(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022360
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】ロックボルト打設装置およびこれを用いるロックボルトの打設方法
(51)【国際特許分類】
E21B 19/24 20060101AFI20230208BHJP
E21D 20/00 20060101ALI20230208BHJP
E21B 7/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
E21B19/24
E21D20/00 X
E21B7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127036
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】能代 泰範
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA04
2D129AB09
2D129BA07
2D129DC09
(57)【要約】
【課題】ロックボルト打設装置のサイズおよび重量を低減可能とし、装置を小型化して製造コストを抑える。
【解決手段】ロックボルト打設装置100は、ガイドシェル2と、ガイドシェル2の一の面に当該ガイドシェル2の軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたドリフタ1と、ガイドシェル2に一の面とは相対する他の面に軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたロックボルト挿入装置4と、ガイドシェル2を旋回させて、さく孔装置1を作業軸線CL上に位置させるさく孔姿勢と、ロックボルト挿入装置4を作業軸線上に位置させる挿入姿勢と、に旋回作動可能な姿勢切換機構24と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドシェルと、
前記ガイドシェルの一の面に当該ガイドシェルの軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたさく孔装置と、
前記ガイドシェルに前記一の面とは相対する他の面に前記軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたロックボルト挿入装置と、
前記ガイドシェルを旋回させて、前記さく孔装置を作業軸線上に位置させるさく孔姿勢と前記ロックボルト挿入装置を前記作業軸線上に位置させる挿入姿勢とに旋回作動可能な姿勢切換機構と、
を備えることを特徴とするロックボルト打設装置。
【請求項2】
前記さく孔装置を前記ガイドシェルに沿ってスライド移動可能に支持するさく孔装置用キャリッジと、
前記ロックボルト挿入装置を前記ガイドシェルに沿ってスライド移動可能に支持するロックボルト挿入装置用キャリッジと、
前記さく孔装置用キャリッジおよび前記ロックボルト挿入装置用キャリッジの一方を選択してその選択されているキャリッジを前記ガイドシェルに沿ってスライド移動させるキャリッジ駆動機構と、
を有する請求項1に記載のロックボルト打設装置。
【請求項3】
前記キャリッジ駆動機構は、前記ガイドシェルに沿って張設されたフィードチェーンと、前記さく孔装置用キャリッジおよび前記ロックボルト挿入装置用キャリッジにそれぞれ設けられて各キャリッジを前記フィードチェーンに係脱可能なキャリッジ選択機構と、を有し、
前記キャリッジ選択機構は、前記ガイドシェルに搭載されて、前記さく孔装置用キャリッジおよび前記ロックボルト挿入装置用キャリッジのうちいずれか一方のみを前記フィードチェーンに選択的に係合およびその開放が可能なクランプ部と、該クランプ部の係合およびその開放動作をさせるクランプシリンダと、を有する、
請求項2に記載のロックボルト打設装置。
【請求項4】
前記キャリッジ駆動機構は、前記さく孔装置用キャリッジおよび前記ロックボルト挿入装置用キャリッジに対して共通のフィードモータを有し、
前記フィードモータは、前記キャリッジ選択機構で選択されているキャリッジのみをスライド移動させる請求項2または3に記載のロックボルト打設装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のロックボルト打設装置を用い、
前記姿勢切換機構によって前記ガイドシェルを旋回させて、前記さく孔姿勢でのさく孔作業と、前記挿入姿勢でのロックボルト挿入作業と、を行うことを特徴とするロックボルトの打設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル施工、鉱山坑道掘削及び補強土作業等においてロックボルトの打設作業を行うためのロックボルト打設装置およびこれを用いるロックボルトの打設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル施工や鉱山坑道掘削作業において、発破による切羽掘進と並行して、トンネル、坑道壁面の補強を目的としてロックボルトの打設が行われている。
ロックボルトの打設作業は、ドリルジャンボで切羽掘削を行った後に、例えば特許文献1に記載されるように、複合シェルを備えるロックボルト打設専用機を用いてロックボルトを打設する。
複合シェルには、さく孔装置、モルタル注入装置、およびロックボルト挿入装置が同一軸線上を進退可能なように、少なくとも、さく孔用ガイドシェルおよびボルト挿入用ガイドシェルをそれぞれ装備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のロックボルト打設装置は、さく孔用およびボルト挿入用の二軸それぞれに専用のガイドシェルを装備する必要がある。そのため、ロックボルト打設装置のサイズや重量が増大して、ロックボルト打設装置を搭載する車両の大型化を招き、小断面トンネルや坑道での稼働が制限されたり、製造コストが嵩んだりするなどの問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、ロックボルト打設装置のサイズおよび重量を低減可能とし、装置を小型化して製造コストを抑えることができるロックボルト打設装置およびこれを用いるロックボルトの打設方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るロックボルト打設装置は、ガイドシェルと、前記ガイドシェルの一の面に当該ガイドシェルの軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたさく孔装置と、前記ガイドシェルに前記一の面とは相対する他の面に前記軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたロックボルト挿入装置と、前記ガイドシェルを旋回させて、前記さく孔装置を作業軸線上に位置させるさく孔姿勢と前記ロックボルト挿入装置を前記作業軸線上に位置させる挿入姿勢とに旋回作動可能な姿勢切換機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るロックボルトの打設方法は、本発明の一態様に係るロックボルト打設装置を用い、前記姿勢切換機構によって前記ガイドシェルを旋回させて、前記さく孔姿勢でのさく孔作業と、前記挿入姿勢でのロックボルト挿入作業と、を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロックボルト打設装置のサイズおよび重量を低減可能とし、装置を小型化して製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一態様に係るロックボルト打設装置の第一実施形態の説明図であり、同図(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は
図1(b)でのD矢視方向から見た図である。
【
図2】第一実施形態のロックボルト打設装置での姿勢切り替え動作を説明する図であって、
図1(b)に示すD矢視方向から見たときに、2図(a)は、作業軸線上にさく孔装置を位置させたさく孔姿勢を示し、(b)は作業軸線上に注入パイプを位置させた注入姿勢を示し、(c)は作業軸線上にロックボルト挿入装置を位置させた挿入姿勢を示し、(d)はさく孔姿勢において、ロックボルト挿入装置にマガジンからロックボルトを受け渡している状態を示している。
【
図3】第一実施形態のロックボルト打設装置での姿勢切り替え動作の説明図であり、同図(a)は
図2(a)でのA矢視図であって、作業軸線上にさく孔装置を位置させたさく孔姿勢を示し、同図(b)は
図2(b)でのB矢視図であって、作業軸線上に注入パイプを位置させた注入姿勢を示し、同図(c)は
図2(c)でのC矢視図であって、作業軸線上にロックボルト挿入装置を位置させた挿入姿勢を示している。
【
図4】キャリッジおよびキャリッジ駆動機構の第一態様を説明する図であり、同図(a)は
図1(b)でのD矢視方向から見た要部拡大図、(b)は同図(a)でのZ-Z断面図であって、クランプシリンダがさく孔装置用キャリッジをクランプしている状態を示し、(c)は同図(a)でのY-Y断面での部分図、(d)は同図(a)でのZ-Z断面図であって、クランプシリンダがロックボルト挿入装置用キャリッジをクランプしている状態を示している。
【
図5】キャリッジおよびキャリッジ駆動機構の第二態様を説明する図であり、同図(a)は
図1(b)でのD矢視方向から見た要部拡大図、(b)は同図(a)でのY-Y断面での部分図を示している。
【
図6】本発明の一態様に係るロックボルト打設装置の第二実施形態の説明図であり、同図(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は
図6(b)でのD矢視方向から見た図である。
【
図7】第二実施形態のロックボルト打設装置での姿勢切り替え動作を説明する図であって、
図6(b)に示すD矢視方向から見たときに、7図(a)は、作業軸線上にさく孔装置を位置させたさく孔姿勢を示し、(b)は作業軸線上に注入パイプを位置させた注入姿勢を示し、(c)は途中の姿勢において、ロックボルト挿入装置にマガジンからロックボルトを受け渡している状態を示し、(d)は作業軸線上にロックボルト挿入装置を位置させた挿入姿勢を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0011】
図1に示すように、第一実施形態のロックボルト打設装置100は、基台20と、基台20から側方に張り出すように固定されたベースアーム21と、ベースアーム21の先端に、基端部が回動自在に連結されたスイングアーム22と、ベースアーム21に対してスイングアーム22を回動させるように付設されたスイングシリンダ23と、を有する。基台20は、図示しないロックボルト打設台車のブーム先端に設けられる。
【0012】
ここで、第一実施形態のロックボルト打設装置100は、スイングアーム22の先端に、一のガイドシェル2が装備されている。第一実施形態のガイドシェル2には、一の面にドリフタ1がさく孔装置として配設されるとともに、一の面とは相対する他の面にロックボルト挿入装置4が配設されている。
【0013】
ドリフタ1は、当該ガイドシェル2の軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたさく孔装置である。また、ロックボルト挿入装置4は、ガイドシェル2に一の面とは相対する他の面にて軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されている。
【0014】
また、ガイドシェル2には、注入パイプ送り装置12が側方に張り出すように付設されている。ガイドシェル2の先端側には、切換アクチュエータ11の駆動により回動可能な切換プレート10が装備されており、さく孔位置から注入位置に切換プレート10を切り替え、注入パイプ送り装置12により、注入パイプ13をさく孔穴Dhに挿入して注入材をさく孔穴Dhに注入可能になっている(
図3(b)参照)。
【0015】
さらに、第一実施形態のロックボルト打設装置100では、
図1および
図2に示すように、ベースアーム21の側部からロックボルト挿入装置4の側に張り出すように、作業軸線(打設軸線)CLと並行にマガジン14が装着されている。
【0016】
マガジン14には、複数本のロックボルトBが周方向に離隔して装填可能な構造となっている。マガジン14は、マガジン回転用のアクチュエータの駆動に応じてその中心軸まわりに回転自在になっている。ロックボルト挿入装置4は、マガジン14との受け渡し位置に回動されたときに、マガジン14からロックボルトBを直接的に受け渡し可能に構成されている。
【0017】
そして、第一実施形態のロックボルト打設装置100では、上記ベースアーム21、スイングアーム22およびスイングシリンダ23によって、ガイドシェル2をスイングアーム22先端の軸回りに旋回させて、ドリフタ1を後述の作業軸線(ドリフタ1によるさく孔軸線)CL上に位置させるさく孔姿勢Da(
図2(a)参照)と、ロックボルト挿入装置4を作業軸線(ロックボルト挿入装置4による打設軸線)CL上に位置させる挿入姿勢Pa(
図2(c)参照)と、に旋回作動可能な姿勢切換機構24が構成されている。
【0018】
さらに、第一実施形態のロックボルト打設装置100では、ドリフタ1およびロックボルト挿入装置4を交互にガイドシェル2の作業軸線CL上で前後進させるために、ガイドシェル2の内部に、
図1(b)および
図4に示すように、ガイドシェル2の軸線に沿ってドリフタ1およびロックボルト挿入装置4を進退可能に構成されたキャリッジ駆動機構5が設けられている。
【0019】
キャリッジ駆動機構5は、
図1(b)に示すように、ガイドシェル2に沿って張設されるとともに、前後のスプロケットに無限循環可能に巻回されたフィードチェーン6と、キャリッジ選択機構8と、を備える。
【0020】
第一実施形態のロックボルト打設装置100では、
図4に示すように、ドリフタ1をガイドシェル2に対してその軸方向に沿ってスライド移動可能に支持するさく孔装置用キャリッジ3Aと、ロックボルト挿入装置4をガイドシェル2に対してその軸方向に沿ってスライド移動可能に支持するロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bと、さく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bの一方を選択可能なキャリッジ選択機構8と、キャリッジ選択機構8で選択されているキャリッジを駆動するフィードモータ7と、を有する。
【0021】
キャリッジ選択機構8は、ガイドシェル2に搭載されて、フィードチェーン6との対向方向で進退されることでフィードチェーン6に係脱可能に設けられたクランプ部9と、クランプ部9をフィードチェーン6との対向方向に進退させるように各キャリッジ3A、3Bにそれぞれ設置したクランプシリンダ8A、8Bと、を有する。
【0022】
クランプシリンダ8Aは、そのシリンダ側がさく孔装置用キャリッジ3Aに固定されるとともに、ピストンロッド側がクランプ部9の係脱に対応して進退するように設けられている。また、クランプシリンダ8Bは、そのシリンダ側がロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bに固定されるとともに、ピストンロッド側がクランプ部9の係脱に対応して進退するように設けられている。
【0023】
図4(第一態様)では、フィードチェーン6が単列一本掛けとされており、キャリッジ駆動機構5は、いずれか一方のクランプシリンダ8A、8Bの駆動でクランプ部9によりフィードチェーン6をクランプした側にフィードモータ7の動力が伝わる構造になっている。
【0024】
より詳しくは、ガイドシェル2には、さく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bのうち、選択されたキャリッジ3A、3Bをガイドシェル2の軸方向に沿ってスライド移動可能に張設されたフィードチェーン6が設けられている。
フィードチェーン6は、外リンクと内リンクを交互に組合せて連結されたローラチェーンであり、フィード方向に多数のローラが並んでいる。そして、クランプ部9は、フィードチェーン6のローラ間に挿入可能な複数の係合爪を有しており、
図4(b)、(d)に示すように、複数の係合爪がクランプシリンダ8A、8Bの進退駆動によってフィードチェーン6のローラ間に挿抜されることでフィード力の伝達およびその解除が可能になっている。
【0025】
これにより、キャリッジ選択機構8は、さく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bのうちの一方のクランプシリンダ8A、8Bの進退駆動によって、クランプ部9をフィードチェーン6に選択的に係合およびその開放させる。
【0026】
第一実施形態のロックボルト打設装置100では、さく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bは、共通のフィードモータ7を有し、フィードモータ7は、キャリッジ選択機構8で選択されているキャリッジのみをスライド移動させる。
【0027】
次に、
図2~
図4を適宜参照しつつ、第一実施形態のロックボルト打設装置100による打設作業について説明する。
図2(a)に示すように、まず、姿勢切換機構24のスイングシリンダ23を伸長してスイングアーム22を正面視で時計方向に回動させ、ガイドシェル2の回動位置を、同図(a)および
図3(a)に示すさく孔姿勢Daに位置させる。
【0028】
そして、さく孔姿勢Daに位置させた状態において、
図4(b)に示すように、キャリッジ選択機構8のクランプシリンダ8A、8Bをさく孔装置用キャリッジ3A側に進退駆動させて、クランプ部9によりさく孔装置用キャリッジ3A側を選択してフィードチェーン6に係合させるとともに、共通のフィードモータ7を駆動し、ドリフタ1を作業軸線CL上で軸方向前方にフィードさせてさく孔を行う。
【0029】
次いで、
図2(b)に示すように、切換アクチュエータ11の駆動により、ガイドシェル先端の切換プレート10を回動して、さく孔位置から注入位置に切換プレート10を切り替え、注入パイプ送り装置12により、注入パイプ13をさく孔穴Dhに挿入して注入材をさく孔穴Dhに注入する。このとき、ドリフタ1の側の軸心は、
図3(b)に示すように、ドリルロッドを撓ませることで回動位置に追従させる。
【0030】
次いで、マガジン14に収容されたロックボルト15をロックボルト挿入装置4で直接クランプする。注入パイプ13の回収を完了した後に、
図2(c)に示すように、姿勢切換機構24のスイングシリンダ23の短縮駆動によりスイングアーム22を正面視で反時計方向に回動させ、
図2(c)および
図3(c)に示すように、ガイドシェル2の姿勢をさく孔姿勢DaからロックボルトBを挿入するための挿入姿勢Paへと切り替える。
【0031】
ガイドシェル2の回動による姿勢の切り替えによって、
図2(d)に示すように、ガイドシェル2の姿勢が挿入姿勢Paに切り替えられたら、スイングアーム22のスイング作動によってロックボルト挿入装置4の作業軸線(ロックボルト挿入装置4による打設軸線)CLにロックボルトBをセットする。
【0032】
そして、挿入姿勢Paに位置させた状態において、
図4(d)に示すように、キャリッジ選択機構8のクランプシリンダ8A、8Bをロックボルト挿入装置用キャリッジ3B側に進退駆動させ、クランプ部9によりロックボルト挿入装置用キャリッジ3B側を選択してフィードチェーン6に係合させるとともに、共通のフィードモータ7を駆動し、ロックボルト挿入装置4を作業軸線CL上で軸方向前方にフィードさせてさく孔穴DhへとロックボルトBを挿入して打設作業が完了する。
【0033】
次に、第一実施形態のロックボルト打設装置100およびこれを用いたロックボルトBの打設方法の作用効果について説明する。
ここで、上述したように、特許文献1記載のロックボルト打設装置は、さく孔用およびボルト挿入用の二軸それぞれに専用のガイドシェルを装備する必要がある。そのため、ロックボルト打設装置のサイズや重量が増大して搭載車両の大型化を招き、そのため、小断面トンネルや坑道での稼働が制限されたり、製造コストが嵩んだりするなどの問題がある。
【0034】
これに対し、第一実施形態のロックボルト打設装置100によれば、ガイドシェル2と、ガイドシェル2の一の面にガイドシェル2の軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたさく孔装置であるドリフタ1と、ガイドシェル2に一の面とは相対する他の面に軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたロックボルト挿入装置4と、ガイドシェル2をその軸回りに旋回させて、ドリフタ1を作業軸線CL上に位置させるさく孔姿勢Daとロックボルト挿入装置4を作業軸線CL上に位置させる挿入姿勢Paとに旋回作動可能な姿勢切換機構24と、を備えるので、姿勢切換機構24によって一のガイドシェル2によるさく孔姿勢Daでのさく孔作業と、挿入姿勢Paでのロックボルト挿入作業を行うことができる。そのため、ロックボルト打設装置100のサイズおよび重量を低減可能とし、装置を小型化して製造コストを抑えることができる。
【0035】
また、第一実施形態のロックボルト打設装置100によれば、ドリフタ1をガイドシェル2に沿ってスライド移動可能に支持するさく孔装置用キャリッジ3Aと、ロックボルト挿入装置4をガイドシェル2に沿ってスライド移動可能に支持するロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bと、さく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bの一方を選択してその選択されているキャリッジをガイドシェル2に沿ってスライド移動させるキャリッジ駆動機構5と、を有するので、ロックボルト打設装置100のサイズおよび重量を低減し、装置を小型化して製造コストを抑えるためのキャリッジおよびその駆動用機構として好適である。
【0036】
また、第一実施形態のロックボルト打設装置100によれば、キャリッジ駆動機構5は、ガイドシェル2に沿って張設されたフィードチェーン6と、さく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bにそれぞれ設けられて各キャリッジ3A、3Bをフィードチェーン6に係脱可能なキャリッジ選択機構8と、を有し、キャリッジ選択機構8は、さく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bのうちいずれか一方のみをフィードチェーン6に選択的に係合およびその開放が可能なクランプ部9と、クランプ部9の係合およびその開放動作をさせるクランプシリンダ8A、8Bと、をガイドシェル2に装備しているので、ロックボルト打設装置100のサイズおよび重量を低減し、装置を小型化して製造コストを抑えるために用いるキャリッジおよびその駆動用機構としてより好適である。
【0037】
また、第一実施形態のロックボルト打設装置100によれば、さく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bは、共通のフィードモータ7を有し、フィードモータ7は、キャリッジ選択機構8で選択されているキャリッジのみを稼働させるので、装置を小型化して製造コストを抑えるために用いるキャリッジの駆動用機構としてより一層優れている。
【0038】
以上説明したように、このロックボルト打設装置100およびこれを用いたロックボルトの打設方法によれば、ロックボルト打設装置のサイズおよび重量を低減可能とし、装置を小型化して製造コストを抑えることができる。なお、本発明に係るロックボルト打設装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
【0039】
例えば、上記第一実施形態のロックボルト打設装置100ではさく孔装置用キャリッジ3Aおよびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bは、共通のフィードモータ7を有する構成例を示したが、これに限定されない。
例えば、さく孔装置用キャリッジ3Aのキャリッジ駆動機構およびロックボルト挿入装置用キャリッジ3Bのキャリッジ駆動機構として、フィードモータ7をそれぞれ専用に有する構成とすることができる。
この場合において、各フィードモータ7は、切換機構で選択されている側のキャリッジのみを駆動するように選択的に制御する。このような構成であってもキャリッジ用の駆動機構を構成できる。
【0040】
また、例えば上記第一実施形態のロックボルト打設装置100では、
図4(第一態様)にてフィードチェーン6が単列一本掛けの例を示したが、これに限定されず、例えば
図5に第二態様を示すように、キャリッジ駆動機構5として、フィードチェーン6を上下に配置して複列二本掛けとし、各キャリッジ3A、3Bに対して、上下二本のフィードチェーン6に同時にクランプ部9を係合させることによって、係合した側のキャリッジ(3A若しくは3B)を選択して前後進させるように構成してもよい。
【0041】
また、例えば上記第一実施形態のロックボルト打設装置100では、ベースアーム21の側部からロックボルト挿入装置4の側に張り出すように、打設軸線CLと並行にマガジン14が装着され、ロックボルト挿入装置4は、マガジン14との受け渡し位置に回動されたときに、マガジン14からロックボルトBを直接的に受け渡し可能な例を示したが、これに限定されない。
【0042】
例えば、
図6および
図7に第二実施形態を示す。
図6に示すように、第二実施形態のロックボルト打設装置100では、スイングアーム22の側にマガジン14、および、ボルトを受け渡し可能なクランプアーム16が設けられた一体型となっており、マガジン14からロックボルト挿入装置4に対して、クランプアーム16の受け渡し作動を介してロックボルトBの受け渡しが行われるようになっている点が上記第一実施形態と相違する。他の構成については、上記第一実施形態のロックボルト打設装置100と同様である。
【0043】
つまり、第二実施形態のロックボルト打設装置100においても、ガイドシェル2の一の面に当該ガイドシェル2の軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたさく孔装置であるドリフタ1と、ガイドシェル2に一の面とは相対する他の面に軸方向に沿ってスライド移動可能に配設されたロックボルト挿入装置4と、ガイドシェル2を旋回させて、ドリフタ1を作業軸線CL上に位置させるさく孔姿勢Daと、ロックボルト挿入装置4を作業軸線CL上に位置させる挿入姿勢Paと、に旋回作動可能な姿勢切換機構24と、を備える。
【0044】
これにより、第二実施形態の構成であっても、
図7に第二実施形態のロックボルト打設装置100での姿勢切り替え動作を示すように、上記第一実施形態同様に、姿勢切換機構24によって一のガイドシェル2によるさく孔姿勢Daでのさく孔作業と、挿入姿勢Paでのロックボルト挿入作業を行うことができるため、ロックボルト打設装置100のサイズおよび重量を低減可能とし、装置を小型化して製造コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ドリフタ (さく孔装置)
2 ガイドシェル
3A さく孔装置用キャリッジ
3B ロックボルト挿入装置用キャリッジ
4 ロックボルト挿入装置
5 キャリッジ駆動機構
6 フィードチェーン
7 フィードモータ
8 キャリッジ選択機構
8A、8B クランプシリンダ
9 クランプ部
10 切換プレート
11 切換アクチュエータ
12 注入パイプ送り装置
13 注入パイプ
14 マガジン
16 クランプアーム
17 スイングシリンダ
18 セントラライザ
20 基台
21 ベースアーム
22 スイングアーム
23 スイングシリンダ
24 姿勢切換機構
100 ロックボルト打設装置
B ロックボルト
R ロッド
Dh さく孔穴
Da さく孔姿勢
Pa 挿入姿勢