(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022387
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】釣り竿
(51)【国際特許分類】
A01K 87/08 20060101AFI20230208BHJP
A01K 87/02 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
A01K87/08 A
A01K87/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127235
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】葛原 裕恒
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 魁
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA01
2B019AA07
2B019AA11
2B019AA12
(57)【要約】
【課題】使用形態に合わせて、竿先と竿元のグリップの相対回転位置を変更でき、好適なホールド感を得ることができる。
【解決手段】第1断面形状を有する竿先部2と、第1断面形状と異なる第2断面形状を有するリアグリップを有する竿元部3と、竿先部2と竿元部3とを相対的に回転可能とする回転状態と、相対的に回転不能とする非回転状態とに切替える切替機構10と、を備え、切替機構10は、竿先部2の竿元側端部2aに設けられた第1係合部11と、竿元部3の竿先側端部3aに設けられ、第1係合部11に相対的に回転不能に係合する係合位置P1と、第1係合部11に相対的に回転可能な非係合位置P2と、の間で移動可能な第2係合部12と、第2係合部12を非係合位置P2から係合位置P1に向かって付勢するスプリング13と、を備えた釣り竿を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1断面形状を有する竿先部と、
前記第1断面形状と異なる第2断面形状を有するリアグリップを有する竿元部と、
前記竿先部と前記竿元部とを相対的に回転可能とする回転状態と、相対的に回転不能とする非回転状態とに切替える切替機構と、
を備えた釣り竿。
【請求項2】
前記切替機構は、
前記竿先部の竿元側端部に設けられた第1係合部と、
前記竿元部の竿先側端部に設けられ、前記第1係合部に相対的に回転不能に係合する係合位置と、前記第1係合部に相対的に回転可能な非係合位置と、の間で移動可能な第2係合部と、
前記第2係合部を前記非係合位置から前記係合位置に向かって付勢する付勢部材と、
を備えた請求項1に記載の釣り竿。
【請求項3】
前記第1係合部は、竿軸方向に凸部又は凹部が形成された第1凹凸部を有し、
前記第2係合部は、前記第1凹凸部に係合可能な第2凹凸部を有し、
前記付勢部材は、前記第1凹凸部と前記第2凹凸部とが係合するように竿軸方向に付勢する請求項2に記載の釣り竿。
【請求項4】
リールが装着可能なパイプ形状のリールシート部をさらに有し、
前記リールシート部の竿先側端部には、前記竿先部が回転不能な状態で一体的に接続され、
前記リールシート部の竿元側端部には、前記竿元部が挿入可能な挿入孔が設けられ、
前記切替機構は、前記リールシート部の内側に配置されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の釣り竿。
【請求項5】
リールが装着可能なパイプ形状のリールシート部をさらに有し、
前記リールシート部の竿先側端部には、前記竿先部が回転不能な状態で一体的に接続され、
前記リールシート部の内部において、前記リールシート部の内面に設けられた第1突出部と、前記竿元部の外周に設けられた第2突出部と、を設け、
前記付勢部材は、前記第1突出部および前記第2突出部に当接し、前記第2係合部を前記非係合位置から前記係合位置に向かって付勢する請求項2又は3に記載の釣り竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り竿に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な釣り竿は、竿先と、グリップを含む竿元が同芯の断面円形であり、相対回転不能に設けられており、リールが装着されるリールシートの内面が竿体の竿元側の外周面に固定されているものが一般的である(例えば、特許文献1、2、3参照)。
また、リールシート付近を把持するとともに、肘をグリップに当てる際、肘の安定性を保つために、竿元(グリップ)の形状として、特許文献2、3のように、釣り竿を握った状態で左右方向に拡大されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2913163号公報
【特許文献2】特開2008-104421号公報
【特許文献3】特許第4356955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術の釣り竿では、釣りをする際に、リールシート付近を把持するとともに、肘をグリップに当てることで比較的安定的に釣り竿が保持される。この場合、グリップによって肘のホールド感を向上させるための使用形態であるが、例えば、竿元(グリップ)を腹部に当てたり、脇に挟んだりする別の形態で使用する場合には、グリップが左右方向に拡大されているため、ホールド感が低下するおそれがある。
また、片方の手で竿体を握って、他方の手で竿元(グリップ)を握って仕掛けを投げる際にも、竿元(グリップ)が左右方向に拡大されているために他方の手で把持し難いという問題があり、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、使用形態に合わせて、竿先と竿元のグリップの相対回転位置を変更でき、好適なホールド感を得ることができる釣り竿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る釣り竿は、第1断面形状を有する竿先部と、前記第1断面形状と異なる第2断面形状を有するリアグリップを有する竿元部と、前記竿先部と前記竿元部とを相対的に回転可能とする回転状態と、相対的に回転不能とする非回転状態とに切替える切替機構と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
本発明に係る釣り竿によれば、竿先部に対して竿元部を切替機構によって回転させて所望の回転角度となる回転位置で回転不能に保持することができる。すなわち、使用形態に合わせて竿元部とともにリアグリップを適宜な回転角度に回転させた位置で保持することができる。
そのため、実釣時に竿先部を把持して肘を竿元部の第2断面形状のリアグリップに当てて保持する際には、竿元部のリアグリップ部分における肘のホールド感を良好に維持できる。さらに、竿元部を竿先部に対して回転させることにより、リアグリップ部分を脇に挟んで使用する等の様々な形態における好適なホールド感が得られる。
【0008】
(2)前記切替機構は、前記竿先部の竿元側端部に設けられた第1係合部と、前記竿元部の竿先側端部に設けられ、前記第1係合部に相対的に回転不能に係合する係合位置と、前記第1係合部に相対的に回転可能な非係合位置と、の間で移動可能な第2係合部と、前記第2係合部を前記非係合位置から前記係合位置に向かって付勢する付勢部材と、を備えたことが好ましい。
【0009】
この場合には、竿元部の第2係合部を付勢部材の付勢方向と反対側(竿元側)に移動させることで、第1係合部と第2係合部との係合が解除された非係合位置となる。さらに非係合位置において、第2係合部を第1係合部に対して相対的に回転させて所望の回転位置とすることで、第2係合部を第1係合部とを係合位置にすることができる。
この場合、竿先部と竿元部とを相対的に回転させる際に第2係合部を付勢部材の付勢力に抗して竿元側に移動させる構成であり、通常時においては第2係合部が付勢部材によって付勢されているので係合位置が解除されることはない。
【0010】
(3)前記第1係合部は、竿軸方向に凸部又は凹部が形成された第1凹凸部を有し、前記第2係合部は、前記第1凹凸部に係合可能な第2凹凸部を有し、前記付勢部材は、前記第1凹凸部と前記第2凹凸部とが係合するように竿軸方向に付勢することを特徴としてもよい。
【0011】
この場合には、第1係合部の第1凹凸部と第2係合部の第2凹凸部とが係合する構成であるので、係合位置における第1係合部と第2係合部との回転を簡単、かつ効率よく規制することができる。
【0012】
(4)リールが装着可能なパイプ形状のリールシート部をさらに有し、前記リールシート部の竿先側端部には、前記竿先部が回転不能な状態で一体的に接続され、前記リールシート部の竿元側端部には、前記竿元部が挿入可能な挿入孔が設けられ、前記切替機構は、前記リールシート部の内側に配置されていることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、リールシート部が設けられる釣り竿の場合において、リールシート部の内側に切替機構が収容され、竿先部に一体的に設けられたリールシート部の挿入孔に竿元部を挿入させることができる。リールシート部に取り付けたリールの向きを変えることなく、竿元部のみをリールシート部に対して所望の回転位置に回転させることができる。しかも、切替機構が露出することがないことから、意匠性に優れた構造を実現できる。
【0014】
(5)リールが装着可能なパイプ形状のリールシート部をさらに有し、前記リールシート部の竿先側端部には、前記竿先部が回転不能な状態で一体的に接続され、前記リールシート部の内部において、前記リールシート部の内面に設けられた第1突出部と、前記竿元部の外周に設けられた第2突出部と、を設け、前記付勢部材は、前記第1突出部および前記第2突出部に当接し、前記竿元部を竿先側に向けて付勢することを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、竿先部に一体化されたリールシート部の内側に、竿先部と竿元部とを回転可能、かつ回転不能に保持する切替機構が設けられているので、リールシート部に装着されたリールに対して竿元部を所望の回転角度となる回転位置に変更することができる。
また、リールシート部の内側に切替機構が収容された状態となり、外部に露出しない構成となるので、コンパクトな構造とすることができ、意匠性にも優れた釣り竿を提供できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る釣り竿によれば、使用形態に合わせて、竿先に対する竿元のグリップの回転位置を変更でき、好適なホールド感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態による釣り竿の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す釣り竿の竿先部と竿元部との接続部分を示す側面図である。
【
図3】リールシート筒の内側に設けられる切替機構の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示す釣り竿の接続部の縦断面図であって、(a)は非係合位置を示す図、(b)は係合位置を示す図である。
【
図5】竿元部の竿先側端部の構成を示す斜視図である。
【
図6】竿先部の竿元側端部の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す釣り竿の竿元部を90°回転させた状態を示す斜視図である。
【
図8】第2実施形態による釣り竿の竿元側の構成を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示す釣り竿の竿元部を90°回転させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る釣り竿の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
【0019】
(第1実施形態)
図1及び
図2に示すように本実施形態の釣り竿1は、竿先部2と、竿先部2に対して相対的に回転可能に設けられた竿元部3と、を有している。
【0020】
釣り竿1は、断面円形状(第1断面形状)を有する竿先部2と、断面円形状と異なる平坦断面形状(第2断面形状)を有するリアグリップ30を有する竿元部3と、竿先部2と竿元部3とを相対的に回転可能とする回転状態と、相対的に回転不能とする非回転状態とに切替える切替機構10と、を備えている。
【0021】
ここで、図面の釣り竿1において、竿体の軸線を竿軸Xと称すると共に、竿先側(必要に応じて前側、先端側という)を符号X1で示し、竿元側(必要に応じて後側という)を符号X2で示す。また、以下の説明において、竿軸X方向から見て竿軸X回りに周回する方向を周方向とし、竿軸Xに直交する方向を径方向と定義する。
また、径方向のうち竿先部2のトリガー41を下側に向けた時の上下方向を符号Yで称すると共に、トリガー41が設けられる側を下側Y2とし、径方向でその反対側を上側Y1とする。
【0022】
図3に示すように、竿先部2の竿元側端部2aには、パイプ形状のリールシート筒4(リールシート部)が一体的に設けられている。竿先部2の竿元側端部2aは、竿先固定筒21に挿通されて回転不能な状態で一体的に固定されている。
【0023】
図4(a)、(b)に示すように、リールシート筒4は、竿先側X1の内面4aが竿先固定筒21の外側に嵌合された状態で固定され、竿元側X2の開口には竿元部3の竿先側X1の接続端となる竿元固定筒31(第2突出部)が挿入されている。リールシート筒4の後端部4dには、竿元部3が挿入可能な挿入孔4eが設けられている。
【0024】
リールシート筒4は、竿元側X2の下面4cから下方に向けて上述したトリガー41が突出している。また、リールシート筒4の上面4bには、不図示の両軸リールが装着可能に装着されるリールシート40を有している。リールシート40の竿先側X1のねじ部40aには、両軸リールを取り付けるための回転ねじ(図示省略)が竿先側X1から締め込み可能に螺合される。リールシート筒4の内径は、竿元固定筒31の内径及び後述する閉止キャップ43の内径よりも大きく設定されている。
【0025】
リールシート筒4には、後端側に開口する係合凹部42が形成されている。係合凹部42には、閉止キャップ43が係合されている。閉止キャップ43は、竿元部3が挿通可能な筒状に形成され、先端側の端部に係合凹部42に係合される係合凸部44(第1突出部)を有している。係合凸部44は、リールシート筒4の内面4aよりも径方向内側に突出している。なお、閉止キャップ43は、先端部に例えば雄ねじが形成され、ねじ込みによりリールシート筒4の後端部に固定されていてもよい。
閉止キャップ43をリールシート筒4から取り外すことで、スプリング13とともに竿元部3もリールシート筒4から取り外すことができ、例えばスプリング13の交換やメンテナンスを行うことができる。
【0026】
リールシート筒4の後端部4dには、スプリング13(付勢部材)を介して竿元部3の竿先側端部3a(竿元固定筒31)が連結されている。竿元部3の竿先側端部3aは、竿元固定筒31に挿通された状態で固定されている。竿元固定筒31は、竿元部3の外周面から径方向外側に突出している。
【0027】
竿元部3のリアグリップ30は、
図1に示すように、竿元部3の本体32の後端に設けられ、上述したように平坦断面形状をなしている。例えば釣り竿1を握ってリアグリップ30を肘に当てて使用する場合には、竿元部3はリアグリップ30の平坦部30a(
図2参照)が上下方向Yを向く姿勢で竿先部2に対して保持されている。
【0028】
図4(a)、(b)、
図5及び
図6に示すように、切替機構10は、リールシート筒4の内側に設けられている。
切替機構10は、竿先部2の竿元側端部2aに設けられた第1係合部11と、竿元部3の竿先側端部3aに設けられ、第1係合部11に相対的に回転不能に係合する係合位置P1(
図4(b)参照)と、第1係合部11に相対的に回転可能な非係合位置P2(
図4(a)参照)と、の間で移動可能な第2係合部12と、第2係合部12を非係合位置P2から係合位置P1に向かって付勢するスプリング13と、を備えている。
【0029】
第1係合部11は、
図6に示すように、竿軸X方向の竿元側に向けて凸となる第1凸部11A(第1凹凸部)が径方向に対向する位置に一対形成されている。第1凸部11Aは、後述する周方向に隣接する第2凸部12A、12A同士の間の凹部12Bに対して周方向の回転が規制されるように係合可能に形成されている。
【0030】
第2係合部12は、
図5に示すように、第1凸部11Aに係合可能な竿軸X方向に凸となる第2凸部12A(第2凹凸部)が周方向に一定の間隔をあけて複数(ここでは4つ)が形成されている。隣接する第2凸部12A、12A同士の間には、凹部12Bが形成されている。第2凸部12Aと第1凸部11Aとは、突出高さが同じであるが、いずれか一方の突出高さが低い或いは高くなっていてもかまわない。径方向に対向する一対の凹部12B、12Bには、一対の第1凸部11A、11Aが係合可能である。
【0031】
図4(a)、(b)に示すように、スプリング13は、バネ鋼がコイル状に形成されたバネであり、竿元部3の外側に嵌合された状態で竿軸Xと同軸に設けられ、竿軸X方向で竿元固定筒31と閉止キャップ43との間に配置されている。スプリング13の外径はリールシート筒4の内径より小さく且つスプリング13の内径は、竿元部3の外径よりも大きい。
【0032】
スプリング13は、先端部13aが竿元固定筒31の後端31aに当接し、後端部13bが閉止キャップ43の先端面43aに当接し、リールシート筒4の内側に収容された状態で竿元部3を竿先側X1に向けて付勢している。すなわち、スプリング13は、第1係合部11と第2係合部12とが係合位置P1で係合するように竿軸X方向に付勢した状態で保持されている。そして、スプリング13の付勢に抗して竿元部3を竿元側X2に引いて移動させることにより、第1係合部11と第2係合部12とが係合位置P1から非係合位置P2となって係合状態が解除されて竿先部2に対して竿元部3が回転自在な状態となる。
【0033】
次に、このように構成される釣り竿の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】
本実施形態では、
図4に示すように、竿先部2に対して竿元部3を切替機構10によって回転させて所望の回転角度となる回転位置で回転不能な位置で保持することができる。すなわち、使用形態に合わせて竿元部3とともにリアグリップ30を適宜な回転角度に回転させた位置で保持することができる。
そのため、実釣時に竿先部2を把持して肘を竿元部3の平坦断面形状のリアグリップ30に当てて保持する際には、竿元部3のリアグリップ30における肘のホールド感を良好に維持できる。そして、
図7に示すように、竿元部3を竿先部2に対して矢印E方向に90°回転させることにより、リアグリップ30を脇に挟んで使用する等の様々な形態における好適なホールド感が得られる。
【0035】
また、本実施形態では、竿元部3の第2係合部12をスプリング13の付勢方向と反対側(竿元側X2)に移動させることで、第1係合部11と第2係合部12との係合が解除された非係合位置P2となる。さらに非係合位置P2において、第2係合部12を第1係合部11に対して相対的に回転させて所望の回転角度の回転位置とすることで、第2係合部12を第1係合部11とを係合位置P1にすることができる。
この場合、竿先部2と竿元部3とを相対的に回転させる際に第2係合部12をスプリング13の付勢力に抗して竿元側X2に移動させる構成であり、通常時においては第2係合部12がスプリング13によって付勢されているので係合位置P1が解除されることはない。
【0036】
また、本実施形態では、第1係合部11の第1凸部11Aと第2係合部12の第2凸部12Aとが係合する構成であるので、係合位置P1における第1係合部11と第2係合部12との回転を簡単、かつ効率よく規制することができる。
【0037】
さらに、本実施形態のようにリールシート筒4が設けられる釣り竿1の場合において、リールシート筒4の内側に切替機構10が収容され、竿先部2に一体的に設けられたリールシート筒4の挿入孔4eに竿元部3を挿入させることができる。リールシート筒4に取り付けたリールの向きを変えることなく、竿元部3のみをリールシート筒4に対して所望の回転位置(係合位置P1)に回転させることができる。
しかも、切替機構10が露出することがないことから、意匠性に優れた構造を実現できる。
【0038】
さらにまた、本実施形態では、竿先部2に一体化されたリールシート筒4の内側に、竿先部2と竿元部3とを回転可能、かつ回転不能に保持する切替機構10が設けられているので、リールシート筒4に装着されたリールに対して竿元部3を所望の回転角度となる回転位置に変更することができる。
また、リールシート筒4の内側に切替機構10が収容された状態となり、外部に露出しない構成となるので、コンパクトな構造とすることができ、意匠性にも優れた釣り竿を提供できる。
【0039】
上述のように構成された本第1実施形態による釣り竿1では、使用形態に合わせて、竿先に対する竿元のグリップの回転位置を変更でき、好適なホールド感を得ることができる。
【0040】
(第2実施形態)
図8に示す第2実施形態による釣り竿1Aは、竿軸X方向に延びる2本の長尺棒材33、33を平行に配列させた竿元部3Aを備えている。竿元部3Aの後端には、円筒形状のリアグリップ30Aが設けられている。
竿元部3Aは、第1実施形態と同様に先端部が竿先部2に一体的に設けられたリールシート筒4の挿入孔4eに挿入された状態で切替機構10によって回転可能に接続されている。本第2実施形態の釣り竿1Aの切替機構10は、上述した第1実施形態の切替機構10と同様の構成であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0041】
竿元部3Aをリールシート筒4に対して回転させる際には、
図4(a)に示すように竿元部3Aの第2係合部12をスプリング13の付勢方向と反対側(竿元側X2)に移動させることで、第1係合部11と第2係合部12との係合が解除された非係合位置P2となる。さらに非係合位置P2において、第2係合部12を第1係合部11に対して相対的に回転させて所望の回転角度となる回転位置とすることで、第2係合部12を第1係合部11とを係合位置P1にすることができる。
【0042】
図8に示すように、竿元部3Aの2本の長尺棒材33、33を肘当てにして釣り竿1Aを使用する際には、2本の長尺棒材33、33が竿軸X方向から見て上下方向Yに対して直交する方向に平行に配置できる。すなわち平行に並ぶ2本の長尺棒材33、33によって形成される幅広の面を肘に当てて使用される。
また、
図9に示すように、竿元部3Aの2本の長尺棒材33、33を脇に挟んで釣り竿1Aを使用する際には、竿元部3Aを矢印E方向に90°回転させて2本の長尺棒材33、33が竿軸X方向から見て上下方向Yに平行に配置できる。すなわち平行に並ぶ2本の長尺棒材33、33によって形成される幅広の平面が上下方向Yを向くので脇に挟んで使用される。
【0043】
以上、本発明による釣り竿の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0044】
例えば、本実施形態では、両軸受リールを装着可能なリールシート筒4の例としているが、両軸受リールであることに限定されることはなく、例えばスピニングリールが取り付け可能なリールシート筒4であってもよい。
【0045】
また、本実施形態では、釣り竿として竿先部2と竿元部3とがそれぞれ1本ずつ設けたものを対象としているが、竿先部2が複数の竿体によって構成される継竿であってもかまわない。
【0046】
さらに、本実施形態では、切替機構10として、竿先部2の竿元側端部2aに設けられた第1係合部11と、竿元部3の竿先側端部3aに設けられ、係合位置P1と非係合位置P2との間で移動可能な第2係合部12と、スプリング13(付勢部材)と、を備えた構成としているが、このような構成であることに限定されることはない。
例えば、付勢部材としてスプリング13を採用しているが、これに限定されることはなく、磁石などを採用することも可能である。つまり、磁石の磁力により係合位置P1で第1係合部11と第2係合部12とが吸着されて係合し、磁力に抗して竿元部3を後方に移動させることにより非係合位置P2にして竿元部3を竿先部2に対して回転できる構成を採用することも可能である。
【0047】
また、本実施形態では、竿先部2に設けられる第1係合部11に一対の第1凸部11Aが形成され、竿元部3に設けられる第2係合部12に4つの第2凸部12A及び凹部12Bが形成されているが、これに限定されることはない。例えば竿先部2の第1係合部11に4つの凸部と凹部が形成され、竿元部3の第2係合部12に一対の凸部が形成されていてもよい。
【0048】
また、上述した第1実施形態では、竿先部2が断面円形状であり、竿元部3のリアグリップ30が平坦断面形状とした構成のものであるが、このような断面形状であることに限定されることはない。例えば、竿先部2の断面形状(第1断面形状)が非円形断面であってもよいし、竿元部3のリアグリップ30の断面形状(第2断面形状)が円形断面であってもかまわない。要は、第1断面形状と第2断面形状が異なる構成であればよいのである。
【0049】
さらに、本実施形態では、リールが装着可能なパイプ形状のリールシート筒4(リールシート部)を有し、リールシート部の竿先側端部に竿先部2が回転不能な状態で一体的に接続され、リールシート部の竿元側端部に竿元部3が挿入可能な挿入孔4eが設けられた構成であり、さらに切替機構10がリールシート部の内側に配置された構成としているが、このような構成に限定されることはない。例えば、リールシート筒4を省略することも可能であり、竿先部2の竿元側端部2aの内側に竿元部3の竿先側端部3aが係合位置P1と非係合位置P2とで切替え可能に回転できる構成とすることができる。
【0050】
さらにまた、付勢部材の支持構造として、上述した実施形態では、リールシート筒4の内側に突出する第1突出部と、竿元部3の外周に設けられた第2突出部と、を設け、付勢部材が第1突出部および第2突出部に当接し、竿元部3を竿先側に向けて付勢する構成としているが、これに限定されることはない。要は、竿元部3を竿先側に向けて付勢するように付勢部材が支持されていればよいのである。
【符号の説明】
【0051】
1、1A 釣り竿
2 竿先部
2a 竿元側端部
3、3A 竿元部
3a 竿先側端部
4 リールシート筒(リールシート部)
4e 挿入孔
10 切替機構
11 第1係合部
12 第2係合部
13 スプリング(付勢部材)
21 竿先固定筒
30、30A リアグリップ
31 竿元固定筒(第2突出部)
40 リールシート
44 係合凸部(第1突出部)
P1 係合位置
P2 非係合位置
X 竿軸
Y 上下方向