(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022440
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】ヘルパーT細胞増加剤およびヘルパーT細胞増加用の食品組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20230208BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230208BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230208BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230208BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
A23L33/105
A61P37/04
A61K36/185
A23L2/00 F
A23L2/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127317
(22)【出願日】2021-08-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】507307260
【氏名又は名称】宇航人ジャパン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309033932
【氏名又は名称】株式会社フィネス
(71)【出願人】
【識別番号】512310435
【氏名又は名称】株式会社ネイチャーツリー
(71)【出願人】
【識別番号】521342201
【氏名又は名称】株式会社キュリラ
(71)【出願人】
【識別番号】521305583
【氏名又は名称】株式会社デジタルプランツ
(71)【出願人】
【識別番号】509248486
【氏名又は名称】株式会社常春堂
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】楊 建標
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 守恒
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD52
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF14
4B117LC04
4B117LG05
4B117LK06
4B117LL02
4B117LP01
4B117LP14
4C088AB12
4C088AC04
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB09
(57)【要約】
【課題】新たなナチュラルキラー細胞活性化剤を提供する。また、新たなヘルパーT細胞増加剤を提供する。
【解決手段】サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物を有効成分として含有することを特徴とするナチュラルキラー細胞活性化剤。サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物を有効成分として含有することを特徴とするヘルパーT細胞増加剤。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物を有効成分として含有することを特徴とするナチュラルキラー細胞活性化剤。
【請求項2】
前記サジー由来物が、果皮を含むサジー果実を圧搾して得られたサジー果汁である、請求項1に記載のナチュラルキラー細胞活性化剤。
【請求項3】
サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物を有効成分として含有することを特徴とするヘルパーT細胞増加剤。
【請求項4】
前記サジー由来物が、果皮を含むサジー果実を圧搾して得られたサジー果汁である、請求項3に記載のヘルパーT細胞増加剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナチュラルキラー細胞活性化剤およびヘルパーT細胞増加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内の免疫系は、T細胞、B細胞、NK細胞、樹状細胞、マクロファージなど多様な細胞が関与している。更にT細胞は、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、サプレッサーT細胞などに細分化される。免疫系に関与する細胞の細胞数を増加させたり、細胞を活性化したりすることで、免疫力の向上が期待される。
【0003】
例えば、特許文献1には、白金コロイドとパラジウムコロイドとを含有し、ウィルス感染症の予防剤、治療剤又は再発予防剤である、ナチュラルキラー細胞活性化剤が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ブチリル置換度が0.3以上2.6以下であり、総置換度が0.5以上2.8以下であるセルロース誘導体を有効成分とする1型ヘルパーT細胞増加剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6635319号公報
【特許文献2】特開2020-066606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、サジー果汁等のサジー由来物が、ナチュラルキラー細胞を活性化させる効果およびヘルパーT細胞の細胞数を増加させる効果を示すことを新たに見出した。また、サジー果汁等のサジー由来物は、天然物由来であるため、安全で嗜好的にも優れるものである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、新たなナチュラルキラー細胞活性化剤を提供することである。また、本発明の目的は、新たなヘルパーT細胞増加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物を有効成分として含有することを特徴とするナチュラルキラー細胞活性化剤。
<2> 前記サジー由来物が、果皮を含むサジー果実を圧搾して得られたサジー果汁である、前記<1>に記載のナチュラルキラー細胞活性化剤。
<3> サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物を有効成分として含有することを特徴とするヘルパーT細胞増加剤。
<4> 前記サジー由来物が、果皮を含むサジー果実を圧搾して得られたサジー果汁である、前記<3>に記載のヘルパーT細胞増加剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新たなナチュラルキラー細胞活性化剤が提供される。また、本発明によれば、新たなヘルパーT細胞増加剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】試験品群およびプラセボ群のNK細胞活性(%)の事前測定と事後測定の結果、ならびに、試験品群およびプラセボ群のCD4 ヘルパーT細胞(%)の事前測定と事後測定の結果をまとめた表である。
【
図2】質問紙(起床時間睡眠感調査票)の因子IV:疲労回復について、試験品群およびプラセボ群の事前測定と事後測定の結果をまとめた表である。
【
図3】質問紙(疲労感評価VAS)について、試験品群およびプラセボ群の事前測定と事後測定の結果をまとめた表である。
【
図4】質問紙(SRS-18心理ストレス評価)の抑うつ・不安の項目について、試験品群およびプラセボ群の事前測定値と事後測定の結果をまとめた表である。
【
図5】質問紙(SRS-18心理ストレス評価)の総合得点について、試験品群およびプラセボ群の事前測定と事後測定の結果をまとめた表である。
【
図6】質問紙(WURSS11上気道症状調査票)の全体的な風邪症状について、試験品群およびプラセボ群の試験期間における有症日数を比較した結果をまとめた図である。
【
図7】質問紙(WURSS11上気道症状調査票)の鼻症状について、試験品群およびプラセボ群の試験期間における有症日数を比較した結果をまとめた図である。
【
図8】質問紙(WURSS11上気道症状調査票)の喉症状について、試験品群およびプラセボ群の試験期間における有症日数を比較した結果をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0013】
<本発明のナチュラルキラー細胞活性化剤>
本発明は、サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物(以下、単に「サジー由来物」と記載する場合がある。)を有効成分として含有するナチュラルキラー細胞活性化剤に関するものである。
【0014】
(ナチュラルキラー細胞活性化作用)
「ナチュラルキラー(NK)細胞」はリンパ球の一種であり、細菌やウィルスに感染した細胞や、一部のがん細胞を認識して障害する免疫細胞である。生まれながらに備わっている身体の防衛機構である自然免疫に重要な役割を担っている。
【0015】
サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物は、ナチュラルキラー細胞を活性化させる作用を有する。そのため、当該サジー由来物は、ナチュラルキラー細胞活性化剤の有効成分として利用することができる。また、ナチュラルキラー細胞の活性化によって免疫を活性化させることができるため、ナチュラルキラー細胞の活性化による免疫賦活剤として利用することもできる。
【0016】
<本発明のヘルパーT細胞増加剤>
本発明は、サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物(以下、単に「サジー由来物」と記載する場合がある。)を有効成分として含有するヘルパーT細胞増加剤に関するものである。
【0017】
(ヘルパーT細胞増加剤作用)
「ヘルパーT細胞」はリンパ球の一種であり、樹状細胞やマクロファージからの抗原刺激に応答して、他の免疫細胞の活性を調節する司令塔の役割を果たす免疫細胞である。
【0018】
サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物は、ヘルパーT細胞の細胞数を増加させる作用を有する。そのため、当該サジー由来物は、ヘルパーT細胞増加剤の有効成分として利用することができる。また、ヘルパーT細胞の細胞数が増加することによって免疫を活性化させることができるため、ヘルパーT細胞増加による免疫賦活剤として利用することもできる。
【0019】
また、サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物は、疲労感の軽減作用、抑うつ・不安感の低減作用、ストレスの軽減作用を有する。そのため、当該サジー由来物は、疲労感の軽減用や、抑うつ・不安感の低減用、ストレス軽減用の組成物として利用することもできる。
【0020】
以下、本発明のナチュラルキラー細胞活性化剤および本発明のヘルパーT細胞増加剤に含有されるサジー由来物について説明する。なお、以下、「本発明のナチュラルキラー細胞活性化剤」および「本発明のヘルパーT細胞増加剤」をまとめて、「本発明の各種剤」と称する。
【0021】
(サジー)
本発明の各種剤に含まれるサジー由来物は、グミ科、ヒッポファエ属のサジー(沙棘、学名:Hippophae rhamnoides L.、英語名:Sea buckthorn)から得られる。サジーは、ユーラシア大陸原産のグミ科の植物で、7千万年以上も前から生育していたと言われている。サジーの果実や、花、葉、茎、根には、ビタミン類、カロテノイド類、ミネラル類、不飽和脂肪酸類、アミノ酸類、有機酸類等の様々な栄養素や化学物質が含まれることから、食品、医薬品、畜産などの分野で広く使用されている。
【0022】
(使用されるサジーの部位)
サジー由来物を得るために使用される部位は、果実である。果実は、果皮を含む状態で用いてもよいし、果皮を取り除いて用いてもよいし、果皮及び種子を取り除いた果肉部分のみを用いてもよい。
【0023】
(サジー果汁)
サジー果汁は、サジー果実を圧搾することで得られる搾汁である。サジー果実は、そのまま圧搾してもよいし、破砕した後に圧搾してもよい。得られる搾汁は、そのまま用いることができる。また、圧搾後に、遠心分離や、ろ過、裏ごしをして、果皮や種子等の圧搾残渣を取り除いたものを、サジー果汁として用いてもよい。また、得られる搾汁を、濃縮したものを、サジー果汁として用いてもよい。
【0024】
サジー果汁は、果皮を含むサジー果実を圧搾し得ることが好ましく、果皮、果肉及び種子を含む果実を圧搾した後、果皮及び種子を取り除いたものが好ましい。
【0025】
(サジー果汁乾燥物)
サジー果汁乾燥物は、サジー果汁を乾燥させたものである。乾燥は、例えば、天日乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、フリーズドライ、噴霧乾燥等の公知の乾燥方法で行うことができる。また、乾燥物は粉砕したり、噴霧乾燥などを利用して乾燥のときに粉末化するなどして、乾燥粉末とすることが好ましい。
【0026】
(サジー果実乾燥物)
サジー果実乾燥物は、サジー果実をそのまま乾燥させたものである。乾燥は、サジー果汁乾燥物に準じて、例えば、天日乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、フリーズドライ、噴霧乾燥等の公知の乾燥方法で行うことができる。また、乾燥物を粉砕し、乾燥粉末とすることもできる。
【0027】
(本発明の各種剤)
本発明の各種剤は、上記の通り、サジー果汁、サジー果汁乾燥物、およびサジー果実乾燥物からなる群から選択される1以上のサジー由来物を含有するものである。中でも、本発明の各種剤が含有するサジー由来物は、サジー果汁および/またはサジー果汁乾燥物であることが好ましく、サジー果汁であることがより好ましい。
【0028】
サジー由来物は、そのまま製品にしたり、添加剤として製品に配合したりすることができる。本発明の各種剤は、経口摂取することが好ましく、サジー由来物をそのまま経口用組成物として製品にしたり、経口用組成物にサジー由来物を配合したりして、サジー由来物を含有する経口用組成物とすることが好ましい。経口用組成物としての用途は特に限定されず、食品組成物や、経口投与用の医薬品組成物などとして用いることができる。
【0029】
(食品組成物)
サジー由来物は、天然物由来であるため、安全で嗜好的にも優れる。日常的に経口摂取しやすい食品組成物とすることで、長期的に摂取することも容易である。そのため、有効成分としてサジー由来物を含有する食品組成物とすることが好ましい。サジー由来物を含有する食品組成物は、一般の食品だけでなく、特別用途食品、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、栄養補助食品、健康補助食品、サプリメント等、健康の維持・増進の目的で摂取する食品および/又は飲料も含む。この中でも保健機能食品である特定保健用食品や機能性表示食品、栄養機能食品が好ましい態様である。
【0030】
食品組成物の形状は特に限定されず、固体状、液体状、ペースト(半固体)状、ゲル状、ゾル状等のいずれの形状であってもよい。サジー果汁をそのまま用いることができ、その含有量を高めることができるため、飲料の形態とすることが好ましい。
【0031】
食品組成物として製品化する場合には、サジー由来物からなる製品としてもよいし、添加剤として食品、飲料に配合してもよい。また、食品組成物として製品化する場合には、サジー由来物以外にも、食品、飲料に用いられる様々な添加剤を添加してもよい。具体的には、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、漂白剤、防菌防黴剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料等を添加していてもよい。
【0032】
食品組成物の対象となる、食品、飲料は特に限定されるものではない。例えば、食品として、ソーセージ、ハム、魚介加工品、ゼリー、キャンディー、チューインガムなどの食品類が挙げられる。また、飲料としては、各種の果汁飲料、茶類、清涼飲料水、酒類、栄養ドリンクなどが挙げられる。
【0033】
本発明の各種剤は、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。そのため、動物用として使用してもよく、また、ペットフード等の動物用食品組成物へサジー由来物を添加することもできる。
【0034】
(医薬品組成物)
サジー由来物は、薬学的に許容される担体とともに配合し、経口投与用の医薬品組成物とすることができる。なお、本発明において、医薬品組成物は、医薬品のみならず医薬部外品も含む。医薬品組成物の剤形は、特に限定されず、固体製剤であっても液体製剤であってもよい。具体的には、例えば、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。薬学的に許容される担体としては、例えば、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝材、増粘剤、着色剤、分散剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤等が挙げられる。
【0035】
サジー由来物を含有する組成物(食品組成物や医薬品組成物など)とする場合、サジー由来物の配合量は、その態様等により異なるものである。サジー由来物以外の添加剤を配合する場合には、サジー由来物の含有量が低下するため、サジー由来物を含有する組成物に対するサジー由来物の含有量(サジー由来物の質量/サジー由来物を含有する組成物の質量×100(%))は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。サジー由来物を含有する組成物は、サジー由来物からなるものとしてもよいし、例えば、サジー由来物の含有量が99.99質量%以下や、99.98質量%などのように上限を適宜設定してもよい。
【0036】
サジー果汁を含有する飲料とする場合には、飲料に対するサジー果汁の含有量が、80質量%以上や、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上となるように、サジー果汁の配合量を高めることで、ナチュラルキラー細胞を活性化させる効果やヘルパーT細胞の細胞数を増加させる効果をより高めることができる。
【0037】
サジー由来物を含有する組成物(食品組成物や医薬品組成物など)の摂取量は、摂取対象の性別、体重、年齢、利用目的などに応じて適宜選択すればよい。例えば、成人ヒトの場合、サジー由来物の1日あたりの摂取量は、1~300gや、10~250g、15~200g、20~100gなどとすることができる。また、摂取は、1日に1回または複数回に分けて行うことができ、数日~数週間、数か月間にわたり継続して摂取してもよい。
【実施例0038】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
[実施例]
I.サジー由来物を含有する飲料の調製
H.rhamnoidesの果実(果肉および果皮、内モンゴル蛮漢山産)を枝葉がついた状態で-18℃に冷凍し、冷凍状態のまま枝葉を取り除き、飲用水で洗浄した。傷んだ果実を除去した。次いで、果実を果皮がついた状態で圧搾し、ピューレ状にした後、ろ過(60メッシュ)し、果皮残渣および種子を取り除き、高温瞬間殺菌を行い、サジー果汁(サジー由来物)を得た。サジー果汁にステビアを加え、メッシュ(40メッシュ)で異物を取りのぞきながら、調合し、加熱殺菌して、サジー果汁を99.95質量%含有する飲料(以下、「サジー飲料」と記載する。)を得た。
【0040】
なお、サジー飲料の代表的なフラボノイド含有率は、イソラムネチン0.0021%、ケルセチン0.0004%、カエンフェロール0.0001%、ミリセチン0.00029%であった。
【0041】
II.プラセボ対照二重盲検ランダム化並行群間比較試験
(i)割付
20歳以上の健康な男女を対象(被験者)とし、試験品群とプラセボ群に割り付けた(試験品群18名、プラセボ群19名)。
【0042】
(ii)試験品群、プラセボ群、介入期間
・試験品群:I.サジー由来物を含有する飲料の調製で調製したサジー果汁を含有するサジー飲料を1日60mL摂取した。
・プラセボ群:プラセボ飲料(100mL中に、カーサマスイエロー色素0.5mL、キリヤスレッド色素0.02mL、85%リン酸0.38g、グラニュー糖5g、クリープ1.2g)を1日60mL摂取した。
・介入期間(試験期間):4週間(28日間)
【0043】
(iii)評価1
(iii-1)評価方法
試験前と試験後に被験者の血液を採取し、血液検査(細胞性免疫検査)にて、NK細胞活性、CD4(ヘルパーT細胞)を検査した。NK細胞活性は、NK細胞活性/51Cr遊離法採血(保存液加血液)で評価した。CD4(ヘルパーT細胞)は、CD4/フローサイトメトリー法採血(EDTA加血液)で評価した。
【0044】
サジー飲料の飲用前後で比較するため、事前測定値と事後測定値で対応のあるt検定を行った。2群の変化パターンの違いを比較するために、時間(事前、事後)と群(試験品群、プラセボ群)における二要因の分散分析を行った。交互作用を確認し、単純効果の検討を行った。なお、有意水準を5%とし、5%未満を有意差あり(p<0.05)、10%未満を有意傾向あり(p<0.1)と判断した。
【0045】
(iii-2)評価結果
図1に、NK細胞活性(%)の事前測定と事後測定の結果、ならびに、試験品群およびプラセボ群のCD4 ヘルパーT細胞(%)の事前測定と事後測定の結果を示す。
図1に示す通り、サジー飲料を摂取することで、NK細胞活性の向上や、ヘルパーT細胞数の増加が見られた。
【0046】
(iv)評価2
(iv-1)評価方法
試験前と試験後の被験者に対して、質問紙を用い、下記評価を行った。
(a)OSA_MA版(睡眠感評価)
(b)CFS・疲労感VAS
(c)SRS-18(心理ストレス反応尺度)
(d)WURSS11(風邪症状・体調変化)
【0047】
図2に、質問紙(a)(起床時間睡眠感調査票)の因子IV:疲労回復について、試験品群およびプラセボ群の事前測定と事後測定のZc得点の結果を示す。
図2に示すように、試験品群のみに、有意な上昇(p=0.037)が認められた。
【0048】
図3に、質問紙(b)(疲労感評価VAS)の疲労VASについて、試験品群およびプラセボ群の事前測定と事後測定の結果を示す。
図3に示すように、試験品群のみに、有意な減少(p=0.004)が認められた。
【0049】
図4に、質問紙(c)(SRS-18心理ストレス評価)の抑うつ・不安の項目について、試験品群およびプラセボ群の事前測定と事後測定の結果を示す。
図4に示すように、試験品群のみに、有意傾向の低下(p=0.05)が認められた。
【0050】
図5に、質問紙(c)(SRS-18心理ストレス評価)の総合得点について、試験品群およびプラセボ群の事前測定と事後測定の結果を示す。
図5に示すように、試験品群のみに、有意傾向の低下(p=0.096)が認められた。
【0051】
試験品の飲用後、睡眠感評価における疲労感の減少及び疲労感評価VASにおける有意な減少がみられており、サジー飲料には、疲労感を軽減させる効果があることが示唆された。
【0052】
図6~
図8に、質問紙(d)(WURSS11上気道症状調査票)の風邪症状の各項目について、試験品群およびプラセボ群の試験期間における有症日数を比較した結果を示す。
図6~
図8に示すように、試験品群とプラセボ群では、有症日数に違いがあることが認められ、試験品群の風邪症状の有症日数は有意に抑えられていることが示唆された(p<0.001)。