(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022511
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】噴霧給油方法及び噴霧給油装置
(51)【国際特許分類】
F16N 7/32 20060101AFI20230208BHJP
F16N 5/00 20060101ALI20230208BHJP
F16N 21/00 20060101ALI20230208BHJP
F16N 23/00 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
F16N7/32 Z
F16N5/00
F16N21/00
F16N23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127412
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】511248777
【氏名又は名称】株式会社大洋電機エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100081570
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】内川 據義
(72)【発明者】
【氏名】秦野 広次
(72)【発明者】
【氏名】下山 正之
(57)【要約】
【課題】 従来必要とする量のオイルを一定の時間間隔をおいて間欠的に対象に噴霧給油することのできる噴霧給油方法及び噴霧給油装置は存在していなかったという点である。
【解決手段】 弾性を有する素材で成形されたパイプ内にオイルを注入し、前記パイプの外側面を加圧してパイプ内の容積を変化してパイプ内に圧力を発生させ、その圧力で前記パイプの一端開口に連接されているノズルから前記オイルを対象に噴射することとし、オイルが注入されている、弾性を有する素材で成形されたパイプを有し、そのパイプの一方開口は適宜閉塞され、パイプの他方開口には噴射ノズルが連接されており、前記パイプの外側面に対し、接離可能な押圧手段を有していることとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する素材で成形されたパイプ内にオイルを注入し、前記パイプの外側面を加圧してパイプ内の容積を変化してパイプ内に圧力を発生させ、その圧力で前記パイプの一端開口に連接されているノズルから前記オイルを対象に噴射することを特徴とする噴霧給油方法。
【請求項2】
オイルが注入されている、弾性を有する素材で成形されたパイプを有し、そのパイプの一方開口は適宜閉塞され、パイプの他方開口には噴射ノズルが連接されており、前記パイプの外側面に対し、接離可能な押圧手段を有していることを特徴とする噴霧給油装置。
【請求項3】
前記噴射ノズルは、オイルの送り流路の先端に別体としたノズルパーツが装備されていることを特徴とする請求項2に記載の噴霧給油装置。
【請求項4】
前記押圧手段としてソレノイドを用い、そのソレノイドの可動体の先端に押圧子を設けるとともに前記パイプの前記押圧子と対向する位置にパイプを位置決めし、押圧子の押圧力を受ける固定子を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の噴霧給油装置。
【請求項5】
前記押圧子は形状が蒲鉾状とされていることを特徴とする請求項4に記載の噴霧給油装置。
【請求項6】
前記噴射ノズルは、分流ジョイントを介して、二方向をはじめとする複数方向に設けられていることを特徴とする請求項2から4のうち1項に記載の噴霧給油装置。
【請求項7】
前記パイプの一方開口の適宜閉塞には栓蓋が用いられていることを特徴とする請求項2に記載の噴霧給油装置。
【請求項8】
前記パイプの一方開口に補充用のオイルタンクが連接されていることを特徴とする請求項2に記載の噴霧給油装置。
【請求項9】
前記した栓蓋は前記オイルタンクの上面開口に設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の噴霧給油装置。
【請求項10】
前記オイルタンクは前記パイプの一方開口の近傍に電磁弁を介して管路で接続され、前記パイプの一方開口には栓蓋が施されていることを特徴とする請求項8または9に記載の噴霧給油装置。
【請求項11】
前記パイプと前記オイルタンクの間には逆止弁が介在されていることを特徴とする請求項8に記載の噴霧給油装置。
【請求項12】
前記分流ジョイントと前記パイプの一方開口に連接されたオイルタンクとの間に逆止弁が介在されていることを特徴とする請求項6または8に記載の噴霧給油装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は噴霧給油方法及び噴霧給油装置に関し、特に高速回転に対応するベアリングをはじめ研磨装置、切削装置の砥石等に対して間欠的に微量のオイルを噴霧することができる噴霧給油方法及び噴霧給油装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベアリングや砥石等に対してオイルを噴霧する噴霧給油装置の存在は知られている。この従来の噴霧給油装置はポンプを使用したり、プランジャを用いて容器内のオイルに圧力を加え、ノズルからオイルを噴射する構成となっている。しかしながら、この従来の装置にあってはポンプやプランジャの駆動を遮断してもオイルの流路中には圧力が残存し、給油動作が完全に停止することはなく、必要以上のオイルが供給されてしまうことがある。
【0003】
この必要以上のオイルの供給は油膜を形成してしまったり、時として摩擦熱を発生してしまい機械に対して悪影響を及ぼしてしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
出願人は、本願発明について、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似していると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明が解決しようとする問題点は、従来必要とする量のオイルを一定の時間間隔をおいて間欠的に対象に噴霧給油することのできる噴霧給油方法及び噴霧給油装置は存在していなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題点を解決するために、本願発明に係る噴霧給油方法は、弾性を有する素材で成形されたパイプ内にオイルを注入し、前記パイプの外側面を加圧してパイプ内の容積を変化してパイプ内に圧力を発生させ、その圧力で前記パイプの一端開口に連接されているノズルから前記オイルを対象に噴射することを特徴としている。
【0007】
また、本願発明に係る噴霧給油装置は、オイルが注入されている、弾性を有する素材で成形されたパイプを有し、そのパイプの一方開口は適宜閉塞され、パイプの他方開口には噴射ノズルが連接されており、前記パイプの外側面に対し、接離可能な押圧手段を有していることを特徴とし、前記噴射ノズルは、オイルの送り流路の先端に別体としたノズルパーツが装備されていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本願発明に係る噴霧給油装置は、前記押圧手段としてソレノイドを用い、そのソレノイドの可動体の先端に押圧子を設けるとともに前記パイプの前記押圧子と対向する位置にパイプを位置決めし、押圧子の押圧力を受ける固定子を備えていることを特徴とし、前記押圧子は形状が蒲鉾状とされていることを特徴としている。
【0009】
そして、本願発明に係る噴霧給油装置は、前記噴射ノズルは、分流ジョイントを介して、二方向をはじめとする複数方向に設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、本願発明に係る噴霧給油装置は、前記パイプの一方開口の適宜閉塞には栓蓋が用いられていることを特徴としている。
【0011】
さらに、本願発明に係る噴霧給油装置は、前記パイプの一方開口に補充用のオイルタンクが連接されていることを特徴としている。
【0012】
そして、本願発明に係る噴霧給油装置は、前記した栓蓋は前記オイルタンクの上面開口に設けられていることを特徴としている。
【0013】
また、本願発明に係る噴霧給油装置は、前記オイルタンクは前記パイプの一方開口の近傍に電磁弁を介して管路で接続され、前記パイプの一方開口には栓蓋が施されていることを特徴としている。
【0014】
さらに、本願発明に係る噴霧給油装置は、前記パイプと前記オイルタンクの間には逆止弁が介在されていることを特徴とし、前記分流ジョイントと前記パイプの一方開口に連接されたオイルタンクとの間に逆止弁が介在されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明に係る噴霧給油方法及び噴霧給油装置は上記のように構成されている。そのため、弾性を有するパイプ内に注入されているオイル(想定噴射量)を、そのパイプの外側面に圧力を加え、パイプを変形させてパイプ内の容積を変化させてパイプ内に圧力を発生させ、その圧力によって必要量のオイルをノズルから対象に対して噴射することができる。前記圧力は解除することでパイプは有する弾性によって復元する。この復元の際の負圧によってパイプ内にオイルを補充してやることも可能となる。
【0016】
上記動作は噴射時間を設定して間欠的に行なうことが可能となり、必要時に必要量のオイルを噴射することができ、過剰な量のオイル供給を抑えることもでき、想定している25mm以下でのベアリングに対して、1時間で0.1ccの如き適切なオイル量の噴射供給を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】同じく押圧子でパイプの外側面を加圧した状態の図である。
【
図3】同じく栓蓋を外してパイプを復元させる状態の図である。
【
図4】同じくパイプ内の容積を戻し、復元させた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例0019】
次いで、
図1乃至
図4を参照して本願発明の第一実施例を説明する。これらの図にあって1は弾性を有するパイプを示している。このパイプの素材としては本実施例ではシリコーンを想定しており、このシリコーンとしてはシリコーンプラスチック(SIプラスチック)、シリコーン樹脂(resin)、シリコーンゴム(rubber)等が採択される。
【0020】
このパイプ1の一方開口には金属あるいは硬質のプラスチックや合成ゴムで成形された補強管2が嵌め付けられているもので、この補強管2にはパイプ1の一方開口を閉塞し、気密状態とするための栓蓋3が着脱自在に設けられている。
【0021】
また、前記パイプ1の他方開口には、やはり金属あるいは硬質のプラスチックや合成ゴムで成形された分流ジョイント4が気密の嵌着されている。この分流ジョイント4内にはパイプ1の内部と連通するように嵌め付けられた連通管5とその連通管5の一端に設けられた支持部6が内蔵されており、その支持部6からは本実施例の場合二本の可撓性を有する管で形成されている送り流路7、7が連続され、その送り流路7、7の先端は径を小さく形成したノズルとなっている。この実施例は噴霧給油の対象としてベアリングを想定しており、そのベアリングの両端へ噴霧給油を行うため送り流路7、7を二本としてあるが必要に応じて二本以上でも、あるいは一本であってもよい。尚、ノズルについては後に詳述する。
【0022】
さらに、図中8はオイルを示しており、このオイル8は想定する噴射量が前記した栓蓋3を外して開放された一方開口から注入されているもので、そのオイル8の注入後栓蓋3が施蓋されパイプ1内を密封する(
図1)。また、図中9は前記パイプ1の外側面を押圧して潰し、パイプ1内の容積を変化させるための押圧子であり、この押圧子9はパイプ1に損傷を与えてしまうことがないように先端が弧面の蒲鉾状とされた形状をしており、パイプ1内の前記補強管2と分流ジョイント4との間を押圧できる表面積を有しているもので、金属あるいはプラスチックや合成ゴムによって成形されている。尚、押圧子9の先端形状はドーム状とすることもでき、パイプ1と直交する軸芯の円柱タイプとすることも可能である。
【0023】
前記押圧子9の後端面の略中央部位はソレノイド10の可動体11が一体的に連結されている。この可動体11は一般的にピンであるが平坦なプレートであってもよい。また、図中12は押圧子9によってパイプ1が押圧される際の押圧力を受け、パイプ1が逃げてしまうことを抑える固定子であり、ソレノイド10の可動体11の直動方向と対向した位置に配置されている。この固定子12はパイプ1の押圧子9によって押圧力を受ける範囲、即ち、補強管と分流ジョイント4との間を全体に受けるものとなっている。
【0024】
図1の初期状態で、ソレノイド10を稼動し、可動体11を突出駆動させると、可動体11の押圧子9はオイル8が注入されているパイプ1の外側面を押圧する。この押圧時間は極短いものでよい。押圧子9がパイプ1の外側面を押圧することで、パイプ1は押圧子9の先端形態に沿って潰れ、内部容積が少なく変化してパイプ1内に圧力が発生する。
【0025】
この圧力によってオイル8は分流ジョイント4の連通管6へ送られ、送り流路7、7へ導入され、その送り流路7、7の先端のノズルから噴射され、対象、本実施例ではベアリングの両端への給油がなされる(
図2)。
【0026】
前記した
図2の状態でオイル8がノズルから噴射されると、パイプ1内のオイル8が減少してパイプ1内は負圧状態となる。この状態で施蓋されていた栓蓋3を外してパイプ1の一方開口を開放すると、外気がパイプ1内に流入して負圧を解消する。ここでソレノイド10を稼動させ、可動体11を引き戻すと外圧がなくなったパイプ1はその有する弾性で初期状態に復元し、パイプ1内の容積も復帰させる。
この第二実施例にあって栓蓋3は取り外し不可の締め切り状態となっており、この第二実施例にあっては補強管2自体を無垢の一体物として成形することも可能である。また、図中15は給油管14に介在されている電磁弁を示し、この電磁弁15によってパイプ1内への給油(補充)が終了したらパイプ1内を密閉状態とすることができ、換言すると栓蓋3の代替作用をすることができる。