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特開2023-22186抗デスレセプター抗体およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022186
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】抗デスレセプター抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230207BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230207BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
A61K39/395 N
A61P31/00
A61P35/00
A61P9/00
A61P35/02
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188988
(22)【出願日】2022-11-28
(62)【分割の表示】P 2018529176の分割
【原出願日】2016-12-01
(31)【優先権主張番号】PA201500771
(32)【優先日】2015-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA201500787
(32)【優先日】2015-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA201500788
(32)【優先日】2015-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA201600701
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA201600702
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】518192172
【氏名又は名称】ジェンマブ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ベアースケンズ フランク
(72)【発明者】
【氏名】オーバーダイク マリジュ
(72)【発明者】
【氏名】デ ジョン ロブ
(72)【発明者】
【氏名】サテン デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ストルマン クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】シュールマン ジェニン
(72)【発明者】
【氏名】パレン ポール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】細胞内デスドメインを持つ腫瘍壊死因子(TNF)レセプタースーパーファミリー(TNFR-SF)のメンバーであるデスレセプターの抗原に特異的に結合する単一特異性抗体分子または二重特異性抗体分子を提供する。
【解決手段】標的結合後のIgG分子のクラスター化を強化する変異をFc領域中に有するIgG1アイソタイプの抗体分子を開示する。さらに本発明は、1つまたは複数の特異的デスレセプター上の異なるエピトープに結合する抗体分子の組合せに関する。本発明は、これらの分子を含有する薬学的組成物、およびこれらの組成物を使ったがんの処置にも関係する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域と細胞内デスドメインを含むデスレセプターに結合する抗原結合領域とを含む抗体であって、
該Fc領域がEUナンバリングでヒトIgG1中の位置E430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む、前記抗体。
【請求項2】
EUナンバリングでヒトIgG1中の位置S440に対応するアミノ酸位置にある変異がS440YまたはS440Wである、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
前記Fc領域が、少なくとも、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430およびE345に対応するアミノ酸位置に第1および第2の変異を含む、請求項1または2記載の抗体。
【請求項4】
前記Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のY436およびS440からなる群より選択されるアミノ酸位置に第3の変異をさらに含む、請求項3記載の抗体。
【請求項5】
前記Fc領域が、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択される変異を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の抗体。
【請求項6】
前記Fc領域が、E430G、E345KおよびS440Yからなる群より選択される変異を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項7】
EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS440に対応するアミノ酸位置にある第1、第2および第3の変異が、E430G、E345RおよびS440Yである、請求項4記載の抗体。
【請求項8】
EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS436に対応するアミノ酸位置にある第1、第2および第3の変異が、E430G、E345RおよびY436Iである、請求項4記載の抗体。
【請求項9】
前記Fc領域が、K439に対応するアミノ酸位置にさらなる変異を含む、請求項1~7のいずれか一項記載の抗体。
【請求項10】
前記Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430および/またはE345に対応するアミノ酸位置に変異を含み、該Fc領域が、S440に対応するアミノ酸位置にさらなる変異を含むが、該変異はS440YでもS440Wでもないものとする、請求項1、3~5、8のいずれか一項記載の抗体。
【請求項11】
さらなる変異が、K439E、K439Dからなる群より選択される、請求項9記載の抗体。
【請求項12】
さらなる変異が、S440K、S440RおよびS440Hからなる群より選択される、請求項10記載の抗体。
【請求項13】
さらなる変異がK439EまたはS440Kから選択される、請求項1、3~10のいずれか一項記載の抗体。
【請求項14】
細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバーが、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、およびNGFRからなる群より選択される、前記請求項1~のいずれか一項記載の抗体。
【請求項15】
細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバーがFASである、前記請求項1~14のいずれか一項記載の抗体。
【請求項16】
細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバーがDR4である、前記請求項1~14のいずれか一項記載の抗体。
【請求項17】
IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgDまたはIgMアイソタイプである、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項18】
IgG1アイソタイプである、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項19】
IgG1m(f)、IgG1m(a)、IgG1m(z)、IgG1m(x)アロタイプまたは混合アロタイプである、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項20】
モノクローナル抗体である、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項21】
ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項22】
アゴニスト性である、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項23】
カスパーゼ依存性細胞死などの、標的細胞におけるプログラム細胞死を誘導する、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項24】
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群からの細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバー
を発現する標的細胞におけるアポトーシスを誘導する、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項25】
細胞の生存率を低減する、前記請求項のいずれか一項記載の抗体。
【請求項26】
1つまたは複数の、前記請求項1~19および21~25のいずれか一項記載の抗原結合領域を含む、多重特異性抗体。
【請求項27】
前記請求項1~19および21~25のいずれか一項において定義された第1の抗原結合領域および第2の抗原結合領域を含む二重特異性抗体である、請求項26記載の多重特異性抗体。
【請求項28】
第1の抗原結合領域および第2の抗原結合領域が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターの1つまたは複数のメンバー
上の異なるエピトープに結合する、請求項27記載の二重特異性抗体。
【請求項29】
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバー
に結合する第1の抗原結合領域が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバー
に結合する第2の抗原結合領域の結合をブロックしない、前記請求項27~28のいずれか一項記載の二重特異性抗体。
【請求項30】
少なくとも1つの、前記請求項のいずれか一項記載の抗体を含む、組成物。
【請求項31】
1つまたは複数の、前記請求項のいずれか一項記載の抗体を含む、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
前記請求項1~29のいずれか一項において定義された第1の抗体および第2の抗体を含む、前記請求項30~31のいずれか一項記載の組成物。
【請求項33】
i)前記Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430またはE345に対応するアミノ酸位置にある第1の変異と、EUナンバリングでヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置にあるさらなる変異とを含む、請求項1~29のいずれか一項記載の第1の抗体、
ii)前記Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430またはE345に対応するアミノ酸位置にある第1の変異と、EUナンバリングでヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置にあるさらなる変異とを含む、請求項1~29のいずれか一項記載の第2の抗体
を含む、前記請求項30~32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項34】
さらなる変異がK439EおよびK439Dの群から選択される第1の抗体と、さらなる変異がS440K、S440RまたはS440Hの群から選択される第2の抗体とを含む、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
さらなる変異がK439Eである第1の抗体と、さらなる変異がS440Kである第2の抗体とを含む、請求項33~34のいずれか一項記載の組成物。
【請求項36】
第1の抗体および第2の抗体が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRなどからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターの1つまたは複数のメンバー
上の異なるエピトープに結合する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項37】
第1の抗体および第2の抗体が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、同じデスレセプター
上の異なるエピトープに結合する、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
第1の抗体および第2の抗体が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、デスレセプターの異なるメンバー
に結合する、請求項36記載の組成物。
【請求項39】
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターの1つのメンバー
に結合する第1の抗体が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターの1つのメンバー
に結合する第2の抗体の結合をブロックしない、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項40】
第1の抗体がDR4に結合し、第2の抗体がDR5に結合する、請求項36、38~39のいずれか一項記載の組成物。
【請求項41】
第1の抗体および第2の抗体が、組成物中に、1:49~49:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で存在する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項42】
第1の抗体および第2の抗体ならびに/または任意の追加抗体が、組成物中に、等モル比で存在する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項43】
薬学的組成物である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項44】
薬学的担体をさらに含む、前記請求項30~43のいずれか一項記載の組成物。
【請求項45】
医薬として使用するための、前記請求項30~44のいずれか一項記載の組成物。
【請求項46】
感染性疾患、自己免疫疾患または心血管異常の処置において使用するための、前記請求項30~45のいずれか一項記載の組成物。
【請求項47】
固形腫瘍および/または血液学的腫瘍の処置において使用するための、前記請求30~45のいずれか一項記載の組成物。
【請求項48】
結腸直腸癌および結腸直腸腺癌を含む結腸直腸がん、膀胱がん、骨肉腫、軟骨肉腫、トリプルネガティブ乳がんを含む乳がん、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維肉腫、神経内分泌腫瘍を含む中枢神経系のがん、子宮頸がん、子宮内膜がん、胃腺癌を含む胃がん、頭頸部がん、腎がん、肝細胞癌を含む肝がん、NSCLCおよびSCLCを含む肺がん、卵巣がん、膵管癌および膵臓腺癌を含む膵がん、肉腫、または悪性黒色腫および非黒色腫皮膚がんを含む皮膚がんなどの固形腫瘍の処置において使用するための、前記請求項30~45または47のいずれか一項記載の組成物。
【請求項49】
血液学的腫瘍、例えば、慢性リンパ球性白血病と、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病を含む骨髄性白血病とを含む白血病、非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、またはホジキンリンパ腫を含むもしくは骨髄異形成症候群を含む多発性骨髄腫などの処置において使用するための、前記請求項30~45または47のいずれか一項記載の組成物。
【請求項50】
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR発現腫瘍の成長の阻害に使用するための、前記請求項30~45または47~49のいずれか一項記載の組成物。
【請求項51】
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR発現腫瘍におけるアポトーシスの誘導に使用するための、前記請求項30~45または47~50のいずれか一項記載の組成物。
【請求項52】
がんを有する個体を処置する方法であって、該個体に、有効量の、前記請求項のいずれか一項記載の抗体または組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項53】
追加の治療作用物質を投与する工程をさらに含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
追加の治療作用物質が、化学療法剤(パクリタキセル、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、ペメトレキセドを含むが、それらに限定されるわけではない)、キナーゼ阻害剤(ソラフェニブ、スニチニブまたはエベロリムスを含むが、それらに限定されるわけではない)、アポトーシス調節物質(組換えヒトTRAILまたはビリナパントを含むが、それらに限定されるわけではない)、RAS阻害剤、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含むが、それに限定されるわけではない)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(ボリノスタットを含むが、それに限定されるわけではない)、機能性食品、サイトカイン(IFN-γを含むが、それに限定されるわけではない)、抗体または抗体ミメティック(抗EGFR、抗IGF-1R、抗VEGF、抗CD20、抗CD38、抗HER2、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA4、抗CD40、抗CD137、抗GITR抗体および抗体ミメティックを含むが、それらに限定されるわけではない)、抗体-薬物コンジュゲートからなる群より選択される1つまたは複数の抗がん剤である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記請求項のいずれか一項記載の抗体または組成物を含み、該抗体または組成物がバイアルなどの1つまたは複数の容器に入っている、キット・オブ・パーツ(kit of parts)。
【請求項56】
前記請求項のいずれか一項記載の抗体または組成物が、治療において同時使用、個別使用または逐次使用するためのものである、請求項55記載のキット・オブ・パーツ。
【請求項57】
がん処置用の医薬の製造のための、前記請求項1~45または47~51のいずれか一項記載の抗体または組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、細胞内デスドメインを持つ腫瘍壊死因子(TNF)レセプタースーパーファミリー(TNFR-SF)のメンバーであるデスレセプターの抗原に特異的に結合する単一特異性抗体または二重特異性抗体に関する。本発明は、特に、標的結合後のIgG分子のクラスター化を強化する変異をFc領域中に有するIgG1アイソタイプの抗体分子に関する。さらに本発明は、1つまたは複数の特異的デスレセプター上の異なるエピトープに結合する抗体分子の組合せに関する。本発明は、これらの分子を含有する薬学的組成物、およびこれらの組成物を使ったがんの処置にも関係する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
デスレセプター(DR)はTNFR-SFのサブセットであり、これらは、デスドメイン(DD)として公知である約80アミノ酸の細胞質配列を特徴とする、形質膜レセプターである(Nagata et al., Cell. 1997 Feb 7;88(3):355-65(非特許文献1)、Ashkenzai et al., Science. 1998 Aug 28;281(5381):1305-8(非特許文献2)、Locksley et al., Cell. 2001 Feb 23;104(4):487-501(非特許文献3)、Wajant Cell Death Differ. 2015 Nov;22(11):1727-41(非特許文献4))。腫瘍壊死因子(TNF)レセプタースーパーファミリー(TNFR-SF)の細胞内デスドメインが、2つの主要シグナリングカスケード、すなわち、NF-カッパB活性化およびJNK活性化につながるキナーゼカスケードと、細胞死につながるカスパーゼカスケードとを活性化することは、公知である(Ashkenazi et al., Science. 1998 Aug 28;281(5381):1305-8(非特許文献2))。デスレセプターのリガンド媒介活性化はさまざまな形質転換細胞株においてアポトーシスをトリガーすることが示されている。したがって、さまざまな疾患に関して、アゴニスト抗体を含むデスレセプター標的治療薬を開発するための努力が、大いになされてきた。しかしこれらの努力では限られた臨床的有効性しか得られなかった。
【0003】
したがって、細胞内デスドメインを持つ腫瘍壊死因子(TNF)レセプタースーパーファミリー(TNFR-SF)のデスレセプターに結合する改良された抗体、例えばがん、感染性疾患、自己免疫疾患、心血管異常および他の疾患を処置するための改良された抗デスレセプター抗体を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nagata et al., Cell. 1997 Feb 7;88(3):355-65
【非特許文献2】Ashkenazi et al., Science. 1998 Aug 28;281(5381):1305-8
【非特許文献3】Locksley et al., Cell. 2001 Feb 23;104(4):487-501
【非特許文献4】Wajant Cell Death Differ. 2015 Nov;22(11):1727-41
【発明の概要】
【0005】
驚いたことに、本発明の発明者らは、細胞内デスドメインを含むTNFR-SFのメンバーであるデスレセプターの抗原に特異的に結合する抗体のFc領域に特異的点変異を導入すると、細胞表面上の標的に抗体が結合した後のFcγR非依存的なクラスター化により、インビトロおよびインビボで抗体の効力が有意に強化されることを見いだした。さらに驚いたことに、本発明者らは、Fc領域に変異を持つ2つの抗デスレセプター抗体の組合せが、細胞表面抗原結合を条件とする抗体のクラスター化を促進することで、ヘテロ六量体の形成をもたらし、変異を持たない当該2つの抗デスレセプター抗体の組合せと比較して強化された効力をもたらすことも見いだした。
【0006】
本発明の目的は、例えばがんの処置において使用するための、改良された抗デスレセプター抗体、例えば抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体を提供することである。そのような改良された抗デスレセプター抗体はFcドメインに変異を含む。本発明のさらにもう一つの目的は、デスレセプター上の異なるエピトープに結合する1つまたは複数の抗デスレセプター抗体、例えば抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体を含む、がんを処置するための改良された組成物を提供することである。本明細書に記載するそのような改良された組成物は少なくとも1つの抗デスレセプター抗体を含むか、本組成物は、1つまたは複数のデスレセプター上の異なる領域に結合する、例えば次に挙げるデスレセプター、すなわちFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、およびNGFRからなる群より選択されるデスレセプターのうちの1つまたは複数上の異なるエピトープに結合する、2つの抗デスレセプター抗体を含む。
【0007】
本発明は、ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域とデスレセプターに結合する抗原結合領域とを含む抗体、例えば抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体であって、Fc領域が、EUナンバリング(Edelman et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1969 May;63(1):78-85、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition. 1991 NIH Publication No. 91-3242)で、ヒトIgG1中の位置E430、E345またはS440に対応するアミノ酸に変異を含む抗体を提供する。文脈上矛盾が生じる場合を除き、免疫グロブリンIgGは、IgGと同じ意味を有する。
【0008】
一局面において、本発明は、ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域と細胞内デスドメインを含むデスレセプターに結合する抗原結合領域とを含む抗体であって、該Fc領域がEUナンバリングでヒトIgG1中の位置E430、E345またはS440に対応するアミノ酸に変異を含む、前記抗体を提供する。
【0009】
すなわち、本発明の発明者らは、本発明の第1の局面において、本発明の抗デスレセプター抗体、例えば抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体が、EUナンバリングでヒトIgG1中の位置E430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を持たない抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体と比較して、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFRを発現する細胞、例えば腫瘍細胞のアポトーシスを増加させることを見いだした。すなわち、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFR陽性または発現腫瘍の処置に適している。したがって、本発明の抗体は、次に挙げる:FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる1つまたは複数の抗原について陽性である、または前記1つもしくは複数の抗原を発現する、腫瘍の処置に適している。
【0010】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域とデスレセプターに結合する抗原結合領域とを含み、Fc領域は、EUナンバリングでヒトIgG1中の位置E430GまたはE345Kに対応する変異を含む。したがって、本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域とデスレセプターに結合する抗原結合領域とを含み、Fc領域はE430G変異またはE345K変異を含む。
【0011】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域を含み、Fc領域はE430G変異を含む。
【0012】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域を含み、Fc領域はE345K変異を含む。
【0013】
一局面において、本発明は、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFRからなる群より選択される1つまたは複数の抗デスレセプター抗体を含む組成物を提供する。一態様において、組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFR上の異なるエピトープに結合する1つまたは複数の抗体を含む。一態様において、組成物は、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFRからなる群より選択される少なくとも第1の抗体および第2の抗体を含み、第1の抗体は第2の抗体の抗原結合をブロックしない。
【0014】
別の一局面において、本発明は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRに結合する1つまたは複数の抗原結合領域を含む二重特異性抗体を提供する。一態様において、本発明の二重特異性抗体は第1重鎖および第2重鎖を含み、第1重鎖がF405L変異を含み、かつ第2重鎖がK409R変異を含むか、またはその逆である。したがって一態様において、本発明の二重特異性抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1重鎖および第2重鎖を含み、第1重鎖はF405L変異を含み、かつ第2重鎖はK409R変異を含む。したがって一態様において、本発明の二重特異性抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1重鎖および第2重鎖を含み、第1重鎖はK409R変異を含み、かつ第2重鎖はF405L変異を含む。
【0015】
さらに別の一局面において、本発明は、疾患を処置する方法であって、その必要がある個体に、有効量の、本明細書に記載する抗体または組成物を投与する工程を含む方法を提供する。本発明の一態様において、疾患はがんである。
【0016】
本発明の別の一局面において、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、もしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体または組成物は、医薬として使用するためのものである。一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、もしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体または組成物は、疾患の処置において使用するためのものである。一態様において、疾患はがんまたは腫瘍である。
【0017】
さらに別の一局面において、本発明は、がんを有する個体を処置する方法であって、該個体に、有効量の、本明細書に記載する抗体または組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
【0018】
別の一局面において、本発明は、前記請求項のいずれか一項記載の抗体または組成物を含み、抗体または組成物がバイアルなどの1つまたは複数の容器に入っている、キット・オブ・パーツ(kit of parts)を提供する。
【0019】
別の一局面において、本発明は、疾患処置用の医薬の製造のための、本明細書に記載する抗体または組成物の使用を提供する。一態様において、本発明は、がん処置用の医薬の製造のための、本明細書に記載する抗体または組成物の使用を提供する。
【0020】
本明細書に記載する抗体および組成物は、ヒトFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを指向し、またはそれらに特異的である。記載の抗体および組成物はアカゲザルおよびカニクイザルのFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRと交差反応する。特に、一態様において、抗体および組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRの細胞外ドメインに特異的に結合する。一特定態様において、抗体および組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群からの同じデスレセプターに、例えばオーバーラップしないエピトープにおいて結合する。すなわち、本明細書に記載する第1の抗体は、本明細書に記載する第2の抗体の結合をブロックしない。一特定態様において、本明細書に記載の組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRに結合する第1の抗体および第2の抗体を含み、第1の抗体は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRへの第2の抗体の結合をブロックしない。
【0021】
本発明の抗体および組成物は、一般に、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRなどのデスレセプターの活性を調整するために使用することができる。一態様において、抗体または組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRなどのデスレセプターによって媒介されるシグナリングをトリガーし、活性化し、かつ/または増加させ、もしくは強化することができる。一態様において、抗体または組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRなどのデスレセプターに対してアゴニスト効果を有することができ、特に、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRに関連する生物学的機序、応答および効果、それらのシグナリング、ならびに/またはFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRが関与する経路を、トリガーし、または増加させることができる。すなわち、本発明の抗体または組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを発現する細胞または組織、例えばがん細胞または腫瘍細胞において、アポトーシスまたは細胞死を誘導しうる。
【0022】
一態様において、本明細書に記載の抗体または組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを発現する細胞または組織、例えばがん細胞または腫瘍細胞において、アポトーシス、細胞死または成長停止を誘導し、トリガーし、増加させ、または強化する。一態様において、本明細書に記載の抗体または組成物は、細胞表面上のFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRに結合する能力を有し、特に、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRによって媒介されるシグナリングが誘導され、トリガーされ、増加し、または強化されるような形で、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRに結合する能力を有する。一態様において、本明細書に記載の抗体または組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを発現するがん細胞または腫瘍細胞においてアポトーシスまたは細胞死が誘導されるような形で、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRに結合する能力を有するものであることができる。
【0023】
一態様において、本発明の抗体または組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを発現するがん細胞または腫瘍細胞におけるアポトーシスまたは細胞死を誘導し、トリガーし、増加させ、または強化する。増加したまたは強化されたアポトーシスまたは細胞死は、1つまたは複数の本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体に曝露された細胞またはそれらの抗体で処理された細胞上の、増加したまたは強化されたホスファチジルセリン露出レベルによって測定することができる。あるいは、増加したまたは強化されたアポトーシスまたは細胞死は、1つまたは複数の本発明の抗DR5抗体に曝露された細胞またはそれら抗DR5抗体で処理された細胞におけるカスパーゼ3またはカスパーゼ7の活性化を測定することによって測定することもできる。あるいは、増加したまたは強化されたアポトーシスまたは細胞死は、1つまたは複数の本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体に曝露された細胞培養またはそれらの抗体で処理された細胞培養における、無処理細胞培養と比較した生存率の低下によって測定することができる。カスパーゼ媒介アポトーシスの誘導は、DR5抗体への曝露後の生存率の低下がカスパーゼ阻害剤、例えばZVADによって阻害されることを実証することによって、評価することができる。
[本発明1001]
ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域と細胞内デスドメインを含むデスレセプターに結合する抗原結合領域とを含む抗体であって、
該Fc領域がEUナンバリングでヒトIgG1中の位置E430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む、前記抗体。
[本発明1002]
EUナンバリングでヒトIgG1中の位置S440に対応するアミノ酸位置にある変異がS440YまたはS440Wである、本発明1001の抗体。
[本発明1003]
前記Fc領域が、少なくとも、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430およびE345に対応するアミノ酸位置に第1および第2の変異を含む、本発明1001または1002の抗体。
[本発明1004]
前記Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のY436およびS440からなる群より選択されるアミノ酸位置に第3の変異をさらに含む、本発明1003の抗体。
[本発明1005]
前記Fc領域が、E430G、E345K、E430S、E430F、E430T、E345Q、E345R、E345Y、S440WおよびS440Yからなる群より選択される変異を含む、本発明1001~1004のいずれかの抗体。
[本発明1006]
前記Fc領域が、E430G、E345KおよびS440Yからなる群より選択される変異を含む、本発明1001~1005のいずれかの抗体。
[本発明1007]
EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS440に対応するアミノ酸位置にある第1、第2および第3の変異が、E430G、E345RおよびS440Yである、本発明1004の抗体。
[本発明1008]
EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS436に対応するアミノ酸位置にある第1、第2および第3の変異が、E430G、E345RおよびY436Iである、本発明1004の抗体。
[本発明1009]
前記Fc領域が、K439に対応するアミノ酸位置にさらなる変異を含む、本発明1001~1007のいずれかの抗体。
[本発明1010]
前記Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430および/またはE345に対応するアミノ酸位置に変異を含み、該Fc領域が、S440に対応するアミノ酸位置にさらなる変異を含むが、該変異はS440YでもS440Wでもないものとする、本発明1001、1003~1005、1008のいずれかの抗体。
[本発明1011]
さらなる変異が、K439E、K439Dからなる群より選択される、本発明1009の抗体。
[本発明1012]
さらなる変異が、S440K、S440RおよびS440Hからなる群より選択される、本発明1010の抗体。
[本発明1013]
さらなる変異がK439EまたはS440Kから選択される、本発明1001、1003~1010のいずれかの抗体。
[本発明1014]
細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバーが、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、およびNGFRからなる群より選択される、前記本発明1001~のいずれかの抗体。
[本発明1015]
細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバーがFASである、前記本発明1001~1014のいずれかの抗体。
[本発明1016]
細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバーがDR4である、前記本発明1001~1014のいずれかの抗体。
[本発明1017]
IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgDまたはIgMアイソタイプである、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1018]
IgG1アイソタイプである、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1019]
IgG1m(f)、IgG1m(a)、IgG1m(z)、IgG1m(x)アロタイプまたは混合アロタイプである、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1020]
モノクローナル抗体である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1021]
ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1022]
アゴニスト性である、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1023]
カスパーゼ依存性細胞死などの、標的細胞におけるプログラム細胞死を誘導する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1024]
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群からの細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバー
を発現する標的細胞におけるアポトーシスを誘導する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1025]
細胞の生存率を低減する、前記本発明のいずれかの抗体。
[本発明1026]
1つまたは複数の、前記本発明1001~1019および1021~1025のいずれかの抗原結合領域を含む、多重特異性抗体。
[本発明1027]
前記本発明1001~1019および1021~1025のいずれかにおいて定義された第1の抗原結合領域および第2の抗原結合領域を含む二重特異性抗体である、本発明1026の多重特異性抗体。
[本発明1028]
第1の抗原結合領域および第2の抗原結合領域が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターの1つまたは複数のメンバー
上の異なるエピトープに結合する、本発明1027の二重特異性抗体。
[本発明1029]
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバー
に結合する第1の抗原結合領域が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバー
に結合する第2の抗原結合領域の結合をブロックしない、前記本発明1027~1028のいずれかの二重特異性抗体。
[本発明1030]
少なくとも1つの、前記本発明のいずれかの抗体を含む、組成物。
[本発明1031]
1つまたは複数の、前記本発明のいずれかの抗体を含む、本発明1030の組成物。
[本発明1032]
前記本発明1001~1029のいずれかにおいて定義された第1の抗体および第2の抗体を含む、前記本発明1030~1031のいずれかの組成物。
[本発明1033]
i)前記Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430またはE345に対応するアミノ酸位置にある第1の変異と、EUナンバリングでヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置にあるさらなる変異とを含む、本発明1001~1029のいずれかの第1の抗体、
ii)前記Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430またはE345に対応するアミノ酸位置にある第1の変異と、EUナンバリングでヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置にあるさらなる変異とを含む、本発明1001~1029のいずれかの第2の抗体
を含む、前記本発明1030~1032のいずれかの組成物。
[本発明1034]
さらなる変異がK439EおよびK439Dの群から選択される第1の抗体と、さらなる変異がS440K、S440RまたはS440Hの群から選択される第2の抗体とを含む、本発明1033の組成物。
[本発明1035]
さらなる変異がK439Eである第1の抗体と、さらなる変異がS440Kである第2の抗体とを含む、本発明1033~1034のいずれかの組成物。
[本発明1036]
第1の抗体および第2の抗体が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRなどからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターの1つまたは複数のメンバー
上の異なるエピトープに結合する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1037]
第1の抗体および第2の抗体が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、同じデスレセプター
上の異なるエピトープに結合する、本発明1036の組成物。
[本発明1038]
第1の抗体および第2の抗体が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRからなる群より選択される、デスレセプターの異なるメンバー
に結合する、本発明1036の組成物。
[本発明1039]
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターの1つのメンバー
に結合する第1の抗体が、
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRからなる群より選択される、細胞内デスドメインを含むデスレセプターの1つのメンバー
に結合する第2の抗体の結合をブロックしない、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1040]
第1の抗体がDR4に結合し、第2の抗体がDR5に結合する、本発明1036、1038~1039のいずれかの組成物。
[本発明1041]
第1の抗体および第2の抗体が、組成物中に、1:49~49:1のモル比、例えば1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比で存在する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1042]
第1の抗体および第2の抗体ならびに/または任意の追加抗体が、組成物中に、等モル比で存在する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1043]
薬学的組成物である、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1044]
薬学的担体をさらに含む、前記本発明1030~1043のいずれかの組成物。
[本発明1045]
医薬として使用するための、前記本発明1030~1044のいずれかの組成物。
[本発明1046]
感染性疾患、自己免疫疾患または心血管異常の処置において使用するための、前記本発明1030~1045のいずれかの組成物。
[本発明1047]
固形腫瘍および/または血液学的腫瘍の処置において使用するための、前記本発明1030~1045のいずれかの組成物。
[本発明1048]
結腸直腸癌および結腸直腸腺癌を含む結腸直腸がん、膀胱がん、骨肉腫、軟骨肉腫、トリプルネガティブ乳がんを含む乳がん、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維肉腫、神経内分泌腫瘍を含む中枢神経系のがん、子宮頸がん、子宮内膜がん、胃腺癌を含む胃がん、頭頸部がん、腎がん、肝細胞癌を含む肝がん、NSCLCおよびSCLCを含む肺がん、卵巣がん、膵管癌および膵臓腺癌を含む膵がん、肉腫、または悪性黒色腫および非黒色腫皮膚がんを含む皮膚がんなどの固形腫瘍の処置において使用するための、前記本発明1030~1045または1047のいずれかの組成物。
[本発明1049]
血液学的腫瘍、例えば、慢性リンパ球性白血病と、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病を含む骨髄性白血病とを含む白血病、非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、またはホジキンリンパ腫を含むもしくは骨髄異形成症候群を含む多発性骨髄腫などの処置において使用するための、前記本発明1030~1045または1047のいずれかの組成物。
[本発明1050]
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR発現腫瘍の成長の阻害に使用するための、前記本発明1030~1045または1047~1049のいずれかの組成物。
[本発明1051]
FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR発現腫瘍におけるアポトーシスの誘導に使用するための、前記本発明1030~1045または1047~1050のいずれかの組成物。
[本発明1052]
がんを有する個体を処置する方法であって、該個体に、有効量の、前記本発明のいずれかの抗体または組成物を投与する工程を含む方法。
[本発明1053]
追加の治療作用物質を投与する工程をさらに含む、本発明1052の方法。
[本発明1054]
追加の治療作用物質が、化学療法剤(パクリタキセル、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、ペメトレキセドを含むが、それらに限定されるわけではない)、キナーゼ阻害剤(ソラフェニブ、スニチニブまたはエベロリムスを含むが、それらに限定されるわけではない)、アポトーシス調節物質(組換えヒトTRAILまたはビリナパントを含むが、それらに限定されるわけではない)、RAS阻害剤、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含むが、それに限定されるわけではない)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(ボリノスタットを含むが、それに限定されるわけではない)、機能性食品、サイトカイン(IFN-γを含むが、それに限定されるわけではない)、抗体または抗体ミメティック(抗EGFR、抗IGF-1R、抗VEGF、抗CD20、抗CD38、抗HER2、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA4、抗CD40、抗CD137、抗GITR抗体および抗体ミメティックを含むが、それらに限定されるわけではない)、抗体-薬物コンジュゲートからなる群より選択される1つまたは複数の抗がん剤である、本発明1053の方法。
[本発明1055]
前記本発明のいずれかの抗体または組成物を含み、該抗体または組成物がバイアルなどの1つまたは複数の容器に入っている、キット・オブ・パーツ(kit of parts)。
[本発明1056]
前記本発明のいずれかの抗体または組成物が、治療において同時使用、個別使用または逐次使用するためのものである、本発明1055のキット・オブ・パーツ。
[本発明1057]
がん処置用の医薬の製造のための、前記本発明1001~1045または1047~1051のいずれかの抗体または組成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】現在までに同定された4つの異なるヒトIgG1 Fcアロタイプのアミノ酸アラインメントを示す図である。IgG1m(f)(SEQ ID NO 1)、IgG1m(z)(SEQ ID NO 2)、IgG1m(a)(SEQ ID NO 3)、IgG1m(x)(SEQ ID NO 4)のFc配列。
図2】六量体化強化変異E430GまたはE345Kを持つDR5抗体および六量体化強化変異E430GまたはE345Kを持たないDR5抗体の、DR5陽性COLO205細胞への結合を示す図である。ヒト-マウスキメラ抗体(A)IgG1-DR5-01、(B)IgG1-DR5-05、および(C)二重特異性抗体IgG1-DR5-01-K409R×IgG1-DR5-05-F405L(BsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405L)のバリアントを、FACS分析において、COLO205細胞への結合について試験した。結合は蛍光強度の幾何平均として表されている。抗gp120抗体IgG1-b12を陰性対照として使用した。エラーバーは標準偏差を示す。
図3】コーティングされたsTRAIL-R1へのDR4抗体の結合ELISAを示す図である。グラフは、E430G六量体化強化変異を持つ抗体IgG1-DR4-T1014G03-K409RおよびE430G六量体化強化変異を持たない抗体IgG1-DR4-T1014G03-K409Rの、コーティングされたsTRAIL-R1への結合を表している。
図4-1】異なるDR5抗体のバリアントを用いた生存アッセイを示す図である。E345K(C~D)、E430G(A~B、E~J)またはE345R/E430G/S440Y(RGY)(E、J)六量体化強化変異の導入は、COLO205(A~E)およびHCT116(F~J)大腸がん細胞において、異なるDR5抗体で、死滅の強化をもたらした。エラーバーは標準偏差を示す。データは、抗体なしでインキュベートした試料(死滅なし)およびスタウロスポリンと共にインキュベートした試料(最大死滅)との比較で、ルミネセンス(RLU=相対ルミネセンス単位)として、またはルミネセンスから算出された生細胞%として、提示されている。
図4-2】図4-1の続きの図である。
図5】DR4抗体IgG1-DR4-T1014G03のバリアントを用いた生存アッセイを示す図である。E430G六量体化強化変異の導入は、BxPC-3ヒト膵がん細胞の死滅の強化をもたらした。エラーバーは標準偏差を示す。
図6】FAS抗体IgG1-FAS-E09のバリアントを用いた生存アッセイを示す図である。六量体化強化三重変異E345R/E430G/S440Y(RGY)の導入は、JurkatヒトTリンパ球の用量依存的な死滅をもたらした。
図7-1】六量体化強化変異の導入が、COLO205大腸がん細胞(A~B)でもHCT116大腸がん細胞(C~D~E)でも、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405(AおよびC)ならびにBsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405(BおよびD)による死滅の誘導の強化をもたらしたことを示す図である。エラーバーは標準偏差を示す。
図7-2】図7-1の続きの図である。
図8】BxPC-3膵がん細胞(A)およびHCT15大腸がん細胞(B)での生存アッセイにおいて測定された、E430G変異を持たない組合せと比較した、抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの組合せの効力を示す図である。グラフは二重試料の平均値±標準偏差を表している。
図9】IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gの反発および相補的バリアントバリアントを用いた生存アッセイを示す図である。両抗体への同じ反発変異(K439EまたはS440K)の導入は、BxPC-3膵がん細胞(A)およびHCT-15大腸がん細胞(B)の死滅の誘導の減少をもたらした。両抗体においてそれら2つの変異(K439EおよびS440K)を組み合わせることにより、反発は中和され、死滅が回復した。エラーバーは標準偏差を示す。
図10】六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの、細胞表面でのレセプタークラスター化を誘導する能力、およびアポトーシスの誘導への、Fc相互作用の関与を示す図である。アポトーシスの誘導は、BxPC-3ヒトがん細胞での3日間生存アッセイにおいて示されるとおり、Fc結合ペプチドDCAWHLGELVWCTによって阻害される。
図11-1】3日間生存アッセイで決定した場合に、IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの組合せが、異なるヒトがん細胞株の生存率を低減したことを示す図である。グラフは二重試料からの平均±標準偏差を示している。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.001(一元配置ANOVAとテューキーの多重比較検定)。01はIgG1-DR5-01-K409R、05はIgG1-DR5-05-F405L、01-E430GはIgG1-DR5-01-K409R-E430G、05-E430GはIgG1-DR5-05-F405L-E430Gである。
図11-2】図11-1の続きの図である。
図12】六量体化強化変異を導入すると、3日間生存アッセイで決定した場合に、抗体の組合せIgG1-DR5-05-F405L-E345K+IgG1-CONA-K409R-E430GおよびBsAb CONA-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E345Kによって、HCT116大腸がん細胞の死滅の誘導が強化されることを示す図である。エラーバーは標準偏差を示す。RLU:相対ルミネセンス単位。
図13】接着COLO205結腸直腸がん細胞(A)ならびにPANC-1膵がん細胞(B)およびBxPC-3膵がん細胞(C)での3日間生存アッセイにおける、抗ヒトIgG F(ab')2による二次的Fc架橋の存在下または非存在下での、DR5抗体IgG1-DR5-CONAおよびIgG1-DR5-chTRA8-F405Lと比較した、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GおよびBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gの有効性を示す図である。非標的結合抗体IgG1-b12を陰性対照として含めた。グラフは二重試料からの平均±標準偏差を示している。
図14】PANC-1(AおよびB)ならびにBxPC-3(C)膵がん細胞での生存アッセイにおいて測定されたヒト化IgG1-hDR5-01-E430G+IgG1-hDR5-05-E430G(01-E430G+05-E430G)抗体の組合せによるカスパーゼ依存性プログラム細胞死を示す図である。ZVAD、Z-VAD-FMK。
図15】COLO205大腸がん細胞においてDR5抗体の組合せが結合したときの細胞死の誘導を示す図である。COLO205細胞を抗体試料と共に5時間(A~C)および24時間(D~E)インキュベートした。細胞死誘導の異なる段階を、アネキシンV/PI二重染色および活性型カスパーゼ-3染色によって分析した。エラーバーは2つの二重試料の標準偏差を示す。01はIgG1-DR5-01-K409R、05はIgG1-DR5-05-F405L、01-E430GはIgG1-DR5-01-K409R-E430G、05-E430GはIgG1-DR5-05-F405L-E430G、01×05はBsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405L、01-E430G×05-E430GはBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gである。
図16】COLO205大腸がん細胞において抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430G(A)およびBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430G(B)が結合したときのカスパーゼ-3/7活性化の動態を示す図である。COLO205細胞を抗体と共に1、2、5および24時間インキュベートした。カスパーゼ-3/7活性化は均一ルミネセンスアッセイで分析した。AU、任意単位。エラーバーは二重試料の標準偏差を示す。
図17】BxPC-3膵がん細胞での生存アッセイにおいて測定された、抗体の組合せIgG1-hDR5-01-K409R-E430G+IgG1-hDR5-05-F405L-E430Gの効力および抗体の組合せIgG1-hDR5-01-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの効力を示す図である。グラフは二重試料の平均値±標準偏差を表している。
図18】3日間生存アッセイした決定した場合の、接着BxPC-3ヒトがん細胞での、異なる比のIgG1-DR5-01-K409R-E430GおよびIgG1-DR5-05-F405L-E430G(DR5-01-E430G:DR5-05-E430G)の有効性を示す図である。
図19】3日間生存アッセイで決定した場合の、接着BxPC-3(A)およびHCT-15(B)ヒトがん細胞での、異なる比のIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430G(DR5-01-E430G:DR5-05-E430G)の有効性を示す図である。
図20】COLO205ヒト大腸がん細胞による皮下異種移植片モデルにおける、六量体化強化変異E430Gを持つ、および六量体化強化変異E430Gを持たない、キメラIgG1-DR5-05-F405Lのインビボ有効性の評価を示す図である。表示の抗体(5mg/kg)で処置されたマウスにおける腫瘍形成(平均およびSEM)を経時的に示す(A)。(B)では、750mm3より小さい腫瘍サイズを持つマウスのパーセンテージが、カプランマイヤープロットで示されている。
図21】FAS抗体IgG1-FAS-E09のバリアントを用いたJurkatヒトTリンパ球での生存アッセイを示す図である。Fc-Fc反発変異K439EまたはS440Kの存在下では、六量体化強化変異E345R/E430G/S440Y(RGY)またはE345R/E430G/Y436I(RGI)を持つIgG1-FAS-E09バリアントによる死滅が阻害された。RGEY:E345R/E430G/K439E/S440Y、RGIK:E345R/E430G/Y436I/S440K。
図22】付着COLO205ヒト大腸がん細胞でのDR5抗体IgG1-DR5-CONAおよびIgG1-DR5-CONA-E430Gによる生存アッセイを示す図である。六量体化強化変異E430Gの導入は死滅の誘導をもたらした。データは、抗体なしでインキュベートした試料(死滅なし)およびスタウロスポリンと共にインキュベートした試料(最大死滅)との比較で、ルミネセンスから算出された生細胞%として提示されている。エラーバーは標準偏差を示す。
図23】COLO205ヒト大腸がん細胞でのDR5抗体による生存アッセイを示す図である。六量体化強化変異S440Yの導入は、単独の抗体IgG1-hDR5-01-G56TおよびIgG1-hDR5-05による死滅の誘導(A)、ならびに抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05の有効性の増加(B)をもたらした。データは、抗体なしでインキュベートした試料(死滅なし)およびスタウロスポリンと共にインキュベートした試料(最大死滅)との比較で、ルミネセンスから算出された生細胞%として提示されている。エラーバーは標準偏差を示す。
図24図24Aは、IgG1-DR5-CONA-K409RとIgG1-DR5-chTRA8-F405Lとの間の交差ブロックELISAを示す図である。(B)E430G六量体化強化変異の導入は、3日間生存アッセイにおいて決定した場合に、非交差ブロック性抗体IgG1-DR5-CONA-E430G+IgG1-DR5-chTRA8-E430Gの組合せによるBxPC-3ヒト膵がん細胞の死滅の誘導の強化をもたらした。エラーバーは標準偏差を示す。
図25A】HCT15ヒト大腸がん細胞による皮下異種移植片モデルにおける、六量体化強化変異E430Gを持つ、および六量体化強化変異E430Gを持たない、抗DR5抗体濃度IgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05のインビボ有効性の評価を示す図である。0.5mg/kg抗体で処置されたマウスにおける腫瘍形成(平均およびSEM)を、経時的に(A)、および処置開始後21日目において(B)、示す。**P<0.0011(マンホイットニー検定)。(C)では、750mm3より小さい腫瘍サイズを持つマウスのパーセンテージが、カプランマイヤープロットで示されている。
図25B図25Aの説明を参照のこと。
図25C図25Aの説明を参照のこと。
図26】COLO205ヒト大腸がん細胞による皮下異種移植片モデルにおける、E430G変異を持たない親抗体と比較した、抗体IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gの、単剤としての、および組合せとしての、インビボ有効性の評価を示す図である。(A)表示の抗体(0.5mg/kg)で処置されたマウスにおける腫瘍サイズ(平均およびSEM)を経時的に示す。(B)カットオフを腫瘍体積>500mm3に設定した腫瘍進行のカプランマイヤープロット。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明
本発明の態様の説明では、明快な記述になるように、具体的な術語が用いられる。しかし、本発明はそのように選択された具体的用語に限定されるものではなく、具体的用語のそれぞれは、同様に作動して同様の目的を達成するすべての技術的等価物を包含すると理解される。
【0026】
本明細書に記載するとおり、驚いたことに、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRなどのデスレセプターに結合し、かつEUナンバリングでヒトIgG1中の位置E430、E345またはS440に対応するFc領域中のアミノ酸に変異を含む抗体は、上述した位置の1つに該変異を持たない抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体と比較して、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを発現するがん細胞におけるアポトーシスを誘導するのに優れていたことが見いだされている。さらにまた、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR上の異なるエピトープに結合する2つ以上の本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体を含む組成物は、該変異を持たない同じ抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体を含む組成物より優れているとわかった。すなわち、2つ以上の本発明の抗体を含む組成物は、Fc領域中に該変異を持たないそれら2つの同じ抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体を含む組成物と比較して、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを発現するがん細胞のアポトーシスを誘導しかつ/または細胞成長を阻害するのに優れていた。本発明との関連において、同じ抗体とは、同一の抗原結合領域を有する抗体であると、理解すべきである。したがって同じ抗体は、本発明の抗体と同一のアミノ酸配列を有するが、Fc領域中に該変異を有しない。Fc領域に特異的変異を導入することにより、抗体分子は溶解状態では単量体型のままでありながら、細胞表面で標的に結合したときには、六量体化などのオリゴマー化が強化されうる。WO2013/004842、WO2014/108198。
【0027】
定義
本明細書において用いられる「免疫グロブリン」という用語は、4つすべてがジスルフィド結合によって潜在的に相互接続された、1対の低分子量軽(L)鎖および1対の重(H)鎖の2対のポリペプチド鎖からなる構造的に関連する糖タンパク質のクラスをいう。免疫グロブリンの構造は、よく特徴付けられている。例えば、Fundamental Immunology Ch. 7 (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989))を参照されたい。簡単に言うと、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書においてVHと略記される)および重鎖定常領域から構成される。IgG抗体の重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメインCH1、CH2およびCH3から構成される。重鎖は、いわゆる「ヒンジ領域」中のジスルフィド結合を介して相互連結されている。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略記される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、1つのドメインCLから構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存されている領域によって隔てられた、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる、超可変性の領域(または配列が超可変でありうるおよび/もしくは構造的に規定されたループの形態でありうる超可変領域)にさらに細分されうる。各VHおよびVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順に配列される3つのCDRおよび4つのFRから構成される: FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4 (Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196, 901 917 (1987)も参照のこと)。他に明記されていないか、文脈によって矛盾がない限り、本発明におけるアミノ酸位置への言及は、EUナンバリング(Edelman et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1969 May;63(1):78-85; Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition. 1991 NIH Publication No. 91-3242)によるものである。
【0028】
本明細書において用いられる「ヒンジ領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のヒンジ領域をいうように意図される。したがって、例えば、ヒトIgG1抗体のヒンジ領域は、EUナンバリングでのアミノ酸位置216~230に対応する。
【0029】
本明細書において用いられる「CH2領域」または「CH2ドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のCH2領域をいうように意図される。したがって、例えば、ヒトIgG1抗体のCH2領域は、EUナンバリングでのアミノ酸位置231~340に対応する。しかしながら、CH2領域はまた、本明細書に記載の他のアイソタイプまたはアロタイプのいずれかでありうる。
【0030】
本明細書において用いられる「CH3領域」または「CH3ドメイン」という用語は、免疫グロブリン重鎖のCH3領域をいうように意図される。したがって、例えば、ヒトIgG1抗体のCH3領域は、EUナンバリングでのアミノ酸位置341~447に対応する。しかしながら、CH3領域はまた、本明細書に記載の他のアイソタイプまたはアロタイプのいずれかでありうる。
【0031】
本明細書において互換的に用いられうる、「断片結晶化可能領域」、「Fc領域」、「Fc断片」または「Fcドメイン」という用語は、アミノ末端からカルボキシ末端に配列された、少なくともヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む抗体領域をいう。IgG1抗体のFc領域は、例えば、パパインを用いたIgG1抗体の消化によって作製することができる。抗体のFc領域は、免疫系の様々な細胞(エフェクター細胞などの)および補体活性化の古典経路における第1成分である、C1qなどの補体系の成分を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介しうる。
【0032】
本発明の文脈における「Fab断片」という用語は、重鎖および軽鎖の可変領域ならびに軽鎖の定常領域および免疫グロブリンの重鎖のCH1領域を含む、免疫グロブリン分子の断片をいう。「CH1領域」は、例えば、EUナンバリングでのアミノ酸位置118~215に対応するヒトIgG1抗体の領域をいう。したがって、Fab断片は、免疫グロブリンの結合領域を含む。
【0033】
本明細書において用いられる「抗体」(Ab)という用語は、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の断片、またはそのいずれかの誘導体をいう。本発明の抗体は、免疫グロブリンのFc領域と抗原結合領域とを含む。Fc領域は一般に、2つのCH2-CH3領域および接続領域、例えばヒンジ領域を含む。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。本明細書において用いられる「抗体」という用語はまた、他に明記されていないか、文脈によって矛盾がない限り、ポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体、モノクローナル抗体(ヒトモノクローナル抗体などの)、抗体混合物、組み換えポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体をいう。産生される抗体は、任意のクラスまたはアイソタイプを潜在的に保有することができる。
【0034】
本明細書において用いられる「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体をいう。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発またはインビボでの体細胞変異によって導入された変異、挿入または欠失)を含みうる。しかしながら、本明細書において用いられる「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの、別の種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むように意図されない。
【0035】
本明細書において用いられる「キメラ抗体」という用語は、抗体工学の結果として、両方の鎖タイプがキメラである抗体をいう。キメラ鎖は、ヒト由来の定常領域に連結された外来可変ドメイン(非ヒト種に由来するか、またはヒトを含む任意の種から合成もしくは操作された)を含む鎖である。
【0036】
本明細書において用いられる「ヒト化抗体」という用語は、両方の鎖タイプが抗体工学の結果としてヒト化されている抗体をいう。ヒト化鎖は、典型的には、可変ドメインの相補性決定領域(CDR)が外来(ヒト以外の種に由来するか、または合成)であり、鎖の残部がヒト由来である鎖である。ヒト化の評価は、得られたアミノ酸配列に基づいており、それ自体が方法論に基づくものではなく、それによって移植以外のプロトコールを用いることが可能とされる。
【0037】
本明細書において用いられる「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる免疫グロブリンクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA1、IgA2、IgEまたはIgM)をいう。標準的な抗体を産生するために、各重鎖アイソタイプは、カッパ(κ)またはラムダ(λ)軽鎖のいずれかと組み合わせるべきである。
【0038】
本明細書において用いられる「アロタイプ」という用語は、同じ種における1つのアイソタイプクラス内のアミノ酸バリエーションをいう。抗体アイソタイプの主たるアロタイプは、民族個体間で異なる。重鎖のIgG1アイソタイプ内の既知のアロタイプバリエーションは、図1に示すように抗体フレーム中の4アミノ酸置換に起因する。1つの態様において、本発明の抗体は、SEQ ID NO 1に定義されるIgG1m(f)アロタイプのものである。本発明の1つの態様において、抗体は、SEQ ID NO 2に定義されるIgG1m(z)アロタイプ、SEQ ID NO 3に定義されるIgG1m(a)アロタイプ、SEQ ID NO 4に定義されるIgG1m(x)アロタイプ、またはIgG1m(z,a)、IgG1m(z,a,x)、IgG1m(f,a)などの、任意のアロタイプの組合せのものである(de lange Exp Clin Immunogenet. 1989;6(1):7-17)。
【0039】
本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」、「モノクローナルAb」、「モノクローナル抗体組成物」、「mAb」などの用語は、単一分子組成のAb分子の調製物をいう。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する単一の結合特異性を示すAbをいう。ヒトmAbは、機能的なヒト抗体を産生するように再編成され、かつ不死化細胞に融合された、ヒト重鎖導入遺伝子レパートリーおよびヒト軽鎖導入遺伝子レパートリーを含むゲノムを有する、トランスジェニックマウスなどの、トランスジェニックまたは染色体導入非ヒト動物から得られたB細胞を含むハイブリドーマによって産生されうる。あるいは、ヒトmAbは組み換えによって産生されうる。
【0040】
本明細書において用いられる「抗体ミメティック」という用語は、抗体と同様に、抗原に特異的に結合できるが、抗体と構造的に関連しない化合物をいう。それらは、通常、人工ペプチド、タンパク質、核酸または小分子である。
【0041】
「二重特異性抗体」という用語は、少なくとも2つの異なる、典型的には重複しないエピトープに対する特異性を有する抗体をいう。そのようなエピトープは、同じまたは異なる標的上にありうる。Fc領域を含む異なるクラスの二重特異性抗体の例としては、分子の各抗原結合領域が少なくとも2つの異なるエピトープに結合する、非対称二重特異性分子、例えば相補的CH3ドメインを有するIgG様分子および対称二重特異性分子、例えば組み換えIgG様二重標的分子が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0042】
二重特異性分子の例としては、トリオマブ(登録商標) (Trion Pharma/Fresenius Biotech, WO/2002/020039)、ノブ・イントゥ・ホール(Knobs-into-Holes) (Genentech, WO9850431)、CrossMAbs (Roche, WO 2009/080251, WO 2009/080252, WO 2009/080253)、静電的に適合したFcヘテロ二量体分子(Amgen, EP1870459およびWO2009089004; Chugai, US201000155133; Oncomed, WO2010129304)、LUZ-Y (Genentech)、DIG-body、PIG-bodyおよびTIG-body (Pharmabcine)、鎖交換組み換えドメインボディ(Strand Exchange Engineered Domain body) (SEEDbody) (EMD Serono, WO2007110205)、二重特異性IgG1およびIgG2 (Pfizer/Rinat, WO11143545)、Azymetric足場(Zymeworks/Merck, WO2012058768)、mAb-Fv (Xencor, WO2011028952)、XmAb (Xencor)、二価二重特異性抗体(Roche, WO2009/080254)、二重特異性IgG (Eli Lilly)、DuoBody(登録商標)分子(Genmab A/S, WO 2011/131746)、DuetMab (Medimmune, US2014/0348839)、Biclonics (Merus, WO 2013/157953)、NovImmune (κλBodies, WO 2012/023053)、FcΔAdp (Regeneron, WO 2010/151792)、(DT)-Ig (GSK/Domantis)、ツー・イン・ワン(Two-in-one)抗体または二重作用(Dual Action) Fabs (Genentech, Adimab)、mAb2 (F-Star, WO2008003116)、Zybodies(商標) (Zyngenia)、CovX-body (CovX/Pfizer)、FynomAbs (Covagen/Janssen Cilag)、DutaMab (Dutalys/Roche)、iMab (MedImmune)、二重可変ドメイン(Dual Variable Domain) (DVD)-Ig(商標) (Abbott, US 7,612,18)、二重ドメインダブルヘッド抗体(Unilever; Sanofi Aventis, WO20100226923)、Ts2Ab (MedImmune/AZ), BsAb (Zymogenetics)、HERCULES (Biogen Idec, US007951918)、scFv-融合体(Genentech/Roche, Novartis, Immunomedics, Changzhou Adam Biotech Inc, CN 102250246)、TvAb (Roche, WO2012025525, WO2012025530)、ScFv/Fc融合体, SCORPION (Emergent BioSolutions/Trubion, Zymogenetics/BMS)、インターセプター(Interceptor) (Emergent)、二重親和性再標的技術(Dual Affinity Retargeting Technology) (Fc-DART(商標)) (MacroGenics, WO2008/157379, WO2010/080538)、BEAT (Glenmark)、Di-Diabody (Imclone/Eli Lilly)および化学的に架橋されたmAbs (Karmanos Cancer Center)、ならびに共有結合的に融合されたmAbs (AIMM therapeutics)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0043】
本明細書において用いられる場合、「全長抗体」という用語は、そのクラスまたはアイソタイプの野生型抗体に通常見出されるものに対応するすべての重鎖および軽鎖の定常ドメインおよび可変ドメインを含む抗体(例えば、親抗体またはバリアント抗体)をいう。
【0044】
本明細書において用いられる「オリゴマー」という用語は、少なくとも原則的には、無制限の数の単量体からなる重合体とは対照的に、2以上であるが限られた数の単量体単位(例えば、抗体)からなる分子をいう。例示的なオリゴマーは、二量体、三量体、四量体、五量体および六量体である。ギリシャ語の接頭語は、オリゴマー中の単量体単位の数を指定するために用いられることが多く、例えば四量体は4単位から構成され、六量体は6単位から構成される。同様に、本明細書において用いられる「オリゴマー化」という用語は、分子を有限の重合度に変換するプロセスをいうように意図される。本明細書において、本発明による標的結合領域を含む抗体および/または他の二量体タンパク質は、例えば細胞表面での、標的結合後のFc領域の非共有結合によって、六量体などの、オリゴマーを形成できることが認められる。
【0045】
本明細書において用いられる「抗原結合領域」、「抗原結合領域」、「結合領域」または抗原結合ドメインという用語は、抗原に結合することができる抗体の領域をいう。この結合領域は、典型的には、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存されている領域によって隔てられた、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる、超可変性の領域(または配列が超可変でありうるおよび/もしくは構造的に規定されたループの形態でありうる超可変領域)にさらに細分されうる抗体のVHおよびVLドメインにより規定される。抗原は、例えば細胞、細菌もしくはビリオン上または溶液中に存在する、ポリペプチドなどの、任意の分子であることができる。「抗原」および「標的」という用語は、文脈によって矛盾がない限り、本発明の文脈において互換的に用いられうる。
【0046】
本明細書において用いられる「標的」という用語は、抗体の抗原結合領域が結合する分子をいう。標的は、産生された抗体が向けられる任意の抗原を含む。「抗原」および「標的」という用語は、抗体に関して、互換的に用いられ、本発明の任意の局面または態様に関して同じ意味および目的を構成しうる。
【0047】
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合することができるタンパク質決定基を意味する。エピトープは通常、表面分子群、例えばアミノ酸または糖側鎖からなり、かつ通常、特異的な三次元構造的特徴および特異的な電荷的特徴を有する。立体構造エピトープおよび非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は失われるが後者への結合は失われないという点で区別される。エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基および結合に直接関与しない他のアミノ酸残基、例えば特異的抗原結合ペプチドによって効果的にブロックされるアミノ酸残基(言い換えると、アミノ酸残基は特異的抗原結合ペプチドのフットプリント内にある)を含みうる。
【0048】
本明細書において用いられる「結合」という用語は、典型的には、例えばBIAcore 3000機器においてリガンドとして抗原および分析物として抗体またはその逆を用い表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって決定される場合、約10-6 Mもしくはそれ以下、例えば10-7 Mもしくはそれ以下、例えば約10-8 Mもしくはそれ以下、例えば約10-9 Mもしくはそれ以下、約10-10 Mもしくはそれ以下、または約10-11 Mもしくはさらにそれ以下のKDに相当する結合親和性での、所定の抗原または標的への抗体の結合をいい、所定の抗原または密接に関連している抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するその親和性よりも少なくとも10倍低い、例えば少なくとも100倍低い、例えば少なくとも1,000倍低い、例えば少なくとも10,000倍低い、例えば少なくとも100,000倍低いKDに相当する親和性で所定の抗原に結合する。親和性がより低い量は、抗体のKDに依存するので、抗体のKDが非常に低い(すなわち、抗体が非常に特異的である)場合、抗原に対する親和性の程度は、非特異的抗原に対する親和性よりも低く、少なくとも10,000倍低い可能性がある。本明細書において用いられる「KD」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数をいい、kdをkaで除して得られる。
【0049】
本明細書において用いられる「kd」(秒-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数をいう。この値は、Koff値または解離速度(off-rate)ともいわれる。
【0050】
本明細書において用いられる「ka」(M-1×秒-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数をいう。この値は、kon値または結合速度(on-rate)ともいわれる。
【0051】
本明細書において用いられる「KA」(M-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合平衡定数をいい、kaをkdで除して得られる。
【0052】
本明細書において用いられる場合、「親和性」という用語は、抗体の個々の抗原結合部位の抗原への一価結合などの、単一部位での、ある分子、例えば抗体の、別の分子、例えば標的または抗原への結合の強度である。
【0053】
本明細書において用いられる場合、「アビディティー」という用語は、標的と同時に相互作用する抗体の複数の抗原結合部位の間などの、2つの構造間の複数の結合部位の複合強度をいう。2つ以上の結合相互作用が存在する場合、2つの構造は、すべての結合部位が解離した場合にのみ解離するため、解離速度は個々の結合部位の場合よりも遅くなり、それによって個々の結合部位の結合の強度(親和性)と比べて高い有効な総結合強度(アビディティー)をもたらすであろう。
【0054】
本明細書において用いられる「六量体化強化変異」という用語は、EUナンバリングにしたがってヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置の変異をいう。六量体化強化突然変異は、WO2013/004842; WO2014/108198に記載されているように、抗体分子が溶液中で単量体のままである間に、細胞表面標的に結合した隣接するIgG抗体間のFc-Fc相互作用を強化し、標的結合抗体の六量体形成の増強を引き起こす。
【0055】
本明細書において用いられる「反発変異」または「自己反発変異」または「六量体化阻害変異」という用語は、Fc-Fc界面でのアミノ酸間の電荷反発を引き起こし、結果的に隣接する2つのFc領域含有ポリペプチド間のFc-Fc相互作用の弱化を引き起こし、かくして六量体化を阻害しうるヒトIgG1のアミノ酸位置の変異をいう。ヒトIgG1におけるそのような反発変異の例は、K439EおよびS440Kである。反発変異の位置での2つの隣接するFc領域含有ポリペプチド間のFc-Fc相互作用における反発は、第1の変異を有する位置と相互作用するアミノ酸位置に第2の変異(相補的変異)を導入することによって中和することができる。この第2の変異は、同じ抗体または第2の抗体のいずれかに存在することができる。第1および第2の変異の組合せは、Fc-Fc相互作用、したがって六量体化の反発および回復の中和を引き起こす。そのような第1および第2の変異の例は、K439E (反発変異)およびS440K (K439Eにより反発を中和)であり、逆の場合も同じくS440K (反発変異)およびK439E (S440Kにより反発を中和)である。
【0056】
本明細書において用いられる「相補的変異」という用語は、2つの隣接Fc領域含有ポリペプチドにおける2つの変異の組合せに起因する、相補的変異を含むFc領域含有ポリペプチドと好ましくは相互作用する隣接Fc領域含有ポリペプチドにおける第1の変異に関連したFc領域含有ポリペプチドにおけるアミノ酸位置の変異をいう。相補的変異および関連した第1の変異は、同じ抗体中(分子内)または第2の抗体中(分子間)のいずれかに存在することができる。分子内相補的変異の例は、WO 2011/131746による二重特異性抗体における選択的ヘテロ二量体化を媒介するK409RおよびF405Lの組合せである。2つの隣接するFc領域含有ポリペプチド間のFc-Fc相互作用したがって六量体化の反発および回復の中和を引き起こすK439EおよびS440K変異の組合せは、分子間にも分子内にもともに適用できる相補的変異の例である。
【0057】
本明細書において用いられる「アポトーシス」という用語は、細胞内で起こりうるプログラム細胞死(PCD)のプロセスをいう。生化学的事象は、特徴的な細胞変化(形態学)および死に至る。これらの変化には、小疱形成、細胞収縮、ホスファチジルセリンの露出、ミトコンドリア機能の喪失、核断片化、クロマチン凝縮、カスパーゼ活性化、および染色体DNA断片化が含まれる。
【0058】
本明細書において用いられる「プログラム細胞死」または「PCD」という用語は、細胞内シグナル伝達によって媒介される任意の形態での細胞の死、例えばアポトーシス、自食作用またはネクロトーシスをいう。
【0059】
本明細書において用いられる「アネキシンV」という用語は、細胞表面上のホスファチジルセリン(PS)に結合するアネキシン群のタンパク質をいう。
【0060】
本明細書において用いられる「カスパーゼ活性化」という用語は、エフェクターカスパーゼへのその変換に至る、イニシエーターカスパーゼによるエフェクターカスパーゼの不活性プロ型の切断をいい、これによって今度は、細胞内のタンパク質基質が切断されてアポトーシスを引き起こす。
【0061】
本明細書において用いられる「カスパーゼ依存性プログラム細胞死」という用語は、カスパーゼによって媒介されるプログラム細胞死の任意の形態をいう。特定の態様において、1つまたは複数のアゴニスト性抗DR5抗体によるカスパーゼ依存性プログラム細胞死は、パン-カスパーゼ阻害剤Z-Val-Ala-DL-Asp-フルオロメチルケトン(Z-VAD-FMK)の存在下および非存在下において細胞培養物の生存性を比較することにより判定することができる。パン-カスパーゼ阻害剤Z-VAD-FMK (5 μMの終濃度)が96ウェル平底プレート中の接着細胞に添加され、37℃で1時間インキュベートされうる。次に、抗体濃度希釈系列(例えば20,000 ng/mLから始めて5倍希釈で0.05 ng/mLの終濃度まで)が添加され、37℃で3日間インキュベートされうる。PromegaのCellTiter-Glo発光細胞生存性アッセイ(カタログ番号G7571)などの、この目的のための特別なキットを用いて細胞生存性を定量化することができる。
【0062】
本明細書において用いられる「細胞生存性」という用語は、代謝的に活性な細胞の存在をいう。特定の態様において、1つまたは複数のアゴニスト性抗デスレセプター抗体とのインキュベーション後の細胞生存性は、細胞中に存在するATPを定量化することによって判定することができる。抗体濃度希釈系列(例えば20,000 ng/mLから始めて5倍希釈で0.05 ng/mLの終濃度まで)が96ウェル平底プレート中の細胞に添加され、培地が陰性対照として用いられ、5 μMのスタウロスポリンが細胞死の誘導のための陽性対照として用いられうる。3日間のインキュベーション後、PromegaのCellTiter-Glo発光細胞生存性アッセイ(カタログ番号G7571)などの、この目的のための特別なキットを用いて細胞生存性が定量化されうる。生存細胞の割合は、以下の式を用いて計算することができる: %生存細胞 = [(発光 抗体サンプル - 発光 スタウロスポリンサンプル)/(発光 抗体なしサンプル - 発光 スタウロスポリンサンプル)]100。
【0063】
「デスレセプター」という用語は、本明細書において使用される場合、細胞内デスドメイン(DD)を含む腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリー(TNFR-SF)のメンバーを指す。
【0064】
細胞内デスドメインとは、本明細書において使用される場合、デスドメインを含むTNFRSFの8つのメンバーの細胞内部分にあるデスドメインを指す。デスドメイン(DD)は、デスドメインスーパーファミリーに属する周知のタンパク質相互作用モジュールである(Park Apoptosis. 2011 Mar;16(3):209-20)。
【0065】
DR1という用語は、本明細書において使用される場合、「TNFR1」、CD120a、p55および腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー1A(TNFRSF1A)としても公知であるデスレセプター1を指し、これは、4つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、膜貫通ドメイン(TM)、およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを持つ一回貫通I型膜タンパク質である(Schall et al., Cell. 1990 Apr 20;61(2):361-70)。TNFR1の天然リガンドは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)およびリンフォトキシン-アルファ(LT-アルファ)である。ヒトの場合、DR1タンパク質は、アミノ酸配列UniprotKB/Swissprot P19438をコードする核酸配列によってコードされている。
【0066】
「DR2」という用語は、本明細書において使用される場合、「FAS」、CD95、APO-1および腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー6(TNFRSF6)としても公知であるデスレセプター2を指し、これは、3つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、膜貫通ドメイン(TM)、およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを持つ一回貫通I型膜タンパク質である(Lichter et al., Genomics. 1992 Sep;14(1):179-80、Inazawa et al., Genomics. 1992 Nov;14(3):821-2)。FASの天然リガンドはFASL(CD95L)である。ヒトの場合、DR2タンパク質は、アミノ酸配列UniprotKB/Swissprot P25445をコードする核酸配列によってコードされている。
【0067】
「DR3」という用語は、本明細書において使用される場合、APO3、アポトーシス誘導レセプター(AIR)、TRAMP、リンパ球関連細胞死レセプター(LARD)、APO-3および腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー25(TNFRSF25)としても公知であるデスレセプター3を指し、これは、4つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、膜貫通ドメイン(TM)、およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを持つ一回貫通I型膜タンパク質である(Bodmer et al., Immunity. 1997 Jan;6(1):79-88)。DR3の天然リガンドはTWEAKである。ヒトの場合、DR3タンパク質は、アミノ酸配列UniprotKB/Swissprot Q93038をコードする核酸配列によってコードされている。
【0068】
「DR4」という用語は、本明細書において使用される場合、CD261、TNF関連アポトーシス誘導リガンドレセプター1(TRAILR1)、APO-2および腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー10A(TNFRSF10A)としても公知であるデスレセプター4を指し、これは、3つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、膜貫通ドメイン(TM)、およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを持つ一回貫通I型膜タンパク質である(Pan et al., Science. 1997 Apr 4;276(5309):111-3)。DR4の天然リガンドはTRAILである。ヒトの場合、DR4タンパク質は、アミノ酸配列UniprotKB/Swissprot O00220をコードする核酸配列によってコードされている。
【0069】
「DR5」という用語は、本明細書において使用される場合、CD262およびTNF関連アポトーシス誘導リガンドレセプター2(TRAILR2)および腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー10B(TNFRSF10B)としても公知であるデスレセプター5を指し、これは、3つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、膜貫通ドメイン(TM)、およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを持つ一回貫通I型膜タンパク質である(Walczak et al., EMBO J. 1997 Sep 1;16(17):5386-97)。DR5の天然リガンドはTRAILである。ヒトの場合、DR5タンパク質は、アミノ酸配列UniprotKB/Swissprot O14763をコードする核酸配列によってコードされている。
【0070】
「DR6」という用語は、本明細書において使用される場合、CD358および腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー21(TNFRSF21)としても公知であるデスレセプター6を指し、これは、4つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、膜貫通ドメイン(TM)、およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを持つ一回貫通I型膜タンパク質である(Pan et al., FEBS Lett. 1998 Jul 24;431(3):351-6)。DR6は過剰発現によって活性化される。DR6の天然リガンドはアルファ-アミロイド前駆体タンパク質(APP)である。ヒトの場合、DR6タンパク質は、アミノ酸配列UniprotKB/Swissprot O75509をコードする核酸配列によってコードされている。
【0071】
「EDAR」という用語は、本明細書において使用される場合、外胚葉異形成レセプター、EDA-A1レセプター、ダウンレス(Downless)ホモログ、無汗性エクトジスプラシンレセプター1および腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバーEDARとしても公知であるエクトジスプラシン-Aレセプターを指し、これは、3つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、膜貫通ドメイン(TM)、およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを持つ一回貫通I型膜タンパク質である(Kumar et al., J Biol Chem. 2001 Jan 26;276(4):2668-77)。EDARの天然リガンドはエクトジスプラシンAである。ヒトの場合、EDARタンパク質は、アミノ酸配列UniprotKB/Swissprot Q9UNE0をコードする核酸配列によってコードされている。
【0072】
「NGFR」という用語は、本明細書において使用される場合、低アフィニティー神経成長因子レセプター(LNGFR)、p75NTR、CD271および腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー16(TNFRSF16)としても公知である神経成長因子レセプターを指し、これは、4つの細胞外システインリッチドメイン(CRD)、セリン/スレオニンリッチ領域、膜貫通ドメイン(TM)、およびデスドメイン(DD)を含有する細胞質ドメインを持つ一回貫通I型膜タンパク質である(Johnson et al., Cell. 1986 Nov 21;47(4):545-54)。NGFRの天然リガンドは、NGFR中のセリン/スレオニンリッチドメインに結合する神経成長因子(NGF)である。ヒトの場合、NGFRタンパク質は、アミノ酸配列UniprotKB/Swissprot P08138をコードする核酸配列によってコードされている。
【0073】
「デスレセプターに結合する抗体」、「抗デスレセプター抗体」、「デスレセプター結合抗体」、「デスレセプター特異的抗体」、「デスレセプター抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRなどのデスレセプターの細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0074】
「FASに結合する抗体」、「抗FAS抗体」、「FAS結合抗体」、「FAS特異的抗体」、「FAS抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、細胞外FAS上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0075】
「DR4に結合する抗体」、「抗DR4抗体」、「DR4結合抗体」、「DR4特異的抗体」、「DR4抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、DR4の細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0076】
「DR5に結合する抗体」、「抗DR5抗体」、「DR5結合抗体」、「DR5特異的抗体」、「DR5抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、DR5の細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0077】
「TNFR1に結合する抗体」、「抗TNFR1抗体」、「TNFR1結合抗体」、「TNFR1特異的抗体」、「TNFR1抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、TNFR1の細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0078】
「DR6に結合する抗体」、「抗DR6抗体」、「DR6結合抗体」、「DR6特異的抗体」、「DR6抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、DR6の細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0079】
「DR3に結合する抗体」、「抗DR3抗体」、「DR3結合抗体」、「DR3特異的抗体」、「DR3抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、DR3の細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0080】
「EDARに結合する抗体」、「抗EDAR抗体」、「EDAR結合抗体」、「EDAR特異的抗体」、「EDAR抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、EDARの細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0081】
「NGFRに結合する抗体」、「抗NGFR抗体」「NGFR結合抗体」、「NGFR特異的抗体」、「NGFR抗体」という用語は、本明細書では可換的に使用することができ、NGFRの細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0082】
「アゴニスト」という用語は、本明細書において使用される場合、デスレセプターに結合したときに細胞における応答をトリガーする抗デスレセプター抗体などの分子を指し、この場合、応答はデスレセプターの活性化でありうる。抗デスレセプター抗体がアゴニスト性であるとは、抗体が、デスレセプターへの抗デスレセプター結合の結果として、該デスレセプターを刺激し、活性化し、またはクラスター化することと理解されるべきである。すなわち、デスレセプターに結合した本発明のアゴニスト性抗デスレセプター抗体は、デスレセプターに結合した天然リガンドのように、デスレセプターの刺激、クラスター化、または下流細胞内シグナリング経路の活性化をもたらす。
【0083】
本発明の「バリアント」または「抗体バリアント」は、「親」抗体と比較して1つまたは複数の変異を含む抗体分子である。例示的な親抗体の形式には、非限定的に、野生型抗体、全長抗体もしくはFc含有抗体断片、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体またはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0084】
例示的な変異には、アミノ酸の欠失、挿入、および親アミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が含まれる。アミノ酸置換は、天然アミノ酸を別の天然に存在するアミノ酸に、または天然に存在しないアミノ酸誘導体に交換しうる。アミノ酸置換は、保存的または非保存的でありうる。本発明の文脈において、保存的置換は、以下の3つの表のうちの1つまたは複数において反映されるアミノ酸のクラス内での置換によって定義されうる。
【0085】
保存的置換のためのアミノ酸残基クラス
【0086】
代替の保存的アミノ酸残基置換クラス
【0087】
アミノ酸残基の物理的および機能的な代替分類
【0088】
本発明の文脈において、バリアントにおける置換は、以下のように示される:
元のアミノ酸 - 位置 - 置換されたアミノ酸;
アミノ酸残基を示すための表記XaaおよびXを含めて、3文字表記または1文字表記が用いられる。したがって、「E345R」または「Glu345Arg」という記法は、バリアントが、親抗体中の番号345におけるアミノ酸に対応するバリアントアミノ酸位置にグルタミン酸とアルギニンとの置換を含むことを意味する。そのような位置が抗体に存在しないが、しかしバリアントがアミノ酸の挿入を含む場合、例えば: 位置 - 置換されたアミノ酸; 記法、例えば「448E」が用いられる。そのような記法は、一連の相同なポリペプチドまたは抗体の改変に関して特に関連する。同様に、置換アミノ酸残基の同一性が重要でない場合: 元のアミノ酸 - 位置; または「E345」。元のアミノ酸および/または置換されたアミノ酸が、すべてではないが2つ以上のアミノ酸を含みうる修飾の場合、位置345におけるアルギニン、リジンまたはトリプトファンに向けてのグルタミン酸の置換: 「Glu345Arg、Lys、Trp」または「E345R、K、W」または「E345R/K/W」または「E345→R、 KもしくはW」が本発明の文脈において互換的に用いられうる。さらに、「置換」という用語は、他の19種の天然アミノ酸のいずれか1つへの、または非天然アミノ酸などの、他のアミノ酸への置換を包含する。例えば、位置345におけるアミノ酸Eの置換には、以下の置換の各々が含まれる: 345A、345C、345D、345G、345H、345F、345I、345K、345L、345M、345N、345Q、345R、345S、345T、345V、345W、および345Y。それは、ところで、345Xという指定と等価であり、ここでXは任意のアミノ酸を指定する。これらの置換は、E345A、E345Cなど、またはE345A, Cなど、またはE345A/C/などと指定することもできる。同じことが、本明細書において言及されたありとあらゆる位置への類推のため、そのような置換のいずれか1つを具体的に含むように適用される。
【0089】
本発明の目的のため、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277), 好ましくはバージョン5.0.0またはそれ以降のNeedleプログラムにおいて実施されるNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を用いて判定される。使用されるパラメータは、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5、およびEBLOSUM62 (BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。「最長同一性」とラベル付けされたNeedleの出力(-nobriefオプションを用いて取得される)は、%同一性として用いられ、以下のように計算される:
(同一残基×100)/(アライメントの長さ - アライメントにおけるギャップの総数)。
【0090】
本発明の目的のため、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et a/., 2000, 前記), 好ましくはバージョン5.0.0またはそれ以降のNeedleプログラムにおいて実施されるNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, 前記)を用いて判定される。使用されるパラメータは、ギャップオープンペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5、およびEDNAFULL (NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。「最長同一性」とラベル付けされたNeedleの出力(-nobriefオプションを用いて取得される)は、%同一性として用いられ、以下のように計算される:
(同一デオキシリボヌクレオチド×100)/(アライメントの長さ - アライメントにおけるギャップの総数)。
【0091】
CDRバリアントの配列は、抗体結合領域の6つのCDR配列にわたって合計で保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される多くとも5つの変異または置換、例えば抗体結合領域の6つのCDR配列にわたって合計で保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される多くとも4つの変異または置換、例えば抗体結合領域の6つのCDR配列にわたって合計で保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される多くとも3つの変異または置換、例えば抗体結合領域の6つのCDR配列にわたって合計で保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される多くとも2つの変異、例えば抗体結合領域の6つのCDR配列にわたって合計で保存的、物理的または機能的アミノ酸から選択される多くとも1つの変異または置換で大部分は保存的、物理的または機能的アミノ酸置換を通じて親抗体配列のCDRの配列とは異なりうる。
【0092】
保存的、物理的または機能的アミノ酸は、見つかった20種の天然アミノ酸、すなわちArg (R)、His (H)、Lys (K)、Asp (D)、Glu (E)、Ser (S)、Thr (T)、Asn (N)、Gln (Q)、Cys (C)、Gly (G)、Pro (P)、Ala (A)、Ile (I)、Leu (L)、Met (M)、Phe (F)、Trp (W)、Tyr (Y)およびVal (V)から選択される。
【0093】
CDRバリアントの配列は、大部分は保存的、物理的または機能的アミノ酸置換を通じて親抗体配列のCDRの配列とは異なりうる; 例えばバリアントにおける置換の少なくとも約75%、約80%またはそれ以上、約85%またはそれ以上、約90%またはそれ以上(例えば、約92%、93%または94%などの、約75~95%)は保存的、物理的または機能的アミノ酸残基置換から選択される変異または置換である。保存的、物理的または機能的アミノ酸は、見つかった20種の天然アミノ酸、すなわちArg (R)、His (H)、Lys (K)、Asp (D)、Glu (E)、Ser (S)、Thr (T)、Asn (N)、Gln (Q)、Cys (C)、Gly (G)、Pro (P)、Ala (A)、Ile (I)、Leu (L)、Met (M)、Phe (F)、Trp (W)、Tyr (Y)およびVal (V)から選択される。
【0094】
別の配列中のアミノ酸またはセグメントに「対応する」1つの配列中のアミノ酸またはセグメントは、典型的にはデフォルト設定で、ALIGN、ClustalWまたは同様のものなどの標準的な配列アライメントプログラムを用いて他のアミノ酸またはセグメントと整列するアミノ酸またはセグメントである。ゆえに、標準的な配列アライメントプログラムを用いて、例えば免疫グロブリン配列中のどのアミノ酸が、例えばヒトIgG1中の特定のアミノ酸に対応するかを同定することができる。さらに、標準的な配列アライメントプログラムを用いて、配列同一性、例えば少なくとも80%、もしくは85%、90%、または少なくとも95%のSEQ ID NO:1に対する配列同一性を同定することができる。例えば、図1に示す配列アライメントを用いて、IgG1 Fc配列の別のアロタイプにおける特定のアミノ酸に対応する1つのIgG1アロタイプのFc領域における任意のアミノ酸を同定することができる。
【0095】
本明細書において用いられる「ベクター」という用語は、ベクターにライゲーションされた核酸セグメントの転写を誘導することができる核酸分子をいう。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは環状の二本鎖DNAループの形態にある。別のタイプのベクターは、核酸セグメントがウイルスゲノムにライゲーションされうるウイルスベクターである。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自律的複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(非エピソーム性哺乳動物ベクターなどの)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製されうる。さらに、ある種のベクターは、それらが機能的に連結されている遺伝子の発現を指令することができる。そのようなベクターは、本明細書において「組み換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)といわれる。一般に、組み換えDNA技法において有用な発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形態にある。本明細書において、プラスミドが最も一般的に用いられるベクターの形態であるため、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に用いられうる。しかしながら、本発明は、等価な機能を果たすウイルスベクター(複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスなど)などの、他の形態の発現ベクターを含むことが意図される。
【0096】
本明細書において用いられる「組み換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、発現ベクターが導入された細胞をいうように意図される。そのような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫もいうように意図されるものと理解されるべきである。変異または環境の影響のために後に続く世代ではある種の改変が起こりうるので、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないかもしれないが、それでも本明細書において用いられる「宿主細胞」という用語の範囲に含まれる。組み換え宿主細胞には、例えば、CHO-S細胞、HEK-293F細胞、Expi293F細胞、PER.C6、NS0細胞およびリンパ球細胞などの、トランスフェクトーマや、大腸菌(E. coli)などの原核細胞ならびに植物細胞および菌類などの他の真核生物宿主も、大腸菌などの原核細胞も含まれる。
【0097】
本発明の具体的態様
本発明は、少なくとも部分的には、細胞内デスドメインを含むTNFR-SFのメンバーを標的とする抗体、例えば抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体の、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFRを発現する標的細胞における細胞死を誘導する能力は、EUナンバリングでヒトIgG1中のアミノ酸位置E430、E345またはS440に対応するFc領域中のアミノ酸に変異を導入することによって、著しく強化することができるという発見に基づいている。本発明はさらに、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFR上の第1エピトープおよび第2エピトープに結合し、それぞれがFc領域中に変異を含む、2つの抗体の組合せが、Fc領域中に変異を持たない当該2つの抗体の組合せと比較して、標的細胞において細胞死の優れた誘導を示すという、驚くべき知見に基づいている。
【0098】
一局面において、本発明は、ヒト免疫グロブリンIgGのFc領域と、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFRに結合する抗原結合領域とを含む抗体であって、該Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む、前記抗体に関する。
【0099】
EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応する位置は、Fc領域のCH3ドメインにある。
【0100】
ヒトIgG1中の以下の位置E430、E345およびS440の少なくとも1つに対応するFcドメインに特異的変異を導入することにより、抗体分子は溶解状態では単量体型のままでありながら、細胞表面で標的に結合したときには、六量体化などのオリゴマー化が強化される(WO2013/004842、WO2014/108198)。六量体化強化変異は、細胞表面の標的に結合している隣接IgG抗体間のFc-Fc相互作用を強めることで、標的に結合した抗体の六量体形成の強化をもたらす。
【0101】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体のFc領域は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440YまたはS440Wに対応する変異を含む。これにより、細胞表面での標的結合時に、抗体の強化された六量体化を可能にする態様が、提供される。
【0102】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含み、前記変異は、E430G、E430S、E430FおよびE430Tからなる群より選択される。
【0103】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、Fc領域にE430G変異を含む。
【0104】
本発明の好ましい一態様において、Fc領域は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含む。
【0105】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含み、前記変異は、E345K、E345Q、E345RおよびE345Yからなる群より選択される。
【0106】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、Fc領域にE345K変異を含む。
【0107】
本発明の一態様において、Fc領域は、EUナンバリングでヒトIgG1中の位置S440に対応するアミノ酸位置に変異を含み、前記変異はS440YまたはS440Wである。
【0108】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置に変異を含み、前記変異はS440YおよびS440Wからなる群より選択される。
【0109】
本発明の一態様において、Fc領域は、S440Yに対応する変異を含む。本発明の一態様において、Fc領域は、E430Gに対応する変異を含む。本発明の一態様において、Fc領域は、E345Kに対応する変異を含む。
【0110】
本発明の一態様において、Fc領域は、少なくとも、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430およびE345に対応するアミノ酸位置に第1および第2の変異を含む。
【0111】
本発明の一態様において、Fc領域は、Y436およびS440からなる群より選択されるアミノ酸位置に、第3の変異をさらに含む。これにより、溶解状態におけるFc-Fc相互作用の強化を可能にする第1、第2および第3の変異を含む態様が提供される。
【0112】
本発明の一態様において、抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS440に対応するアミノ酸位置に第1、第2および第3の変異を含む。
【0113】
本発明の一態様において、抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS440に対応するアミノ酸位置に第1、第2および第3の変異を含むFc領域を含み、前記変異はE430G、E345R、S440Yである。
【0114】
本発明の一態様において、抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびY436に対応するアミノ酸位置に第1、第2および第3の変異を含む。
【0115】
本発明の一態様において、抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびY436に対応するアミノ酸位置に第1、第2および第3の変異を含むFc領域を含み、前記変異はE430G、E345R、Y436Iである。
【0116】
本発明の一態様において、Fc領域は、E430および/またはE345に対応するアミノ酸位置に変異を含み、該Fc領域はS440に対応するアミノ酸位置にさらなる変異を含む。ただし、変異はS440YでもS440Wでもないものとする。
【0117】
本発明の一態様において、抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中の以下の位置S440またはK439の一つに対応するアミノ酸位置にさらなる変異を含む。本発明の一態様において、Fc領域は、S440またはK439に対応する位置にさらなる変異を含む。ただし、六量体化強化変異がS440にある場合には、前記さらなる変異はS440にはないものとする。本発明の一態様において、以下の位置S440またはK439の一つに対応するアミノ酸位置にある前記さらなる変異は、六量体化阻害変異でありうる。
【0118】
一態様において、Fc領域は、EUナンバリングでヒトIgG1中のK439に対応するアミノ酸位置にさらなる変異を含み、前記さらなる変異はK439EおよびK439Dからなる群より選択される。一態様において、前記さらなる変異はK439Eである。
【0119】
一態様において、Fc領域は、EUナンバリングでヒトIgG1中のS440に対応するアミノ酸位置にさらなる変異を含み、前記さらなる変異は、S440K、S440RおよびS440Hからなる群より選択される。一態様において、前記さらなる変異はS440Kである。
【0120】
本発明の一態様において、Fc領域は、さらなる六量体化阻害変異、例えばEUナンバリングでヒトIgG1中のK439EまたはS440Kを含む。K439EまたはS440Kなどの六量体化阻害変異は、同じ六量体化阻害変異を含む抗体とのFc-Fc相互作用を妨げるが、K439E変異を持つ抗体とS440K変異を持つ抗体とを組み合わせることにより、前記阻害効果は中和されて、Fc-Fc相互作用が回復する。
【0121】
本発明によるE430、E345またはS440に対応する位置の変異と、K439に対応するアミノ酸位置のさらなる変異、例えばK439E変異とを含む抗体は、K439に対応するアミノ酸位置にさらなる変異、例えばK439E変異を含む抗体とは、オリゴマーを形成しない。しかし、E430、E345またはS440に六量体化強化変異を含み、K439にさらなる変異、例えばK439Eを含む抗体は、E430またはE345に六量体化強化変異を含み、S440にさらなる変異、例えばS440Kを含む抗体とは、オリゴマーを形成する。本発明によるE430またはE345に対応する位置の変異と、S440に対応するアミノ酸位置のさらなる変異、例えばS440K変異とを含む抗体は、S440に対応するアミノ酸位置にさらなる変異、例えばS440K変異を含む抗体とのオリゴマーを形成しない。しかし、E430またはE345に六量体化強化変異を含み、S440にさらなる変異、例えばS440Kを含む抗体は、E430またはE345に六量体化強化変異を含み、K439にさらなる変異、例えばK439を含む抗体とは、オリゴマーを形成する。本発明の一態様において、Fc領域は、E430Gなどの六量体化強化変異とK439Eなどの六量体化阻害変異とを含む。本発明の一態様において、Fc領域は、E345Kなどの六量体化強化変異とK439Eなどの六量体化阻害変異とを含む。本発明の別の一態様において、Fc領域は、E430Gなどの六量体化強化変異とS440Kなどの六量体化阻害変異を含む。本発明の一態様において、Fc領域は、E345Kなどの六量体化強化変異とS440Kなどの六量体化阻害変異とを含む。本発明の一態様において、Fc領域は、S440Yなどの六量体化強化変異とK439Eなどの六量体化阻害変異とを含む。これにより、K439E変異を含む抗体とS440K変異を含む抗体との組合せの間での排他的六量体化を可能にする態様が提供される。
【0122】
一態様において、Fc領域はさらなる変異を含み、前記さらなる変異は、K439EおよびK439Dからなる群より選択される。一態様において、前記さらなる変異はK439Eである。
【0123】
一態様において、Fc領域はさらなる変異を含み、前記さらなる変異は、S440K、S440RおよびS440Hからなる群より選択される。一態様において、前記さらなる変異はS440Kである。
【0124】
ヒトFAS分子は、最初の1~25番目にあるシグナリングペプチド(signaling peptide)と、それに続く26~173番目の細胞外ドメイン、174~190番目の膜貫通ドメイン、および191~335番目の細胞質ドメインを含む、335アミノ酸で構成されている。細胞外ドメインは148アミノ酸の配列で構成されている。
【0125】
一態様において、細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバーはFASである。
【0126】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、FASの細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。
【0127】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、(VH)SEQ ID NO 15および(VL)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含む、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含む抗原結合領域を含む。
【0128】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含むFc領域を含む。
【0129】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS440に対応するアミノ酸位置に、第1、第2および第3の変異を含む。
【0130】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS440に対応するアミノ酸位置に第1、第2および第3の変異を含むFc領域を含み、前記変異はE430G、E345R、S440Yである。
【0131】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびS440に対応するアミノ酸位置に、E430G、E345R、S440Yである第1、第2および第3の変異を含むと共に、さらなるS440K変異を含む、Fc領域を含む。
【0132】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびY436に対応するアミノ酸位置に、第1、第2および第3の変異を含む。
【0133】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびY436に対応するアミノ酸位置に第1、第2および第3の変異を含むFc領域を含み、前記変異はE430G、E345R、Y436Iである。
【0134】
本発明の一態様において、抗FAS抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345およびY436に対応するアミノ酸位置に、E430G、E345R、Y436Iである第1、第2および第3の変異を含むと共に、さらなるS440K変異を含む、Fc領域を含む。
【0135】
ヒトTNFR1分子は、最初の1~21番目にあるシグナリングペプチドと、それに続く22~211番目の細胞外ドメイン、212~234番目の膜貫通ドメインおよび235~455番目の細胞質ドメインを含む、455アミノ酸で構成されている。細胞外ドメインは190アミノ酸の配列で構成されている。
【0136】
本発明の一態様において、抗TNFR1抗体は、TNFR1の細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。
【0137】
本発明の一態様において、抗TNFR1抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含むFc領域を含む。
【0138】
ヒトEDAR分子は、最初の1~26番目にあるシグナリングペプチドと、それに続く27~187番目の細胞外ドメイン、188~208番目の膜貫通ドメイン、および209~448番目の細胞質ドメインを含む、448アミノ酸で構成されている。細胞外ドメインは161アミノ酸の配列で構成されている。
【0139】
本発明の一態様において、抗EDAR抗体は、EDARの細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。
【0140】
本発明の一態様において、抗EDAR抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含むFc領域を含む。
【0141】
ヒトNGFR分子は、最初の1~28番目にあるシグナリングペプチドと、それに続く29~250番目の細胞外ドメイン、251~272番目の膜貫通ドメイン、および273~427番目の細胞質ドメインを含む、427アミノ酸で構成されている。細胞外ドメインは222アミノ酸の配列で構成されている。
【0142】
本発明の一態様において、抗NGFR抗体は、NGFRの細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。
【0143】
本発明の一態様において、抗NGFR抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含むFc領域を含む。
【0144】
ヒトDR3分子は、最初の1~24番目にあるシグナリングペプチドと、それに続く25~199番目の細胞外ドメイン、200~220番目の膜貫通ドメイン、および221~417番目の細胞質ドメインを含む、417アミノ酸で構成されている。細胞外ドメインは175アミノ酸の配列で構成されている。
【0145】
本発明の一態様において、抗DR3抗体は、DR3の細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。
【0146】
本発明の一態様において、抗DR3抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含むFc領域を含む。
【0147】
ヒトDR4分子は、最初の1~23番目にあるシグナリングペプチドと、それに続く24~239番目の細胞外ドメイン、240~262番目の膜貫通ドメイン、および263~468番目の細胞質ドメインを含む、468アミノ酸で構成されている。細胞外ドメインは216アミノ酸の配列で構成されている。
【0148】
本発明の一態様において、抗DR4抗体は、DR4の細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。
【0149】
本発明の一態様において、細胞内デスドメインを含むデスレセプターのメンバーはDR4である。
【0150】
本発明の一態様において、抗DR4抗体は、(VH)SEQ ID NO:13および(VL)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含む抗原結合領域を含む。
【0151】
本発明の一態様において、抗DR4抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含み、前記変異は、E430G、E430S、E40FおよびE430Tからなる群より選択される。本発明の一態様において、抗DR4抗体はE430G変異を含む。
【0152】
本発明の一態様において、抗DR4抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含み、前記変異は、E345K E345Q、E345RおよびE345Yからなる群より選択される。本発明の一態様において、抗DR4抗体はE345K変異を含む。
【0153】
本発明の一態様において、抗DR4抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含むFc領域を含む。
【0154】
ヒトDR5分子は、最初の1~55番目にあるシグナリングペプチドと、それに続く56~210番目の細胞外ドメイン、211~231番目の膜貫通ドメインおよび232~440番目の細胞質ドメインを含む、440アミノ酸で構成されている。細胞外ドメインは155アミノ酸の配列で構成されている。DR5の短いアイソフォームは、細胞外ドメインのうち、185~213を欠いている。
【0155】
本発明の一態様において、抗DR5抗体は、DR5の細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。
【0156】
本発明の一態様において、抗DR5抗体は、
a)(VH)SEQ ID NO 19および(VL)SEQ ID NO:23、
b)(VH)SEQ ID NO 26および(VL)SEQ ID NO:23、
c)(VH)SEQ ID NO 31および(VL)SEQ ID NO:35、ならびに
d)(VH)SEQ ID NO 40および(VL)SEQ ID NO:43
からなる群からのアミノ酸配列を含む、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含む抗原結合領域を含む。
【0157】
本発明の一態様において、抗DR5抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含み、前記変異は、E430G、E430S、E40FおよびE430Tからなる群より選択される。本発明の一態様において、抗DR5抗体はE430G変異を含む。
【0158】
本発明の一態様において、抗DR5抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含み、前記変異は、E345K E345Q、E345RおよびE345Yからなる群より選択される。本発明の一態様において、抗DR5抗体はE345K変異を含む。
【0159】
本発明の一態様において、抗DR5抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含むFc領域を含む。
【0160】
本発明の一態様において、抗体は、TRAILと同じ結合部位またはTRAILの結合部位とオーバーラップする結合部位に結合する抗原結合領域を含む。TRAIL結合モチーフは、DR5エクトドメインとの複合体を形成したTRAILの結晶構造によれば、CRD2およびCRD3中にある(Hymowitz et al., Mol Cell. 1999 Oct;4(4):563-71)。すなわち、本発明の一態様において、抗体は、TRAILと同じDR5上の結合領域に結合する抗原結合領域を含む。本発明の一態様において、抗体は、DR5へのTRAILの結合と競合する抗原結合領域を含む。本発明の一態様において、抗体は、TRAIL誘導アポトーシスなどの、TRAILが誘導する媒介死滅をブロックする。
【0161】
本発明の別の一態様において、抗体は、TRAILの結合部位とは異なるDR5上のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。本発明の一態様において、抗体は、TRAILとは異なるDR5上の結合領域に結合する抗原結合領域を含む。本発明の一態様において、抗体は、TRAIL誘導アポトーシスなどの、TRAILが誘導する媒介死滅をブロックしない。
【0162】
ヒトDR6分子は、最初の1~41番目にあるシグナリングペプチドと、それに続く42~349番目の細胞外ドメイン、350~370番目の膜貫通ドメイン、および371~655番目の細胞質ドメインを含む、655アミノ酸で構成されている。細胞外ドメインは308アミノ酸の配列で構成されている。
【0163】
本発明の一態様において、抗DR6抗体は、DR6の細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合領域を含む。
【0164】
本発明の一態様において、抗DR6抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430GまたはE345Kに対応する変異を含むFc領域を含む。
【0165】
本発明の一態様において、抗体はモノクローナル抗体である。本発明の一態様において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgDまたはIgMアイソタイプである。
【0166】
本発明の好ましい一態様において、抗体はIgG1抗体である。
【0167】
本発明の一態様において、抗体は、IgG1m(f)、IgG1m(z)、IgG1m(a)またはIgG1m(x)アロタイプであるか、任意のアロタイプの組合せ、例えばIgG1m(z,a)、IgG1m(z,a,x)、IgG1m(f,a)である。
【0168】
一態様において、抗体はヒト抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体である。
【0169】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFRからなる群より選択される抗デスレセプター抗体は、アゴニスト性である。抗体がアゴニスト性であるとは、抗体が、それが結合したデスレセプターを、そのデスレセプターとそのデスレセプターに結合する天然リガンドとの間の相互作用によって見いだされる効果またはそのデスレセプターの過剰発現によって見いだされる効果と少なくとも同じように、クラスター化し、刺激し、または活性化することと理解すべきである。
【0170】
FASに結合した本発明のアゴニスト性抗FAS抗体は、FASに結合したFASリガンドと同じ細胞内経路を活性化する。本発明のアゴニスト性抗FAS抗体は、FASを発現する細胞におけるアポトーシスを誘導することができる。
【0171】
DR4に結合した本発明のアゴニスト性抗DR4抗体は、DR4に結合したTRAILと同じ細胞内経路を活性化する。
【0172】
DR5に結合した本発明のアゴニスト性抗DR5抗体は、DR5に結合したTRAILと同じ細胞内経路を活性化する。
【0173】
TNFR1に結合した本発明のアゴニスト性抗TNFR1抗体は、TNFR1に結合したLTαまたはTNFと同じ細胞内経路を活性化する。
【0174】
DR6に結合した本発明のアゴニスト性抗DR6抗体は、DR6の過剰発現またはDR6に結合したAPPと同じ細胞内経路を活性化する。
【0175】
DR3に結合した本発明のアゴニスト性抗DR3抗体は、DR3に結合したTWEAKと同じ細胞内経路を活性化する。
【0176】
EDARに結合した本発明のアゴニスト性抗EDAR抗体は、EDARに結合したエクトジスプラシンAと同じ細胞内経路を活性化する。
【0177】
NGFRに結合した本発明のアゴニスト性抗NGFR抗体は、NGFRに結合したNGFと同じ細胞内経路を活性化する。
【0178】
本発明の一態様において、抗デスレセプター抗体、例えば抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体は、強化されたアゴニスト活性を有する。抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体が強化されたアゴニスト活性を有するとは、抗体が、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、もしくはNGFRレセプターをクラスター化できること、またはFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、もしくはNGFRに結合した天然リガンドと同じ細胞内経路を、ただし強化されたレベルで、活性化できることと理解すべきである。すなわち、強化されたアゴニスト活性を持つ本発明の、すなわち本発明に従ってFc領域に変異を有する、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFRレセプターを発現する細胞または組織において、そのレセプターに結合する天然リガンドまたは該変異を持たない同じ抗体と比較して、増加したレベルのアポトーシスまたはプログラム細胞死を誘導することができる。
【0179】
したがって、本発明との関連において、本発明の抗体の、すなわちEUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応する位置にアミノ酸変異を含む抗体の、強化されたアゴニスト活性は、本発明の抗体を、該変異を持たない同じ抗体と比較することによって評価することができると、理解すべきである。本発明との関連において、同じ抗体とは、本発明の抗体と同一のアミノ酸配列を有するが該変異を持たない抗体と理解すべきである。
【0180】
本発明の一態様において、抗デスレセプターレセプター抗体、例えば抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体は、標的細胞におけるプログラム細胞死を誘導する。本発明の一態様において、抗DR5抗体はカスパーゼ依存性細胞死を誘導する。カスパーゼ依存性細胞死は、カスパーゼ-3および/またはカスパーゼ-7の活性化によって誘導されうる。本発明の一態様において、抗体はアポトーシスを誘導する。
【0181】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体などの抗デスレセプター抗体は、アネキシン-V結合によって測定することができるホスファチジルセリン(PS)露出を誘導する。それゆえに、アネキシン-V結合はプログラム細胞死と相関し、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体などの抗デスレセプター抗体の、プログラム細胞死につながる細胞事象を誘導する能力を測定するために使用することができる。
【0182】
本発明の好ましい一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体などの抗デスレセプター抗体は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFRなどのデスレセプターを発現する標的細胞、例えば腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘導する。
【0183】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体などの抗デスレセプター抗体は、細胞の生存率を低減する。
【0184】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体などの抗デスレセプター抗体は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFRなどのデスレセプターのクラスター化を誘導する。抗体がクラスター化を誘導することができ、クラスター化を強化することさえできることは、次に挙げる標的の群: FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDAR、またはNGFRのうちの一つに結合した天然リガンドと同じ細胞内シグナリング経路の活性化につながる。
【0185】
一態様において、本発明の抗体または組成物は、1つまたは複数のデスレセプター、例えばFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよび/またはNGFRを発現するがん細胞またはがん組織におけるアポトーシスまたは細胞死を誘導し、トリガーし、増加させ、または強化する。増加したまたは強化されたアポトーシスまたは細胞死は、1つまたは複数の本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび/または抗NGFR抗体に曝露された細胞またはそれらの抗体で処理された細胞上の、増加したまたは強化されたホスファチジルセリン露出レベルによって測定することができる。したがって、本発明との関連において、本発明の抗体の、すなわちEUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応する位置にアミノ酸変異を含む抗体の、誘導され、トリガーされ、増加し、または強化されたアポトーシスまたは細胞死は、本発明の抗体を、該変異を持たない同じ抗体と比較することによって評価することができると理解すべきである。本発明との関連において、同じ抗体とは、本発明の抗体と同一のアミノ酸配列を有するが該変異を持たない抗体と理解すべきである。
【0186】
あるいは、増加したまたは強化されたアポトーシスまたは細胞死は、1つまたは複数の本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび/または抗NGFR抗体に曝露されたまたはそれらの抗体で処理された細胞中のカスパーゼ3またはカスパーゼ7の活性化を測定することによって測定することができる。あるいは、増加したまたは強化されたアポトーシスまたは細胞死は、1つまたは複数の本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび/または抗NGFR抗体に曝露された細胞培養またはそれらの抗体で処理された細胞培養における、無処理細胞培養と比較した生存率の低下によって測定することができ、ここでは、生存率の低下を、カスパーゼ阻害剤、例えばZVADによって阻害することができる。
【0187】
本発明の一態様において、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを発現する標的細胞上で、抗体の六量体化を誘導する。
【0188】
二重特異性抗体
別の一局面において、本発明は、デスレセプター、例えば本明細書に記載のFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRに結合する少なくとも1つの抗原結合領域を含む二重特異性抗体に関する。
【0189】
別の一局面において、本発明は、デスレセプター、例えば本明細書に記載のFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRに結合する1つまたは複数の抗原結合領域を含む二重特異性抗体を含む。
【0190】
本発明の一態様において、二重特異性抗体は、本明細書において定義するデスレセプターに結合する第1の抗原結合領域および第2の抗原結合領域を含む。
【0191】
本発明の一態様において、二重特異性抗体は、第1の抗原結合領域および第2の抗原結合領域を含み、第1の抗原結合領域と第2の抗原結合領域は、同じデスレセプター上の異なるエピトープに結合する。
【0192】
本発明の一態様において、二重特異性抗体は第1Fc領域および第2Fc領域を含み、第1Fc領域および/または第2Fc領域は、本発明に従って、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置の変異を含む。 本発明の一態様において、二重特異性抗DR5抗体は第1Fc領域および第2Fc領域を含み、第1Fc領域および第2Fc領域は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置の変異を含む。本発明の一態様において、二重特異性抗体は第1Fc領域および第2Fc領域を含み、第1Fc領域はEUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置の変異を含む。本発明の一態様において、二重特異性抗体は第1Fc領域および第2Fc領域を含み、第2Fc領域は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置の変異を含む。
【0193】
本発明の一態様において、二重特異性抗体は第1の抗原結合領域および第2の抗原結合領域を含み、次に挙げる群: FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRから選択されるデスレセプターに結合する第1の抗原結合領域は、次に挙げる群: FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRから選択されるデスレセプターに結合する第2の抗原結合領域の結合をブロックせず、第1の抗原結合領域と第2の抗原結合領域は同じデスレセプターに結合しない。
【0194】
特定の態様において、抗体は、参照により本明細書に組み入れられるWO 11/131746に記載されたヘテロ二量体タンパク質などの二重特異性抗体でありうる。
【0195】
1つの態様において、抗体は、免疫グロブリンの第1のFc領域と第1の抗原結合領域とを含む第1の重鎖、および免疫グロブリンの第2のFc領域と第2の抗原結合領域とを含む第2の重鎖を含む二重特異性抗体であり、ここで第1および第2の抗原結合領域は、同じ抗原上または異なる抗原上の異なるエピトープに結合する。
【0196】
さらなる態様において、第1のFc領域を含む第1の重鎖は、ヒトIgG1重鎖のFc領域でのK409、T366、L368、K370、D399、F405およびY407に対応するものから選択される位置にさらなるアミノ酸置換を含み; かつここで第2のFc領域を含む第2の重鎖は、ヒトIgG1重鎖のFc領域でのF405、T366、L368、K370、D399、Y407およびK409に対応するものから選択される位置にさらなるアミノ酸置換を含み、かつここで第1のFc領域を含む第1の重鎖における該さらなるアミノ酸置換は、第2のFc領域を含む第2の重鎖における該さらなるアミノ酸置換とは異なる。
【0197】
さらなる態様において、第1のFc領域を含む第1の重鎖は、ヒトIgG1重鎖のFc領域でのK409に対応する位置にアミノ酸置換を含み; かつ第2のFc領域を含む第2の重鎖は、ヒトIgG1重鎖のFc領域でのF405に対応する位置にアミノ酸置換を含む。
【0198】
本発明の1つの態様において、二重特異性抗体は、ヒトIgG1重鎖のFc領域においてE345、E430、S440、Q386、P247、I253、S254、Q311、D/E356、T359、E382、Y436、およびK447に対応するものから選択される少なくとも1つのアミノ酸残基での変異を含む第1および第2のFc領域を導入することを含み、ただしS440における変異はS440YまたはS440Wであることを条件とする。
【0199】
さらなる態様において、S440における変異はS440YまたはS440Wであることを条件とする、ヒトIgG1重鎖のFc領域におけるE345、E430、S440、Q386、P247、I253、S254、Q311、D/E356、T359、E382、Y436、およびK447に対応するものから選択される少なくとも1つのアミノ酸残基での第1および第2のFc領域における変異は、同じアミノ酸残基の位置または異なる位置にありうる。さらなる態様において、それは第1および第2のFc領域における同じアミノ酸残基の位置での同じまたは異なる変異でありうる。
【0200】
別の態様において、二重特異性抗体は、ヒトIgG1重鎖のFc領域におけるE345、E430、S440、Q386、P247、I253、S254、Q311、D/E356、T359、E382、Y436、およびK447に対応するものから選択される少なくとも1つのアミノ酸残基での変異を含む第1または第2のCH2-CH3領域を含み、ただしS440における変異はS440YまたはS440Wであることを条件とする。
【0201】
本発明の1つの態様において、二重特異性抗体は第1および第2の重鎖を含み、ここで該第1の重鎖は、EUナンバリングでのヒトIgG1におけるF405Lに対応する変異を含み、かつ該第2の重鎖は、EUナンバリングでのIgG1におけるK409Rに対応する変異を含む。
【0202】
本発明の1つの態様において、二重特異性抗体は薬学的組成物に含まれる。
【0203】
抗デスレセプター抗体組成物
本発明のいずれかの局面または態様によるモノクローナル抗体または二重特異性抗体などの抗デスレセプター抗体、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体は、薬学的組成物、診断組成物または任意の他の組成物などの、組成物に含まれうる。
【0204】
1つの局面において、本発明は、本明細書に記載の態様のいずれか1つによる少なくとも1つの抗デスレセプター抗体を含む組成物に関する。
【0205】
1つの局面において、本発明は、本明細書に記載の態様のいずれか1つによる1つまたは複数の抗デスレセプター抗体を含む組成物に関する。この組成物は、2つの異なるモノクローナル抗デスドメインレセプター抗体の組合せなどの、同一ではない本明細書に記載の本発明による1つ、2つまたはそれ以上の抗デスドメインレセプター抗体を含みうる。
【0206】
本発明の一態様において、組成物は、本明細書に記載の第1抗デスレセプター抗体および第2抗デスレセプター抗体を含む。すなわち、本発明の一態様において、組成物は、本明細書に記載の第1の抗体および本明細書に記載の第2の抗体を含み、第1の抗体と第2の抗体は同一ではない。すなわち、本発明の一態様において、組成物は、本明細書に記載の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFR抗体からなる群より選択される第1の抗体と、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFR抗体からなる群より選択される第2の抗体とを含み、第1の抗体と第2の抗体は同じ抗原または同じエピトープに結合しない。これにより、第1の抗体と第2の抗体とが同一でない抗体組成物が記述される。
【0207】
本発明の一態様において、組成物は、本明細書に記載の、すなわちEUナンバリングでヒトIgG1中の位置E430、E345またはS440に対応するアミノ酸に変異を有する、第1抗デスレセプター抗体と第2抗デスレセプター抗体とを含む。
【0208】
本発明の一態様において、EUナンバリングでヒトIgG1中の位置E430に対応するアミノ酸における変異は、E430G、E430S、E430FおよびE430Tからなる群より選択される。
【0209】
本発明の一態様において、EUナンバリングでヒトIgG1中の位置E345に対応するアミノ酸における変異は、E345K、E345Q、E345RおよびE345Yからなる群より選択される。
【0210】
本発明の一態様において、EUナンバリングでヒトIgG1中の位置S440に対応するアミノ酸における変異は、S440WおよびS440Yからなる群より選択される。
【0211】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗FAS抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗DR4抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0212】
本発明の一態様において、第1の抗体および第2の抗体は、同じアミノ酸位置に変異を含む。本発明の一態様において、第1の抗体および第2の抗体は、同じでないアミノ酸位置に変異を含む。したがって本発明の一態様において、第1の抗体および第2の抗体はあるアミノ酸位置に変異を含み、第1の抗体および第2の抗体中の該アミノ酸位置は異なる。
【0213】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗FAS抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗DR4抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0214】
本発明の一態様において、組成物は、E430G変異を含む第1抗FAS抗体と、E430G変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗DR4抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0215】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗FAS抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗DR4抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0216】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異を含む第1抗FAS抗体と、Fc領域にE345K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗DR4抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0217】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗DR4抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0218】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗DR4抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0219】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗DR4抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0220】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異を含む第1抗DR4抗体と、Fc領域にE345K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0221】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗DR5抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0222】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗DR5抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0223】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗DR5抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE345に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0224】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異を含む第1抗DR5抗体と、Fc領域にE430G変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0225】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異を含む第1抗DR5抗体と、Fc領域にE345K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0226】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗TNFR1抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗DR5抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0227】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異を含む第1抗TNFR1抗体と、Fc領域にE430G変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗DR5抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0228】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異を含む第1抗TNFR1抗体と、Fc領域にE345K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗DR5抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0229】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗DR6抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0230】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異を含む第1抗DR6抗体と、Fc領域にE430G変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0231】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異を含む第1抗DR6抗体と、Fc領域にE345K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0232】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗DR3抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0233】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異を含む第1抗DR3抗体と、Fc領域にE430G変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0234】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異を含む抗DR3抗体と、Fc領域にE345K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0235】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗EDAR抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0236】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異を含む第1抗EDAR抗体と、Fc領域にE430G変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0237】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異を含む第1抗EDAR抗体と、Fc領域にE345K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0238】
本発明の一態様において、組成物は、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第1抗NGFR抗体と、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置に変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗EDAR抗体
からなる群より選択される。
【0239】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異を含む第1抗NGFR抗体と、Fc領域にE430G変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗EDAR抗体
からなる群より選択される。
【0240】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異を含む第1抗NGFR抗体と、Fc領域にE345K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗EDAR抗体
からなる群より選択される。
【0241】
K439EまたはS440Kなどの六量体化阻害変異は、同じ六量体化阻害変異を含む抗体とのFc-Fc相互作用を妨げるが、K439E変異を持つ抗体とS440K変異を持つ抗体とを組み合わせることにより、前記の阻害効果は中和されて、Fc-Fc相互作用が回復する。
【0242】
本発明の一態様において、組成物は、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFR抗体からなる群より選択される第1の抗体と、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFR抗体からなる群よりから選択される第2の抗体とを含み、第1の抗体および第2の抗体は、EUナンバリングでヒトIgG1中のK439EまたはS440Kに対応するさらなる六量体化阻害変異を含む。
【0243】
本発明の一態様において、組成物は、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFR抗体からなる群より選択される第1の抗体および第2の抗体を含み、第1の抗体は、E430Gなどの六量体化強化変異と、K439Eなどの六量体化阻害変異とを含み、第2の抗体は、E430Gなどの六量体化強化変異と、S440Kなどの六量体化阻害変異を含む。これにより、六量体化がもっぱらK439E変異を含む抗体とS440K変異を含む抗体との組合せの間で起こり、それによって異なる結合特異性を持つ抗体間での六量体化が可能になる組成物を可能にする態様が提供される。
【0244】
本発明の一態様において、組成物は、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFR抗体からなる群より選択される第1の抗体および第2の抗体を含み、第1の抗体は、E345Kなどの六量体化強化変異と、K439Eなどの六量体化阻害変異とを含み、第2の抗体は、E345Kなどの六量体化強化変異と、S440Kなどの六量体化阻害変異とを含む。これにより、六量体化がもっぱらK439E変異を含む抗体とS440K変異を含む抗体との組合せの間で起こり、それによって異なる結合特異性を持つ抗体間での六量体化が可能になる組成物を可能にする態様が提供される。
【0245】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異およびK439E変異を含む第1抗FAS抗体と、Fc領域にE430G変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗DR4抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0246】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異およびK439E変異を含む第1抗FAS抗体と、Fc領域にE345K変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗DR4抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0247】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異およびK439E変異を含む第1抗DR4抗体と、Fc領域にE430G変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0248】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異およびK439E変異を含む第1抗DR4抗体と、Fc領域にE345K変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR5抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0249】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異およびK439E変異を含む第1抗DR5抗体と、Fc領域にE430G変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0250】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異およびK439E変異を含む第1抗DR5抗体と、Fc領域にE345K変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0251】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異およびK439E変異を含む第1抗TNFR1抗体と、Fc領域にE430G変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗DR5抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0252】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異およびK439E変異を含む第1抗TNFR1抗体と、Fc領域にE345K変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗DR5抗体、
d)抗DR6抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0253】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異およびK439E変異を含む第1抗DR6抗体と、Fc領域にE430G変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0254】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異およびK439E変異を含む第1抗DR6抗体と、Fc領域にE345K変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR3抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0255】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異およびK439E変異を含む第1抗DR3抗体と、Fc領域にE430G変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0256】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異およびK439E変異を含む第1抗DR3抗体と、Fc領域にE345K変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗EDAR抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0257】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異およびK439E変異を含む第1抗EDAR抗体と、Fc領域にE430G変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0258】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異およびK439E変異を含む第1抗EDAR抗体と、Fc領域にE345K変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗NGFR抗体
からなる群より選択される。
【0259】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE430G変異およびK439E変異を含む第1抗NGFR抗体と、Fc領域にE430G変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗EDAR抗体
からなる群より選択される。
【0260】
本発明の一態様において、組成物は、Fc領域にE345K変異およびK439E変異を含む第1抗NGFR抗体と、Fc領域にE345K変異およびS440K変異を含む第2の抗体とを含み、第2の抗体は、
a)抗FAS抗体、
b)抗DR4抗体、
c)抗TNFR1抗体、
d)抗DR5抗体、
c)抗DR6抗体、
d)抗DR3抗体、および
e)抗EDAR抗体
からなる群より選択される。
【0261】
これにより、六量体化がもっぱらK439E変異を含む抗体とS440K変異を含む抗体との組合せの間で起こり、それによって異なる結合特異性を持つ抗体間での六量体化が可能になる組成物を可能にする態様が提供される。
【0262】
本発明の一態様において、組成物は、同じデスレセプター上の異なるエピトープに結合する第1抗デスレセプター抗体および第2抗デスレセプター抗体を含む。
【0263】
本発明の一態様において、組成物は、デスレセプターに結合する第1抗デスレセプター抗体であって、第1抗デスレセプター抗体と第2抗デスレセプター抗体とが同じ標的に結合する場合に、第2抗デスレセプター抗体の結合をブロックしないものを含む。すなわち、本発明の一態様において、組成物は、第1抗デスレセプター抗体および第2抗デスレセプター抗体を含み、第1の抗体と第2の抗体はデスドメインレセプターへの結合に関して競合しない。
【0264】
本発明の1つの態様において、組成物は、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARおよび抗NGFRの群から選択される第1および第2の抗デスレセプター抗体を含み、ここで該第1の抗体および該第2の抗体は1:1のモル比、1:2のモル比、1:3のモル比、1:4のモル比、1:5のモル比、1:6のモル比、1:7のモル比、1:8のモル比、1:9のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:5のモル比、1:10のモル比、1:15のモル比、1:20のモル比、1:25のモル比、1:30のモル比、1:35のモル比、1:40のモル比、1:45のモル比、1:50のモル比、50:1のモル比、45:1のモル比、40:1のモル比、35:1のモル比、30:1のモル比、25:1のモル比、20:1のモル比、15:1のモル比、10:1のモル比、9:1のモル比、8:1のモル比、7:1のモル比、6:1のモル比、5:1のモル比、4:1のモル比、3:1のモル比、2:1のモル比のような、1:49~49:1のモル比で組成物中に存在する。
【0265】
本発明の1つの態様において、組成物は第1および第2の抗体を含み、ここで該第1の抗体および該第2の抗体は1:9~9:1のモル比で組成物中に存在する。
【0266】
本発明の1つの態様において、組成物は第1および第2の抗デスレセプター抗体を含み、ここで該第1の抗体および該第2の抗体はおよそ1:1のモル比で組成物中に存在する。
【0267】
本発明の1つの態様において、組成物は第1および第2の抗デスレセプター抗体を含み、ここで該第1の抗体および該第2の抗体は1:1のモル比で組成物中に存在する。
【0268】
本発明の好ましい態様において、組成物は第1および第2の抗デスレセプター抗体を含み、ここで該第1の抗体および第2の抗体ならびに/または任意のさらなる抗体は、等モル比で組成物中に存在する。
【0269】
本発明の1つの態様において、組成物は薬学的組成物である。
【0270】
本発明の1つの態様において、二重特異性抗体は薬学的組成物中に含まれる。
【0271】
本発明の薬学的組成物は、本発明の任意の局面または態様によるモノクローナル抗体または二重特異性抗体のような抗体を含みうる。
【0272】
薬学的組成物は、(Rowe et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2012 June, ISBN 9780857110275)に開示されているものなどの従来の技法にしたがって、薬学的に許容される担体または希釈剤ならびに任意の他の既知の補助剤および賦形剤とともに製剤化されうる。
【0273】
薬学的に許容される担体または希釈剤ならびに任意の他の既知の補助剤および賦形剤は、本発明の抗体または二重特異性抗体および選択の投与様式に適しているべきである。薬学的組成物の担体および他の構成要素に対する適当性を、本発明の選択化合物または薬学的組成物の所望の生物学的特性に及ぼす顕著な負の影響の欠如(例えば、抗原結合に及ぼす実質的な影響に満たない(10%またはそれ以下の相対阻害、5%またはそれ以下の相対阻害など))に基づいて決定する。
【0274】
本発明の薬学的組成物はまた、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、界面活性剤(例えば、Tween-20もしくはTween-80のような、非イオン性界面活性剤)、安定化剤(例えば、糖もしくは無タンパク質アミノ酸)、防腐剤、組織固定剤、可溶化剤、および/または薬学的組成物に含めるのに適した他の材料を含みうる。
【0275】
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、患者にとって毒性がない状態で、特定の患者、組成物、および投与の様式について所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変えられうる。選択される投薬レベルは、利用される本発明の特定の組成物、またはそのアミドの活性、投与の経路、投与の時間、利用されている特定の化合物の排出の速度、処置の継続期間、利用される特定の組成物と組み合わせて用いられるその他の薬物、化合物、および/または材料、処置されている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康および以前の病歴、ならびに医療技術分野において周知の同様の因子を含む、種々の薬物動態学的因子に依存するであろう。
【0276】
薬学的組成物は任意の適当な経路および様式によって投与されうる。インビボおよびインビトロで本発明の化合物を投与する適当な経路は、当技術分野において周知であり、かつ当業者によって選択されうる。
【0277】
1つの態様において、本発明の薬学的組成物は、非経口的に投与される。
【0278】
本明細書において用いられる「非経口投与」および「非経口的に投与される」という用語は、通常は注射による、腸内および局所への投与以外の投与の様式をいい、ならびに上皮、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心腔内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外、および胸骨内の注射および注入を含む。
【0279】
1つの態様において、本発明の薬学的組成物は静脈内または皮下の注射または注入によって投与される。
【0280】
本発明の1つの態様において、薬学的組成物は薬学的担体とともに、モノクローナル抗体または二重特異性抗体のような本発明による1つまたは複数の抗体を含む。
【0281】
薬学的に許容される担体は、本発明の化合物と生理学的に適合する任意のおよびすべての適当な溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤(isotonicity agent)、酸化防止剤ならびに吸収遅延剤などを含む。
【0282】
本発明の薬学的組成物において利用されうる適当な水性および非水性の担体の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、エタノール、デキストロース、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物、オリーブ油、コーン油、ピーナッツ油、綿実油、および胡麻油のような、植物油、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、トラガカントゴム、およびオレイン酸エチルのような、注射可能な有機エステル、ならびに/または様々な緩衝液が挙げられる。他の担体は薬学の技術分野において周知である。
【0283】
薬学的に許容される担体には、滅菌注射可能水溶液または分散液および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が含まれる。薬学的活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当技術分野において公知である。任意の従来の媒質または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の薬学的組成物におけるその使用が企図される。
【0284】
適切な流動性は、例えば、レシチンのような、コーティング材料の使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズの維持によって、および表面活性物質の使用によって維持されうる。
【0285】
本発明の薬学的組成物はまた、薬学的に許容される酸化防止剤、例えば(1) アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムなどのような、水溶性酸化防止剤; (2) パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ-トコフェロールなどのような、油溶性酸化防止剤;および(3) クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などのような、金属キレート剤を含みうる。
【0286】
本発明の薬学的組成物はまた、等張化剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、グリセロールまたは塩化ナトリウムを組成物中に含みうる。
【0287】
本発明の薬学的組成物はまた、薬学的組成物の貯蔵寿命または有効性を増強しうる保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、保存剤または緩衝液のような、選択の投与経路に適した1つまたは複数の補助剤を含有しうる。本発明の化合物は、例えばインプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達系を含む、放出制御製剤のような、化合物を迅速な放出から保護する担体を用いて調製されうる。そのような担体は、ゼラチン、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、生分解性生体適合性重合体、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を単独でもしくはワックスとともに、または当技術分野において周知の他の材料を含みうる。そのような製剤の調製のための方法は一般に、当業者には公知である。
【0288】
1つの態様において、本発明の化合物は、インビボでの適正な分布を確実にするように製剤化されうる。非経口投与用の薬学的に許容される担体には、滅菌水性溶液または分散液および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当技術分野において公知である。任意の従来の媒質または薬剤は活性化合物と不適合でない限り、本発明の薬学的組成物におけるその使用が企図される。他の活性化合物または治療用化合物も組成物に組み入れられうる。
【0289】
注射または注入用の薬学的組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、または高い薬物濃度に適した他の秩序構造として製剤化されうる。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのような)、およびそれらの適当な混合物、植物油、例えばオリーブ油、ならびに注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルを含有する水性または非水性の溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズの維持によって、および表面活性物質の使用によって維持されうる。多くの場合、等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばグリセロール、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましいであろう。注射可能な組成物の長時間吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含めることによってもたらされうる。滅菌注射可能溶液は、必要量の活性化合物を適切な溶媒に、例えば、必要に応じて上に列挙したような成分の1つまたは組み合わせと共に組み入れ、その後に滅菌精密ろ過を行うことによって調製されうる。一般に、分散液は、基礎分散媒と必要な他の成分、例えば上に列挙したものからの成分とを含有する滅菌媒体に、活性化合物を組み入れることによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法の例は、活性成分と所望する任意の追加成分との粉末を前もって滅菌ろ過したその溶液から与える真空乾燥および冷凍乾燥(凍結乾燥)である。
【0290】
滅菌注射可能溶液は、必要量の活性化合物を適切な溶媒に、必要に応じて、上に列挙したような成分の1つまたは組み合わせと共に組み入れ、その後に滅菌精密ろ過を行うことによって調製されうる。一般に、分散液は、基礎分散媒と上に列挙したものからの必要な他の成分とを含有する滅菌媒体に、活性化合物を組み入れることによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法の例は、活性成分と所望する任意の追加成分との粉末を前もって滅菌ろ過したその溶液から与える真空乾燥および冷凍乾燥(凍結乾燥)である。
【0291】
本発明の薬学的組成物は、本発明の1つもしくは複数のモノクローナル抗体または1つもしくは複数の二重特異性抗体、本発明による抗体または二重特異性抗体と別の治療用化合物との組合せ、あるいは本発明の化合物の組合せを含有しうる。
【0292】
治療用途
本発明の任意の局面または態様によるモノクローナル抗体、二重特異性抗体または組成物のような抗体は、薬物として、すなわち治療用途のために用いられうる。
【0293】
本発明の1つの態様において、組成物は、薬物として用いるためのモノクローナル抗体または二重特異性抗体のような、本発明による1つまたは複数の抗体を含む。
【0294】
別の一局面において、本発明は、対象において、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRなどのデスレセプターを発現する細胞が関与する障害を処置または防止するための方法であって、治療有効量の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体、二重特異性抗体、または1つもしくは複数の本発明の抗体を含む組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法を提供する。本方法は、典型的に、それを必要とする対象に、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDAR、および抗NGFR抗体、二重特異性抗体または組成物を、障害を処置または防止するのに有効な量で投与することを伴う。
【0295】
本発明の抗デスレセプター抗体は、デスレセプターを発現する細胞が関与する障害の処置または防止において使用することができる。例えば、FAS発現細胞、DR4発現細胞、DR5発現細胞、TNFR1発現細胞、DR6発現細胞、DR3発現細胞、EDAR発現細胞またはNGFR発現細胞が関与する障害を処置または防止するために、本抗体を、ヒト対象に、例えばインビボで、投与することができる。本明細書において使用する場合、「対象」という用語は、典型的には、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体が投与されるヒトである。対象は、例えば、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRの機能を調整することによって、またはFAS発現細胞、DR4発現細胞、DR5発現細胞、TNFR1発現細胞、DR6発現細胞、DR3発現細胞、EDAR発現細胞またはNGFR発現細胞の死滅によって、直接的または間接的に、矯正または改善されうる障害を有するヒト患者を含みうる。
【0296】
一局面において、本発明は、1つまたは複数のデスレセプターを発現する細胞、すなわちFAS発現細胞、DR4発現細胞、DR5発現細胞、TNFR1発現細胞、DR6発現細胞、DR3発現細胞、EDAR発現細胞またはNGFR発現細胞が関与する疾患または障害の処置において使用するための、またはその症状を改善するための、本明細書において任意の局面または態様で定義した抗デスレセプター抗体、二重特異性抗体または組成物に関する。一部の疾患または障害において、細胞は、2種類以上のデスレセプターを発現する。すなわち、一部の疾患または障害において、細胞は、以下のデスレセプター群:FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARおよびNGFRの任意の組合せを発現する。
【0297】
本発明の一態様において、本明細書に開示する任意の局面または態様による抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、感染性疾患、自己免疫疾患または心血管異常の処置において使用するための組成物である。
【0298】
一局面において、本発明は、がんおよび/または腫瘍の処置において使用するための、またはその症状を改善するための、本明細書において任意の局面または態様で定義した抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体または組成物に関する。
【0299】
本発明の一態様において、本発明の任意の局面または態様による抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、がんおよび/または腫瘍の処置において使用するための組成物である。
【0300】
「がん」という用語は、典型的には、無秩序な成長を特徴とする、ヒトなどの哺乳動物における生理的状態を指し、または記述する。大半のがんは、がんのより大きな2つのグループ、すなわち固形腫瘍および血液学的腫瘍のうちの一方に属する。
【0301】
一特定局面において、抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体、または組成物は、がんが発生するリスクを低減し、がんの進行においてある事象の開始を遅延させ、またはがんが寛解状態にあり、かつ/もしくは原発腫瘍が外科的に切除されている場合には、再発のリスクを低減するために、予防的に投与される。最後の事例の場合、抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体、または組成物は、例えば、外科手術との関連において(すなわち外科手術の前、途中、または後に)、投与することができるだろう。予防的投与は、他の生物学的因子ゆえに存在すると考えられる腫瘍の位置を特定することが困難な患者においても、有用でありうる。
【0302】
一態様において、1つまたは複数の本発明の抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、固形腫瘍および/または血液学的腫瘍の処置において使用するための組成物である。
【0303】
一態様において、1つまたは複数の本発明の抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、結腸直腸癌および結腸直腸腺癌を含む結腸直腸がん、膀胱がん、骨肉腫、軟骨肉腫、トリプルネガティブ乳がんを含む乳がん、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維肉腫、神経内分泌腫瘍を含む中枢神経系のがん、子宮頸がん、子宮内膜がん、胃腺癌を含む胃がん、頭頸部がん、腎がん、肝細胞癌を含む肝がん、NSCLCおよびSCLCを含む肺がん、卵巣がん、膵管癌および膵臓腺癌を含む膵がん、肉腫、または悪性黒色腫および非黒色腫皮膚がんを含む皮膚がんなどの固形腫瘍の処置において使用するための組成物である。
【0304】
本発明の一態様において、1つまたは複数の抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、血液学的腫瘍、例えば、慢性リンパ球性白血病と、急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病を含む骨髄性白血病とを含む白血病、非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、またはホジキンリンパ腫を含むおよび骨髄異形成症候群を含む多発性骨髄腫などの処置において使用するための組成物である。
【0305】
本発明の一特定態様において、1つまたは複数の抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、次に挙げるがんの群から選択されるがんの処置において使用するための組成物である:膀胱がん、骨がん、結腸直腸がん、肉腫、子宮内膜がん、線維芽細胞がん、胃がん、頭頸部がん、腎がん、白血病、肝がん、肺がん、リンパ腫、筋がん、神経組織がん、卵巣がん、膵がんおよび皮膚がん。
【0306】
本発明の一態様において、1つまたは複数の抗デスレセプター、すなわち抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARもしくはNGFR陽性の、またはFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARもしくはNGFRを発現する、腫瘍またはがんの成長の阻害に使用するための組成物である。
【0307】
本発明において、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR陽性の腫瘍またはがんとは、細胞表面上にDR5を発現する腫瘍細胞および/またはがん細胞と理解するべきである。そのようなFAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR発現は、免疫組織化学、フローサイトメトリーまたは他の適切な診断方法によって検出することができる。
【0308】
本発明の一態様において、1つまたは複数の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR腫瘍またはがんの成長の阻害に使用するための組成物である。FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRの不均一な発現を示す腫瘍およびがん組織も、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR陽性の腫瘍およびがんとみなされる。
【0309】
腫瘍および/またはがんは、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFR発現を示す一部の腫瘍および/またはがん細胞および/または組織上に、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRを発現しうる。一部の腫瘍および/またはがんが、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRの過剰発現または異常発現を示しうるのに対し、他の腫瘍および/またはがんは、FAS、DR4、DR5、TNFR1、DR6、DR3、EDARまたはNGFRの不均一な発現を示す。そのような腫瘍および/またはがんはいずれも、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体、二重特異性抗体、およびそのような抗体を含む組成物による処置の適切な標的になりうる。
【0310】
本発明の一態様において、1つまたは複数の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体または二重特異性抗体を含む組成物は、FAS発現腫瘍、DR4発現腫瘍、DR5発現腫瘍、TNFR1発現腫瘍、DR6発現腫瘍、DR3発現腫瘍、EDAR発現腫瘍、またはNGFR発現腫瘍におけるアポトーシスの誘導に使用するための組成物である。一態様において、腫瘍は、1種または複数種のデスレセプター、すなわち2種のデスレセプターの組合せ、3種のデスレセプターの組合せ、4種のデスレセプターの組合せ、5種のデスレセプターの組合せ、6種のデスレセプターの組合せ、7種のデスレセプターの組合せ、8種のデスレセプターの組合せを発現している。
【0311】
本発明の別の一局面は、がんを有する個体を処置する方法であって、該個体に有効量の、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体、または組成物を投与する工程を含む方法を含む。
【0312】
本発明の一態様において、がんを有する個体を処置する方法であって、該個体に有効量の、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体、または組成物を投与する工程を含む方法は、追加の治療作用物質を該個体に投与する工程をさらに含む。
【0313】
本発明の一態様において、追加の治療作用物質は、化学療法剤(パクリタキセル、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、ペメトレキセドを含むが、それらに限定されるわけではない)、キナーゼ阻害剤(ソラフェニブ、スニチニブまたはエベロリムスを含むが、それらに限定されるわけではない)、アポトーシス調節物質(組換えヒトTRAILまたはビリナパントを含むが、それらに限定されるわけではない)、RAS阻害剤、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブを含むが、それに限定されるわけではない)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(ボリノスタットを含むが、それに限定されるわけではない)、栄養補助食品、サイトカイン(IFN-γを含むが、それに限定されるわけではない)、抗体または抗体ミメティック(抗TF、抗AXL、抗EGFR、抗IGF-1R、抗VEGF、抗CD20、抗CD38、抗HER2、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA4、抗CD40、抗CD137、抗GITR、抗VISTA(または他の免疫調整標的)抗体および抗体ミメティックを含むが、それらに限定されるわけではない)、および抗体-薬物コンジュゲート、例えばブレンツキシマブベドチン、トラスツズマブエムタンシン、HuMax-TF-ADCまたはHuMax-AXL-ADCの群から選択される作用物質またはレジメンを含む、単一の作用物質または作用物質の組合せである。
【0314】
さらなる一局面において、本発明は、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体、または組成物を含み、抗体、二重特異性抗体または組成物が、1つまたは複数の容器、例えば1つまたは複数のバイアルに入っている、キット・オブ・パーツを含む。
【0315】
本発明の一態様において、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体、または組成物を含むキット・オブ・パーツは、治療において同時使用、個別使用または逐次使用するためのキット・オブ・パーツである。
【0316】
さらなる一態様において、本発明は、がん処置用の医薬の製造のための、本発明の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARもしくは抗NGFR抗体、二重特異性抗体、または組成物の使用である。
【0317】
本発明の態様を説明する際に、考えうるすべての態様の組合せおよび順列を、明示的に記載しているわけではない。それでもなお、一定の手段が相互に異なる独立請求項に具陳されているか、異なる態様において説明されているという、単にその事実だけで、それらの手段の組合せは有利に使用できないことが示されるわけではない。本発明は、記載した態様の考えうる組合せおよび順列をすべて想定している。
【0318】
本発明の別の一局面において、本発明は、表1に示すアミノ酸配列に従って抗体をコードする核酸コンストラクトを含む。すなわち一態様において本発明は、表1に示すアミノ酸配列に対応する抗体をコードする核酸コンストラクトを含む。本発明の一態様において、核酸コンストラクトは、本明細書において開示する任意の態様の抗体をコードする。
【0319】
さらなる一局面において、本発明は、Fc領域が、EUナンバリングでヒトIgG1中のE430、E345またはS440に対応するアミノ酸位置の変異を含む、本発明の抗体をコードする核酸に関する。さらに、本発明の抗体をコードする核酸は、本明細書に記載する具体的アミノ酸位置にアミノ酸置換を含むことも考えられる。したがって一態様において、核酸は、SEQ ID NO:1~50の配列を有する抗体をコードする。
【0320】
別の一局面において、本発明は、本発明において使用するためのヒト、ヒト化またはキメラ抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体の配列をコードする核酸、そのような抗体の配列をコードする発現ベクター、そのような発現ベクターを含む宿主細胞、そのような抗体を産生するハイブリドーマ、およびそのような宿主細胞またはハイブリドーマを、抗体を産生し任意で回収するのに適当な条件下で培養することによって、そのような抗体を産生する方法に関する。
【0321】
一態様において、本発明は、SEQ ID NO:1~51のアミノ酸配列のうちの1つまたは複数をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを提供する。
【0322】
別の一態様において、発現ベクターは、SEQ ID NO:18、22、19、30、39および46から選択されるVH CDR3アミノ酸配列のうちの任意の1つまたは複数をコードするヌクレオチド配列を含む。別の一態様において、発現ベクターは、SEQ ID NO:13、15、19、26、31および40から選択されるVHアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。別の一態様において、発現ベクターは、SEQ ID NO:14、16、23、35、43および15から選択されるVLアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。別の一態様において、発現ベクターは、ヒト抗体軽鎖の、ヒト抗体重鎖の、または両鎖の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む。別の一態様において、発現ベクターは、SEQ ID NO:20、27、32および47からなる群より選択されるヒト抗体重鎖の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0323】
ある特定態様において、発現ベクターは、上記アミノ酸配列のうちの1つまたは複数のバリアントをコードするヌクレオチド配列を含み、該バリアントは、多くて25個のアミノ酸改変、例えば多くて20個、例えば多くて15、14、13、12、または11個のアミノ酸改変、例えば10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸改変、例えば欠失または挿入、好ましくは置換、例えば保存的置換を有するか、該配列のいずれかに対して少なくとも80%の同一性、例えば少なくとも85%の同一性または90%の同一性または95%の同一性、例えば前述のアミノ酸配列のいずれかに対して96%の同一性または97%の同一性または98%の同一性または99%の同一性を有する。
【0324】
本発明との関連において発現ベクターは、染色体ベクター、非染色体ベクター、および合成核酸ベクター(適切な一組の発現制御要素を含む核酸配列)を含む、任意の適切なベクターでありうる。そのようなベクターの例として、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAとの組合せから誘導されるベクター、ウイルス核酸(RNAまたはDNA)ベクターが挙げられる。一態様において、ヒト化CD3抗体コード核酸は、例えば線状発現要素を含む裸のDNAまたはRNAベクター(例えばSykes and Johnston, Nat Biotech 17, 355-59(1997)に記載されているもの)、圧縮された(compacted)核酸ベクター(例えばUS6,077,835および/またはWO00/70087に記載されているもの)、プラスミドベクター、例えばpBR322、pUC19/18、またはpUC118/119、「midge」最小サイズ核酸ベクター(例えばSchakowski et al., Mol Ther 3, 793-800(2001)に記載されているもの)に含まれるか、沈降核酸ベクターコンストラクト、例えばCaPO4 -沈降コンストラクト(例えばWO 00/46147、Benvenisty and Reshef, PNAS USA 83, 9551-55(1986)、Wigler et al., Cell 14, 725(1978)、およびCoraro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7, 603(1981)に記載されているもの)として含まれる。そのような核酸ベクターおよびそれらの使用法は当技術分野では周知である(例えばUS5,589,466およびUS5,973,972を参照されたい)。
【0325】
一態様において、ベクターは、細菌細胞におけるヒト化抗DR5抗体の発現に適している。そのようなベクターの例として、例えばBlueScript(Stratagene)、pINベクター(Van Heeke & Schuster, J Biol Chem 264, 5503-5509(1989))、pETベクター(Novagen、ウィスコンシン州マディソン)などの発現ベクターが挙げられる。
【0326】
発現ベクターは、上記に加えて、または上記に代えて、酵母系における発現に適したベクターであることができる。酵母系における発現に適した任意のベクターを使用することができる。適切なベクターとして、例えばアルファ因子、アルコールオキシダーゼおよびPGHなどの構成的または誘導性プロモーターを含むベクターが挙げられる(F.Ausubel et al., ed. Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley InterScience New York(1987)、およびGrant et al., Methods in Enzymol 153, 516-544(1987)に総説がある)。
【0327】
核酸および/またはベクターは、新生ポリペプチド鎖などのポリペプチドを、細胞周辺腔に、または細胞培養培地中に、向かわせることができる、分泌/局在化配列をコードする核酸配列も含みうる。そのような配列は当技術分野において公知であり、分泌リーダーまたはシグナルペプチド、細胞小器官標的配列(例えば核局在化配列、ER保留シグナル、ミトコンドリア遷移配列、クロロプラスト遷移配列)、膜局在/固定配列(例えば膜透過停止配列、GPI固定配列)などが含まれる。
【0328】
本発明の発現ベクターでは、抗DR5抗体コード核酸ならびに第1および第2ポリペプチド核酸は、任意の適切なプロモーター、エンハンサー、および他の発現促進要素を含むか、それらを伴いうる。そのような要素の例として、強い発現プロモーター(例えばヒトCMV IEプロモーター/エンハンサーならびにRSV、SV40、SL3-3、MMTV、およびHIV LTRプロモーター)、効果的なポリ(A)終結配列、大腸菌(E. coli)におけるプラスミド産生のための複製起点、選択可能マーカーとしての抗生物質耐性遺伝子、および/または便利なクローニング部位(例えばポリリンカー)が挙げられる。核酸は、CMV IEなどの構成的プロモーターとは反対に、誘導性プロモーターも含みうる(このような用語が実際には、一定の条件下での遺伝子発現の程度の記述子であることは、当業者にはわかるであろう)。
【0329】
一態様において、抗DR5抗体コード発現物は、ウイルスベクターによって宿主細胞または宿主動物に配置され、送達される。
【0330】
そのような発現ベクターは、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体の組換え産生に使用することができる。
【0331】
一局面において、本明細書に記載する任意の局面または態様の抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体は、抗体を産生する組換え真核宿主細胞または組換え原核宿主細胞の使用によって提供される。したがって本発明は、本明細書において定義した抗DR5抗体を産生する、組換え真核宿主細胞または組換え原核宿主細胞、例えばトランスフェクトーマを提供する。宿主細胞の例として、酵母、細菌細胞および哺乳動物細胞、例えばCHOまたはHEK-293細胞が挙げられる。例えば一態様において、宿主細胞は、本明細書に記載する抗DR5抗体の発現をコードする配列を含む、細胞ゲノムに安定に組み込まれた核酸を含む。一態様において、宿主細胞は、本明細書に記載の第1または第2ポリペプチドの発現をコードする配列を含む、細胞ゲノムに安定に組み込まれた核酸を含む。別の一態様において、宿主細胞は、本明細書に記載の、抗FAS、抗DR4、抗DR5、抗TNFR1、抗DR6、抗DR3、抗EDARまたは抗NGFR抗体、第1ポリペプチドまたは第2ポリペプチドの発現をコードする配列を含む、組み込まれていない核酸、例えばプラスミド、コスミド、ファージミド、または直線状発現要素を含む。
【0332】
「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、本明細書において使用される場合、発現ベクターが導入されている細胞を指すものとする。このような用語は、その特定対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も指すものであると、理解すべきである。変異または環境の影響ゆえに、後続の世代では一定の改変が起こりうるので、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないかもしれないが、それでもなお、本明細書において使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。組換え宿主細胞としては、例えばCHO細胞、HEK-293細胞、PER.C6、NS0細胞、およびリンパ球系細胞などのトランスフェクトーマ、および大腸菌などの原核細胞、ならびに植物細胞および真菌などの他の真核宿主が、挙げられる。
【0333】
「トランスフェクトーマ」という用語は、本明細書において使用される場合、抗体もしくは標的抗原を発現する組換え真核宿主細胞、例えばCHO細胞、PER.C6、NS0細胞、HEK-293細胞、植物細胞、または酵母細胞を含む真菌を包含する。
【0334】
さらなる一局面において、本発明は、本発明の抗体を産生するための方法であって、
a)上述した本発明のハイブリドーマまたは宿主細胞を培養する工程、および
b)培養培地から本発明の抗体を回収および/または精製する工程
を含む方法に関する。
【0335】
さらなる一局面において、抗体の配列をコードするヌクレオチド配列は、治療ポリペプチドなどの第2の部分を、さらにコードする。例示的治療抗体については本明細書の他の項で説明する。一態様において、本発明は、抗体融合タンパク質を産生するための方法であって、
a)上述のヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む宿主細胞を培養する工程、および
b)培養培地から抗体融合タンパク質を回収および/または精製する工程
を含む方法に関する。
【0336】
本発明の一局面において、本発明は、本明細書において開示する任意の態様の抗体をコードする1つまたは複数の核酸コンストラクトを含む発現ベクターを含む。
【0337】
本発明のさらなる一局面において、本発明は、発現ベクターを含む宿主細胞を含む。
【0338】
配列の表1
【実施例0339】
実施例1:抗体および抗原
抗体用の発現コンストラクト
抗体発現のために、IgG1の重鎖(HC)定常領域および軽鎖(LC)定常領域を含有するpcDNA3.3発現ベクターに、可変重(VH)鎖配列および可変軽(VL)鎖配列をクローニングした。所望の変異を遺伝子合成または部位特異的変異導入のどちらかによって導入した。本願において言及する抗体は、以前に記載されたキメラヒト/マウスDR5抗体DR5-01およびDR5-05(EP2684896A1に基づく)、ヒト化DR5抗体hDR5-01およびhDR5-05(WO2014/009358に基づく)、IgG1-CONA(US7521048 B2およびWO2010/138725に基づく)、IgG1-chTRA8(EP1506285B1およびUS7244429B2に基づく)、IgG1-DR5-H48-2(US 2004 0214235 A1に基づく)、IgG1-DR4-T1014G03(US7361341に基づく)、およびIgG1-FAS-E09(Chodorge et al., Cell Deth Differ. 2012 Jul; 19(7):1187-1195に基づく)に由来するVH配列およびVL配列を有する。一部の例では、gp120特異的抗体であるヒトIgG1抗体b12を陰性対照として使用した(Barbas et al., J Mol Biol. 1993 Apr 5;230(3):812-23)。
【0340】
一過性発現
抗体をIgG1,κとして発現させた。抗体の重鎖と軽鎖の両方をコードするプラスミドDNA混合物を、本質的にVinkらが記載しているように、293fectin(Life technologies)を使って、Expi293F細胞(Life technologies、米国)に、一過性にトランスフェクトした(Vink et al., Methods, 65(1), 5-10 2014)。
【0341】
タンパク質の精製および分析
抗体は固定化プロテインGクロマトグラフィーによって精製した。Hisタグ付き組換えタンパク質は固定化金属アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。タンパク質バッチは、SDS-PAGE、サイズ排除クロマトグラフィーおよびエンドトキシンレベルの測定を含むいくつかの生化学分析アッセイによって分析した。
【0342】
二重特異性抗体の作製
二重特異性IgG1抗体は制御された還元条件下でのFabアーム交換によって作製された。この方法の基礎は、WO2011/131746に記載の特別なアッセイ条件下でヘテロ二量体の形成を促進する相補的CH3ドメインの使用である(Labrijn et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Mar 26;110(13):5145-50)。相補的CH3ドメインを持つ抗体ペアを作製するために、IgG1-DR5-05、IgG1-DR5-05-E430GおよびIgG1-DR5-05-E345Kには、F405L変異(EUナンバリング)を導入し、IgG1-DR5-01、IgG1-DR5-01-E430G、IgG1-DR5-01-E345KおよびIgG1-CONA-E430Gには、K409R変異を導入した。二重特異性抗体を作製するために、2つの相補的親抗体を、それぞれ0.5mg/mLの最終濃度で、TE 100μLの総体積中、75mM 2-メルカプトエチルアミン-HCl(2-MEA)と共に、31℃で5時間、インキュベートした。スピンカラム(Microcon遠心分離フィルター、30k、Millipore)を製造者のプロトコールに従って使用して還元剤2-MEAを除去することにより、還元反応を停止させた。この方法で、二重特異性抗体IgG1-DR5-01-K409R×IgG1-DR5-05-F405L(BsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405L)、IgG1-DR5-01-K409R-E430G×IgG1-DR5-05-F405L-E430G(BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430G)、IgG1-DR5-01-K409R-E345K×IgG1-DR5-05-F405L-E345K(BsAb DR5-01-K409R-E345K×DR5-05-F405L-E345K)およびIgG1-DR5-CONA-K409R-E430G×IgG1-DR5-05-F405L-E345K(BsAb DR5-CONA-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E345K)が作製された。
【0343】
実施例2:六量体化強化変異の導入は、DR5陽性ヒト大腸がん細胞へのIgG1-DR5-01-K409R、IgG1-DR5-05-F405Lおよび二重特異性抗体IgG1-DR5-01-K409R×DR5-05-F405Lの結合に影響を及ぼさない
ヒト大腸がん細胞COLO205への、六量体化強化変異(E430GまたはE345K)を持つ、および六量体化強化変異(E430GまたはE345K)を持たない、IgG1-DR5-01-K409R、IgG1-DR5-05-F405Lおよび二重特異性抗体IgG1-DR5-01-K409R×IgG1-DR5-05-F405L(BsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405L)の精製抗体バリアントの結合を、FACS分析によって分析した。非接着細胞を含有する培養上清とトリプシン処理した接着COLO205細胞とをプールすることによって細胞を収穫した。細胞を1,200rpmで5分間遠心分離し、10mLの培養培地[25mM HepesとL-グルタミンとを含むRPMI 1640(Lonzaカタログ番号BE12-115F)+10%鉄サプリメントドナーウシ血清(Life Technologiesカタログ番号10371-029)+50単位ペニシリン/50単位ストレプトマイシン(Lonzaカタログ番号DE17-603E)]に再懸濁した。細胞をカウントし、再び遠心分離し、FACS緩衝液に0.3×106細胞/mLの濃度で再懸濁した。続く工程は4℃で行った。100μLの細胞懸濁試料(1ウェルあたり30,000細胞)をポリスチレン製96ウェル丸底プレートに播種し、4℃における300×gで3分間の遠心分離によってペレット化した。段階希釈抗体調製物系列(5倍希釈で最終濃度が0~10μg/mLの範囲)の試料50μLに、細胞を再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。プレートを4℃において300×gで3分間遠心分離し、細胞を150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を50μLの二次抗体R-PEコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson ImmunoResearch;カタログ番号109-116-098;1/100)と共に、遮光下に4℃で30分間インキュベートした。細胞を150μLのFACS緩衝液で2回洗浄し、100μLのFACS緩衝液に再懸濁し、抗体結合を、FACS Canto II(BD Biosciences)で、5,000イベントを記録することによって分析した。結合曲線はGraphPad Prismソフトウェアを使用し、非線形回帰分析を使って、分析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。
【0344】
図2Aは、抗体IgG1-DR5-01-K409R-E430GおよびIgG1-DR5-01-K409R-E345Kが、ヒト大腸がん細胞COLO205に対して、IgG1-DR5-01-K409Rと類似する用量依存的結合を示したことを明らかにしている。図2Bは、抗体IgG1-DR5-05-F405L-E430GおよびIgG1-DR5-05-F405L-E345Kが、COLO205細胞に対して、IgG1-DR5-05-F405Lと類似する用量依存的結合を示したことを明らかにしている。図2Cは、BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430GおよびBsAb DR5-01-K409R-E345K×DR5-05-F405L-E345Kが、COLO205細胞に対して、BsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405Lと類似する用量依存的結合を示したことを明らかにしている。これらのデータは、六量体化強化変異E430GまたはE345Kの導入が、DR5陽性COLO205細胞での抗体IgG1-DR5-01-K409R、IgG1-DR5-05-F405LおよびBsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405Lの結合に影響を及ぼさなかったことを示している。
【0345】
実施例3:六量体化強化変異の導入は可溶型DR4へのDR4抗体の結合に影響を及ぼさない
コーティングされたヒト可溶型DR4への、六量体化強化変異E430Gを持つ、および六量体化強化変異E430Gを持たない、IgG1-DR4-T1014G03の精製抗体バリアントの結合を、サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で分析した。96ウェル平底ELISAプレート(Greiner bio-one;カタログ番号655092)を、100μLのPBS中、2μg/mLのsTRAIL-R1(Peprotechカタログ番号310-18)で、4℃において一晩コーティングした。ウェルを、PBST[0.05%Tween-20を含むPBS(Sigma-Aldrich;カタログ番号63158)]で、3回洗浄した。200μLのPBSA[1%ウシ血清アルブミンを含むPBS(BSA; Rocheカタログ番号10735086001)]を加えることによって、ウェルをブロックし、振とうしながら室温で1時間インキュベートした。ウェルをPBSTで3回洗浄した。次に、IgG1-DR4-T1014G03-K409RまたはIgG1-DR4-T1014G03-K409R-E430Gの抗体試料(3倍希釈で最終濃度は0~2,000ng/mLの範囲)を、PBSTA(0.2%のBSAを含むPBST)100μLの総体積で加え、振とうしながら室温で1.5時間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、ウェルをELISA振とう機上、PBSTA中のセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG Fcγ抗体(Jackson ImmunoResearch;カタログ番号109-035-098; 1:10.000)100μLと共に、室温で1.5時間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、100μLの2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸[ABTS(Roche;カタログ番号11112597001)]と共に、遮光下に室温でインキュベートすることによって、反応を視覚化した。405nmにおける蛍光を、ELISAリーダー(BioTek ELx808吸光度マイクロプレートリーダー)で測定した。
【0346】
図3は、抗体IgG1-DR4-T1014G3-K409RとIgG1-DR4-T1014G3-K409R-E430Gが、コーティングされた可溶型レセプターに対して、類似する用量依存的結合を示したことを明らかにしており、六量体化強化変異E430Gは、抗体のその標的への結合に影響を及ぼさなかったことが示されている。
【0347】
実施例4:六量体化強化変異の導入はDR5抗体による細胞死誘導の有効性を向上させる
ヒト大腸がん細胞COLO205またはHCT116の死滅を誘導するために異なるDR5抗体に六量体化強化変異E345KまたはE430Gを導入することの効果を調べるために、生存アッセイを行った。COLO205細胞は、非接着細胞を含有する培養上清とトリプシン処理した接着細胞とをプールすることによって収穫した。HCT116細胞はトリプシン処理によって収穫した。細胞をセルストレーナーに通し、1,200rpmで5分間の遠心分離によってペレット化し、培養培地に0.5×105細胞/mLの濃度で再懸濁した[COLO205:25mM HepesおよびL-グルタミンを含むRPMI1640(Lonzaカタログ番号BE12-115F)+10%鉄サプリメントドナーウシ血清(DBSI; Life Technologiesカタログ番号10371-029)+50単位ペニシリン/50単位ストレプトマイシン(Pen/Strep; Lonzaカタログ番号DE17-603E); HCT116: L-グルタミンおよびHepesを含むマッコイ5A培地(Lonza,カタログ番号BE12-168F)+10%DBSI+Pen/Strep]。100μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり5,000細胞)を、ポリスチレン製96ウェル平底プレート(Greiner Bio-One、カタログ番号655182)に播種した。50μLの段階希釈抗体調製物系列(5倍希釈で最終濃度が0.05~20,000ng/mLの範囲)を加え、37℃で3日間インキュベートした。代謝的に活性な細胞の指標であるATPの存在量を定量するCellTiter-Gloルミネセント細胞生存アッセイ(Promega、カタログ番号G7571)で、培養細胞の生存率を決定した。キットから、1ウェルにつき20μLのルシフェリン溶液試薬を加え、プレートを500rpmで2分間振とうすることによって混合した。次にプレートを37℃で1.5時間インキュベートした。100μLの上清を白色OptiPlate-96(Perkin Elmer、カタログ番号6005299)に移し、EnVisionマルチラベルリーダー(PerkinElmer)でルミネセンスを測定した。データは、GraphPad Prismソフトウェアを使用し、非線形回帰を使って分析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。5μMスタウロスポリン(Sigma Aldrich、カタログ番号S6942)を含む試料を陽性対照として含めた場合は、次の式を使って生細胞百分率を算出した:
生細胞%=[(ルミネセンス抗体試料-ルミネセンススタウロスポリン試料)/(ルミネセンス抗体なし試料-ルミネセンススタウロスポリン試料)]×100。
スタウロスポリン対照試料を含めなかった実験については、ルミネセンスとしてデータを提示する。
【0348】
IgG1-DR5-01-K409RおよびIgG1-DR5-05-F405LのE345KバリアントはCOLO205で試験した。IgG1-DR5-01-K409R、IgG1-DR5-05-F405LおよびIgG1-CONA-K409RのE430GバリアントはCOLO205細胞およびHCT116細胞の両方で試験した。IgG1-CONAは、RGYバリアント、すなわち溶解状態で六量体として存在する三重変異型E345K/E430G/S440Yとしても試験した(Diebolder et al., Science. 2014 Mar 14;343(6176):1260-3)。IgG1-H48-2-F405LおよびIgG1-DR5-chTRA8-F405Lは、E430Gバリアントとして、HCT116細胞で試験した。図4は、六量体化強化変異の導入が、COLO205大腸がん細胞およびHCT116大腸がん細胞における異なるDR5抗体の効力を強化したことを、明らかにしている。
【0349】
実施例5:六量体化強化変異の導入は細胞死を誘導するDR4抗体の有効性を向上させる
BxPC-3ヒト膵がん細胞の死滅を誘導するためにDR4抗体IgG1-DR4-T1014G03-K409Rに六量体化強化変異E430Gを導入することの効果を調べるために、生存アッセイを行った。細胞をトリプシン処理によって収穫し、セルストレーナーに通した。1,200rpmで5分間の遠心分離によって細胞をペレット化し、培養培地に0.5×105細胞/mLの濃度で再懸濁した[25mM HepesおよびL-グルタミンを含むRPMI1640(Lonzaカタログ番号BE12-115F)+10%DBSI+Pen/Strep]。100μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり5,000細胞)をポリスチレン製96ウェル平底プレート(Greiner Bio-One、カタログ番号655182)に播種し、37℃で一晩インキュベートした。50μLの段階希釈抗体調製物系列(4倍希釈で最終濃度が0.0006~40μg/mLの範囲)を加え、37℃で3日間インキュベートした。陰性対照および陽性対照として、細胞を、それぞれ抗体なしでまたは5μMスタウロスポリンと共にインキュベートした。実施例4で述べたように、CellTiter-Gloルミネセント細胞生存アッセイで、培養細胞の生存率を決定した。図5は、E430G変異を持たない抗体が試験した抗体濃度で死滅を誘導できなかったのに対して、DR4抗体IgG1-DR4-T1014G03-K409R-E430Gは、六量体化強化変異E430Gの導入によって、BxPC-3膵がん細胞の用量依存的死滅を誘導することが可能になったことを明らかにしている。
【0350】
実施例6:六量体化強化変異の導入はFAS抗体による細胞死誘導の有効性を向上させる
JurkatヒトTリンパ球(ATTC TIB-152(商標))の死滅を誘導するためにFAS抗体IgG1-FAS-E09に六量体化強化変異E345K/E430G/S440Y(RGY)を導入することの効果を調べるために、生存アッセイを行った。Jurkat細胞を収穫し、培養培地に0.3×106細胞/mLの濃度で再懸濁した(25mM HepesおよびL-グルタミンを含むRPMI1640+10%Cosmic Calf血清(CCS、Perbioカタログ番号SH30087.03)+Pen/Strep)。100μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり30,000細胞)をポリスチレン製96ウェル平底プレート(Greiner Bio-One、カタログ番号655182)に播種した。50μLの段階希釈抗体調製物系列(5倍希釈で最終濃度が0.005~10,000ng/mLの範囲)を加え、37℃で3日間インキュベートした。培養細胞の生存率はTOPRO-3ヨウ素によって決定した。TOPRO-3はDNAに結合するが、無傷の形質膜および核膜を通過することができないので、膜の完全性が低下している死にかけた細胞だけを染色することになる。細胞を再懸濁し、U底96ウェルプレート(Greiner、カタログ番号650101)に移した。細胞を300×gで3分間の遠心分離によってペレット化し、150μLのFACS緩衝液で洗浄した。細胞を300×gで3分間の遠心分離によってペレット化し、TOPRO-3ヨウ素(1:1,000;最終濃度1μM; Life Technologies、カタログ番号T3605)を補足したFACS緩衝液100μLに再懸濁した。FACS Canto II(BD Biosciences)で20,000イベントを記録することによってTOPRO-3染色を分析した。データは、GraphPad Prismソフトウェアを使用し、非線形回帰を使って分析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。図6はTOPRO-3陰性細胞百分率から算出される生細胞百分率を示している。E345R/E430G/S440Y三重変異を持たない抗体が試験した抗体濃度で死滅を誘導できなかったのに対して、六量体化強化変異RGYの導入は、FAS抗体IgG1-FAS-E09が、JurkatヒトTリンパ球の用量依存的死滅を誘導することを可能にした。
【0351】
実施例7:六量体化強化変異の導入は、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405Lによる細胞死誘導およびBsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405Lによる細胞死誘導の有効性を向上させる
ヒト大腸がん細胞COLO205およびHCT116を死滅させる抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405Lの能力に六量体化強化変異E345KまたはE430Gが及ぼす効果を、実施例4で述べた生存アッセイで調べた。BsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405LにE345K変異またはE430G変異を導入することの効果も、COLO205またはHCT116で調べた。図7は、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GおよびIgG1-DR5-01-K409R-E345K+IgG1-DR5-05-F405L-E345Kが、E345K六量体化強化変異もE430G六量体化強化変異も持たない抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405Lと比較して、COLO205(図7A)でもHCT116細胞(図7C)でも、強化された効力を示したことを明らかにしている。BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gも、E430G六量体化強化変異を持たないBsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405Lと比較して、COLO205(図7B)とHCT116細胞(図7D)の両方で、強化された効力を示した。BsAb DR5-01-K409R-E345K×DR5-05-F405L-E345Kは、E430G六量体化強化変異を持たないBsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405Lと比較して、HCT116細胞(図7E)で、強化された効力を示した。
【0352】
実施例8:六量体化強化変異の導入はIgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05抗体の組合せによる細胞死誘導の有効性を向上させる
HCT15大腸がん細胞およびBxPC-3膵がん細胞を死滅させる抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05の能力に六量体化強化変異E430Gが及ぼす効果を、生存アッセイで調べた。細胞をトリプシン処理によって収穫し、セルストレーナーに通した。1,200rpmで5分間の遠心分離によって細胞をペレット化し、培養培地に0.5×105細胞/mLの濃度で再懸濁した(25mM HepesおよびL-グルタミンを含むRPMI1640(Lonzaカタログ番号BE12-115F)+10%DBSI+Pen/Strep)。100μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり5,000細胞)をポリスチレン製96ウェル平底プレート(Greiner Bio-One、カタログ番号655182)に播種し、37℃で一晩インキュベートした。段階希釈抗体調製物系列(4倍希釈で最終濃度が0.3~20,000ng/mLの範囲)の抗体試料50μLを加え、37℃で3日間インキュベートした。陰性対照および陽性対照として、細胞を、それぞれ抗体なしで、および5μMスタウロスポリンと共に、インキュベートした。実施例4で述べたように、CellTiter-Gloルミネセント細胞生存アッセイで、細胞培養の生存率を決定した。
【0353】
図8は、E430G六量体化強化変異を持たない抗体の組合せが、試験した抗体濃度で死滅をほとんどまたは全く誘導しなかったのに対して、抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gは、BxPC-3(図8A)でもHCT15細胞(図8B)でも、用量依存的死滅を示したことを明らかにしている。
【0354】
実施例9:抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gによる細胞死誘導は、六量体を形成するためのFc-Fc相互作用を必要とする
細胞死を誘導するためにIgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gが抗体六量体形成を必要とすることを分析するために、本発明者らは自己反発変異K439EおよびS440Kを利用した(Diebolder et al., Science. 2014 Mar 14;343(6176):1260-3)。一つのIgG1抗体または抗体の組合せにK439EまたはS440Kのどちらか一つが存在することによって導入される抗体間のFc反発は、E345KまたはE430Gなどの六量体化強化変異の存在下でさえ、六量体化の阻害をもたらす(WO2013/0044842)。K439E変異およびS440K変異による反発は、それぞれが一方または他方の変異を内包する2つの抗体の混合物において両変異を組み合わせることによって中和され、Fc-Fc相互作用および六量体化の回復がもたらされる。
【0355】
IgG1-hDR5-01-G56T-E430GとIgG1-hDR5-05-E430Gの両方について、K439E変異またはS440K変異のどちらか一つを持つバリアントを、すべての異なる組合せで作製し、試験した。生存アッセイは、4倍希釈で総濃度が0.3~20,000ng/mLの範囲の段階希釈抗体調製物系列を使って、実施例4で述べたようにBxPC-3膵がん細胞およびHCT-15大腸がん細胞で行った。
【0356】
図9は、どちらも同じ反発変異(K439EまたはS440K)を内包するIgG1-hDR5-01-G56T-E430GバリアントとIgG1-hDR5-05-E430Gバリアントによる抗体の組合せが、BxPC-3細胞(図9A)およびHCT-15細胞(図9B)において、著しく減少した死滅有効性を示したことを明らかにしている。相補的な変異K439EまたはS440Kの一方をそれぞれが有する2つの抗体を組み合わせることによって反発を中和したところ、死滅有効性は回復した。これらのデータは、IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gによる細胞死の誘導には、Fc-Fc相互作用による六量体化が必要であることを示している。
【0357】
実施例10:六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430GによるDR5のクラスター化およびアポトーシスの誘導には抗体Fc-Fc相互作用が関与する
抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gによる細胞死の誘導におけるFc-Fc媒介抗体六量体化の関与を調べるために、本発明者らは、Fc-Fc相互作用に関与する疎水性パッチ中のコアアミノ酸を含有する領域においてFcに結合する13残基ペプチドDCAWHLGELVWCT(DeLano et al., Science 2000 Feb 18;287(5456):1279-83)を利用した(Diebolder et al., Science. 2014 Mar 14;343(6176):1260-3)。抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gについて、DCAWHLGELVWCTペプチドの存在下または非存在下で、実施例4で述べたように、BxPC-3細胞での生存アッセイを行った。簡単に述べると、細胞を37℃で一晩インキュベートした後、培養培地を除去して、段階希釈されたペプチド濃度(最終濃度が0~100μg/mLの範囲)のFc結合性DCAWHLGELVWCTペプチドまたは非特異的対照ペプチドGWTVFQKRLDGSVを含有するか、ペプチドを含有しない、培養培地100μLで置き換えた。次に、50μL抗体試料(833ng/mL最終濃度)を加えて、37℃で3日間インキュベートした。BxPC-3細胞の死滅を誘導する抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの能力は、100μg/mLのFc結合性DCAWHLGELVWCTペプチドによって強く阻害された(図10)。これらのデータは、六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの、がん細胞の細胞表面でDR5のクラスター化を誘導する能力、およびアポトーシスの誘導への、Fc相互作用の関与を示している。
【0358】
実施例11:異なるがん細胞株において標的細胞死滅を誘導する抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの能力
六量体化強化変異E430Gを持つおよび六量体化強化変異E430Gを持たない、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405の、COLO205、HCT-15、HCT116、HT-29およびSW480大腸がん、BxPC-3、HPAF-IIおよびPANC-1膵がん、SNU-5胃がん、A549およびSK-MES-1肺がん、ならびにA375皮膚がん細胞の死滅を誘導する能力を調べるために、生存アッセイを行った。ここでは10μg/mLに固定された抗体濃度を使用した点を除けば、このアッセイは、実施例4で述べたように行った。既述でない細胞株の培地組成は次のとおりである: SW480: 25mM HepesおよびL-グルタミンを含むRPMI1640+10%DBSI+Pen/Strep; HT-29:L-グルタミンおよびHepesを含むマッコイ5A培地+10%DBSI+Pen/Strep; HPAF-IIおよびSK-MES-1:イーグル最小必須培地(EMEM、ATCCカタログ番号30-2003)+10%DBSI+Pen/Strep; PANC-1およびA375: L-Glnを含まずHEPESを含むDMEM 4.5g/Lグルコース(Lonzaカタログ番号LO BE12-709F)+10%DBSI+1mM L-グルタミン(Lonzaカタログ番号BE17-605E)+Pen/Strep; SNU-5: IMDM(Lonzaカタログ番号BE12-722F)+10%DBSI+Pen/Strep; A549: F-12K培地(ATCCカタログ番号30-2004)+10%DBSI+1mM L-グルタミン+Pen/Strep)。
【0359】
試験した細胞株のすべてにおいて、10μg/mLの抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gとのインキュベーション後は、非標的結合陰性対照抗体IgG1-b12とのインキュベーション後よりも、生細胞百分率が有意に低かった(図11)。試験した細胞株のうち2つを除くすべてにおいて、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの有効性は、六量体化強化変異を持たない組合せIgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405よりも、有意に良好だった。これらのデータは、六量体化強化変異を持つDR5抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gが、二次的架橋作用物質を必要とすることなく、大腸がん、膵がん、胃がん、肺がんおよび皮膚がんを含む異なる起源のがん標的細胞の死滅に、極めて有効であったことを示している。
【0360】
実施例12:六量体化強化変異の導入は、抗体の組合せIgG1-CONA-K409R+IgG1-DR5-05-F405LおよびBsAb CONA-K409R×DR5-05-F405Lによる細胞死誘導の有効性を向上させる
HCT116大腸がん細胞を死滅させる抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R+IgG1-CONAおよびBsAb CONA-K409R×DR5-05-F405Lの能力に六量体化強化変異が及ぼす効果を、実施例4で述べたように、生存アッセイで調べた。図12は、六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-CONA-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E345KおよびBsAb CONA-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E345Kが、HCT116細胞の死滅において、六量体化強化変異E430GもE345Kも持たない組合せおよび二重特異性抗体と比較して、強化された有効性を示したことを明らかにしている。
【0361】
実施例13:六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GおよびBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gの効力は、二次的架橋剤によるFcγR結合に依存しない
COLO205結腸直腸がん細胞ならびにBxPC-3およびPANC-1膵がん細胞の死滅を誘導する、六量体化変異を持つ抗体による組合せの能力を、二次的抗体架橋剤の非存在下と存在下とで比較するために、生存アッセイを行った。比較のために、死滅を誘導するには二次的抗体架橋剤を必要とすることが公知であるDR5抗体IgG1-CONAおよびIgG1-chTRA8-F405Lを、同じ設定下で試験した。ヤギ-抗ヒトIgG F(ab')2(1/150; Jackson ImmunoResearch;カタログ番号109-006-098)の非存在下または存在下で、実施例4で述べたように生存アッセイを行った。DR5抗体IgG1-CONAおよびIgG1-chTRA8-F405Lは、Fc架橋剤の非存在下では、標的細胞死滅を誘導しなかった(図13)。Fc架橋は、COLO205細胞およびBxPC-3細胞において、IgG1-DR5-CONAおよびIgG1-DR5-chTRA8-F405Lによる死滅を誘導した。抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GおよびBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gは、二次的Fc架橋剤の存在下でも非存在下でも、陰性対照と比較して有意な死滅を誘導した。これらのデータは、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GおよびBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430GによるCOLO205、BxPC-3およびPANC-1がん細胞の死滅が、二次的Fc架橋剤によるFcγR媒介結合には依存しないこと、およびこの架橋剤非依存的死滅が、FcγR架橋IgG1-DR5-CONAおよびIgG1-DR5-chTRA8-F405Lの場合よりも高効率であることを示している。
【0362】
実施例14:E430G六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-hDR5-01-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gはカスパーゼ依存性細胞傷害性を誘導する
ヒト化抗体IgG1-hDR5-01-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの組合せの細胞傷害性を、カスパーゼ阻害剤の存在下と非存在下とで比較するために、生存アッセイを行った。PANC-1膵がん細胞およびBxPC3膵がん細胞をトリプシン処理によって収穫し、セルストレーナーに通した。1,200rpmで5分間の遠心分離によって細胞をペレット化し、培養培地に0.5×105細胞/mLの濃度で再懸濁した。100μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり5,000細胞)をポリスチレン製96ウェル平底プレート(Greiner Bio-One、カタログ番号655182)に播種し、37℃で一晩インキュベートした。25μLの汎カスパーゼ阻害剤Z-Val-Ala-DL-Asp-フルオロメチルケトン(Z-VAD-FMK、150μL中に5μMの末端濃度、Bachem、カタログ番号4026865.0005)を細胞培養に加え、37℃で1時間インキュベートしてから、段階希釈抗体調製物系列(4倍希釈で最終濃度が1~20μg/mLの範囲)の抗体試料25μLを加え、さらに37℃で3日間インキュベートした。陽性対照として、細胞を5μMスタウロスポリン(Sigma Aldrich、カタログ番号S6942)と共にインキュベートした。組換えヒトTRAIL/APO-2L(eBioscience、カタログ番号BMS356)を6μg/mLの最終濃度で使用した。実施例4で述べたように、CellTiter-Gloルミネセント細胞生存アッセイで、細胞培養の生存率を決定した。六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-hDR5-01-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gは、汎カスパーゼ阻害剤Z-VAD-FMKの存在下では、PANC-1膵がん細胞およびBxPC3膵がん細胞の生存率を低減することができなかったことから、IgG1-hDR5-01-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの組合せはカスパーゼ依存性プログラム細胞死を誘導したことが示された(図14)。これは天然のDR5リガンドTRAILでも示された。
【0363】
実施例15:アネキシンV/ヨウ化プロピジウムおよび活性型カスパーゼ3染色によって評価した、COLO205大腸がん細胞に抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GおよびBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gが結合したときの、細胞死誘導
細胞死誘導の動態を、アネキシンV/ヨウ化プロピジウム(PI)二重染色および活性型カスパーゼ3染色によって分析した。アネキシン-Vは、可逆的プロセスであるプログラム細胞死の開始後に細胞表面上に露出されるホスファチジルセリンに結合する。PIは、細胞に進入した場合に、二本鎖DNAおよびRNAにインターカレートする色素である。PIは無傷の形質膜および核膜を通過することができないので、生きている細胞は染色せず、膜の完全性が低下している死にかけた細胞だけに進入してそれを染色することになる。これらの特徴ゆえに、アネキシンV/PI二重染色を応用して、初期プログラム細胞死(アネキシンV陽性/PI陰性)と不可逆的プログラム細胞死(アネキシンV陽性/PI陽性)とを識別することができる。カスパーゼ-3は、外因性デスレセプター誘導細胞死経路と内因性ミトコンドリア細胞死経路の両方によって活性化される。それゆえに、活性型カスパーゼ3はデスカスケードの開始に関するマーカーでもある。IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの組合せおよびBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gが結合したときの細胞死の誘導を、DR5陽性COLO205大腸がん細胞において分析した。非接着細胞を含有する培養上清とトリプシン処理した接着細胞とをプールすることによって、細胞を収穫した。細胞をセルストレーナーに通し、1,200rpmで5分間の遠心分離によってペレット化し、培養培地に0.2×106細胞/mLの濃度で再懸濁した。500μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり100,000細胞)を24ウェル平底培養プレート(Greiner Bio-One、カタログ番号662160)に播種し、37℃で16時間インキュベートした。500μLの抗体試料を加え(抗体最終濃度1μg)、37℃で5時間または24時間インキュベートした。陽性対照として、細胞を5μMスタウロスポリン(Sigma Aldrich、カタログ番号S6942)と共にインキュベートした。細胞を250μLの1×PBSで1回洗浄した。100μLの0.05%トリプシンと共に37℃で10分間インキュベートすることによって接着細胞を収穫した。トリプシン処理された細胞に200μLの培地を加え、細胞を96ウェル丸底FACSプレート(Greiner Bio-One、カタログ番号650101)に移し、非接着細胞と共にプールした。細胞を、1,200rpmで5分間の遠心分離によってペレット化し、200μLの氷冷PBSに再懸濁し、96ウェル丸底FACSプレート中で、それぞれアネキシンV/PIおよび活性型カスパーゼ3染色のために、100μLの試料2つに分割した。
【0364】
アネキシンV/PI二重染色は、FITCアネキシンVアポトーシス検出キットI(BD Pharmingen、カタログ番号556547)を使って行った。細胞を氷冷PBSで1回洗浄し、50μLのアネキシンV/PI染色溶液(アネキシンV-FITC 1:00およびPI 1:25)中、4℃で15分間インキュベートした。細胞を100μLの結合緩衝液で洗浄し、20μLの結合緩衝液に再懸濁し、1時間以内にiQueスクリーナー(IntelliCyt)で蛍光を測定した。GraphPad Prismソフトウェアを使って、データを分析し、プロットした。
【0365】
活性型カスパーゼ3染色は、PE活性型カスパーゼ3アポトーシスキット(BD Pharmingen、カタログ番号550914)を使って行った。細胞を氷冷PBSで1回洗浄し、100μLのCytofix/Cytoperm固定および透過処理溶液に再懸濁し、氷上で20分間インキュベートした。細胞を室温でペレット化し、100μLの1×Perm/Wash緩衝液で2回洗浄し、100μLのPEウサギ抗活性型カスパーゼ-3(1:10)に再懸濁して、室温で30分間インキュベートした。細胞を室温でペレット化し、100μLの1×Perm/Wash緩衝液で1回洗浄し、20μLの1×Perm/Wash緩衝液に再懸濁した。iQueスクリーナーで蛍光を測定した。GraphPad Prismソフトウェアを使って、データを分析し、プロットした。
【0366】
図15は、5時間のインキュベーション後に、キメラ抗体IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの組合せが、陰性対照抗体IgG1-b12と比較したアネキシンV陽性/PI陰性(図15A)および活性型カスパーゼ-3陽性細胞(図15B)の百分率の増加によって示される細胞死の初期段階を、効率よく誘導したことを明らかにしている。IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの組合せで処理した細胞では、アネキシンV陽性/PI陰性および活性型カスパーゼ3陽性細胞の百分率が、E430G変異を持たないDR5抗体の組合せ(IgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405L)または単独の抗体のいずれかと比較して高い。5時間時点で、アネキシンV/PI二重陽性細胞の百分率はすべての試料でバックグラウンドレベルと同等であった(図15C)。
【0367】
BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gは、5時間のインキュベーション後に、陰性対照抗体IgG1-b12と比較したアネキシンV陽性PI陰性(図15A)および活性型カスパーゼ-3陽性細胞(図15B)の百分率の増加によって示される細胞死の初期段階を、効率よく誘導した。BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gで処理された細胞では、アネキシンV陽性/PI陰性および活性型カスパーゼ3陽性細胞の百分率が、E430G変異を持たない二重特異性抗体(BsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405L)または単一特異性抗体のいずれかと比較して高かった。5時間時点で、アネキシンV/PI二重陽性細胞の百分率はすべての試料でバックグラウンドレベルと同等であった(図15C)。
【0368】
24時間のインキュベーション後に、IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gで処理された試料では、アネキシンV/PI二重陽性細胞の百分率(図15D)が高まっていたことから、細胞は細胞死の不可逆的段階に入ったことが示された。この段階でも、IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの組合せの効果は、E430G変異を持たないDR5抗体の組合せ(IgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405L)または単独の抗体のいずれかで処理された試料よりも、強かった(アネキシンV/PI二重陽性細胞の百分率の増加が大きかった(図15E))。同じ時点で、活性型カスパーゼ3陽性細胞の百分率は、IgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gで処理された細胞において、最も高かった。
【0369】
24時間のインキュベーション後に、BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gで処理された試料では、アネキシンV/PI二重陽性細胞の百分率(図15D)が高まっていたことから、細胞は細胞死の不可逆的段階に入ったことが示された。この段階でも、BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gの効果は、E430G変異を持たない二重特異性抗体(BsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405L)または単独の抗体のいずれかで処理された試料よりも、強かった(アネキシンV/PI二重陽性細胞の百分率の増加が大きかった(図15E))。同じ時点で、活性型カスパーゼ3陽性細胞の百分率は、BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gで処理された細胞において、最も高かった。
【0370】
これらのデータは、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GおよびBsAB DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gが、COLO205大腸がん細胞における細胞死の初期段階と後期段階をどちらも誘導したことを、そしてそれを、E430G六量体化強化変異を持たない抗体の組合せおよびBsAbよりも効果的に行ったことを示している。
【0371】
実施例16:六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GまたはBsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430GがCOLO205大腸がん細胞に結合したときのカスパーゼ-3およびカスパーゼ-7の活性化
実施例15では、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gとのインキュベーションが、COLO205大腸がん細胞におけるカスパーゼ-3の活性化を誘導したことを述べた。活性型カスパーゼ-3陽性細胞の百分率は、5時間後の方が、抗体の組合せと共に24時間インキュベートした後より高かった。この実施例では、カスパーゼ-3/7認識モチーフDEVDを持つ基質が切断されてルシフェラーゼの基質であるアミノルシフェリンを放出するカスパーゼ-Glo3/7アッセイ(Promega、カタログ番号G8091)を使って、カスパーゼ-3/7活性化を経時的に測定した。非接着細胞を含有する培養上清とトリプシン処理した接着COLO205とをプールすることによって、細胞を収穫した。細胞をセルストレーナーに通し、1,200rpmで5分間の遠心分離によってペレット化し、培養培地に0.8×105細胞/mLの濃度で再懸濁した。25μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり2,000細胞)を384ウェル培養プレート(Perkin Elmer、カタログ番号6007680)に播種し、37℃で16時間インキュベートした。25μLの抗体試料を加え(抗体最終濃度1μg)、37℃で1、2、5および24時間インキュベートした。プレートをインキュベーターから取り出して、温度を室温まで下がらせた。細胞を300×gで3分間の遠心分離によってペレット化した。25μLの上清を取り除き、25μLのカスパーゼGlo3/7基質で置き換えた。500rpmで1分間の振とうによって混合した後、プレートを室温で1時間インキュベートした。EnVisionマルチラベルリーダー(PerkinElmer)でルミネセンスを測定した。
【0372】
1、2~5時間の時間経過では、抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gが、六量体化強化変異を持たないIgG1-DR5-01-K409R+IgG1-DR5-05-F405Lの組合せよりも迅速で強い、カスパーゼ-3/7活性化の誘導を示した(図16A)。同様に、BsAb DR5-01-K409R-E430G×DR5-05-F405L-E430Gも、六量体化強化変異を持たないBsAb DR5-01-K409R×DR5-05-F405Lよりも迅速で強いカスパーゼ-3/7活性化の誘導を示した(図16B)。24時間後に、カスパーゼ-3/7活性化は、試験したすべてのDR5抗体で、ほとんどベースラインレベルまで低減した。
【0373】
実施例17:K409R変異またはF405L変異の導入は、六量体化強化変異を持つ抗体の効力に影響を及ぼさない
本願で述べる実験の多くにおいて、抗デスレセプター抗体は、IgG Fcドメインに、K409R変異またはF405L変異(EUナンバリング)を含有している。これらの変異は、WO2011/131746に記載されているように、制御された還元条件下でのK409R含有IgG1とF405L含有IgG1との間のFabアーム交換反応による二重特異性デスレセプター抗体の作製を可能にする。Fabアーム交換を行わない場合、K409R変異またはF405L変異を保持するヒトIgG1抗体は、野生型ヒトIgG1と同じ機能的特徴を示すと考えられている(Labrijn et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Mar 26;110(13):5145-50)。ここでは、K409R変異またはF405L変異の存在が、インビトロで腫瘍細胞における細胞死を誘導する親IgG1-DR5-01-K409R-E430GおよびIgG1-DR5-05-F405L-E430G抗体の組合せの能力に、影響を及ぼさないことを明らかにする。BxPC-3膵がん細胞の死滅を誘導する抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの能力を、抗体の組合せIgG1-hDR5-01-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの能力と比較するために、実施例5で述べたように生存アッセイを行った。
【0374】
BxPC-3膵がん細胞株は、抗体の組合せIgG1-hDR5-01-K409R-E430G+IgG1-hDR5-05-F405L-E430Gとのインキュベーション後に、抗体の組合せIgG1-hDR5-01-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gとのインキュベーション後と類似する生存曲線を示した(図17)。これらのデータは、K409R変異およびF405L変異がE430G六量体化強化変異を持つ抗体の組合せの効力に影響を及ぼさなかったことを示している。
【0375】
実施例18:組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gにおける異なる抗体比のがん細胞死滅能力
IgG1-DR5-01-K409R-E430GとIgG1-DR5-05-F405L-E430Gを異なる比で組み合わせた場合の、BxPC-3膵がん細胞の死滅を誘導する抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430Gの能力を調べるために、実施例5で述べたように生存アッセイを行った。IgG1-DR5-01-K409R-E430GとIgG1-DR5-05-F405L-E430Gの比を、比DR5-01-E430G:DR5-05-E430Gとして示した場合に、100:0、90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、10:90および0:100と、さまざまにして、抗体を組み合わせた。20μg/mLおよび4μg/mLの総抗体濃度では、死滅は、両抗体IgG1-DR5-01-K409R-E430GおよびIgG1-DR5-05-F405L-E430Gを含有する試験した抗体比のすべてにおいて、等しく有効であった。0.8μg/mLおよび0.16μg/mLの総抗体濃度では、両抗体IgG1-DR5-01-K409R-E430GおよびIgG1-DR5-05-F405L-E430Gを含有する試験した抗体比のすべてが、死滅を誘導した(図18)。
【0376】
実施例19:組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gにおける異なる抗体比のがん細胞死滅能力
最終抗体濃度をBxPC-3については10μg/mLとし、HCT-15については20μg/mLとして、異なる抗体比(図19に示すように、比DR5-01-E430G:DR5-05-E430Gとして、100:0、98:2、96:4、94:6、92:8、90:10、50:50、10:90、8:92、6:94、4:96、2:98および0:100)で組み合わせた場合の、BxPC-3膵がん細胞およびHCT-15大腸がん細胞の死滅を誘導する抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの能力を調べるために、実施例5で述べたように生存アッセイを行った。死滅は、両抗体IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gを含有する試験したすべての抗体比において、等しく有効であった(図19)。
【0377】
実施例20:六量体化強化変異が、皮下COLO205大腸がん異種移植片モデルにおける抗DR5抗体のインビボ有効性に及ぼす効果
COLO205ヒト大腸がん細胞を使った皮下モデルにおいて、IgG1-DR5-05-F405L-E430Gのインビボ抗腫瘍有効性を、六量体化強化変異を持たないIgG1-DR5-05-F405Lのそれと比較した。0日目に、非接着細胞を含有する培養上清とトリプシン処理した接着細胞とをプールすることによって、細胞を収穫した。3×106細胞を、体積200μLのPBSに入れて、6~11週齢の雌SCIDマウス(C.B-17/IcrHan(登録商標)Hsd-Prkdcscid; Harlan)の脇腹に注射した。すべての実験および動物の取り扱いは現地当局によって承認され、適用可能なすべての国際法、国内法および現地法に従って行われた。少なくとも週に2回は、カリパス(PLEXX)測定により、0.52×(長さ)×(幅)2として、腫瘍形成をモニタリングした。腫瘍の測定は、1,500mm3のエンドポイント腫瘍体積まで、腫瘍が潰瘍形成を示すまで、重篤な臨床徴候が観察されるまで、または腫瘍成長がマウスの運動を阻止するまで行った。6日目に、平均腫瘍体積は約200mm3であった。マウスを等しい腫瘍サイズ分散を持つ群に分類した(下記表)。6日目と13日目にPBS200μL中の抗体100μgを腹腔内(i.p.)注射することによって、マウスを処置した(1回あたり5mg/kg)。正しい抗体投与をチェックするために、1回目の投与の3日後に、IgG血清決定用の血液試料を得た。1匹のマウス個体には、検出可能なヒトIgG血漿中レベルがなく、統計的解析からは除外した(下記表)。他のマウスについては、Vcen=50mL/kg、Vs=100mL/kgおよび消失半減期11.6日の2コンパートメントモデルを仮定すれば、ヒト抗体血漿中濃度は予想どおりであった(データ省略)。腫瘍接種後16週間まで腫瘍を測定した。
【0378】
処置群と投薬
【0379】
図20Aは、処置群ごとの平均腫瘍体積を経時的に示している。六量体化強化変異を持つ抗DR5抗体(IgG1-DR5-05-F405L-E430G)では完全な腫瘍抑止が観察された。対照的に、六量体化強化変異を持たないIgG1-DR5-05-F405Lは、IgG1-b12と比較して腫瘍成長を強く阻害したものの、完全な腫瘍抑止はもたらさなかった。
【0380】
図20Bは、カットオフを腫瘍体積>750mm3に設定した腫瘍進行のカプランマイヤープロットを示す。陰性対照抗体IgG1-b12で処置されたマウスと比較して、抗DR5抗体で処置された群では、腫瘍アウトグロースが有意に遅延した(腫瘍サイズカットオフ750mm3でのマンテル・コックス分析:p<0.001)。この試験の終了時(112日目)に、IgG1-DR5-05-F405L-E430Gで処置されたマウスの群は、六量体化強化変異を持たないIgG1-DR5-05-F405L群よりも有意に少ない、腫瘍アウトグロースを持つマウスを示した(p<0.001)。
【0381】
これらのデータは、IgG1-DR5-05-F405LにおけるE430G六量体化強化変異の導入が、皮下COLO205大腸がん腫瘍モデルにおいて、六量体化強化変異を持たないIgG1-DR5-05-F405Lと比較して、強化された腫瘍阻害をもたらしたことを明らかにしている。
【0382】
実施例21:六量体化強化変異を持つIgG1-FAS-E09バリアントによる細胞死誘導
六量体化強化変異E345R/E430G/S440Yの導入は、実施例6で述べたように、FAS抗体IgG1-FAS-E09がJurkatヒトTリンパ球の用量依存的死滅を誘導することを可能にした。六量体化されたIgG1-FAS-E09バリアントが細胞死を誘導するために抗体Fc-Fc相互作用を必要とすることを分析するために、自己反発変異K439EおよびS440Kを、それぞれ六量体化強化変異E345R/E430G/S440Y(RGY)およびE345R/E430G/Y436I(RGI)と組み合わせて利用した(WO2014006217)。
【0383】
本質的に実施例6で述べたように、JurkatヒトTリンパ球で生存アッセイを行った。簡単に述べると、1ウェルあたり100μL中の19,200細胞を96ウェルプレートに播種した。50μLの段階希釈抗体調製物系列(6倍希釈で最終濃度が0.0006~10μg/mLの範囲)を加え、37℃で4日間インキュベートした。培養細胞の生存率は、実施例6で述べたように、TOPRO-3ヨウ素で決定した。TOPRO-3染色は、BD LSRFORTESSAセルアナライザー(BD Biosciences)でのフローサイトメトリーによって分析した。データは、GraphPad Prismソフトウェアを使用し、非線形回帰を使って分析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。図21はTOPRO-3陰性細胞百分率から算出される生細胞百分率を示している。六量体化強化変異RGYの導入は、FAS抗体IgG1-FAS-E09が、JurkatヒトTリンパ球の用量依存的死滅を誘導することを可能にした。IgG1-FAS-E09-RGYによる死滅は、IgG1-FAS-E09-RGEY中のFc-Fc反発変異K439Eの存在によって阻害された。反発変異S440Kを含有するIgG1-FAS-E09-RGIKも、Jurkat細胞の死滅を誘導しなかった。それぞれが相補的な変異K439EまたはS440Kのうちの一方を有する2つの抗体IgG1-FAS-E09-RGEYとIgG1-FAS-E09-RGIKとを組み合わせることによってFc-Fc反発を中和すると、死滅有効性が回復した。これらのデータは、六量体化変異RGYまたはRGIを持つIgG1-FAS-E09バリアントによる細胞死の誘導には、Fc-Fc相互作用による六量体化が必要であることを明らかにしている。
【0384】
実施例22:六量体化強化変異E430Gを持つ抗DR5抗体IgG1-DR5-CONAはヒト大腸がん細胞を死滅させることができる
この研究では、六量体化強化変異E430Gを持つ抗DR5抗体IgG1-DR5-CONAの、付着ヒト大腸がん細胞COLO205を死滅させる能力を明らかにする。COLO205細胞は、実施例4で述べたように収穫した。100μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり5,000細胞)を96ウェル平底プレートに播種し、37℃で一晩インキュベートした。抗体濃度系列(4倍希釈で最終濃度が0.04~10μg/mLの範囲)の試料50μLを加え、37℃で3日間インキュベートした。陽性対照として、細胞を5μMスタウロスポリンと共にインキュベートした。実施例4で述べたように、CellTiter-Gloルミネセント細胞生存アッセイで、細胞培養の生存率を決定した。EnVisionマルチラベルリーダー(PerkinElmer)でルミネセンスを測定した。データは、GraphPad Prismソフトウェアを使用し、非線形回帰を使って分析した(傾き可変のシグモイド型用量応答)。生細胞百分率は、次式を使って算出した:
生細胞%=[(ルミネセンス抗体試料-ルミネセンススタウロスポリン試料)/(ルミネセンス抗体なし試料-ルミネセンススタウロスポリン試料)]100。
【0385】
図22は、親野生型抗体IgG1-DR5-CONAが付着COLO205大腸がん細胞を死滅させることができなかったのに対し、六量体化強化変異E430Gの導入は、IgG1-DR5-CONA-E430Gによる用量依存的死滅をもたらしたことを明らかにしている。
【0386】
実施例23:六量体化強化変異S440Yの導入は、ヒト大腸がん細胞で細胞死を誘導する抗DR5抗体の有効性を向上させる
COLO205ヒト大腸がん細胞を死滅させる単独の抗体IgG1-hDR5-01-G56TおよびIgG1-hDR5-05ならびにそれらの組合せの能力に、六量体化強化変異S440Yが及ぼす効果を、生存アッセイで調べた。実施例4で述べたように、細胞を収穫し、生存アッセイを行った。簡単に述べると、100μLの単一細胞懸濁液(1ウェルあたり5,000細胞)を96ウェルプレートに播種した。50μLの段階希釈抗体調製物系列(4倍希釈で最終濃度が0.0003~20μg/mLの範囲)を加え、37℃で3日間インキュベートした。実施例4で述べたように、CellTiter-Gloルミネセント細胞生存アッセイで、培養細胞の生存率を決定した。実施例22で述べたようにルミネセンスデータを分析した。
【0387】
図23Aは、親野生型抗体IgG1-hDR5-01-G56TおよびIgG1-hDR5-05がCOLO205大腸がん細胞を死滅させることができなかったのに対して、六量体化強化変異S440Yの導入が、単一の抗体IgG1-hDR5-01-G56T-S440YおよびIgG1-hDR5-05-S440Yによる用量依存的死滅をもたらしたことを明らかにしている。IgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05の組合せの有効性も、両抗体におけるS440Y変異の導入によって向上し、低下したEC50によって表された(図23B)。
【0388】
実施例24:六量体化強化変異E430Gの導入は、抗DR5抗体IgG1-DR5-CONA+IgG1-DR5-chTRA8の組合せによる細胞死誘導の有効性を向上させる
DR5の細胞外ドメインへの結合に関するIgG1-DR5-CONA-K409RとIgG1-DR5-chTRA8-F405Lの間の競合を、サンドイッチ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)におけるサンドイッチ結合アッセイによって測定した。96-ウェル平底ELISAプレート(Greiner bio-one;カタログ番号655092)を、PBS100μL中の2μg/mL DR5抗体(IgG1-DR5-CONA-K409RまたはIgG1-DR5-chTRA8-F405L)で、4℃において一晩コーティングした。200μLのPBSA[PBS/1%ウシ血清アルブミン(BSA; Rocheカタログ番号10735086001)]を加えることによってウェルをブロッキングし、室温で1時間インキュベートした。ウェルをPBST[PBS/0.05%Tween-20(Sigma-Aldrich;カタログ番号63158)]で3回洗浄した。次に、DR5ECD-FcHisタグ(最終濃度0.2μg/mL)および競合抗体(最終濃度1μg/mL)をPBSTA(PBST/0.2%BSA)100μLの総体積で加え、振とうしながら室温で1時間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、ウェルを、ELISA振とう機上で、PBSTA中のビオチン化抗Hisタグ抗体(R&D Systems;カタログ番号BAM050; 1:2.000)100μLと共に、室温で1時間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、ウェルを、PBSTA中のストレプトアビジン標識ポリHRP(Sanquin;カタログ番号M2032; 1:10.000)と共に、ELISA振とう機上、室温で20分間インキュベートした。PBSTで3回洗浄した後、100μLの2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸[ABTS(Roche;カタログ番号11112597001)]と共に、遮光下に室温で30分間インキュベートすることによって、反応を視覚化した。等体積の2%シュウ酸を加えることによって、基質反応を停止させた。405nmにおける蛍光を、ELISAリーダー(BioTek ELx808吸光度マイクロプレートリーダー)で測定した。
【0389】
図24Aは、競合抗体の非存在下でのDR5ECD-FcHisCタグの結合と比較した、競合抗体の存在下でのコーティングされた抗体へのDR5ECD-FcHisCタグ結合の阻害百分率(%阻害=100-[(競合抗体の存在下での結合/競合応対の非存在下での結合)]100)として表した、結合競合を示している。コーティングされたIgG1-DR5-CONA-K409RへのDR5ECD-FcHisタグの結合は、可溶型IgG1-DR5-chTRA8-F405Lの存在下で阻害されなかった。逆もまた同様に、コーティングされたIgG1-DR5-chTRA8-F405LへのDR5ECD-FcHisタグの結合は、可溶型IgG1-DR5-CONA-K409Rの存在下で阻害されなかった。これらのデータは、IgG1-DR5-CONA-K409RとIgG1-DR5-chTRA8-E430GがDR5ECD-FcHisCタグの結合に関して互いに競合しなかったことを明らかにしている。
【0390】
次に、付着BxPC-3ヒト膵がん細胞を死滅させる非交差ブロック性抗DR5抗体IgG1-DR5-CONA+IgG1-DR5-chTRA-8の組合せの能力に、六量体化強化変異E430Gが及ぼす効果を、実施例5で述べたように生存アッセイで調べた。図24は、六量体化強化変異を持つ抗体の組合せIgG1-DR5-CONA-E430G+IgG1-DR5-chTRA8-E430Gが、E430G六量体化強化変異を持たない親抗体の組合せと比較して増加した、BxPC-3細胞の用量依存的死滅を示したことを明らかにしている。
【0391】
実施例25:皮下HCT15大腸がん異種移植片モデルにおける抗DR5抗体IgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05の組合せのインビボ有効性に対する六量体化強化変異の効果
CrownBiosciences(中国太倉)で、皮下HCT15ヒト大腸がん異種移植片モデルにおける抗DR5抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gのインビボ抗腫瘍有効性が、E430G六量体化強化変異を持たないIgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05のそれと比較された。細胞は、10%ウシ胎児血清を補足したRPMI-1640培地中、空気中の5%CO2雰囲気下、37℃で、単層培養物としてインビトロで維持された。指数成長期の接着細胞をトリプシンEDTA処理によって収穫した。5×106細胞を、体積100μLのPBSに入れて、7~9週齢の雌BALB/cヌードマウスの脇腹に注射した。研究中の動物の管理と使用は、実験動物ケア評価認証協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)(AAALAC)の規制に従って行った。腫瘍体積は、週に2回、カリパスを使って二次元で測定し、式: V=0.5a×b2(式中、aおよびbはそれぞれ腫瘍の長径および短径である)を使って体積をmm3の単位で表した。マウスをランダム化ブロックデザインを使って群に割り当て、平均腫瘍サイズが161mm3に到達したら、処置を開始した(各群8匹)。マウスを、10μg抗体(0.5mg/kg、すなわち、組合せの中の各抗体について0.25mg/kg)のi.v.注射により、Q7Dレジメンで3回、処置した。対照群のマウスは、並行して、0.5mg/kgのIgG1-b12で処置した。
【0392】
図25Aは、処置群ごとの平均腫瘍体積を示している。抗体の組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gは、IgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05よりも良好な腫瘍成長阻害を示した。図25Bは、21日目における処置群ごとの腫瘍体積を示している。組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gは、等価な用量のIgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05よりも有意に良好に腫瘍成長進行を阻害した(マンホイットニー検定(P<0.0011))。図25Cは、カットオフを腫瘍体積>750mm3に設定した腫瘍進行のカプランマイヤープロットを示す。組合せIgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gは、等価な用量のIgG1-hDR5-01-G56T+IgG1-hDR5-05よりも良好に腫瘍成長進行を阻害した。
【0393】
これらのデータは、抗DR5抗体の組合せIgG1-DR5-01-K409R-E430G+IgG1-DR5-05-F405L-E430GにおけるE430G六量体化強化変異の導入が、HCT15ヒト大腸がん細胞によるインビボ異種移植片モデルにおいて、強化された腫瘍成長阻害をもたらしたことを明らかにしている。
【0394】
実施例26:皮下COLO205大腸がん異種移植片モデルにおける抗DR5抗体IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gのインビボ有効性
皮下COLO205ヒト大腸がん異種移植片モデルにおいて、抗体IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430Gのインビボ抗腫瘍有効性を、単独の抗体および両抗体の組合せについて評価し、E430G変異を持たない親抗体と比較した。腫瘍細胞の接種、マウスの取り扱い、腫瘍アウトグロース測定およびエンドポイント決定は、本質的に実施例20で述べたように行った。3×106細胞を体積100μLのPBSに入れて、5~8週齢のSCIDマウス(C.B-17/IcrHan(登録商標)Hsd-Prkdcscid; Harlan)の脇腹に注射した。9日目に、平均腫瘍体積を測定し、等しい腫瘍サイズ分散を持つ群にマウスを分類した。9日目にPBS200μL中の抗体10μg(0.5mg/kg)を静脈内(i.v.)注射することによってマウスを処置した。対照群のマウスは10μg(0.5mg/kg)のIgG1-b12で処置した。
【0395】
(表2)処置群と投薬
【0396】
図26Aは、処置群ごとの平均腫瘍体積を経時的に示している。単独の抗体IgG1-hDR5-01-G56T-E430GおよびIgG1-hDR5-05-E430GにおけるE430G変異の導入は、E430G変異を持たない親抗体と比較して強化された腫瘍成長の阻害をもたらした。この抗体の組合せによる処置は、IgG1-hDR5-01-G56T-E430G+IgG1-hDR5-05-E430Gの場合も、E430G変異を持たない親抗体の組合せの場合も、完全な腫瘍退縮を誘導した。19日目において、DR5抗体で処置されたすべての群において平均腫瘍サイズは、陰性対照抗体IgG1-b12で処置された動物の場合よりも、有意に小さかった(マンホイットニー検定(P<0.001))(データ省略)。図26Bは、カットオフを腫瘍体積>500mm3に設定した腫瘍進行のカプランマイヤープロットを示す。陰性対照抗体IgG1-b12で処置されたマウスと比較して、抗DR5抗体で処置されたすべての群において、腫瘍アウトグロースは有意に遅延した(腫瘍サイズカットオフ500mm3でのマンテル・コックス分析:p<0.0001)。六量体化強化変異E430Gを持たない単一の抗体IgG1-hDR5-01-G56TおよびIgG1-hDR5-05で処置されたマウスは、他の被験抗DR5抗体で処置されたマウスと比較して、有意に早く腫瘍アウトグロースを示した(腫瘍サイズカットオフ500mm3でのマンテル・コックス分析: p<0.0001)。
【0397】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Genmab B.V.
<120> ANTI-DEATH RECEPTOR ANTIBODIES AND METHODS OF USE THEREOF
<150> DK PA 2015 00771
<151> 2015-12-01
<150> DK PA 2015 00787
<151> 2015-12-07
<150> DK PA 2015 00788
<151> 2015-12-07
<150> DK PA 2016 00701
<151> 2016-11-10
<150> DK PA 2016 00702
<151> 2016-11-10
<160> 50
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 330
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 1
Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys
1 5 10 15
Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
20 25 30
Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser
35 40 45
Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
50 55 60
Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr
65 70 75 80
Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys
85 90 95
Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys
100 105 110
Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
115 120 125
Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys
130 135 140
Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
145 150 155 160
Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
165 170 175
Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu
180 185 190
His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn
195 200 205
Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly
210 215 220
Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu
225 230 235 240
Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
245 250 255
Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
260 265 270
Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe
275 280 285
Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn
290 295 300
Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr
305 310 315 320
Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
325 330

<210> 2
<211> 330
<212> PRT
<213> Homo Sapiens
<400> 2
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Gln Ser Ala Leu Thr Gln Pro Ala Ser Val Ser Gly Ser Pro Gly Gln
1 5 10 15
Ser Ile Thr Ile Ser Cys Thr Gly Thr Ser Ser Asp Ile Gly Ala Tyr
20 25 30
Lys Tyr Val Ser Trp Tyr Gln Gln His Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu
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Val Ile Tyr Glu Val Ser Asn Arg Pro Ser Gly Val Ser Ser Arg Phe
50 55 60
Ser Gly Ser Lys Ser Gly Gln Thr Ala Ser Leu Thr Ile Ser Gly Leu
65 70 75 80
Gln Ala Asp Asp Glu Ala Asp Tyr Tyr Cys Asn Ser Tyr Gln Gly Tyr
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Asn Thr Trp Val Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Thr Val Leu Gly
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Gln Leu Gln Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Lys Pro Ser Glu
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Thr Leu Ser Leu Thr Cys Thr Val Ser Gly Ala Ser Ile Ser Ala Asn
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Ser Tyr Tyr Gly Val Trp Val Arg Gln Ser Pro Gly Lys Gly Leu Glu
35 40 45
Trp Val Gly Ser Ile Ala Tyr Arg Gly Asn Ser Asn Ser Gly Ser Thr
50 55 60
Tyr Tyr Asn Pro Ser Leu Lys Ser Arg Ala Thr Val Ser Val Asp Thr
65 70 75 80
Ser Lys Asn Gln Val Ser Leu Arg Leu Thr Ser Val Thr Ala Ala Asp
85 90 95
Thr Ala Leu Tyr Tyr Cys Ala Arg Arg Gln Leu Leu Asp Asp Gly Thr
100 105 110
Gly Tyr Gln Trp Ala Ala Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly Thr Met Val
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Thr Val Ser Ser
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Thr Val Thr Ile Ser Cys Ser Gly Asn Ser Phe Asn Ile Gly Arg Tyr
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Pro Val Asn Trp Tyr Gln Gln Leu Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Leu
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50 55 60
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100 105 110

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Ser Val Lys Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gly Phe Asn Ile Lys Asp Thr
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Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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100 105 110
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Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg
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Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro
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Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala
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Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr
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Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr
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Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser
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Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser Ile Ser Asn Asn
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Ser Gly Ser Gly Thr Glu Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Ser
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Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro
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Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val
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Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr
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Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr
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Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala
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Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
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<400> 31
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Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Phe Asn Ile Lys Asp Thr
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115

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Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Phe Asn Ile Lys Asp Thr
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50 55 60
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65 70 75 80
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Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro
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Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg
245 250 255
Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro
260 265 270
Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala
275 280 285
Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val
290 295 300
Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr
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Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr
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Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser
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Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala
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Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
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165 170 175
Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr Ala
180 185 190
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195 200 205
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210

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1 5 10

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<211> 7
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<211> 9
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<210> 43
<211> 108
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<213> Artificial Sequence
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1 5

<210> 45
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 47
Glu Val Met Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Lys Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Lys Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Val Met Ser Trp Val Arg Gln Thr Pro Glu Lys Arg Leu Glu Trp Val
35 40 45
Ala Thr Ile Ser Ser Gly Gly Ser Tyr Thr Tyr Tyr Pro Asp Ser Val
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Arg Gly Asp Ser Met Ile Thr Thr Asp Tyr Trp Gly Gln Gly
100 105 110
Thr Thr Leu Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe
115 120 125
Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu
130 135 140
Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp
145 150 155 160
Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu
165 170 175
Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser
180 185 190
Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro
195 200 205
Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys
210 215 220
Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro
225 230 235 240
Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser
245 250 255
Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp
260 265 270
Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn
275 280 285
Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val
290 295 300
Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu
305 310 315 320
Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys
325 330 335
Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr
340 345 350
Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr
355 360 365
Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu
370 375 380
Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu
385 390 395 400
Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys
405 410 415
Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu
420 425 430
Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly
435 440 445
Lys

<210> 48
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 48
Gln Asp Val Gly Thr Ala
1 5

<210> 49
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 49
Gln Gln Tyr Ser Ser Tyr Arg Thr
1 5

<210> 50
<211> 213
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> N/A
<400> 50
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser His Lys Phe Met Ser Thr Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Ser Ile Thr Cys Lys Ala Ser Gln Asp Val Gly Thr Ala
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Trp Ala Ser Thr Arg His Thr Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Asn Val Gln Ser
65 70 75 80
Glu Asp Leu Ala Asp Tyr Phe Cys Gln Gln Tyr Ser Ser Tyr Arg Thr
85 90 95
Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg Thr Val Ala Ala Pro
100 105 110
Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser Gly Thr
115 120 125
Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu Ala Lys
130 135 140
Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln Glu
145 150 155 160
Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu Ser Ser
165 170 175
Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr Ala
180 185 190
Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys Ser Phe
195 200 205
Asn Arg Gly Glu Cys
210
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図26
【配列表】
2023022186000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
この出願の明細書に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2023022186000001.xml