(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022533
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】基準線表示器付きヘルメット
(51)【国際特許分類】
A42B 3/00 20060101AFI20230208BHJP
【FI】
A42B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127453
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】521342348
【氏名又は名称】王 洪
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】王 禹萱
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA02
3B107EA09
3B107EA10
(57)【要約】
【課題】作業を行いながら基準線による確認が可能となり、しかも、取扱いが便利であり、さらに、構造が簡単で故障も生じ難い基準線表示器付きヘルメットを提供する。
【解決手段】頭部に装着するヘルメット本体と、このヘルメット本体に固定され、被照射部に光を照射して直線状の基準線を表示する基準線表示器とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着するヘルメット本体と、
このヘルメット本体に固定され、被照射部に光を照射して直線状の基準線を表示する基準線表示器と、
を備えたことを特徴とする基準線表示器付きヘルメット。
【請求項2】
前記基準線表示器は、少なくとも水平の基準線を表示する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の基準線表示器付きヘルメット。
【請求項3】
前記基準線表示器は、
被照射部に光を照射する光照射ユニットと、
この光照射ユニットを左右方向に回動可能に支持する回動軸と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の基準線表示器付きヘルメット。
【請求項4】
前記基準線表示器は、前記光照射ユニットの前後方向の回動を規制する構成としたことを特徴とする請求項3に記載の基準線表示器付きヘルメット。
【請求項5】
前記基準線表示器は、前記ヘルメット本体の向きに応じた向きの直線状の基準線を表示する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の基準線表示器付きヘルメット。
【請求項6】
前記基準線表示器は、被照射部に光を照射する光照射ユニットを備え、この光照射ユニットは、前記ヘルメット本体に対して固定したことを特徴とする請求項5に記載の基準線表示器付きヘルメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場などで使用される基準線表示器付きヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場などで使用されている水平垂直を確認するためのレーザー墨出し器としては、種々のものが提案されている。
【0003】
たとえば特許文献1には、ジンバル機構を用いてレーザー光により基準線を天井や壁面に投射する墨出し器が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、作業中にヘルメット等に取付けて使用されることが多いヘッドライトに、水平垂直を確認するレーザー墨出し器を組合わせたレーザー墨出し器付ヘッドライトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008―309659号公報
【特許文献2】実用新案登録第3134868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の墨出し器では、複数の工具を使用しての作業においては、置忘れや紛失・盗難等の虞がある。
【0007】
また、墨出し器を両手で操作する必要があり、作業中に水平垂直を確認するには作業を一旦中止する必要がある。
【0008】
一方、特許文献2のレーザー墨出し器付ヘッドライトでは、特許文献1の問題は解決できるが、作業中はバンドによってヘルメットなどに取付けて使用するため、ヘルメットとは別に準備する必要があるばかりか、作業中にヘルメットから外れたり、不使用時はヘルメットとは別に保管する必要があり、取扱いが不便である。
【0009】
さらに、特許文献1および2の墨出し器は、水平垂直を確認する構成であるため、構造が複雑で、故障も生じ易い。
【0010】
本発明は、上記事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、ヘルメットに表示器を一体化することにより、作業を行いながら基準線による確認が可能となり、しかも、取扱いが便利であり、さらに、構造が簡単で故障も生じ難い基準線表示器付きヘルメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、頭部に装着するヘルメット本体と、このヘルメット本体に固定され、被照射部に光を照射して直線状の基準線を表示する基準線表示器とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
基準線表示器は、少なくとも水平の基準線を表示する構成とするのが好ましい。
【0013】
また、基準線表示器は、被照射部に光を照射する光照射ユニットと、この光照射ユニットを左右方向に回動可能に支持する回動軸とを備えることが好ましい。
【0014】
さらに、基準線表示器は、光照射ユニットの前後方向の回動を規制する構成とするのが好ましい。
【0015】
さらに、基準線表示器は、ヘルメット本体の向きに応じた向きの直線状の基準線を表示する構成としてもよい。
【0016】
さらに、基準線表示器は、被照射部に光を照射する光照射ユニットを備え、この光照射ユニットは、ヘルメット本体に対して固定してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヘルメットに表示器を一体化することにより、作業を行いながら基準線による確認が可能となり、しかも、取扱いが便利である基準線表示器付きヘルメットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本発明の第1実施形態に係る基準線表示器付きヘルメットを示す斜視図。
【
図4】本基準線表示器付きヘルメットを装着した作業を説明するための斜視図。
【
図6】本基準線表示器の他の作用を説明するための図。
【
図7】本基準線表示器のさらに他の作用を説明するための図。
【
図8】本基準線表示器の他の使用状態における作用を説明するための図。
【
図9】本基準線表示器の他の使用状態における他の作用を説明するための図。
【
図10】本基準線表示器付きヘルメットの変形例を示す斜視図。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る基準線表示器付きヘルメットを示す要部断面図。
【
図12】同基準線表示器付きヘルメットを示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1中、符号1は、たとえば建築現場などで使用される基準線表示器付きヘルメットを示している。
【0021】
このヘルメット1は、頭部に装着するヘルメット本体2を備えている。
【0022】
このヘルメット本体2には、たとえば建築現場の天井や壁面などの被照射部Pにレーザー光Lを照射して直線状の基準線Sを表示する基準線表示器3が一体的に設けられている。
【0023】
この基準線表示器3は、ヘルメット本体2の前面に固定された筐体4を備えている。
【0024】
この筐体4には、詳細を後述するが、窓51、レーザーユニット回動規制摘み52、およびUSB充電端子53などが設けられている。
【0025】
また、この筐体4の内部には、
図2および
図3に示すように、レーザー光Lを放射するレーザーユニット5が設けられている。
【0026】
すなわち、筐体4内の上部には一対の支持部材6,6が設けられ、これら支持部材6,6には、回動軸7がベアリング8,8を介して回動自在に支持されている。
【0027】
この回動軸7にはレーザーユニットホルダ9が取り付けられ、回動軸7と一体的に回動するようになっている。
【0028】
また、レーザーユニットホルダ9の下面には錘10が取り付けられ、これによりレーザーユニットホルダ9が振り子のように回動軸7の下方に位置するように構成されている。
【0029】
さらに、このレーザーユニットホルダ9の前面にはレーザーユニット5が固定されていて、レーザーユニット5からのレーザー光が窓51を通って被照射面Pに照射されるようになっている。
【0030】
このレーザーユニット5からのレーザー光Lは、平面状に照射され、被照射面に直線状の基準線Sを表示するようになっている。
【0031】
また、レーザーユニット5は、振り子作用により、ヘルメット本体2の横向きにかかわらず基準線Sが水平になるように構成されている。
【0032】
さらに、筐体4には、レーザーユニット5の回動を所望の位置で規制する規制具11が設けられている。
【0033】
すなわち、錘10は、錨状に形成され、中央部12がレーザーユニットホルダ9に連結され、中央部12の下端には円弧状部13が一体的に連接されている。
【0034】
さらに、筐体4内の円弧状部13の前面に対向する位置にはナット部材14が固定され、このナット部材14には、円弧状部13の前面に当接して錘10の回動を止める螺子部材15が螺合されている。
【0035】
この螺子部材15には緩み止めのバネ部材16が外嵌されている。
【0036】
また、この螺子部材15の前端にはレーザーユニット回動規制摘み52が取り付けられ、この摘み52は、筐体4の前面に設けられた穴16から筐体4の前面に突出し、ヘルメット本体2の外側から操作できるようになっている。
【0037】
さらに、レーザーユニットホルダ9には、電源基板17が取り付けられ、この電源基板17には、USB充電端子53およびバッテリー18が電気的に接続されている。
【0038】
以上の構成によれば、
図4に示すように、ヘルメット1に基準線表示器3を一体化したので、建築作業を行いながら、すなわち建築作業で両手がふさがっていても、直線状の基準線Sによる確認が可能となる。
【0039】
しかも、作業中にヘルメット1から外れることがなく、また不使用時はヘルメット1とは別に保管する必要がないので、取扱いが不便である。
【0040】
さらに、規制具11によりレーザーユニット5の回動が可能な状態では、
図5に示すように、水平線状の基準線Sが被表示面Pに表示されるので、ヘルメット1の横傾きに関係なく、水平状態を確認することができる。
【0041】
この場合、レーザーユニット5は、一軸の回動軸7に支持されているため、すなわち、前後方向の回動が規制されるため、
図6に示すように、ヘルメット1が上向きに傾くと基準線Sは上方へ移動し、
図7に示すように、ヘルメット1が下向きに傾くと基準線Sは下方へ移動するが、水平状態は維持される。
【0042】
さらに、規制具11によりレーザーユニット5の回動を規制した状態では、ヘルメット1の横傾きおよび縦傾きに応じた直線状態を確認することができる。
【0043】
この場合、
図8に示すように、ヘルメット1が左側に傾くと基準線Sも左側に傾斜し、
図9に示すように、ヘルメット1が右側に傾くと基準線Sも右側に傾斜する。
【0044】
すなわち、建築現場で傾斜状態に部材を取付ける場合、首を傾げてヘルメット1の向きを傾斜させることにより、傾斜状態の基準線Sを被照射面Pに表示することができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、基準線表示器3は、規制具11によりレーザーユニット5の回動が可能な状態では、水平の基準線Sを表示するように構成したが、鉛直の基準線を表示するようにしてもよく、水平および鉛直の両方の基準線を表示するよいにしてもよい。
【0046】
また、基準線表示器3は、ヘルメット本体2に後付けしてもよい。すなわち、筐体4は、ヘルメット本体2に貼着材などにより貼着してもよい。
【0047】
さらに、筐体4は、ヘルメット本体2の外面側に設けたが、
図10に示すように、ヘルメット本体2の内側に設けても良い。
【0048】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
上述の第1実施形態では、レーザーユニット5を回動軸7に回動自在に設けたが、本第2実施形態では、
図11および
図12に示すように、レーザーユニット5をヘルメット本体2に対して固定した構成となっている。
【0050】
すなわち、筐体4にレーザーユニットホルダ9が固定されていて、これにより、基準線表示器3は、ヘルメット本体2の向きに応じた向きの直線状の基準線Sを表示するようになっている。
【0051】
すなわち、レーザーユニット5は、ヘルメット本体2に固定されているため、
図6に示すように、ヘルメット1が上向きに傾くと基準線Sは上方へ移動し、
図7に示すように、ヘルメット1が下向きに傾くと基準線Sは下方へ移動する。
【0052】
また、
図8に示すように、ヘルメット1が左側に傾くと基準線Sも左側に傾斜し、
図9に示すように、ヘルメット1が右側に傾くと基準線Sも右側に傾斜する。
【0053】
以上の構成によれば、ヘルメット1に基準線表示器3を一体化することにより、作業を行いながら基準線による確認が可能となり、しかも、取扱いが便利である。
【0054】
また、レーザーユニット5をヘルメット本体2に対して固定したので、構造が非常に簡単で小型化が図れ、しかも、可動部分がないので、故障の発生を可及的に防止することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 基準線表示器付きヘルメット
2 ヘルメット本体
3 基準線表示器
5 光照射ユニット(レーザーユニット)
7 回動軸
L レーザー光
P 被照射部
S 基準線