/L、0.3g/L、
0.4g/L、0.5g/L、0.6g/L、0.7g/L、0.8g/L、0.9g/
L、1g/L,5g/L、10g/L、20g/L、30g/L、40g/L、50g/
L、100g/L、200g/L、300g/L、400g/L、500g/L、600
g/L、700g/L、800g/L、900g/L、1000g/L超の濃度で観察さ
れる沈殿物を有さない。
【0230】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、所望の甘味度を有する。例えば
、スクロース(テーブルシュガー)は、プロトタイプの甘味物質である。溶液中のスクロ
ースは、1の甘味知覚評価を有し、他の物質は、これと比較して評価される(例えば、フ
ルクトースは、スクロースの甘味を1.7倍で評価される)。いくつかの実施形態では、
グリカン治療剤の調合剤の甘味は、スクロースと比較して、0.1~500,000の範
囲に及ぶ。いくつかの実施形態では、相対的甘味は、スクロースと比較して、0.1、0
.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90、10
0、150、200、250、300、350、400、450、500、550、60
0、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、
3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000
、25000、50000、75000、100000、150000、200000、
250000、300000、350000、40000、450000、500000
、または500,000超である(スクロースが1と得点される)。いくつかの実施形態
では、グリカン治療剤の調合剤は、軽度に甘さ、または甘さと苦味の両方がある。
【0231】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤、例えば、実質的に、DP2+また
はDP3+である調合剤(例えば、DP2+またはDP3+の少なくとも80%、90%
、または少なくとも95%、または分画化された調合剤)は、実質的に、甘さとして感知
できず、比較的甘味は、スクロースと比較して、約0、0.0001、0.001、0.
005、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.
7、または約0.8である(スクロースが1と得点される)。
【0232】
グリカン治療調合剤の同定及び特徴付け
必要に応じて、グリカン治療調合剤は、特徴付けられ得る。例えば、健康促進細菌の増
殖を増大させるために1つ以上のインビトロまたはインビボアッセイにおいて特定されて
いるか、または微生物病原体の増殖を抑制するグリカン治療剤の調合剤は、当該技術分野
において周知の任意の方法によって、及び本明細書に記載される方法によってさらに特徴
付けられ得る。好適な方法は、実施例においてさらに説明されている。
【0233】
グリカン治療調合剤については、単量体構築ブロック(例えば、単糖類またはグリカン
単位の組成物)、側鎖のアノマー配置、置換基の存在及び位置、重合度/分子量、及び結
合パターンは、当該技術分野において周知の標準的な方法、例えば、メチル化分析、還元
開裂、加水分解、GC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)、MALDI-MS
(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析法)、ESI-MS(エレクトロス
プレイイオン化質量分析法)、HPLC(紫外線または屈折率検出を有する高速液体クロ
マトグラフィー)、HPAEC-PAD(パルスアンペロメトリー検出を有する高性能陰
イオン性交換クロマトグラフィー)、CE(キャピラリー電気泳動)、IR(赤外線)/
ラマン分光法、及びNMR(核磁気共鳴)分光法技術等によって特定され得る。結晶稠度
のポリマーについては、結晶構造は、例えば、固体状態のNMR、FT-IR(フーリエ
変換正規外線分光法)、及びWAXS(広角X線散乱)を用いて溶解され得る。DP、D
Pの分布、及び多分散性は、例えば、粘度測定及びSEC(SEC-HPLC、高性能サ
イズ排除クロマトグラフィー)によって決定され得る。異種基、末端基、及び置換基は、
例えば、標識化を有するSEC、水性分析、MALDI-MS、FT-IR、及びNMR
を用いて決定され得る。グリカンの単量体成分を同定するために、例えば、酸触媒加水分
解、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)またはGLC(ガス-液体クロマトグラフ
ィー)(アルジトールアセテートへの変換後)等の方法が使用され得る。グリカン中に存
在する結合を決定するために、一例では、多糖は、DMSO中のヨウ化メチル及び強塩基
でメチル化され、加水分解が行われ、部分的にメチル化されたアルジトールへの還元が達
成され、メチル化されたアルジトールアセテートへのアセチル化が行われ、分析は、GL
C/MS(質量分析法に加えてガス-液体クロマトグラフィー)によって行われる。いく
つかの実施形態では、多糖配列を決定するために、酸または酵素を用いて、部分的な脱重
合が行われ、構造を決定する。多糖の可能な構造は、加水分解性オリゴマーの構造と比較
され、可能な構造のうちの1つがオリゴマーを生成し得ることが決定される。アノマー構
造を同定するために、一例では、無傷多糖またはオリゴ糖の調合剤は、酵素的分析に供さ
れ、例えば、それらを、例えば、β-ガラクトシダーゼまたはα-グルコシダーゼ等の特
定の種類の結合に特異的である酵素と接触させ、NMRは生成物を分析するために使用さ
れ得る。
【0234】
例えば、グリカン治療調合剤の分布(または平均)重合度(DP)は、例えば、10~
100mg/mLの濃度を有する試料を、例えば、Gomezら(Purificati
on,Characterization,and Prebiotic Proper
ties of Pectic Oligosaccharides from Ora
nge Peel Wastes,J Agric Food Chem,2014,6
2:9769)において記載される、7.8×300mm BioRad Aminex
HPX-42Aカラム(または類似の)及びRI検出器が装備されているAgilen
t 1260 BioPure HPLC(または類似の)に注入することによって測定
され得る。あるいは、濃度を有する試料は、例えば、Holckら(Feruloyla
ted and nonフェルロイルated arabino-oligosacch
arides from sugar beet pectin selectivel
y stimulate the growth of bifidobacteriu
m spp.in human fecal in vitro fermentati
ons,Journal of Agricultural and Food Che
mistry,2011,59(12),6511-6519)において記載される、4
×250mm Dionex CarboPac PA1カラム(または類似の)及びP
AD検出器が装備されているDionex ICS5000 HPLC(または類似の)
に注入され得る。オリゴマーの標準溶液に対して比較される得られたスペクトルの統合は
、平均DPの決定を可能にする。
【0235】
分子量の分布は、例えば、MALDI質量分析法によって測定され得る。オリゴ糖濃度
は、モノマーとオリゴマーとの間の屈折の差を説明するように標準化曲線に対して調節さ
れる最終値を有するMettler-Toledoの糖用屈折計(または類似の)を用い
て測定され得る。
【0236】
グリコシド位置化学の分布は、例えば、標準パルスシーケンス及びBruker 50
0MHz分光計を用いて、COSY、HMBC、HSQC、DEPT、及びTOCSY分
析を含む、様々な2D-NMR技術によって特徴付けられ得る。ピークは、周知の位置化
学を有する天然に生じる多糖のスペクトルへの相関によって割り当てられ得る。
【0237】
いくつかの実施形態では、試料の相対的ピーク割り当ては、試料の濃度及び純度、溶媒
の同定及び質(例えば、同位体で標識された溶媒)、及び利用されたパルスシーケンスが
含まれるが、これらに限定されない、多くの因子に応じて異なる。したがって、実施形態
では、例えば、グルコースを含むグリカンの相対的ピーク割り当ては、NMRスペクトル
が当該因子による類似条件下で得られる場合に、(例えば、約0.01ppm、約0.0
2ppm、または約0.05ppmで)異なり得る。本明細書に使用されるこれらの場合
において、「対応するピーク(複数を含む)」という用語は、同じ試料と関連するが、例
えば、試料の濃度及び純度、同位体で標識された溶媒の同定及び質、ならびに利用された
パルスシーケンスが含まれるが、これらに限定されない、因子による(例えば、約0.0
1ppm、約0.02ppm、または約0.05ppmで)異なる、NMRピークを指す
。
【0238】
オリゴマーの単量体組成物は、例えば、周知の量のオリゴマーは昇温で強酸に溶解され
、全加水分解が生じるのに十分な時間可能にする完全加水分解方法によって測定され得る
。次いで、個々のモノマーの濃度は、Holckらにおいて相対的存在度測定を達成する
ために、本明細書に記載され、当該技術分野において周知のHPLCまたはGC方法によ
って測定され得る。絶対量は、臨界シグナルのうちのいずれかとの重複を阻止するために
選択された周知の量の検出器に活性基準でHPLC試料をスパイクすることによって測定
され得る。
【0239】
任意の所与の集団における分岐度は、例えば、Hakomori(J.Biochem
.(Tokyo),1964,55,205)によって構築されたメチル化分析方法によ
って測定され得る。これらのデータにより、潜在的反復単位の同定は、全加水分解、平均
DP、及びメチル化分析からのデータを組み合わせ、DEPT NMRスペクトルに対し
てそれらを比較することによって構築され得る。これらのデータに対するアノマー炭素シ
グナル数の相関は、例えば、Hardingら(Carbohydr.Res.2005
,340,1107)に実証されるように、規則的な反復単位が、収集されたデータを満
たすために必要であるかどうかを示す。
【0240】
グリカン治療剤(例えば、グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、アラビ
ノース、ラムノース、及びマンノース等の単糖類または二糖類グリカン単位を含むもの)
の調合剤は、パラメータ:a)それぞれ、異なるグリコシド結合タイプを表す、2つ、3
つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上(例えば、少なくとも4つまたは5つ)の
診断的アノマーNMRピークの存在、b)約0.8対1~約5対1(例えば、アルファ結
合タイプを一般に好む、約1:1~4:1)のアルファ結合対ベータ結合の比率、c)1
,2-、1,3-、1,4-、及び1,6-置換の一覧から少なくとも2つまたは少なく
とも3つの異なるグリコシド位置化学、ならびに1,2,3-、1,2,4-、1,2,
6-、1,3,4-、1,3,6-、及び1,4,6-置換の一覧から少なくとも2つま
たは少なくとも3つの異なるグリコシド位置化学、ならびにd)個々の種の少なくとも5
0%、60%、70%、または少なくとも80%が少なくとも2つ、少なくとも3つ、3
~30、または5~25のDPを有するDPの分布、のうちの1つ、2つ、3つ、または
4つを用いて特定され得る。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、天然に存在す
るオリゴ糖とは異なる固有の構造クラスを表す。いくつかの実施形態では、グリカン治療
調合剤は、天然に存在するオリゴ糖の調合剤とは異なる新規の平均特性(例えば、DP、
DB、アルファ:ベータグリコシド結合比率)を有する。これらの構造特性は、本明細書
に記載される方法によって定量化され得る。本明細書に記載されるグリカン治療調合剤は
、以下の特徴のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または少なくとも5つを有す
る:
(i)定量的質量分析測定、SEC-HPLC、IAC-HPLC、またはIEC-H
PLCによって特定され得る、例えば、約DP3~約DP30、または約DP5~約DP
25の範囲に及ぶ分子量の分布、
(ii)例えば、アルファ及びベータグリコシドからのシグナルの明示的な識別及び定
量化を可能にするHSQCパルスシーケンスを含む、様々なNMR技術によって特定され
得る、0.8:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1の範囲に及ぶ結合比率(概
して、アルファ立体化学に好都合である)を有する、アルファ結合及びベータ結合の両方
の有意な割合。いくつかの実施形態のグリカン治療調合剤では、観察された比率における
アルファ-グリコシド結合及びベータ-グリコシド結合の両方の存在(表6を参照のこと
、試験された単一及び多糖グリカンにわたってアルファ及びベータ結合の両方の大部分の
存在を示す)は、概して、ある主なグリコシドの立体化学を好み、任意に、対立する立体
化学の相対的にほんの一部のみ含む、天然に存在するオリゴ糖または多糖の調合剤とは異
なる、
(iii)フィンガープリントNMRプロセスまたはHakomoriらによって開発
されたパーメチル化分岐同定によって特定され得る少なくとも1つ、2つ、3つ、または
4つのグリコシド位置化学の存在。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、少
なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、
8%、9%、または少なくとも10%の、1,2-、1,3-、1,4-、及び1,6-
グリコシド結合タイプのうちの1つ、2つ、3つ、または4つを有する。いくつかの実施
形態では、グリカン治療調合剤は、少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、2
%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または少なくとも10%の、1,2-
、1,3-、1,4-、及び1,6-グリコシド結合タイプのうちの2つを有する。いく
つかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、少なくとも0.1%、0.2%、0.5%
、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または少なくとも10%の
、1,2-、1,3-、1,4-、及び1,6-グリコシド結合タイプのうちの3つを有
する。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、少なくとも0.1%、0.2%
、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または少なくと
も10%の、1,2-、1,3-、1,4-、及び1,6-グリコシド結合タイプのうち
のすべて4つを有する。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、さらに、少な
くとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、または少なくとも5%
の分岐結合タイプを含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、少なくとも
0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%、または少なくとも5%の、1
,3,6-、1,4,6-、または1,2,4-グリコシドが含まれるが、これらに限定
されない、少なくとも1つ、2つ、少なくとも3つの分岐結合タイプを含む。いくつかの
実施形態では、グリカン治療調合剤は、1,3,6-、1,4,6-、または1,2,4
-グリコシドの少なくとも2つの分岐結合タイプを含む。いくつかの実施形態では、グリ
カン治療調合剤は、少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、3%、4%
、または少なくとも5%の、1,3,6-、1,4,6-、または1,2,4-グリコシ
ドのうちの3つの分岐結合タイプを含む。所定の位置Xでヒドロキシル基を有さない糖は
、1,X結合タイプを有さず、例えば、フコース(6-デヒドロキシ-ガラクトース)は
、1,6-グリコシド結合有さないが、1,2-、1,3-、及び1,4-グリコシド結
合を有するであろう。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、フラノース形態
で、少なくとも0.1%、02%、0.5%、1%、2%、または少なくとも3%の単量
体のグリカン単位を含む。いくつかの実施形態のグリカン治療調合剤中の多数のグリコシ
ド位置化学及び分岐の存在(3つの例示的なグリカンについては、
図4を参照のこと)は
、概して、特定の結合構造を好む天然に存在するオリゴ糖または多糖の調合剤とは異なる
。これらの位置化学のすべては、天然源のオリゴ糖で生じることが周知であるが、天然源
のオリゴ糖の調合剤は、いくつかの実施形態のグリカン治療調合剤によって示される位置
化学の数及び複雑性を含まない。
(iv)少なくとも50%、60%、70%、80%、または少なくとも90%の位置
化学及び立体化学の全ての可能な組み合わせを表すグリコシド結合の分布。個々に、位置
化学の分布は、分岐分析によって決定され得、立体化学の分布は、NMRによって決定さ
れ得る。HSQC-NMR。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、位置化学
及び立体化学の両方の乗法的組み合わせと関連するアノマー領域における多様なピークを
示す。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、アルファ-1,2-、アルファ
-1,3-、アルファ-1,4-、及びアルファ-1,6-グリコシドのうちの少なくと
も2つもしくは少なくとも3つ、またはベータ-1,2-、ベータ-1,3-、ベータ-
1,4-、及びベータ-1,6-グリコシドのうちの少なくとも2つもしくは少なくとも
3つを含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、アルファ-1,2-、ア
ルファ-1,3-、アルファ-1,4-、及びアルファ-1,6-グリコシドのうちのす
べて4つ、ならびにベータ-1,2-、ベータ-1,3-、ベータ-1,4-、及びベー
タ-1,6-グリコシドのうちのすべて4つを含む。例として、glu100調合剤のH
SQCは、調合剤が、すべてのアルファ-1,2-、アルファ-1,3-、アルファ-1
,4-、及びアルファ-1,6-グリコシド、ならびにすべてのベータ-1,2-、ベー
タ-1,3-、ベータ-1,4-、及びベータ-1,6-グリコシドを含有することを示
す。所定の位置Xでヒドロキシル基を有さない糖は、1,X結合タイプを有さず、例えば
、フコース(6-デヒドロキシ-ガラクトース)は、1,6-グリコシド結合有さないが
、1,2-、1,3-、及び1,4-グリコシド結合を有するであろう。
(v)HSQCパルスシーケンスの付加性質の結果である固有のHSQC「フィンガー
プリント」。任意の所与のグリカンについては、HSQCスペクトルは、特定の位置化学
及び立体化学の結合配置に固有であるピークの同定を可能にする。例えば、
図5は、これ
らのピークが特定のグリコシドの位置化学及び立体化学を同定するために使用され得るこ
とを示す、glu100調合剤のスペクトルの部分割り当てを示す。グリカン内の成分グ
リカン単位(例えば糖)は、HSQCパルスシーケンスにおけるスピン単離を示し、多糖
からなる任意のグリカンのHSQCスペクトルは、その個々の糖のピークの合計である。
グリカン単位成分(例えばモノマー)は、その成分のグリカン単位(例えば糖)のそれぞ
れについて、表7中に列挙される4、5、6、またはそれ以上のピークを示すHSQCス
ペクトルによって同定され得る。
図3a~cのスペクトルは、glu100、gal10
0、及びglu50gal50の調合剤のスペクトルを比較することによってこれを例証
する。
【0241】
薬学的組成物、メディカルフード、及び単位剤形
本明細書に記載される調合剤の特徴のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、または4
つ以上(上の基準(i)~(v)を含む)を満たすグリカン治療調合剤を含む薬学的組成
物を生成する方法も、本明細書に提供される。具体的には、方法は、グリカン治療調合剤
を提供することと、例えば、i)重合度(DP)、ii)平均分岐度(DB、残基当たり
の分岐点)、iii)アルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率、iv
)グリカン単位の一致、及びv)グリカン単位の比率を含む、調合剤の1つ以上、2つ以
上、または3つ以上の特徴の値(複数を含む)を得ることと、調合剤の所望のまたは既定
の基準が偏差の所望の範囲内で満たされる場合、グリカン治療調合剤を含む薬学的組成物
を生成することと、を含む。
【0242】
グリカン治療調合剤を薬学的組成物、メディカルフード、または栄養補助食品に製剤化
するための方法は、当該技術分野において周知であり、(i)調合剤を薬物生成物に製剤
化するステップと、(ii)調合剤をパッケージ化するステップと、(iii)パッケー
ジ化した調合剤にラベル付けするステップと、ならびに(iv)パッケージ化及びラベル
付けされた調合剤を販売するステップ、または販売に供するステップ、のうちの1つ以上
、2つ以上、3つ以上、または4つ以上を含む。グリカン治療調合剤の薬物生成物への製
剤化は、当該技術分野において周知であり、(i)調合剤から望ましくない構成物質を除
去するステップと、(ii)調合剤の体積を減少させるステップと、(iii)調合剤を
殺菌するステップと、(iv)調合剤を薬学的に許容される賦形剤または担体と混合する
ステップと、(v)調合剤を第2の薬物または薬学的薬剤と混合するステップと、(vi
)調合剤を、例えば、水性希釈溶液、シロップ、または固体等の好適な稠度に製剤化する
ステップと、(vii)調合剤を、好適な剤形、例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤
に製剤化するステップ、のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、または4つ以上を含み
得る。
【0243】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤は、グリカン治療剤シロップまたは粉末
のいずれかを生成するためのさらなる処理を経る。例えば、ある変形例では、グリカン治
療調合剤は、シロップを形成するために、濃縮される。真空蒸発装置の使用等の溶液を濃
縮するための当該技術分野において周知の任意の好適な方法が、使用され得る。別の変形
例では、グリカン治療調合剤は、粉末を形成するために、スプレー乾燥される。溶液をス
プレー乾燥して、粉末を形成するための当該技術分野において周知の任意の好適な方法が
、使用され得る。
【0244】
グリカン治療調合剤を含む、薬学的組成物、メディカルフード、及び栄養補助食品が、
本明細書に提供される。任意に、グリカン治療調合剤を含む薬学的組成物、メディカルフ
ード、及び栄養補助食品は、第2の薬剤、例えば、プレバイオティクス物質及び/または
プロバイオティクス細菌をさらに含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を
含む、薬学的組成物、メディカルフード、及び栄養補助食品は、微量栄養素をさらに含む
。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を含む、薬学的組成物、メディカルフー
ド、及び栄養補助食品は、プロバイオティクス物質を含有しない。いくつかの実施形態で
は、グリカン治療調合剤を含む、薬学的組成物、メディカルフード、及び栄養補助食品は
、プレバイオティクス細菌を含有しない。さらに、任意に、グリカン治療調合剤を含む、
薬学的組成物、メディカルフード、及び栄養補助食品は、希釈剤、結合剤、崩壊剤、分散
剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、界面活性剤、香味剤、及び着色剤を含む、1つ以上の
賦形剤または担体を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物またはメディカルフード及び栄養補助食品は、
glu100、ara100、xyl100、gal100、glu50gal50、g
al75xyl25、ara50gal50、man62glu38、ara50xyl
50、man52glu29gal19、またはglu33gal33fuc33のグリ
カン治療調合剤を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物またはメディカルフード及び栄養補助食品は、
glu100、ara100、xyl100、glu50gal50、man52glu
29gal19、またはglu33gal33fuc33のグリカン治療調合剤を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物またはメディカルフード及び栄養補助食品は、
glu100及びman52glu29gal19のグリカン治療調合剤を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を含む、薬学的組成物、メディカルフー
ド、及び栄養補助食品(及びそれを含むキット)は、1つ以上の微量栄養素を含む。いく
つかの実施形態では、微量栄養素は、微量元素、コリン、ビタミン、及びポリフェノール
からなる群から選択される。
【0249】
いくつかの実施形態では、微量栄養素は、微量金属である。微量栄養素として好適な微
量元素としては、ボロン、コバルト、クロム、カルシウム、銅、フッ化物、ヨウ素、鉄、
マグネシウム、マンガン、モリブデン、セレン、及び亜鉛が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0250】
いくつかの実施形態では、微量栄養素は、ビタミンである。微量栄養素として好適なビ
タミンとしては、ビタミンB複合体、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフ
ラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6
群(ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビ
タミンB8(エルガデニル酸)、ビタミンB9(葉酸)、ビタミンB12(シアノコバラ
ミン)、コリン、ビタミンA(retinol)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタ
ミンD、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンK、カロテノイド(アルファカロチン
、ベータカロチン、クリプトキサンチン、ルテイン、リコピン)、及びゼアキサンチンが
挙げられるが、これらに限定されない。
【0251】
いくつかの実施形態では、微量栄養素は、ポリフェノールである。ポリフェノールは、
1つ以上のヒドロキシル基を有する少なくとも1つの芳香環を有することによって特徴付
けられる化学化合物または分子である。いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、合
成ポリフェノールまたは天然に存在するポリフェノールである。いくつかの実施形態では
、ポリフェノールは、天然に存在するポリフェノールであり、かつ、植物源材料に由来す
る。
【0252】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、フラボノイドまたはカテキンである。い
くつかの実施形態では、フラボノイドまたはカテキンは、アントシアニン、カルコン、ジ
ヒドロカルコン、ジヒドロフラボノール、フラバノール、フラバノン、フラボン、フラボ
ノール、及びイソフラボノイドから選択される。いくつかの実施形態では、ポリフェノー
ルは、リグナンである。
【0253】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、アルキルメトキシフェノール、アルキル
フェノール、クルクミノイド、フラノクマリン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキ
シベンゾケトン、ヒドロキシ桂皮アルデヒド、ヒドロキシクマリン、ヒドロキシフェニル
プロペン、メトキシフェノール、ナフトキノン、フェノールテルペン、及びチロソールか
ら選択される。いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、タンニンまたはタンニン酸
である。
【0254】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシ桂皮酸
、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルプロパン酸、及びヒドロキシフェニルペ
ンタン酸から選択される。いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、スチルベンであ
る。
【0255】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、表5中に列挙されるポリフェノールのう
ちのいずれか1つである。
【0256】
さらに、必要に応じて、グリカン治療調合剤を含む薬学的組成物、メディカルフード、
及び栄養補助食品は、治療効果のある薬剤、プレバイオティクス物質、及び/またはプロ
バイオティクス細菌を含んでもよい。あるいはまたはさらに、治療効果のある薬剤、プレ
バイオティクス物質、及び/またはプロバイオティクス細菌は、別々に(例えば、グリカ
ン治療剤の投与の前、それと同時に、またはその後)、グリカン治療剤の薬学的組成物、
メディカルフード、または栄養補助食品の一部として(例えば、共製剤として)ではなく
、投与されてもよい。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を含む薬学的組成物
、メディカルフード、及び栄養補助食品は、推奨されるまたは規定された食事、例えば、
プロバイオティクス及び/またはプレバイオティクスを含有する食物を多く含む食事と組
み合わせて投与され、そのため、医師またはその他のヘルスケアの専門家によって決定さ
れ得る。治療効果のある薬剤、プレバイオティクス物質、及び/またはプロバイオティク
ス細菌は、対象の腸内のマイクロバイオームを調節するために投与されてもよい。いくつ
かの実施形態では、複合効果(例えば、微生物、ゲノム、または機能的変化の数または強
度における)は、付加的である。他の実施形態では、複合効果(例えば、微生物、ゲノム
、または機能的変化の数または強度における)は、相乗的である。
【0257】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるグリカン治療調合剤を含む、薬学的組
成物、メディカルフード、及び栄養補助食品は、プレバイオティクス物質またはその調合
剤をさらに含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、プレバイオティクスは、本明細書に記載されるグリカン治療
調合剤を含む、薬学的組成物、メディカルフード、または栄養補助食品を受容する対象に
投与され得る。プレバイオティクスは、消費されるときに、消化管内の限られた数の固有
細菌の好ましい増殖または活性を選択的に刺激することによって宿主への有益な生理学的
効果を提供し得る消化されない物質である(Gibson G R,Roberfroi
d M B.Dietary modulation of the human co
lonic microbiota:introducing the concept
of prebiotics.J Nutr.1995 June;125(6):1
401-12.)。食物繊維またはプレバイオティクスオリゴ糖等のプレバイオティクス
(例えば、結晶セルロース、小麦ふすま、オーツブラン、コーンファイバー、大豆繊維、
及びビートファイバー等)は、発酵性用量の炭水化物を細菌に提供することによって腸内
のプロバイオティクス及び/または共生細菌の増殖をさらに促し、胃腸管内のこれらの微
生物集団(例えば、lactobacilli及びbifidobacteria)のレ
ベルを増加させ得る。
【0259】
プレバイオティクスとしては、様々なガラクタン及び炭水化物系ガム、例えば、オオバ
コ、グアー、カラギーン、ジェラン、ラクツロース、及びコンニャク等が挙げられるが、
これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プレバイオティクスは、ガラクトオリ
ゴ糖(GOS)、ラクツロース、ラフィノース、スタキオース、ラクトスクロース、フル
クト-オリゴ糖(FOS、例えば、オリゴフルクトースまたはオリゴフルクタン)、イヌ
リン、イソマルト-オリゴ糖、キシロ-オリゴサッカリド(XOS)、パラチノースオリ
ゴサッカリド、イソマルトースオリゴ糖(IMOS)、トランスガラクトシル化オリゴ糖
(例えば、トランスガラクト-オリゴ糖)、トランスガラクトシル化二糖類、大豆オリゴ
糖(例えば、大豆オリゴ糖)、キトサンオリゴ糖(チオセス)、ゲンチオオリゴ糖、大豆
及びペクチン性オリゴ糖、グルコオリゴ糖、ペプチンオリゴ糖、パラチノース重縮合物、
ジフルクトース無水物III、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、ポリオール
、ポリデキストロース、直鎖及び分岐鎖デキストラン、プルラン(pullalan)、
ヘミセルロース、還元パラチノース、セルロース、ベータ-グルコース、ベータ-ガラク
トース、ベータ-フルクトース、ベルバスコース、ガラクチノール、キシラン、イヌリン
、キトサン、ベータ-グルカン、グアーガム、アラビアゴム、ペクチン、高アルギン酸ナ
トリウム、及びラムダカラゲナン、またはこれらの混合物のうち1つ以上を含む。
【0260】
プレバイオティクスは、ある特定の食物、例えば、チコリの根、キクイモ、タンポポの
葉、ニンニク、リーク、タマネギ、アスパラガス、小麦ふすま、小麦粉、バナナ、牛乳、
ヨーグルト、ソルガム、ゴボウ、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、
コラードの葉、ケール、ラディッシュ、ルタバガ、及び味噌に見出され得る。いくつかの
実施形態では、本明細書に記載されるグリカン治療剤は、プレバイオティクスが豊富であ
る食物を含む食事とともに対象に投与される。可溶性及び不溶性繊維の好適な源は、市販
されている。
【0261】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を含む、薬学的組成物、メディカルフー
ド、及び栄養補助食品は、例えば、一般に安全と認められる物質(GRAS)である細菌
培養物または公知の共生性もしくはプロバイオティクス微生物に由来する、プロバイオテ
ィクス細菌またはその調合剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、内因性共生微生物
または体外から投与されたプロバイオティクス微生物の有益な効果を最大限にするために
、グリカン治療調合剤を含む薬学的組成物、メディカルフード、及び栄養補助食品は、胃
腸管内の有利な細菌の増殖及び/または活性を刺激するために投与される。
【0262】
好適なプロバイオティクスの例としては、Bacteroides、Blautia、
Clostridium、Fusobacterium、Eubacterium、Ru
minococcus、Peptococcus、Peptostreptococcu
s、Akkermansia、Faecalibacterium、Roseburia
、Prevotella、Bifidobacterium、Lactobacillu
s、Bacillus、Enterococcus、Escherichia、Stre
ptococcus、Saccharomyces、Streptomycesの属、及
びChristensenellaceaeファミリーとして分類される生物が挙げられ
るが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法及び組成物に使用され得るプロ
バイオティクス細菌の非排他的な例には、L.acidophilus、Lactoba
cillus species、例えば、L.crispatus、L.casei、L
.rhamnosus、L.reuteri、L.fermentum、L.plant
arum、L.sporogenes、及びL.bulgaricus、ならびにBif
idobacterum species、例えば、B.lactis、B.anima
lis、B.bifidum、B.longum、B.adolescentis、及び
B.infantisが含まれる。Saccharomyces boulardii等
の酵母もまた、例えば、経口剤形または食物を介して消化管への投与のためのプロバイオ
ティクスとして好適である。例えば、ヨーグルトは、Lactobacillus bu
lgaricus及びStreptococcus thermophilus等の細菌
種をすでに含んでいる製品である。
【0263】
胃腸の微生物叢の調節に有益な細菌は、例えば、過酸化水素(H2O2)及びバクテリ
オシン等の、有機酸(乳酸及び酢酸)を生成するまたは細胞毒性もしくは細胞増殖抑制剤
を生成する(病原体の増殖を阻害するために)細菌を含み得る。バクテリオシンは、近縁
関係にある細菌を死滅させることができるか、より広域の活性を呈することができる(例
えば、ナイシン)、低分子の抗菌ペプチドである。
【0264】
有益な細菌は、Akkermansia、Anaerofilum、Bacteroi
des、Blautia、Bifidobacterium、Butyrivibrio
、Clostridium、Coprococcus、Dialister、Dorea
、Fusobacterium、Eubacterium、Faecalibacter
ium、Lachnospira、Lactobacillus、Phascolarc
tobacterium、Peptococcus、Peptostreptococc
us、Prevotella、Roseburia、Ruminococcus、及びS
treptococcus属のうちの1つ以上、ならびに/またはAkkermansi
a municiphilia、minuta、Clostridium coccoi
des、Clostridium leptum、Clostridium scind
ens、Dialister invisus、Eubacterium rectal
、Eubacterium eligens、Faecalibacterium pr
ausnitzii、Streptococcus salivarius、及びStr
eptococcus thermophiles種のうちの1つ以上を含み得る。いく
つかの実施形態では、プロバイオティクスまたは共生細菌には、表1中に列挙される細菌
のうちの1つ以上を含む。
【0265】
本組成物またはキットを生成するために本明細書に記載されるグリカン治療剤と組み合
わせられ得るプレバイオティクス物質及びプロバイオティクス菌株は、標準的な方法によ
って任意の純度レベルで単離され得、精製は、当業者に公知の従来の手段、例えば、蒸留
、再結晶、及びクロマトグラフィーによって達成することができる。本組成物に使用され
る栽培された細菌は、遠心分離、濾過、またはデカンテーションが含まれるが、これらに
限定されない、任意の方法によって、培養ブロスから分離される。発酵ブロスから分離さ
れた細胞は、任意に、水、生理食塩水(0.9% NaCl)によって、または任意の好
適な緩衝液を用いて洗浄される。得られた湿式細胞塊は、任意の好適な方法、例えば、凍
結乾燥によって乾燥され得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、プロバイオティクス細菌は、凍結乾燥した栄養細胞である。
いくつかの実施形態では、胞子形成プロバイオティクス細菌からの胞子の調合剤が使用さ
れる。
【0267】
一実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物は、プレバイオティクス及びプロバイオ
ティクスをさらに含む。一実施形態では、薬学的組成物は、生存率が部分的に弱毒化した
プロバイオティクス(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、またはそれ以
上の非生存細菌を含む混合物)、または単に非生存微生物からなるプロバイオティクスを
含む。本組成物は、死滅した微生物から単離され、精製されている、微生物膜及び/また
は細胞壁をさらに含み得る。必要に応じて、プロバイオティクス生物は、プロバイオティ
クスが生存可能である、水もしくはその他の液体中の培養液または半固体培地として薬学
的グリカン治療剤組成物に組み込まれ得る。別の技法では、プロバイオティクス生物を含
む凍結乾燥粉末が、混合または混成することによって粒子材料または液体または半固体材
料に組み込まれ得る。
【0268】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を含む、薬学的組成物、メディカルフー
ド、及び栄養補助食品は、第2の治療剤またはその調合剤をさらに含む。いくつかの実施
形態では、治療剤は、抗生剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、または抗炎症剤(例えば、サイト
カイン、ホルモン等)である。抗生剤には、アミノグリコシド、例えば、アミカシン、ゲ
ンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、及びトブラマイシン
;セファロスポリン、例えば、セファマンドール、セファゾリン、セファレキシン、セフ
ァログリシン、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、及びセフラジン;マクロ
ライド、例えば、エリスロマイシン及びトロレアンドマイシン;ペニシリン、例えば、ペ
ニシリンG、アモキシシリン、アンピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロ
キサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、フェネチシリン、及びチカルシリ
ン;ポリペプチド抗生物質、例えば、バシトラシン、コリスチメタート、コリスチン、ポ
リミキシンB;テトラサイクリン、例えば、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリ
ン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、及びオキ
シテトラサイクリン;ならびに雑多な抗生物質、例えば、クロラムフェニコール、クリン
ダマイシン、シクロセリン、リンコマイシン、リファンピン、スペクチノマイシン、バン
コマイシン、バイオマイシン、及びメトロニダゾールが含まれる。
【0269】
本明細書に記載されるグリカン治療調合剤、他の治療効果のある薬剤、プレバイオティ
クス物質、微量栄養素、及びプロバイオティクスは、単一の薬学的組成物、メディカルフ
ード、または栄養補助食品に混じり合うか、または混合され得る。他の実施形態では、そ
れらは、別々の容器内に(及び/または様々な好適な単位剤形で)含有され得るが、1つ
以上のキットに一緒にパッケージ化され得る。いくつかの実施形態では、調合剤または組
成物は、一緒にパッケージ化されることも、置かれることもない。次いで、医師は、例え
ば、互いの前、それと同時に、またはその後に、調合剤または組成物を一緒に投与し得る
。いくつかの実施形態では、調合剤または組成物は、対象において、例えば、胃腸管内の
微生物叢を調節する際に相乗的に作用する。
【0270】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、w/w、w/v、v/v、またはモル%で
、0.1%~100%のグリカン治療調合剤を含む。別の実施形態では、薬学的組成物は
、w/w、w/v、v/v、またはモル%で、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、
7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%
、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%
、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%
、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%
、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%
、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%
、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%
、78%、79% 80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%
、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%
、98%、99%、99.5%、または100%のグリカン治療調合剤を含む。一実施形
態では、薬学的組成物は、w/w、w/v、v/v、またはモル%で、約1~90%、約
10~90%、約20~90%、約30~90%、約40~90%、約40~80%、約
40~70%、約40~60%、約40~50%、約50~90%、約50~80%、約
50~70%、約50~60%、約60~90%、約60~80%、約60~70%、約
70~90%、約70~80%、約70~90%、約70~80%、約80~90%、約
90~96%、約93~96%、約93~95%、約94~98%、約93~99%、ま
たは約90~100%のグリカン治療調合剤を含む。
【0271】
グリカン治療調合剤を含む薬学的組成物は、任意に、1つ以上の賦形剤または担体を含
み得る。薬学的組成物は、w/w、w/v、v/v、またはモル%で、約1%~約90%
の1つ以上の賦形剤または担体を含み得る。例えば、薬学的組成物は、w/w、w/v、
v/v、またはモル%で、約1~90%、1~75%、1~60%、1~55%、1~5
0%、1~45%、1~40%、1~25%、1~15%、1~10%、10~90%、
10~75%、10~60%、10~55%、10~50%、10~45%、10~40
%、10~25%、10~15%、15~90%、15~75%、15~60%、15~
55%、15~50%、15~45%、15~40%、15~25%、25~90%、2
5~75%、25~60%、25~55%、25~50%、25~45%、25~40%
、40~90%、40~75%、40~60%、40~55%、40~50%、40~4
5%、45~90%、45~75%、45~60%、45~55%、45~50%、50
~90%、50~75%、50~60%、50~55%、55~90%、55~75%、
55~60%、60~90%、60~75%、75~90%の1つ以上の賦形剤または担
体を含み得る。
【0272】
メディカルフード
メディカルフードとして製剤化されるグリカン治療剤の調合剤もまた、本明細書に提供
される。本明細書に記載される任意のグリカン治療調合剤は、グリカン治療調合剤を含む
メディカルフード及び薬学的組成物として製剤化され得る。
【0273】
メディカルフードは、オーファンドラッグ法(21 U.S.C.360ee(b)(
3))の項5(b)(3)において定義されている。メディカルフードは、例えば、医師
による医学的管理の下で、消費される(経口摂取)または腸内に投与される(例えば、栄
養/経鼻胃チューブ)ために製剤化される。それは、疾患または状態、例えば、胃腸の微
生物叢の腸内毒素症または本明細書に記載される胃腸管の疾患の特定の食餌の管理を対象
としている。メディカルフードは、本明細書に使用される場合、症状を管理するか、また
は疾患もしくは状態のリスクを軽減するために、食習慣全体の一部として医師によって単
に推奨される食物を含まない。グリカン治療剤の調合剤を含むメディカルフードは、合成
される食物(例えば、経口摂取またはチューブによる経腸栄養によって患者の部分的また
は専用の栄養のために製剤化されるような、製剤化された及び/または加工製品)であり
、天然状態で使用される天然に存在しない食材である。グリカン治療剤の調合剤を含むメ
ディカルフードは、胃腸管の疾患または状態の管理の主成分を表し得、例えば、メディカ
ルフードは、メディカルフードを必要とする対象のための食物の部分的または専門の源を
表し得る。いくつかの実施形態では、対象は、通常の食材またはある特定の栄養物を取り
込む、消化する、吸収する、または代謝する容量が限られている、または低下している。
他の実施形態では、対象は、他の特別な医学的に決定された栄養要求量を有し、その食事
管理は、正常食のみの修正によって達成することができない。グリカン治療剤の調合剤を
含むメディカルフードは、(活性であり、継続され得る)医学的管理の下で、それを必要
とする対象に投与され、通常、対象は、メディカルフードの使用において取り扱い説明を
受ける。メディカルフードは、1つ以上の食品添加物、着色添加物、GRAS賦形剤、な
らびにメディカルフードに適している他の薬剤または物質を含み得る。メディカルフード
調合剤は、栄養的に完成または未完成な調合であり得る。
【0274】
栄養補助食品
本明細書に記載される任意のグリカン治療調合剤は、例えば、本明細書に記載される方
法で用いるための栄養補助食品として製剤化され得る。
【0275】
栄養補助食品は、1994年の栄養補助食品健康教育法(DSHEA)の下で調節され
る。栄養補助食品は、食事を補助することを目的としている「食事成分」を含む口で摂取
される製品である。これらの製品における「食事成分」は、本明細書に記載されるグリカ
ン治療調合剤に加えて、ビタミン、ミネラル、ハーブ、または他の植物、アミノ酸、なら
びに酵素、臓器組織、腺、及び代謝産物等の物質のうちの1つ以上を含み得る。栄養補助
食品はまた、抽出物または濃縮物でもあり得、錠剤、カプセル、ソフトゲル、ジェルキャ
ップ、液体、または粉末等の多くの形態で見出され得る。それらはまた、バー等の他の形
態でもあり得るが、もしそうであるならば、そのラベルは一般に、製品を従来の食品また
は食事もしくは日常食の単一品目としては表示しないであろう。DSHEAは、すべての
補助食品は、一般食としてではなく、栄養補助食品であることを表示することを必要とす
る。
【0276】
剤形
本明細書に記載されるグリカン治療調合剤は、例えば、経口または腸内投与のための任
意の好適な剤形に製剤化され得る。本明細書に記載される剤形は、当業者に公知のプロセ
スを用いて製造され得る。
【0277】
剤形は、例えば、液体(洗浄/すすぎ)、ゲル、クリーム、軟膏、粉末、錠剤、カプセ
ル、保管所、使い捨てアプリケーター、または医療デバイス(例えば、シリンジ)の形態
で、薬学的グリカン治療剤組成物を入れるあらゆる個々の容器等のパケットであり得る。
例えば、薬学的グリカン治療剤組成物の単位剤形、及びかかるグリカン治療剤の使用のた
めの取扱説明書を含むラベルを含む容器等の製造品も提供される。
【0278】
経口的に用いることができる本組成物の形態には、錠剤、ゼラチンで作製された押込嵌
めカプセル、さらにはゼラチン、及びグリセロールまたはソルビトール等の可塑剤で作製
された密閉軟質カプセルが含まれる。錠剤は、任意に、1つ以上の補助成分とともに、圧
縮または成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、任意に、結合剤(例えば、ポ
ビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、不活性希釈剤、保存剤、酸
化防止剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カル
ボキシメチルセルロースナトリウム)、または潤滑剤、表面活性剤、もしくは分散剤と混
合した、粉末または顆粒等の自由流動性形態にある有効成分を、好適な機械の中で圧縮す
ることによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化
合物の混合物を、好適な機械の中で成形することによって作製することができる。錠剤は
、任意に、コーティングするか刻み目を入れることができ、その中の有効成分の緩徐放出
または制御放出を提供するように製剤化することができる。胃以外の腸管の部分(例えば
、結腸、下部腸管)における放出を提供するように、錠剤は、任意に、腸溶コーティング
を施すこともできる。経口投与のための製剤はすべて、そのような投与に適した投与量で
あり得る。押込嵌めカプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/ま
たはタルクもしくはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、ならびに任意に、安定剤と混
和して有効成分を含み得る。軟質カプセルでは、活性化合物及び/または他の薬剤(例え
ば、プレバイオティクスまたはプロバイオティクス)を、脂肪油、流動パラフィン、また
は液体ポリエチレングリコール等の好適な液体中に溶解させるかまたは懸濁させることが
できる。加えて、安定剤を添加することもできる。糖衣錠のコアには好適なコーティング
が提供される。この目的には、濃縮糖溶液を用いることができ、それは、任意に、アラビ
アゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、
または二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒または溶媒混合物を含むことが
できる。同定のため、または活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、
錠剤または糖衣錠コーティングに、染料または色素を添加することができる。
【0279】
経口使用のための製剤はまた、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム
、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセルとして、
または有効成分がポリエチレングリコール等の水溶性担体、または油性媒体、例えば、落
花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油等と混合されている軟質ゼラチンカプセル
として提示することもできる。
【0280】
一実施形態では、提供されるグリカン治療剤組成物は、ソフトゲル製剤を含む。ソフト
ゲルは、充填液体を取り囲む、ゼラチンを基材とする外皮を含み得る。外皮は、ゼラチン
、可塑剤(例えば、グリセリン及び/またはソルビトール)、改質剤、水、色素、酸化防
止剤、または香味料から作製することができる。外皮は、デンプンまたはカラゲナンで作
製することができる。外層は、腸溶コーティングされ得る。一実施形態では、ソフトゲル
製剤は、ゼラチンの層で覆われた、組成物の、水溶性もしくは油溶性の充填溶液、または
懸濁液を含み得る。
【0281】
経口使用のための固体製剤は、グリカン治療剤組成物が消化器系の中で吸収される場所
を制御し得る腸溶コーティングを含み得る。例えば、腸溶コーティングは、グリカン治療
剤組成物が胃の中では溶解しないが、むしろ、小腸に移行して、そこで溶解するように設
計することができる。腸溶コーティングは、低pH(胃内等)では安定であり得、より高
いpH(例えば、小腸内)では溶解することができる。腸溶コーティングに用いることが
できる材料には、例えば、アルギン酸、酢酸フタル酸セルロース、プラスチック、蝋、セ
ラック、及び脂肪酸(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸)が含まれる。
【0282】
経口使用のための製剤はまた、液体剤形で提示され得る。液体調合剤は、例えば、水性
または油性懸濁液、溶液、乳剤シロップ、またはエリキシルの形態であり得るか、または
使用前に水もしくは他の好適なビヒクルで再構成するための乾燥製品として提示すること
もできる。かかる液体調合剤は、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、
グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、ステアリン酸アルミニウムゲル、または水素化食用脂、乳化剤、例えば、レシチン
、ソルビタンモノオレエート、アラビアゴム;非水性媒体(食用油が含まれ得る)、例え
ば、アーモンド油、油性エステル、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、または
エチルアルコール;保存料、例えば、メチルもしくはプロピルp-ヒドロキシ安息香酸ま
たはソルビン酸、及び必要に応じて、従来の香味剤または着色料といった、従来の添加物
を含有し得る。いくつかの実施形態では、液体製剤は、例えば、水溶液及び/または懸濁
液形態の薬剤;ならびに、香味料を含むか含まない、ポリエトキシ化ヒマシ油、アルコー
ル、及び/またはポリオキシエチル化ソルビタンモノオレエートを含むビヒクルを含み得
る。各剤形は、有効量のグリカン治療剤を含み、かつ任意に、薬学的不活性物質、例えば
、従来の賦形剤、ビヒクル、充填剤、結合剤、崩壊剤、pH調整物質、緩衝剤、溶媒、溶
解補助剤、甘味料、着色料、及び投与用の薬学的剤形の中に含めることができる他の任意
の不活性薬剤等を含み得る。かかるビヒクル及び添加剤の例は、Remington’s
Pharmaceutical Sciences,17th edition(19
85)に見い出すことができる。
【0283】
本明細書に提供される薬学的組成物は、単位剤形または複数の剤形であり得る。単位剤
形は、本明細書に使用される場合、それを必要とするヒトへの投与に好適な物理的に別々
の単位を指す。一実施形態では、単位剤形は、パッケージ内に提供される。各単位用量は
、所望の治療効果を生じさせるのに十分な所定の数量の有効成分(複数を含む)を、他の
薬学的担体または賦形剤とともに含み得る。単位剤形の例としては、アンプル、シリンジ
、及び個別にパッケージ化された錠剤及びカプセルが挙げられるが、これらに限定されな
い。単位剤形は、その一部を、またはその複数を投与することができる。複数回投与剤形
は、単一の容器内に同一の単位投与剤形が複数個パッケージ化されたものであり、区分さ
れた単位剤形として投与することができる。複数回投与剤形の例としては、バイアル、錠
剤もしくはカプセルの瓶、または数パイントもしくは数ガロンの瓶が挙げられるが、これ
らに限定されない。別の実施形態では、複数回投与剤形は、異なる薬学的活性薬剤を含む
。例えば、グリカン治療剤を含む組成物を含む第1の投与エレメント、ならびにプレバイ
オティクス、治療剤、及び/またはプロバイオティクスを含む第2の投与エレメントを含
む、複数回投与剤形が提供され得、それは、修正された放出形態であり得る。この例では
、一対の投与エレメントが、単一の単位投与量を構成し得る。一実施形態では、各単位が
、グリカン治療剤を含む組成物を含む第1の投与エレメント、ならびにプロバイオティク
ス、薬学的薬剤、プレバイオティクス、またはこれらの組み合わせを含む第2の投与エレ
メントを含む、複数の単位投与量を含むキットが提供され、それは、修正された放出形態
であり得る。別の実施形態では、キットは、一組の取扱説明書をさらに含む。
【0284】
いくつかの実施形態では、単位剤形は、約0.001mg~約10gのグリカン治療剤
(例えば、本明細書に開示されるグリカン治療剤)を含む。例えば、単位剤形は、約0.
001mg~約9.5g、約0.005mg~約9g、約0.01mg~約8.5g、約
0.05mg~約8g、約0.075mg~約7.5g、約0.1mg~約7g、約0.
25mg~約6.5g、約0.5mg~約6g、約0.75mg~約5.5g、約1mg
~約5g、約2.5mg~約4.5g、約5mg~約4g、約7.5mg~約3.5g、
約10mg~約3g、約12.5mg~約2.5g、約15mg~約2g、約17.5m
g~約1.5g、約20mg~約1g、約25mg~約750mg、約50mg~約50
0g、または約75mg~約250mgのグリカン治療剤を含んでもよい。
【0285】
ある特定の実施形態では、単位剤形は、約0.001mg~約100mg、約0.00
5mg~約75mg、約0.01mg~約50mg、約0.05mg~約25mg、約0
.1mg~約10mg、約0.5mg~約7.5mg、または約1mg~約5mgのグリ
カン治療剤を含む。他の実施形態では、単位剤形は、約1mg~約100mg、約2.5
mg~約75mg、約5mg~約50mg、または約10mg~約25mgのグリカン治
療剤を含む。他の実施形態では、単位剤形は、約100mg~約10g、約250mg~
約7.5g、約500mg~約5g、約750mg~約2.5g、または約1g~約2g
のグリカン治療剤を含む。
【0286】
他の実施形態では、単位剤形は、約0.001mL~約1000mLのグリカン治療剤
(例えば、本明細書に開示されるグリカン治療剤)を含む。例えば、単位剤形は、約0.
001mL~約950mL、約0.005mL~約900mL、約0.01mL~約85
0mL、約0.05mL~約800mL、約0.075mL~約750mL、約0.1m
L~約700mL、約0.25mL~約650mL、約0.5mL~約600mL、約0
.75mL~約550mL、約1mL~約500mL、約2.5mL~約450mL、約
5mL~約400mL、約7.5mL~約350mL、約10mL~約300mL、約1
2.5mL~約250mL、約15mL~約200mL、約17.5mL~約150mL
、約20mL~約100mL、または約25mL~約75mLのグリカン治療剤を含む。
【0287】
ある特定の実施形態では、単位剤形は、約0.001mL~約10mL、約0.005
mL~約7.5mL、約0.01mL~約5mL、約0.05mL~約2.5mL、約0
.1mL~約1mL、約0.25mL~約1mL、または約0.5mL~約1mLのグリ
カン治療剤を含む。他の実施形態では、単位剤形は、約0.01mL~約10mL、約0
.025mL~約7.5mL、約0.05mL~約5mL、または約0.1mL~約2.
5mLのグリカン治療剤を含む。他の実施形態では、単位剤形は、約0.1mL~約10
mL、約0.25mL~約7.5mL、約0.5mL~約5mL、約0.5mL~約2.
5mL、または約0.5mL~約1mLのグリカン治療剤を含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、単位剤形、例えば、錠剤、カプセル剤(例えば、硬カプセル
剤、押し込み型カプセル剤、もしくは軟カプセル剤)、またはソフトゲルは、約0.1イ
ンチ~約1.5インチ(例えば、約0.5インチ及び約1インチ)、または約5mm~約
50mm(例えば、約10mm~約25mm)の体長を有する。いくつかの実施形態では
、単位剤形例えば、錠剤、カプセル剤(例えば、硬カプセル剤、押し込み型カプセル剤、
もしくは軟カプセル剤)、またはソフトゲルは、約0.05インチ~約1インチ(例えば
、約0.1インチ~約0.5インチ)、または約1mm~約25mm(例えば、約5mm
~約10mm)の外径を有する。
【0289】
グリカン治療剤の各単位剤形は、約0.01kcal~約1000kcalのカロリー
値を有し得る。例えば、単位剤形は、約0.01kcal~約900kcal、約0.0
5kcal~約800kcal、約0.1kcal~約700kcal、約0.25kc
al~約600kcal、約0.5kcal~約500kcal、約0.75kcal~
約400kcal、約1kcal~300kcal、約5kcal~約200kcal、
または約10kcal~約100kcalのカロリー値を有し得る。ある特定の実施形態
では、グリカン治療剤の単位剤形は、10kcal~約500kcalのカロリー値を有
する。他の実施形態では、グリカン治療剤の単位剤形は、50kcal~約500kca
lのカロリー値を有する。
【0290】
さらに他の実施形態では、単位剤形は、約0.001kcal~約100kcal、約
0.005kcal~約90kcal、約0.01kcal~約80kcal、約0.0
25kcal~約70kcal、約0.05kcal~約60kcal、約0.075k
cal~約50kcal、約0.1kcal~40kcal、約0.25kcal~約3
0kcal、約0.5kcal~約25kcal、約0.25kcal~約20kcal
、または約0.1kcal~約10kcalのカロリー値を有し得る。
【0291】
グリカン治療剤の単位剤形は、水溶液(例えば、水、牛乳、ジュース等)中に溶解する
ように製剤化され得、飲料、シロップ、溶液、または懸濁液として経口投与される。例え
ば、グリカン治療剤の単位形態用量は、経口投与前に、水溶液に溶解するために製剤化さ
れたキューブ、パケット、トローチ剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、キャンディー、粉末、
エリキシル剤、または濃縮シロップを含み得る。他の実施形態では、グリカン治療剤の単
位剤形は、経口投与の際に、インビボで、例えば、対象の口、胃、腸、または結腸内に溶
解するために製剤化されたキューブ、パケット、トローチ剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、
キャンディー、粉末、エリキシル剤、または濃縮シロップを含み得る。
【0292】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤組成物は、腸内に投与される。これは、優先
的に、経口投与、または口腔もしくは鼻腔チューブによるものを含む(経鼻胃、経鼻空腸
、経口胃、または経口空腸を含む)。他の実施形態では、投与は、直腸投与を含む(浣腸
、坐薬、または結腸内視術を含む)。
【0293】
本明細書に記載される剤形は、当業者に公知のプロセスを用いて製造することができる
。例えば、錠剤の製造のためには、例えば、高剪断造粒、低剪断造粒、流動層造粒を用い
るか、または直接圧縮のために配合することにより、有効量のプレバイオティクスを、1
つ以上の賦形剤または添加剤の中に均等に分散させることができる。賦形剤及び添加剤に
は、希釈剤、結合剤、崩壊剤、分散剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、界面活性剤、抗粘
着剤、吸着剤、甘味料、及び着色剤、またはこれらの組み合わせが含まれる。充填剤とも
称される希釈剤は、圧縮のための実用的サイズが得られるように、錠剤の嵩を増やすため
に用いることができる。希釈剤の非限定的な例には、ラクトース、セルロース、微結晶性
セルロース、マンニトール、乾燥デンプン、加水分解デンプン、粉砂糖、タルク、塩化ナ
トリウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、リン酸二カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、
炭酸カルシウム、アルミナ、及びカオリンが含まれる。結合剤は、錠剤製剤に凝集性を付
与することができ、圧縮後に錠剤が無傷のまま保たれるようにする一助として用いること
ができる。好適な結合剤の非限定的な例には、デンプン(トウモロコシデンプン及びアル
ファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖(例えば、グルコース、デキストロース、スクロ
ース、ラクトース、及びソルビトール)、セルロース、ポリエチレングリコール、アルギ
ン酸、デキストリン、カゼイン、メチルセルロース、蝋、天然及び合成ゴム、例えば、ト
ラガカントゴム、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、キサンタンゴム、ならびにポリ
メタクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリビニル
ピロリドン等の合成ポリマーが含まれる。滑沢剤もまた、錠剤の製造を容易にすることが
でき;その非限定的な例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びポリエチレングリコールが含まれる。崩壊剤は、
投与後の錠剤の崩壊を助長することができ、その非限定的な例には、デンプン、アルギン
酸、例えば架橋ポリビニルピロリドン等の架橋ポリマー、クロスカルメロースナトリウム
、グリコール酸デンプンカリウムまたはグリコール酸デンプンナトリウム、クレイ、セル
ロース(例えば、カルボキシメチルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース(
CMC)、CMC-Na、CMC-Ca))、デンプン、ゴム等が含まれる。好適な流動
促進剤の非限定的な例には、二酸化ケイ素、タルク等が含まれる。安定剤は、酸化反応を
含む、薬物分解反応を阻害するまたは遅延させることができる。界面活性剤も含めること
ができ、陰イオン性、陽イオン性、両性、または非イオン性であり得る。例示的な甘味料
には、ステビア抽出物、アスパルテーム、スクロース、アリテーム、サッカリン等が含ま
れ得る。必要に応じて、錠剤は、pH緩衝剤、保存料、例えば、酸化防止剤、湿潤剤、ま
たは乳化剤、可溶化剤、コーティング剤、香味剤(例えば、ミント、チェリー、アニス、
モモ、アプリコット、甘草、ラズベリー、バニラ)等の非毒性補助物質も含み得る。さら
なる賦形剤及び添加剤には、酢酸アルミニウム、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、
ブチル化ヒドロキシトルエン、カルシウム二ナトリウムEDTA、リン酸水素カルシウム
二水和物、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、カンデリラ蝋、カル
ナウバ蝋、水素化ヒマシ油、塩化セチルピリジン、クエン酸、コロイド状二酸化ケイ素、
コポリビドン、トウモロコシデンプン、システインHCl、ジメチコン、リン酸水素二ナ
トリウム、エリトロシンナトリウム、エチルセルロース、ゼラチン、グリセリン、モノオ
レイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、グリシン、HPMCフタレート(p
thalate)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロ
ース、ヒプロメロース、赤色酸化鉄もしくは酸化第二鉄、黄色酸化鉄、酸化鉄もしくは酸
化第二鉄、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、メチオニ
ン、メタクリル酸コポリマー、メチルパラベン、ケイ化微結晶セルロース、鉱油、リン酸
、普通リン酸カルシウム、無水リン酸カルシウム、ポラキサマー407、ポラキサマー1
88、普通ポラキサマー、ポリエチレンオキシド、ポリオキシ140ステアレート、ポリ
ソルベート80、炭酸水素カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ジャガイモデンプン、ポビ
ドン、プロピレングリコール、プロピレンパラベン、プロピルパラベン、レチニルパルミ
テート、サッカリンナトリウム、セレン、シリカ、シリカゲル、ヒュームドシリカ、安息
香酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、クロスメロースナトリ
ウム、ラウリン硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ナ
トリウムデンプン、グリコール酸ナトリウムデンプン、ステアリルフマル酸ナトリウム、
ソルビン酸、ソルビトール、モノオレイン酸ソルビタン、アルファ化デンプン、コハク酸
、トリアセチン、クエン酸トリエチル、植物ステアリン、ビタミンA、ビタミンE、ビタ
ミンC、またはこれらの組み合わせが含まれ得る。これらの賦形剤及び添加剤の量は、他
の構成成分との関係、及び調合及び生成方法の特性に基づいて適切に選択され得る。
【0294】
有効量のグリカン治療剤組成物の即時放出製剤は、薬学的活性剤の迅速放出(投与後1
分~1時間等)を可能にする賦形剤の1つ以上の組み合わせを含み得る。制御放出製剤(
持続放出(SR)、長時間放出(ER、XR、またはXL)、逐次継続放出(time-
release)もしくは時限放出(timed-release)、制御放出(CR)
、または継続放出とも称される)とは、剤形が対象に投与された後の特定の所望の時点で
の、剤形からのグリカン治療剤組成物の放出のことを指す。
【0295】
一実施形態では、制御放出剤形はその放出を開始し、その放出を長期間にわたって続け
る。放出は、ほぼ即時的に開始し得るか、または持続的であり得る。放出は、一定であり
得、経時的に増加または減少し得、パルス状であり得、継続的もしくは間欠的等であり得
る。一実施形態では、制御放出剤形は、薬剤が長期間にわたって所望のプロファイルに従
って放出される、組成物または剤形からの薬物の放出を指す。一態様では、制御放出は、
放出がある期間の後に起こる所望のプロファイルに従って薬剤が放出される、組成物また
は剤形からの薬物の遅延放出を指す。
【0296】
本明細書に提供される化合物の投与に好適な薬学的担体またはビヒクルは、特定の投与
モードに好適である当業者に周知であるようなすべての担体を含む。さらに、本組成物は
、所望の作用を損なわない1つ以上の構成成分、または所望の作用を補うかもしくは別の
作用を有する構成成分も含むことができる。
【0297】
さらなる態様では、剤形は、発泡性剤形であり得る。発泡性とは、剤形が水及び唾液を
含む液体と混合された場合に、気体を発生させることを意味する。ある種の発泡性薬剤(
または発泡性カップル)は、発泡性崩壊剤の水または口腔内の唾液との曝露に際して起こ
る化学反応によって気体を発生させる。この反応は、可溶性酸性源と一炭酸アルカリまた
は炭酸アルカリの源との反応の結果であり得る。これらの2つの一般的化合物の反応によ
り、水または唾液との接触に際して二酸化炭素ガスが生じる。時期尚早な反応を防ぐため
に、発泡性カップルを(または個々の酸及び塩基を別々に)、溶媒防護コーティングまた
は腸溶コーティングでコーティングすることができる。また、そのようなカップルを、事
前に凍結乾燥させた粒子(グリカン治療剤等)と混合することもできる。酸性源は、ヒト
が消費するのに安全な任意のものであり得、それには一般に、食物酸、酸、及びハイドラ
イト酸中和物(hydrite antacid)、例えば、クエン酸、酒石酸、アマリ
ン酸、フマル酸、アジピン酸、及びコハク酸のものが含まれ得る。炭酸源には、乾燥固体
の炭酸塩及び重炭酸塩、例えば、好ましくは、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭
酸カリウム、炭酸カリウム、及び炭酸マグネシウム等が含まれる。酸素または他の気体を
発生させる、ヒトが消費するのに安全な反応物も含まれる。一実施形態では、クエン酸及
び重炭酸ナトリウムを用いる。
【0298】
別の態様では、剤形は、ロリーポップまたはロゼンジ等のキャンディー形態(例えば、
基材)であり得る。一実施形態では、グリカン治療剤の有効量をキャンディー基材中に分
散させる。一実施形態では、キャンディー基材は、1種以上の糖(デキストロースまたは
スクロース等)を含む。別の実施形態では、キャンディー基材は糖を含まない基材である
。特定のキャンディー基材の選択には幅広いバリエーションがある。従来の甘味料(例え
ば、スクロース)、糖尿病患者の使用に適する糖アルコール(例えば、ソルビトールもし
くはマンニトール)、または他の甘味料(例えば、本明細書に記載される甘味料)は、使
用され得る。キャンディー基材は、非常に軟質で迅速に溶解するものでもよく、または硬
質でより緩徐に溶解するものであり得る。様々な形態は、異なる状況での利点を有するで
あろう。
【0299】
有効量のグリカン治療剤を含むキャンディー塊(candy mass)組成物は、そ
れを必要とする対象に対して経口投与し、キャンディー塊が溶解するにつれて有効量のグ
リカン治療剤が対象の口腔内に放出されて飲み込まれるようにすることができる。それを
必要とする対象には、成人または小児が含まれる。
【0300】
本明細書に記載される剤形はまた、高圧均質化、湿式もしくは乾式ボールミル粉砕、ま
たは小粒子沈殿(例えば、nGimatのナノスプレー)が挙げられるが、これらに限定
されない、様々な方法によって製造される薬学的粒子の形態をとることもできる。好適な
粉末製剤を作製するのに有用な他の方法は、有効成分及び賦形剤の溶液を調製し、その後
に沈殿、濾過、及び微粉化を行うこと、またはその後に凍結乾燥による溶液の除去を行い
、その後に粉末を所望の粒径に微粉化することである。一実施形態では、薬学的粒子は、
3~1000ミクロン、例えば、最大で3、4、5、6、7、8、9、10、20、30
、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、3
50、400、450、500、550、600、650、700、750、800、8
50、900、950、1000ミクロンの最終サイズを有する。別の実施形態では、薬
学的粒子は、10~500ミクロンの最終サイズを有する。別の実施形態では、薬学的粒
子は、50~600ミクロンの最終サイズを有する。別の実施形態では、薬学的粒子は、
100~800ミクロンの最終サイズを有する。
【0301】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される単位剤形を作製する方法を提供し、本
方法は、グリカン治療剤(例えば、本明細書に記載されるグリカン治療剤)を提供するこ
とと、グリカン治療剤を単位剤形(例えば、本明細書に記載される単位剤形)に製剤化す
ることと、単位剤形をパッケージ化すること、パッケージ化した単位剤形にラベル付けす
ること、及び/あるいはパッケージ化及びラベル付けされた単位剤形を販売するか、また
は販売に供すること、を含む。
【0302】
本明細書に記載される単位剤形もまた、処理され得る。一実施形態では、この処理は、
剤形を薬学的組成物に処理すること、例えば、第2の構成成分、例えば、賦形剤または緩
衝液で製剤化し、混合すること;より少量もしくは多量のアリコートを分割すること;容
器、例えば、気密性または液密性容器に廃棄すること;パッケージ化すること;ラベルを
一体化させること;異なる場所に出荷または移動すること、のうちの1つ以上を含む。一
実施形態では、この処理は、分類すること、選択すること、許容もしくは廃棄すること、
放出もしくは保留すること、薬学的組成物に処理すること、異なる場所に出荷もしくは移
動すること、製剤化すること、ラベル付けすること、パッケージ化すること、商取引に放
出すること、または販売もしくは販売に供すること、所定の閾値を満たすかどうかに応じ
て異なること、のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、処理した剤形は、本
明細書に記載されるグリカン治療剤を含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、この処理は、剤形を薬学的組成物に処理すること、例えば、
第2の構成成分、例えば、賦形剤または緩衝液で製剤化し、混合すること;より少量もし
くは多量のアリコートを分割すること;容器、例えば、気密性または液密性容器に廃棄す
ること;パッケージ化すること;ラベルを一体化させること;異なる場所に出荷または移
動すること、のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、この処理は、分類すること、選
択すること、許容もしくは廃棄すること、放出もしくは保留すること、薬学的組成物に処
理すること、異なる場所に出荷もしくは移動すること、製剤化すること、ラベル付けする
こと、パッケージ化すること、商取引に放出すること、または販売もしくは販売に供する
こと、所定の閾値を満たすかどうかに応じて異なること、のうちの1つ以上を含む。別の
実施形態では、グリカン治療剤組成物を含む経口剤形が提供され、経口剤形はシロップで
ある。シロップは、約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、
40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または8
5%の固体を含み得る。シロップは、約15%、20%、25%、30%、35%、40
%、45%、または50%の液体、例えば、水を含み得る。固体は、グリカン治療剤組成
物を含み得る。固体は、例えば、約1~96%、10~96%、20~96%、30~9
6%、40~96%、50~96%、60~96%、70~96%、80~96%、また
は90~96%のグリカン治療剤組成物であり得る。別の実施形態では、グリカン治療剤
組成物は、粘性流体として製剤化される。
【0304】
一実施形態では、本組成物は、発泡性構成成分、中和構成成分、または不水溶性食物繊
維を含む。発泡性構成成分は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カルシウ
ムからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーであり得る。一実施形態では、中
和構成成分は、クエン酸、L-酒石酸、フマル酸、L-アスコルビン酸、DL-リンゴ酸
、酢酸、乳酸、及び無水クエン酸からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーで
あり得る。一実施形態では、不水溶性食物繊維は、結晶セルロース、小麦ふすま、オーツ
ブラン、コーンファイバー、大豆繊維、及びビートファイバーからなる群から選択される
少なくとも1つのメンバーであり得る。製剤は、スクロース脂肪酸エステル、粉砂糖、果
汁粉末、及び/または調味料を含有し得る。
【0305】
いくつかの実施形態では、剤形は、小腸または大腸等の胃腸管の特定の領域(複数を含
む)内のグリカン治療調合剤を含む薬学的組成物を放出するために製剤化される。いくつ
かの実施形態では、剤形は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、及び/ま
たは直腸のような、胃腸管の特定の領域(複数を含む)内の治療用グリカン調合剤を含む
薬学的組成物を放出するために製剤化される。
【0306】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、酵素反応性送達システムである。例えば、トリプシン反応性ポリマーは、トリプ
シンによって分解されるペプチドによって架橋されるヒドロゲルを用いて作製され得る。
トリプシンは、小腸に活性がある。トリプシン反応性送達システムは、小腸への薬学的グ
リカン治療剤組成物の送達を標的とするために使用され得る。別例では、アルブミンで架
橋されるポリ(ビニルピロリドン)からなる酵素が消化されやすいヒドロゲルは、ペプシ
ンの存在下で分解される。
【0307】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、胃腸管内の特定の部位で持続的保持を可能にする送達デバイスである。例えば、
胃送達システムは、胃への薬学的グリカン治療剤組成物の持続的放出を可能にする。胃送
達は、胃または上部小腸内の細菌を調節する薬学的グリカン治療剤組成物のために使用さ
れ得る。
【0308】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、胃の粘膜面に粘着する粘膜付着性送達システムである。それらは、典型的には、
多くの水素結合基を有するポリマー、例えば、架橋ポリアクリル酸、カルボキシルメチル
セルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギナン、Carbopol 934
P、またはチオール化ポリカルボフィルからなる。
【0309】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、幽門の通路を遅延する胃内のサイズを急増する拡大送達システムである。そのよ
うなシステムは、胃を広げるシステムを含む。例えば、4面体、輪、円盤等の幾何学的形
状は、ゼラチンカプセルにパッケージ化され得る。カプセルが溶解するときに、形状が広
げる。システムは、1つ以上の浸食ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)
、1つ以上の非浸食ポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン)か
らなり得る。次いで、グリカン治療剤は、ポリマーマトリックス内に分散され得る。保持
時間は、ポリマーブレンドによって微調整され得る。あるいは、胃の酸性pHで安定して
いるが、胃腸管に沿ってさらに中性/アルカリ性条件下で溶解する弾性ポリマーから作製
されるデバイスが使用され得る。かかるポリマー製剤は、このデバイスが胃から出るとき
に、腸閉塞を防止し得る。また、例えば、ポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(
PA6ACA)及びポリ(メタクリル酸-コ-アクリル酸エチル)(EUDRAGIT
L 100-55)からなる、カルボキシル基間の水素結合によって架橋された超分子ポ
リマーゲルも使用してもよい。他のシステムは、コラーゲンスポンジ等の膨潤性賦形剤を
含む。例えば、ヒドロゲルマトリックス(例えば、膨潤性コア:ポリビニルピロリドンX
L、Carbopol 934P、炭酸カルシウム)は、胃内で2~50倍膨張する。超
多孔ヒドロゲル複合材料は、数分以内で元の体積の数百倍膨張する。いくつかのシステム
は、ガス発生を利用して、例えば、親水性膜によって取り囲まれる二酸化炭素を発生する
拡張可能なシステムのような拡張を達成する。
【0310】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、密度制御送達システムである。これらのシステムは、胃液中で浮くまたは沈むよ
うに設計され、これは、胃からそれらが空になるのを遅延する。例えば、高密度システム
は、幽門の下方に、デバイスが胃の底に沈むのを可能にし、それ故に、胃が空になるのを
避ける。他のシステムは低密度/浮遊システムである。かかるデバイスは、例えば、中空
チャンバ内に封入空気を含み得るか、または脂肪、油、または発泡性粉末のような低密度
材料を組み込み得る。低密度は、膨張を通して達成され得、例えば、胃液に接触する際に
、親水コロイド含有カプセルが溶解し、親水コロイドが膨張して、粘膜体を形成する。代
替のポリマーは、キトサン、アルギン酸ナトリウム、及びグリセロールモノオレエートマ
トリックスを含む。低密度は、ガス発生を通して達成され得る。例えば、錠剤が炭酸塩で
充填され、任意に、クエン酸は、酸性水媒体と接触した後に、二酸化炭素を発生する。発
生された二酸化炭素は、システムを浮遊させるゲル化親水コロイド内に封入される。親水
コロイドは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びCarbopol 934Pを含
む。
【0311】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、小腸または大腸中にデバイスを保持するような設計を用いる。デバイスの位置に
特異的な性質は、例えば、pH、酵素等の特定の誘発方法によって提供される。これらは
、粘膜接着及び極微針錠剤のために設計されたシステムを含む。極微針錠剤は、pH応答
性コーティングにおいてカプセル化される極微針でスパイクされた薬物容器を含む。錠剤
が胃腸管内に所望の位置に達し、コーティングが溶解するときに、極微針は、錠剤が胃腸
管の内腔に嵌頓するのを可能にする。他の実施形態では、極微針錠剤は、それぞれ、クエ
ン酸及び重炭酸ナトリウムで充填された2つの化学的コンパートメントからなるカプセル
を含む。錠剤が消化器系に溶解するときに、2つの物質間の境界が浸食し、それらが、混
合し、化学反応を行い、カプセルの外層を通して、小腸の内腔にサッカリドの極微針を押
す。サッカリドの針は、サッカリドを吸収するように隣接する血管に送達される薬物で充
填され得る。
【0312】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、pH感受性ポリマーコーティングを用いる。例えば、pH依存性ポリマー(二ま
たは三相性)は、低pHレベル(例えば、胃内の酸耐性、pH1~2)で不溶性であり、
例えば、十二指腸では約5.5~6.2、上行結腸では約pH5.7、盲腸では約pH6
.4、横行結腸では約pH6.6、下行結腸では約pH7.0、回腸では約7.2~7.
5、または末端小腸では約pH7.5までpHが上昇するにつれて、ますます可溶性にな
り得る。一例では、TARGIT(商標)技術は、胃腸(GI)管内で薬学的グリカン治
療剤組成物の部位特異的送達のために使用され得る。このシステムは、末端回腸及び結腸
を標的とするように射出成形デンプンカプセル上にpH感受性コーティングを用いる。
【0313】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、遅延放出システムまたは時間制御システムである。かかるシステムは、通常、p
H感受性機能及び持続放出機能が組み合わせられ得る腸溶コーティングを用いる。例えば
、グリカン治療剤を含有する核錠(迅速放出機能)、圧縮コーティングされた膨潤性疎水
性ポリマー層(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース層(HPC)、及び持続放出機能
の3つの構成成分からなるETP(腸溶コーティングされた持続放出の圧縮コーティング
)錠剤が、使用され得る。誘導期の持続は、ポリマー層及び腸溶コーティング層の重量ま
たは組成によって制御され得る(酸耐性機能)。
【0314】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、Eudragit(登録商標)腸溶コーティングの錠剤及びカプセル剤を用いる
。他の好適な合成ポリマーには、Shellac、エチルセルロース、酢酸フタル酸セル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、及びポリグル
タミン酸コーティング、例えば、ポリ-γ-グルタミン酸(γ-PGA)が含まれる。こ
れらのコーティングは、粘膜接着性及びpH依存の放出戦略の両方を組み合わせる。結腸
を標的とした送達を増強させるために、Eudragits(登録商標)は、それらが可
溶性であるpHに変わる側基組成物に応じて異なるメタクリル酸コポリマーである。例え
ば、Eudragit(登録商標)コーティングしたシステムにおいては、有意な薬物放
出は胃(例えば、pH1.4で)及び小腸(例えば、pH6.3で)においては起こらな
いが、有意な薬物放出が回盲領域において、pH7.8で見られ得る。
【0315】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、微生物によって誘発されたシステム、例えば、多糖系送達システムである。多糖
系送達システムは、キトサン及びペクチンのコーティングを含む、生分解性及び粘膜付着
性ポリマーコーティングを含む。他の好適な天然ポリマーには、例えば、グアーガム、イ
ヌリン、シクロデキストリン、デキストラン、アミラーゼ、硫酸コンドロチン、及びロー
カストビーンガムが含まれる。これらの送達システムは、小腸へのグリカン治療剤を標的
とするために使用され得る。グアーガム、キサンタンガム、キトサン、アルギン酸塩等の
天然に存在する多糖によるコーティングは、腸内微生物叢、例えば、酵素(キシロシダー
ゼ、アラビノシダーゼ、ガラクトシダーゼ等)によって分解される。例えば、CODES
(商標)技術は、薬学的グリカン治療剤組成物を送達するために使用され得る。このシス
テムは、多糖コーティングをpH感受性コーティングと組み合わせる。いくつかの実施形
態では、このシステムは、3層のポリマーコーティングでコーティングされた核錠からな
り、外側のコーティングは、Eudragit Lからなる。このコーティングは、十二
指腸で溶解し、次のコーティングを露出する。次のコーティングは、Eudragit
Eからなる。この層は、内核中に存在するラクツロースの放出を可能にする。ラクツロー
スは、Eudragit E層が溶解する周辺のpHを下げる短鎖脂肪酸に代謝される。
Eudragit Eの溶解は、グリカン治療剤の曝露をもたらす。結腸中に存在する細
菌は、核錠から放出される多糖の分解に関与する。多糖の分解は、錠剤周辺の内容物のp
Hを下げる有機酸の形成をもたらし得る。
【0316】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、圧力制御送達システムである。このシステムは、より高い圧力が小腸よりも結腸
において引き起こされるという事実を用いる。例えば、水に不溶であるエチルセルロース
システムのために、グリカン治療剤の放出は、結腸の内腔における圧力の結果として水不
溶性ポリマーカプセルの崩壊後に生じる。放出プロファイルは、エチルセルロースの厚さ
、カプセルのサイズ、及び/またはカプセルの密度を変えることによって調節され得る。
【0317】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、パルス結腸標的送達システムである。例えば、このシステムは、プルシンキャッ
プシステムであり得る。用いられるカプセルは、グリカン治療剤の放出を制御するカプセ
ルに置かれる栓を含む。膨潤性ヒドロゲル(例えば、ヒドロキシルプロピルメチルセルロ
ース(HPMC)、ポリメチルメタクリレート、または酢酸ポリビニル)は、薬物の内容
物を密閉する。カプセルが流体と接触するときに、この栓は、カプセルから押し出され、
グリカン治療剤を放出する。放出プロファイルは、栓とカプセル体との交差の長さ及び/
または点を変えることによって制御され得る。別のシステムは、ポートシステムである。
カプセル体は、半透過性膜に被包化される。不溶性栓は、浸透活性剤及びグリカン治療剤
からなる。カプセルが流体と接触するときに、この半透過性膜は、カプセル体内の圧力を
増加させる流体の流入を可能にする。これにより、栓の排出及びグリカン治療剤の放出を
もたらす。
【0318】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、浸透圧的に制御された結腸標的送達システムである。例示的なシステム、ORO
S-CTは、硬ゼラチンカプセルにカプセル化された浸透圧単位(最大5また6つのプッ
シュプル単位)からなる。このプッシュプル単位は、腸内の不透過性の外膜及び半透過性
の内膜で二重層化される。プッシュプルの内部の中央部は、薬物層及びプッシュ層からな
る。グリカン治療剤は、半透過性の膜を通して放出される。プッシュプル単位を被包化す
るカプセル体は、投与直後に溶解される。胃腸管内で、腸内の不透過性膜は、水分吸収を
防ぐ。腸溶コーティングは、小腸(より高いpH、>7)に溶解し、水は、プッシュ層を
膨張させ、グリカン治療剤を強制的に外に出す、半透過性膜を通して単位に流入する。
【0319】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、回盲弁に達する直前に、グリカン治療剤を放出するために使用され得る「スマー
トピル」である。
【0320】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物のための
剤形は、直腸投与された製剤である。例えば、浣腸は、液体製剤中の薬学的グリカン治療
剤組成物を直腸に導入する。投与された体積は、典型的には、10mL未満である。坐薬
は、薬学的グリカン治療剤組成物を直腸に導入する。坐薬は、直腸に挿入されるときに、
融解または溶解する固体剤形であり、グリカン治療剤を放出する。坐薬製剤のための典型
的な賦形剤は、ココアバター、ポリエチレングリコール、及び寒天を含む。
【0321】
ポリフェノールの生成、抽出物の合成及び調合
グリカン治療調合剤及びポリフェノール調合剤を含む薬学的組成物が、本明細書に提供
される。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を含む薬学的組成物は、少なくと
も1つのポリフェノールを含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を含む薬
学的組成物は、複数のポリフェノールを含む。
【0322】
グリカン治療剤の調合剤及びポリフェノールの調合剤は、別々に生成され得る。例えば
、グリカン治療剤の調合剤は合成され得、ポリフェノールの調合剤は、本明細書に記載さ
れるように抽出され得る。別例では、グリカン治療剤の調合剤は合成され得、ポリフェノ
ールの調合剤はまた、本明細書に記載されるように合成され得る。さらに別例では、グリ
カン治療剤の調合剤は合成され得、ポリフェノールの調合剤は、源から抽出された複数の
ポリフェノール及び合成された複数のポリフェノールを含み得る。
【0323】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールの調合剤は、ポリフェノールを含有する抽出
物から生成される。他の実施形態では、ポリフェノールの調合剤は、合成されるポリフェ
ノールを含む。
【0324】
薬学的組成物及びメディカルフードは、当該技術分野において周知の任意の方法によっ
て、グリカン治療剤の調合剤をポリフェノールの調合剤と混合することによって生成され
得る。いくつかの実施形態では、調合剤は、0.000000001:1、0.0000
0001:1、0.0000001:1、0.000005:1、0.00001:1、
0.0001:1.0.001:1、0.01:1、0.1:1、0.5:1、1:1、
1:2、1:5、1:10、1:100、1:1,000、1:10,000、1:10
0,000、1:1000,000(v/v)、(w/w)、(w/v)、またはモル比
(グリカン:ポリフェノール、ポリフェノール:グリカン)で混合される。
【0325】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールの調合剤は、植物、植物部位、植物細胞、ま
たは植物生成物から抽出される。植物部位の例としては、樹皮、花、花弁、幹、茎、塊茎
、根、果実、ベリー、種、ナッツ、葉であるが、これらに限定されない。植物生成物の例
としては、搾りかすジュース、果肉、皮、麦芽汁、ペースト、及びスラリーが挙げられる
が、これらに限定されない。植物の例には、ブルーベリー、クランベリー、ブドウ、モモ
、プラム、ザクロ、大豆、赤ワイン、紅茶、緑茶が含まれ得るが、これらに限定されない
。いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、複数の植物、植物部位、または植物生成
物から抽出される。いくつかの実施形態では、ポリフェノール抽出物は、複数の植物、植
物部位、または植物生成物から組み合わせられる。
【0326】
ポリフェノールは、例えば、クローブ、ペパーミント、スターアニス、ココア粉末、オ
レガノ、セロリ種子、ブラックチョコベリー、ダークチョコレート、亜麻仁を用いた食事
、ブラックエルダーベリー、栗、一般的なセージ、ローズマリー、スペアミント、一般的
なタイム、ローブッシュブルーベリー、ブラックカラント、ケーパー、ブラックオリーブ
、ハイブッシュブルーベリー、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、大豆粉、プラム、グリ
ーンオリーブ、スイートバジル、カレー、粉末、甘果桜桃、グローブアーティチョークの
頭部、ブラックベリー、ローストした大豆、ミルクチョコレート、イチゴ、レッドチコリ
、レッドラズベリー、コーヒー、フィルタ、ショウガ、全粒強力粉、プルーン、アーモン
ド、ブラックブドウ、レッドオニオン、グリーンチコリ、一般的なタイム、新鮮な精製さ
れたトウモロコシ粉、大豆、テンペ、全粒ライ麦粉、リンゴ、ホウレンソウ、エシャロッ
ト、香水木、紅茶、赤ワイン、緑茶、大豆ヨーグルト、黄タマネギ、大豆ミート、全粒小
麦粉、純アップルジュース、純ザクロジュース、特上オリーブ油、黒豆、モモ、純ブラッ
ドオレンジジュース、クミン、純グレープフルーツジュース、白豆、桂皮、純ブロンドオ
レンジジュース、ブロッコリー、アカフサスグリ、大豆豆腐、純レモンジュース、全粒エ
ンバク粉、アプリコット、キャラウェー、精製ライム麦粉、アスパラガス、クルミ、ジャ
ガイモ、Ceylanシナモン、パセリ、ネクタリン、カーリーエンダイブ、マジョラム
、サニーレタス、ミルク入りチョコレート飲料、マルメロ、エンダイブ(キクヂシャ)、
大豆乳、純ザボンジュース、菜種油、梨、大豆もやし、緑色ブドウ、ニンジン、酢、大豆
チーズ、白ワイン、及び赤ワインが挙げられるが、これらに限定されない、ポリフェノー
ルが豊富な食物のような、任意の好適な源から抽出され得る。
【0327】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、植物ジュースから抽出され得る。いくつ
かの実施形態では、植物ジュースは、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリー、ホッ
ケンベリー、グーズベリー、ボイセンベリー、アカイベリー、ベインベリー、メギ、ベア
ベリー、ビルベリー、チョコベリー、ゴゼンタチバナ、バッファローベリー、チョークベ
リー、コケモモ、エルダーベリー、クランベリー、デューベリー、スグリ、ファークルベ
リー、ゴジベリー、グーズベリー、ブドウ、ホリーベリー、ハックルベリー、アイビーベ
リー、ジューンベリー、ジュニパーベリー、リンゴンベリー、ローガンベリー、ミスルト
ウベリー、ナニーベリー、Oregonブドウ、柿、ポケベリー、プリベットベリー、サ
ーモンベリー、ストロベリー、シュガーベリー、タイベリー、シンブルベリー、白桑、赤
桑、黒桑、ワインベリー、ウィンターグリーン、ユーベリー、またはヤングベリーのジュ
ースである。
【0328】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、修正、繁殖、遺伝子操作、またはそうで
なければ、例えば、ポリフェノール含量の組成または量を変えるように変化されている、
植物または植物組織から抽出され得る。いくつかの実施形態では、植物または植物組織は
、例えば、未処理植物もしくは組織またはポリフェノール誘導性薬剤に曝露されていない
または接触されていない植物もしくは組織と比較したときに、植物もしくは植物組織によ
ってポリフェノールの生成を誘導もしくは刺激するために、または植物もしくは植物組織
におけるポリフェノールの相対量を増加させるために、植物もしくは植物組織を収穫また
は単離する前またはその後に、ポリフェノール誘導性薬剤(例えば、化学的薬剤または放
射、例えば、紫外線)で処理される、それに曝露される、またはそれと接触する。
【0329】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の薬学的組成物は、当該技術分野において周
知の任意の方法によって抽出され得るポリフェノールの調合剤を含む。例えば、抽出方法
は、以下のステップ:i)源を乾燥させるステップと、ii)源を製粉、研磨、粉砕、混
合、またはそうでなければ均質化するステップと、iii)ポリフェノールを源から抽出
する、例えば、溶媒を使用するステップ、のうちの1つ以上を含み得る。
【0330】
源材料は、任意に、酵素で前処理され得るか、または抽出中に酵素で処理され得る。酵
素の例には、ペクチン分解及び細胞壁多糖分解酵素が含まれるが、これらに限定されない
。
【0331】
溶媒は、当該技術分野において周知の任意の好適な溶媒であり得る。例えば、溶媒は、
メタノール、エタノール、アセトン、及び酢酸エチル等であるが、これらに限定されない
、有機溶媒、任意に水性溶媒(水を含む)であり得る。必要に応じて、溶媒は、トリフル
オロ酢酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、塩酸、酒石酸、硫酸、またはリン酸等であるが、これ
らに限定されない、有機溶媒を含み得る。溶媒は、任意の好適な比率で有機溶媒と酸の混
合物であり得る。溶媒は、超臨界CO2を含み得る。
【0332】
抽出は、0~100℃で行われ得る。抽出方法には、浸軟及びソックスレー抽出、回転
蒸発、マイクロ波支援抽出、超音波支援抽出、亜臨界水抽出、超臨界流体抽出、加圧流体
抽出、加圧液体抽出、及び加速溶媒抽出が含まれる。
【0333】
いくつかの実施形態では、抽出は、同じ源材料で複数回行われ得る。必要に応じて、源
材料からの複数の抽出物が組み合わせられ得る。他の実施形態では、異なる源材料からの
複数の抽出物が組み合わせられ得る。
【0334】
ポリフェノール抽出物の精製及び分画化は、i)順次抽出または液体-液体分割、ii
)固相抽出、iii)向流クロマトグラフィー、及びiv)遠心分離が挙げられるが、こ
れらに限定されない、当該技術分野において周知の任意の好適な方法によって達成され得
る。順次抽出のために、粗抽出物は、非極性溶媒で洗浄して、液体を除去し得る。非極性
溶媒の例は、ヘキサン、ジクロロメタン、及びクロロホルムであるが、これらに限定され
ない。固相抽出のために、粗抽出物は、固相結合物質上で洗浄して、ポリフェノール置換
基を分離及び/または糖を除去し得る。いくつかの実施形態では、糖及び有機酸等の水溶
性構成物質は、酸性水で除去される。固相結合物質の例は、C18、Amberlite
XAD-2、XAD-7、XAD-16、Oasis HLB、シリカ系C8、コポリ
マー系HLB、PH、ENV+、RP-C18、Toyopearl、LH-20、ポリ
アミド樹脂、及びMCXであるが、これらに限定されない。必要に応じて、ポリフェノー
ルは、溶離溶媒及び溶媒pHを調節することによってさらに分画化され得る。溶離液の例
としては、エタノール、メタノール、アセトン、及び水、ならびにこれらの任意の組み合
わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、フェノール酸は
、水で溶離される。いくつかの実施形態では、非重合フェノールは、酸性酢酸エチルで溶
離される。いくつかの実施形態では、重合フェノールは、水、アセトン、エタノール、及
び/またはメタノールの組み合わせで溶離される。いくつかの実施形態では、プロシアニ
ジンは、アセトン及び水で溶離される。
【0335】
一例として、プロアントシアニジンは、ブドウ果皮から単離され得る。ブドウ皮は、ジ
ュースがブドウ果実から圧搾し、除去された後に収集され得る。好適な溶媒、例えば、ア
セトン/水の混合物は、ブドウ果皮からポリフェノールを抽出するために使用され得る。
次いで、この溶媒を除去する。水相抽出は、例えば、クロロホルム(cloroform
)を用いて行われ得、抽出物は、任意に、凍結乾燥され得る。得られた粉末は、吸着クロ
マトグラフィーを用いて精製され得る。プロアントシアニジンは、溶媒(例えば、メタノ
ール、アセトン)、及びトリフルオロ酢酸で洗浄され、溶離される。この溶媒を除去し、
水相は、任意に凍結乾燥させて、プロアントシアニジン粉末を生成する。
【0336】
様々な方法が、得られたプロアントシアニジン混合物を特徴付けるために使用され得る
。過剰フロログルシノールの存在下で酸触媒は、サブユニット組成物、変換収率、及び平
均重合度を決定するために使用され得る。ポリフェノールの質量分布は、質量分析法によ
って決定される。質量分析法は、好適な溶媒(例えば、メタノール/アセトニトリル)中
のポリフェノールの溶解及び電気スプレー器への注入からなる。ゲル透過クロマトグラフ
ィーは、溶離ピークのスペクトルを提供することができ、直列につないだ2つのカラムで
行い(例えば、TSKgel G3000 Hxl 粒径6um、続いて、G2500
Hxl 粒径5um、両方とも300×7.8mmの皮内)、ジメチルホルムアミドとし
て移動相を有するアイソクラチック条件下で行われる。色素性プロアントシアニジンは、
UV-Vis分光測光法で特徴付けられ得る。最終的に、C、H、及びNの元素分析は、
粉末試料をスズカップに充填し、例えば、Carlo Erba EZ 1108等の元
素分析計を用いて分析を実行することによって行われ得る。
【0337】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、合成ポリフェノールを含む
。ポリフェノールは、好適な植物源(例えば、植物抽出物)に由来し得るだけでなく、合
成することができる。ポリフェノールは、当該技術分野において周知の任意の化学的、生
化学的、または生物工学的方法の好適な組み合わせを介して合成され得る。いくつかの実
施形態では、ポリフェノールは、天然源から抽出され、その後、化学的、生化学的、また
は生物工学的方法を介して修正される。いくつかの実施形態では、合成または修正された
ポリフェノールの化学構造は、本来は見出されない。化学修飾の例としては、メチル化、
ヒドロキシル化、プレニル化、グリコシル化、二量体化、重合化が挙げられるが、これら
に限定されない。グリコシル化の例としては、グルコシド、ガラクトシド、アラビノシド
、ラムノシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0338】
ポリフェノールの化学合成の方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Qu
ideau S et al.“Plant Polyphenols:Chemica
l Properties,Biological Activites,and Sy
nthesis”,Angewandte Chemie 2011,50,586-6
21において説明されている。いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、生物工学的
方法を介して、例えば、好適な反応を触媒するための酵素を用いて合成または修飾される
。反応は、細胞(例えば、細菌、酵母菌、植物細胞)内または抽出物もしくは溶解物中で
引き起こされ得るか、または例えば、細菌、酵母菌、または植物細胞からから得られ得る
。いくつかの実施形態では、特異的酵素は、好適な緩衝液システムにおいて、好適な反応
条件下で単離され、使用される。ポリフェノールのバイオテクノロジー合成のための方法
は、当該技術分野において周知であり、例えば、Cress B et al.“Iso
flavonoid Production By Genetically Engi
neered Microorganisms”,Natural Products.
Springer-Verlag Berlin Heidelberg,2013.1
647-1681、Trantas EA et al.“When Plants P
roduce Not Enough Or At All:Metabolic En
gineering Of Flavonoids In Microbial Hos
ts”,Frontiers in Plant Science 2015,6におい
て記載されている。
【0339】
ポリフェノールは、任意の好適な方法によって定量化または測定され得る。いくつかの
実施形態では、参照標準物(例えば、ポリフェノールまたは複数のポリフェノール)の周
知の濃度は、測定値の比較のために使用される。いくつかの実施形態では、全ポリフェノ
ールは、Folin-Denis法、Folin-Ciocalteau法、過マンガン
酸塩滴定、鉄塩を用いた比色分析(coloriometry)、HPLC、基質の沈殿
、または電磁吸収度を介して定量化される。
【0340】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールの種類が定量化される。例えば、アントシア
ニンは、1つまたは複数のpHで波長490~550nMの間の電磁吸収度を用いて定量
化され得る。プロアントシアニジンは、比色法、基質の沈殿、またはタンパク質結合アッ
セイ、またはこれらの組み合わせを用いて定量化され得る。別例では、タンニンは、ヨウ
化カリウム、ロダニン、亜硝酸ナトリウム、もしくはタンパク質結合アッセイ、またはこ
れらの組み合わせを用いて定量化され得る。いくつかの実施形態では、ガスクロマトグラ
フィーは、ポリフェノールまたは複数のポリフェノールの分離及び定量化のために使用さ
れる。必要に応じて、ポリフェノールは、例えば、ポリフェノールをさらに揮発性にする
ために、ガスクロマトグラフィーの前に修飾され得る。あるいはまたは加えて、ポリフェ
ノールは、HPLCを介して、任意に、様々な固体支持体及び移動相を用いて定量化され
る。ポリフェノールはまた、質量分析法(MS)を介して定量化され得る。いくつかの実
施形態では、ポリフェノールは、HPLC-MSで、任意に、様々な固体支持体及び移動
相を用いて定量化される。いくつかの実施形態では、ポリフェノールの抗酸化能力が測定
される。例えば、ポリフェノールの抗酸化能力は、Trolox等価抗酸化能力アッセイ
、酸素ラジカル吸収能アッセイ、総ラジカルトラップ抗酸化パラメータアッセイ、第二鉄
イオンに還元する抗酸化粉末アッセイ、第二銅イオンに還元する抗酸化能力アッセイ、ま
たはこれらの組み合わせを介して測定され得る。
【0341】
フェノール抽出、精製、分析、及び定量化のための他の方法は、当該技術分野において
周知であり、例えば、Dai J.and Mumper RJ,“Plant Phe
nolics:Extraction,Analysis and Their Ant
ioxidant and Anticancer Properties”,Mole
cules 2010,15(10),7313-7352において記載されている。
【0342】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、例えば、Raskinらの米国特許公開
第20140328997号に記載される、様々な源からのタンパク質を用いて、任意に
、pHを変化させて、抽出及び/または濃縮され得る。
【0343】
いくつかの実施形態では、抽出されたポリフェノールの収率は、μg/kgの源材料で
ある。いくつかの実施形態では、抽出されたポリフェノールの収率は、mg/kgの源材
料である。いくつかの実施形態では、抽出されたポリフェノールの収率は、g/kgの源
材料である。
【0344】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールの調合剤は、フラボノイドを含む。いくつか
の実施形態では、フラボノイドは、アントシアニン、アントシアニジン、カルコン、ジヒ
ドロカルコン、ジヒドロフラボノール、フラバノール、フラバン-3-オール、フラバノ
ン、フラボン、フラボノール、イソフラボノイド、プロアントシアニジン、縮合タンニン
、非加水分解性タンニンである。いくつかの実施形態では、フラボノイドは、モノマーで
ある。いくつかの実施形態では、フラボノイドは、二量体である。いくつかの実施形態で
は、フラボノイドは、ポリマーである。いくつかの実施形態では、フラボノイドは、化学
修飾される。化学修飾の例は、メチル化、ヒドロキシル化、プレニル化、グリコシル化で
あるが、これらに限定されない。グリコシル化の例は、グルコシド、ガラクトシド、アラ
ビノシド、ラムノシドであるが、これらに限定されない。
【0345】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールの調合剤には、加水分解性タニン、フロロタ
ンニン、リグナン、アルキメトキシフェノール、アルキフェノール、カールクモイド(c
urcumoids)、フラノクマリン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシベン
ゾケトン、ヒドロキシ桂皮アルデヒド、ヒドロキシクマリン、ヒドロキシフェニルプロペ
ン、メトキシフェノール、ナフトキノン、フェオンールテルペン、チロソール、アルブチ
ン、カテコール、ピロカテコール、レゾルシノール、クメストロール、フェノール、フロ
リン、ピロガロール、フロログルシノール、サルビアノール酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒ
ドロキシ桂皮酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルプロパン酸、ヒドロキシ
フェニルペンタン酸、スチルベンが含まれる。いくつかの実施形態では、ポリフェノール
は、モノマーである。いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、二量体である。いく
つかの実施形態では、ポリフェノールは、ポリマーである。いくつかの実施形態では、ポ
リフェノールは、化学修飾される。化学修飾の例は、メチル化、ヒドロキシル化、プレニ
ル化、グリコシル化であるが、これらに限定されない。グリコシル化の例は、グルコシド
、ガラクトシド、アラビノシド、ラムノシドであるが、これらに限定されない。
【0346】
いくつかの実施形態では、抽出物は、表5中に列挙される複数の1つ以上の(例えば、
2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、
80、90、100またはそれ以上の)ポリフェノールを含む。いくつかの実施形態では
、本明細書に記載されるグリカン治療剤を含む薬学的組成物は、表5中に列挙される複数
の1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、4
0、50、60、70、80、90、100またはそれ以上の)ポリフェノールを含む。
【0347】
キット
キットもまた、企図される。例えば、キットは、胃腸障害または状態の治療における、
単位剤形の薬学的グリカン治療剤組成物、及びグリカン治療剤の使用のための取扱説明書
を含むパッケージ挿入物を含み得る。キットは、薬学的グリカン治療剤組成物を必要とす
る対象によって用いるための好適なパッケージ化において薬学的グリカン治療剤組成物を
含む。本明細書に記載される組成物のうちのいずれかが、キットの形態でパッケージ化さ
れ得る。キットは、全課程の治療、または治療の過程の一部に十分な、ある量の薬学的グ
リカン治療剤組成物(任意に、プレバイオティクス物質、プロバイオティクス細菌、及び
/または第2の治療剤をさらに含む)を含有し得る。薬学的グリカン治療剤組成物の投与
量は、個々にパッケージ化され得るか、または薬学的グリカン治療剤組成物は、ばら荷で
提供され得るか、またはその組み合わせであり得る。それ故に、一実施形態では、キット
は、好適なパッケージ化において、治療レジメンにおいて投与ポイントに対応する個々の
用量のグリカン治療剤組成物を提供し、この用量は、1つ以上のパケットにパッケージ化
される。
【0348】
一実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物は、単一の容器内に、または2つ、3つ
、4つ、5つ、もしくは5つを超える容器内にばら荷で提供され得る。例えば、各容器は
、1カ月間実施される特定の治療プログラム週間の十分な薬学的グリカン治療剤組成物を
含有し得る。1つを超えるばら荷容器が提供される場合、ばら荷容器は、適切にまとめて
パッケージ化して、治療期間のすべてまたはその一部に十分な薬学的グリカン治療剤組成
物を提供し得る。容器(複数を含む)は、治療を必要とする対象、または例えば、投与ス
ケジュール等の治療プロトコルを行う医師に有用なラベル表示情報でラベル付けされ得る
。
【0349】
薬学的グリカン治療剤組成物は、他の好適な物質、例えば、本明細書に記載される、プ
ロバイオティクス細菌、プレバイオティクス物質、または他の物質でパッケージ化され得
る。他の物質(複数を含む)は、薬学的グリカン治療剤組成物とは別々にパッケージ化さ
れ得るか、または薬学的グリカン治療剤組成物と混合され得るか、またはその組み合わせ
であり得る。それ故に、一実施形態では、キットは、一連の治療または一連の治療の一部
に使用されることを目的とする構成要素すべて、例えば、薬学的グリカン治療剤組成物、
及び任意に、緩衝液、賦形剤等、プロバイオティクス、プレバイオティクス、または治療
剤を含有する剤形を含む。一実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物は、1つのパッ
ケージまたは一組のパッケージ中でパッケージ化され、さらなる構成成分、例えば、プロ
バイオティクス細菌、プレバイオティクス、または治療剤は、薬学的グリカン治療剤組成
物とは別にパッケージ化される。
【0350】
キットは、資料、例えば、取扱説明書、予想される結果、証言、説明、警告、臨床デー
タ、医療従事者のための情報等をさらに含み得る。一実施形態では、キットは、このキッ
トが医療従事者の指示の下でのみ使用されることを示すラベルまたは他の情報を含む。容
器は、匙、シリンジ、ボトル、カップ、アプリケーター、または他の測定もしくは給仕す
るデバイスをさらに含み得る。
【0351】
微生物分類群、ゲノム、及びマイクロバイオームの機能状態を調節する方法
ヒト対象の胃腸の微生物叢における細菌分類群(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5
つ、もしくはそれ以上の分類群)の存在度を調節するための方法が、本明細書において提
供される。これらの方法は、ヒト対象に、分類群の存在度を調節するのに有効な量でグリ
カン治療調合剤を含む薬学的組成物を投与することを含む。細菌分類群の存在度は、グリ
カン治療剤が投与されるときに、他の分類群に比較的に(またはある時点から別の時点ま
で比較的に)増加し得、この増加は、少なくとも5%、10%、25% 50%、75%
、100%、250%、500%、750%の増加または少なくとも1000%の増加で
あり得る。細菌分類群の存在度はまた、グリカン治療剤が投与されるときに、他の分類群
に比較的に(またはある時点から別の時点まで比較的に)減少し得、この減少は、少なく
とも5%、10%、25% 50%、75%、85%、90%、95%、96%、97%
、98%、99%の減少、または少なくとも99.9%の減少であり得る。いくつかの実
施形態では、腸内毒素症は、微生物叢をシフトし、1つ以上の所望でない分類群を増加さ
せる、及び/または1つ以上の所望の分類群を増加させる。グリカン治療剤の投与は、対
象の胃腸の微生物叢における所望の及び/または所望でない細菌分類群の存在度を調節し
、それによって腸内毒素症を治療することができる。
【0352】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、1つ以上の細菌、例えば、胃腸管内に見
出され得る、Bacteroides、Odoribacter、Parabacter
oides、Alistipes、Blautia、Clostridium、Copr
ococcus、Dorea、Eubacterium、Lachnospira、Ro
seburia、Ruminococcus、Faecalibacterium、Os
cillospira、及びSubdoligranulumの属に属する細菌の増殖を
調節する(例えば、増加または減少する)ことができる。いくつかの実施形態では、グリ
カン治療剤は、1つ以上の細菌、例えば、健常な胃腸状態と関連すると考えられる細菌、
例えば、Akkermansia、Anaerofilum、Bacteroides、
Blautia、Bifidobacterium、Butyrivibrio、Clo
stridium、Coprococcus、Dialister、Dorea、Fus
obacterium、Eubacterium、Faecalibacterium、
Lachnospira、Lactobacillus、Phascolarctoba
cterium、Peptococcus、Peptostreptococcus、P
revotella、Roseburia、Ruminococcus、及びStrep
tococcusの属のうちの1つ以上、ならびに/またはAkkermansia m
uniciphilia、Christensenella minuta、Clost
ridium coccoides、Clostridium leptum、Clos
tridium scindens、Dialister invisus、Eubac
terium rectal、Eubacterium eligens、Faecal
ibacterium prausnitzii、Streptococcus sal
ivarius、及びStreptococcus thermophilusの種のう
ちの1つ以上の増殖を調節する(例えば、増加または減少する)ことができる。
【0353】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、Prevotella、Akkerma
nsia、Bacteroides、Clostridium(Erysipelotr
ichaceae)、Clostridium(Clostridiaceae)、Bi
fidobacterium、Aggregatibacter、Clostridiu
m(Peptostreptococcaveae)、Parabacteroides
、Lactobacillus、及びEnterococcusから選択される少なくと
も2つの細菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加または減少する)ことができる。例
示的なグリカン治療剤は、glu100、ara100、glu50gal50、及びg
lu33gal33fuc33を含み、いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、2
つの細菌分類群:Akkermensia及びBlautiaの増殖を調節することがで
きる。例示的なグリカン治療剤は、xyl100である。
【0354】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、胃腸の微生物叢の組成及び活性(または
機能)の両方の選択変化を行い、それによって、宿主の健康に良い効果をもたらす。いく
つかの実施形態では、グリカン治療剤は、胃腸管に存在する1つまたは限定された数の潜
在的に有益な細菌に対して選択的な基質であり、それらの増殖及び/または代謝活性を刺
激する。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、特定の細菌において、胃腸の微生
物叢の組成を、より高いまたはより低い組成に変化させることができる。いくつかの実施
形態では、グリカン治療剤は、健康及び幸福に関連する胃腸細菌の増殖及び/または選択
的活性を選択的刺激する。一例では、本明細書に記載されるグリカン治療剤組成物は、病
原性細菌の存在度または相対数または密度を減少する。
【0355】
微生物叢とそれらの宿主の間の関係は、単に共生的(無害な共存)であるだけでなく、
多くの場合、共生関係がある。対象は微生物叢なしで生存することができるが、微生物は
、例えば、未使用のエネルギー基質を発酵させること、免疫系を訓練すること、病原性細
菌の増殖を防止すること、腸の発達を調節すること、宿主のためのビタミン(ビオチン及
びビタミン等)を生成することのような、様々な有用な機能を行う(例えば、Domin
guez-Bello M G and Blaser M J,2008 Micro
bes Infect,10(9):1072-1076を参照のこと)。一般的な胃腸
細菌分類群には、Bacteroides、Odoribacter、Parabact
eroides、Alistipes、Blautia、Clostridium、Co
prococcus、Dorea、Eubacterium、Lachnospira、
Roseburia、Ruminococcus、Faecalibacterium、
Oscillospira、及びSubdoligranulumの属が含まれる。例え
ば、Akkermansia、Anaerofilum、Bacteroides、Bl
autia、Bifidobacterium、Butyrivibrio、Clost
ridium、Coprococcus、Dialister、Dorea、Fusob
acterium、Eubacterium、Faecalibacterium、La
chnospira、Lactobacillus、Phascolarctobact
erium、Peptococcus、Peptostreptococcus、Pre
votella、Roseburia、Ruminococcus、及びStrepto
coccusの属、ならびに/またはAkkermansia municiphili
a、Christensenella minuta、Clostridium coc
coides、Clostridium leptum、Clostridium sc
indens、Dialister invisus、Eubacterium rec
tal、Eubacterium eligens、Faecalibacterium
prausnitzii、Streptococcus salivarius、及び
Streptococcus thermophilusの種のような、いくつかの細菌
属及び種は、胃腸管の健常な状態と関連すると考えられる。
【0356】
しかしながら、例えば、必ずしも原因物質を必要とせずに疾患状態と関連する感染及び
/または炎症及び/または細菌を誘導することによって、ある状態下で、疾患を引き起こ
す可能性がある病原性種及びパソビオントは、生態学的地位に存在する。いくつかの実施
形態では、本明細書に記載されるグリカン治療剤によって調節され得る疾患関連の細菌、
パソビオント、または病原体は、Bilophila、Campylobacter、C
andidatus、Citrobacter、Clostridium、Collin
sella、Desulfovibrio、Enterobacter、Enteroc
occus、Escherichia、Fusobacterium、Haemophi
lus、Klebsiella、Lachnospiraceae、Peptostre
ptococcus、Porphyromonas、Portiera、Provide
ncia、Pseudomonas、Salmonella、Shigella、Sta
phylococcus、Streptococcus、Vibrio、及びYersi
niaの属からなる群から選択される。
【0357】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるグリカン治療剤によって調節され得る
疾患関連の細菌、パソビオント、または病原体は、Bilophila wadswor
thia、Campylobacter jejuni、Citrobacter fa
rmer、Clostridium difficile、Clostridium p
erfringens、Clostridium tetani、Collinsell
a aerofaciens、Enterobacter hormaechei、En
terococcus faecalis、Enterococcus faecium
、Escherichia coli、Fusobacterium varium、F
usobacterium nucleatum、Haemophilus parai
nfluenzae、Klebsiella pneumonia、Peptostre
ptococcus stomatis、Porphyromonas asaccha
rolytica、Pseudomonas aeruginosa、Salmonel
la bongori、Salmonella enteric、Shigella b
oydii、Shigella dysenteriae、Shigella flex
neri、Shigella sonnei、Staphylococcus aure
us、Streptococcus infantarius、Vibrio chol
era、及びYersinia enterocoliticaの種からなる群から選択
される。
【0358】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるグリカン治療剤によって調節され得る
疾患関連の細菌、パソビオント、または病原体は、胃腸管の1つ以上の特定領域内に主に
存在し得る。
【0359】
例えば、Listeria、Entamoeba histolytica、Bala
ntidium coli、Basidiobolus ranarum、Trypan
osoma cruzi、Clostridium botulinum、Fascio
la hepatica、Histoplasma capsulatum、Rotav
irus、Schistosoma mansoni、Schistosoma jap
onicum、及びSchistosoma mekongi、Shigella、Br
achyspira aalborgi、Serpulina pilosicoli、
Trichuris trichiura、及びYersinia enterocol
iticaのような疾患関連の細菌、パソビオント、または病原体は、大腸(結腸)中に
主に存在する。
【0360】
Vibrio、Yersinia enterocolitica、Yersinia
pseudotuberculosis、Clostridium perfring
ens、Capillaria philippinensis、Cryptospor
idium parvum、Cyclospora cayetanensis、及びC
MVウイルスのような疾患関連の細菌、パソビオント、または病原体は、小腸中に主に存
在する。
【0361】
Campylobacter及びSalmonellaのような疾患関連の細菌、パソ
ビオント、または病原体は、大腸及び小腸中に主に存在する。
【0362】
別例では、CMVウイルス、Bacillus anthracis、Candida
、Cryptosporidium、EBV(Epstein-Barrウイルス)、G
iardia lamblia、Helicobacter pylori、Helic
obacter felis、Helicobacter fennelliae、He
licobacter cinaedi、Mycobacterium avium、H
erpes varicella zoster、Histoplasma、及びTox
oplasmaのような疾患関連の細菌、パソビオント、または病原体は、胃中に主に存
在する。
【0363】
健常な微生物群は、例えば、腸内障壁を増強することによって、潜在的病原菌または疾
患関連の細菌の競争的排除によって、ならびに細菌性病原体及び疾患関連の細菌の増殖阻
害によって、宿主を保護する。健常な微生物群は、バクテリオシン及び酸を含む抗菌性物
質の産生を通して病原体及び疾患関連の細菌における直接的な抗菌作用を発揮し得る(C
otter P D,et al.2005 Nat Rev,3:777-788、S
ervin A L,2004 FEMS Microbiol Rev,28:405
-440)。抗菌性物質は、病原体または疾患関連の細菌の増殖を阻害するために、単独
でまたは相乗的にそれらの作用を発揮する。健常な細菌群は、胃腸の内腔への病原体及び
それらの毒素の両方の付着を減少し得る。
【0364】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、胃腸管に存在する1つ以上の細菌分類群
、例えば、胃腸管内に見出され得る、Bacteroides、Odoribacter
、Parabacteroides、Alistipes、Blautia、Clost
ridium、Coprococcus、Dorea、Eubacterium、Lac
hnospira、Roseburia、Ruminococcus、Faecalib
acterium、Oscillospira、及びSubdoligranulumの
属に属する細菌の増殖を調節する(例えば、増加または減少する)ことができる。いくつ
かの実施形態では、グリカン治療剤は、1つ以上の細菌分類群、例えば、健常な胃腸状態
と関連すると考えられる細菌、例えば、Akkermansia、Anaerofilu
m、Bacteroides、Blautia、Bifidobacterium、Bu
tyrivibrio、Clostridium、Coprococcus、Diali
ster、Dorea、Fusobacterium、Eubacterium、Fae
calibacterium、Lachnospira、Lactobacillus、
Phascolarctobacterium、Peptococcus、Peptos
treptococcus、Prevotella、Roseburia、Rumino
coccus、及びStreptococcusの属のうちの1つ以上、ならびに/また
はAkkermansia municiphilia、Christensenell
a minuta、Clostridium coccoides、Clostridi
um leptum、Clostridium scindens、Dialister
invisus、Eubacterium rectal、Eubacterium
eligens、Faecalibacterium prausnitzii、Str
eptococcus salivarius、及びStreptococcus th
ermophilusの種のうちの1つ以上の増殖を調節する(例えば、増加または減少
する)ことができる。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、1つ以上の細菌分類
群、Verrucomicrobia門の分類群、例えば、Akkermansia属の
分類群の増殖を調節する(例えば、増加または減少する)ことができる。
【0365】
いくつかの実施形態では、小腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調節する
(例えば、増加または減少する)。例えば、グリカン治療剤は、例えば、Actinob
acteria、Firmicutes(Bacilli、Clostridia)、及
びProteobacteria(Alphaproteobacteria、Beta
proteobacteria)等の小腸に主に存在する1つ以上(2つ、3つ、4つ、
5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上)の細菌分類群を調節する。いく
つかの実施形態では、グリカン治療剤は、Cryocola、Mycobacteriu
m、Enterococcus、Lactococcus、Streptococcus
、Turicibacter、Blautia、Coprococcus、Holdem
ania、Pseudoramibacter Eubacterium、Agroba
cterium、Sphingomonas、Achromobacter、Burkh
olderia、及びRalstoniaの属から選択される小腸に主に存在する1つ以
上(2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上)の細菌
分類群を調節する。
【0366】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、大腸に主に存在する1つ以上の細菌分類
群の増殖を調節する(例えば、増加または減少する)。例えば、グリカン治療剤は、例え
ば、Bacteroidetes、Firmicutes(Clostridia)、V
errucomicrobia、及びProteobacteria(Deltapro
teobacteria)等の大腸に主に存在する1つ以上(2つ、3つ、4つ、5つ、
6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上)の細菌分類群を調節する。いくつかの
実施形態では、グリカン治療剤は、Bacteroides、Butyricimona
s、Odoribacter、Parabacteroides、Prevotella
、Anaerotruncus、Phascolarctobacterium、Rum
inococcus、Bilophila、及びAkkermansiaの属から選択さ
れる大腸に主に存在する1つ以上(2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、
10、またはそれ以上)の細菌分類群を調節する。
【0367】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、例えば、Actinobacteria
、Bacteroides、Bacilli、Clostridia、Mollicut
es、Alpha Proteobacteria、及びVerrucomicrobi
a等の盲腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加または
減少する)。
【0368】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、例えば、Actinobacteria
、Bacteroides、Bacilli、Clostridia、Fusobact
eria、Beta Proteobacteria、Delta/Epsilon P
roteobacteria、Gamma Proteobacteria、及びVer
rucomicrobia等の上行結腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調
節する(例えば、増加または減少する)。
【0369】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、例えば、Actinobacteria
、Bacteroides、Clostridia、Mollicutes、Fusob
acteria、及びGamma Proteobacteria等のトラバース結腸に
主に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加または減少する)。
【0370】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、例えば、Bacteroides、Cl
ostridia,Mollicutes,Fusobacteria、Delta/E
psilon Proteobacteria、及びVerrucomicrobia等
の下行結腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加または
減少する)。
【0371】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、例えば、Actinobacteria
、Bacteroides、Bacilli、Clostridia、Mollicut
es、Alpha Proteobacteria、Beta Proteobacte
ria、及びVerrucomicrobia等のS状結腸に主に存在する1つ以上の細
菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加または減少する)。
【0372】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、例えば、Bacteroides、Cl
ostridia、Mollicutes、Alpha Proteobacteria
、Gamma Proteobacteria、及びVerrucomicrobia等
の直腸に主に存在する1つ以上の細菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加または減少
する)。
【0373】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90、10
0、150、200、または200超)の内因性共生微生物分類群、または例えば、Al
istipes、Akkermansia、Anaerofilum、Bacteroi
des、Blautia、Bifidobacterium、Butyrivibrio
、Clostridium、Coprococcus、Dialister、Dorea
、Fusobacterium、Eubacterium、Faecalibacter
ium、Lachnospira、Lactobacillus、Odoribacte
r、Oscillospira、Parabacteroides、Phascolar
ctobacterium、Peptococcus、Peptostreptococ
cus、Prevotella、Roseburia、Ruminococcus、St
reptococcus、及びSubdoligranulumを含む、外生的に投与さ
れる様々な属のプロバイオティクス細菌分類群の増殖を調節する(例えば、刺激/増加す
る、または抑制/減少する)。
【0374】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90、10
0、150、200、または200超)の内因性共生もしくは共生微生物分類群、または
例えば、本明細書に記載されるグリカン治療剤によって調節され得る胃腸の健康と関連す
ると考えられる、Akkermansia、Anaerofilum、Bacteroi
des、Blautia、Bifidobacterium、Butyrivibrio
、Clostridium、Coprococcus、Dialister、Dorea
、Fusobacterium、Eubacterium、Faecalibacter
ium、Lachnospira、Lactobacillus、Phascolarc
tobacterium、Peptococcus、Peptostreptococc
us、Prevotella、Roseburia、Ruminococcus、and
Streptococcus and of the species Akkerm
ansia municiphilia、Christensenella minut
a、Clostridium coccoides、Clostridium lept
um、Clostridium scindens、Dialister invisu
s、Eubacterium rectal、Eubacterium eligens
、Faecalibacterium prausnitzii、Streptococ
cus salivarius、及びStreptococcus thermophi
lusの属からなる群から選択される細菌分類群を含むが、これらに限定されない、外生
的に投与される様々な属のプロバイオティクス細菌分類群の増殖を調節する(例えば、刺
激/増加する、または抑制/減少する)。
【0375】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、表1中に列挙される1つ以上(例えば、
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、1
7、18、19、20、25、30、35、40、45、50、または50超)の属、種
、または系統発生分岐群の(または全胃腸の共同体における相対表現を実質的に増加する
もしくは実質的に減少する)増殖(及び総数)を調節する(例えば、実質的に増加するも
しくは実質的に減少する)。表1は、胃腸管の微生物の構成物質の属レベル表を提供する
。
【0376】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、表1、3、及び4中に列挙される1つ以
上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、または50
超)のOTU、属、種、または系統発生分岐群の全胃腸の共同体、大腸の共同体、または
小腸の共同体における増殖、例えば、総数または相対表現を実質的に増加する。
【0377】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、表1、3、及び4中に列挙される1つ以
上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、または50
超)のOTU、属、種、または系統発生分岐群の全胃腸の共同体、大腸の共同体、または
小腸の共同体における増殖、例えば、総数または相対表現を実質的に減少する。
【0378】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、表1、3、及び4中に列挙される1つ以
上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、または50
超)のOTU、属、種、または系統発生分岐群の全胃腸の共同体、大腸の共同体、または
小腸の共同体における増殖、例えば、総数または相対表現を実質的に増加及び減少する。
【0379】
いくつかの実施形態では、食物源としてグリカン治療剤を利用することができる選択さ
れた細菌群においてのみ基質であるグリカン治療剤が、本明細書に提供される。次いで、
グリカン治療剤の分解は、宿主の健康における有益な効果を発揮する。有益な健康効果は
、食物源としてグリカン治療剤を利用することができ、宿主への健康上の利益を与える胃
腸の微生物叢における選択された数の微生物の属、種、または菌株の増殖及び/または生
物学的活性の選択的刺激によるものである。ある特定の実施形態では、グリカン治療剤の
効果は、胃腸管中の有益な細菌の増殖の選択的刺激によるものである。ある特定の分類群
の存在度のこのような増加及び減少は、常在微生物叢を「正規化する」、例えば、健康な
状態または均衡を回復するために十分であり得る。増加または減少は、薬学的グリカン治
療剤組成物の摂取の前にヒト対象中に存在する比率、または薬学的グリカン治療剤組成物
を使用しない対照群に関するものである。プレバイオティクス指数(PI)は、本明細書
に記載されるグリカン治療剤の効果に対するプロキシとして使用することができる。PI
は、(Bifidobacteria/総細菌)+(Lactobacilli/総細菌
)-(Bacteroides/総細菌)-(Clostridia/総細菌)の合計に
関する(Palframan et al,2003,Lett Appl Micro
biol 37:281-284を参照のこと)。いくつかの実施形態では、Eubac
terium rectale/総細菌の比率もまた、考慮され得る。Eubacter
ium rectaleは、成人における腸内障壁に対して有利な酪酸塩を生成する。
【0380】
例えば、ある特定の細菌分類群の増殖の刺激は、結腸のpHを低下し、短鎖脂肪酸の生
成を増大し、病原微生物(障壁効果)の増殖及び接着を防止し、潜在的な癌原性アミノ化
化合物の代謝を増大し、及び/またはビタミンの生成を増大し得る。
【0381】
いくつかの実施形態では、ある特定の副作用がなく、または例えば、鼓腸、不快感、及
び/または膨満感を引き起こし得る増大したガス形成のような、発酵の症状の実質的減少
を有する、微生物叢によって(例えば、炭化水素発酵によって)消化され得るグリカン治
療剤が、本明細書に提供される。
【0382】
ある特定の実施形態では、ある特定の細菌分類群の比率またはそれらの相対的存在度が
、シフトされ得る。かかるシフトは、薬学的グリカン治療剤組成物の投与の前に対象中に
存在する比率、または薬学的グリカン治療剤組成物を使用しない対照群に関して測定され
得る。
【0383】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、胃腸管に存在する1つまたは限定された
数の潜在的に有益な細菌分類群に対して選択的な基質であり、それらの増殖及び/または
代謝活性を刺激する。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、特定の細菌分類群に
おいて、胃腸の微生物叢の組成を、より高いまたはより低い組成に変化させることができ
る。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、健康及び幸福に関連する胃腸細菌分類
群の増殖及び/または選択的活性を選択的刺激する。
【0384】
投与を必要とする対象に、微生物多様性を調節するのに有効な量で薬学的グリカン治療
剤組成物を投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、グリカン
治療剤の投与は、ヒト対象の胃腸管において(または具体的には、大腸または小腸におい
て)微生物多様性を調節する(例えば、増加または減少する)。多様性は、有効量のグリ
カン治療剤が投与されるときに、増加または減少し得る。
【0385】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、多様性を増大させる。いくつかの実施形
態では、グリカン治療剤は、多様性を軽減する。微生物多様性を調節する例示的なグリカ
ン治療剤は、glu100、ara100、xyl100、glu50gal50、及び
glu33gal33fuc33を含む。
【0386】
いくつかの実施形態では、腸内毒素症は、微生物叢をシフトし、不安な状態に達するた
めに、微生物多様性を増加または減少する。グリカン治療剤の投与は、微生物多様性を調
節し、それによって、腸内毒素症を治療することができる。いくつかの実施形態では、微
生物多様性が減少し、Akkermansia、Blautia、Bacteroide
s、Bifidobacterium Lactobacillus、及びParaba
cteroidesを含む、1つ以上、2つ以上、3つ以上、または4つ以上の細菌分類
群の存在度が増加する。
【0387】
微生物多様性は、本明細書に記載される16S rDNA配列の分析を含む、当該技術
分野において周知の任意の好適な方法によって測定され得る。多様性は、例えば、シャノ
ン多様性指数(シャノンエントロピー)、観察されたOTUの数、Chao1指数等を用
いて表され得る。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、評価基準としてシャノン
エントロピーを用いて表され得る、例えば、胃腸管の微生物共同体内の多様性を調節する
(例えば、増加または減少する)。
【0388】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、微生物多様性及び関連シャノンエントロ
ピーを0.0001%、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0
.05%、0.1%、0.5%、1%、5%、10%、50%、100%、500%、1
000%、5000%、または10000%増加する。いくつかの実施形態では、グリカ
ン治療剤は、微生物多様性及び関連シャノンエントロピーを(対数)1倍、2倍、3倍、
4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60
倍、70倍、80倍、90倍、100倍、またはそれ以上増加する。いくつかの実施形態
では、グリカン治療剤は、微生物多様性及び関連シャノンエントロピーを0.0001%
、0.0005%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、
0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、8
0%、90%、もしくは99%、またはそれ以上減少する。いくつかの実施形態では、グ
リカン治療剤は、微生物多様性及び関連シャノンエントロピーを(対数)1倍、2倍、2
倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、5
0倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、またはそれ以上減少する。
【0389】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、微生物多様性及び関連シャノンエントロ
ピーを少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15% 20%、25%、3
0%、35%、40%、45%、または少なくとも50%増加する。
【0390】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、微生物多様性及び関連シャノンエントロ
ピーを少なくとも(対数)0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、0.8倍、1倍、
1.2倍、1.5倍、1.8倍、または少なくとも2倍増加する。
【0391】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、微生物多様性及び関連シャノンエントロ
ピーを少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、15% 20%、25%、3
0%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または少な
くとも75%減少する。
【0392】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、微生物多様性及び関連シャノンエントロ
ピーを少なくとも(対数)0.2倍、0.3倍、0.4倍、0.5倍、0.8倍、1倍、
1.2倍、1.5倍、1.8倍、2倍、3倍、4倍、または少なくとも5倍減少する。
【0393】
本明細書に記載されるいくつかの方法は、宿主の免疫機能及び腸上皮細胞機能を調節す
るためにグリカン治療剤の投与を含む。グリカン治療剤は、例えば、感染と闘う宿主の能
力を改善するために免疫機能を上方調節し得るが、免疫機能の下方調節は、アレルギーの
発病または腸炎を予防し得る。調節された有益な細菌は、損傷した上皮障壁の回復、抗菌
性物質及び細胞保護タンパク質の産生、ならびにサイトカインにより誘導される腸上皮細
胞アポトーシスの妨害を含む、腸上皮細胞応答を刺激し得る。
【0394】
細菌は、宿主(哺乳動物)細胞からの炎症性及び抗炎症性反応の両方を引き起こすこと
ができ、異なる細菌種は、異なる宿主応答を引き起こすことができる。一実施形態では、
グリカン治療剤は、所望の宿主反応を引き起こすために細菌集団を変化させるために使用
される。宿主反応は、細菌手段との直接相互作用を介して、または分泌もしくは排出され
た細菌産物(例えば、短鎖脂肪酸)を介した間接相互作用を介して調節され得る。グリカ
ン治療剤は、細菌集団を変化させることができ、そのため、細菌集団が、宿主細胞との直
接相互作用または間接相互作用の際に、抗微生物ペプチド(AMP)の産生を刺激するか
、またはインターロイキン-1α(IL-1α)、IL-1β、IL-2、IL-4、I
L-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17A、IL-17F
、IL-22、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リ
ガンド5(CCL5、RANTESとしても知られている)、形質転換成長因子ベータ(
TGF-β)、インターロイキンガンマ(IFN-γ)を含む、炎症性及び免疫調節サイ
トカインを調節する(すなわち、その産生を増加または減少する)か、または他の固有の
もしくは適応免疫反応を調節する。
【0395】
いくつかの実施形態では、胃腸管の炎症状態は、グリカン治療剤の経口投与によって調
節される。いくつかの実施形態では、腸内のグリカン治療剤の細菌発酵は、短鎖脂肪酸(
SCFA)を生成する。腸内微生物叢によって生成されたSCFAは、結腸上皮細胞のた
めのエネルギー源としての役割を果たし、腸内障壁機能の維持の一因となると考えられ、
同様に、血漿内毒素レベルを制限し、全身性炎症を予防する(Cani et al.,
Changes in gut microbiota control inflam
mation in obese mice through a mechanism
involving GLP-2-driven improvement of g
ut permeability,Gut,2009,58:1091)。加えて、SC
FAは、制御T(Treg)細胞の生成を促進し、炎症反応を限定する一因となると考え
らえる(Arpaia et al.,Metabolites produced b
y commensal bacteria promote peripheral
regulatory T-cell generation,Nature,2013
,504:451)。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、例えば、遠位部位の
炎症状態を調節するために、SCFA及び他の微生物で生産された免疫調節分子または代
謝産物の全身的な効果を誘発するために投与される。
【0396】
グリカン治療剤は、有効な量で対象に投与されるとき、表2中に列挙されるもの等の1
つ以上の微生物代謝産物の産生を調節し得る。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤
は、有効な量で対象に投与されるとき、微生物代謝産物:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、イソ酪酸、バレリアン酸、イソバレリアン酸、アスコルビン酸、乳酸、トリプトファ
ン、セロトニン、及び/またはインドールのうちの1つ以上を調節する(例えば、増加ま
たは減少する)。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、有効な量で対象に投与さ
れるとき、微生物代謝産物:コハク酸、トリメチルアミン(TMA)、TMAO(トリメ
チルアミンN-オキシド)、デオキシコール酸、硫酸エチフェニル(ethypheny
l sulfate)、アセチルアルデヒド、過酸化水素、及び/またはブタンジオンの
うちの1つ以上を調節する(例えば、増加または減少する)。いくつかの実施形態では、
代謝産物の実質的増加または減少は、検出され得る。いくつかの実施形態では、グリカン
治療剤は、例えば、免疫調節(例えば、抗炎症性)に作用し得る酪酸塩、酢酸塩、及びプ
ロピオン酸塩等の短鎖脂肪酸、及び宿主の健康に良い効果をもたらし得るその他の代謝産
物(例えば、胆汁酸及び乳酸塩)の放出をもたらす、腸内微生物叢(例えば、Clost
ridia)によって消化される。
【0397】
グリカン治療剤は、有効な量で対象に投与されるとき、1つ以上の宿主経路を調節し得
る。短鎖脂肪酸(SCFA)は、Ruminocaccaceae及びLachnosp
iraceaeファミリーのメンバーを含む共生細菌によって腸内に生成される細菌代謝
産物である(Vital M,Howe AC,Tiedje JM.2014.Rev
ealing the bacterial butyrate synthesis
pathways by analyzing(meta)genomic data.
mBio 5(2):e00889-14.doi:10.1128/mBio.008
89-14)。SCFAは、多くのヒト免疫学的因子を調節する;例えば、プロピオン酸
塩、SCFA、マウスまたはインビトロでの増加した発現のFoxp3、結腸制御性T細
胞においてT細胞制御因子、及びIL-10、抗炎症性サイトカインでの処置を調節する
。さらに、SCFAへの曝露は、無菌マウスにおける結腸制御T細胞(cTregs)及
びCD4+T細胞の周波数及び数を増加することが示されている(Smith PM e
t al.2013.The microbial metabolites,shor
t chain fatty acids,regulate colonic Tre
g cell homeostasis.Science;341(6145)。SCF
Aは、ムチン産生及び胃腸ペプチドLL-37に影響を及ぼすことによって腸内障壁機能
を促進し、SCFAは、NF-kBならびにIL-6及びTNF-α等の炎症性サイトカ
インの産生を抑制することによって炎症をさらに調節する(Kim CH et al.
2014.Gut Microbiota-Derived Short-Chain
Fatty Acids,T Cells,and Inflammation.Imm
une Network 14(6):277-288)。いくつかの実施形態では、グ
リカン治療剤は、有効な量で投与されるときに、SCFAを生成する細菌種、例えば、R
uminocacceaeファミリー及び/またはLachnospiraceaeファ
ミリーの細菌種を調節する。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、宿主免疫及び
炎症を調節する。例えば、実施例8のインビトロアッセイでは、Ruminocacce
aeファミリーのメンバーであるROB.74の増殖は、15個のグリカンうちの13個
によって支持され、LachnospiraceaeファミリーのメンバーであるCSC
.32及びCNE.31の増殖は、それぞれ、15個のグリカンのうちの6個及び7個に
よって支持された。
【0398】
いくつかの実施形態では、胃腸管の微生物叢の機能的経路を調節する方法が提供される
。この方法は、ヒト対象に、機能的経路を調節するのに有効な量でグリカン治療調合剤を
含む薬学的組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、機能的経路は、微生
物叢によって表2中に列挙される、抗微生物薬剤、二次胆汁酸、短鎖脂肪酸、親鉄剤、ま
たは代謝産物の産生を調節する。いくつかの実施形態では、短鎖脂肪酸は、Rumino
caccaceae及び/またはLachnospiraceaeファミリーのうちの少
なくとも1つの細菌メンバーによって産生される。いくつかの実施形態では、対象は、肥
満である。
【0399】
いくつかの実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物は、1つ以上のポリフェノール
を含む。薬学的組成物中のグリカン治療調合剤及び1つ以上のポリフェノールは、付加的
または相乗的効果を有し得る。
【0400】
いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、胃腸管中の1つ以上の細菌の構成物質を
調節することができる(例えば、クランベリー抽出物からのポリフェノールについては、
Anhe FF et al. et al.“A polyphenol-rich
cranberry extract protects from diet-ind
uced obesity,insulin resistance and inte
stinal inflammation in association with
increased Akkermansia spp.population in
the gut microbiota of mice.” Gut.2014;ブル
ーベリー抽出物については、Guglielmetti S et al.“Diffe
rential modulation of human intestinal b
ifidobacterium populations after consump
tion of a wild blueberry(Vaccinium angus
tifolium)drink.J Agric Food Chem.2013;61
(34):8134-40、Lacombe A et al.“Phytochemi
cals in lowbush wild blueberry inactivat
e Escherichia coli O157:H7 by damaging i
ts cell membrane.” Foodborne Pathog Dis.
2013;10(11):944-50;ブドウ抽出物については、Choy YY e
t al.“Phenolic metabolites and substanti
al microbiome changes in pig feces by in
gesting grape seed proanthocyanidins.” F
ood Funct.2014;5(9):2298-308、Roopchand D
Eet al.“Dietary polyphenols promote grow
th of the gut bacterium Akkermansia muci
niphila and attenuate high fat diet-indu
ced metabolic syndrome.” Diabetes.2015;モ
モ及びプラム抽出物については、Noratto GD et al.“Carbohy
drate-free peach(Prunus persica)and plum
(Prunus domestica)juice affects fecal mi
crobial ecology in an obese animal model
.” PLoS One.2014;9(7):e101723;赤ワイン及び紅茶につ
いては、Kemperman RA,Gross G,Mondot S,et al.
Impact of polyphenols from black tea and
red wine/grape juice on a gut model mic
robiome.Food Res Int.2013,53(2):659-69;大
豆(マメ)については、Rafii F “The role of colonic
bacteria in the metabolism of the natura
l イソフラボンdaidzin to エクオル.” Metabolites.20
15 Jan 14:56-73)。
【0401】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤及びポリフェノール調合剤を含む薬学的
組成物は、1つ以上の細菌分類群、例えば、Verrucomicrobia門の細菌、
例えば、Akkermansia属の細菌の増殖を調節する(例えば、増加または減少す
る)。いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤及びポリフェノール調合剤を含む薬
学的組成物は、Akkermansia属を含むVerrucomicrobia門の細
菌の存在度を増加する
【0402】
いくつかの実施形態では、本組成物中のポリフェノールは、抗酸化機能を有する。いく
つかの実施形態では、本組成物中のポリフェノールは、抗細菌機能を有する。いくつかの
実施形態では、本組成物中のポリフェノールの抗酸化及び/または抗細菌機能は、胃腸管
に存在する1つ以上の細菌の存在度を調節する。
【0403】
いくつかの実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物は、例えば、病原体またはパソ
ビオント等の種のサブセットの増殖を阻害することによって、抗菌剤の役割を果たすポリ
フェノールを含む。(Puupponen-Pimia R et al.“Antim
icrobial properties of phenolic compound
s from berries.” 2001.Journal of Applied
Microbiology 90:494-507、Puupponen-Pimia
R et al.“Berry phenolics selectively in
hibit the growth of intestinal pathogens
.” 2005.Journal of Applied Microbiology
98:991-1000)。
【0404】
いくつかの実施形態では、本組成物中のポリフェノールは、胃腸管に存在する1つ以上
の細菌分類群に対して選択的な基質である(例えば、Selma MV et al.“
Interaction between Phenolics and Gut Mi
crobiota:Role in Human Health.” 2009.Jou
rnal of Agricultural and Food Chemistry
57:6485-6501、Deprez S et al.“Polymeric P
roanthocyanidins Are Catabolized by Huma
n Colonic Microflora into Low-Molecular-
Weight Phenolic Acids.” 2000.The Journal
of Nutrition 131:2733-2738、Tzounis X et
al.“Flavanol monomer-induced changes to
the human faecal microflora.” 2007.The
British Journal of Nutrition 99:782-792、
Kutschera M et al.“Isolation of catechin
-converting human intestinal bacteria.”
2011.Journal of Applied Microbiology 111
:165-175、Schneider H et al.“Anaerobic tr
ansformation of quercetin-3-glucoside by
bacteria from the human intestinal trac
t.” 1999.Archives of Microbiology 171:81
-91、Hein EM et al.“Deconjugation and Deg
radation of Flavonol Glycosides by Pig C
ecal Microbiota Characterized by Fluores
cence in Situ Hybridization(FISH).” 2008
.Journal of Agricultural and Food Chemis
try 56:2281-2290)。
【0405】
複数のグリカン治療調合剤をスクリーニングする方法
グリカン治療剤の効果を特徴付けるために、ある特定の微生物の構成物質の増殖を阻害
する(または拮抗する/抑制する)能力及び他の微生物の構成物質の増殖を促進する(ま
たは増加する)能力を含む、グリカン治療調合剤の有効性を示すインビトロでのマイクロ
プレートに基づくスクリーニングシステムが提供される。これらの方法は、胃腸マイクロ
バイオームの健康を改善し、かつ/または対象の健康を促進することができる新規のグリ
カン治療調合剤を提供する。いくつかの実施形態では、スクリーニング方法は、i)複数
のグリカン治療剤の調合剤を提供することと、ii)調合剤を1つ以上のスクリーニング
に供されることと、iii)スクリーニングに基づいてグリカン治療剤の調合剤を選択す
ることと、任意に、iv)選択されたグリカン治療剤の調合剤を単離することと、を含む
。好適な単一菌株のスクリーニング方法は、実施例において説明されている。他の好適な
スクリーニングは、当業者に周知であり、任意の必要な実験パラメータは、日常の実験の
みで調整され得る。
【0406】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、病原菌増殖の速度を有意に低下すること
ができ、かつ/または健常な胃腸管と関連する細菌共同体を部分的もしくは完全に回復さ
せることができる細菌の菌株の増殖を促進する。
【0407】
いくつかの実施形態では、有益な細菌の増殖を促進するグリカン治療剤が、提供される
。例示的なグリカンは、表8中に列挙される。いくつかの実施形態では、共生の増殖を促
進するグリカン治療剤は、gal100、glu100、xyl100、ara100、
ara50gal50、ara50xyl50、gal75xyl25、glu50ga
l50、man62glu38、glu33gal33fuc33、及びman52gl
u29gal19を含む。
【0408】
いくつかの実施形態では、病原性細菌の増殖を促進しないが、有益な細菌の増殖を促進
するグリカン治療剤が、提供される。例示的なグリカンは、表9中に列挙される。いくつ
かの実施形態では、共生選択的なグリカン治療剤(例えば、病原性細菌の増殖を上回って
共生細菌の増殖を優先的に促進するグリカン治療剤)は、gal100、glu100、
xyl100、ara50gal50、及びara50xyl50を含む。
【0409】
いくつかの実施形態では、さらに処理すること(例えば、それを薬学的組成物に製剤化
すること)のためにグリカン治療剤を選択すること、または単一菌株のスクリーニングを
用いてさらに試験すること(例えば、さらなる特徴を分析すること)を含む方法が、提供
される。例えば、グリカン治療剤は、Bacteroides caccae ATCC
43185、Prevotella copri DSM 18205、Bacter
oides thetaiotaomicron ATCC 29741、Bacter
oides cellulosilyticus DSM 14838、Clostri
dium scindens ATCC 35704、Ruminococcus ob
eum ATCC 29714、Clostridium nexile ATCC 2
7757、及びParabacteroides distasonis ATCC 8
503からなる群から選択される共生菌株の調合剤を補充した培地における増殖の促進に
ついて試験され得る。あるいはまたは加えて、グリカン治療剤は、Clostridiu
m difficile ATCC BAA-1382、Clostridium di
fficile ATCC 43255、Enterococcus faecium
ATCC 700221、及びSalmonella enterica ATCC 2
7869からなる群から選択される病原性菌株の調合剤を補充した培地における増殖の促
進について試験され得る。グリカン治療剤は、i)グリカン治療剤が少なくとも4つ、5
つ、または少なくとも6つの共生菌株の増殖を促進する、及びii)グリカン治療剤が3
、2、1以下、または0以下の病原性菌株の増殖を促進する、という基準のうちの1つま
たはそれらの両方を満たす場合に、さらなる処理または試験のために選択され得る。
【0410】
細菌増殖へのグリカン治療剤の効果はまた、別の場合では、インビトロアッセイにおい
て及び実験動物モデルを用いて試験され得る。細菌は、対象となる生態学的地位から得ら
れた試料(例えば、糞を含有する糞便試料)から収集され、当該技術分野において周知の
方法によって繁殖し得る。次いで、インビトロ増殖アッセイにおける競合は、対象となる
生態学的地位から細菌の増殖に適している条件、例えば、生態学的地位の自然環境、例え
ば、大腸及び小腸等の胃腸管またはそのサブセットを模倣し得る条件を用いて行われ得る
。かかる条件としては、好気性、嫌気性、低/高/中性pH、生理的温度(例えば、ヒト
体温)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0411】
いくつかの実施形態では、インビボアッセイは、胃腸管中の細菌増殖へのグリカン治療
剤の効果を検出するために行われる。グリカン治療調合剤が対象の胃腸管中の微生物集団
を調節するかどうかを決定するために、ヒト疾患のマウスモデル等の実験動物モデルが使
用され得る。マウスの微生物叢は、評価され及び特徴付けられ得る。定性的評価は、正常
マウスの胃腸管中の微生物共同体の16S rRNAプロファイリングを用いて達成され
得る。それはまた、完全ゲノムシークエンシング、全ゲノムショットガンシークエンシン
グ(WGS)、または従来の微生物学的技術によって達成され得る。定量的測定は、定量
的PCR(qPCR)を用いて、または従来の微生物学的技術を用い、コロニー形成を計
数することによって行われ得る。任意に、マウスは、胃腸の微生物叢が腸内毒素症を示す
障害のある胃腸の微生物叢の状態を模倣するために抗生物質による処置を受け得る。抗生
物質による処置は、かなりの数の細菌分類群の存在度の減少を含む、腸内共同体の分類学
的豊富度、多様性、及び均一性を軽減し得ることが知られている。(Dethlefse
n et al.,The pervasive effects of an ant
ibiotic on the human gut microbiota,as r
evealed by deep 16S rRNA sequencing,PLoS
Biology 6(11):3280(2008))。
【0412】
グリカン治療剤の様々な効果(例えば、細菌分類群の調節、微生物多様性の調節、薬物
誘導性症状の調節、及び治療効果(例えば、疾患関連の表現型の調節を評価する)を評価
するための)は、ある特定の疾患に対して好適な動物モデル、例えば、DSS-大腸炎マ
ウスモデル(例えば、炎症性または薬物誘導性の損傷と関連する疾患、障害、または状態
を評価するための)、食餌性肥満マウスモデル(例えば、代謝性疾患、障害、または状態
を評価するための)、及びC.ディフィシル感染症マウスモデル(例えば、感染または薬
物誘導性の損傷と関連する疾患、障害、または状態を評価するための)、及び例えば、薬
物療法(例えば、抗生物質レジメン、抗癌剤レジメン等)、または胃腸管の微生物叢の様
々な状態を評価するために、例えば、無繊維食、低繊維食、普通餌食、高脂肪食等のよう
な飼料の変化を受ける野生型マウスモデルにおいて評価され得る。
【0413】
いくつかの実施形態では、スクリーニング方法は、好適な実験動物モデルを用いて実施
される。例えば、グリカン治療剤の調合剤は、実験動物に投与され得、ある期間後、試料
は、実験動物の胃腸管から採取され、細菌分類群の増殖について分析される。実験動物は
、必要に応じて、グリカン治療剤の投与前に、またはそれと同時にコロニー形成を促進す
るために、病原体または他の細菌と接触され得る。いくつかの実施形態では、実験動物に
おいて、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または少なくと
も20の細菌分類群の増殖を調節する(例えば、増加または減少する)ことができる、グ
リカン治療剤の調合剤が、選択される。
【0414】
一実施形態では、動物モデルは、C.difficileマウスモデルであり、グリカ
ン治療剤は、Prevotella、Akkermansia、Bacteroides
、Clostridium(Erysipelotrichaceae)、Clostr
idium(Clostridiaceae)、Bifidobacterium、Ag
gregatibacter、Clostridium(Peptostreptoco
ccaveae)、Parabacteroides、Lactobacillus、及
びEnterococcusのうちの1つ以上を調節することができる。一実施形態では
、動物モデルは、無繊維及び普通餌の野生型マウスモデルであり、グリカン治療剤は、A
kkermansia及びBlautiaを調節することができる。いくつかの実施形態
では、治療用グリカンは、xyl100、glu100、glu33gal33fuc3
3、glu50gal50、またはara100である。
【0415】
いくつかの実施形態では、スクリーニングは、1つ以上の細菌分類群が増殖培地中で増
殖され、その増殖がグリカン治療剤の存在下でモニタリングされ、グリカン治療剤の不在
下での増殖と比較される、インビトロアッセイである。例えば、1、2、3、4、5、6
、7、8、9、10、15、20、30、40、または50の分類群のような任意の実際
の数の細菌分類群が、培地中で増殖され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1、
2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または少なくとも20の細菌分類群の増
殖を調節する(例えば、増加または減少する)、グリカン治療剤の調合剤が、選択される
。一実施形態では、スクリーニングは、単一菌株アッセイであり、グリカン治療剤は、表
8の少なくとも5つ、6つ、7つ、または8つの菌株を修正する表8中に列挙されるもの
から選択される。
【0416】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細菌の増殖は、接触から1時間、6時間、12時
間、18時間、24時間、48時間、または72時間後に、少なくとも2%、3%、4%
、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、
40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、
90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、1
70%、180%、190%、200%、250%、300%、350%、400%、4
50%、500%、600%、700%、800%、900%、または少なくとも100
0%増加する。
【0417】
他の実施形態では、1つ以上の細菌の増殖は、接触から1時間、6時間、12時間、1
8時間、24時間、48時間、または72時間後に、少なくとも1%、2%、3%、4%
、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、
40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、
90%、95%、96%、97%、98%、99%、または少なくとも99.9%減少す
る。
【0418】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤はまた、表2中に列挙される代謝産物からな
る群から選択される1つ以上の微生物代謝産物の濃度も調節する。いくつかの実施形態で
は、代謝産物の濃度は、接触から1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、48
時間、または72時間後に、少なくとも2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9
%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55
%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、110%、
120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、
200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、
700%、800%、900%、または少なくとも1000%増加する。他の実施形態で
は、代謝産物の濃度は、接触から1時間、6時間、12時間、18時間、24時間、48
時間、または72時間後に、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8
%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%
、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%
、97%、98%、99%、または少なくとも99.9%減少する。
【0419】
消化率は、本明細書に記載されるグリカン治療剤に対して確認され得るパラメータであ
る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるグリカン治療剤は、それらの消化率
を評価するためにスクリーニングされる。グリカン治療剤の消化率は、当該技術分野にお
いて周知の任意の好適な方法によって評価され得る。いくつかの実施形態では、消化率は
、生理的に適切なインビトロでの消化反応によって評価される。消化の異なる段階での試
料は、当該技術分野において周知であり、本明細書に記載される標準的なグリカン技術に
よって分析され得る。経時的に観察された無傷のグリカン治療剤の量をモニタリングする
ことによって、消化の半減期が計算され得る。好適なアッセイは、(例えば、ベンチマー
クのグリカンに対する)比較的消化率を評価するために、または絶対消化率を評価するた
めに使用することができる。
【0420】
グリカン治療剤の消化率は、調合剤のグリカン種における加水分解性グリコシド結合の
数または表現の関数である。グリコシド結合を加水分解することができる酵素は、通常、
特定の結合、立体化学、及びサブユニット組成に特異的である。ある特定の種類の加水分
解性結合、例えば、アルファ1,4;アルファ1,6、アルファ1,2;及びアルファ1
,6グリコシド結合は、特定の微生物酵素(例えば、アルファ-グルコシダーゼ、シクロ
マルトデキストリナーゼ、ネルプルナナーゼ(neopullunanase)、グルカ
ノトランスフェラーゼ、トレハロヒドロラーゼ等)によって認識され、哺乳動物酵素に対
する基質ではない。グリカンの消化率は、例えば、重合度、分岐度、グリコシド結合の種
類、結合の位置、グリカン単位(複数を含む)(例えば、単糖類)のアノマー配置(例え
ば、L-またはD-配置、アルファ/ベータ配置)、及びグリカン単位の組成を含む、多
くの因子に応じて異なる。例えば、フラノシドは、概して、ピラノシドよりも加水分解の
影響を受けやすい。デオキシ糖は、概して、非デオキシ糖よりも酸に不安定である。ウロ
ン酸は、概して、非ウロン酸単糖類ほど加水分解に影響を受けない。分岐は、ヒト酵素に
よる消化を防ぎ、概して、分子が大きいほど、結腸において発酵速度(消化率)が低くな
ることが観察される。これらの特徴は、概して、ヒトグリコシダーゼによる不消化を促進
し、微生物叢による選択的発酵または消化を促進し得る。
【0421】
いくつかの実施形態では、経口投与され、腸に達する薬学的グリカン治療剤組成物は、
宿主の腸(または腸の特定領域)内の所望の消化率を有する複数のグリカン種の混合物を
含む。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、哺乳動物酵素に消化されず、微生物
酵素によってのみ加水分解され得る。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、ヒト
によって代謝され得ず、ヒトの微生物叢によってのみ代謝可能(または発酵可能)である
。
【0422】
異なる微生物分類群は、異なる加水分解酵素を有する。いくつかの実施形態では、グリ
カン治療剤は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の共生細菌種、例えば、
Bacteroides caccae ATCC 43185、Prevotella
copri DSM 18205、Bacteroides thetaiotami
cron ATCC 29741、Bacteroides cellulosilyt
icus DSM 14838、Clostridium scindens ATCC
35704、Ruminococcus obeum ATCC 29714、Clo
stridium nexile ATCC 27757、及びParabactero
ides distasonis ATCC 8503によるインビトロの単一菌株消化
性アッセイにおいて発酵性である。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、1つ、
2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の病原性種、例えば、Clostridium
difficile ATCC BAA-1382、Clostridium dif
ficile ATCC 43255、Enterococcus faecium A
TCC 700221、及びSalmonella enterica ATCC 27
869によるインビトロの単一菌株消化性アッセイにおいて非発酵性である。いくつかの
実施形態では、グリカン治療剤は、特定の細菌分類群によるインビトロの単一菌株消化性
アッセイにおいて非発酵性である(例えば、少なくとも70%、80%、90%、95%
、または98%のグリカン調合剤が非発酵性である)が、分類群によるインビボの宿主の
好適な細菌生態学的地位(例えば、胃腸管またはその特定部位、例えば、結腸または腸)
において発酵性である。いくつかの実施形態では、細菌分類群は、Akkermansi
a、Bacteroides、Bifidobacterium、Lactobacil
lus、及びParabacteroidesを含む。発酵性は、例えば、インビトロま
たはインビボでの細菌分類群の増殖をモニタリングすることによって測定することができ
る。
【0423】
いくつかの実施形態では、グリコシド結合の加水分解は、酵素によって触媒され、触媒
速度は、当該技術分野において周知の任意の好適な手段によって測定することができ、そ
の速度は、別の酵素の速度と比較することができる。高速度の加水分解、グリカン単位の
転移、及び/またはグリカン単位の修正は、その結合が酵素の好適な基質であることを示
唆し得る。加水分解の容易さは、高速度の触媒反応によって表され得る。他の結合は、酵
素または一組の酵素と不適合であり、それらは加水分解するのが困難である。いくつかの
実施形態では、消化率(半減期と表される)は、30分以下、20分以下、15分以下、
10分以下、5分以下、4分以下、3分以下、2分以下、または1分以下である。いくつ
かの実施形態では、消化率(半減期と表される)は、30分以上、45分以上、1時間以
上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、5時間以上、または10時間以上である。い
くつかの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、哺乳動物アミラーゼ酵素によって加
水分解性がある1%未満、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、
12%、14%、16%、18%、20%、30%、40%、または50%未満の結合を
含む。消化率はまた、胃内消化の半減期によっても評価され得る。
【0424】
細菌の構成物質の同定
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物は、対象
に、胃腸管における有益な細菌の増殖を増加させ、かつ/または病原体の増殖を減少させ
るために投与される。いくつかの実施形態では、微生物共同体は、健康な状態の微生物共
同体に対するグリカン治療剤によってシフトされる。胃腸管で生じる微生物の変化は、当
該技術分野において周知であり、本明細書に記載される任意の数の方法を用いて分解され
得る。
【0425】
グリカン治療調合剤が胃腸管内の細菌の集団のシフトをもたらすかどうかを判定するた
めのある定量的な方法として、定量的PCR(qPCR)が行われ得る。ゲノムDNAは
、製造業者の取扱説明書に従って、または当業者に周知の他の標準的な方法によって、市
販のキット、例えば、Mo Bio Powersoil(登録商標)-htp 96ウ
ェルSoil DNA単離キット(Mo Bio Laboratories,Carl
sbad,CA)、MoBio Powersoil(登録商標)DNA単離キット(M
o Bio Laboratories,Carlsbad,CA)、またはQIAam
p DNA Stoolミニキット(QIAGEN,Valencia,CA)を用いて
試料から抽出することができる。
【0426】
いくつかの実施形態では、qPCRは、HotMasterMix(5PRIME,G
aithersburg,MD)及びある特定の(例えば、有益なまたは所望の)細菌に
特異的なプライマーを用いて行われ得、バーコード付きのMicroAmp(登録商標)
Fast Optical 96ウェル反応プレート(0.1mL)(Life Tec
hnologies,Grand Island,NY)で行われてもよく、FAM及び
ROXチャンネルで蛍光読み取りを行うCFX96(商標)Real-Time Sys
tem(BioRad,Hercules,CA)を取り付けたBioRad C100
0(商標)Thermal Cyclerで行われ得る。FAMチャンネルでの各ウェル
のCq値は、CFX Manager(商標)ソフトウエア バージョン2.1によって
決定される。所定の試料のCq値を標準曲線から作成された線形回帰モデルに入力して、
標準曲線のウェルのCq値をそれらの試料の既知のlog10(cfu/ml)に比較す
ることにより、各実験試料のlog10(cfu/ml)が計算される。当業者は、代替
のqPCRモードを利用してもよい。
【0427】
いくつかの実施形態では、微生物の構成物質は、微生物の16S小サブユニットのリボ
ソームRNA遺伝子(16S rRNA遺伝子)のDNA配列を特徴付けることによって
同定される。16S rRNA遺伝子は、約1,500のヌクレオチド長であり、概して
、生物にわたって高度に保存されているが、ほとんどの生物の種及び菌株分類群を分化す
るために十分なヌクレオチド多様性を宿す特異的な可変及び超可変領域(V1~V9)を
含有する。細菌におけるこれらの領域は、命名法の大腸菌系に基づいたナンバリングをも
ちいて、それぞれヌクレオチド69~99、137~242、433~497、576~
682、822~879、986~1043、1117~1173、1243~1294
、及び1435~1465によって定義される。(例えば、Brosius et al
.,Complete nucleotide sequence of a 16S
ribosomal RNA gene from Escherichia coli
,PNAS 75(10):4801-4805(1978)を参照のこと)。
【0428】
微生物群衆の組成は、完全16S rRNA遺伝子、またはこの遺伝子のV1、V2、
V3、V4、V5、V6、V7、V8、及びV9領域のうちの少なくとも1つのシークエ
ンシングによって、またはこの遺伝子からの可変両機の任意の組み合わせ(例えば、V1
~3またはV3~5)のシークエンシングによって推定され得る。一実施形態では、V1
、V2、及びV3領域は、微生物叢を特徴付けるために使用される。別の実施形態では、
V3、V4、及びV5領域は、微生物叢を特徴付けるために使用される。別の実施形態で
は、V4領域は、微生物叢を特徴付けるために使用される。
【0429】
互いに少なくとも97%同一性である配列は、操作的分類単位(OTU)にグループ化
される。97%類似性を有する配列を含むOTUは、ほぼ種レベルの分類群に相当する。
各OTUから少なくとも1つの代表的な配列が選択され、高度に精選された16S rR
NA遺伝子配列の参照データベース(GreengenesまたはSILVAデータベー
ス等)との比較によってOTUに対する分類的な割り当てを得るために使用される。微生
物共同体におけるOTU間の関係は、各OTUからの代表的な配列から系統樹を構築する
ことによって推定され得る。
【0430】
既知の技術を用いて、完全16S配列または16S配列の任意の可変領域の配列を決定
するために、ゲノムDNAが細菌試料から抽出され、16S rRNA(完全領域または
特定の可変領域)がポリメラーゼ鎖反応(PCR)から増幅され、PCR産物が清浄され
、ヌクレオチド配列は、16S rRNA遺伝子の遺伝的組成物またはこの遺伝子の可変
領域を決定するために詳細に記述される。完全な16Sシークエンシングが行われる場合
、使用されるシークエンシング法は、Sangerシークエンシングであり得るが、これ
に限定されない。V4領域等の1つ以上の可変領域が使用される場合、シークエンシング
は、Sanger法を用いて、またはIllumina法等の次世代シークエンシング法
を用いて行われ得るが、これらに限定されない。16S rRNA遺伝子の保存領域にア
ニールするように設計されたプライマー(例えば、V4領域の増幅のための515F及び
805Rプライマー)は、同時に複数の微生物共同体を特徴付けることができるように固
有のバーコード配列を含み得る。
【0431】
微生物組成を同定するための別の方法としては、ヌクレオチドマーカーまたは遺伝子、
具体的には、高度の保存された遺伝子(例えば、「ハウスキーピンング」遺伝子)、もし
くはこれらの組み合わせ、または全ゲノムショットガン配列(WGS)の特徴である。明
確な方法を用いて、細菌試料から抽出されたDNAは、PCRを用いて増幅され、増幅し
た産物のヌクレオチド配列を決定するためにシークエンシングされた特定のゲノム領域を
有するであろう。WGS法では、抽出されたDNAは、(300~約40,000ヌクレ
オチドから)様々な長さの部分に断片化され、増幅することなく直接シークエンシングさ
れよう。配列データは、Sanger、Illumina、454 Life Scie
nces、Ion Torrent、ABI、Pacific Biosciences
、及び/またはOxford Nanoporeが挙げられるが、これらに限定されない
、任意のシークエンシング技術を用いて作成され得る。
【0432】
16S rRNA遺伝子に加えて、所与の種または分類学的群においてマーカー遺伝子
であることが周知である選択された一組の遺伝子を分析して、微生物共同体の組成を評価
する。あるいは、これらの遺伝子は、PCR系スクリーニング戦略を用いてアッセイされ
る。例えば、様々な菌株の病原性大腸菌は、非耐熱性(LTI、LTIIa、及びLTI
Ib)及び耐熱性(STI及びSTII)毒素、ベロ毒素型1、2、及び2e(それぞれ
、VT1、VT2、及びVT2e)、細胞毒性壊死性因子(CNF1及びCNF2)、a
ttaching and effacing機序(eaeA)、腸管凝集性機序(Ea
gg)、及び侵入性機序(Einv)をコードする遺伝子を用いて区別される。マーカー
遺伝子の使用により微生物共同体の分類学的組成物を決定するために使用される最適な遺
伝子は、配列ベースの分類学的同定の当業者にはよく知られている。
【0433】
微生物の全ゲノムシークエンシング(WGS)のためのシークエンシングライブラリー
は、細菌ゲノムDNAから調製され得る。ヒトまたは実験動物試料から単離されているゲ
ノムDNAについては、DNAは、任意に、市販のキット、例えば、NEBNext M
icrobiome DNA濃縮キット(New England Biolabs,I
pswich,MA)または他の濃縮キットを用いて、細菌DNAに対して濃縮され得る
。シークエンシングライブラリーは、製造業者の取扱説明書に従って、市販のキット、例
えば、Nextera Mate-Pair試料調製キット、TruSeq DNA P
CR-FreeもしくはTruSeq Nano DNA、またはNextera XT
試料調製キット(Illumina,San Diego,CA)を用いてゲノムDNA
から調製され得る。あるいは、ライブラリーは、Illuminaシークエンシングプラ
ットフォームに適合する他のキット、例えば、NEBNext DNAライブラリー構築
キット(New England Biolabs,Ipswich,MA)を用いて調
製され得る。次いで、ライブラリーは、MiSeq、HiSeq、またはNextSeq
シ-ケンサー(Illumina,San Diego,CA)が挙げられるが、これら
に限定されない、標準的なシークエンシング技術を用いてシークエンシングされ得る。
【0434】
あるいは、全ゲノムショットガン断片ライブラリーは、当該技術分野に標準的な方法を
用いて調製した。例えば、ショットガン断片ライブラリーは、GS FLX Titan
ium Rapidライブラリー調製キット(454 Life Sciences,B
ranford,CT)を用いて構築し、GS FLX Titanium emPCR
キット(454 Life Sciences,Branford,CT)を用いて増幅
し、454シ-ケンサー(454 Life Sciences,Branford,C
T)上で標準的な454パイロシークエンシングプロトコルに従ってシークエンシングし
得る。
【0435】
細菌RNAは、RiboPure Bacterial RNA精製キット(Life
Technologies,Carlsbad,CA)等の市販のキットによって細菌
を含む微生物培地または試料から単離され得る。細菌RNAの単離のための別の方法は、
tRNAの除去による細菌RNAの精製した試料におけるmRNAの濃縮を含み得る。あ
るいは、RNAは、Nextera XT試料調製キット(Illumina,San
Diego,CA)等の標準的な方法を用いてシークエンシングライブラリーを生成する
ために使用される、cDNAに変換され得る。
【0436】
核酸配列は、配列相同性及び系統発生置換法または2つの戦略の組み合わせを用いて、
分類学的割り当てを明らかにするために分析される。類似のアプローチは、タンパク質名
、タンパク質機能、転写因子名、及び核酸配列については任意の他の分類図解に注釈を付
けるために使用される。配列相同性に基づいた方法は、BLAST、BLASTx、tB
LASTn、tBLASTx、RDP分類器、DNAclust、RapSearch2
、DIAMOND、USEARCH、及びQIIMEまたはMothur等のこれらのア
ルゴリズムの様々な実装を含む。これらの方法は、参照データベースへの配列読み出しを
マッピングし、最良の一致を選択する。一般的なデータベースは、分類学的割り当てにつ
いては、KEGG、MetaCyc、NCBI非冗長性データベース、Greengen
es、RDP、及びSilvaを含む。機能的割り当てについては、読み出しは、COG
、KEGG、BioCyc、MetaCyc、及び炭水化物活性酵素(CAZy)データ
ベース等の様々な機能的データベースにマッピングされる。微生物分岐群は、MetaP
hlAnを含むソフトウェアを用いて割り当てられる。
【0437】
微生物集団のプロテオーム分析
グリカン治療剤の調製は、健康な状態と関連する微生物タンパク質の発現を増加させる
、または病的状態と関連する微生物タンパク質の発現を減少する能力に基づいて選択され
得る。微生物集団のプロテオーム分析は、当業者に周知のプロトコルに従って行われ得る
(例えば、Cordwell,Exploring and exploiting b
acterial proteomes,Methods in Molecular
Biology,2004,266:115)。特異的に発現されたタンパク質を同定す
るために(例えば、グリカン治療剤による微生物集団の処置の際にタンパク質発現の変化
を同定するために)、プロテオーム分析は、例えば、Justeら(Bacterial
protein signals are associated with Cro
hn’s disease,Gut,2014,63:1566)に記載されるように行
われ得る。例えば、タンパク質は、2つの試料(例えば、未処置の微生物集団及びグリカ
ン治療剤により処置されている集団)の微生物溶解物から単離される。各タンパク質試料
は、標識され(例えば、蛍光色素、例えば、Cy3またはCy5 CyDye DIGE
Fluor最小色素を用いて、GE Healthcare)、二次元ディファレンス
ゲル電気泳動(2D-DIGE)によって分析される。ゲルが染色され、2つの試料間で
有意に異なると同定されるタンパク質スポットが、切除され、消化され、液体クロマトグ
ラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)によって分析される。X!Tande
mPipeline(http://pappso.inra.fr/bioinfo/
xtandempipeline/)は、異なった形で発現したタンパク質を同定するた
めに使用され得る。
【0438】
グリカン治療剤の調合剤はまた、微生物の発酵産物の存在におけるそれらの効果に基づ
いてヒト対象への投与のために選択され得る。例えば、グリカン治療剤の調合剤は、プロ
ピオン酸塩(プロピオン酸)、酢酸塩、及び/または酪酸塩(酪酸)等の短鎖脂肪酸を生
成する細菌の増殖を誘導または促進するそれらの能力のために選択され得る。同様に、グ
リカン治療剤の調合剤は、酸性環境を生成することにより他の細菌の増殖を調節すること
ができる、乳酸を生成する細菌の増殖を誘導または促進するそれらの能力のために選択さ
れ得る。そのような分析はまた、グリカン治療剤を用いてプロバイオティクス細菌を対に
するために使用され得、そのため、グリカン治療剤は、所望の発酵産物の生成のための基
質である。
【0439】
未使用もしくは使用済みの培養培地またはヒトから収集された生物学的試料に存在する
代謝産物は、本明細書に記載される方法を用いて決定され得る。質量分析法と組み合わさ
れたガスまたは液体クロマトグラフィー、または1H-NMR等の、試料中の代謝産物の
相対濃度を決定するために使用され得、当業者に知られている、公平な方法。これらの測
定は、同じ分析システムを通して代謝産物の標準物を泳動させることによって確認され得
る。
【0440】
ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)または液体クロマトグラフィー-質
量分析(LC-MS)の分析の場合、極性代謝産物及び脂肪酸は、有機溶媒及び水性試料
の単相または二相系を用いて抽出され、誘導体化され得る(Fendt et al.,
Reductive glutamine metabolism is a func
tion of the α-ketoglutarate to citrate r
atio in cells,Nat Commun,2013,4:2236、Fen
dt et al.,Metformin decreases glucose ox
idation and increases the dependency of
prostate cancer cells on reductive gluta
mine metabolism,Cancer Res,2013,73:4429、
Metallo et al.,Reductive glutamine metab
olism by IDH1 mediates lipogenesis under
hypoxia,Nature,2011,481:380)。極性代謝産物の誘導体
化のための例示的なプロトコルは、ピリジン中の2% 塩酸メトキシルアミンを用いた代
謝産物のインキュベーション、続いて、N-tert-ブチルジメチルシリル-N-メチ
ルトリフルオロアセトアミド(MTBSTFA)と1% tert-ブチルジメチルクロ
ロシラン(t-BDMCS)の添加によるメトキシム-tBDMS誘導体の形成を含む。
トリアシルグリセリド及びリン脂質を含む非極性画分は、遊離脂肪酸に鹸化し、エステル
化して、例えば、メタノール中の2% H2SO4によるインキュベーションによって、
またはメチル-8試薬(Thermo Scientific)を用いることによって脂
肪酸メチルエステルを形成し得る。次いで、誘導体化した試料は、標準的なLC-MS法
を用いたGC-MS、例えば、質量分析(MS)と適合してガスクロマトグラフ(GC)
上に設置されたDB-35MSカラム(30m×0.25mm内径×0.25μm、Ag
ilent J&W Scientific)によって分析され得る。質量アイソトポマ
ー分布は、代謝産物イオン断片を積分することによって判定され、Fernandezら
(Fernandez et al.,Correction of 13C mass
isotopomer distributions for natural st
able isotope abundance,J Mass Spectrom,1
996,31:255)から適合されたアルゴリズム等の標準アルゴリズムを用いて天然
存在度について修正され得る。液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)の場合
、極性代謝産物は、SeQuant ZIC-pHILIC Polymericカラム
(2.1×150mm;EMD Millipore)等のカラムが装備されている標準
的なベンチトップLC-MS/MSを用いて分析され得る。分離のために使用される例示
的な移動相は、特定のpH値に調整された緩衝液及び有機溶媒を含み得る。
【0441】
組み合わせてまたは別の方法では、抽出された試料は、1H-核磁気共鳴(1H-NM
R)によって分析され得る。試料は、任意に、緩衝溶液(例えば、D2O中のNa2HP
O4、NaH2PO4、pH7.4)の存在下で、D2O等の同位体的に濃縮された溶媒
と組み合わせられ得る。試料はまた、較正及び化学シフト決定のための参照基準物(例え
ば、5mMの2,2-ジメチル-2-シラペンタン-5-スルホン酸ナトリウム塩(DS
S-d6,Isotec,USA))を補充し得る。分析の前に、溶液は、濾過または遠
心分離して、いかなる堆積物または沈殿物を除去し、次いで、分析のために好適なNMR
チューブまたは容器(例えば、5mmのNMRチューブ)に移動させてもよい。1H-N
MRスペクトルは、標準的なNMR分光器、例えば、5mmのQXI-Z C/N/P
プローブ-ヘッド)が装備され、スペクトル積分ソフトウェア(例えば、Chenomx
NMR Suite 7.1;Chenomx Inc.,Edmonton,AB)
で分析される、Avance II+500 Bruker分光器(500MHz)(B
ruker,DE)において獲得され得る。(Duarte et al.,1H-NM
R protocol for exometabolome analysis of
cultured mammalian cells,Methods Mol Bi
ol,2014:237-47)。あるいは、1H-NMRは、当該技術分野において周
知の他の刊行されたプロトコルに従って行われ得る(Chassaing et al.
,Lack of soluble fiber drives diet-induc
ed adiposity in mice,Am J Physiol Gastro
intest Liver Physiol,2015、Bai et al.,Com
parison of Storage Conditions for Human
Vaginal Microbiome Studies,PLoS ONE,2012
:e36934)。
【0442】
治療の方法
ヒト対象を治療するための方法が、本明細書に提供される。これらの方法は、いくつか
の実施形態では、i)胃腸の微生物叢の腸内毒素症に罹患している、または罹患している
疑いがあるヒト対象を同定すること、及びii)ヒト対象に、腸内毒素症を治療するのに
有効な量でグリカン治療調合剤を含む薬学的組成物を投与すること、のうちの1つまたは
それらの両方を含む。
【0443】
本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物は、それを必要とするヒトへの投与
に適している。ある特定の実施形態では、対象は、望ましくない病原体または1つ以上の
望ましくない細菌分類群の異常増殖、主要な健康関連の細菌分類群の標示の減少、健常な
個体と比較して微生物種の多様性の減少もしくは増大、または有益な細菌の存在度全体の
減少が挙げられるが、これらに限定されない、胃腸の微生物叢の腸内毒素症のうちの1つ
以上の症状を有するヒトである。
【0444】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、様々な疾患、障害、または状態の治療の
際に有益である。そのような疾患、障害、または状態は、微生物叢の腸内毒素症と関連し
得る。有益な微生物叢の減衰は、抗生物質、化学療法薬、及び他の腸内毒素症を誘発する
薬物もしくは治療(例えば、放射線治療)の使用、病原体感染、パラビオント活性、誤較
正されたカロリー摂取(例えば、高脂肪、高糖質)、誤較正された(消化されない)繊維
摂取(例えば、低または無繊維)、宿主因子(例えば、宿主遺伝子変化)等が挙げられる
が、これらに限定されない、様々な因子(例えば、遺伝的または環境)により生じ得る。
【0445】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態は、胃腸の微生物叢の腸内毒素症と
関連している。いくつかの実施形態では、腸内毒素症を治療することによって、この疾患
、障害、または状態が治療される。
【0446】
胃腸の微生物叢の腸内毒素症及び/または胃腸疾患、障害、もしくは状態と関連し得る
症状としては、おなら、胸やけ、胃のもたれ、膨満感、鼓腸、下痢、腹痛、筋けいれん、
吐き気、及び嘔吐が挙げられるが、これらに限定されない。胃腸に関連した軽度の消化問
題はまた、偶発的膨満感、下痢、便秘、おなら、または胃のもたれが含まれる。
【0447】
感染症
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の投与は、感染を軽減する。いくつかの実施
形態では、対象は、クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)を含む胃腸感染症
;バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症、感染性大腸炎、及びC.ディフィシル大
腸炎;真菌症、例えば、カンジダ・アルビカンス感染症、カンピロバクター・ジェジュニ
感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染症;下痢、例えば、クロストリジウム・ディフィシ
ル関連下痢(CDAD)、抗生物質関連下痢(AAD)、抗生物質誘導性下痢、旅行者下
痢(TD)、小児下痢、(急性)感染性下痢、結腸及び肝臓癌、アメーバ性肉芽腫;壊死
性腸炎(NEC)、及び小腸細菌異常増殖(SIBO);消化不良または非潰瘍性消化不
良;裂肛、肛門周囲膿瘍、及び痔瘻;憩室症または憩室炎;消化性潰瘍;ならびに胃腸炎
を含む、疾患、障害、または状態に罹患している、または罹患している疑いがある場合、
治療に適していることが同定される。
【0448】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、ク
ロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI);バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
感染症、感染性大腸炎、またはC.ディフィシル大腸炎に罹患している、または罹患して
いる疑いがある。
【0449】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、真
菌症、例えば、カンジダ・アルビカンス感染症、カンピロバクター・ジェジュニ感染症、
またはヘリコバクター・ピロリ感染症に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0450】
いくつかの実施形態では、胃腸管感染症は、細菌またはウイルス感染症、例えば、VR
E、C.difficile、大腸菌、Salmonella、Shigella、Ca
mpylobacter、Vibrioコレラ、Clostridium perfri
nges、Bacillus cereus、Vibrio parahemolyti
cus、Yersinia enterocolitica、Helicobacter
pylori、ロタウイルス、またはノロウイルス等による感染症である。
【0451】
いくつかの実施形態では、胃腸管感染症は、真菌感染症、例えば、Candida、A
spergillus、Mucor、Cryptococcus、Histoplasm
a、またはCoccidioides等による感染症である。
【0452】
いくつかの実施形態では、胃腸管感染症は、原虫感染症、例えば、Entamoeba
histolytica、Giardia lamblia、Cryptospori
dium parvum等による感染症である。
【0453】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、下
痢、例えば、クロストリジウム・ディフィシル関連下痢(CDAD)、抗生物質関連下痢
(AAD)、抗生物質誘導性下痢、旅行者下痢(TD)、小児下痢、及び(急性)感染性
下痢に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0454】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、壊
死性腸炎(NEC);胃腸炎;小腸細菌異常増殖(SIBO)、または胃腸管感染症に関
連する類似の疾患、障害、もしくは状態に罹患している、または罹患している疑いがある
。
【0455】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、結
腸癌、肝臓癌、アメーバ性肉芽腫;消化不良または非潰瘍性消化不良;裂肛、肛門周囲膿
瘍、及び痔瘻;憩室症または憩室炎;消化性潰瘍、または胃腸管の構造変化に関連する類
似の疾患、障害、もしくは状態に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0456】
いくつかの実施形態では、クロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)誘発性大
腸炎に罹患している対象は、本明細書に提供される方法に従って治療され得る。誘発性大
腸炎に罹患している対象は、水様性の下痢、筋けいれん、腹痛、食欲不振、倦怠感、発熱
、脱水症、下腹部圧痛、及び/または反跳痛を示し得る。患者の便におけるC.diff
icileの存在は、便培養法、グルタミン酸脱水素酵素酵素免疫測定法、C.diff
icile毒素に対する遺伝子を検出するためのPCRアッセイ、便細胞毒素アッセイ、
またはC.difficile毒素A及びBに対する酵素免疫測定法によって試験するこ
とができる。患者集団は、一次CDIに罹患している対象、再発性CDIに罹患している
対象、CDI関連下痢の異なる重症度(軽度、中等度、重度)に罹患している対象、なら
びに例えば、抗生物質による治療、広域スペクトル抗生物質による治療、病院もしくは長
期療養施設の居住、胃腸管の手術、結腸の疾患、弱毒化した免疫系、化学療法、高齢、腎
疾患、またはプロトンポンプ阻害剤の使用のような危険因子の存在によるCDIのための
危険にさらされている対象が含まれる。CDIのための標準治療は、メトロニダゾール、
フィダキソマイシン、またはバンコマイシン等の抗生物質を含む。治療はまた、プロバイ
オティクス、糞便移植、及び脱水症を予防するための液体を含み得る。疾患の消散は、下
痢の軽減(例えば、3回を超える形を成さない便を伴う24時間の不在)及び上に記載さ
れる他の症状の消散によって測定される。感染症のクリアランスは、C.diffici
leに対する陽性便試験の不在によって確認され得る。
【0457】
一実施形態では、方法は、病原体のコロニー形成を予防する、治療する、その症状を緩
和する、及び/または初期コロニー形成を予防する、もしくはそれを再発するために提供
される。いくつかの実施形態では、再発は、第1選択または標準治療の治療レジメン中、
またはその後に生じる。場合によっては、病原体負荷は、初めに標準治療の際に低減され
るが、その負荷は再度増加し始め得、疾患の再発を潜在的に誘発する。いくつかの実施形
態では、グリカン治療剤は、再発を予防するか、または1つ以上の再発の症状を治療する
ために、(例えば、初期治療レジメンの開始時に、その中、またはその後に)投与され得
る。いくつかの実施形態では、疾患関連の細菌、パソビオント、または病原体は、Bil
ophila wadsworthia、Campylobacter jejuni、
Citrobacter farmer、Clostridium difficile
、Clostridium perfringens、Clostridium tet
ani、Collinsella aerofaciens、Enterobacter
hormaechei、Enterococcus faecalis、Entero
coccus faecium、Escherichia coli、Fusobact
erium varium、Fusobacterium nucleatum、Hae
mophilus parainfluenzae、Klebsiella pneum
onia、Peptostreptococcus stomatis、Porphyr
omonas asaccharolytica、Pseudomonas aerug
inosa、Salmonella bongori、Salmonella ente
ric、Shigella boydii、Shigella dysenteriae
、Shigella flexneri、Shigella sonnei、Staph
ylococcus aureus、Streptococcus infantari
us、Vibrio cholera、及びYersinia enterocolit
icaの種からなる群から選択される。
【0458】
いくつかの実施形態では、疾患関連の細菌、パソビオント、または病原体は、Bilo
phila、Campylobacter、Candidatus、Citrobact
er、Clostridium、Collinsella、Desulfovibrio
、Enterobacter、Enterococcus、Escherichia、F
usobacterium、Haemophilus、Klebsiella、Lach
nospiraceae、Peptostreptococcus、Porphyrom
onas、Portiera、Providencia、Pseudomonas、Sa
lmonella、Shigella、Staphylococcus、Strepto
coccus、Vibrio、及びYersiniaの属を含む。
【0459】
一実施形態では、第1選択の薬物(例えば、バンコマイシン、メトロニダゾール、フィ
ダキソマイシン)により治療されている対象におけるC.ディフィシルの症状の再発を予
防する方法が、本明細書に提供される。本方法は、C.difficileに感染した対
象を同定するステップと、抗生物質を投与するステップと、対象に、C.ディフィシル感
染症と関連する1つ以上の症状の回帰を予防するために有効な量でグリカン治療剤を含む
薬学的組成物を投与するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、生存能力のある
C.difficile病原体は、抗生物質による治療後でさえ、対象の胃腸管内に残留
する(例えば、CFU数は、対象から採取された試料、例えば、糞試料中で検出可能であ
る)が、C.ディフィシル関連の症状は、著しく低減する。
【0460】
いくつかの実施形態では、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)のコロニー形成及び感
染を示す対象は、本明細書に提供される方法に従って治療され得る。Enterococ
cus属の細菌は、腸内の微生物叢の一般的なメンバーである。この属のバンコマイシン
耐性メンバーである、一般に、E.faecalis及びE.faeciumは、バンコ
マイシン耐性腸球菌(VRE)のコロニー形成及び感染を引き起こし得る。VREにより
コロニー形成した対象は、VRE陽性の糞便試料、直腸綿棒、直腸周囲綿棒、または別の
身体部位からの試料を示し得る。バンコマイシン耐性は、バンコマイシン耐性(Van)
遺伝子オペロンを検出する、細菌培地によってまたはPCRベースのアッセイによって評
価され得る。コロニー形成した対象は、無症候性であり得るが、この集団は、VREによ
る感染症に対する危険性が高まる。VRE感染症に罹患している対象は、下痢、発熱、悪
寒、尿管感染症(UTI)、菌血症、心内膜炎、腹腔内及び骨盤内感染症、呼吸器感染症
、または別の身体部位での感染症を示し得る。患者集団は、VREによりコロニー形成し
ている対象、VRE感染症を患っている対象、及び入院、長期療養施設の居住、長期の抗
生物質の使用、免疫抑制、手術、開放創、留置器具(例えば、静脈ラインもしくは導尿カ
テーテル)、または医療従事者としての雇用のような危険因子の存在による、VREによ
るコロニー形成もしくは感染の危険性がある対象を含む。VREのコロニー形成または感
染に対する標準的な予防策は、良好な衛生習慣(例えば、手洗い)への厳重な順守、及び
可能な限りの危険因子(例えば、留置装置の除去)の回避を含む。VREによりコロニー
形成しているが、VRE感染症を患っていない対象は、一般には、治療されない。VRE
感染症のための標準治療の選択肢は、標準抗生物質への耐性により限定されるが、多くの
VRE菌株に対する活性を保持することが実証されている、抗生物質、及び/またはキヌ
プリスチン-ダルホプリスチン、リネゾリド、ダプトマイシン、及びチゲサイクリン等の
抗生物質の組み合わせを含み得る。治療はまた、プロバイオティクスまたは支持療法も含
み得る。疾患の消散は、感染のクリアランス及び上に記載される他の症状の消散によって
測定される。感染またはコロニー形成のクリアランスは、関連性のある生物試料中のVR
E陽性試験の不在によって確認され得る。感染またはコロニー形成の予防は、同様の様式
で定量化され得る。
【0461】
炎症性疾患
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の投与は、炎症を軽減する。いくつかの実施
形態では、対象は、炎症性腸疾患を含む(IBD)胃腸感染症、潰瘍性大腸炎(UC)、
クローン病(CD)、小腸の特発性炎症、鑑別困難な大腸炎、回腸嚢炎;過敏性腸症候群
(IBS)、結腸及び肝臓癌、壊死性腸炎(NEC)、腸炎、便秘、顕微鏡的大腸炎、下
痢;移植片対宿主病(GVHD);(食物)アレルギー;偽膜性大腸炎;消化不良または
非潰瘍性消化不良;憩室症または憩室炎、虚血性大腸炎;放射線大腸炎または腸炎;コラ
ーゲン蓄積大腸炎;胃腸炎;及びポリープを含む、疾患、障害、または状態に罹患してい
る、または罹患している疑いがある場合、治療に適していることが同定される。
【0462】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、炎
症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、腸炎、顕微鏡的大
腸炎、または腸炎に関連する類似の疾患、障害、もしくは状態に罹患している、または罹
患している疑いがある。
【0463】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、小
腸の特発性炎症、鑑別困難な大腸炎、回腸嚢炎、偽膜性大腸炎、虚血性大腸炎、放射線大
腸炎(腸炎)、コラーゲン蓄積大腸炎、または腸炎に関連する類似の疾患、障害、もしく
は状態に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0464】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、胃
腸炎、移植片対宿主病(GVHD)、または(食物)アレルギーに罹患している、または
罹患している疑いがある。
【0465】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、過
敏性腸症候群(IBS)、便秘、下痢、消化不良、非潰瘍性消化不良、または変質した腸
管通過に関連する類似の疾患、障害、もしくは状態に罹患している、または罹患している
疑いがある。
【0466】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、結
腸癌、肝臓癌、壊死性腸炎(NEC);憩室症または憩室炎;ポリープ、または腸の構造
変化に関連する類似の疾患、障害、もしくは状態に罹患している、または罹患している疑
いがある。
【0467】
炎症性腸疾患(IBD)に罹患している対象は、腹部の痙攣及び疼痛、血性であり得る
下痢、排便の緊急性、便秘、吐き気、嘔吐、発熱、体重減少、食欲不振、及び/または血
液喪失による鉄欠乏性貧血を示し得る。IBDの症状は、症候性及び無症候性疾患の交互
の期間を有する炎症を生じ得る。IBDは、検便(下痢の感染原因の可能性を断ち切る、
便中の微量の血液を確認する、便中カルプロテクチン等のIBDと関連するバイオマーカ
ーを定量化するために)、炎症のレベルを評価するための完全血球算定、C反応性タンパ
ク質(CRP)及び核周囲抗好中球細胞質抗体(pANCA)を含むバイオマーカーを評
価するための血液検査、バリウムX線、S状結腸鏡検査、大腸内視鏡検査、及び内視鏡検
査を含む、試験の組み合わせによって診断され得る。患者集団は、潰瘍性大腸炎(UC;
結腸または大腸に限定されない)に罹患している対象、クローン病(CD;胃腸管のいか
なる部分に影響を及ぼす)に罹患している対象、及び異なる疾患重症度(軽度、中等度、
重度)に罹患している対象を含む。IBDのための標準治療は、アミノサリチル酸塩(例
えば、スルファサラジン、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン)、コルチコステロ
イド(例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロ
ン、ブデソニド、デキサメタゾン)、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、6-メルカ
プトプリン、メトトレキサート、シクロスポリン)、抗生物質(例えば、メトロニダゾー
ル、シプロフロキサシン、リファキシミン)、腫瘍壊死因子阻害剤(例えば、インフリキ
シマブ、アダリムマブ、セトリズマブペゴール)、インテグリン阻害剤(例えば、ナタリ
ズマブ、ベドリズマブ)、及び手術を含む。疾患の消散または制御は、標準スコアリング
メトリクス、上に記載される症状の鎮静、クローン病活性指数(CDAI)等の複合指数
によって決定される疾患重症度の低下、またはIBD質問票(IBD-Q)によって測定
される健康関連の生活の質の改善に従って、疾患重症の内視鏡的またはS状結腸鏡評価に
よって定量化され得る。
【0468】
代謝性疾患
いくつかの実施形態では、対象は、肥満、前糖尿病、2型糖尿病、高血中コレステロー
ル、高LDL、高血圧、高空腹時血糖、高トリグリセリドレベル、低HDL非アルコール
性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);代謝症候群;
高アンモニア血症、必須栄養素欠乏、血色素症、ラクトース不耐症、グルテン不耐症;及
び腸性先端皮膚炎を含む、疾患、障害、または状態に罹患している、または罹患している
疑いがある場合、治療に適していることが同定される。
【0469】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、肥
満、(インスリン耐性)前糖尿病、2型糖尿病、高空腹時血糖(高血糖)、代謝症候群、
または代謝疾患の症状と関連する類似の疾患、障害、もしくは状態に罹患している、また
は罹患している疑いがある。
【0470】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、高
血中コレステロール、高LDL、高血圧(高血圧症)、高トリグリセリドレベル、低HD
L、または類似の心臓血管の危険因子に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0471】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、非
アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高
アンモニア血症、または肝臓の類似の疾患、障害、もしくは状態に罹患している、または
罹患している疑いがある。
【0472】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、ラ
クトース不耐症、グルテン不耐症、または食物不耐性と関連する類似の疾患、障害、もし
くは状態に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0473】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、必
須栄養素欠乏、血色素症、腸性先端皮膚炎、または不適切な栄場管理と関連する類似の疾
患、障害、もしくは状態に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0474】
一実施形態では、代謝障害を治療するために、ヒトに薬学的グリカン治療剤組成物を投
与することによって、治療を必要とする対象における代謝障害を治療する方法が提供され
る。一実施形態では、代謝障害は、肥満、脂肪症、インスリン耐性、糖尿病、及び脂肪肝
症候群から選択される。
【0475】
代謝障害は、異常な体重増加;エネルギー使用もしくは消費;栄養素、エネルギー源、
ホルモン、もしくはその他のシグナル伝達分子に対する応答変化;または炭水化物、脂質
、タンパク質、もしくは核酸の新陳代謝の変化、またはこれらの組み合わせによって引き
起こされる、またはこれらを特徴とする、疾患、障害、及びを含み得る。代謝障害の例に
は、インスリン耐性、インスリン感受性、脂肪肝症候群、肥満、脂肪症、及び糖尿病(例
えば、1型糖尿病、2型糖尿病)が含まれる。一変形例では、本明細書に提供される方法
は、肥満を治療する。対象における体重減少及び/または体脂肪の減少を生じさせる方法
で、対象の腸内の微生物叢を変化させ得る薬学的グリカン治療剤組成物を用いた、治療を
必要とする対象における肥満を治療するための方法が本明細書に提供される。
【0476】
一実施形態では、ヒトに、脂肪症を軽減するのに有効な量で薬学的グリカン治療剤組成
物を投与することによって、軽減を必要とする対象における脂肪症を軽減する方法が提供
される。脂肪症は、例えば、腰周囲、腰対臀部比、皮膚厚、生体電気インピーダンス、水
中体重法、空気置換プレチスモグラフィー、または比重測定法を含む、当該技術分野にお
いて周知の任意の適切な方法を用いて決定され得る。
【0477】
一実施形態では、対象に、グルコース代謝を改善するのに有効な量で薬学的グリカン治
療剤組成物を投与することによって、改善を必要とする対象におけるグルコース代謝を改
善する方法が提供される。グルコース代謝は、例えば、空腹時血糖値、空腹時インスリン
値、食後の血糖値試験、経口グルコース耐性試験、静脈内グルコース耐性試験、糖化ヘモ
グロビン値、またはランダム血糖値試験を含む、当該技術分野において周知の任意の適切
な方法を用いて決定され得る。
【0478】
一実施形態では、対象に、インスリン感受性を増大させるのに有効な量で薬学的グリカ
ン治療剤組成物を投与することによって、ヒトにおけるインスリン感受性を増大させる方
法が提供され、ヒトは、グリカン治療剤の投与前にインスリン感受性及びグリカン治療剤
の投与後にインスリン感受性を有し、グリカン治療剤の投与後のヒトのインスリン感受性
は、グリカン治療剤の投与前のヒトのインスリン感受性よりも高い。インスリン感受性は
、例えば、空腹時血糖値、空腹時インスリン値、食後の血糖値試験、経口グルコース耐性
試験、静脈内グルコース耐性試験、糖化ヘモグロビン値、またはランダム血糖値試験を含
む、当該技術分野において周知の任意の適切な方法を用いて決定され得る。
【0479】
いくつかの実施形態では、2型糖尿病に罹患している対象は、本明細書に提供される方
法に従って治療され得る。2型糖尿病に罹患している対象は、霧視、末梢神経障害、排尿
増加、口渇増加、疲労、空腹感増加、体重減少、または酵母感染症、膀胱感染症、腎臓感
染症、皮膚感染症、もしくは他の感染症を示し得る。2型糖尿病は、高血糖もしくは高血
糖危機の古典的症状に罹患している患者における、126mg/dL(7mM)以上の空
腹時血漿グルコース(FPG)、または75gの経口グルコース耐性試験(OGTT)時
の200mg/dL(11.1mM)以上の2時間血漿グルコース値、または200mg
/dL(11.1mM)以上のランダム血漿グルコース、または6.5%以上のヘモグロ
ビンA1c(HbA1c)値を含む、米国糖尿病協会(ADA)によって記載される基準
によって診断される。患者集団は、2型糖尿病に罹患している成人及び小児、2型糖尿病
を発症する危険性がある対象(例えば、前糖尿病に罹患している対象または過体重である
対象)、ならびに肥満、高血圧、血清トリグリセリドの上昇、及び低高比重リポタンパク
質(HDL)値を含む、代謝症候群の状態と併せて2型糖尿病に罹患している対象を含む
。2型糖尿病のための標準治療は、ライフスタイル管理(食事、運動、及び行動修正)、
アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド(例えば、メトホルミン)、スルホニル尿
素、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-4)阻害剤、グルカゴン様ペプチド-1(
GLP-1)類似体、メグリチニド、選択的ナトリウム-グルコース輸送体-2(SGL
T2)阻害剤、チアゾリジンジオン、インスリン、及びアミリン模倣剤を含む。治療有効
性は、上に列挙される症状または診断基準の消散(例えば、健常値に対するFPGの減少
)によって、または2型糖尿病を発症する危険性がある対象における、2型糖尿病の状態
への転換率の減少によって評価され得る。
【0480】
いくつかの実施形態では、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び/または非ア
ルコール性脂肪性肝炎(NASH)を示す対象は、本明細書に提供される方法に従って治
療され得る。非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、肝臓における脂肪の異常蓄積
を特徴とする。NAFLDは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に進行する可能性
があり、これは、肝臓の炎症、線維症、及び肝硬変を特徴とする。NAFLDに罹患して
いる対象は、無症候性であり得る。NAFLDまたはNASHに罹患している対象は、肝
臓サイズの増大(健康診断時に指摘される)、疲労、体重減少、全身の脱力感、及び/ま
たは右上腹部の痛みを示し得る。NAFLD/NASHの診断は、アラニンアミノトラン
スフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノ酸転移酵素(AST)の血液値の上
昇、肥大肝、及び特定の病理組織学的マーカー(例えば、肝生検、腹部の超音波検査、C
Tスキャン、またはMRIスキャンによる)を含む。患者集団は、NAFLDに罹患して
いる対象NASHに罹患している対象、NAFLD/NASHを発症する危険性がある対
象(例えば、過体重であるまたはコレステロール値の上昇を有する対象)、ならびに肥満
、空腹時血漿グルコースの上昇、高血圧、血清トリグリセリドの上昇、及び低高比重リポ
タンパク質(HDL)値を含む、代謝症候群の状態と併せてNAFLD/NASHに罹患
している対象を含む。NAFLD/NASHのための標準治療は、ライフスタイル管理(
食事、運動、行動修正、及びアルコールの回避)を含む。臨床試験中または開発中の治療
剤は、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト(例えば、オベチコール酸)、Ta
keda Gタンパク質共役型受容体5(TGR5)アゴニスト、脂肪酸-胆汁酸抱合体
(例えば、aramchol)、抗酸化剤(例えば、ビタミン E)、抗線維化剤、ペル
オキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-ガンマアゴニスト、PPARアルファ
/デルタアゴニスト、カスパーゼ阻害剤(例えば、Emricasan)、及び/または
ガレクチン-3阻害剤を含む。治療有効性は、上に列挙される症状または診断基準の消散
(例えば、健常値に対するALTの減少)によって、またはNAFLD/NASHを発症
する危険性がある対象における、NAFLD/NASHへの転換率の減少によって評価さ
れ得る。
【0481】
いくつかの実施形態では、肥満対象は、本明細書に提供される方法に従って治療され得
る。肥満は、深刻な健康上の懸念であり、健康への悪影響を及ぼし得る。例えば、肥満は
、平均寿命の低下、ならびに/または糖尿病、高血圧、心疾患、卒中、高コレステロール
、睡眠時無呼吸、及び関節炎等の健康問題を増大させ得る。肥満対象は、30kg/m2
超の肥満度指数(BMI)を示す。あるいは、肥満対象は、体脂肪率(男性では、25%
超または女性では、33%超)に基づいて分類され得る。診断はまた、空腹時脂質レベル
(コレステロール、トリグリセリド)、肝機能、グルコース値、インスリン値、グリコシ
ル化ヘモグロビン(HbA1c)、及び/またはグルコース耐性の評価も含む。患者集団
は、小児肥満、中等度の肥満、病的/重度の肥満、遺伝子的原因の肥満(プラダーウィリ
症候群、バルデービードル症候群、コーエン症候群、及びMOMO症候群)、ならびに代
謝症候群の他の状態(高血圧、空腹時血漿グルコースの上昇、血清トリグリセリドの上昇
、及び低高比重リポタンパク質(HDL)値)と併せた肥満を有する対象を含む。肥満の
ための標準治療は、ライフスタイル管理(食事、運動、及び行動修正)、肥満症治療手術
、食物の吸収を損なう薬剤(例えば、テトラヒドロリプスタチン)、食事摂取を損なう薬
剤、エネルギー消費を増大させる薬剤、及び一般的な併存疾患(例えば、2型糖尿病また
は高血圧のための薬剤)を含む。治療評価項目は、体重の変化、空腹時脂質レベル、肝機
能、グルコース値、インスリン値、HbA1C、及び/またはグルコース耐性を含む。
【0482】
他の疾患
いくつかの実施形態では、対象は、自己免疫性関節炎、1型糖尿病、アトピー性皮膚炎
、自閉症、喘息、心臓血管疾患、慢性腎臓疾患、痛風、薬物不耐性(例えば、メトホルミ
ンに対して)、薬物の低経口バイオアベイラビリティ、便失禁、ヒルシュスプルング病、
アニスムス、コリック、腸閉塞症、痔、及び腸重積症を含む、疾患、障害、もしくは状態
に罹患している、または罹患している疑いがある場合、治療に適していることが同定され
る。
【0483】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、自
己免疫性関節炎、1型糖尿病、多発性硬化症、乾癬、または類似の自己免疫性の疾患、障
害、もしくは状態に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0484】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、喘
息、アトピー性皮膚炎、または類似の環境起動アレルギーに罹患している、または罹患し
ている疑いがある。
【0485】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、慢
性腎臓疾患、心疾患、心臓血管疾患、または臓器不全に関連する類似の疾患、障害、もし
くは状態に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0486】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、自
閉症、高アンモニア血症、肝性脳症、または神経学的症状に関連する類似の疾患、障害、
もしくは状態に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0487】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、悪
液質、痛風、または類似の栄養障害に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0488】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、ヒ
ルシュスプルング病、腸閉塞症、アニスムス、腸重積症、便失禁、痔、または類似の胃腸
障害に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0489】
いくつかの実施形態では、アトピー性皮膚炎(AD)に罹患している対象は、本明細書
に提供される方法に従って治療され得る。アトピー性皮膚炎(AD)に罹患している対象
は、乾燥、痒み、及び/または炎症がある皮膚を示し得る。ADの診断及び重症度は、S
CORAD指数(Oranje,A.P.,et al.“Practical iss
ues on interpretation of scoring atopic
dermatitis:the SCORAD index,objective SC
ORAD and the three-item severity score.”
British Journal of Dermatology 157.4(20
07):645-648)または湿疹面積及び重症度指数(EASI)スコア(Hani
fin et al.,The eczema area and severity
index(EASI):assessment of reliability in
atopic dermatitis,Experimental Dermatol
ogy,2001,10:11)を用いることによって決定され得る。ADは、症候性及
び無症候性疾患の交互の期間を有する炎症を生じ得る。黄色ブドウ球菌は、一般に、AD
に罹患している皮膚部位上に存在し、IgE、及び炎症性またはTh2サイトカイン及び
ケモカインを含むバイオマーカーはまた、罹患している皮膚または全身的に上昇され得る
。患者集団は、早期ADに罹患している乳児、小児ADに罹患している小児、遅発性AD
に罹患している成人、ADの炎症の危険性がある妊婦(「妊娠中アトピー性発疹」)、軽
度、中等度、もしくは重症度ADの炎症に罹患している対象、またはADを発症している
危険性がある対象を含む。ADのための標準治療は、局所的に適用された保湿剤、局所的
に適用されたステロイド軟膏、例えば、ヒドロコルチゾン、漂白浴、抗生物質、免疫調節
剤、例えば、タクロリムス、抗ヒスタミン剤、抗体に基づいた治療法(IgE、IL-4
受容体、IL-4、及びIL-13を遮断するための抗体を含む)、及び他の抗炎症性薬
剤を含む。治療はまた、プロバイオティクスを含み得る。疾患の消散または制御は、上に
記載される標準SCORADまたはEASI基準によって定量化され得る。
【0490】
いくつかの実施形態では、喘息に罹患している対象は、本明細書に提供される方法に従
って治療され得る。喘息に罹患している対象は、喘鳴、咳嗽、息切れ、及び/または胸苦
しさもしくは胸痛を示し得る。これらの症状は、一般に、一時的であり、運動またはアレ
ルゲンへの曝露等の因子によって誘発され得る。さらに、喘息に罹患している小児は、再
発性気管支炎、細気管支炎、または風邪による肺炎もしくは持続性の咳を示し得る。喘息
の診断は、気管支拡張剤による治療の存在または不在下で、肺活量測定による肺機能試験
によって確立される。患者集団は、喘息に罹患している乳児;小児喘息;成人発症喘息;
間欠性、軽症の持続性、中等度の持続性、または重度の持続性喘息;運動誘発性喘息;ア
レルギー性喘息;咳型喘息;職業性喘息;夜行性喘息に罹患している対象;及び例えば、
アトピーの家族歴による、喘息を発症する危険性がある対象を含む。喘息のための標準治
療は、吸入コルチコステロイド(例えば、ブデソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、
モメタゾン、及びシクレソニド)、短時間作用型気管支拡張剤(例えば、アルブテロール
)、長期間作用型気管支拡張剤(例えば、サルメテロール)、ロイコトリエン調整剤(例
えば、モンテルカスト)、または他の抗炎症性薬剤、抗コリン作動薬(例えば、イプラト
ロピウム、チオトロピウム)、アレルギー性喘息のための抗IgE(例えば、オマリズマ
ブ)、及び/または全身性ステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチル
プレドニゾロン、デキサメタゾン)を含む。治療はまた、プロバイオティクスを含み得る
。治療有効性は、上に記載される症状の頻度または重症度の減少、肺機能の改善(最大呼
気速度(PEFR)もしくは1秒間の努力呼気肺活量(FEV1)等の測定によって評価
される)、喘息の治療を持続または開始する必要性の減少、または気道炎症のバイオマー
カーレベル(例えば、血清IgE、呼気一酸化炭素、痰、または血中好酸球数、炎症性サ
イトカイン、Th2サイトカイン等)の変化によって評価され得る。
【0491】
いくつかの実施形態では、慢性腎臓疾患(CKD)に罹患している対象は、本明細書に
提供される方法に従って治療され得る。CKDに罹患している対象は、疲労、集中力の低
下、食欲不振、不眠、夜間の筋痙攣、むくんだ足及び足首、皮膚発疹/そう痒、吐き気、
嘔吐、口腔内の金属味、息切れ、及び/または排尿増加を示し得る。CKDを含む腎臓疾
患の診断は、糸球体濾過量(GFR)、尿素及びクレアチニンの血中濃度、アルブミンの
尿レベル、腎臓生検、超音波検査、及び/またはCTスキャンの試験によって行われる。
患者集団は、糖尿病性腎症によって引き起こされるCKDに罹患している対象;高血圧に
よって引き起こされるCKDに罹患している対象、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎、または糸球
体腎炎に罹患している対象、腎臓を損傷する薬剤の長期使用により腎臓損傷を有する対象
、及び糖尿病、高血圧、または腎臓疾患の家族歴等の危険因子の存在のためCKDを発症
する危険性がある対象を含む。CKDのための標準治療は、血圧を低下させる、血糖を制
御する、及び血中コレステロールを低下させるための薬剤療法を含む。治療はまた、食生
活の修正及びプロバイオティクスも含み得る。治療有効性は、上に列挙される症状または
診断基準の消散(例えば、尿アルブミン及び血清中クレアチニンの減少)、透析を開始す
る必要性の減少または透析開始前の時間の延長、尿毒症性溶質(例えば、p-クレゾール
溶質及びインドキシル溶質)の血中濃度の低下、または他の潜在的に有害な循環因子(例
えば、トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)、またはCKDを発症する危険性があ
る対象における、CKDへの転換率の減少によって評価され得る。
【0492】
いくつかの実施形態では、肝性脳症(HE)に罹患している対象は、本明細書に提供さ
れる方法に従って治療され得る。肝性脳症は、肝臓が血液からのアンモニア等の毒性物質
を除去することができない場合に生じる複数の有害な神経学的症状を含む。HEに罹患し
ている対象は、精神錯乱、健忘、不安神経症、または興奮状態、人格または行動の急激な
変化、睡眠パターンの変化、見当識障害、甘味もしくはかび臭い息、不明瞭言語、及び/
または運動機能を制御する困難さを示し得る。HEの診断は、肝機能、血清アンモニア値
、EEGの試験、及び他の血液及び神経学的試験によって行われる。患者集団は、軽度の
HE、重度のHE、顕性HEに罹患している対象、HEの1つ以上の症状の発現を以前に
経験したことがある対象、及び肝臓損傷等の危険因子のためHEの危険性がある対象を含
む。HEのための標準治療は、ラクツロース、ラクチトール、及び抗生物質(例えば、リ
ファキシミンまたはネオマイシン)を含む。治療はまた、食生活の修正及びプロバイオテ
ィクスも含み得る。治療有効性は、上に列挙される症状または診断基準の消散(例えば、
血清アンモニア値の低下)、HEの将来の症状の発現の発生率の減少、またはHEの危険
性がある対象における、HEの初期の症状の発現の減少によって評価され得る。
【0493】
薬物または治療誘導性の消化異常
ヒト対象における薬物または治療誘導性の症状を低減する方法が、本明細書に提供され
る。かかる薬物または治療誘導性の症状は、任意の消化異常を含む。例示的な消化異常と
しては、体重増加、便秘、胸やけ、胃のもたれ、おなら、膨満感、鼓腸、下痢、腹痛、筋
けいれん、吐き気、及び嘔吐が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形
態では、消化異常は、下痢である。本方法は、ヒト対象に、薬物または治療によって誘導
される1つ以上の症状を低減させるのに有効な量でグリカン治療調合剤を含む薬学的組成
物を投与することを含む。一実施形態では、治療は、放射線治療である。
【0494】
一実施形態では、グリカン治療剤による治療に適していることが同定される対象は、薬
物誘導性下痢、薬物誘導性便秘、薬物誘導性毒性、薬物誘導性耐性(例えば、メトホルミ
ンに対する、化学療法に対する)、薬物誘導性マイクロバイオーム損傷、薬物誘導性マイ
クロバイオーム疾患、薬物誘導性胃腸疾患、薬物誘導性腸炎もしくは大腸炎、または類似
の薬物誘導性障害、もしくは状態に罹患している、または罹患している疑いがある。
【0495】
いくつかの実施形態では、グリカン治療調合剤を含む薬学的組成物は、薬物の投与(ま
たは放射線治療)の前、それと同時に、またはその後に投与され、この投与は症状を誘導
する。しばしば、薬物または治療誘導性症状と関連する例示的な薬物としては、抗癌剤、
抗糖尿病、免疫抑制薬、抗菌薬、化学療法薬、抗精神病、プロトンポンプ阻害剤、及び非
ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの
薬物の投与は、概して、例えば、治療レジメン中生じ得る、腸内毒素症と関連する。いく
つかの実施形態では、腸内毒素症は、薬物または治療誘導性の症状、例えば、消化異常を
引き起こすか、または増幅する。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤の投与は、マ
イクロバイオームを調節し、そのため、薬物または治療誘導性症状が低減される。いくつ
かの実施形態では、グリカン治療剤は、薬物治療に悪影響を及ぼすまたは負に応答し得る
、あるいは薬物治療に悪影響を及ぼすまたは負に応答し得る共生細菌を補足し得る、共生
細菌の増殖を促進し、かつ/または有益な微生物共同体の増殖を抑制する。
【0496】
消化異常の症状がグリカン治療剤の投与によって減少され得る消化異常と関連する薬物
の特定の例としては、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、アモキシシリン-クラブ
ラン酸、セフィキシム、エファロスポリン、フルオロキノロン、アジスロマイシン、クラ
リスロマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、イリノテカ
ン(カンプトサール)、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ボル
テゾミブ、イマチニブ、レナリドマイド、イムブルビカ、イピリムマブ、ペルツズマブ、
カペシタビン、ドセタキセル、ラパチニブ、エルロチニブ、カルムスチン、エトポシド、
アラシチン、メルファラン、シタラビン、ダウノルビシン、アムサクリン、ミトキサント
ロン、オランザピン、ラニチジン、ファモチジン、シメチジン、オメプラゾール、スクラ
ルファート、エソメプラゾール、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブ
プロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、セレコキシブ、ニメスリド、アスピリン、
メトホルミン、パロキセチン、バルプロ酸、またはクロザピンが挙げられるが、これらに
限定されない。
【0497】
いくつかの実施形態では、消化異常は、化学療法薬による対象の治療と関連する。一実
施形態では、消化異常は、下痢である。特定の実施形態では、化学療法薬は、イリノテカ
ン、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、またはこれらの組み合わせである。特定の実
施形態では、化学療法薬は、オキサリプラチン、ロイコボリン、5-フルオロウラシル、
またはこれらの組み合わせである。特定の実施形態では、化学療法薬は、ボルテゾミブ、
イマチニブ、レナリドマイド、イムブルビカ、イピリムマブ、ペルツズマブ、カペシタビ
ン、ドセタキセル、ラパチニブ、エルロチニブ、またはこれらの組み合わせである。いく
つかの実施形態では、化学療法薬は、カルムスチン、エトポシド、アラシチン、メルファ
ラン、またはこれらの組み合わせである。特定の実施形態では、化学療法薬は、シタラビ
ン、ダウノルビシン、エトポシド、またはこれらの組み合わせである。特定の実施形態で
は、化学療法薬は、アムサクリン、シタラビン、エトポシド、またはこれらの組み合わせ
である。特定の実施形態では、化学療法薬は、ミトキサントロン、シタラビン、またはこ
れらの組み合わせである。
【0498】
いくつかの実施形態では、消化異常は、抗生物質による対象の治療と関連する。一実施
形態では、消化異常は、下痢である。特定の実施形態では、抗生物質は、シプロフロキサ
シン、クリンダマイシン、アモキシシリン-クラブラン酸、セフィキシム、エファロスポ
リン、フルオロキノロン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、
テトラサイクリン、またはアジスロマイシンである。
【0499】
いくつかの実施形態では、消化異常は、抗精神病薬による対象の治療と関連する。一実
施形態では、消化異常は、体重増加である。一実施形態では、薬物は、オランザピンであ
る。
【0500】
いくつかの実施形態では、消化異常は、プラトンポンプ阻害剤薬物による対象の治療と
関連する。一実施形態では、消化異常は、下痢である。特定の実施形態では、薬物は、ラ
ニチジン、ファモチジン、シメチジン、オメプラゾール、スクラルファート、またはエソ
メプラゾールである。
【0501】
いくつかの実施形態では、消化異常は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による
対象の治療と関連する。一実施形態では、消化異常は、下痢である。特定の実施形態では
、薬物は、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロ
フェン、ピロキシカム、セレコキシブ、ニメスリド、またはアスピリンである。
【0502】
いくつかの実施形態では、消化異常は、メトホルミン、パロキセチン、バルプロ酸、ま
たはクロザピンによる対象の治療と関連する。
【0503】
一実施形態では、1つ以上の症状の軽減は、治療レジメンに対する対象によるコンプラ
イアンスを増大させる。一実施形態では、1つ以上の症状の軽減により、医師が高用量の
投与されるべき薬物を処方することが可能になる。かかる実施形態では、基礎疾患の治療
は、より有効である(例えば、症状の軽減の増大、疾患もしくは症状がない状態を達成す
るための短期化、または疾患もしくは症状がない状態の維持の長期化等)。
【0504】
他の実施形態
いくつかの実施形態では、対象は、治療後に胃腸疾患、障害、または状態のうちの少な
くとも1つの症状の軽減を経験する。いくつかの実施形態では、治療後に症状の重症度の
軽減は、決定され得(例えば、周知のバイオマーカーを測定することによって)、約3%
、5%、7%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、9
0%、95%、または約100%の順である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載
されるように測定される症状は、薬学的グリカン治療剤組成物の投与前に症状と比較する
ときに、平均約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、9
0%、95%、または約100%減少する。いくつかの実施形態では、症状の重症度の軽
減は、治療から少なくとも約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、1週間、2週間
、3週間、1カ月間、3カ月間、6カ月間、9カ月間、1年間、2年間、5年間、10年
間持続するか、または軽減が永続する。
【0505】
一実施形態では、胃腸疾患、障害、または状態の症状は、治療の中断後、少なくとも約
1日間、1週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、9カ
月間、1年間、18カ月間、2年間、3年間、4年間、5年間、10年間、または10年
間以上、対象において部分的、実質的に、または完全になくす、または重症度を低減する
。別の実施形態では、胃腸疾患、障害、または状態の症状は、治療の中断後、対象におい
て重症度の永久になくす、または重症度を低減する。
【0506】
いくつかの実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物の投与は、宿主の健康全般及び
/または胃腸管等の特定の生態的部位の健康を、例えば、生態的部位内の微生物共同体の
1つ以上のメンバー(常在共生細菌及び/または獲得した病原体もしくはパソビオント等
)の増殖または存在度を調節すること(例えば、増加または減少すること)によって改善
する。
【0507】
腸からの研究により、プレバイオティクスの健康効果を示す潜在性を持つバイオマーカ
ーの同定が導かれ、このことは、胃腸の微生物叢及び環境における本明細書に記載される
薬学的グリカン治療剤組成物の健康効果及び治療有効性を特徴付けるためにも使用され得
る。これらのマーカーには、i)胃腸の微生物叢及び有機酸の生成等の胃環境の全体的な
代謝の変化、ii)炎症及び免疫グロブリンを評価する免疫系の調節、iii)カルシウ
ム、亜鉛、またはマグネシウム等の結腸内のミネラルの吸収の増加、iv)コレステロー
ルを低下させる脂質代謝の調節、v)宿主の恒常性における他の重要なプロセスの誘導が
含まれる(Pool-Zobel B L.Inulin-type fructans
and reduction in colon cancer risk:revi
ew of experimental and human data.2005.B
ritish Journal of Nutrition 93 Suppl 1:S
73-90、及びLiong M T.Roles of Probiotics an
d Prebiotics in Colon Cancer Prevention:
Postulated Mechanisms and In-vivo Eviden
ce.2008.International Journal of Molecul
ar Sciences 9(5):854-63による検討を参照のこと)。
【0508】
薬学的グリカン治療剤組成物は、有効な量で対象に投与されるとき、1つ以上の宿主経
路を調節し得る。グリカン治療剤での治療は、当該技術分野において周知の方法によって
決定され得る1つ以上のバイオマーカーの増加または減少をもたらし得る。調査員は、バ
イオマーカー(複数を含む)が、例えば、治療前、治療中及び/または治療後の様々な間
隔で測定しなければならない治療中の時点(複数を含む)で容易に決定することができる
。任意の好適な試料、例えば、胃腸に特異的な試料、例えば、組織試料または生検、スワ
ブ、胃腸管分泌物(糞/糞便試料等)等は、対象から採取され得、この試料が分析され得
る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーの実質的増加または減少が検出され得る。
【0509】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、例えば、免疫調節能力(例えば、抗炎症
性)に作用し得る酪酸塩、酢酸塩、及びプロピオン酸塩等の短鎖脂肪酸、及び宿主の健康
に良い効果をもたらし得るその他の代謝産物(例えば、胆汁酸及び乳酸塩)の放出をもた
らす、腸内微生物叢(例えば、Clostridia)によって消化される。
【0510】
腸内のSCFA生成における投与された薬学的グリカン治療剤組成物の効果を評価する
ために、糞試料が収集され得る。SCFAレベル、具体的には、酢酸塩、プロピオン酸塩
、及び酪酸塩が定量化され得る。SCFA、クレアチン、及びヒドロキシ-SCFAは、
例えば、1D 1H NMR分光計を用いて試料の代謝組成物のフィンガープリントを含
有する糞便試料をアルカリ化し、指導を受けた多変量統計法により分析することによって
定量化され得る。イヌリンは、陽性対照としての役割を果たし得る。
【0511】
いくつかの実施形態では、患者の試料または対象試料からの微生物培養の微生物代謝産
物プロファイルは、胃腸感染症、及び/または炎症性疾患、障害、もしくは状態を発症す
る危険因子を同定するために使用される。診断、予後危険評価の目的、または治療評価の
目的のための例示的な代謝産物には、表2中に列挙されたものを含む。いくつかの実施形
態では、微生物代謝産物プロファイルは、回復または再発事象を含む対象の疾患状態をよ
り評価するために、対象の疾患及び治療時に異なる時点で得られる。かかるモニタリング
はまた、新たな胃腸疾患、障害、または状態を発症する対象の危険性を低くするために重
要である。いくつかの実施形態では、代謝産物プロファイルは、その後の治療の情報を提
供する。
【0512】
さらに、治療医師または他の医療従事者によって有用であることを決定される場合、本
明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物は、様々な他の標準治療法と併用して投
与され得る。いくつかの実施形態では、グリカン治療剤及び標準治療剤の投与の組み合わ
せは、付加的または相乗的治療効果を有する。薬学的グリカン治療剤組成物は、標準治療
による治療前、それと同時に、またはその後に投与され得る。場合によっては、治療法は
、胃腸管の正常な微生物叢の組成及び健康(例えば、抗菌、抗ウイルス性、または抗真菌
剤の使用)を分断し、有害な細菌または病原体の望ましくない増殖をもたらし得、本明細
書に記載される症状のうちの1つ以上を生じ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に
記載される薬学的グリカン治療剤組成物の投与は、それらの症状を緩和し、胃腸微生物共
同体の組成を改善するのに有用である。
【0513】
グリカン治療剤の投与
本明細書に記載される方法において使用される任意の薬学的グリカン治療剤組成物のた
めに、治療有効量は、当業者に周知の実験動物モデルから初めに推定され得る。かかる情
報は、ヒトにおける有用な用量をさらに正確に決定するために使用され得る。初期投薬量
はまた、インビトロまたはインビボでのデータからも推定され得る。初期投薬量はまた、
モデルアッセイにおける本明細書に記載される方法で用いられる化合物の有効性を周知の
化合物の有効性と比較することによって製剤化され得る。例えば、初期投薬量は、モデル
アッセイにおけるグリカン治療調合剤の有効性を、本発明の状態を治療する際に有効性を
示しているその他の化合物の有効性と比較することによって製剤化され得る。この方法に
おいて、初期投薬量は、本明細書に記載される方法において使用されるグリカン治療調合
剤のためのモデルアッセイで得られた有効な濃度の有効な投薬量の対照化合物に対する比
率を乗算することによって得られ得る。例えば、本方法において有用な調合剤が、モデル
アッセイにおいて周知の化合物の2倍有効である(例えば、グリカン治療調合剤の有効濃
度(EC50)が同じアッセイにおいて周知の化合物のEC50の半分に相当する)場合
、グリカン治療調合剤の初期有効投薬量は、周知の化合物に対して周知の投薬量の半分で
あり得る。これらの初期ガイドラインを用いて、ヒトなどの対象における有効投薬量は、
当業者によって決定され得る。投薬量及び間隔は、治療効果を維持するのに十分であるグ
リカン治療調合剤のレベルを提供するために個々に調節され得る。当業者であれば、過度
な実験を行わずに治療的に有効な局所投薬量を最適化することができよう。
【0514】
治療される障害及び対象ならびに投与経路に応じて、本組成物は、様々な用量で投与さ
れ得る。一実施形態では、最小有効量または用量のグリカン治療剤が使用される。いくつ
かの実施形態では、グリカン治療剤は、約0.01mg/kg~約10,000mg/k
g、約0.1mg/kg~約1,000mg/kg、約1mg/kg~約100mg/k
g、0.05mg/kg~約5,000mg/kg、約0.5mg/kg~約5,000
mg/kg、約5mg/kg~約500mg/kgの用量で投与される。この用量は、m
g/kg/日として投与され得、初期用量として投与され得るか、または最終用量に達す
るように、時間(例えば、日または週間)とともに増加もしくは減少され得る。
【0515】
いくつかの実施形態では、グリカン治療剤は、1対象当たりの1日当たりの総量が約1
mg/日~約100グラム/日、約10mg/日~約10グラム/日、約100mg/日
~約10グラム/日、約1グラム/日~約10グラム/日、約2グラム/日~約20グラ
ム/日、約5グラム/日~約50グラム/日で投与される。
【0516】
いくつかの実施形態では、症状を示す対象における胃腸疾患、障害、または状態の症状
は、対象に、ある期間(例えば、治療期間)中、増加する、減少する、または一定の量(
または用量)の薬学的グリカン治療剤組成物を投与することによって減少または解消され
る。
【0517】
一実施形態では、本組成物は、1×107~1×1013CFU/用量、あるいは1×
109~1×1011CFU/用量からなる量で有益な、共生的な、及び/またはプロバ
イオティクス細菌菌株及び細菌菌株を含む。
【0518】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、1日1回、2回、または3回投与される。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、1日2回投与される。いくつかの実施形態で
は、薬学的組成物は、所定の日数(治療期間)の間、毎日投与される。いくつかの実施形
態では、治療期間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、
14、21、28、35、42、49、56、63、70、100、200、300、ま
たは365日間である。いくつかの実施形態では、治療期間は、1、2、3、4、5、6
、7、8、9、10、11、または12カ月間である。いくつかの実施形態では、治療期
間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12年間、または生涯である
。
【0519】
一実施形態では、胃腸疾患、障害、または状態における治療期間の全持続時間は、約1
日~10年間、1日~1年間、1日~6カ月間、1日~3カ月間、1日~1カ月間、1日
~1週間、1日~5日間、1日~10日間、1週間~約12週間、または約4週間~約1
0週間、または約4週間~約8週間、または約6週間であり得る。対象は、好適な治療期
間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10超の治療期間受け
てもよい。治療期間中、対象は、任意に、プレバイオティクス及び/またはプロバイオテ
ィクスを含む食品の摂取とともに本明細書に記載される薬学的グリカン治療剤組成物を摂
取する。一実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物はまた、本明細書に記載される、
別の物質(例えば、プロバイオティクスもしくは共生的に有益な細菌、プレバイオティク
ス物質、または治療剤)との併用で投与され得る。
【0520】
いくつかの実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物はまた、正常な胃腸の微生物叢
の増殖を中断させる抗生物質と組み合わせられ得る。典型的には、抗生物質治療のための
持続期間は、1~14日間、2~10日間、または5~7日間である。いくつかの実施形
態では、グリカン治療剤は、1つ以上の抗生物質治療(複数を含む)が終了した直後(例
えば、抗生物質治療が終了してから1時間、6時間、12時間、24時間、36時間、4
8時間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間、または4週間後)
に、それを必要とする対象に投与される。一連の抗生物質治療中、薬学的グリカン治療剤
組成物は、抗生物質治療の開始時に、抗生物質治療直後、例えば、治療から1、2、3、
4、5、6、7日、もしくはそれ以上の後に提供され得るか、または望ましくない病原体
の増殖の診断の際に投与され得る。
【0521】
いくつかの実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物はまた、腸内毒素症を引き起こ
す薬物、例えば、正常な胃腸の微生物叢の増殖を中断する薬物、例えば、化学療法薬、抗
糖尿病薬、免疫抑制薬、抗菌薬、抗精神病薬、プロトンポンプ阻害薬、または非ステロイ
ド性抗炎症薬(NSAID)と組み合わせられ得る。薬学的グリカン治療剤組成物は、い
くつかの実施形態では、ヒト対象における薬物または治療誘導性の症状を低減する。症状
には、消化異常、例えば、体重増加、便秘、胸やけ、胃のもたれ、おなら、膨満感、鼓腸
、下痢、腹痛、筋けいれん、吐き気、及び嘔吐が含まれる。いくつかの実施形態では、グ
リカン治療剤は、1つ以上の薬物治療(複数を含む)が終了した直後(例えば、抗生物質
治療が終了してから1時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日間
、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間、または4週間後)に、それを必要
とする対象に投与される。一連の薬物治療中、薬学的グリカン治療剤組成物は、薬物治療
の開始前(例えば、1、2、3、4、5、6、7日前)、薬物治療の開始日に、または抗
生物質治療直後、例えば、治療から1、2、3、4、5、6、7日、もしくはそれ以上後
に提供されてもよく、また任意に、薬物治療の持続期間の初めにのみ(例えば、短期間の
間)、またはそれを通して提供されてもよく、さらに、薬物治療期間の終了後に所望の期
間中(例えば、その後、1~7日間、1~14日間、または1~21日間)継続されても
よい。いくつかの実施形態では、薬学的グリカン治療剤組成物の投与は、薬物治療と併せ
て1つ以上の副作用が生じる、及び/または診断される(例えば、消化異常または病原体
の増殖)ときに、開始または継続される。いくつかの実施形態では、腸内毒素症を引き起
こす治療剤は、薬物だけでなく、放射線治療または手術であり、薬学的グリカン治療剤組
成物はまた、本明細書に記載されるように投与され得る。
【0522】
いくつかの実施形態では、治療期間の総数及び持続期間は、治療に対する対象の応答に
基づいている。例えば、個体は、薬学的グリカン治療剤組成物による治療から1、2、3
、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日後に症状の軽減を経
験し得る。別例では、個体は、薬学的グリカン治療剤組成物による治療から1、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月後に症状の軽減を経験し得る。それ故に
、治療の持続時間は、薬学的グリカン治療剤組成物に対して個体対象の応答及び1つ以上
の症状からの緩和の開始によって決定される。それ故に、対象は、所与の用量の薬学的グ
リカン治療剤組成物で症状を経験し得、症状が消失するまで、対象がその用量または低用
量で継続することが必要であり得る。それ故に、一実施形態では、治療の持続時間は、開
始時に決定されないが、最大用量の薬学的グリカン治療剤組成物が1日毎に達成される、
または症状の所望のレベルの軽減が達成されるまで継続する。一実施形態では、この治療
は継続する。
【0523】
一実施形態では、対象は、治療レジメン中第1の治療期間中のある用量及び第2の治療
期間中第2の用量を与えられ得る。例えば、対象は、薬学的グリカン治療剤組成物のある
用量を1週間、及び第2の用量をその後の1週間投与され得る。
【0524】
対象は、薬学的グリカン治療剤組成物を自己投与し得、グリカン治療剤組成物は、医療
従事者、例えば、医師またはその他の資格のある医療従事者によって供給または推奨され
(または処方され)、任意の試験結果(例えば、対象から採取された試料からのバイオマ
ーカーに対して得られた)ならびに/または健康の変化及び治療エンドポイントは、医療
従事者によってモニタリングされる。いくつかの実施形態では、薬学的グリカン治療剤組
成物は、医療従事者によって投与される。
【0525】
一実施形態では、それを必要とする対象は、薬学的グリカン治療剤組成物による反復し
た治療コースを受け得る。治療コースは、症状が再現するまたは望ましくないレベルまで
増加するときに、反復され得る。あるいは、治療コースは、一定または所定の間隔で反復
され得る。それ故に、治療は、約1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、6カ月、8カ月、1
0カ月、1年、18カ月、2年、3年、4年、5年後、または5年を超えても、またはこ
れらの任意の組み合わせで反復され得る(例えば、治療は、1年後、次いで、その後2~
5年毎に反復され得る)。治療は、初期治療において使用されるのと同じ形態(例えば、
持続時間、投薬量、投薬のタイミング、追加の物質等)で反復され得るか、または修正さ
れ得る。例えば、治療期間は、短縮または長期化され得、投薬量は、増加または減少され
得る。任意に、グリカン治療剤による治療は、例えば、グリカン治療剤に加えて、多少の
他の物質、または多少の物質(例えば、プレバイオティクス物質、プロバイオティクス細
菌、または治療剤)を含有する、異なる数の薬剤または薬剤の組成と組み合わせて生じ得
る。
【0526】
さらなる物質は、薬学的グリカン治療剤組成物と併せて与えられ得る。これらの物質は
、例えば、胃腸疾患、障害、または状態の症状を緩和する胃腸管内の細菌の増殖を促し、
生態学的地位または腸内のプロバイオティクスまたは有益な共生細菌の付着を増大させる
ことによって、グリカン治療剤の用量の作用を増強し得る。これらの物質は、グリカン治
療剤による治療前、グリカン治療剤による治療中、グリカン治療剤による治療後、または
これらの任意の組み合わせで与えられ得る。グリカン治療剤での治療中に投与される場合
、これらの物質は、与えられるグリカン治療剤の用量で、またはグリカン治療剤の用量の
前もしくはその後、またはこれらの任意の組み合わせで投与され得る。一実施形態では、
薬学的グリカン治療剤組成物と併せて用いられる物質には、プロバイオティクス微生物(
複数を含む)、プレバイオティクス、治療剤、または緩衝液/担体/賦形剤が含まれる。
これらの物質のうちの1つ以上は、治療前、その中、その後、またはこれらのいくつかの
組み合わせの任意の好適な時に、薬学的グリカン治療剤組成物と併用して使用され得る。
【0527】
定義
微生物分類群の「存在度」は、本明細書に使用される場合、相対的な用語であり、胃腸
管内の共同体等の定義された微生物生態学的地位、または宿主生物全体(例えば、疾患の
ヒトまたは実験動物モデル)における微生物分類群の他の分類群に対する相対的な存在を
指す。
【0528】
用語が本明細書に使用される場合、「取得する」または「取得すること」は、例えば、
値または物理的実体を「直接取得すること」または「間接的に取得すること」によって、
値、例えば、数値、または画像、または物理的実体(例えば試料)を入手することを指す
。「直接取得すること」は、プロセスを行って(例えば、合成または分析方法またはプロ
トコルを行って)、値または物理的実体を得ることを意味する。「間接的に取得すること
」とは、値または物理的実体を別の団体または供給元(例えば、物理的実体または値を直
接取得した第3者研究所)から受領することを指す。値または物理的実体を直接取得する
ことは、物理的物質の物理的変化または機械もしくはデバイスの使用を含むプロセスを行
うことを含む。値を直接取得することの例は、ヒト対象から試料を得ることを含む。値を
直接取得することは、機械もしくはデバイス、例えば、NMR分光計を使用して、NMR
スペクトルを得るプロセスを行うことを含む。
【0529】
宿主生物の「コロニー形成」は、細菌または他の微生物の非一時的な常住を含む。本明
細書に使用される場合、病原性細菌分類群による胃腸管内等の宿主対象の微生物叢の「コ
ロニー形成の減少」は、生態学的地位における病原性細菌分類群の滞留時間の減少、なら
びに生態学的地位における、または生態学的地位の表面に付着される病原性細菌分類群の
数、濃度、または存在度の減少を含む。付着した病原性細菌分類群の減少を測定すること
は、例えば、生検試料によって示され得るか、または減少は、例えば、宿主の胃腸管内の
、例えば病原性負荷を測定することによって間接的に測定され得る。
【0530】
本明細書に使用される場合、例えば、グリカン治療剤中の種に関して、「明確である」
とは、別のものとは化学的及び/または構造的に異なることを示すことが意図される。例
えば、2つの糖類は、例えば、フコース及びキシロースのように化学的に異なる場合、ま
たは例えば、環式対非環式、L形態対D形態のように構造的に異なる場合、「明確である
」。2つの二量体は、同じ2つのモノマーからなるが、1対がアルファ-1,4結合を含
み、他の対がベータ-1,6結合を含む場合、明確である。明確な実体は、当該技術分野
において周知の及び/または本明細書に記載される方法によって検出され得る任意の好適
な際立った特徴または特性を有し得る。
【0531】
「微生物共同体の多様性」または「微生物多様性」は、本明細書に使用される場合、所
与の生態学的地位の微生物叢内または宿主対象内に見出される多様性を指す。宿主または
生態学的地位内の明確な微生物分類群の数及び/または豊富度に関し得る。多様性は、例
えば、本明細書に記載される、シャノン多様性指数(シャノンエントロピー)、アルファ
-ベータ多様性、観察されたOTUの総数、Chao1指数を用いて表され得る。いくつ
かの実施形態では、本明細書に記載されるグリカン治療剤は、基準としてシャノンエント
ロピーを用いて表され得る、微生物共同体内の多様性を調節する(例えば、増加または減
少する)。例えば、細菌分類群の存在度が同等でなくなるほど、シャノンの式中のpi値
の加重幾何平均が大きくなり、対応するシャノンエントロピーが小さくなる。実質的にす
べての存在度が一方の分類群に対して濃縮され、もう一方の分類群が非常に稀である場合
(それらの多くが存在するとしても)、シャノンエントロピーはゼロに近づく。1つのみ
の分類群があるとき、シャノンエントロピーは、まさにゼロと等しい。
【0532】
本明細書に使用される場合、「投薬レジメン」、「投与レジメン」、または「治療レジ
メン」は、治療目標を達成する薬物投与のモダリティである。投薬レジメンは、単位用量
、投与経路、投薬頻度、及び治療の長さのうちの1つ、2つ、3つ、または4つの定義を
含む。
【0533】
「胃腸の微生物叢のディスバイオシス」とは、正常な多様性、第1の細菌分類群の第2
の細菌分類群に対する割合、及び/または生態学的ネットワークの機能が崩壊または不安
定である、例えば、胃腸管内の微生物叢の不均衡な状態を指す。この望ましくない、例え
ば、不健康な状態は、宿主対象に必須機能をもはや提供せず、一実施形態では、それ故に
、対象における健康をもはや促進しない、または望まれていない症状と関連する、微生物
叢(例えば、細菌分類群)の多様性の減少もしくは増加、1つ以上の病原体もしくはパソ
ビオントの過剰増殖、または生物学的微生物共同体へのシフトが含まれるが、これらに限
定されない、多くの因子によるものであり得る。
【0534】
「生態学的ニッチ」または単に「ニッチ」は、生物または生物の群が占有する生態学的
空間(例えば、胃腸管、または胃腸管のうちの1つ以上の小区分、例えば、胃、大腸また
は小腸、直腸等)を指す。いくつかの実施形態では、生態学的地位は、具体的には、微生
物が占有する空間を指す。ニッチは、生物または生物の集団が、資源の分布、物理的パラ
メータ(例えば、宿主の組織空間)、及び競合相手(例えば、資源が豊富である場合、な
らびに捕食者、寄生虫、及び病原体が不足している場合に増殖することによって)にいか
に応答するか、また、それが、今度はそれらの同じ因子をいかに変更するか(例えば、他
の生物による資源へのアクセスを制限し、餌の捕食者及び消費者のための食物源として作
用する)を説明し得る。
【0535】
薬学的組成物または薬剤の「有効量」及び「治療有効量」という用語とは、本組成物ま
たは薬剤の所望の効果を提供するのに十分な量を意味する。いくつかの実施形態では、医
師または他の医療従事者は、適切な量及び投与レジメンを決定する。有効量はまた、医学
的状態の発症または再発を防ぐ薬学的組成物または薬剤の量を指す。
【0536】
本明細書に使用される場合、「グリカン治療調合剤」(「グリカン治療剤の調合剤」、
「グリカン調合剤」、または「グリカン治療剤」とも称される)は、治療効果を示すグリ
カンを含む調合剤(グリカン種と称される場合がある)である。グリカン治療剤は、複数
のモノ、ジ、オリゴマー、及び/またはポリマーグリカン種の合成混合物(例えば、オリ
ゴ糖及び/または多糖、「オリゴ糖」と称される場合がある)を含み、オリゴマー及び/
またはポリマーグリカン種は、グリコシド結合によって結合しているグリカン単位を含む
。グリカン治療剤は、ヒト使用のために、薬学的組成物またはメディカルフードに製剤化
され得る。グリカン治療剤は、キットを含む任意の好適な剤形で製剤化され得る。いくつ
かの実施形態では、グリカン治療剤の調合剤は、グリコオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、イ
ヌリン、リクノース、マルトトレトラオース(maltotretraose)、ニゲロ
テトラオース、ニストース、セセモース(sesemose)、スタキオース、イソマル
トトリオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロー
ス(maltotriulose)、ラフィノース、ケストース、フラクトオリゴ糖、2
’-フコシルラクトーゼ、ガラクトオリゴ糖、グリコシル、イドラパリナックス、イソマ
ルトオリゴ糖、マルトデキストリン、キシロオリゴ糖、寒天、アガロース、アルギン酸、
アルグロニック酸、アルファグルカン、アミロペクチン、アミロース、アラビオキシラン
、ベータ-グルカン、カロース、カプシュラン(capsulan)、カラギナン、セロ
デキストリン、セルリン、セルロース、キチン、キチンナノフィブリル、キチン-グルカ
ン複合体、キトサン、クリソラミナリン、カードラン、シクロデキストリン、アルファ-
シクロデキストリン、デキストラン、デキストリン、ジアルデヒドデンプン、フィコール
、フルクタン、フコイダン、ガラクトグルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトサミ
ンオガラクタン、ゲランガム、グルカン、グルコマンナン、グルコロノキシランド(gl
ucoronoxyland)、グリコカリックス、グリコーゲン、ヘミセルロース、ヒ
プロメロース、イコデキストリン、ケフィラン、ラミナリン、レンチナン、レバン多糖、
リケニン、マンナン、粘液、天然ガム、パラミロン、ペクチン酸、ペクチン、ペンタスタ
ーチ、植物グリコーゲン、プルーラン、ポリギーナン、ポリデキストロース、ポルフィラ
ン、プルラン、シゾフィラン(schizophyllan)、セファロース、シニスト
リン(sinistrin)、シゾフィラン(sizofiran)、スガマデックス、
ウェランガム、キサンタンガム、キシラン、キシログルカン、ザイモサン等を含む、1つ
以上の天然に存在するオリゴ糖または多糖を含有しない。いくつかの実施形態では、グリ
カンは、塩、例えば、薬学的に許容される塩として存在する。
【0537】
「グリカン単位」(「フィード砂糖」と称される場合がある)は、本明細書に使用され
る場合、本明細書に開示される、個々の単位のグリカン種、例えば、グリカン種が作製さ
れる構築ブロックを指す。一実施形態では、グリカン単位は、モノマーである。一実施形
態では、グリカン単位は、二量体である。一実施形態では、グリカン単位は、単糖類であ
る。一実施形態では、グリカン単位は、二糖類である。いくつかの実施形態では、グリカ
ン単位は、炭水化物であり、糖アルコール、短鎖脂肪酸、糖酸、イミノ糖、デオキシ糖、
及びアミノ糖から選択され得る。いくつかの実施形態では、グリカン単位は、エリトロー
ス、トレオース、エリトルロース、アラビノース、キシロース、リブロース、キシルロー
ス、アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノ
ース、タロース、フルクトース、プシコース、ソルボース、タガトース、フコース、フク
ロース、ラムノース、マンノヘプツロース、セドヘプツロース等である。いくつかの実施
形態では、グリカン単位は、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フ
ルクトース、キシロース、フコース、またはラムノースである。実施形態では、グリカン
は、明確なグリカン単位、例えば、第1及び第2の単糖類、または第1及び第2の二糖類
、または単糖類及び二糖類を含む。実施形態では、グリカンは、明確なグリカン単位、例
えば、第1、第2、第3、第4、及び/または第5の明確なグリカン単位を含む。
【0538】
本明細書に使用される場合、「単離された」または「精製された」グリカン治療調合剤
(「ポリッシュされた」と称される場合がある)は、実質的に純粋であり、かつ混入物質
がなく、例えば、病原体またはそうでなければ、望まれていない生物物質、または毒性ま
たはそうでなければ、望まれていない有機もしくは無機化合物である。いくつかの実施形
態では、純粋なまたは単離された化合物、組成物、または調合剤は、微量の溶媒及び/ま
たは塩を含み得る(例えば、w/w、w/v、v/v、またはモル%で、10%未満、9
%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%未満、または0.1%
)。精製された化合物または調合剤は、対象となる化合物(複数を含む)のw/w、w/
v、v/v、またはモル%で少なくとも約60%(w/w、w/v、v/v、またはモル
%で)、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約
97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%含有する。例えば、精製された
(実質的に純粋な)または単離されたグリカン治療剤の調合剤は、w/w、w/v、v/
v、またはモル%で、グリカン治療剤の少なくとも80%、85%、90%、91%、9
2%、93%、94%、95%、98%、99%、99.5%、99.8%、99.9%
、または100%であり(すなわち、いかなる溶媒、例えば、水も含まず、グリカン治療
調合剤は溶解され得る)、例えば、製造、抽出/精製及び/または処理中に、それらと同
時に生じる構成成分から分離される(例えば、グリカン治療剤が望ましくない化合物を実
質的に含まない)ものである。純度は、任意の適切な標準方法によって、例えば、カラム
クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))、薄層クロマ
トグラフィー(TLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)、または核磁気共鳴(NMR)分光計によって測定され得る。精製された
または純度はまた、ヒト対象への投与において安全である、例えば、生存能力のある感染
性または毒性薬剤を欠いている、滅菌の度合いも定義し得る。
【0539】
「マイクロバイオーム」は、本明細書に使用される場合、対象(例えば、ヒト対象)内
に持続的及び一時的の両方で生息する微生物共同体の遺伝的内容物であり、これには、真
核生物、古細菌、細菌、及びウイルス(例えば、細菌ウイルス(ファージ)を含む)が含
まれ、「遺伝的内容物」には、ゲノムDNA、リボソームRNA及びメッセンジャーRN
A等のRNA、エピゲノム、プラスミド、及び他の種類のゲノム情報のすべてが包含され
る。いくつかの実施形態では、マイクロバイオームは、具体的には、生態学的地位におけ
る微生物の共同体の遺伝子内容物を指す。
【0540】
「微生物叢」は、本明細書に使用される場合、対象(例えば、ヒト対象)内及び上に(
持続的及び一時的に)生じる微生物の群集を指し、真核生物、古細菌、細菌、及びウイル
ス(細菌ウイルス、すなわちファージを含む)が包含される。いくつかの実施形態では、
微生物叢は、具体的には、生態学的地位における微生物の共同体を指す。
【0541】
「パソビオント」または「(日和見性)病原体」は、本明細書に使用される場合、ある
特定の遺伝学的及び/または環境的条件が対象中に存在する場合にのみ、疾患を引き起こ
すことが可能な共生生物を指す。
【0542】
本明細書に使用される場合、「病原性」という用語(例えば、「病原性細菌」)は、疾
患を引き起こす能力を有する物質、微生物、または条件を指す。ある特定の文脈において
、病原体はまた、疾患または状態と関連しているが、(直接)の原因となる関係が構築さ
れていないか、またはまだ構築されていない、微生物(例えば、細菌)も含む。本明細書
に使用される場合、「病原体」という用語は、ウイルス、寄生虫、及び細菌、または対象
、例えば、ヒトにおいて感染を引き起こし得るその他の病原体を指す。
【0543】
本明細書に使用される場合、「薬学的組成物」または「薬学的調合剤」は、組成物また
は調合剤である。薬理学的活性、または疾患の緩和、治療、もしくは予防におけるその他
の直接効果、及び/または完成した剤形もしくはその製剤化を有する、組成物または調合
剤であり、かつヒトに使用されるものである。薬学的組成物または薬学的調合剤は、典型
的には、適正製造基準(GMP)の条件下で生成される。薬学的組成物または調合剤は、
滅菌または非滅菌であり得る。非滅菌である場合、かかる薬学的組成物または調合剤は、
典型的には、微生物学的規格及び米国薬局方(USP)またはヨーロッパ薬局方(EP)
において記載される非滅菌薬学的製品のための基準を満たす。薬学的組成物は、さらなる
活性剤、例えば、さらなる治療剤をさらに含み得るか、またはそれらと共に同時投与され
得る。薬学的組成物はまた、例えば、さらなる治療剤、ポリフェノール、プレバイオティ
クス物質、プロバイオティクス細菌、薬学的に許容される賦形剤、溶媒、担体、またはこ
れらの任意の組み合わせも含み得る。「薬学的グリカン治療剤組成物」(または単に「グ
リカン治療剤組成物」)は、グリカン治療調合剤と、任意にさらなる薬剤、含有物、賦形
剤、または担体とを含む、本明細書に記載される薬学的組成物である。本明細書に記載さ
れる任意のグリカン治療剤は、薬学的組成物として製剤化され得る。
【0544】
「表現型」という用語は、本明細書に使用される場合、個々の実体の観察可能な特徴の
セットを指す。例としては、対象は、「健康な」または「罹患した」の表現型を有し得る
。表現型は、実体の状態を表し、ある表現型内の実体はすべて、その表現型を表す同一の
特徴のセットを共有する。個体の表現型は、部分的または全体的に、その実体のゲノム及
び/またはマイクロバイオームの、環境との相互作用に由来する。
【0545】
「対象」(場合によっては「患者」)という用語は、本明細書に使用される場合、任意
のヒト対象を指す。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。対象は、妊婦を含み
得る。対象は、新生児(早産児、満期新生児)、1歳までの乳児、幼児(例えば、1歳~
12歳)、十代の若者(例えば、13~19歳)、成人(例えば、20~64歳)、及び
高齢者(65歳以上)を含み得る。対象は、農業動物、例えば、農場の動物または家畜、
例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ等を含まない。
【0546】
「実質的減少」は、本明細書に使用される場合、(例えば、バイオマーカーまたは代謝
産物に対して)、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、8
0%、90%、95%、97%、98%、99%、99.9%、または100%の減少で
ある。
【0547】
「実質的増加」は、本明細書に使用される場合、例えば、バイオマーカーまたは代謝産
物に対して)、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、9
0%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、45
0%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、85
0%、900%、950%、1000%、または1000%超の増加である。
【0548】
「合成物質」は、本明細書に使用される場合、天然に存在しない、グリカン治療調合剤
等の人工の化合物または調合剤を指す。一実施形態では、本明細書に記載されるポリマー
触媒は、好適な反応条件下、例えば、反応物に添加される個々のグリカン単位からオリゴ
マー及びポリマーを作製する重合反応によって、調合剤のグリカンを合成するために使用
される。いくつかの実施形態では、ポリマー触媒は、加水分解剤として作用し、グリコシ
ド結合を破壊し得る。他の実施形態では、ポリマー触媒は、グリコシド結合を形成し得る
。合成グリカン治療調合剤はまた、天然のオリゴ糖源または多糖源から単離されないグリ
カン治療剤も含み得る。グリカン治療調合剤は天然のオリゴ糖源または多糖源から単離さ
れないが、グリカン治療剤を作り上げるグリカン単位は、本明細書に列挙されるものを含
む、天然のオリゴ糖源または多糖源であり得、しばしば、それらから単離されるか、また
はデノボ合成されることを理解されよう。
【0549】
本明細書に使用される場合、「治療すること」及び「治療」という用語は、症状の重症
度及び/または頻度の減少に影響を及ぼす、症状及び/またはその根本原因を解消する、
かつ/または損傷の改善もしくは修復を促進する、かつ/または特定の有害な状態、障害
、もしくは疾患にかかりやすい、または状態、障害、もしくは疾患を発症するもしくはそ
れらを発症する危険性がある無症候性対象における有害な状態、障害、もしくは疾患を予
防するための、対象(例えば、有害な状態、障害、もしくは疾患を患っている症候性の対
象)への薬剤または組成物の投与を指す。
【実施例0550】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。実施例は、例示の目的のみで提供
され、決して本発明の範囲または内容を限定すると考えられるべきではない。本発明の実
践は、別記されない限り、当技術分野の技術内の、タンパク質化学、生物化学、組換えD
NA技術、及び薬理学の従来の方法が用いられるであろう。かかる技術は、文献内に十分
に説明される。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Struct
ures and Molecular Properties(W.H.Freema
n and Company,1993)、Green & Sambrook et
al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manua
l,4th Edition(Cold Spring Harbor Laborat
ory Press,2012)、Colowick & Kaplan,Method
s In Enzymology(Academic Press)、Remingto
n:The Science and Practice of Pharmacy,2
2nd Edition(Pharmaceutical Press,2012)、S
undberg & Carey,Advanced Organic Chemist
ry:Parts A and B,5th Edition(Springer,20
07)を参照のこと。
【0551】
実施例1.グリカン治療剤の調製
オーバーヘッド撹拌器及びジャケット短経路凝縮器を装備した丸底フラスコに、1つ以
上のモノ-または二糖類が、乾燥重量で3~20%の米国特許第8,466,242号及
びWO 2014/031956(これらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み込
まれる)に記載される触媒のうちの1つ以上を添加し得る。水または別の適合溶媒(1.
54当量)は、乾燥混合物に添加され、スラリーは、できるだけ接近して選択された丸底
フラスコの輪郭に一致するようにサイズ決めされたへらを用いて、約100rpmで混合
された。次いで、この混合物を80~155℃に加熱した。一旦固体が融解状態に達した
ら、容器を10~1000mbarの真空圧下に設置した。反応物は、30分間~8時間
撹拌し、絶えず、反応物から水を取り除いた。反応進行は、HPLCによってモニタリン
グした。十分なポリゴマー形成が生じたとき、撹拌器を止め、反応物を室温まで冷却し、
大気圧まで放出し、固体塊は、約50Brix(100gの溶液当たりの糖のグラム量)
の溶液を作製するのに十分な水の体積中に溶解した。一旦溶解が完了したら、固体触媒を
、濾過によって除去し、オリゴマー溶液を、例えば、回転蒸発によって、約50~75B
rixまで濃縮した。有機溶媒が使用された場合には、水非混和性溶媒が、二相性抽出に
よって除去され得、水混和性溶媒は、濃縮ステップと同時に回転蒸発によって除去され得
る。
【0552】
とりわけ、以下の25個のグリカンを複数のバッチで作製し、本明細書に記載される様
々なアッセイで試験した:
単一のグリカン単位(ホモグリカン):xyl100、rha100、ara100、g
al100、glu100、及びman100。
【0553】
2つのグリカン単位(ヘテログリカン):ara50gal50、xyl75gal2
5、ara80xyl20、ara60xyl40、ara50xyl50、glu80
man20、glu60man40、man60glu40、man80glu20、g
al75xyl25、glu50gal50、man62glu38、ならびにハイブリ
ッドグリカンglu90sor10及びglu90gly10。
【0554】
3つのグリカン単位(ヘテログリカン):xyl75glu12gal12、xyl3
3glu33gal33、glu33gal33fuc33、man52glu29ga
l19、及びglu33gal33neu33。
【0555】
実施例2.グリカン治療剤の精製
実施例1等で合成されたオリゴ糖及び多糖は、25~50Brixの最終濃度まで脱イ
オン水中に溶解した。次いで、材料を、少なくとも2質量当量のDowex Monos
phere 88イオン交換樹脂に曝露した。曝露は、滞留時間が溶液には3~5の最終
pHを達成するのに十分である限り、フラスコ中で、120~170rpmで旋回させる
ことによってまたは湿ったスラリーパック済みカラムを通して濾過することによって生じ
得る。オリゴマー溶液は、濾過(旋回反応の場合のように)または溶出(カラム濾過の場
合のように)によって単離され、プロセスは、溶液のpHが5.5超まで類似の様式でD
owex Monosphere 77イオン交換樹脂を用いて繰り返された。最終的に
、溶液は、十分に浄化し、0.2ミクロンフィルタを通して濾過して、残渣樹脂及び樹脂
微粒子を除去するまで、この溶液をDowex Optipore SD-2 Adso
rbent脱色樹脂に曝露した。次いで、最終溶液を、回転蒸発によって50~85Br
ixに濃縮するか、凍結乾燥によって固体になるまで濃縮した。
【0556】
実施例3.小規模でのグリカン治療剤のハイスループット調製
実施例1に代表されるオリゴマー及びポリマーを、24-、48-、または96-ウェ
ルプレート中またはアルミニウム加熱ブロック内に収容されたサイズが均一なアレイの1
ドラムのバイアル中で並列様式で合成した。この実施例では、すべての液体輸送は、プロ
グラム可能なロボットによって、または目盛付きピペットを用いて手動で処理された。各
バイアルまたはウェルに、乾燥重量で20~100%の、米国特許第8,466,242
号及びWO 2014/031956に記載される触媒のうちの1つ以上を添加した。プ
レートまたは加熱ブロックを、10~800mbarの真空下で50~150℃に加熱し
た真空オーブン中に覆いを取ったまま設置した。オーブン真空ポンプを、再循環冷却トラ
ップ、続いて、ドライアイス/アセトントラップからなる二段階の冷却器によって保護し
た。プレートまたはブロックを、撹拌せずに、高温かつ減圧下で、30分間~6時間加熱
した。予め決められた時間後、オーブンを大気圧まで放出し、プレートまたはブロックを
室温まで冷却し、各ウェルまたはバイアルを、脱イオン水を用いて約50Brixまで希
釈した。実施例2に記載される固相抽出ステップを、連続湿式パック済みカラムを通して
溶離することによって行い、各カラムからの溶離液は、蠕動ポンプまたはその他の好適な
小型ポンプを用いて、2~6床体積/時の速度で次のカラムの上部に直ちに流れる。次い
で、カラムスタックを脱イオン水ですすぎ、合わせた流出物を、凍結乾燥によって濃縮し
て、1~10質量%の残留水分含量を有する固体粉末を単離した。
【0557】
実施例4.低分子量種の除去によるグリカン治療剤の修正
実施例1及び2にあるような調製され、精製されたオリゴマーまたはポリマーを修正し
て、低分子量種を除去した。分離は、浸透分離によって達成された。Spectrum
Labsからの約45cmの1.0kD MWCO Biotech CE透析チューブ
(折径31mm)を、脱イオン水に入れ、10分間浸し、次いで、一方の末端を透析チュ
ーブクリップで密封した。25Brix溶液の8グラムの乾燥オリゴ糖を滅菌濾過し、数
mLの空気と共に第2のクリップでチューブを密封し、チューブを浮かせた。次いで、充
填したチューブを、3ガロンのタンクの脱イオン水中に入れて、密封したチューブの緩や
かな旋回を誘発するのに十分な力で撹拌した。8時間後、タンク中の水を取り替え、チュ
ーブをさらに16時間撹拌した。一旦透析が完了し、物質が95%超のDP2+収率及び
90%超のDP3+収率を有すると、希釈溶液を滅菌濾過し、約65Brixの最終濃度
まで真空下で濃縮するか、または1~10%の残留水分を有する固体になるまで凍結乾燥
した。あるいは、分離は、接線流濾過(TFF)によって達成された。この場合、脱イオ
ン水中に溶解し、滅菌濾過した100mLの25Brixグリカン試料を、製造業者の推
奨に従って調製されたSpectrum Labs KrosFlo Research
IIi TFFシステムの供給ボトルに入れた。次いで、試料を、25psigの膜貫
通圧で1kD mPES MidiKros中空フィルタを通して透析濾過した。0.5
透析体積毎に採取された供給ストックのHPLC試料を使用して、物質が95%超のDP
2+収率及び90%超のDP3+収率を有したときに決定し、この時点で、溶液を滅菌濾
過し、65Brixのシロップになるまで真空下で濃縮するか、または1~10質量%の
残留水分含量を有する固体になるまで凍結乾燥した。
【0558】
実施例5.グリカン治療剤の調合剤を分析するための方法
液体屈折率測定によるグリカン含量の測定
この実験は、任意の所与の水溶液中のグリカンの量を定量化するように設計された。M
ettler-Toledo Refracto 30GS携帯用の糖用屈折計を、高純
度の逆浸透脱イオン水を用いて較正した。数滴のグリカン溶液を、屈折計のレンズの上に
0.2ミクロンのシリンジフィルタを通して直接濾過した。測定を室温で行い、Brix
として報告した。グリカンを、23℃で明らかな固化または結晶化を行わずに、75Br
ixになるまで定期的に濃縮した。次いで、Brixは、水の特定密度が1.0g/mL
と等しいと仮定する溶解度に変換され得る。それ故に、75Brix(75グラムのグリ
カン及び25グラムの水からなる100グラムの溶液)は、3.0g/mLの水溶解度と
等しい。比較として、D-グルコースの水溶解度は、25℃で0.909g/mL(48
Brix)であることがSigma-Aldrichにより報告される。
【0559】
加水分解及びGC-MSによる単量体の組成
この実験は、所与のオリゴ糖内の単量体含量の比率を定量化するように設計された。グ
リコシル組成分析を、Santanderら(2013)Microbiology 1
59:1471によってこれまでに説明されている、試料から酸性メタノリシスによって
生成された単糖類メチルグリコシドのペル-O-トリメチルシリル(TMS)誘導体のガ
スクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)の組み合わせによって実施した。10
0~200μgの試料を、好適な試験管中に凍結乾燥させた。イノシトール(20μg)
を、内部標準物として試料に添加し、次いで、この試料を、1M HCl/メタノール中
で、80℃で18時間加熱した。次いで、得られた単糖類を、MeOH中のピリジン及び
無水酢酸を用いて再度アセチル化し、Tri-Sil(Pierce)により80℃で3
0分間ペル-O-トリメチルシリル化した。TMSメチルグリコシドのGC/MS分析を
、インターフェースで5975C MSDに接続されたAgilent 7890A G
Cにより、シリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm内径)に結合されたSup
elco Equity-1を用いて行った。各ピークは、周知の基準及び例示されたグ
リカン内の単量体の相対的割合のそれぞれのピークに許容される公平な計算の積分との比
較に基づいて構成成分の糖に割り当てられた。試験されたすべての場合において、所与の
オリゴ糖の単量体組成は、実験誤差内で入力比に一致し、出力組成は、測定の精度内で入
力組成に一致した。
【0560】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による分子量配分
この実験は、所与のオリゴ糖内での分子量の配分を定量化するように設計された。この
測定は、Monograph of United States Pharmacop
eia,38(6)In-Process Revision:Heparin Sod
ium(USP37-NF32)に記載される方法を用いて、HPLCによって行われた
。分離は、1.0mL/分の流量で溶離液として50mMの酢酸アンモニウム及びELS
D検出器を用いて、GE superpose12カラムを介したAgilent 12
00 HPLCシステムにおいて達成された。カラム温度は、30℃で設定され、デキス
トラン(1kD、5kD、10kD重量)を使用して、標準曲線を描いた。2mg/ml
溶液の試料を調製し、0.45μm スピンフィルターを通過させ、続いて、HPLCに
40μl注入した。3次の多項式曲線は、対数分子量及び列挙された基準の溶出体積に基
づいて構築された。試料についての重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及
び多分散性指数(PDI)は、標準曲線との比較によって計算された。
図1は、glu1
00の試料のSEC評価の際に生成された曲線を示し、平均分子量は、1212g/mo
lまたは約DP7であることが決定された。曲線を誘導する10%の最大吸収での曲線の
点によって定義される、物質の分子量の上部末端は、4559g/molまたは約DP2
8であることが決定された。曲線を追跡する10%の最大吸収での曲線の点によって定義
される、物質の分子量の下部末端は、200g/molまたは約DP1であることが決定
された。glu50gal50試料の類似の分析は、それぞれ、1195g/mol(約
DP7)、4331g/mol(約DP27)、及び221g/mol(約DP1)のM
W、高質量、及び低質量を示した。
【0561】
イオン親和性クロマトグラフィー(IAC)による分子量配分
2(DP2+)及び3(DP3+)以上のDPを有するグリカンの割合は、イオン親和
性クロマトグラフィーによって測定され得る。グリカンの試料を、50~100mg/m
Lになるまで希釈し、この溶液10μLを、7.8×300mm BioRad Ami
nex HPX-42Aカラム及びRI検出器を装備するAgilent 1260 B
ioPure HPLCに注入した。溶離液として純粋なHPLCグレードの水を用いて
、試料を、80℃のカラムを通して0.6mL/分で溶出し、RI検出器を50℃で維持
した。DP1~6を示すピークは、参考基準と比較し、Agilent ChemSta
tionソフトウェアを用いて積分することによって割り当てられる。ピークは、典型的
には、DP1、DP2、DP3、DP4~7、及びDP8+として積分される。実施例1
に記載される反応によって達成可能なDPは、単量体から単量体に応じて異なるが、例え
ば、グルコースがアラビノースよりも高いDP値を確実に達成するような、手順が正確に
行われる場合、バッチにわたって一致する。例えば、glu100の17のバッチにわた
って、DP2+値は、85~93%の範囲に及び、DP3+値は、80~90%の範囲に
及んだ。逆に、ara100の6つのバッチにわたって、DP2+値は、63~78%の
範囲に及び、DP3+値は、48~71%の範囲に及んだ。単量体の混合は、個々の構成
成分の平均として機能した。
【0562】
2D NMRによるアルファ-/ベータ-配分
この実験は、二次元NMRによって所与の試料内のアルファ-グリコシド結合とベータ
-グリコシド結合の比率を定量化するように設計された。約150mgの65Brixオ
リゴ糖溶液を、400mbarの圧力下、真空オーブン中で、45~95℃で安定した質
量になるまで乾燥させた。試料は、D
2O中の2サイクルの溶解に供され、乾燥させて、
残りのH
2Oを除去した。一旦乾燥すると、試料は、0.1% アセトンを含む750μ
LのD
2O中で溶解し、3mm NMRチューブに入れられ、21.1℃で作動するBr
uker BBFOプローブを装備する、500.13MHz 1H(125.77MH
z 13C)で作動するBruker Avance-III中で分析された。試料は、
標準的なBrukerパルス配列を用いて、ヘテロ原子の単一の量子コヒーレンスパルス
配列(HSQC)を用いて分析した。4~6ppm(1H)と80~120ppm(13
C)の間のアノマープロトンは、Roslundら(2008)Carbohydrat
e Res.343:101-112において報告された、グルコースとの類似性によっ
て割り当てられた。スペクトルは、内部アセトンシグナル:1H-2.22ppm;13
C-30.8ppmを基準にした。異性体は、Mestrelab Researchか
らのMNovaソフトウェアパッケージ(Santiago de Compostel
a,Spain)を用いてそれらのそれぞれのピークの積分によって定量化された。
図2
は、代表的なスペクトルのアノマー領域を示す。表6は、rha100の場合のように、
高くても4:1、glu50gal50の場合のように、低くても1:1のアルファ-/
ベータ-比を示す、13の異なる組み合わせにわたる配分を列挙する。
表6:グリカンのバッチ及び種類にわたるアルファ結合及びベータ結合の配分
【0563】
NMRによる組成物の同定
この実験は、構成物質モノマーの2D-NMRの同定によってグリカンの組成を同定す
るように設計された。約150mgの65Brixオリゴ糖溶液を、400mbarの圧
力下、真空オーブン中で、45~95℃で安定した質量になるまで乾燥させた。試料は、
D
2O中の2サイクルの溶解に供され、乾燥させて、残りのH
2Oを除去した。一旦乾燥
すると、試料は、0.1% アセトンを含む750μLのD
2O中で溶解し、3mm N
MRチューブに入れられ、70℃で作動するBruker BBFOプローブを装備する
、500.13MHz 1H(125.77MHz 13C)で作動するBruker
Avance-III中で分析された。試料は、標準的なBrukerパルス配列を用い
て、ヘテロ原子の単一の量子コヒーレンスパルス配列(HSQC)を用いて分析した。次
いで、単一糖単量体から生じる各グリカンスペクトルのアノマー領域を、その単量体への
特定のグリコシド結合の特徴を示すピークについて試験した。多糖内の単一炭水化物環の
スピン単離の性質により、1超の単量体によるグリカンのHSQCスペクトルは、その構
成糖のそれぞれのHSQCピークの合計によって表されると予想される。したがって、各
構成物質モノマーは、他の構成物質モノマーにかかわらず、そのモノマーを含む任意のグ
リカンに見られるであろう、特有のHSQCピークを有し、さらに、グリカンを合成する
ために使用されるモノマーは、各構成物質モノマーに特有のフィンガープリントピークを
同定することによって決定され得る。例えば、
図3は、glu50gal50のHSQC
スペクトルがglu100及びgal100のハイブリッドであることを示す。表7は、
選択されたグリカン単位におけるフィンガープリントピークを列挙する。
表7:各構成糖における特徴的なHSQCピーク
【0564】
少なくとも5つのピークが、3個以下の異なるグリカン単位を含むグリカン治療剤の合
成の際に出発物質として使用される各グリカン単位において出現した。4個以上の異なる
グリカン単位を含むグリカン治療剤のHSQCスペクトルは、各構成物質のグリカン単位
において少なくとも4つのピークを有する。
【0565】
分岐分析
この実験は、所与のオリゴ糖内で(分岐する)グリコシド位置異性体の配分を定量化す
るように設計された。グリコシル結合分析のために、試料をペルメチル化し、脱重合化し
、還元し、アセチル化し、得られた部分的にメチル化したアルジトールアセテート(PM
AA)を、Heissら(2009)Carbohydr.Res.344:915によ
って記載されるように、ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)によって分
析された。試料を、200μlのジメチルスルホキシド中で懸濁し、1日間撹拌した。ペ
ルメチル化は、水酸化ナトリウム(15分)及びヨウ化メチル(45分)による2ラウン
ドの処置によって達成された。水溶液は、2M トリフルオロ酢酸を添加し、121℃で
2時間加熱することによって加水分解された。固体を真空下で単離し、酢酸/トリフルオ
ロ酢酸中でアセチル化した。得られたPMAAを、インターフェースで5975C MS
D(質量選択検出器、電子衝撃イオン化モード)に接続されたAgilent 7890
A GCにより分析し、分離は、シリカキャピラリーカラムに結合された30m Sup
elco SP-2331結合相において行われた。
図4は、この分析からの3つの代表
的なGCスペクトルを示す。これらの分析は、グリカンが少なくとも0.1~10%の、
1,2-、1,3-、1,4-、及び1,6-グリコシド結合タイプのそれぞれを有する
ことを示す。物質はまた、少なくとも5%の分岐結合タイプ(1,3,6-、1,4,6
-、または1,2,4-グリコシドが挙げられるが、これらに限定されない)を含み、少
なくとも3%の単量体単位がフラノース形態中に存在した。単一単量体に由来するグリカ
ンは、少なくとも12個の異なる非末端置換パターンからなった。2つの単量体に由来す
るグリカンは、少なくとも18個の異なる非末端置換パターンからなった。3つの単量体
に由来するグリカンは、少なくとも24個の異なる非末端置換パターンからなった。
【0566】
実施例6.糞試料の収集
糞試料は、Fisherbrand Commode Specimen Colle
ction System(Fisher Scientific)及び使用のための関
連取扱説明書を有する対象を提供することによって収集された。収集された試料は、処理
するまで、アイスパックまたは-80℃で保存された(McInnes & Cutti
ng,Manual of Procedures for Human Microb
iome Project:Core Microbiome Sampling Pr
otocol A,v12.0,2010,hmpdacc.org/doc/HMP_
MOP_Version12_0_072910.pdf)。代替の収集デバイスもまた
、使用されてもよい。例えば、試料は、スプーン付きGlobe Scientific
Screw Cap Container(Fisher Scientific)、
または下流核酸抽出及び分析のための微生物DNAを安定させるOMNIgene-GU
T収集システム(DNA Genotek,Inc.)に収集されてもよい。糞試料を提
供する対象は、各収集デバイスの使用のための製造業者より支給された取扱説明書が与え
られた。糞試料のアリコートは、当業者に周知の標準プロトコルに従って-80℃で保存
された。
【0567】
実施例7.糞から収集された微生物試料の力価の決定及び試料の培養
胃腸管の一般的な細菌の力価を決定するために、糞試料は、実施例6に記載されるよう
に収集され、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の10%重量/体積の懸濁液として
調製された。10倍の連続希釈が、滅菌PBS中で調製され、Brucella Blo
od Agar(Anaerobe Systems;Bacteroidesを含む腸
内の微生物叢の非選択的に力価の一般的なメンバーに嫌気的にインキュベートされるか、
またはProteobacteria等の非選択的に力価の通性嫌気性菌に好気的にイン
キュベートされる)に播種した(1希釈当たり100μL)。Bacteroides
Bile Esculin Agar(Anaerobe Systems;力価Bac
teroides fragilis群に嫌気的に培養される)、Cycloserin
e-Cefoxitin Fructose Agar(Anaerobe Syste
ms;力価Clostridium difficileに嫌気的に培養される)、La
ctobacillus-MRS Agar(Anaerobe Systems;力価
Lactobacillusに嫌気的に培養される)、Eosin メチレン Blue
Agar(Teknova;力価Escherichia coli及びその他のグラ
ム陰性の腸内細菌に好気的に培養される)、Bile Esculin Agar(BD
;力価Enterococcus種に好気的に培養される)、Bifidobacter
ium Selective Agar(Anaerobe Systems;力価Bi
fidobacterium種に)、またはMacConkey Agar(Fishe
r Scientific;力価E.coli及びその他のグラム陰性の腸内細菌に)も
また、使用してもよい。プレートは、標的種に適している好気性または嫌気性条件下で、
37℃でインキュベートした。24~48時間後、コロニーを計数し、元の試料中の生存
細胞の濃度を逆算するために使用した。
【0568】
ヒトまたは実験動物モデルから収集した細菌を含む試料を非選択的に培養するために、
Brucella Blood Agar(Anaerobe Systems)、Br
ain Heart Infusion Broth(Teknova)、またはCho
pped Meat Glucose Broth(Anaerobe Systems
)等の富栄養培地または寒天が使用された。アミノ酸、炭素源、または必要に応じて他の
栄養素を補充したM9(Life Technologies)等の最少培地製剤は、細
菌集団におけるグリカンまたは他の化合物の効果を試験するインビトロアッセイの際に、
細菌を非選択的に培養するために使用された。あるいは、例えば、Martensら(M
ucosal Glycan Foraging Enhances Fitness
and Transmission of a Saccharolytic Huma
n Gut Bacterial Symbiont,2008,Cell Host
& Microbe,4:447-457)に報告されるような、当業者に周知のその他
の最少培地製剤が、使用された。あるいは、PBS中の0.1%~10%(重量/体積)
の濃度での糞便スラリーが、細菌集団におけるグリカンまたは他の化合物の効果を試験す
るインビトロアッセイのためのさらなる培要素の存在または不在下で使用された。
【0569】
実施例8.単一菌株増殖アッセイ
インビトロアッセイは、胃腸管の共生生物及び病原体を含む様々な細菌菌株の能力を評
価するため、増殖基質として異なるグリカンを利用するために行われた。このアッセイは
、選択されたグリカンの健康な状態の微生物叢の増殖を促進する能力を評価するように設
計された。さらに、選択されたグリカンの共生生物の増殖を促進する能力は、グリカンの
疾患状態と関連する微生物の増殖を促進する能力と比較された。疾患状態の細菌を超える
健康な状態の細菌の増殖を選択的に増強するグリカンの健康なまたは疾患状態の調合剤の
特徴を示す、細菌のパネルに対するグリカンの調合剤を(個々に)試験することによって
、選択され得る。細菌菌株は、パラジウム触媒を特徴とする嫌気性チャンバ(AS-58
0,Anaerobe Systems)中のすべてのステップで処理された。チャンバ
は、初めに、5%の水素、5%の二酸化炭素、及び90%の窒素の嫌気性ガス混合物でパ
ージすることによって嫌気性を作製し、続いて、この同じ嫌気性ガス混合物を用いた嫌気
性状態で維持された。チャンバの嫌気性は、酸素の存在下で色が変化するOxoid嫌気
性指示剤ストリップを用いて毎日確認された。すべての培養培地、アッセイプレート、他
の試薬、及びプラスチック製の消耗品は、細菌と接触させる前に、24~48時間嫌気性
チャンバ中で前還元された。グリカンara50gal50、glu33gal33fu
c33、glu50gal50、gal100、glu100、ara50xyl50、
xyl100、ara100、ara60xyl40、rha100、gal75xyl
25、glu90gly10、man62glu38、man52glu29gal19
、及び2つの市販の対照:アカシア繊維(Acacia Fiber Organic
Powder;NOW Foods,Bloomingdale IL)及びFOS(N
utraflora FOS;NOW Foods,Bloomingdale IL)
を、水中5%(w/v)で調製し、濾過滅菌され、アッセイにおける0.5%(w/v)
の最終濃度のためにCostar 3370アッセイプレートに添加し、各グリカンを2
つの非隣接ウェル中でアッセイし、デキストロース及び水を陽性及び陰性対照として供給
した。
【0570】
細菌単離物は、American Type Culture Collection
(ATCC)及びLeibniz Institute DSMZ-German In
stitute of Microorganisms and Cell Cultu
res(DSMZ)から得られた。8つの共生種(Bacteroides cacca
e ATCC 43185「BCA.26」、Prevotella copri DS
M 18205「PCO.72」、Bacteroides thetaiotaomi
cron ATCC 29741「BTH.8」、Bacteroides cellu
losilyticus DSM 14838「BCE.71」、Clostridiu
m scindens ATCC 35704「CSC.32」、Ruminococc
us obeum ATCC 29714「ROB.74」、Clostridium
nexile ATCC 27757「CNE.31」、及びParabacteroi
des distasonis ATCC 8503「PDI.6」)ならびに3つの病
原体種(Clostridium difficile ATCC BAA-1382「
CDI.23」及びATCC 43255「CDI.24」、Enterococcus
faecium ATCC 700221「EFM.66」及びSalmonella
enterica ATCC 27869「SEN.52」)は、Brucella
Blood寒天(Anaerobe Systems)、カゼイン及び動物組織の酵素消
化物、酵母エキス、塩化ナトリウム、デキストロース、重亜硫酸ナトリウム、ヒツジの血
、ヘミン、及びビタミンK1を含む前還元の強化培地上で、37℃で18~48時間、好
気的に増殖させた。共生種Akkermansia muciniphila ATCC
BAA-835「AMU.73」は、MTGE寒天プレート(Anaerobe Sy
stems)、タンパク質製剤、酵母エキス、ビタミンK1、及び揮発性脂肪酸を含む強
化培地上で好気的に増殖させた。接種材料は、寒天プレートからのコロニーを掻き取り、
リン酸緩衝液中でそれらを懸濁し、製造業者のプロトコルに従ってGen5 2.0 A
ll-In-One Microplate Reader Software付きのB
iotek Synergy 2プレートリーダーを用いたCostar 3370ポリ
スチレン96ウェル平底アッセイプレート中の600nM(OD
600)で細胞懸濁液の
光学的濃度を決定し、糖なしで調製された合成及び半合成培地中で最終的に細胞をOD
6
000.01~0.02まで希釈することによって調製された。D.formicige
nerans、P.distasonis、C.difficile、及びE.faec
ium単離物は、3.5%(v/v)Chopped Meat Glucose Br
oth(CMG,Anaerobe Systems)、酵母エキス、ペプトン、刻んだ
牛肉、及びリン酸緩衝液を補充した、900mg/Lの塩化ナトリウム、26mg/Lの
塩化カルシウム二水和物、20mg/Lの塩化マグネシウム六水和物、10mg/Lの塩
化マグネシウム四水和物、40mg/Lの硫酸アンモニウム、4mg/Lの硫酸鉄七水和
物、1mg/Lの塩化コバルト六水和物、300mg/Lのリン酸二塩基カリウム、1.
5g/Lのリン酸二塩基ナトリウム、5g/Lの重炭酸ナトリウム、0.125mg/L
のビオチン、1mg/Lのピリドキシン、1m/Lのパントテン酸塩、75mg/Lのヒ
スチジン、75mg/Lのグリシン、75mg/Lのトリプトファン、150mg/Lの
アルギニン、150mg/Lのメチオニン、150mg/Lのスレオニン、225mg/
Lのバリン、225mg/Lのイソロイシン、300mg/Lのロイシン、400mg/
Lのシステイン、及び450mg/Lのプロリン(Theriot CM et al.
Nat Commun.2014;5:3114)中で試験した。B.thetaiot
aomicron、B.caccae、B.cellulosyliticus、及びS
.entericaは、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)、15mMの
塩化ナトリウム、8.5mMの硫酸アンモニウム、4mMのL-システイン、1.9μM
のヘマチン、200μM L-ヒスチジン、100μMの塩化マグネシウム、1.4μM
の硫酸鉄七水和物、50μMの塩化カルシウム、1μg/mLのビタミンK3、及び5n
g/mLのビタミンB12中で試験した(Martens EC et al.Cell
Host & Microbe 2008;4,447-457)。C.scinde
ns、P.copri、及びR.obeumは、10g/Lのトリプトンペプトン、5g
/Lの酵母エキス、0.5g/LのL-システイン塩酸塩、0.1Mのリン酸カリウム緩
衝液pH7.2、1μg/mLのビタミンK3、0.08%(w/v)塩化カルシウム、
0.4μg/mLの硫酸鉄七水和物、1μg/mLのレサズリン、1.2μg/mLのヘ
マチン、0.2mMのヒスチジン、0.05% Tween 80、0.5% 肉エキス
(Sigma)、1% 微量元素栄養補助食品(ATCC)、1% ビタミン栄養補助食
品(ATCC)、0.017%(v/v)酢酸、0.001%(v/v)イソ吉草酸、0
.2%(v/v)プロピオン酸、及び0.2%(v/v)N-酪酸(Romano KA
et al.mBio 2015;6(2):e02481-14)中で試験し、C.
nexile及びA.muciniphilaについては、この培地は、CMG bro
thの3.5%(v/v)最終を補充した。細菌は、濁度が0.5%(w/v)デキスト
ロースを含有する陽性増殖対照ウェル中で観察されるまで、グリカンara50gal5
0、glu33gal33fuc33,glu50gal50、gal100、glu1
00、ara50xyl50、xyl100、ara100、ara60xyl40、r
ha100、gal75xyl25、man62glu38、man52glu29ga
l19、市販のアカシア繊維、市販のFOS、及びデキストロースに、96ウェルマイク
ロプレート中の0.5%(w/v)の最終濃度で、1ウェル当たり200μLの最終体積
で、37℃で18~48時間、好気的に曝露された。インキュベーション時間の終わりに
、各単離物についてのOD
600測定値が、製造業者の仕様書に従って、Gen5 2.
0ソフトウェア付きのBiotek Synergy2リーダーを用いて得られた。測定
値は、著しく異なるOD
600範囲内で増殖する菌株によるグリカン利用の比較を促進す
るために、試験グリカン上の単離物のOD
600読み出しを、0.5%(w/v)デキス
トロースを補充した培地内の単離物のOD
600で除算することによって正規化された。
表8及び9は、得られた結果を要約する。
【0571】
共生菌株の増殖を支持したほとんどのグリカンをこのアッセイでは試験した。Gal7
5xyl25、glu33gal33fuc33、glu50gal50、gal100
、man62glu38、ara50gal50、glu100、man52glu29
gal19、ara50xyl50 xyl100、及びara100は、9つの共生生
物のうちの少なくとも5つの増殖を支持した(表8を参照のこと)。
表8:共生細菌のグリカンを支持した増殖
【0572】
いくつかのグリカンは、試験した病原体よりも試験した共生生物の良好な増殖を支持し
た:ara50gal50、glu33gal33fuc33,gal100、glu1
00 ara50xyl50、xyl100、及び市販のFOS対照は、9つの共生単離
物のうちの5つ以上、及び4つの病原性単離物のうちの2つ以下の増殖を支持し、正規化
増殖値は少なくとも0.2であった。このアッセイでは、glu50gal50及びga
l75xyl25はそれぞれ、共生生物及び病原体の大部分を支持し、正規化増殖値は少
なくとも0.2であったが、それらは、病原体よりも大きい割合の共生生物でより高いレ
ベルの増殖を支持し、gal75xyl25は、9つの共生生物のうちの6つ及び4つの
病原体のうちの1つにおいて0.6超の正規化増殖値を得、glu50gal50は、9
つの共生生物のうちの4つ及び4つの病原体のうちの0において0.6超の正規化増殖値
を得た。このアッセイでは、1つのグリカンが病原体及び共生生物の増殖を支持した:m
an62glu38は、正規化増殖値が少なくとも0.2である、4つの病原体のうちの
4つ及び9つの共生生物のうちの少なくとも8つの増殖を支持し、正規化増殖値が0.6
超である、4つの病原体のうちの3つ及び9つの共生生物のうちの6つ以下の増殖を支持
した。このアッセイでは、あるグリカンが共生生物または病原体の大部分を支持しなかっ
た:rha100及び市販のアカシア繊維対照は、9つの共生生物のうちの2つ以下及び
4つの病原体のうちの2つ以下を支持し、正規化増殖値は0.2超であった(表9を参照
のこと)。
表9:選択されたグリカンにおける共生生物及び病原性細菌の分化増殖
【0573】
これらのデータは、グリカン治療剤が共生細菌の増殖を支持し、グリカンのある特定の
亜群が、病原体を上回って共生生物の増殖を特異的に支持することを示唆している。
【0574】
実施例9.インビトロでの微生物集団におけるグリカンの効果
グリカンの所望の組成物を決定するために、細菌培養物は、候補グリカンの存在下で増
殖させ、それらの増殖、共同体組成物(例えば、16S rRNA遺伝子シークエンシン
グによる)、代謝産物の生成、及び表現型またはトランスクリプトミクス特性についてア
ッセイする。所望のグリカンは、細菌培養物内の所望の特性を導き出すそれらの能力に基
づいて選択される。細胞培養物には、単一培養物、混合培養物、ヒトもしくは実験動物モ
デルから単離された培養物、ヒトもしくは実験動物モデルから単離され、単離物もしくは
一連の単離物でスパイクされた培養物、またはヒトもしくは実験動物モデルから単離され
、一連の種から枯渇した培養物(例えば、抗生物質の適用による)が含まれる。細胞培養
物の力価は、実施例7と同様に決定され、細胞培養物の組成及び特性は、本明細書に記載
されるように、または標準プロトコルを使用して定量化される。このアッセイは、抗生物
質または他の試験化合物の存在下で行われ得る。インビトロアッセイから得られた結果は
、ヒトをグリカンで治療するか、または例えば、実施例10及び実施例12に記載される
ように、動物モデルにおける実験動物にグリカンを投与した後に得られた結果と比較され
、それにより、インビトロ-インビボでの結果の相関関係を構築する。
【0575】
実施例10.ナイーブマウスの腸内の微生物叢におけるグリカンの効果
この実験は、ナイーブマウスの腸内の微生物叢及び短期間の体重におけるグリカン治療
剤の効果を評価するために行われた。このモデルでは、正常なマウスは、6日間にわたっ
て飲料水中にグリカンが投与され、糞試料が16S rRNA分析のために各マウスから
採取される。
【0576】
8~10週齢のマウス、C57Bl/6(B6N Tac)、病原体のないマウス(M
PF;Taconic Biosciences,Germantown,NY)は、ケ
ージ中に個々に収容され、1用量群当たり6匹の動物を有した。動物に、研究過程を通し
て、PicoLab Rodent Diet 20(「5053」;LabDiet,
St.Louis,MO)または無繊維食(「ZFD」;Modified roden
t diet AIN-93G:D15091701,Research Diets,
New Brunswick,NJ)を不断給餌し、自由に水を与えた。マウスは、12
時間の明/暗のサイクルを維持した。マウスは、グリカン投与前に、7日間(-7日目~
-1日目)馴化した。
【0577】
グリカンは、0日目~5日目に、1% 重量/体積(w/v)で飲料水に含有すること
により、マウスに投与された。対照マウスは、グリカンを含まない水を与えられた。-2
日目~5日目に、各マウスに対して新鮮な糞収集を行った。マウスの体重は、-1日目、
1日目、3日目、及び4日目にモニタリングされた。マウスの体重は、研究過程を通して
著しく変化しなかった。
【0578】
ゲノムDNAは、糞試料から抽出され、16S rRNA遺伝子の可変領域4が、増幅
され、シークエンシングされた(Earth Microbiome Project
protocol www.earthmicrobiome.org/emp-sta
ndard-protocols/16s/及びCaporaso JG et al.
2012.Ultra-high-throughput microbial com
munity analysis on the Illumina HiSeq an
d MiSeq platforms.ISME J.)。操作的分類単位(OTU)は
、97%同一性で16S rRNA配列を整列させることによって生成された。微生物共
同体は、UniFrac距離メトリックを用いて互いに比較された(Lozupone
C.et al.,Appl.Environ.Microbiol.December
2005 vol.71 no.12 8228-8235)。
【0579】
著しい変化は、マウスにxyl 100調合剤を投与したときに、観察された。投与さ
れる1日前及びグリカン投与から5日後に抽出した微生物叢間のUniFrac距離は、
いずれのグリカンも受容しなかったマウスと比較して、キシロースで処置されたマウスに
おいて著しく大きかった(p=0.0043、マンホイットニー検定、
図7)。アルファ
多様性は、グリカンまたは水投与前及びその後に、微生物叢において計算されたシャノン
指数によって測定された。シャノン指数は、キシロース投与の5日後に著しく減少した(
p=0.0313、ウィルコクソンのペア検定、
図8)。
【0580】
キシロースの投与による観察されたシフトの変化は、Akkermansia属(ph
ylum Verrucomicrobia、p=0.0313、ウィルコクソンのペア
検定、
図9a)、及びBlautia属(phylum Firmicutes、fam
ily Lachnospiraceae、p=0.0313、ウィルコクソンのペア検
定、
図9b)に割り当てられた配列の相対的存在度の増加に起因した。
【0581】
哺乳動物の腸内の最も卓越したAkkermansia種は、Akkermansia
muciniphilaである。その好ましいエネルギー源は、宿主の腸内ムチンであ
る。低繊維食の消費ならびに単糖及び脂肪の大量摂取は、粘液産生の減少をもたらす(B
ritish Journal of Nutrition/Volume 102/I
ssue 01/July 2009,pp 117-125,Quantitativ
e Imaging of Gut Microbiota Spatial Orga
nization,Earle KA et al,Cell Host Microb
e.2015 Oct 14;18(4):478-88)。腸粘液が薄くなると、腸透
過性の増加、微生物またはそれらの構成成分、例えば、リポ多糖(LPS)の転移をもた
らす場合があり、これにより、炎症を誘発する。LPS値は、齧歯動物における高脂肪食
の摂取の際に増加し、代謝症候群を発症する(代謝内毒素血症は、肥満及びインスリン耐
性を引き起こす、Cani PD et al,Diabetes.2007 Jul;
56(7):1761-72)。
【0582】
Akkermansia muciniphilaはインビトロでキシロを分解するこ
とが示されなかったが(実施例8、表8、AMU.73)、例えば、Bacteroid
etes等のその他の種は、xyl100の一次発酵に関与し得、同様に、Akkerm
ansiaの増殖を誘発し得る。例えば、Bacteroides thetaiota
omicronを持つ無菌マウスのコロニー化は、腸内杯細胞による粘液産生を誘発する
(Wrzosek et al.BMC Biology 2013 11:)。これは
、Akkermansiaの増殖のための好ましい環境を作り上げ得る。Akkerma
nsiaによる粘液の消費は、粘液産生の増加を刺激し、微生物の内毒素LPSの漏出を
防ぐ腸バリアの修復の役割を果たし得る。内毒素の減少は、炎症を軽減し、代謝症候群と
関連する症状を緩和し得る。例えば、食餌性肥満モデルの齧歯動物へのFOSまたはAk
kermansia muciniphilaの投与は、血清LPS のレベルの低下、
ならびに脂肪量及び体重の減少をもたらす。(Cross-talk between
Akkermansia muciniphila and intestinal e
pithelium controls diet-induced obesity,
Everard A,PNAS.2013 May 28;110(22):9066-
71)。
【0583】
SCFAプロピオン酸塩を含む、Akkermansia muciniphila代
謝産物は、脂肪症調節剤Gpr43及びペルオキシソーム増殖活性化受容体ガンマの発現
を減少させ、遺伝子調節剤ヒストンデアセチラーゼHdac3及びHdac5の発現を増
加させることが示されている(Lukovac et al.2014.Differe
ntial Modulation by Akkermansia muciniph
ila and Faecalibacterium prausnitzii of
Host Peripheral Lipid Metabolism and His
tone Acetylation in Mouse Gut Organoids
mBio 5(4):e01438-14)。有効量で投与されるとき、グリカン治療剤
は、SCFAを生成し、それにより、宿主脂肪症及び肥満を調節し得る。インビトロアッ
セイ(実施例8)では、A.muciniphila単離物であるAMU.73の増殖は
、表8中に示される、15個のグリカンのうちの8個によって支持された。
【0584】
実施例11.腸部位で細菌共同体への宿主反応におけるグリカンの効果を試験するための
インビトロでの共培養モデル
細菌は、宿主(哺乳動物)細胞からの炎症性及び抗炎症性反応の両方を引き起こすこと
ができ、異なる細菌種は、異なる宿主応答を引き起こすことができる。グリカンの調製は
、所望の宿主反応を引き起こすために細菌集団を変化させるために使用される。インビト
ロでの共培養モデルは、グリカンの存在下で増殖される細菌集団によって引き起こす宿主
反応を測定するために使用される。有益な宿主反応を引き起こすまたは有害な宿主反応を
最小限に抑える細菌集団を促進するグリカンが、このアッセイを用いて選択される。
【0585】
腸からの上皮細胞株または組織は、共培養モデルにおいて使用される(Haller
D,Bode C,Hammes WP,Pfeifer AMA,Schiffrin
EJ,Blum S,2000.Non-pathogenic elicit a
differential cytokine response by intest
inal epithelial cell/leucocyte co-cultur
es.Gut.47:79-97)(Borruel et al.,2003.Eff
ects of nonpathogenic on cytokine secret
ion by human intestinal mucosa.Am J Gast
roenterology.98:865-870)。ヒト腸細胞様CaCO-2細胞は
、25mmの細胞培養挿入物(0.4μm 核膜孔径;Becton Dickinso
n)における2.5×105 細胞/mlの密度で播種する。挿入物は、6ウェル組織培
養プレート(Nunc)に置き、20% 熱不活性化ウシ胎仔血清(56℃、30分間;
Amimed)、1% MEM 非必須アミノ酸(Gibco BRL)、10μg/m
lのゲンタマイシン(Gibco BRL)、及び0.1% ペニシリン/ストレプトマ
イシン(10 000IU/ml/10 000UG/ml;Gibco BRL)を補
充したDMEM(グルタミン、高グルコース;Amimed)中の37℃/10% CO
2で18~22日培養した。細胞培養培地は、細胞が完全に分化するまで隔日に交換した
。あるいは、正常なヒト細胞由来の小腸上皮及び内皮細胞及び線維芽細胞から生成された
3D再構築組織モデル(EpiIntestinalモデル;MatTek Corpo
ration,Ashland,MA)が使用される。経上皮電気抵抗(TEER)は、
MultiCell-ERS電圧計/オーム計を用いて決定される。組織培養挿入物は、
細菌培養によるチャレンジ前に、予熱した抗生物質を含まない培地で2回洗浄する。別々
に、細菌培養物は、実施例9に記載される、グリカンの調製物の存在下で増殖される。グ
リカンの存在下で16~24時間の増殖後に、細菌懸濁液は、抗生物質を含まない培地中
で調製され、106~108のCFUを、コンフルエント細胞または組織培養物に添加す
る。共培養物は、37℃で4~24時間インキュベートする。
【0586】
共インキュベーション時間の終了時に、上清を収集し、IL-1α、IL-1β、TN
F、IL-8、RANTES、IL-10、TGF-β、IFN-γ、IL-4、IL-
6、IL-12、IL-17、及びIL-23を含む、炎症及び免疫調節サイトカインに
ついて分析する。この分析は、標準プロトコルに従って、酵素結合免疫吸着法(ELIS
A)または他の同等の定量化技術(例えば、Luminex Assay;Life T
echnologies,Carlsbad,CA)によって行われる。広範囲の反応を
分析するために、遺伝子発現(例えば、マイクロアレイによる)またはトランスクリプト
ミクス(例えば、RNA-Seqによる)分析は、標準プロトコルに従って、細胞を溶解
し、RNAを精製することによって行われる。この手順は、炎症性サイトカイン、免疫調
節サイトカイン、抗菌ペプチドをコードする遺伝子、及び他の関連性のある宿主反応を分
析するために使用される。
【0587】
実施例12.クロストリジウム・ディフィシル感染症のマウスモデルにおけるグリカンの
効果
この実験は、クロストリジウム・ディフィシル感染症のマウスモデルにおけるグリカン
治療剤の効果を分析するために行われた(Chen et al,2008,A Mou
se Model of Clostridium difficile-Associ
ated Disease.Gastroenterology 135(6),198
4-1992)。このモデルでは、正常マウスに、ヒト臨床疾患のそれらの発症及び兆候
に対して同様のC.ディフィシル感染症及び疾患症状に感染しやすい状態にする抗生物質
レジメンが投与された。ヒトにおける、疾患は、ほとんどの場合、腸内毒素症をもたらし
、続いて、C.difficileによる結腸のコロニー化を増大させると考えられる、
広範囲の抗生物質への曝露の結果である。C.difficileの生物負荷の増大は、
細菌及び結腸炎症による毒性産生をもたらす。ヒトにおける臨床症状は、下痢、体重減少
、腸炎、発熱、及び脱水症を含む。C.ディフィシル感染症及び疾患の臨床所見は、米国
において、1年間で約750,000の症例がある。
【0588】
マウス(雌C57BL/6、8~10週齢、各16~18グラム;Harlan La
boratories,Indianapolis,IN)を、1ケージ当たり3匹の群
で収容し、1処置群当たり4つのケージを有した。マウスは、0日目にClostrid
ium・difficileチャレンジする14日前の-14日目に開始して、9日間、
飲料水中の抗生物質の混合物に曝露された。抗生物質の混合物は、1% グルコース、カ
ナマイシン(0.5mg/ml)、ゲンタマイシン(0.044mg/ml)、コリスチ
ン(1062.5U/ml)、メトロニダゾール(0.269mg/ml)、シプロフロ
キサシン(0.156mg/ml)、アンピシリン(0.1mg/ml)、及びバンコマ
イシン(0.056mg/ml)から成った。Clostridium・diffici
leチャレンジする3日前(-3日目)に、マウスは、強制経口(経口投与)によって体
積0.5mLの蒸留水中で単一用量のクリンダマイシン(10mg/kg)を受容した(
表10を参照のこと)。すべての化学物質は、Sigma-Aldrich Corp.
(St.Louis,MO)から購入した。0日目に、マウスは、体積0.5mLの蒸留
水中で、1マウス当たり約4.5log
10胞子で、経口投与によって、Clostri
dium・difficile(菌株VPI 10463(ATCC-43255))胞
子によりチャレンジされた。
表10:処置
【0589】
A.疾患関連の表現型
疾患関連の表現型は、Clostridium・difficileチャレンジ日(0
日目)に開始し、10日目まで10日間記録された。不活発、猫背の姿勢、及び毛の逆立
ち、湿った尾/腹部、及び低温症を含む表現型は、0~4で採点された:正常=0;不活
発=1;不活発+猫背=2;不活発+猫背+湿った尾/腹部(下痢)=3;及び不活発+
猫背+湿った尾/腹部+低温症=4。動物の死亡(0日目~10または11日目)及び体
重(1日目~7日目及び10日目)もモニタリングされ、記録された。0日目と比較して
、25%超の体重減少を示したマウスは、苦痛を最小限にして殺処分した。
【0590】
これらの研究では、湿った尾/腹部(下痢;「3」の臨床スコア)を有する動物はすべ
て、死に至った。下痢は、結腸炎症の兆候であり、出血は、C.difficileコロ
ニー化/感染の齧歯動物モデルに見られる体重減少への要因である。
【0591】
これらの実験では、6日目を通して死亡から動物を守る処置の能力は、例えば、ヒトに
おける疾患の予防を示す。7~11日目に、死亡から動物を守る処置の能力は、これらの
モデルにおける疾患再発を防いだ。
【0592】
さらに、マウス及びヒトの両者におけるClostridium・difficile
の腸内コロニー化を示す、Clostridium・difficile胞子のキャリッ
ジは、0日目~6日目に毎日評価された。胞子CFU計数については、マウスからの糞ペ
レットをリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中の50%エタノール中に懸濁し、ボルテッ
クスした。試料を室温で1時間インキュベートし、十分にボルテックスし、PBS中で連
続希釈した。得られた懸濁液をClostridium・difficile選択的なT
CCFA寒天(Teknova,Hollister CA)に適用し、嫌気性雰囲気で
37℃で一晩増殖して、CFUを計数した。
【0593】
処置の効果は、グリカン処置群、未処置(淡水)群、及びバンコマイシン処置群におけ
る疾患関連表現型を比較することによって評価された。FOSは、市販の非消化フラクト
オリゴ糖である。抗生物質及びクロストリジウム・ディフィシル関連下痢(Lewis
et al.,Failure of dietary oligofructose
to prevent antibiotic-associated diarrhe
a.Aliment Pharmacol Ther 2005;21:469-477
)及びクロストリジウム・ディフィシル再発(Lewis et al,Effect
of the Prebiotic Oligofructose on Relaps
e of Clostridium difficile-Associated Di
arrhea:A Randomized,Controlled Study.Cli
n Gastroent Hepatol 2005(3):442-448.)のため
の処置介入として市販のFOSを用いて臨床試験は、異なる結果を生み出し、前者の試験
は、FOS処置の効果を示さず、後者は、疾患回帰の減少を示す。
【0594】
生存
動物の生存に関して、水で処置した動物(ビヒクル)とグリカンまたはバンコマイシン
のいずれかで処置した動物との間で有意な差異があった(
図10)。動物への処置は、4
日目(バンコマイシンについては)及び6日目(グリカンについては)に中断し、動物の
死亡/臨床スコアは、10日目または11日目に評価した。水で処置した動物については
、75%の動物が4日目に死亡した(
図10)。バンコマイシンで処置した動物のすべて
(100%)は、7日目まで生存した。しかしながら、バンコマイシン処置群の17%の
動物が、10日目までに死亡した。バンコマイシン処置群における残りの生存者は、0を
超える臨床スコアを有した。グリカン処置群(L=処置日数-15~6;S=日数-1~
6)については、6日目までの死亡は、以下の通りであった:glu100(L)、gl
u33gal33fuc33(L)、及びglu50gal50(L及びS)については
、死亡は0%であった。ara100(S)、glu33gal33fuc33(S)、
glu100(L)、及びFOS(L)については、8%の動物が死亡した。ara10
0(L)及びFOS(S)については、25%の動物が死亡した。すべてのグリカン処置
の生存者は、0の臨床スコアでとどまり、7~11日目の死亡がなかった。glu100
(L及びS)、glu33gal33fuc33((L及びS)、ara100(S)、
及びglu50gal50(L及びS)群の動物は、「3」の臨床スコアを示さず、これ
らの処置が下痢を予防したことを示した。未処置対照群の動物のうちの2匹が下痢を示し
た。
【0595】
体重減少
試験したグリカンのうちのいずれかで処置した動物の体重減少は、水処置動物よりも有
意に少なかった(
図11、***P<0.001;反復測定ANOVA、ボンフェローニ
補正多重比較)。グリカン処置動物における体重減少プロファイルは、バンコマイシン処
置群のものには有意差がなかった。
【0596】
B.C.difficile胞子のキャリッジにおける処置の効果
0~6日目に、マウスの糞中のC.difficile胞子の存在が評価された。バン
コマイシン処置動物は、いずれの日にもそれらの糞中には検出可能な胞子がなかった。グ
リカンまたは水で処置したマウスは、2~6対数10CFU/グラムの糞があった。6日
目にC.difficile胞子のキャリッジにかかわらず、グリカン処置動物は、10
日目まで健康であり、7日目及び10日目に臨床スコアは0であった。すべてのバンコマ
イシン処置動物は、10日目に臨床症状を示し、17%死亡した。
【0597】
C.微生物腸内の構成物質におけるグリカン関連シフト
いかに腸内の微生物叢組成物がグリカン治療剤での処置に応答するかを決定するために
、Earth Microbiome Projectからの標準プロトコルを用いたV
4可変領域における糞ペレットの16S rRNAシークエンシングが行われた(www
.earthmicrobiome.org/emp-standard-protoc
ols/)。
【0598】
グリカン処置の終了後の6日目に、グリカンならびにFOSまたはビヒクル及びバンコ
マイシン対照で処置したマウス(LまたはS)の腸内の微生物叢系統発生組成物間の有意
差があった(表11)。
表11.ビヒクル、バンコマイシン、またはFOS対照でのグリカン処置間の終了組成物
の比較
*adj.P<0.05、**adj.P<0.01、***adj.P<0.001;
対アドニス、ボンフェローニ補正多重比較
【0599】
異なる細菌属は、様々なグリカン処置、バンコマイシン処置、または水対照により相対
的存在度を増加した。
図12は、グリカンまたはバンコマイシンによる処置直前(-1日
目)から処置直後(6日目)の特定の細菌属の相対的存在度の変化を示す。Bacter
oides属は、ara100、FOS、及びglu50gal50処置において増加し
た。Parabacteroides属は、glu33gal33fuc33処置におい
て増加した。Bifidobacterium 属は、FOS、glu100、及びgl
u50gal50処置において増加した。Bacteroides、Parabacte
roides、及びBifidobacteriumは、C.difficile耐性マ
イクロバイオーム組成物と正に相関することを示している(Seekatz and Y
oung,2014,The Journal of Clinical Invest
igation)。とりわけ、Enterococcus属は、すべての処置において減
少し、Lactobacillusは、FOS、glu100、及びglu50gal5
0処置において減少した。Enterococcus及びLactobacillusは
両方とも、C.difficile感受性マイクロバイオーム組成物と正に相関すること
がこれまでに観察されている(Seekatz and Young,2014,The
Journal of Clinical Investigation)。
【0600】
いくつかの二次胆汁酸は、インビトロでのC.difficile増殖を減じることが
示されている。腸内マイクロバイオームの一次胆汁酸を二次胆汁酸に変換する能力は、C
.ディフィシル感染症に直接拮抗すると仮定されている。3つのグリカン(glu33g
al33fuc33、ara100、及びglu50gal50)はすべて、一次胆汁酸
を二次胆汁酸に変換するために腸内マイクロバイオームの予測された機能的潜在性を増加
した(
図13)。これは、バンコマイシン対照には観察されなかった。さらに、あるグリ
カン(glu100)及び市販のFOSは両方とも、平均して、腸内マイクロバイオーム
の予測された機能的潜在性を減少した。機能の予測は、PICRUST(picrust
.github.io/picrust/)を用いて16S rRNAシークエンシング
から行われた。
【0601】
二次胆汁酸の産生は、C.difficileの発芽及び増殖の低下につながり、La
chnospiraceae及びRuminococcaceaeファミリーのメンバー
は、二次胆汁酸の産生ならびにC.difficile発芽及び増殖に対する耐性と関連
している(Theriot CM,Bowman AA and Young VB.2
016.Antibiotic-induced alterations of th
e gut microbiota alter secondary bile ac
id production and allow for Clostridium
difficile spore germination and outgrowt
h in the large intestine.mSphere 1(1):e0
0045-15.)グリカン治療剤は、有効量で投与されたときに、二次胆汁酸を産生す
る細菌種を調節し、それにより、C.difficileの発芽、増生、及びコロニー化
に対する耐性を促進し得る。
【0602】
実施例8のインビトロアッセイでは、Ruminocacceaeファミリーのメンバ
ーであるROB.74の増殖は、15個のグリカンのうちの13個によって支持され、L
achnospiraceaeファミリーのメンバーであるCSC.32及びCNE.3
1の増殖は、それぞれ、表8中に示されるように、15個のグリカンのうちの6個及び7
個によって支持された。glu50gal50及びara100の2つのグリカン治療剤
は、C.ディフィシル感染症のマウスモデルにおける二次胆汁酸生合成経路の相対的存在
度を著しく増加させた(
図13)。
【0603】
腸内の微生物叢のアルファ多様性(シャノン指数によって測定)はすべて、グリカンで
の処置直前(-1日目)から処置直後(6日目)に増加した(
図14)。
【0604】
クロストリジウム・ディフィシル感染症について広く用いられている動物モデルにおい
て得られたこれらの結果は、グリカン治療剤がC.difficileによって引き起こ
された体重減少を軽減し、生存を改善したことを示唆している。選択されたグリカンは、
C.difficile耐性(Bacteroides、Parabacteroide
s、及びBifidobacterium)、及びC.difficile増殖にはあま
り好ましくない状態(例えば、二次胆汁酸の存在を増加)の一因となる細菌属の増殖を促
進すると思われる。
【0605】
実施例13.大腸炎のマウスモデルにおけるグリカンの効果
この実験は、大腸炎のマウスモデルにおけるグリカン治療剤の効果を分析するために行
われた(Okayasu et al,1990,A Novel Method in
the Induction of Reliable Experimental
Acute and Chronic Ulcerative Colitis in
Mice.Gastroenterology 98:694-702)。このモデルで
は、正常マウスに、ヒト臨床疾患におけるそれらの発症及び兆候に対して同様の疾患症状
の発症を引き起こした飲料水中にデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)が投与された。
ヒト潰瘍性大腸炎は、100,000人当たり約150~300の有病率を有する、腸管
の進行性の炎症性疾患である。潰瘍性大腸炎は、共生微生物叢に対する異常な宿主免疫反
応の結果であり、結腸に限定され、びまん性粘膜炎症を含む。ヒトの症状は、結腸炎症/
潰瘍、体重減少、及び血液を含有し得る下痢を含む。
【0606】
マウス(雄C57BL/6、6~8週齢、各22~24グラム;Charles Ri
ver Laboratories,Wilmington MA)を、1ケージ当たり
8匹の群で収容し、1処置群当たり1つのケージを有した。2.5% DSSを投与しな
いビヒクル対照群は、6匹のマウスからなった。マウスに、-7日目(DSS投与の7日
前)~14日目に、飲料水中に1% 濃度のグリカン治療剤が投与された。0~5日目に
、マウスに、大腸炎表現型を誘発するために、飲料水中に2.5%のDSS(MP Bi
o,Santa Ana CA;36,000~50,000Da)が投与された。
【0607】
疾患関連の表現型は、0日目の開始から11日目の12日間記録された。採点された表
現型は、体重、下痢の発生率、及び便中の血液であった。さらに、結腸炎症の内視鏡的分
析が、14日目に行われた。以下の採点システムが使用された:ナイーブ、浮腫もしくは
粘膜の腐肉形成なし、明らかな血管増生=0;浮腫、粘膜の腐肉形成、血管増生の減少=
1;浮腫、粘膜の腐肉形成、血管増生の減少、摩損=2;活動性の出血、びらん=3;活
動性潰瘍、びらん=4。組織病理学的分析は、すべてのマウスの末端結腸試料において行
われた。結腸部分は、ホルマリンで固定され、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で
染色された。粘膜びらん、結腸腺の喪失、ならびに再生(増殖性)粘膜及び腺上皮を含む
貫壁性炎症に対する粘膜を含む、結腸病変の半定量分析が使用された。表現型のすべては
、ヒト大腸炎のものを模倣する。このモデルでは、体重減少は、概して、10日目に生じ
る。
【0608】
すべての動物に、0~5日目に、飲料水に2.5% DSSが投与された。1%の濃度
の、FOS(市販、対照);glu100;man52glu29gal19;アカシア
繊維(市販、対照)のグリカン治療剤が、-7日目~14日目に、動物の飲料水中に送達
された。対照群は、グリカン含有水の代わりに、淡水を与えられた。
【0609】
試験処置の効果は、グリカン処置群及び未処置(淡水)群における疾患関連表現型を比
較することによって評価された。FOS(Nutraflora FOS;NOW Fo
ods,Bloomingdale IL)は、市販の非消化フラクトオリゴ糖である。
アカシア繊維(Organic Powder,NOW Foods,Blooming
dale,IL)は、市販の食物繊維補助食品である。
【0610】
glu100及びman52glu29gal19での処置は、淡水(ビヒクル対照)
またはアカシア繊維で処置した動物と比較して、マウスにおける内視鏡検査によって評価
されるように、0~11日目の下痢の発病率、及び体重減少を軽減し(
図15)、結腸炎
症を著しく減少した(14日目;
図16)。マウスからの結腸試料の組織病理学的結果は
、グリカンの有効性に関しては、内視鏡的分析からの結果を反映した。対照及び処置群に
おける下痢発病率の累積日数は、以下の通りであった:水対照群:10日間;アカシア繊
維:14日間;FOS:4日間;glu100:2日間;man52glu29gal1
9:3日間。総合すれば、これらのデータは、グリカン治療剤が、大腸炎のモデルマウス
において有意な予防効果を有することを実証する。
【0611】
大腸炎の広く用いられている動物モデルにおいて得られたこれらの結果は、グリカン治
療剤が、内視鏡検査及び組織病理学によって評価されるように、DSS誘発性体重減少、
下痢、ならびに結腸炎症及び損傷を軽減することを示唆している。
【0612】
実施例14.食餌性肥満のマウスモデルにおけるグリカンの効果
この実験は、高脂肪食餌性肥満のマウスモデルにおけるグリカン治療剤の効果を分析す
るために行われた(Wang and Liao,A Mouse Model of
Diet-Induced Obesity and Insulin Resista
nce.Methods Mol Biol.2012;821:421-433)。こ
のモデルでは、正常マウスに、6週間にわたって、60% 脂肪含量を含む食餌を与えた
。これらのマウスは、低(10%)脂肪食を与えられたマウスと比較して多重の著しい増
加を示した。ヒトでは、肥満は、2種の糖尿病及び心血管疾患の発症を含む、健康への悪
影響を有し得る程度までの過剰な体脂肪の累積である。肥満の主な原因は、過剰な食物エ
ネルギーの摂取、身体活動の欠如、及び遺伝性素因である。米国では、約38%の成人(
7800万人)及び17%の子供及び青少年(1300万人)が肥満である。食餌性肥満
のマウスモデルは、体重増加、除脂肪体重の減少、器官生理学の変化、及び糖尿病のマー
カーの変化を含む、ヒト疾患エンドポイントを繰り返す。
【0613】
マウス(雄C57BL/6、8~10週齢、各16~18グラム;Taconic L
abs,Germantown,NY)を、1ケージ当たり1~2匹の群で収容し、1処
置群当たり8匹の動物を有した。マウスに、高(60%)脂肪食(脂肪により寄与される
総キロカロリーの60%)(D12492;Research Diets,New B
runswick,NJ)、または10% 脂肪を含む調和のとれた食事(脂肪により寄
与される総キロカロリーの10%)(D12450;Research Diets)が
与えられた。この食事レジメンで1週間後、高脂肪食のマウスに、グリカン(飲料水中に
自己投与;0日目~44日目):飲料水中に0.3%重量/体積(w/v)のglu10
0または1%(w/v)のman52glu29gal19、飲料水中に6%、1%、ま
たは0.3%(w/v)の市販のFOS(Nutraflora FOS;NOW Fo
ods,Bloomingdale IL)、または淡水(対照)が投与された。低脂肪
食を摂取するマウス群は、淡水(対照)が与えられた。食餌は、研究を通して各群におい
て同じであった。
【0614】
体重増加
体重は、0日目~44日目で、隔日でモニタリングされた。高脂肪食のマウスは、低脂
肪給餌マウスよりも著しく速いペースで体重が増加した。glu100(飲料水中0.3
%)及びman52glu29gal19(飲料水中1%)での処置は、水(ビヒクル)
で処置したマウスと比較して、高脂肪給餌マウスにおいて0日目~41日目で体重増加曲
線の傾きを著しく低下させた(
図17A及び
図17B)。FOSは、いかなる用量であっ
ても、水対照動物と比較して、体重変化の割合(%)の傾きにおいて有意な効果がなかっ
た。
【0615】
グルコース耐性
42日目に、マウスは、それらを12時間空腹にし、強制経口用量のグルコースを投与
することによって経口グルコース耐性試験に供した(2グラム/kg;Ayala et
.al.Standard operating procedures for de
scribing and performing metabolic tests
of glucose homeostasis in mice Disease M
odels & Mechanisms 3,525-534(2010))。血糖値は
、グルコース投与から120分後に、携帯型血糖計(One Touch Ultra(
登録商標);LifeScan Inc,Wayne PA)を用いてモニタリングされ
た。高脂肪食のマウスは、脂肪食を与えられたマウスよりも体循環からグルコースを除去
する能力が低かった(
図18)。glu100(0.3%)及びman52glu29g
al19(1%)で処理した高脂肪給餌マウスは、高脂肪給餌水対照マウスと比較して、
血糖値が低かった。これらの値は、低脂肪給餌水対照マウスにより類似した。
【0616】
脂肪パッドの発生
44日目に、マウスの精巣上体の脂肪パッドが取り出され、計量された。全体重の割合
として脂肪パッドの重量は、脂肪パッドの重量の増加がより低い除脂肪体重に相当する、
除脂肪体重の代用評価項目として使用された。man52glu29gal19(1%)
で処理され、高脂肪給餌マウスは、水対照マウス(
図19)または高脂肪給餌FOS処理
マウスよりも脂肪パッド/体重(%)が低かった。
【0617】
肥満モデルにおけるこれらの3つの評価項目における結果は、長期モデルがモデルにお
いて評価される他のパラメータにおいて著しい変化をもたらし得ることが示唆されている
(Wang and Liao,A Mouse Model of Diet-Ind
uced Obesity and Insulin Resistance.Meth
ods Mol Biol.2012;821:421-433)。例えば、高脂肪給餌
マウスは、低脂肪給餌マウスと比較したときに、複数の臓器の変化を示すであろう。実験
の12週目を超えると、マウスは殺処分され、分析のために、ある特定の組織は、分析の
ために採取/処理される。結腸及び盲腸を収集、秤量、測定し、肥満マウスは、より短い
結腸及び盲腸で、結腸の重量が減少するであろう。盲腸内容物は、16S RNA及び代
謝産物のその後の分析のために保存のために瞬間冷凍する。肝臓を収集、秤量し、組織病
理学のためにホルマリン中に保存する。高脂肪給餌マウスは、低脂肪給餌マウスよりも肝
臓重量が多い傾向がある。血液試料が採血され、炎症マーカー(TNF-α、IFN-γ
、IL-10、IL-13、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、及びKC/G
RO)、臨床化学(コレステロール、トリグリセリド)、及びリボ多糖類(LPS)レベ
ルの測定のための血漿に処理される。高脂肪給餌マウスは、炎症マーカーのレベルが増加
し、より高いコレステロール、トリグリセリド、及び循環LPSレベルを有する。モデル
におけるこれらの評価項目のすべては、ヒトにおいて観察されるように、肥満の同様の兆
候を試験する。選択されたグリカンは、より短い結腸及び盲腸の発生または程度を軽減し
、結腸重量を減少する。選択されたグリカンは、肝臓重量の増加の発生または程度を軽減
する。選択されたグリカンは、炎症マーカーの存在の発生または程度を軽減し、コレステ
ロール及び/または全身性LPSレベルを軽減する。
【0618】
食餌性肥満について広く用いられている動物モデルにおいて得られたこれらの結果は、
グリカン治療剤が高脂肪食物由来の体重増加を防ぎ、血糖を除去し、除脂肪/脂肪体組成
を増大させる能力を改善し得ることを示唆している。
【0619】
実施例15.マウスモデルにおける遺伝子発現におけるグリカンの効果
この試験は、2群のマウスを用いて行われる。対照群のマウスは、標準的な食事が与え
られ、異なる処置群のマウスは、グリカンを補充した標準的な食事が与えられる。1~3
0日後に、血液試料をマウスから採血し、マウスを殺処分し、対象となる腸、肝臓、皮膚
、及び他の部位からの組織を採取し、-80℃で保存する。RNAは、組織から単離され
、cDNAに変換する。GeneChip Mouse Genome 430 2.0
Array(Affymetrix)は、未処置動物及びグリカン処置動物の約14,
000個のネズミ遺伝子の差次的発現を分析するために使用される。実験プロトコル及び
生データ分析は、製造業者の取扱説明書及び標準的なプロトコルに従って行われる。様々
なプロセスにおける特異的に発現された遺伝子及びそれらの関係の生物学的機能は、Re
fGene(Reference for genes,proteins and a
ntibodies:refgene.com/)、CTD(Comparative
Toxicogenomics Database:ctd.mdibl.org/)、
MGI(Mouse Genomics Informatics:www.infor
matics.jax.org/)、KEGG(Kyoto Encyclopedia
of Genes and Genomes:www.genome.jp/kegg
/genes.html)のデータベースから得られる。この手順は、炎症性サイトカイ
ン、免疫調節サイトカイン、抗菌ペプチド、及び他の関連性のあるエフェクタ分子をコー
ドする遺伝子の差異的な発現を同定するために使用される。
表1:胃腸管の属レベルの微生物の構成物質
表2:微生物代謝産物
表3:健常ヒトにおける大腸(小腸と比較して)において優勢である属レベルの微生物の
構成物質
表4:健常ヒトにおける小腸(大腸と比較して)において優勢である属レベルの微生物の
構成物質
表5:ポリフェノール
【0620】
同等物及び範囲
本出願は、様々な交付済み特許、公表された特許出願、学術論文、及び他の刊行物を指
し、これらのすべては参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献のうち
の何らかと本出願との間で矛盾がある場合、本出願が制御するものとする。さらに、先行
技術に含まれる本発明の任意の特定の実施形態は特許請求の範囲のうちのいずれか1つ以
上から明確に排除され得る。かかる実施形態は、当業者には周知であると見なされるため
、排除が本明細書に明確に記述されない場合であっても除外され得る。本発明の任意の特
定の実施形態は、先行技術の存在に関連しているかどうかであっても、何らかの理由で、
いかなる特許請求の範囲からも除外され得る。
【0621】
当業者は、単なる通常の実験を用いて、本明細書に記載される特定の実施形態の多くの
同等物を認識し、または解明することができるであろう。本明細書に記載される本発明の
実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲に記述されるが、上の発明の詳細な説明、図面
、または実施例に限定されることは意図されない。当業者は、この説明への様々な変更及
び修正が、以下の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の精神または範囲から逸脱
することなくなされ得ることが理解されよう。
【0622】
本発明は以下のものを含む。
(項1)
ヒト対象の胃腸の微生物叢における細菌分類群の存在度を調節するのに用いるための薬
学的組成物であって、前記組成物が前記細菌分類群の存在度を調節するのに有効な量でグ
リカン治療調合剤を含み、
i)前記グリカン治療調合剤が分岐グリカンの混合物を含み、前記調合剤中の前記グリ
カンの平均分岐度(DB)が少なくとも0.01であり、
ii)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満の
グリカン単位の重合度(DP)を有し、かつ
iii)前記調合剤中の前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ
-グリコシド結合の比率が、約1:1~約5:1である、組成物。
(項2)
前記細菌分類群が、少なくとも第1及び第2の細菌分類群を含む、項1に記載の組成物
。
(項3)
前記調合剤が分岐オリゴ糖を含む、項1または2に記載の組成物。
(項4)
前記調合剤中の前記グリカンの平均分岐度(DB)が、少なくとも0.05である、項
1~3のいずれか一項に記載の組成物。
(項5)
前記グリコシド結合のうちの少なくとも2つが、独立して、1->2グリコシド結合、
1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合を含
む、項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
(項6)
前記グリコシド結合のうちの少なくとも3つが、独立して、1->2グリコシド結合、
1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合を含
む、項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
(項7)
前記グリコシド結合のうちの少なくとも4つが、独立して、1->2グリコシド結合、
1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合を含
む、項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
(項8)
前記グリカン単位が、テトロース、ペントース、ヘキソース、及びヘプトースの群から
選択される単糖類のうちの少なくとも1つを含む、項1~7のいずれか一項に記載の組成
物。
(項9)
前記グリカン単位が、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルク
トース、キシロース、フコース、及びラムノースの群から選択される単糖類のうちの少な
くとも1つを含む、項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
(項10)
前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも20%(重量または数で)が、事前選択され
た基準レベルを超える2グリカン単位の反復単位を含まない、項1~9のいずれか一項に
記載の組成物。
(項11)
前記グリカン治療調合剤が、合成であり、天然のオリゴ糖または多糖源から単離された
ものでない、項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
(項12)
前記ヒト対象の胃腸の微生物叢における前記細菌分類群の存在度が、独立して、少なく
とも約5%修正される、項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
(項13)
前記ヒト対象の胃腸の微生物叢における前記細菌分類群の存在度が、独立して、少なく
とも約5%増加する、項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
(項14)
前記ヒト対象の胃腸の微生物叢における前記細菌分類群の存在度が、独立して、少なく
とも約10%増加する、項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
(項15)
前記ヒト対象の胃腸の微生物叢における前記細菌分類群の存在度が、独立して、少なく
とも約5%減少する、項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
(項16)
前記細菌分類群が、共生細菌分類群を含む、項1~15のいずれか一項に記載の組成物
。
(項17)
前記細菌分類群が、病原細菌分類群を含む、項1~16のいずれか一項に記載の組成物
。
(項18)
前記細菌分類群が、Akkermansia、Alistipes、Anaerofi
lum、Bacteroides、Bilophila、Blautia、Bifido
bacterium、Butyrivibrio、Campylobacter、Can
didatus、Citrobacter、Clostridium、Collinse
lla、Coprococcus、Desulfovibrio、Dialister、
Dorea、Enterobacter、Enterococcus、Escheric
hia、Eubacterium、Faecalibacterium、Fusobac
terium、Haemophilus、Klebsiella、Lachnospir
a、Lactobacillus、Odoribacter、Oscillospira
、Parabacteroides、Peptococcus、Peptostrept
ococcus、Phascolarctobacterium、Porphyromo
nas、Portiera、Prevotella、Providencia、Pseu
domonas、Roseburia、Ruminococcus、Salmonell
a、Shigella、Staphylococcus、Streptococcus、
Subdoligranulum、Vibrio、及びYersiniaの群から選択さ
れる属を含む、項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
(項19)
前記細菌分類群が、Prevotella、Akkermansia、Bactero
ides、Clostridium(Erysipelotrichaceae)、Cl
ostridium(Clostridiaceae)、Bifidobacteriu
m、Aggregatibacter、Clostridium(Peptostrep
tococcaveae)、Parabacteroides、Lactobacill
us、及びEnterococcusの群から選択される属を含む、項1~18のいずれ
か一項に記載の組成物。
(項20)
前記細菌分類群が、Akkermansia、Bacteroides、Bifido
bacterium、Lactobacillus、及びParabacteroide
sの群から選択される属を含む、項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
(項21)
前記細菌分類群が、Akkermansia及びBlautiaの群から選択される属
を含む、項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
(項22)
前記細菌分類群が、小腸または大腸において優勢である分類群を含む、項1~21のい
ずれか一項に記載の組成物。
(項23)
小腸において優勢である前記細菌分類群が、Achromobacter、Agrob
acterium、Blautia、Burkholderia、Coprococcu
s、Cryocola、Enterococcus、Eubacterium、Hold
emania、Lactococcus、Mycobacterium、Pseudor
amibacter、Ralstonia、Sphingomonas、Strepto
coccus、及びTuricibacterの群から選択される属を含む、項22に記
載の組成物。
(項24)
大腸において優勢である前記細菌分類群が、Anaerotruncus、Akker
mansia、Bacteroides、Bilophila、Butyricimon
as、Odoribacter、Parabacteroides、Phascolar
ctobacterium、Prevotella、及びRuminococcusの群
から選択される属を含む、項22に記載の組成物。
(項25)
前記組成物が、ポリフェノール調合剤をさらに含む、項1~24のいずれか一項に記載
の組成物。
(項26)
前記ポリフェノール調合剤が、植物源材料から単離された植物ポリフェノールを含む、
項25に記載の組成物。
(項27)
前記植物源材料が、ブルーベリー、クランベリー、ブドウ、モモ、プラム、ザクロ、大
豆、赤ワイン、紅茶、または緑茶を含む、項26に記載の組成物。
(項28)
細菌分類群の存在度の調節が、腸内毒素症を治療する、項1~27のいずれか一項に記
載の組成物。
(項29)
薬物または治療によって誘導された症状を軽減させるのに有効な量でグリカン治療調合
剤を含む、ヒト対象における薬物または治療誘導性の症状を軽減させるのに用いるための
薬学的組成物であって、
i)前記グリカン治療調合剤が、分岐グリカンの混合物を含み、前記調合剤中の前記
グリカンの平均分岐度(DB)が、少なくとも0.01であり、
ii)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満
のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつ
(iii)前記調合剤中の前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベ
ータ-グリコシド結合の比率が、約1:1~約5:1である、組成物。
(項30)
前記薬物または治療誘導性の症状が、膨満感、下痢、嘔吐、吐き気、及び便秘の群から
選択される、項29に記載の組成物。
(項31)
前記薬物または治療誘導性の症状が、下痢である、項29に記載の組成物。
(項32)
前記薬物または治療誘導性の症状が、便秘である、項29に記載の組成物。
(項33)
前記組成物が薬物誘導性の症状を軽減し、前記組成物が、前記薬物の投与の前、それと
同時に、またはその後に投与される、項29~32のいずれか一項に記載の組成物。
(項34)
前記薬物が、抗糖尿病薬、免疫抑制薬、抗菌薬、化学療法薬、抗精神病薬、プロトンポ
ンプ阻害薬、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、項29~33のいず
れか一項に記載の組成物。
(項35)
前記薬物が、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、アモキシシリン-クラブラネー
ト、セフィキシム、エファロスポリン、フルオロキノロン、アジスロマイシン、クラリス
ロマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、アジスロマイシン、イリノテカン(
Camptosar)、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ボル
テゾミブ、イマチニブ、レナリドマイド、イムブルビカ、イピリムマブ、ペルツズマブ、
カペシタビン、ドセタキセル、ラパチニブ、エルロチニブ、カルムスチン、エトポシド、
アラシチン、メルファラン、シタラビン、ダウノルビシン、アムサクリン、ミトキサント
ロン、オランザピン、ラニチジン、ファモチジン、シメチジン、オメプラゾール、スクラ
ルファート、エソメプラゾール、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブ
プロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、セレコキシブ、ニメスリド、アスピリン、
メトホルミン、パロキセチン、バルプロ酸、及びクロザピンの群から選択される、項29
~34のいずれか一項に記載の組成物。
(項36)
前記組成物が、治療誘導性の症状を軽減させ、前記治療が、放射線治療または手術を含
む、項29~35のいずれか一項に記載の組成物。
(項37)
前記薬物または治療誘導性の症状が、治療レジメン中に前記対象によって示される、項
29~36のいずれか一項に記載の組成物。
(項38)
前記1つ以上の症状の前記軽減が、前記治療レジメンに対する前記対象によるコンプラ
イアンスを増大させる、項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
(項39)
前記1つ以上の症状の前記軽減が、前記治療レジメン中に投与される、高投与量の前記
薬物に対する前記対象の耐性を増大させる、項29~38のいずれか一項に記載の組成物
。
(項40)
ヒト対象の胃腸管中の微生物多様性を調節するのに用いるための薬学的組成物であって
、前記微生物多様性を調節するのに有効な量でグリカン治療調合剤を含み、
i)前記グリカン治療調合剤が分岐グリカンの混合物を含み、前記調合剤中の前記グリ
カンの平均分岐度(DB)が少なくとも0.01であり、
ii)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満の
グリカン単位の重合度(DP)を有し、かつ
iii)前記調合剤中の前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ
-グリコシド結合の比率が、約1:1~約5:1である、組成物。
(項41)
前記微生物多様性が、細菌多様性を含む、項40に記載の組成物。
(項42)
シャノン多様性が、少なくとも約5%増加または減少する、項40または41に記載の
組成物。
(項43)
シャノン多様性が、少なくとも約10%増加または減少する、項40~42のいず
れか一項に記載の組成物。
(項44)
シャノン多様性が、少なくとも約20%増加または減少する、項40~42のいず
れか一項に記載の組成物。
(項45)
シャノン多様性が、少なくとも約0.3対数倍増加または減少する、項40~43
のいずれか一項に記載の組成物。
(項46)
シャノン多様性が、少なくとも約0.6対数倍増加または減少する、項40~44のい
ずれか一項に記載の組成物。
(項47)
Prevotella、Akkermansia、Bacteroides、Clos
tridium(Erysipelotrichaceae)、Clostridium
(Clostridiaceae)、Bifidobacterium、Aggrega
tibacter、Clostridium(Peptostreptococcave
ae)、Parabacteroides、Lactobacillus、及びEnte
rococcusの属の群から選択される少なくとも1つの細菌分類群の存在度が調節さ
れる、項40~46のいずれか一項に記載の組成物。
(項48)
Prevotella、Akkermansia、Bacteroides、Clos
tridium(Erysipelotrichaceae)、Clostridium
(Clostridiaceae)、Bifidobacterium、Aggrega
tibacter、Clostridium(Peptostreptococcave
ae)、Parabacteroides、Lactobacillus、及びEnte
rococcusの属の群から選択される少なくとも1つの細菌分類群の存在度が、少な
くとも約5%増加する、項40~47のいずれか一項に記載の組成物。
(項49)
Prevotella、Akkermansia、Bacteroides、Clos
tridium(Erysipelotrichaceae)、Clostridium
(Clostridiaceae)、Bifidobacterium、Aggrega
tibacter、Clostridium(Peptostreptococcave
ae)、Parabacteroides、Lactobacillus、及びEnte
rococcusの属の群から選択される少なくとも2つの細菌分類群の存在度が調節さ
れる、項40~48のいずれか一項に記載の組成物。
(項50)
Prevotella、Akkermansia、Bacteroides、Clos
tridium(Erysipelotrichaceae)、Clostridium
(Clostridiaceae)、Bifidobacterium、Aggrega
tibacter、Clostridium(Peptostreptococcave
ae)、Parabacteroides、Lactobacillus、及びEnte
rococcusの属の群から選択される少なくとも2つの細菌分類群の存在度が、少な
くとも約5%増加する、項40~49のいずれか一項に記載の組成物。
(項51)
Akkermansia、Bacteroides、Bifidobacterium
、Lactobacillus、及びParabacteroidesの属の群から選択
される少なくとも1つの細菌分類群の存在度が調節される、項40~50のいずれか一項
に記載の組成物。
(項52)
Akkermansia、Bacteroides、Bifidobacterium
、Lactobacillus、及びParabacteroidesの属の群から選択
される少なくとも2つの細菌分類群の存在度が調節される、項40~51のいずれか一項
に記載の組成物。
(項53)
Akkermansia及びBlautiaの属の群から選択される少なくとも1つの
細菌分類群の存在度が調節される、項40~52のいずれか一項に記載の組成物。
(項54)
Akkermansia及びBlautiaの細菌属の両方の存在度が調節される、項
40~53のいずれか一項に記載の組成物。
(項55)
前記微生物多様性の調節が、腸内毒素症を治療する、項40~54のいずれか一項に記
載の組成物。
(項56)
治療を必要とするヒト対象を治療するのに用いるための薬学的組成物であって、前記方
法が、
a.腸内毒素症の治療を必要とするヒト対象を同定すること、および
b.前記ヒト対象に、前記腸内毒素症を治療するのに有効な量でグリカン治療調合剤を
含む薬学的組成物を投与すること、
を含み、ここで、
i)前記グリカン治療調合剤が、分岐グリカンの混合物を含み、前記調合剤中の前記
グリカンの平均分岐度(DB)が、少なくとも0.01であり、
ii)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満
のグリカン単位の重合度(DP)を有し、かつ
iii)前記調合剤中の前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベー
タ-グリコシド結合の比率が、約1:1~約5:1である、組成物。
(項57)
前記ヒト対象が、感染性疾患、障害、または状態を有する、項56に記載の組成物。
(項58)
前記感染性疾患、障害、または状態が、クロストリジウム・ディフィシル感染症(CD
I)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症、感染性大腸炎、またはC.ディフィ
シル大腸炎の群から選択される、項57に記載の組成物。
(項59)
前記感染性疾患、障害、または状態が、クロストリジウム・ディフィシル関連下痢(C
DAD)、抗生物質関連下痢(AAD)、抗生物質誘導性下痢、旅行者下痢(TD)、小
児下痢、及び(急性)感染性下痢の群から選択される下痢である、項57に記載の組成物
。
(項60)
前記ヒト対象が、代謝性疾患、障害、または状態を有する、項56に記載の組成物。
(項61)
前記代謝性疾患、障害、または状態が、肥満、(インスリン耐性)前糖尿病、2型糖尿
病、高空腹血糖(高血糖)、及び代謝症候群の群から選択される、項60に記載の組成物
。
(項62)
前記代謝性疾患、障害、または状態が、高血中コレステロール、高LDL、高血圧(高
血圧症)、高トリグリセリドレベル、低HDLの群から選択される心血管リスク因子であ
る、項60に記載の組成物。
(項63)
前記ヒト対象が、炎症性疾患、障害、または状態を有する、項56に記載の組成物。
(項64)
前記炎症性疾患、障害、または状態が、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎(UC
)、クローン病(CD)、腸炎、及び顕微鏡的大腸炎の群から選択される、項63に記載
の組成物。
(項65)
前記炎症性疾患、障害、または状態が、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、下痢、消化
不良、及び非潰瘍性消化不良の群から選択される、項63に記載の組成物。
(項66)
前記ヒト対象が、自己免疫疾患、障害、または状態を有する、項56に記載の組成物。
(項67)
前記自己免疫疾患、障害、または状態が、自己免疫性関節炎、1型糖尿病、多発性硬化
症、及び乾癬の群から選択される、項66に記載の組成物。
(項68)
前記ヒト対象が、アレルギーを有する、項56に記載の組成物。
(項69)
前記アレルギーが、喘息またはアトピー性皮膚炎を含む、項68に記載の組成物。
(項70)
前記ヒト対象が、神経学的疾患、障害、または状態を有する、項56に記載の組成物。
(項71)
前記神経学的疾患、障害、または状態が、自閉症、高アンモニア血症、及び肝性脳症の
群から選択される、項70に記載の組成物。
(項72)
治療が、第2の薬物または薬学的薬剤を投与することをさらに含む、項56~71のい
ずれか一項に記載の組成物。
(項73)
前記第2の薬物または薬学的薬剤が、標準治療薬物または薬剤である、項72に記載の
組成物。
(項74)
グリカン治療調合剤及び前記第2の薬物または薬学的薬剤を含む前記薬学的組成物の治
療効果が付加的である、項72または73に記載の組成物。
(項75)
グリカン治療調合剤及び前記第2の薬物または薬学的薬剤を含む前記薬学的組成物の治
療効果が相乗的である、項72または73に記載の組成物。
(項76)
前記組成物が毎日投与される、項56~75のいずれか一項に記載の組成物。
(項77)
前記組成物が、所定の日数(治療期間)の間毎日投与される、項56~76のいずれか
一項に記載の組成物。
(項78)
前記治療期間が、約1日~約30日間を含む、項77に記載の組成物。
(項79)
前記治療期間が、約1カ月~約6カ月間を含む、項77に記載の組成物。
(項80)
前記対象が、単一治療期間中、前記組成物を投与される、項77~79のいずれか一項
に記載の組成物。
(項81)
前記対象が、1回を超える治療期間中、前記組成物を投与される、項77~79のいず
れか一項に記載の組成物。
(項82)
前記ヒト対象の前記疾患が、前記腸内毒素症を治療することによって治療される、項5
6~81のいずれか一項に記載の組成物。
(項83)
ヒト対象の胃腸管の微生物叢の機能的経路を調節するのに用いるための薬学的組成物で
あって、前記組成物が、前記機能的経路を調節するのに有効な量でグリカン治療調合剤を
含み、
i)前記グリカン治療調合剤が分岐グリカンの混合物を含み、前記調合剤中の前記グリ
カンの平均分岐度(DB)が少なくとも0.01であり、
ii)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満の
グリカン単位の重合度(DP)を有し、かつ
iii)前記調合剤中の前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ
-グリコシド結合の比率が、約1:1~約5:1である、組成物。
(項84)
前記機能的経路が、前記微生物叢によって表2中に列挙される、抗菌剤、二次胆汁酸、
短鎖脂肪酸、親鉄剤、または代謝産物の産生を調節する、項83に記載の組成物。
(項85)
前記抗菌剤が、バクテリオシンまたは過酸化水素を含む、項84に記載の組成物。
(項86)
前記短鎖脂肪酸が、ギ酸塩、酪酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、または吉草酸塩を含む
、項84に記載の組成物。
(項87)
前記代謝産物が、2-ヒドロキシイソ酪酸塩、3-ヒドロキシイソ吉草酸塩、3-メチ
ルクロトニルグリシン、3-メチルクロトニルグリシン、アラントイン、ベタイン、ギ酸
塩、マンニトール、p-クレゾールグルクロニド、フェニルアセチルグリシン、サルコシ
ン、タウリン、酢酸、アセチルアルデヒド、アスコルビン酸、ブタンジオン、酪酸、デオ
キシコール酸、エチルフェニル硫酸塩、ギ酸、インドール、イソ酪酸、イソ吉草酸、プロ
ピオン酸、セロトニン、コハク酸、コハク酸塩、TMAO、トリプトファン、吉草酸、ウ
ルソデオキシコール酸、ラクテート、乳酸、または過酸化水素を含む、項84に記載の組
成物。
(項88)
前記機能的経路が、前記ヒト対象における炎症性または免疫調節サイトカインのレベル
を調節する、項83~87のいずれか一項に記載の組成物。
(項89)
前記炎症性及び免疫調節サイトカインが、インターロイキン-1α(IL-1α)、I
L-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-
13、IL-17A、IL-17F、IL-22、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)
、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5(CCL5、RANTESとしても知られて
いる)、形質転換成長因子ベータ(TGF-β)、またはインターフェロンガンマ(IF
N-γ)を含む、項88に記載の組成物。
(項90)
前記機能性経路が、前記対象における短鎖脂肪酸のレベルを増加する、項83~89の
いずれか一項に記載の組成物。
(項91)
前記短鎖脂肪酸の増加が、前記対象による制御T(Treg)細胞の生成を誘導する、
項90に記載の組成物。
(項92)
前記短鎖脂肪酸の増加が、前記対象における腸内または血漿内毒素レベルの透過性を軽
減させる、項90または91に記載の組成物。
(項93)
短鎖脂肪酸の増加が、前記対象の炎症反応を軽減させる、項90~92のいずれか一項
に記載の組成物。
(項94)
前記短鎖脂肪酸が、Ruminocaccaceae及び/またはLachnospi
raceaeファミリーのうちの少なくとも1つの細菌種によって産生される、項90~
93のいずれか一項に記載の組成物。
(項95)
前記対象が、肥満である、項83~94のいずれか一項に記載の組成物。
(項96)
C.ディフィシル感染症の治療のための薬物を以前に投与されたヒト対象におけるクロ
ストリジウム・ディフィシル感染症の再発を防止するのに用いるための薬学的組成物であ
って、前記組成物が、前記再発を防止するのに有効な量でグリカン治療調合剤を含み、
i)前記グリカン治療調合剤が分岐グリカンの混合物を含み、前記調合剤中の前記グリ
カンの平均分岐度(DB)が少なくとも0.01であり、
ii)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満の
グリカン単位の重合度(DP)を有し、かつ
iii)前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結
合の比率が、約1:1~約5:1である、組成物。
(項97)
前記再発が、C.ディフィシル感染症と関連する1つ以上の症状の回帰を含む、項96
に記載の組成物。
(項98)
前記再発が、第1選択または標準治療の薬物治療レジメン中、またはその後に生じる、
項96または97に記載の組成物。
(項99)
C.ディフィシル感染症の治療のための薬物が抗生物質である、項96~98のいずれ
か一項に記載の組成物。
(項100)
前記抗生剤が、バンコマイシン、メトロニダゾール、及びフィダキソマイシンの群から
選択される、項99に記載の組成物。
(項101)
前記組成物が、C.ディフィシル感染症の治療のための薬物の投与と同時に、またはそ
の後に投与される、項96~100のいずれか一項に記載の組成物。
(項102)
前記組成物が、第2の薬物または治療と組み合わせて投与される、項96~101のい
ずれか一項に記載の組成物。
(項103)
前記第2の薬物または治療が、抗生剤を含む、項102に記載の組成物。
(項104)
前記抗生剤が、バンコマイシン、メトロニダゾール、及びフィダキソマイシンの群から
選択される、項103に記載の組成物。
(項105)
前記組成物の投与が、前記対象におけるC.ディフィシル感染症と関連する症状の重症
度の軽減をもたらすが、前記対象におけるC.difficileの集団を排除しない、
項96~104のいずれか一項に記載の組成物。
(項106)
前記組成物の投与が、前記対象におけるC.ディフィシル感染症と関連する症状の重症
度の軽減をもたらすが、前記対象におけるC.difficileの存在度を変化させな
い、項96~104のいずれか一項に記載の組成物。
(項107)
薬学的組成物を作製する方法であって、
(a)合成グリカンの混合物を含む調合剤を提供することと、
(b)前記調合剤の以下の特徴:
(i)重合度(DP)、
(ii)平均分岐度(DB)、
(iii)アルファ-グリコシド結合対ベータ-グリコシド結合の比率、
のうちの1つ以上の値を得ることと、
(c)以下の基準:
(i)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満
のグリカン単位のDPを有する、
(ii)前記調合剤中の前記グリカンの平均分岐度(DB)が、少なくとも0.01
である、
(iii)前記調合剤中の前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベ
ータ-グリコシド結合の比率が、約1:1~約5:1である、
のうちの1つ以上が満たされる場合、薬学的組成物として前記調合剤を製剤化するこ
とと、
を含む、方法。
(項108)
b)前記調合剤のさらなる特徴:
(iv)前記グリカン単位の同定、
(v)グリカン単位の比率、
のうちのいずれか1つまたはそれらの両方の値を得ること、および
c)
(vi)前記調合剤中の前記グリカン単位の比率が、前記グリカン単位の入力の比率
とほぼ同じである場合、薬学的組成物として前記調合剤を製剤化すること、
をさらに含む、項107に記載の方法。
(項109)
b)前記調合剤のさらなる特徴:
(iv)前記調合剤を補充した培地中で、Bacteroides caccae
ATCC 43185、Prevotella copri DSM 18205、Ba
cteroides thetaiotamicron ATCC 29741、Bac
teroides cellulosilyticus DSM 14838、Clos
tridium scindens ATCC 35704、Ruminococcus
obeum ATCC 29714、Clostridium nexile ATC
C 27757、及びParabacteroides distasonis ATC
C 8503からなる群から選択される共生菌株の細菌増殖のレベル、
(v)前記調合剤を補充した培地中で、Clostridium difficil
e ATCC BAA-1382、Clostridium difficile AT
CC 43255、Enterococcus faecium ATCC 70022
1、及びSalmonella enterica ATCC 27869からなる群か
ら選択される病原性株の細菌増殖のレベル、のうちのいずれか1つまたはそれらの両方の
値を得ること、並びに
c)以下の基準:
(vi)少なくとも5つの共生菌株の増殖の前記調合剤を補充した前記培地による促
進、
(v)2つ以下の病原性株の増殖の前記調合剤を補充した前記培地による促進、
のうちの1つまたはそれらの両方が満たされる場合、薬学的組成物として前記調合剤を
製剤化すること、
をさらに含む、項107または108に記載の方法。
(項110)
ステップ(b)が項107に記載のステップ(b)の前、それと同時に、またはその後
であるが、項107に記載のステップ(c)の前に行われ得る、項108または109に
記載の方法。
(項111)
薬学的組成物として前記調合剤を製剤化する前記ステップが、
i)前記調合剤から望ましくない構成物質を除去すること、
ii)前記調合剤の体積を減少させること、
iii)前記調合剤を殺菌すること、
iv)前記調合剤を薬学的に許容される賦形剤または担体と混合すること、
v)前記調合剤を第2の薬物または薬学的薬剤と混合すること、
vi)前記調合剤を水溶液またはシロップに製剤化すること、
vii)前記調合剤を錠剤または丸剤に製剤化すること、および
viii)前記調合剤をカプセル剤に製剤化すること、
のうちの1つ以上を含む、項107~110のいずれか一項に記載の方法。
(項112)
薬学的組成物として前記調合剤を製剤化する前記ステップが、
(i)前記調合剤をパッケージ化すること、
(ii)前記パッケージ化された調合剤にラベル付けすること、および
(iii)前記パッケージ化及びラベル付けされた調合剤を販売するか、または販売
に供すること、
のうちの1つ以上を含む、項107~111のいずれか一項に記載の方法。
(項113)
薬学的組成物を作製する方法であって、
(i)グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、アラビノース、ラムノース
、及びマンノースからなる群から選択される少なくとも1つのグリカン単位を含む治療用
グリカン調合剤を提供することと、
(ii)事前選択されたNMRピークまたは一連のNMRピークが前記グリカン調合剤
と関連するかどうかを決定することと、
(iii)前記事前選択されたピークまたは一連のピークが存在する場合、薬学的組成
物として前記調合剤を製剤化することと、
を含む、方法。
(項114)
前記ピークが1H-13C HSQC NMRピークである、項113に記載の方法。
(項115)
前記決定することが、前記調合剤と関連する1H-13C HSQCピークまたは一連
のピークの同定の値を得ることと、事前選択されたピークが存在する場合、薬学的組成物
として前記調合剤を製剤化することと、を含む、項114に記載の方法。
(項116)
(i)グルコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.42、92.5;
5.21、92.8;5.18、93.9;5.08、97.0;5.36、98.4;
5.34、99.8;5.38、100.3;4.95、98.6;4.62、96.6
;4.70、103.6;4.49、103.4 1H シフト(ppm)及び13C
シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは
対応するピークを含み、
(ii)ガラクトースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、92.
9;5.24、93.1;5.14、96.0;4.96、99.3;5.31、98.
7;5.39、101.4;5.00、101.8;4.80、101.3;4.63、
97.0;4.56、97.2;4.53、103.1;4.43、104.1 1H
シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-
13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、
(iii)フコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、92.9
;5.33、92.4;5.04、96.3;4.90、99.7;4.52、97.0
;4.39、103.6 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選
択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、
(iv)キシロースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、93.0
;5.10、94.3;5.34、98.2;5.31、99.6;5.11、100.
8;4.91、99.4;4.56、97.3;4.64、104.2;4.54、10
3.4;4.44、102.6;4.44、104.1 1H シフト(ppm)及び1
3C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピーク
または対応するピークを含み、
(v)アラビノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.22、93.2
;5.13、93.2;5.29、96.0;5.26、97.2;5.12、96.6
;5.18、99.6;5.06、99.2;4.99、100.0;5.26、101
.9;5.06、102.1;4.55、97.4;4.54、105.2;4.50、
105.5;4.38、103.9 1H シフト(ppm)及び13C シフト(pp
m)から選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピー
クを含み、
(vi)ラムノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.21、93.2
;5.10、94.5;4.85、94.1;5.01、95.8;5.35、100.
5;5.15、102.2;5.04、102.9;4.78、97.9;4.71、9
9.0;4.72、101.0 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)
から選択される少なくとも1つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを
含み、
(vii)マンノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、93.
0;5.16、94.6;4.88、94.2;5.39、101.7;5.24、10
1.9;5.13、102.8;5.03、102.7;5.24、105.6;5.0
9、108.0;4.88、94.2;4.89、100.0;4.70、101.1
1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも1つの
1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含む、項113~115のいずれ
か一項に記載の方法。
(項117)
(i)グルコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.42、92.5;
5.21、92.8;5.18、93.9;5.08、97.0;5.36、98.4;
5.34、99.8;5.38、100.3;4.95、98.6;4.62、96.6
;4.70、103.6;4.49、103.4 1H シフト(ppm)及び13C
シフト(ppm)から選択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピークまたは
対応するピークを含み、
(ii)ガラクトースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、92.
9;5.24、93.1;5.14、96.0;4.96、99.3;5.31、98.
7;5.39、101.4;5.00、101.8;4.80、101.3;4.63、
97.0;4.56、97.2;4.53、103.1;4.43、104.1 1H
シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQC
ピークまたは対応するピークを含み、
(iii)フコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、92.9
;5.33、92.4;5.04、96.3;4.90、99.7;4.52、97.0
;4.39、103.6 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選
択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含み、
(iv)キシロースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、93.0
;5.10、94.3;5.34、98.2;5.31、99.6;5.11、100.
8;4.91、99.4;4.56、97.3;4.64、104.2;4.54、10
3.4;4.44、102.6;4.44、104.1 1H シフト(ppm)及び1
3C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピーク
または対応するピークを含み、
(v)アラビノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.22、93.2
;5.13、93.2;5.29、96.0;5.26、97.2;5.12、96.6
;5.18、99.6;5.06、99.2;4.99、100.0;5.26、101
.9;5.06、102.1;4.55、97.4;4.54、105.2;4.50、
105.5;4.38、103.9 1H シフト(ppm)及び13C シフト(pp
m)から選択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピー
クを含み、
(vi)ラムノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.21、93.2
;5.10、94.5;4.85、94.1;5.01、95.8;5.35、100.
5;5.15、102.2;5.04、102.9;4.78、97.9;4.71、9
9.0;4.72、101.0 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)
から選択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを
含み、
(vii)マンノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、93.
0;5.16、94.6;4.88、94.2;5.39、101.7;5.24、10
1.9;5.13、102.8;5.03、102.7;5.24、105.6;5.0
9、108.0;4.88、94.2;4.89、100.0;4.70、101.1
1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つの
1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含む、項113~116のいずれ
か一項に記載の方法。
(項118)
分岐グリカンの混合物を含む治療用グリカン調合剤を含む薬学的組成物であって、前記
調合剤中の前記グリカンの平均分岐度(DB)が少なくとも0.01であり、
i)前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも50%が、少なくとも3で30未満のグ
リカン単位の重合度(DP)を有し、
ii)前記グリカン調合剤がアルファ-グリコシド結合及びベータ-グリコシド結合の
両方を含み、
iii)前記調合剤の前記グリカン中に存在する前記グリコシド結合のうちの少なくと
も1つが、1->2グリコシド結合、1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合
、または1->6グリコシド結合を含み、
iv)前記調合剤の前記グリカン中に存在するアルファ-グリコシド結合対ベータ-グ
リコシド結合の比率が、約1:1~約5:1である、組成物。
(項119)
前記グリコシド結合のうちの少なくとも2つが、独立して、1->2グリコシド結合、
1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合を含
む、項118に記載の組成物。
(項120)
前記グリコシド結合のうちの少なくとも3つが、独立して、1->2グリコシド結合、
1->3グリコシド結合、1->4グリコシド結合、または1->6グリコシド結合を含
む、項118または119に記載の組成物。
(項121)
前記グリカン単位が、グルコース、ガラクトース、アラビノース、マンノース、フルク
トース、キシロース、フコース、及びラムノースの群から選択される単糖類のうちの少な
くとも1つを含む、項118~120のいずれか一項に記載の組成物。
(項122)
前記調合剤中の前記グリカンの少なくとも20%(重量または数で)が、事前選択され
た基準レベルを超える2グリカン単位の反復単位を含まない、項118~121のいずれ
か一項に記載の組成物。
(項123)
前記グリカン治療調合剤が、合成であり、天然のオリゴ糖または多糖源から単離された
ものでない、項118~122のいずれか一項に記載の組成物。
(項124)
ポリフェノール調合剤をさらに含む、項118~123のいずれか一項に記載の組成物
。
(項125)
プロバイオティクス細菌の調合剤をさらに含む、項118~124のいずれか一項に記
載の組成物。
(項126)
薬物または治療剤をさらに含む、項118~125のいずれか一項に記載の組成物。
(項127)
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、項118~126のいずれか一項に記載の組
成物。
(項128)
前記組成物が、単位剤形として製剤化される、項118~127のいずれか一項に記載
の組成物。
(項129)
前記単位剤形が、経口送達のために製剤化される、項128に記載の組成物。
(項130)
前記単位剤形が、水溶液中に溶解するように製剤化され、飲料、シロップ、溶液、また
は懸濁液として経口投与される、項128または129に記載の組成物。
(項131)
前記単位剤形が、遅延放出または時間制御システムとして製剤化される、項128~1
30のいずれか一項に記載の組成物。
(項132)
前記単位剤形が、前記胃腸管の特定領域内に前記治療用グリカン調合剤を放出するよう
に製剤化される、項128~131のいずれか一項に記載の組成物。
(項133)
前記胃腸管の特定領域が、胃、小腸、大腸、または結腸を含む、項132に記載の組成
物。
(項134)
前記組成物が、前記胃腸管中に存在する細菌属の存在度を調節する、項128~133
のいずれか一項に記載の組成物。
(項135)
前記組成物が、小腸または大腸のうちの1つまたはそれらの両方に存在する細菌属の存
在度を調節する、項128~134のいずれか一項に記載の組成物。
(項136)
前記組成物が、Achromobacter、Agrobacterium、Blau
tia、Burkholderia、Coprococcus、Cryocola、En
terococcus、Eubacterium、Holdemania、Lactoc
occus、Mycobacterium、Pseudoramibacter、Ral
stonia、Sphingomonas、Streptococcus、及びTuri
cibacterの属の群から選択される小腸において優勢である細菌属の存在度を調節
する、項128~135のいずれか一項に記載の組成物。
(項137)
前記組成物が、Anaerotruncus、Akkermansia、Bacter
oides、Bilophila、Butyricimonas、Odoribacte
r、Parabacteroides、Phascolarctobacterium、
Prevotella、及びRuminococcusの属の群から選択される大腸にお
いて優勢である細菌属の存在度を調節する、項128~136のいずれか一項に記載の組
成物。
(項138)
グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、アラビノース、ラムノース、及び
マンノースの群から選択される少なくとも1つのグリカン単位を含む治療用グリカン調合
剤を含む薬学的組成物であって、前記調合剤が、以下の1H-13C HSQCピークの
うちの1つ以上:
(i)グルコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.42、92.5;
5.21、92.8;5.18、93.9;5.08、97.0;5.36、98.4;
5.34、99.8;5.38、100.3;4.95、98.6;4.62、96.6
;4.70、103.6;4.49、103.4 1H シフト(ppm)及び13C
シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つ
または対応するピークを含む、
(ii)ガラクトースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、92.
9;5.24、93.1;5.14、96.0;4.96、99.3;5.31、98.
7;5.39、101.4;5.00、101.8;4.80、101.3;4.63、
97.0;4.56、97.2;4.53、103.1;4.43、104.1 1H
シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQC
ピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含む、
(iii)フコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、92.9
;5.33、92.4;5.04、96.3;4.90、99.7;4.52、97.0
;4.39、103.6 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選
択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを
含む、
(iv)キシロースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、93.0
;5.10、94.3;5.34、98.2;5.31、99.6;5.11、100.
8;4.91、99.4;4.56、97.3;4.64、104.2;4.54、10
3.4;4.44、102.6;4.44、104.1 1H シフト(ppm)及び1
3C シフト(ppm)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくと
も1つまたは対応するピークを含む、
(v)アラビノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.22、93.2
;5.13、93.2;5.29、96.0;5.26、97.2;5.12、96.6
;5.18、99.6;5.06、99.2;4.99、100.0;5.26、101
.9;5.06、102.1;4.55、97.4;4.54、105.2;4.50、
105.5;4.38、103.9 1H シフト(ppm)及び13C シフト(pp
m)から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応す
るピークを含む、
(vi)ラムノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.21、93.2
;5.10、94.5;4.85、94.1;5.01、95.8;5.35、100.
5;5.15、102.2;5.04、102.9;4.78、97.9;4.71、9
9.0;4.72、101.0 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)
から選択される1H-13C HSQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピ
ークを含む、
(vii)マンノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、93.
0;5.16、94.6;4.88、94.2;5.39、101.7;5.24、10
1.9;5.13、102.8;5.03、102.7;5.24、105.6;5.0
9、108.0;4.88、94.2;4.89、100.0;4.70、101.1
1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される1H-13C H
SQCピークのうちの少なくとも1つまたは対応するピークを含む、
と関連するグリカン単位を含む、組成物。
(項139)
グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、アラビノース、ラムノース、及び
マンノースの群から選択される少なくとも1つのグリカン単位を含む治療用グリカン調合
剤を含む薬学的組成物であって、前記調合剤が、以下の1H-13C HSQCピークの
うちの2つ以上:
(i)グルコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.42、92.5;
5.21、92.8;5.18、93.9;5.08、97.0;5.36、98.4;
5.34、99.8;5.38、100.3;4.95、98.6;4.62、96.6
;4.70、103.6;4.49、103.4 1H シフト(ppm)及び13C
シフト(ppm)から選択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピークまたは
対応するピークを含む、
(ii)ガラクトースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、92.
9;5.24、93.1;5.14、96.0;4.96、99.3;5.31、98.
7;5.39、101.4;5.00、101.8;4.80、101.3;4.63、
97.0;4.56、97.2;4.53、103.1;4.43、104.1 1H
シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つの1H-
13C HSQCピークまたは対応するピークを含む、
(iii)フコースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、92.9
;5.33、92.4;5.04、96.3;4.90、99.7;4.52、97.0
;4.39、103.6 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選
択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含む、
(iv)キシロースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.18、93.0
;5.10、94.3;5.34、98.2;5.31、99.6;5.11、100.
8;4.91、99.4;4.56、97.3;4.64、104.2;4.54、10
3.4;4.44、102.6;4.44、104.1 1H シフト(ppm)及び1
3C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピーク
または対応するピークを含む、
(v)アラビノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.22、93.2
;5.13、93.2;5.29、96.0;5.26、97.2;5.12、96.6
;5.18、99.6;5.06、99.2;4.99、100.0;5.26、101
.9;5.06、102.1;4.55、97.4;4.54、105.2;4.50、
105.5;4.38、103.9 1H シフト(ppm)及び13C シフト(pp
m)から選択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピー
クを含む、
(vi)ラムノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.21、93.2
;5.10、94.5;4.85、94.1;5.01、95.8;5.35、100.
5;5.15、102.2;5.04、102.9;4.78、97.9;4.71、9
9.0;4.72、101.0 1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)
から選択される少なくとも2つの1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを
含む、
(vii)マンノースを含むグリカンについては、前記ピークが、5.37、93.
0;5.16、94.6;4.88、94.2;5.39、101.7;5.24、10
1.9;5.13、102.8;5.03、102.7;5.24、105.6;5.0
9、108.0;4.88、94.2;4.89、100.0;4.70、101.1
1H シフト(ppm)及び13C シフト(ppm)から選択される少なくとも2つの
1H-13C HSQCピークまたは対応するピークを含む、
と関連するグリカン単位を含む、組成物。
(項140)
薬学的キットであって、
i)項118~139のいずれか一項に記載の薬学的組成物、
ii)ポリフェノールの調合剤、プロバイオティクス細菌の調合剤、薬物または治療剤
、及び食事成分の群から選択される少なくとも一つの第2の構成成分、
iii)教材、および
iv)パッケージ、
を含む、キット。
(項141)
本明細書に記載される任意の実施形態の方法。
(項142)
本明細書に記載される任意の実施形態の組成物。