(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022176
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】医薬品有効成分の自己調節放出のための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/26 20060101AFI20230207BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/20 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/23 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/426 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/451 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/46 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/485 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/7016 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20230207BHJP
A61K 31/715 20060101ALI20230207BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20230207BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230207BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230207BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230207BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230207BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230207BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230207BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230207BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230207BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230207BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230207BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230207BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61K9/26
A61K31/198
A61K31/20
A61K31/23
A61K31/426
A61K31/451
A61K31/46
A61K31/485
A61K31/7004
A61K31/7016
A61K31/702
A61K31/715
A61K38/02
A61K45/00
A61K45/06
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/44
A61P25/04
A61P43/00 121
A23L5/00 A
A23L2/52
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022188174
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2019553509の分割
【原出願日】2018-03-30
(31)【優先権主張番号】62/544,375
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/587,783
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/479,822
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515143393
【氏名又は名称】アキュラ・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ブジェチェコ,アルバート・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ロバート・バーネット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乱用を抑止し、身体的又は精神的依存の可能性を最小限に抑える又は低減するそのような方法及び組成物を提供する。
【解決手段】乱用抑止性医薬組成物であって、乱用されやすい薬物と;第一の酸可溶性成分と;第一の緩衝成分と;そして遅延放出緩衝成分とを含む組成物とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乱用抑止性医薬組成物であって、
乱用されやすい薬物と;
第一の酸可溶性成分と;
第一の緩衝成分と;そして
遅延放出緩衝成分と
を含む組成物。
【請求項2】
第一の酸可溶性成分が、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
カチオン性コポリマーが、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
第一の緩衝成分が、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
遅延放出緩衝成分が、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び持続放出成分を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
遅延放出緩衝成分が、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを含み、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは持続放出成分を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
遅延放出緩衝成分が、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び第二の酸可溶性成分を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
遅延放出緩衝成分が、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを含み、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは第二の酸可溶性成分を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
第二の酸可溶性成分が、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
カチオン性コポリマーが、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
第二の酸可溶性成分が第一の酸可溶性成分と同じである、請求項10~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
第二の緩衝成分が、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む、請求項5~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
第二の緩衝成分が第一の緩衝成分と同じである、請求項5~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
腸溶成分が、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セ
ルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、及びゼインの一つ又は複数を含む、請求項5~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
胃酸生成を低減するための成分をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
胃酸生成を低減するための成分がH2-アンタゴニストを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
H2-アンタゴニストが、胃酸分泌を低減させるためのH2アンタゴニストの最低治療用量の10~50%の量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
胃内容排出時間を延長するための成分をさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
胃内容排出時間を延長するための成分が、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選ばれる、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
胃内容排出時間を延長するための成分が、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び胃不全麻痺誘発薬からなる群から選ばれる、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
対象によって摂取されると、胃内容排出時間を延長するための成分が対象の胃内容排出時間を延長する、請求項18~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物を含む剤形。
【請求項23】
剤形が食品バー又は飲料である、請求項22に記載の剤形。
【請求項24】
乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治療法であって、
それを必要とする対象に、請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項25】
さらに、胃内容排出時間を延長するための組成物を投与することを含み、乱用抑止性医薬組成物は、胃内容排出時間を延長するための組成物の前、胃内容排出時間を延長するための組成物の後、又は胃内容排出時間を延長するための組成物と同時に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
胃内容排出時間を延長するための成分が、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選ばれる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
胃内容排出時間を延長するための成分が、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び胃不全麻痺誘発薬からなる群から選ばれる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
胃内容排出時間を延長するための成分が剤形に含まれ、該剤形が食品バー又は飲料である、請求項25~27のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0002]本願は、2017年3月31日出願の米国仮特許出願第62/479,822号、2017年8月11日出願第62/544,375号、及び2017年11月17出願第62/587,783号に基づく利益を主張し、これらすべては引用によってそれらの全文を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0003]アヘン又はモルヒネ様の性質を示す薬物のクラスはオピオイド、又はオピオイドアゴニストと呼ばれている。アゴニストとして、ある種の薬物は、脳やその他の身体組織及び器官の立体特異的結合部位及び飽和結合部位と相互作用することを特徴とする。内因性のオピオイド様ペプチドは、疼痛の知覚、運動、気分及び挙動、そして神経内分泌機能の調節に関係すると思われる中枢神経系の領域に存在する。3つの古典的オピオイド受容体型のミュー(μ)、デルタ(δ)、及びカッパ(κ)は広く研究されている。これらの受容体のそれぞれは、脳、脊髄、及び末梢に独自の解剖学的分布を有している。臨床的に使用されているオピオイドの大部分は、それらのモルヒネとの類似性を反映して、μ受容体に対して比較的選択的である。しかしながら、標準的な治療用量で特定の受容体サブタイプに対して比較的選択的なオピオイド含有薬物は、十分高用量投与されると、複数の受容体サブタイプとも相互作用することが多く、それらの薬理学的効果に変化をもたらす可能性がある。オピオイドの用量は耐性を克服するためにエスカレートするので、このようなことが特に当てはまる。
【0003】
[0004]オピオイドの反復使用は、耐性の発現、身体的及び/又は精神的依存、すなわち中毒をもたらす可能性があり、これがオピオイド鎮痛薬を含有する大部分の薬物の特性である。
【0004】
[0005]オピオイドを含む経口投与薬物の乱用可能性を減弱する試みがなされている。これらの試みは、一般的に、経口剤形に、経口的には活性でないが、オピオイドを溶かして非経口投与しようとするとオピオイドの鎮痛効果を実質的に遮断するオピオイドアンタゴニストを包含させるというのが中心的である。
【0005】
[0006]しかしながら、あらゆる試みにもかかわらず、医薬品の誤用及び乱用は増え続けている。乱用されやすい薬物のために、これらに限定されないが、即時放出、持続又は延長放出及び遅延放出製剤などの医薬品(例えば経口投与医薬品)の乱用を抑止するための新規で効果的な方法及び組成物がますます求められている。特に、乱用を抑止し、身体的又は精神的依存の可能性を最小限に抑える又は低減するそのような方法及び組成物は、オピオイド鎮痛薬にとっても薬物療法を求める患者にとっても有用であろう。
【発明の概要】
【0006】
[0007]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物;第一の酸可溶性成分;第一の緩衝成分(buffering ingredient);及び遅延放出緩衝成分(buffering component)を含む
乱用抑止性医薬組成物に関する。一部の態様において、第一の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数などである。一部の態様において、第一の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は第一の酸可溶性成分と同じである。一部の態様において、第二の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、第二の緩衝成分は第一の緩衝成分と同じである。一部の態様において、腸溶成分は、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、及びゼインの一つ又は複数を含む。
【0007】
[0008]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物;第一の酸可溶性成分;第一の緩衝成分;遅延放出緩衝成分;及び胃酸生成を低減するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。一部の態様において、胃酸生成を低減するための成分はH2-アンタゴニストを含む。一部の態様において、H2-アンタゴニストは、胃酸分泌を低減させるためのH2アンタゴニストの最低治療用量の10~50%の量で存在する。一部の態様において、第一の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組
合せなどである。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数などである。一部の態様において、第一の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は第一の酸可溶性成分と同じである。一部の態様において、第二の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、第二の緩衝成分は第一の緩衝成分と同じである。一部の態様において、腸溶成分は、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、及びゼインの一つ又は複数を含む。
【0008】
[0009]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物;第一の酸可溶性成分;第一の緩衝成分;遅延放出緩衝成分;及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選ばれる。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び胃不全麻痺誘発薬からなる群から選ばれる。一部の態様において、対象によって摂取されると、胃内容排出時間を延長するための成分は、対象の胃内容排出時間を延長する。一部の態様において、第一の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数などである。一部の態様において、第一の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は第一の酸可溶性成分と同じである。一部の態様において、第二の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、第二の緩衝成分は第一の緩衝成分と同じである。一部の態様において、腸溶成分は、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、及びゼインの一つ又は複数を含む。
【0009】
[0010]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物;第一の酸可溶性成分;第一の緩衝成分;遅延放出緩衝成分;胃酸生成を低減するための成分;及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選ばれる。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び胃不全麻痺誘発薬からなる群から選ばれる。一部の態様において、対象によって摂取されると、胃内容排出時間を延長するための成分は、対象の胃内容排出時間を延長する。一部の態様において、胃酸生成を低減するための成分はH2-アンタゴニストを含む。一部の態様において、H2-アンタゴニストは、胃酸分泌を低減させるためのH2アンタゴニストの最低治療用量の10~50%の量で存在する。一部の態様において、第一の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数などである。一部の態様において、第一の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は第一の酸可溶性成分と同じである。一部の態様において、第二の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、第二の緩衝成分は第一の緩衝成分と同じである。一部の態様において、腸溶成分は、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、及びゼインの一つ又は複数を含む。
【0010】
[0011]一部の態様において、本発明は、乱用されやすい薬物;第一の酸可溶性成分;第一の緩衝成分;及び遅延放出緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物を含む剤形に関する。一部の態様において、該組成物はさらに胃酸生成を低減するための成分を含む。一部の態様において、胃酸生成を低減するための成分はH2-アンタゴニストを含む。一部の態様において、H2-アンタゴニストは、胃酸分泌を低減させるためのH2アンタゴニストの最低治療用量の10~50%の量で存在する。一部の態様において、該組成物はさらに胃内容排出時間を延長するための成分を含む。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選ばれる。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び胃不全麻痺誘発薬からなる群から選ばれる。一部の態様において、対象によって摂取されると、胃内容排出時間を延長するための成分は、対象の胃内容排出時間を延長する。一部の態様において、第一の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数などである。一部の態様において、第一の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は第一の酸可溶性成分と同じである。一部の態様において、第二の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、第二の緩衝成分は第一の緩衝成分と同じである。一部の態様において、腸溶成分は、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、及びゼインの一つ又は複数を含む。一部の態様において、剤形は食品バー又は飲料である。
【0011】
[0012]一部の態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物;第一の酸可溶性成分;第一の緩衝成分;及び遅延放出緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物を投与することを含む。一部の態様において、該組成物はさらに胃酸生成を低減するための成分を含む。一部の態様において、胃酸生成を低減するための成分はH2-アンタゴニストを含む。一部の態様において、H2-アンタゴニストは、胃酸分泌を低減させるためのH2アンタゴニストの最低治療用量の10~50%の量で存在する。一部の態様において、胃酸生成を低減するための成分はH2-アンタゴニストを含む。一部の態様において、H2-アンタゴニストは、胃酸分泌を低減させるためのH2アンタゴニストの最低治療用量の10~50%の量で存在する。一部の態様において、該組成物はさらに胃内容排出時間を延長するための成分を含む。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選ばれる。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び胃不全麻痺誘発薬からなる群から選ばれる。一部の態様において、対象によって摂取されると、胃内容排出時間を延長するための成分は、対象の胃内容排出時間を延長する。一部の態様において、第一の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数などである。一部の態様において、第一の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せなどである。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは持続放出成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第二の緩衝成分、腸溶剤、及び第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コア、コアを取り囲むシェル、及びコアとシェルの間のサブコートを構成し、コアは第二の緩衝成分を含み、シェルは腸溶剤を含み、そしてサブコートは第二の酸可溶性成分を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む。一部の態様において、第二の酸可溶性成分は第一の酸可溶性成分と同じである。一部の態様において、第二の緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、第二の緩衝成分は第一の緩衝成分と同じである。一部の態様において、腸溶成分は、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、及びゼインの一つ又は複数を含む。一部の態様において、方法はさらに、胃内容排出時間を延長するための組成物を投与することを含み、乱用抑止性医薬組成物は、胃内容排出時間を延長するための組成物の前、胃内容排出時間を延長するための組成物の後、又は胃内容排出時間を延長するための組成物と同時に投与される。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドからなる群から選ばれる。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は
、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び胃不全麻痺誘発薬からなる群から選ばれる。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための組成物は剤形に含まれ、該剤形は食品バー又は飲料である。
【0012】
[0013]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。
[0014]一部の態様において、酸可溶性成分はマトリックスを形成し、乱用されやすい薬物の実質的部分はそのマトリックス内に含有される。一部の態様において、酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む。一部の態様において、酸可溶性成分は、医薬組成物の約1wt%~約40wt%の量で存在する。一部の態様において、緩衝成分は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、緩衝成分は約45wt%~約95wt%の量で存在する。
【0013】
[0015]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドでありうる胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び胃不全麻痺誘発薬でありうる胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。
【0014】
[0016]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物であって、対象によって摂取されると、胃内容排出時間を延長するための成分が対象の胃内容排出時間を延長する乱用抑止性組成物に関する。一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物であって、対象によって摂取されると、胃内容排出時間を延長するための成分が組成物の胃内容排出時間を延長する乱用抑止性組成物に関する。
【0015】
[0017]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物であって、組成物が意図された用量より過剰に摂取されると、酸可溶性成分と緩衝成分が薬物の放出を遅くする乱用抑止性組成物に関する。
【0016】
[0018]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物を含む剤形に関する。一部の態様において、該剤形は食品バー又は飲料である。
【0017】
[0019]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物を投与することを含む。
【0018】
[0020]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩
衝成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物を含む剤形を投与することを含む。一部の態様において、該剤形は食品バー又は飲料である。
【0019】
[0021]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、及び緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物と、胃内容排出時間を延長するための成分を含む胃内容排出時間を延長するための組成物とを投与することを含む。一部の態様において、乱用抑止性医薬組成物は、胃内容排出時間を延長するための組成物の前に投与される。一部の態様において、乱用抑止性医薬組成物は、胃内容排出時間を延長するための組成物の後に投与される。一部の態様において、乱用抑止性医薬組成物は、胃内容排出時間を延長するための組成物と同時に投与される。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドである。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、又は胃不全麻痺誘発薬である。
【0020】
[0022]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、及び緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物と、胃内容排出時間を延長するための成分を含む胃内容排出時間を延長するための組成物を含む剤形とを投与することを含み、該剤形は食品バー又は飲料である。
【0021】
[0023]本発明は、本発明の一定の特性を示している以下の図面を検討することによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】[0024]
図1は、本発明の態様による製剤のT
maxを対照製剤と比較して示す。
【
図2】[0025]
図2は、本発明の態様による製剤のC
maxを対照製剤と比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0026]本発明の組成物及び方法は、自己調節投薬、特に乱用されやすい薬物の自己調節投薬に関する。本発明の自己調節投薬は多数の技術的手法に依拠している。投薬は、最初に、例えば周囲媒質、典型的には対象の胃内容のpHを上げる又は下げるなどの調節をすることによって自己調節される。pHの変化は次に、投薬に含まれる組成物からの活性成分の放出を制御する。従って、投薬の総量が一定の限界、典型的には薬物又は活性成分がその通常の治療的使用のために処方される限界を超えると、通常のpH範囲と比較したpHの変化が活性成分の放出を緩徐化する。これは、典型的には、例えば、活性成分を被包又は隔離することにより、活性成分を含むマトリックス要素の崩壊を遅延又は停止させることによって行われる。一部の態様において、投薬はさらに、過剰用量が摂取された場合にマトリックスからの活性成分の放出を遅延又は停止させる効果を延長する遅延放出緩衝成分を含む。一部の態様において、投薬はさらに、胃内容排出時間を延長して、pH調節による自己調節機構(pH modulation self-regulation mechanism)が作用するために利用
できる時間を増やし、その総体的効果を増強することによって自己調節される。
【0024】
[0027]自己調節投薬は、不適切な用量が摂取された場合に、又は投薬が乱用された場合に、薬物の吸収を制限、及び延長するように設計される。自己調節錠剤中の成分は、経口投与されると胃のpHを変化させる、例えば上昇させるための制酸剤/緩衝剤を含む。一
部の態様において、乱用されやすい薬物は、意図された用量、又は典型的には処方された用量、例えば1又は2単位用量が摂取された場合、pH5以下を有する酸性の胃内媒質中で溶解し、活性成分薬物の即時放出、又は延長放出プロフィールを提供するように意図された剤形中に包含される。反対に、自己調節剤形は、より多くの錠剤が摂取されると胃のpHを中和し、5より高いpHで活性成分の放出を遅くするように意図されている。
【0025】
[0028]一部の態様において、本発明の製剤は、薬品の意図的又は非意図的な過剰摂取によって引き起こされる効果を遮断又は阻止するように設計される。通常の用量条件下では、本発明の製剤は所望の薬物用量の完全な経口送達を可能にしうる。しかしながら、意図的に又は意図せずして過剰用量が摂取されると、例えば通常の治療的使用のために典型的に処方される用量を超えた用量が摂取されると、本発明の製剤は、過剰用量の放出及びその後の吸収を緩徐化又は遮断するように作用できる。従って、薬物乱用者が“高揚感”を経験するために乱用薬物の過剰用量を消費するような意図的過剰経口消費の場合、その“高揚感”は、本発明の製剤では、過剰の乱用薬物を自由に放出する用量と比べて、著しく削減されるであろう。このようにして、本発明の製剤は、本発明の製剤を高揚感を得る目的で乱用しないようにする抑止力として作用できる。にもかかわらず、指示又は処方通りに本発明を使用する患者は所望の治療効果又は治療を享受することができる。
【0026】
[0029]一般に、そして本明細書中でより詳細に説明されているように、本発明の医薬製剤は、医薬品有効成分の放出及び/又は吸収を制御するために、一つ又は複数の機構を用いて設計できる。一部の態様において、医薬製剤は、pH調節特性及び/又はpH依存性溶解特性を持つように設計できる。pH調節特性は、医薬組成物が適切な投与量で摂取されたか又は過剰に摂取されたかに基づいて胃環境のpHを調節することにより、活性成分の放出及び/又は吸収に影響を及ぼすことができる。pH調節特性は、医薬組成物に一つ又は複数の緩衝成分及び/又は制酸成分を含めることによって提供できる。pH調節特性は、緩衝成分(例えば、即時放出緩衝成分及び遅延放出緩衝成分)を含めることによって提供できる。pH依存性溶解特性は、胃環境のpHに応じて医薬品有効成分を抑制又は放出することにより、活性成分の放出及び/又は吸収に影響を及ぼすことができる。pH依存性溶解特性は、医薬組成物に一つ又は複数の酸可溶性成分を含めることによって提供できる。酸可溶性成分を含む医薬組成物は、米国特許第9,662,393号、9,320,796号、及び9,101,636号、そして米国特許出願公開第20170056501号に記載されており、これらはすべて引用によってそれらの全文を本明細書に援用する。
【0027】
[0030]一部の態様において、本発明の組成物及び方法は、本明細書中に開示された組成物を摂取した対象における胃内容排出時間を延長することを含む追加の自己調節機構を相乗的に組み込んでいる。
【0028】
[0031]何らかの特定理論に拘束されることは望まないが、本発明の一定の態様は、一部は、胃内容排出時間延長機構を持たない一つ又は複数投与量の自己調節組成物をインビボ投与すると、対応する活性成分の観察Cmaxに関して非線形応答をもたらすという観察に依拠している。例えば、実施例1に記載されているように、8個の錠剤からもたらされるCmaxのインビボ低下は、3個の錠剤とほぼ同じであった。8個の錠剤は3個の錠剤と比べて2.7倍大きい胃環境の緩衝能力に相当しているという事実にも拘わらず、である。このように、十分な緩衝レベルは一定数の錠剤で提供できるが、インビボにおける自己調節緩衝レベルの効果及び持続時間は、胃内容排出時間などの追加の機構によって相乗的に影響されうる。第一の自己調節機構が依拠している緩衝剤が、胃内で例えば約25分という比較的短い持続時間しか持たなければ、場合によっては、緩衝剤は、新たに生成された胃酸をさらに中和できる前に胃から排出されることになりかねない。従って、多数の錠剤の十分な緩衝効果は場合によっては達成されず、胃液は少数の錠剤と同じ時間で酸性
pHに戻ってしまう。一部の態様において、酸中和モデルが使用され、胃内容排出時間が延長されると、高い胃内pH(>5)の延長が達成できることが示された。一部の態様においては、遅延放出緩衝組成物モデルが使用され、高い胃内pH(>5)を延長している。本発明では、自己調節投薬の多数錠剤投与の場合のピーク血漿中薬物濃度(Cmax)を低下させるためのより良い性能を促進するために胃内容排出時間を延長するための方法及び組成物について記載する。
【0029】
定義
[0032]本明細書において、用語“Cmax”は、薬物の投与後で第二用量の投与前に、身体の特定区画又は試験領域で薬物が達成する最大(又はピーク)血清中濃度を指す。本明細書において、用語“Tmax”は、Cmaxが観察される時間を指す。
【0030】
[0033]本明細書において、用語“生物学的同等性(bioequivalence)”は、Cmaxの90%信頼区間(対数変換)か、又は薬物の濃度曲線下面積“AUC”が参照薬物の同じマーカーの80%~125%以内である、の一つ又は複数を意味すると理解される。
【0031】
[0034]本明細書において、“狭い治療域(narrow therapeutic index)”(NTI)を有する化合物又は薬物とは、米国食品医薬品局、又はその任意の後継機関によって公布されている狭い治療域の何らかの定義に入る化合物又は薬物を意味する。例えば、50%中毒量(TD50)及び50%有効量(ED50)値の差が2倍未満、又は血中の最小中毒濃度及び最小有効濃度の差が2倍未満の物質である。
【0032】
[0035]本明細書において、例えば濃度又は量を記載するために範囲が使用されている場合、範囲及びその中に含まれる特定の態様のすべての組合せ及び副次的組合せも範囲に含まれるものとする。数字又は数値範囲に言及する場合において、用語“約”の使用は、言及されている数字又は数値範囲が実験的変動の範囲内、又は統計的実験誤差の範囲内の近似値であるので、数字又は数値範囲は変動しうることを意味する。その変動は典型的には記述された数字又は数値範囲の0%~5%、0%~10%、0%~15%などである。例えば“約45%”は、40.5%~49.5%を含むと理解される。
【0033】
[0036]用語“含む(comprising)”ならびに“含む(comprise)”“含む(comprises)”“
有する(having)”又は“含む(including)”などの関連用語は、例えば、記載されている
特徴“からなる(consisit of)”又は“本質的に~からなる(consist essentially of)”
任意の組成物、方法又は工程の態様などの態様を含む。
【0034】
[0037]用語“胃内容排出時間”とは、摂取された物を胃から排出する又は胃から移動させるのに要する時間を意味する。時間は、物が飲み込まれたときから物が小腸に移動するまでが測定される。同様に、用語“胃滞留時間”は、物が摂取されたときから小腸に移動するまでの胃に留まっている時間を意味する。
【0035】
乱用抑止性医薬組成物
[0038]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、第一の酸可溶性成分、第一の緩衝成分、及び遅延放出緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。
【0036】
[0039]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。
[0040]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃酸生成を低減するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。
【0037】
[0041]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、第一の酸可溶性成分、第一の
緩衝成分、胃酸生成を低減するための成分、及び遅延放出緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。
【0038】
[0042]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、第一の酸可溶性成分、第一の緩衝成分、胃内容排出時間を延長するための成分、及び遅延放出緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。
【0039】
[0043]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、第一の酸可溶性成分、第一の緩衝成分、胃酸生成を低減するための成分、及び胃内容排出時間を延長するための成分を含む乱用抑止性医薬組成物に関する。
【0040】
[0044]一態様において、本発明は、薬物(例えば乱用されやすい薬物)と、a)第一の酸可溶性成分、b)第一の緩衝成分、c)胃内容排出時間を延長するための成分、d)胃酸生成を低減するための成分、及びe)遅延放出緩衝成分の一つ又は複数を含む医薬組成物に関する。
【0041】
医薬品有効成分
[0045]任意の薬物、治療上許容可能な薬物塩、薬物誘導体、薬物類似体、薬物同族体、プロドラッグ、又は多形体が本発明に使用できる。本発明で使用するのに適切な薬物は、医師用卓上参考書(Physician’s Desk Reference)、第59版に見出すことができ、その
内容は引用によって本明細書に援用する。一態様において、薬物は経口投与薬物である。一部の態様において、本発明による医薬組成物は、一つ又は複数の薬物、治療上許容可能な薬物塩、薬物誘導体、薬物類似体、薬物同族体、又は多形体の混合物、被覆粒子、又は顆粒を含みうる。
【0042】
[0046]一定の態様において、乱用されやすい薬物が使用される。一般的に乱用されやすい薬物は、向精神薬及び鎮痛薬、例えば、これらに限定されないが、オピオイド、アヘン剤、刺激剤、精神安定剤、鎮静剤、抗不安薬、麻酔薬及び精神的及び/又は身体的依存を起こしうる薬物などである。一態様において、本発明で使用するための薬物は、アンフェタミン、アンフェタミン様化合物、ベンゾジアゼピン、及びメチルフェニデート又はそれらの組合せなどでありうる。別の態様において、本発明は、本明細書中に記載された薬物の分解異性体のいずれか、及び/又はそれらの塩を含みうる。
【0043】
[0047]本発明で使用するための薬物は狭い治療域を有する薬物でありうる。投与後、狭い治療域を有する薬物が血流中に少なすぎると不十分な治療活性しかもたらせない一方、狭い治療域の薬物の用量が多すぎると、過剰の治療活性又は毒性をもたらしかねず、どちらも有害でありうる。その結果、狭い治療域の薬物の使用は注意深くモニターされ、それらの乱用可能性を抑止せねばならない。
【0044】
[0048]本発明で使用するための薬物は乱用されやすい薬物でありうる。本発明で使用するための乱用されやすい可能性のある薬物は以下の一つ又は複数でありうる。すなわち、アルフェンタニル(alfentanil)、アンフェタミン(amphetamines)、ブプレノルフィン(buprenorphine)、ブトルファノール(butorphanol)、カルフェンタニル(carfentanil)、コデ
イン(codeine)、デゾシン(dezocine)、ジアセチルモルヒネ(diacetylmorphine)、ジヒド
ロコデイン(dihydrocodeine)、ジヒドロモルヒネ(dihydromorphine)、ジフェノキシレー
ト(diphenoxylate)、ジプレノルフィン(diprenorphine)、エトルフィン(etorphine)、フ
ェンタニル(fentanyl)、ヒドロコドン(hydrocodone)、ヒドロモルフォン(hydromorphone)、β-ヒドロキシ-3-メチルフェンタニル(β-hydroxy-3-methylfentanyl)、レボ-α
-アセチルメタドール(levo-α-acetylmethadol)、レボルファノール(levorphanol)、ロ
フェンタニル(lofentanil)、メペリジン(meperidine)、メタドン(methadone)、メチルフ
ェニデート(methylphenidate)、モルヒネ(morphine)、ナルブフィン(nalbuphine)、ナル
メフェン(nalmefene)、オキシコドン(oxycodone)、オキシモルフォン(oxymorphone)、ペ
ンタゾシン(pentazocine)、ペチジン(pethidine)、プロポキシフェン(propoxyphene)、レミフェンタニル(remifentanil)、スフェンタニル(sufentanil)、チリジン(tilidine)、及びトラモドール(tramodol)、それらの塩、誘導体、類似体、同族体、多形体、及び前述のいずれかの混合物。
【0045】
[0049]別の態様において、本発明で使用するための乱用されやすい可能性のある薬物は以下の一つ又は複数を含む。すなわち、デキストロメトルファン(3-メトキシ-17-メチル-9a,13a,14a-モルフィナンヒドロブロミド一水和物)、N-{1-[2-(4-エチル-5-オキソ-2-テトラゾリン-1-イル)-エチル]-4-メトキシメチル-4-ピペリジル}プロピオンアニリド(アルフェンタニル)、5,5-ジアリルバルビツール酸(アロバルビタール)、アリルプロジン、アルファ-プロジン、8-クロロ-1-メチル-6-フェニル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]-ベンゾジアゼピン(アルプラゾラム)、2-ジエチルアミノプロピオフェノン(アンフェプラモン)、(±)-α-メチルフェネチルアミン(アンフェタミン)、2-(
α-メチルフェネチル-アミノ)-2-フェニルアセトニトリル(アンフェタミニル)、5-エチル-5-イソペンチルバルビツール酸(アモバルビタール)、アニレリジン、アポコデイン、5,5-ジエチルバルビツール酸(バルビタール)、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、7-ブロモ-5-(2-ピリジル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ブロマゼパム)、2-ブロモ-4-(2-クロロフェニル)-9-メチル-6H-チエノ[3,2-f][1,2,4]-トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン(プロチゾラム)、17-シクロプロピルメチル-4,5α-エポキシ-7α[(S)-1-ヒドロキシ-1,2,2-トリメチルプロピル]-6-メトキシ-6,14-エンド-エタノモルフィナン-3-オール(ブプレノルフィン)、5-ブチル-5-エチルバルビツール酸(ブトバルビタール)、ブトルファノール、(7-クロロ-1,3-ジヒドロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-ジメチルカルバメート(カマゼパム)、(1S,2S)-2-アミノ-1-フェニル-1-プロパノール(カチン/D-ノルプソイドエフェドリン)、7-クロロ-N-メチル-5-フェニル-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-イルアミン-4 オキシド(クロルジアゼポキシド)、7-クロロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-2,4(3H,5H)-ジオン(クロバザム)、5-(2-クロロフェニル)-7-ニトロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(クロナゼパム)、クロニタゼン、7-クロロ-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸(クロラゼプ酸(clorazepate))
、5-(2-クロロフェニル)-7-エチル-1-メチル-1H-チエノ[2,3-e][1,4]-ジアゼピン-2(3H)-オン(クロチアゼパム)、10-クロロ-11b-(2-クロロフェニル)-2,3,7,11b-テトラヒドロオキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6(5H)-オン(クロキサゾラム)、(-)-メチル-[3β-ベンゾイルオキシ-2β(1αH,5αH)-トロパンカルボキシレート(コカイン)、4,5α-エポキシ-3-メトキシ-17-メチル-7-モルフィネン-6α-オール(コデイン)、5-(1-シクロヘキセニル)-5-エチルバルビツール酸(シクロバルビタール)、シクロルファン、シプレノルフィン、7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(デロラゼパム)、デソモルヒネ、デキストロモラミド、(+)-(1-ベンジル-3-ジメチルアミノ-2-メチル-1-フェニルプロピル)プロピオネート(デキストロプロポキシフェン)、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン、7-クロロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ジアゼパム)、4,5α-エポキシ-3-メトキシ-17-メチル-6α-モルフィナノール(ジヒドロコデイン)、4,5α-エポキシ-17-メチル-3,6a-モルフィナンジオール(ジヒドロモルヒネ)、
ジメノキサドール、ジメフェタモール[sic-Tr.Ed.]、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、(6aR,10aR)-6,6,9-トリメチル-3-ペンチル-6a,7,8,10a-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[c]クロメン-1-オール(ドロナビノール)、エプタゾシン、8-クロロ-6-フェニル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン(エスタゾラム)、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチル-[7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-カルボキシレート](ロフラゼプ酸エチル)、4,5α-エポキシ-3-エトキシ-17-メチル-7-モルフィネン-6α-オール(エチルモルヒネ)、エトニトラゼン(etonitrazene)、4,5α-エポキシ-7α-(1-ヒドロキシ-1-メチルブチル)-6-メトキシ-17-メチル-6,14-エンド-エテノ-モルフィナン-3-オール(エトルフィン)、N-エチル-3-フェニル-8,9,10-トリノルボルナン-2-イルアミン(フェンカンファミン)、7-[2-(α-メチルフェネチルアミノ)-エチル]テオフィリン(フェネチリン)、3-(α-メチルフェネチルアミノ)プロピオニトリル(フェンプロポレックス)、N-(1-フェネチル-4-ピペリジル)プロピオンアニリド(フェンタニル)、7-クロロ-5-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(フルジアゼパム)、5-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-7-ニトロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-(3H)-オン(フルニトラゼパム)、7-クロロ-1-(2-ジエチルアミノエチル)-5-(2-フルオロフェニル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(フルラゼパム)、7-クロロ-5-フェニル-1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ハラゼパム)、10-ブロモ-11b-(2-フルオロフェニル)-2,3,7,11b-テトラヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6(5H)-オン(ハロキサゾラム)、ヘロイン、4,5α-エポキシ-3-メトキシ-17-メチル-6-モルフィナノン(ヒドロコドン)、4,5α-エポキシ-3-ヒドロキシ-17-メチル-6-モルフィナノン(ヒドロモルフォン)、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、11-クロロ-8,12b-ジヒドロ-2,8-ジメチル-12b-フェニル-4H-[1,3]オキサジノ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-4,7(6H)-ジオン(ケタゾラム)、1-[4-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-4-ピペリジル]-1-プロパノン(ケトベミドン)、(3S,6S)-6-ジメチルアミノ-4,4-ジフェニルヘプタン-3-イルアセテート(レバセチルメタドール(LAAM))、(-)-6-ジメチルアミノ-4,4-ジフェニル-3-ヘプタノン(レボメタドン)、(-)-17-メチル-3-モルフィナノール(レボルファノール)、レボフェナシルモルファン(levophenacyl morphan)、ロフェンタニル、6-(2-クロロフェニル)-2-(4-メチル-1-ピペラジニルメチレン)-8-ニトロ-2H-イミダゾ[1,2a][1,4]ベンゾジアゼピン-1(4H)-オン(ロプラゾラム)、7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-3-ヒドロキシ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ロラゼパム)、7-クロロ-5-(2-クロロフェニル)-3-ヒドロキシ-1-メチル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ロルメタゼパム)、5-(4-クロロフェニル)-2,5-ジヒドロ-3H-イミダゾ[2,1-a]イソインドール-5-オール(マジンドール)、7-クロロ-2,3-ジヒドロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン(メダゼパム)、N-(3-クロロプロピル)-α-メチルフェネチルアミン(メフェノレックス)、メペリジン、2-メチル-2-プロピルトリメチレンジカルバメート(メプロバメート)、メプタジノール、メタゾシン、メチルモルヒネ、N,α-ジメチルフェネチルアミン(メタンフェタミン)、(±)-6-ジメチルアミノ-4,4-ジフェニル-3-ヘプタノン(メタドン)、2-メチル-3-o-トリル-4(3H)-キナゾリノン(メタカロン)、メチル-[2-フェニル-2-(2-ピペリジル)アセテート](メチルフェニデート)、5-エチル-1-メチル-5-フェニルバルビツール酸(メチルフェノバルビタール)、3,3-ジエチル
-5-メチル-2,4-ピペリジンジオン(メチプリロン)、メトポン、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-1-メチル-4H-イミダゾ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン(ミダゾラム)、2-(ベンズヒドリルスルフィニル)アセトアミド(モダフィニル)、4,5α-エポキシ-17-メチル-7-モルフィネン-3,6α-ジオール(モルヒネ)、ミロフィン(myrophine)、(±)-トランス-3-(1,1-ジメチ
ルヘプチル)-7,8,10,10α-テトラヒドロ-1-ヒドロキシ-6,6-ジメチル-6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-9(6αH)-オン(ナビロン)、ナルブフェン(nalbuphen)、ナロルフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、1-メチル-7-ニトロ-5
-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ニメタゼパム)、7-ニトロ-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ニトラゼパム)、7-クロロ-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-(3H)-オン(ノルダゼパム)、ノルレボルファノール、6-ジメチルアミノ-4,4-ジフェニル-3-ヘキサノン(ノルメタドン)、ノルモルヒネ、ノルピパノン、ケシ種(species
Papaver somniferum)に属する植物の凝固ジュース(アヘン)、7-クロロ-3-ヒドロキシ-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-(3H)-オン(オキサゼパム)、(シス-トランス)-10-クロロ-2,3,7,11b-テトラヒドロ-2-メチル-11b-フェニルオキサゾロ[3,2-d][1,4]ベンゾジアゼピン-6-(5H)-オン(オキサゾラム)、4,5α-エポキシ-14-ヒドロキシ-3-メトキシ-17-メチル-6-モルフィナノン(オキシコドン)、オキシモルフォン、ケシ種(亜種アツミゲシ(setigerum)も含む)に属する植物の植物及び植物の部分、パパベレタム
、2-イミノ-5-フェニル-4-オキサゾリジノン(ペルノリン)、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロ-6,11-ジメチル-3-(3-メチル-2-ブテニル)-2,6-メタノ-3-ベンザゾシン-8-オール(ペンタゾシン)、5-エチル-5-(1-メチルブチル)バルビツール酸(ペントバルビタール)、エチル-(1-メチル-4-フェニル-4-ピペリジン-カルボキシレート)(ペチジン)、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ホルコデイン(pholcodeine)、
3-メチル-2-フェニルモルホリン(フェンメトラジン)、5-エチル-5-フェニルバルビツール酸(フェノバルビタール)、α,α-ジメチルフェネチルアミン(フェンテルミン)、7-クロロ-5-フェニル-1-(2-プロピニル)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(ピナゼパム)、α-(2-ピペリジル)ベンズヒドリルアルコール(ピプラドール(pipradol))、1’-(3-シアノ-3,3-ジフェニルプロピル)[1,4’-ビピペリジン]-4’-カルボキサミド(ピリトラミド)、7-クロロ-1-(シクロプロピルメチル)-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(プラゼパム)、プロファドール、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、N-(1-メチル-2-ピペリジノエチル)-N-(2-ピリジル)プロピオンアミド、メチル-{3-[4-メトキシカルボニル-4-(N-フェニルプロパンアミド)ピペリジノ]プロパノエート}(レミフェンタニル)、5-sec.-ブチル-5-エチルバルビツール酸(secブタバルビタール)、5-アリル-5-(1-メチルブチル)バルビツール酸(セコバルビタール)、N-{4-メトキシメチル-1-[2-(2-チエニル)エチル]-4-ピペリジル}プロピオンアニリド(スフェンタニル)、7-クロロ-2-ヒドロキシ-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-(3H)-オン(テマゼパム)、7-クロロ-5-(1-シクロヘキセニル)-1-メチル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2(3H)-オン(テトラゼパム)、エチル-(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-3-シクロヘキサン-1-カルボキシレート)(チリジン(シス及びトランス))、トラマドール、8-クロロ-6-(2-クロロフェニル)-1-メチル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ベンゾジアゼピン(トリアゾラム)、5-(1-メチルブチル)-5-ビニルバルビツール酸(ビニルビタール)、(1R*,2R*)-3-(3-ジメチルアミノ-1-エチル-2-メチル-プロピル)フェノール、(1R,2R,4S)-2-[ジメチルアミノ)メチル-4-(p-フルオロベンジルオキシ)-1-(m-メトキシフェニ
ル)シクロヘキサノール、それぞれ任意に対応する立体異性体化合物の形態ならびに対応する誘導体、特にエステル又はエーテル、ならびにいずれも生理学的に適合可能な化合物、特に塩及び溶媒和物。
【0046】
[0050]一態様において、本発明の医薬組成物は、治療活性成分として、ヒドロコドン、モルヒネ、オキシコドン、ヒドロモルフォン及び/又はそれらの塩などの一つ又は複数のオピオイドを含む。
【0047】
[0051]典型的には、以下でさらに詳細に説明するように適切な剤形に加工された場合、薬物はそのような剤形中に通常処方される量、典型的には製剤の総重量を基にして乾燥重量ベースで約0.5~約25パーセントの量で存在しうる。一部の態様において、そのような量は、典型的には、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.25mg、約1.5mg、約1.75mg、約2mg、約2.25mg、約2.5mg、約2.75mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、又は約200mgでありうる。より典型的には、薬物は、約1mg~約10mg、約2mg~約25mg、約5mg~約75mg、約10mg~約200mg、約125mg~約250mg、又は約250mg~約500mgの量で存在しうる。他の態様において、剤形は、治療効果を提供するために適切な量の薬物を含有する。
【0048】
[0052]一部の態様において、本発明の組成物は、薬物又は活性成分を重量ベースで、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.9%の量で含む。
【0049】
酸性溶液に可溶性の成分
[0053]一部の態様において、本発明の医薬組成物は、酸性溶液に可溶性の一つ又は複数の成分を含む。酸性溶液は、pHが7未満、約1~約4、約2~約5、5以下などの溶液と考えられる。一部の態様において、酸可溶性成分は、弱酸性、中性、及び/又は塩基性の溶液には溶けにくい。一部の態様において、酸可溶性成分は、約4又は5より高いpHを有する溶液には溶けにくい。
【0050】
[0054]一部の態様において、酸可溶性成分は、医薬品有効成分を有する粒子マトリックスの形態で医薬組成物中に含まれる。酸可溶性成分は、このマトリックスを形成するのに足る量で医薬組成物に含まれうる。一部の態様において、活性成分は酸可溶性成分内に隔離されている。酸可溶性成分は、環境のpHに応じて医薬品有効成分の放出に影響を及ぼしうる。この環境のpHは、摂取された医薬組成物の量に応じて緩衝成分及び/又は制酸成分によって上昇したり又は維持されたりする。医薬組成物が適切な投与量で摂取された
場合、pH緩衝成分は、胃腸のpHに影響するほど多量に存在しないので、酸可溶性成分は溶解し、医薬品有効成分を放出する。医薬組成物が過剰量で摂取された場合、pH緩衝成分は胃腸のpHを上げる量で存在するので、それによって酸可溶性成分の溶解及び医薬品有効成分の放出が防止される。
【0051】
[0055]一部の態様において、酸可溶性成分はマトリックスを形成し、乱用されやすい薬物の実質的部分はマトリックス内に含有される。一部の態様において、酸可溶性成分は、炭酸カルシウム、カチオン性コポリマー、又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、カチオン性コポリマーは、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートの一つ又は複数を含む。
【0052】
[0056]一部の態様において、酸可溶性成分は、医薬組成物の約1wt%~約40wt%、約5wt%~約50wt%、約7.5wt%~約65wt%、約10wt%~約75wt%、又は約25wt%~約95wt%の量で存在する。
【0053】
[0057]一部の態様において、酸可溶性成分は、医薬組成物中に医薬組成物の約1wt%~約50wt%、約1wt%~約48wt%、約1wt%~約46wt%、約1wt%~約44wt%、約1wt%~約42wt%、約1wt%~約40wt%、約2wt%~約38wt%、約4wt%~約36wt%、約6wt%~約34wt%、約8wt%~約32wt%、約10wt%~約30wt%、約12wt%~約28wt%、約14wt%~約26wt%、約16wt%~約24wt%、約18wt%~約22wt%、約1wt%、約2wt%、約4wt%、約6wt%、約8wt%、約10wt%、約12wt%、約14wt%、約16wt%、約18wt%、約20wt%、約22wt%、約24wt%、約26wt%、約28wt%、約30wt%、約32wt%、約34wt%、約36wt%、約38wt%、約40wt%、約42wt%、約44wt%、約46wt%、約48wt%、又は約50wt%の量で含まれる。
【0054】
[0058]一部の態様において、本発明の組成物は、酸可溶性成分を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.9%の量で含む。
【0055】
[0059]適切な酸可溶性成分の例は、炭酸カルシウム、キトサン、ポリメタクリレートなどのポリマー及びコポリマー、例えば、Eudragit(登録商標)(ジメチルアミノエチルメタクリレートを官能基として有するカチオン性ポリマー)などである。
【0056】
緩衝成分及び/又は制酸成分
[0060]一部の態様において、本発明の医薬組成物は、一つ又は複数の緩衝成分及び/又は制酸成分を含む。そのような成分は、医薬組成物が不適切な量、及び/又は通常の治療的使用のために典型的に処方される量より多い量で消費された場合、胃のpHを上昇させ
ることができる。一部の態様において、そのような成分は、医薬組成物が不適切な量、及び/又は通常の治療的使用のために典型的に処方される量より多い量で消費された場合、胃のpHを約4より高いpHに迅速かつ持続的に上昇させることができる。
【0057】
[0061]適切な緩衝成分(例えば、第一の緩衝成分、第二の緩衝成分、又は第一及び第二両方の緩衝成分)及び/又は制酸成分の例は、これらに限定されないが、水酸化アルミニウム、アルミン酸ビスマス、炭酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、ジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウム、グリシン、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、及びリン酸三カルシウムなどである。
【0058】
[0062]一部の態様において、緩衝成分(例えば、第一の緩衝成分、第二の緩衝成分、又は第一及び第二両方の緩衝成分)は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はこれらの組合せを含む。一部の態様において、緩衝成分は、医薬組成物の約25wt%~約65wt%、約35wt%~約75wt%、約45wt%~約95wt%、約50wt%~約90wt%、又は約55wt%~約75wt%の量で存在する。
【0059】
[0063]一部の態様において、緩衝成分(例えば、第一の緩衝成分、第二の緩衝成分、又は第一及び第二両方の緩衝成分)及び/又は制酸成分は、医薬組成物が適切な治療量で摂取された場合は胃のpHに影響しないような量、しかし医薬組成物が過剰量、例えば通常の治療的使用のために典型的に処方される量より多い量で摂取された場合は胃のpHを上昇させるような量で含まれうる。一部の態様において、適切な治療量とは1又は2個の錠剤又は用量を指すが、過剰量とは3個以上の錠剤又は用量を指す。一部の態様において、緩衝成分及び/又は制酸成分は、医薬組成物中に医薬組成物の約45wt%~約95wt%、約50wt%~約90wt%、約55wt%~約85wt%、約60wt%~約80wt%、約65wt%~約75wt%、約45wt%、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%、約90wt%、又は約95wt%の量で含まれる。
【0060】
[0064]一部の態様において、本発明の組成物は、緩衝成分(例えば、第一の緩衝成分、第二の緩衝成分、又は第一及び第二の緩衝成分のそれぞれ)及び/又は制酸成分を、医薬組成物の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.9重量%の量で含む。
【0061】
[0065]一部の態様においては、一つの成分が、酸可溶性成分としても、緩衝成分(例えば、第一の緩衝成分、第二の緩衝成分、又は第一及び第二両方の緩衝成分)及び/又は制
酸成分としても作用することができる。そのような適切な成分の例は、炭酸カルシウム、二及び三塩基性リン酸カルシウム、及び水酸化マグネシウムなどである。
【0062】
[0066]一部の態様において、本発明の医薬組成物は、さらに遅延放出緩衝成分も含む。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は第二の緩衝成分を含む。一部の態様において、第二の緩衝成分は第一の緩衝成分と同じ化学組成を有するが、他の態様においては、第二の緩衝成分は第一の緩衝成分とは異なる化学組成を有する。遅延放出緩衝成分は、胃によって容易に放出されない緩衝成分の予備貯留槽(back-up reservoir)を提供するための設
計されうる。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、第一の緩衝成分(即時放出緩衝成分)とは異なり、意図される用量(すなわち1又は2錠)の摂取後、胃環境で不溶性である。例えば、一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、下記のいずれか一つ又は複数の様式で作用するように設計できる。すなわち、微粉化又は可溶化された即時放出緩衝剤のように胃によって容易に放出されないように投与後一定時間の間、固体の形態、形状、及び/又は粒径を維持する;又は意図される用量(すなわち1又は2錠)の摂取後の胃のような酸性環境中では無傷のままで、過剰用量(すなわち3錠以上)の摂取後の胃のように中性の胃環境中で放出されるようにする。
【0063】
[0067]一部の態様において、遅延放出緩衝成分は固体の形態である。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は中性の胃環境中(例えばpH5未満)で、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも90分間、又は少なくとも120分間、固形のままである。
【0064】
[0068]一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、250μm以上、約250μm~約1.2mm、又は約400μmの平均粒径を有する。一部の態様において、第二の緩衝成分(例えば遅延緩衝成分)は、中性の胃環境中で(例えば>pH5)その少なくとも250μm、約250μm~約1.2mm、又は約400μmの平均粒径を維持する。
【0065】
[0069]一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、5以下、4.5以下、4以下、約1~約5、約1~約4.5、約1~約4、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、又は約5のpHで不溶性である。一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、5以上、5.5以上、6以上、約5~約14、約5~約12、約6~約12、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5、又は約14のpHで可溶性である。
【0066】
[0070]一部の態様において、遅延放出緩衝成分は腸溶剤を含む。腸溶剤は、5以上、5.5以上、6以上、約5~約14、約5~約12、約6~約12、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5、又は約14のpHで可溶性である。適切な腸溶剤の例は、これらに限定されないが、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、セラック、及びゼインの一つ又は複数などである。
【0067】
[0071]一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、コアと、コアを取り囲む又は実質的に取り囲むシェルを含む。一部の態様において、シェルは、遅延放出緩衝成分の腸溶剤を含む。一部の態様において、コアは、遅延放出緩衝成分の第二の緩衝成分を含む。
【0068】
[0072]一部の態様において、遅延放出緩衝成分はさらにサブコーティングを含む。サブコーティングは、コア内の材料、例えばコア内の第二の緩衝成分に徐放性を提供しうる。サブコーティングのための適切な材料は、これらに限定されないが、コポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポビドン、及びそれらの混合物などである。一部の態様において、サブコーティングは腸溶剤を第二の緩衝成分から分離するために使用される。腸溶剤を含むシェルと第二の緩衝成分を含むコアとを含む一定の態様において、サブコーティングはシェルとコアを分離できる。
【0069】
[0073]一部の態様において、第二の緩衝成分は複数の粒子を含む。他の態様において、第二の緩衝成分は複数の顆粒を含む。さらに他の態様において、第二の緩衝成分は錠剤を含む。
【0070】
[0074]一部の態様において、酸可溶性成分(例えば第二の酸可溶性成分)は、第二の緩衝成分を散在させているか、被覆しているか、取り囲んでいるか、又は実質的に被覆もしくは実質的に取り囲んでいる。第二の緩衝成分を含むコアを含む一部の態様において、コアはさらに酸可溶性成分(例えば第二の酸可溶性成分)を含みうる。そのような酸可溶性成分(例えば第二の酸可溶性成分)は、第二の緩衝成分の完全放出を、第一の酸可溶性成分が医薬品有効成分の放出を遅延させるのと同様に遅延させることができる。例えば、酸可溶性成分(例えば第二の酸可溶性成分)は、第一の緩衝成分が胃環境を通過するまで及び/又は胃酸分泌がpHを再度酸性条件、例えば約5未満、約4.5未満、約4未満などに下げるまで、第二の緩衝成分の放出を遅延させることができる。一部の態様において、酸可溶性成分(例えば第二の酸可溶性成分)は、中性又は酸可溶性ポリマーである。適切な中性又は酸可溶性ポリマーは、これらに限定されないが、メタクリレートコポリマー、例えばアミノメタクリレートコポリマー(Eudragit RS及びRL)、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(Eudragit E)、エチルセルロース、及びエチルアクリレート-メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit NE)などである。
【0071】
胃内容排出時間延長成分
[0075]一部の態様において、胃内容排出時間の延長(すなわち、剤形の成分が小腸に移動する前に胃に滞留する時間を延長すること)を自己調節乱用抑止性剤形と結び付けると、剤形の乱用抑止特性を相乗的に改良することが見出された。
【0072】
[0076]一般的に、胃内容排出時間の延長に適切な任意の成分が本発明の組成物及び方法に使用できる。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドでありうる。一般に、デンプンなどの多糖、植物又は動物脂肪などの脂肪、及び植物又は動物タンパク質などのタンパク質を含め、ほとんどの食品は胃内容排出時間を延長させるための成分として適切である。
【0073】
[0077]胃内容排出時間の延長に有用な成分は、胃内容排出時間延長剤として作用することが知られている任意の薬物又は活性成分でもよい。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、及び/又は胃不全麻痺誘発薬でありうる。
【0074】
[0078]一部の態様において、胃内容排出時間の延長に有用な成分は、空腹時筋電性運動サイクル(interdigestive myoelectric motor cycle,IMMC)のハウスキーピング波(強く頻繁な収縮)の開始を遅らせる物質でありうる。ハウスキーピング波の開始を遅ら
せ、好ましくは対象に対して何の実質的全身作用ももたらさない量で剤形から局所送達される薬剤の例は、例えば、プロパンテリンなどの抗コリン作用薬、及び、これらに限定されないが、メチルセルロース、グアガム、トリグリセリドエステル、例えばミリスチン酸トリエタノール(triethanol myristate)などの脂肪、10~15個の炭素原子の脂肪酸などのその他の薬剤である。
【0075】
[0079]一部の態様において、本発明は、剤形が乱用された場合に、Cmaxを低減させる及び/又はCmaxの開始を1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60分遅らせるのに足る量の胃内容排出時間延長成分を含む。一態様において、このようなことが起こるのは3個以上の剤形が同時又はほぼ同時に消費された場合である。
【0076】
[0080]一部の態様において、本発明の組成物は、組成物又は最終剤形の重量パーセントで、約1%~約15%、約2.5%~約25%、約5%~約35%、約7.5%~約45%、約10%~約50%、約12.5%~約60%、約15%~約65%、約17.5%~約70%、約20%~約75%、約22.5%~約80%、約25%~約90%、約35%~約95%、約50%~約99%、又は約75%~約99.9%の胃内容排出時間延長成分を含む。
【0077】
[0081]一部の態様において、本発明の組成物は、組成物又は最終剤形の重量パーセント量で、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.9%の胃内容排出時間延長成分を含む。
【0078】
胃酸生成低減成分
[0082]一般的に、胃酸生成の低減に適切な任意の成分が本発明の組成物及び方法に使用できる。一部の態様において、胃酸の生成を低減するための成分は、ヒスタミン2受容体(H2)アンタゴニストでありうる。一部の態様において、H2アンタゴニストは、ニザチジン、ファモチジン、ラニチジン、及びシメチジンの一つ又は複数である。一部の態様において、胃酸の生成を低減するための成分はプロトンポンプ阻害薬でありうる。一部の態様において、プロトンポンプ阻害薬は、イラプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、デクスランソプラゾール、ランソプラゾール、及びオメプラゾールの一つ又は複数である。
【0079】
[0083]一部の態様において、本発明の医薬組成物は、胃酸の生成を低減する一つ又は複数の成分(すなわち胃酸分泌阻害薬)を含む。一部の態様において、胃酸生成低減成分を含めると、剤形の乱用抑止特性が相乗的に改良される。一部の態様において、胃酸生成低減成分は、意図された用量(例えば1又は2錠)摂取された場合には治療量以下の量で存在するが、意図された用量より多く(例えば3錠以上、例えば4、5、6、7、又は8錠)摂取された場合には治療量で存在する。本発明の一部の態様の医薬組成物が意図された
用量より多く摂取された場合に提供されるような胃酸分泌阻害薬の治療用量は、胃の再酸性化までの時間を遅らせることができる。
【0080】
[0084]一部の態様において、胃酸の生成を低減する成分は、シェルによって取り囲まれている又は実質的に取り囲まれているコア内にある。一部の態様において、シェルは腸溶剤を含む。腸溶剤は、5以上、5.5以上、6以上、約5~約14、約5~約12、約6~約12、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5、又は約14のpHで可溶性の材料でありうる。適切な腸溶剤の例は、これらに限定されないが、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、セラック、及びゼインの一つ又は複数などである。
【0081】
[0085]一部の態様において、胃酸の生成を低減する一つ又は複数の成分を含めることにより、酸の低減が、投与後約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、又は約45分で引き起こされる。
【0082】
[0086]一部の態様において、本発明の組成物は、組成物又は最終剤形の重量パーセントで、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.5%、約0.01%~約0.1%、約0.01%~約0.05%、約0.05%~約1%、約0.05%~約0.5%、約0.05%~約0.1%、約1%~約15%、約2.5%~約25%、約5%~約35%、約7.5%~約45%、約10%~約50%、約12.5%~約60%、約15%~約65%、約17.5%~約70%、約20%~約75%、約22.5%~約80%、約25%~約90%、約35%~約95%、約50%~約99%、又は約75%~約99.9%の胃酸生成低減成分を含む。
【0083】
[0087]一部の態様において、本発明の組成物は、組成物又は最終剤形の重量パーセント量で、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.9%の胃酸生成低減成分を含む。
【0084】
追加成分
[0088]本発明は、任意に、本発明の医薬組成物から剤形への製造を増進するための及び/又は本発明の医薬組成物を含む剤形の放出プロフィールを変更するためのその他の成分
を含むこともできる。
【0085】
[0089]本発明の一部の態様は、一つ又は複数の薬学的に許容可能な充填剤/希釈剤を含む。一態様において、Avicel PH(微結晶セルロース)は製剤に使用される充填剤である。Avicel PHは、20~約200μm、好ましくは約100μmの範囲の平均粒径を有しうる。密度は1.512~1.668g/cm3の範囲である。Avicel PHは約36,000の分子量を有するはずである。Avicel PHの有効性は、製剤の固体ベースの重量で約10~65パーセントの量で存在する場合に最適である。典型的な充填剤は、全組成物の乾燥重量を基にして10~65重量パーセントの量で存在しうる。他の成分は、糖及び/又はポリオールなどでありうる。約20~約400ミクロンの粒径及び約0.3~約0.9g/mlの密度を有するラクトースも含めることができる。
【0086】
[0090]本発明の一部の態様において、充填剤は、製剤内の材料に凝集性を付与するだけでなく、直接圧縮(打錠)法に容認可能な製剤重量を達成するために直接圧縮可能製剤(下記)のバルク重量も増大できるという点で結合剤としても機能する。一部の態様において、追加の充填剤は、選択された結合剤と同レベルの凝集性を提供する必要はないが、製剤の均一性に寄与できるほか、ひとたびブレンドされた製剤を分離しにくくすることもできる。さらに、好適な充填剤は組成物の流動性又は形成された錠剤の溶解プロフィールに悪影響を及ぼさない。
【0087】
[0091]一態様において、本発明は、一つ又は複数の薬学的に許容可能な崩壊剤を含むことができる。そのような崩壊剤は当業者には公知である。本発明において、崩壊剤は、これらに限定されないが、約104ミクロンの粒径と約0.756g/mlの密度を有するデンプングリコール酸ナトリウム(Explotab(登録商標))、約2~32ミクロンの粒径と約0.462g/mlの密度を有するデンプン(例えばStarch 21)、約400ミクロンの粒径と約1.22g/mlの密度を有するCrospovidone(登録商標)、及び約37~約73.7ミクロンの粒径と約0.529g/mlの密度を有するクロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)などでありうる。選択された崩壊剤は、製剤の圧縮性、流動性及び均一性に寄与すべきである。さらに、崩壊剤は、分離を最小限に抑え、製剤に即時放出プロフィールを提供することもできる。一部の態様において、崩壊剤は、直接圧縮可能製剤の固体を基にして約2~約25重量パーセントの量で存在する。さらに、製剤に添加される制酸剤も、錠剤が低pH環境に導入された場合、制酸成分の泡立ちを通じて錠剤崩壊を補助できるので、追加の崩壊剤の必要性をおそらくは低減する。
【0088】
[0092]一態様において、本発明は、一つ又は複数の薬学的に許容可能な流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素(これに限定されない)を含むことができる。一態様において、約0.029~約0.040g/mlの密度を有するコロイド状二酸化ケイ素(Cab-O-Sil(登録商標))は製剤の流動特性を改良するために使用できる。そのような流動促進剤は、固体ベースで製剤の約0.1~約1重量パーセントの量で供給できる。しかしながら、本発明に基づくと、コロイド状二酸化ケイ素は一つの特別な流動促進剤ではあるが、同様の性質を有する公知の又は開発中のその他の流動促進剤も、それらが製剤中の他の賦形剤及び活性成分と適合性があり、製剤の流動性、均一性及び圧縮性に著しく影響しなければ使用できることは理解されるであろう。
【0089】
[0093]一態様において、本発明は、一つ又は複数の薬学的に許容可能な滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム(これに限定されない)を含むことができる。一態様において、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムは、約450~約550ミクロンの粒径と約1.00~約1.80g/mlの密度を有する。一態様において、滑沢剤、例えばステア
リン酸マグネシウムは、圧縮(打錠)中にダイ壁と本発明の医薬組成物との間の摩擦の低減に寄与でき、錠剤も取り出しやすくするので、加工を促進できる。一部の態様において、滑沢剤は、パンチとダイに接着しにくくする、及び/又は粉末のホッパー及び/又はダイへの流動も補助する。本発明の態様においては、約5~約50ミクロンの粒径と約0.1~約1.1g/mlの密度を有する滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムが医薬組成物に使用される。一定の態様において、滑沢剤は、固体ベースで製剤の約0.1~約2重量パーセントを構成すべきである。適切な滑沢剤は安定で、ひとたび混合されたら製剤内で重合しない。許容可能な又は同等の性質を示す当該技術分野で公知の又は開発中のその他の滑沢剤は、ステアリン酸、水素化油、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、及びLubritab(登録商標)などである。
【0090】
剤形の機能性
[0094]本明細書中に記載されているように、本発明の医薬製剤は、過剰用量の医薬品有効成分の放出とその後の吸収を緩徐化又は遮断するように製剤化できる。一部の態様において、医薬製剤は、pH調節特性及び/又はpH依存性溶解特性を持つように設計することができる。pH調節特性は、医薬組成物が適切な投与量で摂取されたか又は過剰に摂取されたかに基づいて胃環境のpHを調節することにより、活性成分の放出及び/又は吸収に影響を及ぼすことができる。pH調節特性は、医薬組成物に一つ又は複数の緩衝成分及び/又は制酸成分を含めることによって提供できる。pH依存性溶解特性は、胃環境のpHに応じて医薬品有効成分を抑制又は放出することにより、活性成分の放出及び/又は吸収に影響を及ぼすことができる。pH依存性溶解特性は、医薬組成物に一つ又は複数の酸可溶性成分を含めることによって提供できる。
【0091】
[0095]一部の態様において、医薬組成物は、組成物が適切な量で摂取された場合、pH調節特性は最小限の影響しか及ぼさない(すなわち胃環境のpHは実質的に調節されない又は望ましいレベルに維持される)ように、そしてpH依存性溶解特性も最小限の影響しか及ぼさない(すなわち医薬品有効成分は放出される)ように製剤化できるので、活性成分の放出及び/又は吸収が可能になる。しかしながら、医薬組成物が過剰に摂取された場合、一部の態様において、組成物は、pH調節特性が最大の影響を及ぼす(すなわち胃環境のpHを上昇させる)ように、そしてpH依存性溶解特性も最大の影響を及ぼす(すなわち酸溶成分は可溶でないので溶解しない)ように製剤化されるので、活性成分の放出及び/又は吸収が阻止される。
【0092】
[0096]マトリックスからの薬物の放出は、次に医薬組成物摂取時のマトリックスを取り巻くその時のpH環境によって制御されうる。低pH環境(すなわちpH1~4)では、マトリックスは溶解しやすいので薬物を迅速に放出するが、高pH環境(すなわちpH>4)では、マトリックスは不溶性になりやすいので薬物の放出は遅延され、おそらくは不完全であることにより、吸収される薬物のレベルは減退する。
【0093】
[0097]一部の態様において、一投与量単位について、所要量の酸可溶性薬物マトリックスはさらに緩衝成分及び/又は制酸成分と混合されるが、その量は、一用量単位が摂取された場合、緩衝成分及び/又は制酸成分が胃のpHをpH1~4の範囲に留める点まで胃のpHを中和するような十分量である。酸可溶性薬物マトリックス/制酸剤/緩衝剤のブレンドは、錠剤又はカプセルなどの経口固体剤形に形成できるが、前記剤形に限定されない。
【0094】
[0098]その結果、医薬組成物は、通常の投与条件下(すなわち1又は2錠)では、単一用量が摂取された場合、緩衝成分及び/又は制酸成分が胃酸の一部を中和するが、胃の酸性度はpH1~4の範囲に留まるようなpH調節特性及びpH依存性溶解特性を持つように製剤化できる。これらの条件下では、酸可溶性薬物マトリックスは酸性の胃環境中で可
溶性であるので、薬物は胃に迅速に放出され、血流に吸収されうる。
【0095】
[0099]過剰用量が摂取される条件下(例えば3錠以上)では、過剰摂取による緩衝成分及び/又は制酸成分の量が今度は胃のpHを迅速かつ持続的に上昇させる(例えばpH>4)のに十分でありうる。従って、酸可溶性薬物マトリックスは高pHの胃環境では溶解されにくくなり、マトリックスからの薬物放出が抑制されうる。
【0096】
[00100]一部の態様において、酸可溶性マトリックスからの薬物の抑制は、生物学的に
制御された高pH環境(すなわちpH5.5~8)を有する腸及び下部消化管に酸可溶性マトリックス粒子を移動させうる胃腸通過によってさらに支援される。
【0097】
[00101]一部の態様において、過剰摂取による薬物放出の総体的抑制は、通常の胃pH
(すなわちpH1~4)で薬物を放出する等量の経口用量と比べた場合、Tmaxの増加及び/又はCmaxの減少を有する薬物動態プロフィールをもたらす。
【0098】
[00102]一部の態様において、胃酸生成を低減する成分は胃の再酸性化までの時間を遅
延させるので、胃環境の高pHが延長され、過剰摂取(すなわち3個以上の用量又は錠剤)の場合の活性薬放出の抑制が増強される。
【0099】
[00103]一部の態様において、胃酸を低減する成分は、周囲媒質(例えば胃環境)のp
Hが高くなるまで、例えば約4より高く、約4.5より高く、約5より高くなるまで医薬組成物から放出されない。そのように高いpHになると、胃酸を低減する成分と接触している又は該成分をコーティングしている構成成分が溶解する。
【0100】
[00104]一部の態様において、第二の緩衝成分は、周囲媒質(例えば胃環境)のpHが
高くなるまで、例えば約4より高く、約4.5より高く、約5より高くなるまで遅延放出緩衝成分から放出されない。そのように高いpHになると、遅延放出緩衝成分の腸溶剤が溶解する。一部の態様において、第二の緩衝成分の放出は、本明細書中で前述したように、酸可溶性成分を含めることによりさらに遅延できる。
【0101】
[00105]一部の態様において、遅延放出緩衝成分は、胃環境の高いpHが維持される時
間を延長することにより、過剰摂取(すなわち3個以上の用量又は錠剤)の場合の活性薬放出の抑制を延長する。一部の態様において、本発明は、酸可溶性成分、医薬品有効成分、第一の緩衝成分、胃酸生成を低減するための成分、及び第二の緩衝成分と腸溶剤を含む遅延放出緩衝成分を含む剤形に関する。一部のそのような態様において、遅延放出緩衝成分は、胃酸生成を低減するための成分が十分な又は最大の血漿中濃度に達するのに足る時間、再酸性化を防止する役割を果たす。例えば、一部の態様において、第一の緩衝成分と、第二の緩衝成分及び腸溶剤を含む遅延放出緩衝成分との組合せは、胃環境の再酸性化を1時間より長く、2時間より長く、又は3時間より長く防止する。一部の態様において、第一の緩衝成分と、第二の緩衝成分及び腸溶剤を含む遅延放出緩衝成分との組合せは、第一の緩衝成分単独よりも長時間にわたり胃の再酸性化を防止する。
【0102】
製造法
[00106]一部の態様において、医薬組成物は、医薬品有効成分を酸可溶性成分と任意の
適切な方法によって均質混合することにより製造できる。一態様において、方法は乾式又は湿式造粒法である。一部の態様において、粒子マトリックスが粒子(particulate)又は
顆粒(granular)形で形成される。別の態様において、方法はホットメルト押出である。理論に拘束されることは望まないが、ホットメルト押出の方が、混合又はその他の複合材料形成法よりも、本発明で使用される二つ以上の構成成分間のより緊密接触を提供できる。
【0103】
[00107]本発明の医薬組成物を含む圧縮錠は、直接圧縮錠剤又は非直接圧縮錠剤であり
うる。一態様において、本発明の剤形は、湿式造粒法、及び乾式造粒法によって製造できる(例えばスラッグ法又はローラー圧縮法)。製造法及び賦形剤の種類は、錠剤の迅速圧縮を可能にする望ましい物理的特性を錠剤に付与するように選ばれる。圧縮後、錠剤は、外観、硬度、崩壊能力、及び容認可能な溶解プロフィールなどのいくつかの追加属性を持たねばならない。
【0104】
[00108]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、
及び胃内容排出時間延長成分を含む乱用抑止性医薬組成物を含む剤形に関し、該剤形は食品バー又は飲料である。本発明の適切な製剤及び剤形は、本発明の医薬組成物から製造された散剤、カプレット、ピル、坐剤、ゲル、軟質ゼラチンカプセル、カプセル及び圧縮錠剤などであるが、これらに限定されない。剤形は、専門家のニーズに応じて規則形又は不規則形を含む任意の形状でよい。
【0105】
[00109]充填剤及びその他の賦形剤の選択は、典型的には、薬物の化学的及び物理的性
質、加工中の混合物の挙動、及び最終錠剤の性質に依存する。そのようなパラメーターの調整は関連分野の技術者の一般的理解の範囲内であると理解される。適切な充填剤及び賦形剤については上でより詳細に記載されている。
【0106】
[00110]様々な制御放出剤形を含む剤形、及び/又は乱用抑止性医薬組成物の製造法、
及び一つ又は複数の層の組込みは、当該技術分野で公知であり、例えば、米国特許第9,522,119号、米国特許出願公開第2009023288号、及び20060210633号、そして国際特許出願公開第WO2014059512号、WO2016023108号、WO2007072495号、WO2005101983号、WO2003011255号、WO2005039481号、及びWO2006123364号に記載されており、それらの内容は引用によってそれらの全文を本明細書に援用する。
【0107】
[00111]一つ又は複数の構成成分は、ある種の構成成分に関して本明細書中に記載した
通り、層又は“コア-シェル”タイプの配置中に存在しうる。
[00112]一部の態様において、一つ又は複数の成分又は粒子、顆粒又は層は、米国特許
出願公開第20120202839号(引用によってその全文を本明細書に援用する)に記載されているように隔離できる。薬学的活性成分、酸可溶性成分、及び緩衝成分の即時放出単位用量を含む乱用抑止性医薬組成物は、米国特許第9,101,636号(引用によってその全文を本明細書に援用する)に記載されている。
【0108】
[00113]本発明は、即時放出製剤、及び制御薬物放出製剤を製造するのに使用できる。
制御放出製剤は、遅延放出、2峰性及び3峰性放出、延長及び持続放出の経口固体投与製剤を含みうる。
【0109】
使用法
[00114]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治
療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間延長成分を含む乱用抑止性医薬組成物を投与することを含む。
【0110】
[00115]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治
療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時間延長成分を含む乱用抑止性医薬組成物を含む剤形を投与することを含み、該剤形は食品バー又は飲料である。
【0111】
[00116]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治
療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、及び緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物と、胃内容排出時間を延長するための成分を含む胃内容排出時間を延長するための組成物とを投与することを含む。一部の態様において、乱用抑止性医薬組成物は、胃内容排出時間を延長するための組成物の前、胃内容排出時間を延長するための組成物の後、又は胃内容排出時間を延長するための組成物と同時に投与される。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドである。一部の態様において、胃内容排出時間を延長するための成分は、ロペラミド、ジフェノキシレート、アトロピン、ジフェノキシン、抗コリン作用薬、抗うつ薬、オピオイド、止瀉薬、又は胃不全麻痺誘発薬である。
【0112】
[00117]一態様において、本発明は、乱用されやすい薬物によって緩和される疾患の治
療法に関し、該方法は、それを必要とする対象に、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、及び緩衝成分を含む乱用抑止性医薬組成物と、胃内容排出時間を延長するための成分を含む胃内容排出時間を延長するための組成物を含む剤形とを投与することを含み、該剤形は食品バー又は飲料である。
【0113】
[00118]使用法は、乱用されやすい薬物、酸可溶性成分、緩衝成分、及び胃内容排出時
間を延長及び/又は胃滞留時間を延長するための成分を含む医薬組成物の乱用を抑止する方法も含み、該方法は、推奨又は処方されたより多くの用量単位の組成物を摂取した対象における胃内容排出時間を延長及び/又は胃滞留時間を延長することを含む。
【0114】
[00119]一部の態様において、本発明の特徴を含まない組成物又は剤形と比べて、胃内
容排出時間は、対象において、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約1時間、約1.25時間、約1.5時間、約1.75時間、約2時間、約2.5時間、又は約3時間延長できる。
【0115】
[00120]同様に、本発明の特徴を含まない組成物又は剤形と比べて、一部の態様におい
て、胃内容排出時間又は滞留時間は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約175%、又は約200%延長できる。
【0116】
[00121]乱用を抑止する方法は、摂取された薬物が、推奨又は処方されたより多くの用
量単位(例えば3、4、5、6、7、8など、又はそれより多い用量単位)の組成物を摂取した対象において本発明の組成物の一部であるとき、その薬物のある一定割合の胃滞留時間の延長も含みうる。
【0117】
[00122]一部の態様において、本発明の特徴を含まない組成物又は剤形と比べて、胃滞
留時間は、一時に摂取された薬物の全量の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、
約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99.9%に対して延長できる。
【0118】
[00123]一部の態様において、本発明の特徴を含まない組成物又は剤形と比べて、胃滞
留時間は、一時に摂取された薬物の全量のある一定割合に対して、約5分、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約1時間、約1.25時間、約1.5時間、約1.75時間、約2時間、約2.5時間、又は約3時間延長できる。
【0119】
[00124]一部の態様において、本発明の特徴を含まない組成物又は剤形と比べて、胃滞
留時間は、一時に摂取された薬物の全量のある一定割合に対して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約175%、又は約200%延長できる。
【0120】
[00125]本発明の一定の側面は、以下の実施例によって示されている通り、より良く理
解できるであろう。これらの実施例は例示のためのものであって、制限を意図したものではない。
【実施例0121】
実施例1:自己調節製剤の限界
[00126]臨床研究AP-LTX-400(研究400)として、二つのプロトタイプの
ヒドロモルフォンHCL 2mg製剤:LTX-04S及びLTX-04Pを使用した。どちらも同じミクロ粒子製剤であったが、緩衝剤の量が異なっていた(それぞれ5及び9mEq緩衝能)。研究400は二つの連続コホートのために設計された。コホート1では、二つの試験製剤を、参照製品すなわちDilaudid(登録商標)錠剤2mgに対して1、2、及び3錠で比較した。コホート2では、LTX-04P試験製剤を、参照製品に対して過剰経口消費を表す4、6、及び8錠で試験及び比較した。
【0122】
[00127]コホート1では、ミクロ粒子はヒドロモルフォンを意図したレベルまで十分に
放出しなかったことが認められた。また、3錠のLTX-04Pの場合、単一用量のLTX-04Pと比べて、ピーク血漿中薬物濃度(Cmax)におよそ20%の低減が達成されたことも観察された。さらに、3錠のLTX-04P(27mEq緩衝剤)は、3錠のLTX-04S(15mEq緩衝剤)と比べて、ピーク血漿中薬物濃度(Cmax)に28%の低減を示したことも観察され、閾値緩衝剤濃度が達成されてピーク薬物濃度の意図的低減が促進されたことを示していた。対象のインビボpHモニタリングでは、3錠のLTX-04P錠剤は、投与の数分以内に胃のpHを迅速にpH4より上に上げ、およそ30分後にベースラインの低pHに下げたが、3錠のLTX-04Sは同じ時間経過でpH3よりあまり上には上げなかったことが示された。
【0123】
[00128]研究400のコホート2では、LTX-04P錠剤を参照製品と4、6、及び
8錠の用量で比較した。コホート1の3錠のLTX-04P錠剤の場合と同様、単一用量のLTX-04Pと比べて、4、6、及び8錠でもピーク血漿中薬物濃度におよそ20%の低減が見られた。これらの結果は、インビトロにおける多錠酸蝕分析(multi-tablet acid challenge analysis)では錠剤数の増加に伴って薬物放出の漸減が示されていたので、
予期せぬことであった。例えば、8錠の場合、1錠の薬物放出が1時間で100%であるのと比べて、1時間後のインビトロ放出はおよそ70%の減少をもたらした。しかしながら、8錠の場合のCmaxのインビボ低減は、胃環境に対して2.7倍大きい緩衝能が導入されたにも拘わらず、3錠の場合とほぼ同じであった。
【0124】
実施例2:延長された胃内容排出時間を有する自己調節製剤
[00129]自己調節製剤による延長された胃内容排出時間の相乗効果を示すために、研究
AP-LTX-401で、自己調節ヒドロモルフォンHCl 2mg製剤LTX-04P3のヒト薬物動態を胃内容排出時間延長モデルで比較した。第一の13人の被験者群には7錠のLTX-04P3錠剤を240mLの水と共に投与した。第二の15人の被験者群には7錠のLTX-04P3錠剤を胃内容排出時間を延長することが知られている溶液である水中20%w/vグルコース240mLと共に投与した。30人の対照群には7錠のジェネリックヒドロモルフォンHCl、2mgを240mLの水と共に投与した。
【0125】
[00130]グルコースと7錠のLTX-04P3の共投与により、ピーク血漿中ヒドロモ
ルフォン濃度までの幾何平均時間(T
max)は、水と共に摂取されたLTX-04P3のT
maxが1.22時間であるのに対して2.05時間と、顕著な増加が示されている(
図1)。これは、グルコースなしの被験者と比べて、グルコース処置された被験者の場合、T
maxが168%増加したことを表している。グルコースが胃内容排出を遅延させた(胃滞留を延長した)ので、自己調節緩衝成分がより長時間胃に滞留し、薬物の放出の遅延を増強した(自己調節の有効性を改良した)。
【0126】
[00131]胃滞留延長の効果は、幾何平均ピークヒドロモルフォン血漿中濃度(C
max
)を低減させる自己調節製剤の能力に悪影響を及ぼさなかった。グルコース媒介LTX-04P3錠剤のC
maxは、水と共投与されたLTX-04P3と同様、ジェネリックのヒドロモルフォンと比べてC
maxの低減を提供するその能力を保持していた(
図2に示されている通り)。
【0127】
実施例3:例示的な製剤及び方法
[00132]酸可溶性顆粒を製造するための製剤及び方法の例は次の通りである。
[00133]酸可溶性顆粒
【0128】
【0129】
[00134]酸可溶性顆粒の製造法:
[00135]1.オキシコドンとEudragit Eを均一にブレンドする;
[00136]2.ブレンドを160℃でホットメルト押出し;押出材料を回収する;
[00137]3.オキシコドン-Eudragit E押出物を振動造粒機によりサイジン
グし;ふるい分けされた顆粒(<600μm)を回収する;
[00138]胃酸低減剤を含む遅延放出緩衝成分を製造するための製剤及び方法の例は次の
通りである。
【0130】
[00139]胃酸低減剤を有する遅延放出緩衝成分
【0131】
【0132】
[00140]胃酸低減剤を有する遅延放出緩衝成分の製造法
[00141]1.酸化マグネシウムと微結晶セルロースを均一にブレンドする;
[00142]2.ブレンドをローラー圧縮し、振動造粒機によりサイジングする。ふるい分
けされた乾燥顆粒(>250μm)を回収する。
【0133】
[00143]3.Eudragit E POのサブコーティングA分散液を十分量の水を
用いて製造し、定常混合を維持する
[00144]4.Opadry Clear/ファモチジンのサブコーティングB溶液をま
ずOpadry Clearを十分量の水と混合することによって製造する。次にファモチジンをサブコーティングBに加え、均一に分散し、定常混合を維持する。
【0134】
[00145]5.Eudragit L 30Dの腸溶コーティング分散液を十分量の水を
用いて製造し、定常混合を維持する。
[00146]6.乾燥顆粒を流動床コーターに入れ、およそ10%のEudragit E
POサブコーティングAをボトムスプレー法により緩衝剤顆粒に適用する。適用後、Eudragit E POサブコーティングAを十分に乾燥させる。次に、同じ流動床法で、十分なOpadry Clear/ファモチジンのサブコーティングB溶液を適用し、1用量あたり2mgのファモチジンとする。適用後、Opadry Clear/ファモチジンのサブコーティングBを十分に乾燥させる。次に、同じ流動床法で、およそ10%(w/w)のEudragit L 30%分散液をサブコートA&B顆粒に適用し、完全に乾燥させる。
【0135】
[00147]7.ふるい分けされた腸溶コーティングされた遅延放出緩衝剤/胃酸低減顆粒
(>250μm)を回収する。
[00148]オキシコドン自己調節錠剤を製造するための製剤及び方法の例は次の通りであ
る。
【0136】
[00149]オキシコドン自己調節錠剤
【0137】
【0138】
[00150]オキシコドン自己調節錠剤の製造法
[00151]1.オキシコドン酸可溶性顆粒、Effersoda 12、腸溶コーティン
グされた酸化マグネシウム/ファモチジン顆粒、グリシン及びクロスポビドンを均一にブレンドする。
【0139】
[00152]2.ステアリン酸マグネシウムをブレンドに加え、さらに3分間最終ブレンド
する。
[00153]3.最終ブレンドを、修正楕円形錠剤成形型(modified oval tablet tooling)
を備えた回転式錠剤プレスに移す。錠剤を8~12kPの硬さに圧縮する。
【0140】
[00154]当業者であれば、特定の態様に示された本発明に対して、数多くの変形及び/
又は修正が、広く記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく可能であることは分かるであろう。さらに、上で引用された一つ一つの参考文献は、本明細書中で完全に示されているかのごとく引用によって本明細書に援用する。
第一の緩衝成分が、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、三塩基性リン酸ナトリウム、又はそれらの組合せを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
腸溶成分が、セラック、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒプロメロース、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウム、及びゼインの一つ又は複数を含む、請求項8~13のいずれか1項に記載の組成物。