(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022302
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】複合金属遠赤外線医療用パッチ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20060101AFI20230207BHJP
A41D 13/12 20060101ALI20230207BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20230207BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20230207BHJP
A41D 31/30 20190101ALI20230207BHJP
A41D 31/18 20190101ALI20230207BHJP
【FI】
A61F13/02 310J
A61F13/02 310A
A61F13/02 310Z
A41D13/12 136
A41D31/00 503M
A41D31/02 A
A41D31/00 502B
A41D31/30
A41D31/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196302
(22)【出願日】2022-12-08
(62)【分割の表示】P 2021028156の分割
【原出願日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】109138695
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】513197688
【氏名又は名称】▲緑▼能奈米科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャン、テン-ショウ
(72)【発明者】
【氏名】メン、エン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、シュ-ハン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ウェン-シェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、イ-ティン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シャン-チェン
(72)【発明者】
【氏名】チェルン、ジュイン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、シュ-ティン
(72)【発明者】
【氏名】リン、イ-シン
(57)【要約】
【課題】パッチを提供すること。
【解決手段】基層と前記基層の表面上に形成された粘着層とを含むパッチであって、前記基層の表面の面積の95%以下が前記粘着層で覆われるように、前記粘着層が波模様を有し、前記パッチが流れ方向及び横断方向の両方で少なくとも120%の伸長度を有するパッチ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層と前記基層の表面上に形成された粘着層とを含むパッチであって、
前記基層の表面の面積の95%以下が前記粘着層で覆われるように、前記粘着層が波模様を有し、
前記パッチが流れ方向及び横断方向の両方で少なくとも120%の伸長度を有するパッチ。
【請求項2】
前記パッチが流れ方向及び横断方向の両方で120%~300%の範囲の伸長度を有する、請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
前記基層の表面の面積の50%~80%が前記粘着層で覆われる、請求項1又は2に記載のパッチ。
【請求項4】
前記基層が抗菌材料をその表面上に含む、請求項1~3のいずれかに記載のパッチ。
【請求項5】
前記抗菌材料が酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化銀及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載のパッチ。
【請求項6】
前記基層が遠赤外線基層である、請求項1~5のいずれかに記載のパッチ。
【請求項7】
前記遠赤外線基層が遠赤外線繊維を含む織物である、請求項6に記載のパッチ。
【請求項8】
前記遠赤外線繊維がチタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)及びマグネシウム(Mg)の元素を含み、前記遠赤外線繊維がスカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びアンチモン(Sb)の元素を含まない、請求項7に記載のパッチ。
【請求項9】
前記遠赤外線基層の繊維の総数に基づく前記遠赤外線繊維の割合が0%を超え、50%以下である、請求項7に記載のパッチ。
【請求項10】
前記基層が縦方向及び横方向の両方で弾性繊維を含む織物であり、前記織物の縦繊維の総数に基づく縦方向の弾性繊維の割合が0%を超え、12%以下であり、前記織物の横繊維の総数に基づく横方向の弾性繊維の割合が0%を超え、12%以下である、請求項1~9のいずれかに記載のパッチ。
【請求項11】
前記弾性繊維がポリエステル繊維及びポリウレタン繊維の1つ以上から選択される、請求項10に記載のパッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年11月5日出願の台湾特許出願番号109138695の優先権の利益を主張する。本台湾特許出願の主題の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、流れ方向(machine direction)及び横断方向(cross-machine direction)の両方で優れた伸長度を有するパッチを提供する。特に、本発明は、流れ方向及び横断方向の両方で優れた伸長度を有する複合金属遠赤外線医療用パッチを提供する。
【背景技術】
【0003】
スポーツ医療処置の分野において、キネシオテープは、良好なストレッチ性と通気性を有する弾性パッチである身体運動学テープである。キネシオテープは、人体に適用され、人体の筋膜及び筋肉等の軟組織を引っ張り、特定の力を発生させ、生理学的効果を誘導し、それによって負傷箇所を支持及び保護し、痛みをやわらげ、特定の行為又は動作を容易にする等の有用性を提供する。
【0004】
しかし、パッチの背面の粘着層の糊付け技術の障害のために、現在のパッチは1つの方向にのみ、例えば、流れ方向又は横断方向にのみ引き伸ばすことができ、従って、使用が制限される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、現在のパッチが持たない優れた4方向の伸長度を有し、それによってより多くの応用適用性を可能にするパッチを提供する。4方向の伸長度は、パッチが流れ方向及び横断方向の両方で引き伸ばすことができることを意味する。また、本発明のパッチは更に、遠赤外線繊維を含むことができ、遠赤外線を放射し、使用者の血流の量及び速度を増増加させ、それによって血液循環を促進させ、不快感をやわらげる。また、本発明のパッチは更に、抗菌作用を提供するために抗菌材料を含むことができる。従って、本発明は以下の進歩的な目的を伴う。
【0006】
本発明の目的は、基層と前記基層の表面上に形成された粘着層とを含むパッチであって、前記基層の表面の面積の95%以下が前記粘着層で覆われるように、前記粘着層が波模様を有し、前記パッチが流れ方向及び横断方向の両方で少なくとも120%の伸長度を有するパッチを提供することである。
【0007】
本発明のいくつかの実施態様において、本パッチは流れ方向及び横断方向の両方で120%~300%の範囲の伸長度を有する。
【0008】
本発明のいくつかの実施態様において、前記基層の表面の面積の50%~80%が前記粘着層で覆われる。
【0009】
本発明のいくつかの実施態様において、前記基層が抗菌材料をその表面上に含み、前記抗菌材料が酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化銀及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0010】
本発明のいくつかの実施態様において、前記基層が遠赤外線基層、例えば遠赤外線繊維を含む織物である。
【0011】
本発明のいくつかの実施態様において、前記基層が遠赤外線繊維を含む織物であり、前記遠赤外線繊維がチタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)及びマグネシウム(Mg)の元素を含み、前記遠赤外線繊維がスカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びアンチモン(Sb)の元素を含まない。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様において、前記基層が遠赤外線繊維を含む織物であり、前記遠赤外線基層の繊維の総数に基づく前記遠赤外線繊維の割合が0%を超え、50%以下である。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様において、前記基層が縦方向(warp direction)及び横方向(weft direction)の両方で弾性繊維を含む織物であり、前記織物の縦繊維(warp fibers)の総数に基づく縦方向の弾性繊維の割合が0%を超え、12%以下であり、前記織物の横繊維(weft fibers)の総数に基づく横方向の弾性繊維の割合が0%を超え、12%以下である。
【0014】
本発明のいくつかの実施態様において、前記基層が縦方向及び横方向の両方で弾性繊維を含む織物であり、前記弾性繊維がポリエステル繊維及びポリウレタン繊維の1つ以上から選択される。
【0015】
本発明の上記目的、技術的特徴及び有利な点をより明らかにするために、以下にいくつかの実施態様を参照して本発明を詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施態様のパッチの粘着層の模様の概略図である。
【
図2】本発明のパッチを調製するために特に設計された糊付け装置の概略図である。
【
図3】対象が感じた痛みの評価結果を示すグラフである。
【
図4】対象の手及び足のしびれで引き起こされる苦痛の評価結果を示すグラフである。
【
図5】対象のいくつかの生理的状態で引き起こされる苦痛の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態のいくつかを以下に詳細に説明する。しかし、本発明は、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な実施形態で具体化することができ、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
明確化のために、添付された図面の中の各々の要素の大きさ及び各々の面積は、誇張され、実際の比率で描かれていない可能性がある。
【0019】
追加の説明がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載された表現「a」、「the」等は、単数形及び複数形の両方を含むものである。
【0020】
本明細書で用いられる用語「伸長度」は、伸長前のパッチの長さに対する伸長後のパッチの長さの比率を意味し、パーセント(%)で表される。例えば、伸長前のパッチの流れ方向の長さが10cmであり、伸長後の流れ方向の長さが15cmであれば、流れ方向のパッチの伸長度は150%である。
【0021】
本明細書で用いられる用語「弾性繊維」は、少なくとも125%の伸長度を有する繊維を意味する。
【0022】
先行技術と比較すると、本発明は、特別な糊付け工程を用いることによって本発明のパッチが流れ方向及び横断方向の両方で優れた伸長度を有するように、本パッチの基層の表面上に形成される波模様を有する粘着層を有する本発明のパッチを特徴とする。また、本発明のパッチの基層は、本発明のパッチが遠赤外線を放射し、血液循環を促進させ、患部の不快感をやわらげることができる遠赤外線繊維を含む遠赤外線基層であることができる。本発明のいくつかの実施態様において、本発明のパッチは、医療処置のための複合金属遠赤外線パッチである。本発明のパッチの構成及び調製方法を以下に詳細に記載する。
【0023】
1.パッチ
本発明のパッチは、基層と前記基層の表面上に形成された粘着層とを含む。本発明のパッチは、流れ方向及び横断方向の両方で少なくとも120%の伸長度を有する。本発明のパッチは、好ましくは流れ方向及び横断方向の両方で120%~300%の範囲の伸長度、例えば、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、200%、205%、210%、215%、220%、225%、230%、235%、240%、245%、250%、255%、260%、265%、270%、275%、280%、285%、290%若しくは295%の伸長度、又は本明細書に記載された何れかの2つの値の範囲内の伸長度を有する。上記の通り、伸長度は、伸長前のパッチの長さに対する伸長後のパッチの長さのパーセント値を意味する。
【0024】
1.1.基層
本発明のパッチにおいて、基層は、パッチに優れた伸長度を与える弾性繊維を含む。本発明のいくつかの実施態様において、基層は、遠赤外線繊維を含む遠赤外線基層である。本明細書中で用いるように、遠赤外線基層を含むパッチは、遠赤外線パッチとも呼ばれる。
【0025】
本発明のパッチの基層は、織物(fabric)又は不織布であることができ、様々な製織方法又は製織機械によって、又は当技術分野で公知の不織布の形成方法によって調製することができる。製織方法には、編成(knitting)方法及び編組(braiding)方法が含まれるが、これらに限定されない。不織布の形成方法には、スパンボンド法、水流交絡法、ニードルパンチ法、ケミカルボンド法及びサーマルボンド法が含まれるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施態様において、基層は遠赤外線基層であり、遠赤外線繊維、弾性繊維及び一般的繊維を編成方法で混合織成することで形成される織物である。ここで、一般的繊維は遠赤外線を放射せず、弾性がない繊維を意味する。
【0026】
1.1.1.弾性繊維
本明細書中で用いるように、弾性繊維は、高い破断伸度及び高い弾性回復性を有する合成繊維を意味する。特に、弾性繊維は、ポリエステル繊維及びポリウレタン繊維から選択される1つ以上である。ポリエステル繊維には、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)が含まれるが、これに限定されない。添付された実施例において、Spandex(米国のDuPontで発明された高弾性繊維)及びTPEEが用いられる。
【0027】
本発明のパッチの基層は、縦方向及び横方向の両方で弾性繊維を含む織物である。本明細書中で用いるように、縦方向及び横方向の弾性繊維は、それぞれ縦弾性繊維及び横弾性繊維とも呼ばれる。本発明のいくつかの実施態様において、織物の縦繊維の総数に基づく縦方向の弾性繊維の割合は、0%を超え、12%以下であり、例えば、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%若しくは11.5%、又は本明細書に記載された何れかの2つの値の範囲内である。本発明のいくつかの実施態様において、織物の横繊維の総数に基づく横方向の弾性繊維の割合は、0%を超え、12%以下であり、例えば、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%若しくは11.5%、又は本明細書に記載された何れかの2つの値の範囲内である。縦方向及び横方向で弾性繊維を12%以上含むパッチは、快適性及び通気性の観点で好ましくない。
【0028】
1.1.2.遠赤外線繊維
本明細書中で用いるように、遠赤外線繊維は、遠赤外線を放射することができる繊維である。遠赤外線繊維は、ポリマーマトリックス及びポリマーマトリックス中に分散された遠赤外線充填材を含む。本発明のいくつかの実施態様において、遠赤外線充填材には、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)及びマグネシウム(Mg)の元素が含まれる。好ましくは、遠赤外線充填材には、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、コバルト(Co)及びアンチモン(Sb)の元素が含まれない。上記の元素組成を有する遠赤外線充填材は、ヒトに完全に適した波長の遠赤外線、すなわち2μm~22μm、特に4μm~14μm、より特に6μm~6.5μmの範囲の波長の遠赤外線を放射することができる。
【0029】
上記元素に加えて、遠赤外線充填材は、遠赤外線を放射することができる他の元素を更に含むことができる。例えば、遠赤外線充填材は、ケイ素(Si)、銅(Cu)、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)及びガリウム(Ga)からなる群から選択される1つ以上の元素を更に含むことができる。
【0030】
遠赤外線繊維のポリマーマトリックスは、特に限定されない。ポリマーマトリックスの例には、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びTPEE)、ポリウレタン(PU)、ポリ(ビニルクロライド)(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、アミノ基含有ポリマー(例えば、ポリエチレンイミン(PEI))、及びシリコーンからなる群から選択される1つ以上のポリマーが含まれる。本発明のいくつかの実施態様において、遠赤外線繊維のポリマーマトリックスはTPEEを含む。
【0031】
遠赤外線繊維の形状は特に限定されない。例えば、遠赤外線繊維の長軸と垂直の断面は、円形、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形、X字形、Y字形又は十字形であることができるが、これらに限定されない。更に、中空の遠赤外線繊維であり、従って軽量でより弾力のあるものは、好ましい。
【0032】
遠赤外線繊維の製造方法は、特に限定されない。例えば、遠赤外線繊維は、上記の遠赤外線放出元素の酸素含有化合物、上記の遠赤外線放出元素の炭素含有化合物、上記の遠赤外線放出元素の酸素及び炭素含有化合物、又は上記の遠赤外線放出元素のアミノ基含有化合物の形態の遠赤外線充填材を提供すること、ポリマーマトリックスを遠赤外線充填材と混合すること、並びに繊維合成のための通常の製造方法、例えば、完全造粒法(full granulation method)、マスターバッチ法及び注入法等を用いて遠赤外繊維を製造することで、調製することができる。
【0033】
本発明の遠赤外線パッチにおいて、遠赤外線基層の繊維の総数に基づく遠赤外線繊維(すなわち、遠赤外線を放射する繊維)の割合は、0%を超え、50%以下であり、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%若しくは49%、又は本明細書に記載された何れかの2つの値の範囲内であるが、本発明はこれらに限定されない。
【0034】
本明細書に記載の通り、本発明の遠赤外線基層の遠赤外線繊維のポリマーマトリックスは、ポリウレタン(PU)及び熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)等の弾性材料であることができる。従って、遠赤外線繊維は、弾性繊維として用いることもできる。
【0035】
1.1.3.一般的繊維
遠赤外線繊維及び弾性繊維に加えて、本発明のパッチは、遠赤外線を放射せず、弾性がない一般的繊維を更に含むことができる。一般的繊維の例には、綿繊維、ポリエステル繊維、PU繊維、PVC繊維、PP繊維、PA繊維及びシリコーン繊維が含まれるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施態様において、基層は遠赤外線基層であり、遠赤外線基層の繊維の総数に基づく一般的繊維の割合は、0%を超え、52%以下であり、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%若しくは51%、又は本明細書に記載された何れかの2つの値の範囲内であるが、本発明はこれらに限定されない。
【0036】
1.1.4.抗菌材料
基層は、必要に応じて抗菌作用を提供するために抗菌材料を含むことができる。本明細書中で用いるように、抗菌材料は、微生物を駆除し、微生物の増殖を阻害することができる材料を意味する。抗菌材料の例には、酸化亜鉛、二酸化チタン及び酸化銀が含まれるが、これらに限定されない。上記の抗菌材料は、単独又は2つ以上を組み合せて用いることができる。本発明のいくつかの実施態様において、抗菌材料は、後処理で基層の繊維の表面上に付着される。抗菌材料は、好ましくはナノ粒子サイズである。抗菌材料は、例えば、10nm~100μmの平均粒子サイズであることができる。上記の後処理の例には、沈殿、スプレー、ゾル-ゲル、加熱蒸発蒸着、真空スパッター蒸着等が含まれる。後処理は、好ましくは真空スパッター蒸着である。好ましくは、スパッター蒸着の間、より多くの抗菌材料を基層の表面に付着させることができるように目標の材料から離される、基層の表面を覆う遮蔽シートが設置される。上記の遮蔽シートの例には、プラスティックシート、紙及び布が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
1.2.粘着層
本発明のパッチは、基層の表面上に形成された粘着層を含む。粘着層は、基層の表面上に粘着材料を塗付することで形成される。粘着材料の例には、天然ゴム、合成イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ブロック共重合体、ポリイソブチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)共重合体、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)共重合体、(メタ)アクリレート系共重合体、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、エチレン-ビニルアセテート(EVA)共重合体及びポリエステルが含まれるが、これらに限定されない。添付された実施例において、(メタ)アクリレート系共重合体(例えば、アクリル粘着剤)又はシリコーン樹脂が用いられる。
【0038】
本発明において、粘着材料は、形成されたパッチが流れ方向及び横断方向の両方で優れた伸長度を有するように特別な粘着剤塗付方法で基層の表面上に塗付される。対照的に、通常のパッチは、流れ方向又は横断方向にのみ引き伸ばすことができる。
【0039】
まず、通常のパッチでは、当業者に知られているように、パッチの底層の表面は通常、粘着層で全体が覆われている。すなわち、通常のパッチの底層の表面の面積の100%が粘着層で覆われている。通常のパッチは弾性繊維を含むとしても、その伸長度がそれ自体で非常に制限される。対照的に、本発明のパッチの粘着層は、
図1に示すような波模様を有し、粘着層が付着する基層の表面の全面積に基づく粘着層で覆われる面積は、95%以下のみである。本発明のいくつかの実施態様において、粘着層が付着する基層の表面の全面積に基づく粘着層で覆われる面積は、50%~80%、例えば51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%若しくは79%、又は本明細書に記載された何れかの2つの値の範囲内である。
【0040】
また、本発明のパッチにおいて、波模様を有する粘着層は、改良されたコンマ塗付工程で基層の上に形成される。
図2は、本発明のパッチを調製するために特に設計された糊付け装置の概略図である。糊付け装置は、塗付ローラー11及び切刃ローラー(blade roller)13を含む。塗付ローラー11は、基層15の表面上に粘着材料を塗付するために用いられ、溝111を有する。切刃ローラー13は、溝111中の過剰な粘着材料を削りとるために用いられる。通常のコンマ塗付工程と本発明における改良されたコンマ塗付工程との違いは、塗付ローラー11及び切刃ローラー13が、基層15の搬送方向に垂直な移動方向に沿って基層15の中心点当たりを周期的な往復運動で同期的に移動する点にある。溝111の幅は、1mm~6mm、例えば、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mm又は5.5mm等である。塗付ローラー11及び切刃ローラー13の移動頻度は、0.5mm/min~0.6mm/minである。周期的な往復運動の中心点に対する塗付ローラー11及び切刃ローラー13の中心点の最大変化が4mm~8mmであるように、塗付ローラー11及び切刃ローラー13は移動する。基層15の搬送速度は120m/hr~135m/hrである。改良されたコンマ塗付工程によって、本発明のパッチは、流れ方向だけではなく、横断方向にも優れた伸長度を有することができる。本発明のいくつかの実施態様において、材料のむだを避けるために、塗付ローラー11の幅は、好ましくは基層の幅より大きく、例えば、基層の幅より各々の端で3cm大きい。
【実施例0041】
2.実施例
2.1.遠赤外線パッチの調製
遠赤外線繊維、弾性繊維及び一般的繊維を、編成方法で織物に混合織成した。織物の繊維の総数に基づく遠赤外線繊維の割合が12%であり、織物の縦繊維の総数に基づく縦方向の弾性繊維の割合が4%であり、織物の横繊維の総数に基づく横方向の弾性繊維の割合が4%である織物を、遠赤外線基層として用いた。
【0042】
改良されたコンマ塗付工程を用いて、遠赤外線基層上に波模様を有する粘着層を形成させ、遠赤外線パッチを調製した。粘着層の成分はアクリル粘着剤である。コンマ塗付工程の条件は以下の通りである。塗付ローラー上の溝の幅は2.5mmである。塗付ローラー及び切刃ローラーの移動頻度は0.54mm/minである。周期的な往復運動の中心点に対する塗付ローラー及び切刃ローラーの中心点の最大変化が6mmであるように、塗付ローラー及び切刃ローラーは移動する。遠赤外線基層の搬送速度は128m/hrである。
【0043】
2.2.弾性試験
2.2.1.長手方向(longitudinal direction)に沿って切断されたパッチの伸長度
本明細書中で用いるように、長手方向に沿うパッチの切断は、本発明の遠赤外線パッチを遠赤外線パッチの流れ方向と平行に切断することを意味し、従って、遠赤外線パッチの長さ方向(length direction)は流れ方向に該当する。長手方向に切断された本発明の遠赤外線パッチは、長さ10cm及び幅3cmの長方形の形状を有する。
【0044】
まず、長手方向に切断された遠赤外線パッチを長さ方向に沿う一方の端で固定し、長さ方向に沿う遠赤外線パッチの他の端に600g又は1000gの力を加えて、長手方向に切断された遠赤外線パッチの長さ方向の伸長度を測定した。600gの力でパッチを伸長させた後の遠赤外線パッチの長さは18cmであり、1000gの力でパッチを伸長させた後の遠赤外線パッチの長さは19.4cmである。従って、600gの力でパッチを伸長させた後の長手方向に切断された遠赤外線パッチの長さ方向の伸長度は180%であり、1000gの力でパッチを伸長させた後の長手方向に切断された遠赤外線パッチの長さ方向の伸長度は194%である。
【0045】
その後、長手方向に切断された遠赤外線パッチを幅方向(width direction)に沿う一方の端で固定し、幅方向に沿う遠赤外線パッチの他の端に600g又は1000gの力を加えて、長手方向に切断された遠赤外線パッチの幅方向の伸長度を測定した。600gの力でパッチを伸長させた後の遠赤外線パッチの幅は5.6cmであり、1000gの力でパッチを伸長させた後の遠赤外線パッチの幅は6cmである。従って、600gの力でパッチを伸長させた後の長手方向に切断された遠赤外線パッチの幅方向の伸長度は187%であり、1000gの力でパッチを伸長させた後の長手方向に切断された遠赤外線パッチの幅方向の伸長度は200%である。
【0046】
2.2.2.垂直方向(transverse direction)に沿って切断されたパッチの伸長度
本明細書中で用いるように、垂直方向に沿うパッチの切断は、本発明の遠赤外線パッチを遠赤外線パッチの流れ方向と垂直に切断することを意味し、従って、遠赤外線パッチの長さ方向は垂直方向(すなわち、横断方向)に該当する。垂直方向に切断された本発明の遠赤外線パッチは、長さ10cm及び幅3cmの長方形の形状を有する。
【0047】
まず、垂直方向に切断された遠赤外線パッチを長さ方向に沿う一方の端で固定し、長さ方向に沿う遠赤外線パッチの他の端に600g又は1000gの力を加えて、垂直方向に切断された遠赤外線パッチの長さ方向の伸長度を測定した。600gの力でパッチを伸長させた後の遠赤外線パッチの長さは15.2cmであり、1000gの力でパッチを伸長させた後の遠赤外線パッチの長さは16.5cmである。従って、600gの力でパッチを伸長させた後の垂直方向に切断された遠赤外線パッチの長さ方向の伸長度は152%であり、1000gの力でパッチを伸長させた後の垂直方向に切断された遠赤外線パッチの長さ方向の伸長度は165%である。
【0048】
その後、垂直方向に切断された遠赤外線パッチを幅方向に沿う一方の端で固定し、幅方向に沿う遠赤外線パッチの他の端に600g又は1000gの力を加えて、垂直方向に切断された遠赤外線パッチの幅方向の伸長度を測定した。600gの力でパッチを伸長させた後の遠赤外線パッチの幅は4.6cmであり、1000gの力でパッチを伸長させた後の遠赤外線パッチの幅は5cmである。従って、600gの力でパッチを伸長させた後の垂直方向に切断された遠赤外線パッチの幅方向の伸長度は153%であり、1000gの力でパッチを伸長させた後の垂直方向に切断された遠赤外線パッチの幅方向の伸長度は167%である。
【0049】
2.3.有効性試験
2.3.1.試験方法
本発明の遠赤外線パッチの医療処置の効果を評価するために、本発明の発明者らによって66の対象を無作為に試験群と対照群に分けた。66の対象の中で、30の対象は男性であり、36の対象は女性であった。66の対象の年齢分布は表1に示される。まず、66の対象に、痛みの評価及び生活の質の評価を行った。次に、上記の実施例で調製された1ロールの遠赤外線パッチが、臨床試験の看護師又はコーディネーターの使用指示書及び安全上の注意と共に、それぞれの対象に提供された。対照群の対象は遠赤外線パッチを受け取らなかった。1週間後、66の対象に痛みの評価及び生活の質の評価を再度行った。その評価結果のグラフを
図3~
図5に示す。
【0050】
【0051】
2.3.2.データ分析
図3は、対象が感じた痛みの評価結果を示すグラフである。
図3中、対象の痛みのレベルを評価するために、数字0~10を用いた。数値が大きいほど、痛みのレベルが高く、0は痛みを感じないことを示し、10は最も重い痛みを感じたことを示す。
図3から分かるように、対象が本発明の遠赤外線パッチを1週間用いた後、試験群中の対象の痛みのレベルが有意に低下した。対照的に、対照群中の対象の痛みのレベルは僅かに増加した。
【0052】
図4は、対象の手及び足のしびれで引き起こされる苦痛の評価結果を示すグラフである。
図4中、対象の手及び足のしびれで引き起こされる苦痛のレベルを評価するために、数字1~5を用いた。数値が大きいほど、苦痛のレベルが高く、1は苦痛を感じないことを示し、5は最も重い苦痛を感じたことを示す。
図4から分かるように、対象が本発明の遠赤外線パッチを1週間用いた後、試験群中の対象の手及び足のしびれで引き起こされる苦痛のレベルが有意に低下した。対照的に、対照群中の対象の手及び足のしびれで引き起こされる苦痛のレベルは僅かに増加した。
【0053】
図5は、対象のいくつかの生理的状態で引き起こされる苦痛の評価結果を示すグラフである。
図5中、以下の8つの生理的状態:(1)筋肉痛、(2)胸部痛、(3)けいれん、(4)皮膚のかゆみ、(5)皮膚の乾燥、(6)手及び足のしびれ、(7)吐き気又は胸焼け、及び(8)静脈瘻が評価された。
図5中、対象の上記の生理的状態で引き起こされる苦痛のレベルを評価するために、数字1~5を用いた。数値が大きいほど、苦痛のレベルが高く、1は苦痛を感じないことを示し、5は最も重い苦痛を感じたことを示す。8つの生理的状態の合計は最大で40である。
図5から分かるように、対象が本発明の遠赤外線パッチを1週間用いた後、試験群中の対象の上記の生理的状態で引き起こされる苦痛のレベルが有意に低下した。対照的に、対照群中の対象の上記の生理的状態で引き起こされる苦痛のレベルは僅かに増加した。
【0054】
図3~
図5から分かるように、対象が本発明の遠赤外線パッチを1週間用いた後、試験群中の対象の痛みのレベル及び生理的状態で引き起こされる苦痛のレベルが有意に減少した。
【0055】
上記の実施例は、本発明の原理及び有効性を例証し、本発明の特徴を示すために用いられる。しかし、本発明の範囲を限定するためには用いられない。当業者は、本発明の原理及び趣旨から逸脱することなく、記載された本発明の開示及び示唆に基づいて、様々な変更及び置き換えを行うことができる。従って、本発明の保護の範囲は、添付された特許請求の範囲に定義されるものである。