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  • 特開-カーエアコンの洗浄装置及びその方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022373
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】カーエアコンの洗浄装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20230208BHJP
   B08B 1/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
B08B3/02 F
B08B1/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127138
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】521341949
【氏名又は名称】長友 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】240000268
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人英明法律事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155804
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 健氏
(72)【発明者】
【氏名】長友 和弘
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
【Fターム(参考)】
3B116AA47
3B116AB52
3B116BB34
3B116BB43
3B116BB62
3B201AA47
3B201AB52
3B201BB34
3B201BB43
3B201BB62
3B201CB01
(57)【要約】
【課題】分解洗浄することなく、且つ効率的に作業でき、これと同等の効果をもたらすカーエアコンの洗浄装置及びその方法の提供。
【解決手段】カーエアコン用空調装置の洗浄装置であって、先端部周面に複数の噴出口が形成された回転式洗浄ノズルおよび回動自在に支持された可撓性ホースとからなる洗浄手段と、該洗浄手段に固定され、該洗浄手段を操る操作手段と、前記洗浄手段に並置される撮影手段とからなり、さらには、前記撮影手段に固定され、前記可撓性ホースに摺動可能に具備された摺動手段を備えた。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーエアコン用空調装置の洗浄装置であって、
先端部周面に複数の噴出口が形成された回転式洗浄ノズルおよび回動自在に支持された可撓性ホースとからなる洗浄手段と、
該洗浄手段に固定され、該洗浄手段を操る操作手段と、
前記洗浄手段に並置される撮影手段と、
からなるカーエアコン用空調装置の洗浄装置。
【請求項2】
前記撮影手段に固定され、前記可撓性ホースに摺動可能に具備された摺動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のカーエアコン用空調装置の洗浄装置。
【請求項3】
カーエアコン用空調装置の洗浄方法であって、
該洗浄方法は、
先端部周面に複数の噴出口が形成された回転式洗浄ノズルおよび回動自在に支持された可撓性ホースとからなる洗浄手段と、
該洗浄手段に固定され、該洗浄手段を操る操作手段と、
前記洗浄手段に並置される撮影手段
とを、
通風ダクトを介してエバポレーターボックス内へ挿入し、
被洗浄物に対して前記回転式洗浄ノズルから洗浄液を噴射して洗浄するにあたり、
回動自在に支持された前記可撓性ホースを前記操作手段で操ることで前記回転式ノズル位置を適宜変更させる
ことを特徴とするカーエアコン用空調装置の洗浄方法。
【請求項4】
前記撮影手段に固定され、前記可撓性ホースに摺動可能に具備された摺動手段を備え、
該摺動手段により撮影手段を前後に摺動させる
ことを特徴とする請求項3に記載のカーエアコン用空調装置の洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーエアコンの洗浄装置及びその方法に関し、具体的には、エバポレーターを車体から取り外すことなく洗浄する際に使用する洗浄装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カーエアコンのエバポレーターは、コルゲート状に加工されたアルミ製フィンが微細な積層構造を形成しており、表面のみならず奥深く堆積する埃やカビ、バクテリアなどが悪臭の元となっている。アレルギーや喘息、過敏性肺炎といった健康被害の原因でもあり、定期的に洗浄することが推奨されているところ、洗浄効果の高い方法として分解洗浄、即ち、エバポレーターを車体から取り外して洗浄する方法が知られている。しかし、分解洗浄は専門業者へ依頼することとなり、その高額な施工費用と数日に及ぶ作業時間がネックとなり、分解洗浄はドライバーの間で浸透していない。
そこで、エバポレーターを車体から取り外すことなく洗浄する以下の取り組みが公知である。
【0003】
例えば、エバポレーターボックス壁に穿孔治具により作業孔を設け、スチームノズルをエバポレーターボックス内へ挿入して被洗浄物に対してスチームを噴射して汚れを洗浄する一方、当該スチームノズルに代えて前記作業孔へ小型ビデオカメラを挿入し、汚れ状況を確認するという方法が開示されている(特許文献1参照)。
当該技術によれば、エバポレーターを車体から取り外すことなく洗浄することができ、エバポレーターボックス内の洗浄効果を目視で確認することが可能であるとする。
【0004】
また、カーエアコンの内部形状は車種により様々であることから、洗浄ノズルが被洗浄物に到達しない場合には、洗浄用の流体を噴射しても汚れに届かず、洗い残しが発生するという点に着目し、ホース等の長尺物の表面を長手方向に取り囲み、所定の形状に当該長尺物を変形・維持させ得る支持具が開示されている(特許文献2参照)。
当該技術によれば、カーエアコンの内部形状に合わせて予め長尺物を任意の方向に屈曲又は湾曲させ、ホース先端のノズルを目的の汚れに到達させることができるとする。さらに、先端ノズル近傍に固定されたカメラが、当該先端ノズルの噴射口と同じ向きに当該カメラのレンズが向くようにした構成により、洗浄箇所を容易に把握したり、洗浄が確実に行われたか否かを確認したりすることができるとする。
【0005】
さらに、エバポレーターより上流側近傍で乗員室と通気経路とを連通させる貫通孔を形成し、当該貫通孔にノズルを挿入し、このノズルへと所定の液体洗浄剤を送給して当該ノズルから液体洗浄剤を噴出させることにより、エバポレーターに付着している塵埃を洗浄する技術が開示されている(特許文献3参照)。
当該技術で使用される可撓性パイプは、重力と、空気の噴流による直線的に伸長しようとする力、及びパイプ自身の可撓性などが相互に作用するため、空気通路内に挿入されたパイプ部分が上下左右に揺動し、その揺動運動によって空気は無指向的に噴出され、これにより通気経路内に付着している洗浄液が、エバポレーター及びその全域に亘って効率良く除去されるとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000―325895号公報
【特許文献2】特開2019―122939号公報
【特許文献3】特開平11-23190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の発明においては、見えない箇所とはいえ作業孔を穿つことに対する心理的な抵抗感がある。洗浄効果の点でも、当該技術は、定点からの洗浄液の噴射に留まることから、洗浄対象領域がノズル噴射口から離れれば離れるほど洗浄効果は低下し、矩形状のエバポレーターの四隅まで均一に噴射洗浄することは困難である。コルゲート状に加工されたアルミ製フィンは1mm程度の微細な積層構造を形成しており、奥深く堆積するカビや埃、バクテリアなどを十分に洗浄するには、洗浄液の噴射角がエバポレーター表面Sに対して垂直(例えば、本件発明を図示した図4中のd方向)であることが望ましいところ、当該文献記載の技術のような定点噴射では、噴射口から離れれば離れるほど、斜めからの洗浄噴射とならざるを得ず、洗い残しは避けられない。
【0008】
さらに、エバポレーターボックスの内壁の汚れを洗浄するには、噴射口を内壁側へと向ける必要があり、作業効率としては改善、工夫の余地がある。
【0009】
また、当該発明によれば、スチームノズルと小型ビデオカメラは別体に構成されているため、洗浄効果の確認の際には、一旦当該ノズルを作業孔から引き抜き、改めて当該カメラを挿入する必要がある。しかし、洗浄効果を確かめるたびに当該ノズルとカメラとを抜き差しして入れ替えるのは作業効率が悪い。さらには、エバポレーターボックス内(狭小空間)での作業者の感覚に頼るこれらの抜き差し作業は、その都度アルミ製フィンを破損や変形させる恐れがあるところ、万一、フィンが破損等した場合には、エバポレーターの熱交換効率が低下するなど致命的な欠陥になりかねない。
【0010】
また、特許文献2に記載の発明では、通風ダクトの形状や大きさが車種によって様々であり、予めホースを適切な形に変形させることは構造に詳しい専門家でなければ困難である。しかも、変形維持した形状はエバポレーターボックス内で固定されることから、ノズルの可動域は制限され、エバポレーター面に対して均一に垂直噴射することは難しく、部位によっては斜めから噴射することになることは避けられず、十分な洗浄効果は期待できない。さらに、カメラが先端ノズル近傍に固定されているため、洗浄中は常に高い噴射圧に晒されることから、カメラのような光学機器がノズル近傍に固定されるのは構造上も好ましくない。
【0011】
また、特許文献3に記載の発明によれば、パイプが作業者の意図とは無関係に動くことからエバポレーターのアルミ製フィンを傷つける恐れがある。さらには、重力と空気の噴流による直線的に伸長しようとする力、及びパイプ自身の可撓性などが相互に作用して生じる揺動は、作業者の意図した洗浄には繋がらない。
【0012】
以上、車体からエバポレーターを取り外さずに行う従来の洗浄方法では、洗い残ししが生じ、分解洗浄と同等の洗浄効果は得られないことから、本願発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意研究の結果、本願発明を完成するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、 カーエアコン用空調装置の洗浄装置であって、先端部周面に複数の噴出口が形成された回転式洗浄ノズルおよび回動自在に支持された可撓性ホースとからなる洗浄手段と、該洗浄手段に固定され、該洗浄手段を操る操作手段と、前記洗浄手段に並置される撮影手段と、からなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記撮影手段に固定され、前記可撓性ホースに摺動可能に具備された摺動手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、カーエアコン用空調装置の洗浄方法であって、先端部周面に複数の噴出口が形成された回転式洗浄ノズルおよび回動自在に支持された可撓性ホースとからなる洗浄手段と、該洗浄手段に固定され、該洗浄手段を操る操作手段と、前記洗浄手段に並置される撮影手段とを、通風ダクトを介してエバポレーターボックス内へ挿入し、被洗浄物に対して前記回転式洗浄ノズルから洗浄液を噴射して洗浄するにあたり、回動自在に支持された前記可撓性ホースを前記操作手段で操ることで前記回転式ノズル位置を適宜変更可能としたことを特徴とする。
なお、前記ノズルの回転は、可撓性ホースの軸方向に対して360度回転することを意味する。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成において、前記撮影手段に固定され、前記可撓性ホースに摺動可能に具備された摺動手段を備え、該摺動手段により撮影手段を前後に摺動して被洗浄物の洗浄効果を確認することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成によれば、回動自在に支持された可撓性ホースを操作手段で操ることで、操作者が洗浄ノズルを被洗浄領域に対して任意の位置、方向へと操作できることにより、エバポレーター表面Sの隅々まで洗浄液を垂直に噴射することができる。かかる構成により、コルゲート状に加工されたアルミ製フィンの微細な積層構造の奥深く堆積するカビやバクテリアなどの埃をくまなく洗浄することが可能となった。
【0018】
また、回転式ノズルの採用により、洗浄ノズルを近づけるだけで、従来の1点噴射式のように洗浄箇所との位置関係を微調整することなく、均一に且つ効率的に洗浄可能であることに加え、エバポレーターボックス15内壁面をも同時に洗浄することができる。
【0019】
そして、洗浄手段に並置された撮影手段により、可撓性ホースと撮影手段とを交互に抜き差しすることなく、洗浄効果を適宜確認できるため、極めて効率的に洗浄作業を進めることができる。
【0020】
加えて、撮影手段に固定され、前記可撓性ホースに摺動可能に具備された摺動手段により、光学機器である撮影手段を、適宜洗浄ノズルから離しておくこともできるようになった。防水構造を備えた撮影手段であっても、高圧の洗浄環境に常時晒されてしまうような設計は製品寿命の観点からも避けるべきであり、当該摺動手段を備えたことにより、繊細な光学機器にとっては好ましい構成となった。
また、洗浄ノズルから離れた箇所に撮影手段を移動させることで、洗浄ノズルの位置を変えることなく、移動後の箇所からエバポレーター表面及びエバポレーターボックス内の洗浄効果を確認することが容易に可能となり、作業効率が飛躍的に向上した。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る洗浄装置の全体構成を示す概略図である。
図2】操作手段を操る様子を示す図である。
図3】摺動手段により撮影手段が移動する様子を示す図である。
図4】本発明に係る洗浄装置をエバポレーターボックス内へセッティングしたことを示す概略図である。
図5】洗浄領域を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の洗浄装置の実施の形態について説明する。
なお、本発明を構成する各部の大きさや形状、位置関係は本発明の理解を促すことを目的として概略的に記したものである。そして、各構成要素の材料や材質などは好適な組合せとして開示するものであり、本発明の主旨を逸脱することなく、この効果を達成可能な変更を妨げるものでない。
【0023】
1.本発明の構成について
図1は、本発明に係る洗浄装置1の全体構成の概略を示し、具体的には、高圧洗浄機本体(図示せず)が送り出す高い圧力の水を送り届けるための可撓性ホース3が、噴射レバー91を備えた操作把持部9および回転式管継手10を介してホース先端の回転式洗浄ノズル2へと通じる。
当該回転式洗浄ノズル2から操作把持部9までの可撓性ホース3は、公知の高圧洗浄ホースを使用する。直径は、6mm乃至8mmであり、その長さは、800mm乃至1000mm程度とするが、いずれも洗浄対象車種等に応じて適宜変更してよい。
【0024】
回転式洗浄ノズル2は、高圧洗浄機本体から可撓性ホース3を通じて送り届けられる高水圧の液流を駆動源として自ら360度回転するノズルであり、当該可撓性ホース3の一端に適宜手段(篏合手段、ネジ締結手段、接着手段等)にて取り付けられている。本発明における噴射量は、毎分約1,200cc以上、その噴流圧は約1.5kg/cm2以上が好ましいが、汚染状況に応じて適宜変更してよい。
【0025】
操作手段4は、その一端が前記回転式洗浄ノズル2と前記可撓性ホース3との境界辺りに固定され、他端は前記操作把持部9の近傍にまで伸びる自由端である。図2に示すように、操作者が、該操作手段4の他端部(自由端)を操作する(引く)ことで、該ホース3の可撓性によりノズル2の向きを変えることができ、緩めることで元の位置に戻すことができる。X方向への湾曲とY方向への湾曲の制御は、回転式継手10(図1)により該可撓性ホース3を回転させることで操作手段4の支点を変えることにより行う。
【0026】
撮影手段5は、CCDやCMOSなど小型の撮像素子を備えたカメラであり、IP67規格といった防水仕様のカメラを使用する。カメラチューブ7の他端は無線LAN装置11へと伸びる。撮影した動画像・静止画像は該無線LAN装置11により携帯電話等のモニター12(図4)の画面上で確認することができる。
【0027】
また、前記撮影手段5は、摺動手段6により前記可撓性ホース3に連結しつつ、これに沿ってスライド移動可能なように取り付けられている(図3)。前記先行文献2に開示された技術の如く洗浄ノズル近傍にカメラを固定せず、ノズルとカメラの相対的な位置関係を変更可能な構成とすることで、洗浄中の箇所から離れた領域の汚れ具合を確認したり、エバポレーターボックス内全体の洗浄状況についても把握できたりすることも可能となるため、作業効率の一層の向上が期待できる。
【0028】
さらに、撮影手段5は光学機器であるところ、エバポレーターボックスという狭小空間内で回転して噴射される高圧洗浄水による影響は避けられず、撮影手段5が常時ノズル2近傍に位置する構成よりも、撮影手段5をノズル2から離した位置へと適宜変更可能な構成とすることは製品寿命の観点からも好ましい。
【0029】
前記可撓性ホース3、操作手段4そしてカメラチューブ7は、ダクト内ホース8内を通した構成としており、通風ダクト13の中を通過させる際にまとまり良くして、準備作業の効率を高めるとともに、洗浄時の安定性と操作性をも担保した工夫である。
該ダクト内ホース8は、内径を15mm乃至25mm程度とし、本発明の実施に適した曲げ剛性を備えた水道用ホースその他これに類する管状体が適しており、長さは600乃至800mm程度とするが、対象車種等に応じて適宜変更してよい。
【実施例0030】
本発明に係る洗浄方法について詳述する。
「準備段階」
1. 通風ダクト13に通じる挿入口を確保するため、対象車種に応じてブロアファン若しくはレジスター、エアクリーナー等(いずれも図示せず)を取り外し、挿入口h(図4)を確保する。
2. 撮影手段5からの映像をモニター12に表示させるために無線LAN装置11をセッティングし、動作確認を行う。
3. 可撓性ホース3、操作手段4そしてカメラチューブ7を収めたダクト内ホース8を、挿入口hから挿入する。
4. 回転式洗浄ノズル2、操作手段4、撮影手段5をエバポレーターボックス15内へと到達させる。
【0031】
「洗浄段階」その1
操作把持部9に設けた噴射レバー91を開き、回転式洗浄ノズルから洗浄液を噴射させ、被洗浄物、すなわちエバポレーター14の表面Sを洗浄する。
このとき、エバポレーターの奥、即ち、挿入口hから最も遠い領域を洗浄する際には、操作把持部9を通風ダクト13内へ押し込むようにして洗浄ノズル2を奥へと移動させる。
一方、エバポレーターの手前、即ち、挿入口hに近い側の領域を洗浄する際には、操作把持部9を通風ダクト13から引き戻すようにして洗浄ノズル2を手前に移動させる。
【0032】
洗浄ノズル2が洗浄目的位置に到達すれば、噴射レバー91を開き、アルミ製フィン141の隙間ごとに3乃至5秒程度洗浄液を噴射して洗浄を行う。
このとき、洗浄ノズル2の位置を問わず、摺動手段6を利用して撮影手段5を前後に移動させつつ、モニター12で洗浄状況を確認することができる。
【0033】
本発明によれば、洗浄ノズル2の側面が回転して高圧の洗浄液が噴射される構造であるので、直噴タイプのノズルのように噴射の向きを微調整する必要がなく、エバポレーター14の表面Sを均一に洗浄することが容易に可能である。
【0034】
「洗浄段階」その2
次に、エバポレーターの上部領域「甲」(図5)、下部領域「乙」(図5)を洗浄する場合について詳述する。
【0035】
エバポレーターの上部領域「甲」を洗浄する場合、回転式管継手10(図1図4)を回転操作し、モニター12で確認しながら操作手段4の作用向きを領域「甲」に好適となるよう調整する。
領域「甲1」を洗浄する場合、操作手段4を引いて洗浄ノズル2をX方向(図2)へと傾け、操作把持部9を通風ダクト13内へ押し込むことで、洗浄ノズル2を当該領域「甲1」に相対して位置づけることができる。
領域「甲2」を洗浄する場合、操作手段4はそのままとし、操作把持部9を通風ダクト13から引き抜く方向へと移動させることで、洗浄ノズル2を当該領域「甲2」に相対して位置づけることができる。
領域「甲3」を洗浄する場合、操作手段4を若干緩めるとともに、操作把持部9を抜き差し調整することで、洗浄ノズル2を当該領域「甲3」に相対して位置づけることができる。
【0036】
エバポレーターの下部領域「乙」を洗浄する場合、回転式管継手10(図1図4)を回転操作し、モニターで確認しながら操作手段4の作用向きを領域「乙」に好適となるよう調整する。
領域「乙1」を洗浄する場合、操作手段4を引いて洗浄ノズル2をY方向(図2)へと傾け、操作把持部9を通風ダクト13内へ押し込むことで、洗浄ノズル2を当該領域「乙1」に相対して位置づけることができる。
領域「乙2」を洗浄する場合、操作手段4はそのままとし、操作把持部9を通風ダクト13から引き抜く方向へと移動させることで、洗浄ノズル2を当該領域「乙2」に相対して位置づけることができる。
領域「乙3」を洗浄する場合、操作手段4を若干緩めるとともに、操作把持部9を抜き差し調整することで、洗浄ノズル2を当該領域「乙3」に相対して位置づけることができる。
【0037】
以上、操作把持部9、回転式管継手10、操作手段4を適宜操作することで、エバポレーター表面Sの全面に亘って洗浄ノズル2を相対させるべく移動可能であることから、均一に洗浄することが可能となる。
【0038】
前記先行文献1に記載の技術のように、洗浄ノズルとカメラとを交互に抜き差しする構成では、仮にカメラで洗い残し箇所を確認し、特定できたとしても、洗浄ノズルを差し替えた場合には、当該箇所に相対する位置へ洗浄ノズルを正確に導くことは難しい。
【0039】
また、前記先行文献2に記載の技術のように、カメラが先端ノズル近傍に常に固定された構成では、洗浄空間や洗い残しの有無など客観的・多角的に把握することは困難であり、作業効率は上がらないが、本願発明によれば、撮影手段5とノズル2との距離を自由に変更させることができるため、作業効率が極めて良好となる。
【符号の説明】
【0040】
1 洗浄装置
2 回転式ノズル
3 可撓性ホース
4 操作手段
5 撮影手段
6 摺動手段
7 カメラチューブ
8 ダクト内ホース
9 操作把持部
91 噴射レバー
10 回転式管継手
11 無線LAN装置
12 モニター
13 通風ダクト
14 エバポレーター
141 フィン
15 エバポレーターボックス
図1
図2
図3
図4
図5