(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022589
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】いなり寿司
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230208BHJP
【FI】
A23L7/10 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127537
(22)【出願日】2021-08-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】520332933
【氏名又は名称】岩本 博
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】岩本博
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE16
4B023LG01
4B023LK04
4B023LK07
4B023LK13
(57)【要約】
【課題】本発明は、商品として物流による流通が容易な果実を用いたいなり寿司及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一観点に係るいなり寿司は、甘く煮た油揚げと、油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物と、を有するものである。また、油揚げは、油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物が外から見えないよう、油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物を閉じて包んでなることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘く煮た油揚げと、
前記油揚げの中に詰められた、酢飯及び皮に包まれた果物、を有するいなり寿司。
【請求項2】
前記酢飯は、中粒種を含む請求項1記載のいなり寿司。
【請求項3】
冷凍保存された請求項1記載のいなり寿司。
【請求項4】
前記果物は、ブドウ及びミカンの少なくともいずれかである請求項1記載のいなり寿司。
【請求項5】
前記油揚げは、前記油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物が外から見えないよう、前記油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物を閉じて包んでなる請求項1記載のいなり寿司。
【請求項6】
油揚げを甘く煮るステップ、
白米を炊いて米飯とするステップ、
米飯に酢を混ぜて酢飯とするステップ、
前記油揚げの中に酢飯及び皮に包まれた果物を詰めるステップ、を有するいなり寿司の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いなり寿司及びいなり寿司の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いなり寿司とは、甘く煮た油揚げの中に酢飯を詰めることで作られるものであり、人気のある寿司の一つである。
【0003】
一方、いなり寿司に様々なアレンジを加えようとすることが試みられており、甘く煮た油揚げをデザート感覚で楽しむためのレシピが例えば下記非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】http://recipe.tokai.coop/recipe.php?id=470
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記非特許文献1において示されるいなり寿司は、中に詰められる酢飯にイチゴやニンジン等のいろどりを重要な要素としているものであり、これらの具は表に見えるように出されており、油揚げもその中身が見えるように具を支える程度の役割しかない。特に果物を用いているがこの果物は酢飯に埋められることもなくその上に見えるように配置されており、明らかにその場で製造し消費することを前提としている。すなわち、イチゴ等の果物を用いた点は非常に有用であるが、工業的に製造し、商品として物流によって流通させることは保存の観点から容易でないといった課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、商品として物流による流通が容易な果実を用いたいなり寿司及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一観点に係るいなり寿司は、甘く煮た油揚げと、油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物と、を有するものである。
【0008】
また、本観点において、酢飯は、中粒種を含むものであることが好ましい。
【0009】
また、本観点において、冷凍保存されたものであることが好ましい。
【0010】
また、本観点において、果物は、ブドウ及びミカンの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0011】
また、本観点において、油揚げは、油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物が外から見えないよう、油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物を閉じて包んでなることが好ましい。
【0012】
また、本発明の他の一観点に係るいなり寿司の製造方法は、油揚げを甘く煮るステップ、白米を炊いて米飯とするステップ、米飯に酢を混ぜて酢飯とするステップ、油揚げの中に酢飯及び皮に包まれた果物を詰めるステップ、を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によって、美味であり商品として物流による流通が容易な果実を用いたいなり寿司及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係るいなり寿司の外観のイメージ図である。
【
図2】実施形態に係るいなりずしの断面のイメージ図である。
【
図3】実施形態に係るいなりずしの断面の他のイメージ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係るいなり寿司(以下、「本いなり寿司」という。)1の外観のイメージである。
【0017】
上記の図で示されるように、本いなり寿司1は、甘く煮た油揚げ2と、油揚げ2の中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物と、を有するものである。
【0018】
本いなり寿司1において、油揚げ2は、上記の通り、甘く煮たものであり、ここは一般的ないなり寿司作製の手順と同様の手順を採用することができる。具体的には、酢飯や果物を詰めるために、一辺を切った後、その切った辺から、穴が開かない程度に角まで指等を用いて中を開き、砂糖醤油に漬けて柔らかくした状態とすることが好ましい。
【0019】
また、本いなり寿司1において、油揚げ2の中に詰められる酢飯3は、米を炊いた後、適度な酢、砂糖等を加えて味付けしたものである。この酢飯にする手順についても、上記油揚げ2の準備と同様、一般的ないなり寿司作製の手順と同様の手順を採用することができる。具体的には、米酢と砂糖、その他塩等を適切な量混合し、炊きあがった米に加え、混ぜ合わせたのち冷却させることが好ましい。
【0020】
ところで、本いなり寿司1は冷凍することで広く流通が可能となるため、冷凍に好適な手順を採用することも好ましい。具体的には、トレハロースを添加して炊いた米飯としておくことも好ましい。トレハロースを添加して炊くことで米の周囲に膜が形成された状態で炊きあげることが可能となるため、冷凍しても米飯の周囲にこれが維持され、冷凍及びその解凍による水分の蒸発が適切に抑えられ、米飯の白ろう化を防ぐことができるといった効果がある。特に酢飯にする際は酢の他砂糖を加えるため、トレハロースの甘味がついていても違和感が無いといった利点がある。
【0021】
また、本いなり寿司1の米としては、通常寿司に用いられている米を用いることができるが、一般に無洗米であってもよい。無洗米とすることで予め米に水を吸わせない状態で炊き始めることができるため水分量を調整し、米飯の均一な炊きあがりや食感の統一を行いやすくできるといった効果がある。特に、トレハロースと組み合わせる場合、水分量の調節を精度高く行うことが可能となり、より均一な、冷凍、冷蔵のいなり寿司を提供することができるようになる。
【0022】
本いなり寿司1における無洗米を用いた場合の効果について、より具体的に説明すると、一般に、玄米から胚芽と糠(ヌカ)とが取り除かれることで精白米となるが、この精白米の表面には、粘着性のある肌糠が少なからず付着している。よって、精白米を採用する場合、米に付着している肌糠を水で洗い落とす作業(米とぎ作業)が必要となる。しかしながら、この作業を介することで、米が吸水することになるため、結果的に水分量が増加し、トレハロースの濃度が低くなってしまうおそれがある。すると、炊飯後冷凍し解凍した場合に一部が白ろう化、老化が進行し易くなる。そのため、無洗米を用いることで、米飯の均一な炊きあがりや食感の統一、更には上記トレハロース濃度の調整がしやすくなり白ろう化を防ぐことが可能となる。なお、この観点すなわち水分及びトレハロースとの調整の観点から、精米段階において水洗い加工を行わないBG精米製法によって精米した無洗米を採用することが好ましい。
【0023】
なおここで、本いなり寿司1の米の炊き方について説明する。この炊き方は、酢飯を作ることができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば、(1)粉末状のトレハロースを水(好ましくは軟水)に入れ、このトレハロースを溶解させてトレハロース水溶液を作成し、(2)無洗米をこのトレハロース水溶液に浸漬させ、1時間以上静置し、(3)米を炊き上げて米飯とし、(4)この米飯に適度に酢を添加してかき混ぜて酢飯とし、(5)この酢飯を冷蔵又は冷凍とすることで、低温酢飯を作成することができる。なお、この酢飯の冷蔵又は冷凍のステップは、適度に熱を冷ましながら本いなり寿司1を完成させた後に行うことが好ましい。
【0024】
また、この場合において、トレハロースの濃度は、2重量%以上6重量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは2.5重量%以上4重量%以下の範囲である。2重量%以上とすることで冷蔵又は冷凍を行った際に生ずる白ろう化を防ぐことが可能となる一方、6重量%以下とすることで酢飯にした場合でも必要以上に甘くなってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0025】
また、この場合において、トレハロース水溶液と米の重量比としては、米の重量を1とした場合、トレハロース水溶液が1.4以上1.7以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以上1.65以下である。この比率については、夏と冬などの季節毎に、その湿度や温度に基づき適切な範囲に調節することが好ましい。
【0026】
また、無洗米をトレハロースに浸漬させて静置する時間は、1時間以上であることが好ましい。1時間以上静置することで、トレハロースを米の周囲に十分に被覆させ、安定的に米飯が白ろう化するのを低減させることができる。この時間については、夏と冬などの季節毎に、その湿度や温度に基づき適切な範囲に調節することが好ましい。
【0027】
また、本いなり寿司1において、酢飯に用いられる米は、短粒種であってもよいが、中粒種であってもよい。短粒種は日本国内において広く流通する一般的な国内米(ジャポニカ種)が該当する。一方、中粒種は、外国において栽培されるジャポニカ種であるがその粒の長さ及び幅の比が短粒種と少し異なる形状のものをいう。具体的に、短粒種はその長さが5.5mm以下、幅に対する長さの比が2以下である一方、中粒種はその長さがこれより長く、幅に対する長さの比が2より大きく2.9以下であるものをいう。中粒種としては限定されるわけではないが、いわゆるカリフォルニア米を例示することができるがこれに限定されない。特に、上記のようにトレハロースを用いて米を炊く場合、冷凍や冷蔵を介して食する際、短粒種と中粒種の差異が殆ど感じられなくなるくらい食感や味が近くなり、米の選択の幅が広がるといった利点がある。
【0028】
また、本いなり寿司1において、果物4は、上記の通り、皮に包まれた状態の果物である。皮に包まれた状態とすることで、外側の油揚げとの食感を合わせることが容易であり違和感なく食することができるとともに、冷凍した場合や保存した場合において、時間の経過があっても内部の水分を安定的に保持することができ、物流に乗せ易くなるといった効果がある。更に、皮で包まれているため果物内の水分が酢飯側に染み出してしまうおそれも格段に低くできる。また、果実はもちろん酢飯も表面に出さない構成とすることで、不必要に水分が抜けてしまうこと、更には物流による配達の際に加えられる振動等によって具がこぼれてしまうおそれを格段に少なくすることができる。
【0029】
また、本いなり寿司1において、果物4は、皮に包まれた状態であることが好ましく、その中でもミカン及びブドウの少なくともいずれかであることが好ましい。
図2、
図3は、本いなり寿司1の断面イメージである。前者は、果物がブドウである場合のイメージを、後者は果物がミカンである場合の断面のイメージである。果物の果肉は全体が皮でおおわれている状態であることが好ましく、ミカンの場合は房単位でいれておくことが好ましく、ブドウの場合は皮付きの粒単位でいれておくことが好ましい。ミカン及びブドウの場合、その果肉と皮の厚さのバランスが非常によく、他の果物に比べ、本いなり寿司1の形態とする場合、外側の油揚げ2、酢飯3との食感及び酸味が相まって非常に美味である。
【0030】
また本いなり寿司1において、果物4の量については適宜調整が可能であり限定されるわけではないが、いなり寿司に用いられる酢飯の重量を1とした場合に、その果物の重量は0.1以上0.6以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2以上である。0.1未満であると果物の味が感じにくくなる一方、0.6を超えると果物の味が強くなりすぎるため、この範囲にすることで酢飯、油揚げ、果物の食感及び味のバランスを安定的に確保することができる。また上記の範囲の目安としてブドウの場合はいなり寿司1個内において1粒以上3粒以下含まれていることが好ましく、ミカンの場合はいなり寿司1個内において1房以上3房以下含まれていることが好ましい。
【0031】
また、本いなり寿司1において、油揚げは、油揚げの中に詰められる酢飯、及び、皮に包まれた果物が外から見えないよう、これら酢飯及び皮に包まれた果物を詰め、その開口部を閉じて包んでなることが好ましい。これにより、果実はもちろん酢飯も表面に出さない構成とすることで不必要に水分が抜けてしまうこと、更には物流による配達の際に加えられる振動等によって具がこぼれてしまうことが無い。特にこれは冷凍により物流に乗せる際顕著な効果であるといえる。
【0032】
また、本いなり寿司1において、冷凍保存されたものであることが好ましい。冷凍保存することにより、長期保存及び長距離の物流が可能となる。特に、本いなり寿司1は、上記の通り、内部に酢飯の他皮の付いた果物を内包しその開口部を閉じた状態となっているためこの効果が顕著となる。また、本いなり寿司1は、自然解凍が可能である。自然解凍の時間としては特に限定されず、2時間以上1日以下の範囲であることが好ましい。特に、米として中粒米、カリフォルニア米を採用する場合、冷凍することで国内で流通する国内米と比較しても遜色ないレベルにできる。
【0033】
ところで、上記の記載から明らかであるが、本いなり寿司1は、一般的ないなりずし製造の手順を用いて製造することができる。すなわち、本いなり寿司1の製造方法(以下「本方法」という。)は、油揚げを甘く煮るステップ、白米を炊いて米飯とするステップ、米飯に酢を混ぜて酢飯とするステップ、油揚げの中に酢飯及び皮に包まれた果物を詰めるステップ、を有するものである。
【0034】
また、本方法では、この後、冷凍させるステップを含むことが好ましい。そしてこの冷凍させるステップにおいて、冷凍の手段としては、特別な急速冷凍装置を用いて急冷することとしてもよいが、一般の冷凍庫による通常冷凍であってもよい。本いなり寿司1は上記している通り、冷凍しても果物の果汁が染み出すこともなく、また果物が油揚げ及び酢飯に包まれておりこぼれ落ちることがない。
【0035】
以上、本実施形態によって、美味であり商品として物流による流通が容易な果実を用いたいなり寿司及びその製造方法を提供することができる。
【0036】
本発明の効果について改めて説明すると、本発明に係るいなり寿司1によると、皮に包まれた果物を用いることで、外側の油揚げとの食感を合わせることが容易であり違和感なく食することができるとともに、冷凍した場合でもその水分を安定的に保持するとともに果物の果汁が酢飯に染み出してしまうことが殆ど無く、物流に乗せることが簡便である。特に上記の公知例のように、果実はもちろん酢飯も表面に出さない構成とすることで水分が抜けてしまうこと、更には物流による配達の際に加えられる振動等によって具がこぼれてしまうことが無い。また、果実としてミカンとブドウを用いると、酢飯との食感及び酸味が相まって非常に美味であるといった効果がある。さらに、酢飯にカリフォルニア米などの中粒種を用いることで、冷凍した場合非常に美味を感じることができるといった利点がある。すなわち、本発明は冷凍による保存が可能であり果実を用いた場合でも物流に乗せやすくなるといった利点があり、むしろ冷凍することにより中粒種であってもおいしさを引き出すことが可能となるといった利点がある。
【実施例0037】
ここで、上記実施形態に係るいなり寿司1について実際に作製し、その効果を確認した。以下説明する。
【0038】
(実施例1:ミカン)
中粒種としてカリフォルニア米を用い、これに3重量%のトレハロース水溶液を添加し、米飯を5合炊き上げ、酢、砂糖及び塩を適量ずつ混ぜ合わせたものを米飯に加え、酢飯を準備した。
【0039】
また、市販されている長方形の油揚げを5cm×5cmの大きさに切り、その切り口を開いて袋状とし、醤油及び砂糖を加えて煮詰め、甘くした油揚げを準備した。
【0040】
また、市販のミカンの外皮を剥き、一房ごとに分けたものを準備した。
【0041】
その後、上記油揚げに米飯及びミカンを中に詰め、切り口を閉じていなり寿司を複数作成した。なお、このいなり寿司の一部は、冷凍庫により冷凍した。
【0042】
また、このいなり寿司を食したところ、ミカンを皮ごと食しているにもかかわらず通常のいなり寿司の食感と違和感なく食することができているとともに、ミカンの程よい酸味と甘味が非常に美味であった。また、汁漏れもなく非常にすっきりとした味であった。
【0043】
また、解凍したいなり寿司を食したところ、ミカンを酢飯に入れて冷凍したにもかかわらず、上記冷凍していないものと同様の味、食感を得ることができた。なお特に、カリフォルニア米である場合、通常の国産米と風味が異なる点を感じる場合が多いところ、冷凍した場合、区別がつけにくいほど違和感がなく食することができた。すなわち、冷凍すると中粒種であっても十分に短粒種と区別がつきにくいほど質を向上させることができた。
【0044】
(実施例2:ブドウ)
また、上記と同様に、ミカンをブドウに代えた以外は同様に行った。ブドウは、種無しのブドウ(レッドグローブ)を用い、ブドウ一粒を酢飯で取り囲まれるように甘くした油揚げの中に詰め、冷凍して完成させた。
【0045】
その後、いなり寿司を解凍し、食したところ、上記ミカンと同様、皮ごと食しているにもかかわらず通常のいなり寿司の食感とともに食することができているとともに、ブドウの程よい酸味と甘味が非常に美味であった。また、ブドウを酢飯に入れて冷凍したにもかかわらず、汁漏れもなく、また非常にすっきりとした味であった。
【0046】
カットフルーツの例
(比較例:カットフルーツ)
ここで、上記実施例1におけるミカンをカットされたフルーツ(メロン)に代えた以外は同様に行った。メロンは、カットし、適切な量となるよう上記と同様、酢飯で取り囲まれるように甘くした油揚げの中に詰め、冷凍して完成させた。
【0047】
その後、いなり寿司を解凍し、食したところ、カットフルーツからの果汁が染み出してしまい、果汁の漏れが生じただけでなく、酢飯とフルーツが必要以上に混ざり合い、果汁の水分で過剰な水分量となり酢飯がふやけすぎたことで食感がよくなく、また味も酢飯と完全に混ざり合ってしまう部分があり、非常にすっきりしない味であった。
【0048】
なお、上記カットフルーツについてはリンゴ、ナシ、モモ等においても同様に確認したがいずれも同様な結果であった。すなわち、ミカン及びブドウ等の適度な大きさで酢飯による取り囲みと油揚げの中に入れることができる皮付きのフルーツを用いることで本いなり寿司の効果が十分に発揮できることを確認した。
【0049】
以上、本実施例により、本発明の効果を確認することができた。