(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022388
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】光電気複合コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20230208BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
H01R13/46 D
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127239
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】西村 顕人
(72)【発明者】
【氏名】菊池 修
【テーマコード(参考)】
2H036
5E087
【Fターム(参考)】
2H036QA02
2H036QA22
2H036QA43
5E087EE02
5E087EE14
5E087MM02
5E087PP06
5E087QQ01
5E087RR11
(57)【要約】
【課題】接続対象となる他の光コネクタ及び他の電気コネクタに対して接続したり接続解除したりする際に、一方の光ファイバから出射したレーザ光が他方の光ファイバ外に照射されることを抑制できる光電気複合コネクタを提供する。
【解決手段】光電気複合コネクタ10は、光ファイバ41を他の光コネクタ140の光ファイバ141に接続する光コネクタ40と、電気配線を他の電気コネクタ130の電気配線に接続する電気コネクタ30と、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続された状態の時に、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に対して接続可能になり、かつ、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に対して接続解除された状態の時に、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続解除可能になる接続構造80と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象となる他の光コネクタ及び他の電気コネクタに対して接続される光電気複合コネクタであって、
光ファイバを前記他の光コネクタの光ファイバに接続する光コネクタと、
電気配線を前記他の電気コネクタの電気配線に接続する電気コネクタと、
前記光コネクタが前記他の光コネクタに対して接続された状態の時に、前記電気コネクタが前記他の電気コネクタに対して接続可能になり、かつ、前記電気コネクタが前記他の電気コネクタに対して接続解除された状態の時に、前記光コネクタが前記他の光コネクタに対して接続解除可能になる接続構造と、
を備える光電気複合コネクタ。
【請求項2】
接続対象となる他の光コネクタ及び他の電気コネクタに対して接続される光電気複合コネクタであって、
電気配線を有する基板と、
前記基板の主面に沿う第一方向の一方側における前記基板の端部に設けられ、前記電気配線を前記他の電気コネクタの電気配線に接続する電気コネクタと、
前記基板に対して前記第一方向にスライド可能に設けられ、光ファイバを前記他の光コネクタの光ファイバに接続する光コネクタと、
前記光コネクタを前記基板に対して前記基板の端部から前記基板の外側に向かう前記第一方向の一方側に付勢する第一付勢部材と、
を備え、
前記光コネクタは、前記第一付勢部材の付勢力によって前記基板の端部に位置する前記電気コネクタよりも前記第一方向の一方側に位置するように付勢される光電気複合コネクタ。
【請求項3】
前記光コネクタは、
ハウジングと、
前記ハウジングに対して前記第一方向に移動可能に収容されて前記光ファイバを保持するフェルールと、
前記フェルールを前記ハウジングに対して前記第一方向の一方側に付勢する第二付勢部材と、
を備える請求項2に記載の光電気複合コネクタ。
【請求項4】
前記第一付勢部材の付勢力と、前記第二付勢部材の付勢力とが互いに等しい請求項3に記載の光電気複合コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気複合コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光信号及び電気信号を伝送する光ファイバ及び電気配線(電線)を接続するための光電気複合コネクタが開示されている。特許文献1の光電気複合コネクタは、光ファイバを接続相手の光ファイバに接続する光コネクタ、及び、電気配線を接続相手の電気配線に接続する電気コネクタを有する。特許文献1の光電気複合コネクタでは、電気コネクタが接続相手の電気コネクタに接続された後に、光コネクタが接続相手の光コネクタに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光電気複合コネクタには、電気コネクタが他の電気コネクタに接続されることに伴い、光信号を伝送するレーザ光が出射されるものがある。この場合、特許文献1の光電気複合コネクタのように、光コネクタが接続される前に電気コネクタが接続されると、一方の光ファイバから出射したレーザ光が、他方の光ファイバ外(例えば他方の光ファイバのコア周辺を外れた部分やフェルール端面など)に照射されてしまう。このため、レーザ光の出力が大きい場合には、所定の導波路以外に当該レーザ光が照射されると、レーザ光の照射対象に不具合が生じる可能性が高くなる。
【0005】
また、特許文献1に記載のような光電気複合コネクタでは、接続状態を解除する際にも同様の問題が生じ得る。すなわち、電気コネクタと他の電気コネクタとの接続が解除される前に、光コネクタと他の光コネクタとの接続が解除されると、一方の光ファイバから出射したレーザ光が、他方の光ファイバ外に照射されてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、光電気複合コネクタの光コネクタ及び電気コネクタをそれぞれの接続対象となる他の光コネクタ及び他の電気コネクタに対して接続したり接続解除したりする際に、一方の光ファイバから出射したレーザ光が他方の光ファイバ外に照射されることを抑制できる光電気複合コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る光電気複合コネクタは、接続対象となる他の光コネクタ及び他の電気コネクタに対して接続される光電気複合コネクタであって、光ファイバを前記他の光コネクタの光ファイバに接続する光コネクタと、電気配線を前記他の電気コネクタの電気配線に接続する電気コネクタと、前記光コネクタが前記他の光コネクタに対して接続された状態の時に、前記電気コネクタが前記他の電気コネクタに対して接続可能になり、かつ、前記電気コネクタが前記他の電気コネクタに対して接続解除された状態の時に、前記光コネクタが前記他の光コネクタに対して接続解除可能になる接続構造と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光電気複合コネクタの光コネクタ及び電気コネクタをそれぞれの接続対象となる他の光コネクタ及び他の電気コネクタに対して接続したり接続解除したりする際に、一方の光ファイバから出射したレーザ光が他方の光ファイバ外に照射されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る光電気複合コネクタを示す概略断面図である。
【
図2】
図1の光電気複合コネクタを他の光コネクタ及び他の電気コネクタに接続する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について
図1~5を参照して説明する。
図1に示すように、光電気複合コネクタ10は、接続対象である他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130(
図2参照)に対して接続されるコネクタである。本実施形態の光電気複合コネクタ10は、接続構造80として機能する基板20と、電気コネクタ30と、光コネクタ40と、第一付勢部材50と、を備える。
基板20は、電気配線(不図示)を有する。電気配線は、基板20の主面20a,20b(
図1において上面20aや下面20b)に形成されてもよいし、基板20の内部に形成されてもよい。
【0011】
電気コネクタ30は、基板20の電気配線を他の電気コネクタ130(
図2参照)の電気配線(以下、他の電気配線と呼ぶ。)に接続するためのコネクタである。電気コネクタ30は、基板20の主面である上面20a,下面20bに沿う第一方向(前後方向X)の一方側における基板20の端部に設けられている。本実施形態の電気コネクタ30は、基板20の上面20aや下面20bに設けられて基板20の電気配線に接続された端子31を有する。
以下の説明では、第一方向を前後方向Xと呼ぶ。また、第一方向の一方側を前方側(+X)と呼び、その反対側(他方側)を後方側(-X)と呼ぶ。
【0012】
光コネクタ40は、これに取り付けられた光ファイバ41を、他の光コネクタ140に取り付けられた他の光ファイバ141(
図2参照)に接続するためのコネクタである。光コネクタ40は、基板20に対して前後方向Xにスライド可能に設けられている。
【0013】
本実施形態において、光コネクタ40は、基板20の上面20aに設けられ、前後方向Xに延びるレール22に対して当該レール22の長手方向に移動可能に取り付けられている。つまり、レール22は、光コネクタ40を前後方向Xに案内する案内部として機能する。レール22は、その長手方向の両端に、光コネクタ40の移動範囲を規制する規制突起を有する。当該規制突起によって、基板20に対する光コネクタ40の前後方向Xへの移動範囲が規定される。光コネクタ40が前方側における光コネクタ40の移動範囲の端(前端)に配置された状態では、光コネクタ40が電気コネクタ30よりも前方側に位置する。これら光コネクタ40やレール22は、例えば基板20の下面20b側に設けられてもよい。
【0014】
第一付勢部材50は、光コネクタ40を基板20に対して基板20の端部から基板20の外側に向かうように前方側(接続対象の方向)に付勢する。第一付勢部材50は、光コネクタ40がその移動範囲の前端に配置された状態であっても、光コネクタ40を前方側に付勢する。すなわち、光コネクタ40の接続端面43aは、第一付勢部材50の付勢力によって電気コネクタ30よりも前方側に位置するように付勢されている。また、光コネクタ40は、第一付勢部材50の付勢力によって光コネクタ40の移動範囲の前端に保持される。
図1において、第一付勢部材50は、レール22の後方側の端部と、光コネクタ40の後方側の端部との間に設けられている。
図1に例示する第一付勢部材50は、前後方向Xに伸縮するコイルスプリングであるが、例えばゴムなどの弾性体であってもよい。
【0015】
本実施形態の光コネクタ40は、ハウジング42と、フェルール43と、第二付勢部材44と、を備える。
ハウジング42は、内部にフェルール43及び第二付勢部材44を収容する。ハウジング42は、前後方向Xに貫通する収容部45を有している。ハウジング42は、その収容部(チャンバ―)45に収容されたフェルール43及び第二付勢部材44がハウジング42の前後方向Xの両端の開口から抜け出ないように構成されている。具体的には、ハウジング42は、前方側(接続対象の方向)に開口を備えるが、当該開口の内径は、フェルール43が有するフランジ部の外径よりも小さく、またフランジ部以外の外径よりも大きく構成されている。さらに、ハウジング42は、後方側(接続対象と逆の方向)に開口を備えるが、当該開口の内径は、フェルール43が有するフランジ部の外径や第二付勢部材44の外径よりも小さく構成されている。これにより、フェルール43及び第二付勢部材44がハウジング42の前後方向Xの両端の開口から抜け出ないように構成される。また、第二付勢部材44は収容部45の内部においてフェルール43より後ろ側(接続対象と逆の方向)に配置され、かつ、第二付勢部材44の外径は、フェルール43のフランジ部の外径よりも小さく構成される。
【0016】
フェルール43は、ハウジング42に対して前後方向Xに移動可能に収容される。フェルール43は、光コネクタ40に取り付けられる光ファイバ41を保持する。フェルール43は、光ファイバ41の端面が露出する接続端面43aを有する。フェルール43は、その接続端面43aが前方側に向けられた状態でハウジング42の内部に収容される。
【0017】
ハウジング42に対するフェルール43の前後方向Xへの移動範囲は、ハウジング42によって規定されている。本実施形態において、フェルール43が前方側におけるフェルール43の移動範囲の端(前端)に配置された状態では、接続端面43aを含むフェルール43の前端部分がハウジング42の前端から前方側に突出する。また、フェルール43がその移動範囲の前端に配置され、かつ、光コネクタ40がその移動範囲の前端に配置された状態では、フェルール43の接続端面43aが電気コネクタ30よりも前方側に位置する。
【0018】
第二付勢部材44は、フェルール43をハウジング42に対して前方側(接続対象の方向)に付勢する。つまり、第一付勢部材50と第二付勢部材44とが付勢する方向は、同一方向である。第二付勢部材44は、フェルール43がその移動範囲の前端に配置された状態であっても、フェルール43を前方側に付勢する。すなわち、接続端面43aを含むフェルール43の前端部分は、第二付勢部材44の付勢力によってハウジング42よりも前方側に位置するように付勢されている。また、フェルール43は、第二付勢部材44の付勢力によってフェルール43の移動範囲の前端に保持される。
図1において、第二付勢部材44は、ハウジング42の後方側の端部と、フェルール43の後方側の端部との間に設けられている。
図1に例示する第二付勢部材44は、前後方向Xに伸縮するコイルスプリングであるが、例えばゴムなどの弾性体であってもよい。
【0019】
本実施形態では、第二付勢部材44の付勢力と第一付勢部材50の付勢力とが、外力を受けていない状態(収容状態)において、互いに等しい。
【0020】
本実施形態の光電気複合コネクタ10は、これに取り付けられた光ファイバ41に接続された光デバイス60をさらに備える。光デバイス60は、レーザ光の光源であり、これに接続された光ファイバ41に対してレーザ光を出力する。光デバイス60から光ファイバ41に出力されたレーザ光は、光コネクタ40の接続端面43aに露出する当該光ファイバ41の端面から出射される。光デバイス60から光ファイバ41へのレーザ光の出力は、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130(
図2参照)に接続された状態で行われる。本実施形態の光デバイス60は、基板20の上面20aに実装され、光コネクタ40やレール22よりも後方側に配置されている。
【0021】
以上のように構成される本実施形態の光電気複合コネクタ10では、これに外力が作用していない状態において、光コネクタ40が第一付勢部材50の付勢力によって基板20に対する光コネクタ40の移動範囲の前端に保持され、かつ、光コネクタ40のフェルール43が第二付勢部材44の付勢力によってハウジング42に対するフェルール43の移動範囲の前端に保持される。これにより、光コネクタ40の接続端面43aが電気コネクタ30よりも前方側の位置に保持される。
【0022】
次に、
図2を参照して、本実施形態の光電気複合コネクタ10に接続される他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130について説明する。
図2に示す他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130は、例えば各種の機器や設備に設けられているコネクタ(ホストボード用コネクタ)である。
他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に関する以下の説明では、前後方向Xにおいて他の光コネクタ140や他の電気コネクタ130が光電気複合コネクタ10に対向する側を後方側(-X)と呼び、その反対側を前方側(+X)と呼ぶ。
【0023】
他の光コネクタ140は、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40に接続されるように構成されている。他の光コネクタ140には、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40に取り付けられた光ファイバ41に接続される他の光ファイバ141が取り付けられている。他の光コネクタ140は、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40と同様に、ハウジング142、フェルール143及び付勢部材144を有する。以下の説明では、他の光コネクタ140のハウジング142、フェルール143、付勢部材144を、それぞれ他のハウジング142、他のフェルール143、他の付勢部材144と呼ぶ。
【0024】
他のハウジング142は、内部に他のフェルール143及び他の付勢部材144を収容する。他のハウジング142は、前後方向Xに貫通する収容部145を有している。他のハウジング142は、その収容部145に収容された他のフェルール143及び他の付勢部材144が他のハウジング142の前後方向Xの両端の開口から抜け出ないように構成されている。
【0025】
他のフェルール143は、他のハウジング142に対して前後方向Xに移動可能に収容され、他の光ファイバ141を保持する。他のフェルール143は、他の光ファイバ141の端面が露出する接続端面143aを有する。他のフェルール143は、その接続端面143aが後方側に向けられた状態で他のハウジング142の内部に収容される。
【0026】
他のハウジング142に対する他のフェルール143の前後方向Xへの移動範囲は、他のハウジング142によって規定されている。本実施形態において、他のフェルール143が後方側における他のフェルール143の移動範囲の端(後端)に配置された状態では、他のフェルール143の接続端面143aが他のハウジング142の収容部145の後端よりも前方側に窪んで位置する。他のフェルール143が入らない他のハウジング142の収容部145の後端側の部分は、光電気複合コネクタ10のフェルール43の前端部分が挿入される挿入孔として機能する。
【0027】
他の付勢部材144は、他のフェルール143を他のハウジング142に対して後方側に付勢する。他の付勢部材144は、他のフェルール143がその移動範囲の後端に配置された状態であっても、他のフェルール143を後方側に付勢する。すなわち、他のフェルール143は、他の付勢部材144の付勢力によって他のフェルール143の移動範囲の後端に保持される。
図2において、他の付勢部材144は、他のハウジング142の前方側の端部と、他のフェルール143の前方側の端部との間に設けられている。
図2に例示する他の付勢部材144は、前後方向Xに伸縮するコイルスプリングであるが、例えばゴムなどの弾性体であってもよい。
本実施形態において、他の付勢部材144の付勢力は、第二付勢部材44の付勢力と同等であるが、これに限ることはない。
【0028】
他の光コネクタ140は、前後方向Xにおいて他のフェルール143の接続端面143aを光電気複合コネクタ10のフェルール43の接続端面43aに突き合せることで、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40に接続される。これにより、光電気複合コネクタ10の光ファイバ41と他の光コネクタ140の他の光ファイバ141とが接続される。光コネクタ40と他の光コネクタ140との接続においては、光コネクタ40のフェルール43が、他の光コネクタ140の他のハウジング142の収容部145に挿入されることで、光ファイバ41と他の光ファイバ141との位置ずれを防ぐことができる。
【0029】
また、フェルール43の接続端面43aと他のフェルール143の接続端面143aとを突き合せた状態で、第一、第二付勢部材50,44及び他の付勢部材144の付勢力に抗って、光コネクタ40と他の光コネクタ140とを互いに近づけることで、第一、第二付勢部材50,44及び他の付勢部材144の付勢力によりフェルール43及び他のフェルール143の接続端面43a,143aが互いに押し合う状態になる。これにより、フェルール43の接続端面43aと他のフェルール143の接続端面143aとの間に隙間が生じることなく、光コネクタ40と他の光コネクタ140とを互いに接続することが可能となる。
【0030】
他の電気コネクタ130は、光電気複合コネクタ10の電気コネクタ30に接続されるように構成されている。本実施形態の他の電気コネクタ130は、後方側に開口する挿入口133を有する。挿入口133には、光電気複合コネクタ10の電気コネクタ30を含む基板20の端部が挿入される。他の電気コネクタ130は、挿入口133の内面に設けられて、他の電気配線(不図示)に接続された端子131を有する。
【0031】
他の電気コネクタ130の端子131は、電気コネクタ30(基板20の端部)が挿入口133に挿入されることで、電気コネクタ30の端子31に接触する。これにより、光電気複合コネクタ10の電気配線と、他の電気コネクタ130の他の電気配線とが接続される。
図2において他の電気コネクタ130の端子131は、前後方向Xにおいて他の光コネクタ140の接続端面143aよりも前方側に配置されているが、例えば前後方向Xにおいて他の光コネクタ140の接続端面143aと同じ位置に配置されてもよい。
【0032】
図2に例示する構成では、上記した他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130が一体に形成されているが、例えば互いに独立していてもよい。
【0033】
次に、
図2~5を参照して、本実施形態の光電気複合コネクタ10と他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130とを接続する方法の一例について説明する。
光電気複合コネクタ10と他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130とを接続する際には、はじめに
図2に示すように、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40及び電気コネクタ30を、前後方向Xにおいて他の光コネクタ140及び電気コネクタ30に対向させる。
【0034】
次いで、
図3に示すように、光電気複合コネクタ10を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に向けて前方側に移動させる。ここで、光コネクタ40の接続端面43aは電気コネクタ30の端子31よりも前方側(接続対象側)に位置する。このため、はじめに(電気コネクタ30が接続される前に)光コネクタ40が他の光コネクタ140に接続される。具体的には、光コネクタ40のフェルール43の前端部分が他の光コネクタ140の収容部145の後端側の部分(挿入孔)に挿入され、フェルール43の接続端面43aが他のフェルール143の接続端面143aに突き当たる。これにより、光電気複合コネクタ10の光ファイバ41と他の光コネクタ140の他の光ファイバ141とが接続される。
【0035】
その後、
図4に示すように、光電気複合コネクタ10をさらに前方側に移動させると、フェルール43と他のフェルール143とを押し付け合う力によって、フェルール43が第二付勢部材44の付勢力に抗ってハウジング42に対して後方側に移動する。また、光コネクタ40が第一付勢部材50の付勢力に抗って基板20に対して後方側に移動する。さらに、他のフェルール143が他の付勢部材144の付勢力に抗って他のハウジング142に対して前方側に移動する。
図4に示す状態では、第一、第二付勢部材50,44及び他の付勢部材144の付勢力によってフェルール43及び他のフェルール143の接続端面43a,143aが互いに押し合う状態となっている。これにより、フェルール43に保持された光ファイバ41の端面と他のフェルール143に保持された他の光ファイバ141の端面との間に隙間が生じることを防止できる。
なお、
図4に示す状態では、ハウジング42の前端と他のハウジング142の後端とが互いに突き合わされている。
【0036】
そして、
図4に示す状態から光電気複合コネクタ10をさらに前方側に移動させると、
図5に示すように、電気コネクタ30を含む基板20が、第一付勢部材50の付勢力に抗って光コネクタ40に対して前方側に移動する。すなわち、光コネクタ40が基板20に対して後方側に移動する。これにより、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に接続される。具体的には、電気コネクタ30を含む基板20の端部(以下、基板20の突出部とも呼ぶ。)が他の電気コネクタ130の挿入口133に挿入され、電気コネクタ30の端子31が他の電気コネクタ130の端子131に接触する。これにより、光電気複合コネクタ10の電気配線と、他の電気コネクタ130の他の電気配線とが接続される。以上により、光電気複合コネクタ10と他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130とを接続する方法が完了する。なお、基板20の突出部が、挿入口133に挿入されることに伴う強い摩擦等により、
図5に示す接続状態が維持されるが、当該接続状態を強く維持するためのラッチ構造を何処かに備えていても良い。
【0037】
上記した接続方法では、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続された後に、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に接続される。そして、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に接続されることで、光デバイス60からレーザ光が光ファイバ41に出力され、当該レーザ光が光ファイバ41の端面から出射される。ここで、光コネクタ40は他の光コネクタ140に対して既に接続されているため、光ファイバ41から出射されたレーザ光は、他の光ファイバ141に積極的に入射される。
なお、本実施形態では、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続された後に、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に接続される構造としたが、接続される直前の、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して位置合せが行われた状態であれば、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に接続される構成としてもよい。つまり、光コネクタ40の接続端面43aが、他の光コネクタ140のハウジング142に挿入された状態であれば、電気コネクタ30,130を電気的に接続する構成としてもよい。
【0038】
次に、
図2~5を参照して、本実施形態の光電気複合コネクタ10と他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130との接続を解除する方法の一例について説明する。
光電気複合コネクタ10と他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130との接続を解除するためには、
図5に示す接続状態から、光電気複合コネクタ10を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対して後方側に移動させればよい。ここで、光コネクタ40は第一、第二付勢部材50,44の付勢力によって他の光コネクタ140に向けて付勢されている。このため、
図4,3に示すように、光電気複合コネクタ10のうち電気コネクタ30を含む基板20が、光コネクタ40や他の光コネクタ140、他の電気コネクタ130に対して後方側に移動する。これにより、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に対して接続解除される。また、光デバイス60から光ファイバ41へのレーザ光の出力も解除される。電気コネクタ30と他の電気コネクタ130との接続を解除する際、光コネクタ40と他の光コネクタ140との接続状態は、第一、第二付勢部材50,44の付勢力によって維持されている。
【0039】
その後、光電気複合コネクタ10を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対してさらに後方側に移動させることで、
図2に示すように、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続解除される。以上により、光電気複合コネクタ10と他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130との接続を解除する方法が完了する。
上記した接続解除方法では、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に対して接続解除された後に、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続解除される。このため、光コネクタ40と他の光コネクタ140との接続解除は、光デバイス60から光ファイバ41へのレーザ光の出力が解除された後に行われる。
【0040】
以上のように説明した本実施形態の光電気複合コネクタ10は、接続構造80を有する。接続構造80は、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続された状態の時に、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に対して接続可能になる構造である。また、接続構造80は、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に対して接続解除された状態の時に、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続解除可能になる構造である。
本実施形態における接続構造80は、光コネクタ40が基板20(電気コネクタ30)に対して前後方向Xにスライドする構造、及び、光コネクタ40を基板20(電気コネクタ30)に対して前方側に付勢する第一付勢部材50、を含む。また、本実施形態における接続構造80は、フェルール43がハウジング42に対して前後方向Xにスライドする構造、及び、フェルール43をハウジング42に対して前方側に付勢する第二付勢部材44、も含む。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の光電気複合コネクタ10は、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続された状態の時に、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に対して接続可能になり、かつ、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に対して接続解除された状態の時に、光コネクタ40が他の光コネクタ140に対して接続解除可能になる接続構造80を備える。すなわち、電気コネクタ30と他の電気コネクタ130とを相互に接続したり接続解除したりする際には、常に、光コネクタ40と他の光コネクタ140とが相互に接続されている。
このため、電気コネクタ30と他の電気コネクタ130とが相互に接続された状態で光コネクタ40の光ファイバ41の端面からレーザ光が出射されても、当該レーザ光が他の光ファイバ141外(例えば他の光コネクタ140の本体部分(他のフェルール143や他のハウジング142)、他の電気コネクタ130、他の電気配線など)に到達すること抑制することができる。すなわち、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40及び電気コネクタ30をそれぞれ他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対して接続したり接続解除したりする際に、光ファイバ41から出射したレーザ光が他の光ファイバ141外に照射されることを抑制できる。したがって、レーザ光の出力が大きくても、レーザ光によって他の光ファイバ141外に不具合が生じることを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態の光電気複合コネクタ10は、電気配線を有する基板20と、前方側における基板20の端部に設けられて基板20の電気配線を他の電気コネクタ130の他の電気配線に接続するための電気コネクタ30と、を有する。さらに、光電気複合コネクタ10は、基板20に対して前後方向Xにスライド可能に設けられ、光ファイバ41を他の光コネクタ140の他の光ファイバ141に接続する光コネクタ40と、光コネクタ40を基板20に対して前方側に付勢する第一付勢部材50と、を有する。そして、光コネクタ40は、第一付勢部材50の付勢力によって基板20の端部に位置する電気コネクタ30よりも前方側に位置するように付勢される。
このため、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40及び電気コネクタ30を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対して接続する際には、
図3,4に示すように、光電気複合コネクタ10を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に向けて前方側(接続方向前側)に移動させればよい。ここで、光コネクタ40は電気コネクタ30よりも前方側に位置する。このため、光コネクタ40を他の光コネクタ140に対して接続した後に、電気コネクタ30を他の電気コネクタ130に対して接続することができる。また、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40及び電気コネクタ30を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対してそれぞれ接続した状態では、光コネクタ40が接続前の状態よりも基板20に対して後方側(接続方向後側)に位置し、第一付勢部材50の付勢力によって光コネクタ40を他の光コネクタ140に押し付けることができる。
【0043】
一方、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40及び電気コネクタ30を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対して接続解除する際には、光電気複合コネクタ10を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対して後方側に移動させればよい。ここで、光コネクタ40は第一付勢部材50の付勢力によって他の光コネクタ140に押し付けられている。このため、接続解除の際には、電気コネクタ30を他の電気コネクタ130に対して接続解除した後に、光コネクタ40を他の光コネクタ140に対して接続解除することができる。
以上のことから、電気コネクタ30と他の電気コネクタ130とを相互に接続したり接続解除したりする際には、光コネクタ40と他の光コネクタ140とを接続した状態に維持できる。したがって、前述したように、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40及び電気コネクタ30をそれぞれ他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対して接続したり接続解除したりする際に、一方の光ファイバ41から出射したレーザ光が他の光ファイバ141外に照射されることを抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態の光電気複合コネクタ10によれば、光コネクタ40は、ハウジング42と、ハウジング42に対して前後方向Xに移動可能に収容されて光ファイバ41を保持するフェルール43と、フェルール43をハウジング42に対して前方側に付勢する第二付勢部材44と、を備える。
このため、第二付勢部材44の付勢力によって、光コネクタ40のフェルール43を他の光コネクタ140(他のフェルール143)に対して押し付けることができる。すなわち、第二付勢部材44に、フェルール43を他の光コネクタ140に対して押し付けて光ファイバ41と他の光ファイバ141との接続を確保する機能を担わせることができる。一方、第一付勢部材50には、光電気複合コネクタ10を他の光コネクタ140及び他の電気コネクタ130に対して接続解除した状態で、光コネクタ40を基板20の端部に位置する電気コネクタ30よりも前方側に位置させる機能(すなわち、光コネクタ40を初期位置に復帰させる機能)を担わせることができる。
【0045】
また、本実施形態の光電気複合コネクタ10では、第一付勢部材50の付勢力と前記第二付勢部材44の付勢力とが互いに等しいことで、第一、第二付勢部材50,44の一方の付勢力が他方の付勢力を阻害することを抑制又は防止することができる。つまり、接続構造80全体に対して、一定の付勢力を保つことができる。これにより、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40と、他の光コネクタ140とを安定した状態で接続することが可能となる。
【0046】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0047】
本発明において、電気コネクタ30が他の電気コネクタ130に接続された状態でレーザ光を出力する光デバイス60は、例えば、他の光コネクタ140に取り付けられた他の光ファイバ141に接続されてもよい。すなわち、本発明の光電気複合コネクタ10は、光デバイス60を備えなくてもよい。このような構成では、電気コネクタ30と他の電気コネクタ130とが相互に接続された状態において、他の光コネクタ140の他の光ファイバ141の端面からレーザ光が出射される。
【0048】
本発明において、光電気複合コネクタ10の光コネクタ40や電気コネクタ30は、雌型とされた他の光コネクタ140や他の電気コネクタ130に対して挿入される雄型に形成されることに限らず、例えば雄型とされた他の光コネクタ140や他の電気コネクタ130を挿入させる雌型に形成されてもよい。
【0049】
本発明において、光電気複合コネクタ10の接続構造80は、上記実施形態において例示されたものに限られない。光電気複合コネクタ10の接続構造80は、例えば光コネクタ40が電気コネクタ30よりも前方側に位置する構造だけを含んでもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…光電気複合コネクタ、20…基板、20a…上面(主面)、20b…下面(主面)、30…電気コネクタ、40…光コネクタ、41…光ファイバ、42…ハウジング、43…フェルール、44…第二付勢部材、50…第一付勢部材、80…接続構造、130…他の電気コネクタ、140…他の光コネクタ、141…他の光ファイバ、X…前後方向(第一方向)