(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022198
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】ガイドワイヤを送出システムに結合するためのロックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/954 20130101AFI20230207BHJP
【FI】
A61F2/954
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189928
(22)【出願日】2022-11-29
(62)【分割の表示】P 2021162822の分割
【原出願日】2016-06-29
(31)【優先権主張番号】62/187,103
(32)【優先日】2015-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500413010
【氏名又は名称】エンドロジックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ウェルク、クレーグ
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ブライアント
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガイドワイヤ又は他の長尺構造体を送出システムに可逆的に結合するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】第1の長尺部材を第2の長尺部材に対して解放可能に結合するためのロックアセンブリ300が提供される。ロックアセンブリは、ロックアセンブリをカテーテルに固定するための第1のルーメンと、ガイドワイヤをロックアセンブリに解放可能に保持するための第2のルーメンとを含むことができる。解放部材が、ロックアセンブリと接続して、ロックアセンブリからガイドワイヤを分離する力を印加できる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の長尺構造体を第2の長尺構造体に対して解放可能に結合するためのロックアセン
ブリであって、
近位端、遠位端、及び、側壁部を備えるハウジングと、
前記ロックアセンブリの長手方向軸に沿って前記ハウジングの前記近位端から前記ハウ
ジングの前記遠位端まで延びる第1のルーメンであって、前記第1のルーメンが前記第1
の長尺構造体を受けるように構成される、第1のルーメンと、
前記ハウジングの前記遠位端から延びる第2のルーメンであって、前記第2のルーメン
の直径が前記第1のルーメンの直径よりも小さく、前記第2のルーメンが前記第2の長尺
構造体を受けるように構成される、第2のルーメンと、
前記ハウジングを少なくとも部分的に貫通して延びる凹部であって、前記凹部が前記ハ
ウジングの前記側壁部に少なくとも1つの開口を備える、凹部と、及び、
前記凹部において、前記第2の長尺構造体が前記第2のルーメンを通じて延びるときに
前記第2の長尺構造体を保持するよう構成される、エラストマー部材と、
を備えるロックアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願の参照による組み入れ
この出願は、参照によりその全体が本願に組み入れられる2015年6月30日に出願
された米国仮特許出願第62/187103号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、ガイドワイヤ又は他の長尺構造体を送出システムに可逆的に結合するための
装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一部の外科的処置は、例えば血管枝へのインプラントの送出を容易にするため或いは血
管枝内のアクセスを維持するために複数のガイドワイヤを必要とする。これらの処置中、
インプラントが送出システムにより第1の血管枝(例えば、同側腸骨動脈)を通じて送出
され得るとともに、カテーテル、ガイドワイヤ、又は、他のものを使用してアクセスが第
2の血管枝(例えば、対側腸骨動脈)を通じて与えられ得る。しかしながら、血管枝への
アクセスを与えるための既存の技術は、多くのステップを伴うとともに、送出システムの
サイズを増大させ、したがって、処置を行なうことを更に難しくする場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書中に記載される特定の実施形態は、血管内動脈瘤又は他の血管内欠陥を処置す
るためのシステム、方法、及び、装置に向けられる。しかしながら、システム、方法、及
び、装置を他の分野に適用できることが理解される。幾つかの実施形態において、処置さ
れるべき欠陥は、数例を挙げると、腹部大動脈瘤、鎖骨下動脈瘤、及び、胸部大動脈瘤を
含み得るが、これらに限定されない。
【0005】
前述したように、大動脈瘤を治療するための処置などの特定の外科的処置は、複数の血
管を通じたアクセスを維持するために複数のガイドワイヤの使用を伴う場合がある。しか
しながら、複数のガイドワイヤを管理することは困難となり得る。これは、例えば、シー
ス又は他の管状構造体が対側ガイドワイヤ上にわたって引き抜かれるときに対側ガイドワ
イヤを不注意に引き抜く場合があるからである。既存のシステムは、送出システムの対側
部を送出システムの同側部に結合するために或いは標的血管へ向けた対側ガイドワイヤの
前進を容易にするために中空のガイドワイヤ又は他の管状構造体を使用する場合がある。
しかしながら、中空のガイドワイヤ又は他の長尺構造体は、送出システムの対側部の直径
を増大させるとともに、対側アクセスを与える及び/又は除去するのに関与するステップ
の数を増大させる。したがって、送出システムの対側部の直径を減少させるため及び/又
は対側アクセスを与える及び/又は除去するためのステップの数を減少させるために対側
ガイドワイヤが送出システムの同側部に対して直接に固定される送出システムを提供する
ことが望ましい。対側部の直径の減少は、対側アクセスのサイズを減少させる。
【0006】
他の装置及び技術は、二股分岐部よりも上側のステントグラフトの対側肢にアクセスす
るためにゲートカニューレ挿入を使用するが、これは、困難であり、時間がかかる可能性
がある。本開示の特定の態様は、対側肢を通じて事前にカニューレ挿入されたステントグ
ラフトを与えることによって対側肢のより容易な配備を可能にする。また、本開示は、よ
り大きなガイドワイヤ(例えば0.035インチ)の使用も可能にし得る。対側肢の事前
カニューレ挿入は、ゲートカニューレ挿入を排除し、それにより、グラフト配置手続きを
簡略化する。
【0007】
この開示の特定の態様は、ガイドワイヤを送出カテーテルから解放できるようにガイド
ワイヤを送出カテーテルに解放可能に結合するためのロックアセンブリに向けられる。本
明細書中のロックアセンブリの特定の態様においては、ハウジングが、近位端、遠位端、
及び、側壁部を有する。凹部がハウジングの側壁を少なくとも部分的に貫通して延びる。
第1のルーメンが長手方向軸に沿ってハウジングの近位端からハウジングの遠位端まで延
びる。第2のルーメンがハウジングの遠位端から延び、第2のルーメンの直径が第1のル
ーメンの直径よりも小さい。第2のルーメンはガイドワイヤを受けて保持するように構成
される。
【0008】
随意的に、ロックアセンブリは、凹部内に保持されるエラストマー部材を含む。エラス
トマー部材は、ガイドワイヤが第2のルーメン内へと延びるときにガイドワイヤを保持す
るように構成され得る。エラストマー部材の少なくとも一部は、ハウジングの側壁部の外
面と略同一平面内にあり得る。エラストマー部材は、第2のルーメンと少なくとも部分的
に位置が合う開口を有することができる。エラストマー部材の開口は、第2のルーメンを
通じて延びるガイドワイヤを保持するのに役立つようにロックアセンブリの第2のルーメ
ンの直径よりも小さい直径を有することができる。
【0009】
特定の態様において、ロックアセンブリは、第2のルーメンから遠位側へ延びるガイド
ワイヤに対して張力緩和を与えるためにハウジングの遠位部の外周の少なくとも一部に沿
って延びる突出部を有する。第2のルーメンは、第1のルーメンと突出部との間に位置付
けられ得る。
【0010】
本開示の特定の態様は、前述のロックアセンブリを利用するシステムに向けられる。ロ
ックアセンブリを第1の長尺部材に固定することができる。また、システムは、第2のル
ーメンのみによって或いはエラストマー部材と組み合わされて第2のルーメンによって保
持されるように構成される第2の長尺部材を含むこともできる。
【0011】
本開示の特定の態様は、対側ガイドワイヤを同側カテーテルに結合するロックアセンブ
リに向けられる。ロックアセンブリは、同側カテーテルと係合するように構成される固定
部を有する。ロックアセンブリは、約0.01~約6.0lbf(例えば、約0.01~
約0.5lbf、約0.25~約0.75lbf、約0.5lbf~約1.0lbf、約
0.75lbf~約1.15lbf、約1.0lbf~約2.0lbf、約1.5lbf
~約2.5lbf、約2.0lbf~約3.0lbf、約2.5lbf~約3.5lbf
、約3.0lbf~約4.0lbf、約3.5lbf~約4.5lbf、約4.0lbf
~約5.0lbf、約4.5lbf~約5.5lbf、又は、約5.0lbf~約6.0
lbf、又は、その他)の垂直力が対側ガイドワイヤに印加されなければ対側ガイドワイ
ヤが押し進められる又は引き込まれるときに対側ガイドワイヤの遠位部を保持するように
構成されるインターロック部を有する。
【0012】
本開示の特定の態様は、前述したロックアセンブリを使用する方法に向けられる。方法
は、送出システムをロック形態で押し進めることを含むことができる。送出システムは同
側カテーテルに固定されるロックアセンブリを含むことができる。ロックアセンブリは、
送出システムがロック形態にあるときにガイドワイヤを保持するように構成されるインタ
ーロック部を含むことができる。ガイドワイヤの遠位端は、送出システムがロック形態に
あるときにガイドワイヤが屈曲部を有するようにロックアセンブリの遠位側からインター
ロック部内へ導入され得る。屈曲部は、ガイドワイヤの近位部とガイドワイヤの遠位部と
の間に位置付けられ得る。また、方法は、解放カテーテルをガイドワイヤに沿って押し進
めることによって送出システムをロック形態からロック解除形態へと解放することを含む
こともできる。
【0013】
ここで、添付図面を参照して、これらの及び他の特徴、態様、及び、利点を特定の実施
形態に関連して説明する。しかしながら、図示の実施形態は、単なる例であり、限定しよ
うとするものではない。以下は図面の簡単な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】腹大動脈と左右総腸骨動脈との間の二股分岐部に位置付けられた本開示と共に使用するための二股血管プロテーゼの概略図である。
【0015】
【
図1B】外側高分子スリーブから分離された自己拡張式ワイヤ支持ケージを示す、本開示と共に使用するための二股グラフトの分解図である。
【0016】
【
図2】グラフトの主分岐部の近位部が少なくとも部分的に配備された状態における、二股プロテーゼを送出するための配備カテーテルの一実施形態の概略図である。
【0017】
【
図3】二股プロテーゼを送出するための配備カテーテルの一実施形態の断面図である。
【0018】
【
図4】
図3の曲線4-4によって輪郭が描かれる部分の拡大である。
【0019】
【
図5】
図4の線5-5に沿ってとられた
図3に示される配備カテーテルの実施形態の断面図である。
【0020】
【
図6】
図4の線6-6に沿ってとられた
図3に示される配備カテーテルの実施形態の断面図である。
【0021】
【
図7】ガイドワイヤシースが二股分岐部を横切って位置付けられた状態の配備カテーテルの一実施形態の概略図である。
【0022】
【
図8】配備カテーテルが大動脈内に位置付けられた状態の
図7と同様の概略図である。
【0023】
【
図9】グラフトの圧縮された腸骨分岐部が腸骨動脈内に部分的に位置付けられた状態の
図8と同様の概略図である。
【0024】
【
図10】グラフトの主分岐部の近位部が大動脈内に少なくとも部分的に配備された状態の
図9と同様の概略図である。
【0025】
【
図11】グラフトの対側分岐部の配備を引き起こす、対側腸骨動脈を通じたガイドワイヤシース及び対側分岐シースの近位側へのさらなる引き込み後における、
図10と同様の概略図である。
【0026】
【
図12A】同側分岐シースの近位側への引き込み及びグラフトの同側分岐部の配備の後における、
図11と同様の概略図である。
【0027】
【
図12B】対側アクセス部位での解放部材の導入及び対側ガイドワイヤに沿う解放部材の前進の後における、
図12Aと同様の概略図である。
【0028】
【
図12C】解放部材がロックアセンブリと接続する状態の
図12Bと同様の概略図である。
【0029】
【
図12D】ロックアセンブリからの対側ガイドワイヤの分離後における、解放部材が対側アクセス部位を通じて引き込まれている状態の
図12Cと同様の概略図である。幾つかの実施形態では、グラフトを固定する或いは長くするためにカフが(例えば、主分岐部の近位端に)埋め込まれてもよい。
【0030】
【
図13A】長尺部材を解放可能に保持するように構成されるロックアセンブリの概略図である。
【0031】
【
図13B】ハウジング、エラストマー部材を含むロックアセンブリの典型的な実施形態の等角図である。
【0032】
【
図14】
図13Bに示されるエラストマー部材の一実施形態の等角図である。
【0033】
【
図14A】
図14に示されるエラストマー部材の一実施形態の平面図である。
【0034】
【
図14B】
図14に示されるエラストマー部材の一実施形態の背面図である。
【0035】
【
図14C】
図14に示されるエラストマー部材の一実施形態の正断面図である。
【0036】
【
図14D】
図14に示されるエラストマー部材の一実施形態の正面図である。
【0037】
【
図15】本ロックアセンブリの一実施形態の正断面図である。
【0038】
【
図16】本ロックアセンブリの別の実施形態の正断面図である。
【0039】
【
図17A】対側ガイドワイヤに結合されるロックアセンブリの一実施形態の正面図である。
【0040】
【0041】
【
図18A】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0042】
【
図18B】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0043】
【
図18C】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0044】
【
図18D】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0045】
【
図18E】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0046】
【
図18F】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0047】
【
図18G】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0048】
【
図18H】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0049】
【
図18I】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0050】
【
図18J】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0051】
【
図18K】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0052】
【
図18L】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0053】
【
図18M】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0054】
【
図18N】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0055】
【
図18O】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0056】
【
図18P】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0057】
【
図18Q】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0058】
【
図18R】ここに開示されるロックアセンブリの別の実施形態である。
【0059】
【
図19】対側ガイドワイヤの一実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
ここで、以下の詳細な説明は、本開示のある特定の実施形態に向けられる。この説明で
は図が参照され、これらの図では、同様の部分が説明及び図面の全体にわたって同様の数
字を用いて示される。以下には、複数のガイドワイヤを有する外科的なプラットフォーム
をもたらすために送出システムの様々な実施形態が記載される。幾つかの態様において、
本開示は、腹部大動脈瘤の処置のために血管グラフトを配備するための装置及び方法に向
けられ、これらの装置及び方法は、その後のカテーテル法のために埋め込まれた血管グラ
フトを通じたアクセスを維持するべく使用されてもよい配備カテーテル及びガイドワイヤ
アセンブリを含む。
【0061】
腹部大動脈瘤は、通常、例えば腎臓よりも下側の病変した大動脈の腎臓下部で生じる。
動脈瘤は、しばしば、血管分岐部位の付近で生じ、そのため、二股ステントが腹部大動脈
瘤を処置するのによく適した装置となる。管腔内埋め込みは、血管グラフトを埋め込むた
めに益々受け入れられる技術である。この処置は、大腿骨カットダウンアクセス、或いは
、送出カテーテルを使用することにより血管グラフト又はプロテーゼを経皮的に挿入する
ことを伴う場合がある。このプロセスは、大きな外科的介入の必要性を排除し、それによ
り、血管及び動脈の外科手術と関連付けられるリスクを減らす。本明細書中には、補綴装
置のためのカテーテル送出システムの様々な実施形態が記載される。
【0062】
血管内外科処置は、カテーテルを位置決めする或いはプロテーゼを配置するのに役立つ
ようにガイドワイヤを使用することができる。ガイドワイヤは外科的なプラットフォーム
をもたらすことができ、このプラットフォームから医師が低侵襲な医療処置を行なうこと
ができる。ある場合には、医師が医療処置において複数のガイドワイヤを使用する場合が
ある。複数のガイドワイヤが使用される場合、第1のガイドワイヤは、第2のガイドワイ
ヤの少なくとも一方の端部とは異なる位置に、その少なくとも一方の端部を有する場合が
ある。複数のガイドワイヤが使用される場合、第1のガイドワイヤの少なくとも一部は、
第2のガイドワイヤの少なくとも一部に近接して位置付けられる場合がある。ある場合に
は、第1のガイドワイヤの他端が第2のガイドワイヤの端部の位置とは異なる位置にある
一方で、第1のガイドワイヤの一端が第2のガイドワイヤの一部に隣接して位置付けられ
る場合がある。第1のガイドワイヤは、1つの位置で患者にアクセスするとともに、異な
る位置から患者にアクセスする第2のガイドワイヤに対して患者内で結合される場合があ
る。異なる位置から患者の身体にアクセスするガイドワイヤは、二股ステントを配備する
ため、心臓弁を着座させるため、或いは、血管内外科処置を行なうために使用され得る。
【0063】
二股ステントグラフトシステム又は少なくとも1つの分岐部を有するグラフトのための
特定の現在の送出システムは、グラフトの遠位セグメントを近位セグメントの前に配備す
るために2つの別個のシースを使用する場合がある。外側シースは、中心体及び対側肢の
一部を配備するために最初に引き込まれる。その後、グラフトの遠位端を配備するために
前シースが遠位側へ押し進められる。これについては、例えば米国特許第6,660,0
30号を参照されたい。例えば2006年9月15日に出願された“A MULTI-S
EGMENTED GRAFT DEPLOYMENT SYSTEM”と題される米国
特許出願公開第11/522,292号明細書(あたかも本明細書中に十分に記載されて
いるかのようにその全体が参照により本願に組み入れられる)に開示されるような他の送
出システムは、遠位主分岐部を近位グラフト部の前に配備できるようにするために、牽引
ワイヤにより一時的に接続される複数の軸方向に離間された解放可能な拘束部材を使用す
る場合がある。一般に、これらの送出システムは、ガイドワイヤ上にわたって動脈瘤位置
へと送出される。ガイドワイヤは、例えば分岐グラフト拘束機構を動作可能にガイドワイ
ヤに接続してガイドワイヤを脈管構造から近位側へ引き抜くことにより、プロテーゼの分
岐グラフト部を解放するべく更に使用される場合がある。
【0064】
二股グラフトが配備されて埋め込まれた時点で、様々な処置が望ましく達成され得る。
例えば、グラフトを固定し、それにより、主分岐部の移動又は滑りを防止するためにカフ
を(例えば、主分岐部の近位端に)埋め込むことが有利な場合がある。或いは、狭窄部を
拡張させること或いはグラフトの拡張を修正する又は復元することが必要な場合がある。
これらの処置は、他のカテーテルをガイドワイヤに沿ってグラフト位置へと押し進める必
要がある。しかしながら、グラフトが配備された後にグラフトを通じてガイドワイヤを位
置決めすることは難しい。これは、ガイドワイヤの先端がグラフトのワイヤ支持ケージに
引っ掛かる場合があるからである。したがって、グラフトが配備された時点でグラフトを
通じて配置されたままとどまるように構成されるガイドワイヤアセンブリを設けること、
及び、その後のカテーテル法のために拡張されたグラフトを通じたアクセスを可能にする
ことが有利な場合がある。加えて、本明細書中に記載されるように二股グラフト及び非二
股グラフトを配備して位置決めする方法を改善するべく配備カテーテル及び/又はグラフ
ト拘束部材の形態を改良することが有利な場合がある。
【0065】
特定の実施形態において、配備カテーテルは、主グラフト部又は遠位グラフト部と少な
くとも1つの分岐グラフト部又は近位グラフト部とを含むグラフトを送出するように構成
されてもよい。特定の実施形態では、中空ガイドワイヤアセンブリが分岐セグメントのた
めの拘束部材と関連付けられてもよく、それにより、分岐セグメントがガイドワイヤアセ
ンブリによって配備されてもよい。ガイドワイヤアセンブリは、その後のカテーテル法の
ために拡張された分岐セグメント及び本体グラフトを通じたガイドワイヤの配置及びメン
テナンスを可能にしつつ拘束部材を分岐セグメントから除去するためにガイドワイヤアセ
ンブリを使用できるように更に構成されてもよい。グラフト配備システム及びガイドワイ
ヤアセンブリの他の実施形態も以下に記載される。
【0066】
プロテーゼ
図1Aは、腹大動脈30と左右総腸骨動脈37、38との間の分岐部に位置付けられる
、本明細書中に開示される配備カテーテルの任意の実施形態と共に使用され得る二股血管
グラフト50の一例の概略図である。
図1Aを参照すると、大動脈の腹部及びその主分岐
部の概略図が示される。特に、腹大動脈30は、右腎動脈2と左腎動脈4とによって特徴
付けられる。大動脈30の大終枝が左右総腸骨動脈37、38である。簡素化のために、
更なる血管(例えば、第2腰動脈、精巣動脈、下腸間膜動脈、正中仙骨動脈)は
図1から
省かれている。拡張された二股管腔内血管プロテーゼの一つの実施形態が、動脈瘤103
、104、105に跨って示されている。拡張された二股管腔内血管グラフト50は、大
動脈を横切るための主分岐部52(本明細書中では主分岐セグメントとも称される)、同
側腸骨動脈37に跨るための第1の分岐部54(本明細書中では第1の分岐セグメント又
は同側分岐部とも称される)、及び、対側腸骨動脈38に跨るための第2の分岐部56(
本明細書中では第2の分岐セグメント又は対側分岐部とも称される)を備えることができ
る。
【0067】
用語「第1」及び「第2」は置き換え可能に使用されてもよい。1つの実施形態におい
て、第1の分岐部は、主血管枝の下流側部分又は上流側部分と称することができる。例え
ば、1つの実施形態において、主分岐部及び第1の分岐部は、主分岐部の方が心臓の近く
に位置付けられる状態で大動脈弓の少なくとも一部(例えば、上行大動脈及び/又は下行
大動脈を含む)の中に位置するように構成され、一方、第2の分岐部は、大動脈弓から延
びる血管枝(左鎖骨下動脈、右鎖骨下動脈、又は、頸動脈)のうちの1つの中へと延びる
ように構成され得る。
【0068】
図1Bは、自己拡張ワイヤ支持ケージ60及び外側高分子スリーブ68を含むことがで
きる
図1Aの分岐グラフト50の分解図である。
図1Bでは、ワイヤ支持体60が外側高
分子スリーブ68から分離されて示される。図示の実施形態では、高分子スリーブ68を
管状のワイヤ支持体60の外側に同心的に位置付けることができる。しかしながら、他の
実施形態は、代わりにワイヤ支持体の内側に同心的に位置付けられる或いはワイヤ支持体
の内側及び外側の両方に位置付けられるスリーブを含んでもよい。或いは、ワイヤ支持体
は、スリーブを形成する高分子マトリックス内又は高分子層内に埋め込まれてもよい。ス
リーブ68は、当業者に知られる任意の様々な適した方法でワイヤ支持体60に取り付け
られてもよい。
【0069】
管状のワイヤ支持体60は、大動脈を横切るための主分岐部62、同側腸骨動脈に跨る
ための第1の分岐部64(本明細書中では同側分岐部とも称される)、及び、対側腸骨動
脈に跨るための第2の分岐部66(本明細書中では対側分岐部とも称される)を備えるこ
とができる。主分岐部62及び第1の同側分岐部64は、近位端、遠位端、及び、近位端
と遠位端との間で延びる中心ルーメンを有する連続する単一の長さのワイヤから形成され
得る。或いは、第1の同側分岐部64は、主分岐部62の近位端に回動可能に接続される
1つ以上の長さのワイヤから形成されてもよい。第2の対側分岐構成要素66は、主分岐
部62の近位端に回動可能に接続される1つ以上の長さのワイヤから形成されてもよい。
各腸骨分岐構成要素は、近位端、遠位端、及び、近位端と遠位端との間で延びる中心ルー
メンを有する。3部品ケージからのグラフトの構成は、好都合なことに、異なる構成要素
における異なるゲージワイヤの使用を容易にする(例えば、0.014インチ直径の主幹
及び0.012インチ直径の分岐構成要素)。
【0070】
一般に、二股管腔内血管グラフト50の構成要素のそれぞれは、意図される用途に応じ
て、直径、長さ、膨張係数、及び、他のパラメータ又は特性がかなり異なってもよい。典
型的な成人の大動脈内に埋め込むため、主分岐部52は、約2インチ以下~約5インチ以
上の範囲内、一般的には約3.5インチ~約4インチの範囲内の長さを有する。主分岐部
52の非拘束拡張外径は、一般に、約0.75インチ~約1.5インチの範囲内である。
主分岐部52の非拘束拡張外径は、全長にわたって一定又は略一定となり得る、或いは、
遠位端の相対的に大きい直径から分岐部の相対的に小さい直径へとテーパ状にされ得る。
一般に、主分岐部の近位端の直径は、主分岐部の遠位端の直径の約95%以下、多くの場
合には約85%以下の程度である。腸骨分岐部54、56は、一般に、左右対称であり、
約0.4インチ~約2.6インチの範囲内の長さと、約0.04インチ~約0.79イン
チの範囲内の直径とを有する。
【0071】
本開示にしたがって用いるための折り畳まれたプロテーゼは、約0.08インチ~約0
.39インチの範囲内の直径を有する。折り畳まれたプロテーゼの最大直径は、約0.1
2インチ~約0.24インチ(12~18フレンチ)の範囲となり得る。プロテーゼを含
む配備カテーテルの幾つかの実施形態は、約18~約20又は約21フレンチの範囲内の
直径を有することができる。他の実施形態は、約19フレンチ、約16フレンチ、約14
フレンチ、又は、それ以下の程度の直径を有することができる。配備後、拡張された管腔
内血管プロテーゼは、任意の場所で約0.8インチ~約1.6インチの範囲内の直径まで
径方向に自己拡張してもよい。
【0072】
本明細書中では特定のプロテーゼ形態が開示されるが、これらは、本明細書中に記載さ
れる配備カテーテル・ガイドワイヤアセンブリの実施形態を使用して配備可能なプロテー
ゼの単なる例にすぎない。他の実施形態では、本明細書中の開示を考慮して当業者に明ら
かなように、主分岐部と少なくとも1つの分岐グラフト部とを有する他のタイプの自己拡
張できる二股プロテーゼ又はマルチセグメントプロテーゼを送出して配備するために以下
に記載される送出システムが使用されてもよい。例えば、他の実施形態では、特定の特徴
及び態様の配備カテーテル・ガイドワイヤアセンブリを使用して、分岐グラフト部を伴わ
ないグラフト、1つの分岐部のみを伴うグラフト、及び/又は、複数のグラフト部を伴う
グラフトを配備することができる。前述のプロテーゼの更なる詳細及び付加的な実施形態
は、そのそれぞれの全体が参照により本願に組み入れられる米国特許第6,007,29
6号明細書、米国特許第6,187,036号明細書、米国特許第6,197,049号
明細書において見出すことができる。
【0073】
また、例示された実施形態が腹大動脈のために構成される二股グラフトとの関連で記載
されるが、本明細書中に記載される送出システム及び方法の特定の特徴及び態様が脈管系
の他の部分で使用され得ることも理解されるべきである。例えば、本明細書中に記載され
るシステム及び方法の特定の特徴及び態様が胸大動脈で用いるように適合可能であること
が予期される。幾つかの実施形態において、配備カテーテル120(
図3参照)は、数例
を挙げると、腹部大動脈瘤、鎖骨下動脈瘤、及び、胸部大動脈瘤を含んでもよいがこれら
に限定されない欠陥を治療するように構成されてもよい。また、本明細書中に記載される
システムの特定の特徴及び態様が単一の直線状のグラフトセグメントを体内の胸大動脈或
いは他の血管又は動脈へ送出するようになっていてもよいことも予期される。
【0074】
送出システム
拡張可能な二股グラフト50は、当業者に明らかなように、任意の様々な配備カテーテ
ルを用いて治療部位に配備され得る。本明細書中に開示される配備カテーテルの任意の実
施形態は、当該技術分野において知られる拡張可能な二股グラフトを配備するのに適した
任意の配備カテーテルの材料、特徴、又は、他の詳細のいずれかを備えてもよい。配備カ
テーテルの更なる詳細及び付加的な実施形態は、そのそれぞれの全体が参照により本願に
組み入れられる米国特許第8,236,040号明細書及び米国特許第8,523,93
1号明細書において見出すことができる。
【0075】
本明細書中に開示される配備カテーテルは、当該技術分野において知られる或いは米国
特許第6,090,128号明細書、米国特許第6,500,202号明細書、米国特許
第6,660,030号明細書、米国特許第8,523,931号明細書、及び、米国特
許出願公開第2008/0071343号明細書に開示される実施形態のいずれかで知ら
れる自己拡張式二股グラフトを配備するために使用され得る。前述の特許及び公開特許出
願は、あたかも本明細書中に十分に記載されたかのようにそれらの全体が参照により本願
に組み入れられる。
【0076】
図2を参照すると、腹部大動脈瘤を治療するために配備カテーテル120の一実施形態
を使用するための1つの方法が制限なく簡単に記載される。以下、この配備方法に関する
更なる詳細について説明する。
図2は、例示目的のために大動脈内に少なくとも部分的に
配備されるグラフト50の主分岐部52の近位部を示す、二股プロテーゼ又は二股グラフ
ト50を送出するための配備カテーテル120の一実施形態の概略図である。
図2に示さ
れるように、配備カテーテル120は、患者の同側動脈における穿刺部位を通じて患者の
脈管構造内へ導入され得る。配備カテーテル120は腹部大動脈瘤の治療に限定されない
。すなわち、配備カテーテルは、本明細書中で更に十分に論じられるように他の動脈瘤を
治療するように構成され得る。加えて、臨床的な要件に応じて、配備カテーテル120は
、同側動脈以外の穿刺部位を通じて患者の脈管構造内へ導入され得る。例えば、制限なく
、配備カテーテル120は、対側動脈を通じて、橈骨動脈を通じて、又は、鎖骨下動脈を
通じて患者の脈管構造中へ導入され得る。
【0077】
図2に示されるように、配備カテーテル120は、ガイドワイヤ226上にわたって患
者の大動脈内の所望の場所へと押し進められ得る。
図2に示されるグラフト50は、主分
岐シース又は主分岐部材186内に拘束される主分岐部52、同側分岐シース又は同側分
岐部材188内に拘束される同側分岐部54、及び、対側分岐シース又は対側分岐部材1
90内に拘束される対側分岐部56を含むことができる。
図2に示されるようなグラフト
50の主分岐部52の配備の前に、グラフト全体が配備カテーテル120の外側シース1
28内に拘束され得る。要するに、外側シース128を引き込むことによりグラフト50
を露出させることができ、また、対側分岐部56を対側動脈38内に位置付けるように配
備カテーテル120を操作できる。
【0078】
図2に示されるようにグラフト50を所望の位置に位置決めした後、シースリリース1
66(例えば、コード、縫合糸、ワイヤ、又は、同様のもの)を引き込むことによってグ
ラフト50の主分岐部52を配備することができ、それにより、有孔主分岐シース186
がその側面に沿って裂けるようにすることができる。主分岐部52の残りの部分は、シー
スリリース166を更に引き抜くことにより配備され得る。主分岐シース186をシース
リリース166に取り付けることができ、それにより、シースリリース166が同側アク
セス部位を通じて除去されるにつれて、同側アクセス部位を通じて主分岐シース186を
除去できる。他の形態では、主分岐シース186を対側アクセス部位から別個に引き抜く
ことができ、或いは、主分岐シース186を同側分岐シース188又は対側分岐シース1
90のいずれかと共に引き抜くことができる。
【0079】
図示の実施形態では、対側腸骨動脈38における穿刺部位を通じて対側ガイドワイヤシ
ース216を引き抜き、それにより、対側分岐シース190が引き抜かれるようにするこ
とにより、グラフト50の対側分岐部56を配備することができ、同様に、同側腸骨動脈
37における穿刺部位を通じて配備カテーテル120を引き抜き、それにより、対側分岐
シース190が引き抜かれる前又は引き抜かれた後に同側分岐シース188が引き抜かれ
るようにすることにより、グラフト50の同側分岐部54を配備することができる。
【0080】
図2に関連して記載される配備方法は、配備カテーテル120の適用可能性を制限しよ
うとするものではない。配備カテーテル120は、直線状の、二股に分かれた、或いは任
意の他のグラフト形態を体内の動脈又は他の血管の任意の部分内に配備するように構成さ
れてもよい。幾つかの実施形態において、配備カテーテル120は、グラフトを血管壁に
固定するのに役立つ固定要素を有するグラフト及び固定要素を有さないグラフトを配備す
るために使用されてもよい。ここで、説明されてきた配備カテーテル120を使用する1
つの方法の簡単で非限定的な概要により、配備カテーテル120の更なる特徴及び形態、
並びに、この配備方法及び他の配備方法の更なる詳細について説明する。
【0081】
図3は、配備カテーテル120の非限定的で典型的な実施形態の側断面図である。配備
カテーテル120の内側コア132は、該コアを貫通して長手方向に延びるガイドワイヤ
ルーメン154及びシースリリースルーメン156を含むことができる。ガイドワイヤル
ーメン154は、内側コア132内に配置され得る中心チューブ170によって画定され
得る。ガイドワイヤルーメン154は、内側コア132の長手方向軸に沿って穿孔された
穴によって画定され得る。図示の実施形態において、ガイドワイヤルーメン154は、当
業者により理解されるように、遠位出口ポート158及び近位アクセスポート160を有
して、管状の内側コア132の全長にわたって延びることができる。使用時、配備カテー
テル120は、当業者により理解されるように、ガイドワイヤルーメン154を通じて延
びるガイドワイヤ226(
図2に示される)上にわたって大動脈内の位置へと押し進めら
れ得る。シースリリースルーメン156を通じてシースリリース166(本明細書中では
コードと称されてもよい)を経路付けることができる。図示の実施形態において、シース
リリースルーメン156は、当業者に理解されるように、遠位出口ポート162及び近位
アクセスポート164を有して、管状の内側コア132の全長にわたって延びることがで
きる。
【0082】
配備カテーテル120の実施形態において、ガイドワイヤルーメン154は、内側コア
132及びシースリリースルーメン156の中心線軸と同一の平面内にあるようにするこ
とができる。しかしながら、この配置は必要とされない。幾つかの実施形態において、ガ
イドワイヤルーメン154は、内側コア132及びシースリリースルーメン156の中心
線軸と同一の平面内にないようにすることができる。したがって、内側コア132は、ガ
イドワイヤルーメン154及びシースリリースルーメン156が内側コア132の断面内
の任意の所望の位置に形成されるように構成されてもよい。
【0083】
図4は、
図3における曲線4により輪郭が描かれる部分の拡大である。
図5及び
図6は
、
図4の線5-5及び線6-6のそれぞれに沿ってとられた
図3に示される配備カテーテ
ル120の実施形態の断面図である。
図4~
図6を参照すると、内側コア132を他のシ
ース128に対して押し進める前において、二股管腔内グラフト50が配備カテーテル1
20内に圧縮された形態で示される。グラフト50は、遠位大動脈幹分岐部又は主分岐部
52、近位同側分岐部54、及び、近位対側腸骨部56を備えることができる。図示の実
施形態では、グラフト50の大動脈主分岐部52が主分岐シース186内に拘束され得る
。主分岐シース186の実施形態が主分岐グラフト部52を圧縮することに関連して示さ
れるが、分岐グラフト部、全マルチセグメントグラフト、又は、単一セグメント直線血管
グラフトなどのマルチセグメント血管グラフトの他の部分を圧縮して送出するためにシー
ス186を代わりに使用できることが想定される。更に、図示の実施形態では、管状の同
側分岐シース188(本明細書中では第1の分岐シースとも称される)を用いて同側分岐
部54を拘束することができ、また、対側分岐部56(本明細書中では第2の分岐シース
とも称される)を略管状の対側分岐シース190内で拘束することができる。図示の実施
形態では、同側分岐シース188及び対側分岐シース190が開放端管状シースとなり得
る。
【0084】
同側分岐シース188は、二股グラフト50の同側分岐部54のほぼ全長を拘束できる
。同様に、図示の実施形態において、対側分岐シース190は、二股グラフト50の対側
分岐部56のほぼ全長を拘束できる。しかしながら、幾つかの実施形態において、同側分
岐シース188及び/又は対側分岐シース190は、二股グラフト50の同側分岐部54
又は対側分岐部56の全長よりも長い又は短い長さをそれぞれ拘束してもよい。
【0085】
図5を参照すると、主分岐シース186は、二股グラフト50の主分岐部52を周方向
で取り囲むように寸法付けられて構成され得る。しかしながら、幾つかの実施形態におい
て、主分岐シース186は、二股グラフト50の主分岐部52を部分的にのみ取り囲むよ
うに構成され得る。主分岐シース186は、グラフト50の対側分岐部56の遠位端まで
延びてもよい。幾つかの実施形態において、主分岐シース186は、対側分岐部56を覆
う主分岐シース186の長さの一部に沿って切り欠き192を画定するように構成され得
る。幾つかの実施形態において、切り欠き192は、主分岐シース186の長さの一部に
沿うスリットとなり得る。幾つかの実施形態では、図示の実施形態の場合のように、切り
欠き192は、主分岐シース186の長さの一部に沿って主分岐シース186の周長の約
半分以下となり得る主分岐シース186の一部を除去できる。幾つかの実施形態において
、主分岐シース186は、外側シース128の引き込み時にグラフト50の同側又は対側
分岐部54、56が配備できるようにするべく主分岐シース186を含む材料の適切な量
を除去するように剥がされ得る。したがって、幾つかの実施形態では、主分岐シース18
6が二股管腔内グラフト50の同側又は対側分岐部54、56を拘束しなくてもよい。
【0086】
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、ねじれタブ196を中心チューブ17
0と一体に形成することができ、或いは、例えば熱結合、接着結合、及び/又は、当該技
術分野において知られる任意の様々な他の固定技術によってねじれタブ196を中心チュ
ーブ170に固定できる。図示のように、二股管腔内グラフト50の主分岐部52は、ね
じれタブ196の周りで主分岐シース186により拘束され得る。図示の実施形態におい
て、ねじれタブ196は、内骨格と係合でき、或いは、
図1Bに関連して、二股グラフト
50のワイヤ支持ケージ60と係合でき、また、二股グラフト50が配備カテーテル12
0の内側コア132と共に実質的に回転するようにする。言い換えると、ねじれタブ19
6は、中心チューブ170が二股グラフト50に対して回転することを防止し得る。これ
は、配備カテーテル120の近位端を回転させることにより、特に内側コア132の近位
端又は「Y」コネクタ169を回転させることにより、医師又はユーザがグラフト50及
び同側及び/又は対側分岐部54、56を患者の大動脈内で回転させる、したがって操作
する能力を高めることができる。したがって、ねじれタブ196は、二股管腔内グラフト
50を中心チューブ170とほぼ一体で回転させることができる。
【0087】
以下で更に詳しく説明されるように、ロックアセンブリ300が中心チューブ170と
結合できる。ロックアセンブリ300は、中心チューブ170と一体に形成されてもよく
、或いは、例えば熱結合、接着結合、及び/又は、当該技術分野において知られる任意の
様々な他の固定技術によって中心チューブに固定されてもよい。ロックアセンブリ300
は、対側ガイドワイヤ194のロック部194b(
図17Aに示される)と係合できる。
ロック部194bは、本明細書中では、遠位端194b又は硬質領域とも称される。対側
ガイドワイヤ194は、ロックアセンブリ300から遠位側へ延びて、ガイドワイヤシー
ス216を通ることができる。その後、対側ガイドワイヤ194は、近位側へ曲げ戻って
、グラフト50の主分岐部52を通じてグラフト50の対側分岐部56内へと延びること
ができる。対側ガイドワイヤ194及び対側ガイドワイヤシース216は、グラフト50
の対側分岐部56から近位側へ延びて、遠位側へ曲げ戻り、外側シース128の内面と主
分岐シース186の外面との間に形成される隙間に沿って遠位側へ延びることができる。
対側ガイドワイヤ194及び対側ガイドワイヤシース216は、その後、遠位先端174
の近位面と外側シース128の遠位面との間に形成される隙間を通じて送出カテーテル1
20から抜け出ることができる。遠位先端174は、対側ワイヤ194が遠位先端174
と外側シース128との間の接合部を通過する際に対側ワイヤ194を受け入れる溝(図
示せず)を含んでもよい。
【0088】
対側分岐シース190は、対側ガイドワイヤシース216を使用して配備され得る。同
側分岐シース188は、内側コア132又はインタフェース部材168に接続されて、グ
ラフト178の同側分岐部182から軸方向近位側へ引き抜かれるようになっており、そ
れにより、同側分岐部182がその埋め込み形態まで拡張できるようにする。主分岐シー
ス186は、対側分岐シース190と共に或いは同側分岐シース188と共に引き込まれ
得る。
【0089】
使用方法
ここで、前述した配備カテーテル120の実施形態に関連して、先に開示された二股管
腔内グラフト50の実施形態を使用して患者の腹部大動脈瘤を治療するために配備カテー
テル120を使用する典型的な手順又は方法について説明する。しかしながら、本開示の
方法及び装置は、この特定の例示的な例に限定されるように解釈されるべきでない。この
方法及びシステムは、カテーテル、シース、ガイドワイヤ、又は、同様の装置を可逆的に
結合することを望む任意の医療処置で使用され得る。
【0090】
図示の実施形態において、主分岐シース186及び同側分岐シース188は、同側アク
セス部位を通じて患者内へ導入されるとともに、同側アクセス部位を通じて患者から除去
され、一方、対側分岐シース190は、同側アクセス部位を通じて導入されて、対側アク
セス部位を通じて除去される。
【0091】
図7は、対側ガイドワイヤシース216が二股分岐部を横切って対側腸骨動脈38内に
位置付けられた状態の配備カテーテル120の一実施形態の概略図である。中空の対側ガ
イドワイヤシース216は、大腿動脈内の同側アクセス部位を通じて同側腸骨動脈37内
へ導入されて、大動脈30へ向けて上方へ押し進められた後、当業者に知られるクロスオ
ーバー技術を使用して、対側腸骨動脈38へと下方へ押し進められて、対側大腿動脈内の
対側アクセス部位から出る。対側ガイドワイヤシース216の先端部216bは、対側ガ
イドワイヤシース216の先端部216bを対側アクセス部位に通すことによって外部に
置かれる。後述するように、ガイドワイヤシース216は対側分岐シース190に固定さ
れ得る。二股グラフト50の対側分岐部56は、対側ガイドワイヤシース216を引き抜
き、それにより、対側分岐シース190をグラフト50の対側分岐部56から除去するこ
とによって配備され得る。対側分岐シース190は、対側ガイドワイヤシース216を引
くことによって対側アクセス部位を通じて除去され得る。
【0092】
図8は、配備カテーテル120が大動脈30内に位置付けられた状態の
図7の場合と同
様の概略図である。
図8を参照すると、対側ガイドワイヤシース216が大動脈30内の
二股分岐部228を横切って位置付けられた後、配備カテーテル120は、当業者に知ら
れる技術を使用して、第2のガイドワイヤ226(主ガイドワイヤとも称される)上にわ
たって、例えば限定されないが標準的な0.035インチガイドワイヤ上にわたって、同
側アクセス部位から大動脈30内へ押し進められ得る。配備カテーテル120が大動脈3
0内へ押し進められる際の対側ガイドワイヤシース216の弛みをとるために対側アクセ
ス部位から中空の対側ガイドワイヤシース216に対して牽引力が印加され得る。
【0093】
図9は、グラフト50の同側及び対側分岐部54、56が同側及び対側分岐シース18
8、190内で(それぞれ)圧縮されてそれぞれの同側及び対側腸骨動脈内にほぼ完全に
位置付けられた状態の概略図である。
図9に示されるように、二股グラフト50は、二股
グラフト50が大動脈228の二股分岐部に当接する或いは二股分岐部に近接するまで配
備カテーテル120、望ましければ対側ガイドワイヤシース216を引き込むことによっ
て大動脈228の二股分岐部に当接する或いは大動脈228の二股分岐部の近傍に位置付
けられるように構成され得る。対側ガイドワイヤ194は、グラフト50を大動脈30の
二股分岐部228上へ着座させるように操作され得る。
【0094】
図10は、
図9の場合と同様に、グラフト50の主分岐部52の近位部が大動脈30内
に少なくとも部分的に配備された状態の概略図である。グラフト50の主分岐部52の近
位部は、前述したように、過度の力を大動脈30の二股分岐部228又は生体構造の他の
部分に及ぼすことを防止するために配備カテーテルの内側コア132(
図3参照)を大動
脈30に対して固定された位置に保持しつつシースリリースワイヤ166を近位側に引き
込むことによって図示のように大動脈30内に部分的に配備され得る。本明細書中に示さ
れるようにグラフト50をボトムアップシーケンスで配備することは、グラフト50の近
位移動を引き起こし得る「ウインドソッキング(wind socking)」を軽減す
るのに役立つ場合がある。加えて、グラフト50をボトムアップシーケンスで配備するこ
とは、動脈壁へかなりの或いは何らの損傷をもたらすことなく部分的に配備されたグラフ
ト50を軸方向で或いは回転方向で再配置することを可能にし得る。幾つかの実施形態に
おいて、これは、部分的には、グラフト50の配備された中央部がグラフト50の配備さ
れた端部よりも容易に動脈壁に当接して移動し得るという事実に起因する場合がある。主
分岐シース186は、シースリリースワイヤ166に取り付けられて、同側アクセス部位
を通じて患者から引き抜かれ得る。
【0095】
図11は、
図10の場合と同様に、対側腸骨動脈38を通じた対側ガイドワイヤシース
216、したがって対側分岐シース190の近位側へのさらなる引き込み後の概略図であ
る。図示のように、対側分岐シース190は、二股グラフト50の対側分岐部56を完全
に配備するように引き込まれてしまっている。対側ガイドワイヤ194は、対側ガイドワ
イヤシース216が対側アクセス部位を通じて引き抜かれる際にロックアセンブリ300
に結合されたままであってもよい。
【0096】
図12Aは、
図11の場合と同様に、同側分岐シース188の近位側への引き込み及び
グラフト50の同側分岐部54の配備の後の概略図である。グラフト50の同側分岐部5
4は、前述したように同側分岐シース188に対して直接的に或いは間接的に強固に取り
付けられ得る(
図3参照)内側コア132を近位側へ引き込むことによって配備されても
よい。同側分岐シース188は開放端管状シースとなり得るため、グラフト50の同側分
岐部54をトップダウンシーケンスで配備できる。
【0097】
しかしながら、同側分岐シース188(及び対側分岐シース190)は、任意の他の望
ましい又は適したシーケンスを受け入れるように構成され得る。幾つかの実施形態におい
て、二股グラフト50の同側分岐部54は、グラフト50の対側分岐部56の配備の前に
配備されてもよい。また、図は、グラフト50の主分岐部52が対側分岐部56と共に配
備されていることを示すが、他の実施形態ででは、グラフト50の主分岐部52が同側分
岐部54と共に配備されてもよい。また、図は、同側分岐部54が対側分岐部56の前に
配備されていることを示すが、他の実施形態では、対側分岐部56がグラフト50の同側
分岐部54の前に配備されてもよい。
【0098】
図12Aに描かれる図示の実施形態では、二股グラフト50の配備後に対側ガイドワイ
ヤ194がロックアセンブリ300に結合されたままである。ロックアセンブリ300は
、対側ガイドワイヤ194の遠位端194b(
図17Aに示される)を保持して、対側ガ
イドワイヤ194の遠位端の意図しない移動を防止する。ロックアセンブリ300は、医
療技術者がロックアセンブリ300を作動させ、それにより、ロックアセンブリ300を
トリガーして対側ガイドワイヤ194の遠位端を解放できるようにするべく構成され得る
。
【0099】
図12B~
図12Dを参照すると、ロックアセンブリ300からの対側ガイドワイヤ1
94の解放は、解放部材311(例えばピッグテールカテーテル)を対側ガイドワイヤ1
94に沿って押し進めることによって達成されてもよい。その後、解放部材311は、対
側ガイドワイヤ194に対して直接的に或いは間接的に垂直力を印加することができ、そ
れにより、ロックアセンブリ300が対側ガイドワイヤ194の遠位端194bを解放す
る。その後、対側アクセス部位を通じて解放部材311を引き抜くことができる。対側ガ
イドワイヤ194は、解放部材311の引き抜き前、引き抜き後、或いは、引き抜きと同
時に引き抜かれ得る。これに加えて或いは代えて、解放部材311は、後述するようにロ
ック装置300に結合されるトリガ要素の起動時に対側ガイドワイヤ194を解放するよ
うに構成され得る。
【0100】
図示の方法は、グラフト50の同側分岐部54が対側ガイドワイヤ194を引き抜く前
に解放されることを示すが、幾つかの方法では、同側分岐部54を解放する前(例えば、
図12Aに示される)に対側ガイドワイヤ194が解放されてもよい(例えば、
図12B
~
図12Dに示される)。
【0101】
ロックアセンブリ
図13Aはロックアセンブリ300の概略図である。ロックアセンブリ300は、第1
の長尺部材303及び第2の長尺部材305と接続され(例えば、取り外し可能に結合さ
れ、取り外し不能に固定され、或いは、一体形成され)てもよい。ロックアセンブリ30
0は、3つ以上の長尺部材と接続するように構成されてもよい。第1の長尺部材303は
ロックアセンブリ300を貫通してもよい。ロックアセンブリ300は、第1の長尺部材
303の固定部307と接続できる。ロックアセンブリ300は、第2の長尺部材305
のロック部309に可逆的に結合してもよい。
【0102】
図13Bは、本明細書中に開示される配備カテーテル120の任意の実施形態と共に使
用され得るロックアセンブリ300の非限定的な例である。一般に、ここに開示されるロ
ックアセンブリ300は、2つの長尺部材をロックアセンブリ300に固定するように構
成され得る。ロックアセンブリ300は、解放されるべき長尺部材に対してユーザが垂直
力を印加するときに長尺部材のうちの1つをロックアセンブリ300から解放するように
なっていてもよい。ここに開示されるロックアセンブリ300は、胸部処置、腎臓処置、
又は、心臓処置で二股ステント又は複数のステントを配備する処置など、異なる場所から
の2つのワイヤの接合を用いる医療処置で使用され得る。非限定的な例として、ロックア
センブリ300は、腹部大動脈瘤を治療するべく二股ステントを配備するときに対側ガイ
ドワイヤを同側カテーテルに結合するために使用され得る。ここで、ロックアセンブリ3
00の様々な非限定的な実施形態を与えることによってロックアセンブリ300の特定の
態様について説明する。
【0103】
図13Bを参照すると、ロックアセンブリ300は、遠位面302及び近位面304を
有するハウジング301を含むことができる。
図13Bに示されるように、近位面及び遠
位面304、302は長手方向軸306に対して略垂直であってもよい。しかしながら、
他の形態では、近位面及び遠位面304、302が長手方向軸306に対して略垂直及び
/又は互いに平行でなくてもよい。ロックアセンブリ300は、第1のルーメン310を
画定する固定面308を含むことができる。第1のルーメン310は、ハウジング301
の遠位面302と近位面304との間を連通させてもよい。
図13Bに示されるように、
第1のルーメン310は、ロックアセンブリ300の長手方向軸306と同心であっても
よい。しかしながら、他の形態では、第1のルーメン310がロックアセンブリ300の
長手方向軸306から偏心していてもよい。
【0104】
長尺部材は、ロックアセンブリ300の第1のルーメン310を通過できる。例えば、
送出カテーテル120の中心チューブ170が第1のルーメン310を通過できる。ロッ
クアセンブリ300は、中心チューブ170が遠位方向又は近位方向に移動される際にロ
ックアセンブリ300と中心チューブ170との間に相対的な動きが存在しないように中
心チューブ170と一体を成すことができ或いは中心チューブ170に結合され得る。中
心チューブ170は、例えば熱結合、接着結合、圧着、又は、当該技術分野において知ら
れる任意の様々な他の固定技術によって固定面308に固定され得る。
【0105】
これに加えて或いは代えて、ロックアセンブリ300は第2のルーメン312を含むこ
とができる。第2のルーメン312は、ハウジング301の遠位面302と近位面304
との間の通路である。しかしながら、他の形態において、第2のルーメン312は、ハウ
ジング301の遠位面302とだけ連通し、近位面304と連通しなくてもよい。第2の
ルーメン312は、第2の長尺部材(例えば、対側ガイドワイヤ194)をロックアセン
ブリ300に対して保持するように構成され得る。対側ガイドワイヤ194は、ユーザに
よってロックアセンブリ300の作動時に第2のルーメン312から解放され得る。
【0106】
ロックアセンブリ300は、ハウジング301の側壁316からロックアセンブリ30
0の長手方向軸306へ向けて延びる第1の凹部314を含むことができる。第2のルー
メン312は第1の凹部314と連通できる。それに加えて或いは代えて、第1のルーメ
ン310が第1の凹部314と連通できる。ロックアセンブリ300は、ハウジング30
1の側壁316からロックアセンブリ300の長手方向軸306へ向けて延びる第2の凹
部320を含むことができる。ロックアセンブリ300は、第1の凹部314と第2の凹
部320との間に介挿される仕切り322を含むことができる。ロックアセンブリ300
は、仕切り322を貫通して延びて第1及び第2の凹部314、320間を連通させるこ
とにより凹部を形成する貫通穴324を含むことができる。
【0107】
ロックアセンブリ300の近位部326はテーパ状を成すことができる。近位部326
は、近位部326の横断面積が近位方向に沿って減少するようにテーパ状を成すことがで
きる。近位部326は、ロックアセンブリ300がグラフト50又は外側シース128又
は任意の他の介在構造に捕えられることなく該近位部326をグラフト50から外側シー
ス128内へと引き戻すことができるようにするべくテーパ状を成すことができる。ロッ
クアセンブリ300は、ロックアセンブリ300の長手方向軸306とロックアセンブリ
300の近位部の側壁との間の角度として規定されるテーパ角を有することができる。テ
ーパ角は、約15~60度、約20~45度、及び、約25~35度になり得る。テーパ
角は、1度の許容誤差を伴って30度となり得る。
【0108】
ロックアセンブリ300の遠位部330は、ハウジング301から径方向外側に延びる
突出部332を含むことができる。突出部332は、ロックアセンブリ300の遠位部3
30全体を周方向で取り囲んでもよく、或いは、ロックアセンブリ300の遠位部330
の一部のみを取り囲んでもよい。突出部332は、遠位部330の一部のみから延びても
よい。第2のルーメン312は、突出部332と第1のルーメン310との間に介挿され
得る。突出部332は、第2のルーメン312から遠位側へ延びた後に近位方向に曲げ戻
る長尺部材に対して張力緩和をもたらすように構成され得る。突出部332は、約0.0
05~0.1インチ、約0.01~0.05インチ、及び、約0.015~0.025イ
ンチの曲率半径を有することができる。突出部332は、0.01インチの許容誤差を伴
う0.02インチの曲率半径を有することができる。
【0109】
ロックアセンブリ300は、近位面及び遠位面304、302間の距離を規定する長さ
寸法を有することができる。長さ寸法は、約0.1~1.0インチ、約0.2~0.5イ
ンチ、及び、約0.3~0.4インチとなり得る。長さ寸法は、0.010インチの許容
誤差を伴って0.375インチとなり得る。ロックアセンブリ300は、長さ寸法に対し
て垂直な幅寸法を有することができる。幅寸法は、約0.05~0.5インチ、約0.1
~0.3インチ、及び、約0.15~0.2インチとなり得る。幅寸法は、0.002イ
ンチの許容誤差を伴って0.187インチとなり得る。ロックアセンブリ300は、長さ
寸法を幅寸法で除するものとして規定される第1のアスペクト比を有することができる。
第1のアスペクト比は、約0.5~5、約1~3、及び、約1.75~2.25となり得
る。第1のアスペクト比は2.0となり得る。
【0110】
ロックアセンブリ300の第1のルーメン310は、約0.01~0.2インチ、約0
.02~0.1インチ、及び、約0.04~0.06インチの直径を有することができる
。第1のルーメン310は、0.002インチの許容誤差を伴って0.055インチの直
径を有することができる。ロックアセンブリ300の第2のルーメン312は、約0.0
1~0.1インチ、約0.02~0.05インチ、及び、約0.03~0.04インチの
直径を有することができる。第2のルーメン312は、0.002インチの許容誤差を伴
って0.033インチの直径を有することができる。ロックアセンブリ300は、第1の
ルーメン310の直径を第2のルーメン312の直径で除するものとして規定される第2
のアスペクト比を有することができる。ロックアセンブリ300の第2のアスペクト比は
、約1~3、約1.5~2となり得る。ロックアセンブリ300の第2のアスペクト比は
1.667となり得る。第1及び第2のルーメンの中心点は、間隔寸法分だけ互いから離
間され得る。間隔寸法は、約0.04~0.07インチ、及び、0.05~0.06イン
チとなり得る。間隔寸法は、0.002インチの許容誤差を伴って0.053インチとな
り得る。
【0111】
ロックアセンブリ300はエラストマー部材334を含むことができる。エラストマー
部材334は第1の凹部314の少なくとも一部を占めてもよい。エラストマー部材33
4は、ロックアセンブリ300の側壁の少なくとも一部と同一平面内にある外面336を
有することができる。第1の凹部314は、エラストマー部材334をロックアセンブリ
300内に保持するように構成され得る。これに加えて或いは代えて、エラストマー部材
334は第2の凹部320の少なくとも一部を占めてもよい。第2の凹部320は、エラ
ストマー部材334をロックアセンブリ300内に保持するように構成され得る。エラス
トマー部材334は、仕切り322に跨るように構成され得る。エラストマー部材334
は、第1の凹部314内に存在する第1の部分を有することができ、一方、エラストマー
部材334の第2の部分は第2の凹部内に存在し、エラストマー部材334の第1及び第
2の部分は、貫通穴324を貫通して延びるエラストマー部材334のセグメントによっ
て接続される。
【0112】
エラストマー部材334は、送出カテーテル120の対側ガイドワイヤ194を保持で
きる第2のルーメン312の能力を高めるように構成され得る。例えば、エラストマー部
材334は、第2のルーメン312の少なくとも一部の中へ入り込むように構成され得る
。ロックアセンブリ300は、エラストマー部材334の少なくとも一部が第2のルーメ
ン312内に挿入される長尺部材と接続できるように構成され得る。エラストマー部材3
34は、第2のルーメン312内に挿入される長尺部材と摩擦嵌合を形成し、それにより
、第2のルーメン312内の長尺部材を保持するのに役立ってもよい。エラストマー部材
334の異なる非限定的な典型的実施形態が以下で論じられる。
【0113】
図14は、エラストマー部材334の1つの典型的な実施形態の等角図を示す。エラス
トマー部材334は、ロックアセンブリ300の第1の凹部314内に保持されるように
構成される第1の部分340を含むことができる。これに加えて或いは代えて、エラスト
マー部材334は、ロックアセンブリ300の第2の凹部320内に保持されるように構
成される第2の部分342を含んでもよい。第1の部分340は、少なくとも1つのセグ
メント344によって第2の部分342に接続され得る。
図14に描かれる非限定的で典
型的な例において、エラストマー部材334は、2つのセグメント344によって第2の
部分342に結合される第1部分340を含むことができ、セグメント344は形状が円
柱である。エラストマー部材334は、円柱以外の形状を有するセグメント344を含む
ことができる。第2の部分342及びセグメント344は、ロックアセンブリ300のハ
ウジング301内でのエラストマー部材334の保持力を高めるように構成され得る。第
2の部分342は、エラストマー部材334とロックアセンブリ300のハウジング30
1との間に機械的なロックをもたらし、それにより、エラストマー部材334とハウジン
グ301との間の取り付け強度を高めることができる。
【0114】
エラストマー部材334は、ロックアセンブリ300の第2のルーメン312内に挿入
される第2の長尺部材305を保持するように構成される保持部346を含むことができ
る。保持部346は、例えばエラストマー部材334の遠位面350と近位面352との
間で或いはエラストマー部材334の遠位面350とだけ連通してエラストマー部材33
4を少なくとも部分的に貫通して延びる開口348(例えば、貫通穴、ルーメン、又は、
他のもの)を画定できる。開口348は、エラストマー部材334がロックアセンブリ3
00の第1の凹部314内に着座されるときにロックアセンブリ300の第2のルーメン
312と同心となり得る。
【0115】
開口348の端部は、保持部346の中間部362の中間直径360よりも大きくなり
得る直径356を有する。保持部346の端部354は、保持部346の中間部356内
へと長尺部材を案内するように構成され得る。保持部346の端部354は、保持部34
6の中間部356内へ挿入される長尺部材を送り込む傾斜壁を含むことができる。
【0116】
エラストマー部材334は、ロックアセンブリ300の第1のルーメン310と位置が
合う湾曲面364によって画定される通路を含むことができる。エラストマー部材334
の湾曲面364は、ロックアセンブリ300のハウジング301と(例えば接着によって
)接続できる。ロックアセンブリのハウジング301は、ロックアセンブリ300の第1
のルーメンを通過する長尺部材と(例えば溶接によって)接続できる。
【0117】
エラストマー部材334は湾曲部366を含むことができる。湾曲部366は、エラス
トマー部材334とロックアセンブリ300のハウジング301との間の結合を高めるよ
うに構成され得る。
図14Aは、
図14に描かれるエラストマー部材の平面図である。図
14Bは、湾曲部366を更に詳しく示す
図14に描かれるエラストマー部材334のオ
フセット背面図である。
図14Cは、
図14に描かれるエラストマー部材334の正断面
図である。
図14Dは、
図14に描かれるエラストマー部材334のオフセット正面図で
ある。
【0118】
図15は、ロックアセンブリ300の典型的な実施形態の断面図を描く。エラストマー
要素334は、第2のルーメン312と少なくとも部分的に位置が合う保持部346を含
むことができる。保持部346は、幅370を有する開口348を含むことができる。保
持部346の通路の幅370は、第2のルーメン312の幅372よりも小さくすること
ができ、それにより、保持部346の少なくとも一部が第2のルーメン312に入り込む
。保持部346は、第2のルーメン312と部分的に位置が合う開口348を画定できる
。例えば、保持部346は、一方側からのみ第2のルーメン312に入り込んでもよい。
幾つかの形態では、保持部346がカップ形状であってもよく、その場合には、カップ形
状の保持部346の口がロックアセンブリ300の遠位面302の方を向く。
【0119】
前述のように、幾つかの実施形態において、保持部346は、エラストマー部材334
内に形成される開口348を含むことができる。エラストマー部材334は、シリコーン
などの弾性材料から形成され得る。保持部346の開口348は、保持部346内へ挿入
される長尺部材を受け入れるために広がる及び/又は縮むことができる。保持部346は
、該保持部346の開口348内へ挿入される長尺部材と摩擦嵌合を形成するように構成
され得る。保持部336と長尺部材との間の摩擦嵌合は、長尺部材が遠位方向の十分な張
力を受けるまで保持部346に対する長尺部材の遠位側への移動に抵抗できる。
【0120】
図16は、ハウジング301’を含むがエラストマー部材334’を含まないロックア
センブリ300’の非限定的な別の実施形態の断面図を描く。ハウジング301’は、エ
ラストマー部材を受けるように構成される凹部を伴わないことを除き、前述のハウジング
とほぼ同様となり得る。この実施形態では、ロックアセンブリ300’が保持部346’
を含むことができ、保持部346’は第2のルーメン312’を含むことができる。第2
のルーメン312’は、均一な断面積又は不均一な断面積(例えば、第2のルーメン31
2’の狭窄)を有することができる。第2のルーメン312’の遠位部374’は、第2
のルーメン312’の中間部382’の幅380’よりも大きい幅376’を有すること
ができる。第2のルーメン312’は、第2のルーメン312’の中間部382’よりも
近位側にある近位部384’を含んでもよい。近位部384’は、中間部382’の幅3
80’よりも大きい幅386’を有することができる。保持部346’の作用が以下で論
じられる。
【0121】
図17A及び
図17Bは、エラストマー部材を伴う及び伴わない両方のロックアセンブ
リ(
図15及び
図16に示される)に関連して使用され得るロックアセンブリ300から
ガイドワイヤを解放する方法を概略的に示す。これらの図は略均一の直径を有する第2の
ルーメン312”を示すが、直径は
図16に示されるように変化してもよい。
図17Aは
、対側ガイドワイヤ194の遠位部194b(ロック部とも呼ばれる)がロックアセンブ
リ300”の第2のルーメン312”内に挿入された状態にあるロックアセンブリ300
”の非限定的で典型的な実施形態を描く。対側ガイドワイヤ194がロックアセンブリ3
00”内に挿入されると、適切な垂直力及び/又は作動を伴わない対側ガイドワイヤ19
4の一般的な前進及び引き込みは、対側ガイドワイヤ194をロックアセンブリ300”
から解放しない。
【0122】
対側ガイドワイヤ194は、異なる剛性を有する複数の領域を含むことができる。例え
ば、対側ガイドワイヤ194のロック部194bの剛性は、対側ガイドワイヤ194の近
位部194a(柔軟領域とも呼ばれる)の剛性よりも高くなるように選択され得る。低い
剛性を有するように柔軟領域194aを設計することにより、対側ガイドワイヤ194の
近位部194aは、周囲組織への損傷を引き起こすことを回避するのに十分に可撓性があ
る。柔軟領域194aの引張強さは、約1lbfより大きく、約2lbfより大きく、約
6lbfより大きく、及び、約8lbfより大きくなり得る。
【0123】
対側ガイドワイヤ194のロック部194bは、界面406”で対側ガイドワイヤ19
4の柔軟領域194aから延びることができる。ロック部194bの長さ410”は、様
々な長さから選択され得る。幾つかの実施形態では、ロック部194b”の長さが約0.
3~0.8cmとなり得る。これに加えて或いは代えて、第2のルーメン312”内への
ロック部194bの挿入深さを調整できる。対側ガイドワイヤ194及びロックアセンブ
リ300”は、界面406”をロックアセンブリ300”の遠位面302”よりも遠位側
に、近位側に、又は、遠位面302”と同一平面上に位置させることができるように作ら
れてもよい。
【0124】
使用中、ユーザは、
図17Aに示されるように、対側ガイドワイヤ194を引いて、対
側ガイドワイヤ194に張力412”をもたらし、それにより、対側ガイドワイヤ194
が近位方向に曲がるようにしてもよい。これに加えて或いは代えて、ユーザは、対側ガイ
ドワイヤ194を押し進めて、対側ガイドワイヤ194を座屈させる圧縮力414”を遠
位方向でもたらし、それにより、ロック部194bを保持部346”内へ押し込んでもよ
い。ロックアセンブリ300”は、対側ガイドワイヤ194が近位方向に曲げ戻るときに
対側ガイドワイヤ194に対して張力緩和を与える突出部332”を含むことができる。
ロックアセンブリ300”の遠位面302”に対する界面406”の位置は、張力412
”が界面406”を引っ張るにつれて対側ガイドワイヤ194のロック部194bが保持
部346”の側面416”に対して保持され、それにより、対側ガイドワイヤ194がロ
ックアセンブリ300”から分離するのを防止するように選択され得る。また、ロック部
194bと側面416”との間のクリアランスは、対側ガイドワイヤ194をロックアセ
ンブリ300”から分離するために必要とされる張力412”を更に規定するように選択
することもできる。ロックアセンブリ300”は、対側ガイドワイヤ194のロック部1
94bから約60度以下の角度で及び/又は対側ガイドワイヤ194”のロック部194
b”から少なくとも約45度の角度で力が対側ガイドワイヤ194の中間部に対して印加
されるときに対側ガイドワイヤ194のロック部194bを解放するように構成され得る
。
【0125】
図17Bは、解放部材311(例えばピッグテールカテーテル)がロックアセンブリ3
00”と接触して対側ガイドワイヤ194のロック部194bを保持部346”から引き
出すべく垂直力を印加する際に対側ガイドワイヤ194を解放するように構成されるロッ
クアセンブリ300”の例示的な実施形態を示す。
図17Bに描かれる非限定的で典型的
なロックアセンブリ300”において、解放部材311は、対側ガイドワイヤ194上に
わたって配置されるように構成される解放シースとなり得る。解放部材311が対側ガイ
ドワイヤ194を周方向で完全に取り囲んでもよく、或いは、解放部材311が対側ガイ
ドワイヤ194を周方向で部分的にのみ取り囲んでもよい。解放部材311が複数のセグ
メントから構成されてもよい。セグメントは、互いに同一であってもよく、或いは、互い
に異なってもよい。一部のセグメント、全てのセグメントが対側ガイドワイヤ194を周
方向で完全に取り囲んでもよく、或いは、セグメントが対側ガイドワイヤ194を周方向
で完全に取り囲まなくてもよく、一方、一部の他のセグメント、全ての他のセグメントが
対側ガイドワイヤ194を部分的にのみ取り囲み、或いは、他のセグメントが対側ガイド
ワイヤ194を部分的にのみ取り囲まない。セグメントは、1つ以上のヒンジポイントに
よって互いから分離されてもよい。ヒンジポイントは、セグメントが曲がる、屈曲する、
又は、互いに対して回動することができるようにするべく構成されてもよい。
【0126】
解放部材311は、解放部材311の遠位端を対側ガイドワイヤ194の近位端上にわ
たって通過させることにより対側アクセス部位で導入され得る。解放部材311の遠位面
がロックアセンブリ300”の遠位面302”と係合するまで解放シース420”を対側
ガイドワイヤ194上にわたって押し進めることができる。解放部材311の遠位面の外
径は、遠位面がロックアセンブリの遠位面302”と当接するように選択され得る。ユー
ザが圧縮力414”を解放部材311及び対側ガイドワイヤ194に印加すると、解放部
材311が遠位方向で座屈する。解放部材311が遠位方向で座屈する(ループ、U形状
、或いはさもなければ、他の屈曲を形成する)につれて、ロックアセンブリ300”の保
持部材346”から遠位側へ延びる対側ガイドワイヤ194の部分がロックアセンブリ3
00”の遠位面302”に対して略垂直となるように位置合わせされる。このとき、ユー
ザが対側ガイドワイヤ194に対して張力412”を印加してもよい。対側ガイドワイヤ
194の遠位側へ延びる部分が保持部材346”と長手方向で一直線に合わされた時点で
、対側ガイドワイヤ194が保持部材346”から解放される。ロックアセンブリ300
”は、少なくとも0.1lbf(又は、少なくとも約0.5lbf、少なくとも約1.0
lbf、或いは、それ以外)の垂直力が対側ガイドワイヤ194に印加されるまで対側ガ
イドワイヤ194を保持するように構成され得る。
【0127】
ロックアセンブリ300に対する対側ガイドワイヤ194の可逆的な結合は、本開示の
範囲内にある別の実施形態によって達成され得る。例えば、
図17A~
図17Bに描かれ
るロックアセンブリ300”は、前述したようにエラストマー部材334を含むことがで
きる。これに加えて或いは代えて、ロックアセンブリ300は、
図18A~
図18Rに描
かれる別の実施形態に描かれる特徴のうちのいずれかを含むことができる。
【0128】
図18Aは、対側ガイドワイヤ194のロック部194bをグラフト50の主分岐部5
2上にわたって巻き付けることによって対側ガイドワイヤ194のロック部194bが保
持される一実施形態を描く。ロック部194bは、グラフト50の主分岐部52の配備の
ために前述したように縫合糸(図示せず)により配備されるシース(図示せず)によって
主分岐部52の外面に固定され得る。ロック部194bは、対側ガイドワイヤ194の残
りの部分よりも直径が大きく、長く、及び/又は、硬質であってもよい。ロック部194
bを固定するシースは、主分岐シース186又は主分岐シース186とは異なるシースと
なり得る。
【0129】
図18Bは、対側ガイドワイヤ194のロック部194bを保持するように構成される
トラック428を有することができるロックアセンブリ300の一実施形態を描く。ロッ
ク部194bは、ロック部194bをトラック428内に保持するのに役立つように対側
ガイドワイヤ194の残りの部分よりも大きくてもよく及び/又は硬質でもよい。トラッ
ク428は、張力が対側ガイドワイヤ194に印加されるときにロック部194bがトラ
ック428の首部領域内へと引き上げられ、それにより、ロック部194bをトラック4
28から逃げないように拘束するように可変幅を有する開放対向チャネルであってもよい
。これに加えて或いは代えて、トラック428の領域は、トラック428の幅がロック部
194bの幅よりも大きい拡大領域を有する開放対向チャネルであってもよい。ユーザは
、ロック部194bがトラック428の拡大領域と一直線に合わせられ、それにより、ロ
ック部194bがトラック428から逃げることができるようにされるまで対側ガイドワ
イヤ194のロック部194bを押し進めることによって対側ガイドワイヤ194をロッ
クアセンブリ300から自由にしてもよい。
【0130】
図18Cは、保持ワイヤ430を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く。
保持ワイヤ430は、対側ガイドワイヤ194をロックアセンブリ300の遠位面302
に対して保持し、それにより、ロック部194bをロックアセンブリ300の保持部34
6内に保つように構成され得る。保持部346は、ロックアセンブリ300のハウジング
301の側面上の溝となり得る。保持部346は、ハウジング301により取り囲まれる
ポケット432であってもよい。溝又はポケット432の幅は、前述したように変化して
もよい。保持ワイヤ430は、ロックアセンブリ300から引き抜かれ、それにより、ロ
ック部194bをポケット432から潜在的に解放できるようにするべく構成され得る。
【0131】
図18Dは、クランプ434を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く。ク
ランプ434の上端部436は、張力要素442により上端部436に接続されるスプリ
ング440によってクランプ434の下端部438に対して引かれてもよい。対側ガイド
ワイヤ194は、クランプ434の上端部及び下端部436、438間で圧縮されること
によりロックアセンブリ300に結合されてもよい。ユーザは、スプリング440を圧縮
して張力要素を減少させるためにトリガ444を作動させ、それにより、クランプ434
の上端部及び下端部436、438間の圧縮力を減らして、対側ガイドワイヤ194がロ
ックアセンブリ300から分離できるようにしてもよい。他の実施形態において、スプリ
ング440における張力は、トリガ444を移動させることによって或いはスプリング4
40に作用する張力を解放することによって解放されてもよい。
【0132】
図18Eは、ダックビルバルブ446を有するロックアセンブリ300の一実施形態を
描く。ダックビルバルブ446は、対側ガイドワイヤ194の遠位端にあるロック部19
4bを保持するように構成され得る。ロック部194bは、対側ガイドワイヤ194の残
りの部分より大きくてもよく及び/又は硬質であってもよい。ユーザは、ロック部194
bがダックビルバルブ446から逃げることができるように対側ガイドワイヤ194を押
し進めることによって対側ガイドワイヤ194をロックアセンブリ300から分離しても
よい。
【0133】
図18Fは、対側ガイドワイヤ194に取り付けられるビーズ448を保持するように
構成されるロックアセンブリ300の一実施形態を描く。ビーズ448は、対側ガイドワ
イヤ194と(例えば接着により)接続できる。
図18Fに示されるように、ビーズ44
8は、幅狭い近位部と幅広い遠位部とを有するチャネル445内に着座できる。チャネル
445の幅狭い近位部は、ビーズ448がチャネルを通じて近位側に引かれることを防止
するように構成され得る。チャネルの幅広部は張り出し部447を有することができ、こ
の張り出し部447は、ビーズ448が張り出し部447を乗り越えるべく遠位側へ十分
離れるように押し進められなければビーズ448がチャネル445から出ることを防止す
るように構成され得る。
【0134】
図18Gは、グラフト50の主分岐部52内に位置付けられ得るプラスチック保持部材
390(例えば、ソフトウイング)を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く
。プラスチック保持部材390は、中心チューブ170と(例えば、摩擦、圧入、成形、
接着、熱結合、機械的ロック、それ以外の固定によって)接続できる。対側ガイドワイヤ
194は、グラフト50を通じて遠位側へと延び、ハウジング部材上にわたって或いはハ
ウジング部材を貫いて通り過ぎるとともに、グラフト50内へと近位側へ曲げ戻って、プ
ラスチック保持部材390で終端することができる。対側ガイドワイヤ194のロック部
194bは、
図18Bにおいて前述したようにプラスチック保持部材390により保持さ
れるべく構成され得る。
【0135】
図18Hは、ラッパー450を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く。ラ
ッパー450は、ロックアセンブリ300のハウジング301の少なくとも一部を収容で
きる。ラッパー450は、ハウジング301の側面に形成されるチャネル452内に対側
ガイドワイヤ194のロック部194bを保持するように構成され得る。制御縫合糸45
4によりラッパー450を除去することができ、それにより、ロック部194bがチャネ
ル452から逃げることができる。
【0136】
図18Iは、硬質シース456を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く。
硬質シース456は、対側ガイドワイヤ194を当接部458に押し付け、それにより、
対側ガイドワイヤ194をロックアセンブリ300に対してロックするように構成され得
る。対側ガイドワイヤ194は、硬質シース456を近位側へ引き抜く或いは当接部45
8を遠位側へ押し進めることによってロックアセンブリ300から分離されてもよい。当
接部458に取り付けられる制御ロッド460により、ユーザは、当接部458を遠位側
へ押し進めることができる。ロック部194bは、対側ガイドワイヤ194の残りの部分
より大きくてもよく及び/又は硬質でもよい。
【0137】
図18Jは、湾曲溝462を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く。湾曲
溝462は、S形状、U形状、正弦波状、ジギザグ形状、又は、これらの組み合わせであ
ってもよい。湾曲溝462は、前述したロックアセンブリ300のハウジング301の外
面に形成されてもよい。対側ガイドワイヤ194はロック部194bを含んでもよく、こ
のロック部194bは、ロック部194bが湾曲溝462を通じて引かれることを防止す
る幅又は長さを有する。ロックアセンブリ300は、対側ガイドワイヤ194が遠位側へ
押し進められるときに対側ガイドワイヤ194のロック部194bがハウジング301か
ら素早く出ることができ、それにより、対側ガイドワイヤ194をロックアセンブリから
自由にすることができるように構成され得る。これに加えて或いは代えて、ロックアセン
ブリ300は、対側ガイドワイヤ194をロックアセンブリ300から自由にするのに役
立つべく解放部材311が対側ガイドワイヤ194上にわたって押し進められるように構
成されてもよい。
【0138】
図18Kは、対側分岐シース190の延在部464を有するロックアセンブリ300の
一実施形態を描く。延在部464は、ロックアセンブリ300の一部を巻回し、それによ
り、対側ガイドワイヤ194のロック部194bをロックアセンブリ300のポケット4
32内に保持してもよい。延在部464が縫合糸により閉じられて保持されてもよい。縫
合糸は、対側分岐シース190に結合され得る。縫合糸は、対側分岐シース190が近位
側へ引き抜かれるにつれて延在部464をハウジング301から分離し、それにより、対
側ガイドワイヤ194のロック部194bをロックアセンブリ300から自由にするよう
に構成され得る。
【0139】
図18Lは、グラフト50の同側分岐部54内へ延びる対側ガイドワイヤ194を有す
るロックアセンブリ300の一実施形態を描く。ガイドワイヤが不注意に押し進められる
ときに同側分岐部が配備されるまでカテーテルから外れないように同側肢が締め付け、圧
縮し、或いはさもなければ摩擦をもたらす。対側ガイドワイヤ194はビーズ448を貫
通して延びてもよい。ビーズ448は、前述したようにロックアセンブリ300のハウジ
ング301の側面に形成される或いはハウジング301を貫通して形成されるチャネル4
52内に保持されるように構成されてもよい。
【0140】
図18Mは、グラフト50の同側分岐部54上にわたって折り曲げられる対側ガイドワ
イヤ194の折り曲げ部194cを有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く。
折り曲げ部194cは、同側分岐シース188によって同側分岐部54の外面に対して保
持されてもよい。同側分岐シース188の引き込みは、その後、折り曲げ部194cを自
由にし、それにより、対側ガイドワイヤ194をロックアセンブリ300から除去するこ
とができる。
【0141】
図18Nは、同側ロック部材468を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描
く。同側ロック部材468は、前述したように対側ガイドワイヤ194に結合されるロッ
ク部194b又はビーズ448を保持するように構成されるチャネル452を含むことが
できる。
【0142】
図18Oは、屈曲チャネル470を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く
。屈曲チャネル470は、対側ガイドワイヤ194のロック部194bが屈曲チャネル4
70を通り抜けることができないように構成され得る。対側ガイドワイヤ194のロック
部194bは、屈曲チャネル470を通じてロック部194bを近位側へ押し進めること
によってロックアセンブリ300から分離され得る。
【0143】
図18Pは、対側ガイドワイヤ194のロック部194bにボール機能部472を有す
るロックアセンブリ300の一実施形態を描く。ボール機能部472は、
図18Fに関し
て前述したビーズ448と同様に機能するように構成され得る。ボール機能部472は、
大きすぎるためにロックアセンブリ300のチャネルを近位側へと通過できないように構
成されてもよい。ボール機能部は、ボール機能部が遠位側へ押し進められるときにロック
部194bがロックアセンブリから解放され、それにより、対側ガイドワイヤ194がロ
ックアセンブリ300内のチャネルから素早く出ることができるように構成され得る。
【0144】
図18Qは、分割されたロックチャネル474を有するロックアセンブリ300の一実
施形態を描く。分割されたロックチャネル474は、複数のセグメント476a、476
bを含んでもよく、各セグメントは、セグメント476a、476bの表面に形成される
溝475を有する。セグメント476a、476bは、結合部材478によって互いに結
合されてもよい。対側ガイドワイヤ194は、分割されたロックチャネル474を通り抜
けてもよい。対側ガイドワイヤ194のロック部194bは、複数のセグメント476a
、476bのうちの1つのセグメント476bに形成されるポケット432内に保持され
てもよい。
【0145】
図18Rは、磁気構成要素480を有するロックアセンブリ300の一実施形態を描く
。磁気構成要素480は、ロックアセンブリ300のハウジング301に形成されるポケ
ット432内に配置され得る。対側ガイドワイヤ194のロック部194bは、ロック部
194bが磁気部材180に磁気的に引き付けられるようにすることにより対側ガイドワ
イヤ194に作用して対側ガイドワイヤ194のロック部194bをロックアセンブリ3
00から分離させる上向きの力412に抵抗する磁気材料を含んでもよい。
【0146】
図19は、対側ガイドワイヤ194の非限定的で典型的な実施形態を描く。対側ガイド
ワイヤ194は、互いに結合される複数の領域を含むように構成され得る。対側ガイドワ
イヤ194は、第1の端部194f及び第2の端部194gを有することができる。対側
ガイドワイヤの複数の領域の直列配列は、ユーザのニーズにしたがって変えられてもよい
。
図19に示される対側ガイドワイヤ194の領域の直列配列は、単なる例示であり、限
定するものと解釈されるべきでない。対側ガイドワイヤ194は、適切な材料(例えばP
TFE)、接着剤、白金を含む合金、及び、これらの組み合わせから形成されるワイヤコ
ア収縮チューブを含むことができる。白金合金は、90%白金及び10%イリジウム、又
は、92%白金及び8%タングステンを含むことができる。
【0147】
対側ガイドワイヤ194は、白金、例えば少なくとも約90%の白金、少なくとも約9
2%の白金、少なくとも約95%の白金、又は、少なくとも約99%の白金を含むワイヤ
から形成される遠位コイルを含んでもよい。幾つかの実施形態において、対側ガイドワイ
ヤ194は、約92%白金及び8%タングステンから構成され得る。遠位コイルは、0.
003インチの外径を有するワイヤから形成されてもよい。遠位コイルは0.003イン
チのピッチを有してもよい。遠位コイルは、0.025インチのコイル外径を有してもよ
い。遠位コイルは、0.3cmの許容誤差を伴う8.0cmのコイル長さを有してもよい
。
【0148】
対側ガイドワイヤ194は、約92%白金及び8%タングステンを含むワイヤから形成
される近位コイルを含んでもよい。近位コイルは、0.003インチの外径を有するワイ
ヤから形成されてもよい。近位コイルは0.003インチのピッチを有してもよい。近位
コイルは、0.025インチのコイル外径を有してもよい。近位コイルは、0.3cmの
許容誤差を伴う15.0cmのコイル長さを有してもよい。
【0149】
対側ガイドワイヤ194の第1の領域194h(
図19ではPの直径を有するように示
される)は、0.0002インチの許容誤差を伴う0.0160インチの直径を有するこ
とができる。第1の領域194hは、0.1cmの許容誤差を伴って0.3cmの長さを
有することができる。対側ガイドワイヤ194の第2の領域194i(
図19ではRの直
径を有するように示される)は、第1の領域194hよりも小さい直径、例えば、第1の
領域194hの直径の半分以下の直径を有することができる。例えば、第2の領域194
iの直径は、0.0002インチの許容誤差を伴って約0.0080インチとなり得る。
第2の領域194iを第1の領域194hよりも長くすることができる。例えば、第2の
領域194iは、0.1cmの許容誤差を伴って10.4cmの長さを有することができ
る。対側ガイドワイヤ194の第3の領域194j(
図19ではVの直径を有するように
示される)は、第1及び第2の領域194h、194iよりも大きい直径を有することが
できる。例えば、第3の領域194jの直径は、0.0002インチの許容誤差を伴って
約0.0174インチとなり得る。第3の領域194jを第1の領域194hよりも長く
する及び/又は第2の領域194iよりも短くすることができる。例えば、第3の領域1
94jは、0.1cmの許容誤差を伴って1.0cmの長さを有することができる。対側
ガイドワイヤ194の第4の領域194k(
図19ではKの直径を有するように示される
)は、第1、第2、及び、第3の領域194h、194i、194jよりも大きい直径を
有することができる。例えば、第4の領域194kは、0.0003インチの許容誤差を
伴う約0.0300インチの直径を有することができる。対側ガイドワイヤ194の第5
の領域194l(
図19ではHの直径を有するように示される)は、第4の領域194k
の直径よりも小さいが第1、第2、及び、第3の領域194h、194i、194jの直
径よりも大きい直径を有することができる。例えば、第5の領域194lの直径は、0.
0002インチの許容誤差を伴って約0.0210インチとなり得る。第5の領域194
lを先の領域194h、194i、194j、194kのそれぞれよりも大きくすること
ができる。例えば、第5の領域194lは、0.5cmの許容誤差を伴って40.8cm
の長さを有することができる。対側ガイドワイヤ194の第6の領域194m(
図19で
はUの直径を有するように示される)は、第3の領域194jの直径とほぼ同じ直径を有
することができる。例えば、第6の領域194mの直径は、0.0002インチの許容誤
差を伴って約0.0174インチとなり得る。第6の領域194mは、更に短くすること
ができ、0.1cmの許容誤差を伴って0.8cmの長さを有することができる。対側ガ
イドワイヤ194の第7の領域194n(
図19ではBの直径を有するように示される)
は、第2の領域194iの直径とほぼ同じ直径を有することができる。第7の領域194
nの直径は、対側ガイドワイヤ194の最小直径を与えてもよい。例えば、第7の領域1
94nは、0.0002インチの許容誤差を伴う0.0080インチの直径を有すること
ができる。第7の領域は、0.1cmの許容誤差を伴って5.2cmの長さを有すること
ができる。対側ガイドワイヤ194の第8の領域194o(
図19ではGの直径を有する
ように示される)は、第1の領域194hの直径とほぼ同じ直径を有することができる。
例えば、第8の領域194oは、0.0002インチの許容誤差を伴う0.0160イン
チの直径を有することができる。第8の領域194oは、0.1cmの許容誤差を伴って
0.5cmの長さを有することができる。対側ガイドワイヤ194は、対側ガイドワイヤ
194における直径変化を和らげる移行領域を含んでもよい。移行領域は、対側ガイドワ
イヤ194の長手方向軸と移行領域の外壁との間に形成されるテーパ角を有してもよい。
移行領域のテーパ角は、10~60度の範囲をとり得る。
【0150】
用語
先の説明は、様々な実施形態に適用されるように新規な特徴を示し、記載し、及び、指
摘してきたが、開示の思想から逸脱することなく、例示された装置又はプロセスの形状及
び細部において様々な省略、置換、及び、変更がなされてもよいことが理解される。また
、先に説明された様々な特徴及びプロセスは、互いに独立に使用されてもよく、或いは、
様々な方法で組み合わされてもよい。全ての想定し得る組み合わせ及び/又は部分組み合
わせがこの開示の範囲内に入るように意図される。
【0151】
認識されるように、本明細書中に記載される特定の実施形態は、一部の特徴を他の特徴
から切り離して使用又は実施してもよいように、本明細書中に記載される特徴及び利点の
全てを与えるとは限らない形の中で具現化されてもよい。本発明の範囲は、前述の説明に
よらずむしろ添付の特許請求の範囲により示される。特許請求の範囲の等価物の意味及び
範囲の中に入る全ての変更は、本発明の範囲内に包含されるべきである。例えば、二股ス
テントを腹部大動脈内に配備することに関して送出システムが記載されるが、送出システ
ムを使用して、主部と少なくとも1つの分岐部とを有するプロテーゼ、或いは、直線状の
主分岐部のみを有するプロテーゼを他の枝分かれした血管(例えば、胸大動脈及び心臓動
脈)へ送出するとともに、ガイドワイヤを拡張されたプロテーゼに通して位置させたまま
にすることができると更に想定される。
【0152】
用語「ガイドワイヤ」は、広く解釈されなければならず、当業者のその通常の慣例の意
味に加えて、任意の長尺部材を含んでもよい。本明細書中の開示は、ガイドワイヤを送出
システムに対して可逆的に結合するためのロックアセンブリを記載するが、ロックアセン
ブリを使用して、任意の長尺構造体を送出システム、カテーテル、又は、他のものに可逆
的に結合することもできる。
【0153】
本明細書中で使用される相対語「近位」及び「遠位」は、送出システムの観点から規定
されるものとする。したがって、近位とは、送出システムの制御端の方向のことであり、
また、遠位とは、遠位先端の方向のことである。
【0154】
用語「第1の」及び「第2の」分岐部は、置き換え可能に使用され得るとともに、同側
血管、対側血管、橈骨血管、及び、鎖骨下血管を含むがこれらに限定されない体内の任意
の血管枝を示すために使用され得ることに留意されたい。したがって、幾つかの実施形態
では、「第1の」分岐部は、先に記載された血管を含むがそれらに限定されない任意の分
岐部を示し得る。同様に、「第2の」分岐部は、先に記載された血管を含むがそれらに限
定されない任意の分岐部を示し得る。
【0155】
「できる(can)」、「あり得る(could)」、「場合がある(might)」
、「よい(may)」などの条件付き用語は、特に別段述べられなければ、或いはさもな
ければ、文脈内で使用されるように理解されなければ、一般に、特定の実施形態が特定の
特徴、要素、及び/又は、ステップを含むが、他の実施形態がそれらを含まないことを伝
えるように意図される。したがって、そのような条件付き用語は、一般に、特徴、要素、
及び/又は、ステップが1つ以上の実施形態のために多少なりとも必要とされることを示
唆するように意図される。
【0156】
用語「備える」、「含む」、「有する」等は、同意語であり、非制約的態様で包括的に
使用されるとともに、更なる要素、特徴、行為、動作等を排除しない。また、用語「又は
」は、該用語「又は」が例えば要素のリストをつなぐために使用されるときにそのリスト
中の要素のうちの1つ、幾つか、又は、全てを意味するようにその包括的な意味で(及び
、その排他的な意味ではなく)使用される。
【0157】
本明細書中で使用される用語「おおよそ」、「約」、「一般に」、「ほぼ」は、所望の
機能を依然として果たす或いは所望の結果を得る述べられた量に近い量を表わす。例えば
、用語「おおよそ」、「約」、「ほぼ」は、述べられた量の10%未満の範囲内の量を示
してもよい。他の例として、特定の実施形態において、用語「ほぼ平行」は、15度以下
だけ正確な平行から逸脱する値、量、又は、特徴を示す。
【0158】
また、本明細書中に開示される範囲は、任意の全ての重なり、部分範囲、及び、その組
み合わせを包含する。「最大で」、「少なくとも」、「よりも大きい」、「よりも小さい
」、「~の間」等の用語は、挙げられた数を含む。「約」又は「おおよそ」などの用語に
よって先行される数は、挙げられた数を含む。例えば、「約2インチ」は、「2インチ」
を含む。
【0159】
添付図面に関連して幾つかの実施形態について説明してきた。しかしながら、図が原寸
に比例していないことが理解されるべきである。距離、角度等は、単なる例示であり、必
ずしも例示された装置の実際の寸法及びレイアウトに対して正確な関係をもつとは限らな
い。構成要素を付加、除去、及び/又は、再配置することができる。また、様々な実施形
態に関連する任意の特定の特徴、態様、方法、特性、品質、属性、要素等についての本明
細書中の開示は、本明細書中に記載される全ての他の実施形態で使用され得る。加えて、
挙げられたステップを実行するのに適した任意の装置を使用して本明細書中に記載される
任意の方法が実施されてもよいことが認識される。
【0160】
この開示の目的のため、本明細書中には特定の態様、利点、及び、新規な特徴が記載さ
れる。任意の特定の実施形態にしたがってそのような利点の全てが必ずしも得られるとは
限らないことが理解されるべきである。したがって、例えば、当業者は、本明細書中に教
示され或いは示唆されてもよい他の利点を必然的に得ることなく本明細書中に教示される
1つの利点又は一群の利点を得る態様で開示が具現化され或いは行なわれてもよいことを
認識する。
【0161】
また、例示的な実施形態を本明細書中で説明してきたが、等価な要素、修正、省略、組
み合わせ(例えば、様々な実施形態にわたる態様)、適合、及び/又は、変更を有する任
意の全ての実施形態の範囲は、本開示に基づいて当業者により理解され得る。特許請求の
範囲における限定は、特許請求の範囲で使用される用語に基づいて広く解釈されるべきで
あり、本明細書中に或いは出願の審査手続き中に記載される実施例に限定されるべきでな
く、これらの実施例は非排他的であると解釈されるべきである。更に、開示されたプロセ
ス及び方法の動作は、動作を整理し直す及び/又は更なる動作を挿入する及び/又は動作
を削除することを含め、任意の態様で変更されてもよい。したがって、明細書及び実施例
が単なる例示と見なされるべきであり、真の範囲及び思想が特許請求項及びそれらの等価
範囲全体により示されることが意図される。
【0162】
本明細書中に開示される任意の方法は、列挙された順序で実行される必要はない。本明
細書中に開示される方法は、医師によってとられる特定の動作を含む。しかしながら、方
法は、それらの動作の任意の第三者命令を明示的に或いは暗に含むこともできる。例えば
、「送出システムをロック形態から解放する」などの動作は、「ロック形態からの送出シ
ステムの解放を命じること」を含む。
【実施例0163】
以下の実施形態は、本明細書中に開示される特徴の組み合わせの幾つかの想定し得る順
列を特定するが、特徴の組み合わせの他の順列も可能である。
1.
第1の長尺構造体を第2の長尺構造体に対して解放可能に結合するためのロックアセン
ブリであって、
近位端、遠位端、及び、側壁部を備えるハウジングと、
前記ロックアセンブリの長手方向軸に沿って前記ハウジングの前記近位端から前記ハウ
ジングの前記遠位端まで延びる第1のルーメンであって、前記第1のルーメンが前記第1
の長尺構造体を受けるように構成される、第1のルーメンと、
前記ハウジングの前記遠位端から延びる第2のルーメンであって、前記第2のルーメン
の直径が前記第1のルーメンの直径よりも小さく、前記第2のルーメンが前記第2の長尺
構造体を受けるように構成される、第2のルーメンと、
前記ハウジングを少なくとも部分的に貫通して延びる凹部であって、前記凹部が前記ハ
ウジングの前記側壁部に少なくとも1つの開口を備える、凹部と、
を備えるロックアセンブリ。
2.
前記凹部内にエラストマー部材を更に備え、前記エラストマー部材は、前記第2の長尺
構造体が前記第2のルーメンを通じて延びるときに前記第2の長尺構造体を保持するよう
に構成される形態1に記載のロックアセンブリ。
3.
前記エラストマー部材の外面の少なくとも一部が前記ハウジングの前記側壁部の外面と
略同一平面内にある形態2に記載のロックアセンブリ。
4.
前記エラストマー部材が前記第2のルーメンと少なくとも部分的に位置合わせされる開
口を備える形態2又は3に記載のロックアセンブリ。
5.
前記開口が前記第2のルーメンの直径よりも小さい直径を備える形態4に記載のロック
アセンブリ。
6.
前記エラストマー部材がシリコーンを備える形態2~5のいずれかに記載のロックアセ
ンブリ。
7.
前記ハウジングの近位部がテーパ状を成す上記いずれかに記載のロックアセンブリ。
8.
前記ハウジングの遠位部の外周の少なくとも一部に沿って延びる突出部を更に備える上
記いずれかに記載のロックアセンブリ。
9.
前記第2のルーメンが前記第1のルーメンと前記突出部との間に位置付けられる形態8
に記載のロックアセンブリ。
10.
前記第2のルーメンは、近位部、遠位部、及び、前記近位部と前記遠位部との間の中間
部を備え、前記中間部の直径が前記近位部及び前記遠位部の直径よりも小さい上記いずれ
かに記載のロックアセンブリ。
11.
対側ガイドワイヤを同側カテーテルに結合するためのロックアセンブリであって、
前記同側カテーテルと係合するように構成される固定部と、
少なくとも0.1lbfの垂直力が前記対側ガイドワイヤに印加されなければ前記対側
ガイドワイヤが押し進められる又は引き込まれるときに前記対側ガイドワイヤの遠位部を
保持するように構成されるインターロック部と、
を備えるロックアセンブリ。
12.
前記インターロック部がルーメンを備え、前記ルーメンは、前記対側ガイドワイヤが引
き込まれるときに前記対側ガイドワイヤを保持するように形成される形態11に記載のロ
ックアセンブリ。
13.
前記ルーメンは、遠位部、近位部、及び、前記遠位部と前記近位部との間の中間部を備
え、前記中間部の直径が前記遠位部の直径及び前記近位部の直径よりも小さい形態12に
記載のロックアセンブリ。
14.
前記ガイドワイヤが押し進められるときに前記ガイドワイヤを摩擦的に保持するように
構成される保持部材を更に備える形態11~13のいずれかに記載のロックアセンブリ。
15.
前記保持部材がエラストマー材料を備える形態14に記載のロックアセンブリ。
16.
前記保持部材は、前記対側ガイドワイヤを受けるように構成される開口を備える形態1
4又は15に記載のロックアセンブリ。
17.
前記インターロック部は、該インターロック部内の前記ガイドワイヤの遠位部から約6
0度以下の角度で力が前記対側ガイドワイヤの中間部に対して印加されるときに前記対側
ガイドワイヤを解放するように構成される形態11~16のいずれかに記載のロックアセ
ンブリ。
18.
第1の長尺部材を第2の長尺部材に対して可逆的に固定するためのシステムであって、
第1の長尺部材と、
近位部及び遠位部を備える第2の長尺部材と、
前記第1の長尺部材に固定されるロックアセンブリと、
を備え、
前記ロックアセンブリは、
近位端及び遠位端を備えるハウジングと、
前記ハウジングの前記遠位端から前記ハウジングの少なくとも一部を貫いて延びるル
ーメンであって、前記第2のルーメンが前記ロックアセンブリの遠位側から前記第2の長
尺部材を受けるように構成される、ルーメンと、
前記ハウジングを少なくとも部分的に貫いて延びる凹部と、
前記凹部内のエラストマー部材であって、前記エラストマー部材は、前記第2の長尺
部材が前記第2のルーメンを通じて延びるときに前記第2の長尺部材の前記遠位部を保持
するように構成される、エラストマー部材と、
を備える、システム。
19.
前記第2の長尺部材が第1の領域及び第2の領域を備え、前記第1の領域が第1の剛性
を有し、前記第2の領域が第2の剛性を有し、前記第1の剛性が前記第2の剛性よりも大
きい形態18に記載のシステム。
20.
前記第1の領域が前記第2の領域よりも遠位側にある形態19に記載のシステム。
21.
前記第1の領域が前記第2の長尺部材の遠位端にある形態19に記載のシステム。
22.
前記第2の長尺部材に沿って押し進められて前記第2の長尺部材を前記凹部から離脱さ
せるように構成されるシースを更に備える形態18又は19に記載のシステム。
23.
前記第2の長尺部材がガイドワイヤである形態18~22のいずれかに記載のシステム
。
24.
前記第1の長尺部材がカテーテルである形態18~23のいずれかに記載のシステム。
25.
前記第2のルーメンは、近位部、遠位部、及び、前記近位部と前記遠位部との間の中間
部を備え、前記中間部の直径が前記遠位部の直径及び前記近位部の直径よりも小さい形態
18~24のいずれかに記載のシステム。
26.
前記凹部は、前記ハウジングの側壁に少なくとも1つの開口を備える形態18~25の
いずれかに記載のシステム。
27.
前記エラストマー部材は、前記第2のルーメンと少なくとも部分的に位置合わせされる
開口を備える形態18~26のいずれかに記載のシステム。
28.
前記開口は、前記第2のルーメンの直径よりも小さい直径を備える形態27に記載のロ
ックアセンブリ。
29.
前記エラストマー部材がシリコーンを備える形態18~28のいずれかに記載のロック
アセンブリ。
30.
前記ハウジングの遠位部の外周の少なくとも一部に沿って延びる突出部を更に備える形
態18~29のいずれかに記載のロックアセンブリ。
31.
対側ガイドワイヤを同側カテーテルから解放するための方法であって、
送出システムをロック形態で押し進めるステップであって、前記送出システムが前記同
側カテーテルに固定されるロックアセンブリを備え、前記ロックアセンブリは、前記送出
システムがロック形態にあるときに前記ガイドワイヤを保持するように構成されるインタ
ーロック部を備え、前記ガイドワイヤの遠位端は、前記送出システムがロック形態にある
ときに前記ガイドワイヤが屈曲部を備えるように前記ロックアセンブリの遠位側から前記
インターロック部内へ導入され、前記屈曲部は、前記ガイドワイヤの近位部と前記ガイド
ワイヤの遠位部との間に位置付けられる、ステップと、
解放カテーテルを前記ガイドワイヤに沿って押し進めることによって前記送出システム
を前記ロック形態からロック解除形態へと解放するステップと、
を備える方法。
32.
前記ロック形態において、前記インターロック部は、前記ガイドワイヤが引き込まれる
ときに前記ガイドワイヤを保持するように構成される形態31に記載の方法。
33.
前記解放カテーテルを押し進める前に、前記インターロック部は、前記ガイドワイヤが
押し進められるときに前記ガイドワイヤを保持するように構成される形態31又は32に
記載の方法。
34.
前記送出システムを解放する前記ステップは、前記ロックアセンブリの長手方向軸から
約60度以下の角度で力を前記ガイドワイヤに印加するステップを備える形態31~33
のいずれかに記載の方法。