(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022368
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】リモート操作システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20230208BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127051
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】角 英樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 章
【テーマコード(参考)】
3C100
5E353
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100AA52
3C100AA59
3C100AA63
3C100BB13
3C100BB17
3C100BB33
3C100CC02
3C100EE07
5E353CC04
5E353CC21
5E353CC23
5E353CC30
5E353KK03
5E353LL03
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】エラーの解消処理に対するスキルにオペレータの個人差がある場合であってもエラーの解消作業が停滞しないリモート操作システムを提供することを目的とする。
【解決手段】複数のリモート監視部4のそれぞれは、そのリモート監視部4のオペレータがエラーの種別ごとに対応の可否を設定する対応可否設定部54と、オペレータが対応可否設定部54で設定したエラーの種別ごとの対応の可否の情報をサーバ3に送信する送信部41bを備える。サーバ3は、作業ライン2にエラーが発生した場合に、そのエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部4を特定し、その特定したリモート監視部4を除く残りのリモート監視部の中から1つのリモート監視部4を選択する選択部32と、選択部32が選択した1つのリモート監視部4にエラーの情報を転送する転送部33を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ラインと、サーバと、複数のリモート監視部とを備え、前記作業ラインに発生したエラーの情報を前記サーバ経由で前記複数のリモート監視部のいずれかに転送し、前記エラーの情報の転送を受けた前記リモート監視部のオペレータがそのエラーを解消するための操作を前記サーバ経由で行うことで前記作業ラインに発生したエラーをリモート操作で解消することが可能なリモート操作システムであって、
前記複数のリモート監視部のそれぞれは、
そのリモート監視部のオペレータがエラーの種別ごとに対応の可否を設定する対応可否設定部と、
オペレータが前記対応可否設定部で設定したエラーの種別ごとの対応の可否の情報を前記サーバに送信する送信部と、を備え、
前記サーバは、
前記作業ラインにエラーが発生した場合に、そのエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部を特定し、その特定したリモート監視部を除いた残りのリモート監視部の中から1つのリモート監視部を選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記1つのリモート監視部に前記エラーの情報を転送する転送部と、
を備えたリモート操作システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記複数のリモート監視部それぞれと、前記複数のリモート監視部それぞれのオペレータが対応不可としているエラーの種別との対応関係である対応可否情報を記憶する記憶部を有し、前記選択部は、前記記憶部に記憶された前記対応可否情報に基づいて、前記作業ラインに発生したエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部を特定する、請求項1に記載のリモート操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ラインに発生したエラーをリモート監視部からのリモート操作で解消することが可能なリモート操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の作業装置から成る作業ラインにエラーが発生した場合に、そのエラーをリモート監視部からのリモート操作で解消することができるリモート操作システムが知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。このようなリモート操作システムでは、作業ラインにエラーが発生すると、そのエラーの情報が複数のリモート監視部の中から選択された1つのリモート監視部に転送され、そのリモート監視部を担当するオペレータにそのエラーの解消操作(解消処理)が依頼される。このときエラー情報の転送先となる1つのリモート監視部は、リモート監視部同士の間に差はない、すなわちどのオペレータにエラーの解消処理を依頼しても差は生じないという前提のもと、単純に、オペレータが最後にエラー解消処理を行ってから最も時間が経過しているリモート監視部が選ばれることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エラーの解消処理に対するスキル(処理スキル)にはオペレータの個人差があり、エラーの処理依頼がそのエラーに対する処理スキルが低いオペレータになされてしまうと、そのエラーの解消処理のみならず作業ラインの全体としてのエラーの解消処理が滞ってしまうおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、エラーの解消処理に対するスキルにオペレータの個人差がある場合であってもエラーの解消作業が停滞しないリモート操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリモート操作システムは、作業ラインと、サーバと、複数のリモート監視部とを備え、前記作業ラインに発生したエラーの情報を前記サーバ経由で前記複数のリモート監視部のいずれかに転送し、前記エラーの情報の転送を受けた前記リモート監視部のオペレータがそのエラーを解消するための操作を前記サーバ経由で行うことで前記作業ラインに発生したエラーをリモート操作で解消することが可能なリモート操作システムであって、前記複数のリモート監視部のそれぞれは、そのリモート監視部のオペレータがエラーの種別ごとに対応の可否を設定する対応可否設定部と、オペレータが前記対応可否設定部で設定したエラーの種別ごとの対応の可否の情報を前記サーバに送信する送信部と、を備え、前記サーバは、前記作業ラインにエラーが発生した場合に、そのエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部を特定し、その特定したリモート監視部を除いた残りのリモート監視部の中から1つのリモート監視部を選択する選択部と、前記選択部が選択した前記1つのリモート監視部に前記エラーの情報を転送する転送部と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エラーの解消処理に対するスキルにオペレータの個人差がある場合であってもエラーの解消作業が停滞しないリモート操作システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムの概略構成図
【
図2】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムの作業ラインを構成する部品実装装置の要部側面図
【
図3】本発明の一実施の形態における部品実装装置の一部の斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムの制御系統を示すブロック図
【
図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムが備えるリモート監視部のディスプレイ装置に表示されるエラー解消操作画面の一例を示す図
【
図6】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムが備えるリモート監視部のディスプレイ装置に表示されるオペレータ自己設定画面の一例を示す図
【
図7】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムの作業ラインの部品実装装置の制御部が行う処理の流れを示すフローチャート
【
図8】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムのサーバが行う処理の流れを示すフローチャート
【
図9】本発明の一実施の形態におけるリモート操作システムのリモート監視部の制御部が行う処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態におけるリモート操作システム1を示している。リモート操作システム1は、作業ライン2、サーバ3および複数のリモート監視部4を備えて構成されている。作業ライン2は、本実施の形態では、基板KBに部品を装着する作業装置である部品実装装置2Aが複数台直列に並べられて成る。
【0010】
先ず、部品実装装置2Aについて説明する。部品実装装置2Aは、
図2に示すように、基台11、搬送コンベア12、テープフィーダ13、ヘッド移動機構14、装着ヘッド15、基板カメラ16および部品カメラ17を備えている。搬送コンベア12は基台11上を水平方向に延びており、一端側から他端側に向けて、基板KBを水平方向に搬送する。
【0011】
テープフィーダ13は内蔵したスプロケット13S(
図3も参照)により、リールRLに巻き付けられたキャリアテープCTを引き出して搬送する。キャリアテープCTには多数の部品が一列に並んだ状態で封入されている。テープフィーダ13はキャリアテープCTを搬送コンベア12側の端部側に向けて間欠動作で送ることで、所定の部品供給位置13Kに部品BHを連続的に供給する。
【0012】
ヘッド移動機構14は例えばXYテーブル機構から成り、装着ヘッド15を水平面内で移動させる。装着ヘッド15は上下方向の下方に延びた複数のノズル15Nを備えている。装着ヘッド15は、各ノズル15Nの下端にテープフィーダ13が供給する部品BHを吸着させることができる(
図3も参照)。
【0013】
図2および
図3において、基板カメラ16は撮像光軸を下方に向けた姿勢で装着ヘッド15に取り付けられている。基板カメラ16は装着ヘッド15と一体となって水平面内方向に移動する。
【0014】
図2において、部品カメラ17は撮像光軸を上方に向けた姿勢で基台11に取り付けられている。部品カメラ17は、部品BHを吸着した装着ヘッド15が基板KBの上方へ移動する際、その部品BHを下方から撮像する。
【0015】
部品実装装置2Aの制御部である実装装置制御部18(
図2)は、その部品実装装置2Aの各部の動作を制御する(
図4)。具体的には、実装装置制御部18は、搬送コンベア12による基板KBの搬送動作を制御し、各テープフィーダ13による部品供給位置13Kへの部品BHの供給動作を制御する。また実装装置制御部18は、ヘッド移動機構14が装着ヘッド15を移動させる動作を制御し、装着ヘッド15がノズル15Nにより部品BHを吸着する動作を制御する。また実装装置制御部18は、基板カメラ16の撮像動作を制御し、部品カメラ17の撮像動作を制御する。基板カメラ16の撮像により得られた画像データと部品カメラ17の撮像により得られた画像データはそれぞれ、実装装置制御部18に送られる。
【0016】
部品実装装置2Aは、基板KBに部品BHを装着する作業(部品装着作業)を行う場合には、先ず、搬送コンベア12により基板KBを搬入して作業位置に位置決めする。基板KBが作業位置に位置したら装着ヘッド15を基板KBの上方に移動させ、基板カメラ16により基板KBを撮像する。実装装置制御部18は、基板カメラ16が基板KBを撮像して得た画像データに基づいて、基板KBを認識する。
【0017】
部品実装装置2Aが基板KBを認識したら、テープフィーダ13は部品BHを部品供給位置13Kに連続的に供給し、装着ヘッド15はテープフィーダ13の上方と基板KBの上方との間を移動して装着ターンを繰り返し実行する。装着ヘッド15の装着ターンは、テープフィーダ13が供給する部品BHをノズル15Nにより吸着する動作と、吸着した部品BHが部品カメラ17の上方領域(部品カメラ17の撮像視野)を通過する経路で基板KBの上方へ移動する動作と、基板KBの上方から部品BHを基板KBに装着する動作から成る。
【0018】
部品カメラ17は部品BHが撮像視野を通過するときにその部品BHを下方から撮像し、実装装置制御部18は部品カメラ17が部品BHを撮像して得た画像データにも基づいて、部品BHを認識する。部品BHの認識結果と基板KBの認識結果は、装着ヘッド15が部品BHを基板KBに装着する際のノズル15Nの位置補正等に利用される。
【0019】
装着ヘッド15による装着ターンが繰り返し実行され、必要な部品BHがすべて基板KBに装着されたら、搬送コンベア12はその基板KBを作業位置から搬出する。そして搬送コンベア12は、次の基板KBを新たに搬入する。
【0020】
部品実装装置2Aは上記のような手順で部品装着作業を実行するが、その過程においては何らかのエラーが発生することがある。何らかのエラーが発生した場合には、部品実装装置2Aは部品装着作業の全部または一部を中断して、エラー解消モードに入る。そして、エラーが発生した箇所(エラー発生箇所)を特定し、その特定したエラー発生箇所の上方に基板カメラ16を移動させて、基板カメラ16にエラー発生箇所を撮像させる。例えば、装着ヘッド15が或るテープフィーダ13から連続して部品BHの吸着ミスを起こしたような場合には、そのテープフィーダ13の部品供給位置13Kをエラー発生箇所として特定し、そのエラー発生箇所を基板カメラ16に撮像させる。このとき基板カメラ16はエラー発生箇所の静止画を撮像し、あるいはリアルタイムで動画を撮像する。
【0021】
エラーが発生した部品実装装置2Aの実装装置制御部18は、基板カメラ16がエラー発生箇所を撮像し、得られる画像データをエラー情報としてサーバ3に送信する(
図4)。このとき実装装置制御部18からサーバ3に送信されるエラー情報(画像データ)は、エラー発生箇所の静止画データもしくは動画データである。
【0022】
図4において、サーバ3は、作業ライン2を構成する複数の部品実装装置2Aそれぞれと有線または無線で接続されている。サーバ3は、エラーが発生した部品実装装置2Aから送信されるエラー情報(エラー発生箇所の画像データ)を受信する。
【0023】
図4において、サーバ3は記憶部31、選択部32および転送部33を備えている。サーバ3の記憶部31には、種々のデータが予め記憶されているほか、部品実装装置2Aから送信されてきたエラー情報等の種々の情報を随時記憶する。
【0024】
サーバ3の選択部32は、エラーが発生した部品実装装置2Aから送信されたエラー情報の転送先として1つのリモート監視部4を選択する。サーバ3の転送部33は、選択部32が選択した1つのリモート監視部4にエラー情報を転送する(
図4)。
【0025】
図1および
図4において、リモート監視部4は、例えばパーソナルコンピュータから構成されており、サーバ3と有線または無線で接続されている。各リモート監視部4は、リモート監視制御部41、ディスプレイ装置42および入力装置43を備えており、リモート監視制御部41は受信部41aと送信部41bを備えている。複数のリモート監視部4それぞれにはオペレータが一人ずつ常駐している。
【0026】
リモート監視部4は、サーバ3から転送されてきたエラー情報を受信部41aにおいて受信したら、そのエラー情報である画像(静止画もしくは動画)をエラー解消操作画面51(
図4)に表示させる。このエラー解消操作画面51は、オペレータが入力装置43を操作することによって、ディスプレイ装置42に表示させることができる。
【0027】
ディスプレイ装置42のエラー解消操作画面51にエラー発生箇所の画像が表示(動画であれば表示が開始)されたら、オペレータはディスプレイ装置42に表示される画像を見ながら、入力装置43から、エラーを解消するための入力操作(エラー解消操作)を行う。オペレータが入力装置43からエラー解消操作を行うと、そのエラー解消操作の信号(解消操作信号)が送信部41bを通じてサーバ3に送信される(
図4)。
【0028】
図5(a)は、ディスプレイ装置42に表示されたエラー解消操作画面51の一例を示しており、基板カメラ16でエラー発生箇所を撮像して得られる画像(静止画もしくは動画)である。ここでは、前述した部品BHの吸着ミスが発生した場合におけるテープフィーダ13の部品供給位置13Kを含む領域の画像の例を示しており、画像の中心位置はノズル15Nの下端の位置(ノズル下端位置KC)に一致している。
【0029】
ノズル下端位置KCは本来、部品供給位置13Kと一致しているべきであるが(
図5(b))、エラーが発生した状態では、
図5(a)に示すように、ノズル下端位置KCと部品供給位置13Kとが一致していないために、部品BHの吸着ミスが発生したと考えられる。この場合にオペレータがリモート監視部4から行うエラー解消操作は、ノズル下端位置KCがテープフィーダ13の部品供給位置13Kに一致するように、部品吸着時における装着ヘッド15の位置を移動させる操作となる。具体的には、
図5(a)の画像におけるノズル下端位置KCと部品供給位置13Kとの差分がキャンセルされるように、部品吸着時における装着ヘッド15の位置を移動させるためのオフセット量(移動方向および移動量)を指定する操作となる。
【0030】
サーバ3は、リモート監視部4から解消操作信号が送信されてきたら(
図4)、その解消操作信号を中継してエラーが発生した部品実装装置2Aに送信する(
図4)。このようにしてサーバ3に中継されて解消操作信号を受け取った部品実装装置2Aの実装装置制御部18は、その受け取ったエラー解消操作に従って動作する。これによりエラーが解消した場合には、実装装置制御部18は、エラーから復旧したとして、部品装着作業を再開させる。
図5(b)は、
図5(a)の画像のエラーに対してリモート監視部4からエラー解消操作がなされ、そのエラー解消操作によってエラーが解消した状態のエラー発生箇所の画像を示している。
【0031】
このように本実施の形態におけるリモート操作システム1は、作業ライン2、サーバ3および複数のリモート監視部4を備えており、作業ライン2(複数の部品実装装置2Aのいずれか)に発生したエラーの情報をサーバ3経由で複数のリモート監視部4のいずれかに転送し、エラーの情報の転送を受けたリモート監視部4のオペレータがそのエラーを解消するための操作をサーバ3経由で行うことで作業ライン2(部品実装装置2A)に発生したエラーをリモート監視部4からのリモート操作で解消することができるようになっている。
【0032】
ところで、本実施の形態におけるリモート操作システム1では、オペレータが持ち場を離れている(すなわち担当するリモート監視部4から離席している)リモート監視部4にエラー情報が送られたために、オペレータが持ち場に戻ってくるまでエラーの処理作業が進行しないといった事態が防止されるようになっている。また、オペレータが自身の処理スキルの低い種別のエラー処理を依頼されたためにエラーの解消作業に多くの時間がかかってしまうといった事態が防止されるようになっている。以下、このようなリモート操作システム1の機能が発揮されるための構成を説明する。
【0033】
本実施の形態におけるリモート操作システム1では、オペレータがリモート監視部4の入力装置43から所定の操作を行うと、例えば
図6に示すようなオペレータ自己設定画面52がディスプレイ装置42に表示される。このオペレータ自己設定画面52の上段部は在席ステータス設定部53になっており、オペレータ自己設定画面52の下段部は対応可否設定部54になっている(
図4も参照)。
【0034】
図6において、在席ステータス設定部53は、在席ボタン61と離席ボタン62を備えている。この在席ステータス設定部53は、オペレータが、自身が担当するリモート監視部4に在席状態であるか離席状態であるかの別を在席ステータスとして自分自身で設定する部分である。
【0035】
オペレータは自己の持ち場についている間、すなわち担当するリモート監視部4に在席している間、オペレータ自己設定画面52の在席ボタン61と離席ボタン62を随時操作することができる。在席ボタン61と離席ボタン62は択一的に操作することができ、オペレータが直近に操作した方が点灯し、他方が消灯するようになっている。
【0036】
オペレータは、自己の持ち場についているときには在席ボタン61が点灯(離席ボタン62が消灯)するようにし、持ち場を離れたい場合には離席ボタン62を操作して離席ボタン62が点灯(在席ボタン61が消灯)するようにする。そして、離席ボタン62を操作して持ち場を離れた後、持ち場に戻ってきたときに在席ボタン61を操作して在席ボタン61が点灯するようにする。
図6は、直近にオペレータが在席ボタン61を操作した状態を示しており、このため在席ボタン61は点灯し、離席ボタン62は消灯した状態となっている。なお、離席ボタン62の操作はオペレータが担当するリモート監視部4に在席した状態で行うので、離席ボタン62が点灯している状態がすなわちオペレータがリモート監視部4を離席している状態でないのは勿論である。
【0037】
オペレータが在席ボタン61を操作すると、リモート監視部4の送信部41bを通じてサーバ3に「在席情報」が送信される。一方、オペレータが離席ボタン62を操作すると、送信部41bと通じてサーバ3に「離席情報」が送信される。サーバ3は各リモート監視部4から送信される在席情報と離席情報のうち、直近に送信された方が在席情報であればオペレータは持ち場についている(担当するリモート監視部4に在席している)と判断し、直近に送信された方が離席情報であれば、オペレータは持ち場を離れている(担当するリモート監視部4を離席している)と判断する。
【0038】
図6において、対応可否設定部54は、エラーの種別(ここでは「A」,「B」,「C」とする)ごとに対応可ボタン63と対応不可ボタン64を備えている。この対応可否設定部54は、リモート監視部4を担当するオペレータがエラーの種別ごとに対応の可否を自分自身で設定する部分である。ここで、エラーの種別としては、例えば、前述のように、装着ヘッド15による部品BHの吸着ミスのほか、基板カメラ16を通じた基板KBの認識ミスや、部品カメラ17を通じた部品BHの認識ミス等が挙げられる。
【0039】
オペレータは自己の持ち場についている間、すなわち担当するリモート監視部4に在席している間、オペレータ自己設定画面52の各エラーの種別について対応可ボタン63と対応不可ボタン64を随時操作することができる(但し通常は、そのオペレータが持ち場についたときに1度だけ操作する)。ひとつのエラーの種別について対応可ボタン63と対応不可ボタン64は択一的に操作することができ、オペレータが直近に操作した方が点灯し、他方が消灯するようになっている。
【0040】
オペレータは、自己が対応可能であると判断するエラーの種別については対応可ボタン63を点灯状態(対応不可ボタン64を消灯状態)にし、自己が対応不可であると判断するエラーの種別については対応不可ボタン64を点灯状態(対応可ボタン63を消灯状態)にする。なお、オペレータがあるエラーの種別について対応不可と判断する場合とは、エラーに対する処理を全くできない、あるいは処理はできるが明らかに多くの時間を要すると考える場合である。
図6は、種別「A」と種別「C」についてはオペレータが対応可ボタン63を操作し、種別「B」については対応不可ボタン64を操作した状態を示している。
【0041】
オペレータが或るエラーの種別についての対応可ボタン63を操作すると、リモート監視部4の送信部41bを通じてサーバ3に「対応可情報」が送信される。一方、オペレータが或るエラーの種別について対応不可ボタン64を操作すると、送信部41bを通じてサーバ3に「対応不可情報」が送信される。サーバ3は各リモート監視部4から送信されるエラーの種別ごとの対応可情報と対応不可情報のうち、直近に送信された方が対応可情報であればオペレータはその種別のエラーについて対応が可能であると判断し、直近に送信された方が対応不可情報であれば、オペレータはその種別のエラーについて対応が不可であると判断する。
【0042】
サーバ3は、複数のリモート監視部4それぞれと、複数のリモート監視部4それぞれを担当するオペレータが設定した在席ステータスとの対応関係(詳細には、各リモート監視部4から送信される在席情報と離席情報のうち直近に送信された方をそのリモート監視部4と対応させた対応関係)である在席ステータス情報を作成し、その作成した在席ステータス情報を記憶部31に記憶させる。また、サーバ3は、複数のリモート監視部4それぞれと、複数のリモート監視部4それぞれを担当するオペレータが対応不可としているエラーの種別との対応関係(詳細には、各リモート監視部4から送信されるエラーの種別ごとの対応可情報と対応不可情報のうち直近に送信された方をリモート監視部4と対応させた対応関係)である対応可否情報を作成し、その作成した「対応可否情報」を記憶部31に記憶させる。
【0043】
サーバ3の選択部32は、作業ラインにエラーが発生した(複数の部品実装装置2Aのいずれかからエラー情報が送信されてきた)場合には、前述したように、エラー情報の転送先としての1つのリモート監視部4を選択する。この場合には、先ず、記憶部31に記憶された在席ステータス情報に基づいて、作業ライン2にエラーが発生した(エラーが発生した部品実装装置2Aからエラー情報が送信された)時点でオペレータが在席ステータスを離席状態に設定している(すなわちオペレータが持ち場を離れている)リモート監視部4を特定する。また、選択部32は、記憶部31に記憶された対応可否情報に基づいて、発生したエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部4を特定する。
【0044】
すなわち本実施の形態において、サーバ3の選択部32は、作業ライン2にエラーが発生した場合には、その時点でオペレータが在席ステータスを離席状態に設定しているリモート監視部4を特定するとともに、そのエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部4を特定するようになっている。
【0045】
サーバ3の選択部32は、上記のようにして、オペレータが在席ステータスを離席状態に設定しているリモート監視部4を特定するとともに、発生したエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部4を特定したら、これらの特定したリモート監視部4を除いた残りのリモート監視部4の中から1つのリモート監視部を、発生したエラーのエラー情報を送信する対象として選択する。ここで選択部32は、上記「残りのリモート監視部」の中から1つのリモート監視部4を選択する際には、例えば、エラー情報が送られてきた時点でオペレータの手が空いている(オペレータがエラー解消操作を行っていない)リモート監視部4であって、最後にエラー解消操作を行ってから最も時間が経過しているオペレータが担当するリモート監視部4を選択するようにする。
【0046】
サーバ3の転送部33は、上記のようにして選択部32が1つのリモート監視部4を選択したら、その選択したリモート監視部4にエラー情報を転送する。このためエラー情報は、確実にオペレータが持ち場についている(在席している)リモート監視部4に送られることになるので、オペレータが持ち場を離れていた(離席していた)ためにエラーが処理されないまま徒に時間が経過してしまう事態が防止される。また、発生したエラーの種別を対応不可としていないオペレータが担当するリモート監視部4にエラー情報が送られることになるので、そのエラーの処理に時間がかかり過ぎてしまう事態が防止される。
【0047】
次に、作業ライン2を構成する部品実装装置2Aの制御部(実装装置制御部18)、サーバ3およびリモート監視部4の制御部(リモート監視制御部41)が行う制御の流れを説明する。
図7は実装装置制御部18が行う処理の流れを示すフローチャート、
図8はサーバ3が行う処理の流れを示すフローチャート、
図9はリモート監視制御部41が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
図7において、部品実装装置2Aの実装装置制御部18は、一定時間(数秒)おきに、自身が属する部品実装装置2Aにエラーが発生しているかどうかをチェックしており(ステップST1)、エラーが発生したことを検知した場合には、そのエラーの発生箇所(エラー発生箇所)を特定する(ステップST2)。そして、部品装着作業の全部または一部を中断して、エラー解消モードに入る(ステップST3)。
【0049】
実装装置制御部18は、エラー解消モードに入ったら、基板カメラ16をエラー発生箇所の上方に移動させ、基板カメラ16にエラーの発生箇所を撮像させて、その画像データをエラー情報として取得する(ステップST4)。そして、その取得したエラー情報を、サーバ3に送信する(ステップST5)。
【0050】
図8において、サーバ3は、一定時間(数秒)おきに、作業ライン2から(複数の部品実装装置2Aのいずれかから)エラー情報の送信があったかどうかをチェックしており(ステップST11)、エラー情報の送信があったことを検知した場合には、そのエラー情報を送信した部品実装装置2Aを特定する。また同時に、送信されたエラーの種別を把握する(ステップST12)。
【0051】
サーバ3は、エラー情報を送信した部品実装装置2Aを特定するとともに、送信されたエラーの種別を把握したら、リモート監視部4からの送信を受けて記憶部31に記憶させている在席ステータス情報に基づいて、オペレータが持ち場を離れている(担当のリモート監視部4から離席している)リモート監視部4を特定する(ステップST13)。また、この特定の後に(前であってもよい)、同じくリモート監視部4からの送信を受けて記憶部31に記憶させている対応可否情報に基づいて、送信された(部品実装装置2Aに発生した)エラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部4を特定する(ステップST14)。
【0052】
サーバ3は、ステップST13でオペレータが持ち場を離れているリモート監視部4を特定し、ステップST14で部品実装装置2Aから送信されたエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部4を特定したら、これらのリモート監視部4を除いた残りのリモート監視部4の中から、エラー情報の転送先とする1つのリモート監視部4を選択する(ステップST15)。サーバ3は、ステップST15でエラー情報の転送先とする1つのリモート監視部4を選択したら、その選択した1つのリモート監視部4にエラー情報を転送する(ステップST16)。
【0053】
図9において、リモート監視制御部41は、一定時間(数秒)おきに、サーバ3からエラー情報の転送があったかどうかをチェックしており(ステップST21)、サーバ3からエラー情報の転送があったことを検知した場合には、サーバ3から転送されてきたエラー情報(エラー発生箇所の画像)をディスプレイ装置42にエラー解消操作画面51として表示させる(ステップST22)。これによりオペレータは、ディスプレイ装置42に表示されたエラー情報(エラー発生箇所の画像)を見ながら、部品実装装置2Aに発生したエラーの解消操作を行う。オペレータがエラーの解消操作を行ったら、リモート監視制御部41はその操作信号(解消操作信号)をサーバ3に送信する(ステップST23)。
【0054】
サーバ3は、前述のステップST16でエラー情報をリモート監視部4に転送した後、そのエラー情報を転送したリモート監視部4から解消操作信号の送信があるかどうかをチェックする(
図8におけるステップST17)。そして、エラー情報を転送したリモート監視部4から解消操作信号の送信があったことを検知した場合には、その解消操作信号を中継して部品実装装置2A(エラーが発生した部品実装装置2A)に送信する(ステップST18)。
【0055】
部品実装装置2Aは、前述のステップST5においてエラー情報をサーバ3に送信した後、サーバ3から解消操作信号の送信があるかどうかをチェックする(
図7におけるステップST6)。そして、サーバ3からの解消操作信号の送信があったことを検知した場合には、その送信されてきた解消操作信号に従った処置を実行する(ステップST7)。そして、これによりエラーが解消した場合には(ステップST8)、エラー解消モードから抜け、部品装着作業の中断状態を解除したうえで(ステップST9)、ステップST1に戻る。なお、ステップST8でエラーが解消しなかった場合には、何らかの報知動作を行ったうえで(ステップST10)、新たな処置を待つ処置待ち状態に入る。
【0056】
このように、本実施の形態におけるリモート操作システム1は、複数のリモート監視部4のそれぞれが、そのリモート監視部4のオペレータが、自身が担当するリモート監視部4に在席状態であるか離席状態であるかの別を在席ステータスとして設定する在席ステータス設定部53(在席ボタン61および離席ボタン62)と、そのリモート監視部4を担当するオペレータがエラーの種別ごとに対応の可否を設定する対応可否設定部54(エラーの種別ごとの対応可ボタン63および対応不可ボタン64)と、在席ステータス設定部53より設定される在席ステータスの情報とオペレータが対応可否設定部54で設定したエラーの種別ごとの対応の可否の情報をサーバ3に送信する送信部41bを備えている。そしてサーバ3は、作業ライン2にエラーが発生した場合には、その時点でオペレータが在席ステータスを離席状態に設定しているリモート監視部4を特定するとともに、作業ライン2に発生したエラーの種別をオペレータが対応不可としているリモート監視部4を特定し、これら特定したリモート監視部4を除いた残りのリモート監視部4の中から1つのリモート監視部4を選択する選択部32と、選択部32が選択した1つのリモート監視部4にエラーの情報を転送する転送部33を備えている。
【0057】
本実施の形態におけるリモート操作システム1では、オペレータが持ち場を離れている(離席している)リモート監視部4にはエラー情報が転送されないので、オペレータが所用その他の理由で一時的に持ち場(担当のリモート監視部4)を離れる場合があっても作業ライン2の全体におけるエラー解消作業は停滞しない。また、本実施の形態におけるリモート操作システム1では、発生したエラーの種別を対応不可としているオペレータが担当するリモート監視部4にはエラー情報が転送されないので、エラーの解消処理に対するスキルにオペレータの個人差がある場合であっても作業ライン2の全体におけるエラー解消処理は停滞しない。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態におけるリモート操作システム1では、発生したエラーの種別を対応不可としているオペレータが担当するリモート監視部4にはエラー情報が転送されないので、エラーの解消処理に対するスキルにオペレータの個人差がある場合であっても作業ライン2の全体におけるエラー解消作業は停滞せず、作業ライン2の生産性に影響を与えない。
【0059】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、
図6において示したオペレータ自己設定画面52の形式は例示に過ぎず、在席ステータス設定部53と対応可否設定部54が表示されるのであれば、
図6において示した形式でなくてもよい。また、在席ステータス設定部53は、オペレータが在席ステータスをオペレータ自身で設定することができればよく、対応可否設定部54は、オペレータがエラーの種別ごとに対応の可否をオペレータ自身で設定することができればよいのであって、必ずしもディスプレイ装置42の画面に表示されるものでなくてもよい。また、前述の実施の形態では、作業ライン2は複数の部品実装装置2Aから成るものであったが、部品実装装置2A以外の装置から成る作業ラインであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
エラーの解消処理に対するスキルにオペレータの個人差がある場合であってもエラーの解消作業が停滞しないリモート操作システムを提供する。
【符号の説明】
【0061】
1 リモート操作システム
2 作業ライン
3 サーバ
4 リモート監視部
31 記憶部
32 選択部
33 転送部
41b 送信部
53 在席ステータス設定部
54 対応可否設定部
61 在席ボタン
62 離席ボタン
63 対応可ボタン
64 対応不可ボタン