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特開2023-22240歯根管系における注入システム及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022240
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】歯根管系における注入システム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 5/50 20170101AFI20230207BHJP
【FI】
A61C5/50
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022192829
(22)【出願日】2022-12-01
(62)【分割の表示】P 2020572548の分割
【原出願日】2018-08-10
(31)【優先権主張番号】BR1020180130803
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(71)【出願人】
【識別番号】516036065
【氏名又は名称】アンジェラス インダストリア デ プロデュトス オドントロジコス エスィ/アー
【氏名又は名称原語表記】ANGELUS INDUSTRIA DE PRODUTOS ODONTOLOGICOS S/A
【住所又は居所原語表記】Rua Waldir Landgraf, 101, Lindoia, Londrina, PR, 86031-218,Brazil
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221899
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 みゆき
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ケイロズ マルティンス アルカンターラ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】閉鎖端部カニューレと少なくとも1つの側部オリフィスとを備える、歯根管系への歯内治療セメントの注入システムを提供する。
【解決手段】閉鎖端部カニューレと少なくとも1つの側部オリフィスとを備える、歯根管系への歯内治療セメントの注入システムは、カニューレ1と歯との間に配置されるスリーブ3を備え、歯根内材料を注入し、歯科根管の開口部を閉塞する、閉鎖端部1-D歯根内材料注入カニューレに対する成形可能な先端部を含む。歯内治療セメントを注入する、注入システムの使用方法も提供する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯根管系への歯内治療セメントの注入システムであって、閉鎖端部(1-D)カニュー
レ(1)と、少なくとも1つの側部オリフィス(2)とを備えることを特徴とする、シス
テム。
【請求項2】
ドーム(5)を介して、前記カニューレ(1)に連結される単一又は二重補助圧縮シス
テム(4)を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カニューレ(1)の前記少なくとも1つの側部オリフィス(2)が、孔、スクリー
ン、長手方向切り、横方向切り、斜め切り又は螺旋状切りであり、好ましくは孔であるこ
とを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記カニューレ(1)の材料が、金属、ポリマー、エラストマー、これらの会合体又は
ポリマー含有複合材料、及びケブラー、ガラス、カーボン又はこれらの混合物からなる群
から選択される無機繊維から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記カニューレ(1)の前記材料が、好ましくは金属又はポリマーであることを特徴と
する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記カニューレ(1)の前記材料が、さらにガッタパーチャ又は他の生体適合性材料で
あり得ることを特徴とする、請求項4及び5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カニューレ(1)が、10~42mm、好ましくは17~31mmの長さを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記カニューレ(1)が、前記カニューレ(1)の長さに沿って距離又は深さマーキン
グを有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記カニューレ(1)の形状が、円筒形、又は前記カニューレ(1)の長さに沿って直
径が変化する円錐形であり得ることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記カニューレ(1)の断面が、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、楕円形又
は円形であり得ることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記カニューレ(1)の前記閉鎖端部(1-D)が、円形状又は弓形状を有することを
特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記補助圧縮システムが、プランジャシリンジ、カプセル付きピストル、圧縮可能チュ
ーブ、及び機械的又は空気圧ポンプシステムから選択されることを特徴とする、請求項2
に記載のシステム。
【請求項13】
前記カニューレ(1)の前記端部(1-D)が、先端部(6)によって形成され得るこ
とを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
歯根内材料の注入システムであって、カニューレ(1)と歯との間に配置される、中央
凹部(8)を含むスリーブ(3)を備え、歯根内材料を注入し、歯科根管の開口部を閉塞
することを特徴とする、システム。
【請求項15】
前記スリーブ(3)の材料が、シリコーン、TPV、TPE、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリカーボネート又はこれらの材料の1つ以上の結合から選択されることを特徴
とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記スリーブ(3)が、円筒形、円錐形又は弓形の形状であることを特徴とする、請求
項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記スリーブ(3)の前記中央凹部(8)が、前記スリーブの上端部から始まり、前記
スリーブの遠位端部で終端し得ることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記スリーブ(3)の前記中央凹部(8)が、前記スリーブの上端部から始まり、前記
スリーブの遠位端部付近で終端し得ることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記スリーブ(3)の前記中央凹部(8)が前記スリーブ(3)の側部まで水平に延び
ることができ、前記スリーブの長軸線の前記側部に、端部を貫通し又は前記端部に近接し
得る裂け目を形成することを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記スリーブ(3)の前記中央凹部(8)を、前記カニューレ(1)形状に成形し得る
ことを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
前記スリーブ(3)の外側部分を、前記歯科根管のオリフィス開口部形状に成形し得る
ことを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
前記スリーブ(3)が、3.0~8.0ミリメートル、より好ましくは約5ミリメート
ルの長さを有し得ることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
歯根内材料注入システムであって、閉鎖端部(1-D)歯根内材料注入カニューレ(1
)に対する成形可能な先端部(6)を含むことを特徴とする、システム。
【請求項24】
前記カニューレ(1)の前記先端部(6)の前記材料が、可撓性であり、ポリマー、エ
ラストマー、シリコーン又はこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項2
3に記載のシステム。
【請求項25】
前記先端部(6)が、0.3~2mmの長さ及び0.25mm~1.4mmの直径を有
することを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記カニューレ(1)の端部(1-D)がロッド(7)を有することを特徴とする、請
求項23に記載のシステム。
【請求項27】
歯内治療セメントを注入することを特徴とする、請求項1~26に記載の注入システム
の使用方法。
【請求項28】
前記歯内治療セメントの粘性(η)が、60~100s-1の
については4~7Pa.sの範囲であり、0~100s-1の
の周期については1~10(KPa/s)のチキソトロピー(T)であることを特徴とす
る、請求項27に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科の分野に関し、より具体的には、歯根管系における歯内治療セメント注
入システム及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯内根管治療技術は、一般的に、病変した歯髄組織の除去、石灰及び灌水剤による根管
の機械的及び化学的洗浄、根管及び根管壁の内部からの細菌並びに汚染された有機物及び
無機物の除去、そして最後に、ガッタパーチャ及び歯内治療セメント等の特定の材料を充
填する工程を含む。
【0003】
ガッタパーチャ及び歯内治療セメントで根管を充填するために、通常は歯内治療セメン
トを根管内に適用し、続いてガッタパーチャで充填する。任意に、ガッタパーチャのコー
ンは歯内治療セメントで覆われ、後に根管に挿入され、充填技術は、例えば単一コーン、
側方縮合、タガーハイブリッド技術、ブキャナン技術の使用又は加熱ガッタパーチャの注
入さえも含むことができる。
【0004】
歯科根管充填に使用するシステムの例は、例えば特許文献1(SOLAR ENERGY TECHNOLOG
Y, INC.)、特許文献2(LIGHTSPEED TECHNOLOGY, INC.)及び特許文献3(COLTENE WHAL
EDENT GMBH & CO KG)等の刊行物に見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0078258号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1006923号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1951144号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の充填技術に存在する技術的課題には、セメントが主根管の内腔の形状に合致し、
主根管、側副根管、側根管、二次根管、副根管、結節間根管、再発根管、網状根管及び根
尖デルタによって形成される根管系全体に浸透するように高圧をかける必要があり、セメ
ントが主根管(根尖孔)を越えて漏出したり、生体に再吸収されずに歯根外の根尖歯周組
織内に異物のように滞留したりするリスクには言及されていない。加えて、しかしながら
、セメントに多くの圧力がかけられると、セメントは歯根管系を充填するのではなく単に
上部根管開口部から漏出する可能性があり、充填がないと細菌増殖を引き起こし、その結
果、歯周囲の骨の炎症、感染及び再吸収のような望ましくない影響を引き起こす可能性が
ある。
【0007】
本発明は、歯根管系への歯内治療セメントの注入システム及びその製造方法を提供する
ことにより、先行技術に見られる課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の問題を解決するために、本発明は、歯根系に歯内治療セメントを注入する現在の
システムに関して著しい相違点を提供する。第1の主要な実施形態では、本発明の目的は
、閉鎖端部カニューレと少なくとも1つの側部オリフィスとを備える、歯根管系への歯内
治療セメントの注入システムを提供することである。第2の主要な実施形態では、本発明
の目的は、カニューレと歯との間に配置されるスリーブを備えるシステムを提供し、歯根
内材料を注入し、歯科根管の開口部を閉塞することである。第3の実施形態では、本発明
の目的は、閉鎖端部歯根内材料注入カニューレに対する成形可能な先端部を含むシステム
を提供することである。更に本発明の目的は、歯内治療セメントを注入する、前記注入シ
ステムの使用方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの主要な実施形態のカニューレ、カニューレの閉鎖端部及び側部オリフィスを示す。
図2A】根管系が隆起している健康な歯を示す。
図2B】石灰による洗浄が行われた根管を示し、主導管の不規則な形状並びに二次根管の洗浄及び充填の困難さを証明している。
図2C】洗浄及び生体力学的調製の後の、根管内に配置されるセメント注入カニューレの導入を示し、カニューレは、側部オリフィスを通して歯内治療セメントを注入するように配置され、歯根の根尖部を封止するカニューレの終端部を有する。
図2D】歯内治療セメントがカニューレを通して注入されるときの歯内治療セメントの方向を方向矢印で例示する。
図3】カニューレの断面形状の例を示す。
図4】カニューレの閉鎖端部形状の例を示す。
図5】カニューレの端部の寸法(直径)を示し、カニューレの端部は、円筒形状カニューレの場合、歯内治療石灰(0.25~1.40mm)に使用するものに対して標準的な直径を有し得る。
図6】カニューレの側部オリフィス形状の例を示す。
図7】カニューレ本体における距離又は深さマーキングの例を示す。
図8】本発明の別の主要な実施形態のスリーブの例を示し、中央凹部は貫通し(8A)、中央凹部はスリーブの遠位部分付近で終端し(8B)、中央凹部はテープ形式でスリーブの側面に水平に延び、スリーブの長軸線に沿って側面に裂け目を形成し(8C)、スリーブは、剛性材料の中央部分(中央凹部周りの内側コーン)と、本発明のより可撓性又は圧縮可能な材料の外側部分(外側コーン)とを含み(8D)、中央凹部はスリーブの遠位部分付近で終端する(8E)。
図9】本発明の1つの実施形態による閉鎖端部を含むカニューレと、本発明の別の実施形態によるスリーブとを同時に備え、歯科根管に挿入されるシステムを示す。
図10】別の実施形態を示し、カニューレの長さの下側部分をロッドに置き換えている。
図11】本発明の別の主たる実施形態を示し、カニューレが成形可能な材料の先端部を有する。
図12】本発明によって構成される任意のシステムを示し、カニューレはドームを介して単一身体補助圧縮システムに接続される。
図13】本発明によって構成される別の任意のシステムを示し、カニューレはドームを介して補助二重身体圧縮システムに接続され、カニューレは注入時に歯内治療材料の混合を促進するシステムを付加的に含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の構造及び動作は、その付加的な相違点と共に、添付の図面及び以下の説明に関
してより良く理解することができる。
【0011】
第1の主たる実施形態によれば、本発明は、閉鎖端部(1-D)及び少なくとも1つの
側部オリフィス(2)を有するカニューレ(1)を備える、歯根管系への歯内治療セメン
トの注入システムからなる。
【0012】
第2の主要な実施形態によれば、本発明は、カニューレ(1)と歯との間に配置される
、中央凹部(8)を含むスリーブ(3)を備え、歯根内材料を注入し、歯科根管の開口部
を閉塞する、歯根内材料の注入システムからなる。
【0013】
第3の主要な実施形態によれば、本発明は、閉鎖端部(1-D)歯根内材料注入カニュ
ーレ(1)に対する成形可能な先端部(6)を含む、歯根内材料の注入システムからなる
【0014】
本発明の歯内治療セメント注入システムは、補助圧縮システム(4)を更に備え、図1
2及び13に示すように、単一又は二重補助圧縮システム(4)は、ドーム(5)を介し
てカニューレ(1)に連結され得る。二重システムに対して材料(9)の混合器が存在す
る。
【0015】
本発明によれば、補助圧縮システム(4)は、加圧下で流体材料を本システムのカニュ
ーレに移送する装置として理解されなければならない。
【0016】
補助圧縮システム(4)の例は、プランジャシリンジ、カプセルガン、圧縮可能チュー
ブ又は機械的若しくは空気圧ポンプシステムであってもよい。
【0017】
本発明によれば、ドーム(5)は、カニューレ(1)の上部分に配置されてカニューレ
(1)を補助圧縮システム(4)に接続する接続部として理解されなければならない。本
発明によれば、歯内治療セメントは、充填、接着及び消毒の目的で歯内根管内に適用及び
堆積させる歯科材料として理解されなければならず、例えば、(一時的及び確定的な)充
填セメント、接着剤セメント、樹脂セメント及びイオノメトリックセメントが挙げられる
。単なる一例として、現在使用されている歯内治療セメントのいくつかのブランドは、En
doSequence - Brasseler(登録商標)/米国、Metapaste-Temporary Root Canal Filling
Material - MetaBiomed/韓国、BIO-C Sealer - Angelus/ブラジル、Dual Resin Cemen
t Relyx U200 - 3M ESPE(登録商標)/米国、Glass Ionomer Cement Meron-Voco/ドイ
ツ、である。
【0018】
本発明によれば、歯根内材料は、例えば封止、消毒、洗浄、乾燥、可視化、対比等を目
的とする、歯科根管に適用する任意の歯科材料として理解されなければならない。
【0019】
歯内治療セメントの物理的特性に関しては、同時に、歯根管系において良好な浸透率を
有し、例えばカニューレが主根管から引き抜かれるときに、過剰な流れ又は排水を避ける
ことは興味深い。本明細書において、任意の態様によれば、歯内治療セメントの粘性(η
)は、例えば60、80及び100s-1の
については4~7Pa.sの範囲であり、0~100s-1の
については1~10(KPa/s)のチキソトロピー(T)であり得る。
【0020】
本発明によれば、歯根管系は、主根管、側副根管、側根管、二次根管、副根管、結節間
根管、再発根管、網状根管及び根尖デルタによって形成される歯科系として理解されなけ
ればならない。
【0021】
本発明によれば、カニューレ(1)は、歯内治療材料を歯根管系内に導く管状要素とし
て理解されなければならない。
【0022】
前記カニューレ(1)の断面は、三角形、正方形、五角形、六角形、八角形、楕円形又
は円形であってもよく、内部溝又は外部溝を有していても有していなくてもよい。
【0023】
更に、カニューレ(1)は、円筒形状、又はカニューレの長さに沿って直径が変化する
円錐形状を有することができる。例えばカニューレは、市販の歯内治療石灰(0.25~
1.40mm)の形状に類似した円錐形状を有することができる。円筒形のとき、カニュ
ーレは、カニューレの長さ(0.25~1.40mm)全体にわたって歯内治療石灰の先
端部と同じ標準化直径を有することができる。
【0024】
カニューレ(1)の長さは、歯内治療石灰の長さに応じて、10~42mm、好ましく
は17mm~31mmの範囲であり得る。
【0025】
カニューレ(1)はまた、例えばマーク付きの定規のような距離又は深さマーキングを
有し、カニューレが歯科根管に挿入される深さを示すことができる。
【0026】
カニューレは、カニューレの直径を決める歯内治療石灰で使用されるような標準色を有
し、専門家による識別を容易にすることができる。
【0027】
材料に関して、カニューレ(1)は、金属、ポリマー、エラストマー、これらの会合体
又はポリマー含有複合材料、及びケブラー(登録商標)、ガラス、カーボン、又はこれら
の混合物からなる群から選択される無機繊維を含む、様々な剛性又は可撓性材料から製造
することができ、興味深い選択肢は金属及びポリマーである。
【0028】
代替実施形態では、カニューレ(1)は、歯内治療セメントの注入後にカニューレの一
部を除去する必要なしに歯科根管内に充填材料として残すことができる、ガッタパーチャ
又は他の生体適合性材料で作ることができる。
【0029】
図2Cに示すように、本発明によれば、カニューレ(1)の端部(1-D)は、歯科根
管内により深く挿入されるカニューレの部分として理解されなければならない。
【0030】
図4に示すように、カニューレ(1)の端部(1-D)は、円形状又は楕円形状を有す
ることができる。加えてカニューレの端部(1-D)は、市販の歯内治療石灰の最終直径
で標準化された、0.25mm~1.4mmから選択される直径を有することができる。
【0031】
図1に示すように、本発明によれば、側部開口部(2)は、歯根管系への歯科セメント
の進入を可能にするカニューレ(1)の壁の開口部として理解されなければならず、カニ
ューレ(1)は、1つ以上の側部オリフィス(2)のみを有し得る。
【0032】
図6に示すように、前記側部オリフィス(2)は、孔、スクリーン、長手方向切り、横
方向切り、斜め切り又は螺旋状切りによって形成される群から1つ以上選択される形状を
有することができ、好ましくは孔である。
【0033】
加えて図2Dに示すように、1つ以上の側部オリフィス(2)は、カニューレ(1)の
断面に関して複数の方向に、及び/又はカニューレ(1)の長手方向軸線に対して異なる
角度に、歯内治療セメントを方向付けるように構築又は配置することができる。
【0034】
本発明によれば、スリーブ(3)は、カニューレ(1)内に配置され、カニューレの開
口部内のプラグとして機能する要素として理解されなければならない。任意の構成では、
スリーブ(3)は、カニューレ内に長手方向に摺動させて、又はカニューレ周りに更に成
形して、歯科根管の開口部を充填することができる。
【0035】
本発明によれば、スリーブ(3)は、歯科根管の開口部において、限定されるものでは
ないが、ポリマー、エラストマー、シリコーン又はこれらの組み合わせのような圧縮可能
かつ成形可能な材料で作ることができる。興味深い選択肢は、例えば30~90ショアA
の硬度を有するシリコーンの使用であり得る。
【0036】
加えて図8A図8Eに示すように、本発明のスリーブ(3)は、中央凹部(8)を有
する円筒形、円錐形又は弓形(ogival)などの様々な形状を有することができる。
【0037】
本発明のスリーブ(3)では、図8に示すように、中央凹部(8)は貫通、すなわちス
リーブの上端部から遠位端部に至るまで通じることができ、あるいは図8B及び図8E
示すように、中央凹部(8)は、スリーブの中央凹部(8)がスリーブの上端部から延び
てスリーブの遠位端部に隣接して終端し、使用時にスリーブの遠位部分を穿孔することが
できる。
【0038】
更に図8Cに示すように、本発明のスリーブ(3)の中央凹部(8)は、テープ形式で
スリーブの側部まで水平に延びて、スリーブの長軸線に沿った側部に裂け目を形成し、端
部を貫通するか又は端部に近接して終了させることができる。
【0039】
代替実施形態では、図8Dに示すように、スリーブ(3)は、スリーブ(3)の中央部
分に剛性材料を用いて製造することができ、スリーブ(3)の外側部分は、例えばエラス
トマーで外被された剛性ポリマーを使用して、可鍛性とすることができる。
【0040】
加えてスリーブの中央凹部は、カニューレとスリーブとの間の空間を封止するようにカ
ニューレ形状に成形可能であってもよく、スリーブの外側部分は、歯科根管のオリフィス
の開口部形状に成形可能であってもよい。
【0041】
本発明のスリーブ(3)は異なる長さを有することができる。興味深い選択肢は、3.
0~8.0ミリメートルで変化し、より具体的には約5ミリメートルであり得る。
【0042】
本発明によれば、スリーブ(3)は異なる直径を有することができる。円錐形又は楕円
形のスリーブの場合には、興味深い直径について、頂部の直径は1.0~5.0ミリメー
トル、より具体的には約3.0ミリメートルであり、底部の直径は0.3~1.0ミリメ
ートル、より具体的には約0.5ミリメートルであり得る。
【0043】
図11に示すように、代替実施形態では、カニューレは、カニューレの端部を形成する
先端部(6)を有することができる。興味深い任意の実施形態では、先端部(6)は、カ
ニューレの材料以外の材料、好ましくはより可撓性のある及び/又は圧縮可能な材料で作
ることができる。先端部(6)は様々な長さ及び直径、例えば、0.3~2.0mmの長
さ及び0.25mm~2mmの間で選択される直径を有することができ、市販の歯内治療
石灰の最終直径で標準化される。
【0044】
更に前記先端部(6)は、歯科根管の遠位部分に対し、限定されるものではないが、ポ
リマー、エラストマー、シリコーン又はこれらの組み合わせのような圧縮可能かつ成形可
能な材料で作ることができる。興味深い選択肢は、例えば歯科根管に残すことができるガ
ッタパーチャのような成形可能な生体適合性材料の使用であり得る。
【0045】
加えて代替実施形態では、図10に示すように、カニューレの下側部分をロッド(7)
で置き換えることができ、ロッド(7)の末端部の直径は、歯内治療石灰の直径に対して
標準化されている。
【0046】
代替実施形態では、カニューレ(1)は、市販の歯内治療石灰の遠位部分の直径に使用
される基準に従って、赤(0.25mm、0.55mm及び1.10mm)、青(0.3
0mm、0.60mm及び1.20mm)、緑(0.35mm、0.70mm及び1.3
0mm)、黒(0.40mm、0.80mm及び1.40mm)、白(0.45mm及び
0.90mm)、黄(0.50mm及び1.00mm)の標準的なカラーマークを示すこ
とができる。
【0047】
最後に本発明は、本明細書に記載されるシステム及びこのような注入システムの使用方
法を、単独で、2つずつ一緒に、3つ全て一緒に、又は他の任意の追加システムとの組み
合わせで含む。
【0048】
このように本発明のいくつかの実施形態のみを示しているが、本発明の精神及び範囲か
ら逸脱することなく、歯内治療材料注入のシステムにおける様々な省略、置換及び変更が
当業者によってなされ得ることが理解されるだろう。
【0049】
実質的に同一の方法で同一の結果を達成する、同一の機能を果たす要素の全ての組み合
わせは、本発明の範囲内であることが明示されている。1つの実施形態から別の実施形態
への要素の置換もまた、完全に意図され、考えられる。
【0050】
図面は概念的な性質を有するに過ぎないため、必ずしも縮尺通りではないことも理解さ
れなければならない。したがって、この意図は、添付の特許請求の範囲によって示される
ように限定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯根内材料の注入システムであって、カニューレ(1)と歯との間に配置される、中央凹部(8)を含むスリーブ(3)を備え、歯根内材料を注入し、歯科根管の開口部を閉塞することを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記スリーブ(3)の材料が、シリコーン、TPV、TPE、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート又はこれらの材料の1つ以上の結合から選択されることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記スリーブ(3)が、円筒形、円錐形又は弓形の形状であることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記スリーブ(3)の前記中央凹部(8)が、前記スリーブの上端部から始まり、前記スリーブの遠位端部で終端し得ることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記スリーブ(3)の前記中央凹部(8)が、前記スリーブの上端部から始まり、前記スリーブの遠位端部付近で終端し得ることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記スリーブ(3)の前記中央凹部(8)が前記スリーブ(3)の側部まで水平に延びることができ、前記スリーブの長軸線の前記側部に、端部を貫通し又は前記端部に近接し得る裂け目を形成することを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記スリーブ(3)の前記中央凹部(8)を、前記カニューレ(1)形状に成形し得ることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記スリーブ(3)の外側部分を、前記歯科根管のオリフィス開口部形状に成形し得ることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記スリーブ(3)が、3.0~8.0ミリメートル、より好ましくは約5ミリメートルの長さを有し得ることを特徴とする、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
歯根内材料注入システムであって、閉鎖端部(1-D)歯根内材料注入カニューレ(1)に対する成形可能な先端部(6)を含むことを特徴とする、システム。
【請求項11】
前記カニューレ(1)の前記先端部(6)の前記材料が、可撓性であり、ポリマー、エラストマー、シリコーン又はこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記先端部(6)が、0.3~2mmの長さ及び0.25mm~1.4mmの直径を有することを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記カニューレ(1)の端部(1-D)がロッド(7)を有することを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムが歯内治療セメントを注入することを特徴とする、請求項1~13に記載の注入システムの使用方法。
【請求項15】
前記歯内治療セメントの粘性(η)が、60~100s-1の
については4~7Pa.sの範囲であり、0~100s-1の
の周期については1~10(KPa/s)のチキソトロピー(T)であることを特徴とする、請求項14に記載の使用方法。
【外国語明細書】