(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022249
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】血栓溶解と薬剤送達のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20230207BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20230207BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A61B17/22
A61M5/168 502
A61M25/00 530
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022193291
(22)【出願日】2022-12-02
(62)【分割の表示】P 2018551936の分割
【原出願日】2017-04-06
(31)【優先権主張番号】62/318,972
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/480,354
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516314147
【氏名又は名称】ウォーク バスキュラー, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WALK VASCULAR, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・エス・カルバート
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・エム・ルック
(72)【発明者】
【氏名】マーク・マラビー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吸引装置および血栓除去システムを提供する。
【解決手段】血栓吸引と薬剤送達のためのシステムは、近位端、遠位端および壁916を有する供給ルーメン902と、近位端、開放遠位端および開放遠位端に隣接する内壁面を有する吸引ルーメンとを含む吸引カテーテル、ならびに、供給ルーメンの遠位端にあるか、または遠位端に隣接し、吸引ルーメンと流体連通し、吸引ルーメンの開放遠位端の近位に配置される少なくとも1つのオリフィス908とを備え、少なくとも1つのオリフィスは、吸引ルーメンの内壁面に衝突させるスプレーパターンを生成するように構成され、内壁面に衝突するスプレーパターンは、吸引ルーメンの開放遠位端から出ることが可能な、少なくとも略遠位方向を向いた流れに変換されるようになっている。
【選択図】
図36
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ルーメンおよび吸引ルーメンを含む吸引カテーテルと、
前記供給ルーメンの遠位端にある、または前記遠位端に隣接する位置にある、前記吸引ルーメンと流体連通する、少なくとも1つのオリフィスと
を備える、血栓を吸引し薬剤を送達するためのシステムであって、
前記供給ルーメンは、近位端、遠位端および壁を有し、前記吸引ルーメンは、近位端、開放遠位端および前記開放遠位端に隣接する内壁面を有し、
前記少なくとも1つのオリフィスは、前記吸引ルーメンの前記開放遠位端の近位に配置され、前記少なくとも1つのオリフィスは、加圧流体が前記供給ルーメンを通って圧送されるとスプレーパターンを生成するように構成され、前記吸引カテーテルの遠位端が水性環境に浸されると、前記スプレーパターンが前記吸引ルーメンの前記内壁面に衝突し、かつ前記内壁面に衝突する前記スプレーパターンが、前記吸引ルーメンの前記開放遠位端から出ることが可能な、少なくとも略遠位方向を向いた流れに変換されるようになっている、システム。
【請求項2】
前記遠位方向を向いた流れがジェットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スプレーパターンがジェットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スプレーパターンが少なくとも2つのジェットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのオリフィスが、第1のオリフィスと、第2のオリフィスとを含み、前記第1のオリフィスが、少なくとも2つのジェットのうちの第1のジェットを生成するように構成され、前記第2のオリフィスが、少なくとも2つのジェットのうちの第2のジェットを生成するように構成され、前記内壁面に衝突する前記第1のジェット、および前記第2のジェットのうちの少なくとも1つが、前記略遠位方向を向いた流れに変換されるようになっている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記吸引ルーメンの前記内壁面が、少なくとも部分的に、前記略遠位方向を向いた流れを生成するように構成された偏向エレメントを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記偏向エレメントが斜面を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記斜面が、前記吸引ルーメンの長手方向軸線に対して、前記内壁面の半径を変化させるようになっている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記偏向エレメントが、少なくとも部分的に、略近位方向を向いた要素を生成するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記偏向エレメントが、前記内壁面に衝突する前記スプレーパターンの概ね全てを、前記略遠位方向を向いた要素に変換するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのオリフィスが、前記吸引ルーメンの長手方向軸線に対して、前記スプレーパターンを斜めに向けるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのオリフィスが、前記吸引ルーメンの長手方向軸線に対して、少なくとも部分的に遠位方向に、前記スプレーパターンに角度を付けるように構成されている
、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記吸引ルーメンの前記内壁面が、少なくとも部分的に、前記略遠位方向を向いた流れを生成するように構成された偏向エレメントを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのオリフィスが、前記吸引ルーメンの長手方向軸線に対して、少なくとも部分的に近位方向に、前記スプレーパターンに角度を付けるように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記吸引ルーメンの前記内壁面が、少なくとも部分的に、前記略遠位方向を向いた流れを生成するように構成された偏向エレメントを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記供給ルーメンが、溶解剤、または造影剤のうちの少なくとも1つを輸送するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
近位端と遠位端とを有する吸引カテーテルを用意するステップであって、前記吸引カテーテルは、
近位端、遠位端および壁を有する供給ルーメンと、
近位端、開放遠位端および前記開放遠位端に隣接する内壁面を有する吸引ルーメンと、
前記供給ルーメンの前記遠位端にある、または前記遠位端に隣接する位置にある、前記吸引ルーメンと流体連通する、少なくとも1つのオリフィスと
を備え、前記少なくとも1つのオリフィスは、前記吸引ルーメンの前記開放遠位端の近位に配置され、前記少なくとも1つのオリフィスは、加圧流体が前記供給ルーメンを通って圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成される、吸引カテーテルを提供するステップと、
前記吸引ルーメンの前記開放遠位端が血栓に隣接するように、前記吸引カテーテルの前記遠位端を血管に挿入するステップと、
前記供給ルーメンを通して薬剤を注入するステップであって、前記薬剤の前記スプレーパターンが、前記少なくとも1つのオリフィスから概して第1の方向に流れて、前記吸引ルーメンの前記内壁面に当たり、これにより、前記薬剤の前記スプレーパターンが前記吸引ルーメンの前記内壁面に到達した後に、前記薬剤の前記スプレーパターンの大部分は、前記吸引ルーメンの開放端から遠位方向に、前記血栓に隣接する第2の方向に流れ、前記第2の方向は、前記第1の方向とは異なる、薬剤を注入するようになっている、ステップと
を含む、薬剤を送達するための方法。
【請求項18】
前記注入するステップが、前記吸引ルーメンに負圧が印加されるのを回避し、低減し、または排除する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
遠位端と壁とを有する供給ルーメン、及び開放遠位端と内壁面とを有する吸引ルーメンとを備える吸引カテーテル、並びに、前記供給ルーメンの前記遠位端に隣接し、前記吸引ルーメンの内部と流体連通するオリフィスであって、前記吸引ルーメンの前記開放遠位端の近位に配置される、オリフィスを用意するステップと、
前記吸引ルーメンの前記開放遠位端が血栓に隣接するように、前記吸引カテーテルの前記遠位端を血管に挿入するステップと、
X線画像、または透視画像を可視化しながら、前記供給ルーメンを通して造影剤を含む流体を注入するステップと、
前記血栓の境界を識別するステップと
を含む、血栓除去プロセスを可視化する方法。
【請求項20】
前記注入するステップが手による注入を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記手による注入がシリンジを使用する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記流体が溶解剤を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記流体が造影剤を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記吸引カテーテルを進入させるステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
供給ルーメンおよび吸引ルーメンを有する吸引カテーテルと、
前記供給ルーメンの遠位端に隣接する位置にあり、前記吸引ルーメンの内部と流体連通するオリフィスと、
近位端および遠位端を有するマンドレルと
を備える、血栓を吸引するためのシステムであって、
前記供給ルーメンは、遠位端および壁を有し、前記吸引ルーメンは、開放遠位端および内壁面を有し、
前記オリフィスは、前記吸引ルーメンの前記開放遠位端の近位に配置され、前記オリフィスは、加圧流体が前記供給ルーメンを通って圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成されており、
前記マンドレルの前記遠位端は、90度よりも大きい湾曲を含み、かつ前記吸引カテーテルの遠位端と係合するように構成された凹部を含み、前記オリフィスは、前記マンドレルに印加された牽引力によって、前記吸引カテーテルの長手方向軸線に対して横断方向に平行移動可能である、システム。
【請求項26】
供給ルーメンおよび吸引ルーメンを有する吸引カテーテルと、
前記供給ルーメンの遠位端に隣接する位置にあり、前記吸引ルーメンの内部と流体連通するオリフィスと、
近位端および遠位端を有する細長いワイヤと
を備える、血栓を吸引するためのシステムであって、
前記供給ルーメンは、遠位端および壁を有し、前記吸引ルーメンは、開放遠位端および内壁面を有し、
前記オリフィスは、前記吸引ルーメンの前記開放遠位端の近位に配置され、前記オリフィスは、加圧流体が前記供給ルーメンを通って圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成され、前記スプレーパターンは、前記吸引カテーテルの遠位端が水性環境に浸されると、前記吸引ルーメンの前記内壁面に衝突するようになっており、
前記細長いワイヤの前記遠位端は、拡張部を有し、前記細長いワイヤは、前記拡張部が血栓の少なくとも一部を破壊できるように回転可能に構成されている、システム。
【請求項27】
前記血栓の少なくとも一部が、前記血栓の線維性被膜を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
供給チャネルおよび吸引チャネルを有するプローブと、
前記供給チャネルの遠位端に隣接する位置にあり、前記吸引チャネルの内部と流体連通するオリフィスと、
超音波装置と
を備える、頭蓋内の血液または血栓を除去するためのシステムであって、
前記吸引チャネルは、遠位端および近位端を有し、前記供給チャネルは、遠位端および壁を有し、前記吸引チャネルは、その遠位端にまたは隣接部に設けられた開口と、内壁面とを有し、
前記オリフィスは、加圧流体が前記供給チャネルを通して圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成され、前記スプレーパターンは、前記吸引チャネルの前記内壁面に衝突するようになっており、
前記超音波装置は、前記吸引チャネルの前記開口にあるまたは前記開口に隣接しており、約1kHz~約20MHzの周波数で動作するように構成されている、システム。
【請求項29】
患者の頭蓋に形成された開口部を通してイントロデューサを配置するステップと、
前記イントロデューサを通して、トロカールを配置するステップと、
前記トロカールを通して、超音波装置を頭蓋内空間の治療箇所へ進入させるステップと、
前記超音波装置から、約1kHz~約20MHzの1つ以上の周波数で超音波エネルギーを送信するステップと、
供給チャネルおよび吸引チャネルを有するプローブを介して前記患者から血液または血栓を除去するステップであって、前記吸引チャネルは、遠位端および近位端を有し、前記供給チャネルは、遠位端および壁を有し、前記吸引チャネルは、その遠位端に、または隣接部に設けられた開口と、内壁面とを有し、オリフィスは、前記供給チャネルの前記遠位端に隣接し、かつ前記吸引チャネルの内部と流体連通し、前記オリフィスは、加圧流体が前記供給チャネルを通って圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成され、前記スプレーパターンが、前記吸引チャネルの前記内壁面に衝突し、前記血液または血栓が、前記吸引チャネルを通って除去される、ステップと
を含む、患者からの頭蓋内の血液または血栓を除去するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、医療装置およびその使用方法に関する。より詳細には、本発明は、吸引装置および血栓除去装置ならびにその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]血栓性物質の除去に役立つ幾つかの装置やシステムが既に存在する。これらの装置およびシステムには、真空シリンジを使用してそのシリンジに血栓を吸引する簡単な吸引チーブ型装置、簡単なフラッシング・吸引装置、機械的オーガを使用して、血栓性物質を引っ張り、軟化し、遠位先端から離れる方向に輸送するための回転構成要素を含むより複雑な装置、血栓を軟化した物質をフラッシングにより除去すべくベンチュリ効果を生成する非常に高い圧力を使用するシステム等がある。
【0003】
[0003]上述したすべての装置は、個々の設計特性の結果として制限を有する。例えば、簡単な吸引カテーテルは、簡単な使用および迅速な展開を提供するが、より古く、より組織化が進んだ血栓性物質に直面する場合、ブロックされ、さもなければ操作できなくなる可能性がある。そのような装置は、取り出され、体外で洗浄され、その後血管系に再び挿入されなければならず、それによって施術のために必要な時間が延び、カテーテルシャフトがねじれる可能性も増える。そのようなねじれによって、カテーテルの断面積を減少させることによって性能が低下し、または装置を使用不可能にする可能性がある。
【0004】
[0004]機械的回転装置は、血栓をつかみ、標的領域から離して運搬するためにオーガを使用する。真空瓶によって運搬力を生成する装置があれば、他方で、低圧ポンプとして機能するオーガによって、装置の遠位先端で差圧を生成する装置もある。これらの装置は、典型的には、ゆっくりと作動し、装置を病変の中に更に進めるべき時はいつなのかについてフィードバックを医師に全く提供しない。
【0005】
[0005]フラッシング型装置は、血栓性物質を破壊し、吸引するための装置の先端に生理
食塩水を流すことを提供するための、医師が手動駆動ポンプを操作する手動フラッシング型装置を含むが、それによって、施術中の全時間にわたって装置を一貫してポンプ動作させる医師の能力に基づく性能の変化を導入する可能性がある。フラッシング装置は、血栓を軟化させ、次いで高圧によって生成される渦流を使用して、乳化された血栓性物質を収集バッグに輸送する高圧フラッシング装置を更に含む。これらの装置は、すべてのレベルの血栓性物質を除去する点で効果的であるが、しかし、装置によって生成される圧力は非常に大きいので、特定の血管壁に対するその作用が、心筋刺激機構を妨害し、特定の患者の中で徐脈事象を生じさせ、時には使用前にペーシングリードが患者の体内に配置されることが必要になる場合がある。更に、カテーテルの外部の血栓性物質と相互作用することによって、遊離した物質が捕捉機構を逃れることを許容する可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の一実施形態において、血栓吸引と薬剤送達のためのシステムは、供給ルーメン、および吸引ルーメンであって、供給ルーメンは、近位端、遠位端、および壁を有し、吸引ルーメンは、近位端、開放遠位端、および開放遠位端に隣接する内壁面を有する、供給ルーメン、および吸引ルーメンと、供給ルーメンの遠位端にある、または遠位端に隣接し、吸引ルーメンと流体連通する、少なくとも1つのオリフィスとを含む、吸引カテーテルを備え、少なくとも1つのオリフィスは、吸引ルーメンの開放遠位端の近位に配置され、少なくとも1つのオリフィスは、加圧流体が供給ルーメンを通って圧送されるとスプレーパターンを生成するように構成され、その結果、吸引カテーテルの遠位端が水性環境に浸されると、スプレーパターンが吸引ルーメンの内壁面に衝突し、かつ内壁面に衝突しているスプレーパターンが、吸引ルーメンの開放遠位端から出ることが可能な、少なくとも略遠位方向を向いた流れに変換される。
【0007】
[0007]本開示の別の実施形態において、薬剤送達のための方法は、近位端と遠位端とを有する、吸引カテーテルを提供するステップであって、吸引カテーテルは、近位端、遠位端、および壁を有する供給ルーメンと、近位端、開放遠位端、および開放遠位端に隣接する内壁面を有する吸引ルーメンと、供給ルーメンの遠位端にある、または遠位端に隣接し、吸引ルーメンと流体連通する、少なくとも1つのオリフィスとを備え、少なくとも1つのオリフィスは、吸引ルーメンの開放遠位端の近位に配置され、少なくとも1つのオリフィスは、加圧流体が供給ルーメンを通って圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成される、吸引カテーテルを提供するステップと、吸引ルーメンの開放遠位端が血栓に隣接するように、吸引カテーテルの遠位端を血管に挿入するステップと、供給ルーメンを通して薬剤を注入するステップであって、その結果、薬剤のスプレーパターンが、少なくとも1つのオリフィスから概して第1の方向に流れて、吸引ルーメンの内壁面に当たり、これにより、薬剤のスプレーパターンが吸引ルーメンの内壁面に到達した後に、薬剤のスプレーパターンの大部分は、吸引ルーメンの開放端から遠位方向に、血栓に隣接する第2の方向に流れ、第2の方向は、第1の方向とは異なる、薬剤を注入するステップとを含む。
【0008】
[0008]本開示の更に別の実施形態において、血栓除去プロセスを可視化する方法は、供給ルーメン、および吸引ルーメンであって、供給ルーメンは、遠位端、および壁を有し、吸引ルーメンは、開放遠位端、および内壁面を有する、供給ルーメン、および吸引ルーメンと、供給ルーメンの遠位端に隣接し、吸引ルーメンの内部と流体連通するオリフィスであって、オリフィスは、吸引ルーメンの開放遠位端の近位に配置される、オリフィスとを備える、吸引カテーテルを提供するステップと、吸引ルーメンの開放遠位端が血栓に隣接するように、吸引カテーテルの遠位端を血管に挿入するステップと、X線画像、または透視画像を可視化しながら、供給ルーメンを通して造影剤を含む流体を注入するステップと、血栓の境界を識別するステップとを含む。
【0009】
[0009]本開示の更に別の実施形態において、血栓吸引のためのシステムは、供給ルーメン、および吸引ルーメンを有する吸引カテーテルであって、供給ルーメンは、遠位端、および壁を有し、吸引ルーメンは、開放遠位端、および内壁面を有する、吸引カテーテルと、
供給ルーメンの遠位端に隣接し、吸引ルーメンの内部と流体連通するオリフィスであって、オリフィスは、吸引ルーメンの開放遠位端の近位に配置され、オリフィスは、加圧流体が供給ルーメンを通って圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成される、オリフィスと、近位端、および遠位端を有する、マンドレルであって、遠位端は、90度よりも大きい湾曲を含み、かつ吸引カテーテルの遠位端と係合するように構成された凹部を含み、オリフィスは、マンドレルに印加された牽引力によって、吸引カテーテルの長手方向軸線に対して横断方向に平行移動可能な、マンドレルとを備える。
【0010】
[0010]本開示の更に別の実施形態において、血栓吸引のためのシステムは、供給ルーメン、および吸引ルーメンを有する、吸引カテーテルであって、供給ルーメンは、遠位端、および壁を有し、吸引ルーメンは、開放遠位端、および内壁面を有する、吸引カテーテルと、供給ルーメンの遠位端に隣接し、吸引ルーメンの内部と流体連通する、オリフィスであって、オリフィスは、吸引ルーメンの開放遠位端の近位に配置され、オリフィスは、加圧流体が供給ルーメンを通って圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成され、その結果、スプレーパターンは、吸引カテーテルの遠位端が水性環境に浸されると、吸引ルーメンの内壁面に衝突する、オリフィスと、近位端、および遠位端を有する、細長いワイヤであって、遠位端は、拡張部を有し、細長いワイヤは、拡張部が血栓の少なくとも一部を破壊できるように回転可能に構成される、細長いワイヤとを備える。
【0011】
[0011]本開示の更に別の実施形態において、頭蓋内の血液、または血栓除去のためのシステムは、供給チャネル、および吸引チャネルを有する、プローブであって、吸引チャネルは、遠位端、および近位端を有し、供給チャネルは、遠位端、および壁を有し、吸引チャネルは、その遠位端に、または隣接部に開口、および内壁面を有する、プローブと、供給チャネルの遠位端に隣接し、吸引チャネルの内部と流体連通する、オリフィスであって、オリフィスは、加圧流体が供給チャネルを通して圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成され、その結果、スプレーパターンは、吸引チャネルの内壁面に衝突する、オリフィスと、吸引チャネルの開口にある、または開口に隣接し、約1kHz~約20MHzの周波数で動作するように構成される、超音波装置とを備える。
【0012】
[0012]本開示の更に別の実施形態において、患者からの頭蓋内の血液、または血栓除去のための方法は、患者の頭蓋に形成された開口部を通してイントロデューサを配置するステップと、イントロデューサを通して、トロカールを配置するステップと、トロカールを通して、超音波装置を頭蓋内空間の治療箇所へ進入させるステップと、超音波装置から、約1kHz~約20MHzの1つ以上の周波数で超音波エネルギーを送信するステップと、供給チャネル、および吸引チャネルを備えるプローブを介して患者から血液、または血栓を除去するステップであって、吸引チャネルは、遠位端、および近位端を有し、供給チャネルは、遠位端、および壁を有し、吸引チャネルは、その遠位端に、または隣接部に開口、および内壁面を有し、オリフィスは、供給チャネルの遠位端に隣接し、かつ吸引チャネルの内部と流体連通し、オリフィスは、加圧流体が供給チャネルを通って圧送されると、スプレーパターンを生成するように構成され、その結果、スプレーパターンは、吸引チャネルの内壁面に衝突し、血液または血栓が、吸引チャネルを通って除去される、プローブを介して患者から血液、または血栓を除去するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示における実施形態による、血栓を吸引するためのシステムの概略図である。
【
図2】
図1の血栓を吸引するためのシステムの近位部分をより詳細に示す概略図である。
【
図3】
図1の血栓を吸引するためのシステムの遠位端部分の概略図である。
【
図4】本開示における実施形態による、血栓を吸引するためのシステムの使い捨て構成要素の平面図である。
【
図9】
図4の血栓を吸引するためのシステムの吸引カテーテルの遠位端の平面図である。
【
図10】血管内部で観察される、線10-10を通って取られた
図9の断面図である。
【
図12】本開示における実施形態による、ポンプ基部の立面斜視図である。
【
図13】血栓を吸引するためのシステムのピストンが、ピストンポンプのサドルに結合されていることを示す図である。
【
図14】
図9の吸引カテーテルの遠位先端の断面図である。
【
図15】ポンプ基部に結合するためのカセットを示す図である。
【
図18】ピストンポンプの圧力対時間の関係のグラフである。
【
図19】本開示における実施形態による、ピストンポンプのピストンおよびカセットの立面図である。
【
図20】ピストンポンプの圧力対時間の関係のグラフである。
【
図21】本開示における実施形態による、血栓を吸引するためのシステムの使い捨て構成要素の平面図である。
【
図22】
図21の血栓を吸引するためのシステムのカテーテルの詳細図である。
【
図23】
図21の血栓を吸引するためのシステムのチューブセットの詳細図である。
【
図24】本開示における実施形態による、生理食塩水ポンプ駆動ユニットの分解図である。
【
図25】
図24の生理食塩水ポンプユニットの使い捨てのピストンポンプヘッドの分解図である。
【
図26】本開示における実施形態による、血管内部の血栓を吸引するためのシステムの吸引カテーテルの断面図である。
【
図27】薬品を標的部位まで輸送する、血管内部のカテーテルの断面図である。
【
図28】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの斜視図である。
【
図29】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの斜視図である。
【
図30】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの斜視図である。
【
図31】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの斜視図である。
【
図32】吸引ルーメンに大きい負圧が印加された、
図28の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図33】吸引ルーメンに大きい負圧が印加された、
図29の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図34】吸引ルーメンに大きい負圧が印加された、
図30の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図35】吸引ルーメンに大きい負圧が印加された、
図31の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図36】吸引ルーメンにほとんど、または全く負圧が印加されていない、
図28の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図37】吸引ルーメンにほとんど、または全く負圧が印加されていない、
図29の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図38】吸引ルーメンにほとんど、または全く負圧が印加されていない、
図30の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図39】吸引ルーメンにほとんど、または全く負圧が印加されていない、
図31の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図40】吸引ルーメンに特定の負圧が印加された、
図28の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図41】吸引ルーメンに特定の負圧が印加された、
図30の吸引カテーテルの斜視図である。
【
図42】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの斜視図である。
【
図43】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの斜視図である。
【
図44A】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの端面図である。
【
図44B】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの長手方向断面図である。
【
図45A】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの端面図である。
【
図45B】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの長手方向断面図である。
【
図46A】本開示における実施形態による、第1の状態の吸引カテーテルの長手方向断面図である。
【
図46B】本開示における実施形態による、第2の状態の、
図46Aの吸引カテーテルの長手方向断面図である。
【
図47】本開示における実施形態による、吸引カテーテルのスプレーパターンの断面図である。
【
図48】本開示における実施形態による、吸引カテーテルのスプレーパターンの断面図である。
【
図49】本開示における実施形態による、吸引カテーテルのスプレーパターンの部分破断図である。
【
図50】本開示における実施形態による、吸引カテーテルのスプレーパターンの部分破断図である。
【
図51】本開示における実施形態による、吸引カテーテルのスプレーパターンの部分破断図である。
【
図52】本開示における実施形態による、吸引カテーテルのスプレーパターンの断面図である。
【
図53】本開示における実施形態による、吸引カテーテルで治療される血栓/血液凝固の断面図である。
【
図54】本開示における実施形態による、吸引カテーテルで治療される血栓/血液凝固の別の断面図である。
【
図55】本開示における実施形態による、吸引カテーテルで治療される血栓/血液凝固の更に別の断面図である。
【
図56】本開示における実施形態による、吸引カテーテル、および湾曲したマンドレル器具を含む、吸引システムの断面図である。
【
図57】偏向された状態の、
図56の吸引システムの断面図である。
【
図58】本開示における実施形態による、吸引システムの立面図である。
【
図59A】本開示における実施形態による、吸引カテーテル、および回転ワイヤを含む、吸引システムの断面図である。
【
図59B】
図59Aの実施形態の回転ワイヤを回転させる、回転装置の立面図である。
【
図60】患者の頭蓋に開けた窓、開口部、または穴を通して、頭蓋内血栓、または頭蓋内血腫を除去するシステムの断面図である。
【
図61】本開示における実施形態による、複数の流体源を有するシステムの立面図である。
【
図62】本開示における実施形態による、吸引システムの立面図である。
【
図63】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの長手方向断面図である。
【
図64】本開示における実施形態による、吸引カテーテルの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0079]以下に定義される用語について、異なる定義が本明細書の中の特許請求の範囲またはその他の箇所の中で与えられない限り、これらの定義が適用されるはずである。
【0015】
[0080]本明細書では、明確に示されるか否かに関わらず、すべての数字の値が「約」という用語によって修正され得ると想定されたい。「約」という用語は、当業者の1人が列挙された値と等価である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と考える数字の範囲に概ね言及する。多くの例では、「約」という用語は、最も近くの意義ある数字の概数である数字を含むことができる。
【0016】
[0081]端点による数字の範囲の列挙は、その範囲内のすべての数字を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
【0017】
[0082]本明細書および添付の特許請求の範囲の中で使用される時、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容がそうではないと明確に述べない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲の中で使用される時、「または(or)」という用語は、内容がそうではないと明確に述べない限り、「および/または(and/or)」を含む意味で一般に使用される。
【0018】
[0083]以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面の中では、異なる図面の中の類似の構成要素は、同じ符号が付されている。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を図示し、本発明の範囲を制限するように意図されない。
【0019】
[0084]
図1は、補助吸引システム10を示す概略図である。吸引システム10は、流体ポンプ26および操作者制御インターフェース6を含む遠隔ハンドピース12を含む。1つの考察される実施形態では、システム10は、単回使用使い捨てユニットである。吸引システム10は、流体灌注ルーメン2(または高圧注入ルーメン)および吸引ルーメン4を含み、吸引システム10によって実施される施術の間に、ハンドピース12の再配置を必要とせずに、カテーテル16の独立した操作を可能にする延長チューブ14を更に含むことができる。延長チューブ14は、蓄圧器としても作動することができる。高圧流体が、変位ポンプ、ポンプ26の各ストローク毎のパルスを備えることができるポンプ26から流れ、各正弦波の山と谷との間に明確な変化を含む正弦波圧力マップを生成する。延長チューブ14は、ポンプ26に一致することができて、各ポンプパルスと共に調和して膨張および収縮して、ポンプパルスによって引き起こされる圧力の変化を低減して、カテーテル16の先端で円滑な、またはより円滑な流体流を生成することができる。適切なコンプライアンス特性を含む任意のチューブが、使用され得る。延長チューブ14は、ポンプ26に恒久的に取り付けられることが可能であり、またはコネクタ44によってポンプ26に取り付けられることが可能である。コネクタ44は、好適には、延長チューブ14をポンプ26に不正確に取り付けることができないことを保証するように構成される。
【0020】
[0085]インターフェースコネクタ18は、延長チューブ14とカテーテル16とを一体に接合する。考察される一実施形態では、インターフェースコネクタ18は、延長チューブ14の高圧流体注入ルーメン2とカテーテル16の高圧注入ルーメン36との間にフィルタ組立体8を含むことができる(
図3)。カテーテル16および延長チューブ14は、インターフェースコネクタ18によって恒久的に接合され得る。別法として、インターフェースコネクタ18は、選択されたカテーテル16を延長チューブ14に取り付けることができるように、標準的接続部を含むことができる。
【0021】
[0086]ハンドピース12には、流体源20および真空源22が取り付けられる。標準的病院の生理食塩水バッグが、流体源20として使用されることができ、そのようなバッグは、医師が容易に利用可能であり、施術を実施するための必要な容積を提供する。真空ボトルは、真空源22を提供することができ、あるいは真空源22はシリンジ、真空ポンプまたは他の適切な真空源によって提供され得る。
【0022】
[0087]考察される一実施形態では、カテーテル16は、より硬い近位端からより可撓性がある遠位端までの範囲に及ぶ可変の剛性を含む。カテーテル16の剛性の変化は、2つの隣接するチューブ部品間の径方向の接合が全くない、単一のチューブによって達成され得る。例えば、カテーテル16のシャフトは、シャフトの撓みをもたらすために、らせん形に切断されるチューブの長さを含む単一の長さの金属チューブから作製され得る。可変の剛性は、金属チューブの異なる長さにわたってらせん形切断のピッチを変えることによって生成され得る。例えば、らせん形切断のピッチは、より大きい撓みをもたらすために、装置の遠位端でより大きくすることができる(その場合、らせん形切断の折返しがより緊密に一体になる)。逆に、近位端でらせん形切断は、増加した剛性を提供するために、より低減させることができる(その場合、らせん形切断の折返しがより遠くに離れている)。いくつかの実施形態では、単一のジャケットが、金属チューブの長さを覆うことができて、真空気密カテーテルシャフトを提供する。カテーテル16の他の特徴は、以下に
図3を参照して説明される。
【0023】
[0088]
図2は、ハンドピース12および補助カテーテル吸引システム10の近位部分をより詳細に示す概略図である。ハンドピース12は、電力および制御システムが配置される制御ボックス24を含む。ポンプ26は、いくつかの実施形態では、一定出力を含むモータ駆動変位ポンプであることができる。カテーテル体積に関するポンプ変位は、吸引ルーメン38内部のカテーテル高圧ルーメン36のオリフィス42(出口)の配置と共に(
図3)、実質的にすべての加圧流体が吸引ルーメンによって排出されるので、生理食塩水ポンプから患者へ伝達されるエネルギーが全くないことを保証する。プライムボタン28が、機械的にプライム弁30に結合される。使用のために装置を用意する場合、空気塞栓形成の可能性を低減するために、加圧流体システムからすべての空気を排気することが有効である。プライムボタン28を押し込むことによって、ユーザは、ポンプ26を経て流体源20を真空源22に結合する。これによって、流体(例えば、0.9%のNaCl溶液、または「生理食塩水」、または「通常の生理食塩水」または「ヘパリン添加生理食塩水」)をポンプシステム全体を通って強制的に引っ張り、すべての空気を除去し、安全な作動のためにシステムを確実にプライム(事前の液充填)しておく。圧力/真空弁32が、流体圧力システムによって同時に、真空をオンとオフに切り替えるために使用される。1つの考えられる弁32が、逃がし穴式一方向弁である。そのような弁は、2つのプライムシステムの作動を機械的および自動的に結合することによって、不正開封防止安全形態として働くので、手動弁システムまたは電子弁システムに関してそのような弁が有効である。圧力/真空弁32を含むことによって、流体システムを更に駆動させずに真空をオンに切り替える可能性がなくなる。
【0024】
[0089]操作者制御インターフェース6は、電力系統48(電池または電線など)によって電力を供給され、1つまたは複数のスイッチ52および1つまたは複数の表示ランプ54の使用によって、ユーザによって操作され得る電子制御盤50を備えることができる。制御盤50は、圧力超過検出、気泡検出および真空装填を含む、複数の装置安全性機能を更に監視し、制御する。圧力センサ64は、圧力(すなわち、注入圧力)を監視し、気泡の存在を感知する。別法として、または組み合わせて、光学装置66が、気泡を感知するために使用され得る。考察される一実施形態では、ポンプ圧力が、その圧力を生成するために必要な電流に比例する。その結果、ポンプ26によって必要とされる電流が事前設定された制限を超過する場合、制御盤50が、ポンプ26への電力を切断することによって
ポンプ26を動作不能にするであろう。気泡検出もやはり、任意の特定の瞬間でポンプ26を駆動するために必要な電流を監視することによって監視され得る。変位ポンプ26が高い流体圧力に到達するために、ポンプ26または接続システム(カテーテル16および延長チューブ14を含む)の中に存在する空気(高圧縮が可能である)がほとんどない、または全くないはずである。液量は、十分小さいので、システム内の任意の空気によって、ポンプヘッドで圧力が全く生成されない結果をもたらすであろう。制御盤は、空気がシステムに入ったことを示す可能性がある任意の急な下方への変化についてポンプ電流を監視する。低下の速度が事前設定された制限よりも速い場合、制御盤50は、問題が修正されるまで、ポンプ26への電力を切断することによって、ポンプ26を動作不能にする。同様に、組織的血栓または繊維血栓の侵入に起因する可能性がある高圧ルーメン36(
図3)内の閉塞、または固体塞栓が、ポンプ26を走る電流を監視することによって感知され得る。通常の使用では、ポンプ26の電流変動は相対的に大きい。例えば、ポンプ26は、通常の作動中に、電流が200ミリアンペアまたはそれを超える変化が存在するように構成され得るので、その結果、電流変動が200ミリアンペア未満に低下する場合、空気が確認され、システムがシャットダウンする。別法として、例えば50ミリアンペアから75ミリアンペアの範囲の電流変動が、システム内にある空気を確認するために使用され得る。加えて、電流の上昇または電流変動が、高圧ルーメン36内部の凝血塊または血栓の存在を示す可能性がある。例えば、600ミリアンペアを超える電流は、血栓が、高圧ルーメン36または吸引ルーメン38までも部分的または完全に閉塞することを示す可能性がある(
図3)。
【0025】
[0090]真空源22に結合された真空ライン56は、圧力センサ58に結合され得る。真空源22の真空が低い(すなわち、圧力絶対値が低下した)場合、または真空ライン56内に漏れが検出される場合、問題が修正されるまで制御盤50はポンプ26を動作不能にする。圧力センサ58は、真空が存在しない場合、ポンプ26が作動することができないようにする安全回路60の部分であることもまた可能である。したがって、安全回路60、圧力センサ64および/または光学装置66、ならびに圧力センサ58を含む包括的安全システム62は、システムが作動するためにポンプ圧力および真空圧力の両方を必要とする。問題が存在する場合(例えば、容認できない低いポンプ圧力、または有効な真空の欠如)、制御盤50は、すべての問題が修正されるまでユーザが吸引システム10を作動することができないようにするであろう。これは空気が患者の体内に注入されることを防ぎ、吸引システム10が不正確なパラメータで作動されないことを保証するであろう。別法として、直接結合(例えば、電気的、光学的)の代わりに、圧力センサ58は、ポンプ26の作動を遠隔制御するために、制御盤50、あるいは制御盤50に結合される、または制御盤50と通信する任意の他の構成要素(例えば、アンテナ)に無線信号を送信するように構成され得る。ポンプが滅菌野の内部または滅菌野の外部のいずれにあるにしても、遠隔制御は可能である。
【0026】
[0091]
図3は、補助カテーテル吸引システム10の遠位端部分68の概略図であり、カテーテル16をより詳細に示す。いくつかの実施形態では、カテーテル16は、単一操作者交換カテーテルであり、装置の遠位端に取り付けられた短いガイドワイヤルーメン34を含む。ガイドワイヤルーメン34は、長さ約1cmと約30cmとの間、または長さ約5cmと25cmとの間、または長さ約5cmと20cmとの間、または長さ約13.5cmであることができる。他の実施形態では、全長のガイドワイヤルーメン(カテーテル16の長さに延在する)が使用され得る。例えば、末梢動脈を含む、末梢血管上で使用されるべく寸法成形されるカテーテル16は、全長ガイドワイヤルーメンを組み込むことができる。いくつかの実施形態では、吸引自体が、ガイドワイヤルーメンとして機能することもできる。吸引ルーメン38は、真空(例えば、真空源22から)が血栓性物質を吸引ルーメン38の中に吸い込むことを可能にする遠位開口40を含む。高圧ルーメン36は、設定された量で遠位開口40の近位に設けられる遠位オリフィス42を含む。例えば、
遠位オリフィス42は、約0.508mm(0.020インチ)、または約0.508±mm0.076mm(0.020インチ±0.003インチ)、または別の所望の量で遠位開口40の近位に設けられ得る。オリフィス42は、例えば血栓性物質の有効粘性を低くすることによって、真空源22まで運搬するために、血栓性物質を柔らかくし、および/または薄めるために、吸引ルーメンを横切って噴霧するように構成される。流体オリフィス42の軸線方向の配置は、対向するルーメン壁と相互作用するスプレーパターンがスプレーミストを生成し、血栓性物質を遠位開口40から強制的に外へ出す可能性がある渦流パターンを生成しないことが好適である。少なくとも、カテーテル16の遠位端が、血管を含む身体ルーメンなどの水性環境内部にある場合、スプレーパターンは存在することができる。水性環境は、例えば、約35.0℃と約40.0℃との間、または約36.0℃と約38.0℃との間など、体温であることができる。灌注流体が約3.447メガパスカル(500ポンド毎平方インチ)と約10.342メガパスカル(1500ポンド毎平方インチ)との間の圧力でポンプを出るように、システムは構成され得る。いくつかの実施形態では、高圧ルーメン36に沿ったヘッド圧力損失後、灌注流体が、約4.137メガパスカル(600ポンド毎平方インチ)と約8.274メガパスカル(1200ポンド毎平方インチ)との間、または約4.816メガパスカル(650ポンド毎平方インチ)と約5.861メガパスカル(850ポンド毎平方インチ)との間でオリフィス42を出る。
【0027】
[0092]
図4は、本発明の実施形態による、血栓を吸引するためのシステム100を図示する。
図4に示される血栓を吸引するためのシステム100は、真空源22、流体源20(
図1および
図2)、圧力モニタ(図示せず)およびポンプ基部200(
図12)に取り付けるように構成される、チューブセット103および吸引カテーテル118を備える使い捨て構成要素101を表示する。血栓を吸引するためのシステム100は、ガイドワイヤと共に使用されるように更に構成される。チューブセット103の構成要素から開始して、スパイク102(
図5により詳細に示される)が、生理食塩水バッグなどの流体源20に結合されるように構成されている。生理食塩水バッグは、約1000mlまたは約500mlに等しい生理食塩水の体積を含むことができる。生理食塩水は通常のものでよく、ヘパリン処置されることができ、または1つまたは複数の治療薬を含むことができる。他の液体も、通常の生理食塩水又は生理食塩水混合物に代えて用いられてもよく、この他の液体は乳酸リンゲル液7高張食塩水(血液生成物を含む溶液さえも)を含むものである。生理食塩水又は他の液体は、室温であることができ、あるいは加温または冷却され得る(例えば、永続的に又は一時的に活性度を上げるために又は下げるために)。例えば、ルアーコネクタなど、コネクタ104(
図7により詳細に示される)は、真空源22に結合するように構成される。真空源22は、20mlと500mlとの間の体積を含む真空ボトルであることができる。その代わりとして、真空源22は60mlのシリンジであることができ、そのプランジャはコネクタ104に結合する後、引っ込められる。これは係止可能なプランジャであることができ、排出されたプランジャ位置を維持するために係止される。いくつかの場合、真空源22は、20mlシリンジまたは30mlシリンジであることができる。係止可能なプランジャを含む例示的なシリンジは、米国ユタ州South JordanのMerit Medical Systems,Inc.によって販売されるVacLok(登録商標)シリンジである。真空源22は、収集容器を含むか、または含まない真空ポンプであることも可能である。真空を測定することができる圧力変換器106(正圧を測定するように構成されるが、しかし負圧を測定することができる正圧センサを含む)が、y-コネクタ110を経て真空ライン108に結合される。圧力変換器106から信号が、ケーブル112(
図7)に沿って進み、ケーブル112はまた、圧力変換器106に電圧を供給する。コネクタ114(
図6にも図示される)が、ケーブル112を圧力モニタまたはポンプ基部200に結合する。カセット116は、液体注入物(生理食塩水など)の加圧注入を可能にするためのポンプ基部200(
図12)に取り付け可能な使い捨て構成要素である。カセット116は、
図6に関連してより詳細に説明さ
れる。遠位端120を含む吸引カテーテル118が、
図8により詳細に示される。
【0028】
[0093]
図5を参照すると、スパイク102が延長チューブ122に連通する。液体注入物が、ピストンポンプで下流に吸い出され、ピストンポンプはより多くの液体注入物を(例えば生理食塩水バッグから)逆止弁126を通り、かつ供給チューブ130を通って引っ張る。注入ポート128は、他の材料をシステムの中に注入するため、あるいは空気を除去し、またはシステムをプライムしておくために使用され得る。スパイク102は、除去可能なスパイクカバー124によって収納され得る。
【0029】
[0094]
図6の中で分かるように、カセット116が、供給チューブ130から液体注入物を引っ張り、(ポンプ基部200と共に)注入チューブ152を加圧する。カセット116の更なる詳細が、全体のピストンポンプの説明と共に説明されることになる。
図7は、真空を測定するための圧力変換器106の更なる詳細を示す。圧力変換器106は、y-コネクタ110にルアー取付け具154によって結合する。注入チューブ152および真空ライン108が、カテーテルシャフト142のルーメンに連通する。例えば、注入チューブ152は、例えばポリイミドまたはスレンレス鋼または高強度の薄い壁を含むニチノールチューブなどの供給チューブ168(
図9~
図11)に流体連通され得る。この遠位供給チューブ168は、カテーテルシャフト142の内部にあることができ、間の環状部が吸引ルーメン160を形成する(
図9~
図11)。ストレインリリーフ156が、カテーテルシャフト142がねじれることおよび他の損傷から保護する。ルアー取付け具154が(任意の接続部で)使用される任意の場合、追加のO-リングを含む特注のルアーによって、接続部が上昇した圧力に耐えることができるように使用され得る。いくつかの実施形態では、特注のコネクタが、高圧耐性を向上させるために利用され得る。いくつかの実施形態では、6.89メガパスカル(1200ポンド毎平方インチ)またはそれを超える圧力が、漏れなしに、またはカテーテルの分離を引き起こさずに達成され得る。
【0030】
[0095]
図8を参照すると、吸引カテーテル118が、単一操作者交換カテーテルとして図示され、吸引カテーテル118の一方の端部上の遠位端120に取り付けられるガイドワイヤチューブ132を含む。ガイドワイヤチューブ132は、長さ約1cmと30cmとの間、または長さ約5cmと25cmとの間、または長さ約5cmと20cmとの間、または長さ約13.5cmであることができる。ガイドワイヤチューブ132は、遠位端136および近位端138、ならびに2つの端部136と138との間を通過する単一のガイドワイヤルーメン134を含む。ガイドワイヤルーメン134は、0.014インチのガイドワイヤ径、0.018インチのガイドワイヤ径、または他のいくつかのガイドワイヤ径に適合するように構成され得る。0.014インチのガイドワイヤに適合するために、ルーメン内径は、約0.406mm(0.016インチ)であることができる。ガイドワイヤチューブ132は、ナイロン、ポリエチレン、PEBAX(登録商標)、ポリエステル、PETを含む複数の材料から構成されることができ、あるいは複合材料または共押出材料から構成され得る。例えば、内層は、高い滑性のために、高密度ポリエステルまたはFEP、PTFE、ETFE、あるいは他の材料を備えることができ、外層は、機械的強度および可撓性の組合せのために、PEBAX、ナイロンまたは他の材料を含むことができる。内層と外層との間に、例えば直線状低密度ポリエステルなど、タイ層が使用され得る。カテーテル118は、ポリマージャケット146で覆われた内側支持構造144を含む複合材カテーテルシャフト142を含むことができる。内側支持構造144は、例えば、平坦なステンレス鋼または丸形ワイヤで作製された管状組紐、または1つまたは複数のらせん状コイルであることができる。内側支持構造144は、例えば304ステンレス鋼またはニッケル-チタニウムから作製される、らせん状に切断された皮下管留置であることも可能である。らせん状に切断された皮下管留置は、近位端で剛性を増加させるために約4ミリメートル~6ミリメートル、または約5ミリメートルのピッチを含み、内側支持構造144の遠位端150で、約0.75~1mm、または約0.87mmのピッチ
に移行することができる。これら2つの異なるピッチ断面の間には、例えば、約2mmと約5mmとの間のピッチを含む断面、および約1mmと約2.5mmとの間のピッチを含む別の断面という中間ピッチ断面であることができる。内側支持構造144は移行領域148で終了することができ、その結果、ポリマージャケット146だけが、吸引カテーテル118の遠位端136まで延在できる。カテーテル先端部分140は、
図9~
図11に関連してより詳細に説明される。
【0031】
[0096]
図9~
図11は、血栓を吸引するための吸引ルーメン160の開放遠位端158を示す。スカイブ162は、ポリマージャケット146の中に形成されて、真空源22によって生成される真空を組み合わせることによって、(矢印180の方向に)吸引ルーメン160の中に吸引される血栓164が入ることを補助する。スカイブ162は、更に、開放遠位端158が血管壁166に対して吸い込まれる機会を最小にする。遠位供給チューブ168が、閉鎖遠位端170を含み、例えば、その閉鎖遠位端170は、製造中に接着剤、エポキシ、ホットメルト接着剤または干渉部材を使用して塞がれること可能である。別法として、遠位供給チューブ168は、その部分を溶融することによって塞がれることが可能である。遠位供給チューブ168は、その長さに延在するルーメン176、および閉鎖遠位端170に隣接する位置で、かつ近位にその壁174を通って形成されるオリフィス172を含む。オリフィス172は、約0.0508mm(0.002インチ)と約0.1016mm(0.004インチ)との間、または約0.0787mm(0.0031インチ)の直径を含むことができる。遠位供給チューブ168の内径は、約0.3048mm(0.012インチ)と約0.4826mm(0.019インチ)との間、または約0.3556mm(0.014インチ)と約0.4318mm(0.017インチ)との間、または約0.3937mm(0.0155インチ)であることができる。遠位供給チューブ168のルーメン176は、延長チューブ122、供給チューブ130、カセット116の内部および注入チューブ152を含む流体源20から発出する全体的流路の延長部分である。いくつかの実施形態では、遠位供給チューブ168のルーメン176は、例えば、近位部分で約0.3937mm(0.0155インチ)の内径から、遠位部分で約0.2974mm(0.011インチ)の内径まで、先細にすることができる。いくつかの実施形態では、先細部分の均等物は、異なる直径のチューブを互いに接着することによって達成され、ステップダウンされるチューブ内径をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、直径を先細にすること、およびステップダウンの組合せのために、先細にされた異なる直径のチューブが互いに接着されることが可能である。ピストンポンプと併せて説明されるように、約4.137メガパスカル(600ポンド毎平方インチ)から約5.516メガパスカル(800ポンド毎平方インチ)までのポンプ出力圧力波によって、液体注入物が、遠位供給チューブ168を含む流路を通って流れ(矢印182)、流体ジェット178が高速でオリフィス172を出る。流体ジェット178は、吸引ルーメン160を通る流れが存在しない場合(例えば、真空が存在しない場合)、オリフィス172に直接隣接する吸引ルーメン160の内壁181上に衝突するであろう。存在する真空の量に依存して、流体ジェットは図示のように曲がる可能性がある。流体ジェット178は、吸引ルーメン160に入る血栓164を柔らかくする働きがあり、それを薄める。液体注入物(例えば、生理食塩水)の流量および真空の量は、近位の吸引ルーメン160を通って流れる生理食塩水および血液の混合物の体積の約50%から約70%が血液であるように制御される。または体積の約60%が血液である。このように柔らかくし、薄めることによって、吸引ルーメン160を通る連続的な流れが存在することを保証し、その結果、吸引ルーメン160は閉塞することがないであろう。流体ジェット178は、吸引ルーメン160の内部に含まれるように構成され、血管または他の身体ルーメンの中に出ることがない。
【0032】
[0097]オリフィス172の軸線方向中心は、
図11の中の距離Dによって図示されるように、開放遠位端158の最も近位の部分より、約0.3302mm(0.013インチ
)から約0.8382mm(0.033インチ)、または0.4064mm(0.016インチ)から約0.6604mm(0.026)近位にある。
図14は、オリフィス172の軸線方向中心で、カテーテル先端部分140の断面図である。オリフィス172は、吸引ルーメン160の垂直正中線184に概ね沿って配向され、または±aの範囲内に配向され、その場合、角度aは約20°である。角度aは、約1°と約45°との間、または約20°と約35°との間で異なる実施形態の中で変化することができる。ガイドワイヤチューブ132は、接着剤、エポキシ、ホットメルトまたは他の材料等、取付け材料186によってポリマージャケット146に固定され得る。ガイドワイヤチューブ132は、可撓性を最大にするために、その全体の長さに沿って、またはその長さに沿った別個の位置で固定され得る。遠位供給チューブ168は、接着剤、エポキシ、ホットメルトまたは他の材料等、取付け材料188によって吸引ルーメン160の内部に固定され得る。ポリマージャケット146は、PEBAX、ナイロンまたはポリウレタンを含む複数の異なる材料を備えることができる。いくつかの実施形態では、ポリマージャケットは、組立体の壁厚を最小にするために、遠位供給チューブ162および/またはガイドワイヤチューブ132に部分的に溶融接合されることができる。
【0033】
[0098]
図12は血栓を吸引するためのシステム100のカセット116に結合するためのポンプ基部200を図示する。筐体202が、IVポールクランプ204に取り付けられ、制御回路、および組み合わされたポンプ基部200およびカセット116を備えるピストンポンプシステム300(
図13)を作動するためのモータを含む。ポンプ基部200内部のモータおよびカムの作動によって、サドル206が、窓208の内部で周期的に駆動されて(上下に)、カセット116内部でピストン210を移動させる(
図13)。カセット116のペグ212が、ポンプ基部200の中の空洞216の中に挿入される。付勢されたスナップ214が、ポンプ基部200の中の1つまたは複数の溝218の中に係止する。空洞216または溝218のいずれかが、カセット116の存在を感知する1つまたは複数のスイッチを含むことができる。例えば、特定の型向けカセットは、第1の数(または組合せ)のペグ212または付勢されたスナップ214を含むことができるが、しかし別の特定の型は、異なる数(または組合せ)のペグ212または付勢されたスナップ214を含むことができ、そしてそれがシステムによって認識される。エラストマーフレーム222の平坦面224が、カセット116の縁部220に係合し、保護を向上させる。上方空間226が供給チューブ130に係合し、または緊密に一致するように構成され、下方空間228が、注入チューブ152に係合し、または緊密に一致するように構成される。サドル206は、ピストン210上の円柱形係合面238の上方にスナップ留めする半円柱形空洞236を有する。サドルは、ピストン210の第1の当接部244および第2の当接部246に軸線方向にそれぞれ係合する、上方縁部240および下方縁部242を更に含む。ポンプ基部200上のユーザインターフェース230は、1つまたは複数のボタン232および1つまたは複数の表示器234を含み、それによって、ユーザはシステム100を作動し、評価することができる。例えば、ボタンは、吸い出しを開始する開始ボタン、吸い出しを停止する停止ボタン、流体注入物でシステムをプライムし空気を除去するためのプライムボタン、または一時停止ボタンを含むことができる。他のデータ入力キーもまた、可能である。カセット116は、1つまたは複数のインターフェース構成要素248を含むことができる。例えば、カセット116がポンプ基部200に取り付けられる場合、接点247、249を経てポンプ基部200が抵抗器の値を測定することができる抵抗器である。これによって、ポンプ基部は、システム100の特定の型を作動するために適切なパラメータを決定することができる。例えば、第1の抵抗を含む第1の抵抗器が、第1の型によって使用可能であり、かつ第2の抵抗を含む第2の抵抗器が、別の型によって使用可能である。別法として、インターフェース構成要素248は、読取りRFIDチップまたは読取り/書込みRFIDチップなど、RFIDチップを組み込むことができる。これによって、特定のデータ(ポンプ作動圧力、モータ出力のRPMなど)が、ポンプ基部200の内部または接続されたハードウェアに記録され、各患者につ
いて識別されることが可能になる。
【0034】
[0099]
図15および
図16は、ほとんどのその内部構成要素が見えるカセット116を図示する。
図16は、カセット116の断面図である。カセット116は、カセット116の内部に延在する円柱形空洞である、内部供給シリンダ252および内部注入シリンダ254を備える。ピストン210は、供給側シャフト256および注入側シャフト258を含み、供給側シャフト256は供給シリンダ252と封止可能に連結するためのO-リング266を含み、注入側シャフト258は注入シリンダ254と封止可能に連結するためのO-リング268を含む。各O-リング266、268は、各シャフト部分256、258の周りの円柱形溝290、292の内部にある。ピストン210が第1の方向276に移動する場合、内部ボール弁272(
図16)は、注入物(生理食塩水)がピストン210の供給側シャフト256の中の内部導管274を通って流れることを停止するが、しかし、ピストン210が第2の方向278に移動する場合、内部ボール弁272は、注入物が内部導管274を通り、かつ注入側シャフト258の中の内部導管282を通って流れることを可能にする。ボール弁272は、供給側シャフト256内部の中の球形環状凹部284と注入側シャフト258内の通過導管を含む凹部286との間に軸線方向に保持される。供給側シャフト256および注入側シャフト258は、ねじ式結合部288によって一体に保持され得る。ピストン210が第1の方向276に移動する場合、ピストン210の注入側シャフト258およびO-リング268が、注入物を強制的に注入チューブ152を通過させる。注入チューブ152の上方に、保護チューブ280が示されている。
図15では、注入側シャフト258が、注入パルスの底部に示されている。注入物は、40~50ミクロンのフィルタであることができ、厚み約0.762mm(0.030インチ)を含む直列フィルタ262を通ってフィルタ処理される。直列フィルタ262は、微粒子を注入物の中に入れないように構成される。注入物が吸引カテーテル118を通って、血管の中に入らずに循環される場合でも、直列フィルタ262によって提供されるフィルタ処理は、追加の安全工程である。しかし、この工程は、微粒子が小さいオリフィス172を閉鎖しないことを保証する(
図11)。ピストン210が第2の方向278に移動する場合、ピストン210の供給側シャフト256およびO-リング266が、供給シリンダ252内部で一体に封止可能に移動するが、しかし、ボール弁272は、注入物がピストン210の内部導管274、282を通過し、注入シリンダ254を充填することを可能にする。注入物は、供給チューブ130からO-リング264および逆止弁250を備える逆止弁組立体270を通って入ることができる。逆止弁250は、注入物が供給チューブ130からカセット116の内部に入ることを可能にするが、しかし、カセット116から供給チューブ130へ移動することはできないようにする。逆止弁250は、少なくとも部分的に低粘性に起因して、空気が逆止弁250を移動させる(開く)ことができず、それによって空気がシステムを通って進むことができないように構成され得る。いくつかの実施形態では、ピストン210は、逆止弁が圧入または接着される穴を含む単一部品(モノリシック)設計であることができる。この組立体に適合する逆止弁は、米国、コネチカット州、WestbrookのLee Companyによって供給され得る。
【0035】
[0100]周期毎に注入される注入物の体積は、約0.02ml~約41ml、または約0.04ml~約2.0ml、または約0.06ml~約0.08ml、または約0.07mlの範囲であることができる。注入シリンダ254の使用可能な体積(容積)(注入され得る体積)は、注入シリンダ254の十分な充填を保証するために、供給シリンダ252の使用可能な体積(供給シリンダ252から充填され得る体積)未満であるように構成され得る。例えば、注入シリンダ254の使用可能な体積は、約0.05ml~約0.12mlであることができ、供給シリンダ252の使用可能な体積は、約0.07ml~約0.16mlであることができる。約1.15と約2.00との間、または約1.25と約1.85との間、または約1.40の使用可能な体積比率RUが考察され、その場合、
RU=VSCU/VICU
であり、VSCU=供給シリンダ252の使用可能な体積、およびVICU=注入シリンダ254の使用可能な体積である。
【0036】
[0101]約5ml/分と約100ml/分との間の平均流量。冠動脈用途で使用するためのいくつかの実施形態では、20ml/分が所望され得る。末梢用途で使用するためのいくつかの実施形態では、50ml/分が所望され得る。
【0037】
[0102]
図18は、ピストンポンプの圧力(P)対時間(T)の曲線602のグラフ600を図示する。曲線602の山604および谷606が、ピストンおよびピストンポンプのシリンダの設計、特に使用可能な体積比率R
Uに依存する可能性がある。
図19に目を向けると、ピストン608が、圧縮されたO-リング601で測定された第1の直径D
1、および圧縮されたO-リング603で測定された第2の直径D
2を含むように図示されている(カセット609のシリンダ605および607の内部に配置される場合)。したがって、シリンダ605、607の直径は、直径D
1およびD
2としても画定される。直径D
1、D
2、およびシリンダ605、607の長さが、使用可能な体積比率R
Uが前述のように最適化されるように調節される場合、
図20に図示される曲線610が生成され得る。曲線610は、より小さく画定される山614および谷616を含み、したがってより小さい変化の流れ振幅、およびより安定した注入を生成する。
【0038】
[0103]
図17の中のポンプ基部200の部分的分解図は、サドルステージ310に取り付けられたサドル206の直線状駆動(上下)について、内部機構を図示する。モータ302は、回路基板304によって制御され、ユーザインターフェース230(
図12)によって作動され、ユーザインターフェース230の表示器234はLED306によって点灯される。モータ302はカム316を回転させ、カム316は通路330を含む。サドルステージ310は、その裏面から延在するピン318を含む。ピン318は、サドルステージ310内部の定位置に圧入され、接着され、またはねじ留めされることができる。サドルステージ310は、穴326、328を通って2つのスライド312、314にねじによって固定されて、カム316の回転運動によって、ピン318がカム316の通路330に沿って追跡し、それによって、スライド312、314に取り付けられたサドルステージ310が周期的運動で上方および下方へ摺動する。カムの形状が、運動の加速および減速の量を決定する。上方柱322および下方柱324は、サドルステージ310のガイドおよび/または停止部として役立つ。真空を測定するための圧力変換器106のコネクタ114が、ソケット308の中にプラグ挿入されることができ(
図12に示すように)、圧力関連の信号が、回路基板304によって処理され得る。全体的なポンプ基部200は、再利用可能である。
【0039】
[0104]カム316の内側輪郭直径は、ピストン210のストロークの長さおよび拍動性の量(すなわち、高圧と低圧との間の差)を制御するために、寸法成形され、および/または形成され得る。いくつかの場合、ストロークの長さを減少させることによって、拍動性の量を減少させる。冠動脈用途などの心臓内部の用途では、拍動性の量を減少させることによって、徐脈の頻度を低減することができる。より低いストロークの長さを補償するために、かつ十分な全体的流量を維持するために、カムの回転速度(すなわち、毎分回転数)が、例えば、印加電圧を調整することまたは増加された印加電圧のいずれか一方によって、モータ出力速度を上昇させることによって、上昇され得る。
【0040】
[0105]血栓を吸引するためのシステム800の別の実施形態が、
図21に図示される。血栓を吸引するためのシステム800は、3つの主な構成要素、すなわち
図12のポンプ基部200、吸引カテーテル818およびチューブセット803を含む。吸引カテーテル818およびチューブセット803は、使い捨て構成要素801を表わし、ポンプ基部2
00は再利用可能な構成要素である。ポンプ基部200は、使用中に非殺菌分野または非殺菌領域内に保たれるので、ポンプ基部200を殺菌する必要はない。吸引カテーテル818およびチューブセット803は、エチレンオキシドガス、電子ビーム、ガンマ線または他の殺菌方法によって殺菌後に、それぞれ殺菌状態で供給されることができる。吸引カテーテル818は、パッケージにされ、チューブセット803から分離して供給されることが可能であり、または吸引カテーテル818およびチューブセット803が一体にパッケージにされ、一体に供給されることが可能である。別法として、吸引カテーテル818およびチューブセットは、別個にパッケージにされるが、しかし一体に提供される(すなわち、まとめられる)。
図21および
図22に示されるように、吸引カテーテル818およびチューブセット803は、
図4の吸引カテーテル118およびチューブセット103と同様の機能の多くを共有するが、しかし、より容易に互いから分離することが可能であり、追加の施術上の適合性を可能にするように構成される。吸引カテーテル818は、遠位先端836を含むガイドワイヤチューブ832を備える遠位端820、およびy-コネクタ810を備える近位端819を含む。吸引カテーテル818のカテーテルシャフト842は、保護的なストレインリリーフ856を経てy-コネクタ810に結合される。他の実施形態では、カテーテルシャフト842は、ルアー取付け具によってy-コネクタ810に取り付けられ得る。y-コネクタ810は、カテーテル供給ルーメン(
図4、
図8~
図11のカテーテル118のように)と連通する第1の雌型ルアー851、およびカテーテル吸引ルーメン(
図4、
図8~
図11のカテーテル118のように)と連通する第2の雌型ルアー855を備えることができる。
【0041】
[0106]
図23に目を向けると、チューブセット803がより詳細に示されている。流体源20(
図1)に結合するためのスパイク802によって、流体が、延長チューブ822および逆止弁826を通って、供給チューブ830の中に入ることを可能にする。前述の実施形態に関連して説明されるように、任意選択の注入ポート828が、材料の注入または空気の除去を可能にする。カセット816は、ポンプ基部200と併せて使用され、
図15および
図16の中のカセット116に対して構造および機能において同様である。流体が、カセット816から注入チューブ852の中に吸い出される。雄型ルアー854が、y-コネクタ810の雌型ルアー851に取り付けるように構成される。
【0042】
[0107]
図21に戻ると、プランジャ867を有するシリンジ849を含む真空源22をカテーテル818に加えるように意図される付属品857が図示されている。シリンジ849は、シリンジ849のルアー865を経てシリンジ延長チューブ859に取り付けられる。停止コック847が、真空を維持するために使用されることができ、またはプランジャ867が様々な係止プランジャであることができる。シリンジ延長チューブ859のルアー861が、圧力変換器806に結合され、圧力変換器806は、真空ライン808のコネクタ804(例えば、雌型ルアー)に結合するための雄型ルアー863を含む。真空ライン808の端部で雄型ルアー853は、吸引カテーテル818のy-コネクタ810の雌型ルアー855に着脱自在に固定され得る。圧力変換器806からの信号が、ケーブル812を通ってコネクタ814に伝えられる。コネクタ814は、ポンプ基部200のソケット308(
図12)の中にプラグ挿入される。関連圧力の信号が、ポンプ基部200の回路基板304によって処理され得る。圧力変換器806は、ケーブル812を経てポンプ基部200からの電力であることができる。付属品857は、ユーザに殺菌状態で供給されることができる。
【0043】
[0108]使用中、ポンプ基部200は殺菌分野の外側にある。ポンプ基部200の作動が圧力の存在または欠如によって制御され得るので、殺菌分野内で作業するユーザは、非殺菌ポンプ基部200を触れずにポンプをオンまたはオフに切り替えることができる。例えば、ポンプは、システム上に真空を配置することによって始動され得る(例えば、シリンジ849のプランジャ867を引っ張ること)。次いで、ポンプは、システム上の真空を
除去すること(シリンジ849のプランジャ867を係止から外し、解除することを可能にし、または停止コック847を開くこと)によって停止され得る。シリンジ849、またはシリンジ849および停止コック847の組合せが、ポンプ基部200の殺菌オン/オフボタンとして機能することができる。別法として、吸引カテーテル818は、ポンプ基部200なしに最初に使用されることができ、吸引だけが吸引ルーメンに適用される。特定の場合、吸引ルーメンが閉塞されるならば、吸引カテーテル818の遠位端820が、血栓から後へ引くことができ、ポンプ基部200およびチューブセット803が吸引カテーテル818に結合されることができて、次いで、吸入を増加させるために、強制的な生理食塩水の注入によって作動し、吸入ルーメンを清浄にすることができる。これによって、吸引ルーメンを閉塞している任意の血栓が、不注意にも患者の血管の中に輸送されないようにすることに更に役立つ。
【0044】
[0109]
図24および
図25は、完全に使い捨てのポンプヘッド500を含む生理食塩水ポンプ駆動ユニット400を図示する。生理食塩水ポンプ駆動ユニット400は、本明細書で説明されるカテーテル16、118、または流体注入を備える吸引システムの他の実施形態と共に使用可能であるように構成される。
図24では、底部ケース402およびラベル406を含む頂部ケース404が、ねじ408によって一体に固定される。電池パック410および電子制御モジュール412が、底部ケース402および頂部ケース404の内部に収納される。電池カバー416が、電池パック410を定位置に保持する。いくつかの実施形態では、電池パック410は、18ボルトのDC電圧を供給することができるが、しかし、他の電圧を利用するシステムは可能である。ユーザインターフェース414は、生理食塩水ポンプ駆動ユニットの作動を可能にする。真空ボトルが真空源22として組み込まれる場合、真空ボトルスリーブ418が使用され得る。スパイク420が、流体源20に連通可能であり、流体注入物が、流体源20から延長チューブ422を通って使い捨てピストンポンプヘッド500まで通過する。生理食塩水は、前述の実施形態に関連して本明細書で説明される自動的プライム(「自立プライム」)システムによってシステム全体をプライムしておくことができ、またはシステムの残りの部分の上方に配置される(例えば、IVポール上)生理食塩水バッグからの重力によってプライムされることができる。システムの最も低い部分上の弁が、全体的システムをプライムしておくために開放され得る。
【0045】
[0110]
図25に図示されるように、使い捨てピストンポンプヘッド500は、生理食塩水ポンプ駆動ユニット400の電池パック410によって電力を供給されるモータ502のモータシャフト504に結合するように構成される。モータプレート506および使い捨てピストンポンプヘッド500の本体508は、ねじ510によって互いに固定され、使い捨てピストンポンプヘッド500の内部構成要素を保持する。第1のフォロアプレート512および第2のフォロアプレート514が、ねじ516および第1のフォロアプレート512から延在するボス518によって一体に維持される。第1のフォロアプレート512および第2のフォロアプレート514が、回転可能にカム520を保持する。カムは非対称的であることができ(図示のように)、または別法として、対称的であることができる。非対称は、ポンプ内の騒音量を制御するために組み込まれることができ、輪郭形状が、圧力波の形状およびポンプの機能の形状をカスタマイズすることに役立つ。第1のブッシング522および第2のブッシング524が、第1のピン526および第2のピン528上に回転可能に保持される。ピン526、528は、各フォロアプレート512およびフォロアプレート514の中の円柱形空洞530、532の中に挿入される。
【0046】
[0111]使用中、ユーザがモータプレート506をモータシャフト504に接近させることによって、使い捨てピストンポンプヘッド500を生理食塩水ポンプ駆動ユニット400のモータ502に取り付けて、その結果、カム520内のd字形穴534がd字形モータシャフト504の上方に押し付けることができる。別法として、d字形は他の非円形形
状であることができ、限定しないが、楕円、長円、または矩形を含む。作動中、モータ502はモータシャフト504を回転させ、今度はモータシャフトがカム520を回転させる。カム520が回転して、ブッシング522、524が、第1のフォロアプレート512および第2のフォロアプレート514を第1の方向536および第2の方向538に前後に押すように強制される。サドル544が第2のフォロアプレート514上で支持され、ピストン210が、他の実施形態によって本明細書で説明されるのと同じ方法でサドル544に結合され得る。本体508の中の供給シリンダ552および注入シリンダ554は、システム100のカセット116の供給シリンダ252および注入シリンダ254に類似する。カセット116のピストン210は、使い捨てピストンポンプヘッド500の中で使用され得る。
図25の中でピストン210に関連する符号付の構成要素は、
図15および
図16の中のピストン210に関連して説明される構成要素と同様である。カム520の外径は、ピストン210のストロークの長さおよび拍動性の量(すなわち、高圧と低圧との間の差)を制御するために、寸法成形され、および/または形成され得る。いくつかの場合、ストロークの長さを減少させることによって、拍動性の量を減少させる。冠動脈用途などの心臓内部の用途では、拍動性の量を減少させることによって、徐脈の頻度を低減することができる。より減少したストローク長を補償するために、かつ十分な全体的流量を維持するために、カムの回転速度(すなわち、毎分回転数)が、例えば、印加電圧を調整すること、または増加された印加電圧のいずれか一方によって、モータ出力速度を上昇させることによって、上昇され得る。真空スパイク546が、例えば真空ボトルスリーブ418の内部に保持される真空ボトルなど、真空源22に結合するために使用される。ばね542の付勢に対して駆動される真空切替え弁540が、ポンプの駆動を可能にするために使用され得る。例えば、有効な真空が達成される場合に発生する、真空切替え弁540の動作に相当する信号を真空切替え弁540が送信する場合、自動的にモータ502の作動を始動させるように、電子制御モジュール412が構成され得る。この制御は、圧力変換器106などの真空圧力変換器からの制御の代わりに、またはその追加とすることができる。したがって、真空のオンへの切替えが、モータ502を同時にオンへ切り替えるために使用されることができ、その結果、単一の入力が生理食塩水ポンプ駆動ユニット400の作動を開始する。加えて、最小の注入物圧力が追加的圧力変換器によって測定される場合、真空源22が、電子制御モジュール412によって制御され得る(例えば、ソレノイドを開くまたは閉じることによって)。例えば、約0.62メガパスカル(90ポンド毎平方インチ)またはそれを超える圧力が測定される場合、真空は作動され、またはシステムに連通され得る。生理食塩水ポンプ駆動ユニット400の有効な点は、ユーザが単一の構成要素をモータ502のシャフト504に組み立てることだけを必要とするという点である。
【0047】
[0112]前述のように、生理食塩水(または他の)注入物の能動的流れが、吸引のために加えられる同時に発生する真空がなければ実現できないように、本発明の任意の実施形態によるシステムは構成され得る。更に、そのような吸引が、生理食塩水(または他の)注入物の流れがなければ実現できないように、システムは構成され得る。本発明の任意の実施形態によるシステムが、ポンプを駆動する電流(例えば、モータ302、502を駆動する電流)が監視されるように構成されることができ、または任意の代替の監視方法によって、例えば、注入システム内の空気、または任意のカテーテルルーメンまたは延長チューブ内の閉塞、またはシステム内部の漏れなど、状態の中で変化が発生する場合、血管またはカテーテルの中への空気の注入、またはシステムの損傷などの事故を回避するために、システムはシャットダウンするように構成され得る。
【0048】
[0113]
図26は、血管165の内部に挿入された吸引カテーテル700を図示する。吸引カテーテル700は、吸引カテーテル700の遠位端704に固定されるガイドワイヤルーメン702を含み、吸引カテーテル700がガイドワイヤ706の上方で追跡されることを可能にする。供給ルーメン708は、吸引ルーメン710の内部に固定される。供
給ルーメン708は、先細のチューブ712を通って延在する。いくつかの実施形態では、先細のチューブ712はポリイミドから作製され得る。いくつかの実施形態では、先細のチューブ712は、その近位端からその遠位端まで先細になる管腔内径を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、管腔内径は、約0.3937mm(0.0155インチ)から約0.2794mm(0.011インチ)まで先細にすることができる。供給ルーメン708は、吸引ルーメン710に略平行に延在するが、しかし、先細のチューブ712の遠位端714は吸引ルーメン710の内壁面716に向かって湾曲し、それによって、供給ルーメン708の開放端部718がスプレーパターン720を塗布するためのオリフィスとして機能する。供給ルーメン708の開放端部718は、約0.203mm(0.008インチ)未満である内径を含むことによって、ジェットまたはスプレー効果を更に促進することができる。いくつかの実施形態では、供給ルーメン708の開放端部718は、約0.076mm(0.003インチ)と約0.102mm(0.004インチ)との間である内径を含むことができる。開放端部718の中心のオリフィスは、いくつかの実施形態では、
図26の中の距離Dによって図示されるように、吸引ルーメン710の開放遠位端722の最も近位の部分724より、約0.3302mm(0.013インチ)から約0.4826mm(0.019インチ)近位にあることができる。吸引ルーメン710の開放遠位端722の最も遠位の部分726は、図示される実施形態では、最も近位の部分724のわずかに遠位にあり、したがって、角度のあるスカイブを含むが、しかしスカイブ角度A
sは重大ではない。スプレーパターン720によって図示されるように、高速で出るジェット(例えば、生理食塩水)流によって突き当てられるように、吸引ルーメン710の開放遠位端722の中に血栓の大部分が引っ張られることを可能にするために、約75°と約89°との間、または約80°と約85°の間のスカイブ角度A
sが使用され得る。
【0049】
[0114]
図27は、血管165内部の標的部位732まで薬品730を輸送するために利用される、
図26のカテーテル700を図示する。標的部位732は、アテローム性動脈硬化病変728および/または血栓734を含む可能性がある。
図26のような血栓の吸引が、吸引ルーメン710上に真空を能動的に加える(例えば、真空源から)ことを含むのに対して、
図27に図示される薬品輸送は、同じカテーテル700を利用しているが、血管の中に輸送されるべき薬品730の精密で正確な体積流量の測定を可能にする。このことは、極めてより少ない真空が吸引ルーメン710に加えられること、または吸引ルーメンに真空が全く加えられないことによって達成される。小さく、制御された体積における正確な測定によって、典型的には高価な薬品の効率的使用を提供し、浪費される薬品を最小にする。加えて、供給ルーメン708の比較的小さな直径のために、供給ルーメン708の比較的小さな体積、すなわちデッドスペースによって、薬品730が注入された時、極めて小さな少量の不注意による注入さえも起こし得ないことを確保する。
【0050】
[0115]いくつかの実施形態では、薬品730は、体温で輸送され得る。他の実施形態では、薬品730は、薬品の活性および効果を向上させるために、暖められ、上昇した温度で輸送され得る。このことは、例えば、より少ない体積の薬品によって、より効果的な投与量を得るために行われることができる。他の実施形態では、薬品730は、冷却され、低下した温度(すなわち、体温に関連して)で輸送され得る。薬品730は、活性レベルを制御するため、または薬品の活性を遅らせるために(例えば、カテーテル700によって到達できない箇所で、下流で活性化するように)冷却され得る。いくつかの場合、薬品730は、治療される組織上に連結的な治療上の冷却効果を加えるために冷却され得る。いくつかの場合、治療上の冷却効果は、冷却された生理食塩水または他の水性の非薬品媒体だけから達成され得る。
【0051】
[0116]輸送され得るいくつかの薬品730には、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)、組み換えまたは遺伝子改変組織プラスミノーゲン活性化
因子、テネクテプラーゼ(TNK)、ウロキナーゼ、スタフィロキナーゼおよびレテプラーゼなど、血栓溶解剤(血栓破壊薬品)が含まれる。別法として、幹細胞または幹細胞を含む「カクテル」が、輸送され得る。いくつかの場合、糖タンパク質阻害薬(GPI’s)が、吸引カテーテル700の供給ルーメン708を通って注入され得る。生理食塩水または他の水溶液が、標的部位732で血液の選択的希釈のためだけに輸送され得る。いくつかの用途では、例えば、圧力または温度が変更される場合、相変化を示すことができる溶液が使用され得る。これらの用途では、例えば、供給ルーメン708の開放端部718で、小さいオリフィスから出る場合に、気体になる液体が注入され得る。別法として、供給ルーメン708の開放端部718など、小さいオリフィスを通るように強制される場合に、液体になる気体が注入され得る。薬品730または他の材料がカテーテル700を通って血管内に注入される任意の用途では、薬品730または他の材料の注入が、吸引施術の前、吸引施術中、吸引施術後または吸引施術の代わりに、なされ得る。
図21~
図22の吸引カテーテル818に戻ると、吸引施術中に、薬品を供給ルーメンの下流へ、血管内に輸送することが所望される場合、吸引カテーテル818の雌型ルアー851からチューブセット803の雄型ルアー854を分離することによって、チューブセット803が、吸引カテーテル818から取り外されることができ、薬品が、例えば、シリンジによって、またはシリンジ/シリンジポンプ組合せを含む測定システムによって、雌型ルアー851で供給ルーメンの中に直接注入され得る。吸引カテーテル818の雌型ルアー855から真空源を更に取り外すことによって、次に吸引ルーメンが排水口として役立つ場合、その結果、患者の中に(例えば、血管内に)輸送される流体が、制御された速度に維持される。供給ルーメンの体積は、相対的に非常に小さいので、供給ルーメンを充填し、したがって、吸引カテーテル818の遠位先端に到達するためには小さい体積の薬品だけが必要である。このことによって、施術の最後で、浪費され、または廃棄される必要がある薬品が非常に少量であるので、非常に費用効果の高い施術を可能にする。
【0052】
[0117]本明細書で説明される実施形態では、殺菌流路が、流体源20からカテーテル16の遠位開口40/カテーテル118の開放遠位端158まですべてにわたって延在して設けられる。
図4から
図17のシステム100、
図21~
図23のシステム800の両方の実施形態、および
図24~
図25の実施形態の中で、使い捨てカテーテルおよび使い捨てポンプセットが、殺菌して供給され、非殺菌(再利用可能な)ポンプ基部200またはポンプモータ502に結合されるように構成される。これらの組合せによって、より高価な構成要素が再利用可能であり、さほど高価ではない構成要素が再利用可能であること(および殺菌を最大にされる)ことを可能にし、それによって費用抑制および患者安全性を同時に最大にする。次に
図61を参照すると、吸引カテーテル1502を含むシステム1500は、第1の流体源1504と、第2の流体源1506とを備える。第1のスパイク1510と、第2のスパイク1512とを有するチューブセット1508は、第1の流体源1504の第1のインターフェース1514、および第2の流体源1506の第2のインターフェース1516と結合するように構成される。チューブセット1508は、第1の流体源1504、および第2の流体源1506から流体を受けて、吸引カテーテル1502の供給ルーメン1520を通過させるための、Y型フィッティング1518を更に備える。第1のクランプ1522は、第1の流体源1504からの供給を開始したり停止したりするのに使用され、第2のクランプ1524は、第2の流体源1506からの供給を開始したり停止したりするのに使用されてもよい。第1の状態では、第1のクランプ1522が開いて第2のクランプ1524が閉じているので、第1の流体源1504からくる流体のみが、吸引カテーテル1502の供給ルーメン1520に流れる。第2の状態では、第1のクランプ1522が閉じて第2のクランプ1524が開いているので、第2の流体源1506からくる流体のみが、吸引カテーテル1502の供給ルーメン1520に流れる。第3の状態では、第1のクランプ1522が開く、または部分的に開いて、第2のクランプ1524が開く、または部分的に開いているので、第1の流体源1504からくる流体と、第2の流体源1506からくる流体とが、吸引カテーテル1502の供給ルー
メン1520に流れる。場合によっては、第1の流体源1504の温度は、第2の流体源1506とは異なっていてもよい。別の事例では、第1の流体源1504は、第2の流体源1506とは異なる種類の流体を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、第1の流体源1504、および第2の流体源1506に結合するために、Pinnacle High Flow Y-adapter set(B/Braun、米国、ペンシルベニア州ベスレヘム)が使用されてもよい。
【0053】
[0118]
図28は、吸引ルーメン902と、供給ルーメン904(高圧ルーメン)を有する供給チューブ903とを含む、シャフト901を備える、吸引カテーテル900を示す。供給チューブ903は、接着剤、エポキシ樹脂、機械的固定、あるいは熱接着または熱粘着などによって、シャフト901の内壁906に固定される。供給ルーメン904は、加圧流体912を輸送するように構成され、加圧流体912は、生理食塩水、溶解(血栓溶解)剤、造影剤、その他の薬剤を含んでもよい。使用時に、加圧流体912はスプレーパターン914になって、供給ルーメン904の遠位端910に隣接するオリフィス908から出て、吸引ルーメン902の内壁面916に衝突する。1つ以上の薬剤は、非希釈であってもよく、あるいは(生理食塩水などで)希釈されてもよい。内壁面916に当たるジェットスプレー衝撃911は、
図32、
図36、および
図40で更に詳しく述べるように、遠位要素、および/または近位要素を形成し得る。遠位要素、または近位要素は、供給ルーメン904内にある加圧流体912の特定レベルの正圧、あるいはオリフィス908の特定の形状、あるいは吸引ルーメン902にかかる特定レベルの負圧、あるいは内壁面916の特定の形状などの個別の要因によって、またはこれらを任意に組み合わせることによって、部分的に、または全体的に、略遠位方向に向けられる、または略近位方向に向けられてもよい。供給ルーメン904に加圧したり、これを拍動させたりできるように、供給ルーメン904の近位端に、ポンプ、シリンジその他の加圧源が接続されてもよい。いくつかの実施形態では、供給ルーメン904に流体912を供給して加圧するために、ポンプ基部200(
図12)が使用されてもよい。供給チューブ903は、供給ルーメン904の端部をブロックするプラグ918を備え、これにより加圧流体912が、オリフィス908を通って吸引ルーメン902の中に押し出され、プラグ918は十分な圧力を加えるように作用して、加圧流体912は内壁面916に当たる。
【0054】
[0119]スプレーパターン914は、オリフィス908によって、内壁面916に向かって、吸引カテーテル900の長手方向軸線917と関連して直角(すなわち角度90度で)914aに向けられ、かつ/または遠位方向を向いた斜角914bで、もしくは近位方向を向いた斜角914cで、内壁面916に衝突し得る。スプレーパターン914は、これら914a、914b、914cの要素のうちの2つ、または3つを含んでもよい。
【0055】
[0120]吸引カテーテル915の代替的な実施形態が
図29に示されており、吸引ルーメン922と、供給ルーメン924(高圧ルーメン)を含む供給チューブ923とを有する、シャフト921を備える。供給チューブ923は、シャフト921の内壁926に固定される。供給ルーメン924は、加圧流体912を輸送するように構成され、加圧流体912は、生理食塩水、溶解(血栓溶解)剤、造影剤、その他の薬剤を含んでもよい。1つ以上の薬剤は、非希釈であってもよく、あるいは(生理食塩水などで)希釈されてもよい。加圧流体912はスプレーパターン919になって、供給ルーメン924の遠位端920に隣接するオリフィス928から出て、吸引ルーメン922の内壁面909に衝突する。内壁面909は、付加的なエレメント929(例えば、偏向エレメント)を備え、これは、スプレーパターン919の少なくとも一部を、近位方向、または遠位方向のいずれかに偏向させるように構成される。偏向エレメント929は、順方向斜面927と、逆方向斜面925とを有し、これらは区画線931で収束する。順方向斜面927は、スプレーパターン919の少なくとも一部を遠位方向に偏向させるように構成され、逆方向斜面925は、スプレーパターン919の少なくとも一部を近位方向に偏向させるように構成さ
れる。内壁面909に当たるジェットスプレー衝撃は、
図33、および
図37で更に詳しく述べるように、遠位要素、および/または近位要素を含み得る。他の実施形態では、内壁面909は、単に内壁面926自体の一部が変形したものであってもよい。この変形が偏向エレメント929の代わりになり、偏向エレメント929として作用し得る。変形は、吸引カテーテル900の遠位端907を角形成する、または形成することであってもよく、これにより内壁926が、例えば、1つ以上の斜面を有する、または角度付けされた、すなわち曲線のある表面を有するようになる。
【0056】
[0121]遠位要素、または近位要素は、供給ルーメン924内にある加圧流体912の特定レベルの正圧、あるいはオリフィス928の特定の形状、あるいは吸引ルーメン922にかかる特定レベルの負圧、あるいは内壁面909の特定の形状などの個別の要因によって、またはこれらを任意に組み合わせることによって、部分的に、または全体的に、略遠位方向に向けられる、または略近位方向に向けられてもよい。供給ルーメン924に加圧したり、これを拍動させたりできるように、供給ルーメン924の近位端に、ポンプ、シリンジその他の加圧源が結合されてもよい。供給チューブ923は、供給ルーメン924の遠位端920をブロックするプラグ932を備え、これにより加圧流体912がオリフィス928を通って吸引ルーメン922の中に押し出され、プラグ932は十分な圧力を加えるように作用して、加圧流体912は、斜面925、927を有する内壁面909に当たる。いくつかの実施形態では、順方向斜面927に当たるスプレーパターン919の一部は、遠位方向に偏向される。いくつかの実施形態では、逆方向斜面925に当たるスプレーパターン919の一部は、近位方向に偏向される。いくつかの実施形態では、(例えば、真空源によって)吸引ルーメン922に印加される特定量の負圧によって、各斜面925、927に衝突するスプレーパターン919の量が制御される。
【0057】
[0122]
図29の吸引カテーテル915において、エレメント929の斜面925、927は、区画線931から直線的に延び、吸引ルーメンの有効内径は、斜面925、927に沿った長手方向位置との関連で、直線的に変化する。これとは対照的に、
図30は、区画線933を挟んで延びる、非直線的な(例えば、曲線のある)斜面942、944を有する、吸引カテーテル934を示す。吸引カテーテル934は、吸引ルーメン936と、供給ルーメン938(高圧ルーメン)を有する供給チューブ937とを含む、シャフト935を備える。吸引カテーテル934は、斜面942、944のある偏向エレメント940を更に備え、斜面942、944はそれぞれ凹状の輪郭946、948を有し、その結果、吸引ルーメンの有効内径は、斜面942、944に沿った長手方向位置との関連で、非直線的に変化する。いくつかの実施形態において、偏向エレメント940は、幅が狭くて、かつ/またはジェットを含む、(オリフィス949から出た)スプレーパターン947を導く、かつ/または偏向させるように構成されてもよい。他の実施形態において、
図29の吸引カテーテル915の偏向エレメント929は、幅が広い、あるいは大きく広がっている、または拡散しているスプレーパターン919を導く、かつ/または偏向させるように構成されてもよい。
【0058】
[0123]
図31は、吸引ルーメン952と、供給ルーメン954(高圧ルーメン)を有する供給チューブ953とを含む、シャフト951を備える、吸引カテーテル950を示す。吸引カテーテル950は、遠位方向を向いた単一の斜面958を有する、偏向エレメント956を更に備え、斜面958は、オリフィス962から出たスプレーパターン960の少なくとも一部を略遠位方向に偏向させるように構成される。
【0059】
[0124]
図32は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図28の吸引カテーテル900を示す。
図32は、血栓966を実質的に吸引するように構成された、第1の動作モードの吸引カテーテル900を示す。スプレーパターン914によってベンチュリ効果が生成され、スプ
レーパターン914はジェットを含み得る。したがって吸引ルーメン902の遠位開口968で吸引力が生成され、血栓966が吸引ルーメン902の中に吸引される。また、吸引ルーメン902の近位端で、(例えば、シリンジ、真空室、または真空ポンプなどの真空源によって)吸引圧(負圧)が印加されてもよく、これにより吸引ルーメン902を通る血栓966の流れが維持される。加圧流体912のスプレーパターン914が、オリフィス908と対向する、吸引ルーメン902の内壁面916に衝突することで、血栓966を軟化させて小片970にすることもでき、吸引ルーメン902を通って流れる複合流体の実効粘度を低くするのを補助することができる。吸引ルーメン902の近位端に大きい真空圧/吸引圧を印加することにより、血栓966、および血栓966の小片970の除去を最適化することができる。スプレーパターン914は、内壁面916に衝突した後に、少なくとも部分的に略近位方向を向いた流れ955に転換される。
【0060】
[0125]
図33は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図29の吸引カテーテル915を示す。
図33は、血栓966を実質的に吸引するように構成された、第1の動作モードの吸引カテーテル915を示す。スプレーパターン919によってベンチュリ効果が生成され、スプレーパターン919はジェットを含み得る。したがって吸引ルーメン922の遠位開口972で吸引力が生成され、血栓966が吸引ルーメン922の中に吸引される。また、吸引ルーメン922の近位端で、(例えば、シリンジ、真空室、または真空ポンプなどの真空源によって)吸引圧(負圧)が印加されてもよく、これにより吸引ルーメン922を通る血栓966の流れが維持される。加圧流体912のスプレーパターン919が、オリフィス928と対向する、偏向エレメント929の逆方向斜面925に衝突することで、血栓966を軟化させて小片970にすることもでき、吸引ルーメン902を通って流れる複合流体の実効粘度を低くするのを補助することができる。吸引ルーメン922の近位端に大きい真空圧/吸引圧を印加することにより、血栓966、および血栓966の小片970の除去を最適化することができる。スプレーパターン919は、偏向エレメント929の逆方向斜面925に衝突した後に、少なくとも部分的に、略近位方向を向いた流れ957に転換される。
【0061】
[0126]
図34は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図30の吸引カテーテル934を示す。
図34は、血栓966を実質的に吸引するように構成された、第1の動作モードの吸引カテーテル934を示す。スプレーパターン947によってベンチュリ効果が生成され、スプレーパターン947はジェットを含み得る。したがって吸引ルーメン936の遠位開口974で吸引力が生成され、血栓966が吸引ルーメン936の中に吸引される。また、吸引ルーメン936の近位端で、(例えば、シリンジ、真空室、または真空ポンプなどの真空源によって)吸引圧(負圧)が印加されてもよく、これにより吸引ルーメン936を通る血栓966の流れが維持される。加圧流体912のスプレーパターン947が、オリフィス949と対向する、偏向エレメント940の逆方向斜面944に衝突することで、血栓966を軟化させて小片970にすることもでき、吸引ルーメン936を通って流れる複合流体の実効粘度を低くするのを補助することができる。吸引ルーメン936の近位端に大きい真空圧/吸引圧を印加することにより、血栓966、および血栓966の小片970の除去を最適化することができる。スプレーパターン947は、偏向エレメント940の逆方向斜面944に衝突した後に、少なくとも部分的に、略近位方向を向いた流れ959に転換される。
【0062】
[0127]
図35は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図31の吸引カテーテル950を示す。
図35は、血栓966を実質的に吸引するように構成された、第1の動作モードの吸引カテーテル950を示す。スプレーパターン960によってベンチュリ効果が生成され、スプ
レーパターン960はジェットを含み得る。したがって吸引ルーメン952の遠位開口976で吸引力が生成され、血栓966が吸引ルーメン952の中に吸引される。また、吸引ルーメン952の近位端で、(例えば、シリンジ、真空室、または真空ポンプなどの真空源によって)吸引圧(負圧)が印加されてもよく、これにより吸引ルーメン952を通る血栓966の流れが維持される。加圧流体912のスプレーパターン960が、オリフィス962と対向する、偏向エレメント956より近位にある内壁面978に衝突することで、血栓966を軟化させて小片970にすることもでき、吸引ルーメン952を通って流れる複合流体の実効粘度を低くするのを補助することができる。吸引ルーメン952の近位端に大きい真空圧/吸引圧を印加することにより、血栓966、および血栓966の小片970の除去を最適化することができる。スプレーパターン960は、偏向エレメント956より近位にある内壁面978に衝突した後に、少なくとも部分的に略近位方向を向いた流れ961に転換される。
【0063】
[0128]
図36は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図28の吸引カテーテル900を示す。
図36は、吸引ルーメン902の遠位開口968から遠位方向に流体(薬剤を含む流体など)を送達するように構成された、第2の動作モードの吸引カテーテル900を示す。加圧流体912のスプレーパターン914が、オリフィス908と対向する、吸引ルーメン902の内壁面916に衝突して、スプレーパターン914が少なくとも部分的に、略遠位方向を向いた流れ963に転換される。また、吸引ルーメン902の近位端において、吸引圧(負圧)が低減され、完全に停止され、または単に印加されない場合があるため、スプレーパターン914の少なくとも一部は、内壁面916に衝突した後に、略遠位方向を向いた流れ963に変換することができる。いくつかの実施形態では、オリフィス908、および/または内壁面916は、いくつかの条件下では、略遠位方向を向いた流れ963自体がジェットになり得るように構成されてもよい。薬剤は、血栓溶解剤などの溶解剤を含んでもよく、あるいは造影剤を含んでもよい。略遠位方向を向いた流れ963は、(偏向した)スプレーパターン914を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上、あるいは100%含んでもよい。
【0064】
[0129]
図37は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図29の吸引カテーテル915を示す。
図37は、吸引ルーメン922の遠位開口972から遠位方向に流体(薬剤を含む流体など)を送達するように構成された、第2の動作モードの吸引カテーテル915を示す。加圧流体912のスプレーパターン919が、オリフィス928と対向する、偏向エレメント929の順方向斜面927に衝突して、スプレーパターン919が少なくとも部分的に、略遠位方向を向いた流れ965に転換される。また、吸引ルーメン922の近位端において、吸引圧(負圧)が低減され、完全に停止され、または単に印加されない場合があるため、スプレーパターン919の少なくとも一部は、偏向エレメント929の順方向斜面927に衝突した後に、略遠位方向を向いた流れ965に変換することができる。いくつかの実施形態では、オリフィス928、および/または偏向エレメント929の順方向斜面927は、いくつかの条件下では、略遠位方向を向いた流れ965自体がジェットになり得るように構成されてもよい。薬剤は、血栓溶解剤などの溶解剤を含んでもよく、あるいは造影剤を含んでもよい。
【0065】
[0130]
図38は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図30の吸引カテーテル934を示す。
図38は、吸引ルーメン936の遠位開口974から遠位方向に流体(薬剤を含む流体など)を送達するように構成された、第2の動作モードの吸引カテーテル934を示す。加圧流体912のスプレーパターン947が、オリフィス949と対向する、偏向エレメント940の順方向斜面942に衝突して、スプレーパターン947が少なくとも部分的に、
略遠位方向を向いた流れ967に転換される。また、吸引ルーメン936の近位端において、吸引圧(負圧)が低減され、完全に停止され、または単に印加されない場合があるため、スプレーパターン947の少なくとも一部は、偏向エレメント940の順方向斜面942に衝突した後に、略遠位方向を向いた流れ967に変換することができる。いくつかの実施形態では、オリフィス949、および/または偏向エレメント940の順方向斜面942は、いくつかの条件下では、略遠位方向を向いた流れ967自体がジェットになり得るように構成されてもよい。薬剤は、血栓溶解剤などの溶解剤を含んでもよく、あるいは造影剤を含んでもよい。
【0066】
[0131]
図39は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図31の吸引カテーテル950を示す。
図39は、吸引ルーメン952の遠位開口976から遠位方向に流体(薬剤を含む流体など)を送達するように構成された、第2の動作モードの吸引カテーテル950を示す。加圧流体912のスプレーパターン960が、オリフィス962と対向する、偏向エレメント956の遠位方向を向いた斜面958に衝突して、スプレーパターン960が少なくとも部分的に、略遠位方向を向いた流れ969に転換される。また、吸引ルーメン952の近位端において、吸引圧(負圧)が低減され、完全に停止され、または単に印加されない場合があるため、スプレーパターン960の少なくとも一部は、偏向エレメント956の遠位方向を向いた斜面958に衝突した後に、略遠位方向を向いた流れ969に変換することができる。いくつかの実施形態では、オリフィス962、および/または偏向エレメント956の遠位方向を向いた斜面958は、いくつかの条件下では、略遠位方向を向いた流れ969自体がジェットになり得るように構成されてもよい。薬剤は、血栓溶解剤などの溶解剤を含んでもよく、あるいは造影剤を含んでもよい。
【0067】
[0132]
図36~
図39で吸引カテーテル900、915、934、950に関して説明した第2の動作モードを使用した、薬品を含む薬剤の送達は、高価なことが多い薬品を無駄にすることなく、正しく投与できる正確な方法で達成され得る。供給ルーメン904、924、938、954の横断面内寸の内径が小さいことにより、正確かつ少量の薬剤の導入が可能なだけでなく、注入を急に停止したいときに、薬剤を不必要に浪費するのを回避することができる。これは、標準的な自重による注入システムに対して、大幅な改善となる。また、薬剤を送達するための供給ルーメン904、924、938、954の加圧に、ポンプ基部200(
図12)を使用することで、更に正確さと制御性が増し、かつ無駄をなくすことができる。これにより施術にかかる費用が削減され、薬品投与(または例えば、造影剤送達)の正確性が増し、誤差の修正や施術の繰り返しが少ないため施術速度が向上し得る。このことは、これ自体が費用を節約する別の要素になり得る。吸引ルーメン902、922、936、952、および吸引カテーテル900、915、934、950を定義する際に「吸引」という語が用いられるが、使用者は吸引カテーテル900、915、934、950を、
図36~
図39に関して説明した第2のモードでのみ使用することを選択してもよく、場合によっては、吸引を一切行わずに第2のモードでのみ使用することを選択してもよいのは明らかであろう。
【0068】
[0133]
図40は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図28の吸引カテーテル900を示す。
図40は、血栓966の少なくとも一部の吸引も行いながら、吸引ルーメン902の遠位開口968から遠位方向に流体(薬剤を含む流体など)を送達するように構成された、第3の動作モードの吸引カテーテル900を示す。加圧流体912のスプレーパターン914が、オリフィス908と対向する、吸引ルーメン902の内壁面916に衝突して、スプレーパターン914が少なくとも部分的に、略遠位方向を向いた流れ963と、略近位方向を向いた流れ955とに分割される。吸引ルーメン902の近位端で、吸引圧(負圧)が印加、調整、増加、または低減されてもよく、これにより、スプレーパターン914の
少なくとも一部を、内壁面916に衝突した後に、略遠位方向を向いた流れ963に変換し、かつスプレーパターン914の少なくとも一部を、内壁面916に衝突した後に、略近位方向を向いた流れ955に変換することができる。いくつかの実施形態では、オリフィス908、および/または内壁面916は、いくつかの条件下では、略遠位方向を向いた流れ963自体がジェットになり得るように構成されてもよい。薬剤は、血栓溶解剤などの溶解剤を含んでもよく、あるいは造影剤を含んでもよい。
【0069】
[0134]
図41は、吸引システム10、または血栓吸引のためのシステム100、800の一部として血管964内で使用されている、
図30の吸引カテーテル934を示す。
図41は、血栓966の少なくとも一部の吸引も行いながら、吸引ルーメン936の遠位開口974から遠位方向に流体(薬剤を含む流体など)を送達するように構成された、第3の動作モードの吸引カテーテル934を示す。加圧流体912のスプレーパターン947が、オリフィス949と対向する、偏向エレメント940の斜面942、944に衝突して、スプレーパターン947が少なくとも部分的に、略遠位方向を向いた流れ967と、略近位方向を向いた流れ959とに分割される。吸引ルーメン936の近位端で、吸引圧(負圧)が印加、調整、増加、または低減されてもよく、これにより、スプレーパターン947の少なくとも一部を、偏向エレメント940の順方向斜面942に衝突した後に、略遠位方向を向いた流れ967に変換し、かつスプレーパターン947の少なくとも一部を、偏向エレメント940の逆方向斜面944に衝突した後に、略近位方向を向いた流れ959に変換することができる。いくつかの実施形態では、オリフィス949、および/または偏向エレメント940の順方向斜面942は、いくつかの条件下では、略遠位方向を向いた流れ967自体がジェットになり得るように構成されてもよい。薬剤は、血栓溶解剤などの溶解剤を含んでもよく、あるいは造影剤を含んでもよい。
【0070】
[0135]
図42は、吸引ルーメン1002と、第1の供給ルーメン1004を有する第1の供給チューブ1003と、第2の供給ルーメン1006を有する第2の供給チューブ1005とを含む、シャフト1001を備える、吸引カテーテル1000を示す。第1の供給チューブ1003、および第2の供給チューブ1005は、シャフト1001の内壁1008に固定される。第1の供給ルーメン1004は、加圧流体912を輸送するように構成され、加圧流体912は、生理食塩水、溶解(血栓溶解)剤、造影剤、その他の薬剤を含んでもよい。加圧流体912は、第1の供給ルーメン1004の第1のオリフィス1010からスプレーパターン1014になって出て、吸引カテーテル1000の長手方向軸線1018に対して遠位方向を向いた斜角1016に向けられる。第2の供給ルーメン1005は、加圧流体912を輸送するように構成され、加圧流体912は、生理食塩水、溶解(血栓溶解)剤、造影剤、その他の薬剤を含んでもよい。加圧流体912は、第2の供給ルーメン1006の第2のオリフィス1020からスプレーパターン1022になって出て、吸引カテーテル1000の長手方向軸線1018に対して近位方向を向いた斜角1024に向けられる。1つ以上の薬剤は、非希釈であってもよく、または(例えば、生理食塩水で)希釈されてもよい。
【0071】
[0136]第1の湾曲中空先端延長部1026は、その近位端1012に、第1の供給チューブ1003の第1の供給ルーメン1004に挿入される外径を有する。第1の湾曲中空先端延長部1026の湾曲は、スプレーパターン1014が、遠位方向を向いた斜角1016で第1のオリフィス1010を出るようにするものであり、その結果、略遠位方向を向いた流れ1028は、吸引ルーメン1002の開放遠位端1030の外側へ向けられる、すなわち配向される。第2の湾曲中空先端延長部1032は、その近位端1034に、第2の供給チューブ1005の第2の供給ルーメン1006に挿入される外径を有する。第2の湾曲中空先端延長部1032の湾曲は、スプレーパターン1022が、近位方向を向いた斜角1024で第2のオリフィス1020を出るようにするものであり、その結果、略近位方向を向いた流れ1038は、吸引ルーメン1002の内壁面1040の方へ配
向される。(例えば、血栓、または血液の)吸引範囲、および第1のオリフィス1010を通して薬剤を遠位方向に送達する範囲を調整するために、吸引ルーメン1002の近位端で負圧の印加、および調整が行われてもよい。
【0072】
[0137]
図43は、吸引ルーメン1052と、第1の供給ルーメン1054を有する第1の供給チューブ1053とを含む、シャフト1051を備える、吸引カテーテル1050を示す。第1の供給チューブ1053は、第1の分岐ルーメン1047を有する第1の管状分岐1046と、第2の分岐ルーメン1049を有する第2の管状分岐1048とに分岐する。第1の管状分岐1046、および第2の管状分岐1048は、シャフト1051の内壁1056に固定される。第1の供給ルーメン1054、第1の管状分岐1046、および第2の管状分岐1048は、加圧流体912を輸送するように構成され、加圧流体912は、生理食塩水、溶解(血栓溶解)剤、造影剤、その他の薬剤を含んでもよい。加圧流体912は、第1の分岐ルーメン1047の第1のオリフィス1058からスプレーパターン1060になって出て、吸引カテーテル1050の長手方向軸線1064に対して遠位方向を向いた斜角1062に向けられる。加圧流体912は、第2の分岐ルーメン1049の第2のオリフィス1066からスプレーパターン1068になって出て、吸引カテーテル1050の長手方向軸線1064に対して近位方向を向いた斜角1070に向けられる。1つ以上の薬剤は、非希釈であってもよく、または(例えば、生理食塩水で)希釈されてもよい。吸引ルーメン1052の内壁1078に、スプレーパターン1060、1068のうちの1つ、または両方を偏向させるための、1つ以上の斜面1074、1076(例えば、順方向斜面1074、および逆方向斜面1076)を有する、1つ以上の偏向部材1072を設けて、遠位方向を向いた流れ1080、および/または近位方向を向いた流れ1082を生成してもよい。他の実施形態では、順方向斜面1074、および/または逆方向斜面1076は、単に内壁1078の突起であってもよく、あるいはシャフト1001を偏向させることによって形成されてもよい。
【0073】
[0138]
図44Aは、ルーメン1203と、供給ルーメン1206を有する供給チューブ1204とを含む、シャフト1202を備える、カテーテル1200を示す。供給チューブ1204は、シャフト1202の内壁1208に固定され、加圧流体を導いてスプレーパターン1212にして出すように構成されたオリフィス1210を有し、スプレーパターン1212は、ジェットを形成し得る。スプレーパターン1212は、対向する偏向部材1214に当たるように導かれ、偏向部材1214は、シャフト1202の内壁1208に固定された別の部品であってもよく、あるいはシャフト1202の成形部であってもよい。ルーメン1204は、カテーテル1200がガイドワイヤ(図示せず)を追跡できるように構成された、ガイドワイヤルーメンである。使用時に、カテーテル1200は、注入カテーテルとして操作され、ガイドワイヤはオリフィス1210、および偏向部材1214よりも近位に後退されてもよく、その結果、干渉する可能性を低減しながら機能することができる。場合によっては、ガイドワイヤは完全に除去されてもよい。他の実施形態では、ルーメン1204は、血栓その他の塞栓などの物質を吸引するように構成された、吸引ルーメンであってもよい。ルーメンは、代替的な他の目的、例えば、より容量の大きい注射または注入用の導管としての目的を有してもよい。偏向部材1214は、横断方向、または径方向に延びる平坦な表面を有し、スプレーパターン1212を偏向させるように構成される。例えば、偏向部材1214は、スプレーパターン1212を偏向させて、スプレーパターン1212によって輸送される薬剤の少なくとも一部を、ルーメン1204の遠位開口1215から出すように構成されてもよい。
【0074】
[0139]
図44Bは、ルーメン1220と、供給ルーメン1224を有する供給チューブ1222とを含む、シャフト1218を備える、カテーテル1216を示す。供給チューブ1222は、シャフト1218の内壁1226に固定され、加圧流体を導いてスプレーパターン1230にして出すように構成されたオリフィス1228を有し、スプレーパタ
ーン1230は、ジェットを形成し得る。スプレーパターン1230は、対向する偏向部材1232に当たるように導かれ、偏向部材1232は、シャフト1218の内壁1226に固定された別の部品であってもよく、あるいはシャフト1218の成形部であってもよい。ルーメン1220は、
図44Aのカテーテル1200のルーメン1203と同様に、ガイドワイヤルーメン、および/または吸引ルーメンであってもよく、あるいは他の目的を有してもよい。偏向部材1232は、長手方向、すなわち軸線方向に延びる平坦な表面を有し、スプレーパターン1230を偏向させるように構成される。例えば、偏向部材1232は、スプレーパターン1230を偏向させて、スプレーパターン1230によって輸送される薬剤の少なくとも一部を、ルーメン1220の遠位開口1234から出すように構成されてもよい。
【0075】
[0140]
図45Aは、ルーメン1240と、供給ルーメン1244を有する供給チューブ1242とを含む、シャフト1238を備える、カテーテル1236を示す。供給チューブ1242は、シャフト1238の内壁1246に固定され、加圧流体を導いてスプレーパターン1250にして出すように構成されたオリフィス1248を有し、スプレーパターン1250は、ジェットを形成し得る。スプレーパターン1250は、対向する偏向部材1252に当たるように導かれ、偏向部材1252は、シャフト1238の内壁1246に固定された別の部品であってもよく、あるいはシャフト1238の成形部であってもよい。ルーメン1240は、カテーテル1236がガイドワイヤ(図示せず)を追跡できるように構成された、ガイドワイヤルーメンである。使用時に、カテーテル1236は、注入カテーテルとして操作され、ガイドワイヤはオリフィス1248、および偏向部材1252よりも近位に後退されてもよく、その結果、干渉する可能性を低減しながら機能することができる。場合によっては、ガイドワイヤは完全に除去されてもよい。他の実施形態では、ルーメン1240は、血栓その他の塞栓などの物質を吸引するように構成された、吸引ルーメンであってもよい。ルーメンは、代替的な他の目的、例えば、より容量の大きい注射または注入用の導管としての目的を有してもよい。偏向部材1252は、端面図で見た場合に凸面を有し、スプレーパターン1250を偏向させるように構成される。例えば、偏向部材1252は、スプレーパターン1250を偏向させて、スプレーパターン1250によって輸送される薬剤の少なくとも一部を、ルーメン1240の遠位開口1254から出すように構成されてもよい。
【0076】
[0141]
図45Bは、ルーメン1260と、供給ルーメン1264を有する供給チューブ1262とを含む、シャフト1258を備える、カテーテル1256を示す。供給チューブ1262は、シャフト1258の内壁1266に固定され、加圧流体を導いてスプレーパターン1270にして出すように構成されたオリフィス1268を有し、スプレーパターン1270は、ジェットを形成し得る。スプレーパターン1270は、対向する偏向部材1272に当たるように導かれ、偏向部材1272は、シャフト1258の内壁1266に固定された別の部品であってもよく、あるいはシャフト1258の成形部であってもよい。ルーメン1260は、ガイドワイヤルーメン、および/または吸引ルーメンであってもよく、あるいは他の目的を有してもよい。偏向部材1272は、側面から見た場合に凸面を有し、スプレーパターン1270を偏向させるように構成される。例えば、偏向部材1272は、スプレーパターン1270を偏向させて、スプレーパターン1270によって輸送される薬剤の少なくとも一部を、ルーメン1260の遠位開口1274から出すように構成されてもよい。
【0077】
[0142]
図63は、ルーメン1660と、供給ルーメン1664を有する供給チューブ1662とを含む、シャフト1658を備える、カテーテル1656を示す。供給チューブ1662は、シャフト1658の内壁1666に固定され、加圧流体を導いてスプレーパターン1670にして出すように構成されたオリフィス1668を有し、スプレーパターン1670は、ジェットを形成し得る。スプレーパターン1670は、対向する偏向部材
1672に当たるように導かれ、偏向部材1672は、シャフト1658の内壁1666に固定された別の部品であってもよく、あるいはシャフト1658の成形部であってもよい。ルーメン1660は、ガイドワイヤルーメン、および/または吸引ルーメンであってもよく、あるいは他の目的を有してもよい。偏向部材1672は、側面から見たときに傾斜面を有し、スプレーパターン1670を略遠位方向に偏向させるように構成され、その結果、スプレーパターン1670は、ルーメン1660の遠位開口1674から出される。偏向部材1672は、別の部品として形成されるときに、金属部品、またはポリマー部品を含んでもよい。
【0078】
[0143]
図64は、ルーメン1760と、供給ルーメン1764を有する供給チューブ1762とを含む、シャフト1658を備える、カテーテル1756を示す。供給チューブ1762は、シャフト1758の内壁1766に固定され、加圧流体を導いてスプレーパターン1770にして出すように構成されたオリフィス1768を有し、スプレーパターン1770は、ジェットを形成し得る。スプレーパターン1770は、対向する偏向部材1772に当たるように導かれ、偏向部材1772は、シャフト1758の内壁1766に固定された別の部品であってもよく、あるいはシャフト1758の成形部であってもよい。ルーメン1760は、ガイドワイヤルーメン、および/または吸引ルーメンであってもよく、あるいは他の目的を有してもよい。偏向部材1772は、側面から見たときに傾斜面を有し、スプレーパターン1770を略近位方向に偏向させるように構成される。偏向部材1772は、別の部品として形成されるときに、金属部品、またはポリマー部品を含んでもよい。
【0079】
[0144]
図46A、および
図46Bは、ルーメン1280と、供給ルーメン1284を有する供給チューブ1282とを含む、シャフト1278を備える、カテーテル1276を示す。供給チューブ1282は、シャフト1278の内壁1286に固定され、加圧流体を導いてスプレーパターン1290にして出すように構成されたオリフィス1288を有し、スプレーパターン1290は、ジェットを形成し得る。スプレーパターン1290は、対向する調整可能な偏向部材1292に当たるように導かれ、偏向部材1292は、第1の状態(
図46A)、および第2の状態(
図46B)の、少なくとも2つの状態を有する。図示されている実施形態では、調整可能な偏向部材1292は、シャフト1278の内壁1286に固定されたバルーンを含み、その結果、バルーンは、シャフト1278内にある、またはシャフト1278によって支持された、流体通路1294を介して、膨張したり収縮したりし得る。容量計測装置、圧力センサ、および/または圧力計を有する、または有さない膨張装置が、流体通路1294の近位端に結合されて、バルーンの膨張または収縮を補助してもよい。ルーメン1280は、カテーテル1276がガイドワイヤ(図示せず)を追跡できるように構成された、ガイドワイヤルーメンである。使用時に、カテーテル1276は、注入カテーテルとして操作され、ガイドワイヤはオリフィス1288、および調整可能な偏向部材1292よりも近位に後退されてもよく、その結果、干渉する可能性を低減しながら機能することができる。場合によっては、ガイドワイヤは完全に除去されてもよい。他の実施形態では、ルーメン1280は、血栓その他の塞栓などの物質を吸引するように構成された、吸引ルーメンであってもよい。ルーメンは、代替的な他の目的、例えば、より容量の大きい注射または注入用の導管としての目的を有してもよい。
【0080】
[0145]調整可能な偏向部材1292は、その2つ以上の状態のうちの少なくとも1つの状態において、スプレーパターン1290を偏向させるように構成される。例えば、調整可能な偏向部材1292は、スプレーパターン1290を偏向させて、スプレーパターン1290によって輸送される薬剤の少なくとも一部を、ルーメン1280の遠位開口1296から出すように構成されてもよい。
図46Aに示す第1の状態では、調整可能な偏向部材1292は収縮しており、言い換えれば、その内部容積部1298が略空になってい
る。例えば、ルーメン1280を通って延びるガイドワイヤの上にカテーテル1276を通しているとき、または(ガイドワイヤが所定の位置にあってもなくても)ルーメン1280を介して吸引を行っているときは、第1の状態が望ましい場合がある。第1の状態の別の変形例では、流体通路1294に、(流体通路1294の近位端にある、空にしたシリンジ、または空にしたロックシリンジから)更に真空(負圧)が配置されて保持され、収縮した調整可能な偏向部材1292の輪郭を最小化して、この領域におけるルーメン1280の断面積を最大化してもよい。
図46Bに示す第2の状態では、流体通路1294を通して(例えば、シリンジその他の種類の膨張装置によって)流体が注入され、流体通路1294と、内部容積部1298との間にある開口部1299を介して、調整可能な偏向部材1292の内部容積部1298の中に入っている。第2の状態の調整可能な偏向部材1292は、スプレーパターン1290を、少なくとも部分的にルーメン1280の遠位開口1296を通って出るような所望の方向に偏向させるように構成される。膨張した調整可能な偏向部材1292の形状は、凸面性を持つものとして
図46Bに示されているが、他の実施形態では、調整可能な偏向部材1292を構成するバルーンその他の構造は、1つ以上の直線斜面その他の形状を形成するように作られてもよい。また、内部容積部1298に異なる容積の流体を注入して、調整可能な偏向部材1292をいくつかの異なる状態に調整することで実現し得る、いくつかの異なる形状、または大きさがあってもよい。製造時に、調整可能な偏向部材1292の形状は、1つ以上の型、または固定具を使用して熱形成されてもよい。更に別の状態もまた可能な場合があり、この状態では、調整可能な偏向部材1292は、ルーメン1280を略、または完全にブロックするのに十分なほど、あるいはオリフィス1288を部分的に、または完全にブロックするのに十分なほど膨張される。例えば、塞栓がカテーテルの中に吸引されて、カテーテル1276を患者から除去する間、塞栓をカテーテル1276内でしっかりと維持しておきたい場合に、この別の状態が望ましい場合がある。
【0081】
[0146]
図47は、ルーメン1302と、壁1304と、壁1304を通るオリフィス1306とを備える供給チューブ1300を示す。オリフィス1306から出るスプレーパターン1308は、ルーメン1302内の加圧流体から発し、概ねソリッドなまたは直線の流れになり、流れの幅(または直径)Wが著しく増加することはない。
図48は、ルーメン1312と、壁1314と、壁1314を通るオリフィス1316とを備える供給チューブ1310を示す。オリフィス1316から出るスプレーパターン1318は、ルーメン1312内の加圧流体から発し、夾角xの末広がりの流れになる。
図49は、末広がりの流れのスプレーパターン1320を三次元的に描写した図を示し、したがってスプレーパターン1320は、円錐形1322になっている。
【0082】
[0147]
図50は、ルーメン1326と、壁1328と、壁1328を通るオリフィス1330とを備える供給チューブ1324を示す。オリフィス1330から出るスプレーパターン1332は、ルーメン1326内の加圧流体から発し、中空の円錐形1334になった流れになる。
図51は、ルーメン1338と、壁1340と、壁1340を通る長方形のオリフィス1342とを備える供給チューブ1336を示す。長方形のオリフィス1342から出るスプレーパターン1344は、ルーメン1338内の加圧流体から発し、末広がりの楔形の流れ1346になる。
【0083】
[0148]
図52は、ルーメン1350と、壁1352と、壁1352を通るオリフィス1354とを備える供給チューブ1348を示す。オリフィス1354から出るスプレーパターン1356は、ルーメン1350内の加圧流体から発し、オリフィス1354の軸線AOに対して角度yで角度付された、方向ベクトルVを有する。方向ベクトルは、スプレーパターン1356の中心部を表す。スプレーパターン1356は、末広がりになって夾角xを有する。スプレーパターンは、最遠位端1355と、最近位端1357とを有する。最遠位端1355は、オリフィス1354の軸線AOに対して角度z
Dを形成し、最近
位端1357は、オリフィス1354の軸線AOに対して角度z
Pを形成する。他の実施形態では、スプレーパターン1356は、
図47~
図51のスプレーパターン1308、1318、1320、1332、1344のいずれかと同様の形状を有してもよく、他の任意の形状を有してもよい。
【0084】
[0149]スプレーパターン1308、1318、1320、1332、1344、1356の形状はいずれも、供給チューブの壁にあるオリフィスの構造(横断面寸法、直径、長さ、または壁の厚さ、角度、テーパ角、断面形状)を修正することによって調整されてもよく、これにより、(複数の)スプレーパターンが、内壁面916、1040、1078、または偏向エレメント/部材929、940、956、1072、1214、1232、1252、1272、1292と相互作用して、略遠位方向を向いた流れ、および/または略近位方向を向いた流れを含む、いくつかの異なる流れ形状を生成することが容易になる。スプレーパターン1308、1318、1320、1332、1344、1356は、ジェット、流れ、霧、その他のスプレーの物理的特徴を有するように調整されてもよい。スプレーパターン1308、1318、1320、1332、1344、1356は、加圧流体の圧力を変化させることによって、これらの異なるモード、または形状同士の間で変換可能であってもよい。
【0085】
[0150]
図53は、血管1362(動脈、静脈など)に挿入され、吸引ルーメン1366の開放遠位端1364が、血栓/血液凝固1368に隣接するように進入している、吸引カテーテル1360を示す。吸引カテーテル1360は、供給ルーメン1372を有する供給チューブ1370と、ガイドワイヤ1378を追跡するように構成されたガイドワイヤルーメン1376を有する、ガイドチューブ1374とを更に含む。希釈または非希釈の造影剤は、シリンジ、ポンプその他の手段によって加圧され、供給ルーメン1372を通って、供給ルーメン1372の遠位端1382で、オリフィス1380から出る。ジェットスプレー1384は、遠位要素、および/または近位要素を含んでもよい。遠位要素1386(
図54)は、略遠位方向を向いた要素であってもよく、少なくとも部分的に、吸引ルーメン1366の開放遠位端1364から出てもよい。遠位要素1386が、血栓/血液凝固1368(
図54)の周囲の容積部を充填すると、X線撮影、または透視法で視認され、血栓/血液凝固1368の境界1388が識別され得る。境界1388が、吸引カテーテル1360の吸引ルーメン1366の開放遠位端1364に対して所望の近さに位置している場合、使用者は、血栓溶解処置を開始するため、または継続するために、高圧を使用して、供給ルーメン1372を通して(例えば、シリンジまたはポンプで)注入、または圧送することを所望する場合がある。場合によっては、使用者は、血栓溶解処置を行うために、希釈または非希釈造影剤を使用してもよい。場合によっては、希釈または非希釈造影剤は、溶解剤と組み合わせるか、または混合されてもよい。他の事例では、使用者は、例えば、供給ルーメンをプライミングすることによって、希釈または非希釈造影剤を生理食塩水、または溶解剤と置き換えてもよい。境界1388が、吸引カテーテル1360の吸引ルーメン1366の開放遠位端1364に対して所望よりも遠位に位置する場合、使用者は、開放遠位端1364が、血栓/血液凝固1368の境界1388に対して所望の近さになるまで、吸引カテーテル1360を進入させることを選択してもよい。場合によっては、所望の近さとは、開放遠位端1364が、血栓/血液凝固1368の境界1388と接触したときであってもよい。場合によっては、所望の近さとは、開放遠位端1364が、血栓/血液凝固1368の境界1388から約1mmの距離になったときであってもよい。場合によっては、所望の近さとは、開放遠位端1364が、血栓/血液凝固1368の境界1388から約5mmの距離になったときであってもよい。開放遠位端1364が、血栓/血液凝固1368の境界1688から所望の近さの範囲に入るように吸引カテーテル1360を進入させると、使用者は、血栓溶解処置を開始または継続し得る。
【0086】
[0151]
図55は、血栓/血液凝固1368の境界1388、および吸引カテーテル1360の吸引ルーメン1366の開放遠位端1364の近接性を持続的に示すために、使用者が継続的に、または一時的に、少量の造影剤1396(または前述した造影剤の混合物)を注入、または「パフ」する方法を示す。本明細書に示す任意の実施形態において、吸引カテーテル1360の遠位端1390は、不透過性マーカ、またはマーカバンド1392を含んでもよい。いくつかの実施形態では、カテーテルチューブ1394は、これに限定されないが、硫酸バリウム、酸化タンタル、または酸化チタンなどの不透過性材料を含む、不透過性チューブであってもよい。
【0087】
[0152]
図56は、供給ルーメン1404と、ルーメン1406とを有するカテーテル1402を備える、カテーテルシステム1400を示す。供給ルーメン1404を囲む壁1410は、オリフィス1408を有する。ルーメン1406を通って、近位端1414と、遠位端1416とを有するマンドレル1412が延びている。遠位端1416は、カテーテル1402の壁1422と係合する凹面1420を含む、湾曲部1418(またはフック部)を有してもよい。マンドレル1412は、凹面1420が壁1422の遠位端1424(例えば、開放遠位端1426にある)と係合するように、ルーメン1406を通して挿入するように構成されてもよく、これにより、使用者がマンドレル1412に牽引力(
図57の矢印)を加えると、カテーテル1402の遠位端1428が近位方向へ引っ張られる。この牽引力は、カテーテル1402のカラム強度と結合して、
図57に示すように、カテーテル1402の遠位端1428に偏向を生じさせる。場合によっては、撓み量は、マンドレル1412の近位端1414に、(例えば、手によって、またはコレットその他のロックで近位端1414に結合された把持具によって)印加される特定の力によって制御されてもよく、その結果、オリフィス1408から出る流体のジェット1430は、(血栓/血液凝固1432などの)隣接する構造に衝突するように誘導される。いくつかの実施形態において、ルーメン1406は、本明細書で説明する他の実施形態によれば、吸引ルーメンとして機能してもよく、血栓1432の少なくとも一部を吸引するのに使用されてもよい。この実施形態では、マンドレル1412は、血栓1432が真空によってルーメン1406の開放遠位端1426と係合した場合に、ルーメン1406を血栓1432から切り離すのにも使用され得る。血栓1432の位置および状態をよりよく見えるようにするために、供給ルーメン1404を通して送達される流体に造影剤が加えられてもよい。造影剤は、ルーメン1406が能動的に吸引に使用されていない場合には、ルーメン1406を通して送達されてもよい。使用者は、流体のジェット1430が血栓1432の様々な区域/領域を破壊するように、カテーテル1402の遠位端1428を前後に撓めてもよい。また、使用者は、破壊した/軟化した血栓を血管1362から除去するために、ルーメン1406に真空を印加する。したがって、より完全で効率的な血栓1432の除去が可能になる。
【0088】
[0153]
図58は、
図56および
図57のカテーテルシステム1400のほとんどの特徴を備え、更に予め形成された形状を有する、カテーテルシステム1434を示す。マンドレル1436は、カテーテル1440の遠位端1438を撓めるように構成されるが、カテーテル1440の遠位端1438は、更に予め形成された湾曲1442を有する。したがって、撓み角Fの範囲で大きく撓ませることが可能になり、ジェット1444自体が考えられる様々な軌道を描いて、血栓に当たることが可能になる。
図62は、
図58のカテーテルシステム1434の撓みの制御を、ジェットの内部偏向と組み合わせた、カテーテルシステム1530を示す。カテーテル1532は、ルーメン1534と、供給ルーメン1538を有する供給チューブ1536と、引っ張りマンドレル1540とを備える。供給ルーメン1538は、オリフィス1544のある、その遠位端1542が終端となる。第1の撓み状態(上側)では、ジェット1546は、内壁1550上の第1のポイント1548で偏向し、それから第1の略遠位方向を向いた流れ1552に偏向する。第2の撓み状態(下側)では、ジェット1554は、内壁1550上の第2のポイント1556で
偏向し、それから第2の略遠位方向を向いた流れ1558に偏向する。第1の略遠位方向を向いた流れ1552と、第2の略遠位方向を向いた流れ1558とが、異なるベクトルで配向されるために、引っ張りマンドレル1540の牽引力を制御することによって、遠位方向のジェット、または流れを誘導することが可能になる。したがって、
図58のカテーテルシステム1434と、
図62のカテーテルシステム1530とでは、異なるカテーテル手段によって、遠位方向を向いた流れ、またはジェットを誘導することができる。
【0089】
[0154]
図59A、および
図59Bは、供給ルーメン1454、吸引ルーメン1456、および供給ルーメン1454と吸引ルーメン1456とを連通させるオリフィス1458を有する吸引カテーテル1452と、近位端1462、および遠位端1464を有するマンドレル1460とを備え、遠位端1464が拡張部1466を有する、吸引システム1450を示す。マンドレル1460の拡張部1466は、マンドレル1460が(したがって拡張部1466が)回転1470、および/または長手方向に平行移動1472されたときに血栓1468を効果的に破壊する、(シェパード湾曲などの)フック、湾曲その他の構造を含んでもよい。マンドレル1460は、吸引カテーテル1452の吸引ルーメン1456を通して挿入されてもよく、かつマンドレル1460の近位端1462を回転装置1474に取り付けることによって回転されてもよい。回転装置1474はまた、マンドレル1460を前後に長手方向に平行移動させてもよい。回転装置1474には、Merit Medical Systems,Inc.(米国、ユタ州サウスジョーダン)によって販売されているSPINR(商標)装置、またはVesatek,LLC(米国、カリフォルニア州アーバイン)によって販売されているFireBow(商標)装置などの装置が含まれてもよい。拡張部1466は、回転させて、および/または周期的に長手方向に変位させて破壊的な力を印加することによって、血栓1468の一端で、線維性被膜、および/または石灰化した被膜1476を破壊するのに使用されてもよい。拡張部1466の凸部、または鈍部1478は、マンドレル1460に対して非外傷性の端部を形成し得る。回転装置1474は、ハンドル1480と、モータ1482と、回転可能なチャックまたはロック1484と、モータの動きを、回転可能なチャックまたはロック1484の動き(例えば、回転および/または長手方向の平行移動)と結合するように構成された伝動装置1486とを備える。伝動装置1486は、いくつかの実施形態では、歯車装置を含んでもよい。スイッチ1488は、使用者がハンドル1480を保持している間に、回転/動きをオンまたはオフにするために使用者が押してもよい。いくつかの実施形態では、マンドレル1460はまた、
図56、および
図57のマンドレル1412、あるいは
図58のマンドレル1436のような方法で使用可能であってもよい。
【0090】
[0155]
図60は、患者の頭蓋に開けた窓、開口部、または穴を通して、頭蓋内血栓、または頭蓋内血腫(BC=血液凝固として簡略化して示す)を除去するシステムを示す。窓、開口部、または穴は、これに限定されないが、刻み目のあるハンドドリルその他の切断エレメントを含む任意の適切な装置によって作成されてもよい。
図60を参照すると、血液凝固BCが位置する処置領域の近くに、イントロデューサ1100を介して4チャネルトロカールなどのトロカール1156を導入することができる。これに限定されないが、NeuroPen(Medtronic Inc.)、またはEpic Microvision(Codman,J&J Company、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を含む、スコープ装置などの可視化装置1158が、トロカール1156の可視化チャネルに導入されてもよく、かつ超音波装置1112が、トロカール1156の作業用チャネルに導入されてもよい。超音波装置1112は、例えば、約1kHz~約20MHzの周波数を送信してもよく、血液凝固BCを破壊または分解するように構成されてもよい。
【0091】
[0156]
図60は、人間の頭蓋および脳の断面図を示し、頭蓋内の開口部を通して配置されたイントロデューサ1100を示す。トロカール装置1156は、イントロデューサ1100を介して配置され、血液凝固BCが位置する処置領域内に位置決めされる。中大脳
動脈MCAも図示されている。トロカール1156は、イントロデューサ1100を使用することなく、頭蓋内の開口部に直接導入できることが多い。可視化装置1158は、トロカール1156の可視化チャネルを通して導入されてもよい。可視化装置1158は、ケーブル1159を介してモニタ(図示せず)に接続される。いくつかの(スコープなどの)可視化装置は、モニタの代わりに可視化に使用できる、眼用エレメントを有する。ハンドル1157を有する超音波装置1112が、トロカール1156の作業用チャネルを介して導入される。施術の前に、医師は、可視化装置1158の下にあるトロカール1156を血液凝固BCの位置に向け、その後、超音波装置1112の遠位端を血液凝固の内部に位置決めして、超音波エネルギーの送達を有効化する。医師は、治療装置1112で血液凝固を溶解させて患者の頭部から吸引しながら、可視化装置1158で、治療野を同時に観察することができる。血液凝固は、灌注チャネル、またはオーバーフローチャネルを通して吸引されてもよく、これは、本明細書で説明した吸引カテーテルの吸引ルーメンと類似している。また、血液凝固は、超音波装置1112を介して吸引されてもよい。頭蓋内の血栓、または頭蓋内血腫を除去する適切なシステムについては、2012年12月27日に公開された、Nitaによる「Method and Apparatus for Removing Blood Clots and Tissue from the Patient’s Head」という名称の米国特許出願公開第2012/0330196号明細書で説明されている。
【0092】
[0157]血液凝固BCを溶解させる能力を更に高めるには、血液凝固の位置に1つ以上の治療用薬剤、あるいはマイクロバブルまたはナノバブルを送達することが有用な場合がある。このような治療用薬剤、マイクロバブル、またはナノバブルは、治療箇所に直接送達するか、あるいは従来の生理食塩水と混合して送達することができる。
【0093】
[0158]脳の温度は、虚血性脳障害の大きな要因として認識されている。低体温にすることによって、脳障害が改善されるという臨床的証拠が示されている。また、患者の頭部、または全身(全身冷却)を30℃または35℃まで冷却する治療法によって、虚血性脳障害が軽減され、すなわちICH後の頭蓋内圧、および浮腫が減少する。集中的な頭蓋冷却は、頭部または首の周りに氷または冷却ジェルパックを置くという、単純な方法によって実現することができる。全身冷却は、静脈注射(IV)の手法を用いて、氷冷生理食塩水を注入することによって行われてもよい。
【0094】
[0159]本明細書で説明する実施形態はいずれも、Apollo(商標) System(Penumbra,Inc.米国、カリフォルニア州アラメダ)と併せて用いられてもよい。
【0095】
[0160]いくつかの場合、本明細書で説明される装置の一部またはすべてが、放射線不透過性材料で添加され、作製され、被覆され、またはさもなければ、含むことができる。放射線不透過性材料は、医療手順中、X線透視スクリーンまたは他の画像技術上で相対的に明るい画像を生成することができる材料であると理解されたい。放射線不透過性材料のいくつかの例は、限定しないが、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材を詰め込んだポリマー材料などを含むことができる。1つまたは複数の親水性または疎水性滑性コーティングが、血管を通る吸引カテーテル118の追従性を向上させるために使用され得る。
【0096】
[0170]いくつかの例では、MRI適合性が、本明細書で説明される装置の部品の中に与えられることが可能である。例えば、磁気共鳴画像法(MRI)機器との適合性を向上させるために、本明細書で説明される装置の様々な部分を、実質的にMRI画像を歪めず、または実質的なアーチファクト(画像内のギャップ)を引き起こさない材料から作製することが望ましい可能性がある。いくつかの強磁性材料は、例えば、それらがMRI画像の
中にアーチファクトを生成する可能性があるので適切ではない。いくつかの場合、本明細書で説明される装置は、MRI機器が画像表示することができる材料を含むことができる。これらの特性を示すいくつかの材料は、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035)、ニチノールなどおよび他の材料を含む。
【0097】
[0162]いくつかの例では、本明細書で説明される装置のいくつかが、滑性コーティングまたは親水性コーティングなどのコーティングを含むことができる。フルオロポリマーなどの疎水性コーティングは、乾燥滑性をもたらす。滑性コーティングは、操縦性を改善し、病変横断能力を改善する。適切な滑性ポリマーは当技術分野で公知であり、シリコンなど、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリーレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース系材料、アルギン、サッカライド、カプロラクトンなどの親水性ポリマー、およびその混合物および組合せを含むことができる。親水性ポリマーは、それ自体の間で、または処方された量の水不溶解性混合物(いくつかのポリマーを含む)と共に混合されて、適切な滑性、接着性および溶解性を含むコーティングを生成することができる。
【0098】
[0163]本開示は、多くの点で、例示に過ぎないことを理解すべきである。本発明の範囲を超えずに、形状、寸法および工程の配置の事柄において特に、変形形態が詳細に作製され得る。本発明の範囲は、もちろん添付の特許請求の範囲が表現する言語の中で規定される。
【0099】
[0164]本発明の実施形態が、図示され、説明されてきたが、様々な修正形態が、本発明の範囲から逸脱せずに作製され得る。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲およびその均等物を除いて、限定されるべきではない。本発明の実施形態は、様々な血管の中で有用性を有すると考察され、限定しないが、冠動脈、頸動脈、頭蓋内動脈/大脳動脈、下大静脈、上大静脈、および他の血管(例えば、深部静脈血栓または肺塞栓の場合)、末梢動脈、血管側路、移植組織片、脈管障害および心房が含まれる。これには、限定しないが、約2mm以上の直径を含む任意の血管が含まれる。多くの用途について、吸引カテーテル118の約7フレンチ以下の外径が考えられるが、特定の用途ではそれはより大きい可能性がある。いくつかの実施形態では、約6フレンチ以下の吸引カテーテル118の直径が考えられる。本発明の実施形態は、例えば、柔らかくされ、および/または取り除かれる必要がある物質蓄積を含む身体内腔または空洞など、非血管性用途の中で使用されることができる。
【0100】
[0165]上記に開示される実施形態の特定の形態および態様の様々な組合せ、または副組合せが、作製されることができ、本発明の1つまたは複数の内にやはり当てはまることができる。更に、実施形態に関連する任意の特定の形態、態様、方法、特性、特徴、品質、属性、要素などが、本明細書に記載される他のすべての実施形態の中で使用され得る。したがって、開示される発明の様々なモードを形成するために、開示される実施形態の様々な形態および態様が、互いに組み合わされ、または代替となり得ることを理解すべきである。したがって、本明細書に開示される本発明の範囲は、前述の特定の開示される実施形態によって限定されるべきでないことを意図される。更に、本発明は様々な修正形態、および代替形態が可能であるが、その特定の例は、図面の中で示され、および本明細書で詳細に説明される。しかし、本発明は、開示される特定の形態または方法に限定されるべきではなく、反対に、本発明は、説明される様々な実施形態および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に当てはまるすべての修正形態、均等物および代替形態を包含することができるということを理解すべきである。本明細書で開示される任意の方法は、列挙され
る順番で実施される必要はない。本明細書で開示される方法は、開業医によって行われる特定の行為を含むが、しかし、それらの行為は、明確に、または含蓄的に第三者の教示を更に含むことができる。
【0101】
[0166]本明細書に開示されている範囲は、あらゆる重複、部分範囲、およびこれらの組み合わせも含んでいる。「最大」、「少なくとも」、「~よりも大きい」、「未満」、「~と~との間」などの言葉は、列挙されている数字を含む。本明細書で用いられる、「およそ」、「約」、および「略」などの用語の後に記載されている数字は、列挙されている数字を含み(例えば、約10%=10%)、また、所望の機能をなおも実行する、または所望の結果をなおも達成する、規定の量に近い量を表す。例えば、「およそ」、「約」、および「略」という用語は、規定された量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、および0.01%未満の量を指すことができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓を吸引し薬剤を送達するためのシステムであって、
吸引ルーメンと、供給チューブとを含む吸引カテーテルであって、前記供給チューブが、近位端、遠位端、壁および供給ルーメンを有し、前記吸引ルーメンが、近位端、開放遠位端、および前記開放遠位端に隣接する内壁面を有する、吸引カテーテルと、
前記供給ルーメンの遠位端に隣接する位置にあり、前記吸引ルーメンと流体連通する少なくとも1つのオリフィスと
を備え、
前記少なくとも1つのオリフィスは、前記吸引ルーメンの前記開放遠位端の近位に配置され、前記少なくとも1つのオリフィスは、加圧流体が前記供給ルーメンを通って圧送されると、前記吸引ルーメンを横切って導かれるスプレーパターンを生成するように構成され、前記吸引カテーテルの遠位端が水性環境に浸されると、前記スプレーパターンが前記吸引ルーメンの前記内壁面に衝突し、かつ前記少なくとも1つのオリフィスの反対側に配置された、隆起した偏向エレメントに衝突したときの前記スプレーパターンが偏向されて、前記吸引ルーメンの前記開放遠位端から出るように構成された少なくとも略遠位方向を向いた流れに変換されるようになっている、システム。
【請求項2】
前記遠位方向を向いた流れがジェットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スプレーパターンがジェットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スプレーパターンが少なくとも2つのジェットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのオリフィスが、第1のオリフィスと、第2のオリフィスとを含み、前記第1のオリフィスが、前記少なくとも2つのジェットのうちの第1のジェットを生成するように構成され、前記第2のオリフィスが、前記少なくとも2つのジェットのうちの第2のジェットを生成するように構成され、前記内壁面に衝突する、前記第1のジェットおよび前記第2のジェットのうちの少なくとも1つが、前記略遠位方向を向いた流れに変換されるようになっている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記偏向エレメントが斜面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記斜面が、前記吸引ルーメンの長手方向軸線に対して、前記内壁面の半径を変化させるようになっている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記偏向エレメントが、少なくとも部分的に、略近位方向を向いた流れを生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記偏向エレメントが、前記内壁面に衝突する前記スプレーパターンの概ね全てを、前記略遠位方向を向いた流れに変換するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記供給ルーメンが、溶解剤、または造影剤のうちの少なくとも1つを輸送するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記供給チューブが前記吸引ルーメン内で延びている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記偏向エレメントが、前記吸引カテーテルの細長いシャフトの内壁に固定されている、請求項1に記載のシステム。
【外国語明細書】