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特開2023-22179生物兵器防衛のためのミノサイクリン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022179
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】生物兵器防衛のためのミノサイクリン化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/65 20060101AFI20230207BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61K31/65
A61P31/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188453
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2020200877の分割
【原出願日】2016-03-23
(31)【優先権主張番号】62/137,719
(32)【優先日】2015-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517334296
【氏名又は名称】パラテック ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドレイパー,マイケル,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】タナカ,エス.,ケン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被験体において細菌感染を治療もしくは予防する方法を提供する。
【解決手段】有効量の化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物A’であり、前記細菌感染は生物兵器として使用されうる細菌に起因するものであり、それにより前記被験体において前記感染が治療される、方法である。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌感染を、必要のある被験体において、治療する方法であって、該方法は、有効量の化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で前記被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物A’:
【化1】
であり、前記細菌感染は生物兵器として使用されうる細菌に起因するものであり、それにより前記被験体において前記感染が治療される、前記方法。
【請求項2】
化合物が以下の構造式を有する化合物A:
【化2】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細菌が、細菌による感染を治療するために通常使用される抗生物質に対して耐性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
細菌が粉末もしくはエアロゾルの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
細菌が芽胞を形成することができるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
細菌が:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌、
を含む一群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
細菌が:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌、
を含む一群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
細菌が:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌、
からなる一群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
細菌が:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌、
からなる一群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
細菌が、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および炭疽菌(B. anthracis)からなる一群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
化合物が、1日1回、または1日2回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
化合物が、静脈内または経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
化合物が、約50 mgから約200 mgまでの用量で静脈内投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
化合物が、約100 mgの用量で静脈内投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
化合物が、約100 mgから約300 mgまでの用量で経口投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
化合物が、約300 mgの用量で経口投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
方法が、化合物を少なくとも3日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、または少なくとも60日間投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
方法が、化合物を約30日間投与することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
方法が、負荷投与量の化合物を1回または2回以上、続いて維持投与量の化合物を1回または2回以上、被験体に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
1回または2回以上の負荷投与量が、1回または2回以上の維持投与量より多い、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
負荷投与量は静脈内であり、維持投与量は経口である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
細菌感染を、必要のある被験体において、予防する方法であって、その方法は、有効量の化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で前記被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物A’:
【化3】
であり、前記細菌感染は生物兵器として使用される可能性のある細菌に起因するものであり、それにより前記被験体において前記感染が予防される、前記方法。
【請求項24】
化合物が以下の構造式を有する化合物Aである:
【化4】
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
細菌が、細菌による感染を治療するために通常使用される抗生物質に対して耐性である、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
細菌が、粉末またはエアロゾルの形態である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
細菌が、芽胞を形成することができる、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
細菌が:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae))、サルモネラ属(Salmonella)(サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌、
を含む一群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
細菌が:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌、
を含む一群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
細菌が:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌、
からなる一群から選択される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項31】
細菌が:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌、
からなる一群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
細菌が、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および炭疽菌(B. anthracis)からなる一群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
化合物が、1日1回、または1日2回投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
化合物が、静脈内または経口投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
化合物が、約50 mgから約200 mgまでの用量で静脈内投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
化合物が、約100 mgの用量で静脈内投与される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
化合物が、約100 mgから約300 mgまでの用量で経口投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項38】
化合物が、約300 mgの用量で経口投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
方法が、化合物を少なくとも3日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、または少なくとも60日間投与することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項40】
方法が、化合物を約30日間または約60日間投与することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
方法が、負荷投与量の化合物を1回または2回以上、続いて維持投与量の化合物を1回または2回以上、被験体に投与することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項42】
1回または2回以上の負荷投与量が、1回または2回以上の維持投与量より多い、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
負荷投与量は静脈内であり、維持投与量は経口である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
被験体がヒトである、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年5月24日出願の米国仮出願第62/137,719号の優先権を主張し、その内容はすべて参考として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
【0003】
さまざまな種類の細菌、たとえば、炭疽菌(Bacillus anthracis)および多剤耐性(MDR)炭疽菌、野兎病菌(Francisella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)を含む生物剤は、兵器として使用することが可能であって、これらは、米国の国家安全保障および公衆衛生に対する物質的脅威となる。テトラサイクリン類は、抗菌薬としての臨床的有用性が証明されている。テトラサイクリン類は一群として十分に確立された安全性および有効性の証拠がある。テトラサイクリン類は、複数のルートで抗菌作用を発揮するが、これには、細菌リボソームの30Sサブユニットに結合してアミノアシルtRNAの結合を阻害することが含まれる。テトラサイクリン類はさまざまな病原体によって引き起こされる感染に対して有効であることが知られている。多くの場合、テトラサイクリン類はこうした病原体によって引き起こされる疾病の治療および予防に適用される。
【発明の概要】
【0004】
グラム陽性およびグラム陰性細菌の中でもっともよく見られるテトラサイクリン耐性機序は、リボソームの保護、および排出である。これらのメカニズムはいずれも、プラスミド、トランスポゾンおよびインテグロンなどの伝達性遺伝要素にしばしば付随して、細菌種間で容易に移動しうる。したがって、兵器として使用される可能性のあるものも含めた生物剤によって引き起こされる感染の防止、予防、および治療のために有効な抗菌薬が必要である。
【0005】
一部の実施形態において、本発明は、必要のある被験体において細菌感染を治療する方法を提供するが、その方法は、有効な量の化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物A’であって:
【0006】
【化1】
この細菌感染は、生物兵器として使用される可能性のある細菌によって引き起こされ、そうした感染が被験体において治療される。
ある実施形態において、化合物は、以下の構造式を有する化合物Aである:
【0007】
【化2】
【0008】
一部の態様において、細菌は、細菌による感染を治療するために通常使用される抗生物質に対して耐性である。特定の態様において、細菌は粉末またはエアロゾルの形をとる(の形態である)。別の特定の態様において、細菌は芽胞を形成することができる。一部の実施形態において、細菌は、芽胞として、または食品もしくは飲料水の汚染を介して、ばらまかれる可能性がある。
【0009】
ある実施形態において、細菌は下記を含む一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0010】
もう1つの実施形態において、細菌は下記を含む一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0011】
ある実施形態において、細菌は下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0012】
また別の実施形態において、細菌は下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0013】
さらに別の実施形態において、細菌は、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および炭疽菌(B. anthracis)からなる一群から選択される。
【0014】
ある実施形態において、化合物は1日1回、または1日2回投与される。
【0015】
一部の実施形態において、化合物は静脈内または経口投与される。
【0016】
ある実施形態において、化合物は約50 mgから約200 mgまでの用量で静脈内投与される。さらに他の実施形態において、化合物は約100 mgの用量で投与される。
【0017】
別の実施形態において、化合物は、約100 mgから約300 mgの用量で経口投与される。
【0018】
ある態様において、本発明の方法は、化合物、たとえば化合物A’または化合物Aを、少なくとも3日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、または少なくとも60日間投与することを含む。特定の実施形態において、その方法は、化合物を約30日間または約60日間投与することを含む。
【0019】
一部の実施形態において、方法は、負荷投与量の化合物を1回または2回以上、続いて維持投与量の化合物を1回または2回以上、被験体に投与することを含む。ある実施形態において、1回または2回以上の負荷投与量は、1回または2回以上の維持投与量より多い可能性がある。
【0020】
特定の実施形態において、負荷投与量は静脈内投与量であり、維持投与量は経口投与量である。ほかの個別の実施形態において、負荷投与量は静脈内投与量であり、維持投与量も静脈内投与量である。またほかの個別の実施形態において、負荷投与量は経口投与量であり、維持投与量も経口投与量である。
【0021】
ある実施形態において、被験体はヒトである。
【0022】
一部の実施形態において、本発明はまた、必要のある被験体において細菌感染を予防する方法を提供するが、その方法は、有効な量の化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物A’であって:
【0023】
【化3】
この細菌感染は、生物兵器として使用される可能性のある細菌によって引き起こされ、こうした感染が被験体において予防される。
【0024】
ある実施形態において、化合物は、以下の構造式を有する化合物Aである:
【0025】
【化4】
【0026】
一部の態様において、細菌は、細菌による感染を治療するために通常使用される抗生物質に対して耐性である。特定の態様において、細菌は粉末またはエアロゾルの形をとる。別の特定の態様において、細菌は芽胞を形成することができる。
【0027】
ある実施形態において、細菌は下記を含む一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae))、サルモネラ属(Salmonella)(サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0028】
もう1つの実施形態において、細菌は下記を含む一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0029】
ある実施形態において、細菌は下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0030】
また別の実施形態において、細菌は下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0031】
さらに別の実施形態において、細菌は、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および炭疽菌(B. anthracis)からなる一群から選択される。
【0032】
一部の態様において、用量は約50 mgから約200 mgまで、たとえば約75 mgから約110 mgまでである。ある態様において、用量は約100 mgである。
【0033】
ある実施形態において、化合物は1日1回、または1日2回投与される。
【0034】
またある実施形態において、化合物は静脈内または経口投与される。
【0035】
ある態様において、本発明の方法は、化合物、たとえば化合物A’または化合物Aを、少なくとも3日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、または少なくとも60日間投与することを含む。特定の実施形態において、その方法は、化合物を約30日間または約60日間投与することを含む。
【0036】
一部の実施形態において、方法は、負荷投与量の化合物を1回または2回以上、続いて維持投与量の化合物を1回または2回以上、被験体に投与することを含む。ある実施形態において、1回または2回以上の負荷投与量は、1回または2回以上の維持投与量より多い可能性がある。
【0037】
特定の実施形態において、負荷投与量は静脈内投与量であり、維持投与量は経口投与量である。ほかの個別の実施形態において、負荷投与量は静脈内投与量であり、維持投与量も静脈内投与量である。またほかの個別の実施形態において、負荷投与量は経口投与量であり、維持投与量も経口投与量である。
【0038】
ある実施形態において、被験体はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、化合物A(オマダサイクリン)、ドキシサイクリンおよびシプロフロキサシンによる処置後の、致死的ペスト菌(Y. pestis)暴露後予防(PEP)マウスモデルにおける生存率パーセントを示すグラフである。
図2図2は、化合物A(オマダサイクリン)、ドキシサイクリンおよびシプロフロキサシンによる処置後の、炭疽菌(B. anthracis)暴露後予防(PEP)マウスモデルにおける生存率パーセントを示すグラフである。
図3図3は、化合物A(オマダサイクリン)、ドキシサイクリンおよびモキシフロキサシンによる処置後の、致死的鼻疽菌(B. mallei)暴露後予防(PEP)マウスモデルにおける生存率パーセントを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
本発明は、生物兵器として使用される可能性のある、さまざまな種類の細菌による感染を治療または予防するために、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]ミノサイクリン(オマダサイクリン、OMC)が有効であるとの発見に関する。
【0041】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を治療する方法に関するものであって、その方法は有効量の化合物A’もしくはその塩を被験体に投与することを含む:
【0042】
【化5】
【0043】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を治療する方法に関するものであって、その方法は化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物A’である:
【0044】
【化6】
【0045】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を予防する方法に関するものであって、その方法は有効量の化合物A’もしくはその塩を被験体に投与することを含む:
【0046】
【化7】
【0047】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を予防する方法に関するものであって、その方法は化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物A’である:
【0048】
【化8】
【0049】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を治療する方法に関するものであって、その方法は有効量の化合物Aもしくはその塩を被験体に投与することを含む:
【0050】
【化9】
【0051】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を治療する方法に関するものであって、その方法は化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物Aである:
【0052】
【化10】
【0053】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を予防する方法に関するものであって、その方法は有効量の化合物Aもしくはその塩を被験体に投与することを含む:
【0054】
【化11】
【0055】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を予防する方法に関するものであって、その方法は化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で被験体に投与することを含み、その化合物は以下の構造式を有する化合物Aである:
【0056】
【化12】
【0057】
特定の実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において感染を治療する方法、または被験体において感染を予防する方法に関するものであって、その方法は、有効量の化合物A’または化合物Aを被験体に投与することを含み、その感染は生物兵器として使用される可能性のある細菌によって引き起こされる。
【0058】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、1つもしくは複数の特徴を有する細菌であって、その特徴としては、製造および散布が容易であること、ヒトからヒトへ伝播しやすいこと、罹患率が中程度かまたは高い可能性があること、死亡率が中程度かまたは高い可能性があること、大衆のパニックおよび社会の混乱を引き起こす可能性があること、公衆衛生面での準備に特別なアクションが必要であること、ならびに診断および疾病監視に個別の強化が必要であることが挙げられるが、それに限定されない。
【0059】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、過酷な条件も含めてさまざまな条件下で(たとえば、高温、低温、高圧、低圧、酸性もしくは塩基性条件、湿潤、乾燥、および放射線のもとで)安定であり、または生存可能である(たとえば、増殖、芽胞形成、および対象への感染といった正常な生物学的機能のすべて、または一部を行うことができる)。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、さまざまな条件下で対象に感染することができる。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、125℃、150℃、175℃、または200℃より高い温度条件下で安定であり、または生存可能である。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、25℃、20℃、10℃、5℃、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-100℃、または-150℃より低い温度条件下で安定であり、または生存可能である。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、5 x 105 Pa、10 x 105 Pa、15 x 105 Pa、20 x 105 Pa、30 x 105 Pa、40 x 105 Pa、50 x 105 Pa、75 x 105 Pa、または100 x 105 Paより高い圧力条件下で安定であり、または生存可能である。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、0.5 x 105 Pa、0.2 x 105 Pa、0.1 x 105 Pa、0.05 x 105 Pa、0.02 x 105 Pa、0.01 x 105 Pa、0.005 x 105 Pa、0.002 x 105 Pa、または0.001 x 105 Paより低い圧力条件下で安定であり、または生存可能である。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、l3.0、l3.5、または14.0より高いpH条件下で安定であり、または生存可能である。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、または0.0より低いpH条件下で安定であり、または生存可能である。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、相対湿度10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の条件下で安定であり、または生存可能である。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、遠紫外線、x線、α線、β線、またはγ線照射下で安定であり、または生存可能である。別の実施形態において、細菌は前記条件のいずれかを組み合わせて処理された後に、対象に感染することができる。
【0060】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、芽胞を形成することができる。
【0061】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、芽胞として散布することができる。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、食品もしくは飲料水の汚染を介して広がる可能性がある。さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、昆虫(たとえば、ノミ、シラミ、およびダニ)および/またはげっ歯類(マウスまたはラット)により蔓延する可能性がある。
【0062】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、空気中または液体中に放散される可能性がある。ある実施形態において、細菌はエアロゾルの形をとる(たとえば、細菌はエアロゾルとして製剤される)。別の実施形態において、細菌は粉末状である(たとえば、細菌は粉末として製剤される)。
【0063】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌として、既存の抗生物質に対して耐性を示す細菌が挙げられるが、すなわちその抗生物質とは、細菌による感染症を治療するために通例使用される抗生物質である。ある実施形態において、そのような抗生物質には、たとえば、テトラサイクリン系抗生物質および他の抗生物質があり、前者にはテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、サンサイクリン、メタサイクリン、クロルテトラサイクリン、およびデオキシテトラサイクリン、およびそれらの組み合わせが含まれ、後者にはメチシリン、オキサシリン、バンコマイシン、ペニシリン、リネゾリド、シプロフロキサシン、セフタジジム、およびアジスロマイシンが含まれるがいずれもこれらに限定されない。さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、テトラサイクリン、ミノサイクリン、および/またはドキシサイクリンに耐性を示す細菌が含まれる。
【0064】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には下記が含まれるがそれらに限定されない:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0065】
別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には下記が含まれるがそれらに限定されない:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0066】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には下記が含まれるがそれらに限定されない:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0067】
別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には下記が含まれるがそれらに限定されない:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0068】
さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には下記が含まれるがそれらに限定されない:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0069】
また別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には下記が含まれるがそれらに限定されない:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0070】
他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌が含まれるがそれらに限定されない。さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌が含まれるがそれらに限定されない。また別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(Bacillus anthracis)の種に属する細菌、または多剤耐性(MDR)炭疽菌株に属する細菌である。
【0071】
バチルス(Bacillus)属は、炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽の病原体)、セレウス菌(Bacillus cereus)、Bacillus weihenstephanensis(食品媒介病原体)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(昆虫病原体)、およびBacillus mycoidesを含む。
【0072】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、セレウス菌(Bacillus cereus)群の細菌(たとえば、炭疽菌(Bacillus anthracis)および多剤耐性(MDR)炭疽菌)、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、ブルセラ属菌(Brucella species)、シゲラ(赤痢菌)属菌(Shigella species)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、下痢原性大腸菌(E. coli)、病原性ビブリオ属菌(Pathogenic Vibrios)、サルモネラ属(Salmonella)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、およびリステリア菌(Listeria monocytogenes)があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、セレウス菌(Bacillus cereus)群の細菌(たとえば、炭疽菌(Bacillus anthracis)および多剤耐性(MDR)炭疽菌)、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、ブルセラ属菌(Brucella species)、シゲラ(赤痢菌)属菌(Shigella species)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、下痢原性大腸菌(E. coli)、病原性ビブリオ属菌(Pathogenic Vibrios)、サルモネラ属(Salmonella)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、およびリステリア菌(Listeria monocytogenes)があるが、これらに限定されない。
【0073】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、ブルセラ属菌(Brucella species)、シゲラ(赤痢菌)属菌(Shigella species)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、下痢原性大腸菌(E. coli)、病原性ビブリオ属菌(Pathogenic Vibrios)、サルモネラ属(Salmonella)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、およびリステリア菌(Listeria monocytogenes)があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、ブルセラ属菌(Brucella species)、シゲラ(赤痢菌)属菌(Shigella species)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、下痢原性大腸菌(E. coli)、病原性ビブリオ属菌(Pathogenic Vibrios)、サルモネラ属(Salmonella)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、およびリステリア菌(Listeria monocytogenes)があるが、これらに限定されない。
【0074】
さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、セレウス菌(Bacillus cereus)群の細菌(たとえば、炭疽菌(Bacillus anthracis)および多剤耐性(MDR)炭疽菌)、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)があるが、これらに限定されない。また別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、セレウス菌(Bacillus cereus)群の細菌(たとえば、炭疽菌(Bacillus anthracis)および多剤耐性(MDR)炭疽菌)、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)があるが、これらに限定されない。
【0075】
さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)があるが、これらに限定されない。また別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)があるが、これらに限定されない。
【0076】
他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(Bacillus anthracis)または多剤耐性(MDR)炭疽菌である。
【0077】
セレウス菌(Bacillus cereus)群の細菌は、炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽の病原体)、セレウス菌(Bacillus cereus)、およびBacillus weihenstephanensis(食品媒介病原体)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(昆虫病原体)、およびBacillus mycoidesで構成される。
【0078】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)、ペスト菌(Y. pestis)、野兎病菌(F. tularensis)、鼻疽菌(B. mallei)、または類鼻疽菌(B. pseudomallei)の種には属さない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)の種には属さない。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、ペスト菌(Y. pestis)の種には属さない。また別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(F. tularensis)の種には属さない。また別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、鼻疽菌(B. mallei)の種には属さない。さらにまた別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、類鼻疽菌(B. pseudomallei)の種には属さない。
【0079】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、食品媒介性疾患の原因病原体となりうる細菌でない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下痢原性大腸菌(E. coli)株に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属さない。さらに別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)の種に属さない。
【0080】
別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、食品媒介性疾患の原因病原体となりうる細菌である。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する。さらに別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)の種に属する。
【0081】
「食品媒介性疾患」もしくは「食品由来疾病」もしくは「食中毒」は、たとえば細菌で汚染された食物の摂取に起因するあらゆる疾患である。ある実施形態において、汚染細菌は、消化管の感染および刺激を引き起こす可能性がある。一部の実施形態において、汚染細菌は、下痢原性大腸菌(E. coli)株;カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)の種;またはサルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属することがある。
【0082】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、グラム陽性病原菌、グラム陰性病原菌、嫌気性病原菌、もしくは非定型病原菌、またはそれらの組み合わせがあるがそれらに限定されない。他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌には、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、オキサシリン感受性黄色ブドウ球菌、オキサシリン耐性黄色ブドウ球菌、オキサシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococcus)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、バンコマイシン感受性エンテロコッカス・フェシウム、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム、バンコマイシン感受性エンテロコッカス・フェカリス、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェカリス、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、ペニシリン感受性肺炎球菌、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、大腸菌(Escherichia coli)、シゲラ(赤痢菌)属菌、サルモネラ属菌、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびバークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)の種に属する細菌があるが、それらに限定されない。
【0083】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を治療する方法に関するものであって、その方法は有効量の化合物A’もしくはその塩を被験体に投与することを含むが:
【0084】
【化13】
この細菌感染は下記からなる一群から選択される細菌によって引き起こされる:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0085】
別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0086】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0087】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0088】
また他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))。
【0089】
さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))。
【0090】
他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌からなる一群から選択される。さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌からなる一群から選択される。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)の種に属する細菌、または多剤耐性(MDR)炭疽菌株に属する細菌である。
【0091】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)、ペスト菌(Y. pestis)、野兎病菌(F. tularensis)、鼻疽菌(B. mallei)、または類鼻疽菌(B. pseudomallei)の種に属さない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)種に属さない。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、ペスト菌(Y. pestis)種に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(F. tularensis)種に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、鼻疽菌(B. mallei)種に属さない。また別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、類鼻疽菌(B. pseudomallei)に属さない。
【0092】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、食品媒介性疾患の原因病原体となりうる細菌ではない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下痢原性大腸菌(E. coli)株に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属さない。さらに別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)種に属さない。
【0093】
当然のことながら、記載されたすべての実施形態について、本発明の化合物、たとえば化合物A’は、約10 mgから約1000 mgまでの用量で投与することができる。
【0094】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を予防する方法に関するものであって、その方法は有効量の化合物A’もしくはその塩を被験体に投与することを含むが:
【0095】
【化14】
この細菌感染は下記からなる一群から選択される細菌によって引き起こされる:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0096】
別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0097】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0098】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0099】
また他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0100】
さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0101】
他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌からなる一群から選択される。さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌からなる一群から選択される。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)種に属する細菌、または多剤耐性(MDR)炭疽菌株に属する細菌である。
【0102】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)、ペスト菌(Y. pestis)、野兎病菌(F. tularensis)、鼻疽菌(B. mallei)、または類鼻疽菌(B. pseudomallei)の種に属さない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)種に属さない。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、ペスト菌(Y. pestis)種に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(F. tularensis)種に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、鼻疽菌(B. mallei)種に属さない。また別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、類鼻疽菌(B. pseudomallei)に属さない。
【0103】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、食品媒介性疾患の原因病原体となりうる細菌ではない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下痢原性大腸菌(E. coli)株に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属さない。さらに別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)種に属さない。
【0104】
当然のことながら、記載されたすべての実施形態について、本発明の化合物、たとえば化合物A’は、約10 mgから約1000 mgまでの用量で投与することができる。
【0105】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を治療する方法に関するものであって、その方法は有効量の化合物Aもしくはその塩を被験体に投与することを含むが:
【化15】
この細菌感染は下記からなる一群から選択される細菌によって引き起こされる:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0106】
別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0107】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0108】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0109】
また他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0110】
さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0111】
他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌からなる一群から選択される。さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌からなる一群から選択される。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)種に属する細菌、または多剤耐性(MDR)炭疽菌株に属する細菌である。
【0112】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)、ペスト菌(Y. pestis)、野兎病菌(F. tularensis)、鼻疽菌(B. mallei)、または類鼻疽菌(B. pseudomallei)の種に属さない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)種に属さない。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、ペスト菌(Y. pestis)種に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(F. tularensis)種に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、鼻疽菌(B. mallei)種に属さない。また別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、類鼻疽菌(B. pseudomallei)に属さない。
【0113】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、食品媒介性疾患の原因病原体となりうる細菌ではない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下痢原性大腸菌(E. coli)株に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属さない。さらに別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)種に属さない。
【0114】
当然のことながら、記載されたすべての実施形態について、本発明の化合物、たとえば化合物Aは、約10 mgから約1000 mgまでの用量で投与することができる。
【0115】
ある実施形態において、本発明は、少なくともある程度は、被験体において細菌感染を予防する方法に関するものであって、その方法は有効量の化合物Aもしくはその塩を被験体に投与することを含むが:
【0116】
【化16】
この細菌感染は下記からなる一群から選択される細菌によって引き起こされる:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0117】
別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))、ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0118】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0119】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、Q熱コクシエラ菌(Coxiella burnetii)、オウム病クラミジア菌(Chlamydia psittaci)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、腸炎エルシニア菌(Yersinia enterocolitica)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)の種に属する細菌;
ブルセラ属(Brucella)(たとえば、ウシ流産菌(B. abortus)、イヌ流産菌(B. canis)、B. ceti、B. inopinata、ヤギ流産菌(マルタ熱菌)(B. melitensis)、B. microti、B. neotomae、ヒツジ流産菌(B. ovis)、B. pinnipedialis、ブタ流産菌(B. suis))、シゲラ(赤痢菌)属(Shigella)(たとえば、ボイド赤痢菌(S. boydii)、志賀赤痢菌(S. dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S. flexneri)およびソンネ赤痢菌(S. sonnei))、ビブリオ属(Vibrio)(たとえば、コレラ菌(V. cholerae)、腸炎ビブリオ(V. parahaemolyticus)、およびビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus))、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属する細菌;ならびに
下痢原性大腸菌(E. coli)株に属する細菌。
【0120】
また他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0121】
さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下記からなる一群から選択される:
野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌;ならびに
バチルス属(Bacillus)(たとえば、多剤耐性(MDR)炭疽菌株を含めた、炭疽菌(B. anthracis))に属する細菌。
【0122】
他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌からなる一群から選択される。さらに他の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(Franciscella tularensis)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)、および発疹チフスリケッチア(Rickettsia prowazekii)の種に属する細菌からなる一群から選択される。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)種に属する細菌、または多剤耐性(MDR)炭疽菌株に属する細菌である。
【0123】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)、ペスト菌(Y. pestis)、野兎病菌(F. tularensis)、鼻疽菌(B. mallei)、または類鼻疽菌(B. pseudomallei)の種に属さない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、炭疽菌(B. anthracis)種に属さない。別の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、ペスト菌(Y. pestis)種に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、野兎病菌(F. tularensis)種に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、鼻疽菌(B. mallei)種に属さない。また別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、類鼻疽菌(B. pseudomallei)に属さない。
【0124】
ある実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、食品媒介性疾患の原因病原体となりうる細菌ではない。特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、下痢原性大腸菌(E. coli)株に属さない。別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、サルモネラ属(Salmonella)(たとえば、サルモネラ・ボンゴリ(S. bongori)およびサルモネラ・エンテリカ(S. enterica))に属さない。さらに別の特定の実施形態において、生物兵器として使用される可能性のある細菌は、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)種に属さない。
【0125】
当然のことながら、記載されたすべての実施形態について、本発明の化合物、たとえば化合物Aは、約10 mgから約1000 mgまでの用量で投与することができる。
【0126】
ある実施形態において、被験体における細菌感染の治療は、被験体の細菌への暴露後であるが、被験体が細菌感染の症状を発現する前に、本発明の化合物を投与することを含む。ある実施形態において、本発明の化合物は、被験体の細菌への暴露の10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週間、または2週間後であるが、被験体が細菌感染の症状を発現する前に、投与される。
【0127】
別の実施形態において、被験体における細菌感染の治療は、被験体の細菌への暴露後に被験体が症状を発現した後に、本発明の化合物を投与することを含む。ある実施形態において、本発明の化合物は、被験体が細菌感染の症状を発現した10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週間、または2週間後に、投与される。
【0128】
別の実施形態において、被験体における細菌感染の治療は、被験体の細菌への暴露が疑われた後であるが、被験体が細菌感染の何らかの症状を発現する前に、本発明の化合物を投与することを含む。ある実施形態において、本発明の化合物は、被験体の細菌への暴露が疑われた10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週間、または2週間後であるが、被験体がなんらかの症状を発現する前に、投与される。
【0129】
「暴露が疑われる」とは、たとえ明らかではなくても、被験体が細菌に暴露され、したがって細菌感染の危険にさらされる、確かな可能性(たとえば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%)があることを意味する。一部の実施形態において、「暴露が疑われる」とは、被験体が細菌に暴露されたために細菌感染の危険がある可能性が5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%より高いことを意味する。たとえば、「暴露が疑われる」とは、被験体が微生物に暴露された可能性が50%より高いことを意味する。
【0130】
細菌感染の「症状」は、細菌に暴露されたか、または暴露された疑いのある被験体が、被験体の主観的な知覚もしくは感覚にかかわらず、正常でない、健康でない、または快適でないことの何らかの徴候とすることができる。「症状」には、頭痛、胃痛、腹部疝痛、腹痛、筋肉痛、発熱、下痢、嘔吐、咳嗽、脱力感、疲労、苦痛、皮膚の発疹もしくは腫物、身体の任意の部分の傷(たとえば、皮膚、頭部、目、耳、口、胴、四肢、腕、手、脚、足など)、および任意の組織もしくは器官の異常(たとえば、皮膚、骨、血液、リンパ、腸、胃、膵臓、脳、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、膀胱、卵巣など)があるがそれに限定されない。
【0131】
ある実施形態において、被験体における細菌感染の予防は、被験体の細菌への暴露の前に本発明の化合物を投与することを含む。ある実施形態において、本発明の化合物は、被験体の暴露の10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週間、または2週間前に投与される。別の実施形態において、被験体における細菌感染の予防は、被験体が細菌に暴露されるリスクを上昇させる事象の前、または後に、本発明の化合物を投与することを含む。その事象には、生物兵器によるテロ攻撃、ならびに戦場などの危険領域への被験体の侵入などがあるが、これに限定されない。ある実施形態において、本発明の化合物は、その事象の10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週間、または2週間前に、被験体に投与される。ある実施形態において、本発明の化合物は、その事象の10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、1週間、または2週間後に、被験体に投与される。
【0132】
ある実施形態において、本発明の方法は、本発明の化合物を投与する前に、生物兵器として使用される可能性のある細菌に暴露されるリスクのある被験体を特定することを、さらに含むことができる。生物兵器として使用される可能性のある細菌に暴露されるリスクのある被験体は、紛争地域(たとえば戦場および作戦地帯)に赴く、立ち入る、または存在する被験体、たとえば軍人、諜報要員、および軍用動物など;治安出動に従事する、もしくは従事しようとする被験体、たとえば政府当局者(たとえば、警察官、政府調査員、およびシークレットサービスメンバー)および他の人員(たとえば、医師、看護師、および救助隊員)、およびそうした出動に使用される動物など;ならびに、テロ攻撃の標的となりやすい地理的領域(たとえば、大都市圏、都市、人口の多い地域(たとえば100,000人超、200,000人超、500,000人超、100万人超、200万人超、500万人超、および1000万人超))、およびそこへのダメージが国家安全保障または公衆衛生に対する脅威をもたらす可能性のある場所もしくはエリア(たとえば、原子力プラント、化学プラント、空港、および病院)にいる被験体などであるがこれらに限定されない。
【0133】
「暴露する」、「暴露」、もしくは「暴露される」とは、被験体が、細菌またはその成分(たとえば、細菌細胞壁、細菌細胞膜、細菌核酸、細菌ポリヌクレオチド、細菌タンパク質、細菌ポリペプチド、細菌芽胞、および細菌毒素)と何らかの接触をすることを意味する。たとえば、被験体は、細菌もしくはその成分を含むいかなるものも、摂取し、吸い込み、またはそれに触れることによって、細菌もしくはその成分に暴露される可能性がある。たとえば、細菌の成分は、被験体において感染もしくは感染の症状を引き起こす能力を有する。細菌成分はたとえば細菌芽胞である。
【0134】
ある実施形態において、本発明は、被験体において細菌感染を治療する方法に関するが、この被験体は、細菌もしくはその成分に暴露されているか、またはその疑いがあり、その方法は、被験体に有効量の化合物A’もしくは化合物A、またはその塩を投与することを含む。別の実施形態において、本発明はまた、被験体において細菌感染を治療する方法に関するが、この被験体は、細菌もしくはその成分に暴露されているか、またはその疑いがあり、その方法は、被験体に化合物A’もしくは化合物A、またはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で投与することを含む。ある実施形態において、本発明はまた、被験体において細菌感染を予防する方法に関するが、この被験体は、細菌もしくはその成分に暴露されるリスクがあり、その方法は、被験体に有効量の化合物A’もしくは化合物A、またはその塩を投与することを含む。別の実施形態において、本発明はまた、被験体において細菌感染を予防する方法に関するが、この被験体は、細菌もしくはその成分に暴露されるリスクがあり、その方法は、被験体に有効量の化合物A’もしくは化合物A、またはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で投与することを含む。ある実施形態において、細菌もしくはその成分は、エアロゾルまたは粉末として製剤される。ある実施形態において、細菌成分は細菌芽胞である。
【0135】
本発明の化合物、たとえば化合物Aは、感染を治療もしくは予防するために有効な化合物Aのレベルを被験体において達成することができる任意の投与方法で、被験体に投与することができる。ある実施形態において、本発明の化合物は経口投与される。別の実施形態において、本発明の化合物は静脈内投与される。別の実施形態において、本発明の化合物は腹腔内投与される。また別の実施形態において、本発明の化合物は皮下投与される。
【0136】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、1 mg/kg、2 mg/kg、3 mg/kg、4 mg/kg、5 mg/kg、6 mg/kg、7 mg/kg、8 mg/kg、9 mg/kg、10 mg/kg、12 mg/kg、14 mg/kg、16 mg/kg、18 mg/kg、20 mg/kg、22 mg/kg、24 mg/kg、26 mg/kg、28 mg/kg、30 mg/kg、32 mg/kg、34 mg/kg、36 mg/kg、38 mg/kg、40 mg/kg、42 mg/kg、44 mg/kg、46 mg/kg、48 mg/kg、50 mg/kg、52 mg/kg、54 mg/kg、56 mg/kg、58 mg/kg、60 mg/kg、62 mg/kg、64 mg/kg、66 mg/kg、68 mg/kg、70 mg/kg、72 mg/kg、74 mg/kg、76 mg/kg、78 mg/kg、80 mg/kg、82 mg/kg、84 mg/kg、86 mg/kg、88 mg/kg、90 mg/kg、92 mg/kg、94 mg/kg、96 mg/kg、98 mg/kg、100 mg/kg、110 mg/kg、120 mg/kg、130 mg/kg、140 mg/kg、150 mg/kg、160 mg/kg、170 mg/kg、180 mg/kg、190 mg/kg、または200 mg/kgの用量で投与することができる。
【0137】
当然のことながら、上記の用量を含む用量範囲も本発明に含まれる。たとえば、上記用量のいずれかは、本発明に含まれる用量範囲の低いほうの部分、または高いほうの部分であるかもしれない。さらに、当然のことながら、本明細書を通じて使用される数値の全リストもしくは集合体は、記載の数値のいずれかが範囲の低いほうの部分もしくは高いほうの部分となりうるような数値の範囲も包含するものとする。これらの範囲は本発明に含まれるものとする。
【0138】
一部の実施形態において、本発明の化合物、たとえば、化合物A’もしくは化合物Aは、約10から約1000 mgまで、約20から約750 mgまで、約50から約500 mgまで、約75から約400 mgまで、約100から約300 mgまで、約110から約290 mgまで、約120から約280 mgまで、約130から約270 mgまで、約140から約260 mgまで、約150から約250 mgまで、約160から約240 mgまで、約170 mgから約230 mgまで、約180 mgから約220 mgまで、約190 mgから約210 mgまで、または約200 mgの用量で投与することができる。別の実施形態において、本発明の化合物、たとえば、化合物A’もしくは化合物Aは、約5から約500 mgまで、約10から約400 mgまで、約25から約300 mgまで、約50から約200 mgまで、約50から約150 mgまで、約60から約140 mgまで、約70から約130 mgまで、約80 mgから約120 mgまで、約90 mgから約110 mgまで、または約100 mgの用量で静脈内投与することができる。ある実施形態において、本発明の化合物、たとえば、化合物A’もしくは化合物Aは、約5から約800 mgまで、約10から約700 mgまで、約25から600 mgまで、約50から約500 mgまで、約100から約400 mgまで、約150から約350 mgまで、約200から約340 mgまで、約250から約330 mgまで、約270から約320 mgまで、約280から約310 mgまで、または約300 mgの用量で経口投与することができる。
【0139】
ある実施形態において、本発明の化合物、たとえば、化合物A’もしくは化合物Aは、約100 mg、約200 mg、または約300 mgの用量で静脈内投与することができる。別の実施形態において、本発明の化合物、たとえば、化合物A’もしくは化合物Aは、約300 mg、約600 mg、または約900 mgの用量で経口投与することができる。
【0140】
ある実施形態において、本発明の化合物、たとえば化合物A’もしくは化合物Aの経口投与量は、本発明の化合物、たとえば化合物A’もしくは化合物Aの静脈内投与量より3倍多い。
【0141】
当然のことながら、記載のすべての実施形態について、本発明の化合物、たとえば化合物A’もしくは化合物Aの用量は、本発明の化合物、たとえば化合物A’もしくは化合物Aの有効量でもある。
【0142】
ある実施形態において、本発明の化合物、たとえば化合物Aもしくは化合物A’の有効量は、経口投与される場合、約10から約100 mgまで、約20から約750 mgまで、約50から約500 mgまで、約75から約400 mgまで、約100から約300 mgまで、約110から約290 mgまで、約120から約280 mgまで、約130から約270 mgまで、約140から約260 mgまで、約150から約250 mgまで、約160から約240 mgまで、約170 mgから約230 mgまで、約180 mgから約220 mgまで、約190 mgから約210 mgまで、または約200 mgである。別の実施形態において、本発明の化合物、たとえば化合物Aもしくは化合物A’の有効量は、静脈内投与される場合、約5から約500 mgまで、約10から約400 mgまで、約25から約300 mgまで、約50から約200 mgまで、約50から約150 mgまで、約60から約140 mgまで、約70から約130 mgまで、約80 mgから約120 mgまで、約90 mgから約110 mgまで、または約100 mgである。
【0143】
ある実施形態において、本発明の化合物の塩は塩酸塩である。別の実施形態において、本発明の化合物の塩はトシル酸塩である。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、遊離塩基として、またはトシル酸塩として経口投与される。別の実施形態において、本発明の化合物は、塩酸塩として静脈内投与される。また別の実施形態において、本発明の化合物は、混合塩、たとえば混合された塩酸およびトシル酸塩である。
【0144】
別の実施形態において、本発明の化合物、たとえば化合物Aもしくは化合物A’は、静脈内もしくは経口のいずれかで、1日1回投与することができる。
【0145】
一部の実施形態において、本発明の化合物、たとえば化合物Aもしくは化合物A’は、少なくとも3日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、少なくとも30日間、または少なくとも60日間投与することができる。たとえば、本発明の化合物の投与は、3日から7日間、3日から14日間、3日から21日間、3日から30日間、3日から60日間、7日から14日間、7日から21日間、7日から30日間、7日から60日間、14日から21日間、14日から30日間、14日から60日間、21日から30日間、21日から60日間、または30日から60日間継続することができる。
【0146】
たとえば、本発明の化合物、たとえば化合物Aもしくは化合物A’は、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、32日間、33日間、34日間、35日間、36日間、37日間、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間、46日間、47日間、48日間、49日間、50日間、51日間、52日間、53日間、54日間、55日間、56日間、57日間、58日間、59日間、または60日間、投与することができる。
【0147】
一部の実施形態において、方法は、被験体に負荷投与量の化合物を1回もしくは複数回投与したのち、維持投与量の化合物を1回もしくは複数回投与することを含む。ある実施形態において、1回もしくは複数回の負荷投与量は、1回もしくは複数回の維持投与量より多いことがある。
【0148】
一部の実施形態において、本発明の化合物、たとえば化合物Aもしくは化合物A’の被験体への投与は、負荷投与量の化合物を1回もしくは複数回投与したのち、維持投与量の化合物を1回もしくは複数回投与することを含んでいてもよい。一部の実施形態において、化合物の1回もしくは複数回の負荷投与量は、化合物の1回もしくは複数回の維持投与量より多いことがある。たとえば、負荷投与量が約200 mgである一方、維持投与量は約150 mg、100 mg、もしくは50 mgとすることができる;または、負荷投与量が約400 mgであるのに対して、維持投与量は約300 mg、250 mg、200 mg、150 mg、100 mgもしくは50 mgとすることができる;または、負荷投与量が約100 mgであるのに対して、維持投与量は約75 mg、約50 mg、もしくは約25 mgとすることができる。
【0149】
本発明の化合物の負荷投与量、および本発明の化合物の維持投与量は、同じ経路で投与することも、異なる経路で投与することもできる。たとえば、負荷投与量を静脈内投与してから、維持投与量を経口投与することができる、他の実施形態において、負荷投与量も維持投与量もともに経口投与してもよく、あるいは負荷投与量および維持投与量を静脈内投与してもよい。
【0150】
一部の実施形態において、本発明の化合物、たとえば化合物A’もしくは化合物A、の負荷投与量は、1日2回投与される経口投与量もしくは静脈内投与量であり、維持投与量は、1日1回投与される経口投与量もしくは静脈内投与量とすることができる。たとえば、化合物A’もしくは化合物などの本発明の化合物は、1日2回の静脈内負荷投与量100 mgとして投与された後、1日1回の静脈内維持投与量100 mgとして、投与することができる。もう1つの例として、本発明の化合物、たとえば化合物A’もしくは化合物A、は、1日2回の静脈内負荷投与量100 mgとして投与された後、1日1回の経口維持投与量300 mgとして、投与することができる。さらに例を挙げると、本発明の化合物、たとえば化合物A’もしくは化合物A、は、1日2回の経口負荷投与量300 mgとして投与された後、1日1回の経口維持投与量300 mgとして、投与することができる。
【0151】
「治療する」もしくは「治療」という用語は、治療すべき疾患、たとえば細菌感染などの1つもしくは複数の症状の改善または軽減を意味する。
【0152】
「予防」、「予防する」、または「防止」という用語は、細菌感染のリスクを防ぎ、または減らすことを意味する。
【0153】
ごく普通の方法、プロセス、もしくは技術により、当技術分野で利用可能な一般的材料、試薬、設備などを用いて、または方法、プロセス、もしくは技術により、利用しやすい材料、試薬、設備などを用いて、細菌を製造もしくは散布することができ、当技術分野でほとんど、もしくはまったく訓練を受けていない一般人が細菌を操作もしくは使用することができるならば、その細菌は「製造もしくは散布が容易である」。
【0154】
「中程度の罹患率」という用語は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、もしくは45%以上の罹患率を指す。「高い罹患率」という用語は、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上の罹患率を表す。
【0155】
「中程度の死亡率」という用語は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、もしくは45%以上の死亡率を指す。「高い死亡率」という用語は、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上の死亡率を表す。
【0156】
「耐性」または「耐性のある」という用語は、臨床・検査標準協会(Clinical and Laboratories Standards Institute (CLSI))および/または食品医薬品局(Food and Drug Administration (FDA))で規定された抗生物質/生物基準を表す。
【0157】
「被験体」という用語には細菌感染を受ける動物が含まれる。被験体の例としては、家畜(たとえばウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ニワトリなど)、実験動物(マウス、ラット、サル、チンパンジーなど)、ペット(たとえばイヌ、ネコ、フェレット、ハムスターなど)、鳥(たとえばニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、カラス、ワタリガラス、スズメなど)、霊長類(たとえばサル、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、およびヒト)、およびその他の動物(たとえばリス、アライグマ、マウス、ラットなど)といった動物が挙げられる。ある実施形態において、被験体はマウスもしくはラットである。ある実施形態において、被験体はウシ、ブタ、もしくはニワトリである。ある実施形態において、被験体はヒトである。
【0158】
本発明の化合物は、その化合物が目的とする機能を果たせるようにする、たとえば細菌感染を治療もしくは予防することを可能にする任意の経路で投与することができる。経路の例には、経口、静脈内、および局所などがある。ある実施形態において、本発明の化合物は経口投与される。別の実施形態において、本発明の化合物は静脈内投与される。
【0159】
「有効な量」という用語は、細菌感染を治療もしくは予防するために必要とされる本発明の化合物の量のことをいう。たとえば、有効な量は、細胞の死滅および/または細胞増殖の阻害によって望ましい治療効果を達成するのに十分な、効果のあるレベルを表す。ある実施形態において、有効な量は、感染を引き起こす細菌を除菌するのに十分な量である。一部の実施形態において、有効な量は、被験体にたとえば経口で、または静脈内に投与される、本発明の化合物、たとえば化合物A’もしくは化合物Aの用量である。
【0160】
「約」という用語は、特定の値より15%、10%、8%、5%、3%、2%、1%、もしくは0.5%大きいか、または小さい値となりうる、値の範囲を表す。たとえば、「約10%」は、8.5%から11.5%までとすることができる。ある実施形態において、「約」という用語は、特定の値より5%大きいか、または小さい値の範囲を表す。別の実施形態において、「約」という用語は、特定の値より2%大きいか、または小さい値の範囲を表す。別の実施形態において、「約」という用語は、特定の値より1%大きいか、または小さい値の範囲を表す。
【0161】
本発明の化合物の構造は、二重結合または不斉炭素原子を含む可能性がある。このような化合物は、ラセミ体、ラセミ混合物、個別の鏡像異性体、個別のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、およびシス-もしくはトランス-、またはE-もしくはZ-二重結合異性体として存在しうる。こうした異性体は、古典的な分離技術によって、ならびに立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形で得ることができる。さらに、前記構造ならびに本発明で検討される他の化合物および部分は、それらの互変異性体もすべて含める。
【0162】
本発明の化合物は、塩基性または酸性である可能性があり、さまざまな酸もしくは塩基とともに多様な塩基を形成することができる。塩基性である本発明の化合物の、製薬上許容される塩を調製するために使用することができる酸は、毒性のない酸付加塩、たとえば、HCl塩、HBr塩、HI塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、パントテン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(すなわちトシル酸塩)およびパルモ酸(palmoate)を形成する酸である。酸性である本発明の化合物の、製薬上許容される塩を調製するために使用することができる塩基は、毒性のない塩基の塩、たとえば、アルカリ金属カチオン(たとえばNa+ およびK+)、アルカリ土類金属カチオン(たとえばMg++ およびCa++)、およびアミンを含有する塩を形成することができる
【0163】
本来は塩基性である本発明の化合物は、さまざまな無機酸および有機酸とともに多種多様な塩を形成することができる。本来は塩基性である本発明の化合物の、製薬上許容される酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、毒性のない酸付加塩、すなわち、製薬上許容されるアニオンを含有する塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(すなわちトシル酸塩)、およびパルモ酸(palmoate)(すなわち1,l'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を形成する酸である。このような塩は、被験体、たとえば動物、に投与するために、製薬上許容可能でなければならないが、実際には、はじめに本発明の化合物を、反応混合物から、製薬上許容されない塩として分離したのち、アルカリ性試薬で処理することにより簡単にその塩を変換して遊離塩基化合物に戻し、その後、この遊離塩基を製薬上許容される酸付加塩に変換することが、望ましい場合が多い。本発明の化合物の酸付加塩は、化合物を、水性溶媒中または、メタノールもしくはエタノールなどの有機溶媒中において、実質的に同量の選択された無機酸もしくは有機酸で処理することによって、容易に調製される。慎重に溶媒を蒸発させると、望ましい塩の固体が容易に得られる。
【0164】
ある実施形態において、本発明の化合物の塩は塩酸塩である。別の実施形態において、本発明の化合物の塩はトシル酸塩である。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、遊離塩基またはトシル酸塩として経口投与される。別の実施形態において、本発明の化合物は、塩酸塩として静脈内投与される。また別の実施形態において、本発明の化合物は、混合塩、たとえば塩酸およびトシル酸の混合塩である。
【0165】
当然のことながら、本明細書において、たとえば、被験体集団の年齢、投与量、および継続期間などの値および範囲がどこで与えられようと、これらの値および範囲が包含するすべての値および範囲は本発明の範囲内にあると意図される。さらに、これらの値および範囲の中のすべての値は、範囲の上限もしくは下限である場合もある。
【0166】
本発明の化合物は、当該技術分野で承認されている技術、たとえば米国特許第6,846,939号および第7,553,828号、ならびに米国特許公開第20080287401号に記載の技術を用いることによって合成することができるが、前記のそれぞれの内容はその全体を参考として本明細書に組み入れられる。こうして得られた化合物を、たとえば、フラッシュカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、結晶化、または任意の既知の精製法によって、さらに精製することができる。
【0167】
ある実施形態において、本発明の化合物は、以下に示す、米国特許公開第20080287401号に記載の合成スキームにしたがって、合成することができる:
【0168】
【化17】
【0169】
ある実施形態において、本発明の化合物はクロマトグラフィーで精製することができるが、このクロマトグラフィーは、化合物の低pH水溶液を極性有機溶媒グラジエントHPLCに注入すること、ならびにその生成物画分を合わせることを含む。適当な酸性移動相の選択により、プロセス安定性および選択性が高まる。有機酸および鉱酸の移動相は、pHコントロールもしくは酸の選択によって、エピマー不純物および近接して溶出される副生成物などを含めた、副生成物を分離するのに効果的である。酸性移動相はまた、化合物を酸化的分解から保護する。たとえば、低pH溶液のpHは約2-3である。使用できる溶液の例としては、0.1%メタンスルホン酸水溶液、および0.1%トリフルオロ酢酸水溶液がある。水溶液94%、およびアセトニトリルもしくは別の極性有機溶媒6%からなる均一濃度勾配を用いて、エピマーおよび近接して溶出される副生成物から化合物を精製することができる。その結果得られた水性生成物画分を合わせて、そのpHを、塩基(たとえばNaOH)を用いて約4.0-04.5に調整することができる。化合物の疎水性不純物および酸化的分解物は、非極性有機溶媒(たとえばCH2Cl2)を用いて水性溶液を洗浄することによって除去することができる。有機層を捨て、水層を合わせて、保存することができる。注目すべきは、塩化メチレンなどの有機溶媒を用いて、4-カルボニル副生成物などといった後期に溶出される疎水性不純物、ならびに化合物の酸性水溶液からの酸化的分解物を選択的に除去することができるということである。合わせた水層のpHを中性pH(たとえば、約7.5~約8.5)に調整した。pHはNaOHなどの塩基の添加により調整することができる。中性溶液を次に、非極性溶媒、たとえば塩化メチレンで洗浄することができる。注目すべきは、中性pH範囲に選択的にpH調整することで、望ましくないβエピマーおよび副生成物を水層中に留める一方で、化合物の有機溶媒中への抽出を可能にすることができることである。
【0170】
上記特許に記載の合成経路において使用することができる試薬は、たとえば、溶媒、試薬、触媒、および保護基および脱保護基試薬などとすることができる。合成経路は、そこに明記されたステップの前または後に、最終的に望ましいテトラサイクリン化合物の合成を可能にするために適当な保護基を付加し、または除去する、追加ステップを含んでいてもよい。それに加えて、望ましい化合物を与えるために、さまざまな合成ステップを、異なる順序で行うことができる。たとえば、化合物を従来の化学変換によりさらに修飾して、本発明の化合物を生成することができる。合成化学変換および保護基の方法論(保護および脱保護)は当技術分野で知られており、たとえば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley and Sons (1999); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994); and L. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995) での記述が挙げられる。
【0171】
上記特許に記載の合成経路は、例証のためにのみ用いられる。当業者には当然のことながら、上記特許に記載のスキームおよび例に照らして、本発明のすべての化合物を、当業者に周知の同様の方法によって作製することができる。
【0172】
細菌感染の治療または予防における本発明の化合物の有効性は、当技術分野で既知の一般的な方法を用いて評価することができる。ある実施形態において、有効性は最小阻止濃度(MIC)アッセイによって測定することができる。たとえば、本発明の化合物を段階希釈した後、増殖培地、たとえば細菌培養の陽イオン調整ミューラーヒントンブロス(CAMHB)に添加する。50%または90%細菌増殖を阻害する本発明の化合物の最小濃度(すなわちMIC50 またはMIC90)を測定し、必要に応じて他の抗生物質のMIC50 またはMIC90と比較する。別の実施形態において、有効性は、当技術分野で知られているin vivoアッセイ(たとえば動物実験)によって測定することができる。たとえば、本発明の化合物を実験動物(たとえばマウスおよびラット)に量を減らして投与する。実験動物を治療する(たとえば細菌感染の症状を改善する、動物の生存期間を延ばす、ならびに動物が細菌感染症を切り抜けて生存することを可能にする)、または実験動物を細菌に感染しないように、もしくは感染症状が発現しないように予防する、本発明の化合物の最小量を測定し、必要ならば、同じ結果を達成する他の抗生物質の最小量と比較する。
【0173】
本発明はまた、治療上有効な量の本発明の化合物(たとえば化合物A)またはその塩、ならびに必要に応じて製薬上許容される基剤を含有する、医薬組成物に関する。他の実施形態において、本発明は、約10~約1000 mgの本発明の化合物(たとえば、化合物Aもしくは化合物A’)またはその塩、ならびに製薬上許容される基剤を含有する医薬組成物に関する。さらに他の実施形態において、製薬上許容される基剤は、経口投与の条件を満たす。また別の実施形態において、本発明の化合物は、遊離塩基またはトシル酸塩である。
【0174】
さらに別の実施形態において、組成物は、約20~約750 mg、約50~約500 mg、約75~約400 mg、約100~約300 mg、約110~約290 mg、約120~約280 mg、約130~約270 mg、約140~約260 mg、約20約150~約250 mg、約160~約240 mg、約170 mg~約230 mg、約180 mg~約220 mg、約190 mg~約210 mg、または約200 mgの本発明の化合物(たとえば化合物Aもしくは化合物A’)またはその塩を含有する。
【0175】
別の実施形態において、本発明はまた、約5~約500 mgの本発明の化合物(たとえば化合物Aもしくは化合物A’)またはその塩、ならびに静脈内投与に適した製薬上許容される基剤を含有する、医薬組成物に関する。また別の実施形態において、組成物は、約10~約400 mg、約25~約300 mg、約50~約200 mg、約50~約150 mg、約60~約140 mg、約70 mg~約130 mg、約80 mg~約120 mg、約90 mg~約110 mg、または約100 mgの本発明の化合物(たとえば化合物Aもしくは化合物A’)またはその塩を含有する。
【0176】
「製薬上許容される基剤」という用語は、本発明の化合物(たとえば化合物Aもしくは化合物A’)とともに投与することができる物質であって、化合物がその目的とする機能を果たす、たとえば細菌感染を治療もしくは予防することを可能にする前記物質を含む。適当な製薬上許容される基剤には、水、食塩水、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエトラル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどがあるがこれらに限定されない。医薬製剤は、滅菌し、必要に応じて、本発明の化合物と有害な反応をしない補助剤、たとえば、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、着色剤、香料および/または芳香剤などと混合することができる。
【0177】
本発明の化合物および製薬上許容されるその塩は、経口、非経口、もしくは局所経路にて投与することができる。一般に、これらの化合物は、治療を受ける被験体の体重および状態、ならびに選択された個別の投与経路に応じて有効な投与量で投与されることがもっとも望ましい。治療を受ける被験体の種、および薬物に対する個体の反応、ならびに選択された医薬製剤のタイプ、およびそうした投与を実施する期間および間隔に応じて、バリエーションが生じることがある。
【0178】
本発明の化合物および医薬組成物は、被験体のテトラサイクリン反応性の状態を治療するために、単独で投与するかまたは、他の既知の組成物と組み合わせて投与することができる。既知の組成物と「組み合わせて」という用語は、本発明の組成物および既知の組成物を同時に投与すること、最初に本発明の組成物、続いて既知の組成物を投与すること、ならびに最初に既知の組成物を投与し次に本発明の組成物を投与すること、を含むものとする。テトラサイクリン反応性の状態を治療するための、当技術分野で既知の治療用組成物はいずれも、本発明の方法において使用することができる。
【0179】
本発明の化合物および医薬組成物は、前記のいずれかの経路にて、単独で、または製薬上許容される基剤もしくは希釈剤と組み合わせて投与することができ、投与は単回投与または複数回投与で行うことができる。たとえば、本発明の化合物は、さまざまな異なる剤形で有効に投与することが可能であり、すなわち本発明の化合物は、さまざまな製薬上許容される不活性基剤と組み合わせて、錠剤、カプセル、飴、トローチ、ハードキャンディー、散剤、スプレー、クリーム、軟膏(salve)、坐剤、ゼリー、ジェル、ペースト、ローション、軟膏(ointment)、水性懸濁剤、注射剤、エリキシル剤、シロップなどの形状とすることができる。このような基剤としては、固体の賦形剤もしくは増量剤、滅菌水性溶媒およびさまざまな毒性のない有機溶媒などがある。さらに、経口医薬組成物は、適切に甘味および/または香味をつけることができる。概して、本発明の治療上有効な化合物は、こうした剤形中に、重量比で約5.0%から約70%の範囲の濃度レベルで含まれる。
【0180】
経口投与のために、さまざまな添加剤、たとえば微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンを含有する錠剤は、さまざまな崩壊剤、たとえばデンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、アルギン酸、および特定の複合ケイ酸塩と併せて、ポリビニルピロリドン、ショ糖、ゼラチン、およびアラビアゴムなどの造粒結合剤とともに用いることができる。それに加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの滑沢剤が、錠剤化目的のために非常に有用であることが多い。同じようなタイプの固体組成物は、ゼラチンカプセル内の増量剤としても使用することができる;これに関連した好ましい材料としては、ラクトースすなわち乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールも挙げられる。
【0181】
経口投与のために水性懸濁液および/またはエリキシル剤が求められる場合、活性成分は、水、エタノール、ポリエチレングリコール、グリセリン、およびそれらのさまざまな同様の組み合わせ、といった希釈剤とともに、さまざまな甘味もしくは香味剤、着色物質もしくは色素、ならびに、必要に応じてさらに乳化および/または懸濁化剤と組み合わせることができる。
【0182】
非経口投与(腹腔内、皮下、静脈内、皮内、もしくは筋肉内注射を含む)のために、ゴマ油もしくはピーナッツ油中、または水性プロピレングリコール中の、本発明の化合物の溶液を使用することができる。水性溶液は必要に応じて適切に緩衝化されるべきであり、液体希釈剤はそもそも等張とされるべきである。これらの溶液は静脈注射用に適している。油性溶液は、関節内、筋肉内および皮下注射用に適している。無菌条件下でこれらすべての溶液を調製することは、当業者によく知られている標準的な製薬技術によって容易に達成される。非経口適用のために、適切な製剤の例としては、液剤、好ましくは油性もしくは水性液剤ならびに懸濁剤、乳剤、または坐剤などを含めた留置剤などがある。治療用化合物は、注射剤と共に一般的に使用される、たとえば滅菌生理食塩水もしくは5% salineブドウ糖液などの、液体基剤中に分散された複数回もしくは単回投与形態として、無菌状態で製剤されることもある。
【0183】
腸溶性適用のために、特に適切であるのは錠剤、糖衣錠、またはカプセルであって、これらはタルクおよび/または炭水化物基剤結合剤などを有し、基剤は好ましくは乳糖および/またはトウモロコシデンプンおよび/またはジャガイモデンプンである。甘味溶媒を使用したシロップ、エリキシル剤などを使用することができる。徐放性組成物を製剤することができるが、これは、活性成分が、たとえばマイクロカプセル化、多層コーティングなどにより段階的に分解可能なコーティングによって保護されている組成物を含む。
【0184】
発明の例証
【実施例0185】
【化18】
【0186】
ミノサイクリン塩酸塩をメチルスルホン酸もしくはフッ化水素酸中にメチルスルホン酸無水物とともに溶解した。N-ヒドロキシメチルフタルイミドを反応混合物に添加した。混合物を20-35℃にて反応が終了するまで撹拌した。この酸溶液を氷/水混合物中に加えると、トリフリン酸塩がすぐに沈殿し、濾過して回収した。この塩をアセトンに再溶解し、塩基により中性pHとした。水の添加により生成物を沈殿させた。生成物はビスおよびトリスアルキル化生成物の混合物として単離された。この反応の単離物質を、望ましいビス比(90%)に濃縮した。
【0187】
固形物をEtOHに懸濁した。メチルアミンを用いてアミノリシスを行った。反応の進行につれてフタルアミド副生成物が沈殿するので濾過により除去した。反応混合物に約1.5容のt-ブチルメチルエーテルを加えることによって、淡黄色固体生成物が析出沈殿し、単純濾過により回収されたが、これは多くの少量の不純物およびメチルアミン試薬を溶液中に残した。メタノールによる再スラリー化により、化合物をさらに精製した。
【0188】
遊離塩基の化合物4を、メタノールおよびアルデヒドを入れた水素化反応器に移した。不活化されたPd/C触媒を加え、容器を水素ガスで加圧した。反応混合物は、約30 Psiの水素圧下で約24時間水素化された。化合物4から1への変換が終了したら、セライト(Celite)パッドを通して溶液を濾過し、洗浄した。この時点で反応混合物はごく少量のβC-4エピマー、約3-7%を含有した。
【0189】
生成物(1)を後処理し、不純物から選択的に単離した。溶液のpHを、濃HClを用いて約4.5に調整し、溶液をジクロロメタンで洗浄した。亜流酸塩を水層に添加し、生成物を約pH7-8にてジクロロメタンで抽出し、好ましいエピマー生成物(たとえばa)を選択的に回収した。ジクロロメタン層を合わせて濃縮し、2Lのn-ヘプタンを加えて生成物を沈殿させた。粗生成物を溶解する後処理工程をT-ブチルメチルエーテルあり、またはなしで繰り返すことによってさらに精製した。
【0190】
9-(2',2' -ジメチルプロピルアミノメチル)-ミノサイクリン二塩酸塩(200 mg、1当量)、DMF、およびトリメチルアセトアルデヒド(45μL、1当量)を40 mLフラスコ中で合わせて、撹拌した。次にトリエチルアミン(150μL、3当量)を添加した。室温にて数分間撹拌したのち、NaBH(OAc)3 (175 mg、2当量)およびInCl3 (9 mg、0.1当量)を添加した。1時間後、反応物は透明で赤色となった。反応をメタノールで停止させ、溶媒を除去して、化合物Aが得られた。
【実施例0191】
粗製9-(2',2' -ジメチルプロピルアミノメチル)-ミノサイクリン遊離塩基(40 g)を150 mLのバッファーA(0.1 %メタンスルホン酸(MSA)水溶液)に溶解し、pHをMSAにより2-3に調整した。溶液を濾過してHPLCに注入し、生成物を94%バッファーAおよび6%アセトニトリルの均一濃度勾配により溶出した。生成物ピークが検出されたときに、生成物画分の採取を開始した。各画分を分析し、初期の生成物画分には、メインピークのAUCが80%を上回るという判定基準を用いた。画分を合わせると、不純物のレベル、およびプールした画分の相対濃度は、最終製品仕様を満たす選択基準に含まれた。生成物画分に、採取された画分のもとの容積の10%に等しい亜硫酸ナトリウムの10%水溶液を添加した。
【0192】
生成物画分3.5リットル(亜硫酸ナトリウムを含む)を集め、pHを、水酸化ナトリウム溶液を用いて4.0-4.5に調整した。水溶液を2リットルのジクロロメタンで洗浄し、有機層を分離して廃棄した。水層のpHを、水酸化ナトリウムを用いて7.5-8.5に調整し、生成物を2.4リットルのジクロロメタンで4回抽出した。各回の抽出の前にpHを水酸化ナトリウムにより7.5-8.5に調整した。
【0193】
4回分のジクロロメタン層を合わせて約200mLに濃縮し、それを次に、激しく撹拌しているn-ヘプタン(2.5 L)にゆっくりと(約10分間かけて)添加した。懸濁液を室温にて約10分間撹拌し、n-ヘプタン1.5 Lを用いてゆっくりと(5分間かけて)希釈した。スラリーを0-5℃に冷却し、1-2時間撹拌した。懸濁した固形物を濾過して、1回分150 mLのn-ヘプタンで3回洗浄した。生成物は、一定重量に達するまで、少なくとも24時間のあいだ、40℃にて真空乾燥し、すべての残留溶媒のレベルは規定の範囲内であった。およそ13.6 gの9-(2',2' -ジメチルプロピルアミノメチル)-ミノサイクリン遊離塩基が、黄色固体として単離された。残った生成物は同様に単離され、1.64 gであった。
【実施例0194】
35℃にてインキュベートされた18-24時間 炭疽菌(B. anthracis)、類鼻疽菌(B. pseudomallei)、もしくは鼻疽菌(B. mallei)プレート、または42-48時間 野兎病菌(F. tularensis)もしくはペスト菌(Y. pestis)プレートから得られるコロニーを陽イオン調整ミューラーヒントンブロス(CAMHB)中に懸濁することによって、細菌接種材料を調製した。炭疽菌(B. anthracis)およびペスト菌(Y. pestis)にはヒツジ血液寒天(SBA)プレート、野兎病菌(F. tularensis)にはチョコレート寒天プレート、ならびに類鼻疽菌(B. pseudomallei)および鼻疽菌(B. mallei)にはトリプチケースソイ寒天(TSA)プレートを使用した。懸濁培養液を、細菌細胞密度が105 CFU/mLとなるようにCAMHBで希釈したが、これはOD600に基づいて調整された。各病原菌に使用される換算係数は:炭疽菌(B. anthracis)(3.82 x 107 CFU/mL/OD)、鼻疽菌(B. mallei)および類鼻疽菌(B. pseudomallei) (5.0 x 108 CFU/mL/OD)、ペスト菌(Y. pestis) (5.34 x 108 CFU/mL/OD)、ならびに野兎病菌(F. tularensis) (3.89 x 1010 CFU/mL/OD)とした。約5x104 CFU/ウェルの最終接種材料のために、調整された希釈物50μLを96ウェルプレートの各ウェルに添加した。
【0195】
接種された96ウェルプレートを35℃でインキュベートした。抗生物質は50μLのCAMHB中で2倍段階希釈を行い、プレートの各ウェルに添加した。野兎病菌(F. tularensis)を用いた全ステップについては、CAMHBに2% Isovitalex (Becton Dickinson)を添加した。抗生物質は、接種後の最終的なウェルの容積100μLに基づいて、8-0.0039 μg/ml、または64-0.03125 μg/mlの範囲であった。CLSIガイドラインにしたがって96ウェルプレートにおいて微量希釈法によりMICを求めた。MICは18-24時間または42-48時間(野兎病菌(F. tularensis)およびペスト菌(Y. pestis)について)の時点で視覚的に測定し、またプレートを600 nmで読み取る(SpectroMax M2, Molecular Devices)ことによっても測定された。抗生物質原液の品質管理は、大腸菌(E. coli)ATCC 25922、緑膿菌(P. aeruginosa)ATCC 27853、および黄色ブドウ球菌(S. aureus)ATCC 29213を使用することによって確証された。これらの対照細菌の接種材料は、18-24時間のSBAプレートから、上記のように調製した。換算係数は、大腸菌(E. coli)(6.83x108 CFU/mL/OD)、緑膿菌(P. aeruginosa)(5.74x1010 CFU/mL/OD)、および黄色ブドウ球菌(S. aureus)(2.07xl010 CFU/mL/OD)とした。
【0196】
5.15 mg/mlの化合物Aの原液は、100% DMSO中で作製された。使用する前に、原液をCAMHBで希釈してから上記のように96ウェルプレートに添加した。比較対照用の抗生物質、シプロフロキサシン、セフタジジム、およびアジスロマイシンはいずれもUSPから購入し、CLSI M 100-S 18 Table 4 ガイドラインにしたがって5.15 mg/mL原液とし、使用まで-70℃で保存した。
【実施例0197】
化合物Aは、炭疽菌(Bacillus anthracis)および鼻疽菌(B. mallei)の菌株に対して非常に有効でありまた、ペスト菌(Yersinia pestis)および野兎病菌(Franciscella tularensis)に対しても有意な活性を有し、これらの病原菌に対して優秀なMIC50 およびMIC90値を示した(表1)。化合物AのMIC値は、これらの病原菌に起因する疾患の治療用に現在推奨されるドキシサイクリンと同等であった。しかしながら、ドキシサイクリンとは異なり、化合物Aは、排出もしくはリボソームによる耐性機構のいずれかを有する菌株に対して活性を有することが期待される。
【0198】
【表1】
【実施例0199】
臨床検体から単離された細菌を用いて、独立した実験室において化合物Aのin vitro活性を評価した。すべての嫌気性もしくは通性嫌気性生物に対して、陽イオン調整ミューラーヒントンブロス((CAMHB, DIFCO Lot#5230237)を用いて、米国臨床検査標準協議会(Clinical & Laboratory Standards Institute)(CLSI, M7-A7, 2006)により推奨される微量液体希釈法によって、MICを求めた。レンサ球菌などの培養困難な生物を検査する場合には、CAMHBに3-5%ウマ溶血液(Hemostat Lot# H06036)を添加した。インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)を検査するためにヘモフィルステスト培地(HTM)を使用した。分離株の大部分を検査するためにシンプルなミューラーヒントン寒天培地(Difco Lots 1303004 & 5011641)を使用し、レンサ球菌を検査するためには5%ヒツジ血液(Hema Resource Lot # 1127-100140-04)を添加して、CLSI文書M7-A7, 2006により指定された方法を使用する寒天希釈法によっても、選択された微生物群を検査することができる。使用されるすべての培養液は、MICトレー作製の時点で、培養開始後12時間未満とした。
【0200】
すべての嫌気性菌株は、CLSI (M11-A6, 2004)の指定する方法を用いた微量液体希釈法および寒天希釈法によって検査した。すべての嫌気性菌株の検査には、5μg/mlヘミン (Sigma Lot #89K0914)、1μg/mlビタミンK1 (Sigma Lot#120K1413)、および5%ウマ溶血液(Hemostat Lot #H06036)を添加したブルセラブロス(BBL Lot #5227153)を使用した。さらに、すべての菌株は、5μg/mlヘミン、1μg/mlビタミンK1、および5%ヒツジ溶血液(Hema Resource Lot # 1127-100140-04)を添加したブルセラ寒天培地(BBL Lot #6160970)を用いた寒天希釈法によって検査した。MICトレーの調製には、培養開始後12時間未満の新鮮培養液を使用した。寒天希釈プレートは、検査当日に流し込んだ。
【0201】
化合物Aは、検査したほとんどすべての臨床分離株に対して活性を示した(表2)。これには、ドキシサイクリンなど現行のテトラサイクリン系抗生物質に対して耐性である分離株が含まれた(表2)。化合物Aは、テトラサイクリンを含めて、通常使用される抗生物質に対する耐性にかかわりなく、ABSSSIおよびCABPにおいて見られるはずの病原菌に対しても活性を示した。化合物Aのin vitro活性は、下気道の感染症における潜在的有用性と矛盾しない重要な特性として、血清もしくは肺サーファクタントの影響を受けなかった。
【0202】
【表2】
a ND-実験せず。
b 新鮮培地を用いて微量液体希釈法により測定されたMIC。Brown, S., and M. M. Traczewski, 2007. MK-2764: In vitro Spectrium of Activity, Confirmation of Disk Mass, Agar Dilution Validation and Short Term Stability using Fresh Media, The Clinical Microbiology Institute Report, Wilsonville, OR. から得られたデータ。
【実施例0203】
複数の感染動物モデルにおいてさまざまな病原菌を用いて、化合物Aのin vivo活性を実証した。表3に示すように、化合物Aは総じて、ミノサイクリン、バンコマイシンおよびリネゾリドと同等に、またはそれ以上に、強力かつ有効であった。
【0204】
【表3】
aPD50 (50%感染防御量)は50%生存を達成するのに必要な用量として定義される。
bED50 (50%有効量)は、未処置対照群に対して、標的臓器における細菌負荷(cfu/g)の2log10の減少を達成するのに必要な用量として定義される。
【実施例0205】
致死的なペスト菌(Y. pestis)の暴露後予防(PEP)感染モデルにおいて、化合物A(オマダサイクリン)のin vivo活性を検討した。全身エアロゾル噴霧により6-8週齢の雌BALB/cマウスを、LD50 29.9のペスト菌(Y. pestis (CO92))に感染させた。各群につき10匹のマウスを使用した。化合物Aを感染24時間後に、5、10、20および40 mg/kgの用量で、7日間12時間ごとに腹腔内投与した。陽性対照として、ドキシサイクリンを5、10、20および40 mg/kgの用量で、ならびにシプロフロキサシンを15 mg/kgの用量で、使用した。マウスは感染後14日間追跡調査し、生存パーセントを求めた。
【0206】
結果を図1に示すが、これは40 mg/kgの化合物Aが、ペスト菌(Y. pestis)感染を少なくとも感染後14日間治療するのに、ドキシサイクリン40 mg/kgより有効であり、シプロフロキサシン15 mg/kgとは少なくとも同程度に有効であることを示す。この実験において、化合物AのMICは1μg/mLであり、ドキシサイクリンは0.5μg/mL、シプロフロキサシンは0.06μg/mLであった。また、化合物AのPD50は23.5(20.1~27.0 mg/kgの範囲)であるのに対して、ドキシサイクリンのPD50は29.7(20.7~38.8の範囲)であった。
【実施例0207】
致死的な炭疽菌(B. anthracis)の暴露後予防(PEP)感染モデルにおいて、化合物A(オマダサイクリン)のin vivo活性を検討した。全身エアロゾル噴霧により6-8週齢の雌BALB/cマウスを、LD50 30.5の炭疽菌(B. anthracis)AMES株に感染させた。各群につき10匹のマウスを使用した。化合物Aを感染24時間後に、0.75、2.5、7.5、および15mg/kgの用量で、14日間12時間ごとに腹腔内投与した。陽性対照として、ドキシサイクリンを0.75、2.5、7.5、および15mg/kgの用量で、ならびにシプロフロキサシンを30 mg/kgの用量で、使用した。マウスは感染後41日間追跡調査し、生存パーセントを求めた。
【0208】
結果を図2に示すが、これは化合物Aが、炭疽菌(B. anthracis)感染を少なくとも感染後41日間治療するのに、ドキシサイクリンもしくはシプロフロキサシンと同様に有効であることを示す。この実験において、化合物AのMICは<0.03μg/mLであったが、ドキシサイクリンおよびシプロフロキサシンのMICはいずれも0.03μg/mLであった。また、化合物AのPD50は0.8(0.6~1.1 mg/kgの範囲)であるのに対して、ドキシサイクリンのPD50は2.0(1.4~2.6の範囲)であった。
【実施例0209】
致死的な鼻疽菌(B. mallei)の暴露後予防(PEP)感染モデルにおいて、化合物A(オマダサイクリン)のin vivo活性を検討した。全身エアロゾル噴霧により6-8週齢の雌BALB/cマウスを、LD50 59.6の鼻疽菌(B. mallei)(China 7)に感染させた。各群につき10匹のマウスを使用した。化合物Aを感染24時間後に、0.75、2.5、7.5および15 mg/kgの用量で、21日間12時間ごとに腹腔内投与した。陽性対照として、ドキシサイクリンを0.75、2.5、7.5および15 mg/kgの濃度で、ならびにアジスロマイシンを15 mg/kgの濃度で、使用した。マウスは感染後55日間追跡調査し、生存パーセントを求めた。
【0210】
結果を図3に示すが、これは化合物Aが、鼻疽菌(B. mallei)感染の治療に、ドキシサイクリンもしくはアジスロマイシンと同程度に有効であることを示す。この実験において、化合物AのMICは0.25μg/mLであり、ドキシサイクリンのMICは0.06μg/mL、ならびにアジスロマイシンのMICは0.5μg/mLであった。また、化合物AのPD50は<0.75 mg/kgであり、ドキシサイクリンのPD50も<0.75 mg/kgであった。投薬群の動物は1匹を除いて全動物がすべての処置を生き延びた。対照群の動物はいっさい生存しなかった。
【0211】
同等物
当業者は、ルーチンの実験だけで、本明細書に記載の具体的な実施形態および方法と同等な多くの事物を認識し、または確認することができる。こうした同等物は、本発明の範囲に含まれるものとする。本明細書に引用されたすべての特許、特許出願、および参照文献は、参考として特に本明細書に組み入れられる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌感染を、被験体において、治療するための組成物であって、該組成物は、有効量の化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で含み、該化合物は以下の構造式を有する化合物A
【化1】
あり、前記細菌感染は生物兵器として使用されうる細菌に起因するものであり、
前記細菌は、粉末もしくはエアロゾルの形態であり、
前記化合物は化合物が25 mg~600 mgの用量にて経口投与される、又は25 mg~300 mgの用量にて静脈内投与される、前記組成物。
【請求項2】
前記細菌が、炭疽菌(B. anthracis)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
細菌感染を、被験体において、治療するための組成物であって、該組成物は、有効量の化合物もしくはその塩を、約10 mgから約1000 mgまでの用量で含み、該化合物は以下の構造式を有する化合物A
【化2】
あり、前記細菌感染は生物兵器として使用されうる細菌に起因するものであり、
前記細菌は、ペスト菌(Yersinia pestis)であり、
前記細菌は、粉末もしくはエアロゾルの形態であり、
前記化合物は化合物が25 mg~600 mgの用量にて経口投与される、又は25 mg~300 mgの用量にて静脈内投与される、前記組成物。
【請求項4】
前記細菌が、ペスト菌(Yersinia pestis)である、請求項3に記載の組成物。