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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022570
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】シャワー式軟水器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20230101AFI20230208BHJP
   B01J 39/04 20170101ALI20230208BHJP
   B01J 39/18 20170101ALI20230208BHJP
   B01J 49/06 20170101ALI20230208BHJP
   B01J 49/53 20170101ALI20230208BHJP
   B01J 49/05 20170101ALI20230208BHJP
   B01J 49/75 20170101ALI20230208BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
C02F1/42 A
B01J39/04
B01J39/18
B01J49/06
B01J49/53
B01J49/05
B01J49/75
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127508
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 孝之
【テーマコード(参考)】
2D132
4D025
【Fターム(参考)】
2D132FA07
2D132FB02
2D132FC04
2D132FF00
4D025AA02
4D025AB19
4D025BA08
4D025BA22
4D025BB11
(57)【要約】
【課題】再生時にシャワーホース金具に再生液が掛かって腐食することを防止することができるシャワー式軟水器を提供する。
【解決手段】供給される被処理水を軟水化処理するためのイオン交換樹脂が充填された処理部と、該処理部で軟水化処理された軟水を排出し、かつ、シャワーホースが接続可能な排出口と、を備えたシャワー式軟水器において、前記排出口と前記シャワーホースとの間に接続され、前記処理部で軟水化処理された軟水を前記排出口から前記シャワーホースへ流出させる第1状態と前記イオン交換樹脂を再生すべく前記処理部内へ流入させた再生液を前記排出口から外部へ排出させる第2状態とに手動により切り替え可能な三方弁19を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される被処理水を軟水化処理するためのイオン交換樹脂が充填された処理部と、該処理部で軟水化処理された軟水を排出し、かつ、シャワーホースが接続可能な排出口と、を備えたシャワー式軟水器において、
前記排出口と前記シャワーホースとの間に接続され、前記処理部で軟水化処理された軟水を前記排出口から前記シャワーホースへ流出させる第1状態と前記イオン交換樹脂を再生すべく前記処理部内へ流入させた再生液を前記排出口から外部へ排出させる第2状態とに手動により切り替え可能な三方弁を備えていることを特徴とするシャワー式軟水器。
【請求項2】
前記三方弁は、弁箱と、該弁箱内に備えた回転可能な弁体と、該弁体を回転軸回りに回転操作すべく前記弁箱から前記弁体の回転軸方向両側に突出する2つのハンドルと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシャワー式軟水器。
【請求項3】
前記三方弁は、前記排出口に該排出口の軸心回りに回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャワー式軟水器。
【請求項4】
前記排出口が、前記処理部の下端部に設けられていることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項に記載のシャワー式軟水器。
【請求項5】
前記三方弁は、前記排出口からの再生液を排出する再生液排出口を備え、該再生液排出口が下向きに開口されていることを特徴とする請求項4に記載のシャワー式軟水器。
【請求項6】
前記三方弁は、軟水が排出される軟水排出口が上向き又は横向きに開口され、再生液を排出する再生液排出口が下向きに開口されていることを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか1項に記載のシャワー式軟水器。
【請求項7】
前記被処理水の注入口及び前記再生液の注入口が、前記処理部の上端部に備えていることを特徴とする請求項1~6のうちのいずれか1項に記載のシャワー式軟水器。
【請求項8】
前記排出口を形成するための排出口用の管部を備え、前記弁箱は、前記排出口用の管部に内嵌又は外嵌することにより接続される接続用の管部を備え、前記排出口用の管部と前記接続用の管部とが接続された状態において、外側に位置する一方の管部に貫通孔が形成され、かつ、内側に位置する他方の管部に該一方の管部の貫通孔と連通する凹部が形成され、前記一方の管部の貫通孔から挿入して前記他方の管部の凹部に係止することにより前記排出口用の管部に対して前記接続用の管部が抜けてしまうことを阻止する係止部材を備えていることを特徴とする請求項2~7のうちのいずれか1項に記載のシャワー式軟水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給される被処理水中に含まれる硬度成分を軟水化処理するためのシャワー式軟水器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記シャワー式軟水器は、例えば浴室内に備える混合水栓に接続され、混合水栓からの被処理水をイオン交換樹脂が充填された処理部で軟水化処理し、処理した軟水を、処理部の上部に備える水出口部に出口継手を介して接続されるシャワーホースへ供給し、シャワーホースの先端に取り付けられるシャワーヘッドを介して吐出する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記シャワー式軟水器は、イオン交換樹脂を用いて、原水中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度分を除去するようになっている。そして、前記イオン交換樹脂が硬度分と置換して飽和状態になると、塩水を供給して能力を再生するようにしている。前記イオン交換樹脂の再生を行うにあたっては、前記イオン交換樹脂を充填した樹脂筒の通水量を流量計で測定し、通水量の積算値が設定値に達したら前記イオン交換樹脂の再生を行うようにしている。この流量再生方式は、前記イオン交換樹脂の残存能力を正確に把握することができ、適切な時期に適正量の塩水を使用して再生を行うことができるようになっている。イオン交換樹脂に吸着したナトリウムイオンと硬度成分であるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等が交換され、軟水が作られるように構成されている。そして、前記イオン交換樹脂が前記硬度成分との交換を行っていると、飽和状態になってしまい、軟水化処理できなくなるため、再生液(塩水)を供給してイオン交換樹脂の能力を再生する必要がある。前記再生液が処理部の上部の再生液投入口から投入され、処理部の下部に備える排水口を通して外部へ排出される。
【0004】
上記構成では、再生液投入口から投入された再生液の一部が出口継手からシャワーホース側へ流れ込み、出口継手に接続したシャワーホース金具に再生液が掛かってしまい、シャワーホース金具が腐食してしまうことがあり、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6688571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、再生時にシャワーホース金具に再生液が掛かって腐食することを防止することができるシャワー式軟水器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシャワー式軟水器は、前述の課題解決のために、供給される被処理水を軟水化処理するためのイオン交換樹脂が充填された処理部と、該処理部で軟水化処理された軟水を排出し、かつ、シャワーホースが接続可能な排出口と、を備えたシャワー式軟水器において、前記排出口と前記シャワーホースとの間に接続され、前記処理部で軟水化処理された軟水を前記排出口から前記シャワーホースへ流出させる第1状態と前記イオン交換樹脂を再生すべく前記処理部内へ流入させた再生液を前記排出口から外部へ排出させる第2状態とに手動により切り替え可能な三方弁を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、軟水をシャワーホースへ流出させる場合には、三方弁を第1状態に手動により切り替えることによって、処理部で軟水化処理された軟水が排出口からシャワーホースへ流出する。また、イオン交換樹脂を再生させる再生時には、三方弁を第2状態に手動により切り替えることによって、処理部内へ流入させた再生液を排出口から外部へ排出させるので、再生液(塩水)がシャワーホースへ流出することがない。よって、再生時にシャワーホース金具に再生液が掛かって腐食することを防止できる。
【0009】
又、本発明のシャワー式軟水器は、前記三方弁が、弁箱と、該弁箱内に備えた回転可能な弁体と、該弁体を回転軸回りに回転操作すべく前記弁箱から前記弁体の回転軸方向両側に突出する2つのハンドルと、を備えていてもよい。
【0010】
上記のように、弁箱から回転軸方向両側に突出する2つのハンドルを備えることによって、浴室の壁際にシャワー式軟水器を置いて使用する場合でも、壁から遠い側となる手前側のハンドルを操作して容易に弁体を回転操作することができる。
【0011】
又、本発明のシャワー式軟水器は、前記三方弁が、前記排出口に該排出口の軸心回りに回転可能に取り付けられていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、シャワーホースで軟水を使用する際に、シャワーホースの姿勢の変化に応じて、三方弁が排出口の軸心回りに回転するので、シャワーホースを軽快に使用することができる。
【0013】
又、本発明のシャワー式軟水器は、前記排出口が、前記処理部の下端部に設けられていてもよい。
【0014】
上記のように、排出口を処理部の下端部に備えていると、低い位置で再生液が排出されるため、再生液が周囲に飛び散ることを抑制できる。
【0015】
又、本発明のシャワー式軟水器は、前記三方弁が、前記排出口からの再生液を排出する再生液排出口を備え、該再生液排出口が下向きに開口されていてもよい。
【0016】
上記のように、再生液排出口が下向きであれば、再生液が周囲に飛び散ることをより確実に抑制できる。
【0017】
又、本発明のシャワー式軟水器は、前記三方弁が、軟水が排出される軟水排出口が上向き又は横向きに開口され、再生液を排出する再生液排出口が下向きに開口されていてもよい。
【0018】
上記のように、軟水が排出される軟水排出口が上向き又は横向きであれば、シャワーホースを接続しやすい。また、再生液を排出する再生液排出口が下向きであれば、再生液が周囲に飛び散ることを確実に抑制できる。
【0019】
又、本発明のシャワー式軟水器は、前記被処理水の注入口及び前記再生液の注入口が、前記処理部の上端部に備えていてもよい。
【0020】
上記のように、被処理水の注入口が処理部の上端部に備えていれば、被処理水及び再生液を処理部全体に行き渡らせやすい。
【0021】
又、本発明のシャワー式軟水器は、前記排出口を形成するための排出口用の管部を備え、前記弁箱は、前記排出口用の管部に内嵌又は外嵌することにより接続される接続用の管部を備え、前記排出口用の管部と前記接続用の管部とが接続された状態において、外側に位置する一方の管部に貫通孔が形成され、かつ、内側に位置する他方の管部に該一方の管部の貫通孔と連通する凹部が形成され、前記一方の管部の貫通孔から挿入して前記他方の管部の凹部に係止することにより前記排出口用の管部に対して前記接続用の管部が抜けてしまうことを阻止する係止部材を備えていてもよい。
【0022】
上記のように、排出口用の管部に弁箱に備える接続用の管部を内嵌又は外嵌して外側に位置する一方の管部の貫通孔から係止部材を挿入して他方の管部の凹部に係止して抜け止め処理をするだけで、三方弁の取り付けを迅速に行うことができる。また、三方弁を取り外す際は、係止部材を2つの管部との係止を解除するだけで、排出口用の管部から接続用の管部を直ちに抜いて、三方弁を迅速に取り外すことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、手動により切り替え可能な三方弁を備えることによって、再生時にシャワーホース金具に再生液が掛かって腐食することを防止することができるシャワー式軟水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】シャワーヘッド及び混合栓がホースを介して接続されたシャワー式軟水器の斜視図である。
図2】シャワー式軟水器の側面図である。
図3】シャワー式軟水器の縦断面図である。
図4】三方弁の正面図である。
図5】三方弁の底面図である。
図6】三方弁の平面図である。
図7】三方弁の縦断正面図である。
図8】軟水の使用時の三方弁の弁体の位置を示す縦断側面図である。
図9】塩水を排出する時の三方弁の弁体の位置を示す縦断側面図である。
図10】三方弁をシャワー式軟水器から取り外した状態を示す分解斜視図である。
図11】三方弁をシャワー式軟水器に取り付けた部分の横断平面図である。
図12】三方弁の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に、本発明のシャワー式軟水器を示している。このシャワー式軟水器は、平面視にて略小判型形状に構成され、持ち運びに便利な小型に構成されている。
【0026】
図1に示すように、シャワー式軟水器1は、浴室内に配置されて使用され、浴室内に備えている混合栓2に一端が接続される可撓性を有するホース3の他端が接続される水供給口4(図2参照)と、水供給口4からの水(被処理水)を軟水化処理するためのイオン交換樹脂が充填された処理部5(図3参照)と、処理部5で処理された軟水を排出し、かつ、シャワーヘッド6に一端が接続される可撓性を有するシャワーホース7の他端が接続可能な接続管部8(図2参照)と、を備えている。
【0027】
シャワー式軟水器1は、図3に示すように、水供給口4から供給される水を受け入れるタンク9と、タンク9の天部及び外周部並びに底部を覆うタンク9よりも一回り大きなケーシング10と、タンク9の内部にイオン交換樹脂が充填されてタンク9内の水を軟水化するイオン交換樹脂部11と、ケーシング10の上端部を覆う蓋部12と、を備えている。前記タンク9と前記イオン交換樹脂部11とから前記処理部5を構成する。前記イオン交換樹脂は、顆粒タイプの陽イオン交換樹脂から構成され、水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度分を除去する機能を有する。
【0028】
タンク9は、中央部側ほど下方に位置する滑らかな曲面(下方に向けて凸となる曲面)を有する底壁13と、中央部側ほど上方に位置する滑らかな曲面(上方に向けて凸となる曲面)を有する天壁14と、天壁14と底壁13とを連結するための円筒状の側壁15と、を備えている。
【0029】
天壁14の中央部には、水の注入口としての開口14Aが形成され、水を供給するための配管16の一端部が開口14Aに連通されている。配管16は、径方向外側に延びてケーシング10を貫通してケーシング10の外側に突出する水平管部16Aと、その水平管部16Aの突出端から下方に延びる縦管部16Bと、を備えている。また、天壁14の中央部よりも径方向外側の位置に、前記イオン交換樹脂部11の再生を行うための再生液(塩水)の入った容器の口部(図示せず)を差し込んで再生液(塩水)を注入するための注入口17が形成されている。上記のように、水の注入口(開口14A)及び再生液の注入口17のいずれも、処理部5の上端部に備えることによって、水及び再生液を処理部5の全体に行き渡らせやすい。
【0030】
底壁13の周方向1箇所に軟水化した軟水をケーシング10の外部に排出するための排出口18Aを形成するための排出口用の管部としての配管18を備えている。この配管18は、径方向外側に延びてケーシング10を貫通する水平管部から構成されている。この配管18の突出端部に、三方弁19が接続されている。この三方弁19のハンドル27又は28(図1参照)を手動により回転操作することによって、軟水を排出口18Aからシャワーホース7に流入させる第1状態(図8参照)とイオン交換樹脂部11の再生を行うために投入された再生液(塩水)を排出口18Aから外部へ排出させる第2状態(図9参照)とに切り換えることができる。
【0031】
イオン交換樹脂部11は、図3に示すように、陽イオン交換樹脂をタンク9内に収容する貯留空間を形成すべくタンク9内の上下に設けられた一対のフィルター部11A,11Bを備えている。これらフィルター部11A,11Bは、水の通過は可能とするものの、陽イオン交換樹脂の通過は阻止される。したがって、開口14Aから供給された水は、上側のフィルター部11Aを通過して貯留空間に充填されている陽イオン交換樹脂により軟水化される。軟水化された水は、下側のフィルター部11Bを通過して下方へ移動し、配管18の排出口18Aから三方弁19の接続管部8を通してシャワーホース7(図1参照)へ流出する。
【0032】
ケーシング10は、タンク9を載置支持する平面視小判状の底部20と、底部20の外周縁から上端側ほど径方向内側に位置するテーパー部21と、テーパー部21の上端から外側に徐々に径方向外側に膨出する膨出部22と、膨出部22の上端から上方に向かうほど径が僅かに小さくなるように形成された縮径部23と、縮径部23の上端から上方へ延びる上端部24と、を備えている。
【0033】
三方弁19は、合成樹脂で構成された部品から構成され、図4図10に示すように、弁箱25と、弁箱25に備えた回転可能な弁体26と、弁体26を回転軸回りに回転操作すべく弁箱25から弁体26の回転軸方向両側に突出する2つのハンドル27,28と、を備えている。
【0034】
弁箱25は、図7に示すように、回転軸方向両端が開放された略円筒形状に構成されている。弁箱25の上端の回転軸方向略中央部に、開口25Aが形成され、この開口25Aから吐出される軟水を上方へ案内するための縦管部29が弁箱25の上端に一体形成されている。この縦管部29が前記接続管部8(図3参照)である。また、縦管部29の外面には、雄ねじ部29Nが形成され、シャワーホース7の他端部に備える継手7A(図1参照)の内面に形成の雌ねじ部(図示せず)を縦管部29の雄ねじ部29Nに螺合することによって、シャワーホース7を縦管部29に接続することができる。前記開口25Aは、軟水が外部に排出される軟水排出口であり、この軟水排出口(開口25A)は、上向きに開口されており、シャワーホース7を接続しやすい。
【0035】
また、弁箱25の前端面には、弁箱25内に軟水又は再生液(塩水)を流入させるための開口25B(図4参照)が形成され、この開口25Bに軟水又は再生液(塩水)を案内するための水平管部30(図4図5参照)が弁箱25の前端面から前方へ延びるように弁箱25に一体形成されている。
【0036】
また、弁箱25の下端の回転軸方向略中央部に、開口25C(図5参照)が形成され、この開口25Cは、排出口18A(図3参照)からの再生液(塩水)を外部へ排出すべく下向きに開口された再生液排出口である。上記のように、再生液排出口(開口25C)を処理部5の下端部に備えることによって、低い位置で再生液(塩水)が排出されるため、再生液が周囲に飛び散ることを抑制できる。しかも、再生液排出口(開口25C)が下向きに開口されているので、再生液(塩水)が周囲に飛び散ることをより確実に抑制できる。
【0037】
前記水平管部30は、図10図12に示すように、配管18に内嵌可能(配管18の内側に挿入可能)な外径寸法に構成され、配管18に内嵌することにより配管18に接続される接続用の管部を構成する。そして、外側に位置する配管18の周方向に長い一対のスリット状の貫通孔18K,18Kが形成されている。配管18に水平管部30を内嵌して両者を接続した状態において、配管18の貫通孔18K,18Kに連通する周方向に長いスリット状の凹部30Aが水平管部30の周方向全域(周方向と直交する幅の大きさは、配管18の貫通孔18Kの幅と同一)に形成されている。配管18の貫通孔18K,18Kから挿入して水平管部30の凹部30Aに係止及び係止解除可能な係止部材31を備えている。上記のように、三方弁19が排出口18Aの軸心回りに回転可能に構成されており、シャワーホース7で軟水を使用する際に、シャワーホース7の姿勢の変化に応じて、三方弁19が排出口18Aの軸心X回りに回転するので、シャワーホース7を軽快に使用することができる。
【0038】
係止部材31は、図10に示すように、周方向に長い略C字形状に構成され、配管18の貫通孔18Kの周方向の長さ及び周方向と直交する径方向の幅の大きさが同一に構成され、配管18の貫通孔18Kから挿入して水平管部30の凹部30A(図11参照)に係止すべく径方向内側に延びる一対の係止部31A,31Bと、両者を繋ぐ円弧状の連結部31Cと、を備えている。連結部31Cの径方向の幅寸法が、一対の係止部31A,31Bの径方向の幅寸法よりも小さく、この連結部31Cが入り込む凹部(図示せず)が周方向で隣り合う貫通孔18K,18Kの間に形成されている。
【0039】
したがって、排出口用の管部である配管18に弁箱25に備える接続用の管部である水平管部30を内嵌して外側に位置する一方の管部(配管18)の貫通孔18Kから係止部材31を挿入して他方の管部(水平管部30)の凹部30Aに係止して抜け止め処理をするだけで、三方弁19の取り付けを迅速に行うことができる(図11参照)。また、三方弁19を取り外す際は、爪又はマイナスドライバー等の工具を用いて係止部材31を2つの管部、つまり配管18,水平管部30から外すように係止解除するだけで、排出口用の管部(配管18)から接続用の管部(水平管部30)を直ちに引き抜いて、三方弁19を迅速に取り外すことができる。前記水平管部30の外面には、配管18とのシールを行うためのOリング32(図11参照)を係止する周方向全域に形成される周溝30Bを備えている。
【0040】
弁体26は、図7に示すように、弁箱25に回転軸回りに回転可能に内挿され、回転軸方向中央部に前記2つの開口25A及び開口25Cのうちの一方を閉じる弁部26Vを備えている。また、弁体26は、図11に示すように、回転軸方向に分割可能な2つの部材26A,26Bと、これら部材26A,26Bを連結固定するためのビス26Cと、を備えている。弁部26Vには、開口25A又は25Cをシールして閉じるためのOリング26H(図7参照)を備えている。また、弁体26の回転軸方向両端部のそれぞれに、弁箱25との間をシールするためのOリング26a(図7参照)を備えている。
【0041】
図12に示すように、一方のハンドル28(他方のハンドル27も同一構成であるため一方のハンドル28のみ説明する)は、弁体26を回転軸回りに回転させるべく、弁体26の複数(図12では3個)の係止部26Tに係止する被係止部としての同数(図12では3個)のスリット28Sを備えている。また、他方のハンドル27(一方のハンドル28も同一構成であるため他方のハンドル27のみ説明する)は、回転軸方向外側に位置する略円形の外側板部27Aと、外側板部27Aの外周縁から回転軸方向内側に延びる略円筒状の側板部27Bと、を備えている。外側板部27Aには、周方向1箇所から径方向外側に延びる延出板部27Cを備え、延出板部27Cの外周縁から回転軸方向内側に延びるとともに前記側板部27Bに繋がる第2の側板部27Dを備えている。外側板部27Aの外面には、延出板部27Cに向かうように先端が尖がった矢印27Eが突出形成されている。この矢印27Eの方向が軟水又は再生液(塩水)が排出される向きを示すようになっている。このため、軟水又は再生液(塩水)を排出したい向きに矢印27Eを合わせるようにハンドル27を回転させるだけで済む。また、弁箱25から回転軸方向両側に突出する2つのハンドル27,28を備えることによって、浴室の壁際にシャワー式軟水器1を置いて使用する場合でも、図1に示す壁Kから遠い側となる手前側のハンドル28を操作して容易に弁体26(図12参照)を回転操作することができる。
【0042】
また、一方のハンドル28(他方のハンドル27も同一構成であるため一方のハンドル28のみ説明する)には、図12に示すように、回転角度を規制するための規制溝28Mが形成されている。規制溝28Mは、ハンドル28の回転軸方向内側端部に周方向に略180°の角度範囲に亘って形成された溝である。したがって、ハンドル28を回転軸方向の一方に回転させることにより、規制溝28Mの一端面28aが弁箱25の回転軸方向端面に備えた突起25Tに当接することによって、それ以上のハンドル28の回転が規制される。また、ハンドル28を回転軸方向の他方に回転させることにより、規制溝28Mの他端面(図示せず)が弁箱25の回転軸方向端面に備えた突起25Tに当接することによって、それ以上のハンドル28の回転が規制される。このように規制溝28Mによりハンドル28の回転角度を規制することによって、ハンドル28を2つの回転位置に迅速に回転移動させることができ、図8に示すシャワーホース7へ軟水を流出させる第1状態と図9に示すように再生液(塩水)を外部へ排出する第2状態とに迅速に切り換えることができるようにしている。
【0043】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
上記実施形態では、軟水排出口が上向きに開口されていたが、横向きに開口されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、回転式の三方弁を示したが、スライド式の三方弁であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、2つのハンドル27,28を設けたが、1つのハンドルのみを設けて実施することもできる。
【0047】
また、上記実施形態では、一方(外側)の管部の貫通孔から挿入して他方(内側)の管部の凹部に係止する係止部材をC字状に構成したが、例えば棒状の係止部材とし、この係止部材を挿通する一方(外側)の管部に円形の貫通孔を形成し、貫通孔に連通する環状の凹部を他方(内側)の管部に形成して実施することになる。前記凹部を環状とすることによって、一方(外側)の管部に対して他方(内側)の管部を介して三方弁を排出口の軸心回りに回転可能に構成することができ、好ましいが、三方弁を排出口の軸心回りに回転不能となるように棒状の係止部材の係止端部が嵌り込む形状(例えば、係止部材の横断面形状が円形状の場合は、円形状で、係止部材の横断面形状が多角形状の場合は、多角形状)の凹部に構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…シャワー式軟水器、2…混合栓、3…ホース、4…水供給口、5…処理部、6…シャワーヘッド、7…シャワーホース、8…接続管部、9…タンク、10…ケーシング、11…イオン交換樹脂部、11A,11B…フィルター部、12…蓋部、13…底壁、14…天壁、14A…開口、14A …開口(水の注入口)、15…側壁、16…配管、16A…水平管部、16B…縦管部、17…注入口、18…配管(排出口用の管部)、18A…排出口、18K…貫通孔、19…三方弁、20…底部、21…テーパー部、22…膨出部、23…縮径部、24…上端部、25…弁箱、25A…開口(軟水排出口)、25B…開口、25C…開口(再生液排出口)、25T…突起、26…弁体、26a…Oリング、26A,26B…部材、26H…Oリング、26T…係止部、26V…弁部、27,28…ハンドル、27A…外側板部、27B…側板部、27a…一端面、27C…延出板部、27D…第2の側板部、27E…矢印、27S…スリット、28M…規制溝、29…縦管部、29N…雄ねじ部、30…水平管部、30A…凹部、30B…周溝、31…係止部材、31A,31B…係止部、31C…連結部、32…Oリング、K…壁、X…軸心
図1
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