(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022427
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】リフレクトアレー、リフレクトアレーシステム、通信システム、リフレクトアレー内蔵型壁面材、および、移動体通信システム
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/14 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127298
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193389
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 智利
(72)【発明者】
【氏名】ホンナラ タナン
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆吉
(72)【発明者】
【氏名】白澤 嘉樹
(72)【発明者】
【氏名】小野田 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 克守
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】大島 一郎
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA01
5J020BA06
5J020DA03
(57)【要約】
【課題】リフレクトアレーにおいて、高利得を保ったまま、反射板の電界強度の低下を起こさずに、複数の入射角度の反射を可能とし、リフレクトアレーの設置の簡易化を図ることができるリフレクトアレーを提供することを目的とする。
【解決手段】リフレクトアレーにおいて、XY平面上に第一の素子および第二の素子がそれぞれ複数配置される。第一の素子はY方向に配列されて第一の素子列を形成し、第二の素子はY方向に配列されて第二の素子列を形成する。X方向に第一の素子列および第二の素子列が交互に並ぶ。最大の入反射を生じる2つの角度が、X軸の正または負の同じ側にある。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する3方向をX方向、Y方向、および、Z方向として、
XY平面上に第一の素子および第二の素子がそれぞれ複数配置され、
前記第一の素子はY方向に配列されて第一の素子列を形成し、
前記第二の素子はY方向に配列されて第二の素子列を形成し、
前記第一の素子列および前記第二の素子列が交互に並び、
最大の入反射を生じる2つの角度が、X軸の正または負の同じ側にあることを特徴とする、リフレクトアレー。
【請求項2】
前記最大の入反射を生じる2つの角度が、Z軸に対して、一方が1度から30度であり、他方が60度から89度であることを特徴とする、請求項1に記載のリフレクトアレー。
【請求項3】
変形可能なシート状であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のリフレクトアレー。
【請求項4】
前記リフレクトアレーを外部に対して固定する固定部を有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のリフレクトアレー。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレーを複数有し、
前記最大の入反射を生じる2つの方向を含む平面と、XY平面との交わる線を、入反射方向として、
前記入反射方向が互いに異なる前記リフレクトアレーを交互に配置したことを特徴とする、リフレクトアレーシステム。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレーを複数有し、
前記最大の入反射を生じる2つの方向を含む平面と、XY平面との交わる線を、入反射方向として、
前記入反射方向が互いに90度異なる前記リフレクトアレーを交互に配置したことを特徴とする、リフレクトアレーシステム。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレーを複数有し、
前記最大の入反射を生じる2つの方向を含む平面と、XY平面との交わる線を、入反射方向として、
前記入反射方向が略所定角度ずつ互いに異なる前記リフレクトアレーが複数配置され、
前記入反射方向が略曲線状に変化するよう構成されていることを特徴とする、リフレクトアレーシステム。
【請求項8】
複数の基地局、および、請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレーを有し、
前記複数の基地局のうち、2の基地局の間に、前記リフレクトアレーが設置されていることを特徴とする、通信システム。
【請求項9】
基地局が壁面に配置され、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、が天井に設けられたことを特徴とする、通信システム。
【請求項10】
基地局を有し、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、が壁面に設けられたことを特徴とする、通信システム。
【請求項11】
基地局を有し、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、が床に設けられたことを特徴とする、通信システム。
【請求項12】
下地材、および、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、を有することを特徴とする、
リフレクトアレー内蔵型壁面材。
【請求項13】
移動体受信部を有し、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、を移動体の内部に有することを特徴とする、移動体通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフレクトアレー、および、リフレクトアレーを用いたリフレクトアレーシステム、通信システム、リフレクトアレー内蔵型壁面材、および、移動体通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムでは、基地局と通信端末との間で電波により信号の送受信を行っている。基地局の数は限られるため、基地局から電波が直接届きにくいエリアが生じる。これを解決するために、リフレクトアレーが用いられることがある。
従来のリフレクトアレー反射板は、入射角と反射角を任意に設計できる。
特許文献1には、メタサーフェス反射板および該メタサーフェスを備えた信号機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフレクトアレー反射板の入射角と反射角をそれぞれ1方向に定めて設計した場合、
図1に示される設計角度の順方向の入射と、
図2に示される逆方向の両方の入射に対して良好な反射を示し、反射波の電界強度は強くなる。
しかし、反射板の設置位置・角度は基地局装置の位置に依存し、一意に定められてしまい、
図3の場合のように、設計角度以外の入射波に対しては、正常に動作しないことが多い。
反射板は基地局方向に向けて設置する必要があるため、設置の際に大きな制約となる。
図4、
図5、および、
図6に示されるように、入射波または反射波を複数の角度方向となるように設計した場合、設置位置、角度等の制約は緩和されるが、所望の方向の電界強度は減少してしまう。
例えば、
図4に示される順方向の入射と、
図5,6に示される逆方向の入射の両方に対して、目的とする通信端末や基地局以外の方向にも反射するため、単一の方向に反射する場合と比べて利得が低下する。
このように、高い反射波の電界強度を必要とする際、1つの入射方向に対し反射波を1方向に集中させる構成では、反射板の設置位置・方向と基地局の方向を正確に合わせる必要があり、基地局装置の位置があらかじめ決められていないと反射板設置は困難である。
また、あらかじめ入射波または反射波を複数の角度方向となるように設計する構成では、反射波の電界強度が低下してしまう。
そこで、本発明は、リフレクトアレー(反射板)において、高利得を保ったまま、反射板の電界強度の低下を起こさずに、複数の入射角度または反射角度での反射を可能とし、リフレクトアレーの設置の簡易化を図ることができるリフレクトアレーを提供することを目的とする。
また、本発明は、複数の入反射角を、指向性利得を低下させずに実現するリフレクトアレーを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、リフレクトアレー(メタマテリアル反射板)の設置を簡略化するリフレクトアレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るリフレクトアレーは、
互いに直交する3方向をX方向、Y方向、および、Z方向として、
XY平面上に第一の素子および第二の素子がそれぞれ複数配置され、
第一の素子はY方向に配列されて第一の素子列を形成し、
第二の素子はY方向に配列されて第二の素子列を形成し、
第一の素子列および第二の素子列が交互に並び、
最大の入反射を生じる2つの角度が、X軸の正または負の同じ側にあることを特徴とする、リフレクトアレーである。
本発明の請求項2に係るリフレクトアレーは、
最大の入反射を生じる2つの角度が、Z軸に対して、一方が1度から30度であり、他方が60度から89度であることを特徴とする、請求項1に記載のリフレクトアレーである。
本発明の請求項3に係るリフレクトアレーは、
変形可能なシート状であることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のリフレクトアレーである。
本発明の請求項4に係るリフレクトアレーは、
リフレクトアレーを外部に対して固定する固定部を有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のリフレクトアレーである。
本発明の請求項5に係るリフレクトアレーシステムは、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレーを複数有し、
最大の入反射を生じる2つの方向を含む平面と、XY平面との交わる線を、入反射方向として、
入反射方向が互いに異なるリフレクトアレーを交互に配置したことを特徴とする、リフレクトアレーシステムである。
本発明の請求項6に係るリフレクトアレーシステムは、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレーを複数有し、
最大の入反射を生じる2つの方向を含む平面と、XY平面との交わる線を、入反射方向として、
入反射方向が互いに90度異なるリフレクトアレーを交互に配置したことを特徴とする、リフレクトアレーシステムである。
本発明の請求項7に係るリフレクトアレーシステムは、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレーを複数有し、
最大の入反射を生じる2つの方向を含む平面と、XY平面との交わる線を、入反射方向として、
入反射方向が略所定角度ずつ互いに異なるリフレクトアレーが複数配置され、
入反射方向が略曲線状に変化するよう構成されていることを特徴とする、リフレクトアレーシステムである。
本発明の請求項8に係る通信システムは、
複数の基地局、および、請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレーを有し、
複数の基地局のうち、2の基地局の間に、リフレクトアレーが設置されていることを特徴とする、通信システムである。
本発明の請求項9に係る通信システムは、
基地局が壁面に配置され、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、が天井に設けられたことを特徴とする、通信システムである。
本発明の請求項10に係る通信システムは、
基地局を有し、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、が壁面に設けられたことを特徴とする、通信システムである。
本発明の請求項11に係る通信システムは、
基地局を有し、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、が床に設けられたことを特徴とする、通信システムである。
本発明の請求項12に係るリフレクトアレー内蔵型壁面材は、
下地材、および、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、を有することを特徴とする、
リフレクトアレー内蔵型壁面材である。
本発明の請求項13に係る移動体通信システムは、
移動体受信部を有し、
請求項1ないし4のいずれかに記載のリフレクトアレー、または、請求項5ないし7のいずれかに記載のリフレクトアレーシステム、を移動体の内部に有することを特徴とする、移動体通信システムである。
本構成により、リフレクトアレーの周期構造が略左右対称となり、独立した2種類の入反射角を実現できる。
通常は2種類の入反射角を実現するために2ビーム化が必要であったが、2ビーム化すると利得の低下が起こる。しかし、本構成によれば、2種類の入反射角度が独立して動作するため、高い利得を保つことができる。
また、リフレクトアレーは外部に設置されることが多いが、従来は、デザイン性の低さから、目立たない場所に隠すようにして設置されることも多く、設置場所の制約が大きかった。
本構成では周期的な列の繰り返しであるため、デザイン性が高く、天井や壁面、床など、人の目に触れる場所であっても、そのまま設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図7】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの構成例を示す。
【
図8】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの構成例を示す。
【
図9】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの構成例を示す。
【
図10】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの入反射の強度の例を示す。
【
図11】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの入反射の強度の例を示す。
【
図12】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの入反射の例を示す。
【
図13】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの入反射の例を示す。
【
図14】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの入反射の例を示す。
【
図15】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの構成例を示す。
【
図16】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの構成例を示す。
【
図17】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの構成例を示す。
【
図18】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーシステムの構成例を示す。
【
図19】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーシステムの構成例を示す。
【
図20】本発明の一実施例におけるリフレクトアレーシステムの構成例を示す。
【
図21】本発明の一実施例における通信システムの構成例を示す。
【
図22】本発明の一実施例における通信システムの構成例を示す。
【
図23】本発明の一実施例における通信システムの構成例を示す。
【
図24】本発明の一実施例における通信システムの構成例を示す。
【
図25】本発明の一実施例における通信システムの構成例を示す。
【
図26】本発明の一実施例におけるリフレクトアレー内蔵型壁面材の構成例を示す。
【
図27】本発明の一実施例におけるリフレクトアレー内蔵型壁面材の構成例を示す。
【
図28】本発明の一実施例における移動体通信システムの構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図7、
図8、および、
図9は、本発明の一実施例におけるリフレクトアレーの構成例を示す。
図8、および、
図9に示されるように、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、および、Z方向とする。そして、X軸、Y軸、Z軸は、それぞれ、X方向、Y方向、Z方向の軸である。
【0008】
図7に示されるように、リフレクトレー100において、XY平面上に第一の素子111および第二の素子121がそれぞれ複数配置される。第一の素子111はY方向に配列されて第一の素子列110を形成し、第二の素子はY方向に配列されて第二の素子列120を形成する。
X方向に第一の素子列110および第二の素子列120が交互に並ぶ。そして、メタマテリアル反射板となっている。
【0009】
図8に示されるように、最大の入反射を生じる2つの角度である、設計入射角および設計反射角が、X軸の正または負の同じ側にある。
なお、以下、「入射角」は入射角度以外に、入射方向を意味する場合がある。同様に、以下、「反射角」は反射角度以外に、反射方向を意味する場合がある。「設計入射角」、「設計反射角」などについても同様である。
【0010】
本実施例では、設計入射角が鉛直方向つまりZ方向から水平方向つまりX方向のうち負の方向にθiだけ傾いている。また、設計反射角がX方向のうち負の方向にあり、鉛直方向つまりZ方向からθrだけ傾いている。
そして、X方向に第一の素子列110および第二の素子列120が交互に並ぶことにより、X方向で、つまり、左右で対称な構造となる。そして、水平方向に複数配列した場合、設計入射角が鉛直方向つまりZ方向から水平方向つまりX方向のうち正の方向にθiだけ傾き、設計反射角がX方向のうち正の方向にあり、鉛直方向つまりZ方向からθrだけ傾いている場合にも、同様な動作を実現することができる。
【0011】
図9に示されるように、本実施例では、第一の素子111および第二の素子121を一つずつX方向に並べたスーパーセル131を、X軸方向、Y軸方向に複数配置したリフレクトアレー100を構成している。
なお、X方向、Y方向は、おおよその方向であり、10度程度など、曲がっても良い。
本構成により、複数の入反射角を指向性利得の低下をさせずに実現することができる。
【0012】
図10および
図11は、 上述の例における入反射の強度を示す。また、
図12は、順方向からの入射波による反射を示す。
図13は、順方向と逆である、逆方向からの入射波による反射を示す。
図14は、設計角度の逆側からの入射波による反射を示す。
図10において、3つの周波数D1,D2,D3における結果を示す。D1=0.93×D2、D3=1.07×D2である。本実施例では、入射角度が-10度で設計され、実線は-10度での入射の結果を示し、破線は+10度での入射の結果を示す。
図11に示されるように、順方向と逆方向の両方の励磁に対して良好な反射を示す。また、
図11において破線で示されるように、設計角度の逆側からの入射波に対しても同様に動作し、良好な反射を示す。
【0013】
一実施例において、最大の入反射を生じる2つの角度が、Z軸に対して、一方が1度から30度であり、他方が60度から89度であることが望ましい。
第一の素子列110および第二の素子列120が交互に並ぶメタマテリアル反射板では、これらの角度であれば、通信に必要な十分な強度の電波を送受信するのが容易となる。
【0014】
一実施例において、最大の入反射を生じる2つの角度が、Z軸に対して、一方が5度から20度であり、他方が70度から85度であることがさらに望ましい。
第一の素子列110および第二の素子列120が交互に並ぶメタマテリアル反射板では、これらの角度であれば、入反射する電波をさらに集中させることができ、通信に必要な十分な強度の電波を送受信するのがさらに容易となる。
【0015】
一実施例において、リフレクトアレー100は、変形可能なシート状とすることができる。
本構成であれば、通信用の電波の入反射は前述の場合と多少異なるものの、設置する場所が曲率を有する曲面である場合など、平面からずれている場合にも対応できる。
【0016】
図15は、本発明の一実施例におけるリフレクトアレーシステム200の構成例を示す。
リフレクトアレー100は、リフレクトアレー100を他の部材や他の略平面部などの外部に対して固定する固定部190を有する。本実施例では、4つの固定部190が、リフレクトアレーの四隅に配置されている。
固定部190は、貼り付け部でもよい。あるいは、勘合でもよい。また、ネジなどでも良い。
本構成によれば、リフレクトアレー100を、室内の壁面や天井、窓や扉など、既存の部材にも容易に設置できる。
【0017】
図16、
図17、
図18、
図19、および
図20は、本発明の一実施例におけるリフレクトアレーシステム200の構成例を示す。
本実施例において、リフレクトアレーシステム200は、上述のリフレクトアレー100を複数有する。
【0018】
最大の入反射を生じる2つの方向を含む平面と、XY平面との交わる線を、入反射方向として、入反射方向が互いに異なるリフレクトアレー101および102が交互に配置されている。
図18では、入反射方向が互いに90度異なるリフレクトアレー101とリフレクトアレー102を交互に配置されているが、もちろん、互いに45度異なるリフレクトアレーを交互に配置してもよく、60度など他の角度でもよい。
【0019】
1種類のリフレクトアレーで使用できる方向は2方向であるが、本実施例では、90度回転させてチェックボード型の配列とし4方向をカバーする。
本構成により、方向性が緩和され、上記反射板を天井材にあらかじめ埋め込むことが可能となる。
【0020】
図19は、本発明の一実施例におけるリフレクトアレーシステム200の構成例を示す。本実施例では、入反射方向が互いに60度異なる3種類のリフレクトアレー101、104および105が周期的に配置されている。なお、「交互に配置される」とは、このように周期的に配置される構成も含む。
本実施例では、リフレクトアレー101はX軸方向、リフレクトアレー104はX軸方向からXY平面内において+60度傾いた方向、リフレクトアレー105はX軸方向からXY平面内において-60度傾いた方向に、入反射方向を有する。
【0021】
図20は、本発明の一実施例におけるリフレクトアレーシステム200の構成例を示す。
本実施例において、リフレクトアレーシステム200は、上述のリフレクトアレー100を複数有する。
【0022】
最大の入反射を生じる2つの方向を含む平面と、XY平面との交わる線を、入反射方向として、入反射方向が略所定角度ずつ互いに異なるリフレクトアレー101、102、106および107が複数配置され、入反射方向が略曲線状に変化するよう構成されている。本実施例では、図中の矢印で示されるように、XY平面内において、入反射方向が、リフレクトアレー101、106、102、107の順に45度ずつ回転している。
例えば、スタジアムで周囲360度を見込む範囲に通信用の電波を送信する場合などでは、設置場所の制約が多く、かつ、基地局410に対しても設置時にも調整が必要であり、設置が困難である。しかし、本構成であれば、設置場所の制約をほとんど受けずに容易に設置することが可能となり、さらに、周囲360度など広い範囲に通信用の電波を容易に送信することが可能となる。
【0023】
図21および
図22は、本発明の一実施例における通信システム400の構成例を示す。
本実施例において、通信システム400は、複数の基地局、および、上述のリフレクトアレー100を有する。
そして、複数の基地局のうち、2の基地局411およい412の間に、リフレクトアレー100が設置されている。
【0024】
本構成により、X方向において負の方向にある設計入射角度と逆サイド、つまり、X方向において正の方向にも入反射が可能であり、正負逆の入射も有効に活用できる。
なお、基地局の設置場所は制約を受けることが多い。このため、基地局が1つしかない場合においても、本発明におけるリフレクトアレー100によれば、基地局410が基地局411の位置、基地局412の位置のいずれに設置されても、通信システム400として動作が可能となる。
これにより、基地局410の位置が定まる前にも、リフレクトアレーシステム(反射板)200を設置することが可能となり、また、リフレクトアレーシステム(反射板)200の設置後に基地局410の位置が変更されても、リフレクトアレーシステム(反射板)200を再度設置する必要なく対応することが可能となる。
【0025】
図23は、本発明の一実施例における通信システム400の構成例を示す。
本実施例において、通信システム400は、基地局410が壁面702に配置され、上述のリフレクトアレー100、または、上述のリフレクトアレーシステム200、が天井701に設けられている。
基地局410については、壁面702方向から通信電波が送信される構成であれば、基地局410自体は天井701から吊り下げるなど、基地局410の支持場所は限定されず、このような構成も、「基地局が壁面に配置され」る構成に含まれる。
【0026】
基地局410が壁面702に設置される場合、人や機械や家具などのブロッキングにより不感地が出来やすい。
本構成では、天井701にリフレクトアレー(反射板)100を設置し、上方から不感地に向かって電波を反射させる。
【0027】
設置場所において、リフレクトアレー100やリフレクトアレーシステム200が天井701に設置しにくい場合や、天井701が高すぎるため設置に不向きな場合がある。
本発明におけるリフレクトアレー100やリフレクトアレーシステム200は、リフレクトアレー(反射板)100と端末との間の見通しを確保しやすく、ブロッキングの影響を受けにくい設置場所であれば、天井701以外に、壁面702や床703に設ける構成も可能である。
【0028】
図24は、本発明の一実施例における通信システム400の構成例を示す。
本実施例において、上述のリフレクトアレー100、または、上述のリフレクトアレーシステム200、は壁面702に設けられる。
【0029】
図25は、本発明の一実施例における通信システム400の構成例を示す。
本実施例において、上述のリフレクトアレー100、または、上述のリフレクトアレーシステム200、が床703に設けられる。
【0030】
図26、
図27は、本発明の一実施例におけるリフレクトアレー内蔵型壁面材300の構成例を示す。なお、
図27は分解図である。
本実施例において、リフレクトアレー内蔵型壁面材300は、下地材310、および、上述のリフレクトアレー、または、上述のリフレクトアレーシステム200、を有する。
本構成では、下地材310上にリフレクトアレーが形成されているが、リフレクトアレー、または、リフレクトアレーシステム200と、下地材310を、一体に形成することも可能である。
【0031】
図28は、本発明の一実施例における移動体通信システム500の構成例を示す。
本実施例において、移動体通信システム500は、移動体受信部520を有し、上述のリフレクトアレー100、または、上述のリフレクトアレーシステム200、を移動体510の内部に有する。
【0032】
車両や航空機など、高速で移動する移動体510においては、基地局410までの距離が遠くなることが多い。このため、移動体受信部520から基地局410を見込む角度が小さくなることがある。
本構成によれば、リフレクトアレー100が、移動体内に通信用の電波を反射するため、基地局410からの通信用電波を確実に受信することができる。
【0033】
本発明は以上の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施例を含むことは言うでもない。
【符号の説明】
【0034】
100~107 リフレクトアレー
110 第一の素子列
120 第二の素子列
111 第一の素子
121 第二の素子
131 スーパーセル
190 固定部
200 リフレクトアレーシステム
300 リフレクトアレー内蔵型壁面材
310 下地材
400 通信システム
410、411、412 基地局
500 移動体通信システム
510 移動体
520 移動体受信部
6 通信端末
700 建造物
701 天井
702 壁面
703 床