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特開2023-22446溶接線生成装置、該方法および該プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022446
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】溶接線生成装置、該方法および該プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23K 31/00 20060101AFI20230208BHJP
   B23K 37/00 20060101ALI20230208BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
B23K31/00 Z
B23K37/00 Z
G05B19/42 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127326
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】吉本 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 陽
(72)【発明者】
【氏名】芦田 強
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB12
3C269AB33
3C269BB08
3C269BB09
3C269CC09
3C269EF02
3C269JJ09
3C269JJ20
3C269KK06
3C269KK08
3C269MN09
3C269MN16
3C269MN48
3C269QB02
3C269QC01
3C269QC02
3C269QC03
3C269QD02
3C269QD03
3C269SA04
3C269SA14
(57)【要約】
【課題】本発明は、3次元CADデータを必要とすることなく、自動的に溶接線を生成できる溶接線生成装置、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の溶接線生成装置Sは、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する点群データ取得部1と、点群データ取得部1で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出部22と、点群データ取得部1で取得した3次元点群データから、エッジ抽出部22で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成部23と、ワーク点群データ生成部23で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成部24とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する点群データ取得部と、
前記点群データ取得部で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出部と、
前記点群データ取得部で取得した3次元点群データから、前記エッジ抽出部で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成部と、
前記ワーク点群データ生成部で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成部とを備える、
溶接線生成装置。
【請求項2】
前記溶接線生成部は、
前記ワーク点群データ生成部で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データのうちから2個のワークの3次元点群データを選定し、前記選定した2個のワークにおける各端部間のいずれかに、所定の閾値以下の距離である端部間が存在する場合に、前記選定した2個のワークが互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークであると判定する判定処理を、
前記ワーク点群データ生成部で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データのうちの、2個のワークの全ての組み合わせそれぞれについて実行し、
前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークにおける、互いに隣接する各端部間に前記溶接線を生成する、
請求項1に記載の溶接線生成装置。
【請求項3】
前記溶接線生成部は、
前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークにおける、互いに隣接する各端部の各端点それぞれについて、前記2個のワークのうちの一方のワークにおける端部の当該端点と、前記2個のワークのうちの他方のワークにおける端部の、当該端点に最近接する端点との間に、溶接線の候補点を生成し、前記生成した各候補点にフィッティングするフィッティング線を前記溶接線として生成する生成処理を、
前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークの全てについて実行する、
請求項2に記載の溶接線生成装置。
【請求項4】
前記溶接線生成部は、前記フィッティング線に変曲点が存在する場合に、前記フィッティング線を生成した各候補点を、前記変曲点を境界にグループ分けし、グループごとに各候補点にフィッティングするフィッティング直線を前記溶接線として生成する、
請求項3に記載の溶接線生成装置。
【請求項5】
前記溶接線生成部で生成した溶接線から、所定の第2閾値以下の短い溶接線を除去する溶接線除外部をさらに備える、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の溶接線生成装置。
【請求項6】
前記溶接線生成部で生成した溶接線から、所定の範囲外に存在する溶接線を除去する第2溶接線除外部をさらに備える、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の溶接線生成装置。
【請求項7】
前記溶接線生成部で生成した溶接線において、一方の溶接線の第1端点と他方の溶接線の第2端点との間の距離が所定の第3閾値以下である場合に、前記一方の溶接線と前記他方の溶接線とを繋げることによって1個の溶接線に統合する溶接線統合部をさらに備える、
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の溶接線生成装置。
【請求項8】
所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する点群データ取得工程と、
前記点群データ取得工程で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出工程と、
前記点群データ取得工程で取得した3次元点群データから、前記エッジ抽出工程で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成工程と、
前記ワーク点群データ生成工程で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成工程とを備える、
溶接線生成方法。
【請求項9】
コンピュータに、
所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する点群データ取得工程と、
前記点群データ取得工程で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出工程と、
前記点群データ取得工程で取得した3次元点群データから、前記エッジ抽出工程で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成工程と、
前記ワーク点群データ生成工程で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成工程と、
を実行させるための溶接線生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接対象の複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成装置、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば垂直6軸ロボット等の多関節ロボットにおける開発の発展により、ロボットアームの先端に、溶接トーチが取り付けられ、溶接の自動化が進められている。この種の多関節ロボットは、予め教示された動作の動作データ(動作プログラム、教示データ、教示プログラム)に従って動作する。前記溶接の自動化には、前記動作データを生成する必要があり、そのために、溶接線の自動生成が望まれ、例えば、特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
この特許文献1に開示された溶接パス特定方法は、船体を構成する部材である少なくとも二つの被溶接部材を溶接する溶接パスを特定する溶接パス特定方法であって、3次元CADデータにおける被溶接部材の形状から、互いに接触し得る第1の被溶接部材および第2の被溶接部材を特定するステップと、前記第1の被溶接部材の一つの面に接触するとともに、当該一つの面の法線ベクトルに平行な法線ベクトルを有する前記第2の被溶接部材の第1の面を抽出するステップと、前記第2の被溶接部材の第2の面を抽出するステップと、前記第1の面および前記第2の面が共有する共有エッジを抽出するステップと、前記共有エッジに対応して、前記第1の被溶接部材および前記第2の被溶接部材を溶接する溶接パスを特定するステップと、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-156566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された溶接パス特定方法は、事前に、3次元CADデータを必要とするため、この点、改良の余地がある。一方、オペレータ(ユーザ)が前記動作データをマニュアルで生成することも考えられるが、その生成に時間(工数)がかかり、不慣れなオペレータの場合、前記動作データの生成にミスも生じ易い。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、3次元CADデータを必要とすることなく、自動的に溶接線を生成できる溶接線生成装置、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる溶接線生成装置は、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する点群データ取得部と、前記点群データ取得部で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出部と、前記点群データ取得部で取得した3次元点群データから、前記エッジ抽出部で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成部と、前記ワーク点群データ生成部で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成部とを備える。
【0008】
このような溶接線生成装置は、溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データに基づいて溶接線を生成するので、3次元CADデータを必要とすることなく、自動的に溶接線を生成できる。
【0009】
他の一態様では、上述の溶接線生成装置において、前記溶接線生成部は、前記ワーク点群データ生成部で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データのうちから2個のワークの3次元点群データを選定し、前記選定した2個のワークにおける各端部間のいずれかに、所定の閾値以下の距離である端部間が存在する場合に、前記選定した2個のワークが互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークであると判定する判定処理を、前記ワーク点群データ生成部で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データのうちの、2個のワークの全ての組み合わせそれぞれについて実行し、前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークにおける、互いに隣接する各端部間に前記溶接線を生成する。
【0010】
このような溶接線生成装置は、互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークを特定でき、自動的に、溶接線を生成できる。
【0011】
他の一態様では、上述の溶接線生成装置において、前記溶接線生成部は、前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークにおける、互いに隣接する各端部の各端点それぞれについて、前記2個のワークのうちの一方のワークにおける端部の当該端点と、前記2個のワークのうちの他方のワークにおける端部の、当該端点に最近接する端点との間に、溶接線の候補点を生成し、前記生成した各候補点にフィッティングするフィッティング線を前記溶接線として生成する生成処理を、前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークの全てについて実行する。好ましくは、上述の溶接線生成装置において、前記溶接線生成部は、当該端点と、当該端点に最近接する端点との中央位置(中点位置)に、溶接線の候補点を生成する。
【0012】
このような溶接線生成装置は、各候補点にフィッティングするフィッティング線によって溶接線を生成できる。
【0013】
他の一態様では、上述の溶接線生成装置において、前記溶接線生成部は、前記フィッティング線に変曲点が存在する場合に、前記フィッティング線を生成した各候補点を、前記変曲点を境界にグループ分けし、グループごとに各候補点にフィッティングするフィッティング直線を前記溶接線として生成する。
【0014】
このような溶接線生成装置は、フィッティング線の溶接線を屈曲点で分けて複数の溶接線に生成し直すので、ワークの端部の形状に応じた、より適切な溶接線を生成できる。
【0015】
他の一態様では、これら上述の溶接線生成装置において、前記溶接線生成部で生成した溶接線から、所定の第2閾値以下の短い溶接線を除去する溶接線除外部をさらに備える。好ましくは、上述の溶接線生成装置において、前記第2閾値の入力を受け付ける入力部をさらに備え、前記溶接線除外部は、前記入力部で受け付けた第2閾値を用いる。
【0016】
このような溶接線生成装置は、溶接線除外部をさらに備えるので、実際の溶接に使用される可能性のない溶接線を排除できる。
【0017】
他の一態様では、これら上述の溶接線生成装置において、前記溶接線生成部で生成した溶接線から、所定の範囲外に存在する溶接線を除去する第2溶接線除外部をさらに備える。好ましくは、上述の溶接線生成装置において、前記範囲の入力を受け付ける第2入力部をさらに備え、前記第2溶接線除外部は、前記第2入力部で受け付けた範囲を用いる。
【0018】
このような溶接線生成装置は、第2溶接線除外部をさらに備えるので、実際の溶接に使用される可能性のない溶接線を排除できる。
【0019】
他の一態様では、これら上述の溶接線生成装置において、前記溶接線生成部で生成した溶接線において、一方の溶接線の第1端点と他方の溶接線の第2端点との間の距離が所定の第3閾値以下である場合に、前記一方の溶接線と前記他方の溶接線とを繋げることによって1個の溶接線に統合する溶接線統合部をさらに備える。
【0020】
このような溶接線生成装置は、溶接線統合部をさらに備えるので、より適切な溶接線を生成できる。
【0021】
本発明の一態様にかかる溶接線生成方法は、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する点群データ取得工程と、前記点群データ取得工程で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出工程と、前記点群データ取得工程で取得した3次元点群データから、前記エッジ抽出工程で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成工程と、前記ワーク点群データ生成工程で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成工程とを備える。
【0022】
本発明の一態様にかかる溶接線生成プログラムは、コンピュータに、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する点群データ取得工程と、前記点群データ取得工程で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出工程と、前記点群データ取得工程で取得した3次元点群データから、前記エッジ抽出工程で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成工程と、前記ワーク点群データ生成工程で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成工程と、を実行させるためのプログラムである。
【0023】
このような溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データに基づいて溶接線を生成するので、3次元CADデータを必要とすることなく、自動的に溶接線を生成できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる溶接線生成装置、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、3次元CADデータを必要とすることなく、自動的に溶接線を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態における溶接線生成装置の構成を示すブロック図である。
図2】一例として、ワークの3次元点群データを示す図である。
図3図2に示す3次元点群データから検出されるエッジを説明するための図である。
図4図2に示す3次元点群データに基づいて生成されたワークの3次元点群データを説明するための図である。
図5】互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークを説明するための図である。
図6図2に示す3次元点群データに基づいて生成される溶接線の候補点を説明するための図である。
図7図2に示す3次元点群データに基づいて生成される溶接線を説明するための図である。
図8】前記溶接線生成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0027】
実施形態における溶接線生成装置は、溶接対象の複数のワークに対する溶接線を生成する装置である。この溶接線生成装置は、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する点群データ取得部と、前記点群データ取得部で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出部と、前記点群データ取得部で取得した3次元点群データから、前記エッジ抽出部で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成部と、前記ワーク点群データ生成部で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成部とを備える。以下、このような溶接線生成装置ならびにこれに実装された溶接線生成方法および溶接線生成プログラムについて、より具体的に説明する。
【0028】
図1は、実施形態における溶接線生成装置の構成を示すブロック図である。図2は、一例として、ワークの3次元点群データを示す図である。図3は、図2に示す3次元点群データから検出されるエッジを説明するための図である。図4は、図2に示す3次元点群データに基づいて生成されたワークの3次元点群データを説明するための図である。図5は、互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークを説明するための図である。図6は、図2に示す3次元点群データに基づいて生成される溶接線の候補点を説明するための図である。図7は、図2に示す3次元点群データに基づいて生成される溶接線を説明するための図である。
【0029】
実施形態における溶接線生成装置Sは、例えば、図1に示すように、点群データ取得部1と、制御処理部2と、入力部3と、出力部4と、インターフェース部(IF部)5と、記憶部6とを備える。
【0030】
点群データ取得部1は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得する装置である。点群データ取得部1は、この取得した複数のワークにおける3次元点群データを制御処理部2へ出力する。前記溶接対象のワークは、例えば鋼板等の、溶接可能な部材であれば任意の部材であってよい。前記3次元点群データは、物体表面を点の集合で表した場合における各点の3次元座標値である。点群データ取得部1は、例えばToF(Time of Flight)カメラやステレオカメラやLiDAR(Light Detection And Ranging、Laser Imaging Detection And Ranging)等の、対象物の3次元点群データを生成する点群データ生成装置である。ここで、溶接対象のワークがToFカメラ等のデータ取得可能範囲より大きい場合には、前記ワークの各部分ごとに3次元点群データが生成され、これら各部分の3次元点群データが統合される。
【0031】
なお、点群データ取得部1は、スリット光を、前記スリット光の延長方向に直交する直交方向に走査することによって光切断法で対象物の3次元点群データを生成してもよい。あるいは、例えば、点群データ取得部1は、外部の機器との間でデータを入出力するインターフェース回路であってよく、この場合では、前記外部の機器は、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを記憶した記憶媒体である。前記記憶媒体は、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリおよびSDカード(登録商標)等である。あるいは、例えば、点群データ取得部1は、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを記録した記録媒体からデータを読み込むドライブ装置であってよく、この場合では、前記記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)およびDVD-R(Digital Versatile Disc Recordable)等のである。あるいは、例えば、点群データ取得部1は、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってよく、この場合では、前記外部の機器は、ネットワーク(WAN(Wide Area Network、公衆通信網を含む)やLAN(Local Area Network)等)を介して前記通信インターフェース回路に接続され、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを管理するサーバ装置である。
【0032】
入力部3は、制御処理部2に接続され、例えば、溶接線の生成開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、溶接線のファイル名等の溶接線生成装置Sを動作させる上で必要な各種データを溶接線生成装置Sに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチやキーボードやマウス等である。出力部4は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、入力部3から入力されたコマンドやデータ、および、生成した溶接線等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0033】
なお、入力部3および出力部4からいわゆるタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部3は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部4は、表示装置である。このタッチパネルでは、前記表示装置の表示面上に前記位置入力装置が設けられ、前記表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、前記位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として溶接線生成装置Sに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い溶接線生成装置Sが提供される。
【0034】
IF部5は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部5は、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等であってもよい。
【0035】
なお、点群データ取得部1がインターフェース回路や通信インターフェース回路である場合に、IF部5は、点群データ取得部1と兼用されてよい。
【0036】
記憶部6は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、溶接線生成装置Sの各部1、3~6を制御する制御プログラムや、点群データ取得部1で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するエッジ抽出プログラムや、点群データ取得部1で取得した3次元点群データから、前記エッジ抽出プログラムで抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、前記複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するワーク点群データ生成プログラムや、前記ワーク点群データ生成プログラムで生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する溶接線生成プログラムや、前記溶接線生成プログラムで生成した溶接線に基づいて、溶接トーチを取り付けた多関節ロボットを動作させる教示データ(動作データ)を生成する教示データ生成プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えばこれら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部6は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部6は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部2のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。記憶部6は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0037】
制御処理部2は、溶接線生成装置Sの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成し、この生成した溶接緯線に基づいて教示データを生成するための回路である。制御処理部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2は、制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21、エッジ抽出部22、ワーク点群データ生成部23、溶接線生成部24および教示データ生成部25を機能的に備える。
【0038】
制御部21は、溶接線生成装置Sの各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、溶接線生成装置Sの全体制御を司るものである。制御部21は、点群データ取得部1で取得した3次元点群データを記憶部6に記憶する。
【0039】
エッジ抽出部22は、点群データ取得部1で取得した3次元点群データからエッジの3次元点群データを抽出するものである。より具体的には、エッジ抽出部22は、まず、点群データ取得部1で取得した3次元点群データから、いわゆるノイズや外れ値を、平滑化フィルタ等の公知の常套手段で除去する前処理を実施する。そして、前処理後の3次元点群データから、エッジ抽出部22は、公知の常套手段によってエッジを抽出する。このエッジを抽出する処理は、例えば、「D. Bazazian, J. R. Casas and J. Ruiz-Hidalgo, "Fast and Robust Edge Extraction in Unorganized Point Clouds," 2015 International Conference on Digital Image Computing: Techniques and Applications (DICTA), 2015, pp. 1-8, doi: 10.1109/DICTA.2015.7371262.」に開示されている。例えば、点群の各点それぞれにおいて、当該点を通る法線は、平面では互いに平行となるが、エッジでは互いに交差するように乱れる。このため、各点の法線を評価することによってエッジが検出できる。
【0040】
ワーク点群データ生成部23は、点群データ取得部1で取得した3次元点群データから、エッジ抽出部22で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成するものである。
【0041】
例えば、溶接対象が、立設した矩形(正方形)の第1ワークと、前記第1ワークの下端(下辺)に接している、底板の同形の第2ワークと、前記第1ワークの側端(側辺)に接しているとともに、前記第2ワークにおける前記第1ワークに接している端部(辺)に隣接する端部(辺)に接している同形の第3ワークとから成る場合、点群データ取得部1によって、図2に示す、これら3個の第1ないし第3ワークに対する3次元点群データが取得される。この図2に示す3次元点群データからエッジ抽出部22によってエッジを抽出すると、図3に示すように、9個の第1ないし第9エッジEG1~EG9が抽出される。第1ないし第4エッジEG1~EG4は、第1ワークにおける4辺に相当し、第4ないし第7エッジは、第2ワークにおける4辺に相当し、第7ないし第9および第1エッジEG7~EG9、EG1は、第3ワークにおける4辺に相当する。これら第1ないし第9エッジEG1~EG9には、第1、第4および第7エッジEG1、EG4、EG7のように、溶接する部材間のエッジEGが抽出される一方、残余の第2、第3、第5、第6、第8および第9エッジEG2、EG3、EG5、EG6、EG8、EG9のように、溶接する部材間のエッジEGではないエッジEGも抽出される。このため、本実施形態では、ワーク点群データ生成部23によって、点群データ取得部1で取得した3次元点群データから、エッジ抽出部22で抽出したエッジの3次元点群データを削除し、削除後の3次元点群データに基づいて、複数のワークそれぞれの3次元点群データが生成される。例えば、ワーク点群データ生成部23は、削除後の3次元点群データを、いわゆるクラスタリング処理することによって、複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成する。前記クラスタリング処理には、例えば、K-means法やEuclidean ClusteringやDBSCAN等が用いられる。本実施形態では、前記Euclidean Clusteringが用いられた。図2に示す例では、図4に示す第1ないし第3ワークの3次元点群データWK1~WK3が生成される。
【0042】
溶接線生成部24は、ワーク点群データ生成部23で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成するものである。
【0043】
より具体的には、前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データから、各端部間の距離(図2に示す例では各辺間の距離)が評価され、互いに隣接するワークの溶接すべき端部間が探索され、前記端部間に溶接線が生成される。より詳しくは、溶接線生成部24は、ワーク点群データ生成部23で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データのうちから2個のワークの3次元点群データを選定し、前記選定した2個のワークにおける各端部間のいずれかに、所定の閾値以下の距離である端部間が存在する場合に、前記選定した2個のワークが互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークであると判定する判定処理を、前記ワーク点群データ生成部23で生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データのうちの、2個のワークの全ての組み合わせそれぞれについて実行し、前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークにおける、互いに隣接する各端部間に前記溶接線を生成する。前記所定の閾値は、端部間が、互いに隣接する2個のワークにおける互いに隣接する各端部の端部間であるか否かを判定するための閾値であり、この観点から、複数のサンプルから予め適宜に設定される。
【0044】
例えば、図4に示す例では、第1ないし第3ワークの3次元点群データWK1~WK3のうちから、2個の第1ワークの3次元点群データWK1および第2ワークの3次元点群データWK2が選定され、第1ワークにおける4辺の各端部それぞれと、第2ワークにおける4辺の各端部それぞれとの全ての組み合わせの端部間に、前記所定の閾値以下の距離である端部間が存在するか否かが判定される。この判定の結果、第1ワークと第2ワークでは、図5に示すように、第1ワークの下端における端部間BL12が、互いに隣接する2個のワークにおける互いに隣接する各端部の端部間であると判定され、第1ワークと第2ワークとは、互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークであると判定される。このような判定処理が、2個の第2ワークの3次元点群データWK2および第3ワークの3次元点群データWK3について実施され、2個の第3ワークの3次元点群データWK3および第1ワークの3次元点群データWK1について実施される。この結果、第3ワークの下端における端部間BL23が、互いに隣接する2個のワークにおける互いに隣接する各端部の端部間であると判定され、第2ワークと第3ワークとは、互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークであると判定され、第1ワークの側端における端部間BL31が、互いに隣接する2個のワークにおける互いに隣接する各端部の端部間であると判定され、第3ワークと第1ワークとは、互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークであると判定される。そして、溶接線生成部24は、端部間BL12に溶接線を生成し、端部間BL23に溶接線を生成し、端部間BL31に溶接線を生成する。
【0045】
より具体的には、溶接線生成部24は、前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークにおける、互いに隣接する各端部の各端点それぞれについて、前記2個のワークのうちの一方のワークにおける端部の当該端点と、前記2個のワークのうちの他方のワークにおける端部の、当該端点に最近接する端点との間に、溶接線の候補点を生成し、前記生成した各候補点にフィッティングするフィッティング線を前記溶接線として生成する生成処理を、前記判定処理で判定した互いに隣接する2個のワークの全てについて実行する。前記フィッティング線は、例えば直線、円弧、2次関数等の高次多項式で表される曲線等である。
【0046】
例えば、図5に示す例では、図6に示すように、端部間BL23で互いに隣接する第2および第3ワークにおける、互いに隣接する各端部(各辺)EL2、EL3の各端点P2j、P3kそれぞれについて、前記2個の第2および第3ワークのうちの一方の第2ワークにおける端部EL2の当該端点P2jと、前記2個の第2および第3ワークのうちの他方の第3ワークにおける端部EL3の、当該端点P2jに最近接する端点P3kとの間に、溶接線の候補点PMが生成される。図6には、第2ワークにおける端部EL2の当該端点P2と、第3ワークにおける端部EL3の、当該端点P2に最近接する端点P3との間、例えば中央位置(中点位置)に、溶接線の候補点MPが生成される。このような処理が、第2ワークにおける端部EL2の各端点P2jについて実施され、端部間BL23に候補点MPが複数生成される。そして、図7に示すように、これら各候補点MPにフィッティングするフィッティング線WL23が前記溶接線WL23として生成される。端部間BL12で互いに隣接する第1および第2ワークについても同様に処理され、端部間BL12に候補点MPが複数生成され、溶接線WL12が生成され、端部間BL23で互いに隣接する第2および第3ワークについても同様に処理され、端部間BL31に候補点MPが複数生成され、溶接線WL31が生成される。
【0047】
教示データ生成部25は、溶接線生成部24で生成した溶接線に基づいて、公知の常套手段により、溶接トーチを取り付けた多関節ロボットを動作させる教示データ(動作データ)を生成するものである。より具体的には、本実施形態では、教示データ生成部25は、溶接線生成部24で生成した溶接線から、オペレータ(ユーザ)によって選択された溶接線および前記オペレータによって指定された溶接条件を用いて教示データを生成し、この生成した教示データ(動作データ)を記憶部6に記憶し、出力部4やIF部5へ出力する。例えば、出力部4が表示装置である場合に、教示データ生成部25は、溶接線生成部24で生成した溶接線を出力部4に表示し、オペレータは、この出力部4に表示された溶接線から、教示データに用いる溶接線を入力部3の入力操作で指定し、例えばワークの厚さ等の溶接条件を入力部3に入力し、教示データ生成部25は、この入力部3で指定された溶接線および入力部3に入力された溶接条件を用いて教示データを生成する。
【0048】
これら制御処理部2、入力部3、出力部4、IF部5および記憶部6は、例えば、デスクトップ型やノート型やタブレット型等のコンピュータによって構成可能である。
【0049】
次に、本実施形態の動作について説明する。図8は、前記溶接線生成装置の動作を示すフローチャートである。
【0050】
このような構成の溶接線生成装置Sは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部2には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部21、エッジ抽出部22。ワーク点群データ生成部23、溶接線生成部24および教示データ生成部25が機能的に構成される。
【0051】
例えばオペレータ(ユーザ)によって溶接線生成開始のコマンドが入力部3に入力されると、図8において、まず、溶接線生成装置Sは、点群データ取得部1によって、所定の空間に配置された溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データを取得し、記憶部6に記憶する(S1)。
【0052】
次に、溶接線生成装置Sは、制御処理部2のエッジ抽出部22によって、点群データ取得部1で取得した3次元点群データに対し、前処理を実施する(S2)。
【0053】
次に、溶接線生成装置Sは、制御処理部2のエッジ抽出部22によって、前処理後の3次元点群データからエッジを抽出し、制御処理部2のワーク点群データ生成部23によって、処理S1で点群データ取得部1によって取得した3次元点群データから、エッジ抽出部22で抽出したエッジの3次元点群データを削除した削除後の3次元点群データに基づいて、複数のワークそれぞれの3次元点群データを生成する(S3)。
【0054】
次に、溶接線生成装置Sは、制御処理部2の溶接線生成部24によって、処理S3でワーク点群データ生成部23によって生成した前記複数のワークそれぞれの各3次元点群データに基づいて、前記複数のワークに対する溶接線を生成する(S4)。
【0055】
次に、溶接線生成装置Sは、制御処理部2の教示データ生成部25によって、教示データに用いる溶接線の選択を受け付ける(S5)。より具体的には、本実施形態では、教示データ生成部25は、処理S4によって溶接線生成部24で生成した溶接線を出力部4に表示する。オペレータは、この出力部4に表示された溶接線から、教示データに用いる溶接線を入力部3の入力操作で指定する。教示データ生成部25は、この入力部3で指定された溶接線を、教示データに用いる溶接線として記憶部6に記憶する。
【0056】
次に、溶接線生成装置Sは、教示データ生成部25によって、教示データに用いる溶接条件の入力を受け付ける(S6)。より具体的には、本実施形態では、オペレータは、溶接線の指定に続いて、例えばワークの厚さ等の溶接条件を入力部3に入力する。教示データ生成部25は、この入力部3に入力された溶接条件を、教示データに用いる溶接条件として記憶部6に記憶する。
【0057】
そして、溶接線生成装置Sは、教示データ生成部25によって、処理S5で入力部3で指定された溶接線および処理S6で入力部3に入力された溶接条件を用いて教示データを生成し、この生成した教示データ(動作データ)を記憶部6に記憶し、出力部4やIF部5へ出力し、本処理を終了する(S7)。
【0058】
以上説明したように、実施形態における溶接線生成装置Sならびにこれに実装された溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、溶接対象の複数のワークにおける3次元点群データに基づいて、溶接線を生成するので、3次元CADデータを必要とすることなく、自動的に溶接線を生成できる。
【0059】
上記溶接線生成装置S、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、互いに隣接する各端部を持つ互いに隣接する2個のワークを特定でき、自動的に、溶接線を生成できる。
【0060】
上記溶接線生成装置S、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、各候補点にフィッティングするフィッティング線によって溶接線を生成できる。
【0061】
なお、上述の実施形態において、溶接線生成部24は、前記フィッティング線に変曲点が存在する場合に、前記フィッティング線を生成した各候補点を、前記変曲点を境界にグループ分けし、グループごとに各候補点にフィッティングするフィッティング直線を前記溶接線として生成する。このような溶接線生成装置S、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、フィッティング線の溶接線を屈曲点で分けて複数の溶接線に生成し直すので、ワークの端部の形状に応じた、より適切な溶接線を生成できる。
【0062】
また、上述の実施形態では、溶接線生成部24で生成した溶接線の中から、実際に、溶接線として用いる溶接線を指定して選択したが、この選択をアシストする機能が設けられてもよい。
【0063】
例えば、溶接線生成装置Sは、図1に破線で示すように、溶接線生成部24で生成した溶接線から、所定の第2閾値以下の短い溶接線を除去する第1溶接線除外部26をさらに備えてもよい。この場合において、前記第2閾値は、例えば、予め適宜に設定されてよく、あるいは、例えばオペレータによって入力部3から入力され、溶接線除外部26は、前記設定された第2閾値を用いてよく、あるいは、入力部3で受け付けた第2閾値を用いてよい。このような溶接線生成装置S、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、第1溶接線除外部26をさらに備えるので、実際の溶接に使用される可能性のない溶接線を排除できる。
【0064】
例えば、溶接線生成装置Sは、図1に破線で示すように、溶接線生成部24で生成した溶接線から、所定の範囲外に存在する溶接線を除去する第2溶接線除外部27をさらに備えてもよい。この場合において、前記範囲は、例えばオペレータによって入力部3から入力され、溶接線除外部26は、この入力部3で受け付けた範囲を用いてよい。このような溶接線生成装置S、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、溶接線除外部26をさらに備えるので、実際の溶接に使用される可能性のない溶接線を排除できる。
【0065】
例えば、溶接線生成装置Sは、図1に破線で示すように、溶接線生成部24で生成した溶接線において、一方の溶接線の第1端点と他方の溶接線の第2端点との間の距離が所定の第3閾値以下である場合に、前記一方の溶接線と前記他方の溶接線とを繋げることによって1個の溶接線に統合する溶接線統合部28をさらに備えてもよい。この場合において、前記第3閾値は、例えば、予め適宜に設定されてよく、あるいは、例えばオペレータによって入力部3から入力され、溶接線統合部28は、前記設定された第3閾値を用いてよく、あるいは、入力部3で受け付けた第3閾値を用いてよい。このような溶接線生成装置S、溶接線生成方法および溶接線生成プログラムは、溶接線統合部28をさらに備えるので、より適切な溶接線を生成できる。
【0066】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0067】
S 溶接線生成装置
1 点群データ取得部
2 制御処理部
3 入力部
4 出力部
5 インターフェース部(IF部)
6 記憶部
21 制御部
22 エッジ抽出部
23 ワーク点群データ生成部
24 溶接線生成部
26 第1溶接剪除外部
27 第2溶接線除外部
28 溶接線統合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8